JP2024067336A - ステータコア、及びこれを用いたブラシレスモータ - Google Patents

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厚志 松本
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仁志 山口
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Abstract

【課題】高トルクの維持及び小型化の追及と、コギングトルク低減による制御性向上とを、バランスよく両立するステータコア及びこれを用いた小型のブラシレスモータを提供する。【解決手段】ステータコア3は、磁性板材からなる円環状のヨーク5と、ヨークの内周から等間隔で環状の中心方向に突設させると共に巻線を施す巻回部60を形成してなる複数のティース6と、各ティースに対応させてヨーク外周縁に凹部50を形成してなる一体成形のコア単板4であって、このコア単板の凹部を位置決め手段として複数枚をコア単板毎に周方向に順次回転移動させて積層形成する。かかる形成において、ステータコアの外径を12~15mm、内径を6.0~7.5mmとすると共に外径÷(スロット数×ティース幅)の値を1.3~1.9mmの範囲に設定し、隣接するティース先端部との離隔距離を0.5~1.0mmに設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、小型ブラシレスモータに関し、特に、ステータコアを用いて高トルクとコギングトルクをバランスさせて、より有用性を高めたブラシレスモータの技術に関する。
医療機器や産業機器の技術分野では,より小型高性能で、かつ高度な回転制御を可能とするモータが求められている。
小型モータの高トルク化は、例えば、ネオジム焼結磁石などの磁気特性が高い永久磁石を回転子に用いることで実現できるが、一方このような高い永久磁石は、電磁化するステータコア(固定子コア)との相互作用によって、無通電時においても残留磁気によるコギングトルクが大きく作用し、また通電時においても電磁化するステータコアとロータの永久磁石との相互作用によって生じるトルク変動により制御性に大きな影響を及ぼすことが知られている。
また、モータの小型化のためのもう1つの施策としては、ステータコアに施される巻線の占積率を高めることが挙げられる。この場合、巻線の占積率を高めることでスロットにより多くの電流を流すことができるようになるため、磁束密度が向上して高トルクの小型モータが可能となる。巻数を増やして巻線の占積率を高めるためには、スロットの外周はなるべく平面などのシンプルな要素で構成したものが開示されている(例えば、特許文献1)。
また、巻線のスロット占積率を高めるためにティース(磁極歯)に絶縁物を介して直接巻線を施す集中巻のステータとロータを有するモータが開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2014-236576号公報 特開2001-346366号公報
これら、従来のブラシレスモータによれば、回転トルクはステータコアのティースへのコイルの巻回数にしたがって磁束密度が増して高いトルクが得られる。しかし、その反面、無通電時のコギングトルクが大きくなって起動時の立ち上がり特性に問題があった。特に、ロボットハンドなどの関節作動などの起動と停止においては円滑性、応答性、起動性、等が重要であり、その向上が技術的課題となっている。
ブラシレスモータには、インナーロータ型とアウターロータ型がある。アウターロータ型は大口径のマグネットを取付けたロータが回転するため、回転軸の慣性モーメントは大きくなり、保護カバーが必要となることから、小型化を追及するためには適さず、インナーロータ型が主流となっている。一方で、外周面に永久磁石を取り付け又は着磁させたインナーロータ型は、小径を追及すると回転軸の慣性モーメントが小さくなり、回転立ち上がりや停止特性は優れているものの大きなトルクが得られ難いという欠点がある。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、高トルクを維持しながら小型化の追及と、コギングトルクの低減による制御性の向上とを、バランスよく両立させることを目的としたステータコア、及びこれを用いた小型のブラシレスモータを提供するものである。
上記課題に着目して、本発明に係るステータコアは、磁性板材からなる円環状のヨークと、該ヨークの内周から等間隔で環状の中心方向に突設させると共に巻線を施す巻回部を形成してなる複数のティースと、該各ティースに対応させて前記ヨークの外周縁に凹部又は凸部を形成してなる一体成形のコア単板であって、このコア単板を、前記凹部又は凸部を位置決め手段として複数枚を前記コア単板毎に周方向に順次回転移動させて積層させて形成している。
かかる形成においては、ステータコアの外径を12mm~15mm、内径を6.0mm~7.5mmとすると共に外径÷(スロット数×ティース幅)の値を1.3mm~1.9mmの範囲に設定したことを特徴としている。
さらに、隣接するティース先端部との離隔距離を0.5mm~1.0mmとしたことを特徴としている。
上記のように構成したステータコアの各ティースの前記巻回部に直接巻線を施して3相構成の巻線を施した6個又は9個のスロットからなるステータに対して、その中心軸上に前記6スロットに対して4個、又は前記9スロットに対して8個の永久磁石を互いに反対極性に着磁して形成したロータを、前記中心軸上に回転自在にして配設してコア付き(コアード)のブラシレスモータを構成している。
上記したステータコアを用い、そのティース(磁極歯)をロータ周面まで近接突設させたコア付きのブラシレスモータとすることにより、高い回転トルクを獲得することができる。その一方で、隣接するティース先端部との離隔距離を所定の距離とすることにより、コギングトルクを低減させて滑らかに回転させる効果を獲得することができる。
(A)は、4極6スロットの配置を示す平面図であり、(B)は、8極9スロットの配置を示す平面図である。 コア単板を積層して形成したステータコアを示す斜視図である。 積層巻線状態のステータとロータと配置状態を示す斜視図である。 (A)は図3の配置状態の側面図、及び(B)は図(A)のA-A線断面図である。 コアの内径÷外径の比率とトルク定数との相関を示した解析1のグラフである。 コア外径÷(スロット数×ティース幅)の値とトルク定数との相関を示した解析2のグラフである。 解析3のグラフであって、(A)はティース開口部の開口幅wとトルク定数との相関、(B)はティース開口部の開口幅wとコギングトルクとの相関を示すグラフである。
以下、本発明を具体化した実施形態(以下、「本実施形態」)を図面に従って説明する。
図1は、コア付きのインナーロータ型のブラシレスモータMに用いるステータコア3を示す。該ステータコア3は、平板状の板材(以下、「コア単板」という。」を複数積層して形成され、該コア単板4は、磁性板材の打ち抜き成形によって形成している。本実施形態では、主に、無方向性電磁鋼板を用いている。
上記コア単板4は、円環状のヨーク5と、該ヨーク5の内周から等間隔に突設させた複数のティース(磁極歯)6と、各ティース6に対応させて前記ヨーク5の外周縁に形成した凹部50とを、一体成形によって形成している。なお、この凹部50は位置決め手段であるため、凸部状又は凹凸状に形成してもよい。
各ティース6の形状は、図示したように半径方向に同一幅で突出延長させて形成し、該突出延長部には巻線を施すための巻回部60を形成している。また、その先端部61には、インナーロータ型のロータ2の周面と間隙(エアギャップ)をもって近接させ、かつその周方向に倣って裾状に拡張させた拡張裾部62を形成している。
各ティース6は、ステータ1を構成するスロットの鉄心となるものであり、その配設位置は、スロット数(6個又は9個)に合せて円環状のヨーク5の内周を等分割した位置に形成している。すなわち、図示したように前記ロータ2の軸に対する回転ピッチ角αを、6スロットでは60度、又は9スロットでは40度に設定して形成している。
次に、上記構成のコア単板4の形状における、実用上の最適寸法について説明する。
本発明は小型のコア付きブラシレスモータでかつステータコア3の外径が12mm~15mmのモータを開発したものである。
かかる目的のもと、以下の解析を行った。
<外径と内径との比率の検討>(図5参照)
モータに電流を流した際、単位電流あたりのモータ発生トルクのトルク定数Kt[mN・m/A]は、値が大きいほど制御のための電流が小さくて済み、好適である。
外径を所望の数値に固定した場合、ヨーク5から延びるティース6を長くする(相対的に内径は小さくなる。)と、前記巻回部60に施した巻線数が増えて電磁力は増加する。一方、これに対して(後述の永久磁石を含めた)ロータ2の軸径(直径)は小さくなり、その外周面に磁極形成のために配置(埋め込み式又は貼り付け式)した永久磁石20の面積も小さくなってトルク定数Ktは小さくなる。
逆に、ティース6の前記突出量(巻回部60の半径方向の寸法)を短くした場合は、ロータ2の軸径を大きくできるが、巻線9の巻回量が少なくなって電磁力が減少し、トルク定数Kt[mN・m/A]は小さくなってしまう。さらにロータ2の重量及び径が増すことにより、慣性モーメントが大きくなり応答性(レスポンス)が悪化してしまう問題があった。
これに鑑みて、本発明では、図5の解析1のグラフに示したように、外径を12mmに固定した場合における、内径との比率とトルク定数Ktとの相関を検証した。これによれば、4極6スロット(以下、磁極(Pole)を「P」、スロット(slot)を「S」と略記する。)及び8P9Sにおいては、トルク定数Kt[mN・m/A]を0.35~0.6の範囲とした場合に、バランスの取れた実用上の好適範囲であると捉えることができ、最適値は前記比率を0.5付近とした場合が、最大値で最良の値であると捉えることができる。
<外径÷(スロット数×ティース幅)の検討>(図6参照)
次に、[内径÷外径=0.5]、すなわち、外径をΦ12mm、内径をΦ6mmとした場合に、ティース6の幅の設定次第で、トルク定数Ktは変化し、この幅が広くなるほど大きくなる傾向にある。ステータコア3の小径化(特に、Φ12mm~15mm)を目的とした本発明においては、ティース6の巻回部60の幅(以下、「ティース幅」という。)を大きくすると巻線領域30が少なくなって、電磁力が減少してトルク定数Ktは減少する。
かかる前提のもと、解析2として、4P6S、8P9Sの場合における[外径÷(スロット数×ティース幅)]とトルク定数Ktとの相関を示すグラフを基に検討を行った(図6を参照)。
かかる解析2の結果から、目的とする小型モータにおいて、[外径÷(スロット数×ティース幅)]の値は、実用かつ効果的な数値範囲が1.3mm~1.9mmであり、好ましくは1.4mm~1.7mmであると捉えることができる。
<隣接するティース先端部間の開口部の開口幅の検討>(図7参照)
隣接するティース先端部61間の開口部(以下、「ティース開口部7」と略称する。)の開口幅wは、狭くするほどコギングトルクが小さくなり、手動させた場合の所謂ゴキゴキ感を低減することができる。一方で、前記コア単板4を分割しないで一体成形とした単板を、積層してから直接巻線を行うため、前記開口幅wを狭くし過ぎると巻線用の治具を通過させることが出来ないか、又は困難となるため、製造上の観点から0.5mm以上が必要となる。
図7(A)、(B)は、この前記開口幅wとコギングトルクとの相関、及び該開口幅wとトルク定数Ktとの相関を示したものである。これらデータを検証すると開口幅wは、コギングトルクとトルク定数Ktとのバランスを考慮すると、0.5mm~1.0mmが実用上及び製造上の観点から最適値であると捉えることができる。
<ステータコアへの巻線>
上記したように一体成形したコア単板4には、前記各ティース6に対応させて形成したヨーク5の凹部50を位置決め手段(合いマーク)として、コア単板毎にティース6の位置を1個に周方向に移動させて、所定の枚数を順次重ね合わせていくことによって、略円筒形状の積層体を呈したステータコア3を形成している(図2参照)。別言すると、スロット数に合せて等分割配設した複数スロット(6S又は9S)のティース6を、コア単板毎に所定の回転ピッチ角α(6Sの場合は60度、又は9Sの場合は40度)によってヨーク5の円環面上を周方向に移動させると共に、前記凹部50を合いマークとして一枚毎にヨーク5の円環面上に複数枚を順次重ね合せていくことによって、積層体状で略円筒状のステータコア3を形成している(図2を参照)。
次に、このステータコア3に3相構成の巻線を行う。この巻線の施工は、先ず、前記巻線領域30を構成するティース6の前記巻回部60とヨーク内周面51に、電気絶縁材を塗布して絶縁皮膜8を形成する。次に、前記ティース開口部7を通過させることが可能な所定の治具(図示省略)を用いて、巻線9を各ティース6の巻回部60へ直接巻き付けていく。本実施例では、U相、V相、W相の3相構成の巻線9を行っている。
<ロータの構成>
上記したように3相構成の巻線9を施したステータ1を形成し、該ステータ1の中心軸上に、エアギャップをもってロータ2を貫通状に配設する。このロータ2の外周面には、永久磁石20を周方向に隣接する永久磁石20の磁極を互いに逆にして貼り付け又は埋め込みによって配設している。その永久磁石20の数はスロット数に対応させて配設している。本発明は、4P6Sと8P9Sを目的としているため、6スロットに対しては4極(N,S,N,S)と9スロットに対しては8極(N,S,N,S,N,S,N,S,)の仕様で配設している。
M ブラシレスモータ
1 ステータ
2 ロータ
20 永久磁石
3 ステータコア
30 巻線領域
4 コア単板
5 ヨーク
50 凹部
51 ヨーク内周面
6 ティース
60 巻回部
61 先端部
62 拡張裾部
7 ティース開口部
8 絶縁皮膜
9 巻線
α 回転ピッチ角
w 開口幅

Claims (4)

  1. 磁性板材からなる円環状のヨークと、
    該ヨークの内周から等間隔で環状の中心方向に突設させると共に巻線を施す巻回部を形成してなる複数のティースと、
    該各ティースに対応させて前記ヨークの外周縁に凹部又は凸部を形成してなる一体成形のコア単板であって、
    前記凹部又は凸部を位置決め手段として前記コア単板を1個毎に周方向に順次回転移動させて複数枚を積層させて形成したことを特徴とするステータコア。
  2. 前記ステータコアの形成において、
    ステータコアの外径を12mm~15mm、内径を6.0mm~7.5mmとすると共に外径÷(スロット数×ティース幅)の値を1.3mm~1.9mmの範囲に設定したことを特徴とする請求項1記載のステータコア。
  3. 前記ステータコアの形成において、
    隣接するティースの離隔距離dを0.5mm~1.0mmとしたことを特徴とする請求項2記載のステータコア。
  4. 前記ステータコアの各ティースの巻回部に直接巻線を施して3相構成の巻線を施した6個又は9個のスロットからなるステータに対して、
    その中心軸上に前記6スロットに対して4個、又は前記9スロットに対して8個の永久磁石を互いに反対極性に着磁して形成したロータを、
    前記中心軸上に回転自在にして配設したことを特徴するブラシレスモータ。
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