JP2024075888A - 炭素繊維強化樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色の色むらが少なく意匠性に優れた炭素繊維強化樹脂シートを提供する。【解決手段】炭素繊維強化樹脂シート1は、熱可塑性の樹脂フィルム11と当該樹脂フィルム11に同一方向に配向された状態で含有された炭素繊維12とを含むプリプレグシート2と、プリプレグシート2の少なくとも一方の面を被覆する金属光沢層3とを備える。金属光沢層3は、例えば乾式メッキによりプリプレグシート2に付着された金属の皮膜である。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化樹脂シート及びその製造方法に関する。
強化繊維として炭素繊維を含む炭素繊維強化樹脂(以下、CFRPという)は、金属の代替として用いられることがある。しかしながら、CFRPは、一般に、単調な黒系の色調であり、金属のような光沢をもたないため、意匠部品としての用途には本来不向きである。
上記のようなCFRPを意匠部品として用いるため、例えば下記特許文献1~3のように、CFRPを着色することが提案されている。
特許文献1には、着色剤を噴霧する噴霧装置を用いてCFRP(繊維強化プリプレグ)の表面を着色することが開示されている。
特許文献2には、着色剤を含有したマトリックス樹脂を炭素繊維に含浸させてCFRP(着色プリプレグ)を成形することが開示されている。
特許文献3には、着色剤を含むサイジング剤を炭素繊維に付着させ、これによって得られた着色炭素繊維を用いてCFRP(炭素繊維強化複合材料)を成形することが開示されている。
特開平6-200055号公報 特開平3-119038号公報 特開2010-229587号公報
しかしながら、上記特許文献1~3のいずれの着色方法によっても、CFRPの意匠性を十分に向上できない可能性がある。例えば、上記特許文献1のようにCPRPに塗装を施す方法では、塗装が剥がれ落ちるおそれがある。上記特許文献2のようにマトリックス樹脂に着色剤を含有させる方法では、着色剤の分散が不十分な場合に色むらが生じるおそれがある。上記特許文献3のように炭素繊維に着色剤を付着させる方法では、炭素繊維の黒色が発色を阻害する結果、くすんだ色味となるおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、着色の色むらが少なく意匠性に優れた炭素繊維強化樹脂シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本願の第1の発明に係る炭素繊維強化樹脂シートは、熱可塑性の樹脂フィルムと当該樹脂フィルムに同一方向に配向された状態で含有された炭素繊維とを含むプリプレグシートと、前記プリプレグシートの少なくとも一方の面を被覆する金属光沢層と、を備えたものである。
この第1の発明によれば、プリプレグシートが有する黒系の色調を金属光沢層によって覆い隠すことができ、炭素繊維強化樹脂シートの表面に鮮やかな金属光沢を付与することができる。これにより、色むらが少なく意匠性に優れた炭素繊維強化樹脂シートを実現することができる。
好ましくは、前記金属光沢層は、乾式メッキにより前記プリプレグシートに付着された金属の皮膜である。
乾式メッキにより形成された金属光沢層は、熱に強く、擦れによる劣化も少ないという性質がある。このような金属光沢層を含む炭素繊維強化樹脂シートは、プレス成形や射出成形に供されても十分な意匠性を維持し得る。したがって、当該炭素繊維強化樹脂シートをプレス成形や射出成形に供することで、優れた意匠性を有する複合成形品を製造し得る。
好ましくは、前記プリプレグシートと前記金属光沢層との合計厚さが60μm以下である。
60μm以下と非常に薄肉の炭素繊維強化樹脂シートは、柔軟性が高く形状追従性に優れる。このような炭素繊維強化樹脂シートは、例えば、被装飾体の表面に貼着される装飾シートとしての用途に好適に使用され得る。
前記構成において、より好ましくは、前記プリプレグシートは、前記樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムの両面にそれぞれ40g/m以下の目付量で積層された前記炭素繊維とを含む。
炭素繊維の目付量が40g/m以下であることは、炭素繊維の重なり度合が少なく、炭素繊維の積層厚さが小さく抑えられることを意味する。これにより、プリプレグシートの厚さを抑えることができ、非常に薄肉の炭素繊維強化樹脂シートを製造することができる。
本願の第2の発明に係る炭素繊維強化樹脂シートは、熱可塑性の樹脂フィルムと当該樹脂フィルムに同一方向に配向された状態で含有された炭素繊維とを有する複数のプリプレグ片を含み、当該プリプレグ片がランダムにかつシート状に集合して一体化したチョップドシート材と、前記チョップドシート材の少なくとも一方の面を被覆する金属光沢層と、を備えたものである。
この第2の発明によれば、上述した第1の発明と同様に、炭素繊維強化樹脂シートの表面に鮮やかな金属光沢を付与することができ、色むらを抑止することができる。また、炭素繊維の方向がランダムになるので、炭素繊維強化樹脂シートに疑似等方性を付与することができる。
本願の第3の発明に係る炭素繊維強化樹脂シートの製造方法は、一方向に配向された炭素繊維を熱可塑性の樹脂フィルムに重ねて加熱及び加圧を行うことにより、前記樹脂フィルムとこれに含有された前記炭素繊維とを含むプリプレグシートを得るステップと、得られた前記プリプレグシートの少なくとも一方の面に、乾式メッキにより金属を付着させて金属光沢層を形成するステップと、を含むものである。
この第3の発明によれば、表面に鮮やかな金属光沢を有する色むらの少ない炭素繊維強化樹脂シートを製造することができる。また、熱や擦れによって金属光沢が損なわれるのを抑止でき、意匠性を良好に維持することができる。
本願の第4の発明に係る炭素繊維強化樹脂シートの製造方法は、一方向に配向された炭素繊維を熱可塑性の樹脂フィルムに重ねて加熱及び加圧を行うことにより、前記樹脂フィルムとこれに含有された前記炭素繊維とを含むプリプレグシートを得るステップと、得られた前記プリプレグシートを短片状にカットして複数のプリプレグ片を得るステップと、得られた前記プリプレグ片をランダムに敷き詰めて加熱及び加圧を行うことにより、当該プリプレグ片がシート状に集合、一体化したチョップドシート材を得るステップと、得られた前記チョップドシート材の少なくとも一方の面に、乾式メッキにより金属を付着させて金属光沢層を形成するステップと、を含むものである。
この第4の発明によれば、上述した第3の発明と同様に、意匠性に優れた炭素繊維強化樹脂シートを製造することができる。また、炭素繊維強化樹脂シートに疑似等方性を付与することができる。
以上説明したように、本発明によれば、着色の色むらが少なく意匠性に優れた炭素繊維強化樹脂シートを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る炭素繊維強化樹脂シートの構造を示す概略断面図である。 上記炭素繊維強化樹脂シートを製造する方法の概略手順を示すフローチャートである。 プリプレグシートを成形する装置の概略構成を示す斜視図である。 上記プリプレグシートの表面に金属光沢層を形成する装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る炭素繊維強化樹脂シートの構造を示す概略断面図である。 上記炭素繊維強化樹脂シートを製造する方法の概略手順を示すフローチャートである。 チョップドシート材を成形する方法を説明するための概略斜視図である。
(1)第1実施形態
[炭素繊維強化樹脂シートの構造]
図1は、本発明の第1実施形態に係る炭素繊維強化樹脂シート1の構造を示す概略断面図である。本図に示すように、炭素繊維強化樹脂シート1は、プリプレグシート2と、当該プリプレグシート2の表面を被覆する金属光沢層3とを備える。プリプレグシート2は、熱可塑性の樹脂フィルム11と、当該樹脂フィルム11に含有された炭素繊維12とを含む。金属光沢層3は、プリプレグシート2の表面に付着された金属の皮膜である。言い換えると、本実施形態における炭素繊維強化樹脂シート1は、表面が金属光沢層3で覆われた熱可塑性の複合材料である。以下では、当該炭素繊維強化樹脂シート1のことを、適宜CFRTPシート1と略称する。
CFRTPシート1の厚さd、つまりプリプレグシート2と金属光沢層3との合計の厚さは、30μm以上60μm以下に設定される。
樹脂フィルム11は、一定の厚さ及び幅を有する極薄のシート状体である。樹脂フィルム11は、例えば熱可塑性樹脂を押出成形することにより成形される。樹脂フィルム11の厚さは、10μm以上40μm以下に設定される。
樹脂フィルム11の材料である熱可塑性樹脂、つまりプリプレグシート2のマトリックス樹脂としては、例えば、ポリアミド(特にPA6、PA9T、PA12)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリアリレート、フッ素樹脂、液晶ポリマー、熱可塑性エポキシ樹脂等を用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂を2種類以上混合したポリマーアロイを樹脂フィルム11の材料として用いてもよい。
炭素繊維12は、カーボン製の連続繊維であり、樹脂フィルム11の厚さ方向の両面にそれぞれ積層、固定されている。具体的に、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の長手方向(図1の紙面直交方向)に沿う一定の方向に配向された状態で、樹脂フィルム11の両面に積層されている。また、炭素繊維12は、全体として極薄い帯状を呈するように、樹脂フィルム11の幅方向に間隔を詰めて横並びに配置されている。なお、図1では便宜上、炭素繊維12どうしが樹脂フィルム11の厚さ方向に重ならないように1本ずつ横並びに配された状態を示しているが、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の表面の略全体を覆うように幅方向に広がっていればよく、繊維どうしがいくらか重なり合う状態で配置されていてもよい。
炭素繊維12としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系もしくはピッチ系の炭素繊維が好適に使用され得る。炭素繊維12による十分な補強効果を得る観点からは、強度の高いPAN系の炭素繊維がより好適である。炭素繊維12の繊維径は、5μm以上12μm以下に設定される。また、炭素繊維12の目付量、つまり単位面積あたりの炭素繊維12の重さは、10g/m以上40g/m以下に設定される。言い換えると、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の両面(上面及び下面)に、それぞれ目付量が10~40g/mになるように積層されている。
ここで、本実施形態では、プリプレグシート2として、炭素繊維12が樹脂フィルム11に部分的に埋め込まれた半含浸タイプのものが用いられる。すなわち、本実施形態におけるプリプレグシート2は、樹脂フィルム11と、当該樹脂フィルム11の両面に部分的に埋め込まれるように積層、固定された炭素繊維12とを有する。言い換えると、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の外側に一部が露出するような状態で樹脂フィルム11の表層部に埋め込まれ、樹脂フィルム11の内部に完全には埋め込まれない。
金属光沢層3は、プリプレグシート2の表面に施される乾式メッキによって形成される。乾式メッキは、気化させた金属を対象物に付着されるメッキ法のことで、例えば蒸着(真空蒸着)やスパッタリングがこれに該当する。周知のとおり、蒸着は、電子ビームやレーザー等を用いて真空チャンバー内で成膜材料(金属)を加熱することにより金属を気化させ、気化させた金属を対象物の表面に付着させる方法である。スパッタリングは、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素を真空チャンバー内で成膜材料(金属)に衝突させて金属を気化させ、気化させた金属を対象物の表面に付着させる方法である。
図1の例において、金属光沢層3は、プリプレグシート2の厚さ方向の一方の面(上面)にのみ形成されている。ただし、金属光沢層3は、プリプレグシート2の少なくとも一方の面に形成されていればよく、プリプレグシート2の両面に金属光沢層3が形成されていてもよい。
金属光沢層3の材料である金属は、乾式メッキを適用可能でかつ光沢を発するものであればその種類を問わないが、例えばアルミ、クロム、ニッケル、亜鉛、錫、金、銀、銅、白金等が好適である。
[製造方法]
次に、以上のような構造のCFRTPシート1を製造する方法について説明する。図2は、当該製造方法の概略手順を示すフローチャートである。本図に示すように、CFRTPシート1の製造方法は、プリプレグシート2を成形するシート成形工程S1と、成形されたプリプレグシート2の表面に乾式メッキによって金属光沢層3を形成するメッキ工程S2とを含む。
(シート成形工程)
図3は、シート成形工程S1の詳細を説明するための図であり、プリプレグシート2を成形するシート成形装置50の概略構成を示す斜視図である。本図に示されるシート成形装置50は、炭素繊維の束である繊維束12A及び熱可塑性の樹脂フィルム11から、プリプレグシート2を連続的に成形する装置である。
具体的に、シート成形装置50は、上下に並ぶ複数対(ここでは2対)の加熱ローラ51と、加熱ローラ51の下側において上下に並ぶ複数対(ここでは2対)の冷却ローラ52と、加熱ローラ51と冷却ローラ52との間に掛け回された一対の無端ベルト54と、無端ベルト54の下側に配置された一対の引き出しローラ55と、引き出しローラ55の下側に配置された巻き取り用のボビン56とを備える。
最上段の加熱ローラ51の両側には、繊維束12Aを開繊して帯状に広げる開繊機構(図示省略)が設けられている。この開繊機構は、繊維束12Aを連続的に開繊することにより、薄い帯状に広がった多数の連続した炭素繊維12を形成することが可能である。開繊機構としては、このような処理が可能な機構であればよく、繊維束を叩いて広げる機構、繊維束に風を当てて広げる機構、繊維束に超音波を当てて広げる機構など、種々の機構を用いることができる。
図3の例において、上記開繊機構は、樹脂フィルム11の一方の面に開繊後の炭素繊維12を供給する機構と、樹脂フィルム11の他方の面に開繊後の炭素繊維12を供給する機構とを有する。これらの機構によって、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の一方の面とこれに接する加熱ローラ51との間、及び、樹脂フィルム11の他方の面とこれに接する加熱ローラ51との間に、それぞれ導入される。
加熱ローラ51は、電気ヒータもしくは加熱媒体等により加熱された高温のローラである。加熱ローラ51は、樹脂フィルム11及びその両面に重ねて配置された炭素繊維12を、無端ベルト54を介して両側から挟み込むことにより、加圧及び加熱を行う。これにより、炭素繊維12が同一方向(図2の上下方向)に引き揃えられた状態で樹脂フィルム11に連続的に含有される。
冷却ローラ52は、冷却媒体等により冷却された低温のローラである。冷却ローラ52は、炭素繊維12を含有した樹脂フィルム11を、無端ベルト54を介して両側から挟むことにより、加圧及び冷却を行う。これにより、炭素繊維12が樹脂フィルム11に固定されて、樹脂フィルム11の両面に炭素繊維12が積層、一体化されたプリプレグシート2が成形される。
引き出しローラ55は、成形されたプリプレグシート2に張力を付与しつつこれを下方へ引き出すローラである。
巻き取り用のボビン56は、プリプレグシート2を巻き取るための芯材である。ボビン56は、モータ等の駆動源により回転駆動され、引き出しローラ55により引き出されたプリプレグシート2を順次巻き取ることにより、プリプレグシート2をロール状に纏める。
なお、上述したとおり、本実施形態では、半含浸タイプのプリプレグシート2が用いられる。このため、上記シート成形装置50において、加熱ローラ51による加熱温度、並びに、加熱ローラ51及び冷却ローラ52による加圧力は、樹脂フィルム11の両面に炭素繊維12が部分的に埋め込まれるような(炭素繊維12の一部が樹脂フィルム11の外部に露出するような)値にそれぞれ設定される。
(メッキ工程)
図4は、メッキ工程S2の詳細を説明するための図であり、プリプレグシート2の表面に金属光沢層3を形成するメッキ装置60の概略構成を示す断面図である。本図に示すように、メッキ装置60は、真空チャンバー61と、真空チャンバー61内に配置された成膜材料62と、成膜材料62から金属を気化させる図略の気化装置とを備える。
上述したシート成形工程S1により形成されたプリプレグシート2は、真空チャンバー61内に収容可能な適宜の長さに切り出された上で、当該真空チャンバー61内の成膜材料62と対向する位置に配置される。
成膜材料62は、金属光沢層3を構成する金属の供給源である。上記気化装置は、成膜材料62から金属を気化させて当該気化金属をプリプレグシート2の表面に付着させる。金属を気化させる方法は、電子ビームやレーザー等の照射によって成膜材料62を加熱する方法(蒸着)であってもよいし、高電圧下でイオン化させた希ガス元素を成膜材料62に衝突させる方法(スパッタリング)であってもよい。成膜材料62から気化した金属は、図4中に矢印で示すように、プリプレグシート2における成膜材料62との対向面に向けて飛ばされ、当該面に付着される。これにより、プリプレグシート2の一面に金属光沢層3(図1)が形成される。すなわち、プリプレグシート2とその表面を被覆する金属光沢層3とを含むCFRTPシート1が製造される。
なお、プリプレグシート2の両面に金属光沢層3を形成する場合には、プリプレグシート2の一方の面を上記のように成膜処理した後、同様の方法でプリプレグシート2の他方の面を成膜処理すればよい。
[作用効果]
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態に係るCFRTPシート1は、プリプレグシート2とこれを被覆する金属光沢層3とを含むので、プリプレグシート2が有する黒系の色調を金属光沢層3によって覆い隠すことができ、CFRTPシート1の表面に鮮やかな金属光沢を付与することができる。これにより、色むらが少なく意匠性に優れたCFRTPシート1を実現することができる。
特に、上記第1実施形態では、金属光沢層3が乾式メッキにより形成されるので、熱や擦れによって金属光沢が損なわれるのを抑止することができる。すなわち、乾式メッキにより形成された金属光沢層3は、熱に強く、擦れによる劣化も少ないという性質がある。このような金属光沢層3を含むCFRTPシート1は、プレス成形や射出成形に供されても十分な意匠性を維持し得る。したがって、当該CFRTPシート1をプレス成形や射出成形に供することで、優れた意匠性を有する複合成形品を製造し得る。
また、上記第1実施形態では、プリプレグシート2と金属光沢層3との合計厚さであるCFRTPシート1の厚さdが60μm以下に設定されるので、CFRTPシート1を装飾シートとして好適に用いることができる。すなわち、厚さdが60μm以下と非常に小さいCFRTPシート1は、柔軟性が高く形状追従性に優れるため、被装飾体の表面に貼着される装飾シートとしての用途に好適に使用することができる。
また、上記第1実施形態では、プリプレグシート2に対する炭素繊維12の目付量が40g/m以下に設定されるので、CFRTPシート1の厚さdを抑制することができる。すなわち、炭素繊維12の目付量が40g/m以下であることは、炭素繊維12の重なり度合が少なく、炭素繊維12の積層厚さが小さく抑えられることを意味する。これにより、プリプレグシート2の厚さを抑えることができ、非常に薄肉のCFRTPシート1を製造することができる。
[変形例]
上記第1実施形態では、樹脂フィルム11の両面に炭素繊維12が積層、固定されたプリプレグシート2を用いたが、炭素繊維12は樹脂フィルム11の片面にのみ積層されていてもよい。この場合、金属光沢層3は、炭素繊維12が積層されている側の面を被覆するように形成されるのが好ましい。
上記第1実施形態では、樹脂フィルム11の表面に炭素繊維12が部分的に埋め込まれるように炭素繊維12が積層された例について説明したが(図1参照)、炭素繊維12は、樹脂フィルム11の内部に完全に(ほとんど外側に露出しないように)埋め込まれていてもよい。すなわち、プリプレグシート2は、上記第1実施形態で用いた半含浸タイプのものに限られず、完全含浸タイプのものであってもよい。完全含浸タイプのプリプレグシートを成形する場合、炭素繊維は、樹脂フィルムの両面から埋め込んでもよいし、樹脂フィルムの片面からのみ埋め込んでもよい。
(2)第2実施形態
上記第1実施形態では、同一方向に配向された炭素繊維12を含むプリプレグシート2の表面を金属光沢層3で被覆したが、同様のプリプレグシートから成形された成形体の表面を金属光沢層で被覆することも可能である。以下では、このようにして得られるCFRTPシートの一例を第2実施形態として説明する。
図5は、第2実施形態に係るCFRTPシート(炭素繊維強化樹脂シート)101の構造を示す概略断面図である。本図に示すように、CFRTPシート101は、プリプレグシート2(図3)から成形されたチョップドシート材102と、チョップドシート材102の表面を被覆する金属光沢層103とを備える。
チョップドシート材102は、多数のプリプレグ片120(図7)がシート状に集合して一体化することで得られたシート状の成形体である。プリプレグ片120は、上記第1実施形態で示したプリプレグシート2から切り出された短片状のプリプレグである。
金属光沢層103は、上記第1実施形態で示した金属光沢層3と同様のものであり、乾式メッキによりチョップドシート材102の表面に形成された金属の皮膜である。図5において、金属光沢層103は、チョップドシート材102の厚さ方向の一方の面(上面)にのみ形成されているが、チョップドシート材102の両面に金属光沢層103を形成することも可能である。
以上のようなCFRTPシート101は、図6に示す製造方法により製造され得る。すなわち、第2実施形態におけるCFRTPシート101の製造方法は、プリプレグシート2(図3)を成形する第1成形工程S11と、成形したプリプレグシート2からプリプレグ片120(図7)を切り出すカット工程S12と、切り出したプリプレグ片120からチョップドシート材102を成形する第2成形工程S13と、成形したチョップドシート材102の表面に金属光沢層103(図5)を形成するメッキ工程S14とを含む。
第1成形工程S11では、樹脂フィルム11に炭素繊維12を含有させてプリプレグシート2を成形する。この第1成形工程S11の内容は、上記第1実施形態で説明したシート成形工程S1と同様である。
続くカット工程S12では、上記第1成形工程S11により得られたプリプレグシート2を長手方向および幅方向に切断することにより、長方形状の多数のプリプレグ片120(図7)を形成する。このようなプリプレグ片120の切り出しは、例えば、プリプレグシート2を長手方向に送り出しながら当該プリプレグシート2に長手方向に沿った(幅方向に並ぶ)複数の切り込みを形成する縦カット機構と、当該切り込みが形成された後のプリプレグシート2を幅方向に切断する横カット機構と、を含む装置により実現することができる。このような装置を用いることで、一定の幅及び長さを有する多数の長方形状のプリプレグ片120がプリプレグシート2から切り出される。各プリプレグ片120は、長方形状の樹脂フィルムと、同一方向(樹脂フィルムの長手方向)に配向された状態で当該樹脂フィルムに含有された炭素繊維とを含む。
第2成形工程S13では、カット工程S12により得られた多数のプリプレグ片120を積層して互いに一体化することにより、図7に示されるチョップドシート材102を成形する。この第2成形工程S13では、熱可塑性樹脂製のキャリアシート121の上面に多数のプリプレグ片120を二次元的にランダムに敷き詰めて固定し、チョップドシート材102を成形する。具体的には、次のような手順でチョップドシート材102を成形する。
まず、図7に示すように、キャリアシート121をその長手方向に送り出しながら、当該キャリアシート121の上面に多数のプリプレグ片120を分散させつつ配置する。例えば、キャリアシート121の上方からプリプレグ片120を振動させつつ落下させるとともに、このような落下操作をキャリアシート121の送り方向の各区間I,II,III‥‥において繰り返し行うことにより、キャリアシート121上のプリプレグ片120の密度および積層枚数を増やしていく。これにより、プリプレグ片120は、各プリプレグ片120に含有される炭素繊維12の繊維方向(換言すればプリプレグ片120の長手方向)が水平面上で種々の方向にばらつき、かつ厚さ方向に互いに重なり合った状態で、キャリアシート121上に積層される。
次に、図外の加熱ローラを用いてキャリアシート121およびその上のプリプレグ片120を加圧および加熱し、キャリアシート121とプリプレグ片120とを互いに一体化する。すなわち、上記加熱ローラを用いた加圧および加熱により、キャリアシート121とプリプレグ片120とを結合(融着)するとともに、積層されたプリプレグ片120どうしを互いに結合(融着)する。これにより、キャリアシート121と多数のプリプレグ片120とが一体化されたチョップドシート材102が得られる。チョップドシート材102の厚み、つまりキャリアシート121とその上に積層されたプリプレグ片120との合計の厚みは、約1mm以下(例えば0.5mm)に設定される。言い換えると、プリプレグ片120の積層枚数は、チョップドシート材102の厚みが約1mm以下になるような枚数に設定される。
キャリアシート121の材質としては、基本的にプリプレグ片120のマトリックス樹と同一の熱可塑性樹脂を用いることができる。ただし、熱可塑性樹脂である限り種々の材質のキャリアシート121を使用可能であり、プリプレグ片120(プリプレグシート2)に含まれる樹脂フィルム11とは異なる材質のキャリアシート121を用いてもよい。
上記のような第2成形工程S13によってチョップドシート材102が成形されると、続くメッキ工程S14にてチョップドシート材102の表面に乾式メッキを施すことにより、チョップドシート材102の表面を金属光沢層103(図5)で被覆する。このメッキ工程S4の内容は、上記第1実施形態で説明したメッキ工程S2と同様である。
以上説明したとおり、本発明の第2実施形態に係るCFRTPシート101は、チョップドシート材102とこれを被覆する金属光沢層103とを含むので、チョップドシート材102が有する黒系の色調を金属光沢層3によって覆い隠すことができ、CFRTPシート101の表面に鮮やかな金属光沢を付与することができる。これにより、色むらが少なく意匠性に優れたCFRTPシート101を実現することができる。また、炭素繊維12の方向がランダムになるので、CFRTPシート101に疑似等方性を付与することができる。
なお、上記第2実施形態では、熱可塑性樹脂製のキャリアシート121の上に多数のプリプレグ片120を積層、固定することによりチョップドシート材102を成形したが、キャリアシート121は省略してもよい。すなわち、チョップドシート材102として、互いに積層、固定されたプリプレグ片120のみからなるシート材を成形することも可能である。
1,101 炭素繊維強化樹脂シート(CFRTPシート)
2 プリプレグシート
3,103 金属光沢層
11 樹脂フィルム
12 炭素繊維
102 チョップドシート材
120 プリプレグ片

Claims (7)

  1. 熱可塑性の樹脂フィルムと当該樹脂フィルムに同一方向に配向された状態で含有された炭素繊維とを含むプリプレグシートと、
    前記プリプレグシートの少なくとも一方の面を被覆する金属光沢層と、を備えた炭素繊維強化樹脂シート。
  2. 請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂シートにおいて、
    前記金属光沢層は、乾式メッキにより前記プリプレグシートに付着された金属の皮膜である、炭素繊維強化樹脂シート。
  3. 請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂シートにおいて、
    前記プリプレグシートと前記金属光沢層との合計厚さが60μm以下である、炭素繊維強化樹脂シート。
  4. 請求項3に記載の炭素繊維強化樹脂シートにおいて、
    前記プリプレグシートは、前記樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムの両面にそれぞれ40g/m以下の目付量で積層された前記炭素繊維とを含む、炭素繊維強化樹脂シート。
  5. 熱可塑性の樹脂フィルムと当該樹脂フィルムに同一方向に配向された状態で含有された炭素繊維とを有する複数のプリプレグ片を含み、当該プリプレグ片がランダムにかつシート状に集合して一体化したチョップドシート材と、
    前記チョップドシート材の少なくとも一方の面を被覆する金属光沢層と、を備えた炭素繊維強化樹脂シート。
  6. 一方向に配向された炭素繊維を熱可塑性の樹脂フィルムに重ねて加熱及び加圧を行うことにより、前記樹脂フィルムとこれに含有された前記炭素繊維とを含むプリプレグシートを得るステップと、
    得られた前記プリプレグシートの少なくとも一方の面に、乾式メッキにより金属を付着させて金属光沢層を形成するステップと、を含む炭素繊維強化樹脂シートの製造方法。
  7. 一方向に配向された炭素繊維を熱可塑性の樹脂フィルムに重ねて加熱及び加圧を行うことにより、前記樹脂フィルムとこれに含有された前記炭素繊維とを含むプリプレグシートを得るステップと、
    得られた前記プリプレグシートを短片状にカットして複数のプリプレグ片を得るステップと、
    得られた前記プリプレグ片をランダムに敷き詰めて加熱及び加圧を行うことにより、当該プリプレグ片がシート状に集合、一体化したチョップドシート材を得るステップと、
    得られた前記チョップドシート材の少なくとも一方の面に、乾式メッキにより金属を付着させて金属光沢層を形成するステップと、を含む炭素繊維強化樹脂シートの製造方法。
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