JP2024083097A - 医用情報処理装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援すること。【解決手段】実施形態に係る医用情報処理装置は、第1取得部と、決定部とを備える。第1取得部は、患者の損傷部位から血中に放出される誘導因子の放出量に関する誘導因子情報を取得する。決定部は、取得された誘導因子情報に基づいて、損傷部位の細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する。【選択図】図2

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置及びプログラムに関する。
従来、細胞治療や再生医療において治療用幹細胞が用いられている。治療用幹細胞としては、例えば、急性心筋梗塞の治療等に用いられるMuse細胞等のような、細胞懸濁液の状態で静脈注射(静注)により患者に投与されるタイプのものが知られている。このような静注型の細胞懸濁液の治療用幹細胞は、静脈内で拡散するため、体内動態を把握することが難しい。したがって、患部における効果を把握することも困難である。
例えば、Muse細胞は、一般的に短時間で大容量の投与が行われることが多いが、投与量に対する生着量が少ないことが知られている。このように血中に生着しない治療用細胞が増加することは、治療用幹細胞が無駄になるばかりでなく、患者への生体負荷(例えば、異物除去反応や副作用等)も大きくなる。
特開2021-82150号公報
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る医用情報処理装置は、第1取得部と、決定部とを備える。第1取得部は、患者の損傷部位から血中に放出される誘導因子の放出量に関する誘導因子情報を取得する。決定部は、取得された誘導因子情報に基づいて、損傷部位の細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する。
図1は、実施形態に係る細胞医療支援システムの構成の一例を示す図である。 図2は、実施形態に係る支援装置の構成の一例を示す図である。 図3は、実施形態に係る細胞医薬の血中濃度と投薬態様との関係の一例について説明する図である。 図4は、実施形態に係る支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら各実施形態に係る医用情報処理装置及びプログラムを説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。なお、本願に係る医用情報処理装置及びプログラムは、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る細胞医療支援システム1の構成の一例を示す図である。細胞医療支援システム1は、図1に示すように、支援装置10、検査機器30、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)50、及び臨床検査部門情報システム(LIS:Laboratory Information System)70を有する。
なお、細胞医療支援システム1は、上記以外の装置やシステムを有していてもよい。細胞医療支援システム1は、例えば、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)や医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)等を有していてもよい。
細胞医療支援システム1の各装置は、例えば病院等に設置され、院内LAN(Local Area Network)等のネットワーク9によって他の装置と通信可能である。なお、HIS50は、院内LANに加え、外部のネットワークに接続されてもよい。ここで、支援装置10は、医用情報処理装置の一例である。
HIS50は、病院内で発生する情報を管理するシステムである。病院内で発生する情報は、患者情報及び検査オーダ情報等の情報を含む。患者情報に含まれる各レコードは、項目として、患者ID、患者名(氏名)、年齢(生年月日)、性別、身長、体重及び血液型等を有する。検査オーダ情報に含まれる各レコードは、項目として、検査を識別可能な検査ID、患者ID、入院又は外来を表す情報、検査コード、診療科目、検査種類、検査部位及び検査予定日時等を有する。
検査IDは、検査オーダ情報が入力される際に発行され、例えば1つの病院内で検査オーダ情報を一意に特定するための識別子である。また、患者IDは、患者毎に付与され、例えば1つの病院内で患者を一意に特定するための識別子である。また、検査コードは、例えば1つの病院内で規定される、検査を一意に特定するための識別子である。
また、診療科目は、例えば医療において診療の専門分野区分を示すものである。具体的には、診療科目は、内科及び外科等である。検査種類は、患者から取得された血液等の検体が臨床検査技師により分析される検体検査の検査項目等を示す。例えば、検査種類は、各種細胞医薬の血中濃度測定検査や各種血中誘導因子の濃度測定検査等である。
HIS50は、例えば検査依頼医により検査オーダ情報が入力された場合、入力された検査オーダ情報と、当該検査オーダ情報により特定される患者情報とをLIS70に送信する。
LIS70は、臨床線検査業務に係る検査予約情報を管理するシステムである。例えば、LIS70は、HIS50から送信される検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に各種設定情報を付加して集積し、集積した情報を検査予約情報として管理する。
具体的には、LIS70は、HIS50から送信される患者情報及び検査オーダ情報を受信した場合、受信した患者情報及び検査オーダ情報に基づいて、検査機器30を動作させるために必要な検査予約情報を生成する。検査予約情報は、例えば、検査ID、患者ID、及び検査種類等の検査の実施に必要な情報を含む。LIS70は、生成した検査予約情報を検査機器30に送信する。
検査機器30は、被検体から採取した血液等の生体試料を分析し、検査結果データを生成する装置である。検査機器30としては、免疫自動分析装置等が適宜利用可能である。なお、検査機器は、検体検査の種別に応じて複数台設置されてもよい。また、検体検査における少なくとも一部が、外部の検査機関により実施されてもよい。この場合、LIS70は、検体検査に関する検査結果データを、外部の検査機関から受信して保管する。
検査機器30は、例えばLIS70から送信される検査予約情報に基づいて検査を実施する。検査の実施後、検査機器30は、検査の実施を表す検査実施情報を生成し、検査結果データと対応付けてLIS70に送信する。この場合、LIS70は、検査機器30から検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を最新の検査実施情報として、対応付けられた検査結果データと共にHIS50等に出力する。
例えば、HIS50は、最新の検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を管理する。検査実施情報は、検査ID、患者ID、及び検査種類等の検査予約情報と、検査の実施日時とを含む。
ここで、HIS50は、例えば検査依頼医である臨床医により作成された電子カルテと、当該電子カルテに対応する検査実施情報とを受信し、受信した電子カルテと検査実施情報とを対応付けて、自身の記憶回路に格納する。
なお、上述のように、検査実施情報には、検査ID、患者ID、検査種類及び検査の実施日時などが含まれているため、操作者は、患者ID、検査ID等を用いた検索を行うことで、必要な電子カルテをHIS50から取得することができる。ここで、本実施形態では、電子カルテは、HIS50の記憶回路に格納されているが、IDによる検索が可能であれば、細胞医療支援システム1内の他の装置の記憶回路に格納されてもよい。
支援装置10は、細胞医療の支援処理を実行する。支援装置10は、ネットワーク9を介して、検査機器30、HIS50、及びLIS70から各種の診療データを取得し、取得した診療データを用いて各種の情報処理を行う。例えば、支援装置10は、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するワークステーション等のコンピュータによって実現される。
支援装置10には、例えば統合ビューアが実装されている。統合ビューアは、医療情報を統合的にユーザに提示するアプリケーションである。統合ビューアは、Webアプリケーション、ファットクライアントアプリケーション又はシンクライアントアプリケーション等、いずれの実装形態を採用してもよい。
診療データは、診療の過程で、患者の身体状況、病状及び治療等について、医療従事者が知り得た診療記録を示す情報である。診療データは、例えば、異なる製造元の装置、異なるバージョンの装置及び同じ装置であっても異なる設定等様々な環境下で取得されたデータを含む。診療データは、数値等の客観データに限定されず、非数値、例えば文字で表される主観データ等あってもよい。
診療データは、例えば、検査履歴情報、画像情報、心電図情報、バイタルサイン情報、薬歴情報、レポート情報、カルテ記載情報、看護記録情報、紹介状及び退院サマリ等を含む。なお、診療データは、検査機器30で生成される検査結果データを含んでいてもよい。
検査履歴情報は、例えば、患者に対して検体検査及び細菌検査等が行われた結果取得される検査結果の履歴を表す情報である。画像情報は、例えば、患者を撮影等することにより取得された医用画像の所在を表す情報である。画像情報には、例えば、検査が実施された結果、医用画像診断装置により生成される医用画像ファイルの所在を表す情報が含まれる。心電図情報は、例えば、患者から計測された心電図波形に関する情報である。
バイタルサイン情報は、例えば、患者の生命に関わる基本的な情報である。バイタルサイン情報には、例えば、脈拍数、呼吸数、体温、血圧及び意識レベル等が含まれる。薬歴情報は、例えば、患者に投与された薬剤の量の履歴を示す情報である。
レポート情報は、例えば、診療科の診療医からの検査依頼に対して、放射線科の読影医がX線画像、CT画像、MRI画像及び超音波画像等の医用画像を読影し、患者の状態及び疾患についてまとめた情報である。レポート情報には、例えば、読影医がPACS等に記憶された医用画像ファイルを参照して作成された読影レポートを表す読影レポート情報等が含まれる。レポート情報には、例えば、読影対象となる医用画像ファイルに対応する患者の患者ID、患者氏名及び生年月日を表す情報が含まれる。
カルテ記載情報は、例えば、診療医等により電子カルテに入力された情報である。カルテ記載情報には、例えば、入院時の診療記録、患者の病歴及び薬の処方履歴等が含まれる。看護記録情報は、例えば、看護師等により電子カルテに入力された情報である。看護記録情報には、入院時の看護記録等が含まれる。看護記録情報には、入院時の給食記録が含まれていてもよい。また、診療データは、会計に関する情報をさらに含んでいてもよい。
なお、細胞医療支援システム1は、HIS50及びLIS70に代えて、VNA(Vendor Neutral Archive)システムを有していてもよい。VNAシステムは、異なるメーカー製のPACSと、各臨床部門システム(HIS50及びLIS70)で管理されている多様な診療データとを一元的に管理する統合アーカイブシステムである。
VNAシステムは、例えば、HIS50及びLIS70と、LAN等の病院内ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、VNAシステムにより管理及び保管される種々の情報は、必ずしも異なるメーカー製のシステムから取得されたものに限らず、単一のメーカー製のシステムから取得されたものであってもよい。
次に、支援装置10について説明する。図2は、実施形態に係る支援装置10の構成の一例を示すブロック図である。支援装置10は、図2に示すように、処理回路11、記憶回路13、通信インタフェース15、入力インタフェース17及びディスプレイ19を有する。処理回路11、記憶回路13、通信インタフェース15、入力インタフェース17及びディスプレイ19は、バス等を介して通信可能に接続されている。
記憶回路13は、各種データを記憶する。例えば、記憶回路13は、検査機器30、HIS50、及びLIS70から受信した画像データや診療データを記憶する。また、例えば記憶回路13は、後述する支援処理を実現するためのプログラム等を記憶する。
記憶回路13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。なお、記憶回路13の保存領域は、支援装置10内にあってもよいし、ネットワーク等で接続された外部記憶装置内にあってもよい。
通信インタフェース15は、検査機器30、HIS50及びLIS70との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インタフェース15は、検査機器30、HIS50、又はLIS70から診療データを受信し、受信したデータを処理回路11に出力する。通信インタフェースは、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
入力インタフェース17は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路11に出力する。入力インタフェース17は、例えば、支援処理に係る各種の操作画面に対する操作者からの各種の入力操作を受け付ける。一例として、入力インタフェース17は、操作者による治療技術の選択に係る入力操作を受け付ける。
入力インタフェース17としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
なお、本実施形態において、入力インタフェース17は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路11へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース17の例に含まれる。また、入力インタフェース17は、支援装置10の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
ディスプレイ19は、各種の情報を表示する。ディスプレイ19は、例えば、処理回路11によって生成された、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。操作者からの各種操作を受け付けるためのGUIは、支援処理に係る各種の操作画面を含む。例えば、ディスプレイ19は、処理回路11によって生成された支援処理に係る表示画面を出力する。表示画面としては、例えば、細胞医薬の投薬態様を操作者に提示する表示画面等が挙げられる。
ディスプレイ19としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ19として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイ等が使用可能である。
なお、ディスプレイ19は、デスクトップ型でもよいし、支援装置10の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ19として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。
処理回路11は、支援装置10の全体の動作を制御する。処理回路11は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路11は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、取得機能111、特定機能113、決定機能115及び表示制御機能117等を実行する。
ここで、取得機能111は、第1取得部及び第2取得部の一例である。また、特定機能113は、第1取得部及び第2取得部の一例である。また、決定機能115は、決定部の一例である。
取得機能111において処理回路11は、ネットワーク9を介して、検査機器30、HIS50及びLIS70から診療データを取得する。また、取得機能111は、入力インタフェース17が受け付けた操作者の入力結果を取得する。
例えば、取得機能111は、患者の血中内に放出された誘導因子の放出量に関する誘導因子情報を取得する。誘導因子情報としては、例えば、治療対象となる患者(以下、対象患者ともいう)の血中誘導因子の濃度を表す検査結果データ(以下、血中誘導因子データともいう)等が挙げられる。例えば、取得機能111は、当該検血中誘導因子データを含む診療データを取得する。なお、誘導因子情報の取得方法は上記に限定されない。例えば、取得機能111は、ネットワーク9を介して、検査機器30から直接血中誘導因子データ等の誘導因子情報を取得してもよい。
ここで、血中誘導因子とは、血中に遊離する誘導因子を表す。また、誘導因子とは、患部組織から放出され、治療用幹細胞を患部組織へと誘導する生体物質である。以下、血中の治療用幹細胞が患者の患部組織を修復するメカニズムについて簡単に説明する。
まず、患者に治療用幹細胞が静注されると、静注された治療用幹細胞は患者の血中を遊走することになる。一方で、患者の患部組織からは誘導因子が分泌されており、分泌された誘導因子が血中へと放出される。このとき、治療用幹細胞が有する認識因子は、血中に放出された誘導因子を認識する。誘導因子を認識した治療用幹細胞は、血管壁を透過し、患部組織へと誘引される。そして、患部組織へ誘引された治療用幹細胞からは、サイトカイン等が分泌され、サイトカイン等により患部組織が修復されることになる。
上述の(1)認識因子と(2)誘導因子との組み合わせとしては、例えば、「(1)Sphingosine-1-P receptor2と(2)Sphingosine-1-P」や「(1)SDF-1と(2)CXCR4」等の組み合わせが知られている。ここで、Sphingosine-1-Pは、Muse細胞等に存在することが知られている。また、SDF-1は、造血系幹細胞等に存在することが知られている。
近年の研究により、上述したような認識因子と誘導因子との組み合わせによる患部組織への細胞誘導(ホーミング)が、治療用幹細胞を含む細胞医薬の血中動態のみならず、治療効果にも影響を与えることがわかってきている。したがって、血中に遊離する誘導因子(血中誘導因子)の濃度を指標として、細胞医薬の1回の投与量や所定時間における投与回数等を調整することで、効果的に細胞医薬を投与することができる。
本実施形態の取得機能111は、細胞医薬に関する細胞医薬情報を取得する。細胞医薬情報としては、例えば、細胞医薬の投与に関する薬歴情報や細胞医薬の血中濃度の情報を表す検査結果データ(以下、細胞医薬の血中濃度データともいう)等が挙げられる。取得機能111は、例えば、薬歴情報や細胞医薬の血中濃度データを含む診療データを取得する。
特定機能113は、取得された患者情報から各種処理に用いられる情報を特定する。例えば、特定機能113は、取得機能111で取得された診療データの中に、細胞医薬の投薬態様を決定するために用いられるデータが存在するか否かを判定する。
細胞医薬の投薬態様を決定するために用いられるデータとしては、対象患者の血中誘導因子データ、細胞医薬の血中濃度の情報を含む薬歴情報、及び対象患者の細胞医薬の血中濃度データ等が挙げられる。なお、上記の投薬態様を決定するために用いられるデータは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、特定機能113は、上記に加え、診療データに含まれる画像情報等を、投薬態様を決定するために用いられるデータとして特定してもよい。
また、例えば、診療データの中に、細胞医薬の投薬態様を決定するために用いられるデータが存在する場合、特定機能113は、取得された診療データの中から細胞医薬の投薬態様を決定するための情報を特定する。
決定機能115は、取得機能111で取得された誘導因子情報に基づいて、損傷部位に対する細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する。例えば、決定機能115は、特定機能113で特定された、対象患者の血中誘導因子の濃度及び対象患者の細胞医薬の血中濃度に基づいて、投薬態様に関するパラメータである、分割投与量、分割投与回数、及び分割投与間隔等を決定する。なお、決定機能115は、対象患者の血中誘導因子の濃度のみに基づいて、上記パラメータを決定してもよい。
以下、図3を用いて、細胞医薬の投薬態様に係るパラメータについて説明する。図3は、細胞医薬の血中濃度と投薬態様との関係の一例について説明する図である。図3は、患者の血中誘導因子の濃度と、患者の細胞医薬の血中濃度の推移とに基づいて、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数を調整する場合の例を示している。図3において、縦軸は、患者の細胞医薬の血中濃度を、横軸は時間を夫々表している。
図3において、グラフGは、細胞医薬の血中濃度の推移の一例を表している。また、投与タイミングt1~t4は、細胞医薬の投与タイミングの一例を表している。分割投与量a1~a4は、各投与タイミングにおける細胞医薬の投与量の一例を表している。また、分割投与間隔i1~i3は、ある投与タイミングから次の投与タイミングまでの時間間隔の一例を表している。また、時間Tは投与回数を決めるための所定時間の一例を表している。
なお、本実施形態において、各投与タイミングにおける細胞医薬の投与量を分割投与量、ある投与タイミングから次の投与タイミングまでの時間間隔を分割投与間隔と呼称する。また、所定時間内に細胞医薬の投与を行う回数を分割投与回数と呼称する。
図3において、分割投与量a1は、投与タイミングt1において、分割投与量として決定された細胞医薬の投与量を、患者の細胞医薬の血中濃度の上昇値(理論値)で表したものである。図3に示すように、患者の細胞医薬の血中濃度は、投与タイミングにおいて、細胞医薬が投与されることによって上昇する。また、患者の細胞医薬の血中濃度は、細胞医薬が患部組織にホーミングされたり、患者の体内で代謝されたり、体外に排出されたりすることにより、減少する。
細胞医薬の投与による血中濃度の上昇値の理論値は、例えば、患者の体重等から血液の総量を推定すること等により算出することが可能である。分割投与量a2~a4についても分割投与量a1と同様である。
本実施形態では、決定機能115は、患者の血中誘導因子の濃度に応じて、上述の分割投与量、分割投与間隔、分割投与回数を決定する。
例えば、決定機能115は、患者の血中誘導因子の濃度の推移、患者の細胞医薬の血中濃度、及び患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲等に応じて、上述の細胞医薬の血中濃度の上昇値の理論値(以下、血中濃度の理論値ともいう)と、患者の血中誘導因子の濃度の推移とに基づいて、算出される患者の細胞医薬の血中濃度の推定値の推移(以下、推定血中濃度推移ともいう)が所定範囲に収まるように、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数を決定する。
細胞医薬の血中濃度の所定範囲は、例えば、患者にとって好ましい細胞医薬の血中濃度の上限と下限とを定めたものである。患者にとって好ましい細胞医薬の血中濃度の上限と下限とは、例えば、複数の患者に対する細胞医薬の投与実績(例えば、投与量と、治療効果と、副作用の頻度や程度との関係等)から決定することができる。
まず、血中誘導因子の濃度に応じて分割投与量を決定する場合の決定機能115の動作について説明する。
例えば、血中誘導因子の濃度が所定の閾値以上である場合、細胞医薬が患部組織にホーミングされ易い状態であるため、細胞医薬が患部組織に生着し、患者の細胞医薬の血中濃度が低下しやすくなる。この場合、分割投与量を増加させても、細胞医薬が患部組織に生着していくため、細胞医薬の無駄は少なくなる。また、高容量の細胞医薬の投与を行っても細胞医薬の血中濃度が高いレベルで維持されることがないため、患者の生体負担も小さい。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt1から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値以上である場合、決定機能115は、分割投与量a1よりも細胞医薬の投与量が増加するように、投与タイミングt2における分割投与量a2を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、血中濃度の理論値と、投与タイミングt1から一定時間経過後までの細胞医薬の血中濃度の推移とに基づいて、次回の投与タイミングから次々回の投与タイミングまでの推定血中濃度推移を算出する。そして、決定機能115は、算出した推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、次回の投与タイミングから次々回の投与タイミングまでの推定血中濃度推移が所定範囲内に収まるように、どの程度細胞医薬の投与量を増加するかを決定する。
なお、決定機能115は、投与タイミングt1から一定時間経過後の細胞医薬の血中濃度等を考慮して、分割投与量a1を維持して分割投与量a2を決定してもよい。
また、例えば、血中誘導因子の濃度が所定の閾値未満である場合、細胞医薬が患部組織にホーミングされ難い状態であるため、細胞医薬は患部組織に生着せず、患者の細胞医薬の血中濃度は下がり難くなる。この場合、分割投与量を増加させると、細胞医薬が患部組織にし難いため、細胞医薬の無駄が多くなる。また、高容量の細胞医薬の投与を行うと細胞医薬の血中濃度が高いレベルで維持されることになり、患者の生体負担が大きい。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt1から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値未満である場合、決定機能115は、分割投与量a1よりも細胞医薬の投与量が減少するように、投与タイミングt2における分割投与量a2を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、次回の投与タイミングから次々回の投与タイミングまでの推定血中濃度推移が所定範囲内に収まるように、どの程度細胞医薬の投与量を減らすかを決定する。
なお、決定機能115は、投与タイミングt1から一定時間経過後の細胞医薬の血中濃度等を考慮して、分割投与量a1を維持して分割投与量a2を決定してもよい。
次に、血中誘導因子の濃度に応じて分割投与間隔を決定する場合の決定機能115の動作について説明する。
例えば、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度が所定の閾値以上である場合、上述のように、細胞医薬が患部組織にホーミングされ易い状態であるため、短い時間間隔で細胞医薬を投与したとしても、細胞医薬が短時間で患部組織に生着していくため、患部組織に生着せずに無駄になる細胞医薬が増加することはない。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt2から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値以上である場合、決定機能115は、分割投与間隔i1よりも投与間隔を短縮するように、投与タイミングt2から投与タイミングt3までの分割投与間隔i2を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、次回の投与タイミングから次々回の投与タイミングまでの推定血中濃度推移が所定範囲内に収まるように、どの程度細胞医薬の投与間隔を短縮するかを決定する。
また、例えば、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度が所定の閾値未満である場合、上述のように、細胞医薬が患部組織にホーミングされ難い状態であるため、短い時間間隔で細胞医薬を投与すると、細胞医薬が患部組織に生着せず、患部組織に生着せずに無駄になる細胞医薬が増加してしまうことになる。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt2から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値未満である場合、決定機能115は、分割投与間隔i1よりも投与間隔を延長するように、投与タイミングt2から投与タイミングt3までの分割投与間隔i2を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、次回の投与タイミングから次々回の投与タイミングまでの推定血中濃度推移が所定範囲内に収まるように、どの程度細胞医薬の投与間隔を延長するかを決定する。
次に、血中誘導因子の濃度に応じて分割投与回数を決定する場合の決定機能115の動作について説明する。
例えば、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度が所定の閾値以上である場合、上述のように、細胞医薬が患部組織にホーミングされ易い状態であるため、所定時間内において頻回に細胞医薬を投与したとしても、細胞医薬が短時間で患部組織に生着していくため、患部組織に生着せずに無駄になる細胞医薬が増加することはない。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt1から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値以上である場合、決定機能115は、投与タイミングt1以前に決定された分割投与回数よりも所定時間T内における細胞医薬の投与回数が増加するように、分割投与回数を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、投与終了までの推定血中濃度推移が所定範囲に収まるように、どの程度細胞医薬の投与回数を増加させるかを決定する。
また、例えば、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度が所定の閾値未満である場合、上述のように、細胞医薬が患部組織にホーミングされ難い状態であるため、所定時間内において頻回に細胞医薬を投与すると、細胞医薬が患部組織に生着せず、患部組織に生着せずに無駄になる細胞医薬が増加してしまうことになる。
したがって、例えば、図3の投与タイミングt1から一定時間経過後の患者の血中誘導因子の濃度が閾値未満である場合、決定機能115は、投与タイミングt1以前に決定された分割投与回数よりも所定時間T内における細胞医薬の投与回数が減少するように、分割投与回数を決定する。
このとき、決定機能115は、例えば、推定血中濃度推移と、患者の細胞医薬の血中濃度の所定範囲とに基づいて、投与終了までの推定血中濃度推移が所定範囲に収まるように、どの程度細胞医薬の投与回数を減少させるかを決定する。
このように、血中誘導因子の濃度に応じて、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数等の投薬態様に係るパラメータを調整することにより、効果的な細胞医薬の投与が可能になる。
なお、本実施形態では、決定機能115は、投薬態様として、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数を決定しているが、決定機能115は、これらの一部を投薬態様として決定してもよい。また、決定機能115は、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度をモニタリングして、予め決められた分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数等の投薬態様に係るパラメータを、細胞医薬投与後の血中誘導因子の濃度に応じて変更してもよい。
図2に戻り説明を続ける。表示制御機能117は、各種情報を表示装置に表示する制御を行う。例えば、表示制御機能117は、決定機能115で決定された細胞医薬の投薬態様を含む表示画面をディスプレイ19により表示する。これにより、操作者は、決定された分割投与量、分割投与回数、及び分割投与間隔を確認することができる。なお、操作者がディスプレイ19により表示された投薬態様に係るパラメータを修正できるようにしてもよい。
なお、各機能111,113,115,117は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路11を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能111,113,115,117を実現するものとしても構わない。ここで、各機能111,113,115,117は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
なお、単一のコンピュータにて複数の機能を実行する支援装置10を例示するが、これに限らない。支援装置10の複数の機能を別々のコンピュータが実行することにしても構わない。例えば、取得機能111、特定機能113及び決定機能115等の処理回路11の機能を少なくとも2のコンピュータが分散して実行する構成としても構わない。
以下、実施形態に係る細胞医療支援システム1による支援処理の一例について説明する。図4は、実施形態に係る支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、取得機能111は、患者に関する患者情報を取得する(ステップS101)。例えば、取得機能111は、ネットワーク9を介して、検査機器30、HIS50、及びLIS70等から患者情報として、種々の診療データを取得する。なお、本フローチャートでは、患者情報を取得する処理をステップ101として記載しているが、取得機能111は、継続的に最新の患者情報を取得する処理を実行するものとする。
次いで、特定機能113は、患者情報に投薬情報があるか否かを判定する(ステップS102)。例えば、特定機能113は、診療データに指定細胞医薬の投薬に関する情報を含む薬歴情報が登録されているか否かを判定する。なお、ステップS102の判定は、ディスプレイ19等に表示された診療データを医師等の操作者が確認することにより行われてもよい。
投薬情報がない場合(ステップS102:No)、本処理を終了する。一方、投薬情報がある場合(ステップS102:Yes)、特定機能113は、投薬情報に指定細胞医薬が含まれるか否かを判定する(ステップS103)。例えば、特定機能113は、薬歴情報に、指定細胞医薬として設定されている細胞医薬の投薬に関する情報が含まれるか否かを判定する。なお、ステップS103の判定は、ディスプレイ19等に表示された診療データを医師等の操作者が確認することにより行われてもよい。
ここで、本実施形態において、指定細胞医薬とは、誘導因子を認識する受容体と当該受容体を有する細胞を患部組織へと誘導する誘導因子との組み合わせが特定されており、かつ、静注によって患者に投与される細胞医薬を表している。指定細胞医薬としては、例えば、間葉系幹細胞、Muse細胞、ES細胞、又はiPS細胞から分化誘導された細胞を含む細胞懸濁液タイプの細胞医薬等が挙げられる。
なお、これらの指定細胞医薬は一例であり、誘導因子を認識する受容体と当該受容体を有する細胞を患部組織へと誘導する誘導因子との組み合わせが特定されている各種の細胞医薬が指定細胞医薬として設定され得る。
指定細胞医薬が含まれない場合(ステップS103:No)、本処理を終了する。一方、指定細胞医薬が含まれる場合(ステップS103:Yes)、特定機能113は、患者に投薬された指定細胞医薬を同定する(ステップS104)。例えば、特定機能113は、ステップ101で取得した診療データに含まれる薬歴情報を参照し、患者に投薬された指定細胞医薬を同定する。なお、ステップS104の同定は、ディスプレイ19等に表示された診療データを医師等の操作者が確認することにより行われてもよい。
次いで、特定機能113は、患者に投薬された指定細胞医薬に対応する血中誘導因子を同定する(ステップS105)。例えば、特定機能113は、記憶回路13等に記憶された対応テーブルを参照し、ステップS104で同定された指定細胞医薬に対応する血中誘導因子を、患者に投薬された指定細胞医薬に対応する血中誘導因子として同定する。
次いで、特定機能113は、直近の指定細胞医薬の投与に対応する指定細胞医薬の血中濃度推移の情報を特定する(ステップS106)。例えば、特定機能113は、ステップS101で取得した診療データに含まれる、複数の指定細胞医薬の血中濃度データから、直近の指定細胞医薬の投与に対応する指定細胞医薬の血中濃度推移の情報を特定する。
次いで、特定機能113は、直近の指定細胞医薬の投与に対応する血中誘導因子データがあるか否かを判定する(ステップS107)。例えば、特定機能113は、ステップ101で取得した診療データに含まれる最新の検査実施情報を参照し、直近の指定細胞医薬の投与に対応する、ステップS105で同定された血中誘導因子の濃度測定が行われているか否かを判定する。
血中誘導因子データがない場合(ステップS107:No)、本処理を終了する。一方、血中誘導因子データがある場合(ステップS107:Yes)、特定機能113は、直近の指定細胞医薬の投与に対応する血中誘導因子の濃度推移の情報を特定する(ステップS108)。例えば、特定機能113は、ステップS101で取得した診療データに含まれる、複数の血中誘導因子データから、直近の指定細胞医薬の投与に対応する血中誘導因子の濃度推移の情報を特定する。
次いで、決定機能115は、分割投与した細胞医薬の量が総投与量に達したか否かを判定する(ステップS109)。例えば、決定機能115は、ステップS101で取得した診療データに含まれる薬歴情報を参照し、指定細胞医薬の投与設計から総投与量及びこれまでに分割投与した指定細胞医薬の合計投与量を特定する。そして、決定機能115は、総投与量と合計投与量とを比較して、総投与量に達したか否かを判定する。
総投与量に達している場合(ステップS109:Yes)、本処理を終了する。一方、総投与量に達していない場合(ステップS109:No)、決定機能115は、分割投与後から所定時間経過後における血中誘導因子の濃度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS110)。例えば、決定機能115は、ステップS108で特定した直近の指定細胞医薬の投与に対応する血中誘導因子の濃度推移の情報から、分割投与後から所定時間経過後における血中誘導因子の濃度が閾値以上であるか否かを判定する。
血中誘導因子の濃度が閾値未満である場合(ステップS110:No)、決定機能115は、投薬態様の夫々のパラメータについて、分割投与量が減少、分割投与間間隔が延長、分割投与回数が減少する方向にフィードバックをかけ(ステップS111)、ステップS106で特定した、指定細胞医薬の血中濃度推移の情報を考慮して投薬態様の各パラメータを決定する(ステップS113)。なお、決定機能115は、指定細胞医薬の血中濃度推移に応じて、分割投与量を維持することとしてもよい。
血中誘導因子の濃度が閾値以上である場合(ステップS110:Yes)、決定機能115は、投薬態様の夫々のパラメータについて、分割投与量が増加、分割投与間間隔が短縮、分割投与回数が増加する方向にフィードバックをかけ(ステップS112)、ステップS106で特定した、指定細胞医薬の血中濃度推移の情報を考慮して投薬態様の各パラメータを決定する(ステップS113)。なお、決定機能115は、指定細胞医薬の血中濃度推移に応じて、分割投与量を維持することとしてもよい。
次いで、表示制御機能117は、決定した投薬態様を表示する制御を行う(ステップS114)。例えば、表示制御機能117は、ステップS111又はS112で決定した、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数をディスプレイ19に表示させる。なお、操作者が入力インタフェース17を介して、表示された分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数を修正できるようにしてもよい。
次いで、特定機能113は、ステップS113で決定した投薬態様に従った細胞医薬の投与に対応する、指定細胞医薬の血中濃度の測定が行われているか否かを判定する(ステップS115)。例えば、特定機能113は、ステップS113の処理後に取得機能111で取得された診療データの中に含まれる最新の検査実施情報を参照し、決定した投薬態様に従った細胞医薬の投与に対応する、指定細胞医薬の血中濃度の測定が行われているか否かを判定する。
指定細胞医薬の血中濃度の測定が行われていない場合(ステップS115:No)、決定した投薬態様に従った細胞医薬の投与に対応する、指定細胞医薬の血中濃度の測定が行われていると判定するまで、ステップS115の処理を繰り返す。一方、指定細胞医薬の血中濃度の測定が行われていない場合(ステップS115:Yes)、ステップS106の処理に移行する。
以上のように、本実施形態に係る支援装置10は、患者の損傷部位から血中に放出される誘導因子の放出量に関する誘導因子情報を取得し、誘導因子情報に基づいて、損傷部位の細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する。
近年の研究により、患者の血中誘導因子の濃度が高くなるほど、患部組織へホーミングされる細胞医薬の量が増えるため、細胞医薬の患部組織への生着率が高くなることがわかってきている。ここで、生着率が低い治療用幹細胞を一回に大量投与すると、生着しない治療用幹細胞が増えて無駄が発生するばかりでなく、異物除去反応や副作用等が起こる可能性もあり、患者への生体負荷も大きくなる。したがって、例えば、患者の血中誘導因子の濃度が低い場合は、患部組織にホーミングされる細胞医薬が少ないため、細胞医薬を一回に大量投与しても生着率が低くなり、患部組織に生着しない細胞医薬が増え、細胞医薬の無駄が増えてしまう。また、細胞医薬の血中濃度が下がらず、高い状態で維持される可能性があり、患者への生体負荷も大きくなる。このような場合、少ない量の細胞医薬を複数回に分けて投与した方が、無駄になる細胞医薬の量を減らすことができ、患者の生体負担も軽減することができる。本実施形態に係る支援装置10は、患者の患部組織からの誘導因子の放出量に応じて、細胞医薬の投薬態様を決定することができるため、無駄になる細胞医薬の量を減らし、かつ、患者の生体負担も軽減することができる。つまり、本実施形態に係る支援装置10によれば、効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援することができる。
また、細胞医薬の投薬態様には、細胞医薬の総投与量に対する1回あたりの投与量を表す分割投与量、次の投与を行うまでの時間間隔を表す分割投与間隔、及び所定時間内における投与回数を表す分割投与回数のうち、少なくとも1つが含まれ、本実施形態に係る支援装置10は、患者の血中誘導因子の濃度が閾値以上の場合、分割投与量を増加させること、分割投与間隔を短縮させること、及び分割投与回数を増加させることのうち、少なくとも1つの処理を行って投薬態様を決定する。また、本実施形態に係る支援装置10は、血中誘導因子の濃度が閾値未満の場合、分割投与量を減少させること、分割投与間隔を延長させること、及び分割投与回数を減少させることのうち、少なくとも1つの処理を行って投薬態様を決定する。
例えば、患者の血中誘導因子の濃度が閾値以上の場合、細胞医薬が患部組織にホーミングされ易い状態であるため、分割投与量を増加、分割投与間隔を短縮、分割投与回数を増加させることで、短時間に多くの細胞医薬を患部組織に生着させることができる。また、多くの細胞医薬が患部組織に生着するため、細胞医薬の血中濃度も短時間で低下していく。したがって、患者の生体負担が大きくなることもない。一方で、患者の血中誘導因子の濃度が閾値未満の場合、細胞医薬が患部組織にホーミングされ難い状態であるため、分割投与量を減少、分割投与間隔を延長、分割投与回数を減少させることで、細胞医薬の無駄を減らし、細胞医薬の血中濃度が高いレベルで維持されることを防止することができる。これにより、細胞医薬の無駄を減らし、かつ、患者の生体負担を軽減することができる。また、分割投与量を減少、分割投与間隔を延長、分割投与回数を減少させたとしても細胞医薬の血中濃度は大きく低下しない。血中の細胞医薬は少しずつであっても患部組織に生着していくため、ある程度の治療効果も期待できる。つまり、本実施形態に係る支援装置10によれば、効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援することができる。
また、本実施形態に係る支援装置10は、患者の細胞医薬の血中濃度の情報を含む細胞医薬に関する細胞医薬情報を取得し、細胞医薬情報に基づいて、投薬態様を決定する。これにより、患者の細胞医薬の血中濃度も考慮した上で、分割投与量、分割投与間隔、及び分割投与回数等の投薬態様に係るパラメータを調整することができる。つまり、本実施形態に係る支援装置10によれば、効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。
プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。
この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、効果的な治療用幹細胞の投与設計を支援することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 細胞医療支援システム
9 ネットワーク
10 支援装置
11 処理回路
13 記憶回路
15 通信インタフェース
17 入力インタフェース
19 ディスプレイ
30 検査機器
50 HIS
70 LIS
111 取得機能
113 特定機能
115 決定機能
117 表示制御機能

Claims (9)

  1. 患者の損傷部位から血中に放出される誘導因子の放出量に関する誘導因子情報を取得する第1取得部と、
    取得された前記誘導因子情報に基づいて、前記損傷部位の細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する決定部と、
    を備える医用情報処理装置。
  2. 前記決定部は、前記細胞医薬の総投与量に対する1回あたりの投与量、前記細胞医薬の投与を行う時間間隔、及び前記細胞医薬の投与回数のうち、少なくとも1つを前記投薬態様として決定する、
    請求項1に記載の医用情報処理装置。
  3. 前記誘導因子情報は、前記誘導因子の血中濃度を含み、
    前記決定部は、前記誘導因子の血中濃度に基づいて、前記投薬態様を決定する、
    請求項2に記載の医用情報処理装置。
  4. 前記決定部は、前記誘導因子の血中濃度が閾値以上の場合、前記投与量の増加、前記時間間隔を短縮、及び前記投与回数の増加のうちの少なくとも1つにより、前記投薬態様を決定する、
    請求項3に記載の医用情報処理装置。
  5. 前記決定部は、前記誘導因子の血中濃度が閾値未満の場合、前記投与量の減少、前記時間間隔の延長、及び前記投与回数の減少のうちの少なくとも1つにより、前記投薬態様を決定する、
    請求項3に記載の医用情報処理装置。
  6. 前記細胞医薬に関する細胞医薬情報を取得する第2取得部を更に備え、
    前記決定部は、取得された前記細胞医薬情報に基づいて、前記損傷部位に対する細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する、
    請求項1に記載の医用情報処理装置。
  7. 前記細胞医薬情報は、前記細胞医薬の血中濃度を含み、
    前記決定部は、前記細胞医薬の血中濃度に基づいて、前記患者の前記細胞医薬の血中濃度が所定の範囲内に収まるように、前記投薬態様を決定する、
    請求項6に記載の医用情報処理装置。
  8. 前記細胞医薬には、間葉系幹細胞、Muse細胞、ES細胞、又はiPS細胞から分化誘導された細胞が含まれる、
    請求項1乃至7の何れか1項に記載の医用情報処理装置。
  9. 医用情報処理装置のコンピュータに、
    患者の損傷部位から血中に放出される誘導因子の放出量に関する 誘導因子情報を取得する第1取得ステップと、
    取得された前記誘導因子情報に基づいて、前記損傷部位の細胞治療に用いられる細胞医薬の投薬態様を決定する決定ステップと、
    を実行させるプログラム。
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