JP2024067066A - 工業プラントに関するシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】プラント機器のセンサデバイスが限定されている場合でも自動的にパラメータを調整できるサイバーフィジカルシステムを提供する。【解決手段】工業プラントに関するシステムにおいて、前記工業プラントは、複数の機器と、前記複数の機器の入力状態または出力状態を表す測定データを取得する、少なくとも1つのセンサ装置と、を備え、前記システムは、各前記センサ装置から前記測定データを取得する入力装置と、各前記機器にそれぞれ対応する機器モデルを評価することにより、各前記機器の推定出力状態を取得するシミュレータと、前記機器モデルのうち複数を結合して結合モデルを生成するモデル結合器と、パラメータ推定器と、パラメータ更新器と、を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、工業プラントに関するシステムに関する。
工業プラントのためのサイバーフィジカルシステム(CPS)は、シミュレーションを介してプラントの動作の予測を可能にする。シミュレーションを実施する方法のひとつは、基本的な科学法則に従う物理ベースのモデルを構築することである。モデルは所定の設計条件にしたがって構築されるが、実際の状況は初期の設計条件から徐々に変化する可能性がある。このため、モデルが不正確なものとなる可能性がある。
プラントの振る舞いが変化する主な理由は、塵の蓄積、錆、浸食、等による機器の劣化である。特許文献1は、プラントの変化を追跡する方法を開示するが、これは主にプロセスフロー図(PFD)からのデータに依存するので、プラントの再構築(たとえば機器の追加または除去、機器間の接続の変更、等)に伴う大規模な変化のみ追跡可能である。
変化するプラントの振る舞いに応じてモデルを更新するために、センサデバイスからのデータを用いてモデルのパラメータを調整することができる。特許文献2は、パラメータを調整する方法を開示する。
パラメータを調整するためには、対象となる機器のモデルにおける出力と等価な、その機器の測定データが重要である。しかしながら、多くの場合、機器はそのような測定データを取得するためのセンサを備えていない。したがって、プラント機器のセンサデバイスが限定されている場合(センサデバイスがないプラント機器が存在する場合を含む)でも自動的にパラメータを調整できる方法を提供することが有用である。
したがって、本発明は、プラント機器のセンサデバイスが限定されている場合でも自動的にパラメータを調整できるサイバーフィジカルシステムを提供することを目的とする。
本発明に係るシステムの一例は、
工業プラントに関するシステムであって、
前記工業プラントは、
複数の機器と、
前記複数の機器の入力状態または出力状態を表す測定データを取得する、少なくとも1つのセンサ装置と、
を備え、
前記システムは、
各前記センサ装置から前記測定データを取得する入力装置と、
各前記機器にそれぞれ対応する機器モデルを評価することにより、各前記機器の推定出力状態を取得するシミュレータと、
前記機器モデルのうち複数を結合して結合モデルを生成するモデル結合器と、
パラメータ推定器と、
パラメータ更新器と、
を備え、
各前記機器モデルは、科学法則に従い、対応する機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、当該機器の推定出力状態を計算するためのモデルであり、
前記結合モデルは、科学法則に従い、少なくとも1つの機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、対応する機器グループの推定出力状態を計算するためのモデルであり、
同じ前記結合モデルを構成する各前記機器モデルのモデルパラメータは、互いに同一または所定範囲内で類似しており、
前記結合モデルの入力状態および実出力状態は、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得可能であり、
前記パラメータ推定器は、
前記結合モデルの推定出力状態を取得し、
前記結合モデルの推定出力状態に対応する機器の実出力状態を、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得し、
前記結合モデルの推定出力状態と、前記対応する機器の実出力状態との差を計算し、
前記差に基づき、前記結合モデルのモデルパラメータを推定し、
前記パラメータ更新器は、前記パラメータ推定器によって推定されたモデルパラメータに基づき、前記結合モデルを構成する前記機器モデルのうち少なくとも1つについて、当該機器モデルのモデルパラメータを更新する。
工業プラントに関するシステムであって、
前記工業プラントは、
複数の機器と、
前記複数の機器の入力状態または出力状態を表す測定データを取得する、少なくとも1つのセンサ装置と、
を備え、
前記システムは、
各前記センサ装置から前記測定データを取得する入力装置と、
各前記機器にそれぞれ対応する機器モデルを評価することにより、各前記機器の推定出力状態を取得するシミュレータと、
前記機器モデルのうち複数を結合して結合モデルを生成するモデル結合器と、
パラメータ推定器と、
パラメータ更新器と、
を備え、
各前記機器モデルは、科学法則に従い、対応する機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、当該機器の推定出力状態を計算するためのモデルであり、
前記結合モデルは、科学法則に従い、少なくとも1つの機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、対応する機器グループの推定出力状態を計算するためのモデルであり、
同じ前記結合モデルを構成する各前記機器モデルのモデルパラメータは、互いに同一または所定範囲内で類似しており、
前記結合モデルの入力状態および実出力状態は、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得可能であり、
前記パラメータ推定器は、
前記結合モデルの推定出力状態を取得し、
前記結合モデルの推定出力状態に対応する機器の実出力状態を、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得し、
前記結合モデルの推定出力状態と、前記対応する機器の実出力状態との差を計算し、
前記差に基づき、前記結合モデルのモデルパラメータを推定し、
前記パラメータ更新器は、前記パラメータ推定器によって推定されたモデルパラメータに基づき、前記結合モデルを構成する前記機器モデルのうち少なくとも1つについて、当該機器モデルのモデルパラメータを更新する。
本発明に係るサイバーフィジカルシステムは、プラント機器のセンサデバイスが限定されている場合でも自動的にパラメータを調整できる。これにより、たとえば機器の未来の状態をより正確に予測できるようになる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、実施例1に係るサイバーフィジカルシステム1の構成を示す。サイバーフィジカルシステム1は、プラント2に関連するシステムである。プラント2はたとえば工業プラントであり、具体例として熱プラントまたは化学製品プラントである。サイバーフィジカルシステム1を用いることにより、後述するように、プラント2の化学的または物理的な振る舞いを計算することが可能となる。
[実施例1]
図1は、実施例1に係るサイバーフィジカルシステム1の構成を示す。サイバーフィジカルシステム1は、プラント2に関連するシステムである。プラント2はたとえば工業プラントであり、具体例として熱プラントまたは化学製品プラントである。サイバーフィジカルシステム1を用いることにより、後述するように、プラント2の化学的または物理的な振る舞いを計算することが可能となる。
<プラント2>
プラント2は、複数の機器と、少なくとも1つのセンサ装置とを備える。機器はたとえば熱交換器(図2等を参照して後述)である。センサ装置は、たとえば温度センサおよび流量センサ(図2等を参照して後述)を含む。センサ装置はそれぞれ、複数の機器のいずれかについて、その入力状態または出力状態を表す測定データを取得する。測定データは、たとえばプラント2に関連する温度、流量、濃度、等を表す。測定データは、プラント2に関連する周辺条件(たとえば気温)を表してもよい。
プラント2は、複数の機器と、少なくとも1つのセンサ装置とを備える。機器はたとえば熱交換器(図2等を参照して後述)である。センサ装置は、たとえば温度センサおよび流量センサ(図2等を参照して後述)を含む。センサ装置はそれぞれ、複数の機器のいずれかについて、その入力状態または出力状態を表す測定データを取得する。測定データは、たとえばプラント2に関連する温度、流量、濃度、等を表す。測定データは、プラント2に関連する周辺条件(たとえば気温)を表してもよい。
<サイバーフィジカルシステム1>
サイバーフィジカルシステム1は、シミュレータ100と、モデル結合器200と、パラメータ推定器300と、パラメータ更新器400と、ディスプレイ500(出力装置)と、入力装置600とを備える。
サイバーフィジカルシステム1は、シミュレータ100と、モデル結合器200と、パラメータ推定器300と、パラメータ更新器400と、ディスプレイ500(出力装置)と、入力装置600とを備える。
サイバーフィジカルシステム1は、公知のコンピュータとしてのハードウェア構成を有し、たとえば演算手段および記憶手段を備える。演算手段はたとえばプロセッサを含み、記憶手段はたとえば半導体メモリ装置および磁気ディスク装置等の記憶媒体を含む。記憶媒体の一部または全部が、過渡的でない(non-transitory)記憶媒体であってもよい。また、サイバーフィジカルシステム1は、ネットワークインタフェース等の通信装置を備えてもよい。
記憶手段はプログラムを記憶してもよい。プロセッサがこのプログラムを実行することにより、サイバーフィジカルシステム1は本実施例において説明される機能を実行してもよい。
入力装置600は、各センサ装置から測定データを取得する。本実施例では、測定データは測定状態112を表す。シミュレータ100は、各機器にそれぞれ対応する機器モデル110を評価することにより、各機器の出力状態111を推定して取得する。
サイバーフィジカルシステム1は、シミュレータ100を用いてプラント2の振る舞いをシミュレートし、ディスプレイ500はその結果を出力する。サイバーフィジカルシステム1のユーザは、出力される結果を見て、プラント2の制御を最適化することができる。たとえば、メンテナンス作業を計画し、または、エネルギーを節約することができる。
<シミュレータ100>
シミュレータ100は、各機器の出力状態111を推定する。以下では、区別のため、各機器の出力状態について、シミュレータ100によって推定されるものを「推定出力状態」と呼び、センサ装置によって測定されるものを「実出力状態」と呼ぶ場合がある。
シミュレータ100は、各機器の出力状態111を推定する。以下では、区別のため、各機器の出力状態について、シミュレータ100によって推定されるものを「推定出力状態」と呼び、センサ装置によって測定されるものを「実出力状態」と呼ぶ場合がある。
シミュレータ100は、機器モデル110または結合モデル120の出力状態111を推定する。シミュレータ100は、測定状態112を入力として用いることができる。
<機器モデル110>
機器モデル110は、物理ベースの動的モデルであり、プラント2の機器のいずれかについて、その動作時の振る舞いを表す。機器モデル110は、科学法則(たとえば基本的科学法則)に従い、対応する機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、当該機器の推定出力状態を計算するためのモデルである。なお、以下では「モデルパラメータ」を単に「パラメータ」と表記する場合がある。
機器モデル110は、物理ベースの動的モデルであり、プラント2の機器のいずれかについて、その動作時の振る舞いを表す。機器モデル110は、科学法則(たとえば基本的科学法則)に従い、対応する機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、当該機器の推定出力状態を計算するためのモデルである。なお、以下では「モデルパラメータ」を単に「パラメータ」と表記する場合がある。
本実施例では、出力状態111は、機器(たとえば熱交換器)の下流側(たとえば出口)における流体の温度、濃度、圧力、流量、等を表す。すなわち、シミュレータ100は、機器モデル110を評価することにより、機器の下流側の状況を推定または予測することができる。
各機器モデル110は、モデルパラメータと、その機器の入力状態とに基づいて動作する。以下では、機器モデル110の入力状態を表すベクトルを「b」と表記する(スカラーである場合を除外しない)。機器モデル110は、科学法則(たとえば、質量バランス、エネルギーバランス、モーメントバランス、等)に従って、推定出力状態を計算する。
以下では、機器モデル110のモデルパラメータを表すベクトルを「k」と表記する(スカラーである場合を除外しない)。kは、たとえば出力状態111の変化率に影響を及ぼす。kは、幾何学的、熱力学的、物理的、または化学的な特性を表すものであってもよい。具体例として、kは、機器の幾何学的特徴(たとえばパイプ径、表面積、長さ、等)、機器が扱う物質の特徴(密度、圧力係数、熱伝達率、等)、等を含む。
<機器モデル110におけるパラメータの不確実性>
kの正確な値を決定するのは困難な場合がある。たとえば、機器の物理的な劣化に伴い、一部のモデルパラメータが変化する。また、実際の幾何学的特性データ(たとえばCADデータ)が入手できない場合にも、kは不確実なものとなる。
kの正確な値を決定するのは困難な場合がある。たとえば、機器の物理的な劣化に伴い、一部のモデルパラメータが変化する。また、実際の幾何学的特性データ(たとえばCADデータ)が入手できない場合にも、kは不確実なものとなる。
本実施例では、後述するように、サイバーフィジカルシステム1がモデルパラメータを自動的に調整し、これによって機器モデル110をより正確なモデルに維持する。また、これによって、推定される出力状態111がより正確となる。ユーザは、この調整結果を確認することにより、モデルパラメータの変化を認識し、これに基づいて実際の機器の変化(劣化等)を測定することができる。
<熱交換器に対する機器モデル110>
図2は、プラント2に備えられる熱交換器21の工程図を示す。熱交換器21は機器の例であり、サイバーフィジカルシステム1はこれに対応する機器モデル110を備える。熱交換器21は、たとえば、第1流体と第2流体との間の熱伝達により、第1流体を所定の温度TSVに加熱または冷却するために用いられる。
図2は、プラント2に備えられる熱交換器21の工程図を示す。熱交換器21は機器の例であり、サイバーフィジカルシステム1はこれに対応する機器モデル110を備える。熱交換器21は、たとえば、第1流体と第2流体との間の熱伝達により、第1流体を所定の温度TSVに加熱または冷却するために用いられる。
図2の例では、熱交換器21に関して3つのセンサ装置22が配置される。図2の各センサはセンサ装置22a、センサ装置22bおよびセンサ装置22cとして示す。各センサ装置22は、熱交換器21の入力状態または出力状態を測定することができる。
センサ装置22aは流量を測定する流量センサであり、たとえば第1流体の流量G1および第2流体の流量G2を測定する。以下、図中のセンサ装置22について「G」は流量センサを表す。流量はたとえば質量流量である。G1およびG2はたとえば熱交換器21の入力状態(厳密にはその一部)を表すが、熱交換器21の流量は入口と出口で変わらないので、G1およびG2は熱交換器21の出力状態を表すものと考えることもできる。
センサ装置22bは温度を測定する温度センサであり、たとえば熱交換器21の入力状態として、入口における第1流体の温度T1,inおよび第2流体の温度T2,inを測定する。センサ装置22cは温度を測定する温度センサであり、たとえば熱交換器21の出力状態として、出口における第1流体の温度T1,outおよび第2流体の温度T2,outを測定する。以下、図中のセンサ装置22について「T」は温度センサを表す。
このように、図2の例では、熱交換器21の測定状態112は、G1と、G2と、T1,inと、T2,inと、T1,outと、T2,outとを含む。測定状態112は、図2に示すように、熱交換器21の特定期間における動作を表す時系列データとして定義されてもよい。また、図2に示すように、各測定状態112は、タグ(識別子)によってそれぞれ特定されてもよく、タグを介していずれかのセンサ装置22に関連付けられてもよい。
熱交換器21の動的な振る舞いを表すために、機器モデル110は、動的エネルギーバランス方程式を含んでもよい。方程式はたとえば第1流体および第2流体の出口における温度の変化率を表すものとして構成することができ、たとえば次の(式1)のように定義することができる。
ただしTは温度、Gは質量流量、hは熱伝達率、ρは流体密度、SAは熱伝達表面積、Dpはパイプ径を表す。添字について、inは入口における値、outは出口における値、1は第1流体に関する値、2は第2流体に関する値を表す。式1は、他の変数または添字を含んでもよい。
より具体的には、T1,outおよびT2,outの値は、シミュレータ100によって推定される出力状態111(推定出力状態)の例である。
[G1,G2,T1,in,T2,in]は、ベクトルbの例である。これらの値は、センサ装置22の測定によって直接的に取得されてもよく、センサ装置22の測定値に基づいて間接的に計算されてもよく、センサ装置22に関わらず取得(たとえばユーザによって入力)されてもよい。
ユーザは、(式1)に基づいて、T1,outがTSVに到達するか否か(または、いつ到達するか)等を予測することができ、または、熱交換器21に対して行うべき次の制御、操作、等に関する情報を得ることができる。
[h1,h2,ρ1,ρ2,SA,Dp]は、ベクトルkの例である。kは他の変数を含んでもよい。これらの値は、工学的設計データ(たとえばパイプのCADデータ、機器の仕様、等)、既知の経験的数式、第1流体および第2流体の特性、パイプ材料、熱交換器21の材料、等に基づいて定義可能である。
<センサ装置が限定される場合>
機器の劣化等に伴い、k(またはkの要素の一部)が変化する可能性がある。たとえば熱交換器21において、塵の蓄積、幾何学的形状の不確実性、等により、熱伝達率h1および/またはh2が減少する。このような場合に、kをより実際に近い値に調整する方法について、以下に説明する。
機器の劣化等に伴い、k(またはkの要素の一部)が変化する可能性がある。たとえば熱交換器21において、塵の蓄積、幾何学的形状の不確実性、等により、熱伝達率h1および/またはh2が減少する。このような場合に、kをより実際に近い値に調整する方法について、以下に説明する。
機器モデル110による出力状態111(推定出力状態。たとえばT1,out)の値を、センサ装置22(たとえばセンサ装置22c)によって測定される対応する測定状態112(実出力状態)と比較することにより、機器モデル110の精度を評価し、評価の結果に基づいてモデルパラメータを調整することができる。
ここで、モデルパラメータの調整は、機器の動作中に、センサ装置22による測定と同時に、または並行して行うことが好ましい。このためには、bの値として、ユーザによる入力ではなく、測定状態112に基づく値を用いることが好ましい。これを実現するためには、熱交換器21について、出力状態111を表す測定状態112(実出力状態)を取得するセンサ装置22cと、bの値すなわち[G1,G2,T1,in,T2,in]を取得するセンサ装置22aおよびセンサ装置22bとを、すべて設けることが必要となる。
しかしながら、コスト等の理由から、これらのセンサ装置22のうち一部が省略される場合がある。その場合には、機器モデル110単位でのモデルパラメータの調整が困難になる。
図3aを用いて、センサ装置が限定される場合の例について説明する。熱交換器21として、熱交換器A1、A2、A3、A4、B1、B2が配置されている。熱交換器A1、A2、A3、A4は互いに同一または類似の構成を有し、すなわち、同一または類似の特性を有する。熱交換器B1、B2は熱交換器A1、A2、A3、A4とは構成が異なるが、熱交換器B1、B2は互いに同一または類似の構成を有し、すなわち、同一または類似の特性を有する。
なお、図3aでは熱交換器A2およびB1のみが分岐を有する。他の熱交換器は、分岐可能な構成であるが、分岐しないように設定されている(言い換えると、2つの分岐流路の一方にすべての流量を配分するように設定されている)ものとする。
図3aにおいて、センサ装置22は、各熱交換器21の入口および出口のうち、一部のみに配置されている。すなわち、各熱交換器21の入力状態および出力状態をすべて測定するためには、センサ装置が不足している。図3aでは、センサ装置が不足している位置を、センサ装置不足位置23として破線で示す。センサ装置不足位置23にはセンサ装置が配置されていない。
図3bに、図3aにおいて実際に配置されている各センサ装置22によって取得される測定状態112の例を示す。
なお熱交換器A3における流量は、熱交換器A1における流量から、熱交換器A4における流量を減算することにより、正確に算出できるものとする。同様に、熱交換器B1において、熱交換器B2とは異なる側に分岐する流量は、熱交換器A4における流量から、熱交換器B2における流量を減算することにより、正確に算出できるものとする。
図3aのように、センサ装置22が限定されている場合にも、各機器モデル110に対してモデルパラメータが調整できるようにすることが有益である。
<サイバーフィジカルシステム1のパラメータ調整>
図4は、本実施例に係るサイバーフィジカルシステム1によるパラメータ調整方法のフローチャートである。この方法によれば、センサ装置22が限定されている場合にもパラメータ調整が可能となる。なお、図示以外のステップを含んでもよく、各ステップの順序を変更してもよい。
図4は、本実施例に係るサイバーフィジカルシステム1によるパラメータ調整方法のフローチャートである。この方法によれば、センサ装置22が限定されている場合にもパラメータ調整が可能となる。なお、図示以外のステップを含んでもよく、各ステップの順序を変更してもよい。
ステップS100において、サイバーフィジカルシステム1のモデル結合器200は、複数の機器モデル110のうち、特定の機器グループに含まれる複数の機器モデル110を結合して結合モデル120を生成する。結合モデル120は、科学法則に従い、少なくとも1つの機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、対応する機器グループの推定出力状態を計算するためのモデルである。結合モデル120の具体的な生成方法は、図5等を参照して後述する。
ステップS200において、サイバーフィジカルシステム1のパラメータ推定器300は、結合モデル120のパラメータを推定する。具体的な推定処理は、たとえば公知のデータ同化を用いて行うことができる。
ステップS300において、サイバーフィジカルシステム1のパラメータ更新器400は、ステップS200で推定されたパラメータに基づき、結合モデル120を構成する機器モデル110のパラメータ(すなわちkの値)を更新する。
ステップS400において、サイバーフィジカルシステム1は、調整を終了するか否かを判断する。判断基準は当業者が適宜決定可能であり、たとえば事前に定義される所定の終了条件を満たすか否かを基準とすることができる。調整を終了する場合には、図4の処理は終了する。調整を終了しない場合には、処理はステップS200に戻る。
このように、サイバーフィジカルシステム1は、機器モデル110のそれぞれに対して独立にパラメータ調整を行うのではなく、結合モデル120のパラメータを推定することにより、間接的に各機器モデル110のパラメータを調整する。このため、機器モデル110のすべてについて測定状態112を取得する必要はなく、センサ装置が一部不足していても対応可能な場合がある。なお、従来技術(たとえば特許文献1および特許文献2)に係る方法では、このようにセンサ装置が不足している場合にはパラメータ調整を行うことができない。
<結合モデル120の生成>
図5に、ステップS100におけるより詳細な処理の例を示す。図5の処理が開始される前に、サイバーフィジカルシステム1は、各機器モデル110について所定の初期方程式(たとえば上記(式1)のような変数を含む具体的な方程式)を記憶する。初期方程式はユーザが適宜設計し入力することができる。また、サイバーフィジカルシステム1は、初期方程式に含まれる変数の値を含むデータ130(図7a等を参照して後述する)を記憶する。データ130は、各機器モデル110について、実出力状態と、bおよびkとを含む。
図5に、ステップS100におけるより詳細な処理の例を示す。図5の処理が開始される前に、サイバーフィジカルシステム1は、各機器モデル110について所定の初期方程式(たとえば上記(式1)のような変数を含む具体的な方程式)を記憶する。初期方程式はユーザが適宜設計し入力することができる。また、サイバーフィジカルシステム1は、初期方程式に含まれる変数の値を含むデータ130(図7a等を参照して後述する)を記憶する。データ130は、各機器モデル110について、実出力状態と、bおよびkとを含む。
ステップS101において、モデル結合器200は、同一の機器モデル110からなるグループを特定する。ここで、「同一の機器モデル」とは、たとえば、パラメータが同一であるか、または、パラメータが所定範囲内で類似しているものを意味する。この「所定範囲」はユーザが適宜決定可能であり、パラメータが類似している否かは、たとえばデータ130に含まれるパラメータの値の比較に基づいて判定可能である。これにより、たとえば類似の幾何学的特性を有する機器または類似の材料からなる機器のグループが特定される。
なお、複数の機器が互いに同一の機器モデルを有する場合には、それらの機器がプラント2において相互接続されている場合が多い。相互接続の関係は、ユーザが事前にサイバーフィジカルシステム1に入力しておくことができる。サイバーフィジカルシステム1は、2つの機器が相互接続されている場合には、それらのうち前段の機器の機器モデルの出力状態が、後段の機器の機器モデルの入力状態と等しいものとして扱うことができる。すなわち、たとえば後段の機器の入力状態を測定するセンサ装置が存在しない場合には、前段の機器モデルによる推定出力状態を、そのまま後段の機器の入力状態とすることができる。
ステップS102において、モデル結合器200は、ステップS101で特定されたグループそれぞれについて、そのグループに対応する一時モデルを生成する。一時モデルは出力状態を、少なくとも入力状態およびパラメータに基づいて表すモデルである。一時モデルの出力状態、入力状態およびパラメータは、それぞれ、ベクトルの集合X、ベクトルの集合BおよびベクトルKとして表すことができる(いずれも、ベクトルに代えてスカラーを用いる場合を除外しない)。ただし、X⊂[x1,x2,…,xN]であり、B⊂[b1,b2,…,bN,x1,x2,…,xN]であり、Kはk1,k2,…,kNのいずれかであり(たとえばK=k1=k2=…=kN)、xは各機器モデルの出力状態を表し、bは各機器モデルの入力状態を表し、kは各機器モデルのパラメータを表し、Nはそのグループを構成する機器モデルの数を表す。
サイバーフィジカルシステム1は、X、BおよびKを含むデータ140(図7b等を参照して後述する)を記憶する。
ステップS103において、サイバーフィジカルシステム1は、各一時モデルが所定の条件Aを満たすか否かを判定する。たとえば、モデル結合器200は、測定状態112と、一時モデルのXおよびBとを照合するためのテーブル150(図7c等を参照して後述する)を生成する。
テーブル150は、一時モデルに含まれる機器モデルの入力状態および出力状態のうち、一時モデルの出力状態(たとえば、一時モデルの最後段に位置する機器モデルの出力状態)について、実出力状態を決定するために必要な測定状態(センサ装置により直接的に取得される場合に限らない)と、推定出力状態を決定するために必要な入力状態とを含む。テーブル150に基づき、測定状態112に基づいてXおよびBを決定することが可能か否かを決定することができる。可能である場合には、モデル結合器200は、その一時モデルが条件Aを満たすと判定する。
一時モデルが条件Aを満たす場合には、ステップS104において、その一時モデルに基づいて結合モデル120が生成され(言い換えると、その一時モデルは結合モデル120となり)、サイバーフィジカルシステム1に記憶される。一時モデルが条件Aを満たさない場合には、ステップS104は実行されない。
その後、ステップS105において、すべての一時モデルが条件Aについて判定されたか否かが判定され、すべて判定されていれば図5の処理は終了する。判定されていない一時モデルが残っている場合には、処理はステップS103に戻る。
結合モデル120は、すでに定義されている一時モデルに基づいて生成される(たとえば一時モデルと同一のモデルとすることができる)ので、結合モデル120に関する値(X、BおよびK等)はデータ140(図7b)のものを利用可能である。とくに、結合モデル120の入力状態および出力状態(実出力状態)は、少なくとも1つのセンサ装置22の測定状態112に基づいて取得可能である。
<結合モデルの例>
図6に、図3aのプラント2についてステップS100を実行した結果の例を示す。第1グループは、熱交換器A1、A2、A3およびA4を含み、これらに対応する機器モデルを含む結合モデル120が構成される。第2グループは、熱交換器B1およびB2を含み、これらに対応する機器モデルを含む結合モデル120が構成される。
図6に、図3aのプラント2についてステップS100を実行した結果の例を示す。第1グループは、熱交換器A1、A2、A3およびA4を含み、これらに対応する機器モデルを含む結合モデル120が構成される。第2グループは、熱交換器B1およびB2を含み、これらに対応する機器モデルを含む結合モデル120が構成される。
本実施例に係る構成を従来技術と比較すると、特許文献2の技術は、複数の機器モデルを結合しないので、図6に示すような結合モデル120を得ることができない。また、特許文献1の技術は、同じモデルの過去のバージョンと現在のバージョンとを組み合わせて機器の追加および除去を発見するものであり、図6のように複数の機器モデルを結合して結合モデル120を生成することはできない。
図7aは、各機器モデルに関する変数の初期値を含むデータ130の例を示す。モデル結合器200は、このデータ130を用いてステップS101を実行することができる。たとえば、データ130において、ある熱交換器の機器モデルのkの値と、別の熱交換器の機器モデルのkの値とがすべて同一であれば、それらの機器モデルは互いに同一であると判定することができる。
図7bは、一時モデルのX、BおよびKを含むデータ140の例を示す。この例は、とくに図3aの構成に対応する。データ140はステップS102において用いることができる。
図7cは、条件Aの判定に用いられるテーブル150の例を示す。テーブル150はステップS103において用いることができる。テーブル150は、各一時モデルの各変数(BおよびX)が決定可能であるか否かを示す。テーブル150は、図7bに示すBおよびXと、図3bに示す測定状態112とに基づいて生成可能である。
図8は、サイバーフィジカルシステム1のディスプレイ500が表示する図(プロセスフロー図)の例を示す。この図は、とくに、結合モデルと、結合モデルの出力状態(推定出力状態)と、結合モデルを構成する各機器モデルと、当該各機器モデルの出力状態(推定出力状態)とを表す。
このようなプロセスフロー図を表示することにより、ユーザは、結合モデル120の構成を理解することができ、また、どの位置の測定状態が取得可能であるかを知ることができる。さらに、どの位置の出力状態がシミュレータ100により推定されるかを知ることができる。
<シミュレーション出力>
図9は、ディスプレイ500が表示する出力状態の例を示す。ディスプレイ500は、機器モデル110または結合モデル120の推定出力状態の時系列トレンド160を表示する。時系列トレンド160を表示することにより、ユーザは、センサ装置を用いて実出力状態を測定することなく、プラント2の動的状態(温度、流量、圧力、濃度、等)を知ることができる。また、実出力状態が利用可能である場合には、時系列トレンド160との比較により、ユーザはシミュレータ100の精度を連続的に評価することができる。
図9は、ディスプレイ500が表示する出力状態の例を示す。ディスプレイ500は、機器モデル110または結合モデル120の推定出力状態の時系列トレンド160を表示する。時系列トレンド160を表示することにより、ユーザは、センサ装置を用いて実出力状態を測定することなく、プラント2の動的状態(温度、流量、圧力、濃度、等)を知ることができる。また、実出力状態が利用可能である場合には、時系列トレンド160との比較により、ユーザはシミュレータ100の精度を連続的に評価することができる。
<パラメータ推定器300によるデータ同化>
以下、データ同化を用いた場合のステップS200およびS300の詳細な例について、図3aの構成を例にとって説明する。
以下、データ同化を用いた場合のステップS200およびS300の詳細な例について、図3aの構成を例にとって説明する。
図10に、ステップS200におけるより詳細な処理の例を示す。以下では、図6に示す2つのグループについてh1およびh2の値を推定する場合を説明するが、結合モデル120の他のパラメータを推定する場合についても同様である。
ステップS200は、ステップS201およびS202を含む。まずステップS201において、パラメータ推定器300は、結合モデル120を評価することにより、少なくともBおよびKの現在の値に基づいて、Xの値(推定出力状態)を推定して取得する。ここで、結合モデル120については条件Aが満たされているはずなので(ステップS103)、Bの値は、プラント2のセンサ装置22によって実際に測定された測定状態112を用いて決定することができる。
なお、Xの値は、各機器モデル110の推定出力状態として取得することもでき、結合モデル120の推定出力状態(図7bにおける各グループのX)として取得することもできる。とくに、結合モデル120の推定出力状態を取得することにより、結合モデル120全体に対するデータ同化が可能となる。
ステップS300が少なくとも1回実行された後にステップS200が実行される際には、パラメータh1およびh2の値は、パラメータ更新器400からの結果を用いて定義することができる。それ以外の場合には、これらの値はデータ130(図7a)から取得することができる。他のパラメータについても同様である。
ステップS202において、パラメータ推定器300は、X、h1およびh2の新たな値を推定する。ここで、結合モデル120については条件Aが満たされているはずなので(ステップS103)、Xの値について、プラント2のセンサ装置22によって実際に測定された測定状態112が利用可能である。したがって、パラメータ推定器300は、結合モデル120の推定出力状態に対応する機器の実出力状態を、少なくとも1つのセンサ装置22の測定状態112に基づいて取得することができる。このように、ステップS202において、推定されたX(推定出力状態)と、実際に測定されたX(実出力状態)とに基づき、データ同化処理を実行することが可能である。
データ同化処理において、パラメータ推定器300は、結合モデル120の推定出力状態と、対応する機器の実出力状態との差を計算する。そして、その差に基づき、結合モデル120のモデルパラメータを推定する。
データ同化の具体的な処理内容は、当業者が適宜設計可能であるが、たとえばパラメータ推定器300は、図1に示すように、拡張形カルマンフィルタ、アンサンブルカルマンフィルタ、または粒子フィルタを用いて、データ同化手法を適用して結合モデル120のパラメータを推定するように構成することができる。データ同化処理の具体的な詳細は、公知文献の記載を参照することができるので、ここでは説明を省略する。
<パラメータ推定器300の出力>
データ同化処理を実行することにより、パラメータ推定器300は、h1およびh2の値を推定して出力することが可能である。または、それらの可能な範囲を推定して出力することが可能である。可能な範囲を出力するようにすると、ユーザは、h1およびh2の値に関する不確実性の程度を知ることができる。h1およびh2の値は、たとえば、データ同化によって生成された可能な範囲の上限および下限に基づいて算出する(たとえば上限および下限の平均値とする)ことができる。
データ同化処理を実行することにより、パラメータ推定器300は、h1およびh2の値を推定して出力することが可能である。または、それらの可能な範囲を推定して出力することが可能である。可能な範囲を出力するようにすると、ユーザは、h1およびh2の値に関する不確実性の程度を知ることができる。h1およびh2の値は、たとえば、データ同化によって生成された可能な範囲の上限および下限に基づいて算出する(たとえば上限および下限の平均値とする)ことができる。
図11は、ディスプレイ500が表示するパラメータ推定結果の例を示す。このような推定結果は、ステップS200および/またはS300において出力することができる。この例では、ディスプレイ500は、パラメータ推定器300によって推定されたパラメータ(たとえばh1)について、経時的変化として時系列トレンド210を表示する。
さらに、図11の例では、ディスプレイ500は、パラメータ推定器300によって推定されたパラメータの不確実範囲について、経時的変化を表示する。この経時的変化は、たとえば時系列トレンド220および230として表示される。時系列トレンド220は、ステップS202において推定された可能な値の範囲の上限(最大値)を表す。一方で、時系列トレンド230は、ステップS202において推定された可能な値の範囲の下限(最小値)を表す。
このような時系列トレンド210、220および230を表示することにより、ユーザは、機器の性能の劣化に気づくことができるので、必要な行動を決定することが容易になる。たとえば、熱伝達率h1の継続的な減少は、熱交換器に塵が蓄積している可能性が高いことを意味するので、塵を除去することが必要であると気づくことができる。
本実施例においては、熱交換器21を例として説明したが、変形例として、サイバーフィジカルシステム1は反応器(たとえば化学反応器)に関しても適用可能である。
[実施例2]
実施例2は、実施例1において、結合モデルを構成するためのセンサ装置が不足している場合に、ディスプレイ500が、不足しているセンサ装置の位置を出力するよう変更したものである。以下、実施例1と共通する部分については説明を省略する場合がある。
実施例2は、実施例1において、結合モデルを構成するためのセンサ装置が不足している場合に、ディスプレイ500が、不足しているセンサ装置の位置を出力するよう変更したものである。以下、実施例1と共通する部分については説明を省略する場合がある。
図12は、図4のステップS100におけるより詳細な処理の例を示す。実施例1(図5)と比較すると、ステップS103において一時モデルが条件Aを満たさない場合に、ステップS105の前に実行される処理として、ステップS106およびS107が追加されている。
ステップS106において、モデル結合器200は、一時モデルについて、条件Aを満たすのに不足しているセンサ装置を特定する。言い換えると、モデル結合器200は、当該一時モデルに対応すべき結合モデルの、入力状態および実出力状態をすべて取得するために必要となる、新たなセンサ装置の設置位置を特定する。センサ装置の設置位置は、たとえば関連する機器の入口または出口である。
ステップS106の処理は、たとえばテーブル150(図7c)に基づいて実行することができる。テーブル150に含まれるBまたはXのいずれかが決定不可能である場合には、当該変数に対応するセンサ装置が不足していると判定することができる。
ステップS107において、モデル結合器200は、不足しているセンサ装置に関する情報を表示する。たとえば、そのセンサ装置による測定状態112が決定不可能であることを表す情報を表示してもよい。
図13は、ディスプレイ500がステップS107において表示する図(プロセスフロー図)の例を示す。この例では、熱交換器A3の出力状態を表す測定状態112が利用不可能であるものとする。不足しているセンサ装置として、新たなセンサ装置170に関する情報が表示される。この例では、ディスプレイ500は、プラント2において新たなセンサ装置の設置位置が、熱交換器A3の出口として示される。さらに、この例では、データ180として、不足しているセンサ装置の種類および測定すべき具体的な状態が表示されている。
このような表示により、ユーザは、機器モデルのパラメータの自動調整を行うために、どの種類のセンサ装置をどの位置に設置すれば良いかを知ることができる。
1…サイバーフィジカルシステム(システム)
2…プラント(工業プラント)
21…熱交換器(機器)
22(22a、22b、22c)…センサ装置
23…センサ装置不足位置
100…シミュレータ
110…機器モデル
111…出力状態(推定出力状態)
112…測定状態(実出力状態を表す測定データ)
120…結合モデル
130…データ
140…データ
150…テーブル
160…時系列トレンド
170…新たなセンサ装置
180…データ
200…モデル結合器
210、220、230…時系列トレンド
300…パラメータ推定器
400…パラメータ更新器
500…ディスプレイ(出力装置)
600…入力装置
2…プラント(工業プラント)
21…熱交換器(機器)
22(22a、22b、22c)…センサ装置
23…センサ装置不足位置
100…シミュレータ
110…機器モデル
111…出力状態(推定出力状態)
112…測定状態(実出力状態を表す測定データ)
120…結合モデル
130…データ
140…データ
150…テーブル
160…時系列トレンド
170…新たなセンサ装置
180…データ
200…モデル結合器
210、220、230…時系列トレンド
300…パラメータ推定器
400…パラメータ更新器
500…ディスプレイ(出力装置)
600…入力装置
Claims (8)
- 工業プラントに関するシステムであって、
前記工業プラントは、
複数の機器と、
前記複数の機器の入力状態または出力状態を表す測定データを取得する、少なくとも1つのセンサ装置と、
を備え、
前記システムは、
各前記センサ装置から前記測定データを取得する入力装置と、
各前記機器にそれぞれ対応する機器モデルを評価することにより、各前記機器の推定出力状態を取得するシミュレータと、
前記機器モデルのうち複数を結合して結合モデルを生成するモデル結合器と、
パラメータ推定器と、
パラメータ更新器と、
を備え、
各前記機器モデルは、科学法則に従い、対応する機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、当該機器の推定出力状態を計算するためのモデルであり、
前記結合モデルは、科学法則に従い、少なくとも1つの機器の入力状態およびモデルパラメータに基づいて、対応する機器グループの推定出力状態を計算するためのモデルであり、
同じ前記結合モデルを構成する各前記機器モデルのモデルパラメータは、互いに同一または所定範囲内で類似しており、
前記結合モデルの入力状態および実出力状態は、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得可能であり、
前記パラメータ推定器は、
前記結合モデルの推定出力状態を取得し、
前記結合モデルの推定出力状態に対応する機器の実出力状態を、少なくとも1つの前記センサ装置の測定データに基づいて取得し、
前記結合モデルの推定出力状態と、前記対応する機器の実出力状態との差を計算し、
前記差に基づき、前記結合モデルのモデルパラメータを推定し、
前記パラメータ更新器は、前記パラメータ推定器によって推定されたモデルパラメータに基づき、前記結合モデルを構成する前記機器モデルのうち少なくとも1つについて、当該機器モデルのモデルパラメータを更新する、
システム。 - 前記パラメータ推定器は、前記結合モデルを評価することにより、前記結合モデルの推定出力状態を取得する、請求項1に記載のシステム。
- 前記パラメータ推定器は、拡張形カルマンフィルタ、アンサンブルカルマンフィルタ、または粒子フィルタを用いて、データ同化手法を適用して前記結合モデルのモデルパラメータを推定する、請求項1に記載のシステム。
- 前記システムは出力装置を備え、前記出力装置は、
前記結合モデルと、
前記結合モデルの推定出力状態と、
前記結合モデルを構成する各前記機器モデルと、
前記結合モデルを構成する各前記機器モデルの推定出力状態と、
を表す図を表示する、請求項1に記載のシステム。 - 前記出力装置は、前記パラメータ推定器によって推定されたモデルパラメータと、その不確実範囲とについて、経時的変化を表示する、請求項4に記載のシステム。
- 前記モデル結合器は、前記結合モデルの入力状態および実出力状態をすべて取得するために必要となる、新たなセンサ装置の設置位置を特定する、請求項1に記載のシステム。
- 前記システムは出力装置を備え、
前記出力装置は、前記工業プラントにおいて前記新たなセンサ装置の前記設置位置を示す図を表示する、請求項6に記載のシステム。 - 前記システムはサイバーフィジカルシステムである、請求項1に記載のシステム。
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