JP2024071996A - 金属有底筒状体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切に金属有底筒状体を製造する。
【解決手段】金属有底筒状体の製造方法は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一端を閉鎖する底部と、前記側壁部の他端に設けられたカール部又はフランジ部を有して当該他端が開口している開口部とを備える金属有底筒状体の製造方法であって、金属を含む有底筒状の素缶の、前記カール部又はフランジ部が形成される領域の少なくとも一部を含む側壁開口端部を焼鈍すること(S4)と、前記側壁開口端部の焼鈍後に前記側壁開口端部の少なくとも一部を含む領域を成形して前記開口部を形成すること(S6、S7)と、前記開口部の形成後に前記側壁部を成形すること(S8)と、前記側壁部の成形後に前記側壁部を加熱すること(S9)とを含む。
【選択図】図2
【解決手段】金属有底筒状体の製造方法は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一端を閉鎖する底部と、前記側壁部の他端に設けられたカール部又はフランジ部を有して当該他端が開口している開口部とを備える金属有底筒状体の製造方法であって、金属を含む有底筒状の素缶の、前記カール部又はフランジ部が形成される領域の少なくとも一部を含む側壁開口端部を焼鈍すること(S4)と、前記側壁開口端部の焼鈍後に前記側壁開口端部の少なくとも一部を含む領域を成形して前記開口部を形成すること(S6、S7)と、前記開口部の形成後に前記側壁部を成形すること(S8)と、前記側壁部の成形後に前記側壁部を加熱すること(S9)とを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属有底筒状体の製造方法に関する。
一般に、合成樹脂製の使い捨て可能な飲料カップが知られている。特許文献1には、このような合成樹脂製のカップに代えて用いられ得る、金属製のカップについて開示されている。特許文献1には、金属カップの製造方法の一例として、次のような方法が開示されている。すなわち、ストック材料のコイルから切断されたブランクから、抜き及び絞り処理によりカップが形成され、再絞り処理により当該カップから所定の高さ及び壁厚を有する初期カップが形成される。初期カップの上端部がトリミングされ、その上端部にカール部が形成される。続いて、その壁部に段階的絞り処理が施され、複数の垂直壁区画が、カップに形成される。その後、垂直壁区画が拡径されることで、テーパー状の輪郭を有するカップが形成される。特許文献1に開示されている方法に限らず、金属カップの製造方法は種々あり得る。
本発明は、適切に金属有底筒状体を製造することを目的とする。
本発明の一態様によれば、金属有底筒状体の製造方法は、筒状の側壁部と、前記側壁部の一端を閉鎖する底部と、前記側壁部の他端に設けられたカール部又はフランジ部を有して当該他端が開口している開口部とを備える金属有底筒状体の製造方法であって、金属を含む有底筒状の素缶の、前記カール部又はフランジ部が形成される領域の少なくとも一部を含む側壁開口端部を焼鈍することと、前記側壁開口端部の焼鈍後に前記側壁開口端部の少なくとも一部を含む領域を成形して前記開口部を形成することと、前記開口部の形成後に前記側壁部を成形することと、前記側壁部の成形後に前記側壁部を加熱することとを含む。
本発明によれば、適切に金属有底筒状体を製造できる。
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、金属製の飲料用のカップ状の容器に関する。この容器は、金属有底筒状体の一例である。本実施形態の容器は、使い捨てされている紙コップやプラスチックコップの代わりとなり得る容器である。また、本実施形態は、このような容器の製造方法の一例を示す。
[容器の構成]
図1は、本実施形態に係る容器1の構成例の概略を示す正面図である。容器1を構成する基材の材料は、これに限らないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、スチールなど、例えばアルミニウム又は鉄を含む金属であり得る。また、本実施形態では、これら金属の両面には、樹脂製の薄膜が設けられている。この薄膜は、単層であってもよいし、多層であってもよい。薄膜は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成され得る。このような、金属及び樹脂層を有する材料を用いることで、容器1は、軽量で、光沢を有する外観を備える。また、容器1は、製造効率がよい。
図1は、本実施形態に係る容器1の構成例の概略を示す正面図である。容器1を構成する基材の材料は、これに限らないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、スチールなど、例えばアルミニウム又は鉄を含む金属であり得る。また、本実施形態では、これら金属の両面には、樹脂製の薄膜が設けられている。この薄膜は、単層であってもよいし、多層であってもよい。薄膜は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成され得る。このような、金属及び樹脂層を有する材料を用いることで、容器1は、軽量で、光沢を有する外観を備える。また、容器1は、製造効率がよい。
容器1は、筒状の側壁部11と、側壁部11の一端を閉鎖する底部12とを備え、側壁部11の他端は開口した開口部13となっている。本実施形態では、筒状の側壁部11の軸に対して垂直な断面は、何れの場所でも円形である。容器1は、開口部13の内径よりも底部12の外径が小さく、容器1の側壁部11はテーパー状の輪郭を有している。側壁部11の開口している側の端部である開口部13には、外側に向けてカールしたカール部16が設けられている。使用時には、容器1は、底部12を下にして水平面に載置され得、上側の開口部13から飲料等を注いだり、開口部13から飲料等を飲むことができたりする。以降の説明では、容器1の底部12側を下側、開口部13側を上側として説明することがある。このように、容器1は、底部12と、底部12から立ち上がる側壁部11と、側壁部11の上端に設けられたカール部16を有する開口部13とを備える。
容器1の寸法の一例としては、例えば高さが135mm程度であり、開口部13の直径が80mm程度であり、底部12の直径が60mm程度であるなどである。
容器1は、側壁部11がテーパー状の形状を有することで、例えば未使用時の輸送時に、上側の容器1の底部12を下側の容器1の開口部13内に挿入するようにして、積み重ねることが可能である。積み重ねた状態から容器1を一つずつ容易に取り出せるように、下側の容器1の開口部13と上側の容器1の開口部13との間に距離ができるよう、開口部13の直下には、開口部13の内径よりもわずかに径が大きい膨出部14が設けられている。
容器1の側壁部11は、膨出部14から下側が、底部12に近づくほど径が小さくなるように、次のような構造を有している。すなわち、側壁部11には、下側に向けて径が縮小している傾斜壁部tと、下側に向けて径が変化していない垂直壁部sとが交互に形成されている。底部12の上下中央付近には、長い傾斜壁部tで形成された表示面15が設けられている。
容器1がヒトの手によって把持されたときに、側壁部11の交互に形成された垂直壁部sと傾斜壁部tとの段差は、滑り止めとして機能する。また、表示面15は、印刷が可能であるように構成されており、各種の表示が行えるように構成されている。
[容器の製造方法]
容器1の製造方法の一例を説明する。図2は、容器1の製造方法の一例の概略を示すフローチャートである。まず、材料となる板状金属材が準備される(ステップS1)。この板材は、上述のとおり、アルミニウム等の金属の基材の両面に、PET等の樹脂薄膜が積層されたものである。このような金属基体面上に樹脂層が設けられた樹脂被覆金属が用いられることで、後述の絞りしごき加工において、潤滑剤及び冷却材として機能するクーラントを必要としない。ただし、樹脂薄膜層には、例えばグラマーワックスといった、ワックス系の潤滑剤が薄く塗布されている。
容器1の製造方法の一例を説明する。図2は、容器1の製造方法の一例の概略を示すフローチャートである。まず、材料となる板状金属材が準備される(ステップS1)。この板材は、上述のとおり、アルミニウム等の金属の基材の両面に、PET等の樹脂薄膜が積層されたものである。このような金属基体面上に樹脂層が設けられた樹脂被覆金属が用いられることで、後述の絞りしごき加工において、潤滑剤及び冷却材として機能するクーラントを必要としない。ただし、樹脂薄膜層には、例えばグラマーワックスといった、ワックス系の潤滑剤が薄く塗布されている。
準備した板材から、高さが低い有底のカップ状に材料が打ち抜かれる(ステップS2)。カップ状の材料に対して絞りしごき加工が施されて素缶が形成される(ステップS3)。この加工では、胴部が薄く伸ばされて高さが増加され、底部が成形される。絞りしごき加工は、必要に応じて複数回行われてもよい。
以上のようにして準備された有底筒状の素缶は、加熱装置に入れられ、その側壁の開口端側の一部が焼鈍される(ステップS4)。ここで焼鈍される領域を側壁開口端部と称することにする。
加熱装置について、図3A~図3Cを参照して説明する。図3A~図3Cは、加熱装置100の構成例の概略を模式的に示すそれぞれ正面図、平面図及び右側面図である。これら図には、説明に必要な部分のみが示されており、各部材の支持部材やその他必要な部材の一部の図示はわかりやすさのために省略されている。また、各部材の位置や大きさなども模式的に示されており、実際とは異なる。
加熱装置100は、誘導加熱によって素缶20の側壁開口端部22を加熱する加熱機構と、素缶20を搬送する搬送機構とを有する装置である。加熱装置100は、素缶20を搬送しながらその側壁開口端部22を加熱するように構成されている。加熱装置100は、加熱コイル110と、電源装置120と、搬送装置130と、温度センサー170とを備える。素缶20は、図3A及び図3Bにおける左側から右側に向けて搬送されるように構成されている。
加熱コイル110は、その巻き線の主要部分112が素缶20の搬送路に沿って搬送路を挟むように設けられ、その主要部分112の搬送路入口側の端部が搬送路を跨ぐように繋がれ、搬送路出口側の端部が搬送路を跨ぐように繋がれて又は電源装置に接続されて、全体としてコイルが形成されるように設けられている。主要部分112の長さは、これに限らないが、例えば300mm程度であってもよい。加熱コイル110には、適当な冷却機構が設けられ得る。例えば、巻き線が、その内部を冷却媒体が流れるように構成されていてもよい。加熱コイル110は、図示しないケースに覆われていてよい。このケースは、磁界が外部に漏れることを防止したり、磁束を整えたりする機能を有し得る。
加熱装置100は、素缶20の側壁の開口端側を加熱するので、加熱コイル110の主要部分112は、素缶20の開口端側が通過する位置に設けられている。加熱コイル110の主要部分112は、例えば、素缶20の開口端である上端から10mm下方に配置されている。なお、素缶20の開口端側で発生した熱の伝導により、素缶20の上部側のある程度の範囲の温度が上昇する。例えば、素缶20は、加熱コイル110を通過する間に、素缶20の上端側の20mm程度の範囲が、例えば150℃~230℃などといった温度になるように加熱される。一例としては、温度センサー170で測定する注目部位の温度が、175℃±25℃となるように加熱される。なお、端部側と底部側とでは、端部側に熱が伝わりやすいので、加熱コイル110の主要部分112は、加熱したい位置よりもやや底部側に寄せて配置されている。
搬送装置130は、素缶20が上述の加熱コイル110内を通過するように、素缶20を搬送する。搬送装置130は、主搬送部140と送り出し用搬送部150とベルトコンベヤー160とを有する。ベルトコンベヤー160は、底を下にして載せられた素缶20を加熱装置100内に搬入し、また、加熱後の素缶20を加熱装置100外へと搬出する。ベルトコンベヤー160は、加熱装置100内をも連続的に通っているが、加熱装置100内での素缶20の搬送は、主に主搬送部140及び送り出し用搬送部150によって担われている。主搬送部140は、素缶20を主に上述の加熱コイル110内で搬送する機構である。送り出し用搬送部150は、ベルトコンベヤー160によって加熱装置100まで搬送されてきた素缶20を、主搬送部140に受け渡す機構である。
主搬送部140及び送り出し用搬送部150は、何れも搬送路の両側に設けられたサイドベルトで素缶20の側壁を挟持し、サイドベルトが回転することで、挟持した素缶20を搬送方向に搬送するように構成されている。このとき、素缶20は、下部のベルトコンベヤー160からわずかに浮き上がった状態で、主搬送部140又は送り出し用搬送部150に把持されて搬送される。
送り出し用搬送部150は、搬送路の一方側に設けられた第1ベルト機構151と他方側に設けられた第2ベルト機構152とを有する。第1ベルト機構151及び第2ベルト機構152のそれぞれは、サイドベルト153と、駆動プーリー154と、従動プーリー155とを有する。サイドベルト153は、駆動プーリー154と従動プーリー155とに掛けられている。サイドベルト153は、モーター156に直接的に又は間接的に接続された駆動プーリー154の回転によって進行する。送り出し用搬送部150は、第1ベルト機構151のサイドベルト153と第2ベルト機構152のサイドベルト153とで素缶20を挟持し、素缶20を搬送する。送り出し用搬送部150において、第1ベルト機構151のサイドベルト153の進行速度と第2ベルト機構152のサイドベルト153の進行速度とは等しいので、素缶20は、平行移動する。
送り出し用搬送部150の場合と同様に主搬送部140も、搬送路の一方側に設けられた第1ベルト機構141と他方側に設けられた第2ベルト機構142とを有する。これら第1ベルト機構141及び第2ベルト機構142のそれぞれは、サイドベルト143と、駆動プーリー144と、従動プーリー145とを有する。サイドベルト143は、駆動プーリー144と従動プーリー145とに掛けられている。サイドベルト143は、モーター146に直接的に又は間接的に接続された駆動プーリー144の回転によって進行する。主搬送部140は、第1ベルト機構141のサイドベルト143と第2ベルト機構142のサイドベルト143とで素缶20を挟持し、素缶20を搬送する。
主搬送部140と送り出し用搬送部150とは、部分的に上下に重なるように配置されており、送り出し用搬送部150で搬送された素缶20は、主搬送部140に受け渡されるように構成されている。
主搬送部140において、第1ベルト機構141のサイドベルト143と第2ベルト機構142のサイドベルト143とでは、それらの進行速度が異なるように、あるいは進行方向及び進行速度が異なるように、設定されている。このため、素缶20は、その軸周りに自転しながら搬送方向に搬送される。素缶20が自転しながら加熱コイル110内を搬送されることで、素缶20の側壁開口端部22は、素缶20の周方向について均一に加熱され得る。素缶20は、加熱コイル110による加熱中に、例えば3回転以上、例えば6回転自転する。例えば、直径80mmの素缶20が、長さ300mmの加熱コイル110内で6回転する場合、第1ベルト機構141のサイドベルト143と第2ベルト機構142のサイドベルト143とは、逆方向に進行することになる。
なお、送り出し用搬送部150に入る前及び主搬送部140から出た後の素缶20は、その底部で載るベルトコンベヤー160によって搬送される。
主搬送部140の出口側には、温度センサー170が設けられている。温度センサー170は、非接触式の温度センサーであり、例えば搬送路の上方に設けられている。温度センサー170は、素缶20の加熱対象である側壁開口端部22の温度を測定する。測定データは、制御装置190に送信される。制御装置190は、温度を解析しながら、素缶20の温度が目標温度となるように、電源装置120、搬送装置130等の動作を制御することができる。
素缶20の側壁開口端部22が加熱されることで、コーティングされたPET等の樹脂の歪みがとられ、金属基材とコーティング樹脂との密着力が高められる。その結果、後の開口端の加工において、樹脂が金属基材から剥離したり樹脂に亀裂が入ったりすることが防止され得る。
図2に戻って説明を続ける。加熱装置100による加熱の後、素缶は、その開口端側がトリミングされ、その高さが中心軸回りに均等に切り揃えられる(ステップS5)。このトリミング加工を行うトリミング加工機構は、上述の加熱装置100内に組み込まれていてもよい。すなわち、加熱装置とトリミング装置とが一体として構成されていてもよい。また、加熱装置とトリミング装置とは、別体として設けられていてもよい。
続いて、トリミング加工された素缶の開口端側に対して縮径絞り加工が施される(ステップS6)。この絞り加工によって、膨出部14が形成され、また、カールが形成される開口部の加工予定部が成形される。続いて、素缶の開口端に対してカール部16を成形する加工が施され、開口部13が形成される(ステップS7)。開口部13にカール部16が形成されることで、開口部13の剛性が向上し、以降の加工における真円度の悪化を抑制できる。
開口部13の成形の後、缶の膨出部14よりも底部側の胴部に対して縮径絞り加工が施される(ステップS8)。この縮径絞り加工を複数回実施し、膨出部14の下から底部12に向けて段階的に縮径させることで、全体としてはテーパー状の輪郭を有する側壁部11を形成する。
この縮径絞り加工について、図4を参照して説明する。カール部16を有する開口部13及び膨出部14の一部が形成された有底カップ30に対して、以下の処理が行われる。まず、図4の(a)に示すように、開口部13側から有底カップ30の内部にインナーツール210が挿入される。インナーツール210は、有底カップ30の内径より小径の円柱状ツールである。また、有底カップ30の底部32側にアウターツール220が配置される。アウターツール220は、その内面に、絞り成形面221と傾斜成形面222とを有する。絞り成形面221は、インナーツール210の外周面との間に有底カップ30の側壁を挟んで絞り成形を行う面である。傾斜成形面222は、有底カップ30の側壁の一部を傾斜状に成形して傾斜壁部tを形成する面である。傾斜成形面222の形状は、傾斜壁部tの形状に応じた曲面となっている。また、有底カップ30の底部32に対して押さえツール230が配置され、有底カップ30が固定される。
続いて、図4の(b)に示すように、固定したインナーツール210に対してアウターツール220が、膨出部14の底部32側まで開口部13方向へと移動させられる。アウターツール220が移動することで、有底カップ30に対して縮径絞り加工が施される。また、アウターツール220の傾斜成形面222によって、膨出部14の底部32側に、傾斜壁部tが形成される。その後、図4の(c)に示すように、アウターツール220が底部32側に戻される。このようにして、有底カップ30に膨出部14及び傾斜壁部tが形成される。
続いて、図4に示したインナーツール210よりも外径が小さいインナーツールと、図4に示したアウターツール220よりも内径が小さいアウターツールとを用いて、上述のようにして形成された傾斜壁部tよりも底部32側まで同様に縮径絞り加工が施されることで、垂直壁部s及び傾斜壁部tが形成される。同様に、底部32に向けて徐々に径が小さくなるように縮径絞り加工が繰り返されることで、図1に示すような底部12に向けて徐々に径が小さくなるテーパー状の側壁部11を有する容器1が形成される。
この側壁部11の縮径絞り加工において、金属基材を被覆する樹脂層に含まれる潤滑剤が加工をスムーズに行うことに貢献する。潤滑剤は、ワックス系の潤滑剤であってよく、例えばグラマーワックスであってよい。この縮径絞り加工の前に、ステップS4で素缶20の加熱処理が行われているが、この加熱処理では、素缶20の開口端の近傍のみが加熱されているので、本絞り加工で機能する潤滑剤は、加工対象である側壁の部分、すなわち、胴部分に残存している。したがって、ステップS4の焼鈍工程は、後の側壁部11の縮径絞り加工に悪影響を与えない。
図2に戻って説明を続ける。複数回の縮径絞り加工によって側壁部11が形成されたら、側壁部11が加熱される(ステップS9)。この加熱によって上述の潤滑剤が除去される。すなわち、加熱によって、潤滑剤が揮発して、潤滑剤が容器1から除去される。ここで、容器1は、例えば180℃~210℃程度の温度に加熱される。一例としては、容器1の注目部位の温度の目標値を195℃とし、その温度が185℃~203℃となるように加熱が制御されるなどであり得る。
以上のようにして、図1のような形状を有する容器1が製造される。その後、必要に応じて、表示面15に印刷が施される等してもよい。ステップS9で潤滑剤が除去されていることで、潤滑剤が印刷を妨げることもない。
[変形例]
上述の実施形態の各種変形例について説明する。
上述の実施形態の各種変形例について説明する。
上述の実施形態では、飲料用のカップを例に挙げて説明したが、同様の製造方法は、蓋が取り付けられた缶の製造にも適用され得る。缶は、これに限らないが、各種飲料用や食品用の缶であり得る。缶が製造される場合、上述の開口部13のカール部16に代えて、開口端には蓋を巻き締めるためのフランジ部が形成され得る。この場合も、素缶の側壁の上端部分が焼鈍されることで、フランジの形成が適切に行われ得る。
上述の実施形態では、側壁部を縮径絞り加工する例を挙げて説明したが、側壁部の加工は、これに限らない。側壁部に例えば装飾用の凹凸等が設けられる加工が施されてもよい。この場合も、側壁部の加工時には側壁部に潤滑剤が残っていることで、側壁部の加工が円滑に行われ得る。また、側壁部の加工後に加熱によって潤滑剤が除去されるので、潤滑剤が印刷その他に悪影響を与えることがない。
上述の実施形態では、樹脂層を有する金属材を用いた容器の製造を例に挙げて説明したが、同様の製造方法は、樹脂層を有しない金属材を用いた容器の製造にも適用され得る。素缶の側壁の上端部分が焼鈍されることで、当該箇所の成形加工が良好に行われ得るようになる。素缶が厚手の金属の場合などには、焼鈍ステップの効果が特に得られる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
1:容器
11:側壁部、12:底部、13:開口部
14:膨出部、15:表示面、16:カール部、s:垂直壁部、t:傾斜壁部
20:素缶、22:側壁開口端部
30:有底カップ、32:底部
100:加熱装置
110:加熱コイル、:、120:電源装置、130:搬送装置、160:ベルトコンベヤー、170:温度センサー、190:制御装置
140:主搬送部、141:第1ベルト機構、142:第2ベルト機構、143:サイドベルト、144:駆動プーリー、145:従動プーリー、146:モーター
150:送り出し用搬送部、151:第1ベルト機構、152:第2ベルト機構、153:サイドベルト、154:駆動プーリー、155:従動プーリー、156:モーター
210:インナーツール、230:押さえツール
220:アウターツール、221:絞り成形面、222:傾斜成形面
11:側壁部、12:底部、13:開口部
14:膨出部、15:表示面、16:カール部、s:垂直壁部、t:傾斜壁部
20:素缶、22:側壁開口端部
30:有底カップ、32:底部
100:加熱装置
110:加熱コイル、:、120:電源装置、130:搬送装置、160:ベルトコンベヤー、170:温度センサー、190:制御装置
140:主搬送部、141:第1ベルト機構、142:第2ベルト機構、143:サイドベルト、144:駆動プーリー、145:従動プーリー、146:モーター
150:送り出し用搬送部、151:第1ベルト機構、152:第2ベルト機構、153:サイドベルト、154:駆動プーリー、155:従動プーリー、156:モーター
210:インナーツール、230:押さえツール
220:アウターツール、221:絞り成形面、222:傾斜成形面
Claims (14)
- 筒状の側壁部と、前記側壁部の一端を閉鎖する底部と、前記側壁部の他端に設けられたカール部又はフランジ部を有して当該他端が開口している開口部とを備える金属有底筒状体の製造方法であって、
金属を含む有底筒状の素缶の、前記カール部又はフランジ部が形成される領域の少なくとも一部を含む側壁開口端部を焼鈍することと、
前記側壁開口端部の焼鈍後に前記側壁開口端部の少なくとも一部を含む領域を成形して前記開口部を形成することと、
前記開口部の形成後に前記側壁部を成形することと、
前記側壁部の成形後に前記側壁部を加熱することと
を含む金属有底筒状体の製造方法。 - 前記素缶及び前記素缶から形成される前記金属有底筒状体は、金属基体面上に樹脂層を有する樹脂被覆金属を用いて形成される、請求項1に記載の製造方法。
- 前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項2に記載の製造方法。
- 前記素缶の前記側壁部が形成される領域の少なくとも一部には潤滑剤が塗布されており、
前記側壁部を加熱することは、前記潤滑剤を除去するように構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。 - 前記潤滑剤として、ワックス系潤滑剤が用いられる、請求項4に記載の製造方法。
- 前記側壁部を成形することは、縮径絞り加工によって、前記底部に向かって縮径するテーパー状の輪郭を有する前記側壁部を成形することである、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 前記側壁開口端部を焼鈍後であって前記開口部の形成前に、前記側壁開口端部に対してトリミング加工を施すことをさらに含む、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 前記開口部を形成することは、
前記側壁開口端部の少なくとも一部を含む領域について縮径絞り加工を施すことと、
前記縮径絞り加工の後に、前記カール部又は前記フランジ部を形成することと
を含む、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。 - 前記側壁開口端部を焼鈍することは、前記側壁開口端部が150℃~230℃となるように加熱することを含む、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 前記側壁開口端部を焼鈍することは、前記素缶を誘導加熱することを含む、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 前記金属は、アルミニウム又は鉄を含む、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 前記金属有底筒状体は、飲料用カップ、飲料用缶、又は食品用缶である、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法における前記側壁開口端部を焼鈍することに用いられる加熱装置であって、
前記素缶の前記側壁開口端部を加熱するように構成された加熱機構と、
前記素缶の側壁を挟持するベルトを含み、前記素缶の両側の前記ベルトの進行速度が異なることで、前記素缶を回転させながら前記加熱機構に対して移動させる搬送機構と、
前記側壁開口端部の温度を測定するように構成された温度センサーと
を備える加熱装置。 - 有底筒状の金属を含む缶の側壁開口端部を加熱するように構成された加熱機構と、
前記缶の側壁を挟持するベルトを含み、前記缶の両側の前記ベルトの進行速度が異なることで、前記缶を回転させながら前記加熱機構に対して移動させる搬送機構と、
前記側壁開口端部の温度を測定するように構成された温度センサーと
を備える加熱装置。
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JP2022182557A JP2024071996A (ja) | 2022-11-15 | 2022-11-15 | 金属有底筒状体の製造方法 |
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JP2022182557A JP2024071996A (ja) | 2022-11-15 | 2022-11-15 | 金属有底筒状体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2022182557A Pending JP2024071996A (ja) | 2022-11-15 | 2022-11-15 | 金属有底筒状体の製造方法 |
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