JP2024081908A - 蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

Figure 2024081908000001
【課題】蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】電池セルを有する蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用外装材であって、少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備える積層体から構成され、積層体のループステフネス値が2300mN以下であり、基材層及びシーラント層の弾性率が2000MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
【選択図】図1

Description

本開示は、蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイスに関する。
近年、全固体電池の開発が急速に進んでいる。全固体電池は、液体電解質を用いた現在のリチウムイオン電池とは異なり、電解質が固体であるため、今までは実現できなかった高温での使用が可能となり、安全性も高いことから、実用化が期待されている。
一方、全固体電池は電解質が固体であるため、イオン電導度が液体電解質と比較して小さく、各電池メーカーは固体電解質のイオン電導度の改良に取り組んでいる。その解決策の一つとして、電池に圧力をかけることで固体電解質の固相間の抵抗を少なくする方法が検討されている。
ここで、全固体電池の外装材に、例えば金属缶を使用すると、硬すぎるために圧力をかけることが難しく、金属缶の変形のリスクがある。このため、全固体電池の外装材としては、硬すぎず柔軟性があるラミネートフィルムが採用される傾向がある。例えば下記特許文献1には、全固体電池などの蓄電デバイスに用いられる外装材として、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、熱融着性樹脂層が、積層体の積層方向における断面から、押し込み荷重100μNで測定されるナノインデンテーション法による弾性率が、1300MPa以上である層を少なくとも1層備える外装材が開示されている。
特開2021-12877号公報
しかし、上述した特許文献1に記載の外装材は、正極、負極、及び電解質を備えた電池セルを、外装材を介して加圧する場合に以下に示す課題を有していた。
すなわち、上述した特許文献1に記載の外装材は、電池セルを、外装材を介して加圧する場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性の点で改善の余地を有していた。この場合、例えば全固体電池の電池セルにおいては、電極と電解質との界面において抵抗の分布が生じ、これに起因して電池セルの性能が低下するおそれがある。
また、同様の課題は、全固体電池のみならず、電池セルを、外装材を介して加圧する必要がある他の蓄電デバイスの外装材においても見られるものであった。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる蓄電デバイス用外装材及びそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本開示の発明者らは、上記課題が生じる原因について検討した。その結果、ラミネートフィルムを外装材として使用した電池においても、外装材をプレスする加圧部の加圧面や電池セルの被加圧面に微小な凹凸が存在し、その凹凸により、外装材の表裏の層において局所的に圧力がかかる箇所とかからない箇所が存在してしまうことが、上記課題が生じる原因となっているのではないかと本開示の発明者らは考えた。そこで、本開示の発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、以下の本開示により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本開示の一側面は、電池セルを有する蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用外装材であって、少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備える積層体から構成され、前記積層体のループステフネス値が2300mN以下であり、前記基材層及び前記シーラント層の弾性率が2000MPa以下である、蓄電デバイス用外装材を提供する。
上記外装材によれば、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。
本開示の外装材によって上記効果が得られる理由は定かではないが、以下のとおりではないかと本開示の発明者らは推測する。
すなわち、本開示の外装材では、積層体のループステフネス値が2300mN以下であることで、積層体が柔らかくなる。このため、電池セルが外装材を介して加圧される場合に、電池セルの被加圧面全体に圧力をかけることが可能となる。また、基材層の弾性率が2000MPa以下であることで、基材層が柔らかくなる。このため、電池セルが外装材を介して加圧される場合に、基材層に接触する加圧部の加圧面に凹凸が存在しても、基材層の表面がその凹凸に追従することが可能となる。つまり、基材層において局所的に圧力がかかる箇所とかからない箇所が存在することが抑制される。一方、シーラント層の弾性率が2000MPa以下であることで、シーラント層が柔らかくなる。このため、電池セルが外装材を介して加圧される場合に、シーラント層に接触する電池セルの被加圧面に凹凸が存在しても、シーラント層の表面がその凹凸に追従することが可能となる。つまり、シーラント層において局所的に圧力がかかる箇所とかからない箇所が存在することが抑制される。以上のことから、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができるのではないかと本開示の発明者らは推測する。
また、本開示の別の側面は、一対の電極及び前記一対の電極の間に設けられる固体電解質を含む電池セルと、前記電池セルを収容する外装袋とを備え、前記外装袋が、上述した蓄電デバイス用外装材を有する、蓄電デバイスを提供する。
上記蓄電デバイスによれば、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。このため、本開示の蓄電デバイスは、蓄電デバイスの電池セルにおいて、一対の電極の各々と固体電解質との界面における抵抗の均一性を向上させることができる。その結果、蓄電デバイスの性能を向上させることができる。
上記蓄電デバイス用外装材において、前記バリア層が金属箔であり、前記バリア層の厚みが30~150μmであることが好ましい。
この外装材は、バリア層が金属箔であるため、質量(比重)、防湿性等のバリア性、加工性及びコストの点で優れる。また、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材を介して加圧される場合に、バリア層に局所的な圧力が加えられても変形しにくくなり、その変形によるクラックが形成されにくくなるとともに、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性をより向上させることができる。
上記蓄電デバイス用外装材において、前記基材層が二軸延伸のプラスチックフィルムであり、前記基材層の厚みが15~50μmであることが好ましい。
この場合、外装材に対する成型性が良好になるとともに、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材を介して加圧される場合に基材層に局所的な圧力が加えられても基材層が変形しにくくなる。
上記蓄電デバイス用外装材において、前記シーラント層の厚みが25~100μmであることが好ましい。
この場合、シール強度がより向上するとともに、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材を介して加圧される場合にシーラント層に局所的な圧力が加えられても、シーラント層が圧力により変形しにくくなる。
上記蓄電デバイス用外装材において、前記バリア層のループステフネス値が500mN以下であることが好ましい。
この場合、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性をより向上させることができる。
本開示によれば、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイスが提供される。
本開示の一実施形態に係る蓄電デバイス用外装材を模式的に示す断面図である。 図1の蓄電デバイス用外装材の第1変形例を模式的に示す断面図である。 本開示の他の一実施形態に係る蓄電デバイスを示す斜視図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[蓄電デバイス用外装材]
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電デバイス用外装材を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の蓄電デバイス用外装材(以下、単に「外装材」ともいう)10は、電池セルを有する蓄電デバイスとしての全固体電池に用いられる外装材であり、基材層11と、第1の接着剤層12aと、バリア層13と、第2の接着剤層12bと、シーラント層16とをこの順に備える積層体から構成されている。ここで、積層体のループステフネス値は2300mN以下であり、基材層11及びシーラント層16の弾性率は2000MPa以下である。
上記外装材10によれば、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材10を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。
なお、バリア層13は、基材層11側に第1の腐食防止処理層14aを有していてもよい。また、バリア層13は、シーラント層16側に第2の腐食防止処理層14bを有していてもよい。外装材10において、基材層11が最外層、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電デバイスの外部側、シーラント層16を蓄電デバイスの内部側に向けて使用される。
以下、外装材10を構成する各層について詳細に説明する。
<基材層>
基材層11は、全固体電池を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、成型加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。特に大型用途の全固体電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11は、絶縁性を有する樹脂により形成された層であることが好ましい。樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、アセチルセルロース樹脂等が挙げられる。
基材層11は、延伸又は未延伸のフィルム形態でも、コーティング被膜としての形態のどちらでも構わない。また、基材層11は単層でも多層でもよく、多層の場合は異なる樹脂を組み合わせて使用できる。基材層11がフィルムの形態であれば共押し出ししたもの、もしくは接着剤を介して積層したものが使用できる。基材層11がコーティング被膜である場合は、コーティング被膜としては、コーティング被膜形成用組成物を複数回コーティングして得られるコーティング被膜が使用でき、基材層11は、フィルムとコーティング被膜を組み合わせて多層とすることもできる。
これらの樹脂の中でも、基材層11としては、成型性に優れることから、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,ナイロン9T、ナイロン10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
これらの樹脂をフィルム形態で使用する場合は、基材層11は二軸延伸フィルムであることが好ましい。この場合、外装材10の成型性が良好となる。二軸延伸フィルムにおける延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法、同時二軸延伸法等が挙げられる。二軸延伸フィルムは、より優れた深絞り成型性が得られる観点から、チューブラー二軸延伸法により延伸されたものであることが好ましい。
基材層11の厚みは6μm以上であることが好ましい。基材層11の厚みが6μm以上であることにより、外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。基材層11の厚みは、成型性を担保する観点からは、15μm以上であることがより好ましい。
基材層11の厚みは、50μm以下であることがより好ましい。基材層11の厚みが50μm以下であることにより、外装材10の総厚を小さくすることができるとともに、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材10を介して加圧される場合に基材層11に局所的な圧力が加えられても変形しにくくなる。
基材層11の融点は、シール時の基材層11の変形を抑制するため、シーラント層16の融点より高く、さらにはシーラント層16の融点よりも30℃以上高いことが好ましい。
基材層11の弾性率は、2000MPa以下である。基材層11の弾性率が2000MPa以下であることにより、基材層11が柔らくなり、基材層11の表面が加圧部の加圧面における凹凸に追従しやすくなる。このため、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材10を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。
ここで、弾性率は、ナノインデンターを用いて測定される値である。また、弾性率は、基材層11の表面、すなわち、基材層11のうちバリア層13と反対側の面に圧子を押し込んだ時の値をいう。
基材層11の弾性率は、1500MPa以下、1000MPa以下、800MPa以下、500MPa以下、300MPa以下又は200MPa以下であってよいが、200MPa以下であることが好ましい。基材層11の弾性率が200MPa以下であると、基材層11が柔らかくなり、外装材10を外側からプレスする加圧部の加圧面の凹凸に対して追従しやすくなり、基材層11に対して圧力をさらに均一に加えることができる。
基材層11の弾性率は、50MPa以上又は100MPa以上であってよいが、100MPa以上であることが好ましい。基材層11の弾性率が100MPa以上であると、基材層11が柔らかくなりすぎないため、外装材100を加圧部で加圧する際に圧力が逃げることが抑制され、基材層11に対して圧力をさらに均一に加えることができる。
基材層11の弾性率は、シーラント層16の弾性率より小さくてもシーラント層16の弾性率以上であってもよいが、シーラント層16の弾性率より大きいことが好ましい。この場合、基材層11の弾性率がシーラント層16の弾性率以下である場合に比べて、基材層11側からのキズなどがバリア層13に形成されにくくなり、バリア層13に対する保護効果が大きくなる。
ここで、シーラント層16の弾性率に対する基材層11の弾性率の比は1より大きければよいが、好ましくは2以上であり、より好ましくは3.3以上である。
<第1の接着剤層>
第1の接着剤層12aは、基材層11とバリア層13とを接着する層である。第1の接着剤層12aを構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物(多官能イソシアネート化合物)を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、外装材10に求められる機能や性能に応じて、単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記以外にもエポキシ樹脂を主剤として、硬化剤を配合したものなども使用可能であるが、これに限らない。また、接着剤に求められる性能に応じて、上述した接着剤に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
第1の接着剤層12aの厚みは、特に制限されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1~10μmが好ましく、2~7μmがより好ましい。
<バリア層>
バリア層13は、水分が全固体電池の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、バリア層13は、深絞り成型をするために延展性を有していてもよい。バリア層13としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の各種金属箔、あるいは、金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどを用いることができる。蒸着膜を設けたフィルムとしては、例えば、アルミニウム蒸着フィルム、無機酸化物蒸着フィルムを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。バリア層13としては、質量(比重)、防湿性等のバリア性、加工性及びコストの面から、金属箔が好ましく、アルミニウム箔又はステンレス箔がより好ましい。
アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、特に焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔を好ましく用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのがより好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1~9.0質量%が好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。アルミニウム箔としては、未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、耐腐食性を付与する点で脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。アルミニウム箔に脱脂処理を施す場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
バリア層13の厚みは、特に制限されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9μm以上であることが好ましい。バリア層13の厚みは、30μm以上であることがより好ましい。バリア層13の厚みが30μm以上であると、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材10を介して加圧される場合に、バリア層13に局所的な圧力が加えられても変形しにくくなり、その変形によるクラックが形成されにくくなる。
バリア層13の厚みは、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮すると、200μm以下であることが好ましい。バリア層13の厚みは、150μm以下であることがより好ましい。バリア層13の厚みが150μm以下であると、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性をより向上させることができる。
バリア層13の厚みは、150μm未満、130μm以下、100μm以下、80μm以下であってもよい。
バリア層13のループステフネス値は、特に制限されるものではなく、2100mN以下、1200mN以下、500mN以下、300mN以下、200mN以下又は150mN以下であってよい。但し、バリア層13のループステフネス値は、500mN以下であることが好ましい。この場合、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材10を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性をより向上させることができる傾向がある。バリア層13のループステフネス値は、300mN以下、200mN以下又は150mN以下であることがより好ましい。この場合、外装材10が加圧されても、基材層11又はシーラント層16の表面が変形しにくくなり、外装材10の変形耐性がより向上する傾向がある。
バリア層13のループステフネス値は、50mN以上又は70mN以上であってよいが、70mN以上であることが好ましい。この場合、外装材10が加圧されても、基材層11又はシーラント層16の表面が変形しにくくなり、外装材10の変形耐性がより向上する傾向がある。
<第1及び第2の腐食防止処理層>
第1及び第2の腐食防止処理層14a,14bは、バリア層13を構成する金属箔(金属箔層)等の腐食を防止するために設けられる層である。また、第1の腐食防止処理層14aは、バリア層13と第1の接着剤層12aとの密着力を高める役割を果たす。また、第2の腐食防止処理層14bは、バリア層13と第2の接着剤層12bとの密着力を高める役割を果たす。第1の腐食防止処理層14a及び第2の腐食防止処理層14bは、同一の構成の層であってもよく、異なる構成の層であってもよい。第1及び第2の腐食防止処理層14a,14b(以下、単に「腐食防止処理層14a,14b」とも言う)としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、酸脱脂及びアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、又はこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。また、酸脱脂において、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることが好ましい。この場合、特にバリア層13にアルミニウム箔を用いた場合に、アルミニウムの脱脂効果が得られる。さらに酸脱脂剤は、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐腐食性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、浸漬型、塗布型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗布型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤をバリア層13上に塗布する方法が挙げられる。
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、バリア層13として焼鈍工程を通した金属箔など脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層14a,14bの形成において改めて脱脂処理する必要はない。
塗布型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは3価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーが含まれていてもよい。
また、上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いたバリア層13から腐食防止処理層14a,14bまで共連続構造を形成した形態が得られるので、上記処理は化成処理の定義に包含される。一方、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14a,14bを形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、且つ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
上記希土類元素酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。中でも、水系のゾルが好ましい。
上記希土類元素酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸又はその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸には、外装材10において、以下の(1)~(4)の効果が期待される。
(1)ゾルの分散安定化
(2)リン酸のアルミキレート能力を利用したバリア層13との密着性の向上
(3)アルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる腐食耐性の付与
(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層(酸化物層)14a,14bの凝集力の向上
上記希土類元素酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14a,14bは、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層14a,14bは、凝集力を補うために、アニオン性ポリマー、又はカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
腐食防止処理層14a,14bは、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類元素酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層14a,14bの単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005~0.200g/mであることが好ましく、0.010~0.100g/mであることがより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、バリア層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類元素酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14a,14bの厚みについては、その比重から換算できる。
腐食防止処理層14a,14bは、シーラント層16とバリア層13との密着性を保持しやすくなる観点から、例えば、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1~100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含む態様であってもよく、バリア層13に化成処理を施して形成されている態様であってもよく、バリア層13に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含む態様であってもよい。
<第2の接着剤層>
第2の接着剤層12bは、バリア層13とシーラント層16とを接着する層である。第2の接着剤層12bには、バリア層13とシーラント層16とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。
バリア層13上に第2の腐食防止処理層14bが設けられており、且つ、第2の腐食防止処理層14bが上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む層を有する場合、第2の接着剤層12bは、第2の腐食防止処理層14bに含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含む層であることが好ましい。
例えば、第2の腐食防止処理層14bがカチオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層12bはカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。第2の腐食防止処理層14bがアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層12bはアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、第2の腐食防止処理層14bがカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層12bはカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含む。ただし、第2の接着剤層12bは必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。また、第2の接着剤層12bは、酸変性ポリオレフィン樹脂をさらに含んでいてもよい。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
第2の接着剤層12bが酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、第2の腐食防止処理層14bとの接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材10の耐溶剤性がより向上する。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。反応性化合物の含有量が等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、反応性化合物の含有量が10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋反応としては十分飽和に達しているため、未反応物が存在し、各種性能の低下が懸念される。したがって、例えば、反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して5~20質量部(固形分比)であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物基などが挙げられ、無水マレイン酸基や(メタ)アクリル酸基などが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、シーラント層16に用いる変性ポリオレフィン樹脂と同様のものを用いることができる。
第2の接着剤層12bには、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
第2の接着剤層12bは、硫化水素等の腐食性ガスや電解液が関与する場合のラミネート強度の低下を抑制する観点及び絶縁性の低下をさらに抑制する観点から、例えば、酸変性ポリオレフィンと、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びカルボジイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の硬化剤と、を含むものであってもよい。なお、カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’-ジ-o-トルイルカルボジイミド、N,N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’-ジオクチルデシルカルボジイミド、N-トリイル-N’-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,2-ジ-t-ブチルフェニルカルボジイミド、N-トリイル-N’-フェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
また、第2の接着剤層12bを形成する接着剤として、例えば、水添ダイマー脂肪酸及びジオールからなるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとを配合したポリウレタン系接着剤を用いることもできる。接着剤として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂、及び、エポキシ基を有する主剤にアミン化合物などを作用させたエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂は、耐熱性の観点から好ましい。
第2の接着剤層12bの厚みは、特に制限されるものではないが、所望の接着強度、及び加工性等を得る観点から、1~10μmが好ましく、2~7μmがより好ましい。
<シーラント層16>
シーラント層16は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層であり、全固体電池の組み立て時に内側に配置されてヒートシール(熱融着)される層である。
シーラント層16としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を含むフィルムを用いることができる。上記に挙げた各種樹脂をブレンドしポリマーアロイ化することで、シール適正や耐熱性を制御することが出来る。中でも、ポリオレフィン系樹脂を含むフィルム(以下、「ポリオレフィンフィルム」ともいう)、ポリエステル系樹脂を含むフィルム(以下、「ポリエステルフィルム」ともいう)を用いることが好ましい。この場合、外装材10に対するシール性がより良好となる。また、ポリオレフィンフィルム及びポリエステルフィルムは耐熱性を有するため、外装材10は、全固体電池の耐熱性をより向上させることができる。なお、上記熱可塑性樹脂は、親水基成分を含まない、または少ない割合で含むことが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂に水分が吸着しにくくなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度又は高密度のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;プロピレンを共重合成分として含むブロック又はランダム共重合体;及び、プロピレン-αオレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂を酸又はグリシジルで変性してなる酸変性ポリオレフィン樹脂であってもよい。バリア層13に腐食防止処理層14b及び第2の接着剤層12bを介さずポリオレフィンフィルムが直接ラミネートされる場合には、ポリオレフィンフィルムが、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む酸変性ポリオレフィン樹脂層を含有し、この酸変性ポリオレフィン樹脂層がバリア層13に直接ラミネートされていることが好ましい。この場合、ポリオレフィンフィルムの酸変性ポリオレフィン樹脂層がバリア層13に直接ラミネートされ、ポリオレフィンフィルムの酸変性ポリオレフィン樹脂層とバリア層13とが、高温耐性がある接着剤として使用されるポリウレタン系接着剤で接着される場合に比べて、水分がシーラント層16に取り込まれにくくなる。このため、外装材10が繰り返し高温にさらされても、シーラント層16から都度水分が放出されることが起こりにくくなる。このため、全固体電池が固体電解質として硫化物系固体電解質を外装袋内に収容する場合に、放出される水分と硫化物との反応による硫化水素の発生を抑制することができる。なお、ポリオレフィンフィルムが、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む酸変性ポリオレフィン樹脂層を含有する場合、この酸変性ポリオレフィン樹脂層はバリア層13に直接ラミネートされていなくてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、及び、それらの共重合体等が挙げられる。これらポリエステル系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、任意の酸とグリコールを共重合させたものを使用してもよい。
また、シーラント層16は、シール性、耐熱性およびその他機能性を付与させるために、例えば酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、粘着付与剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
シーラント層16の融点は、特に制限されるものではないが、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは155℃以上であり、より一層好ましくは160℃以上である。シーラント層16の融点が150℃以上であることで、外装材10が高温環境下で使用されても、外装材10のシール強度が低下することを抑制することができる。このため、全固体電池が固体電解質として硫化物系固体電解質を外装袋内に収容する場合に、全固体電池の外装袋内で水分と硫化物系固体電解質との反応により硫化水素等のガスが発生しても、そのようなガスの漏洩をより抑制することができる。
シーラント層16の融点は、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは240℃以下であり、より一層好ましくは230℃以下である。この場合、シーラント層16の融点が250℃以下であることで、ヒートシール温度を低下させることができる。このため、ヒートシール時において、シーラント層16における気泡の発生をより抑制することができる。したがって、外装材10のシール強度及びバリア性の低下がより抑制される。このため、上記外装材10は、全固体電池の外装袋の密封性をより十分に維持させることができる。また、外装材10は、当該外装材10を通じた水分の侵入を抑制することもできる。
シーラント層16は、単層フィルム及び多層フィルムのいずれであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。シーラント層16が多層フィルムである場合は、各層同士を共押出により積層してもよく、ドライラミネートにより積層してもよい。ただしシーラント層16が多層フィルムである場合、層間密着性の観点から同一種の樹脂を用いることが好ましい。例えばシーラント層16は、バリア層13側に変性ポリオレフィン系樹脂を含む層を配置し、その層の上に1層の非変性ポリオレフィン系樹脂層を押出して又は多層のポリオレフィン系樹脂層を共押出して積層したものとしてもよい。
シーラント層16の厚みは、特に制限されるものではないが、10μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましい。シーラント層16の厚みが10μm以上であることにより、十分なシール強度を得ることができる。
シーラント層16の厚みは、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。シーラント層16の厚みが100μm以下であることにより、外装材10の周縁部からの水蒸気の浸入量を低減することができるとともに、外装材10が加圧されても、シーラント層16の表面が変形しにくくなり、外装材10の変形耐性がより向上する傾向がある。
シーラント層16の弾性率は、2000MPa以下である。シーラント層16の弾性率が2000MPa以下であることにより、シーラント層16が柔らくなり、シーラント層16の表面が電池セルの被加圧面における凹凸に追従しやすくなる。このため、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材10を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。
ここで、弾性率は、ナノインデンターを用いて測定される値である。また、弾性率は、シーラント層16の表面、すなわち、シーラント層16のうちバリア層13と反対側の面に圧子を押し込んだ時の値をいう。
シーラント層16の弾性率は、1500MPa以下、1000MPa以下、800MPa以下、500MPa以下、300MPa以下、200MPa以下、100MPa以下又は50MPa以下であってよいが、100MPa以下であることが好ましい。シーラント層16の弾性率が100MPa以下であると、シーラント層16が柔らかくなり、外装材10が、加圧部の加圧面の凹凸に対して追従しやすくなる。
シーラント層16の弾性率は、10MPa以上又は20MPa以上であってよいが、20MPa以上であることが好ましい。シーラント層16の弾性率が20MPa以上であると、シーラント層16が柔らかくなりすぎないため、外装材100を加圧部で加圧する際に圧力が逃げることが抑制され、シーラント層16に対して圧力をさらに均一に加えることができる。
<積層体のループステフネス値>
外装材10を構成する積層体のループステフネス値は、特に制限されるものではないが、2250mN以下、2000mN以下、1500mN以下、1000mN以下、800mN以下、600mN以下であってよい。特に、積層体のループステフネス値は600mN以下であることが好ましい。この場合、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装袋の外装材10を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性をより向上させることができる傾向がある。
外装材10のループステフネス値は、特に制限されるものではないが、100mN以上であることが好ましく、200mN以上であることがより好ましい。外装材10のループステフネス値が100mN以上であると、外装材10にシワなどが生じにくく、外装材10がハンドリングしやすくなる。
<硫化水素分解吸着材料>
外装材10が硫化物系固体電解質を有する全固体電池に用いられる場合、本実施形態の外装材10を構成する層のうちの少なくとも一層は、硫化水素を分解又は吸着する硫化水素分解吸着材料を含有していてもよい。この場合、全固体電池において、水と硫化物系固体電解質とが反応して硫化水素が発生しても、硫化水素が外装材10を透過することが抑制される。硫化水素分解吸着材料は、例えば第1の接着剤層12a、第2の接着剤層12b、シーラント層16又はこれらのうち少なくとも一層に含有される。特に、硫化水素分解吸着材料は、シーラント層16に含まれることが好ましい。この場合、硫化水素が外装材10を透過することが効果的に抑制される。
硫化水素分解吸着材料としては、酸化亜鉛、非晶質金属ケイ酸塩(主に金属が銅、亜鉛であるもの)、ジルコニウム・タンタノイド元素の水和物、4価金属リン酸塩(特に金属が銅であるもの)、ゼオライト及び亜鉛イオンの混合物、ゼオライトと酸化亜鉛と酸化銅(II)との混合物、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、硫酸銀、酢酸銀、酸化アルミニウム、水酸化鉄、イソシアネート化合物、ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、ゼオライト、活性炭、アミン系化合物、アイオノマー等が挙げられる。また、硫化水素分解吸着材料は、硫化水素をより無害化しやすく、コストや取り扱い性の観点から、酸化亜鉛(ZnO)及び/又は亜鉛イオンを含むものであることが好ましい。硫化水素分解吸着材料は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
硫化水素分解吸着材料としては、以下のような硫化水素について消臭効果がある消臭剤を用いてもよい。具体的には、例えば、大日精化工業株式会社製の「ダイムシュー PE-M 3000-Z」(ポリエチレンマスターバッチ品)、東亞合成株式会社製の「ケスモン」、ラサ工業株式会社製の「シュークレンズ」、並びに、株式会社シナネンゼオミック製の「ダッシュライト ZU」及び「ダッシュライト CZU」等が挙げられる。
硫化水素分解吸着材料を含有する層には、硫化水素分解吸着材料の分散性を向上させる観点から、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸を添加してもよい。硫化水素分解吸着材料を金属石鹸と併用することで、層内での硫化水素分解吸着材料の分散性を高めることができ、硫化水素を無毒化する効果の偏りが生じ難くなると共に、硫化水素分解吸着材料を含有する層の機能(例えば、密着強度やシール強度等)の低下を抑制し易い。
硫化水素分解吸着材料は、予めマスターバッチ化して用いてもよい。
硫化水素分解吸着材料がシーラント層16に配合される場合は、マスターバッチとして事前に高濃度配合品を作製しておき、その後適切な濃度になるようにシーラント層16の樹脂にマスターバッチを配合してもよい。
硫化水素分解吸着材料が第1の接着剤層12a又は第2の接着剤層12bに配合される場合は、第1の接着剤層12a又は第2の接着剤層12bが塗工される場合は塗工に直接配合してもよいし、第1の接着剤層12a又は第2の接着剤層12bが押出等で形成される場合は上記シーラント層16と同様にマスターバッチを作製して配合してもよい。なお、マスターバッチを作製する場合、樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
硫化水素分解吸着材料を含有する層における硫化水素分解吸着材料の含有量は、当該層全量を基準として0.01質量%以上30質量%以下であってよく、0.05質量%以上20質量%以下であってよく、0.1質量%以上15質量%以下であってよい。硫化水素分解吸着材料の含有量が上記下限値以上であることで、硫化水素無害化の効果が十分に得られ易く、上記上限値以下であることで、硫化水素分解吸着材料を含有する層の機能(例えば、密着強度やシール強度等)の低下を抑制できる。
以上、本実施形態の蓄電デバイス用外装材の好ましい実施形態について詳述したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図1では、バリア層13の両面に腐食防止処理層14a,14bを有する外装材が示されているが、外装材は、腐食防止処理層14a,14bのいずれか一方のみを有していてもよく、腐食防止処理層14a,14bを有していなくてもよい。
図1では、第2の接着剤層12bを用いてバリア層13とシーラント層16とが積層されている外装材が示されているが、図2に示す蓄電デバイス用外装材20のように接着性樹脂層15を用いてバリア層13とシーラント層16とが積層されていてもよい。また、図2に示す蓄電デバイス用外装材20において、バリア層13と接着性樹脂層15との間に第2の接着剤層12bが設けられてもよい。
<接着性樹脂層15>
接着性樹脂層15は、主成分となる接着性樹脂組成物と必要に応じて添加剤成分とを含んで概略構成されている。接着性樹脂組成物は、特に制限されないが、変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸、並びにその酸無水物及びエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体により、グラフト変性されたポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、及びプロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂は無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂であることが好ましい。変性ポリオレフィン樹脂には、例えば、三井化学株式会社製の「アドマー」、三菱化学株式会社製の「モディック」などが適している。このような変性ポリオレフィン樹脂は、各種金属及び各種官能基を有するポリマーとの反応性に優れるため、該反応性を利用して接着性樹脂層15に密着性を付与することができる。また、接着性樹脂層15は、必要に応じて、例えば、各種相溶系及び非相溶系のエラストマー、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、並びに粘着付与剤等の各種添加剤を含有してもよい。
接着性樹脂層15の厚みは、特に制限されないが、応力緩和や水分透過の観点から、シーラント層16の厚みと同じ又はその厚み未満であることが好ましい。
また、蓄電デバイス用外装材20においては、接着性樹脂層15及びシーラント層16の合計の厚みは、薄膜化と高温環境下でのヒートシール強度の向上とを両立する観点から、5~100μmの範囲であることが好ましく、20~80μmの範囲であることがより好ましい。
外装材20において、硫化水素分解吸着材料は、接着性樹脂層15に含有されていてもよい。外装材20において、硫化水素分解吸着材料は、第1の接着剤層12a、接着性樹脂層15及びシーラント層16からなる群より選択される少なくとも一層に含有されていてよい。
[外装材の製造方法]
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材10の製造方法は、バリア層13に腐食防止処理層14a,14bを設ける工程と、第1の接着剤層12aを用いて基材層11とバリア層13とを貼り合わせる工程と、第2の接着剤層12bを介してシーラント層16をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体をエージング処理する工程とを含んで概略構成されている。
(バリア層への腐食防止処理層の積層工程)
本工程は、バリア層13に対して、腐食防止処理層14a,14bを形成する工程である。その方法としては、上述したように、バリア層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗布したりする方法などが挙げられる。
また、腐食防止処理層14a,14bが多層の場合は、例えば、下層側(バリア層13側)の腐食防止処理層を構成する塗布液(コーティング剤)をバリア層13に塗布し、焼き付けて第一層を形成した後、上層側の腐食防止処理層を構成する塗布液(コーティング剤)を第一層に塗布し、焼き付けて第二層を形成すればよい。
脱脂処理についてはスプレー法又は浸漬法にて行えばよい。熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて行えばよい。化成処理については化成処理のタイプに応じ、浸漬法、スプレー法、コート法などを適宜選択して行えばよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法については、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。
上述したように、各種処理は金属箔の両面又は片面のどちらでも構わないが、片面処理の場合、その処理面はシーラント層16を積層する側に施すことが好ましい。なお、要求に応じて、基材層11の表面にも上記処理を施してもよい。
また、第一層及び第二層を形成するためのコーティング剤の塗布量はいずれも、0.005~0.200g/mが好ましく、0.010~0.100g/mがより好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14a,14bの乾燥条件に応じて、母材温度として60~300℃の範囲で行うことができる。
(基材層とバリア層との貼り合わせ工程)
本工程は、腐食防止処理層14a,14bを設けたバリア層13と、基材層11とを、第1の接着剤層12aを介して貼り合わせる工程である。
基材層11としては、その表面における弾性率が2000MPa以下になるものを用いる。
貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した第1の接着剤層12aを構成する材料にて両者を貼り合わせる。第1の接着剤層12aは、ドライ塗布量として1~10g/mの範囲、より好ましくは2~7g/mの範囲で設ける。
(第2の接着剤層及びシーラント層の積層工程)
本工程は、バリア層13の第2の腐食防止処理層14b側に、第2の接着剤層12bを介してシーラント層16を貼り合わせて積層体を作製する工程である。
このとき、シーラント層16として、その表面における弾性率が2000MPa以下になるものを用いるとともに、積層体のループステフネス値が2300mN以下となるようにする。
貼り合わせの方法としては、ウェットプロセス、ドライラミネーション等が挙げられる。
ウェットプロセスの場合は、第2の接着剤層12bを構成する接着剤の溶液又は分散液を、第2の腐食防止処理層14b上に塗工し、所定の温度で溶媒を飛ばして乾燥造膜し、必要に応じてさらに焼き付け処理を行う。その後、シーラント層16を積層し、外装材10を製造する。塗工方法としては、先に例示した各種塗工方法が挙げられる。第2の接着剤層12bの好ましいドライ塗布量は、第1の接着剤層12aの好ましいドライ塗布量と同様である。
この場合、シーラント層16は、例えば、上述したシーラント層16の構成成分を含有するシーラント層形成用樹脂組成物を用いて、溶融押出成形機により製造することができる。溶融押出成形機では、生産性の観点から、加工速度を80m/分以上とすることができる。
(エージング処理工程)
本工程は、積層体をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、バリア層13/第2の腐食防止処理層14b/第2の接着剤層12b/シーラント層16間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温~100℃の範囲で行うことができる。エージング時間は、例えば、1~10日である。
このようにして、図1に示すような、本実施形態の外装材10を製造することができる。
次に、図2に示す外装材20の製造方法の一例について説明する。なお、外装材20の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材20の製造方法は、バリア層13に腐食防止処理層14a,14bを設ける工程と、第1の接着剤層12aを用いて基材層11とバリア層13とを貼り合わせる工程と、接着性樹脂層15及びシーラント層16をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。なお、基材層11とバリア層13とを貼り合わせる工程までは、上述した外装材10の製造方法と同様に行うことができる。
(接着性樹脂層及びシーラント層の積層工程)
本工程は、先の工程により形成された第2の腐食防止処理層14b上に、接着性樹脂層15及びシーラント層16を形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いて接着性樹脂層15をシーラント層16とともにサンドラミネーションする方法が挙げられる。さらには、接着性樹脂層15とシーラント層16とを押出すタンデムラミネート法、共押出法でも積層可能である。接着性樹脂層15及びシーラント層16の形成では、例えば、上述した接着性樹脂層15及びシーラント層16の構成を満たすように、各成分が配合される。シーラント層16の形成には、上述したシーラント層形成用樹脂組成物が用いられる。
このとき、シーラント層16として、その表面における弾性率が2000MPa以下になるものを用いるとともに、積層体のループステフネス値が2300mN以下となるようにする。
本工程により、図2に示すような、基材層11/第1の接着剤層12a/第1の腐食防止処理層14a/バリア層13/第2の腐食防止処理層14b/接着性樹脂層15/シーラント層16の順で各層が積層された積層体が得られる。
なお、接着性樹脂層15は、上述した材料配合組成になるように、ドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により押出すことで積層させてもよい。あるいは、接着性樹脂層15は、事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒した造粒物を、押出ラミネート機を用いて押出すことで積層させてもよい。
シーラント層16は、シーラント層形成用樹脂組成物の構成成分として上述した材料配合組成になるようにドライブレンドした材料を直接、押出ラミネート機により押し出すことで積層させてもよい。あるいは、接着性樹脂層15及びシーラント層16は、事前に単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサーなどの溶融混練装置を用いてメルトブレンドを施した後の造粒物を用いて、押出ラミネート機で接着性樹脂層15とシーラント層16とを押し出すタンデムラミネート法、又は共押出法で積層させてもよい。また、シーラント層形成用樹脂組成物を用いて、事前にキャストフィルムとしてシーラント単膜を製膜し、このフィルムを接着性樹脂とともにサンドラミネーションする方法により積層させてもよい。接着性樹脂層15及びシーラント層16の形成速度(加工速度)は、生産性の観点から、例えば、80m/分以上であることができる。
(熱処理工程)
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、バリア層13/第2の腐食防止処理層14b/接着性樹脂層15/シーラント層16間での密着性を向上させることができる。熱処理の方法としては、少なくとも接着性樹脂層15の融点以上の温度で処理する方法が好ましい。
このようにして、図2に示すような、本実施形態の外装材20を製造することができる。
[蓄電デバイス]
次に、本開示の蓄電デバイスの実施形態について説明する。
図3は、本開示の一実施形態に係る蓄電デバイスを示す斜視図である。図3に示されるように、蓄電デバイスとしての全固体電池50は、電池セル52と、電池セル52から電流を外部に取り出すための2つの金属端子(電流取出し端子)53と、電池セル52を気密状態で包含する外装袋54とを含んで構成される。外装袋54は、上述した本実施形態に係る外装材10を有しており、電池セル52を収容する容器として用いられる。外装材10では、基材層11が最外層であり、シーラント層16が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を全固体電池50の外部側、シーラント層16を全固体電池50の内部側となるように、1つのラミネートフィルムを2つ折りにして周縁部を熱融着することにより、又は、2つのラミネートフィルムを重ねて周縁部を熱融着することにより、内部に電池セル52を包含した構成となる。金属端子53は、シーラント層16を内側とする外装袋54によって挟持されている。金属端子53は、タブシーラントを介して、外装袋54によって挟持されていてもよい。
電池セル52は、一対の電極と、一対の電極の間に挟まれる固体電解質としての硫化物系電解質とを有する。一対の電極の一方は正極であり、他方は負極である。金属端子53は、集電体の一部が外装材10の外部に取り出されたものであり、銅箔やアルミ箔等の金属箔からなる。
全固体電池50によれば、全固体電池50に用いられる電池セル52が外装袋54の外装材10を介して加圧される場合に、その電池セル52の被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができる。このため、全固体電池50は、全固体電池50の電池セル52において、電極と固体電解質との界面における抵抗の均一性を向上させることができる。その結果、全固体電池50の性能(例えば充放電効率)を向上させることができる。
なお、全固体電池50では、外装袋54は、外装材10に代えて外装材20を有してもよい。また、固体電解質は、硫化物系固体電解質に限られず、酸化物系固体電解質などであってもよい。
さらに、蓄電デバイスは、全固体電池50に代えて、半固体電池などであってもよい。
なお、本開示の概要は以下のとおりである。
[1]電池セルを有する蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用外装材であって、少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備える積層体から構成され、前記積層体のループステフネス値が2300mN以下であり、前記基材層及び前記シーラント層の弾性率が2000MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
[2]前記バリア層が金属箔であり、前記バリア層の厚みが30~150μmである、[1]に記載の蓄電デバイス用外装材。
[3]前記基材層が二軸延伸のプラスチックフィルムであり、前記基材層の厚みが15~50μmである、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用外装材。
[4]前記シーラント層の厚みが25~100μmである[1]~[3]のいずれかに記載の蓄電デバイス用外装材。
[5]前記バリア層のループステフネス値が500mN以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の蓄電デバイス用外装材。
[6]一対の電極及び前記一対の電極の間に設けられる固体電解質を含む電池セルと、前記電池セルを収容する外装袋とを備え、前記外装袋が、[1]~[5]のいずれかに記載の蓄電デバイス用外装材を有する、蓄電デバイス。
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
<使用材料>
基材層、第1の接着剤層、第2の接着剤層、第1の腐食防止処理層形成用材料、第2の腐食防止処理層形成用材料及びバリア層として使用した材料は以下のとおりである。
(基材層)
・易成型ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ株式会社製、厚み12μm、15μm、25μm、50μm又は75μm、二軸延伸フィルム)
・ポリカーボネートフィルム(住化アクリル販売株式会社製、製品名「テクノロイ(登録商標)C000/C000Zポリカーボネート樹脂シート、厚み50μm)
(第1の接着剤層及び第2の接着剤層)
ポリエステルポリオール系主剤(東洋モートン社製)に対して、トリレンジイソシアネート(TDI)のアダクト体系硬化剤(東洋モートン社製)を配合したポリウレタン系接着剤
(第1の腐食防止処理層形成用材料及び第2の腐食防止処理層形成用材料)
第1の腐食防止処理層形成用材料(基材層側)及び第2の腐食防止処理層形成用材料(シーラント層側)は、以下の(CL-1)及び(CL-2)のとおりである。
(CL-1):溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度が10質量%になるように調整したポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル。
ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルにおいては、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩10質量部が配合された。
(CL-2):溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度が5質量%になるように調整した組成物。
組成物においては、「ポリアリルアミン(日東紡社製)」:「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)」を90:10(質量比)とした。
(バリア層)
・AL
焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、商品名:8079材、厚み:25μm、30μm、40μm、80μm、150μm又は200μm)
・SUS
SUS304(厚み:50μm)
<弾性率及びループステフネス値の測定方法>
(弾性率)
弾性率は、ナノインデンター(FISCHER社製 FISCHERSCOPE HM2000)を用いて測定した。このとき、圧子としては、先端がダイヤモンドチップからなる正三角錐(バーコビッチ型)の圧子を用いた。
具体的に、弾性率は、試験フィルム(基材層又はシーラント層)をガラス板の上に固定し、上記ナノインデンターを用い、25℃の環境下、試験フィルムの表面に圧子を5μmだけ押し込んだ状態で測定した。
(ループステフネス値)
ループステフネス値は、株式会社東洋精機製作所製のループステフネステスタDA-Sを用いて測定した。ループステフネス値は、具体的には以下のようにして測定した。
まず、幅15mm×長さ200mmの試験フィルムを用意した。
次に、試験フィルムの両端をチャックで固定することでループ長85mmのループを形成し、このループを圧子により圧縮速度3.3mm/分、圧縮時間3秒、圧縮距離20mmの条件で圧縮し、その時の圧子の荷重を測定した。
ループステフネス値としては、この試験で測定される荷重の最大値を採用した。なお、圧縮距離とは、圧子とチャックが最も近づいた時の距離を表す。
(実施例1)
まず、バリア層に、第1の腐食防止処理層及び第2の腐食防止処理層を以下の手順で設けた。
すなわち、バリア層の両方の面にそれぞれ、まず(CL-1)を、ドライ塗布量として70mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL-2)を、ドライ塗布量として20mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布した。こうして、バリア層の両方の面にそれぞれ、(CL-1)と(CL-2)からなる複合層を第1及び第2の腐食防止処理層として形成し、第1積層体を得た。これらの複合層は、(CL-1)と(CL-2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。
次に、第1の腐食防止処理層及び第2の腐食防止処理層を設けたバリア層(第1積層体)の第1の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第1の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけ、第1積層体と基材層との積層体(第2積層体)を得た。具体的には、バリア層の第1の腐食防止処理層側の面上にポリウレタン系接着剤を、硬化後の厚みが5μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥した後、基材層とラミネートし、80℃で120時間エージングすることで第2積層体を得た。
次いで、バリア層と基材層とを含む積層体(第2積層体)を押出ラミネート機の巻出部にセットし、第2の腐食防止処理層上に、酸変性ポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂層を共押し出ししてなるシーラント層を、酸変性ポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂層の厚みの比が1:2となるように熱ラミネートした。このとき、酸変性ポリプロピレン樹脂層が第2の腐食防止処理層に接着されるようにした。
こうして、外装材(基材層/第1の接着剤層/第1の腐食防止処理層/バリア層/第2の腐食防止処理層/シーラント層)を得た。
(実施例2~13及び比較例1)
基材層の弾性率、基材層の厚み、バリア層の材質、バリア層のループステフネス値、バリア層の厚み、シーラント層の材質、シーラント層の弾性率、シーラント層の厚み、積層体のループステフネス値を表1に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして外装材を得た。
(比較例2)
基材層をポリカーボネートフィルム(厚み:25μm)に変更し、基材層の弾性率、基材層の厚み、バリア層の材質、バリア層のループステフネス値、バリア層の厚み、シーラント層の材質、シーラント層の弾性率、シーラント層の厚み、積層体のループステフネス値を表1に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして外装材を得た。
(比較例3)
バリア層と基材層とを含む積層体(第2積層体)を押出ラミネート機の巻出部にセットし、第2の腐食防止処理層上に、ドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第2の接着剤層)を、硬化後の厚みが3μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥した後、厚みが80μmのポリカーボネートフィルムからなるシーラント層を貼り付け、80℃で120時間エージングしたこと以外は実施例1と同様にして外装材(基材層/第1の接着剤層/第1の腐食防止処理層/バリア層/第2の腐食防止処理層/第2の接着剤層/シーラント層)を得た。
<電池セルの作製>
正極、固体電解質及び負極をこの順に積層してなる電池セルを用意した。
<外装材の評価>
(圧力均一性)
圧力均一性は外装材について圧力分布評価試験を行い、その結果に基づいて評価した。圧力分布評価試験は以下のようにして行った。
まず、上記のようにして用意した電池セルを平面上に配置した。
次に、電池セルの上に、2枚の感圧紙を重ねて電池セルの上に配置した。そして、感圧紙の上から、外装材を介して電池セルを20kgで加圧して120秒間保持した後、プレス版を感圧紙から離した。
このとき、感圧紙としては、富士フィルム株式会社製の感圧紙(型番:LLLW)を用いた。ここで、感圧紙は、加圧されることにより発色する紙であり、加えられる圧力が高いほど濃い色を示すものであり、色の濃さに応じて圧力の値を特定できるものである。
そして、感圧紙の面内の色の濃度分布を観察した。こうして圧力分布試験を行った。
次に、感圧紙の濃度が最も高い箇所と最も濃度が低い箇所を特定し、濃度が最も高い箇所に対応する圧力(最大圧力)と最も濃度が低い箇所に対応する圧力(最小圧力)との差(圧力差)を求めた。そして、以下の基準に基づいて圧力均一性を評価した。結果を表1に示す。
[基準]
◎:圧力差が0.05MPa以下
○:圧力差が0.05MPaより大きく0.10MPa以下
×:圧力差が0.10MPaより大きい
(変形耐性)
外装材について圧力分布評価試験を行った後、外装材の基材層側表面及びシーラント層側の表面における変形(凹部)の跡を目視及び触診にて調べることにより、外装材の変形耐性を調べた。変形耐性は以下の基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
[基準]
A:目視で変形の跡が見えない
B:目視で変形の跡が見えるが、触っても分からない
C:目視で変形の跡が見えかつ触っても分かる
Figure 2024081908000002
表1に示す結果より、実施例1~13の外装材では、圧力均一性が「◎」又は「○」であった。これに対し、比較例1~3の外装材では、圧力均一性が「×」であった。
したがって、本開示の全固体電池用外装材によれば、蓄電デバイスに用いられる電池セルが外装材を介して加圧される場合に、その電池セルの被加圧面に加えられる圧力の均一性を向上させることができることが確認された。
10,20…蓄電デバイス用外装材、11…基材層、12a…第1の接着剤層、12b…第2の接着剤層、13…バリア層、14a…第1の腐食防止処理層、14b…第2の腐食防止処理層、15…接着性樹脂層、16…シーラント層、17…保護層、50…全固体電池(蓄電デバイス)、52…電池セル、53…金属端子、54…外装袋。

Claims (6)

  1. 電池セルを有する蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用外装材であって、
    少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備える積層体から構成され、
    前記積層体のループステフネス値が2300mN以下であり、
    前記基材層及び前記シーラント層の弾性率が2000MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
  2. 前記バリア層が金属箔であり、前記バリア層の厚みが30~150μmである、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  3. 前記基材層が二軸延伸のプラスチックフィルムであり、前記基材層の厚みが15~50μmである、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  4. 前記シーラント層の厚みが25~100μmである、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  5. 前記バリア層のループステフネス値が500mN以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  6. 一対の電極及び前記一対の電極の間に設けられる固体電解質を含む電池セルと、
    前記電池セルを収容する外装袋とを備え、
    前記外装袋が、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用外装材を有する、蓄電デバイス。

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