JP2024087194A - 感光性エレメント、及び、レジストパターンの形成方法 - Google Patents

感光性エレメント、及び、レジストパターンの形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させることができる感光性エレメントを提供すること。【解決手段】支持体と、支持体上に、バインダーポリマー、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、感光層の前記支持体とは反対側の面上に配置された保護フィルムと、を備え、感光性樹脂組成物におけるバインダーポリマーと光重合性化合物との含有量比(バインダーポリマーの含有量/光重合性化合物の含有量)が1.10~1.80であり、感光層について微小硬さ試験機を用いてPETフィルムを介して圧子を押込み、300mNの荷重で5秒間保持した際に測定される押込み深さの、前記感光層の厚さに対する割合が45%以下である、感光性エレメント。【選択図】図1

Description

本開示は、感光性エレメント、及び、レジストパターンの形成方法に関する。
半導体集積回路(LSI)、配線板等の製造分野において導体パターンを作製するためのレジスト材料として感光性材料が用いられている。例えば、配線板の製造において、感光性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成した後、めっき処理によって導体パターン、メタルポスト等を形成している。具体的には、(1)感光性樹脂組成物を用いて感光層を基材上に形成し、(2)所定のマスクパターンを介して感光層を露光し、(3)導体パターン、メタルポスト等を形成する部分を現像処理により選択的に除去(剥離)することでレジストパターンを形成し、(4)この除去された部分に銅等の導体層をめっき処理によって形成した後にレジストパターンを除去することにより、導体パターン、メタルポスト等を備える配線板を製造できる(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2000-356852号公報
近年、インダクタ等の電子部品では、層厚が厚い状態で高いアスペクト比を有する導体層を備える導体パターンを形成することが検討されている。このような導体パターンは、例えば、感光層に光を照射した後に未露光部を除去してスペース部を形成し、当該スペース部に導体層を形成することにより得ることができる。そのため、フィルム厚の厚いフィルムとして、感光層を得るための感光性エレメントに対しては、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得ることが求められる。
また、インダクタ(パワーインダクタ等)のコイル(導電コイル)のほか、半導体チップの高密度化による端子数増加により、半導体チップの接続部を構成する銅ピラー等にも高いアスペクト比が求められており、高アスペクト比のコイルを形成するためのコイル状のレジストパターン、及び、銅ピラーを形成するためのビアホールパターン等を高い解像度で形成できる感光層を備えた感光性エレメントが求められている。
上記のような用途に用いられる感光性エレメントには、感光層の厚さが厚く、且つ、高い解像度を有することが求められるが、それらの条件を満たす感光性エレメントは、保管時に感光層を構成する感光性樹脂組成物が端部から染み出すエッジフュージョンが発生しやすいという問題がある。また、エッジフュージョンの発生を防ぐために感光層を硬くすると、感光層を保護するための保護フィルムが感光層と密着せず、剥離しやすいという問題が生じる。
そこで、本開示は、エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させることができる感光性エレメント、及び、それを用いたレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、以下の感光性エレメント、及び、レジストパターンの形成方法を提供する。
[1]支持体と、上記支持体上に、バインダーポリマー、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、上記感光層の上記支持体とは反対側の面上に配置された保護フィルムと、を備え、上記感光性樹脂組成物における上記バインダーポリマーと上記光重合性化合物との含有量比(バインダーポリマーの含有量/光重合性化合物の含有量)が1.10~1.80であり、上記感光層について微小硬さ試験機を用いてPETフィルムを介して圧子を押込み、300mNの荷重で5秒間保持した際に測定される押込み深さの、上記感光層の厚さに対する割合が45%以下である、感光性エレメント。
[2]上記感光層の厚さが30μm以上である、上記[1]に記載の感光性エレメント。
[3]上記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸ベンジルを単量体単位として有する、上記[1]又は[2]に記載の感光性エレメント。
[4]上記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量が、上記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~60質量%である、上記[3]に記載の感光性エレメント。
[5]上記バインダーポリマーが、スチレンを単量体単位として有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[6]上記バインダーポリマーにおいて、スチレンの含有量が、上記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~50質量%である、上記[5]に記載の感光性エレメント。
[7]上記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルを単量体単位として有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[8]上記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸アルキルの含有量が、上記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、5~40質量%である、上記[7]に記載の感光性エレメント。
[9]上記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸を単量体単位として有する、上記[1]~[8]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[10]上記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸の含有量が、上記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~40質量%である、上記[9]に記載の感光性エレメント。
[11]上記光重合性化合物が、分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートを含む、上記[1]~[10]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[12]上記分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートの含有量が、上記光重合性化合物全量を基準として、1~30質量%である、上記[11]に記載の感光性エレメント。
[13]上記光重合性化合物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含む、上記[1]~[12]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[14]アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有するレジストパターン形成用である、上記[1]~[13]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[15]インダクタの導電コイル形成用である、上記[1]~[14]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[16]半導体接続の銅ピラー形成用である、上記[1]~[14]のいずれかに記載の感光性エレメント。
[17]基材上に、上記[1]~[16]のいずれかに記載の感光性エレメントを用いて感光層を設ける工程と、上記感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程と、上記感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、レジストパターンを形成する工程と、を備える、レジストパターンの形成方法。
[18]上記レジストパターンが、アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有する、上記[17]に記載のレジストパターンの形成方法。
本開示によれば、エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させることができる感光性エレメント、及び、それを用いたレジストパターンの形成方法を提供することができる。
本開示の一実施形態に係る感光性エレメントを示す模式断面図である。 積層体の製造方法の一例を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の総量を意味する。「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。「アルキル基」は、特に断らない限り、直鎖状、分岐又は環状のいずれであってもよい。(メタ)アクリル酸化合物((メタ)アクリル酸アルキル等)の単量体単位の含有量は、アクリル酸化合物の単量体単位の含有量、及び、メタクリル酸化合物の単量体単位の含有量の総量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物において、揮発する物質(水、溶剤等)を除いた不揮発分を指す。すなわち、「固形分」とは、後述する感光性樹脂組成物の乾燥において揮発せずに残る溶剤以外の成分を指し、室温(25℃)で液状、水飴状又はワックス状のものも含む。
[感光性エレメント]
本実施形態に係る感光性エレメントは、支持体と、感光層と、保護フィルムとがこの順で積層された構造を有する。図1は、本開示の一実施形態に係る感光性エレメントを示す模式断面図である。図1に示す感光性エレメント1は、感光層1aと、感光層1aを支持する支持体(支持フィルム)1bと、感光層1aの支持体1bとは反対側の面上に配置された保護フィルム1cと、を備えている。感光層は、(A)バインダーポリマー(以下、場合により「(A)成分」という)、(B)光重合性化合物(以下、場合により「(B)成分」という)、及び、(C)光重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」という)を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成された層である。
本実施形態に係る感光性エレメントにおいて、感光性樹脂組成物における(A)バインダーポリマーと(B)光重合性化合物との含有量比((A)バインダーポリマーの含有量/(B)光重合性化合物の含有量)が1.10~1.80である。本明細書において、上記の含有量比((A)バインダーポリマーの含有量/(B)光重合性化合物の含有量)を、場合により「P/M比」という。
本実施形態に係る感光性エレメントにおいて、感光層1aは、当該感光層1aについて微小硬さ試験機を用いてPETフィルムを介して圧子を押込み、300mNの荷重で5秒間保持した際に測定される押込み深さの、感光層1aの厚さに対する割合(押込み割合)が45%以下である。
本実施形態に係る感光性エレメントは、上述したP/M比及び押込み割合の条件を満たすことにより、エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させることができる。また、本実施形態に係る感光性エレメントによれば、感光層の厚さが厚い場合であっても上記効果を得ることができ、且つ、感光層の厚さが厚い場合であっても高い解像度を得ることができる。本実施形態に係る感光性エレメントによれば、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得ることができ、コイル状(渦巻状)のレジストパターン及びビアホールパターンを高い解像度で形成することができる。そのため、本実施形態に係る感光性エレメントによれば、インダクタのコイル、及び、半導体装置の接続部を構成する銅ピラー等を高いアスペクト比で形成することができる。
本実施形態に係る感光性エレメントは、アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有するレジストパターン形成用として適している。アスペクト比の高いレジストパターンは、アスペクト比の高い導体パターン及びメタルポスト等を得るために用いることができる。本実施形態に係る感光性エレメントは、インダクタ等の電子部品(例えば電子回路基板)及び半導体装置の製造等に好適に用いることができ、例えば、インダクタ(パワーインダクタ等)の導電コイル形成用、半導体接続の銅ピラー形成用(銅ピラーを形成するためのビアホールパターン形成用)等に特に好適に用いることができる。
<支持体>
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。
支持体のヘーズ(Haze)は、0.01~5.0%、0.01~1.5%、0.01~1.0%、又は、0.01~0.5%であってよい。ヘーズは、JIS K7105に規定される方法に準拠して、市販の曇り度計(濁度計)を用いて測定できる。ヘーズは、例えば、NDH-5000(日本電色工業株式会社製、商品名)等の市販の濁度計で測定できる。
支持体の厚さは、1~200μm、1~100μm、1~60μm、5~60μm、10~60μm、10~50μm、10~40μm、10~30μm、又は、10~25μmであってよい。支持体の厚さが1μm以上であることで、支持体を剥離する際に支持体が破れることを抑制しやすい。支持体の厚さが200μm以下であることで、経済的恩恵を得やすい。また、支持体の厚さが200μm以下であることで、エッジフュージョンの発生を抑制しやすい。
<感光層>
感光層は、感光性樹脂組成物を用いて形成された層である。感光性樹脂組成物は、上述した(A)~(C)成分を含有する。以下、感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
((A)成分:バインダーポリマー)
感光性樹脂組成物は、(A)成分としてバインダーポリマーを含有する。(A)成分は、重合性単量体を単量体単位(構造単位)として有することが可能であり、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより得ることができる。重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロロ(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、アクリルアミド(ジアセトン(メタ)アクリルアミド等)、(メタ)アクリロニトリル、スチレン化合物(スチレン又はスチレン誘導体)、ビニルアルコールのエーテル類(ビニル-n-ブチルエーテル等)、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等)、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。感光性樹脂組成物は、(A)成分として、芳香環を有するバインダーポリマーを含有しなくてよい。
(A)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(メタ)アクリル酸を単量体単位として有してよい。(A)成分における(メタ)アクリル酸の含有量は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(A)成分を構成する単量体単位全量を基準として下記の範囲であってよい。(メタ)アクリル酸の含有量は、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は、30質量%以上であってよい。(メタ)アクリル酸の含有量は、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は、30質量%以下であってよい。上記観点から、(メタ)アクリル酸の含有量は、5~60質量%であってよく、10~40質量%であってよい。
(A)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルを単量体単位として有してよい。(A)成分における(メタ)アクリル酸アルキルの含有量は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(A)成分を構成する単量体単位全量を基準として下記の範囲であってよい。(メタ)アクリル酸アルキルの含有量は、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上であってよい。(メタ)アクリル酸アルキルの含有量は、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、又は、35質量%以下であってよい。上記観点から、(メタ)アクリル酸アルキルの含有量は、5~60質量%であってよく、5~40質量%であってよい。
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基は、置換基を有してよい。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸塩基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲノ基、グリシジル基等が挙げられる。
(A)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、スチレンを単量体単位として有してよい。(A)成分におけるスチレンの含有量は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(A)成分を構成する単量体単位全量を基準として下記の範囲であってよい。スチレンの含有量は、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上であってよい。スチレンの含有量は、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、又は、35質量%以下であってよい。上記観点から、スチレンの含有量は、5~60質量%であってよく、10~50質量%であってよい。
(A)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすいと共に、レジストパターンの密着性及び剥離特性を共に良好にする観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(メタ)アクリル酸ベンジルを単量体単位として有してよい。(A)成分における(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすいと共に、レジストパターンの密着性及び剥離特性を共に良好にする観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(A)成分を構成する単量体単位全量を基準として下記の範囲であってよい。(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量は、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上であってよい。(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量は、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、又は、35質量%以下であってよい。上記観点から、(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量は、5~60質量%であってよく、10~60質量%であってよい。
(A)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、及び、(メタ)アクリル酸ベンジルからなる群より選ばれる少なくとも一種を単量体単位として有してよく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、及び、(メタ)アクリル酸ベンジルの全てを単量体単位として有してよい。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、下記の範囲であってよい。重量平均分子量は、優れた耐現像液性が得られやすい観点から、10000以上、15000以上、20000以上、25000以上、30000以上、35000以上、40000以上、45000以上、又は、50000以上であってよい。重量平均分子量は、現像時間が長くなることを抑制しやすい観点から、300000以下、150000以下、100000以下、80000以下、60000以下、55000以下、又は、50000以下であってよい。上記観点から、重量平均分子量は、10000~300000であってよい。
(A)成分の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、下記の範囲であってよい。分散度は、1.0以上、1.5以上、1.8以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上、又は、2.3以上であってよい。分散度は、3.0以下、2.8以下、2.5以下、又は、2.4以下であってよい。上記観点から、分散度は、1.0~3.0であってよい。
本明細書における重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを標準試料として換算した値である。GPC条件としては、下記条件を用いることができる。
{GPC条件}
ポンプ:日立L-6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL-R440、Gelpack GL-R450及びGelpack GL-R400M(昭和電工マテリアルズ・テクノサービス株式会社製、カラム仕様:10.7mmφ×300mm)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
検出器:L-2490型RI(株式会社日立ハイテク製)
(A)成分の酸価は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、下記の範囲であってよい。酸価は、50mgKOH/g以上、80mgKOH/g以上、100mgKOH/g以上、120mgKOH/g以上、150mgKOH/g以上、180mgKOH/g以上、又は、190mgKOH/g以上であってよい。酸価は、250mgKOH/g以下、230mgKOH/g以下、220mgKOH/g以下、210mgKOH/g以下、又は、200mgKOH/g以下であってよい。上記観点から、酸価は、50~250mgKOH/g、50~200mgKOH/g、又は、100~200mgKOH/gであってよい。
酸価は次の手順で測定できる。まず、三角フラスコにバインダーポリマーを秤量する。次いで、混合溶剤(質量比:トルエン/メタノール=70/30)を加えてバインダーポリマーを溶解した後、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を添加する。そして、0.1mol/L(N/10)水酸化カリウム溶液(アルコール溶液)を用いて滴定することにより酸価を得る。
感光性樹脂組成物における(A)成分と(B)成分との含有量比(P/M比)は、エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させる観点から、1.10~1.80であり、1.15~1.70であってもよく、1.30~1.65であってもよい。P/M比が1.10以上であることで、感光層において光重合性化合物に対するバインダーポリマーの量が増加し、感光層の流動性が低下するため、エッジフュージョンの発生を抑制することができる。P/M比が1.80以下であることで、感光層において、光重合性化合物に対するバインダーポリマーの量が増加し過ぎてタック性が低下し、保護フィルムが剥離しやすくなることを抑制することができる。また、P/M比が上記範囲内であると、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい。
((B)成分:光重合性化合物)
感光性樹脂組成物は、(B)成分として光重合性化合物を含有する。(B)成分としては、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いることができる。
エチレン性不飽和結合としては、α,β-不飽和カルボニル基((メタ)アクリロイル基等)などが挙げられる。α,β-不飽和カルボニル基を有する光重合性化合物としては、多価アルコールのα,β-不飽和カルボン酸エステル、ビスフェノール型(メタ)アクリレート、グリシジル基含有化合物のα,β-不飽和カルボン酸付加物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート(別名:ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート)、フタル酸骨格を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
多価アルコールのα,β-不飽和カルボン酸エステルとしては、エチレン基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2~14でありプロピレン基の数が2~14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。「EO変性」とは、エチレンオキサイド(EO)基のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とは、プロピレンオキサイド(PO)基のブロック構造を有することを意味する。
(B)成分は、レジストパターンの柔軟性が向上しやすい観点、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含んでよい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、EO基及びPO基の少なくとも一方を有してよく、EO基及びPO基の双方を有してよい。EO基及びPO基の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートにおいて、EO基及びPO基は、それぞれ連続してブロック的に存在してよく、ランダムに存在してもよい。PO基は、オキシ-n-プロピレン基又はオキシイソプロピレン基のいずれであってもよい。(ポリ)オキシイソプロピレン基において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品としては、FA-023M(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、FA-024M(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、NKエステルHEMA-9P(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。
(B)成分は、レジストパターンの柔軟性が向上しやすい観点、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、及び、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、ウレタン(メタ)アクリレートを含んでよい、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートである。ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートとしては、β位にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO・PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、UA-11(新中村化学工業株式会社製)、UA-21EB(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。EO・PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、UA-13(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。
(B)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点、解像度及び硬化後の剥離特性を向上させやすい観点、並びに、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、ビスフェノール型(メタ)アクリレートを含んでよく、ビスフェノールA型(メタ)アクリレートを含んでよい。ビスフェノールA型(メタ)アクリレートとしては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(例えば2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン)、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。(B)成分は、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを更に得やすい観点、解像度及び硬化後の剥離特性を向上させやすい観点、並びに、エッジフュージョンの発生の抑制と保護フィルムの剥離の抑制とをより高水準で両立させる観点から、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンを含んでよい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパンの市販品としては、BPE-200(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンの市販品としては、BPE-500(新中村化学工業株式会社製)、FA-321M(昭和電工マテリアルズ株式会社製)等が挙げられる。
(B)成分は、レジストはく離性及び現像液中でのレジスト分散性を向上させる観点から、分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートを含んでよい。また、分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートは、芳香族単官能(メタ)アクリレートであってもよい。芳香族単官能(メタ)アクリレートは、芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートである。芳香族単官能(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、フタル酸骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、FA-318A(昭和電工マテリアルズ株式会社製)等が挙げられる。
フタル酸骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等が挙げられる。γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-メタクリロイルオキシエチル-o-フタレートの市販品としては、FA-MECH(昭和電工マテリアルズ株式会社製)等が挙げられる。
(B)成分中、上述した分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートの含有量は、レジストはく離性及び現像液中でのレジスト分散性を向上させる観点から、(B)成分全量を基準として、1~30質量%、3~20質量%、又は、3~15質量%であってよい。
((C)成分:光重合開始剤)
感光性樹脂組成物は、(C)成分として光重合開始剤を含有する。(C)成分としては、(B)成分を重合させることが可能な化合物を用いることができる。(C)成分は、感度及び解像度をバランスよく向上させやすい観点から、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、及び、アクリジン化合物(アクリジニル基を有する化合物)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
ヘキサアリールビイミダゾール誘導体としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール等が挙げられる。
アクリジン化合物としては、9-フェニルアクリジン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジン、9-(p-クロロフェニル)アクリジン、9-(m-クロロフェニル)アクリジン、9-アミノアクリジン、9-ジメチルアミノアクリジン、9-ジエチルアミノアクリジン、9-ペンチルアミノアクリジン、ビス(9-アクリジニル)アルカン(1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン、1,14-ビス(9-アクリジニル)テトラデカン、1,16-ビス(9-アクリジニル)ヘキサデカン、1,18-ビス(9-アクリジニル)オクタデカン、1,20-ビス(9-アクリジニル)エイコサン等)、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-オキサプロパン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタンなどが挙げられる。
(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して下記の範囲であってよい。(C)成分の含有量は、光感度、解像度及び密着性が向上しやすい観点から、0.1質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、又は、3質量部以上であってよい。(C)成分の含有量は、優れたパターン形成性が得られやすい観点から、10質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、又は、3質量部以下であってよい。上記観点から、(C)成分の含有量は、0.1~10質量部であってよい。
(その他の成分)
感光性樹脂組成物は、レジストパターン形成時の未露光部における重合を抑制し、解像度を更に向上させる観点から、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を用いることにより、パターン形成性を向上させることができる。
重合禁止剤は、パターン形成性を向上させやすい観点から、下記一般式(I)で表される化合物を含んでよい。
Figure 2024087194000002
式(I)中、Rは、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、アミノ基、アリール基、メルカプト基、炭素数1~10のアルキルメルカプト基、アルキル基の炭素数が1~10のカルボキシルアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は、複素環基を示し、aは、2以上の整数であり、bは、0以上の整数であり、a+b=6であり、bが2以上の整数の場合、Rは、各々、同一であってよく、異なってもよい。アリール基は、炭素数1~20のアルキル基で置換されていてよい。
は、(A)成分との相溶性が向上しやすい観点から、水素原子、又は、炭素数1~20のアルキル基であってよい。Rで表される炭素数1~20のアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基であってよい。aは、解像度が向上しやすい観点から、2又は3であってよく、2であってよい。
上記一般式(I)で表される化合物としては、カテコール、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のカテコール化合物(ベンゼン環上のオルト位に2つのヒドロキシ基を有する化合物);レゾルシノール(レゾルシン)、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール(オルシン)、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のレゾルシノール化合物;1,4-ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン化合物;ピロガロール、フロログルシノールン等の3価フェノール化合物などが挙げられる。
重合禁止剤は、解像度を向上させやすい観点、及び、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点から、カテコール化合物を含んでよく、アルキルカテコールを含んでよく、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、及び、3,5-ジ-tert-ブチルカテコールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、及び、3,5-ジ-tert-ブチルカテコールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
重合禁止剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して下記の範囲であってよい。重合禁止剤の含有量は、0質量部又は0質量部を超えていてよく、光硬化部の光反応を充分に進行させやすいことによりパターン形成性を高めやすい観点から、0.001質量部以上、0.005質量部以上、0.01質量部以上、又は、0.015質量部以上であってよい。重合禁止剤の含有量は、露光時間を短くしやすい観点から、1質量部以下、1質量部未満、0.8質量部以下、0.5質量部以下、0.3質量部以下、0.2質量部以下、0.15質量部以下、0.1質量部以下、0.08質量部以下、0.05質量部以下、0.03質量部以下、又は、0.02質量部以下であってよい。上記観点から、重合禁止剤の含有量は、0~1質量部、0質量部を超え1質量部未満、又は、0.01~0.3質量部であってよい。重合禁止剤がカテコール化合物を含む場合において、重合禁止剤の含有量は、0質量部を超え1質量部未満であってよい。
感光性樹脂組成物は、光増感剤を更に含有してもよい。光増感剤を含有することにより、露光に用いる活性光線の吸収波長を有効に利用することができる。光増感剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
光増感剤の含有量は、光感度及び解像度を向上させる観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01~5質量部、0.01~1質量部、又は0.01~0.2質量部であってもよい。
感光性樹脂組成物は、ロイコクリスタルバイオレットを含有してよい。これにより、感光層の光感度と解像度とをバランスよく向上させやすい。ロイコクリスタルバイオレットは、光を吸収して特定色に発色する発色剤(光発色剤)としての性質を有しており、その性質に起因して上記効果を奏すると考えられる。ロイコクリスタルバイオレットの含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01~10質量部、0.05~5質量部、又は、0.1~3質量部であってよい。
感光性樹脂組成物は、その他の成分を含有してよい。その他の成分としては、染料(マラカイトグリーン等)、トリブロモフェニルスルホン、発色剤(ロイコクリスタルバイオレットを除く)、熱発色防止剤、可塑剤(p-トルエンスルホンアミド等)、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などが挙げられる。
感光層は、例えば、支持体上に感光性樹脂組成物を塗布した後、乾燥することにより形成することができる。感光性樹脂組成物の塗布は、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、エアーナイフコート、ダイコート、バーコート等の公知の方法を用いて行うことができる。乾燥は、例えば、70~150℃、5~30分間程度で行うことができる。
支持体上に感光性樹脂組成物を塗布する際、必要に応じて、溶剤を添加して固形分40~60質量%程度の感光性樹脂組成物を用いてよい。溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態に係る感光性エレメントにおいて、感光層の残存溶剤量は、エッジフュージョンの発生をより十分に抑制する観点から、感光層全量を基準として1.0質量%以下、又は、0.5質量%以下であってよい。
本実施形態に係る感光性エレメントにおいて、感光層の厚さは、高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを得やすい観点から、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、又は、60μm以上であってよい。感光層の厚さは、感光層の剥離性に優れる観点から、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、又は、120μm以下であってよい。感光層は、複数の感光層を積層して上記厚さとしてもよい。
本実施形態に係る感光性エレメントにおいて、感光層について微小硬さ試験機を用いて測定される押込み深さの、感光層の厚さに対する割合(押込み割合)は、エッジフュージョンの発生の抑制と、保護フィルムの剥離の抑制とを両立させる観点から、45%以下であり、40%以下であってもよく、25%以下であってもよい。押込み割合が45%以下であることで、エッジフュージョンの発生を抑制することができる。また、押込み割合は、23%以上であってもよい。押込み割合が23%以上であることで、感光層から保護フィルムが剥離しやすくなることを抑制することができる。ここで、上記押込み深さは、例えば以下の方法で測定される。
感光性エレメントから保護フィルムを剥がしながら、ガラス基板上に感光層及び支持体をラミネートして、押込み深さ測定用サンプルを作製する。感光層の押込み深さは、微小硬さ試験機を用い、感光層表面に対して、圧子を押込むことで測定する。圧子の押込みは、例えば厚さ10~20μmのPETフィルムを介して行えばよく、厚さ14~18μmのPETフィルムを介して行ってもよい。支持体がPETフィルムである場合には、当該支持体上から圧子の押込みを行えばよい。なお、本測定では、測定範囲が非常に微小な範囲であるため、感光層と圧子との間に介在させるPETフィルムの種類・硬さの違いの影響は無視できる。測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
測定装置:FISCHERSCOPE H100SMC(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)
荷重:10秒かけて荷重を300mNまで上昇させ、300mNで5秒間保持した後、5秒かけて0.4mNまで除荷
測定温度:23℃
<保護フィルム>
本実施形態に係る感光性エレメントは、感光層の支持体と反対側の面に、保護フィルムを更に備える。保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の重合体フィルムを用いてよい。保護フィルムとしては、支持体と同様の重合体フィルムを用いてよく、支持体とは異なる重合体フィルムを用いてもよい。保護フィルムと感光層との接着力は、支持体と感光層との接着力よりも小さくてよい。
感光性エレメントの形態は、特に制限されず、シート状であってよく、巻芯にロール状に巻き取った形状であってもよい。ロール状に巻き取る場合、支持体が外側になるように巻き取ってよい。
<レジストパターンの形成方法及び積層体の製造方法>
本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、本実施形態に係る感光性エレメントを用いて感光層を基材上に設ける工程(感光層形成工程)と、上記感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程(露光工程)と、上記感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、レジストパターンを形成する工程(現像工程)と、を備える。
感光層形成工程においては、本実施形態に係る感光性エレメントを用いて感光層を基材上に形成する。感光層形成工程においては、本実施形態に係る感光性エレメントの感光層を基材に積層することにより感光層を基材上に形成してよい。感光性エレメントは保護フィルムを備えるため、保護フィルムを除去した後に感光層を基材に積層する。感光層形成工程においては、例えば、感光性エレメントの感光層を70~130℃程度に加熱しながら、減圧下又は常圧下で、0.1~1MPa程度(1~10kgf/cm程度)の圧力で感光層を基材に圧着して積層することにより、基材上に感光層を形成することができる。支持体は、感光層と共に基材上に積層され、感光層の基材とは反対側の面上に配置される。
基材としては、絶縁層と、絶縁層上に配置された金属層と、を備える積層体を用いてよく、例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂等の絶縁性材料からなる層の片面又は両面に銅箔を設けた銅張積層板を用いることができる。
露光工程においては、感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して光硬化部を形成できる。露光工程においては、支持体を除去した後に感光層の少なくとも一部に活性光線を照射してもよく、支持体を介して感光層の少なくとも一部に活性光線を照射してもよい。露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを介して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)、投影露光法により活性光線を画像状に照射する方法、LDI(Laser Direct Imaging)露光法、DLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を画像状に照射する方法などが挙げられる。
活性光線の光源としては、紫外線又は可視光を有効に放射する光源を用いてよく、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、ガスレーザ(アルゴンレーザ等)、固体レーザ(YAGレーザ等)、半導体レーザなどが挙げられる。
本実施形態に係るレジストパターンの形成方法では、密着性向上の観点から、露光工程後、現像工程前に、露光後加熱(PEB:Post exposure bake)を行ってよい。PEBを行う場合の温度は、50~100℃であってよい。加熱機としては、ホットプレート、箱型乾燥機、加熱ロール等を用いてよい。
現像工程においては、感光層の未露光部として、感光層の光硬化部以外の少なくとも一部が基材上から除去されることでレジストパターンが基材上に形成される。現像工程においては、感光層の未露光部の一部又は全部が除去される。絶縁層上に配置された金属層を備える積層体を基材として用いる場合、感光層の未露光部を除去することにより金属層を露出させることができる。
感光層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、感光層の光硬化部以外の部分(未露光部)の除去(現像)を行うことができる。現像方法として、ウェット現像又はドライ現像を用いることができる。
ウェット現像の場合、感光層の組成に応じた現像液を用いて公知の現像方法により現像することができる。現像方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッビング、揺動浸漬等を用いた方法などが挙げられ、解像度が向上しやすい観点から、高圧スプレー方式を用いてよい。2種以上の現像方法を組み合わせて現像を行ってよい。
現像液の構成は、感光層の組成に応じて適宜選択される。現像液としては、アルカリ性水溶液、有機溶剤現像液等が挙げられる。
現像液として、安全且つ安定であり、操作性が良好である観点から、アルカリ性水溶液を用いてよい。アルカリ性水溶液の塩基としては、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、モルホリンなどが挙げられる。
アルカリ性水溶液としては、0.1~5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1~5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1~5質量%水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。アルカリ性水溶液のpHは、9~11であってよい。アルカリ性水溶液の温度は、感光層の現像性に合わせて調節できる。
アルカリ性水溶液は、例えば、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を含有してよい。アルカリ性水溶液に用いられる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。有機溶剤現像液に用いられる有機溶剤としては、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。有機溶剤と水とを混合することにより、有機溶剤現像液における有機溶剤の含有量を1~20質量%の範囲に調整してよい。
本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、必要に応じて、現像工程の後、60~250℃程度での加熱、又は、0.2~10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンを更に硬化する工程を備えてよい。
本実施形態に係るレジストパターンの形成方法により形成するレジストパターンは、アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有するレジストパターンであってよい。上記スペース部のアスペクト比は、1.3~5.0であってもよい。ここで、スペース部のアスペクト比は、スペース部が直線状のパターンである場合には、スペース部の高さ(レジストパターンの厚さ)をスペース部の幅で除した値を意味し、スペース部が円柱状である場合には、スペース部の高さ(レジストパターンの厚さ)をスペース部の直径で除した値を意味する。本実施形態に係る感光性エレメントによれば、上記のような高いアスペクト比のスペース部を有するレジストパターンを形成することができる。
本実施形態に係る積層体の製造方法は、上記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成した後、基材におけるレジストパターンが形成されていない部分の少なくとも一部に導体層(例えば金属層)を形成する導体層形成工程を備える。
導体層形成工程において、導体層として導体パターン(例えば配線パターン)を得てよく、本実施形態に係る積層体の製造方法は、導体パターン(例えば配線パターン)の製造方法(形成方法)であってよい。導体層の構成材料としては、銅、半田、ニッケル、金等が挙げられる。導体層のアスペクト比は、1.3以上であってよく、1.3~5.0であってよい。導体層のアスペクト比は、導体層が直線状のパターンである場合には、導体層の厚さを導体層の幅で除した値を意味し、導体層が円柱状である場合には、導体層の厚さを導体層の直径で除した値を意味する。
導体パターンは、インダクタ(パワーインダクタ等)の導電コイルであってもよく、半導体装置の接続部を構成する銅ピラーであってもよい。本実施形態に係る積層体の製造方法は、このような導体パターンを備えるインダクタ、配線板(例えばプリント配線板)、半導体装置等の製造方法であってよい。
導体層形成工程においては、基材におけるレジストパターンが形成されていない部分の少なくとも一部をめっき処理して導体層を形成してよい。導体層形成工程においては、レジストパターンをマスクとして用いて、基材におけるレジストパターンが形成されていない部分の少なくとも一部にめっき処理してよい。絶縁層上に配置された金属層を備える積層体を基材として用いる場合、基材におけるレジストパターンが形成されていない部分に露出した金属層にめっき処理してよい。
めっき処理は、電解めっき処理であってよく、無電解めっき処理であってもよい。無電解めっき処理としては、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき;ハイスローはんだめっき等のはんだめっき;ワット浴(硫酸ニッケル-塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき;ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきなどが挙げられる。
本実施形態に係る積層体の製造方法は、導体層形成工程の後に、レジストパターンの少なくとも一部を除去する硬化物除去工程を備えてよい。硬化物除去工程においては、レジストパターンの一部又は全部が除去されてよい。
レジストパターンは、例えば、現像工程に用いたアルカリ性水溶液よりも更に強アルカリ性の水溶液により剥離して除去することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1~10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1~10質量%水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。レジストパターンの除去方式としては、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。レジストパターンの除去方式は、単独で使用してよく、併用してもよい。
絶縁層上に配置された金属層を備える積層体を基材として用いる場合、硬化物除去工程において、金属層におけるレジストパターンに被覆されていた部分が露出する。本実施形態に係る積層体の製造方法は、硬化物除去工程の後に、金属層における当該露出部を除去する工程を備えてよい。金属層は、例えば、エッチング処理により除去できる。
図2は、積層体の製造方法の一例を示す模式断面図である。
まず、図2の(a)に示すように、感光層形成工程において、図1の感光性エレメント1を用いて感光層10を基材20上に形成する。感光層形成工程では、例えば、感光性エレメント1から保護フィルム1cを剥がしながら、感光層10として感光性エレメント1の感光層1aを基材20上に積層した後に支持体1bを剥離する。基材20としては、絶縁層上に配置された金属層を備える積層体を用いることができる。
次に、図2の(b)に示すように、露光工程において、感光層10に活性光線Lを照射して光硬化部を形成する。
次に、図2の(c)に示すように、現像工程において、感光層10の未硬化部を除去してレジストパターン(硬化物パターン)10aを形成する。
次に、図2の(d)に示すように、導体層形成工程において、レジストパターン10aをマスクとして用いてめっき処理することにより、基材20におけるレジストパターン10aが形成されていない部分に導体層(めっき層)30を形成する。
次に、図2の(e)に示すように、硬化物除去工程において、レジストパターン10aを除去する。これにより、導体パターンとして導体層30を備える積層体を得ることができる。
以下、実施例により本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~8及び比較例1~3]
<感光性樹脂組成物の作製>
表1に示す各材料を、同表に示す配合量(単位:質量部)で混合し、感光性樹脂組成物の溶液を作製した。なお、表1に示す溶剤以外の成分の配合量(質量部)は、不揮発分の質量(固形分量)である。表1に示す各成分の詳細については、以下の通りである。
((A)バインダーポリマー)
A-1:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸ベンジルの共重合体(質量比:27/5/45/23、Mw:47000、酸価:176.1mgKOH/g、Tg:107℃)のアセトン/エチレングリコールモノメチルエーテル(質量比80/20)溶液(固形分:47質量%)
A-2:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/スチレン/メタクリル酸ブチルの共重合体(質量比:30/22/10/8/30、Mw:50000、酸価:196mgKOH/g、Tg:95.6℃)のエチレングリコールモノメチルエーテル/トルエン(質量比54/46)溶液(固形分:45質量%)
A-3:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸ベンジルの共重合体(質量比:27/5/45/23、Mw:47000、酸価:176.1mgKOH/g、Tg:107℃)のエチレングリコールモノメチルエーテル/トルエン(質量比54/46)溶液(固形分:45質量%)
((B)光重合性化合物)
FA-321M:2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(昭和電工マテリアルズ株式会社製、EO基の数:10(平均値))
UA-11:ポリオキシエチレンウレタンジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
UA-13:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンウレタンジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
FA-024M:ポリアルキレングリコールジメタクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社、EO基の数:12(平均値)、PO基の数:4(平均値))
FA-318A:ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(昭和電工マテリアルズ株式会社製)
((C)光重合開始剤)
B-CIM:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(常州強力電子新材料株式会社)
(その他成分)
LCV:ロイコクリスタルバイオレット(山田化学工業株式会社)(発色剤)
EAB:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学工業株式会社製)(増感剤)
Q-TBC-5P:4-tert-ブチルカテコール(DIC株式会社製)(重合禁止剤)
MKG:マラカイトグリーン(大阪有機化学工業株式会社製)(染料)
SH-193:レベリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
(溶剤)
MAL:メタノール
TLS:トルエン
ACS:アセトン
<感光性エレメントの作製>
感光性樹脂組成物の溶液をPETフィルム(支持体、厚さ:16μm、東レ株式会社製、商品名:FB-40)上に均一に塗布した後、熱風対流式乾燥器を用いて70℃で10分間及び100℃で10分間乾燥することにより、感光性樹脂組成物からなる厚さ60μmの感光層を形成した。次に、感光層の支持体とは反対側の面上に、保護フィルムであるポリエチレンフィルム(厚さ:19μm、タマポリ社製、商品名:NF-15)を積層し、支持体/感光層/保護フィルムの積層構造を有する感光性エレメントを得た。
[評価]
<残存溶剤量の測定>
感光性エレメントから保護フィルム及び支持体を剥がして得た感光層のガスクロマトグラフィー測定により、残存溶剤量を測定した。測定用試料の作製方法とガスクロマトグラフの測定条件は下記のとおりである。
(測定用試料の作製)
感光層約1.0gを酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル約6.0gに溶解させた後に、さらに内部標準物質として、エチレングリコールモノエチルエーテルを約0.02g添加し、これを測定用試料とした。
<測定条件>
測定装置:GC/MS GC-4000、GLサイエンス社製
カラム:キャピラリーカラム TC-WAX ポリエチレングリコール(0.53mm I.D.×30mm、1.0μL)
キャリアガス:ヘリウム 5.0mL/min
注入温度:250℃
検出温度:250℃
オーブン温度:60℃から200℃まで昇温(20℃/min)
検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)
サンプル注入量:1.0μL
<押込み深さの測定>
感光性エレメントから保護フィルムを剥がしながら、ガラス基板上に感光層及び支持体を110℃、0.4MPa、1.5m/minの条件でラミネートし、押込み深さ測定用サンプルを作製した。感光層の押込み深さは、微小硬さ試験機(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製、商品名:FISCHERSCOPE H100SMC)を用い、感光層表面に対して、圧子を押込むことでその変位量を測定しました。この圧子の押込みは、支持体(厚さ16μmのPETフィルム)上から行った。測定条件は以下の通りである。また、上記押込み深さの値(単位:μm)の感光層の厚さ(60μm)に対する割合(押込み深さ/感光層の厚さ×100)を、感光層に対する押込み割合(%)とした。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定装置:FISCHERSCOPE H100SMC
荷重:10秒かけて荷重を300mNまで上昇させ、300mNで5秒間保持した後、5秒かけて0.4mNまで除荷
測定温度:23℃
<保護フィルムの密着性評価>
感光性エレメントの外観を目視にて観察し、保護フィルムの全面が感光層と密着している場合を「A」、保護フィルムの少なくとも一部が感光層から剥がれている場合を「B」として、保護フィルムの密着性(剥離の有無)を評価した。結果を表1に示す。
<エッジフュージョンの評価>
感光性エレメントを、スリッターを用いて、製品幅500mm、巻長さ100mに加工し、ロール状に巻き取られた感光性エレメントロールを作製した。この感光性エレメントロールを20℃、60%RHの環境下で保管した。保管開始から、感光性エレメントロールの端面からの感光性樹脂組成物の染み出しが目視で確認されるまでの日数を測定し、以下の判断基準にて評価を実施した。結果を表1に示す。
S:30日未満では感光性樹脂組成物の染み出しが発生しなかった。
A:10日以上、30日未満で感光性樹脂組成物の染み出しが発生した。
B:10日未満で感光性樹脂組成物の染み出しが発生した。
<解像度の評価>
銅箔(厚さ:12μm)をガラス繊維強化エポキシ樹脂層の両面に積層した銅張積層板(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名「MCL-E-67」)を水洗した。続いて、酸洗及び水洗を行った後、空気流で乾燥した。次いで、この銅張積層板を80℃に加温した後、感光性エレメントを銅張積層板の銅箔に積層した。積層は、110℃のヒートロールを用いて0.4MPaの圧着圧力、1.0m/分のロール速度で、感光性エレメントから保護フィルムを剥離しながら行った。これにより、銅張積層板、感光層及びPETフィルム(支持体)がこの順に積層された積層体を得た。
積層体のPETフィルム上に、(1)ライン幅/スペース幅がx/x(x:10~100、単位:μm)の四角形状のコイルパターン、及び、(2)直径10~100μmのドットパターンが格子状に配列したパターンを有する解像度評価用マスクを載せた。その後、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が14.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、PETフィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を最短現像時間(未露光部分が除去される最短時間)の2倍の時間でスプレーし、未露光部分を除去した。これにより、レジストパターンを形成した。
(1)四角コイルパターンに関しては、現像処理後、光学顕微鏡にてスペース部分(未露光部分)がきれいに除去され、且つライン部分(露光部分)が蛇行及び欠け、倒れを生じることなく形成されたレジストパターンのうち、最も小さいライン幅/スペース幅の値により、解像度(四角コイルパターン)を評価した。この数値が小さいほど、解像度(四角コイルパターン)が良好であることを意味する。また、この解像度に対するレジストパターンの厚さの比率(アスペクト比、レジストパターンの厚さ/解像度)を算出した。結果を表1に示す。
(2)ドットパターンに関しては、現像処理後、形成されたビアパターン(ビアホールパターン)を光学顕微鏡にて観察して評価した。格子状に配列したビアパターンのうち、きれいに全面除去(開口)されたものの中で最も小さいビアパターン径の値により、解像度(ビアパターン)を評価した。この数値が小さいほど、解像度(ビアパターン)が良好であることを意味する。また、この解像度に対するレジストパターンの厚さの比率(アスペクト比、レジストパターンの厚さ/解像度)を算出した。結果を表1に示す。
1…感光性エレメント、1a…感光層、1b…支持体(支持フィルム)、1c…保護フィルム、10…感光層、10a…レジストパターン、20…基材、30…導体層、L…活性光線。

Claims (18)

  1. 支持体と、
    前記支持体上に、バインダーポリマー、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、
    前記感光層の前記支持体とは反対側の面上に配置された保護フィルムと、
    を備え、
    前記感光性樹脂組成物における前記バインダーポリマーと前記光重合性化合物との含有量比(バインダーポリマーの含有量/光重合性化合物の含有量)が1.10~1.80であり、
    前記感光層について微小硬さ試験機を用いてPETフィルムを介して圧子を押込み、300mNの荷重で5秒間保持した際に測定される押込み深さの、前記感光層の厚さに対する割合が45%以下である、感光性エレメント。
  2. 前記感光層の厚さが30μm以上である、請求項1に記載の感光性エレメント。
  3. 前記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸ベンジルを単量体単位として有する、請求項1に記載の感光性エレメント。
  4. 前記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸ベンジルの含有量が、前記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~60質量%である、請求項3に記載の感光性エレメント。
  5. 前記バインダーポリマーが、スチレンを単量体単位として有する、請求項1に記載の感光性エレメント。
  6. 前記バインダーポリマーにおいて、スチレンの含有量が、前記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~50質量%である、請求項5に記載の感光性エレメント。
  7. 前記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルを単量体単位として有する、請求項1に記載の感光性エレメント。
  8. 前記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸アルキルの含有量が、前記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、5~40質量%である、請求項7に記載の感光性エレメント。
  9. 前記バインダーポリマーが、(メタ)アクリル酸を単量体単位として有する、請求項1に記載の感光性エレメント。
  10. 前記バインダーポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸の含有量が、前記バインダーポリマーを構成する単量体単位全量を基準として、10~40質量%である、請求項9に記載の感光性エレメント。
  11. 前記光重合性化合物が、分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の感光性エレメント。
  12. 前記分子内に1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリレートの含有量が、前記光重合性化合物全量を基準として、1~30質量%である、請求項11に記載の感光性エレメント。
  13. 前記光重合性化合物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の感光性エレメント。
  14. アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有するレジストパターン形成用である、請求項1に記載の感光性エレメント。
  15. インダクタの導電コイル形成用である、請求項1に記載の感光性エレメント。
  16. 半導体接続の銅ピラー形成用である、請求項1に記載の感光性エレメント。
  17. 基材上に、請求項1~16のいずれか一項に記載の感光性エレメントを用いて感光層を設ける工程と、
    前記感光層の少なくとも一部に活性光線を照射して、光硬化部を形成する工程と、
    前記感光層の光硬化部以外の少なくとも一部を除去し、レジストパターンを形成する工程と、
    を備える、レジストパターンの形成方法。
  18. 前記レジストパターンが、アスペクト比が1.3以上であるスペース部を有する、請求項17に記載のレジストパターンの形成方法。
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