JP2024067452A - 保持用治具、保持用治具の製造方法、及び被加工物の研削方法 - Google Patents

保持用治具、保持用治具の製造方法、及び被加工物の研削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保持用治具で支持され研削された被加工物の被支持面に形成される凸形状を抑制する。【解決手段】該チャックテーブルと、円板状または円環状の研削ホイールを備えた研削ユニットと、該チャックテーブル及び該研削ユニットを相対的に接近及び離隔させる研削送りユニットと、を備えた研削装置において、円板状の被加工物を該チャックテーブルで保持する際に該被加工物と該チャックテーブルとの間に介在させる板状の保持用治具であって、第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、該第1面と該第2面とを接続する外周面と、を有し、該第1面の中央領域から該第2面の中央領域に到達する変質層が形成されおり、該被加工物と主成分の材料が同じである。【選択図】図1

Description

本発明は、円板状の被加工物をチャックテーブルで保持する際に使用される保持用治具、該保持用治具の製造方法、及びこの保持用治具を使用して被加工物を研削する被加工物の研削方法に関する。
小型で軽量なデバイスチップを実現するために、集積回路をはじめとする複数のデバイスが表面に設けられた円板状のウェーハを薄く加工する機会が増えている。例えば、ウェーハの表面側をチャックテーブルで保持し、研削ホイールと呼ばれる工具とチャックテーブルとをともに回転させ、純水等の液体を供給しながらウェーハの裏面に研削ホイールを押し当てることで、このウェーハを研削して薄くできる。
ところで、製品となる複数のデバイスチップの厚みを均一化するためには、研削後のウェーハの厚みがウェーハの全体で概ね一定になるように、ウェーハを十分に高い精度で研削する必要がある。この課題に対して、近年では、被加工物と同じ材質の保持用治具(基板)を介して被加工物をチャックテーブルで保持しながら研削する研削方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
被加工物と同じ材質の基板をチャックテーブルで保持して研削すると、研削後の基板の被研削面の形状は、被加工物を直にチャックテーブルで保持して同じ条件で研削する場合の研削後の被加工物の被研削面の形状に概ね等しくなる。よって、研削後の基板の被研削面に被加工物を密着させて、この基板を介して被加工物をチャックテーブルで保持しながら研削すれば、研削後の被加工物の被研削面の形状と、被研削面とは反対側の面(基板の被研削面に密着させた面)の形状と、を概ね等しくできる。
このように、上述の研削方法によれば、被加工物の被研削面と、被研削面とは反対側の面と、の距離を被加工物の全体で概ね一定にできる。つまり、被加工物の厚みを、被加工物の全体で概ね一定にできる。なお、保持用治具として使用される基板には、チャックテーブルの吸引力を被加工物に対して作用できるように、基板を厚みの方向に貫通する複数の孔が設けられている。
また、基板に簡易的に貫通孔を形成する方法として、基板の表面側及び裏面側にそれぞれ互いに交差する直線状の溝を形成し、両溝の深さの和を基板の厚み以上とすることで両溝が交差する位置に貫通孔を設けることが知られている(特許文献2参照)。この方法でも保持用治具を形成できる。
特開2019-111634号公報 特開2004-356357号公報
チャックテーブル上で被加工物を支持する保持用治具の上面には、溝が露出する。そのため、溝の周囲では被加工物が保持用治具に支持される一方で、溝と重なる位置において被加工物は支持されず浮いた状態となる。
この状態で研削ホイールを下降させ、研削ホイールの下面側に設けられた研削砥石を被加工物の上面に押し当てて被加工物を研削すると、被加工物が部分的に溝に押し込まれて僅かに突出するようになる。この場合、被加工物の被研削面とは反対側の被支持面に、保持用治具の溝の痕跡である微小な凸部が残る。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物に吸引力を伝えつつ、被加工物の被支持面に微小な凸部を生じさせない保持用治具、該保持用治具の製造方法、及びこの保持用治具を使用して被加工物を研削する被加工物の研削方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、被加工物をチャックテーブルで保持する際に該被加工物と該チャックテーブルとの間に介在させる板状の保持用治具であって、第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、該第1面と該第2面とを接続する外周面と、を有し、該第1面の中央領域から該第2面の中央領域に到達する変質層が形成されていることを特徴とする保持用治具が提供される。
本発明の他の一態様によれば、チャックテーブルと、円板状または円環状の研削ホイールを備えた研削ユニットと、該チャックテーブル及び該研削ユニットを相対的に接近及び離隔させる研削送りユニットと、を備えた研削装置において、円板状の被加工物を該チャックテーブルで保持する際に該被加工物と該チャックテーブルとの間に介在させる板状の保持用治具であって、第1面と、該第1面とは反対側の第2面と、該第1面と該第2面とを接続する外周面と、を有し、該第1面の中央領域から該第2面の中央領域に到達する変質層が形成されおり、該被加工物と主成分の材料が同じであることを特徴とする保持用治具が提供される。
好ましくは、該変質層は、該第1面に沿った直線状に形成されている部分と、該第1面に沿った円形に形成されている部分と、の一方または両方を有する。
また、本発明の他の一態様によれば、上述の保持用治具の製造方法であって、基板を準備する準備ステップと、該基板を透過する波長成分を有するレーザービームを該基板に集光して該変質層を該基板に形成することで該保持用治具を製造するレーザー加工ステップと、を含むことを特徴とする保持用治具の製造方法が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、上述の保持用治具を使用して該被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、該保持用治具の該第2面側を該チャックテーブルに接触させることにより、該保持用治具を該チャックテーブルで支持する治具支持ステップと、該被加工物を該保持用治具の該第1面に載せ、該保持用治具を介して該被加工物を該チャックテーブルで吸引することにより、該被加工物を該チャックテーブルで吸引保持する被加工物保持ステップと、該チャックテーブルのテーブル回転軸の周りの回転と、該研削ホイールのホイール回転軸の周りの回転と、を開始し、該研削送りユニットを作動させることで該チャックテーブル及び該研削ユニットが相対的に接近するように移動する研削送りを開始し、該保持用治具を介して該チャックテーブルで保持された該被加工物を該研削ホイールで研削する被加工物研削ステップと、を含むことを特徴とする被加工物の研削方法が提供される。
好ましくは、該治具支持ステップの後、且つ該被加工物保持ステップの前に、該保持用治具を該研削ホイールで研削する治具研削ステップを更に備える。
保持用治具には、第1面から第2面に到達する変質層が形成されている。この変質層は、僅かな隙間を有しており、第1面から第2面に負圧を伝える吸引路として機能できる。そして、第1面及び第2面に露出する変質層の幅は極めて小さいため、保持用治具を介して被加工物をチャックテーブルで吸引保持して被加工物を研削したとき、被加工物が変質層にほぼ落ち込まない。そのため、被加工物の被支持面には微小な凸部が生じにくい。
したがって、本発明の一態様により、被加工物に吸引力を伝えつつ、被加工物の被支持面に微小な凸部を生じさせない保持用治具、該保持用治具の製造方法、及びこの保持用治具を使用して被加工物を研削する被加工物の研削方法が提供される。
図1(A)は、保持用治具の一例を模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、保持用治具の他の一例を模式的に示す斜視図である。 保持用治具のさらに他の一例を模式的に示す平面図である。 レーザー加工装置を模式的に示す斜視図である。 基板に変質層を形成して保持用治具を製造する様子を模式的に示す断面図である。 チャックテーブルに支持された保持用治具を模式的に示す断面図である。 保持用治具を研削する様子を模式的に示す斜視図である。 保持用治具を研削する様子を模式的に示す断面図である。 保持用治具を介してチャックテーブルで吸引保持された被加工物を模式的に示す斜視図である。 被加工物を研削する様子を模式的に示す斜視図である。 被加工物を研削する様子を模式的に示す断面図である。 図11(A)は、保持用治具の製造方法の各ステップの流れを示すフローチャートであり、図11(B)は、保持用治具を利用した被加工物の研削方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る保持用治具は、主に研削装置で使用される。図6には、保持用治具11が使用される研削装置60が模式的に示されている。
研削装置60は、被加工物を吸引保持するチャックテーブル62と、円板状または円環状の研削ホイール80を備えた研削ユニット70と、を備える。さらに、研削装置60は、チャックテーブル62及び研削ユニット70を相対的に接近及び離隔させる研削送りユニット(不図示)を備える。本実施形態に係る保持用治具11は、例えば、円板状の被加工物をチャックテーブル62で保持する際に被加工物とチャックテーブル62との間に介在させることで使用される。
図1(A)は、一例に係る保持用治具11,11aを模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、他の一例に係る保持用治具11,11bを模式的に示す斜視図であり、図2は、さらに他の一例に係る保持用治具11,11cを模式的に示す平面図である。
なお、図1(A)、図1(B)、及び図2では、説明の便宜上、保持用治具11,11a,11b,11cを構成する各要素が簡略化されている。つまり、各図に示される各要素の形状、大きさ、数量、配置等は、あくまでも説明を目的とした一例に過ぎず、本実施形態に係る保持用治具11,11a,11b,11cを何ら限定しない。
本実施形態に係る保持用治具11は、例えば、半導体ウェーハ等の被加工物を研削する研削装置60において、研削装置60が備えるチャックテーブル62で被加工物を吸引保持する際に使用される。より具体的には、チャックテーブル62の上に保持用治具11を載せ、保持用治具11の上に被加工物を載せる。保持用治具11は上下方向に沿って負圧(吸引力)を伝達でき、チャックテーブル62は保持用治具11を介して被加工物を吸引保持できる。
後述の通り、保持用治具11の上面は、研削装置60において被加工物よりも先に研削される。保持用治具11は、研削装置60における研削のされやすさが被加工物と同等であることが好ましい。そこで、保持用治具11は、研削装置60で研削される被加工物と主成分となる材料が同じであることが好ましい。
例えば、研削装置60において被加工物としてシリコンウエーハの研削が予定されている場合、保持用治具11にはシリコンを主成分とする円板が使用されることが好ましく、シリコンウエーハが使用されることがより好ましい。ただし、保持用治具11の材料には被加工物とは異なる材料が使用されてもよい。保持用治具11には、例えば、シリコン(Si)、SiC(シリコンカーバイド)等の結晶性の半導体材料が使用されてもよく、ガラス等の非晶質材料が使用されてもよい。
図1(A)及び図1(B)に示すように、保持用治具11は、円形状の第1面13と、第1面13とは反対側の円形状の第2面15と、第1面13の外縁と第2面15の外縁とを接続する外周面23と、を有する円板状に形成されている。この保持用治具11は、半導体ウェーハに代表される円板状の被加工物をチャックテーブル62で保持する際に使用されるため、対象の被加工物の直径と同等以上の直径に構成されるとよい。
ただし、対象の被加工物の直径に対して、保持用治具11の直径が大きくなり過ぎると、対象の被加工物と同様に保持用治具11を研削できなくなる。よって、保持用治具11の直径が対象の被加工物の直径の1.00倍~1.15倍となるように、保持用治具11の直径を決定することが望ましい。保持用治具11の厚み(第1面13と第2面15との距離)は、例えば、0.2mm~5.0mm、代表的には、0.7mmである。
保持用治具11には、第1面13の中央領域から第2面15の中央領域に到達する変質層17が形成されている。ここで、各面の中央領域とは、外周面23に接しない領域、または、外周面23から離れた領域をいい、各面の中心を含む領域である。
各図では、表面に露出した変質層17が破線により模式的に示されているが、変質層17の形状はこれに限定されない。変質層17の性質及び形成方法については後述する。図1(A)、図1(B)、及び図2に示す各保持用治具11では、主に変質層17の形状や配置が互いに異なる。
図1(A)に示す保持用治具11aにおいて、変質層17aは、第1面13a及び第2面15aに平行な平面における形状が直線状となる複数の部分により構成される。すなわち、変質層17aは互いに交差する複数の直線状部分により構成される。ただし、変質層17aは外周面23aには到達しない。
また、図1(B)に示す保持用治具11bにおいて、変質層17bは、第1面13b及び第2面15bに平行な平面における形状が円形となる複数の部分により構成される。すなわち、変質層17bは互いに径の異なる複数の円状部分により構成される。そして、各円状部分の中心は、第1面13b(第2面15b)の中心に位置付けられている。また、変質層17bは外周面23bには到達しない。
さらに、図2に示す保持用治具11cにおいて変質層17は、第1面13c及び第2面に平行な平面において円状の変質層17cと、同平面において直線状の変質層17dと、の組み合わせにより構成される。そして、図2に示す保持用治具11cにおいても、変質層17c,17dは外周面23cに到達しない。
このように、本実施形態に係る保持用治具11において、変質層17は、第1面13に沿った直線状に形成されている部分と、第1面13に沿った円形に形成されている部分と、の一方または両方を有する。
次に、本実施形態に係る保持用治具11の製造方法について説明する。図11(A)は、本実施形態に係る保持用治具11の製造方法の各ステップの流れを説明するフローチャートである。
本実施形態に係る保持用治具11の製造方法では、まず、保持用治具11の原料となる基板を準備する準備ステップS10を実施する。準備ステップS10では、例えば、製造された保持用治具11を介してチャックテーブル62(図6等参照)に保持される被加工物と主成分が同じ材料であるシリコンウエーハが基板として準備される。ただし、準備ステップS10で準備される基板はこれに限定されない。
なお、準備ステップS10では、例えば、デバイスチップの形成過程でいずれかの工程が適切に実施されず、デバイスチップの製造工程から排除された被加工物を再生することで基板が準備されてもよい。例えば、準備ステップS10では、被加工物の表面にデバイス等が形成されていた場合、この表面を研削装置60で研削してデバイスを除去することで基板が準備されてもよい。
本実施形態に係る保持用治具の製造方法では、次に、基板を透過する波長成分を有するレーザービームを該基板に集光して変質層17を基板に形成することで保持用治具11を製造するレーザー加工ステップS20を実施する。基板のレーザー加工は、レーザー加工装置で実施される。次に、レーザー加工装置2について説明する。
図3は、基板のレーザー加工に使用されるレーザー加工装置2を模式的に示す斜視図である。なお、図3に示されるX軸方向及びY軸方向は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(鉛直方向)である。
レーザー加工装置2は、各構成要素を支持する基台4を有する。基台4の上面には、X軸Y軸移動機構6が設けられている。X軸Y軸移動機構6は、基台4の上面に固定され、且つ、Y軸方向に沿って配置された一対のY軸ガイドレール8を有する。
一対のY軸ガイドレール8の上面側には、一対のY軸ガイドレール8に沿ってスライド可能な態様でY軸移動板10が取り付けられている。Y軸移動板10の下面側には、ボールねじが設けられている。
ボールねじは、Y軸移動板10の下面に固定されたナット部(不図示)を有する。ナット部には、ねじ軸12がボール(不図示)を利用して回転可能に連結されている。ねじ軸12は、Y軸方向に沿って、一対のY軸ガイドレール8の間に配置されている。
ねじ軸12の一端部には、ねじ軸12を回転させるためのモータ14が連結されている。モータ14を動作させると、Y軸移動板10は、Y軸方向に沿って移動する。一対のY軸ガイドレール8、Y軸移動板10、ねじ軸12、ナット部、モータ14等は、Y軸移動機構を構成する。
Y軸移動板10の上面には、一対のX軸ガイドレール16が固定されている。一対のX軸ガイドレール16は、X軸方向に沿って配置されている。一対のX軸ガイドレール16の上面側には、一対のX軸ガイドレール16に沿ってスライド可能な態様でX軸移動板18が取り付けられている。
X軸移動板18の下面側には、ボールねじが設けられている。ボールねじは、X軸移動板18の下面に固定されたナット部(不図示)を有する。ナット部には、ねじ軸20がボール(不図示)を利用して回転可能に連結されている。
ねじ軸20は、X軸方向に沿って、一対のX軸ガイドレール16の間に配置されている。ねじ軸20の一端部には、ねじ軸20を回転させるためのモータ22が連結されている。モータ22を動作させると、X軸移動板18はX軸方向に沿って移動する。
一対のX軸ガイドレール16、X軸移動板18、ねじ軸20、ナット部、モータ22等は、X軸移動機構を構成する。X軸移動板18の上面側には、円柱状のテーブル基台24が設けられている。テーブル基台24は、モータ等の回転駆動源(不図示)を有する。
テーブル基台24の頂部には、円板状のチャックテーブル26が配置されている。回転駆動源は、チャックテーブル26を、その保持面26aの中心を通り、且つ、Z軸方向に平行な直線を回転軸として所定の角度範囲で回転させることができる。チャックテーブル26は、非多孔質の金属で形成された円板状の枠体を有する。
枠体の中央部には円板状の凹部(不図示)が形成されている。この凹部には、セラミックスで形成された円板状の多孔質板が固定されていている。枠体には、所定の流路(不図示)が形成されている。所定の流路を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)から多孔質板の上面には、負圧が伝達される。
枠体の環状の上面と、多孔質板の円形の上面とは、略面一となっており、基板を吸引保持するための略平坦な保持面26aとして機能する。基板は、保持面26aで吸引保持された状態で、X軸Y軸移動機構6によりX軸及びY軸方向のいずれに沿っても移動可能である。
チャックテーブル26の外周部には、チャックテーブル26の周方向に沿って略等間隔に複数(本実施形態では、4つ)のクランプユニット26bが設けられている。各クランプユニット26bは、後述するリングフレームを挟持する。
X軸Y軸移動機構6の後方に位置する基台4の所定の領域上には、支持構造30が設けられている。支持構造30のY‐Z平面に沿う一側面には、Z軸移動機構32が設けられている。Z軸移動機構32は、一対のZ軸ガイドレール34を有する。
一対のZ軸ガイドレール34は、支持構造30の一側面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って配置されている。一対のZ軸ガイドレール34には、一対のZ軸ガイドレール34に沿ってスライド可能な態様でZ軸移動板36が取り付けられている。
Z軸移動板36の裏面側には、ボールねじ(不図示)が設けられている。ボールねじは、Z軸移動板36の裏面に固定されたナット部(不図示)を有する。ナット部には、ねじ軸(不図示)がボールを利用して回転可能に連結されている。
ねじ軸は、Z軸方向に沿って、一対のZ軸ガイドレール34の間に配置されている。ねじ軸の上端部には、ねじ軸を回転させるためのモータ38が連結されている。モータ38を動作させると、Z軸移動板36は、Z軸方向に沿って移動する。
Z軸移動板36の表面側には、支持具40が固定されている。支持具40は、レーザービーム照射ユニット42の一部を支持する。レーザービーム照射ユニット42は、基台4に対して固定されたレーザー発振器(不図示)を有する。レーザー発振器は、例えば、レーザー媒質としてNd:YVOまたはNd:YAG等を有し、基板を透過する波長(例えば、1342nm、1064nm)を有するパルス状のレーザービームを出射する。
レーザー発振器を出発したレーザービームは、レーザービーム照射ユニット42の内部の光路を進行し照射ヘッド52へと導かれる。照射ヘッド52には、レーザービームを集光する集光レンズ(不図示)等が収容されている。
照射ヘッド52は、レーザー加工時に、保持面26aと対面する様に配置され、レーザービームは、保持面26aへ出射される。なお、照射ヘッド52は、長手部がY軸方向に沿って配置された円柱状のハウジング54の前端部に設けられている。
ハウジング54は、その後端部側の一部が支持具40で固定されている。更に、照射ヘッド52近傍に位置するハウジング54の側面には、保持面26aと対面可能な態様で撮像ユニット56が固定されている。照射ヘッド52、ハウジング54、撮像ユニット56等は、Z軸移動機構32により、一体的にZ軸方向に沿って移動可能である。
撮像ユニット56は、例えば、対物レンズと、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、を有する可視光カメラユニットである。可視光カメラユニットの場合、撮像素子として例えばSi(シリコン)製のフォトダイオードが使用される。なお、撮像ユニット56は、LED等の光源と撮像素子とを有する赤外線カメラユニットであってもよい。
図4は、レーザー加工ステップS20を実施しているときの基板19を模式的に示す断面図である。レーザー加工ステップS20では、まず、基板19をチャックテーブル26に載置する。その後、チャックテーブル26で基板19を吸引保持する。
ここで、基板19の向きに特に制限はない。図4には、表面19aが上方に向けられ、裏面19bが下方に向けられた基板19を模式的に示す断面図が示されている。そして、基板19がレーザー加工されたとき、基板19が保持用治具11となり、表面19aが第1面13aとなり、裏面19bが第2面15aとなる。ただし、基板19の向きはこれに限定されない。そもそも、基板19の表面19a及び裏面19bには構造的な差異がない場合があり、互いに区別されない場合がある。
なお、基板19の裏面19b側には、基板19を保護するための保護テープ等が予め貼着されてもよい。この保護テープは、基板19の径よりも大きな径で基板19に配設されてもよく、保護テープの外周部がリングフレームに貼られてもよい。この場合、リングフレームはチャックテーブル26のクランプユニット26bにより固定される。なお、図4に示す断面図では、裏面19bに貼着された保護テープやリングフレーム等は省略されている。
レーザー加工ステップS20では、次に、レーザービーム照射ユニット42と、チャックテーブル26と、をZ軸方向に沿って相対的に昇降させる。これにより、照射ヘッド52から基板19に照射されるレーザービーム52aの集光点である集光点52bの高さを調整する。この集光点52bの高さについては、後述する。
次に、レーザービーム照射ユニット42の照射ヘッド52と、チャックテーブル26と、をX軸方向及びY軸方向を含む水平面に沿って相対的に移動させることで、集光点52b及び基板19を表面19a(後の第1面13a)に沿って相対的に移動させる。すなわち、加工送りを開始する。そして、集光点52b及び基板19を相対的に移動させながらレーザービーム照射ユニット42を作動させ、基板19に表面19a側から基板19を透過する波長のレーザービーム52aを照射する。
ここで、レーザー加工ステップS20におけるレーザービーム52aの照射条件の具体例は、下記の通りである。ただし、当該照射条件はこれに限定されない。
波長 :1342nm
パルス幅 :150nm
パルスピッチ :5.2μm
繰り返し周波数:90kHz
出力 :1.9Wと1.0Wの組み合わせ
送り速度 :465mm/秒
基板19を透過する波長のレーザービーム52aを基板19の内部の集光点52bに集光すると、レーザービーム52aが基板19に吸収され、集光点52bの近傍で基板19が変質されて、変質層17が形成される。
なお、レーザービーム52aは、集光点52bの高さを変化させつつ複数回に分けて基板19の各所に集光されてもよい。例えば、初回の走査では基板19の内部のより裏面19bに近い高さ位置に集光点52bを位置付けてレーザービーム52aを基板19に照射し、走査の回数を重ねる毎に集光点52bを表面19aに近づけていく。これにより、基板19の表面19aから裏面19bに連続する変質層17が基板19に形成される。
または、レーザービーム52aが集光点52bの高さを変化させつつ複数回に分けて基板19の各所に集光されると、各集光点52bの近傍にそれぞれ変質領域が形成される。すなわち、複数の変質領域が基板19の厚さ方向に並ぶ。そして、基板19がレーザー加工される間に、または、レーザー加工された後に、互いに上下に隣接する変質領域間にクラック(亀裂)が形成されて各変質領域が接続される。ここで、このクラックは、物理的な衝撃や圧力等が基板19にかかることにより形成されてもよく、基板19がレーザー加工されることで形成されてもよい。
なお、レーザービーム52aを集光点52bの高さ位置を変えつつ基板19に2回以上照射する場合、集光点52bを段階的に表面19a側から裏面19b側に近づけていこうとすると、所定の品質の変質層17が基板19に形成されない場合がある。これは、先行したレーザービーム52aにより変質した部分(変質領域)を通ってレーザービーム52aが集光点52bに集光されるためである。この変質した部分は、レーザービーム52aを乱す。
ここで、基板19の厚さやレーザービーム52aの照射条件次第では、一度の走査で基板19の表面19aから裏面19bに至る変質層17を基板19に形成することも可能である。この場合、集光点52bは、基板19の表面19a及び裏面19bとの距離が概略等しくなる高さ位置に位置付けられるとよい。また、集光点52bは、基板19の厚さ方向に伸長した線状領域でもよい。そして、照射ヘッド52が備える集光レンズは、レーザービーム52aを線状領域に集光する機能を有するとよい。
図4では、基板19に形成された変質層17を柱状の領域として模式的に示しているが、変質層17の形状は単純な柱状に限定されない。変質層17は、高さにより太さが変化してもよく、表面19aから裏面19bにかけて蛇行等した領域でもよい。
この変質層17は、例えば、基板19の材料がレーザービーム52aにより変質された部分(変質領域)である。変質領域は、レーザービーム52aにより熱的影響を受けて脆化した部分、周囲とは密度が異なる部分などを指す。また、例えば、基板19が結晶性材料により構成されている場合、変質領域は、この結晶性が崩れて多結晶化した部分、または、アモルファス化した部分をいう。変質層17は、この変質領域により構成されるが、これに限定されない。
要するに、変質層17は基板19のうち構造が変化した部分をいう。変質層17は、この構造の変化に起因する極めて幅の小さい無数の亀裂(クラック)を含む。この亀裂により基板19の表面19aから裏面19bまでが接続されるため、変質層17が基板19を貫通する通気路として機能する。この亀裂の幅は、1~2μm程度である。ただし、亀裂の幅はこれに限定されない。上下に連続する通気路が基板19に形成されると、保持用治具11が製造される。
また、変質層17は、表面19aから裏面19bまでに連続した変質領域で構成されてもよいが、表面19aから裏面19bまでに連続していない変質領域が変質層17を構成してもよい。この場合、各変質領域の間が亀裂(クラック)で結ばれるとともに、並んだ複数の変質領域の両端に位置する変質領域と、基板19の表面19aまたは裏面19bと、が亀裂(クラック)により結ばれる。
すなわち、変質層17とは、互いに連続していない変質領域と、互いを結ぶ亀裂(クラック)と、により構成されるものを含む。別の観点から説明すると、基板19の表面19aから裏面19bまでに連続する亀裂(クラック)と、この亀裂に沿って配された複数の変質領域と、により変質層17が構成されてもよい。以下、各図では、単純な柱状の領域として変質層17を示す。
ただし、変質層17は、基板19の外周面に接続されていないことが好ましい。基板19の一端から他端まで連続する変質層17が基板19に形成されると、変質層17を境界として基板19が二つに分断されてしまう。また、基板19の外周面に変質層17が到達していると、基板19から形成された保持用治具11を研削装置のチャックテーブルに載置して保持用治具11を介して被加工物を吸引保持したとき、保持用治具11の外周面23から負圧が漏れてしまう。
ここで、図1(A)に示すような保持用治具11aを製造する場合、レーザービーム照射ユニット42の照射ヘッド52と、チャックテーブル26と、を直線状に加工送りするとよい。一つの直線に沿って基板19に変質層17aを形成した後、加工送り方向に垂直な方向に沿って照射ヘッド52及びチャックテーブル26を相対的に移動させて割り出し送りを行う。その後、再び加工送り方向に沿って照射ヘッド52等を加工送りして、次の直線に沿って基板19に変質層17aを形成する。
なお、複数の直線状部分で構成される変質層17aを基板19に形成して図1(A)に示す保持用治具11aを製造する場合、割り出し送り量は10μm程度に設定されることが好ましい。すなわち、変質層17aの互いに隣接する直線状部分の距離が10μm程度離れるように基板19をレーザー加工するとよい。ただし、この距離は10μmに限定されない。
また、複数の円状部分で構成される変質層17bを基板19に形成して、図1(B)に示すような保持用治具11bを製造する場合、それぞれの中心が基板19の表面19a及び裏面19bの中心と重なるように、複数の円状部分を基板19に形成するとよい。この場合、互いに内外に隣接する2つの円状部分の間隔を20μm程度離すとよい。ただし、各円状部分の間隔は20μmに限定されない。
以上に説明する保持用治具の製造方法によると、通気路として機能する変質層17が第1面13から第2面15にかけて形成された保持用治具11が形成される。次に、本実施形態に係る保持用治具11の使用方法について説明する。すなわち、保持用治具11を使用して被加工物を研削する研削方法について説明する。
まず、保持用治具11が使用されて被加工物の研削が実施される研削装置について説明する。図6等には、研削装置60の一部の構成を模式的に示す斜視図が模式的に示されており、図7等には、研削装置60の一部の構成を模式的に示す断面図が模式的に示されている。
研削装置60は、円板状のチャックテーブル62を有する。チャックテーブル62は、非多孔質のセラミックスで形成された円板状の枠体64を有する。枠体64の中央部には円板状の凹部64aが形成されている。
この凹部64aには、セラミックスで形成された円板状の多孔質板66が固定されていている。枠体64には、吸引路64bが形成されている。この吸引路64bを介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)から多孔質板66の上面には、負圧が伝達される。
多孔質板66の上面は、外周部に比べて中央部が僅かに突出した円錐状である。図7等に示す断面図では、この形状を強調して記載している。多孔質板66の形状は図7等に示す断面図に限定されない。多孔質板66の円形の上面と、枠体64の環状の上面とは、略面一となっており、被加工物21を吸引保持するための略平坦な保持面62aとして機能する。
チャックテーブル62の下部には、チャックテーブル62を回転可能に支持する円環且つ平板状のテーブルベース(不図示)が設けられている。また、テーブルベースの下部には、チャックテーブル62の傾きを調整する傾き調整機構(不図示)が設けられている。
更に、チャックテーブル62の下部には、テーブル回転軸68を構成するスピンドルが連結されている。スピンドルには、プーリ、ベルト等を介して、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。回転駆動源を動作させると、チャックテーブル62はテーブル回転軸68の周りに回転する。
チャックテーブル62の上方には、研削ユニット70が配置されている。研削ユニット70は、長手部が鉛直方向に略平行に配置された円筒状のスピンドルハウジング(不図示)を有する。
スピンドルハウジングには、所定方向(例えば、鉛直方向)に沿って研削ユニット70を移動させるボールねじ式の加工送り機構(不図示)が連結されている。また、スピンドルハウジングには、円柱状のスピンドル72の一部が回転可能に収容されている。
スピンドル72の上端部には、モータ等の回転駆動源が設けられている。スピンドル72の下端部には、ボルト等の固定具78により円板状のマウント76が固定されている。マウント76の下面側には、円環状の研削ホイール80が装着されている。
研削ホイール80は、アルミニウム合金で形成された基台82を有する。基台82の上面側は、マウント76に接するように配置される。基台82の下面側には、複数の研削砥石84が、基台82の周方向に沿って略等間隔で配置されている。
各研削砥石84は、例えば、金属、セラミックス、樹脂等の結合材と、ダイヤモンド、cBN(cubic Boron Nitride)等の砥粒と、を有する。平均粒径が比較的大きい砥粒は、粗研削砥石に使用され、平均粒径が比較的小さい砥粒は、仕上げ研削砥石に使用される。スピンドル72を回転させると、複数の研削砥石84の下面の軌跡により、円環状の研削面が形成される。研削面は、スピンドル72の長手方向と直交する平面となる。
次に、本実施形態に係る被加工物の研削方法の各ステップについて詳述する。図11(B)は、本実施形態に係る被加工物の研削方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。
まず、保持用治具11をチャックテーブル62で支持する治具支持ステップS30を実施する。図5は、治具支持ステップS30を模式的に示す断面図である。治具支持ステップS30では、保持用治具11をチャックテーブル62の保持面62a上に載せる。なお、このとき保持用治具11のチャックテーブル62に接触する面を第2面15とする。そして、第2面15とは反対側の面を第1面13とする。
治具支持ステップS30では、第2面15側をチャックテーブル62に接触させることにより、保持用治具11をチャックテーブル62で支持する。そして、チャックテーブル62の吸引源を作動させて、多孔質板66を介してチャックテーブル62で保持用治具11を吸引保持する。
その後、被加工物を保持用治具11に載せる前に、保持用治具11が第1面13側から研削ホイール80で研削する。すなわち、治具支持ステップS30の後、且つ次に説明する被加工物保持ステップS50の前に、保持用治具11を研削ホイール80で研削する治具研削ステップS40が実施されるとよい。
治具研削ステップS40では、まず、チャックテーブル62の保持面62aの一部が研削ホイール80の研削面(研削砥石84の下面)と略平行になるようにテーブルベースを傾ける。
この状態で、テーブル回転軸68を中心として所定の回転速度(例えば、200rpm)でチャックテーブル62を回転させ、ホイール回転軸74を中心として所定の回転速度(例えば、3000rpm)で研削ホイール80を回転させる。
更に、研削装置60の研削液供給ノズル(不図示)から純水等の研削液を、研削面と保持用治具11の第1面13との接触領域に供給しながら、研削ユニット70を所定の加工送り速度(例えば、1.0μm/s)で下方に移動(すなわち、加工送り)する。研削砥石84の研削面が保持用治具11の第1面13に接触することで、保持用治具11の第1面13側が研削される。
被加工物を保持用治具11に載せる前に保持用治具11を研削すると、保持用治具11の被研削面(第1面13)の形状は、被加工物を直にチャックテーブル62で保持して同じ条件で研削する場合の研削後の被加工物の被研削面の形状に概ね等しくなる。
研削後の保持用治具11の被研削面(第1面13)に被加工物を密着させて、この保持用治具11を介して被加工物をチャックテーブル62で保持しながら研削する。このとき、研削後の被加工物の被研削面の形状と、被研削面とは反対側の面(保持用治具11の被研削面に密着させた面)の形状と、を概ね等しくできる。
このように、被加工物を載せる前に保持用治具11の第1面13を研削しておくと、被加工物の被研削面と、被研削面とは反対側の面と、の距離を被加工物の全体で概ね一定にできる。つまり、被加工物の厚みを、被加工物の全体で概ね一定にできる。
なお、変質層17が保持用治具11の厚さ方向に沿って並ぶ複数の変質領域により構成される場合、治具研削ステップS40が開始される時点で、第1面13、各変質領域、及び第2面15を結ぶクラックが保持用治具11に形成されていなくてもよい。この場合、治具研削ステップS40で保持用治具11が研削される際に研削ホイール80から保持用治具11に印加される力により第1面13から第2面15までを接続するクラックが保持用治具11に形成され、変質層17が完成してもよい。
次に、被加工物をチャックテーブル62で吸引保持する被加工物保持ステップS50を実施する。図8は、研削された保持用治具11に被加工物21を載せる様子を模式的に示す斜視図である。
被加工物21の表面21a側には、ICやLSI等の複数のデバイスが配置される。そこで、被加工物21は裏面21b側から研削されて薄化される。そのため、被加工物保持ステップS50では、被加工物21の被研削面となる裏面21bを上方に露出させるために、被研削面とは反対側の面である表面21aを下方に向けた状態で被加工物21を保持用治具11に載せる。すなわち、このときに保持用治具11の第1面13と、被加工物21の表面21aと、が対面する。
被加工物保持ステップS50では、被加工物21を保持用治具11の第1面13に載せた後、チャックテーブル62の吸引源を作動させて、保持用治具11を介して被加工物21をチャックテーブル62で吸引する。チャックテーブル62の吸引源を作動させると、吸引路64bと、多孔質板66と、保持用治具11の変質層17と、を通じて負圧が被加工物21に作用する。すなわち、被加工物21が保持用治具11を介してチャックテーブル62に吸引保持される。
ここで、保持用治具11に形成された変質層17は外周面23には達していないため、チャックテーブル62の吸引源で生じる負圧が漏れにくい。そのため、チャックテーブル62は、保持用治具11を介した被加工物21の吸引保持を適切に実施できる。
なお、被加工物21の表面21a側には、この表面21aに形成されたデバイス等を保護するための保護テープ等が配設されてもよい。この場合、被加工物21は、保護テープを介して保持用治具11に載置される。
次に、被加工物21を研削装置60の研削ホイール80で研削する被加工物研削ステップS60を実施する。図9は、研削される被加工物21を模式的に示す斜視図であり、図10は、研削される被加工物21を模式的に示す断面図である。被加工物研削ステップS60では、治具研削ステップS40で保持用治具11を研削するのと同様の手順で被加工物21を研削する。
まず、チャックテーブル62のテーブル回転軸68の周りの回転と、研削ホイール80のホイール回転軸74の周りの回転と、を開始する。すなわち、テーブル回転軸68を中心として所定の回転速度(例えば、200rpm)でチャックテーブル62を回転させるとともに、ホイール回転軸74を中心として所定の回転速度(例えば、3000rpm)で研削ホイール80を回転させる。
更に、研削装置60の研削液供給ノズルから純水等の研削液を、研削砥石84の研削面と被加工物21の裏面21bとの接触領域に供給しながら、研削ユニット70を所定の加工送り速度(例えば、1.0μm/s)で下方への移動を開始する。すなわち、研削送りユニットを作動させることでチャックテーブル62及び研削ユニット70が相対的に接近するように移動する研削送りを開始する。
そして、保持用治具11を介してチャックテーブル62で保持された被加工物21の裏面21bに研削砥石84の研削面を接触させることにより、被加工物21を研削ホイール80で研削する。なお、被加工物研削ステップS60では、研削され薄化される被加工物21の厚みを測定する厚み測定器(不図示)で被加工物21の厚みを測定しつつ研削を進行させるとよい。そして、被加工物21が目標とされる仕上げ厚みに至るとき、研削送りを終了して研削を停止させるとよい。
なお、被加工物研削ステップS60は、粗研削及び仕上げ研削の2段階で実施されてもよい。すなわち、研削砥石84として粗研削砥石を有する一の研削ユニット70(即ち、粗研削ユニット)で被加工物21の裏面21b側を粗研削した後、研削砥石84として仕上げ研削砥石を有する他の研削ユニット70(即ち、仕上げ研削ユニット)で裏面21b側を仕上げ研削する。
被加工物21の研削が完了した後、研削ユニット70をチャックテーブル62から離し、チャックテーブル62の吸引源を停止させてチャックテーブル62による被加工物21の吸引保持を解除する。その後、薄化された被加工物21をデバイス毎に分割すると、個々のデバイスチップが得られる。
ここまで説明した被加工物の研削方法においては、保持用治具11を介してチャックテーブル62で被加工物21を吸引保持し、被加工物21を研削する。ここで、被加工物21を研削すると、チャックテーブル62の保持面62aに向けて研削ホイール80により被加工物21が押圧される。
従来使用されていたような第1面13及び第2面15に表出した溝が形成された保持用治具では、支持された被加工物21が研削中にこの溝に押し込まれ、被加工物21の表面21aに溝の形状に対応した凸形状が形成されていた。
これに対して、本実施形態に係る保持用治具11には溝に代えて変質層17が形成されている。そして、保持用治具11の第1面13及び第2面15に表出する変質層17に含まれる亀裂は極めて幅が小さい。そのため、保持用治具11を介してチャックテーブル62に保持された被加工物21を研削したとき、被加工物21の表面21a側には、従来のような凸形状が残ることはない。
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記の実施形態では、チャックテーブル62の多孔質板66に保持用治具11が載せられて使用される場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、本発明の一態様に係る保持用治具11は、多孔質板66に代えてチャックテーブル62の枠体64の凹部64aに収容されて使用されてもよい。
この場合、多孔質板66の上面に形成されていたものと同様の円錐形状が保持用治具11の上面に形成されるとよい。そして、この保持用治具11に被加工物21を載せてチャックテーブル62で被加工物21を吸引保持し被加工物21を研削すると、厚みが全体で均一であり、被支持面である表面21aに微小な凸形状が残らない被加工物21が得られる。
その他、上述の実施形態及び各変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11,11a,11b,11c 保持用治具
13,13a,13b,13c 第1面
15,15a,15b 第2面
17,17a,17b,17c,17d 変質層
19 基板
19a,21a 表面
19b,21b 裏面
21 被加工物
23,23a,23b,23c 外周面
2 レーザー加工装置
4 基台
6 X軸Y軸移動機構
8 Y軸ガイドレール
10 Y軸移動板
12 ねじ軸
14 モータ
16 X軸ガイドレール
18 X軸移動板
20 ねじ軸
22 モータ
24 テーブル基台
26 チャックテーブル
26a 保持面
26b クランプユニット
30 支持構造
32 Z軸移動機構
34 Z軸ガイドレール
36 Z軸移動板
38 モータ
40 支持具
42 レーザービーム照射ユニット
52 照射ヘッド
52a レーザービーム
52b 集光点
54 ハウジング
56 撮像ユニット
60 研削装置
62 チャックテーブル
62a 保持面
64 枠体
64a 凹部
64b 吸引路
66 多孔質板
68 テーブル回転軸
70 研削ユニット
72 スピンドル
74 ホイール回転軸
76 マウント
78 固定具
80 研削ホイール
82 基台
84 研削砥石

Claims (7)

  1. 被加工物をチャックテーブルで保持する際に該被加工物と該チャックテーブルとの間に介在させる板状の保持用治具であって、
    第1面と、
    該第1面とは反対側の第2面と、
    該第1面と該第2面とを接続する外周面と、を有し、
    該第1面の中央領域から該第2面の中央領域に到達する変質層が形成されていることを特徴とする保持用治具。
  2. チャックテーブルと、円板状または円環状の研削ホイールを備えた研削ユニットと、該チャックテーブル及び該研削ユニットを相対的に接近及び離隔させる研削送りユニットと、を備えた研削装置において、円板状の被加工物を該チャックテーブルで保持する際に該被加工物と該チャックテーブルとの間に介在させる板状の保持用治具であって、
    第1面と、
    該第1面とは反対側の第2面と、
    該第1面と該第2面とを接続する外周面と、を有し、
    該第1面の中央領域から該第2面の中央領域に到達する変質層が形成されおり、
    該被加工物と主成分の材料が同じであることを特徴とする保持用治具。
  3. 該変質層は、該第1面に沿った直線状に形成されている部分と、該第1面に沿った円形に形成されている部分と、の一方または両方を有することを特徴とする請求項1に記載の保持用治具。
  4. 該変質層は、該第1面に沿った直線状に形成されている部分と、該第1面に沿った円形に形成されている部分と、の一方または両方を有することを特徴とする請求項2に記載の保持用治具。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の保持用治具の製造方法であって、
    基板を準備する準備ステップと、
    該基板を透過する波長成分を有するレーザービームを該基板に集光して該変質層を該基板に形成することで該保持用治具を製造するレーザー加工ステップと、
    を含むことを特徴とする保持用治具の製造方法。
  6. 請求項2または請求項4に記載の保持用治具を使用して該被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、
    該保持用治具の該第2面側を該チャックテーブルに接触させることにより、該保持用治具を該チャックテーブルで支持する治具支持ステップと、
    該被加工物を該保持用治具の該第1面に載せ、該保持用治具を介して該被加工物を該チャックテーブルで吸引することにより、該被加工物を該チャックテーブルで吸引保持する被加工物保持ステップと、
    該チャックテーブルのテーブル回転軸の周りの回転と、該研削ホイールのホイール回転軸の周りの回転と、を開始し、該研削送りユニットを作動させることで該チャックテーブル及び該研削ユニットが相対的に接近するように移動する研削送りを開始し、該保持用治具を介して該チャックテーブルで保持された該被加工物を該研削ホイールで研削する被加工物研削ステップと、を含むことを特徴とする被加工物の研削方法。
  7. 該治具支持ステップの後、且つ該被加工物保持ステップの前に、該保持用治具を該研削ホイールで研削する治具研削ステップを更に備えることを特徴とする請求項6記載の被加工物の研削方法。
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