JP2024066088A - 殺菌チャンバーおよび殺菌処理装置 - Google Patents

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隼士 古川
Junji Furukawa
崇寿 上野
Takatoshi Ueno
和成 清
Kazunari SEI
モハン アマラシリ
Amarasiri Mohan
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Abstract

【課題】装置の大型化を図らずとも養液に対し高電圧を印加でき、養液の効率的な殺菌を可能とする殺菌チャンバーおよび殺菌処理装置を提供する。【解決手段】殺菌チャンバーは、液状物の殺菌処理を行う殺菌処理装置に用いられる殺菌チャンバーであって、円筒形状に形成された電極部材であって上下方向に延びるように配置された第1電極部材と、線状に形成された電極部材であって前記第1電極部材の中心軸線に沿って上下方向に延びるように配置された第2電極部材と、前記第1電極部材の上方に設けられ、外部から流入した液状物を、前記第2電極部材を伝って自然流下するように案内する液状物案内部材と、を備える。【選択図】図2

Description

本件は、殺菌チャンバーおよび殺菌処理装置に関する。
近年、水耕栽培は、土耕栽培に比べて収穫までの期間を短縮でき、また、自然環境に左右されず安定的な収量が見込める等のメリットがあることから注目を集めており、今後一層の市場規模の拡大が予想されている。
水耕栽培の養液は、微生物叢が貧弱で生物的な干渉力が小さいため、病原体が侵入すると、容易に増殖し、急速に病気がまん延する危険性が高いことが知られている。
一方、例えば食品分野では、液状物(牛乳や果汁飲料など)の殺菌装置に、一般的に、パルス電界印加技術が用いられている。
特許文献1には、水耕栽培に用いる養液の殺菌処理装置が開示されている。この殺菌処理装置は、水耕栽培プラントとの間で、定常的に養液を円筒形状の装置に流通させながら殺菌する。
特開2020-010830号公報
上述のパルス電界印加技術による液状物の殺菌の良し悪しは、対象とする液状物に如何に効率よく、殺菌を可能とする電界を印加できるかに依存する。すなわち、液状食品や水耕栽培養液のように電解質成分が高濃度に含まれている液状物に高電界を印加するためには、それ相応の容量を有するパルス電界発生装置が必須となる。パルス電界発生装置の大型化(高容量化)は導入コスト・ランニングコストの増大を招くものである。そのため、殺菌性能を低減させることなく装置を小型化(低容量化)することが望まれている。
本発明は、装置の大型化(大容量化)を図らずとも液状物に高電界を印加でき、液状物の効率的な殺菌を可能とする殺菌チャンバーおよび殺菌処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
すなわち、本発明の一態様は、液状物の殺菌処理を行う殺菌処理装置に用いられる殺菌チャンバーであって、円筒形状に形成された電極部材であって上下方向に延びるように配置された第1電極部材と、線状に形成された電極部材であって前記第1電極部材の中心軸線に沿って上下方向に延びるように配置された第2電極部材と、前記第1電極部材の上方に設けられ、外部から流入した液状物を、前記第2電極部材を伝って自然流下するように案内する液状物案内部材と、を備える殺菌チャンバーである。
また、本発明の一態様は、上述の殺菌チャンバーと、前記第1電極部材及び前記第2電極部材に電気的に接続されて、当該第1電極部材と第2電極部材との間に電界を発生させる電界発生装置と、を備える殺菌処理装置である。
本発明は、装置の大型化を図らずとも高電界を印加でき、液状物の効率的な殺菌を可能とする。
実施形態に係る水耕栽培システムの全体構成を示す図である。 実施形態に係る殺菌処理装置の全体構成を示す図である。 実施形態に係る殺菌チャンバーの上側の構成を示す図である。 実施形態に係る殺菌チャンバーの下側の構成を示す図である。 実施形態に係る殺菌チャンバー内の電界強度の分布を示すグラフ図である。
<実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る殺菌処理装置について、図1~図5を参照しながら説明する。
(水耕栽培システムの全体構成)
図1は、実施形態に係る水耕栽培システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、水耕栽培システム1は、水耕栽培プラント2と、殺菌処理装置3と、養液タンク4とを備える。
水耕栽培システム1は、水耕栽培プラント2からオーバーフローした養液を殺菌処理装置3に導水し、処理後に養液タンク4を経由して水耕栽培プラント2に戻す連続式システムである。
水耕栽培プラント2は、養液タンク4から供給される養液を区画内に貯めて、同区画内内に配列された農作物に栄養を与えるエリアである。
殺菌処理装置3は、水耕栽培プラント2で使用された養液(殺菌前養液)を流入して殺菌する装置である。図1に示すように、殺菌処理装置3は、パルス電界発生装置3Aと、殺菌チャンバー3Bとを有している。
(殺菌処理装置の全体構成)
図2は、実施形態に係る殺菌処理装置の全体構成を示す図である。
次に、図2を参照しながら、殺菌処理装置3の構成について詳しく説明する。
図2に示すように、殺菌処理装置3は、パルス電界発生装置3Aが殺菌チャンバー3Bに電気的に接続されてなる。
パルス電界発生装置3Aは、殺菌チャンバー3Bの線状電極30(後述)を陽極とし、円筒型電極31(後述)を陰極とする電極間にパルス電圧を印加する。パルス電界発生装置3Aは、例えば、100Hzまたは400Hz等の周波数でパルス電圧を印加する。
殺菌チャンバー3Bは、液状物である養液の殺菌処理を行う。
殺菌チャンバー3Bは、線状電極30と、円筒型電極31と、上側固定部材32と、下側固定部材33とを有して構成される。
線状電極30は、パルス電界発生装置3Aの陽極端子(+)に接続されて陽極として機能する。また、円筒型電極31は、パルス電界発生装置3Aの陰極端子(-)に接続されて陰極として機能する。
線状電極30は、線状に形成された金属製部材(例えば、タングステン)で、円筒型電極31の中心軸線に沿って上下方向(±Z方向)に延在する。線状電極30は、例えば直径1.0mm以下、好ましくは、直径0.5mm以下とされた線状電極である。
円筒型電極31は、円筒形状に形成された金属製部材(例えば、ステンレス)で、上下方向(±Z方向)に延在する。円筒型電極31は、例えば直径50mm以下とされ、好ましくは、直径20mm以下とされた円筒型電極である。
円筒型電極31の上下方向の長さは、例えば、250mm程度とされる。
上側固定部材32および下側固定部材33は、それぞれ、線状電極30および円筒型電極31の上下に配置され、線状電極30と円筒型電極31との位置関係を固定する固定部材である。上側固定部材32および下側固定部材33は、例えば樹脂で形成されることで、線状電極30と円筒型電極31との間が電気的に絶縁された状態となる。
上側固定部材32から下側固定部材33までの間隔は、概ね円筒型電極31の長さ(250mm)と同等となる。養液は、この上側固定部材32から下側固定部材33までを自然流下する間に殺菌されることとなる。
(殺菌チャンバーの上側の構成)
図3は、実施形態に係る殺菌チャンバーの上側の構成を示す図である。
殺菌チャンバーの上側に取り付けられる上側固定部材32の構成については、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、上側固定部材32は、本体部320と、導水管321(液状物案内部材)とを有している。
本体部320の側面には開口部H21が設けられており、当該開口部H21にはコネクタCが取り付けられる。コネクタCを介して接続された導水チューブ(図示せず)から、殺菌対象とする養液Wが本体部320の内部に流入する。
本体部320の下部には、上下方向に延びるように筒状に形成された導水管321が設けられている。この導水管321は、上方から下方にかけて先細るように形成されている。線状電極30は、この導水管321の内側を通りながら上下方向に延びるように配置される。このような構成により、養液Wは、導水管321の下方先端の開口部H22を介して、線状電極30を伝って自然流下する。
また、本体部320の上方には開口部H20が設けられている。開口部H20は、線状電極30を殺菌チャンバー3Bの外側に引き回すための孔である。開口部H20を介して殺菌チャンバー3Bの外側に突出した線状電極30の一部は、パルス電界発生装置3Aと電気的に接続される。
(殺菌チャンバーの下側の構成)
図4は、実施形態に係る殺菌チャンバーの下側の構成を示す図である。
殺菌チャンバーの下側に取り付けられる下側固定部材33の構成については、図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、下側固定部材33は、本体部330を有している。
自然流下した本体部330の上側には線状電極30および当該線状電極30を伝って流下した養液Wを通すための開口部H30が設けられる。本体部330の下方に設けられた開口部H31は、線状電極30を伝って自然流下した養液Wを、殺菌チャンバー3Bの外部に流出させるための孔である。開口部H31から流出した養液Wは、図示しない導水チューブおよびポンプを通じて養液タンク4に送られる。
(殺菌チャンバー内の電界強度)
図5は、実施形態に係る殺菌チャンバー内の電界強度の分布を示すグラフ図である。
図5に示すグラフは、パルス電界発生装置3Aを用いて、電極間にパルス電圧10kVを印加した場合における、線状電極30から円筒型電極31までの間に生じる電界強度の分布の計測結果を示している。本実施形態では、線状電極30(つまり、円筒型電極31の中心軸線)から円筒型電極31内側表面までの距離は10mmとされている。
図5に示されるように、電界強度は、殺菌チャンバー3B内において、線状電極30(中心軸線)に近いほど高く、特に、線状電極30から半径方向2mmまでの領域で20kV/cm近くの高電界が生じていることを有している。
図5に示すような電界強度の分布によれば、線状電極30から半径方向2mmの範囲内に局所的に高い電界が発生することとなるので、当該線状電極30を伝って自然流下する養液W(図3、図4参照)に、効率よく高い電圧(電界)を印加できることがわかる。なお、実験では、この殺菌チャンバー3Bに対し、パルス電圧10kV、周波数400Hzを継続的に印加した場合における消費電力は5W(ワット)前後と計測された。つまり、この殺菌チャンバー3Bによれば、極めて少ない消費電力で、養液に効率よく高電圧を印加できていることが把握される。
(作用・効果)
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る殺菌チャンバー3Bは、養液(液状物)の殺菌処理を行う殺菌処理装置に用いられる殺菌チャンバーであって、円筒形状に形成された電極部材であって上下方向に延びるように配置された円筒型電極31(第1電極部材)と、線状に形成された電極部材であって円筒型電極31の中心軸線に沿って上下方向に延びるように配置された線状電極30(第2電極部材)と、円筒型電極31の上方に設けられ、外部から流入した液状物を、線状電極30を伝って自然流下するように案内する導水管321(液状物案内部材)と、を備えている。
上記構成によれば、殺菌チャンバー3Bの線状電極30(中心軸線)近傍に集中して高電界が発生する構成となる。そのため、養液が、殺菌チャンバー3Bの中心軸線にある線状電極30を伝って自然流下する際、その間に極めて高い電圧が印加される。これにより、装置の大型化を図らずとも高電界を印加でき、液状物の効率的な殺菌を実現できる。
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、本実施形態に係る殺菌チャンバー3Bは、水耕栽培システム1に用いられ、これを循環する養液の殺菌処理を行うものとして説明したが、他の実施形態においてはこれに限られない。
すなわち、他の実施形態においては、殺菌チャンバー3Bは、液状食品(牛乳、果汁飲料など)の殺菌処理に用いられてもよいし、工業用水や排液の殺菌処理にも適用可能である。
1 水耕栽培システム
2 水耕栽培プラント
3 殺菌処理装置
3A パルス電界発生装置
3B 殺菌チャンバー
30 線状電極(第2電極部材)
31 円筒型電極(第1電極部材)
32 上側固定部材
320 本体部
321 導水管(液状物案内部材)
33 下側固定部材
330 本体部
4 養液タンク
W 養液(液状物)

Claims (5)

  1. 液状物の殺菌処理を行う殺菌処理装置に用いられる殺菌チャンバーであって、
    円筒形状に形成された電極部材であって上下方向に延びるように配置された第1電極部材と、
    線状に形成された電極部材であって前記第1電極部材の中心軸線に沿って上下方向に延びるように配置された第2電極部材と、
    前記第1電極部材の上方に設けられ、外部から流入した液状物を、前記第2電極部材を伝って自然流下するように案内する液状物案内部材と、
    を備える殺菌チャンバー。
  2. 前記液状物案内部材は、上下方向に延びるように筒状に形成された導水管を有し、前記第2電極部材は、前記導水管の内側を通るように上下方向に延びる、
    請求項1に記載の殺菌チャンバー。
  3. 前記第2電極部材は、直径0.5mm以下の線状電極である、
    請求項1または請求項2に記載の殺菌チャンバー。
  4. 前記第1電極部材は、直径20mm以下の円筒型電極である、
    請求項1または請求項2に記載の殺菌チャンバー。
  5. 請求項1または請求項2に記載の殺菌チャンバーと、
    前記第1電極部材及び前記第2電極部材に電気的に接続されて、当該第1電極部材と第2電極部材との間に電界を発生させる電界発生装置と、
    を備える殺菌処理装置。
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