JP2024072214A - 農業用水管の施工方法 - Google Patents

農業用水管の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 灌漑期において、地下水や砂分の流出を防止するとともに、地盤沈下を防止でき、鋼矢板の引き抜き時の土砂の付着や、引き抜き後の土砂の移動も抑制可能な、安全性・施工性に優れた農業用水管の施工方法を提供する。【解決手段】 地中に構築すべき農業用水管1の上面視左右平行に、所定の深度まで鋼矢板2を隣接して圧入する鋼矢板圧入工程と、平行に圧入した向かい合う鋼矢板の間の地盤に薬液4を注入して地盤の土質を改良する地盤改良工程と、薬液を注入した鋼矢板の間の地盤を所定の深度まで掘削して鋼矢板壁21を構築する鋼矢板壁構築工程と、農業用水管を配設する用水管配設工程と、掘削箇所に掘削土を埋め戻し、鋼矢板を引き抜き整地する整地工程とを有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、農業用水管の施工方法に関し、詳しくは、灌漑期に農業用水管の布設施工が可能な農業用水管の施工方法に関する。
水田脇等の農道に沿って灌漑用水を供給するための農業用水管を布設する場合、通常、地下水の水位を考慮して非灌漑期に施工が行われる。具体的には、地下水位は低い状況下で横断管等を一時撤去して農業用水管を配管し、その後復旧を行う。
しかしながら、緊急を要する場合等、灌漑期に農業用水管の布設施工を行う場合では、農業用水が施工箇所脇の側溝等に流れており地下水位が低下せず、地下水の漏水で掘削が困難となるため確実な止水施工が必要となる。そのため、灌漑期に農業用水管を布設することは稀なケースとなっている。
このような地下水を考慮した農業用水管の布設施工では、農道を所定の深度に掘削後、建て込み簡易土留を付設するとともにウェルポイントで地下水を汲み上げて排水する施工方法が考えられる。
しかしながらこの工法では、例えば、掘削底面までの中間に透水層となる砂層があり、砂層の下にシルト層がある場合、ウェルポイントの対応では地下水の排出が困難であったり、地下水と砂分の流出を防止できないことがあり、地下水と砂分が流出した場合には、掘削場所に近接している水田等にクラックが発生したり、地山(砂層)が崩壊するといった問題があった。また、掘削深度が深い場合には、建て込み簡易土留では対応が困難なこともあるため、更に止水を考慮した対策が必要となる。
また、用地の制約や、地下水位の存在等の現場条件に対応可能な施工として、鋼矢板土留による仮土留め施工があるが、鋼矢板の引き抜きによる土砂の付着等により、地山の崩壊や地盤沈下等の影響が懸念される。
このような止水が必要な地盤に対して矢板壁を適用する施工方法については、これまでにいくつかの提案がなされている(例えば特許文献1)。特許文献1の提案では、地中に構築すべき構造物の基礎以深に軟弱地盤が存在する場合に、構築すべき構造物の基礎の底面の深度より下層の地中に地盤改良体を構築することにより基礎の安定性を確保できるとしている。
特開2007-51486号公報
しかしながら、特許文献1の提案の工法では、矢板壁の構築前に基礎の底面より深い位置に地盤改良体を構築する必要があり、また、矢板の下端部は地盤改良体に届かない位置までしか圧入又は打設されていないため、上記従来の問題を解決できるものではなかった。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、灌漑期において、地下水や砂分の流出を防止するとともに、地盤沈下を防止でき、鋼矢板の引き抜き時の土砂の付着や、引き抜き後の土砂の移動も抑制可能な、安全性・施工性に優れた農業用水管の施工方法を提供することを課題としている。
本発明の農業用水管の施工方法は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の農業用水管の施工方法は、
地中に農業用水管を布設する施工方法であって、
構築すべき農業用水管の上面視左右平行に、所定の深度まで鋼矢板を隣接して圧入する鋼矢板圧入工程と、
平行に圧入した向かい合う前記鋼矢板の間の地盤に薬液を注入して前記地盤の土質を改良する地盤改良工程と、
前記薬液を注入した前記鋼矢板の間の地盤を所定の深度まで掘削して鋼矢板壁を構築する鋼矢板壁構築工程と、
農業用水管を配設する用水管配設工程と、
掘削箇所に掘削土を埋め戻し、前記鋼矢板を引き抜き整地する整地工程とを有することを特徴とする。
第2に、上記第1の発明の農業用水管の施工方法において、前記地盤改良工程の地盤に注入する薬液として水ガラス系注入材を用いることが好ましい。
第3に、上記第2の発明の農業用水管の施工方法において、前記地盤改良工程で用いる薬液として、注入する地盤の土質が砂分含有率65%以下又は粘性土分含有率35%以上の粘性土を含む場合には、ゲルタイムが5~15秒の懸濁型ガラス系注入材を用い、砂分含有率65%以上又は粘性土分含有率35%以下の砂質土を含む場合には、ゲルタイムが5~20秒及び/又は2~5分の溶液型水ガラス系注入材を用いることが好ましい。
第4に、上記第1の発明の農業用水管の施工方法において、前記鋼矢板壁構築工程の向かい合う前記鋼矢板壁を幅方向に連結する切梁を設けることが好ましい。
本発明の農業用水管の施工方法によれば、灌漑期において、地下水や砂分の流出を防止するとともに、地盤沈下を防止でき、鋼矢板の引き抜き時の土砂の付着や、引き抜き後の土砂の移動も抑制可能な、安全性・施工性に優れた農業用水管の施工が可能となる。
本発明の農業用水管の施工方法の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の農業用水管の施工方法の一実施形態を示す概略上視面図である。 実施例における鋼矢板壁の根入れ状態による地盤沈下の影響範囲確認のための概略図である。
以下に、本発明に係る農業用水管の施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る農業用水管の施工方法の一実施形態の概略構成図であり、図2は概略上視面図である。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
本実施形態の農業用水管の施工方法は、地下水が存在する地盤に農業用水管1を布設する施工方法であり、鋼矢板圧入工程と、地盤改良工程と、鋼矢板壁構築工程と、用水管配設工程と、整地工程とを有している。
本発明の農業用水管1の施工方法が適用可能な地盤としては、水田脇に沿って延びる農道等の地盤であり、このような地盤は通常、地表面3の下に透水層となる砂質土層と、その下に粘性土層があり、灌漑期には砂質土層に地下水が存在している。
ここで、上記のような地盤に対して地下水位が高い灌漑期に、例えば、地下水量が少ない非灌漑期に行われる建て込み簡易土留を付設するとともにウェルポイントで地下水を汲み上げる施工方法を適用した場合、透水性の砂質土層の深さが一定でないためウエルポイントが砂質土層下部に届かず、ウエルポイントによる排水が十分に行うことができないという問題がある。
また、砂質土層の下部にウエルポイントが設置できた場合であっても、砂質土層と粘性土層に間から地下水と砂分が流出し、地盤の沈下や周囲の山地に崩壊が生じるなどの問題がある。そこで、本発明の農業用水管1の施工方法では、灌漑期の施工においても確実な止水を可能とし、地盤沈下や地山の崩壊等を抑制する鋼矢板2を用いた仮土留め工法を採用する。
(鋼矢板圧入工程)
本実施形態の鋼矢板圧入工程では、地中に構築すべき農業用水管1を挟むように、長手方向平行2列で地表面3から所定の深度まで鋼矢板2を順次圧入する。鋼矢板2の寸法や圧入深さ、並行する2列の幅は、農業用水管1の径や配設する深さや、施工現場の土質や層構成等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、安定した鋼矢板壁21の構築の観点から、鋼矢板2は長さ7~15m程度のものを用い、地表面3から深さ7~15m程度に圧入することが考慮される。また、軟弱地盤であれば30m程度まで圧入が可能であり、この場合は鋼矢板を継ぎ足して圧入する。なお、鋼矢板2の圧入はサイレントパイラー等の圧入、打設装置を用いて行うことができる。
(地盤改良工程)
次に、地盤改良工程として、地表面3から地盤にパイプを挿入して薬液4を注入し、少なくとも底盤31の深度の土質を改良する。地盤に対する薬液4の注入目的は、地下水の止水と付着力の付与による鋼矢板2の自立安定化を図ることである。注入する薬液4としては水ガラス系注入材を用いることが好ましい。水ガラス系注入材は無機系薬液であるため、地下水と接触して周囲に流出したとしても環境を汚染することがない。
具体的な水ガラス系注入材としては、例えば、主剤としての水ガラス(ケイ酸ナトリウム)と水とを混合したA液と、硬化剤(水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸水素ナトリウム、ポルトランドセメント等)及び水とを混合したB液とからなるものを例示することができる。この薬液4はA液とB液を混合することによりゲル化して土同士の付着力を付与することにより底盤31の土質を改良することが可能となる。
また、本実施形態の地盤改良工程における地盤への薬液4の注入は、地盤の土質が砂分含有率65%以下又は粘性土分含有率35%以上の粘性土を含む場合にはゲルタイムが5~15秒の懸濁型ガラス系注入材(瞬結)を用い、砂分含有率65%以上又は粘性土分含有率35%以下の砂質土を含む場合にはゲルタイムが5~20秒及び/又は2~5分の溶液型水ガラス系注入材を併用して用いることが好ましい。なお、懸濁型水ガラス系注入材は、B液にポルトランドセメントを調整して配合したものであり、ゲルタイムが5~15秒の瞬結系薬液である。また、溶液型水ガラス系注入材には、ゲルタイムが5~20秒の瞬結型及びゲルタイムが2~5分の緩結系薬液のものがあり、これらは併用して用いることができる。底盤31の土質に応じて特性の異なる薬液4を使い分けることにより、確実な土質改良を行うことが可能となる。
また、薬液4の注入率は、近接する水田への薬液4の流出をできる限り防止するように設定することが望ましい。薬液4の注入率(λ)は、土質の間隙率(n)と充填率(a)から一般式(λ=n×a)により決定することができる。これにより、底盤31の土質の違いに応じて適切な薬液4の注入を行うことが可能となる。
なお、薬液4の使用に際して水ガラス系注入材を使用する場合、上記A液とB液を底盤31となる地盤中に注入するための工法として、二重管ストレーナー工法(複相式)、二重管ストレーナー工法(単相式)、二重管ダブルパッカ工法等があるが、二重管ストレーナー工法(複相式)がより好ましい。二重管ストレーナー工法(複相式)は、二重管ロッドを土中に削孔し、外管と内管よりそれぞれA液、B液を同時に圧送し先端のグラウトモニターにより混合された薬液4を土中に浸透させる工法である。
(鋼矢板壁構築工程)
次に、薬液を注入した鋼矢板2の間の地盤を掘削して、土留めのための鋼矢板壁21を構築する。この場合の掘削深度は、農業用水管1を配設する深さとなる底盤31の深度である。なお、底盤31の土質は、砂質土層、粘性土層の何れの場合も考慮されるが、この段階で底盤31以下の土質は薬液4により改良されている。
また、本実施形態の鋼矢板壁構築工程では、向かい合う鋼矢板壁21を幅方向に連結する切梁5を設けることができる。切梁5の長さは、並行する鋼矢板壁21の間隔に設定され、これにより鋼矢板壁21を安定して自立させることができる。設ける切梁5同士の間隔は適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
(用水管配設工程)
地盤改良工程により底盤31の土質が改良されていることを確認した後、この状態で安定した底盤31上の所定の位置に農業用水管1を配設する。
(整地工程)
用水管配設工程により農業用水管1の設置が完了した後、掘削箇所に掘削土を埋め戻す。埋め戻し土は、通常、鋼矢板壁構築工程にて掘削したその場所の土が用いられる。次に、土留め用の鋼矢板2を引き抜き、鋼矢板壁21を撤去する。この際、底盤31の改良を行わない場合、鋼矢板2の根入れ地盤が軟弱な沖積粘性土であると、鋼矢板2を引き抜いた際に鋼矢板2の根入れ部分に土砂が付着して持ち上がり、底盤31の周囲に空洞部が生じることで周辺地盤が移動して地盤沈下が発生する場合がある。
これに対して、本発明では、地盤改良工程により底盤31の土質が改良されているため、鋼矢板2を引き抜いても殆ど土砂が付着して持ち上がることはなく、また、引き抜き後の土砂の移動も生じない。そのため、地山の崩壊や地盤沈下を確実に抑制することが可能となる。掘削土の埋め戻し及び鋼矢板2の引き抜き完了の後、鋼矢板2の引き抜き後の空洞にさらに掘削土を戻して施工範囲を整地する。
本実施形態の農業用水管1の施工方法では、鋼矢板2を用いるとともに、底盤31の土質の改良を行うことにより、灌漑期の水田近傍の施工であっても、地下水や砂分の流出を防止でき、地盤沈下を防止できる、安全かつ施工性に優れた施工が可能となる。
以下、本発明の農業用水管の施工方法を実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の工事概要で本発明の施工方法を用いて農業用水管の施工を行った。
<施工現場の地質調査>
施工現場の地質調査をボーリング調査により行った。その結果を表1に示す。
Figure 2024072214000002
この結果から、表土層の下に透水層となる沖積砂質土層と、沖積粘性土層が存在する地盤であることが確認された。
<地下水条件>
ボーリング調査により地下水位を確認した。
地下水位(ボーリングデータ)=GL(グランドライン)-0.3m
孔口標高=YP(Yedogawa Peil)+1.87m
設計GL=TP(Tokyo Peil)+0.74
地下水位=0.3-(1.87-0.74)=0.83
従って、本調査では地下水位はGL-0.83であった。
<施工手順>
(鋼矢板圧入工程)
上記条件の施工現場に対して、長さ7.5mの鋼矢板III型を地上から7.5mの深さ、幅2.2mで2列順次圧入、打設した。
(地盤改良工程)
次に、向かい合う鋼矢板間2.2mの箇所の地盤に対して、二重管ストレーナ工法(複相式)にて水ガラス系注入材の薬液を注入した。水ガラス系注入材の薬液は、A液(主剤)として3号水ガラスを用い、底盤の土質が粘性土層(間隙率:70%)の箇所では、B液(硬化剤)として懸濁型水ガラス系注入材(無機系・瞬結:エリートンBSを用い、砂質土層(間隙率:45%)の箇所では溶液型水ガラス系注入材(無機系・瞬結:エリートンS)及び、(無機系・緩結:エリートンL)を併用して用いた。粘性土及び砂質土の注入条件を表2に示す。
Figure 2024072214000003
二重管ストレーナ工法(複相式)による手順は以下のとおりとした。
(1)注入孔の配置
注入孔は、原則として孔間隔1.0m以下を標準として配置した。
(2)削孔
ボーリングロッドは外径φ40.5mm長さ3.0mの二重管を用い、ボーリングマシンで清水にて計画深度まで回転削孔した。また、削孔後はそのまま注入ロッドとして使用した。
(3)注入・ステップ間隔
薬液の注入は、A液、B液を各々別個に調合し、ゲルタイムを測定した後にポンプを用いて圧送、二重管ロッド先端に取付けたグラウトモニターにて合流・混合させ注入する2ショット方式とした。また、下から上へと順次注入を進める上昇式バイステップ法(ステップ間隔:0.25m)で施工した。
(4)ゲルタイム
エリートンBS:5~15秒
エリートンS:5~20秒
エリートンL:2~5分
なお、定期的なサンプル採取によってゲルタイムの確認と凝固状態の観察を行い、薬液の品質を管理した。
(5)注入速度(吐出量)
注入ポンプ吐出量は、できるだけ低吐出量で実施し、A液、B液の2液を混合して14~16L/分を標準として施工した。但し、地盤隆起等の現象が発生する恐れのある場合には標準以下の注入速度で施工した。
(6)注入管理
注入ポンプに流量計を連動させて、継時的に注入量管理を行った。注入圧力は、現場の土質及び地盤への影響を考慮して初期圧+0.2MPaで行った。
(7)比較領域
なお、本実施例においては、比較のために地盤に対して上記薬液の注入を行わない領域を設けた。
(鋼矢板壁構築工程及び用水管配設工程)
次に、向かい合う鋼矢板間2.2mの箇所を4.3mの底盤の深さまで掘削し、鋼矢板の片側を露出させて鋼矢板壁を構築した。なお、その際、掘削した底盤が薬液により改質されていることを確認した。また、向かい合う矢板壁同士を2.2mの切梁で繋いで固定し、続けて土質改良が完了している底盤上に用水配管の設置を行った。
(整地工程)
次に、掘削領域に掘削土を埋め戻した後、鋼矢板を引き抜き、鋼矢板壁を撤去した。そして、埋め戻した地盤を整地して施工を完了した。この際、鋼矢板壁を撤去した状態でも地山の崩壊やひび割れ、地盤沈下等は確認されなかった。また、施工後の地盤の状態は安定しており、安全かつ効率的に施工を完了させることができた。
(地盤沈下の確認)
鋼矢板の引き抜き後に、地盤沈下について確認した。壁体根入れの先端から45°+φ(土のせん断抵抗角)/2の角度で地表面まで伸ばした延長線上を沈下の影響範囲とし、壁体の引き抜き跡空隙より、沈下面積を求めた。なお、壁体への土の付着率は80%とした。また、沈下の対策として引き抜き後の空隙跡に砂充填などの空隙充填を行うことで壁体空隙跡の70%まで充填されると仮定した。確認概略図を図3に示す。
なお、引き抜きに伴う沈下量の算定は以下の式に代入して行った。
Vs = 1/2Vp・λ(1-μ)
δymax = 2・Vs / Lxa
δy = δymax × Lxn / Lxa
Vs:埋設管深度での沈下面積
Vp:引き抜き跡空隙
δymax:埋設管深度最大沈下量
Lxa:影響範囲
δy:埋設管位置沈下量
λ:付着率(80% = 0.8)
μ:空隙充填率 (70%=空隙率のうち70%は充填される。)
Lxn:影響範囲から埋設管位置までの距離
本実施例において、底盤の土質改良として薬液の注入を行った場合の影響範囲、引き抜き跡空隙、管缶中心位置沈下量を上記算定式に代入して求めた。その計算結果を以下に、またその結果を表3に示す。
Vs=1/2Vp・λ・(1-μ)×1/2=1/2×0.125×1.7×0.8×0.3×1/2=0.013m
δymax=2・Vs/Lxa=2×0.013/1.7=0.015m
δy=δymax×Lxn/Lxa=2×0.015×(1.7-1.23)/1.7=0.008m
なお、本実施例では、薬液の注入により鋼矢板を引き抜いても殆ど土砂が付着して持ち上がることはなく、また、引き抜き後の土砂の移動も起こらなかった。
次に、比較として底盤の土質改良として薬液の注入を行わなかった場合の影響範囲、引き抜き跡空隙、管缶中心位置沈下量を上記算定式に代入して求めた。その計算結果を以下に、またその結果を表3に示す。
Vs = 1/2Vp・λ・(1-μ)=1/2×0.125×7.63×0.8×0.3 = 0.114m
δymax = 2・Vs / Lxa = 2×0.114/2.46 = 0.093m
δy = δymax × Lxn / Lxa = 2×0.093×1.23/2.46 = 0.093m
Figure 2024072214000004
表3に示す結果から、底盤の地盤改良を行わない場合には93mmの沈下となるところ、本発明の底盤の地盤改良を行った場合には8mmの沈下にとどまることが確認された。また、影響範囲、引き抜き跡空隙に関しても良好な結果であった。
1 農業用水管
2 鋼矢板
21 鋼矢板壁
3 地表面
31 底盤
4 薬液(改良層)
5 切梁

Claims (4)

  1. 地中に農業用水管を布設する施工方法であって、
    構築すべき農業用水管の上面視左右平行に、所定の深度まで鋼矢板を隣接して圧入する鋼矢板圧入工程と、
    平行に圧入した向かい合う前記鋼矢板の間の地盤に薬液を注入して前記地盤の土質を改良する地盤改良工程と、
    前記薬液を注入した前記鋼矢板の間の地盤を所定の深度まで掘削して鋼矢板壁を構築する鋼矢板壁構築工程と、
    農業用水管を配設する用水管配設工程と、
    掘削箇所に掘削土を埋め戻し、前記鋼矢板を引き抜き整地する整地工程とを有することを特徴とする農業用水管の施工方法。
  2. 前記地盤改良工程において、地盤に注入する薬液として水ガラス系注入材を用いることを特徴とする請求項1に記載の農業用水管の施工方法。
  3. 前記地盤改良工程において用いる薬液として、注入する地盤の土質が砂分含有率65%以下又は粘性土分含有率35%以上の粘性土を含む場合には、ゲルタイムが5~15秒の懸濁型ガラス系注入材を用い、砂分含有率65%以上又は粘性土分含有率35%以下の砂質土を含む場合には、ゲルタイムが5~20秒及び/又は2~5分の溶液型水ガラス系注入材を用いることを特徴とする請求項2に記載の農業用水管の施工方法。
  4. 前記鋼矢板壁構築工程において、向かい合う前記鋼矢板壁を幅方向に連結する切梁を設けることを特徴とする請求項1に記載の農業用水管の施工方法。
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