JP2024066184A - 情報記録媒体、その加工方法、ならびに情報記録媒体に記録された情報の観察方法 - Google Patents

情報記録媒体、その加工方法、ならびに情報記録媒体に記録された情報の観察方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高度な改竄および偽造防止対策が講じられた情報記録媒体を提供すること。【解決手段】 本発明の情報記録媒体は、基材と、透明保護層と、中間層とが積層され、可視光を反射する第1の反射層と、回折構造を有する回折構造層とを含む情報記録層を、中間層または透明保護層に備える。第1の反射層の一部は、ディメタライズされ、外部からの光が、透明保護層の外面に対する法線方向から、透明保護層に入射した場合、この入射した光によって、回折構造層で回折して得られた回折光のうち、法線方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報が発現し、法線方向以外の方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報とは異なる複数の第2の情報が発現する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、視認効果を有する情報記録媒体、その加工方法、ならびに情報記録媒体に記録された情報の観察方法に関する。情報記録媒体としては、例えば、カード、パスポート、運転免許証等の認証用の情報記録媒体のみならず、これら認証用の情報記録媒体が貼り付けられたラベルやカードも含む。
カード、パスポート、運転免許証等の認証用の情報が記録された情報記録媒体は、個人情報の掲載に加え、偽造防止手段として回折構造や回折構造の一種である光学可変デバイスが内包されて積層一体化され製造される。
内包されて積層一体化されて製造されることで、情報記録媒体が情報カード表面上に転写された形態と比較して、化学薬品や摩耗および直接的な変造に対して非常に強く、基材と一体化されていることによって、不正な手段で取り外されにくいという利点を有する。
この種の情報記録媒体を、不正な改竄や偽造から守るための公知技術として、特許文献1には、レーザ印字が開示されている。レーザ印字は、情報カード内に、特定波長のレーザ光を吸収すると変色する特性を持った中間層を導入し、情報カードに対して、各種条件(例えば、レーザ波長、パルス幅、繰り返し周波数)よりレーザ光を適切なパワーで出力することで、中間層を黒色に変色させて情報を記録する。
レーザ印字により、情報記録媒体個々に対して各々異なる情報、例えば、所有者の顔やサイン、住所等の個人情報等を文字や隠蔽コードをオンデマンドに書き込むことが可能となる。
日本国特許第6107137号明細書 国際公開第2018/216810号公報 国際公開第2017/209113号公報 国際公開第2020/080367号公報
「順応過渡過程における目の感度 実効輝度を用いた視認能力の動的評価法(その1)」、井上容子、伊東克三著、日本建築学会計画系論文集、1995年60巻484号、11~16頁
しかしながら、このような従来の情報記録媒体では、以下のような問題がある。
情報記録媒体に内容される光学可変デバイスの内、特に回折構造を利用しているデバイスは、回折構造が予め形成された版から同一の回折構造を大量複製することによって作製され、特定の領域に対応する回折構造が情報記録媒体に内包される。
すなわち、情報記録媒体に記録されている回折構造は、同一の凹凸版から同一の絵柄を複製することによって作製される。個々に異なる絵柄を作製することは困難であり、共通の絵柄として回折構造が形成される。
このように、回折構造は、共通の絵柄として形成されるので、回折構造を不正に取り出して、個人情報だけを改竄したり、改竄した個人情報の上に、予め取り出した回折構造を再度貼り付けるといった偽造が行われる危険性が高い。加えて、そのような改竄や偽造が行われた形跡を認識することも困難である。
本発明は以上のような事情を鑑みてなされたものであって、高度な改竄および偽造防止対策が講じられた情報記録媒体、およびその情報記録媒体に記録された情報の観察方法を提供することを目的とする。また、そのような情報記録媒体のための加工方法を提供することも目的とする。
本発明の第1の態様は、情報記録媒体であって、基材と、透明保護層と、基材と透明保護層との間に配置され、印字された中間層とが積層される。可視光を反射する第1の反射層と、回折構造を有する回折構造層とを含む情報記録層を、中間層または透明保護層に備える。第1の反射層の一部は、ディメタライズされ、外部からの光が、透明保護層の外面に対する法線方向から、透明保護層に入射した場合、この入射した光によって、回折構造層で回折して得られた回折光のうち、法線方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報が発現し、法線方向以外の方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報とは異なる複数の第2の情報が発現する。
本発明の第2の態様は、第1の態様の情報記録媒体において、外部からの光が、法線方向以外の方向から、透明保護層に入射した場合、この入射した光によって、回折構造層で回折して得られた回折光のうち、法線方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、複数の第2の情報が発現し、法線方向以外の方向から視認される回折光成分と、印字の濃淡および第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報が発現する。
本発明の第3の態様は、第1の態様の情報記録媒体において、第1の情報は、複数の第2の情報よりも十分高い輝度で発現し、第1の情報が視認される間、複数の第2の情報は視認されない。
本発明の第4の態様は、第2の態様の情報記録媒体において、複数の第2の情報は、第1の情報よりも高い輝度で発現し、第1の情報は、複数の第2の情報よりも暗く発現する。
本発明の第5の態様は、第4の態様の情報記録媒体において、複数の第2の情報と、第1の情報とは、最小輝度差弁別閾値曲線に基づいて、輝度の違いから弁別可能である。
本発明の第6の態様は、第1の態様の情報記録媒体において、中間層は、第1の波長域の光を透過し、第1の波長域以外の波長域の光を反射する第2の反射層を備える。
本発明の第7の態様は、第6の態様の情報記録媒体において、回折構造層と第2の反射層との屈折率差を、0.2以上、1.3以下とする。
本発明の第8の態様は、第1の態様の情報記録媒体において、第1の情報は、個人識別情報を含み、複数の第2の情報のうちの何れかの第2の情報は、個人識別情報に関連付けられた隠蔽コードを含み、第1の反射層の30%以上、70%以下をディメタライズすることによって、隠蔽コードを、機械読取可能なコードとする。
本発明の第9の態様は、第6の態様の情報記録媒体のための加工方法において、第1の波長域以外の波長域の光は可視光であり、レーザ光によって、中間層に、キャラクタを含む情報の印字を行う第1の処理と、中間層に、回折構造層を形成する第2の処理と、第1の反射層および第2の反射層の少なくとも一方の少なくとも一部をディメタライズする第3の処理とを含む。
本発明の第10の態様は、第9の態様の加工方法において、第3の処理は、第1の反射層および第2の反射層の少なくとも一方の少なくとも一部を、矩形形状、丸形形状、多角形形状、および波形形状の何れか、またはこれらの任意の組合せ形状に、ディメタライズする第4の処理を含む。
本発明の第11の態様は、第9の態様の加工方法において、レーザ光のパワーを変化させながら、第1の処理と、第3の処理とを実施する。
本発明の第12の態様は、第9の態様の加工方法において、レーザ光の照射位置を変化させながら、第1の処理と、第3の処理とを実施する。
本発明の第13の態様は、第10の態様の加工方法において、第4の処理によるディメタライズを、網点状に、シェーディング状に、または網掛け状に行う処理を含む。
本発明の第14の態様は、第13の態様の加工方法において、ディメタライズが、網点状になされる場合、ディメタライズにおける網点の密度を、シェーディング状になされる場合、ディメタライズにおけるシェーディングの密度を、網掛け状になされる場合、ディメタライズにおける網掛けの密度を可変とする。
本発明の第15の態様は、第13の態様の加工方法において、印字は、ディメタライズと、同一形状および異なるサイズを有する。
本発明の第16の態様は、第15の態様の加工方法において、印字と、ディメタライズとのうち、サイズが大きい方の中に、サイズが小さい方を配置する処理を含む。
本発明の第17の態様は、第15の態様の加工方法において、印字と、ディメタライズとのうち、複数の、サイズが大きい方の間に、サイズが小さい方を配置する処理を含む。
本発明の第18の態様は、第15の態様の加工方法において、印字と、ディメタライズとのうち、サイズが大きい方は、サイズが小さい方よりも、最大で9倍大きい。
本発明の第19の態様は、第1の態様の情報記録媒体に記録された情報を観察する観察方法であって、情報記録媒体の外部から光を、透明保護層の外面に対する法線方向から、透明保護層に入射させることと、発現した第1の情報を、法線方向から観察することと、発現した第2の情報を、法線方向以外の方向から観察することとを含む。
本発明の第20の態様は、第19の態様の観察方法において、外部からの光を、法線方向以外の方向から、透明保護層に入射させることと、発現した第2の情報を、法線方向から観察することとを含む。
本発明の第21の態様は、透明保護層、中間層、情報記録層、および基材を、この順に積層してなる情報記録媒体であって、基材に、有彩色または無彩色のいずれか、または両方によって情報が印刷され、中間層は、レーザを照射されると発色する発色領域を有し、情報記録層は、可視光を反射する反射層と、回折構造を有する回折構造層とを含み、反射層は、レーザを照射されると消失し、情報記録層に、透明保護層の外面に対する法線方向から観察される第1の情報と、法線方向以外の方向から観察される、第1の情報に関連付けられた第2の情報とを記録する。
本発明の第22の態様は、第21の態様の情報記録媒体において、第1の情報は、発色領域における発色濃淡と、反射層において、レーザ照射により消失した消失領域と、レーザ照射により消失していない残存領域との組み合わせからなる除去領域と、回折構造によって法線方向へ射出される回折光との組合せによって形成される。
本発明の第23の態様は、第21の態様の情報記録媒体において、第2の情報は、発色領域における発色濃淡と、反射層において、レーザ照射により消失した消失領域と、レーザ照射により消失していない残存領域との組み合わせからなる除去領域と、回折構造によって法線方向以外の方向へ射出される回折光との組合せによって形成される。
本発明の第24の態様は、第21の態様の情報記録媒体において、第2の情報は、機械読取可能な情報である。
本発明の第25の態様は、第21の態様の情報記録媒体において、発色領域は、単位領域の組み合わせからなり、単位領域は、網点、網掛け、多角形パターン、丸形パターン、細紋パターンのうちのうちの少なくとも何れかによって形成され、単位領域の組み合わせによって、発色領域における発色濃淡を制御する。
本発明の第26の態様は、第22から第25の態様の情報記録媒体の加工方法であって、レーザ制御パラメータを変更しながら、レーザを照射することによって、発色領域の発色濃淡の制御と、消失領域および残存領域の各面積の制御とを行う。
本発明によれば、高度な改竄および偽造防止対策が講じられた情報記録媒体を提供することができる。例えば、チケットやカード、商品タグ、またはパスポートや査証の冊子のページ、紙幣、パッケージ、ラベル、栓などに添付され、視認が可能で、真偽判定が容易に可能な印字およびディメタライズされた情報記録媒体を提供することができる。
本発明によればまた、そのような情報記録媒体に記録された情報の観察方法を提供することができる。
本発明によればさらに、そのような情報記録媒体のための加工方法を提供することができる。
例えば、本発明の第1の態様によれば、透明保護層側から回折構造に正面から光が垂直入射すると、回折構造層において、ある一定の角度範囲において視認可能な文字や絵柄等の任意のパターンに回折光が発現し、観察者はこれを視認する事ができる。
さらに、透明保護層側から情報記録媒体に対して中間層越しにレーザが照射されると、レーザは回折構造を透過し、光透過性を持たない第1の反射層はレーザによって瞬時に消失する。その後、レーザは基材に到達して基材を発色させることで印字の濃淡またはディメタライズの反射率による表現が可能となる。これにより、情報記録媒体に生体情報を含む個別識別情報を基にした加工、もしくは新たに情報を付け加え、第1の情報を発現する事が可能となる。
このように、情報記録媒体は、任意の印字が可能となり、印字後、発色した基材を、中間層、透明保護層越しに観察することが可能となる。したがって、観察角度を変えることで、回折構造による回折光と、発色した基材である印字の濃淡との両方を、同じ面から観察することが可能となる。
さらには、情報記録媒体は、回折構造が基材と透明保護層との間に積層されて一体化されている。よって、回折構造の改竄や偽造を物理的に困難とするのみならず、印字された基材だけを貼り替えても、第1の反射層は先に印字した時の印字濃淡と同じパターンの消失部があるだけで、改竄または偽造が試みられた印字では第1の反射層によって遮られてしまい観察できない。このため、改竄や偽造は極めて困難となる。
本発明の第2の態様によれば、透明保護層側から回折構造に光が斜め方向から入射すると、回折構造層において、ある一定の角度範囲において視認可能な文字や絵柄等の任意のパターンに回折光が発現し、観察者はこれを視認する事ができる。
さらに、透明保護層側から情報記録媒体に対して中間層越しにレーザが照射されると、レーザは回折構造を透過し、光透過性を持たない第1の反射層はレーザによって瞬時に消失する。その後、レーザは基材に到達して基材を発色させることで印字の濃淡またはディメタライズの反射率による表現が可能となる。これにより、情報記録媒体に生体情報を含む個別識別情報を基にした加工、もしくは新たに情報を付け加え、第2の情報を発現させる事が可能となる。
本発明の第3の態様によれば、回折構造層は透明保護層側の正面から光が入射すると、回折構造層において透明保護層側の正面で視認可能な回折光と印字の濃淡もしくはディメタライズの反射率より発現して、第1の情報を強調または補佐するように表示される。さらには、複数の第2の情報は、第1の情報の輝度により視認されない。このため、改竄や偽造は極めて困難となる。
本発明の第4の態様によれば、回折構造層は透明保護層側の斜めから光が入射すると、回折構造層において透明保護層側の斜めで視認可能な回折光と印字の濃淡もしくはディメタライズの反射率より発現して、複数の第2の情報は、基材層により強調もしくは諧調表現で表示され、発現効果が低い第1の情報と共に表示される。このため、改竄や偽造は極めて困難となる。
本発明の第5の態様によれば、回折構造層による第1の情報と複数の第2の情報の表示において、背景輝度と輝度差弁別閾値との関係より、視野輝度に十分順応した定常順応時における最小輝度差弁別閾値曲線に基づいて、背景輝度50cd/mの場合、0.01cd/m以上、0.1cd/m以下で輝度弁別が可能であるので、情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第6の態様によれば、中間層は、第1の波長域の光を透過させ、第1の波長域以外の可視光を反射させる第2の反射層を含むことで、情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第7の態様によれば、回折構造層と第2の反射層との屈折率差を0.2以上、1.3以下に設定することで情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第8の態様によれば、印字の濃淡もしくはディメタライズの反射率から、反射と非反射との組み合わせによって機械読取可能なコードを実現するために、第1の反射層のうち、非反射としたい部位のために、30%以上、70%以下をディメタライズすることができる。
本発明の第9の態様によれば、回折構造を有する回折構造層と、レーザを照射されると消失し可視光を反射する第1の反射層および第2の反射層の少なくとも一方の少なくとも一部において、例えば、表面に780nmから1mmの波長を用いたレーザ光をもって、中間層上にキャラクタを含んだ情報を、炭化もしくは炭化の度合いを制御して印字できる。
また回折構造層を回折構造に応じた形状で印字することができ、例えば、AlやNi、およびAgやTiOの第1の反射層あるいは前記第2の反射層を任意の形状で除去することで、情報記録媒体を加工できる。
本発明の第10の態様によれば、回折構造に応じた形状の印字およびディメタライズパターンは、例えば矩形、丸形、多角形、波形の何れか、またはこれらを任意に組み合わせた形状に印字またはディメタライズすることで、情報記録媒体を加工できる。
本発明の第11の態様によれば、レーザ光のパワー制御によって、印字の濃淡およびディメタライズの反射率を変化させるように、情報記録媒体を加工できる。これによって、複数の第2の情報の諧調表現が可能となり、情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第12の態様によれば、レーザ光の位置制御によって、印字の濃淡およびディメタライズの反射率を変化させるように、情報記録媒体を加工できる。これによって、複数の第2の情報の諧調表現が可能となり、情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第13の態様によれば、ディメタライズを、網点状に、シェーディング状に、または網掛け状に行うことによって、反射率を変化させた情報記録媒体を加工できる。これによって、複数の第2の情報の諧調表現が可能となり、情報記録媒体の真贋判定を容易に行うことができる。
本発明の第14から第18の態様によれば、網点、シェーディング、網掛けのいずれか、あるいは2種類以上組み合わせた形で、幅と径などのパターンの大小の含まれない形態で、最大9倍の大小差を持って組み合わせることで、印字の濃淡またはディメタライズの反射率より、複数の第2の情報の諧調表現や、隠蔽コードを設けることで、情報記録媒体の真贋判定、または機械認証を容易に行うことができる。
さらには、大きなパターンの中に、小さなパターンが含まれるように配置させることによって、情報記録層を基材および中間層から剥がし難くなることで情報記録媒体の偽造防止機能を強化することができる。
本発明の第19の態様によれば、透明保護層側から回折構造に正面から光が垂直入射すると、回折構造層において、正面で視認可能な角度範囲において視認可能な文字や絵柄等の任意のパターンに回折光が発現する。また、印字の濃淡およびディメタライズの反射率より第1の情報に追加した意匠性のある情報も発現させることが可能となる。観察者は、発現した情報を観察ができる。
本発明の第20の態様によれば、透明保護層側から回折構造に光が斜め方向から入射すると、回折構造層において、ある一定の角度範囲において視認可能な文字や絵柄等の任意のパターンに回折光が発現する。また、印字の濃淡およびディメタライズの反射率よりキャラクタを含んだ複数の第2の情報も発現する。観察者はこれを視認する事ができる。
本発明の第21から第23の態様によれば、透明保護層において情報記録層が積層されている界面の反対側界面の法線方向から観察された場合、生体情報などの個人識別情報により形成される第1の情報が発現し、また反対側界面の斜め方向から観察された場合、個人識別情報と関連付けられた、例えばキャラクタ、署名、隠蔽コードにより形成される第2の情報が発現する。これによって、情報記録媒体への形成情報、反射層有無による反射率分布、観察角度に対応した回折光の組合せにより、異なる観察方向にて提示する情報を切り替えることが可能となる。
本発明の第24の態様によれば、機械読取可能な情報を第2の情報として発現させることができる。これによって、情報記録媒体に対する目視観察での真偽判定だけでなく、媒体読取専用装置や汎用的な読取装置、デジタルデバイスのアプリケーション利用等により。情報記録媒体の真偽判定も可能となる。
本発明の第25の態様によれば、レーザ印字濃淡および単位領域における光反射率、回折光成分強度の制御が可能となり、異なる観察方向における呈示情報を明確に切り替えることが可能となる。
本発明の第26の態様によれば、第22から第25の情報記録媒体を加工することができる。
図1は、第1の実施形態に係る情報記録媒体の構成例を示す側断面図である。 図2は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図3は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図4は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図5は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図6は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図7は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図8は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図9は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図10は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図11は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図12は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図13は、印字およびディメタライズの様々な形状の例を示す模式図である。 図14は、印字およびディメタライズを形成するパターンの例を示す模式図である。 図15は、印字およびディメタライズを形成するパターンの例を示す模式図である。 図16は、印字およびディメタライズを形成するパターンの例を示す模式図である。 図17は、情報記録層に記録された第1の情報の観察方法を説明するための図である。 図18は、情報記録層に記録された第2の情報の観察方法を説明するための図である。 図19は、図17の状態において観察される情報記録媒体の表示例を示す平面図である。 図20は、図18の状態において観察される情報記録媒体の表示例を示す平面図である。 図21は、図18の状態において観察される情報記録媒体の表示例を示す平面図である。 図22は、図18の状態において観察される情報記録媒体の表示例を示す平面図である。 図23は、第1の実施形態に係る情報記録媒体の別の構成例を示す側断面図である。 図24は、第2の実施形態に係る情報記録媒体の構成例を示す側断面図である。 図25は、情報記録媒体の一例を示す平面図である。 図26は、それぞれ情報記録媒体の断面図である。 図27は、それぞれ情報記録媒体の断面図である。 図28は、第1の情報と、複数の第2の情報とが発現した情報記録媒体を例示する平面図である。。 図29は、第1の情報あるいは第2の情報が、2次元画像として発現する情報記録媒体の平面図である。 図30は、濃淡表現や細かな表現を実現するために中間層に設けられるサブ単位領域を示す図である。 図31は、単位領域における変調領域の形状および配置のパターンの例を示す図である。 図32Aは、単位領域における変調領域の形状および配置のパターンのさらに別の例を示す図である。 図32Bは、単位領域における変調領域の形状および配置のパターンのさらに別の例を示す図である。 図32Cは、単位領域における変調領域の形状および配置のパターンのさらに別の例を示す図である。
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
(情報記録媒体の構成)
本発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る情報記録媒体の構成例を示す側断面図である。
図1に例示する情報記録媒体10は、透明保護層11と、情報記録層13を含む中間層12と、基材16とをこの順に積層し、熱圧着により一体化することによって、形成される。
情報記録媒体10は、例えば、国民IDカード、外国人在留カード、納税カード等のようなIDカードや、タグや、パスポートの冊子のページのような情報カードとできる。
情報カードの厚さは、例えばJISX6311及びJISX6301(ISO/IEC7810)より、0.18mm以上、0.84mm以下の範囲内とできる。
透明保護層11、中間層12、基材16のいずれかは、積層および接着することで、例えば印刷されたノート、印刷されたページ、印刷されたカードのような被着体に添付することもできる。またホットスタンピングにより被着体に添付することもできる。
情報記録媒体10を構成している各層、すなわち透明保護層11、中間層12、基材16の材料は、例えば熱可塑性ポリマーのようなプラスチックとでき、これら各層は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、およびPE(ポリエチレン)等で形成できる。
特に透明保護層11の材料を、樹脂と滑剤との混合体ともできる。樹脂は、熱可塑性樹脂とでき、具体的には、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂とできる。また、滑剤としてはポリエチレンパウダー、パラフィンワックス、シリコーン、カルナバロウ等のワックスとできる。
基材16の材料には、ポリウレタンアクリレートが好適である。
また、基材16上には、グラビア印刷法やマイクログラビア法等、公知の塗布方法によって、図示しない剥離層を形成できる。剥離層の厚みは、0.5μm以上、5μm以下の範囲とできる。
中間層12は、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレートの混合とすることができ、さらに、レーザ照射により発色する発色領域を有している。中間層12はさらに、可視光を反射し、レーザ照射によりディメタライズされ消失する反射層14と、回折構造を有する回折構造層15とを含んだ情報記録層13を含むことができる。
中間層12は、発色領域を有していることによって、図示しないレーザ照射装置から、情報記録媒体10へレーザ光を照射することで、中間層12への黒印字が可能となる。レーザ照射装置から、例えばパワー、周波数、ワーク速度、および照射間隔のようなレーザ制御パラメータを変えて、レーザ光を情報記録媒体10へ照射することで、黒印字の諧調表現が可能となる。レーザ光の照射位置を変えて、レーザ光を情報記録媒体10へ照射することによっても同様に、黒印字の諧調表現が可能となる。
また、中間層12に、780nmから1mmの波長のレーザ光を照射し、炭化もしくは炭化の度合いを制御しながら、キャラクタを含んだ情報を印字したり、回折構造層15の回折構造に応じた形状を、炭化もしくは炭化の度合いを制御しながら印字することによって、後述する第1の情報および第2の情報を記録できる。この形状は、矩形、丸形、多角形、波形のいずれか1つ、もしくはこれらの2から4種類を組み合わせた形状とすることができる。
第1の情報は、例えば生体情報のような個人識別情報と、輪郭強調や陰影付けされた意匠情報とを含むことができる。第2の情報は、複数とすることができ、個人識別情報に関連付けられたキャラクタ、署名、および隠蔽コードのうち少なくとも何れかを含む。
回折構造層15の材料としては、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリアクリルアクリレートのような硬化ポリマーとできる。
回折構造層15は、単層または複合層とできる。複合層の場合、回折構造層15は、図示しないレリーフ層、中間層(中間層12とは異なる)、アンカー層で構成できる。レリーフ層は、硬化ポリマーとできる。アンカー層は、熱硬化ポリマーとできる。中間層(中間層12とは異なる)は、混合体とできる。
回折構造層15には、以下に説明するように、計算機生成ホログラム(以下、「CGH」と称する)によって計算された位相を記録できる。
CGHによる位相の計算は、特許文献3で開示されている手法を使って行うことができる。したがって、以下では、特許文献3の記載を引用しながら説明する。以下において、括弧付けで示される付番は、特許文献3で使用されている付番である。
すなわち、特許文献3の図1に示されているように、本実施形態における情報記録媒体10に対応する光学フィルム(10)は、基材16に対応する基材(11)の表面に記録面(14)を備え、記録面(14)は、位相角記録領域(18)と、位相角非記録領域(20)とを有する。
記録面(14)上には、特許文献3の図1に示されているように、再生像が再生される各再生点(22)からの視野角θに応じて、計算要素区画(16)がそれぞれ規定される。このように、計算要素区画(16)は、位相角記録領域(18)および位相角非記録領域(20)とは独立して規定されるので、通常は、位相角記録領域(18)および位相角非記録領域(20)と個々に重なり合う。
また、再生点(22)は、複数存在する。したがって、計算要素区画(16)は、複数の再生点(22)の各々に対応して、再生点(22)と同数存在する。
また、再生点(22)は、離間して配置されている。再生点(22)の記録面(14)からの距離は、5mm以上、25mm以下が好ましい。なお、再生点(22)は、記録面(14)から観察者側に再生される場合と、記録面(14)の観察者と反対側に再生される場合とがある。どちらの場合でも、再生点(22)の記録面(14)からの距離は同様に規定できる。
再生点(22)からの視野角θは、下記の(1)式によって定義される。
θ<(A/m) ・・・・(1)
ここで、(λ/2d)≦1である場合、以下の(2)式が得られる。
A=asin(λ/2d)・・・(2)
ただし、λは光の波長、dは単位ブロック(12)の視野角方向における配列間隔、mは3以上の実数である。配列間隔は、単位ブロック(12)の中心間距離とすることができる。
特許文献3の図2では、1つの再生点(22)によって規定される計算要素区画(16)が例示されている。同図に例示されるように、視野角θは、着目する再生点(22)から記録面(14)を見た場合におけるX方向の範囲によって決定され、X方向の最小値Xminと、着目する再生点(22)と、X方向の最大値Xmaxとでなす角2θの1/2となる。なお、X方向、Y方向は、夫々、図中における記録面(14)の右側をX方向、上側をY方向としたユークリッド座標のX座標軸、Y座標軸に相当する。
なお、視野角方向をY方向とした場合における視野角θも同様にして規定される。すなわち、視野角θは、着目する再生点(22)から記録面(14)を見た場合におけるY方向の範囲によって決定され、Y方向の最小値Yminと、着目する再生点(22)と、Y方向の最大値Ymaxとでなす角2θの1/2となる。したがって、単位ブロック(12)の配列間隔dは、視野角方向がX方向である場合には、単位ブロック(12)のX方向の配列間隔dに相当し、視野角方向がY方向である場合には、単位ブロック(12)のY方向の配列間隔dに相当する。
このため、計算要素区画(16)は、一般的には正方形または長方形となる。しかし、計算要素区画(16)を、四角形以外の多角形、または円あるいは楕円としてもよい。多角形では、特に正方形、長方形に加えて、六角形も適している。計算要素区画(16)が正方形または長方形以外である場合には、計算要素区画(16)のX方向の最小値(下限値)を、Xmin、計算要素区画(16)のX方向の最大値(上限値)をXmaxとする。同様に、計算要素区画(16)のY方向の最小値をYmin、計算要素区画(16)のY方向の最大値Ymaxとする。
単位ブロック(12)の形状が、正方形または長方形である場合、実際には、正方形や長方形の角が丸みを帯びた角丸方形となる。また、単位ブロック(12)は、隣接した単位ブロック(12)と融合していても良い。この場合は、各単位ブロック(12)の形状としては、角丸方形であっても、単位ブロック(12)が融合した形状としては、角丸方形とはならず、変形するが、融合により変形しても光学効果は変わらない。単位ブロック(12)は、整然配列されているのが好ましい。整然配列としては、一定範囲の間隔での配列、等間隔の配列とすることができる。典型的な整然配列としては、正方配列や、六方配列である。
視野角θは、上記(1)式から理解されるように、A未満となる。光がこの位相成分を通過し、回折される場合、理論上Aを超えた回折は生じない。したがって、CGHを行う場合、計算範囲を、視野角θを上限として制限すればよい。このように、計算範囲を制限することは、計算時間を短縮することになる。また、仮に、視野角θを超えた範囲について計算を行ったとしても、理論的に存在しない回折の計算を行うだけであるので、その結果はノイズとしてしか寄与しない。しかしながら、視野角θを超えた範囲の計算を行わないので、再生点(22)上における再生像の再生時にノイズは重畳されない。
単位ブロック(12)には、空間周波数の異なる回折格子を、任意の観察位置で3原色が同時に観察できる組合せとして配置できる。
したがって、本実施形態では、回折構造層15における回折格子の面積を各色調整することで、回折光の輝度および彩度が発現可能なように、情報を記録できる。
観察域については、水平方向と垂直方向に分けて視域を考えると、水平方向の視域は、回折格子の工夫により調整が可能であるが、垂直方向は回折光方向で、回折格子の各条件は発色の決定に用いるため、観察域の調整には用いらない。
よって、水平方向の視域の設定について検討する。水平方向の視域を構成する要素として、像数、回折格子の角度及び、画素サイズが関係している。
像数は水平方向の視域を広げるために配置する、斜め回折格子を含む回折格子群の数で、数が多いほど、回折格子の回転角度を細かく設定でき滑らかに再生像の変化をさせることができる。
回折格子の最大角度は複数の回折格子群のうち、傾きが最大となる斜め回折格子の角度で、像数が33像以上の場合、角度を像数で等分した中間の角度の斜め回折格子が配置される。1つの単位ブロックのサイズで、単位ブロックの中を3色分×像数で分割する。
次に、図1の説明に戻って、情報記録媒体10の反射層14について説明する。反射層14は、金属や、金属化合物によって構成され、例えば780nmから1mmの波長域のレーザ光を用いてディメタライズできる。
金属としては、例えば、アルミニウム、銀、スズ、ニッケル、クロム、金の単体、または合金とできる。特にアルミニウムは不働態層を形成するため、耐久性が高く、記録領域に記録された再生像を長期間保持できる。
金属化合物は、波長吸収率が異なる材料として好適であり、具体的には、硫化亜鉛のような金属硫化物、酸化チタン、酸化ケイ素、あるいはアルミナのような金属酸化物、フッ化マグネシムのような金属フッ化物とできる。これら金属化合物は、化学変化しにくく、記録領域に記録された再生像を長期間保持できる。
このような反射層14を形成するために、気相堆積法を適用することができる。
気相堆積法としては蒸着、CVD、スパッタリングを適用できる。反射層14の厚みは、40nm以上、1000nm以下の範囲内が好ましい。40nm以上であれば、レーザエングレービング時に、ディメタライズ後の輪郭がクリアとなる。1000nm以下であれば、レーザエングレービング時等での反射層14の割れを防止できる。
反射層14の反射率は、30%以上、95%以下の範囲内が好ましい。反射率が30%以上であれば、十分な反射が得られる。一方、反射率が、95%よりも高ければ、十分な像の明るさが得られるが、反射層14の加工が困難なる。
(ディメタライズの加工方法)
次に、ディメタライズの加工方法について説明する。
反射層14には、前述した金属化合物のように、波長吸収率が異なる材料が用いられるので、反射層14は、レーザ光の照射によって、部分的に除去(ディメタライズ)される。レーザ光のパワーや、照射位置を変化させながらレーザ光を照射することによって、様々な形状やパターンでディメタライズすることができる。ディメタライズによって、反射層14の反射効果を制御することができる。
図2~図13は、印字20およびディメタライズ21の様々な形状の例を示す模式図である。
印字20およびディメタライズ21は、反射層14の少なくとも一部に、矩形形状(図2、図6、図10)、丸形形状(図3、図7、図11)、波形形状(図4、図8、図12)、および多角形形状(図5、図9、図13)の何れか、またはこれらの任意の組合せ形状になされる。これによって、多種多様な形状で印字20およびディメタライズ21を行うことができる。
また、図2~図13では、印字20およびディメタライズ21は、その領域全体に対して完全になされたようにベタ塗りで例示されているが、本実施形態では、印字20およびディメタライズは、その領域全体に完全になされるのみならず、図14~図16に例示するようなパターンで形成することもできる。
図14~図16は、印字20およびディメタライズ21を形成するパターンの例を示す模式図であって、図14は、網点状のパターンの例を、図15は、シェーディング状のパターンの例を、図16は、網掛け状のパターンの例を示している。
また、パターンの密度は可変であり、本実施形態では、パターンの密度は、10%から100%までの範囲内の何れかとする。図14~図16はそれぞれ、0%から100%まで、20%毎に、網点、シェーディング、および網掛けの密度を変えた状態を示している。100%が、図2~図13に例示されているベタ塗り、すなわち、その領域全体に対して完全に印字またはディメタライズがなされた状態に相当する。また、0%は、印字20およびディメタライズ21がなされていない状態に対応する。
このように印字20およびディメタライズ21を形成するパターンの密度を変えることによって、印字20や、後述する第1および第2の情報の諧調表現が可能となり、画像の濃淡や細かな表現を実現できる。
印字20とディメタライズ21との形状およびサイズの関係としては、特に限定されないが、図3、図7、図11に示すように、同一形状で異なるサイズとすることや、また、図5、図9、図13に示すように、異なる形状で異なるサイズとすることもできる。
印字20とディメタライズ21との位置関係としては、特に限定されないが、図6、図7、図8、図9に示すように、サイズが大きい方の中に、サイズが小さい方を配置する(例えば、印字20の中にディメタライズ21を配置する、あるいはディメタライズ21の中に印字20を配置する)ことや、また、図3、図5、図11、図13のように、複数の、サイズが大きい方の間に、サイズが小さい方を配置する(例えば、複数の印字20の間にディメタライズ21を配置する)こともできる。
また、図10、図11、図12、および図13には、印字20とディメタライズ21とのサイズや、隣接要素間の距離等の例が、例えば単位ブロックの一辺のような基準長さを100%とした場合における相対値で示されている。これによって、例えば、大きなサイズの要素と、小さなサイズの要素との比を、最大9倍までとすることができる。
なお、このようなディメタライズ21や印字20を行う箇所は、事前に加工しておく。
このような反射層14を含む情報記録層13は、中間層12の代わりに、透明保護層11に含めることもできる。
また、情報記録媒体10は、図示しないキャリア上に形成することもできる。この場合、図示しないキャリア上に、図1に示すように積層したり、あるいは積層の一部を、内包へホットスタンピングすることによって、図示しない被着体に添付することもできる。
図示しないキャリアとしては、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムの材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)とできる。またプラスチックフィルムは、樹脂を塗布して形成されたコート層を有してもよい。
(情報の観察方法)
次に、情報記録層13に記録された情報の観察方法について説明する。
図17は、情報記録層13に記録された第1の情報の観察方法を説明するための図である。
図18は、情報記録層13に記録された第2の情報の観察方法を説明するための図である。
図19は、図17の状態において観察される情報記録媒体10の表示例を示す平面図である。
図20~図22は、図18の状態において観察される情報記録媒体10の表示例を示す平面図である。
図19~図22に例示される情報記録媒体10は、身分証に適用された例を示しており、中間層12のうち、情報記録層13が配置されていない場所に、レーザ等によって印字された個人情報を示す印字情報23が表示されている。
図17に示すように、情報記録媒体10の外部の光源22aからの光Iaが、透明保護層11の表面(図17における上側の面)に、透明保護層11の表面に対する法線方向から、すなわち、透明保護層11の表面に対して90°の入射角度で入射した場合、光Iaが、回折構造層15で回折して得られた回折光のうち、法線方向から視認される回折光成分Raと、印字20の濃淡および反射層14のディメタライズ21後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、図19に示すように、第1の情報Jaが発現する。観察者Kaは、第1の情報Jaを、法線方向から観察することができる。
また、光Iaが、回折構造層15で回折して得られた回折光のうち、法線方向以外の方向から視認される回折光成分Rbと、印字20の濃淡および反射層14のディメタライズ21後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報Jaとは異なる複数の第2の情報Jbが発現する。観察者Kbは、複数の第2の情報Jbを、法線方向以外の方向から観察することができる。
第1の情報Jaは、複数の第2の情報Jbよりも十分高い輝度で発現する。したがって、法線方向から観察する観察者Kaは、図19に例示するように、この例では顔写真である第1の情報Jaを視認できるが、複数の第2の情報Jbを視認できない。
なお、光Iaは自然光とすることもできる。この場合、光源22aは不要である。
一方、図18に示すように、情報記録媒体10の外部の光源22bからの光Ibが、透明保護層11の表面に対する法線以外の方向から、すなわち、透明保護層11の表面に斜めに入射した場合、光Ibが、回折構造層15で回折して得られた回折光のうち、法線方向から視認される回折光成分Rbと、印字20の濃淡および反射層14のディメタライズ21後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、複数の第2の情報Jbが発現する。観察者Kaは、複数の第2の情報Jbを、法線方向から観察することができる。
また、光Ibが、回折構造層15で回折して得られた回折光のうち、法線方向以外の方向から視認される回折光成分Raと、印字20の濃淡および反射層14のディメタライズ21後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報Jaが発現する。観察者Kbは、第1の情報Jaを、法線方向以外の方向から観察することができる。
なお、光Ibは自然光とすることもできる。この場合、光源22bは不要である。
第1の情報Jaは、複数の第2の情報Jbよりも低い輝度であるが発現する。したがって、観察者Kaは、図20~図22に例示するように、顔写真である第1の情報Jaに加えて、第2の情報Jbも同時に視認することができる。
なお、第2の情報Jbは、単数に限定されず、情報記録層13には、光源22bからの光Ibの、透明保護層11の表面に対する入射角度に応じて、異なる情報が発現するように第2の情報Jbを記録することもできる。これによって、光Ibの入射角度に応じて、異なる第2の情報Jbを発現させることも可能となる。
これによって、光Ibの入射角度を変化させることに応じて、図20から図21、さらには図21から図22に示すように、複数の第2の情報Jbを、Jb(1)→Jb(2)→Jb(3)というように切り替えながら、表示することが可能となる。
このようにして、観察者Kaは、弱く発現した第1の情報Jaと、強く発現した第2の情報Jbとを視認できるのみならず、特に、第2の情報Jbについては、第2の情報Jb(1)→Jb(2)→Jb(3)というように切り替えながら視認することができる。
なお、第1の情報Jaと、第2の情報Jbとは、例えば非特許文献1に記載されているように、背景輝度と輝度差弁別閾値との関係を使って容易に弁別される。この手法によれば、視野輝度に十分順応した定常順応時における最小輝度差弁別閾値曲線で、背景輝度が50cd/mであれば、第1の情報Jaを0.01cd/m以上、第2の情報Jbを0.1cd/m以下とすることで輝度弁別が可能となる。
ところで、図21および図22に示す第2の情報Jb(2)、Jb(3)は、2次元QRコード(登録商標)およびバーコードのように、機械読取可能なコードによって実現できる。このような機械読取可能なコードは、印字の濃淡もしくはディメタライズの反射率から、反射と非反射との組合せによって実現することができる。具体的には、特許文献4に記載されているように、反射層14のうち、非反射としたい部位を形成するために、反射層14の30%以上、70%以下をディメタライズすることによって実現できる。
また、機械読取可能なコードを実現する照度環境としては、住宅であればJIS照度基準(JIS Z9110-2010)より、50から1,000lx、屋外であれば50から100,000lxが望ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る情報記録媒体10は、第1の情報Jaと、複数の第2の情報Jbとを記録することができ、さらにこれら情報の再生に必要な入射光の入射角度を変えることによって、第1の情報Jaを表示した状態で、複数の第2の情報Jb(例えば、第2の情報Jb(1)、Jb(2)、Jb(3))を切り替えながら表示することが可能となる。これによって、第2の情報Jbに、隠蔽コードを設けることも可能となる。
また、第1の情報Jaおよび第2の情報Jbの輝度や彩度を、印字20の濃淡や反射層14の反射率によって制御することもできる。印字20の濃淡や反射層14の反射率は、図14~図16に例示するように、印字20およびディメタライズ21を形成するパターンや、パターンにおける密度を変えることによって調整できる。
したがって、印字20や、反射層14のディメタライズ21によって、第1の情報Jaおよび第2の情報Jbに、個人識別情報を装飾もしくは補完するデータを記録することも可能となる。例えば、図19~図22に示すように、情報記録媒体10の所有者の顔画像を第1の情報Jaとして常時表示される状態にすることによって意匠性を高めたり、補完するデータとして、第2の情報Jbに、ハッシュ情報を追加することも可能である。
さらには、図2~図13に示すように、印字20およびディメタライズ21のサイズと配置との様々な組み合わせによって、情報記録媒体10の装飾効果の向上や、さらなる情報量の追加も可能となる。
また、情報記録層13は、中間層12内に含まれているので、情報記録媒体10から剥がし難い。仮に、情報記録媒体10から情報記録層13が剥がされ、その情報記録層13を使って偽造品が作られても、剥がされた情報記録層13は、基材16に対してズレていたり、表裏に凹凸が生じるなどにより、第1の情報Jaと第2の情報Jbとは、真正の情報記録媒体10で発現されるようには再現されない。このため、偽造品であると容易に認識できる。
このように、本実施形態に係る情報記録媒体10によれば、高度な改竄および偽造防止対策を実現することも可能となる。
(変形例)
図23は、第1の実施形態に係る情報記録媒体の別の構成例を示す側断面図である。
図23に例示する情報記録媒体10Aは、情報記録層13に代えて情報記録層13Aを備えている。
情報記録層13Aは、反射層14に加えて、さらなる反射層17を備えている。すなわち、情報記録層13Aは、複数の反射層14、17を備えている点が、情報記録層13とは異なる。反射層17も、反射層13と同様に、物理堆積、化学堆積のような堆積により設けることができ、物理堆積は、真空蒸着、スパッタリングとできる。
反射層17は、第1の波長域の光を透過し、第1の波長域以外の波長域の光を反射する。第1の波長域以外の波長域の光は可視光である。
反射層17の厚みは、反射層14の厚みと同一であっても、異なっていてもよい。
情報記録層13Aもまた、中間層12の代わりに、透明保護層11に含めることが可能である。
反射層17は、可視光を反射させ、可視光以外の光を透過させる。回折構造層15と反射層17との屈折率差は、例えば特許文献2に記載されているように、0.2以上、1.3以下とする。
反射層17も、反射層14と同様の材料を適用できる。また、形成方法も、反射層14と同様である。
また、反射層17にも、前述した金属化合物のように、波長吸収率が異なる材料を用いることで、図示しないレーザ照射装置から、レーザ光を情報記録媒体10へ照射することによって、反射層17の一部を除去することができる。これによって、反射層17をディメタライズすることができる。このとき、反射層14にも、前述した金属化合物のように、波長吸収率が異なる材料を用いることで、図示しないレーザ照射装置から、レーザ光を情報記録媒体10へ照射した場合、2層の反射層14、17の両方の一部のみならず、いずれか一方の一部を選択的にディメタライズすることも可能となる。これによって、反射層14と反射層17との反射率を個別に調整することができる。
このように複数の反射層14、17を備えることによって、ディメタライズの調整の自由度をより高めることが可能となる。
[第2の実施形態]
(情報記録媒体の構成)
本発明の第2の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。
図24は、第2の実施形態に係る情報記録媒体の構成例を示す側断面図である。
図24に例示する情報記録媒体10Bは、透明保護層11、中間層12、情報記録層13、および基材16を、この順に積層してなる。
透明保護層11は、図中上面である一方の界面が空気と接しており、情報記録媒体10Bの汚れや傷つきを保護することを目的として設置されている。同時に、情報記録媒体10Bの観察者側となる。
中間層12は、透明保護層11と情報記録層13の間に設けられている。中間層12は、レーザを照射されると発色する発色領域(後述する図26に示す発色領域24)を含んでいる。
情報記録層13は、回折構造を有する回折構造層15と、可視光を反射する反射層14とを含む。また、反射層14は、レーザを照射されると消失する。情報記録層13には、回折構造層15と反射層14とを活用することによって、第1の情報Jaおよび第2の情報Jbを記録している。
また、情報記録層13は、図24に示す例では、透明保護層11、中間層12、基材16と同じ幅に揃えられているが、透明保護層11、中間層12、基材16よりも小さい幅で形成されていてもよい。小さく形成された場合、情報記録層13を情報記録媒体10Bの内部に包埋することが可能となり、偽造模造をより難しくなる。
基材16は、情報記録媒体10B自体の基材である。基材16には、有彩色または無彩色のいずれか、または両方によって情報が印刷された印刷情報19が形成されている。印刷情報19は、図24では基材16の上側に形成されているが、下側に形成されていてもよい。また、基材16の平面上の一部分のみに形成されていてもよい。
情報記録媒体10Bの反りやゆがみを防ぐため、基材16の情報記録層13、または中間層12が形成されていない側の界面に同様に、情報記録層13と同等の情報記録層、中間層12と同等の中間層、透明保護層11と同等の透明保護層の順に各層を形成してもよい。なお、情報は、情報記録層13に記録されていることから、情報記録層13と同等の情報記録層を形成していなくてもよい。
透明保護層11、中間層12、基材16として、プラスチックフィルムを用いることが望ましい。
プラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)。ポリ塩化ビニル(PVC)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET-G)、および、ポリカーボネート(PC)などとできる。このうち、PVC、PET-G、および、PCのいずれかから形成されるプラスチックフィルムは、通常、各種カードのラミネート材やパスポートのラミネート材として用いられる。これらのプラスチックフィルムは、熱や圧力によって一体化させる加工が容易である点で好ましい。
透明保護層11、中間層12、基材16の厚さは、50μm以上、500μm以下であることが好ましく、75μm以上、400μm以下であることがより好ましい。厚さが50μm以上であることによって、物理的な強度が十分となり、取り扱いやすくなる。厚さが500μm以下であることによって、厚さばらつきや撓みが、物品の製造に影響しにくくなる。
中間層12は、前述したように、レーザを照射されると発色する発色領域を含んでいるので、レーザ照射などによる局所的なエネルギー照射によって発色する。これは、例えば、従来のレーザマーキングのように、中間層12を形成するプラスチックフィルム材料に対する局所的なエネルギー照射により、高温となり、炭化することで黒色に発色することで実現される。この際、中間層12を形成するプラスチックフィルム中に、例えば、カーボンブラックのように、レーザ光を吸収する材料が添加されていてもよい。
中間層12の発色は、黒色だけに限らず、白色であってもよいし、特定の色や多色であってもよい。また、発泡材料を添加することによるマイクロバブルを中間層12に形成し、光散乱による白色発色であってもよい。
図24に示す例では、情報記録層13は独立して形成されているとして示されているが、代わりに、中間層12に回折構造層15を直接形成し、反射層14を形成するようにしてもよい。さらには、中間層12が回折構造層15として機能していてもよい。こうすることで、回折構造層15および反射層14が、情報記録媒体10と一体形成され、偽造模造防止効果を高めることができる。
また、図24に示す例では、情報記録層13は、回折構造層15と反射層14との2層で構成されているが、回折構造層15と中間層12との界面の間にまた別の層を形成してもよい。例えば、回折構造層15と中間層12との界面の間に、回折構造層15を保護することを目的とした保護層を形成したり、中間層12と回折構造層15とを接着させるための接着層を形成してもよい。
加えて、反射層14と基材16との界面の間に別の層を形成してもよい。例えば、反射層14を保護することを目的とした保護層や、反射層14を基材16と接着させるための接着層を適宜形成してもよい。
接着層を介して情報記録層13を形成する場合、情報記録層13を、部分転写可能な媒体として形成し、中間層12または基材16に部分転写されることで形成してもよい。こうすることで、情報記録層13を必要な領域にのみ形成することが可能となる。
回折構造層15に用いられる材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、酸変性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂材料、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、メラミン、無機物粒子、エポキシ系樹脂、および、セルロース系樹脂、および、これらの材料の混合、複合、共重合とできる。回折構造層15を形成する材料は、硬化性樹脂とできる。硬化性樹脂は、硬化性前駆体を硬化したものである。硬化性樹脂は、紫外線、熱、電子線により、硬化したものとできる。硬化性前駆体は、熱可塑性とできる。
この硬化性前駆体としては、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を含むモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなど、紫外線硬化性樹脂も用いることができる。モノマーは、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどとできる。オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、および、ポリエステルアクリレートなどとできる。回折構造層15を形成するための硬化性前駆体は、これら以外の材料でもよい。
なお、回折構造層15を形成するための材料は、上述したように、ポリメタクリル酸メチル、酸変性ポリオレフィン、および、メラミンの少なくとも1つを含むことができる。これらの材料は、成形性に優れる。
回折構造層15は単層に限らず、多層であってもよい。多層の回折構造層15は、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の積層体とできる。反射層14と接する界面側を、硬化性樹脂の層とし、その反対側を熱可塑性樹脂の層としてもよい。熱可塑性樹脂は、ポリメタクリル酸メチル、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂とできる。また、多層の回折構造層15は、物性の異なる熱可塑性樹脂の層を含むことができる。または、回折構造層15は無機パウダーまたはポリマーパウダーを含有してもよい。パウダーを含有することで、回折構造層15と中間層12との間の接着強度を調整することができる。そのため、回折構造層15と反射層14と接する界面側を硬化性樹脂の層とし、その反対側を無機パウダーまたはポリマーパウダーを含有する熱可塑性樹脂の層としてもよい。
反射層14は、アルミ(Al)や金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などといった金属材料で形成することが望ましい。こうすることで、回折構造層15により発現する光学効果の輝度が向上し、後述する情報記録媒体10Bの観察方法による判別をより容易にする。
また、金属材料だけでなく、二酸化チタン(TiO)やジルコニア(ZrO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化アルミニウム(AL)といった光透過性のある金属化合物材料で反射層14を形成していてもよい。光透過性のある材料で反射層14を形成することで、情報記録層13が形成されていても、印刷情報19を目視観察可能となる。
さらに、反射層14を多層構成としてもよい。例えば金属材料と金属化合物材料とを積層して反射層14を形成してもよい。この場合、金属材料が部分的に除去されることで、金属材料が形成されていない領域があったとしても、回折構造層15により発現する光学効果の輝度が金属化合物材料により保持され、目視観察時に判別しやすくなる。
金属材料および無機材料により反射層14を形成する際には、真空蒸着法やスパッタリング法といったドライコーティング技術を用いることができる。また、無機材料を形成する場合には、上述のドライコーティング技術に加え、ゾルゲル法などのウェットコーティング技術を用いることで形成する。こうした手法により、金属材料または無機材料の形成膜厚は20nm以上、200nm以下で形成することが望ましい。20nm未満であれば、均一膜として形成させることが難しく、また200nm以上の膜厚で形成すると、情報記録媒体10Bを形成する際のラミネートプロセスなどにより、反射層14に亀裂が発生する可能性が高くなる。加えて、反射層14をレーザ照射により除去する際、高エネルギーが必要となり反射層14以外の領域にもレーザ照射による影響が発生してしまう。
回折構造層15に形成される回折構造の構造パターンとしては、例えばレリーフホログラムがある。周期的な回折格子構造をレリーフホログラムとして形成することで、特定の観察角度にて特定色が目視観察可能となる。また、回折格子構造となっているため、目視観察時に高輝度となり、視認性が向上する。
また、レリーフホログラムとして計算機ホログラム構造を利用することも可能である。こうすることで、あらかじめ計算された立体再生像を情報記録媒体10に形成することが可能となる。
なお、回折構造層15に形成されている構造パターンは回折格子構造だけでなく、光散乱構造、光干渉構造、光吸収構造、光位相変調構造、平坦構造となっていてもよく、それらの組み合わせとなっていてもよい。例えば、各構造がセル配置によって形成されていてもよい。
回折構造層15へ構造パターンを形成する際、上述の各種構造が形成された原板を回折構造層15へ加圧しながら押し当て、加熱、紫外光照射、電子線照射により各種構造をエンボス、転写、形成する。ここで、各種構造の原版は、レーザ描画、電子線描画、切削などの微細加工技術により形成されることが望ましい。フォトリソグラフィー技術によって形成されていてもよい。
また、上述のように中間層12を回折構造層15とする場合、中間層12に対し、原版を加圧しながら押し当て、加熱、紫外光照射、電子線照射により各種構造をエンボス、転写、形成する。
印刷情報19は、伝えるべき情報を付与する為に、任意の色彩で、全面又は文字や絵柄等のパターン状に設けられる。
印刷情報19は、インキを用いて形成できる。インキは、印刷方式に応じて、オフセットインキ、活版インキ、グラビアインキ等とできる。あるいは、組成の違いに応じて、樹脂インキ、油性インキ、水性インキ等とできる。さらに、乾燥方式の違いに応じて、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキ等とできる。インキとして、光の照明角度又は観察角度に応じて色が変化する機能性インキを使用できる。機能性インキは、光学的変化インキ(Optical Variable Ink)、カラーシフトインキ、パールインキ等とできる。
印刷情報19は、トナーを用いた電子写真法によっても形成できる。帯電性を持ったプラスチック粒子に黒鉛及び顔料等の色粒子を付着させたトナーを準備し、帯電による静電気を利用して、トナーを被印刷体に転写させ、これを加熱し定着させることで印刷物を形成できる。
図25は、情報記録媒体10Bの一例を示す平面図である。領域31および領域32は、中間層12においてレーザにより形成された発色領域、あるいは、印刷情報19により形成されている。領域31、32それぞれにおいて、中間層12の発色領域、あるいは印刷情報19単体で形成されていてもよいし、組み合わされて形成されていてもよい。
領域31、32にて形成される情報は、情報記録媒体10の所有者に関する情報であればよく、顔画像、指紋画像、虹彩画像といった2次元画像や、生年月日、性別、出身国、有効期限などの文字、記号情報により形成されていてもよい。また、所有者の情報と紐づいた暗号文字列、彩文パターンによる2次元画像やマイクロ文字となっていてもよい。
領域33からは、第1の情報Jaおよび第2の情報Jbが発現する。領域33の詳細は後述する。
図26および図27は、それぞれ情報記録媒体10Bの断面図であり、図26は、情報記録媒体10Bに対する法線方向から光I1~I4が入射した場合、図27は、斜め方向から光I1~I4が入射した場合を示している。
中間層12には、発色領域24が形成されている。図26、図27に示す例では、発色領域24は、中間層12の透明保護層11との界面側に形成されているが、発色領域24は、中間層12の内部に形成されていてもよい。
また、反射層14には、レーザ照射により反射層14が除去された反射層除去部25が形成される。
図26に示すように、情報記録媒体10Bの法線方向(図中上方向)より光I1、I2、I3、I4が入射した場合、光I1、I2は発色領域24に照射され、発色領域24による呈色に伴った反射光R1が形成される。この際、例えば呈色が黒色であれば、光I1、I2は発色領域24に吸収され、反射光R1の強度が低下し、目視観察時には黒色表現となる。
また、回折構造層15へ入射する光I3は、回折構造層15の構造により光が回折、散乱、干渉し、反射光R2となる。この際、目視観察時に観察角度に伴って所定の呈色が確認できる。例えば、回折構造層15に光散乱構造が成形されていた場合、散乱光として白色光を確認できる。また、回折構造層15に回折格子構造が形成されていた場合、観察角度が連続的に変化するに伴い、回折光による呈色も連続的に変化し、虹色のような光学効果を目視観察できる。さらに回折格子構造が計算機ホログラムにのっとって形成されていた場合は、その再生像を目視観察できる。干渉構造が形成されていた場合、その干渉に伴う色が呈色して観察できる。
光I4が反射層除去部25に照射された場合、図26では印刷情報19に伴った光が反射する。あるいは、反射層除去部25に印刷情報19が形成されていない場合には、基材16に伴った光が反射する。これにより、反射層除去部25による呈色あるいは情報提示が可能となる。
図27に示すように、情報記録媒体10Bの斜め方向(図中左方向)から光I1、I2、I3、I4が入射した場合、光I1、I2は発色領域24に照射され、発色領域24による呈色に伴った反射光R1が形成される。また、図26と同様に回折構造層15へ入射する光I3は、回折構造層15の構造により光が回折、散乱、干渉し、反射光R2となる。この際、目視観察時に観察角度に伴って所定の呈色が確認できる。
例えば、回折構造層15に光散乱構造が成形されていた場合、散乱光として白色光を確認することができる。また、回折構造層15に回折格子構造が形成されていた場合、観察角度が連続的に変化するに伴い、回折光による呈色も連続的に変化し、虹色のような光学効果を目視観察できる。さらに回折格子構造が計算機ホログラムにのっとって形成されていた場合は、その再生像を目視観察できる。干渉構造が形成されていた場合、その干渉に伴う色が呈色して観察できる。
さらに、図27においても、光I4が反射層除去部25に照射された場合、印刷情報19に伴った光が反射する。あるいは、反射層除去部25にて印刷情報19が形成されていない場合には、基材16に伴った光が反射する。これにより、反射層除去部25による呈色あるいは情報提示が可能となる。
このように、発色領域24、回折構造層15、および、反射層除去部25の組み合わせと、入射光I(入射光I1~I4)の入射方向との組み合わせにより、観察角度によって目視観察可能な情報を切り替えることが可能となる。
図28は、第1の情報Jaと、複数の第2の情報Jb(1)、(2)とが発現した情報記録媒体10Bを例示する平面図である。
図28(a)は、情報記録媒体10Bを法線方向から観察した際、領域33に第1の情報Jaが発現した例を示している。図28(a)に示す例では、第1の情報Jaは、「Signature」という文字である。
第1の情報Jaは、領域31、32に形成されている情報記録媒体10Bの所有者の個人情報や、生体情報に紐づけられていることが望ましい。例えば、図28(a)に示す例では、第1の情報Jaは、「Signature」という文字であるが、これは情報記録媒体10Bの所有者の筆跡と一致している。こうした筆跡やサイン情報を、情報記録媒体10Bの領域31、32に掲載してもよい。また、情報記録媒体10の内部にICチップおよびRFIDを埋め込み、チップ内に情報記録媒体10Bの所有者情報を記録していてもよい。
図28(b)、(c)は、情報記録媒体10Bを斜め方向から観察した際、領域33に複数の第2の情報Jbが発現する例を示している。
図28(b)に示す例では、情報記録媒体10Bの所有者の生年月日や発行年月日などの日付情報を表す「YYYYMMDD」が、第2の情報Jb(1)として発現している。一方、図28(c)に示す例では、情報記録媒体10Bの所有者の個人情報、生体情報が、機械読取可能なコードである第2の情報Jb(2)として発現している。
第1の情報Ja、および複数の第2の情報Jb(1)、(2)は、図28(a)、(b)、(c)に示したような情報以外であってもよく、文字情報だけでなく、記号、絵柄、幾何学パターンであってもよい。特に、第2の情報Jbは、機械認証可能な情報を提示していればよく、図28(c)のような1次元バーコードとも、図示しない2次元コードともできる。また、公開鍵方式を用いて暗号化された文字列であってもよい。
さらには、第2の情報Jbを形成するための発色領域24の端部のにじみや、反射層除去部25の端部のにじみ、かけなどの物理複製困難な構造パターンであってもよい。
なお、第1の情報Jaは、図26に示すように、情報記録媒体10の法線方向から、複数の第2の情報Jb(1)、(2)は、図27に示すように、情報記録媒体10の斜め方向から観察した際に目視観察できると述べたが、それぞれ逆の観察方向となっていてもよい。また、第1の情報Jaと、複数の第2の情報Jb(1)、(2)とを目視観察する方向は、第1の情報Jaと複数の第2の情報Jb(1)、(2)とで目視可能な観察角度が異なっていればよく、法線方向であるか否かに限らない。
さらには、図28(a)、(b)、(c)に示す例では、情報記録媒体10Bに対し、X軸を中心に観察角度を回転させているが、Y軸を中心に観察角度を回転させることによって、第1の情報Jaと、複数の第2の情報Jb(1)、(2)との表示切り替えを行っても良い。
第1の情報Ja、および複数の第2の情報Jb(1)、(2)はそれぞれ情報記録媒体10Bの観察角度に対応して各情報を提示する。この際、第1の情報Jaと、複数の第2の情報Jb(1)、(2)との切り替えは、発色領域24、反射層除去部25、回折構造層15による光学効果、およびこれらの組み合わせにより実現される。
図28(a)に示す情報記録媒体10Bを法線方向から観察した場合、法線方向に表示される第1の情報Jaについて説明する。回折構造層15に、斜め方向からの入射光Iが法線方向へ回折、散乱するレリーフ構造が形成されていると、法線方向から観察した場合、回折構造層15による回折、散乱により形成される反射光R2の強度と、発色領域24による反射光R1の強度との関係は、反射光R2>反射光R1となる。
このため、情報記録媒体10Bを法線方向から観察した際、反射光R2による情報が視覚優位となり、第1の情報Jaとして視認される。なお、反射層除去部25の配置によっても、反射光R2の強度は変化するため、第1の情報Jaは反射層除去部25の有無によっても形成される。
次に、図28(b)、(c)に示した情報記録媒体10Bを斜め方向から観察した場合、斜め方向に提示される複数の第2の情報Jb(1)、(2)について説明する。
回折構造層15に、斜め方向からの入射光が法線方向へ回折、散乱するレリーフ構造が形成されていると、斜め方向から観察した場合、回折構造層15による回折、散乱により形成される反射光R2は、斜め方向に射出されない。
一方、発色領域24による反射光R1は拡散光であるため、斜め観察方向に射出される。このため、各反射光強度の関係は、反射光R1>反射光R2となる。これによって、情報記録媒体10Bを斜め方向にて観察した際、反射光R1による情報が視覚優位となり、第2の情報Jb(1)、(2)として視認される。
なお、回折構造層15に、法線方向からの入射光を、斜め方向へ回折、散乱させるレリーフ構造を形成してもよい。この場合、第2の情報Jb(1)、(2)は、回折構造層15からの回折、散乱光によって形成される。また、回折、散乱光の発色領域24による吸収および再拡散も発生する。そのため、反射層除去部25の有無に加え、発色領域24の有無によっても第2の情報Jb(1)、(2)を変調できる。
図29は、領域33において第1の情報Ja、あるいは第2の情報Jbが2次元画像34として発現する情報記録媒体10Bの平面図である。この場合、発色領域24および反射層除去部25を特定単位領域内にて諧調表現することにより、画像の濃淡や細かな表現を実現できる。
図30は、上述した濃淡表現や細かな表現を実現するために中間層12に設けられるサブ単位領域を示す図である。
図30(a)は、サブ単位領域40、41、42それぞれに発色領域50、51、52が形成された例を示している。サブ単位領域40、41、42には、例えば、回折構造層15によって色画素を示す赤、緑、青またはシアン、マゼンタ、イエローを提示する構造50、51、52が形成されている。
図30(a)に例示するように、3画素に相当するサブ単位領域40、41、42が、横並びに配列されていてもよいし、縦並びに配列されていてもよい。
また、サブ単位領域40、41、42はそれぞれ、隣接して設置されても、または離間して設置されていてもよい。さらに、サブ単位領域40、41、42の形状は、直線と曲線との組み合わせで閉じられた領域が形成されていればよく、図30(a)に例示する長方形形状に限定されず、正方形や、他の多角形形状であってもよいし、円形状や、楕円形状とすることもできる。また、後述する図31(a)、(b)、(c)に例示するように、指定されたサブ単位領域が配列された領域によって単位領域44を形成してもよい。
図30(a)に示す例では、第1のサブ単位領域40内に、第1の発色領域50が、第2のサブ単位領域41内に、第2の発色領域51が、第3のサブ単位領域42内に、第3の発色領域52が形成されている。
また、図30(b)に示す例では、第1のサブ単位領域40内に、第1の反射層除去部60が、第2のサブ単位領域41内に、第2の反射層除去部61が、第3のサブ単位領域42内に、第3の反射層除去部62が形成されている。
図30(c)、(d)、(e)は、変調領域53が形成された単位領域43の例を示している。
図30(c)に示す例では、変調領域53は、単位領域44の中心に形成されているが、変調領域53は、図30(d)のように、隅部分に形成されていてもよいし、また、図30(e)のように、複数に分割されて形成されていてもよい。
図30(a)に示す発色領域50、51、52、および図30(b)に示す反射層除去部60、61、62はそれぞれ、サブ単位領域40、41、42の中心部に配置されるように形成されているが、中心からずれて配置されてもよく、例えば図30(d)に示す変調領域53のように、サブ単位領域40、41、42の隅部分に配置されていてもよい。また、図30(e)に示す変調領域53のように、分割して形成されていてもよい。
例えば図30(d)および図30(e)のような構成によれば、発色領域50、51、52は、隣接するサブ単位領域40、41、42の発色領域50、51、52と連続するようになるが、そのように配置されてもよい。同様に、反射層除去部60、61、62も、隣接するサブ単位領域40、41、42の反射層除去部60、61、62と連続するように配置されてもよい。
図31は、単位領域における変調領域の形状および配置のパターンの例を示す図である。
図31(a)は、丸形形状の変調領域54が、正方ピッチで規則的に配列されたパターンを、図31(b)は、三角形形状の変調領域54が、正方ピッチで規則的に配列されたパターンを、図31(c)は、四角形形状の変調領域54と五角形形状の変調領域54とが一列毎に規則的に配列されたパターンをそれぞれ示している。
変調領域54は、このように丸形形状や多角形形状のみならず、曲線と直線とが組み合わされた形状で形成されていてもよい。また、変調領域54の配置は、図31(a)、(b)、(c)に示すような規則的な配列パターンにしたがう配置に限定されず、ランダムであってもよい。
図32A、図32B、図32Cは、単位領域44における変調領域54の形状および配置のパターンのさらに別の例を示す図である。
図32Aは、変調領域54を網点パターンで実現する例を示す図である。図32A(1)、(2)、・・・(6)の順に、単位領域44における網点の総面積である網点密度が高くなる。網点密度が0%である図32A(1)と、100%である図32A(6)とは、網点としての特徴はなくなるが、ここでは説明の都合上、図示している。
図32Bは、変調領域54をハッチングパターンで実現する例を示す図である。図32B(1)、(2)、・・・(6)の順に、単位領域44におけるハッチング(黒帯部分)の総面積であるハッチング密度が高くなる。ハッチング密度が0%である図32B(1)と、100%である図32B(6)とは、ハッチングとしての特徴はなくなるが、ここでは説明の都合上、図示している。
図32Cは、変調領域54をクロスハッチングパターンで実現する例を示す図である。図32C(1)、(2)、・・・(6)の順に、単位領域44におけるクロスハッチング(黒帯部分)の総面積であるクロスハッチング密度が高くなる。クロスハッチング密度が0%である図32C(1)と、100%である図32C(6)とは、クロスハッチングとしての特徴はなくなるが、ここでは説明の都合上、図示している。
図32A、図32B、図32Cに示すように、単位領域44における変調領域54の形状および配置のパターンに関わらず、単位領域44における変調領域54の密度を変化させることによって、諧調表現が可能となり、文字列や画像の濃淡や、細かな表現を実現できるようになる。
なお、変調領域54を諧調表現するにあたり、レーザ照射するパターンを諧調パターンに合わせて編集することが考えられるが、レーザ照射パターンの解像度よりも小さな諧調が必要な場合、照射するレーザ光強度、走査速度、走査間隔の変更、加えてレーザ焦点位置を変更することで実現できる。
このような変調領域54の諧調と、回折構造層15の配置との組み合わせにより、モノクロ文字やモノクロ画像の高精細諧調表現や、カラー文字やカラー画像の高精細諧調表現を、情報記録媒体10の領域33において実現できる。
これによって、情報記録媒体10Bの対偽造防止性を向上することも可能となる。例えば、レーザにより情報記録媒体10Bに発色領域24を直接形成したり、または、反射層除去部25を形成している。このため、仮に、情報記録媒体10Bを削るなどしても、情報記録媒体10Bから情報記録層13を剥がし取ることは極めて困難である。
さらには、万が一、剥がされた情報記録層13を使って偽造や模造が試みられても、情報記録層13は、基材16に対してズレていたり、表裏に凹凸が生じるなどにより、第1の情報Jaと第2の情報Jbとは、真正の情報記録媒体10で発現されるようには再現されない。このため、偽造品であると容易に認識できる。このように、効果的な偽造防止効果を実現できる。
次に、第1および第2の実施形態に係る情報記録媒体を適用して情報カードを製造する実施例について説明する。
(カードの加工)
本実施例では、透明保護層11の材料として、透明ポリカーボネート樹脂シート(厚さ100μm)を、中間層12の材料として、レーザ発色性ポリカーボネート樹脂シート(厚さ100μm)を、基材16の材料として、白色ポリカーボネート樹脂シート(厚さ200μm)をそれぞれ用いた。
次に、中間層12のシート上に、情報記録層13を部分的にホットスタンピングして添付した後、透明保護層11、情報記録層13が接着された中間層12、および基材16を、この順に積層し、180℃のプレートで加熱圧着し、その後冷却した。その後、85×54mmの形状になるように抜き加工をし、カードを得た。
(回折構造層の形成)
このカードの表側に、表側面から5mmの再生距離で、複数の再生点の群として、顔のモチーフを示す第1の情報Jaが表示されるように、回折構造層15を形成した。
(電鋳版の作製)
電子線描画にてレジスト版上に凹凸面としてレリーフ構造を形成されたマスターを形成し、そのマスターの表面に導電膜を堆積により形成した後、電鋳によりシムを複製した。
(転写箔の作製)
PETフィルムのキャリア上に、剥離可能な透明保護層11を塗布し、情報記録層13を形成後、前駆体を乾燥後の厚みが3μmとなるように透明保護層11上に塗布してエンボス層を形成し、そのエンボス層の表面に電鋳により形成された凹凸面を有するシムを熱とUV照射にて加圧し、エンボスすることによって形成された凹凸面により、レリーフ構造をエンボス層に形成した。
その後、レリーフ構造が形成されたエンボス層の表面にアルミニウムの反射層14を真空蒸着により形成した。さらに、反射層14上に、接着材を塗布し、接着層を形成した。なお、これら塗布するための材料は、溶剤で希釈してもよい。
(情報記録、印字、およびディメタライズ)
次に、カードに、図示しないレーザ照射装置の赤外線レーザによって、カードの持ち主の個人情報および関連するハッシュ情報を、中間層12と情報記録層13に記録し、情報カードとした。中間層12には印字、情報記録層13には、印字と、反射層14のディメタライズとによって形成した。
(視認効果)
この情報カードを、点光源下で観察することで、観察者は、この情報カードの正面位置から、第1の情報Jaとして、モチーフや陰影付け、あるいは縁取り印字加工が行われた顔画像である個人情報を視認できた。
さらに、観察者は、この情報カードの斜め位置から、第1の情報Jaに関連するハッシュ情報のような第2の情報Jbとして、印字加工およびディメタライズ加工によって、筆圧の強弱をも濃淡で表現された、情報カードの所有者のサイン情報を視認できた。
以上説明したように、第1および第2の実施形態に係る情報記録媒体を適用して、所望の視認効果を実現する、良好な情報カードを製造できることが確認された。
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、10A、10B・・情報記録媒体、11・・透明保護層、12・・中間層、13、13A・・情報記録層、14・・反射層、15・・回折構造層、16・・基材、17・・反射層、18・・位相角記録領域、19・・印刷情報、20・・印字、21・・ディメタライズ、22・・再生点、22a、22b・・光源、23・・印字情報、24・・発色領域、25・・反射層除去部、31、32、33・・領域、34・・2次元画像、40、41、42・・サブ単位領域、43、44・・単位領域、50、51、52・・発色領域、53、54・・変調領域、60、61、62・・反射層除去部

Claims (26)

  1. 情報記録媒体であって、
    基材と、
    透明保護層と、
    前記基材と前記透明保護層との間に配置され、印字された中間層とが積層され、
    可視光を反射する第1の反射層と、回折構造を有する回折構造層とを含む情報記録層を、前記中間層または前記透明保護層に備え、
    前記第1の反射層の一部は、ディメタライズされ、
    外部からの光が、前記透明保護層の外面に対する法線方向から、前記透明保護層に入射した場合、
    この入射した光によって、前記回折構造層で回折して得られた回折光のうち、前記法線方向から視認される回折光成分と、前記印字の濃淡および前記第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、第1の情報が発現し、前記法線方向以外の方向から視認される回折光成分と、前記印字の濃淡および前記第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、前記第1の情報とは異なる複数の第2の情報が発現する
    ことを特徴とする、情報記録媒体。
  2. 前記外部からの光が、前記法線方向以外の方向から、前記透明保護層に入射した場合、
    この入射した光によって、前記回折構造層で回折して得られた回折光のうち、前記法線方向から視認される回折光成分と、前記印字の濃淡および前記第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、前記複数の第2の情報が発現し、前記法線方向以外の方向から視認される回折光成分と、前記印字の濃淡および前記第1の反射層のディメタライズ後の反射率のうちの少なくとも何れかとに基づいて、前記第1の情報が発現する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記第1の情報は、前記複数の第2の情報よりも十分高い輝度で発現し、前記第1の情報が視認される間、前記複数の第2の情報は視認されない
    ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 前記複数の第2の情報は、前記第1の情報よりも高い輝度で発現し、前記第1の情報は、前記複数の第2の情報よりも暗く発現する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の情報記録媒体。
  5. 前記複数の第2の情報と、前記第1の情報とは、最小輝度差弁別閾値曲線に基づいて、輝度の違いから弁別可能である
    ことを特徴とする、請求項4に記載の情報記録媒体。
  6. 前記中間層は、第1の波長域の光を透過し、前記第1の波長域以外の波長域の光を反射する第2の反射層を備えた
    ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録媒体。
  7. 前記回折構造層と前記第2の反射層との屈折率差を、0.2以上、1.3以下とした
    ことを特徴とする、請求項6に記載の情報記録媒体。
  8. 前記第1の情報は、個人識別情報を含み、
    前記複数の第2の情報のうちの何れかの第2の情報は、前記個人識別情報に関連付けられた隠蔽コードを含み、
    前記第1の反射層の30%以上、70%以下をディメタライズすることによって、前記隠蔽コードを、機械読取可能なコードとする
    ことを特徴とする、請求項1に記載の情報記録媒体。
  9. 請求項6に記載の情報記録媒体のための加工方法であって、
    前記第1の波長域以外の波長域の光は可視光であり、
    レーザ光によって、
    前記中間層に、キャラクタを含む情報の印字を行う第1の処理と、
    前記中間層に、前記回折構造層を形成する第2の処理と、
    前記第1の反射層および前記第2の反射層の少なくとも一方の少なくとも一部をディメタライズする第3の処理とを含む
    ことを特徴とする、加工方法。
  10. 前記第3の処理は、前記第1の反射層および前記第2の反射層の少なくとも一方の少なくとも一部を、矩形形状、丸形形状、多角形形状、および波形形状の何れか、またはこれらの任意の組合せ形状に、ディメタライズする第4の処理を含む
    ことを特徴とする、請求項9に記載の加工方法。
  11. 前記レーザ光のパワーを変化させながら、前記第1の処理と、前記第3の処理とを実施する
    ことを特徴とする、請求項9に記載の加工方法。
  12. 前記レーザ光の照射位置を変化させながら、前記第1の処理と、前記第3の処理とを実施する
    ことを特徴とする、請求項9に記載の加工方法。
  13. 前記第4の処理によるディメタライズを、網点状に、シェーディング状に、または網掛け状に行う処理を含む
    ことを特徴とする、請求項10に記載の加工方法。
  14. 前記ディメタライズが、前記網点状になされる場合、前記ディメタライズにおける網点の密度を、前記シェーディング状になされる場合、前記ディメタライズにおけるシェーディングの密度を、前記網掛け状になされる場合、前記ディメタライズにおける網掛けの密度を可変とした
    ことを特徴とする、請求項13に記載の加工方法。
  15. 前記印字は、前記ディメタライズと、同一形状および異なるサイズを有する
    ことを特徴とする、請求項14に記載の加工方法。
  16. 前記印字と、前記ディメタライズとのうち、サイズが大きい方の中に、サイズが小さい方を配置する処理を含む
    ことを特徴とする、請求項15に記載の加工方法。
  17. 前記印字と、前記ディメタライズとのうち、複数の、サイズが大きい方の間に、サイズが小さい方を配置する処理を含む
    ことを特徴とする、請求項15に記載の加工方法。
  18. 前記印字と、前記ディメタライズとのうち、サイズが大きい方は、サイズが小さい方よりも、最大で9倍大きい
    ことを特徴とする、請求項15に記載の加工方法。
  19. 請求項1に記載の情報記録媒体に記録された情報を観察する観察方法であって、
    前記情報記録媒体の外部から光を、前記透明保護層の外面に対する法線方向から、前記透明保護層に入射させることと、
    前記発現した第1の情報を、前記法線方向から観察することと、
    前記発現した第2の情報を、前記法線方向以外の方向から観察することと
    を含むことを特徴とする、観察方法。
  20. 前記外部からの光を、前記法線方向以外の方向から、前記透明保護層に入射させることと、
    前記発現した第2の情報を、前記法線方向から観察することと
    を含むことを特徴とする、請求項19に記載の観察方法。
  21. 透明保護層、中間層、情報記録層、および基材を、この順に積層してなる情報記録媒体であって、
    前記基材に、有彩色または無彩色のいずれか、または両方によって情報が印刷され、
    前記中間層は、レーザを照射されると発色する発色領域を有し、
    前記情報記録層は、可視光を反射する反射層と、回折構造を有する回折構造層とを含み、前記反射層は、レーザを照射されると消失し、
    前記情報記録層に、前記透明保護層の外面に対する法線方向から観察される第1の情報と、前記法線方向以外の方向から観察される、前記第1の情報に関連付けられた第2の情報とを記録した
    ことを特徴とする情報記録媒体。
  22. 前記第1の情報は、
    前記発色領域における発色濃淡と、
    前記反射層において、前記レーザ照射により消失した消失領域と、前記レーザ照射により消失していない残存領域との組み合わせからなる除去領域と、
    前記回折構造によって前記法線方向へ射出される回折光と
    の組合せによって形成される
    ことを特徴とする、請求項21に記載の情報記録媒体。
  23. 前記第2の情報は、
    前記発色領域における発色濃淡と、
    前記反射層において、前記レーザ照射により消失した消失領域と、前記レーザ照射により消失していない残存領域との組み合わせからなる除去領域と、
    前記回折構造によって前記法線方向以外の方向へ射出される回折光と
    の組合せによって形成される
    ことを特徴とする、請求項21に記載の情報記録媒体。
  24. 前記第2の情報は、機械読取可能な情報である
    ことを特徴とする、請求項21に記載の情報記録媒体。
  25. 前記発色領域は、単位領域の組み合わせからなり、
    前記単位領域は、網点、網掛け、多角形パターン、丸形パターン、細紋パターンのうちのうちの少なくとも何れかによって形成され、
    前記単位領域の組み合わせによって、前記発色領域における発色濃淡を制御する
    ことを特徴とする、請求項21に記載の情報記録媒体。
  26. 請求項22乃至25のうち何れか一項に記載の情報記録媒体の加工方法であって、
    レーザ制御パラメータを変更しながら、前記レーザを照射することによって、前記発色領域の発色濃淡の制御と、前記消失領域および前記残存領域の各面積の制御とを行う
    ことを特徴とする、加工方法。
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