JP2024076018A - 自律走行装置およびその妥当性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】再現走行の経路において初期化物体を予め設置したり、装置本体を開始位置へ正確に配置したりすることなく、再現走行の精度を向上する。【解決手段】自律走行装置1は、装置本体2と、走行部3と、計測部6と、地図作成部21と、教示走行モードの実行時に、装置本体2が教示開始位置から教示終了位置まで至る走行経路および作業走行地図を作成して記憶させ、再現走行モードの実行時に、再現開始位置にある装置本体2を走行させるように走行部3を制御する教示走行制御部22および再現走行制御部23と、環境画像を撮像する撮像部7と、教示走行モードの実行時に撮像した環境画像を教示時環境画像として取得し、再現走行モードの実行時に撮像した環境画像を現在環境画像として取得し、教示時環境画像と現在環境画像とを比較した第1マッチング処理を行って再現開始位置の妥当性を評価する妥当性評価部25と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、手動操作および自動操作に応じた走行が可能な自律走行装置およびその再現走行における再現開始位置の妥当性を評価する妥当性評価方法に関する。
従来、自律走行装置は、事前に入力されたプログラムに従って、環境地図、走行経路、走行設定および作業設定(清掃設定)を作成または設定して記憶し、その記憶結果に基づいて自律的に走行し自動で作業(清掃)する自動走行作業(自動走行清掃)、即ち、再現走行を実行可能な機能を有する。例えば、自律走行装置は、商業施設、オフィス、ホテル、病院などの作業エリアの床面の清掃作業を行う産業用(業務用)自律走行装置に適用される。
例えば、特許文献1では、ロボット(自律走行装置)を初期化して、経路を自律的に走行させるためのシステムにおいて、ロボットは、初期化物体を検出し、次いでその初期化物体に対するロボットの位置を判定し、次いでユーザの実演により経路を学習し、ここで、その経路に沿った動作を、初期化物体に対する位置に関連付け、その後、初期化物体を後に再度検出し、その初期化物体に対するロボットの位置を判定し、次いで学習した経路を自律的にナビゲートし、初期化物体に対する位置に関連付けられた動作を実行する技術が開示されている。
特表2019-515407号公報
特許文献1のような従来技術では、ロボット(自律走行装置)が環境内の位置を比較的迅速に判定できるようにロボットを初期化するために、初期化物体を予め経路に設置する必要がある。しかしながら、自律走行装置が同じ経路での再現走行を何度も実行する場合には、初期化物体を恒常的に経路に設置したままにする必要があるので、経路を含む環境の美観を損なう問題が生じる。これに対して、再現走行を実行する度に、初期化物体を経路に毎回設置して、再現走行の終了後に回収する場合には、初期化物体の設置および回収に手間が掛かり、作業が煩雑となる問題が生じる。また、再現走行を実行する度に、初期化物体を同じ位置に正確に設置することは困難であり、初期化物体の設置位置のずれが大きい場合には、再現走行の実行に支障を及ぼす可能性がある。
本発明は、上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、再現走行の経路において初期化物体を予め設置したり、装置本体を開始位置へ正確に配置したりすることなく、再現走行の精度を向上することを可能とする自律走行装置およびその妥当性評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の自律走行装置は、手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置であって、装置本体と、前記装置本体を走行させる走行部と、前記装置本体と該装置本体の周囲の物体との距離および角度を計測する計測部と、前記計測部で計測された距離および角度を座標変換して前記装置本体の周囲の局所地図を作成する地図作成部と、教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて前記走行部が前記装置本体を走行させる間に、前記計測部および前記地図作成部を作動させて、前記局所地図をつなぎ合わせることにより、前記装置本体が教示開始位置から教示終了位置まで至る走行経路および該走行経路の周囲の作業走行地図を作成して記憶させ、再現走行モードの実行時に、前記走行経路および前記作業走行地図に従った自動操作入力によって、再現開始位置にある前記装置本体を走行させるように前記走行部を制御する走行制御部と、前記装置本体に設けられて該装置本体の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像部と、前記教示走行モードの実行時に前記撮像部によって撮像した前記環境画像を教示時環境画像として取得し、前記再現走行モードの実行時に前記撮像部によって撮像した前記環境画像を現在環境画像として取得し、前記教示時環境画像と前記現在環境画像とを比較した第1マッチング処理を行って前記再現開始位置の妥当性を評価する評価部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第1の自律走行装置によれば、自律走行装置の配置された清掃エリアとは異なる他の清掃エリアの作業走行地図を操作者が間違って選択しても、自律走行装置が再現走行を実施する場合に、間違った作業走行地図に沿った走行によって作業の継続が不可能となってエラーで停止するようなことを回避することができ、再現走行の精度を良好に維持することが可能となる。また、再現走行を実施する際に、操作者が自律走行装置を正しい教示開始位置に配置していない場合、間違った作業走行地図に沿った走行によって作業の継続が不可能となってエラーで停止するようなことを回避することができ、再現走行の精度を良好に維持することが可能となる。従って、再現走行の経路において初期化物体を予め設置したり、装置本体を教示開始位置へ正確に配置したりすることなく、再現走行の精度を向上することを可能とする。
上記課題を解決するために、本発明の第2の自律走行装置において、前記評価部は、前記第1マッチング処理による前記教示時環境画像と前記現在環境画像との一致率に基づく第1評価点数を数値情報によって出力することを特徴とする。
本発明の第2の自律走行装置によれば、技術的に信頼性のある画像マッチング処理技術を用いて、作業走行地図の選択の確認を精度よく行うことが可能となる。また、操作者は、マッチング処理結果として再現開始位置や作業走行地図の妥当性を数値情報によって容易に確認することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第3の自律走行装置において、前記評価部は、前記教示走行モードの開始時に前記地図作成部によって作成した前記局所地図を教示時局所地図として取得し、前記再現走行モードの開始時に前記地図作成部によって作成した前記局所地図を現在局所地図として取得し、前記教示時局所地図と前記現在局所地図とを比較した第2マッチング処理を行って、前記第1マッチング処理および前記第2マッチング処理によって前記再現開始位置の妥当性を評価することを特徴とする。
本発明の第3の自律走行装置によれば、技術的に信頼性のある画像マッチング処理技術を環境画像だけでなく、局所地図にも適用して再現開始位置や作業走行地図の妥当性を評価することができる。また、環境画像および局所地図に対して、同一の画像マッチング処理技術を適用することができるので、処理全体を簡素化して処理速度を向上することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第4の自律走行装置において、前記評価部は、前記第1マッチング処理による前記教示時環境画像と前記現在環境画像との一致率に基づく第1評価点数と、前記第2マッチング処理による前記教示時局所地図と前記現在局所地図との一致率に基づく第2評価点数とを総合した総合評価点数を数値情報によって出力することを特徴とする。
本発明の第4の自律走行装置によれば、再現開始位置や作業走行地図の妥当性の評価を複数の観点から総合的に確認することが可能となり、妥当性の評価結果をより正確にすることができ、また、評価結果の把握を簡単にすることができるので、操作者の負担を軽くすることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明の第5の自律走行装置は、前記教示走行モードでの走行を開始してから所定の開始区間の間に所定の走行距離間隔で、前記撮像部によって前記環境画像を撮像することにより複数の前記教示時環境画像を取得すると共に、前記地図作成部によって作成した各前記局所地図を複数の前記教示時局所地図として取得し、前記評価部は、前記再現走行モードの実行時に、前記再現開始位置における前記第1マッチング処理による第1一致率および前記第2マッチング処理による第2一致率に基づく総合一致率が所定の一致率閾値未満の場合に、前記再現走行モードでの走行を開始してから前記所定の開始区間の間に前記所定の走行距離間隔で、前記撮像部によって前記環境画像を撮像することにより複数の前記現在環境画像を取得すると共に、前記地図作成部によって作成した各前記局所地図を複数の前記現在局所地図として取得し、前記所定の開始区間における複数の前記現在環境画像の前記第1マッチング処理による各第1一致率および複数の前記現在局所地図の前記第2マッチング処理による各第2一致率に基づく各総合一致率が所定の一致率閾値以上である場合に、前記再現開始位置の妥当性を満たすと評価することを特徴とする。
本発明の第5の自律走行装置によれば、同じ清掃エリア内において繰り返しジグザグ走行しながら作業する場合でも、初期の開始期間において環境画像および局所地図の照合を重点的に行うため、走行経路の全域に亘って環境画像や局所地図を記憶することに比べて、記憶するデータ量を抑制することができる。また、清掃エリアの選択は間違っていないが、再現開始位置や方向(角度)が相当ずれている場合でも、そのまま再現走行を開始して、再現開始位置や作業走行地図の妥当性を評価することができる。また、再現走行を開始した後で、作業走行地図の妥当性を満たすと評価した場合には、そのまま再現走行を継続することができるので、自律走行装置の再現開始位置を教示開始位置に正確に配置しなくでも、容易に再現走行を開始することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第6の自律走行装置において、前記走行制御部は、前記評価部によって前記再現開始位置の妥当性を満たさないと評価したとき、前記再現走行モードでの走行を開始する前の場合には、前記再現走行モードの走行を中止し、前記再現走行モードでの走行を開始した後の場合には、前記装置本体を前記再現開始位置まで戻るように走行させると共に前記再現開始位置で停止するように前記走行部を制御することを特徴とする。
本発明の第6の自律走行装置によれば、記憶する環境画像のデータ量を抑制することができ、また、エラー発生時に操作者が作業走行地図の再選択の操作などを行い易くなる利便性がある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の妥当性評価方法は、手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置の再現走行における再現開始位置の妥当性を評価する妥当性評価方法であって、前記自律走行装置の装置本体と該装置本体の周囲の物体との距離および角度を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された距離および角度を座標変換して前記装置本体の周囲の局所地図を作成する地図作成ステップと、教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて前記自律走行装置の走行部が前記装置本体を走行させる間に、前記計測ステップおよび前記地図作成ステップを実行して、前記局所地図をつなぎ合わせることにより、前記装置本体が教示開始位置から教示終了位置まで至る走行経路および該走行経路の周囲の作業走行地図を作成して記憶させ、再現走行モードの実行時に、前記走行経路および前記作業走行地図に従った自動操作入力によって、前記再現開始位置にある前記装置本体を走行させるように前記走行部を制御する走行制御ステップと、前記装置本体に設けられる撮像部によって該装置本体の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像ステップと、前記教示走行モードの実行時に前記撮像ステップによって撮像した前記環境画像を教示時環境画像として取得し、前記再現走行モードの実行時に前記撮像ステップによって撮像した前記環境画像を現在環境画像として取得し、前記教示時環境画像と前記現在環境画像とを比較した第1マッチング処理を行って前記再現開始位置の妥当性を評価する評価ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、自律走行装置およびその妥当性評価方法は、再現走行の経路において初期化物体を予め設置したり、装置本体を開始位置へ正確に配置したりすることなく、再現走行の精度を向上することを可能とする。
本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の構成を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の清掃エリアである奇数階フロアの例を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の清掃エリアである偶数階フロアの例を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の清掃エリアである奇数階フロアの作業走行地図の例を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の清掃エリアである偶数階フロアの作業走行地図の例を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の表示入力部の例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の表示入力部の例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置の計測部の計測範囲およびこれに基づく局所地図の例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置において、画像取得部が取得した教示時環境画像および現在環境画像の例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る自律走行装置おける動作例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る自律走行装置において、画像取得部が取得した教示時環境画像および現在環境画像の例を示す平面図である。 本発明の実施形態の他の例に係る自律走行装置において、撮像部の後方カメラが撮像した環境画像の例を示す平面図である。 本発明の実施形態の他の例に係る自律走行装置において、撮像部の後方カメラが撮像した環境画像に画像処理を施した場合の例を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
本発明の第1の実施形態による自律走行装置1について説明する。図1は、自律走行装置1の構成を示す概要図である。自律走行装置1は、手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な車両であって、手動走行モード、教示走行モードおよび再現走行モードの何れかの動作モードで基本的には動作する。
図1に示すように、自律走行装置1は、各部を収容するための装置本体2と、装置本体2を走行させる走行部3と、走行部3の手動操作入力を受け付ける操作部4とを備える。自律走行装置1は、所定の作業を実行する作業部として、例えば、装置本体2の下方の床面の清掃作業を実行する清掃部5を備えて、床面洗浄機として実現することができる。自律走行装置1は、例えば、ショッピングモールなどの商業施設、オフィス、ホテル、病院、学校、工場などの全部または一部の領域を清掃エリア50(作業エリア)として、清掃エリア50の床面を清掃対象(作業対象)とする。なお、図1では、自律走行装置1の操作者を二点鎖線で示している。
自律走行装置1は、清掃エリア50が複数フロアに分かれている場合には、フロア毎に教示走行を行って作業走行地図51(図4、図5参照)などの教示走行データを記憶し、フロア毎の作業走行地図51に基づいて再現走行しながら清掃作業させることになる。複数階を有するホテルなどでは、フロアによってレイアウトが異なる場合があり、一例として、1階フロアは、客室を有する客室エリアに加えて、本館への通路やお土産売り場などを配置して構成され、2階フロアは、他のフロアとは全く異なるレイアウトで、宴会場やレストランを配置して構成され、3階~9階フロアは、それぞれ複数の客室を有する客室エリアを主に配置して構成される。
図2は、自律走行装置1の清掃エリア50である奇数階フロア50aの例を示す概要図であり、図3は、自律走行装置1の清掃エリア50である偶数階フロア50bの例を示す概要図である。清掃エリア50である3階~9階フロアのうち、図2に示すように、奇数階フロア50aには、自販機スペースが設けられる一方、図3に示すように、偶数階フロア50bには、自販機スペースに代えて客室が設けられる場合がある。この場合、3階、5階、7階、9階の奇数階フロア50aでは、共通の作業走行地図51a(教示走行データ)を利用して再現走行することができ、また、4階、6階、8階の偶数階フロア50bでは、共通の作業走行地図51bを利用して再現走行することができる。
そのため、自律走行装置1は、1階フロアの作業走行地図51、2階フロアの作業走行地図51、3階、5階、7階、9階の奇数階フロア50aの作業走行地図51a、4階、6階、8階の偶数階フロア50bの作業走行地図51bを準備することになる。図4は、自律走行装置1の清掃エリア50である奇数階フロア50aの作業走行地図51aの例を示す概要図であり、図5は、自律走行装置1の清掃エリア50である偶数階フロア50bの作業走行地図51bの例を示す概要図である。自律走行装置1は、図2に示すような3階、5階、7階、9階の奇数階フロア50aに対して、図4に示すような作業走行地図51aを準備し、また、図3に示すような4階、6階、8階の偶数階フロア50bに対して、図5に示すような作業走行地図51bを準備する。作業走行地図51には、教示走行を行った走行経路52や、走行経路52上の教示開始位置53および教示終了位置54、教示開始位置53における前進方向の開始角度などの位置情報が含まれる。図2~図5では、自律走行装置1の教示開始位置53の進行方向を太線矢印で示す。
自律走行装置1は、装置本体2と当該装置本体2の周囲の壁や置物などの障害物(物体)との距離および角度(例えば、装置本体2の前進方向に対する角度)などを計測する計測部6や、装置本体2の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像部7を備える。更に、自律走行装置1は、自律走行装置1の各部および各種機能(走行部3による走行、清掃部5による清掃作業、計測部6による計測、撮像部7による撮像など)を統括制御する制御部8と、各種機能の操作や表示のための表示入力部9と、図示しないバッテリーの充電制御や各部に電力を供給するための電源部10とを備える。
走行部3は、装置本体2の下部に一体的に設けられていて、固定式(操舵機能を有さない)で左右別々に回転可能な駆動輪である左右の前輪11と、自在式の補助輪である1つの後輪12と、左右の前輪11をそれぞれ駆動する左右の駆動モータ(図示せず)とを備える。前輪11は、装置本体2の下面前側で左右方向両側にそれぞれ設けられ、後輪12は、装置本体2の下面後側で左右方向中央に設けられる。各駆動モータは、装置本体2内に設けられ、駆動ギア(図示せず)を介して各前輪11の回転軸(図示せず)に接続されている。走行部3では、各駆動モータが2つの前輪11を同時に回転させることで装置本体2を前進または後退させることができる一方、左側の前輪11または右側の前輪11を停止させると同時に右側の前輪11または左側の前輪11を回転させることで装置本体2を左旋回または右旋回させることができる。
また、走行部3は、正常または異常を検出する異常検出部として、例えば、装置本体2の前側下方において所定深さ(例えば、4cm)の凹みを検出する段差センサ(図示せず)、前輪11のスリップを検出するスリップセンサ(図示せず)などを備えていて、正常な走行を妨げる異常を検出した場合に制御部8に対して異常信号を出力する。
操作部4は、例えば、ハンドル部4aを備え、ハンドル部4aは、装置本体2の後側において左右方向中央に設けられる。ハンドル部4aは、上方視で反時計回り(左回り)および時計回り(右回り)に回動可能に構成されている。ハンドル部4aは、アクセルグリップ(図示せず)を備えていて、ハンドル部4aのアクセルグリップを前にひねることで装置本体2が前進可能となり、ハンドル部4aのアクセルグリップを後ろにひねることで装置本体2が後退可能となる。ハンドル部4aは、アクセルグリップの操作量に応じて、装置本体2の前進および後退の速度を調整可能である。また、ハンドル部4aを左回りに回動することで装置本体2が左旋回可能となり、ハンドル部4aを右回りに回動することで装置本体2が右旋回可能となる。
清掃部5は、初期設定された清掃条件、表示入力部9を介して設定された清掃条件、または自動操作入力によって設定された清掃条件に従って床面を清掃するように構成される。清掃部5は、例えば、乾式の清掃手法によって床面を清掃する機構であり、床面の塵埃を回収するロールブラシなどの清掃用部材13と、清掃用部材13で収集した塵埃を吸引する吸引部14とを備える。また、清掃部5は、回収した塵埃を内部に蓄積するバケット(図示せず)を備える。バケットは、装置本体2に対して着脱可能であり、蓄積された塵埃を処分する際に取り外され、塵埃を処分した後に再度取り付けられる。
清掃用部材13は、装置本体2の下面に回転可能に設けられ、床面に接触すると共に回転することで床面を清掃する。清掃用部材13は、装置本体2に対して着脱可能であり、即ち、交換可能な部材である。なお、清掃用部材13は、ロールブラシに加えてサイドブラシなどを有してもよい。
吸引部14は、床面上の塵埃を吸引する吸引ダクト(図示せず)や、吸引ダクト内を負圧にする吸引モータ(図示せず)などを備える。吸引部14は、吸引モータによって吸引ダクト内を負圧にすることで、吸引ダクトを介して塵埃を吸引すると共にバケットへと回収する。あるいは、吸引部14は、吸引ブロワによって塵埃を吸引するように構成されてもよい。
上記のような清掃部5における清掃条件には、清掃用部材13の回転の作動/停止、吸引部14による吸引の作動/停止、清掃用部材13の床面に対する接地圧の強度、吸引部14による吸引強度などがある。
また、清掃部5は、正常または異常を検出する異常検出部として、例えば、清掃用部材13が取り付けられていない状態を検出する部材取付センサ(図示せず)や、バケットが満杯か否かを検出できるバケット回収量検出センサ(図示せず)などを備えていて、正常な清掃作業を妨げる異常を検出した場合に制御部8に対して異常信号を出力する。更に、清掃部5は、教示走行時にバケット回収量検出センサで検出された塵埃の回収量に基づいて、再現走行で発生する塵埃の回収量を算出する回収量算出部(図示せず)を備える。
計測部6は、走行部3による装置本体2の物理的な移動量を計測する移動量センサと、装置本体2の前部の周囲の障害物(物体)との距離および角度を計測する前方障害物センサ6aを備える。なお、計測部6は、前方障害物センサ6aに加えて、装置本体2の後部の周囲の障害物(物体)との距離および角度を計測する後方障害物センサ(図示せず)を備えていてもよい。
移動量センサは、例えば、左右の前輪11のそれぞれに対応する一対のエンコーダや、加速度センサなどから構成される。前方障害物センサ6aは、装置本体2の前面に設けられ、例えば、レーザーレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)などから構成され、床面から所定の計測可能高さ(例えば、30cm)以内で、前方障害物センサ6aから所定の計測可能範囲(例えば、半径20m)以内に存在する障害物を検出する。計測部6は、制御部8に接続されていて、計測結果を制御部8へと送信する。
また、計測部6は、自律走行装置1が再現走行モードで動作する場合に、異常検出部としても機能し、前方障害物センサ6aとは別に設けられた超音波センサ(図示せず)が装置本体2から所定の制限範囲(例えば、半径50cm)以内に障害物を検出すると、制御部8に対して異常信号を出力する。
撮像部7は、自律走行装置1の装置本体2に取り付けられたカメラで撮像された環境画像を処理する。撮像部7は、カメラとして少なくとも、床面を含む装置本体2の前景を撮像可能な前方カメラ7aや、床面を含む装置本体2の後景を撮像可能な後方カメラ7bを有する。
撮像部7は、前方カメラ7aや後方カメラ7bによって、常時、環境画像を取得可能となっている。前方カメラ7aおよび後方カメラ7bは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラやTOF(Time of Flight)カメラなどで構成される。なお、撮像部7は、装置本体2の側方(左方や右方)を撮像する側方カメラ(図示せず)を有してもよい。図1では、簡略化のために、前方カメラ7aおよび後方カメラ7bが装置本体2の上部に一体的に設置されている例を示しているが、前方カメラ7aおよび後方カメラ7bは、装置本体2の別々の位置に取り付けられてよい。
撮像部7は、静止画を撮像して記憶部16に記憶することができ、また、動画を撮像して記憶部16に記憶することもできる。また、撮像部7は、撮像した環境画像をリアルタイムに表示入力部9に出力して表示させることもできる。前方カメラ7aおよび後方カメラ7bは、概ね標準の画角のレンズを備えていればよいが、広角レンズを備えていてもよい。あるいは、後方カメラ7bのみが、相対的に広角レンズを備えていてもよい。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)などで構成される。図6は、自律走行装置1の電気的構成を示すブロック図である。制御部8は、図6に示すように、記憶部16に対してバス17を介して接続され、バス17は、更にインターフェース18に接続されている。また、制御部8は、バス17およびインターフェース18を介して、上記の走行部3、操作部4、清掃部5、計測部6、撮像部7、表示入力部9および電源部10に接続される。
記憶部16は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリなどからなり、自律走行装置1の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータが格納される。制御部8は、記憶部16に格納されたプログラムやデータを読み取り、このプログラムを実行することにより、各部および各種機能を制御する。なお、制御部8は、特にリアルタイムの画像処理に関する演算処理に特化した専用のコントローラとしてGPU(Graphics Processing Unit)を設けてもよい。
更に、制御部8は、モード切換部20と、地図作成部21と、教示走行制御部22と、再現走行制御部23と、画像取得部24と、妥当性評価部25と、評価結果出力部26とを備える。なお、モード切換部20、地図作成部21、教示走行制御部22、再現走行制御部23、画像取得部24、妥当性評価部25および評価結果出力部26は、記憶部16に記憶されて制御部8に実行されるプログラムで構成されていてよい。例えば、自律走行装置1では、この自律走行装置1の再現走行の開始位置(再現開始位置)の妥当性を評価する妥当性評価処理プログラムが記憶部16に記憶される。この妥当性評価処理プログラムは、モード切換部20と、地図作成部21と、教示走行制御部22と、再現走行制御部23と、画像取得部24と、妥当性評価部25と、評価結果出力部26とを制御部8のようなコンピュータに実行させる。制御部8に備わる各部については後述する。
図7(a)および図7(b)、図8は、自律走行装置1の表示入力部9の例を示す平面図である。表示入力部9は、装置本体2の上面においてハンドル部4aの前側に設けられ、図7(a)および図7(b)、図8に示すように、メインスイッチ30と、強制停止ボタン31と、スピーカ32と、表示器33とを備える。表示入力部9の各部は、制御部8に接続されている。
メインスイッチ30は、「切」、「手動」、「自動」を切換可能に構成されている。メインスイッチ30を「手動」に切り換えることで、モード切換部20によって自律走行装置1の動作モードが手動走行モードに切り換えられる一方、メインスイッチ30を「自動」に切り換えることで、モード切換部20によって自律走行装置1の動作モードが再現走行モードに切り換えられる。
強制停止ボタン31は、自律走行装置1の強制停止を操作するもので、操作に応じて強制停止信号を制御部8へと出力する。スピーカ32は、制御部8の制御に応じて警報音などを発生させるものである。
表示器33は、タッチパネルなどで構成され、制御部8からの制御信号に応じて様々な画面を表示し、各画面でのタッチ操作に基づく操作信号を制御部8へと送信する。表示器33は、制御部8の制御信号に応じて自律走行装置1の運転状況(動作モード)や運転時間、教示走行モードや再現走行モードにおける各種設定項目、再現走行モードにおける開始位置(再現開始位置)の妥当性に関する情報、清掃部5の清掃条件、警告やエラーコードなどを表示する。
例えば、表示器33は、学習キー40と、清掃運転キー41と、十字キー42と、清掃条件設定キー43と、表示エリア44とを操作可能に表示する。なお、本実施形態では、学習キー40、清掃運転キー41、十字キー42および清掃条件設定キー43が表示器33に操作可能に表示される例を説明するが、学習キー40、清掃運転キー41、十字キー42および清掃条件設定キー43の少なくとも1つが、表示器33とは別々に表示入力部9に設けられてもよい。
学習キー40は、メインスイッチ30が「手動」に設定されている状態で操作可能に構成されている。学習キー40を操作(例えば、長押し)することで、モード切換部20によって自律走行装置1の動作モードが教示走行モードに切り換えられて、教示走行モードの実行が開始される。また、学習キー40を再度操作することで、教示走行モードの実行が終了し、モード切換部20によって自律走行装置1の動作モードが手動走行モードに切り換えられる。なお、学習キー40は、後述するように、教示走行中にマーク位置55、56、57(図2、図3参照)を記録する記録スイッチとしても作用する。
清掃運転キー41は、「入」、「切」を切換可能に構成されている。清掃運転キー41を「入」に切り換えることで、清掃部5が清掃条件に従って作動する。
十字キー42は、表示器33に表示される各種設定項目の選択操作を受け付けて、その選択操作に関する信号を制御部8へと送信する。
清掃条件設定キー43は、清掃部5の各部の動作の切換などの清掃条件の設定操作を受け付けて、その設定操作に関する信号を制御部8へと送信する。清掃条件設定キー43は、例えば、接地圧キー43a、回転キー43bおよび吸引キー43cなどを有する。
接地圧キー43aは、清掃用部材13(ロールブラシ)の床面に対する接地圧の強度を複数段階の何れかに切り換えるもので、操作する毎に強度が循環的に切り換えられる。回転キー43bは、清掃用部材13の回転の作動および停止を切り換えるもので、操作する毎に「入」、「切」が切り換えられる。吸引キー43cは、吸引部14による吸引の作動および停止を切り換えるもので、操作する毎に「入」、「切」が切り換えられる。なお、清掃条件設定キー43は、吸引部14の吸引強度を複数段階の何れかに切り換える吸引強度キー(図示せず)を有してもよい。
表示エリア44は、図7(a)に示すように、例えば、手動走行モードまたは教示走行モードの実行時に、撮像部7の前方カメラ7a若しくは後方カメラ7bが撮像した現在の環境画像を表示する画像表示エリアとして機能する。なお、表示エリア44は、再現走行モードの実行時に画像表示エリアとして機能してもよい。表示器33は、表示エリア44のタッチ操作に応じて、画像表示エリアを表示器33の一部画面に表示すると共に、学習キー40、清掃運転キー41、十字キー42および清掃条件設定キー43を操作可能に表示する通常表示モード(図7(a)参照)と、画像表示エリアを表示器33の全画面に表示する全画面モード(図7(b)参照)とを切換可能にする。
また、表示エリア44は、図8に示すように、教示走行モードまたは再現走行モードの開始時に、教示走行または再現走行を行う作業走行地図51を選択する地図選択エリアとして機能する。地図選択エリアとしての表示エリア44は、既に記憶部16に記憶されている作業走行地図51を地図リスト45において選択可能に一覧表示する。再現走行モードの場合、地図選択エリアには、地図リスト45から選択された作業走行地図51の再現走行を実行するための実行キー46を操作可能に表示し、また、後述する妥当性評価部25による作業走行地図51の妥当性の評価結果掲示47を表示する。また、地図選択エリアには、作業走行地図51を選択した後で、地図リスト45を未選択の状態に戻して作業走行地図51を再選択するための戻るキー48や、評価結果の高い作業走行地図51を自動的に選択するための自動選択キー49を操作可能に表示してもよい。
例えば、図8に示すように、地図選択エリアとしての表示エリア44の地図リスト45には、1階フロアの作業走行地図51、2階フロアの作業走行地図51、3階、5階、7階、9階の奇数階フロア50aの作業走行地図51a、4階、6階、8階の偶数階フロア50bの作業走行地図51bを選択可能となるように各地図名を一覧表示している。なお、表示エリア44は、地図選択エリアにおいて選択された作業走行地図51の地図名およびこれに対応する評価結果掲示47を、他の地図名および評価結果掲示47と異なる表示形式で表示し、例えば、白抜き文字で表示してよい。
電源部10は、装置本体2内部に搭載されたバッテリー(電源)を備え、外部電源に接続することで充電可能に構成される。電源部10は、バッテリーの容量の残量を検出する電源残量検出部と、教示走行時に消費した電力をもとに再現走行に必要とする電力(電源容量)を算出する電源容量算出部とを備える。そして、電源部10は、電源残量検出部で検出されたバッテリーの残量と、電源容量算出部で算出した電源容量とを比較することで再現走行の可否を判断する。例えば、電源部10は、バッテリーの残量が再現走行に必要とする電源容量より少ないときには、再現走行を完遂できないと判断する。再現走行が可能と判断した場合はそのまま再現走行に移行し、再現走行が不可能と判断した場合は、制御部8に対して再現走行不可の信号を出力してエラー表示させる。
次に、制御部8に備わる各部について説明する。
モード切換部20は、表示入力部9のメインスイッチ30および学習キー40の操作に応じて、自律走行装置1の動作モードを手動走行モード、教示走行モードおよび再現走行モードの何れかに切り換える。モード切換部20によって動作モードが手動走行モードまたは教示走行モードに設定されている間、操作部4の手動操作入力が可能となる。なお、教示走行モードとは、手動走行モード時において操作者による記憶操作に応じて清掃エリア50における操作者の自律走行装置1への操作入力を記憶し、作業情報が紐づいた作業走行地図51を作成するモードである。再現走行モードとは、自動走行モードにおいて実行すべき作業走行地図51に基づき、走行経路52および紐づいた作業情報に従って自律走行するモードである。
地図作成部21は、リアルタイムで自己位置の推定と環境地図の作成とを行うSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術を用いる。地図作成部21は、所定位置の装置本体2について、計測部6で計測された障害物(物体)からの距離および角度を座標変換して装置本体2の周囲の局所地図を作成すると共に、作成した局所地図や計測部6で計測された装置本体2の移動量に基づいて局所地図における装置本体2の自己位置を推定する。
図9(a)は、自律走行装置1の計測部6の計測範囲の例を示す平面図であり、図9(b)は、この計測範囲に基づく局所地図の例を示す平面図である。例えば、図9(a)に示すように、計測部6は、装置本体2の前方に概ね180度の扇型の検出範囲を有する。このとき、自律走行装置1が図2や図3に示すような左右に壁を有する通路に配置されている場合には、地図作成部21は、図9(b)に示すように、自律走行装置1に対する左右の壁の距離や形状を把握できるような局所地図を作成することになる。
地図作成部21は、教示走行モードの実行時に作成した局所地図を教示時局所地図として記憶部16に記憶する。例えば、地図作成部21は、教示走行モードの実行を開始する場合に、自律走行装置1が教示走行の開始位置(教示開始位置53)に配置されている状態で、教示時局所地図を作成する。具体的には、地図作成部21は、手動走行モードにおいて学習キー40が押下されて教示走行モードを開始する場合、若しくは、教示走行モードにおいて前進走行を開始する場合や清掃部5の運転を開始する場合などに、教示走行モードの実行を開始すると判断する。自律走行装置1が図2や図3の教示開始位置53に配置されていて教示走行モードの実行を開始する場合、地図作成部21は、教示走行モードの実行開始時点で計測部6によって計測した周囲環境の状況を示す局所地図を平面的な画像データによって生成する。
また、地図作成部21は、再現走行モードの実行時に作成した局所地図を現在局所地図として記憶部16に記憶する。例えば、地図作成部21は、再現走行モードの実行を開始する場合に、自律走行装置1が再現走行の開始位置(再現開始位置)に配置されている状態で、現在局所地図を作成する。具体的には、地図作成部21は、メインスイッチ30が「自動」に切り換えられて再現走行モードに切り換えられる場合や、再現走行モードにおいて、表示器33の地図選択エリアとしての表示エリア44で作業走行地図51が選択されて再現走行モードを開始する場合、若しくは、再現走行モードにおいて前進走行を開始する場合などに、再現走行モードの実行を開始すると判断する。自律走行装置1が図2や図3の教示開始位置53に向かって移動してから再現走行モードの実行を開始する場合、地図作成部21は、再現走行モードの実行開始時点で計測部6によって計測した周囲環境の状況を示す局所地図を平面的な画像データによって生成する。
教示走行制御部22は、所定の清掃エリア50(作業エリア)において(図2、図3参照)、教示走行モードの実行時に、操作部4の手動操作入力に応じて走行部3が装置本体2を走行させる間の走行経路52の周囲の作業走行地図51(図4、図5参照)を作成して記憶部16に記憶させる。具体的には、教示走行制御部22は、計測部6および地図作成部21を作動させて、装置本体2の走行経路52上の各位置における局所地図を作成し、更に、各位置の局所地図を合成して作業走行地図51を作成する。作業走行地図51には、地図データに加えて、装置本体2の自己位置推定に基づいて得られる位置情報(走行経路52や、走行経路52上の教示開始位置53および教示終了位置54、教示開始位置53における前進方向の開始角度など)や、走行経路52上の各位置における装置本体2の移動量情報(速度や旋回角度など)も含まれる。
更に、教示走行制御部22は、教示走行モードの実行時に、表示入力部9の清掃条件設定キー43の手動操作入力に応じて設定された清掃部5の清掃条件を、作業走行地図51の走行経路52における位置と対応付けて記憶部16に記憶させる。
教示走行制御部22は、複数の作業走行地図51を記憶部16に記憶させることができ、作業走行地図51の新規作成だけでなく、既に記憶された作業走行地図51の編集も可能である。
作業走行地図51の新規作成の場合、教示走行制御部22は、教示走行モードの実行開始時に、作業走行地図51の地図名の入力指示を表示入力部9の表示器33に表示する。そして、教示走行制御部22は、表示器33や十字キー42を用いて地図名が入力されると、その地図名について作業走行地図51を作成するための教示走行モードの実行を開始する。
作業走行地図51の編集の場合、教示走行制御部22は、教示走行モードの実行開始時に、表示入力部9の表示器33の表示エリア44に地図選択エリアを表示して、既に記憶部16に記憶されている作業走行地図51を地図リスト45に選択可能に一覧表示する。そして、教示走行制御部22は、十字キー42を用いた選択操作や表示器33での直接タッチ操作によって地図名が選択されると、その地図名について作業走行地図51を作成するための教示走行モードの実行を開始する。
なお、教示走行制御部22は、装置本体2が教示終了位置54まで走行した後に教示走行モードの実行終了時点で各局所地図を合成して作業走行地図51を再作成(置換)してもよいが、装置本体2の走行に並行してそれまで作成された各局所地図を合成してリアルタイムに作業走行地図51を作成(一部繋ぎ合わせ)してもよい。
再現走行制御部23は、再現走行モードの実行時に、実行すべき作業走行地図51を記憶部16から読み取って、この作業走行地図51に基づいて走行部3に対して自動操作入力を行い、装置本体2が作業走行地図51の走行経路52に従った再現走行を行うように走行部3を制御する。
更に、再現走行制御部23は、再現走行モードの実行時に、走行部3が装置本体2を作業走行地図51の走行経路52に従った再現走行をさせる間、装置本体2の走行経路52上の位置に対応する清掃条件を記憶部16から読み取り、この清掃条件に従った自動操作入力によって清掃作業を行うように清掃部5を制御する。
具体的には、再現走行制御部23は、複数の作業走行地図51の中から、再現走行モードを実行すべき作業走行地図51を選択させるために、表示入力部9の表示器33の表示エリア44に地図選択エリアを表示して、既に記憶部16に記憶されている作業走行地図51を地図リスト45に選択可能に一覧表示する。そして、再現走行制御部23は、十字キー42を用いた選択操作や表示器33での直接タッチ操作によって地図名が選択されると共に実行キー46が操作されると、その地図名の作業走行地図51に従った再現走行モードの実行を開始する。
なお、操作者は、自律走行装置1の再現走行を準備する際に、自律走行装置1を倉庫などの保管場所から、再現走行を行う作業走行地図51の教示開始位置53に向けて移動させることになるが、移動を完了して自律走行装置1が配置された位置が、実際に再現走行を開始する位置(再現開始位置)となる。ここで、再現開始位置と作業走行地図51の教示開始位置53との位置関係について、妥当性評価部25によって後述のように再現開始位置の妥当性を評価するところ、妥当性が低い、あるいは妥当性を満たさないと評価された場合には、再現走行制御部23は、当該作業走行地図51の再現走行を実行不可とする。例えば、再現走行モードでの走行を開始する前の場合には、再現走行制御部23は、選択されている作業走行地図51の再現走行を中止する。
画像取得部24は、撮像部7によって撮像した環境画像を所定の取得タイミングに応じて取得するものである。
例えば、画像取得部24は、教示走行モードの実行時に、撮像部7によって撮像した環境画像を取得して、教示時環境画像60(図10(a)参照)として記憶部16に記憶する。具体的には、画像取得部24は、手動走行モードにおいて学習キー40が押下されて教示走行モードを開始するとき、若しくは、教示走行モードにおいて前進走行を開始するときや清掃部5の運転を開始するときなどの教示走行の開始時を取得タイミングとして、自律走行装置1が教示開始位置53に配置された状態で、撮像部7(特に前方カメラ7a)によって撮像した環境画像を教示時環境画像60(開始位置画像)として取得する。また、画像取得部24は、教示走行制御部22が教示走行モードを終了して作業走行地図51を作成する際に、教示時環境画像60を作業走行地図51(地図名)に関連付けて記憶する。
図10(a)は、自律走行装置1において、画像取得部24が取得した教示時環境画像60の例を示す平面図である。自律走行装置1が図2に示すような3階フロアの教示走行を行う場合、撮像部7は、自律走行装置1が教示開始位置53に配置されているときに、図10(a)に示すような環境画像を撮像し、画像取得部24は、撮像部7が撮像した環境画像を教示時環境画像60として3階フロアの作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する。
また、画像取得部24は、再現走行モードの実行時に、撮像部7によって撮像した環境画像を取得して、現在環境画像61(図10(b)参照)として記憶部16に記憶する。具体的には、画像取得部24は、メインスイッチ30が「自動」に切り換えられて再現走行モードに切り換えられる場合や、再現走行モードにおいて、表示器33の地図選択エリアとしての表示エリア44で作業走行地図51が選択されて再現走行モードを開始するとき、若しくは、再現走行モードにおいて前進走行を開始するときなどの再現走行の開始時を取得タイミングとして、自律走行装置1が再現開始位置に配置された状態で、撮像部7(特に前方カメラ7a)によって撮像した環境画像を現在環境画像61として取得する。
図10(b)は、自律走行装置1において、画像取得部24が取得した現在環境画像61の例を示す平面図である。自律走行装置1が図3に示すような4階フロアの再現走行を行う場合、撮像部7は、自律走行装置1が再現開始位置に配置されているときに、図10(b)に示すような環境画像を撮像し、画像取得部24は、撮像部7が撮像した環境画像を現在環境画像61として記憶部16に記憶する。再現走行のために3階フロアの作業走行地図51が選択されている場合には、4階フロアの再現開始位置の現在環境画像61は、3階フロアの教示開始位置53の教示時環境画像60に対して、図10(b)に示すように、相違箇所62があることになる。
妥当性評価部25は、所定の評価タイミングに応じて、自律走行装置1が再現走行を開始する開始位置(再現開始位置)が、再現走行を行う作業走行地図51に含まれる走行経路52の教示開始位置53に対応しているかについて、再現開始位置の妥当性を評価する。
このとき、妥当性評価部25は、教示走行モードの実行時に画像取得部24によって取得した教示時環境画像60と、再現走行モードの実行時に画像取得部24によって取得した現在環境画像61とを比較したマッチング処理(第1マッチング処理)を行って、再現開始位置の妥当性を評価する。具体的には、妥当性評価部25は、メインスイッチ30が「自動」に切り換えられて再現走行モードに切り換えられる場合や、再現走行モードにおいて、表示器33の地図選択エリアとしての表示エリア44で地図リスト45から作業走行地図51が選択されて再現走行モードを開始するとき、若しくは、再現走行モードにおいて前進走行を開始するときなどの再現走行の開始時を評価タイミングとして、第1マッチング処理を行って、再現開始位置の妥当性を評価する。
妥当性評価部25は、選択された作業走行地図51に関連付けられた教示時環境画像60と現在環境画像61との第1マッチング処理によって、現在環境画像61が教示時環境画像60に対してどの程度一致しているかを示す一致率(マッチングスコア)を算出する。妥当性評価部25は、第1マッチング処理による教示時環境画像60と現在環境画像61との一致率を100分率で算出し、最大100%として算出してよい。
妥当性評価部25は、一致率が所定の一致率閾値(例えば、50%)を超える場合に、妥当性が高い、あるいは妥当性を満たすと評価し、一致率が所定の一致率閾値以下である場合に、妥当性が低い、あるいは妥当性を満たさないと評価する。あるいは、妥当性評価部25は、複数段階の一致率閾値と一致率とを比較することで、一致率が妥当性を満たす度合いを複数段階に評価してもよい。
妥当性評価部25は、例えば、第1マッチング処理としてパターンマッチングを行ってよく、教示時環境画像60における一部画像を、現在環境画像61の各位置において一部画像と同じサイズで抽出される比較画像と比較して、各位置の比較画像毎に一致率を算出し、最高一致率を得られた比較画像を候補比較画像とする。妥当性評価部25は、教示時環境画像60における一部画像として、例えば、図10(b)に二点鎖線で示すように、教示時環境画像60の中央部分の画像を切り出す。
妥当性評価部25は、パターンマッチングを行うことにより、教示時環境画像60と現在環境画像61との向きが異なっていたり、左右方向にずれていたりする場合でも、正常時に対してあまり相違することなく、第1マッチング処理の一致率を算出することができる。そのため、操作者は、自律走行装置1を再現走行の再現開始位置へと移動させる際に、位置そのものに注力すれば、進行方向の向き(角度)を教示開始位置53に対して高精度に配置しなくても、第1マッチング処理の一致率を適切に得ることができ、操作者の作業を容易化することができる。
また、妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61に対して、必要に応じて、座標変換処理・歪み補正処理を行う。更に、妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61に対してセマンティックセグメンテーション処理を行い、各画像内を床面、壁面、天井、ドアなどの属性ごとの分割画像に分類する。妥当性評価部25は、座標変換処理・歪み補正処理やセマンティックセグメンテーション処理によって、教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理の一致率の演算を容易にして、処理速度を高速化すると共に記憶部16の使用容量を減少することができ、精度よく妥当性評価が実行できる。
妥当性評価部25は、セマンティックセグメンテーション処理によって、画像の明るさや撮像時の照明の影響を抑制しつつ、教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理を行うことができる。妥当性評価部25は、セマンティックセグメンテーション処理によって、教示時環境画像60や現在環境画像61において分類した各分割画像について外形以外の要素を削除して、第1マッチング処理に適用してもよく、例えば、教示時環境画像60および現在環境画像61から床面の絨毯の模様、壁面のクロスの模様、天井の照明などを削除してもよい。また、妥当性評価部25は、セマンティックセグメンテーション処理によって、教示時環境画像60および現在環境画像61から人物や小動物などを削除してもよく、これにより周囲画像のみで第1マッチング処理を行って、処理結果の信頼性を向上することができる。なお、セマンティックセグメンテーション処理を施した画像は、図14に示す通り、数種類の色分けされた画像となり、元の画像の詳細な模様や濃淡はある程度削除される。
なお、妥当性評価部25は、教示時環境画像60の一部画像の切り出し処理と、教示時環境画像60および現在環境画像61のセマンティックセグメンテーション処理との何れを先に行ってもよい。
ところで、妥当性評価部25は、教示時環境画像60の一部画像を、現在環境画像61の各位置の比較画像と比較して、最高一致率を得られた第1候補比較画像の他に、第1候補比較画像と近似する一致率を得られた少なくとも1つの第2候補比較画像を検出することがある。妥当性評価部25は、このように複数の候補比較画像が検出された場合、第1候補比較画像の一致率を再算出して評価結果としてもよい。
このとき、妥当性評価部25は、第1候補比較画像および第2候補比較画像の位置が所定の距離閾値以上離間していない場合、第1候補比較画像に対して第2候補比較画像が誤差の範囲である(僅かにずれた画像である)と判定して第1候補比較画像の一致率をそのまま採用し、一方、所定の距離閾値以上離間している場合、第1候補比較画像に対して第2候補比較画像が誤差の範囲ではないと判定して、第1候補比較画像を曖昧な状態と評価し、第1候補比較画像の一致率を低く再算出して採用する。
また、妥当性評価部25は、第1候補比較画像および第2候補比較画像の一致率の差異が所定の差異閾値未満でない場合、第1候補比較画像に対して第2候補比較画像の一致率が近似していないと判定して第1候補比較画像の一致率をそのまま採用し、一方、第1候補比較画像および第2候補比較画像の一致率の差異が所定の差異閾値未満である場合、第1候補比較画像に対して第2候補比較画像の一致率が近似していると判定して、第1候補比較画像を曖昧な状態と評価し、第1候補比較画像の一致率を低く再算出して採用する。
妥当性評価部25は、第1候補比較画像および第2候補比較画像の位置が所定の距離閾値以上離間している場合と、第1候補比較画像および第2候補比較画像の一致率の差異が所定の差異閾値未満である場合との何れかのみを満たすときに、第1候補比較画像の一致率を低く再算出してもよく、若しくは、両方を満たすときに、第1候補比較画像の一致率を低く再算出してもよい。妥当性評価部25は、例えば、第1候補比較画像の最高一致率に対して所定の減算を行うことによって、低い一致率を算出する。
なお、妥当性評価部25は、教示時環境画像60を所定の倍率で拡大・縮小したり、所定の角度で回転したりすることで数種類の教示時環境画像60を作成し、各教示時環境画像60と現在環境画像61との第1マッチング処理を行ってもよい。また、妥当性評価部25は、現在環境画像61を所定の倍率で拡大・縮小したり、所定の角度で回転したりすることで数種類の現在環境画像61を作成し、教示時環境画像60と各現在環境画像61との第1マッチング処理を行ってもよい。これにより、操作者は、進行方向の向き(角度)を高精度に配置しなくても、第1マッチング処理の一致率を適切に得ることができ、操作者の作業を容易化することができる。
また、妥当性評価部25は、上記した評価タイミングに応じて、第1マッチング処理に加えて、教示走行モードの実行時に地図作成部21によって取得した教示時局所地図と、再現走行モードの実行時に地図作成部21によって取得した現在局所地図とを比較したマッチング処理(第2マッチング処理)を行って、第1マッチング処理の処理結果と第2マッチング処理の処理結果とに基づいて、再現開始位置の妥当性を評価してもよい。妥当性評価部25は、第2マッチング処理を行うか否かのオン・オフを、操作に応じて設定可能にしてよい。
妥当性評価部25は、教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理によって、現在局所地図が教示時局所地図に対してどの程度一致しているかを示す一致率(マッチングスコア)を算出する。妥当性評価部25は、第2マッチング処理による教示時局所地図と現在局所地図との一致率を100分率で算出し、最大100%として算出してよい。
妥当性評価部25は、選択された作業走行地図51に関連付けられた教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理を行い、例えば、パターンマッチングを行ってよい。教示時局所地図と現在局所地図は、いずれも地図作成部21から画像として取得した、所謂モノクロの(塗りつぶされた)画像データである。妥当性評価部25は、第2マッチング処理のパターンマッチングにおいて、教示時局所地図として取得した画像を、現在局所地図の各位置において取得した複数の各比較画像と比較したときに、複数の候補比較画像が検出された場合、第1マッチング処理と同様にして、最高一致率を得られた第1候補比較画像の一致率を再算出して評価結果としてもよい。
なお、妥当性評価部25は、教示時局所地図を所定の角度で回転したりすることで数種類の教示時局所地図を作成し、各教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理を行ってもよい。また、妥当性評価部25は、現在局所地図を所定の角度で回転したりすることで数種類の現在局所地図を作成し、教示時局所地図と各現在局所地図との第2マッチング処理を行ってもよい。
妥当性評価部25は、第1マッチング処理と第2マッチング処理とを行う場合、第1マッチング処理の処理結果と第2マッチング処理の処理結果とを総合して、再現開始位置の妥当性を評価する。例えば、妥当性評価部25は、第1マッチング処理の処理結果の第1一致率と、第2マッチング処理の処理結果の第2一致率との積を算出して総合一致率を算出する。あるいは、妥当性評価部25は、第1一致率と第2一致率との和を算出して総合一致率を算出してもよく、若しくは、第1一致率と第2一致率とを用いる他の算出式によって総合一致率を算出してもよい。
なお、妥当性評価部25は、第1マッチング処理の処理結果や、第1マッチング処理および第2マッチング処理の総合的な処理結果に基づいて、再現開始位置の妥当性を評価するだけでなく、再現走行のために選択した作業走行地図51が、自律走行装置1の配置された清掃エリア50に対応しているかについて、作業走行地図51の妥当性を評価してもよい。
評価結果出力部26は、妥当性評価部25による再現開始位置の妥当性評価結果を、操作者に分かり易い形式や手段で、表示入力部9によって出力する。例えば、評価結果出力部26は、第1マッチング処理による教示時環境画像60と現在環境画像61との一致率(マッチング率)に基づく第1評価点数を妥当性評価結果として出力する。
このとき、評価結果出力部26は、第1マッチング処理の一致率の数値を第1評価点数として、第1評価点数を示す数値情報を表示することで出力する。具体的には、評価結果出力部26は、第1マッチング処理の一致率が52%の場合には、その数値部分の「52」を第1評価点数として、数値情報「52」を表示し、第1マッチング処理の一致率が94%の場合には、その数値部分の「94」を第1評価点数として、数値情報「94」を表示し、このように、100点満点で第1評価点数を表示する。
また、評価結果出力部26は、第1評価点数を段階的に識別して、数値情報の表示色を変えてもよい。例えば、評価結果出力部26は、第1評価点数が所定の点数閾値(例えば、50点)以下の場合には、再現開始位置の妥当性が低いと判定して、数値情報の表示色を反転文字に変えたり、警報を出力したりすることで、妥当性が低いことを操作者へ報知するとよい。評価結果出力部26は、妥当性が低いことの報知のオン・オフを、操作に応じて設定可能にしてもよい。なお、評価結果出力部26は、数値情報として、第1評価点数を示すグラフなどを表示することで出力してもよい。
評価結果出力部26は、図8に示すように、表示入力部9の表示器33の表示エリア44に再現走行を行う作業走行地図51を選択するための地図選択エリアを表示している場合、地図リスト45に選択可能に一覧表示された作業走行地図51のうち、妥当性評価を行った作業走行地図51に対応する評価結果掲示47に第1評価点数を表示する。あるいは、評価結果出力部26は、地図リスト45の評価結果掲示47に限らず、他の領域に第1評価点数を表示してもよく、ポップアップ表示や他の表示形式によって第1評価点数を表示してもよい。
また、評価結果出力部26は、妥当性評価部25が第1マッチング処理に加えて、第2マッチング処理を行う場合には、第1マッチング処理の処理結果と第2マッチング処理の処理結果とを総合した再現開始位置の妥当性評価結果を表示入力部9によって出力する。例えば、評価結果出力部26は、第1マッチング処理による教示時環境画像60と現在環境画像61との一致率(マッチング率)に基づく第1評価点数と、第2マッチング処理による教示時局所地図と現在局所地図との一致率(マッチング率)に基づく第2評価点数とを総合した総合評価点数を数値情報によって出力する。
具体的には、評価結果出力部26は、第1評価点数と同様にして、第2マッチング処理の一致率の数値を第2評価点数として取得し、第1評価点数と第2評価点数とを積や和によって総合した総合評価点数を、妥当性評価を行った作業走行地図51に対応する評価結果掲示47に表示する。あるいは、評価結果出力部26は、妥当性評価部25によって第1マッチング処理の第1一致率と第2マッチング処理の第2一致率とに基づいて算出した総合一致率の数値を総合評価点数として、妥当性評価を行った作業走行地図51に対応する評価結果掲示47に表示する。
なお、評価結果出力部26は、妥当性評価部25が第1のマッチング処理の結果、教示時環境画像60と現在環境画像61との間に相違箇所62を検出した場合、表示入力部9の表示器33に、画像表示エリアの表示エリア44を表示し、表示エリア44に現在環境画像61を表示すると共に、現在環境画像61の対応箇所に相違箇所62を表記してもよい。
図11は、自律走行装置1の動作例を示すフローチャートである。次に、自律走行装置1の動作例を図11のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、自律走行装置1は、操作者が表示入力部9のメインスイッチ30を操作することにより稼働する。メインスイッチ30が「手動」に切り換えられた場合(ステップS1:YES)、自律走行装置1の動作モードは、制御部8のモード切換部20によって手動走行モードに切り換えられる(ステップS2)。
手動走行モードでは、自律走行装置1は、ハンドル部4aを用いた手動操作入力による走行が可能となり、例えば、操作者は、自律走行装置1を倉庫などから清掃エリア50(作業エリア)へと手動操作で移動させる(ステップS3)。
次に、操作者が作業走行地図51を作成するために表示入力部9の学習キー40を操作すると(ステップS4:YES)、自律走行装置1の動作モードは、制御部8のモード切換部20によって教示走行モードに切り換えられる(ステップS5)。
教示走行モードでは、ハンドル部4aの手動操作に応じた自律走行装置1の走行と、表示入力部9の清掃運転キー41や清掃条件設定キー43の操作に応じた床面の清掃作業とに関する教示走行の実行が可能となる(ステップS6)。
また、画像取得部24は、教示走行の開始時を取得タイミングとして、自律走行装置1が教示開始位置53に配置された状態で、撮像部7(前方カメラ7a)によって撮像した環境画像を教示時環境画像60(開始位置画像)として取得し、作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する(ステップS7)。更に、地図作成部21は、自律走行装置1が教示開始位置53に配置された状態で、教示時局所地図を作成し、作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する。
教示走行制御部22は、教示走行を実行している間に、計測部6および地図作成部21を作動させて、その走行経路52に沿って作業走行地図51を作成して記憶部16に記憶する(ステップS8)。
一方、メインスイッチ30が「手動」でない場合(ステップS1:NO)や、学習キー40が操作されない場合(ステップS4:NO)において、メインスイッチ30が「自動」に切り換えられた場合(ステップS9:YES)、再現走行制御部23は作業走行地図51の存在を確認する。作業走行地図51が存在しない場合、表示入力部9にエラー表示して操作者に対応を促す。作業走行地図51が存在する場合、自律走行装置1の動作モードは、制御部8のモード切換部20によって再現走行モードに切り換えられる(ステップS10)。
再現走行モードでは、先ず、記憶部16に記憶された作業走行地図51の地図リスト45を表示した地図選択エリアとしての表示エリア44が、表示入力部9の表示器33に表示され、十字キー42を操作して実行すべき作業走行地図51が選択される(ステップS11)。例えば、この動作例では、偶数階フロア50bの作業走行地図51bが選択されるものとする。
作業走行地図51が選択されると、画像取得部24は、自律走行装置1が再現開始位置に配置された状態で、撮像部7(前方カメラ7a)によって撮像した環境画像を現在環境画像61として取得する(ステップS12)。更に、地図作成部21は、自律走行装置1が再現開始位置に配置された状態で、現在局所地図を作成する。例えば、この動作例では、自律走行装置1が奇数階フロア50aにおいて教示開始位置53に向けて移動されて再現開始位置に配置されたものとする。
また、妥当性評価部25は、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理と、教示時局所地図と現在局所地図とを比較した第2マッチング処理とを行って、再現開始位置の妥当性を評価する(ステップS13)。例えば、この動作例では、自律走行装置1が奇数階フロア50aに移動されているが、偶数階フロア50bの作業走行地図51bが選択されている。しかしながら、奇数階フロア50aの教示開始位置53の周囲の状況と、偶数階フロア50bの教示開始位置53の周囲の状況とは同様であるため、教示時局所地図と現在局所地図とを比較した第2マッチング処理の処理結果の第2一致率は、ほぼ100%となる。一方、偶数階フロア50bの教示時環境画像60と奇数階フロア50aの現在環境画像61とには図10(b)に示すように相違箇所62が存在するため、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理の処理結果の第1一致率は、100%に比べて低く算出される。妥当性評価部25は、第1マッチング処理の処理結果と第2マッチング処理の処理結果との総合一致率として、例えば、52%を算出する。
次に、評価結果出力部26は、妥当性評価部25による再現開始位置の妥当性評価結果を表示入力部9によって出力する(ステップS14)。例えば、この動作例では、評価結果出力部26は、総合一致率52%の数値部分の「52」を総合評価点数とした数値情報「52」を、表示入力部9の表示器33における表示エリア44(地図選択エリア)に表示された地図リスト45において、偶数階フロア50bの作業走行地図51bに対応する評価結果掲示47に表示する。
上記のように評価点数が「52」である場合、所定の一致率閾値(例えば、50%)を超えるため、妥当性評価部25は、妥当性を満たすと判定するので、再現走行制御部23は、偶数階フロア50bの作業走行地図51bで奇数階フロア50aにおける再現走行を実行不可とすることはない。しかしながら、満点である「100」に比べると評価点数「52」は低いので、操作者は妥当性に疑問を感じることがある。そこで、評価結果出力部26は、数値情報「52」を示す評価結果掲示47を反転文字で表示して、妥当性が低いことを操作者へと報知する。なお、評価結果出力部26は、妥当性が低いことを警報音によって出力してもよい。
操作者は、評価結果掲示47を視認することで、選択した作業走行地図51bに対する再現開始位置の妥当性を認識しつつ、当該作業走行地図51bによる再現走行を実行してよいことを判断した場合には、表示エリア44の実行キー46を押下する(ステップS15:YES)。再現走行制御部23は、実行キー46の操作に応じて、選択された作業走行地図51bに従った再現走行モードの実行を開始する(ステップS16)。
また、操作者は、作業走行地図51bによる再現走行が適切でなく、作業走行地図51を変更すると判断した場合には、表示エリア44の戻るキー48を押下して(ステップS15:NO)、地図リスト45での作業走行地図51の再選択を行う(ステップS11)。
上述のように、第1の実施形態によれば、手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置1は、装置本体2と、装置本体2を走行させる走行部3と、装置本体2と該装置本体2の周囲の物体との距離および角度を計測する計測部6と、計測部6で計測された距離および角度を座標変換して装置本体2の周囲の局所地図を作成する地図作成部21と、教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて走行部3が装置本体2を走行させる間に、計測部6および地図作成部21を作動させて、局所地図をつなぎ合わせることにより、装置本体2が教示開始位置53から教示終了位置54まで至る走行経路52および該走行経路52の周囲の作業走行地図51を作成して記憶させ、再現走行モードの実行時に、走行経路52および作業走行地図51に従った自動操作入力によって、再現開始位置にある装置本体2を走行させるように走行部3を制御する走行制御部である教示走行制御部22および再現走行制御部23と、装置本体2に設けられて該装置本体2の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像部7と、教示走行モードの実行時に撮像部7によって撮像した環境画像を教示時環境画像60として取得し、再現走行モードの実行時に撮像部7によって撮像した環境画像を現在環境画像61として取得し、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理を行って再現開始位置の妥当性を評価する評価部である妥当性評価部25と、を備える。
換言すれば、自律走行装置1の妥当性評価方法は、手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置1の再現走行における再現開始位置の妥当性を評価する妥当性評価方法であって、自律走行装置1の装置本体2と該装置本体2の周囲の物体との距離および角度を計測する計測ステップと、計測ステップで計測された距離および角度を座標変換して装置本体2の周囲の局所地図を作成する地図作成ステップと、教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて自律走行装置1の走行部3が装置本体2を走行させる間に、計測ステップおよび地図作成ステップを実行して、局所地図をつなぎ合わせることにより、装置本体2が教示開始位置53から教示終了位置54まで至る走行経路52および該走行経路52の周囲の作業走行地図51を作成して記憶させ、再現走行モードの実行時に、走行経路52および作業走行地図51に従った自動操作入力によって、再現開始位置にある装置本体2を走行させるように走行部3を制御する走行制御ステップと、装置本体2に設けられる撮像部7によって該装置本体2の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像ステップと、教示走行モードの実行時に撮像ステップによって撮像した環境画像を教示時環境画像60として取得し、再現走行モードの実行時に撮像ステップによって撮像した環境画像を現在環境画像61として取得し、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理を行って再現開始位置の妥当性を評価する評価ステップと、を制御部8のコンピュータに実行させる。
このような構成により、第1の実施形態に係る自律走行装置1では、自律走行装置1の配置された清掃エリア50とは異なる他の清掃エリア50の作業走行地図51を操作者が間違って選択しても、自律走行装置1が再現走行を実施する場合に、間違った作業走行地図51に沿った走行によって作業の継続が不可能となってエラーで停止するようなことを回避することができ、再現走行の精度を良好に維持することが可能となる。また、第1の実施形態に係る自律走行装置1では、再現走行を実施する際に、操作者が自律走行装置1を正しい教示開始位置53に配置していない場合、間違った作業走行地図51に沿った走行によって作業の継続が不可能となってエラーで停止するようなことを回避することができ、再現走行の精度を良好に維持することが可能となる。従って、第1の実施形態に係る自律走行装置1では、再現走行の経路において初期化物体を予め設置したり、装置本体2を教示開始位置53へ正確に配置したりすることなく、再現走行の精度を向上することを可能とする。
また、第1の実施形態に係る自律走行装置1は、評価部である評価結果出力部26は、第1マッチング処理による教示時環境画像60と現在環境画像61との一致率に基づく第1評価点数を数値情報によって出力する。
このような構成により、技術的に信頼性のある画像マッチング処理技術を用いて、作業走行地図51の選択の確認を精度よく行うことが可能となる。また、操作者は、マッチング処理結果として再現開始位置や作業走行地図51の妥当性を数値情報によって容易に確認することができる。
また、第1の実施形態に係る自律走行装置1は、妥当性評価部25は、教示走行モードの開始時に地図作成部21によって作成した局所地図を教示時局所地図として取得し、再現走行モードの開始時に地図作成部21によって作成した局所地図を現在局所地図として取得し、教示時局所地図と現在局所地図とを比較した第2マッチング処理を行って、第1マッチング処理および第2マッチング処理によって再現開始位置の妥当性を評価する。
このような構成により、技術的に信頼性のある画像マッチング処理技術を環境画像だけでなく、局所地図にも適用して再現開始位置や作業走行地図51の妥当性を評価することができる。また、環境画像および局所地図に対して、同一の画像マッチング処理技術を適用することができるので、処理全体を簡素化して処理速度を向上することができる。
また、第1の実施形態に係る自律走行装置1は、評価結果出力部26は、第1マッチング処理による教示時環境画像60と現在環境画像61との一致率に基づく第1評価点数と、第2マッチング処理による教示時局所地図と現在局所地図との一致率に基づく第2評価点数とを総合した総合評価点数を数値情報によって出力する。
このような構成により、再現開始位置や作業走行地図51の妥当性の評価を複数の観点から総合的に確認することが可能となり、妥当性の評価結果をより正確にすることができ、また、評価結果の把握を簡単にすることができるので、操作者の負担を軽くすることが可能となる。
また、第1の実施形態に係る自律走行装置1は、再現走行制御部23は、妥当性評価部25によって再現開始位置の妥当性を満たさないと評価したとき、再現走行モードでの走行を開始する前の場合には、再現走行モードの走行を中止する。
このような構成により、記憶する環境画像のデータ量を抑制することができ、また、エラー発生時に操作者が作業走行地図51の再選択の操作などを行い易くなる利便性がある。
上記したように、第1の実施形態に係る自律走行装置1では、再現走行のための自律走行装置1の再現開始位置の配置や作業走行地図51の選択を間違えた場合でも、再現開始位置の配置や作業走行地図51の選択のやり直しを早期に実施することができるので、作業効率の低下を抑制することができる。
次に、第2の実施形態の自律走行装置1について説明する。以下、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の自律走行装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態の自律走行装置1では、妥当性評価部25は、開始位置で環境画像や局所地図を取得して第1マッチング処理や第2マッチング処理を行って、その処理結果に基づいて再現開始位置の妥当性を評価するだけでなく、開始位置から所定の開始区間の走行の間に所定の走行距離間隔で複数の環境画像や複数の局所地図を取得して第1マッチング処理や第2マッチング処理を行って、その処理結果に基づいて作業走行地図51の妥当性を評価する。
第2の実施形態では、画像取得部24は、教示走行の開始時を取得タイミングとして、自律走行装置1が教示開始位置53に配置された状態で、撮像部7によって撮像した環境画像を教示時環境画像60(開始位置画像)として取得した後、教示走行を開始してから所定の開始区間(または開始期間)の間に所定の走行距離(または走行時間)間隔で設定された少なくとも1つのマーク位置55、56、57(図2、図3参照)に自律走行装置1が到達した状態で、撮像部7によって撮像した各環境画像を複数の教示時環境画像60(マーク位置画像)として取得する。また、画像取得部24は、教示走行制御部22が教示走行モードを終了して作業走行地図51を作成する際に、開始位置画像およびマーク位置画像を含む複数の教示時環境画像60を作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する。
なお、画像取得部24は、所定の開始区間や所定の走行距離を清掃エリア50の大きさに応じて設定して、当該開始区間や当該走行距離に基づいてマーク位置55、56、57を設定してもよい。あるいは、画像取得部24は、教示走行を開始してから開始区間の間に撮像された環境画像を一時記憶していて、順次、環境画像の変化を判定し、変化率が所定の変化率閾値以上になる環境画像の位置をマーク位置55、56、57として設定してもよい。
図12(a)は、自律走行装置1において、画像取得部24が取得した教示時環境画像60の例を示す平面図である。自律走行装置1が図2に示すような3階フロア(奇数階フロア50a)の教示走行を行う場合、撮像部7は、自律走行装置1が教示開始位置53に配置されているときに、図10(a)に示すような教示時環境画像60(開始位置画像)を撮像し、自律走行装置1が各マーク位置55、56、57に到達したときに、各教示時環境画像60(マーク位置画像)を撮像し、例えば、偶数階フロア50bとの相違箇所62に接近したマーク位置57において、図12(a)に示すような教示時環境画像60(マーク位置画像)を撮像する。画像取得部24は、撮像部7が撮像した複数の教示時環境画像60を3階フロアの作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する。
また、画像取得部24は、再現走行の開始時を取得タイミングとして、自律走行装置1が再現開始位置に配置された状態で、撮像部7によって撮像した各環境画像を現在環境画像61(開始位置画像)として取得した後、再現走行を開始してから所定の開始区間(または開始期間)の間に所定の走行距離(または走行時間)間隔で設定された少なくとも1つのマーク位置55、56、57(図2、図3参照)に自律走行装置1が到達した状態で、撮像部7によって撮像した環境画像を複数の現在環境画像61(マーク位置画像)として取得する。
図12(b)は、自律走行装置1において、画像取得部24が取得した現在環境画像61の例を示す平面図である。自律走行装置1が図3に示すような4階フロア(偶数階フロア50b)の再現走行を行う場合、撮像部7は、自律走行装置1が再現開始位置に配置されているときに、図10(b)に示すような現在環境画像61(開始位置画像)を撮像し、自律走行装置1が各マーク位置55、56、57に到達したときに、各現在環境画像61(マーク位置画像)を撮像し、例えば、奇数階フロア50aとの相違箇所62に接近したマーク位置57において、図12(b)に示すような現在環境画像61(マーク位置画像)を撮像する。
第2の実施形態では、地図作成部21は、教示走行の開始時に、自律走行装置1が教示開始位置53に配置された状態で作成した局所地図を教示時局所地図として取得した後、教示走行を開始してから所定の開始区間(または開始期間)の間に所定の走行距離(または走行時間)間隔で設定された少なくとも1つのマーク位置55、56、57(図2、図3参照)に自律走行装置1が到達した状態で作成した各局所地図を複数の教示時局所地図として取得する。また、地図作成部21は、教示走行制御部22が教示走行モードを終了して作業走行地図51を作成する際に、教示開始位置53および各マーク位置55、56、57の複数の教示時局所地図を作業走行地図51に関連付けて記憶部16に記憶する。
また、地図作成部21は、再現走行の開始時に、自律走行装置1が再現開始位置に配置された状態で作成した局所地図を現在局所地図として取得した後、再現走行を開始してから所定の開始区間(または開始期間)の間に所定の走行距離(または走行時間)間隔で設定された少なくとも1つのマーク位置55、56、57(図2、図3参照)に自律走行装置1が到達した状態で作成した各局所地図を複数の現在局所地図として取得する。
そして、妥当性評価部25は、先ず再現走行の開始時に、教示開始位置53の教示時環境画像60および再現開始位置の現在環境画像61の第1マッチング処理と、教示開始位置53の教示時局所地図および再現開始位置の現在局所地図の第2マッチング処理とを行って、総合的な処理結果(例えば、総合一致率)を算出して、再現開始位置の妥当性を評価する。更に、妥当性評価部25は、再現走行の実行中に各マーク位置55、56、57の到達時に、各マーク位置55、56、57の教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理と、各マーク位置55、56、57の教示時局所地図および現在局所地図の第2マッチング処理とを行って、総合的な処理結果(例えば、総合一致率)を算出して、再現走行のために選択した作業走行地図51の妥当性を評価する。
例えば、自律走行装置1が3階フロアなどの奇数階フロア50aに移動されているが、再現走行のために4階フロアなどの偶数階フロア50bの作業走行地図51bが選択されることがある。このとき、奇数階フロア50aの教示開始位置53の周囲の状況と、偶数階フロア50bの教示開始位置53の周囲の状況とは同様であるため、妥当性評価部25は、教示開始位置53の教示時局所地図と再現開始位置の現在局所地図とを比較した第2マッチング処理によって、ほぼ100%の第2一致率を算出する。
一方、偶数階フロア50bの教示開始位置53の教示時環境画像60と奇数階フロア50aの再現開始位置の現在環境画像61とに図10(b)に示すように相違箇所62が存在していても、教示時環境画像60や現在環境画像61の全体に対して相違箇所62の大きさが比較的小さい場合には、妥当性評価部25は、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理によって、100%に比べてあまり低くならない第1一致率を算出し、例えば、70%程度の第1一致率を算出することがある。この場合、妥当性評価部25は、第1マッチング処理および第2マッチング処理の総合的な処理結果として、所定の一致率閾値以上の総合一致率を算出すれば、再現開始位置の妥当性を満たすと評価する。
次に、再現走行を進行して自律走行装置1が各マーク位置55、56、57に到達すると、妥当性評価部25は、各マーク位置55、56、57の教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理を行う共に、各マーク位置55、56、57の教示時局所地図と現在局所地図とを比較した第2マッチング処理を行う。このとき、自律走行装置1が奇数階フロア50aにおいて偶数階フロア50bとの相違箇所62に接近してマーク位置57に到達したときに、妥当性評価部25は、当該マーク位置57の教示時環境画像60(図12(a)参照)と現在環境画像61(図12(b)参照)とを比較した第1マッチング処理を行う共に、当該マーク位置57の教示時局所地図と現在局所地図とを比較した第2マッチング処理を行う。
ここで、マーク位置57は相違箇所62よりも手前にあり、奇数階フロア50aの当該マーク位置57の周囲の状況と、偶数階フロア50bの当該マーク位置57の周囲の状況とは同様であるため、妥当性評価部25は、当該マーク位置57の教示時局所地図と当該マーク位置57の現在局所地図とを比較した第2マッチング処理によって、ほぼ100%の第2一致率を算出する。一方、偶数階フロア50bの当該マーク位置57の教示時環境画像60と奇数階フロア50aの当該マーク位置57の現在環境画像61とでは、図12(a)、図12(b)に示すように、教示時環境画像60や現在環境画像61の全体に対して相違箇所62の大きさが比較的大きくなり、妥当性評価部25は、教示時環境画像60と現在環境画像61とを比較した第1マッチング処理によって、100%に比べて低い第1一致率を算出し、例えば、所定の一致率閾値未満の第1一致率を算出する。
そして、妥当性評価部25は、各マーク位置55、56、57の第1マッチング処理および第2マッチング処理の総合的な処理結果として、所定の一致率閾値以上の総合一致率を算出した場合には、作業走行地図51の妥当性を満たすと評価し、一方、所定の一致率閾値未満の総合一致率を算出した場合には、作業走行地図51の妥当性を満たさないと評価する。
なお、第2の実施形態において、妥当性評価部25が、再現開始位置における第1マッチング処理による第1一致率および前記第2マッチング処理による第2一致率に基づく総合一致率が所定の一致率閾値未満であると評価した場合であっても、再現走行制御部23は、再現走行を実行不可(中止)にすることなく開始してよい。その後、再現走行制御部23は、各マーク位置55、56、57の第1マッチング処理および第2マッチング処理の総合的な処理結果に基づいて作業走行地図51の妥当性を満たすと評価した場合には、そのまま再現走行を継続する一方、作業走行地図51の妥当性を満たさないと評価した場合には、当該作業走行地図51の再現走行を実行不可とする。例えば、再現走行モードでの走行を開始した後の場合には、再現走行制御部23は、自律走行装置1を再現開始位置まで戻るように走行させると共に再現開始位置で停止するように制御する。
更に、第2の実施形態では、教示走行において教示時環境画像60および教示時局所地図を取得するタイミングとして、教示開始位置53や、開始区間の間に所定の走行距離間隔で設定された各マーク位置55、56、57以外にも、記録スイッチとして作用する学習キー40の操作された位置に副マーク位置を設定してもよい。即ち、学習キー40の操作された副マーク位置に応じて、画像取得部24が教示時環境画像60を取得すると共に、地図作成部21が教示時局所地図を取得して、作業走行地図51と関連付けて記憶部16に記憶する。なお、副マーク位置だけでなく、その前後の位置においても、画像取得部24が教示時環境画像60を取得すると共に、地図作成部21が教示時局所地図を取得してもよい。
また、再現走行では、自律走行装置1が教示時の副マーク位置に到達したときに、画像取得部24が現在環境画像61を取得すると共に、地図作成部21が現在局所地図を取得する。そして、妥当性評価部25は、副マーク位置での教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理と、現在局所地図および現在環境画像61の第2マッチング処理とを行って、総合的な処理結果(例えば、総合一致率)を算出して、再現走行のために選択した作業走行地図51の妥当性を評価する。
例えば、操作者は、自律走行装置1が教示走行において清掃エリア50の間で周囲の状況(レイアウトなど)が異なる位置に到達した場合に、学習キー40を操作することで、当該位置を副マーク位置として教示時環境画像60や教示時局所地図を取得することができる。これにより、妥当性評価部25は、周囲の状況が異なる位置での教示時環境画像60を用いた第1マッチング処理や教示時局所地図を用いた第2マッチング処理によって、作業走行地図51の妥当性を評価することができる。そのため、妥当性評価部25は、清掃エリア50の間で周囲の状況の相違をより適切に比較することができる。
また、妥当性評価部25は、複数の清掃エリア50の各作業走行地図51を相互に比較することによって、周囲の状況が異なる位置を自動的に判別して副マーク位置を設定してもよい。このとき、妥当性評価部25は、作業走行地図51の形状だけでなく、走行経路52の変化点なども比較するとよい。
この場合、副マーク位置の教示時環境画像60を取得するために、画像取得部24は、教示走行において各地点の環境画像を一時的に記憶していて、妥当性評価部25が副マーク位置を設定したときに、当該副マーク位置に対応する環境画像を教示時環境画像60として記憶する。あるいは、画像取得部24は、再現走行において、教示走行で設定した副マーク位置に自律走行装置1が到達したときに、環境画像を取得して教示時環境画像60として記憶する。
なお、自律走行装置1は、複数の清掃エリア50の各作業走行地図51を外部サーバ(図示せず)に登録して、当該外部サーバにおいて各作業走行地図51を相互に比較して副マーク位置を設定してもよい。
これにより、自律走行装置1が各清掃エリア50の再現走行を複数回行ううちに、間違いなく再現走行を行った場合のデータ(環境画像)を蓄積しておくことができる。そのため、作業走行地図51の選択などに間違いが生じた場合でも、自律走行装置1は、適切に対応することができる。
上記のように、第2の実施形態によれば、自律走行装置1は、教示走行モードでの走行を開始してから所定の開始期間の間に所定の走行距離間隔で、撮像部7によって環境画像を撮像することにより複数の教示時環境画像60を取得すると共に、地図作成部21によって作成した各局所地図を複数の教示時局所地図として取得し、妥当性評価部25は、再現走行モードの実行時に、再現開始位置における第1マッチング処理による第1一致率および第2マッチング処理による第2一致率に基づく総合一致率が所定の一致率閾値未満の場合に、再現走行モードでの走行を開始してから所定の開始区間の間に所定の走行距離間隔で、撮像部7によって環境画像を撮像することにより複数の現在環境画像61を取得すると共に、地図作成部21によって作成した各局所地図を複数の現在局所地図として取得し、所定の開始区間における複数の現在環境画像61の第1マッチング処理による各第1一致率および複数の現在局所地図の第2マッチング処理による各第2一致率に基づく各総合一致率が所定の一致率閾値以上である場合に、再現開始位置の妥当性を満たすと評価する。
このような構成により、自律走行装置1では、同じ清掃エリア50内において繰り返しジグザグ走行しながら作業する場合でも、初期の開始期間において環境画像および局所地図の照合を重点的に行うため、走行経路52の全域に亘って環境画像や局所地図を記憶することに比べて、記憶するデータ量を抑制することができる。また、清掃エリア50の選択は間違っていないが、再現開始位置や方向(角度)が相当ずれている場合でも、そのまま再現走行を開始して、再現開始位置や作業走行地図51の妥当性を評価することができる。また、再現走行を開始した後で、作業走行地図51の妥当性を満たすと評価した場合には、そのまま再現走行を継続することができるので、自律走行装置1の再現開始位置を教示開始位置53に正確に配置しなくでも、容易に再現走行を開始することができる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態によれば、再現走行制御部23は、妥当性評価部25によって再現開始位置の妥当性を満たさないと評価したとき、再現走行モードでの走行を開始した後の場合には、装置本体2を再現開始位置まで戻るように走行させると共に再現開始位置で停止するように走行部3を制御する。
このような構成により、自律走行装置1では、記憶する環境画像のデータ量を抑制することができ、また、エラー発生時に操作者が作業走行地図51の再選択の操作などを行い易くなる利便性がある。
次に、第3の実施形態の自律走行装置1について説明する。以下、第3の実施形態の説明において、第1の実施形態や第2の実施形態の自律走行装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記した第1の実施形態の自律走行装置1では、妥当性評価部25は、再現走行の開始時を評価タイミングとして、表示入力部9の表示器33の表示エリア44(地図選択エリア)の地図リスト45から選択された作業走行地図51を評価対象とし、教示時環境画像60と現在環境画像61との第1マッチング処理や、教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理を行い、その処理結果に基づいて、選択された作業走行地図51について再現開始位置の妥当性を評価する。そして、評価結果出力部26は、選択された作業走行地図51について妥当性の評価結果である総合評価点数を、表示エリア44の地図リスト45において評価対象の作業走行地図51に対応する評価結果掲示47に表示する。
これに対して、第3の実施形態の自律走行装置1では、妥当性評価部25は、既に記憶部16に記憶されている複数の作業走行地図51、即ち、表示入力部9の表示器33の表示エリア44(地図選択エリア)の地図リスト45に表示される各作業走行地図51を評価対象とし、教示時環境画像60と現在環境画像61との第1マッチング処理や、教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理を行い、各作業走行地図51の処理結果に基づいて、各作業走行地図51について再現開始位置の妥当性を評価する。そして、評価結果出力部26は、複数の作業走行地図51毎に第1マッチング処理の第1評価点数と第2マッチング処理の第2評価点数とを総合した総合評価点数を、表示エリア44の地図リスト45において各作業走行地図51に対応する評価結果掲示47に表示して出力する。
例えば、自律走行装置1が3階フロアなどの奇数階フロア50aに移動されているが、再現走行のために4階フロアなどの偶数階フロア50bの作業走行地図51bが選択されることがある。この場合、評価結果出力部26は、図8に示すように、地図選択エリアである表示エリア44において、地図リスト45では、奇数階フロア50aの作業走行地図51aに対応する評価結果掲示47に、総合評価点数として「52」の数値情報を表示し、偶数階フロア50bの作業走行地図51bに対応する評価結果掲示47に、総合評価点数として「94」の数値情報を表示している。
妥当性評価部25は、第1の実施形態と同様に、表示エリア44の地図リスト45から作業走行地図51が選択されたときを評価タイミングとしてよいが、あるいは、再現走行モードの開始時、例えば、メインスイッチ30が「自動」に切り換えられて再現走行モードに切り換えられたときであって、既に記憶部16に記憶されている作業走行地図51を、表示エリア44の地図リスト45において選択可能に一覧表示するときを評価タイミングとしてもよい。
また、複数の作業走行地図51について妥当性評価部25によって再現開始位置の妥当性を評価すると共に評価結果出力部26によって総合評価点数を評価結果掲示47に出力する場合、再現走行制御部23は、総合評価点数の最も高い作業走行地図51を自動的に選択して、当該作業走行地図51に従った再現走行を行うように制御する。例えば、再現走行制御部23は、複数の作業走行地図51について再現開始位置の妥当性の評価を終了したときに、または、表示エリア44の自動選択キー49の操作に応じて、総合評価点数の最も高い作業走行地図51を自動的に選択する。
なお、再現走行制御部23は、地図リスト45から選択操作された作業走行地図51について再現開始位置の妥当性を満たす場合には、当該作業走行地図51をそのまま再現走行に適用し、一方、選択操作された作業走行地図51について再現開始位置の妥当性を満たさない場合には、作業走行地図51の選択操作に拘わらず、総合評価点数の最も高い作業走行地図51を自動的に選択してもよい。
更に、第3の実施形態では、妥当性評価部25は、再現走行の開始期間での実行中において、選択されている作業走行地図51について妥当性を満たさないと評価した場合に、既に記憶部16に記憶されている他の作業走行地図51について妥当性評価のシミュレーションを行う。そして、妥当性評価部25は、このシミュレーションによって、他の作業走行地図51について、教示時環境画像60と現在環境画像61との第1マッチング処理や、教示時局所地図と現在局所地図との第2マッチング処理を行い、各作業走行地図51の処理結果に基づいて、各作業走行地図51について妥当性を評価する。
また、妥当性評価部25が上記のようなシミュレーションを行った場合、再現走行制御部23は、他の作業走行地図51のうち、点数閾値を超えていて総合評価点数の最も高い作業走行地図51に自動的に差し替えて、当該作業走行地図51に従った再現走行を行うように制御する。このとき、再現走行制御部23は、自律走行装置1を再現開始位置に戻して再現走行をやり直すか、または作業走行地図51を差し換えた時点での自律走行装置1の位置から再現走行を継続するかの対応設定を、操作者の操作に応じて予め選択させていてよく、あるいは、シミュレーション時に表示入力部9などによって操作者に問い合わせて選択させてもよい。
なお、上記した実施形態では、画像取得部24が、教示走行モードの実行時や再現走行モードの実行時に、撮像部7の前方カメラ7aによって撮像した環境画像を教示時環境画像60や現在環境画像61として取得し、妥当性評価部25が、前方カメラ7aによって撮像した教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理を行う例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
他の例では、画像取得部24は、教示走行モードの実行時や再現走行モードの実行時に、撮像部7の前方カメラ7aだけでなく、後方カメラ7bによって撮像した環境画像を教示時環境画像60や現在環境画像61として取得する。妥当性評価部25は、前方カメラ7aによって撮像した教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理だけでなく、後方カメラ7bによって撮像した教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理を行い、両方の第1マッチング処理の処理結果に基づいて、再現開始位置の妥当性を評価する。
図13は、自律走行装置1において、撮像部7の後方カメラ7bが撮像した環境画像の例を示す平面図である。後方カメラ7bには、例えば、前方カメラ7aよりも広角のレンズが設けられていて、図13のような歪んだ環境画像を撮像する。
図14は、自律走行装置1において、撮像部7の後方カメラ7bが撮像した環境画像に画像処理を施した場合の例を示す平面図である。妥当性評価部25は、後方カメラ7bで撮像した環境画像に対して座標変換処理・歪み補正処理を行うことによって、図14(a)のような画像を取得し、また、セマンティックセグメンテーション処理を行うことによって、図14(b)のような属性ごとに色分けした画像を取得し、更に、図14(c)のように、中央部分の一部画像を切り出す。操作者が操作部4のハンドル部4aの操作を行っている場合、図13に二点鎖線で示すように、教示走行においては後方カメラ7bの環境画像には操作者が映り込むことになるが、環境画像の一部を再現走行時に取得した環境画像に差し換えるか、または合成する画像処理によって、図14(a)に示すように、操作者を削除した環境画像を取得することができる。後方カメラ7bに広角レンズを適用することで、後方の操作者以外に十分な撮像範囲を有して環境画像を撮像することができる。
妥当性評価部25は、前方カメラ7aによって撮像した教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理と、後方カメラ7bによって撮像した教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理とで同様の画像処理を行うことで、複数の画像処理を同時並行で行う場合でも、処理速度を高速化すると共に記憶部16の使用容量を減少することができ、精度よく妥当性評価が実行できる。
なお、前方カメラ7aで撮像した環境画像の第1マッチング処理と、後方カメラ7bで撮像した環境画像の第1マッチング処理を行う場合でも、上記した第3の実施形態と同様にして、開始位置の環境画像の第1マッチング処理だけでなく、開始期間の各マーク位置55、56、57の第1マッチング処理を行ってよい。この場合、後方カメラ7bで撮像した環境画像を利用することで、開始期間の第1マッチング処理を早期に完了することができる。
また、画像処理を簡単にするために、画像取得部24による環境画像の取得タイミング、例えば、教示走行の開始時に、操作者を前方カメラ7aや後方カメラ7bの画角から退避するように、表示器33での表示やスピーカ32での音声出力によって報知してもよい。このとき、画像取得部24は、前方カメラ7aや後方カメラ7bの画角の範囲内に人物のいないことをセンサによって検知してから、前方カメラ7aや後方カメラ7bによって教示開始位置53の教示環境画像の撮像を行ってもよい。また、教示走行制御部22は、教示環境画像の撮像を完了してから、教示走行を開始可能にしてもよい。
また、再現走行制御部23は、再現走行の実行時に、再現開始位置や各マーク位置55、56、57で後方カメラ7bによって撮像した現在環境画像61を、次回以降の再現走行のために教示時環境画像60として記憶部16に記憶してもよい。
なお、上記した本実施形態では、清掃部5が、ロールブラシなどの清掃用部材13、吸引部14およびバケットなどを有する乾式の清掃機構で構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、清掃部5は、洗浄用部材、洗浄液供給部、吸引部およびスキージなどを有する湿式の清掃機構で構成されてもよい。
また、他の実施例では、妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理において、環境画像中の文字やロゴマークなどの表記情報について重み付けを付加することで、重み付けを適用した評価結果の一致率や評価点数を算出してもよい。
この場合、妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61のセマンティックセグメンテーション処理を行う前に、教示時環境画像60および現在環境画像61から文字やロゴマークなどの表記情報を含む表記情報画像の検出および切り出しを行う。そして、妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理に加えて、教示時環境画像60および現在環境画像61の各表記情報画像の第1マッチング処理を行う。妥当性評価部25は、表記情報画像の第1マッチング処理によって、教示時環境画像60および現在環境画像61の間の文字やロゴマークなどの表記情報の違いや、文字やロゴマークなどの表記情報の有無を判定する。妥当性評価部25は、教示時環境画像60および現在環境画像61の第1マッチング処理の評価結果(一致率)に対して、表記情報画像の第1マッチング処理の評価結果(一致率)を適用することで、自然に重み付けした評価結果を得ることができる。
また、他の実施例では、妥当性評価部25は、再現走行の開始時または開始期間での実行中において、再現開始位置や作業走行地図51の妥当性を満たさないと評価した場合に、エラー判定して、教示時環境画像60および現在環境画像61を表示入力部9の表示器33に比較可能に表示してもよい。
あるいは、自律走行装置1は、外部サーバ(図示せず)とインターネットなどのネットワークを介して通信可能な通信部19(図6参照示)を備えていて、妥当性評価部25は、再現走行の開始時または開始期間での実行中において、再現開始位置や作業走行地図51の妥当性を満たさないと評価した場合に、教示時環境画像60および現在環境画像61をエラー通知と共に外部サーバへと送信してもよい。
外部サーバは、再現走行を遠隔監視できるように構成されていて、受信した教示時環境画像60および現在環境画像61の比較処理や、エラーの内容や理由の解析処理をおこなう。外部サーバは、比較処理や解析処理の結果を画面表示してエラー通知を行ってもよい。また、外部サーバは、自律走行装置1の操作者や管理者の携帯端末(図示せず)とインターネットなどのネットワークを介して通信可能に構成されていて、比較処理や解析処理の結果を、メールやアプリなどによって携帯端末へと送信することでエラー通知を行ってもよい。
このように、自律走行装置1が再現開始位置の配置や作業走行地図51の選択の間違いを検出した場合には、自律走行装置1、外部サーバまたは携帯端末によって、操作者や管理者にエラー通知を行うことで、間違いへの対応を仰ぐことができる。
更に、エラー通知を行う際に、自律走行装置1を再現開始位置に戻して再現走行をやり直すか、または最高一致率を得られた作業走行地図51に差し換えてその位置から再現走行を継続するかの対応設定を、表示入力部9などによって操作者に問い合わせて選択させてもよい。あるいは、エラー通知を行う際に、最高一致率を得られた作業走行地図51に差し換えてその位置から再現走行を継続する対応設定を自律走行装置1が自動的に選択してもよい。
なお、自律走行装置1は、エラー判定時の様々な対応設定について、優先度を予め設定していてよい。これにより、操作者や管理者が不在な場合や、外部サーバや携帯端末が通信不能な場合など、対応設定を判断できない場合には、自律走行装置1は、優先度の高い対応設定を自動的に選択して適用することができる。
このように、本発明の実施形態による自律走行装置1によれば、コストを上げることなく、作業走行地図51に対する再現開始位置の妥当性の評価結果を出力して、操作者に認識させることができ、操作者の作業を容易にし、再現走行に伴う清掃作業などの作業を円滑に進めることを可能とする。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自律走行装置および妥当性評価方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
本発明は、ホテルフロアやオフィスフロア等の比較的広い範囲の清掃作業等を実施するための、手動操作および自動操作に応じた走行が可能な自律走行装置において好適に利用することができる。
1 自律走行装置
2 装置本体
3 走行部
5 清掃部
6 計測部
7 撮像部
7a 前方カメラ
7b 後方カメラ
8 制御部
9 表示入力部
16 記憶部
20 モード切換部
21 地図作成部
22 教示走行制御部
23 再現走行制御部
24 画像取得部
25 妥当性評価部
26 評価結果出力部
33 表示器
40 学習キー
44 表示エリア
46 実行キー
47 評価結果掲示
49 自動選択キー
50 清掃エリア
50a 奇数階フロア
50b 偶数階フロア
51、51a、51b 作業走行地図
52 走行経路
53 教示開始位置
54 教示終了位置
55、56、57 マーク位置
60 教示時環境画像
61 現在環境画像

Claims (7)

  1. 手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置であって、
    装置本体と、
    前記装置本体を走行させる走行部と、
    前記装置本体と該装置本体の周囲の物体との距離および角度を計測する計測部と、
    前記計測部で計測された距離および角度を座標変換して前記装置本体の周囲の局所地図を作成する地図作成部と、
    教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて前記走行部が前記装置本体を走行させる間に、前記計測部および前記地図作成部を作動させて、前記局所地図をつなぎ合わせることにより、前記装置本体が教示開始位置から教示終了位置まで至る走行経路および該走行経路の周囲の作業走行地図を作成して記憶させ、
    再現走行モードの実行時に、前記走行経路および前記作業走行地図に従った自動操作入力によって、再現開始位置にある前記装置本体を走行させるように前記走行部を制御する走行制御部と、
    前記装置本体に設けられて該装置本体の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像部と、
    前記教示走行モードの実行時に前記撮像部によって撮像した前記環境画像を教示時環境画像として取得し、前記再現走行モードの実行時に前記撮像部によって撮像した前記環境画像を現在環境画像として取得し、前記教示時環境画像と前記現在環境画像とを比較した第1マッチング処理を行って前記再現開始位置の妥当性を評価する評価部と、
    を備えることを特徴とする自律走行装置。
  2. 前記評価部は、前記第1マッチング処理による前記教示時環境画像と前記現在環境画像との一致率に基づく第1評価点数を数値情報によって出力することを特徴とする請求項1に記載の自律走行装置。
  3. 前記評価部は、前記教示走行モードの開始時に前記地図作成部によって作成した前記局所地図を教示時局所地図として取得し、前記再現走行モードの開始時に前記地図作成部によって作成した前記局所地図を現在局所地図として取得し、前記教示時局所地図と前記現在局所地図とを比較した第2マッチング処理を行って、前記第1マッチング処理および前記第2マッチング処理によって前記再現開始位置の妥当性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の自律走行装置。
  4. 前記評価部は、前記第1マッチング処理による前記教示時環境画像と前記現在環境画像との一致率に基づく第1評価点数と、前記第2マッチング処理による前記教示時局所地図と前記現在局所地図との一致率に基づく第2評価点数とを総合した総合評価点数を数値情報によって出力することを特徴とする請求項3に記載の自律走行装置。
  5. 前記教示走行モードでの走行を開始してから所定の開始区間の間に所定の走行距離間隔で、前記撮像部によって前記環境画像を撮像することにより複数の前記教示時環境画像を取得すると共に、前記地図作成部によって作成した各前記局所地図を複数の前記教示時局所地図として取得し、
    前記評価部は、前記再現走行モードの実行時に、前記再現開始位置における前記第1マッチング処理による第1一致率および前記第2マッチング処理による第2一致率に基づく総合一致率が所定の一致率閾値未満の場合に、前記再現走行モードでの走行を開始してから前記所定の開始区間の間に前記所定の走行距離間隔で、前記撮像部によって前記環境画像を撮像することにより複数の前記現在環境画像を取得すると共に、前記地図作成部によって作成した各前記局所地図を複数の前記現在局所地図として取得し、前記所定の開始区間における複数の前記現在環境画像の前記第1マッチング処理による各第1一致率および複数の前記現在局所地図の前記第2マッチング処理による各第2一致率に基づく各総合一致率が所定の一致率閾値以上である場合に、前記再現開始位置の妥当性を満たすと評価することを特徴とする請求項3に記載の自律走行装置。
  6. 前記走行制御部は、前記評価部によって前記再現開始位置の妥当性を満たさないと評価したとき、前記再現走行モードでの走行を開始する前の場合には、前記再現走行モードの走行を中止し、前記再現走行モードでの走行を開始した後の場合には、前記装置本体を前記再現開始位置まで戻るように走行させると共に前記再現開始位置で停止するように前記走行部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の自律走行装置。
  7. 手動操作入力に基づく走行、および自動操作入力に基づく自律的な走行が可能な自律走行装置の再現走行における再現開始位置の妥当性を評価する妥当性評価方法であって、
    前記自律走行装置の装置本体と該装置本体の周囲の物体との距離および角度を計測する計測ステップと、
    前記計測ステップで計測された距離および角度を座標変換して前記装置本体の周囲の局所地図を作成する地図作成ステップと、
    教示走行モードの実行時に、手動操作入力に応じて前記自律走行装置の走行部が前記装置本体を走行させる間に、前記計測ステップおよび前記地図作成ステップを実行して、前記局所地図をつなぎ合わせることにより、前記装置本体が教示開始位置から教示終了位置まで至る走行経路および該走行経路の周囲の作業走行地図を作成して記憶させ、
    再現走行モードの実行時に、前記走行経路および前記作業走行地図に従った自動操作入力によって、前記再現開始位置にある前記装置本体を走行させるように前記走行部を制御する走行制御ステップと、
    前記装置本体に設けられる撮像部によって該装置本体の周囲の状況を示す環境画像を撮像する撮像ステップと、
    前記教示走行モードの実行時に前記撮像ステップによって撮像した前記環境画像を教示時環境画像として取得し、前記再現走行モードの実行時に前記撮像ステップによって撮像した前記環境画像を現在環境画像として取得し、前記教示時環境画像と前記現在環境画像とを比較した第1マッチング処理を行って前記再現開始位置の妥当性を評価する評価ステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする妥当性評価方法。
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