JP2024068988A - 生体信号計測装置及び判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサ部がユーザから外れているかどうかを精度よく判定する。
【解決手段】ユーザの生体信号を測定するための生体信号計測装置は、ユーザに装着されるセンサ部であって、ユーザの生体組織に光を照射する発光部と、光の反射光又は透過光の光量に応じた信号を生成する受光部とを含むセンサ部と、受光部によって生成された信号に基づいて脈波信号を生成する信号生成部と、脈波信号のノイズ成分を表すノイズ指標と、脈波信号の脈波成分を表す脈波指標と、脈波信号の直流成分を表す直流指標とを取得する取得部と、脈波指標に対するノイズ指標の第1の比率と、直流指標に対するノイズ指標の第2の比率とが検出条件を満たす場合に、センサ部がユーザから外れていると判定する判定部と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】ユーザの生体信号を測定するための生体信号計測装置は、ユーザに装着されるセンサ部であって、ユーザの生体組織に光を照射する発光部と、光の反射光又は透過光の光量に応じた信号を生成する受光部とを含むセンサ部と、受光部によって生成された信号に基づいて脈波信号を生成する信号生成部と、脈波信号のノイズ成分を表すノイズ指標と、脈波信号の脈波成分を表す脈波指標と、脈波信号の直流成分を表す直流指標とを取得する取得部と、脈波指標に対するノイズ指標の第1の比率と、直流指標に対するノイズ指標の第2の比率とが検出条件を満たす場合に、センサ部がユーザから外れていると判定する判定部と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、生体信号計測装置及び判定方法に関する。
ユーザにセンサを取り付けて生体信号を計測する様々な装置が提供されている。センサがユーザから外れている状態では、センサからの出力はユーザの生体情報を表さない。そこで、センサがユーザから外れているかどうかを判定する技術が求められる。特許文献1では、指が接触していることを検出すためのスイッチなどの部品をセンサに設けることが提案される。特許文献2では、脈波の直流成分の変動を利用してセンサがユーザから外れているかどうかを検出することが提案される。特許文献3では、脈拍数密度と信号強度との関係に基づいてセンサがユーザから外れているかどうかを検出することが提案される。
特許文献1に記載された技術では、生体信号の計測に使用されるセンサとは異なる部品を使用して判定が行われるため、コストが増大する。特許文献1及び2に記載された技術では、センサがユーザから外れているかどうかを精度よく判定できない場合がある。本発明の一部の側面は、生体信号の計測に使用されるセンサがユーザから外れているかどうかを精度よく判定するための技術を提供することを目的とする。
一部の実施形態によれば、ユーザの生体信号を測定するための生体信号計測装置であって、前記ユーザに装着されるセンサ部であって、前記ユーザの生体組織に光を照射する発光部と、前記光の反射光又は透過光の光量に応じた信号を生成する受光部とを含むセンサ部と、前記受光部によって生成された信号に基づいて脈波信号を生成する信号生成手段と、前記脈波信号のノイズ成分を表すノイズ指標と、前記脈波信号の脈波成分を表す脈波指標と、前記脈波信号の直流成分を表す直流指標とを取得する取得手段と、前記脈波指標に対する前記ノイズ指標の第1の比率と、前記直流指標に対する前記ノイズ指標の第2の比率とが検出条件を満たす場合に、前記センサ部が前記ユーザから外れていると判定する判定手段と、を備える生体信号計測装置が提供される。
一部の実施形態によれば、センサ部がユーザから外れているかどうかを精度よく判定できる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
本発明の一部の実施形態は、ユーザ(例えば、患者)の生体信号を計測するための生体信号計測装置に関する。計測される生体信号は、例えば動脈血酸素飽和度(SpO2)であってもよい。SpO2を計測するための生体信号計測装置は、パルスオキシメーターとも呼ばれうる。以下の説明では、パルスオキシメーター(以下、単に計測装置100と表す)を例として説明する。しかし、本発明は、生体組織で反射された光や生体組織を透過した光の強度(光量)変化を脈波信号として取得可能な任意の電子機器に適用可能である。このような電子機器には、生体情報モニタ、睡眠評価装置、血圧計、脈波計といった医療機器が含まれる。また、外付けのセンサやネットワークなどを通じて脈波信号を取得可能な汎用コンピュータ機器(スマートフォン、タブレット端末、メディアプレーヤ、スマートウォッチ、ゲーム機など)が含まれるが、これらに限定されない。
図1のブロック図を参照して、本発明の一部の実施形態に係る計測装置100の機能構成例について説明する。計測装置100は図1に示される各構成要素を含みうる。計測装置100は、図1に示されない構成要素を含んでもよいし、図1に示される構成要素の一部を含まなくてもよい。
センサ部110は、赤色光を発する赤色光発光部111と、赤外光を発する赤外光発光部112と、受光量に応じた電気信号を出力する受光部113とを有する。センサ部110は、計測装置100のユーザ(以下、単にユーザと表す)に装着される。センサ部110は、クリップによってユーザに装着されてもよいし、テープによってユーザに装着されてもよいし、他の方法でユーザに装着されてもよい。
赤色光発光部111は、センサ部110がユーザに装着された状態において、ユーザの生体組織190に光(赤色光)を照射する位置に配置されている。赤外光発光部112は、センサ部110がユーザに装着された状態において、ユーザの生体組織190に光(赤外光)を照射する位置に配置されている。受光部113は、センサ部110がユーザに装着された状態において、赤色光発光部111が発した赤色光及び赤外光発光部112が発した赤外光が生体組織190を透過した光(透過光)又は生体組織190で反射された光(反射光)を受光する位置に配置されている。
赤色光発光部111及び赤外光発光部112のそれぞれは、有機発光ダイオード(LED)で構成されてもよいし、他の光源で構成されてもよい。図1に示される例では、赤色光及び赤外光が使用される。赤色光は、例えば波長660nmの光であってもよい。赤外光は、例えば波長900nmの光であってもよい。センサ部110は、赤色光発光部111及び赤外光発光部112にかえて、他の波長の光を発する発光部を含んでもよい。波長λ1、λ2における酸化ヘモグロビンの吸光度をa1λ1、a1λ2とし、還元ヘモグロビンの吸光度をa2λ1、a2λ2とすると、a1λ1とa1λ2、a2λ1とa2λ2がそれぞれ有意に異なる任意の波長λ1、λ2の光を発生する任意の光源が(例えば赤色光源と、赤外光源又は緑色光源との組み合わせなど)用いられてもよい。
透過光量を検出する構成の場合、測定部位(耳朶や指尖など)の生体組織190を挟んで赤色光発光部111及び赤外光発光部112と対向する位置に受光部113が配置される。また、反射光量を検出する構成の場合、赤色光発光部111、赤外光発光部112及び受光部113が互いに近接して配置される。なお、透過光量を検出するか反射光量を検出するかによらず、赤色光発光部111及び赤外光発光部112は近接して配置される。また、受光部113は、赤色光発光部111及び赤外光発光部112からそれぞれ体表面に照射された光の透過光又は反射光を同様の条件(例えば距離や角度)で受光するように配置される。
受光部113は、赤色光発光部111及び赤外光発光部112が発した光の透過光又は反射光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する。受光部113は、検出する透過光又は反射光の波長を感度波長とする受光センサ、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタであってよい。
信号処理部140は、受光部113によって生成された信号に増幅やA/D変換やノイズ除去などの信号処理を適用することによって脈波信号を生成し、この脈波信号を制御部130に出力する。信号処理部140は、赤色光と赤外光とのそれぞれについて脈波信号を生成する。
制御部130は、例えばプログラマブルプロセッサ、不揮発性メモリ(ROM)、及び揮発性メモリ(RAM)を有する。プログラマブルプロセッサは、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み込んで実行することによって計測装置100の各部を制御することによって、計測装置100の機能を実現する。なお、制御部130の動作のうち少なくとも一部はプログラマブルロジックアレイなどのハードウェア回路によって実現されてもよい。
駆動部120は制御部130が指示する発光量及び発光タイミングに従って、赤色光発光部111及び赤外光発光部112を駆動する。制御部130は、1つの受光部113を用いて2つの波長についての透過光量又は反射光量を検出するため、赤色光発光部111と赤外光発光部112とを交互に所定時間ずつ発光させるように発光タイミングを制御する。
赤色光発光部111と赤外光発光部112とは同時に発光しないため、厳密には赤色光の脈波信号と赤外光の脈波信号の取得タイミングは異なる。しかし、赤色光発光部111と赤外光発光部112の発光周波数を脈波の周波数成分よりも十分高くすることで、これらの脈波信号を同じタイミングでサンプリングされた計測値群として取り扱うことができる。
記憶部150は例えば不揮発性メモリであり、例えばメモリカードのような着脱可能な記憶媒体であってもよい。記憶部150には制御部130によって脈波信号やSpO2計測値などが計測日時などの書誌事項と関連づけて記憶される。
表示部160は例えば液晶ディスプレイであり、制御部130の制御に従って、SpO2計測値及び、計測装置100の動作状態や設定メニュー画面などを表示する。操作部170はユーザが計測装置100に指示を入力するためのボタン、スイッチ、キーなどを含む。表示部160がタッチディスプレイの場合、タッチパネル部分は操作部170に含まれる。外部インタフェース(I/F)180は外部機器と有線又は無線によって通信するための通信インタフェースである。
図2のブロック図を参照して、信号処理部140の機能構成例について具体的に説明する。信号処理部140は、アナログデジタル(AD)変換部200と、脈波信号生成部210と、ローパスフィルタ220とを含んでもよい。AD変換部200は、受光部113から出力されたアナログ信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換する。上述のように、受光部113は、受光した光の量に応じたアナログ信号を出力する。
脈波信号生成部210は、AD変換部200からの出力(すなわち、光量を表すデジタル信号)に基づいて脈波信号を生成する。脈波信号生成部210は、赤色光についての脈波信号と、赤外光についての脈波信号とをそれぞれ生成する。脈波信号生成部210によって生成される赤色光についての脈波信号を赤色光信号211と表す。脈波信号生成部210によって生成される赤外光についての脈波信号を赤外光信号212と表す。
駆動部120は、赤色光の発光状態、無発光状態、赤外光の発光状態、無発光状態を所定の周期で繰り返すように赤色光発光部111及び赤外光発光部112を駆動してもよい。赤色光の発光状態とは、赤色光発光部111が赤色光を発光し、赤外光発光部112が発光していない状態のことである。赤外光の発光状態とは、赤外光発光部112が赤外光を発光し、赤色光発光部111が発光していない状態のことである。無発光状態とは、赤色光発光部111と赤外光発光部112とのいずれも発光していない状態のことである。
脈波信号生成部210は、赤色光の発光状態中に受光部113によって生成された信号から、その後の無発光状態中に受光部113によって生成された信号を減算することによって、赤色光信号211を生成してもよい。脈波信号生成部210は、赤色光の発光状態になるごとに赤色光信号211を生成してもよい。脈波信号生成部210は、赤外光の発光状態中に受光部113によって生成された信号から、その後の無発光状態中に受光部113によって生成された信号を減算することによって、赤外光信号212を生成してもよい。脈波信号生成部210は、赤外光の発光状態になるごとに赤外光信号212を生成してもよい。脈波信号生成部210は、赤色光信号211及び赤外光信号212をローパスフィルタ220に出力する。さらに、脈波信号生成部210は、赤外光信号212を制御部130に出力してもよい。脈波信号生成部210は、脈波信号の信号値を対数変換したり、脈波信号の振幅値を正規化したりしてもよい。
ローパスフィルタ220は、脈波信号に含まれる高周波ノイズを除去するためのフィルタである。ローパスフィルタ220で除去される高周波ノイズは、商用電源に由来するノイズであってもよく、例えば商用電源の周波数(50Hz又は60Hz)以上のノイズであってもよい。ローパスフィルタ220は、赤色光信号211をフィルタリングすることによって、赤色光信号221を生成する。ローパスフィルタ220は、赤外光信号212をフィルタリングすることによって、赤外光信号222を生成する。ローパスフィルタ220は、生成した赤色光信号221及び赤外光信号222を制御部130に出力する。ローパスフィルタ220は、例えば脈波信号の移動平均をとることによって脈波信号のフィルタリングを行ってもよい。
制御部130は、赤色光信号221及び赤外光信号222に公知の方法を適用して、例えば脈拍数やSpO2などの生体情報を取得(算出)することができる。例えば、制御部130は、まず、赤色光信号221及び赤外光信号222を所定の条件で1拍区間ずつ切り出す。そして制御部130は、1拍区間ごとに少なくとも一方の信号についてピーク値(振幅値が正の区間における最大値)とその位置、及びボトム値(振幅値が負の区間における最小値)とその位置をそれぞれ検出する。
制御部130は、隣接する2拍区間におけるピーク(又はボトム)位置の時間差を1拍の周期として、瞬時脈拍数(回/分)を算出する。また、制御部130は、赤色光信号221及び赤外光信号222の最大振幅値を、ピーク値とボトム値との差によって算出し、比R=赤色光信号221の最大振幅値/赤外光信号222の最大振幅値を算出する。制御部130は例えばROMに予め記憶されている、比RをSpO2に換算するテーブルを参照することにより、1拍ごとのSpO2を求めることができる。なお、脈拍数やSpO2は、連続する所定拍数分の移動平均値を求め、表示には移動平均値を用いてもよい。
図3のフロー図を参照して、センサ部110がユーザから外れているかどうかを判定するための方法例について説明する。図3の方法の各工程は、ROMに記憶されたプログラムをプログラマブルプロセッサがRAMに読み込んで実行することによって行われてもよい。これに代えて、図3の方法の一部又は全部の工程は、プログラマブルロジックアレイなどのハードウェア回路によって実行されてもよい。
S301で、制御部130は、赤外光信号212及び赤外光信号222を取得し、後続の処理のために記憶する。これらの信号は、RAMに記憶されてもよいし、記憶部150に記憶されてもよい。
S302で、制御部130は、記憶されている赤外光信号212及び赤外光信号222を使用して、ノイズ指標、脈波指標及び直流指標を取得する。ノイズ指標とは、脈波信号のノイズ成分を表す指標のことである。制御部130は、赤外光信号212(すなわち、赤外光について得られたフィルタリング前の脈波信号)を使用してノイズ指標を取得してもよいし、赤外光信号222(すなわち、赤外光について得られたフィルタリング後の脈波信号)を使用してノイズ指標を取得してもよい。ノイズ指標は、商用電源に由来するノイズ成分を表してもよく、例えば商用電源の周波数(50Hz又は60Hz)以上の成分であってもよい。
脈波指標とは、脈波信号の脈波成分を表す指標のことである。制御部130は、赤外光信号212を使用して脈波指標を取得してもよいし、赤外光信号222を使用して脈波指標を取得してもよい。直流指標とは、脈波信号の直流成分を表す指標のことである。制御部130は、赤外光信号212を使用して直流指標を取得してもよいし、赤外光信号222を使用して直流指標を取得してもよい。
図4のグラフを参照して、ノイズ指標、脈波指標及び直流指標の取得方法の具体例について説明する。図4(a)は、横軸に時刻を取り、センサ部110がユーザから外れていない状態で各時刻に取得された赤外光信号212の値を縦軸に取ったグラフである。図4(b)及び(c)は、横軸に時刻を取り、センサ部110がユーザから外れていない状態で各時刻に取得された赤外光信号222の値を縦軸に取ったグラフである。赤外光信号222は、赤外光信号212にローパスフィルタを適用して得られる信号であるため、図4(b)及び(c)のグラフは図4(a)のグラフよりも滑らかである。
図4(a)に示されるように、ノイズ指標は、赤外光信号212の期間401における範囲402に基づく値であってもよい。範囲(レンジ)とは、統計解析で使用される用語であり、観測値の最大値と最小値との差を表す。すなわち、範囲402は、期間401における赤外光信号212の最大値と最小値との差を表す。
期間401は、高周波ノイズ(例えば、周波数50Hz又は60Hzである電源ノイズ)を1周期分以上含む長さであってもよい。期間401が短すぎると高周波ノイズを1周期分含むことができない。一方、期間401が長すぎると脈波成分を含んでしまう。そこで、例えば、期間401は、20m秒以上かつ100m秒以下の長さであってもよい。
期間401の末尾は、現在時刻Tc(すなわち、S302の実行時点)であってもよいし、これよりも前の時刻であってもよい。期間401の末尾が現在時刻Tcに近いほど後述のS304及びS305の判定精度が向上する。ノイズ指標は、範囲402自体であってもよいし、範囲402に基づいて得られる他の値(例えば、範囲402の二乗や2倍など)であってもよい。
ノイズ指標は、複数の期間401における赤外光信号212の範囲402の平均値に基づく値であってもよい。平均値に基づく値は、平均値自体であってもよいし、平均値に基づいて得られる他の値であってもよい。複数の期間401は連続した期間であってもよい。複数の期間401のそれぞれは同じ長さであってもよい。例えば、制御部130は、現在時刻Tcからn秒前(例えば、1≦n≦6)の期間を分割することによって複数の期間を規定し、複数の期間のそれぞれについての赤外光信号212の範囲402の平均値をノイズ指標としてもよい。
図4(b)に示されるように、脈波指標は、赤外光信号222の期間411における範囲412に基づく値であってもよい。範囲412は、期間411における赤外光信号222の最大値と最小値との差を表す。
期間411は、脈波を1周期分以上含む長さであってもよい。期間411が短すぎると脈波を1周期分含むことができない。一方、期間411が長すぎると応答性が低下する恐れがある。そこで、例えば、期間411は、3秒以上かつ10秒以下の長さであってもよい。期間411は期間401よりも長い。
期間411の末尾は、現在時刻Tc(すなわち、S302の実行時点)であってもよいし、これよりも前の時刻であってもよい。期間411の末尾が現在時刻Tcに近いほど後述のS304及びS305の判定精度が向上する。脈波指標は、範囲412自体であってもよいし、範囲412に基づいて得られる他の値(例えば、範囲412の二乗や2倍など)であってもよい。
図4(b)に示される例では、制御部130は、ローパスフィルタを適用した後の赤外光信号222を使用して脈波指標を取得する。これによって、脈波指標がノイズ成分から受ける影響が軽減される。これに代えて、制御部130は、赤外光信号222の代わりに、ローパスフィルタを適用する前の赤外光信号212を使用して脈波指標を取得してもよい。
図4(c)に示されるように、直流指標は、赤外光信号222の期間421における代表値422に基づく値であってもよい。代表値422は、図4(c)の例で示されるように最小値であってもよいし、これに代えて最大値、平均値、中央値などであってもよい。
期間421は、どのような長さであってもよい。期間421が長すぎると応答性が低下する恐れがある。そこで、例えば、期間421は、250m秒以上かつ10秒以下の長さであってもよい。期間421は期間401よりも長い。
期間421の末尾は、現在時刻Tc(すなわち、S302の実行時点)であってもよいし、これよりも前の時刻であってもよい。期間421の末尾が現在時刻Tcに近いほど後述のS304及びS305の判定精度が向上する。直流指標は、代表値422自体であってもよいし、代表値422に基づいて得られる他の値(例えば、代表値422の二乗や2倍など)であってもよい。
図4(c)に示される例では、制御部130は、ローパスフィルタを適用した後の赤外光信号222を使用して直流指標を取得する。これによって、直流指標がノイズ成分から受ける影響が軽減される。これに代えて、制御部130は、赤外光信号222の代わりに、ローパスフィルタを適用する前の赤外光信号212を使用して直流指標を取得してもよい。
S303で、制御部130は、ノイズ指標、脈波指標及び直流指標が検出条件を満たすかどうかを判定する。検出条件とは、センサ部110がユーザから外れていることを検出するための条件である。制御部130は、ノイズ指標、脈波指標及び直流指標が検出条件を満たすと判定した場合(S303で「YES」)に、S304に処理を遷移し、センサ部110がユーザから外れている(すなわち、装着されていない)と判定する。制御部130は、ノイズ指標、脈波指標及び直流指標が検出条件を満たさないと判定した場合(S303で「NO」)に、S305に処理を遷移し、センサ部110がユーザから外れていない(すなわち、装着されている)と判定する。
検出条件について具体的に説明する。検出条件は、例えば、脈波指標に対するノイズ指標の比率と、直流指標に対するノイズ指標の比率とに基づく条件であってもよい。以下の説明において、脈波指標に対するノイズ指標の比率(すなわち、ノイズ指標を脈波指標で割った値)を対脈波比率と表す。直流指標に対するノイズ指標の比率(すなわち、ノイズ指標を直流指標で割った値)を対直流比率と表す。
図5のグラフを参照して、センサ部110がユーザから外れている状態におけるノイズ指標、脈波指標及び直流指標について説明する。図5(a)は、横軸に時刻を取り、センサ部110がユーザから外れている状態で各時刻に取得された赤外光信号212の値を縦軸に取ったグラフである。図5(b)及び(c)は、横軸に時刻を取り、センサ部110がユーザから外れている状態で各時刻に取得された赤外光信号222の値を縦軸に取ったグラフである。
図5(a)に示されるように、センサ部110がユーザから外れている状態において、ノイズ指標は、赤外光信号212の期間401における範囲501に基づく値であってもよい。センサ部110がユーザから外れている状態における範囲501は、センサ部110がユーザから外れていない状態における範囲402と同様の大きさとなりうる。
図5(b)に示されるように、センサ部110がユーザから外れている状態において、脈波指標は、赤外光信号222の期間411における範囲511に基づく値であってもよい。センサ部110がユーザから外れている状態における範囲511は、センサ部110がユーザから外れていない状態における範囲412よりも有意に小さい値となりうる。したがって、対脈波比率は、センサ部110がユーザから外れることによって有意に大きくなりうる。そこで、検出条件は、対脈波比率が所定の閾値よりも大きいことを含んでもよい。この閾値は例えば計測装置100のメーカによって事前に決定され、図3の動作の開始前に記憶部150等に記憶されてもよい。
図5(c)に示されるように、センサ部110がユーザから外れている状態において、直流指標は、赤外光信号222の期間421における代表値521に基づく値であってもよい。センサ部110がユーザから外れている状態における代表値521は、センサ部110がユーザから外れていない状態における代表値422よりも有意に小さい値となりうる。したがって、対直流比率は、センサ部110がユーザから外れることによって有意に大きくなりうる。そこで、検出条件は、対直流比率が所定の閾値よりも大きいことを含んでもよい。この閾値は例えば計測装置100のメーカによって事前に決定され、図3の動作の開始前に記憶部150等に記憶されてもよい。対脈波比率に対して使用される閾値と、対直流比率に対して使用される閾値とは互いに異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
制御部130は、対脈波比率に関する条件(例えば、対脈波比率が閾値よりも大きいこと)と、対直流比率に関する条件(例えば、対直流比率が閾値よりも大きいこと)とを組み合わせて使用してもよい。例えば、検出条件は、対脈波比率に関する条件と、対直流比率に関する条件との少なくとも一方を満たすことであってもよい。これによって、どちらか一方の条件が満たされない場合であっても、他方の条件が満たされれば、制御部130は、センサ部110がユーザから外れていることを検出できる。
検出条件は、対脈波比率及び対直流比率から得られる値が所定の条件を満たすことを含んでもよい。例えば、検出条件は、対脈波比率と対直流比率との積が所定の閾値よりも大きいことを含んでもよい。この場合に、対脈波比率と対直流比率との一方が有意に変化しなくても、対脈波比率と対直流比率との他方が有意に大きくなれば、検出条件が満たされる。
S306で、制御部130は、S304及びS305における判定結果を記憶する。判定結果は、記憶部150に記憶されてもよい。例えば、制御部130は、判定を行った日時とともに、判定結果(すなわち、センサ部110がユーザから外れているか外れていないか)を記憶してもよい。これに代えて、制御部130は、センサ部110の装着状態が変化した日時(例えば、それまでの判定ではセンサ部110がユーザから外れておらず、新たな判定でセンサ部110がユーザから外れていた日時)を記憶してもよい。
S307で、制御部130は、図3の処理を終了するかどうかを判定する。制御部130は、図3の処理を終了すると判定された場合(S307で「YES」)に処理を終了し、それ以外の場合(S307で「NO」)に処理をS301に戻し、S301~S307を繰り返す。例えば、制御部130は、ユーザからの指示に応じて又はタイマーが満了したことに応じて、図3の処理を終了すると判定してもよい。
上述の方法によれば、計測装置100は、追加のセンサを必要とせず、生体信号を計測するために使用される受光部113から得られた信号を用いてセンサ部110がユーザから外れているかどうかを判定できる。また、計測装置100は、対脈波比率及び対直流比率を使用することによって、センサ部110がユーザから外れているかどうかを精度よく判定できる。
上述の例では、制御部130は、赤外光信号212及び222を用いてセンサ部110がユーザから外れているかどうかを判定する。これに代えて又はこれに加えて、制御部130は、赤色光信号211及び221を用いてセンサ部110がユーザから外れているかどうかを判定してもよい。一般に、赤色光に比べて赤外光の方が血中酸素濃度のばらつきに影響を受けにくいため、赤外光信号212及び222を用いた方が高い判定精度を得られる。
本発明に係る生体信号計測装置は、一般的に入手可能な、パーソナルコンピュータのような汎用情報処理装置に、上述した駆動部120、制御部130及び信号処理部140の動作を実現させるプログラム(アプリケーションソフトウェア)として実現することもできる。従って、このようなプログラムおよび、プログラムを格納した記憶媒体(CD-ROM、DVD-ROM等の光学記憶媒体や、磁気ディスクのような磁気記憶媒体、半導体メモリカードなど)もまた本発明を構成する。駆動部120、制御部130及び信号処理部140の一部又は全部は、プログラムとして実現される代わりに、専用回路によって実現されてもよい。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
110…センサ部、111…赤色光発光部、112…赤外光発光部、113…受光部、120…駆動部、130…制御部、140…信号処理部
Claims (10)
- ユーザの生体信号を測定するための生体信号計測装置であって、
前記ユーザに装着されるセンサ部であって、前記ユーザの生体組織に光を照射する発光部と、前記光の反射光又は透過光の光量に応じた信号を生成する受光部とを含むセンサ部と、
前記受光部によって生成された信号に基づいて脈波信号を生成する信号生成手段と、
前記脈波信号のノイズ成分を表すノイズ指標と、前記脈波信号の脈波成分を表す脈波指標と、前記脈波信号の直流成分を表す直流指標とを取得する取得手段と、
前記脈波指標に対する前記ノイズ指標の第1の比率と、前記直流指標に対する前記ノイズ指標の第2の比率とが検出条件を満たす場合に、前記センサ部が前記ユーザから外れていると判定する判定手段と、を備える生体信号計測装置。 - 前記検出条件は、前記第1の比率に関する条件と、前記第2の比率に関する条件との少なくとも一方を満たすことを含む、請求項1に記載の生体信号計測装置。
- 前記第1の比率に関する前記条件は、前記第1の比率が第1の閾値よりも大きいことを含み、前記第2の比率に関する前記条件は、前記第2の比率が第2の閾値よりも大きいことを含む、請求項2に記載の生体信号計測装置。
- 前記ノイズ指標は、前記脈波信号の第1の期間における範囲に基づく値であり、
前記脈波指標は、前記脈波信号又は前記脈波信号から得られる信号の、前記第1の期間よりも長い第2の期間における範囲に基づく値であり、
前記直流指標は、前記脈波信号又は前記脈波信号から得られる信号の第3の期間における代表値に基づく値である、請求項1に記載の生体信号計測装置。 - 前記脈波指標は、前記脈波信号にローパスフィルタを適用して得られる信号の前記第2の期間における範囲に基づく値であり、
前記直流指標は、前記脈波信号にローパスフィルタを適用して得られる信号の前記第3の期間における最小値に基づく値である、請求項4に記載の生体信号計測装置。 - 前記ノイズ指標は、複数の前記第1の期間における前記脈波信号の範囲の平均値に基づく値である、請求項4に記載の生体信号計測装置。
- 前記第1の期間は、20m秒以上かつ100m秒以下の長さであり、
前記第2の期間は、3秒以上かつ10秒以下の長さであり、
前記第3の期間は、250m秒以上かつ10秒以下の長さである、請求項4に記載の生体信号計測装置。 - 前記取得手段は、前記ユーザの生体組織に照射された赤外光の反射光又は透過光の光量に基づいて生成された脈波信号から、前記ノイズ指標、前記脈波指標及び前記直流指標を取得する、請求項1に記載の生体信号計測装置。
- ユーザの生体組織に光を照射する発光部と、前記光の反射光又は透過光の光量に応じた信号を生成する受光部とを含むセンサ部が前記ユーザから外れているかどうかを判定する方法であって、
前記受光部によって生成された信号に基づいて脈波信号を生成する信号生成工程と、
前記脈波信号のノイズ成分を表すノイズ指標と、前記脈波信号の脈波成分を表す脈波指標と、前記脈波信号の直流成分を表す直流指標とを取得する取得工程と、
前記脈波指標に対する前記ノイズ指標の第1の比率と、前記直流指標に対する前記ノイズ指標の第2の比率とが検出条件を満たす場合に、前記センサ部が前記ユーザから外れていると判定する判定工程と、を有する方法。 - コンピュータを、請求項1乃至8の何れか1項に記載の生体信号計測装置の少なくとも判定手段として機能させるためのプログラム。
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