JP2024073146A - フィルム - Google Patents

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豊明 佐々木
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Abstract

【課題】新規なバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成される層(A)を備えるフィルムを提供すること。【解決手段】以下の要件を満たすバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物から形成される層(A)を備える、フィルム;要件:バイオマス由来成分を含む4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が30~100モル%であり、かつ、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率が0~70モル%である(ただし、前記構成単位(P)および前記構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である)。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムに関する。
4-メチル-1-ペンテンを主たる構成モノマーとする4-メチル-1-ペンテン系重合体は、耐熱性、離型性、耐薬品性等に優れているため各種用途に広く使用されている。
例えば、該共重合体を含むフィルムは良好な離型性等の特長を活かしてプリント配線基板製造用離型フィルム、複合材料成形用離型フィルム、合成皮革製造用離型紙等、各種離型フィルムに使用されている。
一方で、電子機器の発展に伴いプリント配線基板が多く用いられている。プリント配線基板は電子部品を固定して配線するための電子機器の主要な部品の一つであり、リジッド基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブル基板等がある。
例えば、フレキシブルプリント基板(以下「FPC」ともいう。)を製造する際には、回路パターンが形成された基板上にカバーレイフィルムを積層する工程、および、得られた積層体を熱プレス板で挟んで、加熱および加圧する熱プレス成形工程が通常は設けられている。前記熱プレス成形工程の際には、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着することを避けるために、カバーレイフィルムと熱プレス板との間には離型フィルムが挟まれている。
離型フィルムに好適なフィルムとして、例えば、特許文献1には、特定の4-メチル-1-ペンテン系共重合体から形成される層を含み、且つ特定の厚み構成と熱収縮率とを有するフィルムが開示されている。
また、特許文献2には、離型側層、中間層、離型反対側層の3層を有する離型多層フィルムにおいて、離型側層と離型反対側層の樹脂がポリメチルペンテンまたはポリメチルペンテンとαオレフィンとの共重合体であり、かつ離型側層および離型反対側層表面をエンボス処理したことを特徴とする離型多層フィルムが開示されている。
また、特許文献3には、軟質ポリオレフィンの層を中間層とし、その内外両面に結晶性ポリメチルペンテンの層を形成せしめたことを特徴とする積層体からなる離型フィルムが開示されている。
凹凸追従性と離型性に優れる離型フィルムとして、例えば、特許文献4には、特定の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)50~95質量%と、特定の4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)5~50質量%(これら重合体の合計は100質量%)とを含む組成物からなる層を有する単層または多層の離型フィルムが開示されている。
一方で、地球温暖化対策として、石油依存から脱却し、二酸化炭素ガスの排出量が少ない環境を構築するため、化石燃料由来のポリオレフィンにバイオマス由来のポリオレフィンを併用した樹脂フィルムも提案されている。
国際公開第2008/001682号 特開2003-211602号公報 特開平02-175247号公報 特開2019-93551号公報
しかしながら、上記で挙げた特許文献1~4にはバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体については開示も示唆もない。
また、近年の環境保全への関心の高まりから、フレキシブルプリント基板の製造において使用される離型フィルムについても、環境負荷低減効果を有し、かつ、離型フィルムに求められるシワの発生の抑制、追随性等の性能を有する離型フィルムの開発が求められている。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、新規なバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成される層を備えるフィルムを提供することである。
上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 以下の要件を満たすバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物から形成される層(A)を備える、フィルム;
要件:バイオマス由来成分を含む4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が30~100モル%であり、かつ、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率が0~70モル%である(ただし、前記構成単位(P)および前記構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である)。
<2> 前記層(A)を備える単層フィルムである、<1>に記載のフィルム。
<3> 熱可塑性樹脂を含有する層(C)をさらに備え、かつ、少なくとも1層の前記層(A)が最外層である、<1>に記載のフィルム。
<4> 前記層(A)に加えて、軟質ポリオレフィンを含有する層(B)をさらに備え、かつ、少なくとも1層の前記層(A)が最外層である、<1>に記載のフィルム。
<5> 軟質ポリオレフィンを含有する層(B)と、少なくとも2層の前記層(A)と、を備え、かつ、前記層(A)の2層がフィルム両側の最外層である、<1>に記載のフィルム。
<6> 前記層(B)に含まれる軟質ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、および、それらの部分イオン架橋物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、<4>または<5>に記載のフィルム。
<7> 前記層(A)全体の厚みの割合が、フィルム全体の厚みに対して25%~80%である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のフィルム。
<8> 前記層(A)から形成されるフィルム表面の少なくとも一方がエンボス処理されている、<1>~<7>のいずれか1つに記載のフィルム。
<9> 押出成形体または共押出成形体である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のフィルム。
<10> 離型フィルムである、<1>~<9>のいずれか1つに記載のフィルム。
<11> カバーレイのプレスラミネートの離型フィルムに用いられる、<1>~<10>のいずれか1つに記載のフィルム。
本発明の一実施形態によれば、新規なバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成される層を備えるフィルムが提供される。
図1は、本発明のフィルムの断面図の一例を示した図である。 図2は、本発明のフィルムを使用してフレキシブルプリント回路基板を成形する状態の一例を示す断面図である。 図3は、本発明のフィルムを使用して成形したフレキシブルプリント回路基板の端子露出部の一例を示す断面図である。 図4は、本発明のフィルムの製造装置の一例を示す図である。
なお、本明細書において、「重合体」および「(共)重合体」との語句は、特に断りのない限り、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」の前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本明細書において、特に限定しない限りにおいて、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
本明細書において、組成物中の各成分、または、ポリマー中の各構成単位の量は、組成物中に各成分、または、ポリマー中の各構成単位に該当する物質または構成単位が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する物質またはポリマー中に存在する複数の各構成単位の合計量を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<フィルム>
本発明に係るフィルムは、以下の要件を満たすバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物から形成される層(A)を少なくとも1層備える。
本発明に係るフィルムは新規なバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含むので、地球環境内における環境負荷(例えば、二酸化炭素等の温室効果ガス)の増加の抑制にも優れる。
また、当該フィルムをフレキシブルプリント基板の製造において使用される離型フィルムとして用いた場合、地球環境内における環境負荷の増加の抑制にも優れ、かつ、離型フィルムに求められるシワの発生の抑制、追随性等にも優れる。
以下、本発明に係るフィルムが備える各構成について詳細に説明する。
<<層(A)>>
層(A)は、以下の要件を満たすバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物から形成される層である。
本発明に係るフィルムは、層(A)を少なくとも1層備えていれば特に制限はなく、例えば、層(A)のみを備える単層フィルムであってもよいし、層(A)を複数備える多層フィルムであってもよいし、層(A)と後述する層(B)等を備える多層フィルムであってもよい。
<<バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体>>
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は下記の要件を満たす。
要件:バイオマス由来成分を含む4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が30~100モル%であり、かつ、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率が0~70モル%である(ただし、前記構成単位(P)および前記構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である)。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は新規なバイオマス由来の重合体である。また、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有するポリエステル系樹脂組成物は、地球環境内における環境負荷(例えば、二酸化炭素等の温室効果ガス)の増加の抑制にも優れ、また、従来の化石燃料由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有するポリエステル系樹脂組成物と同程度の性能を有する。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、バイオマス由来成分を含み、バイオマス由来成分のみ含んでいてもよいし、バイオマス由来成分と化石燃料由来(以下、「非バイオマス由来」ともいう。)成分の両方を含んでいてもよい。
ここで、「バイオマス由来成分」とは、菌類、酵母類、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来等の、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣に由来する成分を意味する。
〔バイオマス度〕
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体がバイオマス由来成分を含んでいるかどうかは、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体のバイオマス度を測定することで確認することができる。
「バイオマス度」とは、ASTM D6866に準拠した放射性炭素(14C)測定法によって得られた14C含有量の値、すなわち、バイオマス由来の炭素濃度を表す。
大気中に含まれる二酸化炭素には、14Cが一定の割合で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物は、成長時における大気に含まれる14Cの割合と同じ割合で14Cを含み、植物が固定化した後でもこの割合は保たれる。また、この植物を原料としたバイオマス由来成分は、植物に含まれる14Cと同じ割合で14Cを含む。一方、化石燃料中には14Cがほとんど含まれていないことも知られている。
14Cは半減期が5730年の放射性同位体元素であることから一定の割合で崩壊して減少していくため、これらを利用して14Cの割合を測定することで、原料がバイオマス由来成分であるか、または、非バイオマス由来成分であるかについて確認することができる。
バイオマス度は、ASTM D6866に準拠してバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体または当該重合体を含む樹脂組成物中に含まれる全炭素原子中の14Cの割合(含有量:pMC)を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出して求められる。なお、pMCとは、Percent Modern Carbonの略である。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、ASTM D 6866に準拠したバイオマス度が、好ましくは1%以上である。上限値は特に制限はなく、100%であってもよい。バイオマス度は、より好ましくは1~100%であり、さらに好ましくは10~100%であり、特に好ましくは50~100%である。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体のバイオマス度は、当該重合体中のバイオマス由来成分の含有量を調整することで適宜設定することができる。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、好ましくは4-メチル-1-ペンテンを主成分とする重合体であり、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体であってもよいし、4-メチル-1-ペンテンと4-メチル-1-ペンテン以外のモノマー(すなわち、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン)との共重合体であってもよい。
なお、ここで述べる主成分とは、重合体を構成する成分のうち最も多い成分を意味し、後述する4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が、好ましくは50モル%を超え、より好ましくは52モル%以上であり、さらに好ましくは55モル%以上である(ただし、構成単位(P)および構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である。)。上限値は特に制限はなく、100モル%であってもよい。
本明細書において、上記重合体における各構成単位の含有率(モル%)の値は、13C-NMRによる測定法によって測定した場合のものであり、具体的には後述する実施例に記載の方法により求められる。
以下、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体が満たす要件についてさらに説明する。
<<構成単位(P)>>
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)(以下、単に「構成単位(P)」ともいう。)を含む。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率は、30~100モル%であり、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは80~100モル%であり、さらに好ましくは90~100モル%であり、特に好ましくは95~100%である(ただし、前記構成単位(P)および前記構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である。)。
上記構成単位(P)は、バイオマス由来成分を含むことが好ましい。
構成単位(P)は、例えば、構成単位(P)を形成する原料モノマー(4-メチル-1-ペンテン等)としてバイオマス由来の原料を用いることにより、構成単位(P)にバイオマス由来成分を導入することができる。
構成単位(P)を形成するバイオマス由来の原料としては、例えば、バイオマス由来のプロピレン、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。
バイオマス由来成分を含む原料は、少なくとも一部にバイオマス由来の原料を含んでいればよく、全ての原料がバイオマス由来の原料でなくてもよい。
バイオマス由来の原料は、市販品であってもよいし、合成して得てもよい。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンの製造方法としては、例えば、バイオマス由来のプロピレンを二量化して得る方法が挙げられる。プロピレンを二量化する方法は、特に制限はなく、公知の合成方法を用いることができ、例えば特開昭61-083135号公報、国際公開第2006/085531号等に記載の二量化の方法が好適に挙げられる。
構成単位(P)を形成するバイオマス由来の原料のバイオマス度は、好ましくは10%以上である。上記バイオマス度の上限は特に制限はないが、100%であってもよい。上記バイオマス度は、より好ましくは10~100%であり、さらに好ましくは30~100%であり、より一層好ましくは50~100%であり、特に好ましくは85~100%である。
バイオマス由来の原料のバイオマス度の調整方法は、特に制限はなく、例えば、以下のような方法で調整をすることができる。(1)バイオマス度100%の4-メチル-1-ペンテンと非バイオマス由来成分(化石燃料由来成分)の含有量が100%である4-メチル-1-ペンテンとを所望のバイオマス度となる比率で混合する方法、(2)特定のバイオマス度を有する4-メチル-1-ペンテンを複数混合して、所望のバイオマス度の4-メチル-1-ペンテンに調整する方法、等が挙げられる。
また、所望のバイオマス度を有する4-メチル-1-ペンテンを入手してバイオマス由来の原料としてそのまま使用してもよい。
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)は、バイオマス由来成分のみからなっていてもよいし、バイオマス由来成分と、非バイオマス由来成分(化石燃料由来成分)と、からなっていてもよい。
非バイオマス由来成分は、バイオマス度が0%の成分を意味し、例えば、バイオマス度が0%のプロピレン、バイオマス度が0%の4-メチル-1-ペンテン等を用いることにより、構成単位(P)に非バイオマス由来成分を導入することができる。
<<構成単位(Q)>>
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)(以下、単に「構成単位(Q)」ともいう。)を含んでいてもよい。
炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。
共重合性および得られる共重合体の物性の観点から、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)としては、好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、および、1-オクタデセンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、および、1-オクタデセンであり、さらに好ましくは、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、および1-オクタデセンである。
エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)は、1種単独であってもよいし、または、2種以上組み合わせてもよい。
構成単位(Q)は、バイオマス由来成分のみを含んでいてもよいし、バイオマス由来成分および化石燃料由来成分の両方を含んでいてもよい。
また、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体において、上記構成単位(P)および構成単位(Q)の少なくとも一方が、バイオマス由来成分を含むことが好ましい。上記構成単位(P)がバイオマス由来成分を含む場合、構成単位(Q)は化石燃料由来成分のみ含んでいてもよい。
構成単位(Q)がバイオマス由来成分を含む場合、構成単位(Q)を形成する原料モノマーの少なくとも一部にバイオマス由来の原料を含んでいればよく、全ての原料がバイオマス由来の原料でなくてもよい。構成単位(Q)を形成するバイオマス由来の原料は、市販品であってもよいし、合成して得てもよい。
構成単位(Q)を形成する原料のバイオマス度としては、好ましくは0~50%であり、より好ましくは0~30%であり、さらに好ましくは0~20%であり、特に好ましくは0~10%である。
構成単位(Q)の含有率は、0~70モル%であり、好ましくは0~50モル%であり、より好ましくは0~20モル%であり、さらに好ましくは0~10モル%であり、特に好ましくは0~5モル%である(ただし、構成単位(P)および構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である)。
構成単位(Q)の含有率が上記範囲内であると、本発明のフィルムを離型フィルムとしてFPCの製造に使用する場合、離型フィルムのシワの発生の抑制に優れ、また、離型フィルムのクッション性が良好になるため、電気回路面のプリント部と非プリント部によって生じる凸凹に対する追従性にも優れる。
構成単位(Q)は、1種単独であってもよいし、または、2種以上を含んでいてもよい。
<<その他の構成単位>>
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(P)および上記構成単位(Q)以外の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう。)を含んでいてもよい。
上記その他の構成単位を形成するモノマーの具体例としては、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等が挙げられる。
環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、およびハロゲン化オレフィンとしては、例えば、特開2013-169685号公報の段落0034~0041に記載の化合物が挙げられる。
これらの中でも、上記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、環状オレフィンおよび芳香族ビニル化合物が好ましく、ビニルシクロヘキサン、および、スチレンが特に好ましい。
その他の構成単位の含有率は、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体の全構成単位に対して、好ましくは0~10モル%であり、より好ましくは0~5モル%であり、さらに好ましくは0~3モル%である。
その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、好ましくは下記要件(I)~(III)を満たす。
〔要件(I)〕
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~6.0dl/gである。前記極限粘度[η]は、好ましくは0.5~5.0dl/gであり、より好ましくは1.0~4.5dl/gであり、さらに好ましくは1.3~4.0dl/gであり、特に好ましくは1.5~3.0dl/gである。
上記極限粘度[η]の値は、例えば、4-メチル-1-ペンテン系重合体を製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
〔要件(II)〕
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が180~250℃である。前記融点(Tm)は、好ましくは190~250℃であり、より好ましくは195~240℃であり、さらに好ましくは200~235℃である。
上記、融点(Tm)の値は、重合体の立体規則性ならびにエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率に依存する傾向があり、オレフィン重合用立体特異性触媒を用い、さらにはエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率を制御することにより得ることができる。
〔要件(III)〕
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、密度が800~850kg/m3である。前記密度は、好ましくは820~850kg/m3であり、より好ましくは825~850kg/m3であり、さらに好ましくは825~845kg/m3である。
密度の値は、例えば4-メチル-1-ペンテンと共に重合する他のα-オレフィンの種類や含有率を選択することにより、適宜調整することが可能である。
上記密度は後述する実施例に記載の方法により求められる。
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、5kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.5~200g/10分の範囲にあり、より好ましくは1~100g/10分、さらに好ましくは5~50g/10分の範囲にある。MFRが上記範囲にあると、成形時の流動性の点で好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0~30.0であり、好ましくは2.0~10.0であり、より好ましくは2.0~8.0である。4-メチル-1-ペンテン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、実施例記載の方法により算出される値である。
4-メチル-1-ペンテン系重合体の13C-NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)は、好ましくは90.0~100%であり、より好ましくは93.0~100%、さらに好ましくは95.0~100%、特に好ましくは97.0~100%である。
メソダイアッド分率(m)が上記範囲にあると、当該重合体を含む樹脂組成物の成形時の目ヤニによるフィッシュアイや外観不良が生じにくい。これは、融点分布が狭くなることで組成分布の均一性が向上することによると推察する。
上記メソダイアッド分率(m)は、後述の実施例記載の方法により求められる。
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、180℃~250℃の範囲に示差走査熱量分析(DSC)により測定される融解ピーク(Tm)における融解熱量(ΔHm)が、好ましくは3~60J/gであり、より好ましくは10~60J/gである。
樹脂組成物中の4-メチル-1-ペンテン系重合体の含有量としては、組成物の全質量に対して、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%であり、さらに好ましくは90~100質量%であり、特に好ましくは95~100質量%である。
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、1種単独であってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
樹脂組成物は、4-メチル-1-ペンテン系重合体以外の成分を含んでいてもよい。
4-メチル-1-ペンテン系重合体以外の成分としては、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機または有機の充填剤、有機系または無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤や、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体以外の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう。)を含有していてもよい。その他の重合体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド等が挙げられる。
その他の重合体の含有量は、バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体100質量部に対して好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下であり、さらに好ましくは1質量部以下であり、実質的に含まないことが特に好ましい。
〔4-メチル-1-ペンテン系重合体の製造方法〕
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、4-メチル-1-ペンテンと、必要に応じてエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)、ならびに、前記その他の構成単位を形成するモノマーと、を重合することにより得ることができる。(ただし、前記4-メチル-1-ペンテンならびに、前記エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンの少なくとも一方がバイオマス由来成分を含む。)
重合方法としては、例えば、気相法、溶液法、スラリー法等の方法により製造できる。触媒としては、バナジウム系触媒、チタン系触媒、マグネシウム担持型チタン触媒等の従来公知のオレフィン重合用触媒に加えて、例えば、メタロセン触媒では、国際公開第2001/53369号、国際公開第2001/27124号、国際公開第2006/054613号、国際公開第2014/050817号、特開平3-193796号公報あるいは特開平2-41303号公報中に記載の触媒等を用いて製造することができる。
また、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、4-メチル-1-ペンテンと、必要に応じて上記エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)や前記その他の構成単位を形成するモノマーを単一の重合工程で単段重合することにより得ることができ、別々の工程で製造した4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を混合することにより得ることもできる。さらに、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を複数の重合工程を経て、多段で連続して重合することにより得ることもできる。また、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、一旦前記触媒等で製造した4-メチル-1-ペンテン系重合体を、押出機やミキサー等の中で熱処理することにより得ることもできる。
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、市販のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を用いてもよい。
<<層(B)>>
上記フィルムは、軟質ポリオレフィンを含有する層(B)をさらに備え、かつ、少なくとも1層の上記層(A)が最外層である、多層フィルムであってもよい。
フィルムが軟質ポリオレフィンを含有する層(B)を備える場合、本発明のフィルムをFPC製造用の離型フィルムとして使用する際の加熱および加圧時に、離型フィルムに柔軟性を付与、いわゆるクッション性を離型フィルムに付与することができる。
したがって、上記軟質ポリオレフィンを含有する層(B)は、FPC製造の際、表面に電気回路を形成した基板面の凸凹の追従性を向上させ、カバーレイの端面から接着剤が電気回路上に流れ出すのを防止する。
〔軟質ポリオレフィン〕
軟質ポリオレフィンとしては、上記4-メチル-1-ペンテン系重合体以外であれば特に制限はなく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、および、メチルペンテンからなる群から選ばれるオレフィンの単独重合体またはこれらの群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンからなる共重合体、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、および、それらの部分イオン架橋物、複数のエチレンとアクリル酸またはアクリル酸エステル共重合体のブレンド物等を例示することができ、その他にも特開平2-175247号公報に開示された軟質ポリオレフィン等が挙げられる。
これらの中でも、軟質ポリオレフィンを含有する層(B)が、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、および、それらの部分イオン架橋物からなる群より選ばれる少なく1種を含有することが好ましい。
軟質ポリオレフィンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
軟質ポリオレフィンは、ASTM D1525に基づくビカット軟化温度が、好ましくは50℃~150℃、より好ましくは60℃~150℃、さらに好ましくは70℃~150℃である。
また、軟質ポリオレフィンのASTM D1238(荷重5.0kg、温度260℃)に基づくメルトフローレート(MFR)の値は、好ましくは0.5g/10分~200g/10分、より好ましくは5g/10分~100g/10分である。
軟質ポリオレフィンの示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点(Tm)は、好ましくは80℃~240℃、より好ましくは100℃~240℃である。
上記層(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、前記軟質ポリオレフィン以外の重合体をさらに含んでいてもよい。軟質ポリオレフィン以外の重合体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド等が挙げられる。
層(B)における軟質ポリオレフィンの含有量は、層(B)の全質量に対して、90質量%~100質量%であることが好ましく、95質量%~100質量%であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
<<熱可塑性樹脂を含有する層(C)>>
フィルムは、本発明の目的を損なわなければ、層(A)および層(B)以外の層(C)を備えていてもよい。
層(C)としては、4-メチル-1-ペンテン系重合体および軟質ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」ともいう。)を含有する層であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、および、ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミドが挙げられる。
これらの樹脂は、合成してもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロ、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名;ノバペット、東レ株式会社製、商品名;アミラン等を挙げることができる。
層(C)における熱可塑性樹脂の含有量は、層(B)の全質量に対して、90質量%~100質量%であることが好ましく、95質量%~100質量%であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多層フィルムとしては、例えば、層(A)/層(B)および層(A)/層(C)の2層構造の積層体、層(A)/層(B)/層(C)、層(A)/層(C)/層(A)および層(A)/層(B)/層(A)の3層構造の積層体等が挙げられる。
本発明のフィルムを離型フィルムとして使用する際に表裏を識別して使用する手間が省けることから、本発明のフィルムは、少なくとも2層の上記層(A)とを備え、かつ上記層(A)の2層がフィルム両側の最外層であることが好ましく、良好なクッション性が得られることから、上記層(B)と、少なくとも2層の上記層(A)と、を備え、かつ、層(A)の2層がフィルム両側の最外層であることが好ましい。フィルムとしては、特に層(A)/層(B)/層(A)の3層フィルムであることが好ましい。
フィルムが、層(B)と、少なくとも2層の上記層(A)と、を備える場合において、上記層(A)が離型層として作用し、上記層(B)がクッション層として作用する。しかも、上記層(B)は、適度のクッション性を有しているために、FPC製造のプレス工程において、非プリント部へのカバーレイの押し込みを行うことができ、かつ、空隙が少なく、一体化されたFPCの成形がしやすい。
本発明のフィルムにおいて、上記層(A)が1層である場合、上記層(A)の厚みは、40μm~90μmであることが好ましく、40μm~80μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の多層フィルムにおいて、上記層(A)が2層以上である場合、上記層(A)の合計の厚みが40μm~90μmであることが好ましく、40μm~80μmであることがさらに好ましい。
上記層(A)を両側の最外層とする場合、これらの層(A)の厚みが同じであると、多層フィルムが反ることがなく、即ち弓なりに曲がることがなく、好ましい。
上記層(A)の厚みが40μm以上であると、シワの発生を防止することができ、90μm以下であるとクッション性を維持できるため好ましい。
上記層(B)の厚みは好ましくは30μm~100μmであり、より好ましくは40μm~90μmである。
上記層(B)の厚みが30μm以上であるとクッション性を維持できるため好ましく、100μm以下であると、加熱および加圧処理した際の層(B)のはみだし量を低減できるため好ましい。
フィルムにおいて、上記層(A)全体の厚みの割合が、フィルム全体の厚みに対して、好ましくは25%~80%であり、より好ましくは30%~60%であり、さらに好ましくは30~50%である。
フィルムが上記層(B)を含む多層フィルムである場合、フィルム全体の厚みに対する層(A)全体の厚みの割合が25%~80%であると、シワの発生の抑制に優れ、また、良好なクッション性を得られることから好ましい。
フィルム全体の熱収縮率は、好ましくは1%~5%、より好ましくは1%~3%、さらに好ましくは1.5%~2.5%である。
熱収縮率が1%以上である場合、特に、FPCにカバーレイを接着する際の離型フィルムとして用いる場合、フィルム表面のシワの抑制に優れる。また、熱収縮率が5%以下である場合、カバーレイを接着する際に、電気回路面と離型フィルムとの間の空隙の発生の抑制に優れる。
上記熱収縮率とは、フィルムを加熱して収縮させる際の、加熱前のフィルムの長さに対して、フィルムが収縮した割合である。すなわち、加熱前に室温で測定したフィルムの長さL1と、温度170℃雰囲気下で30分放置した後に取り出し、室温で冷却して30分後に測定した前記L1に相当する部分の長さL2として、下記式(1)で求めた値を熱収縮率とする。
熱収縮率(%)=(L1-L2)/L1×100 (1)
(式中、L1:加熱前のフィルムの長さ;cm、L2:加熱後のL1に相当する部分の長さ;cm)
熱収縮率は、フィルムの延伸方向で測定した値である。すなわち、熱収縮率を測定する際のフィルムの長さは、フィルムの延伸方向に対して平行な方向での長さである。
例えば、本発明のフィルムを押出成形または共押出成形した直後に、そのまま連続して延伸ロールを用いて延伸する場合のMD方向は、即ち、押出方向の長さである。
また、本発明のフィルムは2軸延伸してもよく、2軸延伸は逐次でも同時2軸延伸でもよい。2軸延伸した場合の熱収縮率は、それぞれの延伸方向での値である。また、押出方向は、フィルム表面に生じるダイラインに対して平行な方向であり、該ダイラインから容易に特定することができる。
また、本発明のフィルムは、上記層(A)から形成されるフィルム表面の少なくとも一方がエンボス処理されていることが好ましい。
このエンボス処理後のフィルム表面層のJIS B0601:2013に基づく面粗度Ryは、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは0.1~5μm、特に好ましくは0.1μm~2μmである。上記フィルム表面層の面粗度が上記の範囲内であると、良好な離型性を得ることができる。
また本発明のフィルムは、温度150℃における弾性率(E’)が、1.5×107~8.5×107MPaの範囲であることが好ましい。ここで温度150℃における弾性率(E’)とは、延伸方向の温度150℃での動的貯蔵弾性率を示す。
具体的には、本発明のフィルムから延伸方向に長さ0.13mm、延伸方向に対して垂直な方向に5mmのサンプルを切り出し、動的貯蔵弾性率測定装置、例えばTA社製(RSA-II)を用いて測定温度;-150~200℃、昇温速度;3℃/分、測定モード;引張り、測定周波数;1Hzの条件で測定することで、温度150℃における弾性率(E’)を求めることができる。
本発明のフィルムをFPC製造用の離型フィルムとして使用する場合、FPCにカバーレイを接着するために加熱する際の離型フィルムの温度は150℃に近い。したがって、温度150℃における弾性率(E’)が1.5×107MPa以上であると、離型フィルムはシワの発生の抑制に優れ、また8.5×107MPa以下であれば、離型フィルムは良好なクッション性を得ることができる。
〔フィルムの製造方法〕
本発明のフィルムの製造方法は、特に制限はなく、例えば、Tダイ装置を使った押出成形法、共押出成形法、加熱プレス法や溶媒キャスト法で各層を単層で製膜したものを積層し加熱圧着する等の公知の方法が挙げられる。
各層の厚みをダイリップ部のダイオリフィスの間隔を調節することで、フィルムを容易にかつ均一に制御することができ、また幅広化ができる点で優れている点から、これらの中でも、特にTダイ装置を使った押出成形法または共押出成形法による製造法オフが好ましい。さらに、幅広のフィルムを製造した後、多種多様なFPCの幅に合わせた幅にスリットすることが容易なため、Tダイ装置を使った押出成形法または共押出成形法が、FPC製造用の離型フィルムの製造方法として好ましい。すなわち、本発明のフィルムは、押出成形体または共押出成形体であることが好ましい。
また共押出成形法によれば、各樹脂間の接着界面で溶融状態での混じり合いがよく行われるので、接着強度にも優れた積層フィルムが得られる。
具体的なフィルムの製造方法としては、層(A)のみからなる単層フィルムを製造する場合は、例えば、単層Tダイ付き押出成形機を用いて、押出機およびTダイの温度を260~330℃に設定して押出成形する方法が挙げられる。
具体的には層(A)/層(B)/層(A)からなる前記3層フィルムを製造する場合は、例えば、2種3層Tダイ付き押出成形機を用いて、押出機およびTダイの温度を230~330℃に設定して押出成形する方法が挙げられる。
また、本発明のフィルムが多層フィルムである場合、各層を接着剤によって一体化して多層フィルムとしてもよい。この場合、各層間にウレタン系、イソシアネート系、エポキシ系等の接着剤を薄膜状に塗布し、必要によりこれらを圧着することによって成形する方法が挙げられる。
また各層を接着剤によって一体化して多層フィルムを作製する、別の作製方法としては、各樹脂層の間に無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンのような接着性樹脂をフィルム状で各樹脂層と同時に押し出し積層する方法が挙げられる。また、予め成形されたフィルムまたはシートを前述した順序で熱間圧着または熱間圧延する方法を採用することもできる。
また、熱収縮率が1%~5%であり、かつ、単層フィルムである場合、上記層(A)の単層フィルムを製造した後、上記フィルムを延伸して得てもよい。
また、多層フィルムである場合は、前記軟質ポリオレフィンから形成される層(B)を備え、少なくとも1層の上記層(A)が最外層である、多層からなるフィルムを製造した後、該多層からなるフィルムを延伸して得てもよい。
フィルムの延伸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができ、テンター法、ロール延伸法等の方法により延伸することができる。
例えば、前記層(A)/層(B)/層(A)からなる多層フィルムを延伸する場合、延伸する際の加熱温度は、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃の範囲である。また微量な延伸倍率で延伸することが必要である場合には、延伸倍率は、通常1%~5%、好ましくは2%~4%である。
延伸方法は、1軸延伸であってもよいし、2軸延伸であってもよい。また、2軸延伸は逐次であってもよく同時に行ってもよい。
本発明のフィルムは、押出成形法または共押出成形法で得られた原料フィルムを、ロールを使用して延伸してもよい。押出成形法または共押出成形法で得られた原料フィルムを、独立して回転する周速の異なる2本以上のロールの表面に接触させて通過させる際に、原料フィルムが先に接触するロールの周速度(m/分)より、原料フィルムが後で接触するロールの周速度(m/分)を速くする方法が挙げられる。
すなわち、フィルムの延伸方法は、原料フィルムが先に接触するロール表面を通過する速度より、後で接触するロール表面を通過する速度が速くなるようにロールの周速度を制御することで、該2本以上のロールの間をフィルムが通過する際に延伸する方法が好ましい。
延伸に使用するロールとしては表面が鏡面であるロール、またはエンボスロールを使用することも可能である。エンボスロールの場合エンボス深さとしては、平均粗さ(Ra)が1μm~200μm、好ましくは2μm~100μmに加工されたロールを使用することが好ましい。
次に、前記層(A)/層(B)/層(A)からなるフィルムを製造する場合について例示する。本発明のフィルムの製造装置の一例を示す図4において、3台の押出機20でそれぞれ溶融された4-メチル-1-ペンテン系重合体および軟質ポリオレフィンは、マルチマニホールドタイプの3層共押出しT型ダイ21を通して押し出されて冷却ロール22で一旦50℃~150℃まで冷却されてフィルムとなる。次いで、フィルムは温度50℃~200℃の加熱ロール23で加熱され、引き続き、温度50℃~200℃の第1エンボスロール24、次いで第2エンボスロール25でエンボス処理されるとともに、第1エンボスロールの周速度より、第2エンボスロールの周速度を速くすることで、即ち、フィルムが第1プレスロール26と第1エンボスロール24の間を通過する速度より、第2プレスロール27と第2エンボスロール25の間を通過する速度を速くすることにより、第1エンボスロールと第2エンボスロールの間でフィルムを延伸して本発明のフィルム8を得ることができる。
熱収縮率が1%~5%のフィルムを得るためには、フィルムを延伸する際、該フィルムに先に接触するロール表面の周速度に対して、該フィルムに後で接触するロールの周速度を、1.01~1.05倍、さらに1.02~1.04倍とすることが好ましい。また、その際のロール温度は50℃~200℃、好ましくは100℃~150℃の範囲である。また、上記フィルムに後で接触するロール表面の周速度、すなわち加工速度は、5m/分~100m/分、好ましくは10m/分~70m/分である。また、熱収縮率が1%を下回らない範囲であれば、離型フィルムの保管時の自然収縮を防止するために、延伸処理後に樹脂の融点未満の温度でのアニーリング処理を行ってもよい。
なお、フィルムの成形工程と、上記フィルムの延伸工程とは、工程を分けて行うことが可能である。
フィルムの成形工程と延伸工程とを分けて行う場合、成形して得られたフィルムの自然収縮を防止するために、樹脂の融点未満の温度でのアニーリング処理を行った後、延伸を行ってもよい。また、当然のことながら、フィルムの成形工程と延伸工程とは連続しても実施することも可能である。このような工程を実施するための装置は一般に市販されている。
<離型フィルム>
本発明のフィルムは、耐熱性と離型性に優れる観点から、離型フィルムとして好適に使用可能である。具体的には、FPC製造用離型フィルム、航空機部品に使用されるACM材料用離型フィルム、リジッドプリント基板製造用離型フィルム、半導体封止材用離型フィルム、FRP成形用離型フィルム、ゴムシート硬化用離型フィルム、特殊粘着テープ用離型フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、本発明のフィルムは、FPC製造用の離型フィルムとして好適に使用することができる。特に、本発明のフィルムは、カバーレイのプレスラミネートの離型フィルムに用いられることが好ましい。
熱硬化型の接着剤を用いて、電気回路を形成した基板とカバーレイ層とを金属板に挟んで加熱および加圧して接着させるFPC製造工程において、基板とカバーレイ層との間に離型フィルムを挟むこと(すなわち、プレスラミネートすること)により、上記工程において、カバーレイ層と金属板とを加熱および加圧するときにカバーレイ層と金属板とが接着してしまう事態を回避することができる。
図1は本発明の多層フィルムの断面図である。また図2は、本発明の離型フィルムを使用して、FPCを成形する際のプレス時の状態の断面図である。本発明の離型フィルムを使用することによって、非プリント部の空隙はカバーレイによって完全に押し込み密着され、一体化される。図2中、8は本発明のフィルム、9はFPCを示す。
離型フィルムは、プレス成形時にカバーレイによって塗布した熱硬化型の接着剤が加熱によって流動を開始する前に変形し、しかも、中間層(B)のクッション性と、最外層(A)の離型性が優れているため、図3に示されるように、離型フィルムである本発明のフィルム8が、カバーレイ6の端面と、電気回路の銅箔面10に密着し、接着剤の流出を抑制して、露出部とカバーレイ被覆部との境界区分がはっきりなされた状態でFPCを成形することができる。
離型多層フィルムをFPCの製造工程において、カバーレイのプレスラミネートに用い、加圧積層する成形方法としては、例えば、熱盤の間に、離型多層フィルム、片面FPCの順に重ねた構成物を置き、所定の条件で加熱加圧後、後硬化をすればよい。本発明に用いる離型多層フィルムは、特に短時間成形方法に有効的である。
さらに本発明のフィルムを離型フィルムとして用いた場合、カバーレイを接着する加熱および加圧成形時に、離型フィルムにシワが発生しにくいため、シワが発生した部分での電気回路面の凸凹への離型フィルムの追従不良による空隙の生成を抑制し、またFPCへのシワの転写を抑制し、外観が良好なFPCを得ることができる。
さらに、カバーレイを接着する加熱および加圧成形時に、前記層(B)のはみ出しが少ないため、前記層(B)が電気回路を形成した基板面や、加熱および加圧成形に使用する金属板に付着することによる、FPCの製品歩留まりの低下や作業性の低下等が低減される。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
〔バイオマス度〕
バイオマス度は、ASTM D6866に記載の方法に従い測定した。すなわち、実施例および比較例で得られた4-メチル-1-ペンテン系重合体または当該重合体を含む樹脂組成物中に含まれる全炭素原子中の14Cの割合(含有量:pMC)を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出して求め、バイオマス度とした。
〔構成単位の含有率〕
4-メチル-1-ペンテン系重合体中の、4-メチル-1-ペンテンより導かれる構成単位(P)の含有率、および、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く。)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンより導かれる構成単位(Q)(以下、「α-オレフィンより導かれる構成単位(Q)」ともいう。)の含有率(モル%)は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルより算出した。
ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、積算回数は64回とし、ベンゼン-d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってα-オレフィンより導かれる構成単位(Q)の含有率(モル%)を算出した。
α-オレフィンより導かれる構成単位(Q)の含有率(モル%)
=[q/(p+q)]×100
上記式中、qはα-オレフィン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、pは4-メチル-1-ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
〔メソダイアッド分率〕
バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体のメソダイアッドアイソタクティシティー(メソダイアッド分率)(m)は、ポリマー鎖中の任意の2個の頭尾結合した4-メチル-1-ペンテン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのイソブチル分岐の方向が同一である割合と定義し、13C-NMRスペクトルから下記式により求めた。
メソダイアッドアイソタクティシティー(m)(%)=[m/(m+r)]×100[式中、m、および、rは、下記構造式で表される頭-尾で結合している4-メチル-1-ペンテン単位の主鎖メチレンに由来する吸収強度を示す。]
13C-NMRスペクトルは、ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は60mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、ベンゼン-d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
ピーク領域は、41.5~43.3ppmの領域をピークプロファイルの極小点で区切り、高磁場側を第1領域、低磁場側を第2領域に分類した。
第1領域では、(m)で示される4-メチル-1-ペンテン単位2連鎖中の主鎖メチレンが共鳴するが、4-メチル-1-ペンテン単独重合体とみなした積算値を「m」とした。第2領域では、(r)で示される4-メチル-1-ペンテン単位2連鎖中の主鎖メチレンが共鳴し、その積算値を「r」とした。なお、0.01%未満を検出限界以下とした。
〔極限粘度[η]〕
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。すなわち重合パウダー、ペレットまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mLに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔分子量分布(Mw/Mn)〕
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、4-メチル-1-ペンテン系重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。GPC測定は、以下の条件で行った。また、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
(測定条件)
装置:ゲル浸透クロマトグラフ HLC-8321 GPC/HT型 (東ソー株式会社製)
有機溶媒:o-ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6-HT 2本、TSKgel GMH6-HTLカラム 2本(何れも東ソー株式会社製)
流速:1.0 mL/分
試料:0.15mg/mL o-ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算 :PS換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、Mark-Houwink粘度式の係数を用いた。PSのMark-Houwink係数はそれぞれ、文献(J.Polym.Sci.,Part A-2,8,1803(1970))に記載の値を用いた。
〔メルトフローレート(MFR)〕
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定した。
〔密度〕
密度(kg/m3)は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した。
ここで、密度が低いことは、重合体およびこれから得られる成形体が軽量であることを表す。
〔融点(Tm)、および、融解熱量(ΔHm)〕
DSC測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、型番:DSC220C)を用い、測定用アルミニウム製のサンプルパンに約5mgの試料(評価用ペレット)をつめて、10℃/minで280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで20℃まで降温させた。20℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温した。2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点が現れる温度を融点(Tm)とした。また、この結晶溶融ピークの積算値から融解熱量(ΔHm)を算出した。なお、測定時に複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピークにおける温度およびピークの積算値をそれぞれ、融点および融解熱量とした。
〔評価〕
-気泡の発生、はみ出し、外観シワ、および、フィルムの破れ-
フィルムの製造にはTダイ付き押出成形機または共押出成形機を用いた。押出機の設定温度およびTダイの設定温度を290℃とした。押出成形して得られたフィルムの幅は600mmである。下記で作製したカバーレイを長さ方向5m毎にMD方向に長さ30cm、TD方向に長さ21cmのフィルムを合計50枚切り出し、これを試験フィルムとした。後述するFPC作成方法に従って作製したフィルムと、カバーレイの接着剤塗布面とは反対側の面と、が接するように(図2に示す8の位置)セットし、加熱および加圧工程によって、カバーレイの接着剤塗布面を、基板上に形成されている電気回路面に接着させ、FPCを作製した。作製されたFCPについて気泡の発生の評価を行った。
その後、上記FCPから試験フィルムを取り出し、はみ出し・外観シワ・フィルムの破れをそれぞれ以下の評価基準に従って評価した。
気泡の発生の評価は作成したFPCを目視によって確認し、フィルムとカバーレイとの間に気泡が発生状況を確認し、下記の評価基準にしたがって評価した。
-評価基準-
○:50枚中気泡が確認されるのが1枚以下である。
×:50枚中気泡が確認されるのが2枚以上である。
多層フィルムについて、はみ出しの評価を行った。押出成形して得られたフィルムについて、MD方向に長さ10cm、TD方向に長さ10cmのフィルムを合計50枚切り出し、後述するFPC作成方法に従い、加熱および加圧処理し、フィルム端からはみ出した層の長さを測定し、下記の評価基準に従って評価した。
-評価基準-
○:50枚中5mm以上の層のはみ出しが確認されるのが1枚以下である。
×:50枚中5mm以上の層のはみ出しが確認されるのが2枚以上である。
外観シワは、作成したFCPから試験フィルムを取り出し、目視によって試験フィルムの表面を観察して、シワの発生状況を下記の評価基準に従って評価した。
-評価基準-
○:50枚中シワが確認されるのが1枚以下である。
×:50枚中2枚以上にシワが確認される場合である。
フィルムの破れは、目視によってフィルムのA層(離型層)を確認し、下記の評価基準に従って評価した。
-評価基準-
○:50枚中破れが確認されるのが1枚以下である。
×:50枚中2枚以上に破れが確認される場合である。
<実施例1>
(4-メチル-1-ペンテン系重合体の製造)
バイオマス度が100%であるバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンを原料として、国際公開第2006/054613号の、比較例7および比較例9の方法に準じ、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、または、水素の割合を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン系重合体を得た。得られた重合体について上記物性の測定を行った。
(4-メチル-1-ペンテン系重合体ペレットの作製)
上記で作製した4-メチル-1-ペンテン系重合体100質量部に対して、二次抗酸化剤としてトリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.1質量部、耐熱安定剤としてn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートを0.1質量部配合した。然る後に、2軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、型番:BT-30(スクリュー径30mmφ、L/D 46))を用い、設定温度270℃、樹脂押出量60g/minおよび回転数200rpmの条件で造粒して評価用ペレットを得た。得られたペレットについては、上記物性の測定を行った。
(フィルムの作製)
上記で作製した評価用ペレットを用いて、単軸押出機(サーモ・プラスチック株式会社製、スクリュー径20mmφ、L/D 28)にコートハンガー式T型ダイス(リップ形状:270×0.8mm)を装着した。チルロールは100mmφの引取機を用いた。シリンダおよびダイス温度は280℃、チルロール温度は80℃、および、巻き取り速度1.0m/minで成形を行い、フィルムを作製した。
(エンボス加工)
上記で作製したフィルムの表面を、平均粗さ(Ra)が25μmの2本のエンボスロールでエンボス処理した。エンボス処理の条件は、ロール温度130℃、エンボス加工速度20m/分とした。フィルムが先に接触する第1エンボスロールの周速度に対する、フィルムが後で接触する第2エンボスロールの周速度を1.03倍とした。両周速度の比を1.03倍とすることにより、総厚み50μmのフィルムを得た。
(FPC作成)
ポリイミドフィルムからなり、かつ、厚さは25μmのカバーレイを準備した。このカバーレイの、電気回路と接する面とは反対側の面に、流動開始温度80℃のエポキシ系接着剤を30μmの厚さになるように塗布した。
次いで、上記エンボス加工済のフィルムを、図2に示す加熱および加圧工程にセットし、カバーレイの接着剤塗布面側を、基板上に形成されている電気回路面に接着させ、FPCを作成した。加熱および加圧工程の条件は、温度160℃、圧力2MPa、加熱および加圧時間30分の条件とした。
<実施例2~4>
バイオマス度100%のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンと、化石燃料由来すなわちバイオマス度0%の非バイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン(化石燃料由来の4-メチル-1-ペンテン)と、を混ぜることによって、表1に示す任意のバイオマス度を有する重合原料を調製した。これを原料とする以外は実施例1と同様の方法で、ペレットの作成および物性の測定、ならびに、フィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例5および6>
4-メチル-1-ペンテンはバイオマス度100%のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンを用い、4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンは化石燃料由来、すなわちバイオマス度0%のものを用いた以外は実施例1と同様の方法で表1記載の重合体を得た。これを用いて、ペレットの作製および物性の測定、ならびに、フィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例7>
バイオマス度100%のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテンを原料として、国際公開第2014/050817号の段落[0450]に記載された、実施例6Eの方法に準じ、メタロセン触媒で合成してバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を得て、重合体の物性値を測定した。また、得られた重合体を用いて実施例1と同様にして、ペレットの作製および物性の測定、ならびに、フィルムの作成、エンボス加工、および、FPC作成を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例8>
実施例1で得たバイオマス度100%のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体と、上記で合成したバイオマス度0%の4-メチル-1-ペンテン系重合体とを、50質量%ずつブレンドして重合体の混合物を調製した。これを原料とする以外は実施例1と同様の方法で重合体を得た。これを用いて、ペレットの作製および物性の測定、ならびに、フィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例9>
実施例1で得たバイオマス度100%のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体から得られたペレットと、後述の比較例1で得たバイオマス度0%の4-メチル-1-ペンテン系重合体から得られたペレットとを、50質量%ずつブレンドしてペレットの混合物を調製した。得られペレットの物性を測定し、このペレットの混合物を用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例10>
マルチマニホールドタイプの3層共押出し押出機を用いて多層フィルムを製造した。
第1押出機で、実施例5で作製した4-メチル-1-ペンテン系重合体ペレットを温度280℃で可塑化した。なお、実施例10の重合体の組成および物性は、実施例5と同様である。
また第2押出機で、プロピレン・1-ブテン共重合体(密度;0.89g/cm3、MFR;30g/10分、融点;110℃、ビカット軟化温度;78℃、1-ブテン含有量;20モル%)を温度280℃で可塑化した。第1押出機過疎化物を層(A)および第2押出機過疎化物を層(B)として、280℃に設定した共押出しT型ダイ中で層(A)/層(B)/層(A)の複合化を行い、80℃に設定したチルロールで冷却して3m/分で引き取りながら3層からなる多層フィルムを製造した。
その後、得られたフィルムの表面を、平均粗さ(Ra)が25μmの2本のエンボスロールでエンボス加工した。エンボス加工の条件は、ロール温度130℃、エンボス加工速度20m/分とした。フィルムが先に接触する第1エンボスロールの周速度に対する、フィルムが後で接触する第2エンボスロールの周速度を1.03倍とした。両周速度の比を1.03倍とすることにより、層(A)/層(B)/層(A)=25μm/70μm/25μmである3層フィルムを得た。得られた3層フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例11>
実施例10において、層(B)としてエチレン・エチルアクリレート共重合体(MFR;27g/10分、融点;90℃、ビカット軟化温度;70℃および、エチルアクリレート含有量;15モル%)を用いた以外は、実施例10同様に、表面エンボスを加工した3層フィルムを製造した。得られた3層フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例12>
実施例10において、層(B)としてエチレン-メチルアクリレート共重合体(EMMA)ペレット:品番アクリフトWD203-1[メルトフローレート(MFR)=2.0g/10分、融点90℃](住友化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例10同様に、表面エンボスを加工した3層フィルムを製造した。得られた3層フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<比較例1>
化石燃料由来すなわちバイオマス度0%の4-メチル-1-ペンテンを原料とする以外は実施例1と同様の方法で表1記載の重合体を得てた。これを用いてペレットの作製および物性の測定、ならびに、フィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
<比較例2および3>
化石燃料由来すなわちバイオマス度0%の4-メチル-1-ペンテンを原料とする以外は実施例5および6と同様の方法で表1記載の重合体を得た。これを用いてペレットの作製および物性の測定、フィルムの作製、エンボス加工、および、FPC作製を行った。得られたFPCを用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示した。
表1に示されるとおり、実施例1~12のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成された層(A)を備えるフィルムを作製することができ、また、実施例1~12のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成された層(A)を備えるフィルムは比較例1~3の化石燃料由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体から形成された層を備えるフィルムに比べて、環境負荷を低減することが分かる。
また、実施例1~12のバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成された層(A)を備える離型フィルムは、比較例1~3の化石燃料由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体から形成された層を備えるフィルムと同程度または同等以上の気泡の発生、外観シワ、および、フィルムの破れを抑制することがわかる。
1 4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物から形成される層(A)
2 軟質ポリオレフィンから形成される層(B)
3 加熱、加圧用金属板
4 ステンレス板
5 離型フィルム(単層)
6 カバーレイ
7 カバーレイに塗布された熱硬化型接着剤
8 フィルム
9 フレキシブルプリント回路基板
10 電気回路の銅箔
11 フレキシブルプリント回路基板の電気回路部
20 押出機
21 マルチマニホールドタイプの3層共押出しT型ダイ
22 冷却ロール
23 加熱ロール
24 第1エンボスロール
25 第2エンボスロール
26 第1プレスロール
27 第2プレスロール

Claims (11)

  1. 以下の要件を満たすバイオマス由来の4-メチル-1-ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物から形成される層(A)を備える、フィルム;
    要件:バイオマス由来成分を含む4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(P)の含有率が30~100モル%であり、かつ、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(ただし、4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンから導かれる構成単位(Q)の含有率が0~70モル%である(ただし、前記構成単位(P)および前記構成単位(Q)の合計モル数は100モル%である)。
  2. 前記層(A)を備える単層フィルムである、請求項1に記載のフィルム。
  3. 熱可塑性樹脂を含有する層(C)をさらに備え、かつ、少なくとも1層の前記層(A)が最外層である、請求項1に記載のフィルム。
  4. 前記層(A)に加えて、軟質ポリオレフィンを含有する層(B)をさらに備え、かつ、少なくとも1層の前記層(A)が最外層である、請求項1に記載のフィルム。
  5. 軟質ポリオレフィンを含有する層(B)と、少なくとも2層の前記層(A)と、を備え、かつ、前記層(A)の2層がフィルム両側の最外層である、請求項1に記載のフィルム。
  6. 前記層(B)に含まれる軟質ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、および、それらの部分イオン架橋物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項4または請求項5に記載のフィルム。
  7. 前記層(A)全体の厚みの割合が、フィルム全体の厚みに対して25%~80%である、請求項3または請求項4に記載のフィルム。
  8. 前記層(A)から形成されるフィルム表面の少なくとも一方がエンボス処理されている、請求項1に記載のフィルム。
  9. 押出成形体または共押出成形体である、請求項1に記載のフィルム。
  10. 離型フィルムである、請求項1に記載のフィルム。
  11. カバーレイのプレスラミネートの離型フィルムに用いられる、請求項1に記載のフィルム。
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