JP2024073188A - バルーンカテーテル用バルーン及びそれを備えるバルーンカテーテル - Google Patents

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Kazuki Matsufuji
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Abstract

【課題】バルーンの拡張力を容易に保つことにより狭窄部の拡張効率を向上でき、病変部に送達後バルーンの内腔に流体を導入して内圧をかけた際にバルーンが破損しにくく耐圧性の向上したバルーンカテーテル用バルーンを提供する。【解決手段】第1層(20a)と、第1層(20a)よりもショアD硬度が高い材料から構成されている第2層(20b)とを有しており、第2層(20b)は、周方向z1の360°全体にわたって配されており、第1層(20a)は、第2層(20b)よりも径方向y1の内側に位置しており、長手軸方向x1に垂直な断面において、第1層(20a)と第2層(20b)とからなる少なくとも1つの第1部(21)と、第2層(20b)のみからなる少なくとも1つの第2部(22)とを有しており、周方向z1において第2部(22)が配されている範囲は周方向z1の360°のうち90°以下であるバルーンカテーテル用バルーン(20)。【選択図】図2

Description

本発明は、バルーンカテーテル用バルーン、及びそれを備えるバルーンカテーテルに関する。
血管内壁に狭窄部が形成されることにより、狭心症や心筋梗塞等の疾病が引き起こされることがある。これらの治療法の一つとして、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる経皮的冠動脈形成術(PTCA)や経皮的血管形成術(PTA)等の血管形成術がある。血管形成術は、バイパス手術のような開胸術を必要としない低侵襲療法であり、広く行われている。
血管形成術では、バルーンカテーテルの遠位部に設けられたバルーンの遠位端が大腿動脈、上腕動脈等の穿刺部位から挿入され、バルーンカテーテルの手元側からの操作によりバルーンが血管内腔を通って病変部まで送達される。このため、挿通性の向上したバルーンや、狭窄部を拡張できる突起部を備えるバルーンを有するバルーンカテーテルが開発されている。例えば、特許文献1には、バルーン全体にわたって同一材料から製造されバルーンを小径化して挿通性を向上したバルーンカテーテルが、また、特許文献2には、バルーン壁よりも剛性の高い突起部に拡張機能を付与したバルーンカテーテルが開示されている。
特開2014-155657号公報 米国特許出願公開第2016/0128718号明細書
しかし、上記従来のバルーンカテーテルでは、石灰化病変等の硬い狭窄部に対してバルーンの拡張力を保つことが困難となったり、狭窄部等の複雑な内腔形状を有する部分でバルーンの内腔に流体を導入し内圧をかけた際にバルーンが破損してしまったりする課題があった。
上記の事情に鑑み本発明は、石灰化病変等の硬い狭窄部に対してバルーンの拡張力を容易に保つことにより狭窄部の拡張効率を向上でき、病変部に送達後バルーンの内腔に流体を導入して内圧をかけた際にバルーンが破損しにくく耐圧性の向上したバルーンカテーテル用バルーン、及びそれを備えるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル用バルーンは以下の通りである。
[1]長手軸方向、径方向、及び周方向を有し、第1層と、前記第1層よりもショアD硬度が高い材料から構成されている第2層とを有しているバルーンカテーテル用バルーンであって、前記第2層は、前記周方向の360°全体にわたって配されており、前記第1層は、前記第2層よりも前記径方向の内側に位置しており、前記長手軸方向に垂直な断面において、前記第1層と前記第2層とからなる少なくとも1つの第1部と、前記第2層のみからなる少なくとも1つの第2部とを有しており、前記周方向において前記第2部が配されている範囲は前記周方向の360°のうち90°以下であるバルーンカテーテル用バルーン。
[2]前記第2部は前記長手軸方向に延在している[1]に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
[3]複数の前記第1部と複数の前記第2部を有しており、前記第2部は、前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さが前記第2部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの2倍以上となるように前記周方向に離隔して配されている[1]又は[2]に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
[4]前記第1部において、前記第1層の前記径方向の厚みをT1、前記第2層の前記径方向の厚みをT2、前記T1と前記T2の和をTとしたとき、前記T1が前記Tの50%超である部分P1と前記T2が前記Tの50%超である部分P2とをさらに有している[1]~[3]のいずれかに記載のバルーンカテーテル用バルーン。
[5]前記第1部において、前記部分P1の前記周方向の外周長さが前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの15%以上である第1層リッチ部と、前記部分P2の前記周方向の外周長さが前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの15%以上である2つ以上の第2層リッチ部とをさらに有しており、前記周方向において前記第1層リッチ部は前記第2層リッチ部に挟まれている[4]に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
本発明はまた、以下を提供する。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載のバルーンカテーテル用バルーンを備えるバルーンカテーテル。
上記バルーンカテーテル用バルーン、及びそれを備えるバルーンカテーテルによれば、石灰化病変等の硬い狭窄部に対してバルーンの拡張力を容易に保つことができ狭窄部の拡張効率を向上できる。また、病変部に送達後バルーンの内腔に流体を導入して内圧をかけた際にバルーンが破損しにくく耐圧性の向上したバルーンカテーテル用バルーン、及びそれを備えるバルーンカテーテルを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルの側面図を表す。 図1に示したバルーンカテーテルのII-II断面図を表す。 II-II断面図の変形例を示す断面図を表す。 図3に示した断面図の第1部の拡大図を表す。 本発明の一実施形態に係る二軸延伸前のパリソンの斜視図を表す。 図5に示したパリソンのVI-VI断面図を表す。 図6に示したパリソンの製造に用いられるパリソン用金型の長手軸方向に垂直な断面図を表す。 図6に示したパリソンの突出部を切除した後の長手軸方向に垂直な断面図を表す。 VI-VI断面図の変形例を示す断面図を表す。 図9に示したパリソンの製造に用いられるパリソン用金型の長手軸方向に垂直な断面図を表す。 図9に示したパリソンの突出部を切除した後の長手軸方向に垂直な断面図を表す。 本発明の一実施形態に係る金型の長手軸方向の断面図を表す。 図12のXIII-XIII断面図を表す。
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
1.バルーンカテーテル用バルーン
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル用バルーンは、長手軸方向、径方向、及び周方向を有し、第1層と、第1層よりもショアD硬度が高い材料から構成されている第2層とを有しているバルーンカテーテル用バルーンであって、第2層は、周方向の360°全体にわたって配されており、第1層は、第2層よりも径方向の内側に位置しており、長手軸方向に垂直な断面において、第1層と第2層とからなる少なくとも1つの第1部と、第2層のみからなる少なくとも1つの第2部とを有しており、周方向において第2部が配されている範囲は周方向の360°のうち90°以下である。
バルーンカテーテルにより狭窄部を拡張するには、バルーンカテーテルの遠位端部に設けられたバルーンを血管内腔に挿入して狭窄部まで送達した後、バルーンに流体を導入してバルーンを拡張させる。このとき、石灰化病変等の硬い狭窄部に対してバルーンの拡張力を保つことが困難となる場合があるが、上記バルーンカテーテル用バルーンによれば、長手軸方向に垂直な断面において、ショアD硬度が高い第2層のみからなる少なくとも1つの第2部を有しているため、第2部が傘の骨組みのように機能することにより、硬い狭窄部に対してバルーンを支えてバルーンの拡張力を向上することができる。これにより、バルーンの外径を大きくすることなくバルーンの拡張力を向上できるため、バルーンの挿通性を確保しつつ狭窄部の拡張効率を向上することが可能となる。また、ショアD硬度の低い第1層が第2層よりも径方向の内側に位置しており、周方向において第2層のみからなる第2部が配されている範囲は周方向の360°のうち90°以下であるため、ショアD硬度の低い第1層を含む第1部の存在範囲を周方向の少なくとも270°とすることができる。このため、狭窄部等の内腔形状がいびつな部位でバルーンが拡張した際に、バルーンが第1部において伸縮する余裕を有することができる。これにより、バルーンの内腔に流体を導入して内圧をかけた際に、バルーンが破損しにくく耐圧性の向上したバルーンとすることが可能である。
本明細書において、バルーンカテーテル用バルーンを単に「バルーン」と称することがある。
以下、図1~図4を参照しつつ、本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル用バルーンについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルの側面図である。図2は、図1に示したバルーンカテーテルのII-II断面図を表す。図2では、第1部と第2部が配される範囲の境界を点線で示している。図3はII-II断面図の変形例を示す断面図を表し、第1部と第2部が配される範囲の境界を点線で示し、第1層リッチ部と第2層リッチ部が配される範囲の境界を一点鎖線で示している。図4は、図3に示した断面図の第1部の拡大図を表し、第1層リッチ部と第2層リッチ部が配される範囲の境界を一点鎖線で示している。図4ではインナーシャフトを省略している。
図1に示すように、バルーン20はバルーンカテーテル10の遠位部に設けられる。バルーン20はシャフト30の遠位端部に接続され、シャフト30の内腔を通じて流体を導入することによりバルーン20を拡張させ、流体を排出することによりバルーン20を収縮させることができる。バルーン20の拡張と収縮を制御するために、インデフレーター(バルーン用加圧器)を用いて流体を導入又は排出することができる。流体は、ポンプ等により加圧された加圧流体であってもよい。バルーンカテーテル10については、「2.バルーンカテーテル」の項で詳述する。
バルーン20は、長手軸方向x1と、長手軸方向x1に垂直な断面においてバルーン20の外縁の図心20Cと外縁上の点とを結ぶ径方向y1と、長手軸方向x1に垂直な断面においてバルーン20の外縁に沿う周方向z1を有する。本明細書において、長手軸方向x1において使用者の手元側の方向を近位側と称し、近位側とは反対側、即ち処置対象者の方向を遠位側と称する。
バルーン20以外の部材や部分は、それぞれ長手軸方向、径方向、及び周方向を有し、それらはバルーン20の長手軸方向x1、径方向y1、及び周方向z1とは同じである場合もあり異なる場合もあるが、本明細書においては理解のし易さのために全ての部材や部分がバルーン20の長手軸方向x1、径方向y1、及び周方向z1と同じ長手軸方向、径方向、及び周方向を有しているとして説明する。
図2に示すように、バルーン20は、第1層20aと、第1層20aよりもショアD硬度が高い材料から構成されている第2層20bとを有しており、第2層20bは周方向z1の360°全体にわたって配されており、第1層20aは第2層20bよりも径方向y1の内側に位置しており、長手軸方向x1に垂直な断面において、第1層20aと第2層20bとからなる少なくとも1つの第1部21と、第2層20bのみからなる少なくとも1つの第2部22とを有している。
長手軸方向x1に垂直な断面において、第2層20bのみからなる少なくとも1つの第2部22を有していることにより、剛性の高い第2部22が傘の骨組みのように機能し、硬い狭窄部に対してバルーン20を支えてバルーン20の拡張力を向上することができる。これにより、バルーン20の外径を大きくすることなくバルーン20の拡張力を向上できるため、バルーン20の血管内腔での挿通性を確保しつつ狭窄部の拡張効率を向上することが可能となる。また、ショアD硬度の高い第2層20bが周方向z1の360°全体にわたって連続して配されていることにより、バルーン20の剛性を向上できる。
周方向z1において、第2部22が配されている範囲は周方向z1の360°のうち90°以下であることから、ショアD硬度の低い第1層20aを含む第1部21が周方向z1に存在する範囲を周方向z1の360°のうち少なくとも270°とすることができる。その結果、狭窄部等の内腔形状がいびつな部位でバルーン20が拡張した際に、バルーン20が第1部21において伸縮する余裕を有することができる。これにより、バルーン20の内腔に流体を導入して内圧をかけた際に、バルーン20が破損しにくく耐圧性の向上したバルーン20とすることが可能である。
周方向z1において第2部22が配されている範囲は、周方向z1の360°のうち80°以下が好ましく、70°以下がより好ましく、60°以下がさらに好ましい。第2部22が配されている範囲の上限が上記であれば、所定以上の第1部21が配されている範囲を確保でき、バルーン20が狭窄部等の内腔形状がいびつな部位で拡張した際にショアD硬度の低い第1層20aを含む第1部21において伸縮する余裕を有することができるため、バルーン20の耐圧性の向上が容易となる。また、周方向z1において第2部22が配されている範囲は、周方向z1の360°のうち5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、15°以上がさらに好ましく、20°以上、30°以上であってもよい。第2部22が配されている範囲の下限が上記であれば、第2部22が傘の骨組みのように機能し、硬い狭窄部に対してバルーン20を支えてバルーン20の拡張力を向上することが容易となる。第2部22が周方向z1に複数設けられている場合、それぞれの第2部22が周方向z1に配されている範囲は互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。
第2部22は周方向z1に少なくとも1つ設けられており、第2部22の周方向z1における数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。1つの第2部22とは、第2部22、すなわち第2層20bのみからなる部分が周方向z1に連続して存在している部分であり、周方向z1において2つの第2部22の間には第1部21が存在する。バルーン20の第2部22以外の部分は第1部21であることから、第1部21が周方向z1に設けられている数は第2部22が周方向z1に設けられている数と同様になる。
第2部22が配されている範囲は、図2に示すように、長手軸方向x1に垂直な断面において、バルーン20の図心20Cとバルーン20の外縁における第2部22の両端を結ぶ2本の線分がなす小さい方の角度として定義できる。第2部22が周方向z1に1つ設けられている場合は、第2部22が配されている範囲は当該角度と一致する。また、第2部22が周方向z1に複数設けられている場合は、それぞれの第2部22につき上記角度が決定され、周方向z1において第2部22が配されている範囲は、それぞれの第2部22の当該角度の合計となる。例えば図2に示すように第2部22が周方向z1に3つ設けられている場合は、角度θ1と角度θ2と角度θ3の合計が周方向z1において第2部22が配されている範囲である。よって、第2部22が周方向z1に複数設けられている場合、バルーン20は、全ての第2部22の角度の合計が90°以下となるように複数の第2部22を有している。周方向z1に第2部22が設けられている数が多いほど、1つ当たりの第2部22の角度、すなわち1つ当たりの第2部22が設けられている範囲は小さくなる。
バルーン20は、図2に示すように第1層20aと第2層20bのみから構成されていてもよい。或いは、図示していないが、バルーン20は第1層20aと第2層20b以外の層を有していてもよい。バルーン20が第1層20aと第2層20b以外の層を有している場合、バルーン20は、第1層20aと第2層20bのみから構成される第1バルーン膜が第1部21と第2部22を有しており、第1バルーン膜の径方向y1の内側又は外側に第2バルーン膜や第3バルーン膜が配置される構成を有することができる。このような構成であっても、第1バルーン膜が第1部21と第2部22を上記範囲で有することにより、当該複数の膜を有する構成のバルーンは本発明の実施形態に係るバルーン20に含まれる。
第1層20aのショアD硬度は、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上であることが好ましく、また、70以下、65以下、60以下、55以下であることが好ましい。第2層20bのショアD硬度は、70超、72以上、74以上、75以上であることが好ましく、また、90以下、85以下、80以下であることが好ましい。第1層20aのショアD硬度が上記範囲であれば、第1部21がバルーン20の伸縮性向上に寄与することができる。第2層20bのショアD硬度が上記範囲であれば、バルーン20の拡張力向上に寄与することができる。
ショアD硬度は、例えば、JIS K6253-2:2012の記載に基づきタイプDデュロメータを用いて測定することができる。また、第1層20aと第2層20bの各ショアD硬度は、バルーン20に成形する前の材料の段階のショアD硬度であってもよい。
第2層20bの材料としては、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂が好適に用いられる。第1層20aの材料としては、ショアD硬度が小さい観点から熱可塑性エラストマーを用いることが好ましく、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミドエラストマーが好適に用いられる。
図1に示すように、バルーン20は、長手軸方向x1に近位端と遠位端とを有しており、直管部23と、直管部23よりも近位側に位置している近位側テーパー部22と、近位側テーパー部22よりも近位側に位置している近位側スリーブ部21と、直管部23よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部24と、遠位側テーパー部24よりも遠位側に位置している遠位側スリーブ部25とを有していることが好ましい。直管部23は、長手軸方向x1においておよそ同じ径を有している略円柱状であることが好ましいが、長手軸方向x1において異なる径を有していてもよい。近位側テーパー部22及び遠位側テーパー部24は、直管部23から離れるにつれて縮径して略円錐状、円錐台状に形成されていることが好ましい。直管部23が最大径を有することにより、バルーン20を狭窄部等の病変部において拡張させた際に、直管部23が狭窄部に十分接触して狭窄部の拡張等の治療を行い易くできる。また、近位側テーパー部22及び遠位側テーパー部24が縮径されていることにより、バルーン20を収縮させた際に、バルーン20の近位端部及び遠位端部の外径を小さくしてシャフト30とバルーン20との段差を小さくすることができるため、バルーン20を体腔内に挿通し易くすることができる。
近位側テーパー部22、直管部23、及び遠位側テーパー部24がバルーン20に流体を導入した際に拡張する部分であるのに対し、近位側スリーブ部21及び遠位側スリーブ部25は拡張しないことが好ましい。これにより、近位側スリーブ部21の少なくとも一部をシャフト30の遠位端部と固定し、遠位側スリーブ部25の少なくとも一部を後述するインナーシャフト60と固定する構成とすることができる。
第2部22は長手軸方向x1に延在していることが好ましい。これにより、第2部22が傘の骨組みのように機能することがより容易になり、狭窄部に対してバルーン20を支えてバルーン20の拡張力をより容易に向上できる。
第2部22は、バルーン20の長手軸方向x1の全体にわたって設けられていてもよいし、長手軸方向x1の一部に設けられていてもよい。第2部22がバルーン20の長手軸方向x1の全体にわたって設けられていれば、バルーン20の長手軸方向x1の全体にわたって第2部22が傘の骨組みのように機能することができるため、バルーン20の拡張力がより向上できる。或いは、第2部22がバルーン20の長手軸方向x1の一部に設けられていれば、第2部22が設けられている部分は強い拡張力を有するもののその他の部分の柔軟性を向上できるため、様々な形状の狭窄部に適用することが可能になる。
例えば、第2部22は、直管部23に設けることができる。第2部22を直管部23に設けることにより、バルーン20の最も拡張する部分において第2部22がバルーン20を支えることができるため、バルーン20の拡張力向上に有利である。第2部22は、長手軸方向x1において、直管部23の近位端から遠位端にわたる全ての部分に延在していてもよいし、一部に延在し他部には設けられていなくてもよい。
或いは、第2部22は、直管部23から遠位側テーパー部24にかけて設けることができる。第2部22を直管部23から遠位側テーパー部24にかけて設けることにより、バルーン20の遠位側の拡張力を向上することができる。また或いは、第2部22は、直管部23から近位側テーパー部22にかけて設けることができる。第2部22を直管部23から近位側テーパー部22にかけて設けることにより、バルーン20の近位側の拡張力を向上することができる。
第2部22は、長手軸方向x1において、テーパー部の近位端から遠位端にわたる全ての部分に延在していてもよいし、一部に延在しており他部に設けられていなくてもよい。長手軸方向x1において、テーパー部の一部に第2部22が延在する場合、第2部22は、近位側テーパー部22の中点を境界として遠位側に設けられ近位側に設けられず、また、遠位側テーパー部24の中点を境界として近位側に設けられ遠位側に設けられない構成であってもよい。すなわち、第2部22は、テーパー部の直管部23側に設けられスリーブ部側に設けられない構成であってもよい。このような構成により、テーパー部の中でもより拡張する部分の拡張力を向上することができる。或いは、近位側テーパー部22の中点を境界として近位側に設けられ遠位側に設けられず、遠位側テーパー部24の中点を境界として遠位側に設けられ近位側に設けられない構成であってもよい。すなわち、第2部22は、テーパー部の直管部23側に設けられずスリーブ部側に設けられる構成であってもよい。このような構成により、バルーン20の基端部や先端部となる部分の剛性を向上でき、バルーン20を支えることが容易になる。
第2部22は、長手軸方向x1において、スリーブ部の近位端から遠位端にわたる全ての部分に延在していてもよし、一部に延在しており他部に設けられていなくてもよい。バルーン20の基端や先端となるスリーブ部に第2部22が設けられることにより、バルーン20を支えることが容易になる。
第2部22は、長手軸方向x1に沿って直線状に延在していてもよいし、らせん状に延在していてもよい。また、第2部22は、長手軸方向x1に連続して設けられていてもよいし不連続に設けられていてよい。
第1部21も長手軸方向x1に延在していることが好ましい。バルーン20は、第2部22以外の部分が第1部21であってよいことから、第2部22が長手軸方向x1に延在していることにより、第1部21が長手軸方向x1に延在することが容易になる。第1部21が長手軸方向x1に延在していることにより、バルーン20が径方向y1に伸縮することがより容易になり、バルーン20の耐圧性をより容易に向上できる。
図2に示すように、長手軸方向x1に垂直な断面において、バルーン20は複数の第1部21と複数の第2部22を有しており、第2部22は第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1が第2部22の1つ当たりの周方向z1の外周長さL2の2倍以上となるように周方向z1に離隔して配されていることが好ましい。
第2部22は、第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1が第2部22の1つ当たりの周方向z1の外周長さL2の2.5倍以上となるように周方向z1に離隔して配されていることがより好ましく、3倍以上がさらに好ましく、4倍以上が特に好ましい。L2に対するL1の比率の上限は特に制限されないが、例えば、50倍以下、30倍以下、10倍以下等とすることができる。
第2部22が周方向z1に所定間隔以上離隔して配されることにより、バルーン20に一定の柔軟性を付与しながら第2部22がバルーン20を支えることができ、バルーン20の拡張力の向上や耐圧性の向上がより容易になる。
図3及び図4に示すように、バルーン20は、第1部21において、第1層20aの径方向y1の厚みをT1、第2層20bの径方向y1の厚みをT2、T1とT2の和をTとしたとき、T1がTの50%超である部分P1とT2がTの50%超である部分P2とをさらに有していることが好ましい。TはT1とT2の和であることから、T1とT2がTの50%である部分を除いて、第1部21は部分P1と部分P2から構成されている。バルーン20が第1層20aと第2層20bのみから構成されている場合、すなわち、バルーン20が上述の第1バルーン膜のみを有する場合は、Tはバルーン20の厚みと一致する。
バルーン20が第1部21において部分P1と部分P2とを有していることにより、部分P1では第1層20aの剛性の低さによりバルーン20の柔軟性や耐圧性を向上でき、部分P2では第2層20bの剛性の高さによりバルーン20の拡張力を向上できる。このように、バルーン20の伸縮に寄与する第1部21において、より剛性の低い部分P1とより剛性の高い部分P2が存在することにより、第1部21によりバルーン20の耐圧性を向上しつつ拡張力をより向上させることが可能になる。
バルーン20の厚みは、12μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。バルーン20が第1層20aと第2層20bのみから構成されている場合は、Tが上記範囲であることが好ましい。
第2部22における第2層20bの厚みは、上記バルーン20の厚みと同等とすることができる。
第1部21における第1層20aの厚みは、バルーン20の厚み未満の範囲で、例えば、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、また、55μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下とすることができる。第1部21における第2層20bの厚みは、バルーン20の厚み未満の範囲で、例えば、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、また、55μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下とすることができる。第1部21において部分P1と部分P2を設ける場合は、第1層20aと第2層20bの厚みを上記範囲で変動させればよい。
長手軸方向x1の任意の位置において、バルーン20の平均膜厚Taに対する周方向z1の任意の位置xにおけるバルーン20の膜厚Txの変化率(|Tx-Ta|/Ta)×100)は15%以下であることが好ましい。バルーン20の膜厚Txの変化率は、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。これにより、バルーン20の外側面が径方向y1の外側に突出しない構成とすることができ、バルーン20の外壁を狭窄部の内腔形状に容易に沿わせることができる。バルーン20の膜厚Txの変化率の下限は理想的には0%であるが、実質的には1%以上、2%以上、3%以上等とすることができる。
バルーン20の膜厚や第1層20aの径方向y1の厚みT1及び第2層20bの径方向y1の厚みT2は、バルーン20の長手軸方向xに垂直な断面を観察することで測定できる。観察には例えば光学顕微鏡を用い、得られた観察画像の厚みの計測値と観察倍率から厚みを得ることができる。
バルーン20の平均膜厚Taは、バルーン20の周方向z1の360°のうち等間隔に15°ずつ離れた24地点における厚みを測定し、当該24地点の平均値を求めることで得られる。15°ずつ離れた24地点は、バルーン20の外縁の図心20Cとバルーン20の外縁を結ぶ線分同士のなす中心角(小さい方)が15°となるようにバルーン20の図心20Cから外縁まで径方向y1に線分を引くことで、24本の線分上の地点として決定できる。平均膜厚Taを得るために測定する地点の数は24に限らず、さらに少なくてもさらに多くてもよいが、少なくとも8点以上であることが好ましい。
厚みは、拡張状態のバルーン20を観察することにより測定することが好ましい。バルーン20を拡張状態に保つ方法は特に限定されないが、例えば、拡張状態のバルーン20を観察用の硬化性樹脂に埋没し、長手軸方向x1に垂直な断面を露出して当該断面を観察する方法等が挙げられる。或いは、硬化性樹脂に埋没せずにバルーン20を直接観察してもよいし、中心角さえ決定できれば収縮状態のバルーン20を観察してもよい。
周方向z1の任意の位置xにおけるバルーン20の膜厚Txは、上記平均膜厚Taを決定する際に測定した地点に限らず、周方向z1の任意の位置xにおける膜厚を上記と同様の方法で観察することで得られる。
第1層20aの径方向y1の厚みT1と第2層20bの径方向y1の厚みT2についても、バルーン20の膜厚の場合と同様に測定できる。第1層20aと第2層20bは異なる樹脂により形成されていることから、顕微鏡観察により層間の境界が観察でき、各層の厚みを決定することができる。
図3に示すように、バルーン20は、第1部21において、部分P1の周方向z1の外周長さLP1が第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1の15%以上である第1層リッチ部20Aと、部分P2の周方向z1の外周長さLP2が第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1の15%以上である第2層リッチ部20Bとをさらに有しており、周方向z1において第1層リッチ部20Aは第2層リッチ部20Bに挟まれていることが好ましい。バルーン20は、第1部21において、少なくとも1つの第1層リッチ部20Aと2以上の第2層リッチ部20Bを有していることが好ましい。これにより、バルーン20は、周方向z1の360°のうち少なくとも270°という広範囲を占める第1部21において柔軟な第1層リッチ部20Aが剛性の高い第2層リッチ部20Bに挟まれる構成を有することができる。その結果、柔軟性と拡張力のバランスの取れたバルーン20とすることが可能になる。
第1層リッチ部20Aにおける部分P1の周方向z1の外周長さLP1は、第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1の20%以上であることがより好ましく、30%以上であってもよい。また、1つ当たりの第2層リッチ部20Bにおける部分P2の周方向z1の外周長さLP2は、第1部21の1つ当たりの周方向z1の外周長さL1の18%以上であることがより好ましく、20%以上であってもよい。
次に、図5~図13を参照しつつ、上記バルーン20の本発明の実施形態に係る製造方法について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る二軸延伸前のパリソンの斜視図を表す。図6は、図5に示したパリソンのVI-VI断面図を表し、図2に示した断面を有するバルーンの製造に用いられるパリソンの断面図を表す。図7は、図6に示したパリソンの製造に用いられるパリソン用金型の長手軸方向に垂直な断面図を表す。図8は、図6に示したパリソンの突出部を切除した後の長手軸方向に垂直な断面図を表す。図9は、VI-VI断面図の変形例を示す断面図を表し、図3に示した断面を有するバルーンの製造に用いられるパリソンの断面図を表す。図10は、図9に示したパリソンの製造に用いられるパリソン用金型の長手軸方向に垂直な断面図を表す。図11は、図9に示したパリソンの突出部を切除した後の長手軸方向に垂直な断面図を表す。図12は、パリソンの二軸延伸時に用いられる本発明の一実施形態に係る金型の長手軸方向の断面図を表す。図13は、図12のXIII-XIII断面図を表す。
まず、パリソン200を準備する。パリソン200は樹脂から構成されており、図5に示すように、内腔205を有する筒状の部材である。パリソン200は、第1端201と第2端202を有しており、第1端201から第2端202に向かう長手軸方向x2に延在している。パリソン200は、バルーン20と同様に径方向y2と周方向z2を有している。
図6に示すように、パリソン200は、第2層200bと、第2層200bよりもショアD硬度が低い材料から構成されている第1層200aとを有している。第1層200aと第2層200bは、周方向z2の全体にわたって連続していることが好ましい。第1層200a及び第2層200bを構成する材料、並びにそれらのショアD硬度については、上記バルーン20の第1層20a及び第2層20bを構成する樹脂の説明、並びにそれらのショアD硬度についての記載を参照できる。
図5及び図6に示すように、パリソン200は、径方向y2の内方に突出し長手軸方向x2に延在している突出部208を含む突出領域R1と、突出領域R1以外の非突出領域R2とを有していることが好ましい。長手軸方向x2に垂直な断面において、第2層200bの内縁は突出部208に沿うように径方向y2の内方に突出していることが好ましい。すなわち、第2層200bは、非突出領域R2において小厚部220を有しており突出領域R1において小厚部220よりも厚い厚みを有している大厚部210を有していることが好ましい。
図6に示すように、突出部208は周方向z2に複数設けられていてもよいし、図示していないが突出部208は周方向z2に1つ設けられていてもよい。突出部208が周方向z2に複数設けられている場合は、複数の突出部208は周方向z2に離隔していることが好ましく、周方向z2に等間隔に配されていることがより好ましい。
このようなパリソン200は、例えば、図7に示すようなパリソン用金型250を用いて樹脂を押出成形することにより製造できる。図7に示すように、パリソン用金型250は、第1筒状部材251、第2筒状部材252、及び第3筒状部材253を有しており、第1筒状部材251はパリソン200の内腔205と突出部208を形成できるように径方向の内方に突出する突出部を有する筒形状を有しており、第2筒状部材252は第2層200bの大厚部210と小厚部220を形成できるように径方向の内方に突出する突出部を有する筒形状を有しており、第3筒状部材253は円筒形状を有していることが好ましい。これにより、第1筒状部材251の外側面と第2筒状部材252の内側面との間の空間に第1層200aを形成する樹脂を導入し、第2筒状部材252の外側面と第3筒状部材253の内側面との間の空間に第2層200bを形成する樹脂を導入して押出成形することにより、内腔205、第1層200a、及び第2層200bを有し、突出領域R1において第2層200bが大厚部210を有し非突出領域R2において第2層200bが小厚部220を有するパリソン200を製造することができる。
パリソン用金型250を構成する材料は、金属であることが好ましく、鉄、銅、アルミニウム又はこれらの合金であることがより好ましい。例えば、鉄の合金としてはステンレス鋼等が挙げられ、銅の合金としては真鍮等が挙げられ、アルミニウムの合金としてはジュラルミン等が挙げられる。十分な強度を有する点や加工のし易さの点から、パリソン用金型250はステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
パリソン200を二軸延伸する前に、突出部208を長手軸方向x2に沿って切除することにより、図8に示すような、長手軸方向x2に垂直な断面において第2層200bが径方向y2の内方に露出する部分を有するパリソン200を形成できる。このようなパリソン200を二軸延伸することにより、パリソン200の第2層200bが小厚部220を有する部分により第1部21が形成され、パリソン200の第2層200bが大厚部210を有する部分により第2部22が形成され、図2に示すような断面を有するバルーン20を製造することができる。
或いは、パリソン200は、図9に示すような構成を有していてもよい。すなわち、長手軸方向x2に垂直な断面において、第2層200bは、小厚部220よりも厚い厚みを有し大厚部210よりも薄い厚みを有する中厚部230を非突出領域R2において有しており、非突出領域R2の周方向z2において中厚部230の間に小厚部220が位置する構成をパリソン200が有していてもよい。
図9に示すようなパリソン200は、例えば、図10に示すようなパリソン用金型250を用いて樹脂を押出成形することにより製造できる。図10に示すパリソン用金型250では、第2筒状部材252が小厚部220と中厚部230を形成できるように、非突出領域R2を形成する部分の中央領域に径方向の外側に突出する部分を有する筒形状を有していることが好ましい。これにより、上記と同様の方法により、内腔205、第1層200a、及び第2層200bを有し、突出領域R1において第2層200bが大厚部210を有し、非突出領域R2において第2層200bが小厚部220と中厚部230を有するパリソン200を製造することができる。
図9に示すパリソン200を二軸延伸する前に、突出部208を長手軸方向x2に沿って切除することにより、図11に示すような、長手軸方向x2に垂直な断面において第2層200bが径方向y2の内方に露出する部分を有するパリソン200を形成できる。このようなパリソン200を二軸延伸することにより、パリソン200の第2層200bが小厚部220と中厚部230を有する部分により第1部21が形成され、パリソン200の第2層200bが大厚部210を有する部分により第2部22が形成され、図3に示すような断面を有するバルーン20を製造することができる。
突出部208を切除したパリソン200を二軸延伸することにより、第1層20aと第2層20bとからなる第1部21と、第2層20bのみからなる第2部22とを有するバルーン20を製造できる。このとき、図12に示すような金型300を用いることができる。金型300は、長手軸方向x3、径方向y3、及び周方向z3を有し、長手軸方向x3に延在しパリソン200が挿入される内腔305を有している。金型300の内腔305には、パリソン200の長手軸方向x2における一部が配置されることが好ましい。
金型300は、長手軸方向x3において、バルーン20の直管部23を形成する金型直管部300Cと、金型直管部300Cの両側に配されバルーン2のテーパー部を形成する2つの金型テーパー部300Tと、金型テーパー部300Tよりも金型直管部300Cから離れた側に配されバルーン20のスリーブ部を形成する2つの金型スリーブ部300Sを有していることが好ましい。これにより、金型直管部300Cによりバルーン20の直管部23が形成され、金型テーパー部300Tにより近位側テーパー部22及び遠位側テーパー部24が形成され、金型スリーブ部300Sにより近位側スリーブ部21及び遠位側スリーブ部25が形成されることができる。
金型300は、1つの部材から構成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。図12に示すように、複数の金型部材が長手軸方向x3において互いに接続されることにより構成されていてもよく、例えば、金型直管部300C、金型テーパー部300T、及び金型スリーブ部300Sがそれぞれ異なる金型部材であり、これらが長手軸方向x3において互いに接続されていてもよい。また、金型300は、径方向yに分割可能であってもよい。これにより、金型300の内腔305にパリソン200を挿入しやすくなる。図12に示すように、各金型部材は、隣り合う金型部材同士を係合することにより接合されてもよいし、図示していないが隣り合う金型部材のそれぞれに磁石を取り付けて磁石の引力により接合されてもよい。
図13に示すように、金型300の内腔305は略円形に形成されていることが好ましい。このような内腔305にパリソン200を配置し、パリソン200の内腔205に流体を導入して二軸延伸することにより、膜厚の変動率が所定以下のバルーン20を製造することができる。
金型300を構成する材料は、金属であることが好ましく、鉄、銅、アルミニウム又はこれらの合金であることがより好ましい。例えば、鉄の合金としてはステンレス鋼等が挙げられ、銅の合金としては真鍮等が挙げられ、アルミニウムの合金としてはジュラルミン等が挙げられる。十分な強度を有する点や加工のし易さの点から、金型300はステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
2.バルーンカテーテル
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル10は、上記バルーンカテーテル用バルーン20を備える。上記「1.バルーンカテーテル用バルーン」の項にも記載したが、図1に示すように、バルーン20はシャフト30の遠位端部に接続されている。
図1には、シャフト30の遠位側から近位側に至る途中にガイドワイヤポート61を有し、ガイドワイヤポート61からシャフト30の遠位端までガイドワイヤ挿通路として機能するインナーシャフト60を有する、所謂ラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテル10を示している。バルーンカテーテル10は、遠位側シャフト31と近位側シャフト32を有していることが好ましく、遠位側シャフト31と近位側シャフト32は別部材であって、遠位側シャフト31の近位端部が近位側シャフト32の遠位端部に接続されることにより、バルーン20からバルーンカテーテル10の近位端部まで延在するシャフト30が構成されていてもよい。或いは、1つのシャフト30がバルーン20からバルーンカテーテル10の近位端部まで延在していてもよく、遠位側シャフト31や近位側シャフト32がさらに複数のチューブ部材から構成されていてもよい。
シャフト30は内部に流体の流路とガイドワイヤ挿通路を有していることが好ましい。シャフト30が内部に流体の流路及びガイドワイヤの挿通路を有する構成とするには、例えば、シャフト30の内側に配置されているインナーシャフト60がガイドワイヤ挿通路として機能し、シャフト30とインナーシャフト60の間の空間が流体の流路として機能する構成とすることが挙げられる。このような構成の場合、インナーシャフト60がシャフト30の遠位端から延出してバルーン20を貫通し、バルーン20の遠位側がインナーシャフト60と接続され、バルーン20の近位側がシャフト30と接続されることが好ましい。
シャフト30は、樹脂、金属、又は樹脂と金属の組み合わせから構成されていることが好ましい。シャフトの構成材料として樹脂を用いることにより、シャフト30に可撓性や弾性を付与し易くなる。また、シャフト30の構成材料として金属を用いることにより、バルーンカテーテル1の送達性を向上できる。シャフト30を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シャフト30を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、又はこれらの組み合わせが挙げられる。シャフト30が別部材の遠位側シャフト31と近位側シャフト32から構成される場合、例えば、遠位側シャフト31が樹脂から形成され、近位側シャフト32が金属から形成される構成とすることができる。また、シャフト30は、異なる材料又は同じ材料による積層構造を有していてもよい。
バルーン20とシャフト30との接合は、接着剤による接着、溶着、バルーン20の端部とシャフト30とが重なっている箇所にリング状部材を取り付けてかしめること等が挙げられる。中でも、バルーン20とシャフト30とは、溶着により接合されていることが好ましい。バルーン20とシャフト30とが溶着されていることにより、バルーン20を繰り返し拡張又は収縮させてもバルーン20とシャフト30との接合が解除されにくく接合強度を向上できる。
バルーンカテーテル10の遠位端部には、先端部材70が設けられていることが好ましい。先端部材70は、インナーシャフト60とは別部材としてバルーン20の遠位端部に接続されることでバルーンカテーテル10の遠位端部に設けられてもよいし、バルーン20の遠位端よりも遠位側まで延在したインナーシャフト60が先端部材70として機能してもよい。
バルーン20の内部のインナーシャフト60上には、バルーン20の位置をX線透視下で確認できるように、長手軸方向x1においてバルーン20が位置する部分にX線不透過マーカー80が配置されていてもよい。X線不透過マーカー80は、バルーン20の直管部23の両端に相当する位置に配されることが好ましく、直管部23の長手軸方向x1の中央に相当する位置に配されてもよい。
シャフト30の近位側にはハブ40が設けられていてもよく、ハブ40にはバルーン20の内部に供給される流体の流路と連通した流体注入部50が設けられていることが好ましい。
シャフト30とハブ40との接合は、例えば、接着剤による接着、溶着等が挙げられる。中でも、シャフト30とハブ40とは接着により接合されていることが好ましい。シャフト30とハブ40とが接着されていることにより、例えば、シャフト30は柔軟性の高い材料から構成され、ハブ40は剛性の高い材料から構成されている等、シャフト30を構成する材料とハブ40を構成する材料とが異なっている場合に、シャフト30とハブ40の接合強度を高めてバルーンカテーテル10の耐久性を向上できる。
図示していないが、本発明は、シャフトの遠位側から近位側にわたってガイドワイヤ挿通路を有している、所謂オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルにも適用できる。オーバーザワイヤ型の場合、インフレーションルーメン及びガイドワイヤルーメンが手元側に配置されるハブまで延在しており、各ルーメンの近位側開口が二又構造のハブに設けられていることが好ましい。
ラピッドエクスチェンジ型のカテーテルの場合、遠位側シャフト31及び/又は近位側シャフト32の外壁に適宜コーティングが施されていることが好ましく、遠位側シャフト31と近位側シャフト32の両方にコーティングが施されていることがより好ましい。オーバーザワイヤ型のカテーテルの場合は、外側シャフトの外壁に適宜コーティングが施されていることが好ましい。
コーティングは、目的に応じて親水性コーティング又は疎水性コーティングとすることができ、シャフト30を親水性コーティング剤又は疎水性コーティング剤に浸漬したり、シャフト30の外壁に親水性コーティング剤又は疎水性コーティング剤を塗布したり、シャフト30の外壁を親水性コーティング剤又は疎水性コーティング剤で被覆したりすることにより施すことができる。コーティング剤は、薬剤や添加剤を含んでいてもよい。
親水性コーティング剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の親水性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせで作られた親水性コーティング剤等が挙げられる。
疎水性コーティング剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、シリコーンオイル、疎水性ウレタン樹脂、カーボンコート、ダイヤモンドコート、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コート、セラミックコート、アルキル基やパーフルオロアルキル基で終端された表面自由エネルギーが小さい物質等が挙げられる。
10:バルーンカテーテル
20:バルーンカテーテル用バルーン
20a:第1層
20A:第1層リッチ部
20b:第2層
20B:第2層リッチ部
20C:バルーンの外縁の図心
21:第1部
22:第2部
30:シャフト
31:遠位側シャフト
32:近位側シャフト
40:ハブ
50:流体注入部
60:インナーシャフト
61:ガイドワイヤポート
70:先端部材
80:マーカー
200:パリソン
200a:パリソンの内層
200b:パリソンの外層
201:パリソンの第1端
202:パリソンの第2端
205:パリソンの内腔
208:パリソンの突出部
210:大厚部
220:小厚部
230:中厚部
250:パリソン用金型
251:第1筒状部材
252:第2筒状部材
253:第3筒状部材
300:金型
300C:金型直管部
300S:金型スリーブ部
300T:金型テーパー部
305:金型の内腔

Claims (6)

  1. 長手軸方向、径方向、及び周方向を有し、第1層と、前記第1層よりもショアD硬度が高い材料から構成されている第2層とを有しているバルーンカテーテル用バルーンであって、
    前記第2層は、前記周方向の360°全体にわたって配されており、
    前記第1層は、前記第2層よりも前記径方向の内側に位置しており、
    前記長手軸方向に垂直な断面において、前記第1層と前記第2層とからなる少なくとも1つの第1部と、前記第2層のみからなる少なくとも1つの第2部とを有しており、前記周方向において前記第2部が配されている範囲は前記周方向の360°のうち90°以下であるバルーンカテーテル用バルーン。
  2. 前記第2部は前記長手軸方向に延在している請求項1に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
  3. 複数の前記第1部と複数の前記第2部を有しており、前記第2部は、前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さが前記第2部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの2倍以上となるように前記周方向に離隔して配されている請求項2に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
  4. 前記第1部において、前記第1層の前記径方向の厚みをT1、前記第2層の前記径方向の厚みをT2、前記T1と前記T2の和をTとしたとき、前記T1が前記Tの50%超である部分P1と前記T2が前記Tの50%超である部分P2とをさらに有している請求項3に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
  5. 前記第1部において、前記部分P1の前記周方向の外周長さが前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの15%以上である第1層リッチ部と、前記部分P2の前記周方向の外周長さが前記第1部の1つ当たりの前記周方向の外周長さの15%以上である2つ以上の第2層リッチ部とをさらに有しており、前記周方向において前記第1層リッチ部は前記第2層リッチ部に挟まれている請求項4に記載のバルーンカテーテル用バルーン。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル用バルーンを備えるバルーンカテーテル。
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