JP2024079401A - 粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】基板もしくは部品に対する粘着テープの貼付の際に、粘着層と半導体基板との界面における気泡の噛み込みの発生を的確に抑制または防止することができる粘着テープを提供すること。【解決手段】粘着テープ100は、樹脂材料を主材料として含有する基材4と、粘着性を有するベース樹脂を含有し、基材4の一方の面に積層された粘着層2とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられるものであり、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足する。【選択図】図2

Description

本発明は、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられる粘着テープに関するものである。
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
これらの半導体装置の製造方法としては、例えば、まず、基板としての半導体基板(半導体ウエハ)に粘着テープを貼付し、半導体基板の周囲をウエハリングで固定しながら、ダイシングソーを用いたダイシング工程で、半導体基板を厚さ方向に切断することで、半導体基板を個々の半導体素子(半導体チップ)に切断分離(個片化)する。次いで、ウエハリングを用いて粘着テープを放射状に引き伸ばすことで、隣接する半導体素子同士の間に間隙を形成するエキスパンディング工程の後、個片化した半導体素子を、ニードルを用いて突き上げた状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により、ピックアップするピックアップ工程を行う。次いで、このピックアップした半導体素子を金属リードフレームあるいは基板(例えばテープ基板、有機硬質基板等)に搭載するための搭載工程へ移送する。ピックアップされた半導体素子は、搭載工程で、例えば、アンダーフィル材を介してリードフレームあるいは基板に接着され、その後、リードフレームあるいは基板上で半導体素子を封止部により封止する封止工程を経ることで半導体装置が製造される。
このような半導体装置の製造に用いられる粘着テープ(ダイシングテープ)について、近年、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
この粘着テープは、一般に、基材(フィルム基材)と、この基材上に形成された粘着層とを有するものであり、粘着層により半導体基板が固定される。かかる構成をなす粘着テープでは、上述した半導体装置の製造方法の通り、半導体基板を厚さ方向に切断(ダイシング)することで半導体基板を複数の半導体素子に個片化するダイシング工程後に、粘着テープを放射状に引き伸ばすエキスパンディング工程を経ることで、隣接する半導体素子同士の間に間隙を形成した状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により、半導体素子をピックアップするピックアップ工程が実施される。
ここで、半導体装置を製造する各工程において、エキスパンディング工程の後のピックアップ工程から封止工程までを繰り返して実施することで、1枚の半導体基板から複数の半導体装置を得ることができるが、半導体基板を切断することで得られた複数の半導体素子のうちの数個が粘着テープ上に残存した状態で、ピックアップ工程から封止工程までの繰り返しを一旦停止し、この停止の後に再度、ピックアップ工程から封止工程までを繰り返すことがある。この際、半導体素子を保存もしくは異なるライン等に移送させる必要が生じた際には、停止の時間が例えば1日以上のように長くなることがある。すなわち、半導体素子に粘着テープを貼付した状態が長期に亘って維持されることがある。この場合、半導体素子の下面側において、通常、半導体素子が備える回路に電気的に接続された端子が形成されており、この半導体素子の下面側が粘着テープ(粘着層)に被覆されているが、半導体装置の製造の停止の後に、粘着テープにより被覆された端子において、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープを透過することに起因して、腐食が生じると言う問題があった。
また、このような問題は、基板としての半導体基板(半導体用ウエハ)を厚さ方向に切断することで、部品としての半導体素子を得る場合に限らず、複数の半導体素子を封止材で一括して封止した半導体素子封止連結体や、セラミック基板、および金属材料基板のような各種腐食性基板を厚さ方向に切断(個片化)した後に、個片化された半導体素子封止体や部品をピックアップすることで得る場合等においても同様に生じている。
特開2009-245989号公報
本発明は、基板もしくは部品に対して粘着テープを貼付した状態が、長期に亘って維持されたとしても、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープを透過するのを、的確に抑制または防止することができる粘着テープを提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(7)に記載の本発明により達成される。
(1) 樹脂材料を主材料として含有する基材と、粘着性を有するベース樹脂を含有し、前記基材の一方の面に積層された粘着層とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられる粘着テープであって、
当該粘着テープは、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを特徴とする粘着テープ。
(2) 前記樹脂材料は、エステル類高分子、スチレン系高分子、オレフィン系高分子、カーボネート系高分子、またはこれらの高分子の少なくとも1種が含有されている共重合物である上記(1)に記載の粘着テープ。
(3) 前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である上記(1)または(2)に記載の粘着テープ。
(4) 前記粘着層は、さらに、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂を含有し、前記エネルギーの付与により、前記粘着層上に仮固定された前記基板および前記部品のうちの少なくとも1種に対する粘着力が低下するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着テープ。
(5) 前記基材は、その厚さが30μm以上200μm以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の粘着テープ。
(6) 前記粘着層は、その厚さが5μm以上100μm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着テープ。
(7) 当該粘着テープは、前記粘着層上に、前記基板を固定した状態で、前記基板から前記基材の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、前記基板を個片化することで複数の前記部品を形成し、その後、当該粘着テープを面方向に伸長しつつ、前記部品を、前記基材側から突き上げた状態で、前記基材の反対側から引き抜くことで、前記粘着層から離脱させる際に用いられるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粘着テープ。
本発明によれば、基材と、この基材の一方の面に積層された粘着層とを備える粘着テープは、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足している。そのため、基板もしくは部品に対して粘着テープを貼付した状態が、長期に亘って維持されたとしても、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープを透過するのを、的確に抑制または防止することができる。したがって、例えば、基板に半導体基板が適用され、半導体基板が厚さ方向に切断されることで得られる部品としての半導体素子が粘着テープを貼付した状態が長期に亘って維持され、さらに、半導体素子の下面側に形成された端子が粘着テープ(粘着層)で被覆されている場合において、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープを透過することに起因して、半導体素子が備える端子に腐食が生じるのを、的確に抑制または防止することができる。
本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大断面図である。 本発明の粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。 図5に示す粘着テープを製造する方法を説明するための縦断面図である。
以下、本発明の粘着テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープを説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填され、このアンダーフィル材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように形成されたモールド部17が半導体封止材料の硬化物(封止材)で構成されており、これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
半導体チップ20(半導体素子)は、図1に示すように、半導体チップ本体部23(半導体素子本体部)と、半導体チップ本体部23の下面側から突出して設けられた端子21とを有している。半導体チップ本体部23は、その上面側に回路(図示せず)が作り込まれており、主としてSi、SiC、GaNまたはGaのような半導体材料で構成されている。
かかる構成の半導体装置10および半導体チップ20は、例えば、粘着テープを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
図2、図3は、図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図、図4は、図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大断面図である。なお、以下の説明では、図2~図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
[1A]まず、基材4と、基材4の上面に積層された粘着層2とを有する積層体により構成された粘着テープ100を用意し、図2(a)に示すように、その中心部122に半導体基板7(半導体用ウエハ)を、粘着層2の上に置き、軽く押圧し、半導体基板7を積層することで、半導体基板7に対して粘着テープ100を貼付する(貼付工程)。
この半導体基板7には、本実施形態では、その上面に個片化することで形成される半導体チップ20(半導体チップ本体部23)が備える回路が予め形成され、また、下面には端子21が予め形成されており、半導体基板7は、回路が形成されている側の上面を粘着層2の反対側にして粘着テープ100に貼付されている。そのため、粘着層2には、半導体基板7の端子21が形成されている側の下面が接合される。なお、半導体基板7は、その下面に前記回路と端子21との双方が形成された構成をなすものであってもよく、この場合、この半導体基板7は、前記回路と端子21とが形成されている下面を粘着層2側にして粘着テープ100に貼付される。
また、半導体基板7に対して粘着テープ100を貼付する方法としては、上記の方法に限らず、例えば、半導体基板7の一端から他端に向かって、粘着テープ100を連続的にラミネートするラミネート法等であってもよい。
[2A]次に、図2(b)に示すように、半導体基板7が積層された粘着テープ100をダイサーテーブル200の上に設置する。
[3A]次に、粘着層2の外周部121をウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて基板としての半導体基板7を切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化することで粘着テープ100上に部品としての半導体チップ20を得る(個片化工程;図2(c)参照)。
この際、粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体基板7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
また、ブレードを用いた半導体基板7の切断は、図2(c)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施する。これにより、半導体基板7の個片化を確実に実施することができる。
なお、この際、半導体基板7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体基板7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、半導体基板7には切削水を供給しつつ、半導体基板7が切断される。
[4A]次に、ウエハリング9で固定した、半導体基板7を貼付した粘着テープ100をダイシング装置(図示せず)からピックアップ装置(図示せず)に移し、粘着層2の外周部121においてウエハリング9により固定した状態で、テーブル300の外周部320に対して、その中心部310を上方に突き上げることで、粘着テープ100を放射状に引き伸ばし、これにより、個片化した半導体基板7すなわち部品としての半導体チップ20同士の間に、一定の間隔を有する間隙を形成する(エキスパンディング工程;図2(d)参照。)。
なお、次工程[5A]に先立って、粘着層2に対してエネルギーを付与することで、半導体チップ20に対する粘着力を低下させるが、この粘着層2に対するエネルギーの付与は、本工程[4A]における、エキスパンディング工程の後であってもよいし、エキスパンディング工程に先立って実施してもよい。
[5A]次に、前記工程[4A]を経ることにより、間隙が形成された状態で、ステージ400上において、半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;図2(e)参照。)。
この半導体チップ20のピックアップは、前記工程[4A]における、粘着テープ100を放射状に引き伸ばす前記エキスパンディング工程の後に、例えば、ニードル430(図2においては図示せず)を、図4(a)に示すように、エジェクターヘッド410に収納されている状態から、図4(b)に示すように、エジェクターヘッド410から突出された状態とする。すなわち、ニードル430を、厚さ方向に突出させる。その結果、粘着テープ100に貼付された半導体チップ20が、ニードル430を用いて突き上げられ、これにより、粘着テープ100から剥離させた状態とされ、その後、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等により、図4(c)に示すように、半導体チップ20がピックアップされる。
以上のような工程[1A]~工程[5A]を経ることにより、粘着テープ100を用いて、半導体基板7から半導体チップ20が分離(個片化)される。すなわち、粘着テープ100が備える粘着層2上に、半導体基板7を固定した状態で、半導体基板7から基材4の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、半導体基板7を個片化することで複数の半導体チップ20を形成する。その後、半導体チップ20同士の間に一定間隔の間隙を形成した後に、さらに、基材4側から半導体チップ20を突き上げた状態として、基材4の反対側から引き抜くことにより、半導体チップ20が粘着層2から分離される。
この本工程[5A]において、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[5A]における、基板としての半導体基板7を個片化することで得られた部品としての半導体チップ20に対する粘着テープ100の貼付において、粘着テープ100として、その水蒸気透過度(透湿度)が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足しているものが用いられる。
ここで、以下で説明する通り、本工程[5A]~下記工程[9A]を繰り返して実施することで、1枚の半導体基板7から複数の半導体装置10が得られるが、半導体基板7を切断することで得られた複数の半導体チップ20のうちの数個が粘着テープ100上に残存した状態で、前記工程[5A]~前記工程[9A]の繰り返しを一旦停止し、この停止の後に再度、前記工程[5A]~前記工程[9A]を繰り返すことがある。この際、半導体チップ20を保存もしくは異なるライン等に移送させる必要が生じた際には、停止の時間が例えば1日以上のように長くなることがある。この場合、粘着テープ100の水蒸気透過度が高過ぎると、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに起因して、半導体チップ20下面において、粘着テープ100(粘着層2)で被覆された、半導体チップ20が備える端子21が水蒸気に接触し、その結果、端子21が腐食すると言う問題が生じることがある。これに対して、本発明では、上記の通り、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足することで、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに基づく、端子21に対する水蒸気の接触を、的確に抑制し得るため、端子21における腐食の発生を、的確に抑制または防止することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
[6A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させた後、図3(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30上に載置する。すなわち、半導体チップ20の端子21が形成された面を下側にして、半導体チップ20(半導体素子)をインターポーザー30(基板)上に載置する。
[7A]次に、図3(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;図3(c)参照。)。
[8A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;図3(d)参照。)。
[9A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17(封止部)を形成することで、半導体チップ20をインターポーザー30とモールド部17とで封止するとともに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(図3(e)参照。)。
ここで、モールド部17による封止は、例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意し、この内部空間内に配置された半導体チップ20とインターポーザー30とを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物とすることにより行われる。
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]~[9A]を実施した後に、前記工程[5A]~[9A]を繰り返して実施することで、1つの半導体基板7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
以下、このような半導体装置10の製造方法に用いられる、本発明の粘着テープ100について説明する。
<粘着テープ>
図5は、本発明の粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
粘着テープ100(本発明の粘着テープ)は、樹脂材料を主材料として含有する基材4と、粘着性を有するベース樹脂を含有し、基材4の一方の面に積層された粘着層2と、を備える積層体により構成されるものであり、JIS K 7129(B法)に準拠して測定された、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足するものである。
ここで、前記工程[5A]~前記工程[9A]を繰り返して実施することで、1枚の半導体基板7から複数の半導体装置10が得られるが、半導体基板7を切断することで得られた複数の半導体チップ20のうちの数個が粘着テープ100上に残存した状態で、前記工程[5A]~前記工程[9A]の繰り返しを一旦停止し、この停止の後に再度、前記工程[5A]~前記工程[9A]を繰り返すことがある。この際、半導体チップ20を保存もしくは異なるライン等に移送させる必要が生じた際には、停止の時間が例えば1日以上のように長くなることがある。すなわち、半導体チップ20に粘着テープ100を貼付した状態が長期に亘って維持されることがある。この場合、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに起因して、半導体チップ20下面において、粘着テープ100(粘着層2)で被覆された、半導体チップ20が備える端子21が水蒸気に接触し、その結果、端子21が腐食すると言う問題があった。かかる問題点を解決することを目的に、半導体チップ20の下面側において、粘着テープ100(粘着層2)により被覆される端子21にまで、外気中に含まれる水蒸気が、粘着テープ100を介して到達するのを、抑制または防止されることが求められる。
このように求められる粘着テープ100の要求特性に対して、本発明者の検討により、上記の通り、粘着テープ100は、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足するものとされている。
上記のように、本発明では、粘着テープ100の水蒸気透過度を小さく設定している。したがって、前記工程[5A]~前記工程[9A]の複数回の繰り返しの途中において、半導体チップ20に粘着テープ100を貼付した状態が、1日以上のように、たとえ長期に亘って維持されることがあったとしても、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに基づく、端子21に対する水蒸気の接触を、的確に抑制することができる。したがって、端子21における腐食の発生を、的確に抑制または防止することができる。
以下、この粘着テープ100(ダイシングテープ)が有する基材4および粘着層2について、詳述する。
なお、粘着テープ100は、本実施形態では、このものが備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性が低下する機能を有するものである。
このような粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、粘着層2にエネルギー線を照射する方法および粘着層2を加熱する方法等が挙げられるが、中でも、半導体チップ20が不要な熱履歴を経る必要がないことから、粘着層2にエネルギー線を照射する方法が好適に用いられる。そのため、以下では、粘着層2として、エネルギー線の照射により前記粘着性が低下するものを代表に説明する。
<基材4>
基材4は、主材料としての樹脂材料を含有し、この基材4上に設けられた粘着層2を支持する機能を有している。また、前記工程[4A]における、粘着テープ100を面方向に対して伸長するエキスパンディング工程において、その伸長を、実現させるためのものである。さらに、前記工程[5A]における、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップするピックアップ工程において、ニードル430による突き上げを実現させるためのものである。そして、本発明では、前述の通り、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足させるための層である。ここで、以下に示す樹脂材料を主材料として構成される基材4と、後述するような構成をなす粘着層2とでは、これらの水蒸気透過度が基材4の方が低く、これに起因して、基材4の水蒸気透過度が粘着テープ100の水蒸気透過度を決定する律速成分であることが、本発明者による検討により明らかとなっている。
なお、本明細書中において、「主材料」とは、このものを含有する基材(層)を構成する構成材料のうち、50重量%以上含有する構成材料のことを言うこととする。
この樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレンのようなポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂(オレフィン系高分子)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体のようなアイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系高分子)、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのようなオレフィン系熱可塑性エラストマー(オレフィン系高分子)、アクリル樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられ、中でも、エステル類高分子、スチレン系高分子、オレフィン系高分子、カーボネート系高分子、またはこれらの高分子の少なくとも1種が含有されている共重合物であることが好ましい。
これらの樹脂材料は、光(可視光線、近赤外線、紫外線)、X線、電子線等のエネルギー線を透過し得る材料であることから、前記工程[4A]において、エネルギー線を基材4側から基材4を透過させて粘着層2に照射する場合に好ましく用いることができる。
特に、樹脂材料としては、エラストマーの単独物、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、またはポリエチレンとエラストマーとの混合物を用いることが好ましい。これにより、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
また、このエラストマーとしては、上述した、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびポリエステル系熱可塑性エラストマーの中でも、特に、ポリスチレンセグメントと、ビニルポリイソプレンセグメントとから成るブロック共重合体であるスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。これにより、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、より容易に満足させることができる。
また、基材4は、主材料として含まれる樹脂材料中に分散する、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。導電性材料が基材4に含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、基材4の他方の面(下面)側の表面抵抗値を低下させることができる。そのため、前記工程[3A]において、ダイシングソーを用いて、半導体基板7を厚さ方向に切断することで個片化された半導体チップ20を得る際、さらには、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、半導体チップ20における静電気の発生を的確に防止または抑制して、この半導体チップ20をピックアップすることができる。
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、導電性高分子、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、PEDOT(poly-ethylenedioxythiophene)、PEDOT/PSS、ポリ(p-フェニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリチオフェンまたはその誘導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)が挙げられる。
ポリアニリンまたはその誘導体としては、例えば、ポリアニリン、ポリメチルアニリン、ポリメトキシアニリン等が挙げられる。
さらに、ポリピロールまたはその誘導体としては、例えば、ポリピロール、ポリ3-メチルピロール、ポリ3-オクチルピロール等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエステルアミド系、ポリエーテルエステルポリオレフィン系、ポリエーテルエステルアミド系、ポリウレタン系等の全てのIDPを用いることができる。
さらに、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
また、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
これらの中でも、導電性材料としては、導電性高分子、永久帯電防止高分子(IDP)、金属酸化物材料およびカーボンブラックのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらのものは、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、基材4が加熱されたとしても、抵抗値の変化量を小さくすることができる。
また、基材4における、導電性材料の含有量は、導電性材料の種類によっても若干異なるが、5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。これにより、基材4の他方の面側の表面抵抗値を、確実に低く設定することができる。
さらに、基材4は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
また、基材4における前記樹脂材料の含有量は、50重量%以上95重量%以下であることが好ましく、65重量%以上90重量%以下であることがより好ましい。これにより、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
さらに、基材4の厚さは、特に限定されないが、例えば、30μm以上200μm以下であるのが好ましく、40μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材4の厚さがこの範囲内であると、前記工程[3A]における半導体基板7のダイシングを、優れた作業性により実施することができる。また、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。さらに、前記工程[4A]において、個片化された半導体チップ20が貼付された粘着テープ100を放射状に引き伸ばす際、および、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、基材4において破断が生じるのを、より的確に防止することができる。
また、基材4は、延伸または未延伸されたもののいずれであってもよいが、MD(流れ方向)に沿って一軸延伸されたものであることが好ましい。
基材4をMDに沿って一軸延伸する場合、基材4の延伸倍率は、特に限定されないが、例えば、1.5以上11.0以下であるのが好ましく、1.8以上10.5以下であるのがより好ましい。これにより、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、より容易に満足させることができる。
なお、基材4の上記延伸は、製造時に押出機を使用した場合、押出機のダイからの引き落としによって延伸することができる。具体的には、押出機を使用して、基材4を構成する樹脂組成物をフィルムに成形する成形工程において、通常の押出成形に従い、押出機のシリンダー内で基材4を構成する樹脂組成物を溶融体にした後、押出機のダイから引き落として空気中または水中、もしくは冷却ロール等で冷却することによって、フィルムとして基材4が成形される。上記引き落とし時の温度条件、引き落とし強度の条件等によって、基材4(フィルム)を適切な延伸倍率で延伸することができる。
基材4の表面粗さRaは、例えば、0.2μm以上2.0μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上1.5μm以下であるのがより好ましい。基材4の表面粗さRaがこの範囲内であると、基材4と粘着層2との密着性の向上が図られる。前記工程[4A]において、個片化された半導体チップ20が貼付された粘着テープ100を放射状に引き伸ばす際、および、前記工程[5A]において、半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、基材4と粘着層2との間で剥離が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、基材4は、その表面に、粘着層2に含まれる構成材料と反応性を有する、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していることが好ましい。
また、基材4は、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足させ得るものであれば、異なる前記樹脂材料または前記導電性材料を含有する層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
なお、基材4を積層体で構成する場合には、奇数の層が積層された奇数層からなるものが好ましい。さらに、奇数層とする場合、その中央に位置する層を中心として、同一の構成材料、構成材料の含有量等からなる同一の層が両側に対称となって積層された対称構造のものがより好ましい。これにより、前記工程[4A]において、エネルギー線を基材4側から基材4を透過させる場合には、基材4におけるエネルギー線の透過率を向上させ得ることから、粘着層2にエネルギー線を高効率に照射することができる。
<粘着層2>
粘着層2は、本実施形態では、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[4A]において、粘着層2にエネルギーを付与して粘着層2が硬化することにより、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20を、前記工程[5A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものである。
このような粘着層2は、(1)粘着性を有するベース樹脂と、(2)粘着層2を硬化させる硬化性樹脂とを、これらのうちいずれかを主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、詳述する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体基板7に対する粘着性を粘着層2に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、ベース樹脂として好ましく用いられる。さらに、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
アクリル系樹脂は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、アクリル系樹脂による半導体基板7等の汚染を防止するという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万以上500万以下に設定され、より好ましくは40万以上400万以下に設定され、さらに好ましくは50万以上150万以下に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、30万未満であると、半導体基板7等に対する汚染防止性が低下し、その結果、半導体チップ20を剥離させた際に糊残りが生じるおそれがある。
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基(特に、ヒドロキシル基)のような、架橋剤や光重合開始剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤や光重合開始剤がポリマー成分であるアクリル系樹脂に連結するため、粘着層2からこれら架橋剤や光重合開始剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。その結果、前記工程[5A]に先立つ粘着層2に対するエネルギーの付与により、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性が確実に低下される。
(2)硬化性樹脂
硬化性樹脂は、例えば、エネルギー線の照射により硬化する硬化性を備えるものである。この硬化によってベース樹脂が硬化性樹脂の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層2の粘着力が低下する。
このような硬化性樹脂としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素-炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2-プロペニル-ジ-3-ブテニルシアヌレート等の炭素-炭素二重結合含有基を有しているシアヌレート系化合物、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、2-ヒドロキシエチル ビス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2-アクリロキシエチル)2-[(5-アクリロキシヘキシル)-オキシ]エチルイソシアヌレート、トリス(1,3-ジアクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(1-アクリロキシエチル-3-メタクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(4-アクリロキシ-n-ブチル)イソシアヌレートのような炭素-炭素二重結合含有基を有しているイソシアヌレート系化合物、市販のオリゴエステルアクリレート、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート、ビスフェノールA系のエポキシアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種が含まれることが好ましい。これにより、エネルギーの付与、すなわちエネルギー線の照射により硬化性樹脂をより確実に硬化させることができる。また、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
また、硬化性樹脂には、特に限定されないが、重量平均分子量の異なる2つ以上の硬化性樹脂が混合されているのが好ましい。このような硬化性樹脂を利用すれば、エネルギー線照射による樹脂の架橋度を容易に制御することができる。また、このような硬化性樹脂として、例えば、第1の硬化性樹脂と、第1の硬化性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の硬化性樹脂との混合物等が用いられてもよい。
硬化性樹脂を、第1の硬化性樹脂と、第2の硬化性樹脂との混合物とする場合、第1の硬化性樹脂の重量平均分子量は、100~1000程度であることが好ましく、200~500程度であることがより好ましい。また、第2の硬化性樹脂の重量平均分子量は、1000~30000程度であることが好ましく、1000~10000程度であることがより好ましく、2000~5000程度であることがさらに好ましい。さらに、第1の硬化性樹脂の官能基数は、1~5官能基であることが好ましく、第2の硬化性樹脂の官能基数は、6官能基以上であることが好ましい。かかる関係を満足することにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
硬化性樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して30重量部以上200重量部以下で配合されることが好ましく、50重量部以上140重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、樹脂組成物中に、硬化性樹脂およびベース樹脂を、それぞれ添加することにより発揮される機能を、硬化性樹脂とベース樹脂との双方に確実に発揮させることができる。また、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
なお、この硬化性樹脂は、前述したアクリル系樹脂として、二重結合導入型アクリル系樹脂を用いた場合、すなわち、炭素-炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているものを用いた場合には、その樹脂組成物中への添加を省略するようにしてもよい。これは、アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、エネルギー線の照射により、二重結合導入型アクリル系樹脂が備える炭素-炭素二重結合の機能によって、粘着層2が硬化し、これにより、粘着層2の粘着力が低下することによる。
(3)光重合開始剤
また、粘着層2は、エネルギー線の照射により半導体基板7に対する粘着性が低下するものであるが、エネルギー線として紫外線等を用いる場合には、粘着層2を構成する樹脂組成物には、硬化性樹脂の重合開始を容易とするために光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾイン、ジベンジル、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン、2-ナフタレンスルホニルクロリド、1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラートのようなアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、β-クロールアンスラキノン、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ポリビニルベンゾフェノン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上10重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように光重合開始剤の配合量を調整することによって、樹脂組成物中に、光重合開始剤を添加することにより発揮される機能を、光重合開始剤に確実に発揮させることができる。
(4)架橋剤
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層2を適度な硬さを有するものに調整することができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、多価イソシアネートとして、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-〔2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも2,4-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下で配合されることが好ましく、0.1重量部以上20重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
(5)可塑剤
可塑剤は、粘着力がエネルギーの付与により低下する粘着層2において、その柔軟性を向上させ得ることから、粘着層2、すなわち、樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
この可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着層2すなわち樹脂組成物中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上3.0重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、粘着層2の柔軟性を確実に向上させることができる。
(6)その他の成分
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(5)の他に他の成分として、導電性材料、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材4に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
基材4および粘着層2のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材4に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
また、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような、粘着層2に含まれる、成分(1)、(2)を必須成分とする各成分(1)~(6)の種類、および含有量を適宜選択することにより、粘着層2を、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[4A]において、粘着層2にエネルギーを付与して粘着層2を硬化させることで、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20を、前記工程[5A]において、ピックアップし得る程度の粘着性を有するものとし得る。
また、粘着層2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上100μm以下であるのが好ましく、5μm以上50μm以下であるのがより好ましい。粘着層2の厚さをかかる範囲内とすることで、粘着層2を、前記個片化工程[3A]において、半導体基板7に対する良好な粘着力を発揮し、かつ、前記ピックアップ工程[5A]において、粘着層2と半導体基板7との間において、良好な剥離性を発揮する程度の粘着性を備えるものとし得る。また、粘着テープ100の水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを、比較的容易に満足させることができる。
なお、粘着層2は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
また、粘着層2は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[4A]において、粘着層2に対するエネルギーの付与を省略しても、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20をピックアップし得る粘着性を有するものであれば、粘着層2を構成する樹脂組成物における硬化性樹脂の添加が省略されたものであってもよい。すなわち、粘着層2は、粘着層2に対してエネルギーを付与したとしても、その粘着力が低下しないものであってもよい。
かかる構成をなす粘着テープ100は、本発明では、JIS K 7129(B法)に準拠して測定された、水蒸気透過度は、その上限値が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足すればよいが、15.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足することが好ましく、10.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足することがより好ましい。これにより、前記工程[5A]~前記工程[9A]の複数回の繰り返しの途中において、半導体チップ20に粘着テープ100を貼付した状態が、たとえ長期に亘って維持されることがあったとしても、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに基づく、端子21に対する水蒸気の接触を、より的確に抑制することができる。したがって、端子21における腐食の発生を、より的確に抑制または防止することができる。
また、粘着テープ100の水蒸気透過度は、その下限値が3.0g/m2・日(40℃・90%RH)以上であることを満足するのが好ましく、5.0g/m2・日(40℃・90%RH)以上であることを満足するのがより好ましい。
このように、粘着テープ100の水蒸気透過度が上記下限値以上であることを満足することで、前記工程[1A]において、半導体基板7に対して粘着テープ100を貼付する際に、粘着層2と半導体基板7との間にたとえ空気すなわち気泡が残存したとしても、この粘着テープ100を介して、気泡中に含まれる水蒸気を外気中に排出し得ることから、結果的に、粘着層2と半導体基板7との界面において、気泡が噛み込んでしまうのを、的確に抑制または防止することができる。その結果、前記工程[3A]において、ダイシングソーを用いて、半導体基板7を厚さ方向に切断することで個片化された半導体チップ20を得る際に、半導体チップ20にチップ欠け(チッピング)が発生するのを防止すること、さらには、前記工程[3A]において、個片化された半導体チップ20をニードル430により突き上げた状態としてピックアップする際に、このピックアップ性が低下するのを防止することができる。
さらに、粘着テープ100は、水蒸気透過度が上記下限値以上であることを満足するだけではなく、JIS K 7126-2に準拠して測定された、その酸素透過度が800cc/m・日(25℃・60%RH)以上であることを満足するのが好ましく、2,000cc/m・日(25℃・60%RH)以上3,500cc/m・日(25℃・60%RH)以下であることがより好ましい。このように、粘着テープ100は、粘着テープ100の水蒸気透過度が上記下限値以上であることを満足するだけではなく、その酸素透過度が1,000cc/m・日(25℃・60%RH)以上であることを満足することで、粘着テープ100を、空気中に含まれる水蒸気だけではなく酸素についても、その透過性が優れたものであると言うことができる。そのため、前記工程[1A]において、半導体基板7に対して粘着テープ100を貼付する際に、粘着層2と半導体基板7との間にたとえ空気すなわち気泡が残存したとしても、この粘着テープ100を介して気泡を外気中に、さらに効率よく排出させることができる。
また、粘着テープ100は、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足することで、粘着テープ100における水蒸気の透過を抑制することができる。その結果、半導体チップ20に粘着テープ100を貼付した状態が長期に亘って維持されたとしても、粘着テープ100(粘着層2)により被覆された端子21における腐食の発生を抑制または防止することができるが、その腐食の程度は、具体的には、以下に示す基準を満足するのが好ましい。すなわち、粘着テープ100の粘着層2上に、厚さ625mm、長さ4インチのシリコンウエハの一方の面に、厚さ1.0μmの銅薄膜が成膜された切片を、40℃、90%RHの条件下において、銅薄膜を粘着層2側として固定し、その後、10日放置する。そして、シリコンウエハを厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得る。その後、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mj/cmの条件で紫外線を照射することでエネルギーを付与して粘着層2を硬化させた後に、シリコンチップを、ニードルを用いて突き上げた状態を維持したまま、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップする。そして、このシリコンチップについて、シリコンチップが備える銅薄膜における変色(腐食)の有無を目視にて確認する。この銅薄膜の変色を目視にて観察したとき、酸化していない銅の色を1点、酸化銅(CuO)の色を10点として、色の濃さの度合いに基づいて10段階に区分けした場合、目視観察された、変色による色の濃さ評価点が、1点以上3点未満であることが好ましく、1点以上2点未満であることがより好ましい。これにより、半導体チップ20に粘着テープ100を貼付した状態が長期に亘って維持されたとしても、粘着テープ100(粘着層2)により被覆された端子21における腐食の発生が的確に抑制または防止されていると言える。
また、粘着テープ100は、その水蒸気透過度および酸素透過度のうちの少なくとも一方が、前記下限値以上であることを満足することで、粘着層2と半導体基板7との界面における気泡の噛み込みを抑制または防止することができるが、その噛み込みの程度は、具体的には、以下に示す基準を満足するのが好ましい。すなわち、粘着テープ100の粘着層2上に、厚さ625μm、長さ4インチのシリコンウエハを、その鏡面を粘着層2側として、40℃の条件下において、固定し、その後、1時間放置した後において、粘着層2と半導体基板7との界面に形成されている気泡は、面積が1000μm以上のものの数が、2.0個/cm以下であることが好ましく、1.0個/cm以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[1A]において、半導体基板7に対して粘着テープ100を貼付する際に、粘着層2と半導体基板7との界面で、気泡の噛み込みが発生しているのを、的確に抑制または防止されていると言える。
次に、かかる構成の粘着テープ100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
<粘着テープの製造方法>
図6は、図5に示す粘着テープを製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1B]まず、基材4を用意する(図6(a)参照。)。
基材4の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、カレンダー法、インフレーション押出し法、Tダイ押出し法のような押出成形法、湿式キャスティング法等の一般的な成形方法が挙げられる。なお、基材4が積層体で構成される場合、かかる構成のその基材4の製造方法としては、例えば、共押出し法、ドライラミネート法等の成形方法が用いられる。
また、基材4は、無延伸で用いることができ、さらに、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施したものを用いるようにしてもよい。なお、基材4をMDに沿って一軸延伸する上記延伸は、前述した通り、製造時に押出機を使用した場合、押出機のダイからの引き落としによって延伸することができる。
[2B]次に、基材4の上面に粘着層2を形成する(図6(b)参照。)。
基材4の表面(上面)には、基材4と粘着層2との密着性を向上させることを目的に、コロナ処理、クロム酸処理、マット処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理、プライマー処理、アンカーコート処理のような表面処理が施されていてもよい。
また、粘着層2は、基材4上に、粘着層2の構成材料である樹脂組成物を溶剤に溶解してワニス状にした液状材料を、塗布または散布した後、溶剤を揮発させることにより得ることができる。
なお、溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材4上への液状材料の塗布または散布は、例えば、ダイコート、カーテンダイコート、グラビアコート、コンマコート、バーコートおよびリップコート等の方法を用いて行うことができる。
[3B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、中心側と外周側とが分離されるように、粘着層2の厚さ方向に基材4を残存させて円環状に粘着層2の一部を除去することにより、粘着層2を中心部122と外周部121とを備えるものとする(図6(c)参照。)。
粘着層2の一部を円環状に除去する方法としては、例えば、除去すべき領域を取り囲むように打ち抜いた後、この打ち抜かれた領域に位置する粘着層2を除去する方法が挙げられる。
また、除去すべき領域に対する打ち抜きは、例えば、ロール状金型を用いる方法や、プレス金型を用いる方法を用いて行うことができる。中でも、連続的に粘着テープ100を製造することができるロール状金型を用いる方法が好ましい。
なお、本工程では、粘着層2の一部をリング状(円形状)に打ち抜いて中心部122と外周部121とを形成したが、粘着層2の一部を打ち抜く形状は、前述した半導体装置の製造方法において、粘着層2の外周部121をウエハリングで固定できる形状となっていれば如何なる形状のものであってもよい。具体的には、打ち抜く形状としては、例えば、上述した円形状の他、楕円状、俵型状のような長円状や、四角形状、五角形状のような多角形状等が挙げられる。
[4B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、セパレーター1を積層することにより、粘着層2がセパレーター1で被覆された粘着テープ100を得る(図6(d)参照。)。
粘着層2にセパレーター1を積層する方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールを用いたラミネート方法、プレスを用いたラミネート方法を用いることができる。これらの中でも、連続的に生産できるという生産性の観点から、ロールを用いたラミネート方法が好ましい。
なお、セパレーター1としては、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。
また、セパレーター1は、粘着テープ100の使用時に剥がされるために、表面を離型処理されたものを使用してもよい。離型処理としては離型剤をセパレーター1の表面にコーティングする処理や、セパレーター1の表面に細かい凹凸をつける処理等が挙げられる。なお、離型剤としては、シリコーン系、アルキッド系、フッ素系等のものが挙げられる。
以上のような工程を経て、セパレーター1で被覆された粘着テープ100を形成することができる。
なお、本実施形態で製造されたセパレーター1で被覆された粘着テープ100は、前述した粘着テープ100を用いた半導体装置の製造方法において、粘着テープ100をセパレーター1から剥離した後に使用される。
また、セパレーター1が被覆する粘着層2から、このセパレーター1を剥がす際には、粘着層2の面に対してセパレーター1を90°以上180°以下の角度で剥離を行うことが好ましい。セパレーター1を剥離する角度を前記範囲とすることで、粘着層2とセパレーター1との界面以外での剥離を確実に防止することができる。
以上、本発明の粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の粘着テープが備える各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成されるものの他、複数の層で構成されるものであってもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えるものであってもよい。
また、粘着テープが備える各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
さらに、粘着テープを用いて形成する半導体装置の構成によっては、半導体装置10が備えるモールド部17の形成を省略することもできる。
また、粘着テープが貼付された半導体基板を厚さ方向に切断(ダイシング)することで、切断片すなわち部品として半導体チップを得る場合に限らず、粘着テープ上に基板を仮固定した状態で、基板を厚さ方向に切断することで部品を得た後に、部品を粘着テープから剥離させる必要が生じる各種の基板加工用途にも、本発明の粘着テープを適用することができる。本発明の粘着テープにより貼付される基板としては、上述した半導体基板(半導体用ウエハ)の他に、例えば、複数の半導体素子を封止材で一括して封止した半導体素子封止連結体や、アルミナ、窒化ケイ素、酸化チタンなどのセラミック基板、鉄、銅などの金属材料基板のような腐食性基板等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
(ポリオレフィン系樹脂1)
ポリオレフィン系樹脂1として、ポリプロピレン(ホモPP、住友化学社製、「FS2011DG-2」、MFR2.0)を用意した。
(ポリ塩化ビニル系樹脂1)
ポリ塩化ビニル系樹脂1として、ポリ塩化ビニル(PVC、平均重合度1000)を用意した。
(ポリエステル系樹脂1)
ポリエステル系樹脂1として、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡社製、「コスモシャインA4300」)を用意した。
(ポリスチレン系樹脂1)
ポリスチレン系樹脂1として、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、旭化成ケミカルズ社製、「H1062」、スチレン含有率18重量%)を用意した。
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
(ベース樹脂1~3)
ベース樹脂1~3として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルのうちの少なくとも2種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1~3におけるガラス転移点および重量平均分子量は、以下に示す通りであった。
ベース樹脂1(ガラス転移点:-14℃、重量平均分子量:50万)
ベース樹脂2(ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万)
ベース樹脂3(ガラス転移点:-45℃、重量平均分子量:50万)
(硬化性樹脂1)
硬化性樹脂1として、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、品番:DPHA)を用意した。
(硬化性樹脂2)
硬化性樹脂2として、ウレタンアクリレート1(Miwon Specialty Chemical社製、品番:SC2152)を用意した。
(硬化性樹脂3)
硬化性樹脂3として、ウレタンアクリレート2(日本化薬社製、品番:UX-5103)を用意した。
(架橋剤1)
架橋剤1として、ポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
(可塑剤1)
可塑剤1として、ジオクチルフタレート(DOP、東京化成工業社製)を用意した。
(光重合開始剤1)
光重合開始剤1として、ベンジルジメチルケタール(東京化成工業社製)を用意した。
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂1(60.0重量%)、ポリスチレン系樹脂1(40.0重量%)が配合された樹脂組成物を押出し機で押し出して、厚さ80.0μmの基材4を作製した。なお、基材4は、押出し機から押し出した際、MDへの引き落としによって延伸倍率5.0にて延伸した。
なお、基材4について、その酸素透過度を、酸素透過率測定装置(MOCON社製、「OX-TRAN 2/22L」)を用いて、JIS K 7126-2に規定されたプラスチック-フィルムおよびシート-ガス透過度試験方法の等圧法に準拠して、温度25℃、相対湿度60%RHの条件下で測定したところ2500.0cc/(m・atm・day)であった。
また、基材4について、その水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、「PERMATRAN-W3/34」)を用いて、K 7129(B法)に規定された方法に準拠して、温度40℃、相対湿度90%RHの条件下で測定したところ6.9g/m・day(40℃・90%RH)であった。
次に、ベース樹脂1(100.0重量部)、硬化性樹脂1(100.0重量部)、架橋剤1(5.0重量部)および光重合開始剤1(5.0重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが5μmになるようにして基材4にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材4の上面(一方の面)に、粘着層2を形成することで、実施例1の粘着テープ100を得た。
なお、粘着テープ100について、その酸素透過度を、酸素透過率測定装置(MOCON社製、「OX-TRAN 2/22L」)を用いて、JIS K 7126-2に規定されたプラスチック-フィルムおよびシート-ガス透過度試験方法の等圧法に準拠して、温度25℃、相対湿度60%RHの条件下で測定したところ2741.0cc/(m・atm・day)であった。
また、粘着テープ100について、その水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、「PERMATRAN-W3/34」)を用いて、K 7129(B法)に規定された方法に準拠して、温度40℃、相対湿度90%RHの条件下で測定したところ7.3g/m・day(40℃・90%RH)であった。
[実施例2~5、比較例1]
基材4の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層2の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材4および粘着層2を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~5、比較例1の粘着テープ100を作製した。また、実施例2以降の基材4についても、押出し機から押し出した際のMDへの引き落としによって表1に示す延伸倍率とした。
3.評価
得られた各実施例および比較例の粘着テープ100を、以下の方法で評価した。
3-1.シリコンチップが備える銅薄膜における腐食性の評価
<1A>まず、各実施例および比較例の粘着テープ100の粘着層2上に、厚さ625mm、長さ4インチのシリコンウエハの一方の面に、厚さ1.0μmの銅薄膜が成膜された切片を、40℃、90%RHの条件下において、銅薄膜を粘着層2側として固定し、その後、10日放置した。
<2A>次いで、シリコンウエハを厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た後に、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mj/cmの条件で紫外線を照射することでエネルギーを付与して粘着層2を硬化させた。
<3A>次いで、シリコンチップを、先端直径が100μmのニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を300[μm]、突き上げ速度を300mm/分として、突き上げた。
<4A>次いで、ニードルによるシリコンチップの突き上げを維持した状態で、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
以上のような工程<1A>~<4A>を経る、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および比較例の粘着テープについて実施し、そして、得られたシリコンチップについて、シリコンチップが備える銅薄膜における変色(腐食)の有無を目視にて観察し、それぞれ、以下の基準にしたがって評価した。
(腐食性の評価)
銅薄膜の変色について、目視にて観察したときの酸化していない銅の色を1点、酸化銅(CuO)の色を10点として、色の濃さの度合いに基づいて10段階に区分けした場合に、色の濃さを目視観察した際の評価点が、
◎:1点以上2点未満
〇:2点以上3点未満
×:3点以上
3-2.粘着層とシリコンウエハとの界面に形成された気泡数の評価
粘着テープ100の粘着層2上に、厚さ625μm、長さ4インチのシリコンウエハを、その鏡面を粘着層2側として、40℃の条件下において固定し、その後、1時間放置した。そして、粘着層2とシリコンウエハとの界面に形成されている気泡を、デジタルマイクロスコープ装置(キーエンス社製、「VHX6000」)を用いて測定し、これらのうち、面積が1000μm以上の気泡について、1.0cm×1.0cm面積当たりにおける数(個/cm)を算出し、以下の基準にしたがって評価した。
なお、デジタルマイクロスコープ装置を用いた気泡の測定は、粘着テープ100における、3.0cm×3.0cmの領域について、3行×3列の9箇所で実施し、測定された気泡のうち、面積が1000μm以上の気泡の数を9箇所の領域毎に求め、その後、これらの平均値を求めることで、面積が1000μm以上の気泡の数を得た。
(気泡数の評価)
面積が1000μm以上の気泡の数が
◎:1.0個/cm以下である
〇:1.0個/cm超2.0個/cm以下である
×:2.0個/cm超である
3-3.シリコンチップのピックアップ性および糊残り性の評価
<1B>まず、シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製)を用意し、常法により削りして厚さ230μmのこのシリコンウエハを得た後、厚さ200μmに#2000番ホイールにて研削した後の研削面に、各実施例および比較例の粘着テープ100を、粘着層2をシリコンウエハ側にして固定した。その後、シリコンウエハを厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た。その後、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mj/cmの条件で紫外線を照射することでエネルギーを付与して粘着層2を硬化させた。
<2B>次いで、シリコンチップを、先端直径が100μmのニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を300[μm]、突き上げ速度を300mm/分として、突き上げた。
<3B>次いで、ニードルによるシリコンチップの突き上げを維持した状態で、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
以上のような工程<1B>~<3B>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および比較例の粘着テープについて、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
そして、各実施例および比較例の粘着テープについて、それぞれ得られたシリコンチップについて、シリコンチップの吸着によるピックアップの成否(ピックアップ性)と、ピックアップしたシリコンチップにおけるチップ欠けの有無とを観察し、これらを、以下の基準にしたがって評価した。
(ピックアップ性評価)
◎:50個のシリコンチップについて、ピックアップすることができた
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
△:40個以上48個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
×:40個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
(チップ欠け評価)
ピックアップした50個のシリコンチップのうち
◎:50個のシリコンチップについて、
シリコンチップのチップ欠けが認められなかった
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップのチップ欠けが認められなかった
△:45個以上48個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップのチップ欠けが認められなかった
×:45個未満のシリコンチップについて、
シリコンチップのチップ欠けが認められなかった
以上のようにして得られた評価結果について、表1に示す。
表1に示したように、各実施例の粘着テープ100では、JIS K 7129(B法)に準拠して測定された、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足しており、これにより、シリコンチップに粘着テープ100を貼付した状態が、たとえ長期に亘って維持されることがあったとしても、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに基づく、シリコンチップが有する銅薄膜に対する水蒸気の接触を、より的確に抑制することができる。したがって、銅薄膜における腐食の発生を、的確に抑制または防止し得ることが明らかとなった。
これに対して、比較例の粘着テープ100では、前記水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを満足しておらず、これにより、シリコンチップに粘着テープ100を貼付した状態が、長期に亘って維持された際に、外気中に含まれる水蒸気が粘着テープ100を透過することに基づいて、シリコンチップが有する銅薄膜に対して水蒸気が接触し、そのため、銅薄膜において腐食が発生してしまう結果を示した。
1 セパレーター
2 粘着層
4 基材
7 半導体基板
9 ウエハリング
10 半導体装置
17 モールド部
20 半導体チップ
21 端子
23 半導体チップ本体部
30 インターポーザー
41 端子
70 バンプ
80 封止層
81 接続部
85 半田バンプ
100 粘着テープ
121 外周部
122 中心部
200 ダイサーテーブル
300 テーブル
310 中心部
320 外周部
400 ステージ
410 エジェクターヘッド
430 ニードル

Claims (7)

  1. 樹脂材料を主材料として含有する基材と、粘着性を有するベース樹脂を含有し、前記基材の一方の面に積層された粘着層とを備え、基板および部品のうちの少なくとも1種を仮固定して用いられる粘着テープであって、
    当該粘着テープは、その水蒸気透過度が20.0g/m2・日(40℃・90%RH)以下であることを特徴とする粘着テープ。
  2. 前記樹脂材料は、エステル類高分子、スチレン系高分子、オレフィン系高分子、カーボネート系高分子、またはこれらの高分子の少なくとも1種が含有されている共重合物である請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である請求項1に記載の粘着テープ。
  4. 前記粘着層は、さらに、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂を含有し、前記エネルギーの付与により、前記粘着層上に仮固定された前記基板および前記部品のうちの少なくとも1種に対する粘着力が低下するものである請求項3に記載の粘着テープ。
  5. 前記基材は、その厚さが30μm以上200μm以下である請求項1に記載の粘着テープ。
  6. 前記粘着層は、その厚さが5μm以上100μm以下である請求項5に記載の粘着テープ。
  7. 当該粘着テープは、前記粘着層上に、前記基板を固定した状態で、前記基板から前記基材の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、前記基板を個片化することで複数の前記部品を形成し、その後、当該粘着テープを面方向に伸長しつつ、前記部品を、前記基材側から突き上げた状態で、前記基材の反対側から引き抜くことで、前記粘着層から離脱させる際に用いられるものである請求項1に記載の粘着テープ。
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