JP2024065893A - 処理装置、内視鏡装置、及び処理方法 - Google Patents

処理装置、内視鏡装置、及び処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内視鏡検査の支援が可能な処理装置、内視鏡装置、及び処理方法を提供する。【解決手段】プロセッサ8Pは、内視鏡1の移動経路10X上の基準位置から移動経路10Xに沿って移動する内視鏡1の先端までの距離である距離を取得し、内視鏡1を用いた検査の開始からの経過時間を取得し、この検査に関連するイベントが発生した場合にそのイベントの情報であるイベント情報を取得し、上記距離と上記経過時間と上記イベント情報とを関連付けて記憶する制御を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、処理装置、内視鏡装置、及び処理方法に関する。
特許文献1には、被検体内を内視鏡で撮像して得られた内視鏡画像と、上記被検体内に挿入されている上記内視鏡の挿入部の挿入形状を示す挿入形状情報と、に基づき、上記内視鏡を用いて上記被検体に対して行われている内視鏡検査における検査状況を示す検査状況情報を取得する検査状況情報取得部と、上記検査状況情報取得部により得られた上記検査状況情報に基づき、上記内視鏡検査において上記内視鏡を操作するユーザにより行われる上記挿入部の挿入操作を支援するための操作支援情報を生成する検査支援情報生成部と、上記検査状況情報取得部により得られた上記検査状況情報に基づき、上記内視鏡検査中に上記ユーザにより行われた上記挿入部の挿入操作を含む手技を評価して手技評価情報を生成する手技評価部と、を有する内視鏡検査支援装置が記載されている。
国際公開第2021/149112号
本開示では、内視鏡検査の支援が可能な技術を提供する。
本開示の一態様の処理装置は、内視鏡の移動経路上の基準位置から上記移動経路に沿って移動する上記内視鏡の先端までの距離を取得し、上記内視鏡を用いた検査の開始からの経過時間を取得し、上記検査に関連するイベントが発生した場合に上記イベントの情報であるイベント情報を取得し、上記距離と、上記経過時間と、上記イベント情報とを関連付けて記憶する制御を行う、プロセッサを備えるものである。
本開示の一態様の内視鏡装置は、上記処理装置と上記内視鏡とを備えるものである。
本開示の一態様の処理方法は、内視鏡の移動経路上の基準位置から上記移動経路に沿って移動する上記内視鏡の先端までの距離を取得し、上記内視鏡を用いた検査の経過時間を取得し、上記検査に関連するイベントが発生した場合に上記イベントの情報であるイベント情報を取得し、上記距離と、上記経過時間と、上記イベント情報とを関連付けて記憶するものである。
本開示によれば、内視鏡検査の支援が可能な技術を提供できる。
内視鏡システム200の概略構成を示す図である。 内視鏡1の軟性部10Aの詳細構成を示す部分断面図である。 管状部材17に形成された磁気パターンの詳細を示す模式図である。 図3中のA-A矢視とB-B矢視のそれぞれの断面模式図である。 検出ユニット40の構成例を示す分解斜視図である。 図5に示す検出ユニット40の本体部42Aを方向xから見た模式図である。 貫通孔41内において挿入部10が取り得る位置の一例を示す図である。 磁気検出部43によって検出される磁束密度の一例を示す模式図である。 図8に示す磁束密度をその大きさで分類した結果の一例を示す模式図である。 図8に示す磁束密度をその大きさで分類した結果の別例を示す模式図である。 図3に示す磁極部MA1、MA2の変形例を示すA-A矢視とB-B矢視での断面模式図である。 図11に示す構成の磁極部MA1において発生する磁束線を模式的に示す図である。 内視鏡1を用いて行われる検査における挿入部10の移動経路を説明するための模式図である。 プロセッサ8Pにより関連付けて記録された検査データの表示例を示すグラフである。 第1テーブルデータの一例を示す図である。
図1は、内視鏡システム200の概略構成を示す図である。内視鏡システム200は、検査又は手術等のために体内に挿入して用いられる医療用機器の一例である内視鏡1を有する内視鏡装置100と、検出ユニット40と、を備える。
内視鏡1は、一方向に延びる長尺状の器具であって体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端部に設けられた観察モード切替操作、撮像記録操作、鉗子操作、送気送水操作、吸引操作、又は電気メス操作等を行うための操作部材が設けられた操作部11と、操作部11に隣接して設けられたアングルノブ12と、内視鏡1を光源装置5とプロセッサ装置4にそれぞれ着脱自在に接続するコネクタ部13A,13Bを含むユニバーサルコード13と、を備える。
操作部11には、細胞又はポリープ等の生体組織を採取するための処置具である生検鉗子を挿入する鉗子口が設けられている。なお、図1では省略されているが、操作部11及び挿入部10の内部には、鉗子口から挿入された生検鉗子が挿通される鉗子チャンネル、送気及び送水用のチャンネル、吸引用のチャンネル等の各種のチャンネルが設けられる。
挿入部10は、可撓性を有する軟性部10Aと、軟性部10Aの先端に設けられた湾曲部10Bと、湾曲部10Bの先端に設けられた軟性部10Aよりも硬質の先端部10Cとから構成される。先端部10Cには、撮像素子と撮像光学系が内蔵される。
湾曲部10Bは、アングルノブ12の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部10Bは、内視鏡1が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向及び任意の角度に湾曲でき、先端部10Cを所望の方向に向けることができる。
以下では、挿入部10の延びる方向を長手方向Xと記載する。また、挿入部10の径方向のうちの1つを径方向Yと記載する。また、挿入部10の周方向のうちの1つ(挿入部10の外周縁の接線方向の1つ)を周方向Zと記載する。長手方向Xのうち、内視鏡1の基端(操作部11側)から先端に向かう方向を長手方向X1と記載し、内視鏡1の先端から基端に向かう方向を長手方向X2と記載する。また、径方向Yのうち、一方を径方向Y1と記載し、他方を径方向Y2と記載する。長手方向Xは、径方向Y及び周方向Zとは異なる方向の一つである。径方向Yは、長手方向X及び周方向Zとは異なる方向の一つである。本明細書において、長手方向Xは、第1方向を構成する。また、径方向Yは、第1方向と交差する第2方向を構成する。また、周方向Zは、第1方向及び第2方向とは異なる第3方向を構成する。
図1の例では、内視鏡1は、その挿入部10が、被検者50の肛門50Aから被検者50の体内に挿入されるものである。検出ユニット40は、一例として矩形板状で構成されており、挿入部10を挿通可能な貫通孔41を有する。検出ユニット40は、被検者50の臀部と挿入部10の間(すなわち、挿入部10の移動経路)に配置される。挿入部10は、検出ユニット40の貫通孔41を通って肛門50Aに到達し、ここから被検者50の体内に挿入される。本明細書において、挿入部10は、検出ユニット40に対し相対移動させて用いられる長尺状の器具を構成する。
内視鏡装置100は、内視鏡1と、この内視鏡1が接続されるプロセッサ装置4及び光源装置5からなる本体部2と、撮像画像等を表示する表示装置7と、プロセッサ装置4に対して各種情報を入力するためのインタフェースである入力部6と、各種機能を拡張するための拡張装置8と、を備える。
プロセッサ装置4は、内視鏡1、光源装置5、及び表示装置7を制御する各種のプロセッサ4Pを有する。拡張装置8は、各種処理を行うプロセッサ8Pを有する。プロセッサ4Pとプロセッサ8Pは、それぞれ、ソフトウエア(表示制御プログラムを含むプログラム)を実行して各種機能を果たす汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等である。プロセッサ4Pとプロセッサ8Pは、それぞれ、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。プロセッサ4Pとプロセッサ8Pのそれぞれのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
拡張装置8は、プロセッサ8Pと、図示省略の通信インタフェース(プロセッサ装置4及び後述の検出ユニット40と通信するためのインタフェース)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(hard disk drive)等の記録媒体で構成されるメモリとを備えており、処理装置を構成している。
プロセッサ8Pは、内視鏡1で撮像された撮像画像をプロセッサ装置4から取得し、その撮像画像に対して病変領域を認識する病変認識処理と、その撮像画像に対して鉗子又は針等の処置具が含まれるか否かを認識する処置具認識処理等を行ってもよい。
病変認識処理とは、撮像画像からの病変領域の検出とその検出された病変領域の識別とを行うための処理を言う。病変認識処理のうち、病変領域の検出のための処理を検出処理と言い、病変領域の識別のための処理を識別処理という。病変認識処理は、検出処理を少なくとも含む処理であればよい。病変領域の検出とは、悪性腫瘍又は良性腫瘍等の病変と疑われる病変領域(病変候補領域)を撮像画像の中から見つけ出すことをいう。病変領域の識別とは、検出処理によって検出された病変領域が悪性であるのか、良性であるのか、悪性であればどのような病気であるのか、その病気の進行度合いはどれくらいか、といったように、検出された病変領域の種類又は性質等を見分けることをいう。例えば、病変認識処理と処置具認識処理は、いずれも、機械学習によって生成された認識モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はサポートベクターマシン等)、或いは、撮像画像に対する画像解析によって、実行することができる。
プロセッサ8Pが行う後述の各種処理は、プロセッサ8Pが単独で行ってもよいし、プロセッサ8Pと他のプロセッサとで分担して行ってもよい。他のプロセッサとは、例えば、内視鏡システム200により生成された検査データが記録される検査システム内のサーバのプロセッサ、又は、プロセッサ4P等である。或いは、プロセッサ8Pが行う各種処理を、プロセッサ4Pが行うようにすることも可能である。
図2は、内視鏡1の軟性部10Aの詳細構成を示す部分断面図である。挿入部10の大半の長さをしめる軟性部10Aは、そのほぼ全長にわたって可撓性を有し、特に体腔等の内部に挿入される部位はより可撓性に富む構造となっている。
軟性部10Aは、絶縁性の筒状部材を構成する外皮層18と、外皮層18内に設けられた管状部材17と、を備える。外皮層18は、コーティング層19によってコーティングされている。
管状部材17は、金属を含んで構成され且つ外皮層18により被覆された筒状の第1部材14と、金属を含んで構成され且つ第1部材14に内挿された筒状の第2部材15と、を備える。図2の例では、第2部材15は、金属帯片15aを螺旋状に巻回することにより形成された螺旋管で構成されている。また、第1部材14は、金属線を編組してなる筒状網体で構成されている。長手方向Xに連続的に延在し且つ薄い構造の第1部材14と第2部材15は、塑性加工によって形成されており、これらを構成する金属は、オーステナイト系ステンレスを含む。オーステナイト系ステンレスは、塑性加工していない状態では磁化不能であるが、塑性加工を行うことで磁化可能となっている。このように、第1部材14と第2部材15は、それぞれ、長手方向Xに延在する金属を含む部材を構成している。
外皮層18は、例えばエラストマー等の樹脂で構成されており、内側樹脂層18Aと外側樹脂層18Bの複数層構造となっている。外皮層18は、単層構造であってもよい。第1部材14及び第2部材15において、先端部10C側の端部には口金16Aが嵌合され、操作部11側の端部には口金16Bが嵌合されている。これら口金16A及び口金16Bは、外皮層18によって被覆されている。軟性部10Aは、口金16Aにおいて湾曲部10Bと連結され、口金16Bにおいて操作部11と連結される。
軟性部10Aのうち、管状部材17には、長手方向Xに沿って磁気パターンが形成されている。長手方向Xに沿う磁気パターンとは、負極(S極)と正極(N極)の2種の磁極領域が所定の配列パターンで長手方向Xに並んだものを言う。図2に示すように、第1部材14及び第2部材15の各々には、磁極領域を含む磁極部MAが複数設けられている。磁極部MAには、負極(S極)と正極(N極)の2種の磁極領域のうち、少なくとも一方が形成されている。このように、第1部材14と第2部材15は、それぞれ、長手方向Xに延び且つ磁気パターンが長手方向Xに沿って形成された部材を構成している。
図3は、管状部材17に形成された磁気パターンの詳細を示す模式図である。図4は、図3中のA-A矢視とB-B矢視のそれぞれの断面模式図である。図3及び図4に示すように、管状部材17には、管状部材17の周方向に沿って環状に形成された負極領域17Sを含む磁極部MA1と、管状部材17の周方向に沿って環状に形成された正極領域17Nを含む磁極部MA2が、長手方向Xに交互に並べて設けられている。磁極部MA1の総数と磁極部MA2の総数は同じである。
ここで、図3に示した磁気パターンを持つ管状部材17を含む内視鏡1の製造方法の一例を説明する。まず、周知の方法で、図1に示した構成の内視鏡1を製造する。次に、円筒状コイルを有し、この円筒状コイルに電流を流すことでこの円筒状コイル内に磁界を発生させることのできる磁界発生装置300を準備する。次に、図3に示すように、磁界発生装置300の円筒状コイルに、内視鏡1の挿入部10を先端側から挿入して、操作部11と軟性部10Aとの境界部分までコイルを相対移動させる。この状態で、磁界発生装置300の円筒状コイルに交流電流を流して磁界を形成し、挿入部10を、磁界発生装置300の円筒状コイルから、長手方向X2に一定速で引き抜く工程を行う。この工程により、塑性加工によって生じた管状部材17の磁力を除去して、管状部材17の消磁を行う。なお、この工程では、湾曲部10Bと先端部10Cが円筒状コイルを通過するまで挿入部10を引き抜くようにして、挿入部10の全体を消磁することが好ましい。つまり、内視鏡1の挿入部10において、湾曲部10Bと先端部10Cは、消磁されていることが好ましい。ある領域が消磁されるとは、その領域から検出される磁束密度が地磁気以下となることを言う。
少なくとも管状部材17(軟性部10A)の消磁を行った後、軟性部10Aの長手方向Xの所定位置における外周に磁界発生装置300の円筒状コイルが配置された状態を形成し、その状態で円筒状コイルに交流電流を流して磁界を形成する作業を行う。この作業により、磁界発生装置300の円筒状コイルの両端付近の位置において、管状部材17の周方向の全体にわたって負極領域17Sと正極領域17Nが形成される。その後、円筒状コイルに対する軟性部10Aの長手方向Xの位置をずらしていきながら、この作業を繰り返すことで、図3に示した磁気パターンを管状部材17に形成することができる。
このような製造方法を採用することで、既存の構成の内視鏡1や販売済みの内視鏡1であっても、軟性部10Aの管状部材17に対して任意の磁気パターンを容易に形成することができる。また、軟性部10Aの管状部材17の消磁を行ってから、管状部材17に磁気パターンを形成することで、所望の磁力を持つ磁気パターンを精度よく形成できる。また、円筒状コイルを用いて磁極領域を形成することで、磁極部MAにおいて、管状部材17の外周全体にわたって均一な磁力(磁束密度)を持つ磁極領域を形成できる。なお、図3では、管状部材17における負極領域17Sと正極領域17Nのそれぞれと他の領域との境界線が図示されているが、この境界線は便宜的に示しているものであり、不可視である。なお、プロセッサ8Pがアクセス可能なメモリ(例えば、拡張装置8に設けられたメモリ)には、管状部材17に形成された磁気パターンの情報が記録されることが好ましい。磁気パターンの情報は、管状部材17における2種の磁極領域の位置を示す情報、管状部材17における2種の磁極領域の配列ピッチを示す情報、挿入部10における磁極領域が形成された範囲を示す情報、又は、挿入部10における消磁された領域の位置を示す情報等を含む。挿入部10における消磁された領域は、挿入部10における磁気パターンが形成された領域に隣接する隣接領域を構成する。なお、湾曲部10Bと先端部10Cは、挿入部10における消磁された領域であるが、これらは、磁気パターンが形成されている領域と区別が着くように構成されていればよく、消磁されていることは必須ではない。例えば、磁気パターンとは明らかに異なるパターンや磁力で着磁がなされていてもよい。
図5は、検出ユニット40の構成例を示す分解斜視図である。検出ユニット40は、貫通孔41を有する筐体42と、筐体42に収容された磁気検出部43、磁気検出部44、通信用チップ45、蓄電池46、及び受電用コイル47と、を備える。
筐体42は、厚み方向に貫通する貫通孔41Aを有する矩形平板状の平板部42a、平板部42aの外周縁部から平板部42aの厚み方向に立ち上がる矩形枠状の側壁部42b、及び、平板部42aにおける貫通孔41Aの周縁部から平板部42aの厚み方向に立ち上がる筒状の内壁部42cを有する本体部42Aと、平板部42aと側壁部42bと内壁部42cで囲まれる収容空間を閉じるための矩形平板状の蓋部42Bと、を備える。この収容空間に、磁気検出部43、磁気検出部44、通信用チップ45、蓄電池46、及び受電用コイル47が収容されている。
蓋部42Bには厚み方向に貫通する貫通孔41Bが形成されており、蓋部42Bが上記収容空間を閉じた状態で、貫通孔41Aと貫通孔41Bが内壁部42cの内周部を介して連通して、内視鏡1が挿通可能な貫通孔41が形成される。貫通孔41は、内壁部42cの軸線方向(内視鏡1の挿通される方向)から見て真円形となっていることが好ましい。筐体42は、軽量化及び低コスト化等のために樹脂等で構成されていることが好ましく、収容空間への水分の浸入を防ぐ構造となっていることが好ましい。
磁気検出部43と磁気検出部44は、それぞれ、内壁部42cに近接して配置されており、内壁部42cの軸線に沿った方向x(貫通孔41の軸線に沿った方向)の磁束密度と、貫通孔41の径方向yの磁束密度と、方向x及び径方向yに直交する方向zの磁束密度と、を検出可能な3軸磁気センサである。
内視鏡1の挿入部10が貫通孔41に挿通された状態では、挿入部10の長手方向Xと方向xとが一致し、挿入部10の径方向Yと径方向yとが一致し、挿入部10の周方向Zと方向zとが一致する。したがって、磁気検出部43と磁気検出部44は、それぞれ、挿入部10の長手方向Xの磁束密度BXと、挿入部10の径方向Yの磁束密度BYと、挿入部10の周方向Zの磁束密度BZとを検出可能に構成されている。なお、磁気検出部43と磁気検出部44は、それぞれ、磁束密度BXを検出可能な1軸磁気センサと、磁束密度BYを検出可能な1軸磁気センサと、磁束密度BZを検出可能な1軸磁気センサの3つの磁気センサによって構成されていてもよい。本明細書において、磁束密度BXは、第1磁束密度を構成し、磁束密度BYは、第2磁束密度を構成し、磁束密度BZは、第3磁束密度を構成する。
磁気検出部43と磁気検出部44は、それぞれ、長手方向Xの成分を含む磁束密度と、径方向Yの成分を含む磁束密度と、周方向Zの成分を含む磁束密度を検出できればよく、3つの検出軸方向が、長手方向X、径方向Y、及び周方向Zのそれぞれと完全に一致していなくてもよい。磁気センサにおいて、第1検出軸方向が径方向Y及び周方向Zとは異なっており、第2検出軸方向が長手方向X及び周方向Zとは異なっており、第3検出軸方向が径方向Y及び長手方向Xとは異なっていれば、その磁気センサは、長手方向Xの成分を含む磁束密度を検出でき、径方向Yの成分を含む磁束密度を検出でき、周方向Zの成分を含む磁束密度を検出できる。
図6は、図5に示す検出ユニット40の本体部42Aを方向xから見た模式図である。図6に示すように、磁気検出部43と磁気検出部44は、方向xに見たときの貫通孔41の中心CPを挟んで対向する位置に配置されている。つまり、方向xに見た状態で、磁気検出部43と磁気検出部44を結ぶ線分LLの中点と、貫通孔41の中心CPとは略一致している。換言すると、磁気検出部43から貫通孔41の中心CPまでの距離と、磁気検出部44から貫通孔41の中心CPまでの距離とは略一致している。
図7は、貫通孔41内において挿入部10が取り得る位置の一例を示す図である。図7の状態ST1は、貫通孔41内において、挿入部10が磁気検出部43から径方向Yに最も離れている状態を示している。図7の状態ST2は、貫通孔41内において、挿入部10が磁気検出部44から径方向Yに最も離れている状態を示している。磁気検出部43と磁気検出部44は、それぞれ、図7の状態ST1と状態ST2のいずれにおいても、管状部材17に形成された磁気パターンから磁束密度を高精度に検出できるように、その検出範囲と設置位置が決められている。
本形態では、図6に示すように、内壁部42cにおける中心CPと方向zの位置が同じ部分の厚みが厚みr1となっている。この厚みr1は、一例として0.5mmである。管状部材17に形成される磁極領域の磁力を、挿入部10の外表面から挿入部10の径方向に0.5mm離れた位置で検出される磁束密度で定義すると、この磁力は、地磁気よりも十分に大きい値とし、且つ、一般的な磁気センサの性能に適した値(具体的には500マイクロテスラ)以上とすることが好ましい。また、例えば、図7の状態ST1又は状態ST2において、磁気検出部43と磁気検出部44が磁束密度を高精度に検出できるように、管状部材17に形成される磁極領域の磁力は、1000マイクロテスラから1500マイクロテスラの範囲とすることが、より好ましい。ただし、挿入部10が他の金属にくっつかないように、管状部材17に形成される磁極領域の磁力の上限値は、20ミリテスラ以下とすることが好ましい。一般的な磁気センサの最大感度を考慮すると、管状部材17に形成される磁極領域の磁力の上限値は、2ミリテスラ以下とすることがより好ましい。
図7に示したように、貫通孔41内において挿入部10の位置は変動し得る。しかし、管状部材17から磁気検出部43により検出される磁束密度BXと、管状部材17から磁気検出部44により検出される磁束密度BXの相加平均を求めることで、貫通孔41内において挿入部10がどの位置にある場合でも、磁気パターンに応じた磁束密度BXを検出することが可能となる。同様に、管状部材17から磁気検出部43により検出される磁束密度BYと、管状部材17から磁気検出部44により検出される磁束密度BYの相加平均を求めることで、貫通孔41内において挿入部10がどの位置にある場合でも、磁気パターンに応じた磁束密度BYを検出することが可能となる。同様に、管状部材17から磁気検出部43により検出される磁束密度BZと、管状部材17から磁気検出部44により検出される磁束密度BZの相加平均を求めることで、貫通孔41内において挿入部10がどの位置にある場合でも、磁気パターンに応じた磁束密度BZを検出することが可能となる。
図5に示す通信用チップ45は、磁気検出部43と磁気検出部44のそれぞれにより検出された磁束密度の情報を、無線通信によって拡張装置8に送信する。本明細書において、通信用チップ45は、磁気検出部43及び磁気検出部44により検出された情報を外部に出力する出力部を構成する。この磁束密度の情報は、プロセッサ装置4に送信されてもよく、この場合には、プロセッサ4Pが、その情報を拡張装置8のプロセッサ8Pに転送する。
蓄電池46は、受電用コイル47が非接触給電で受けた電力によって充電される。磁気検出部43、磁気検出部44、及び通信用チップ45は、蓄電池46から供給される電力によって作動する。検出ユニット40は、図示しない起動スイッチを有している。この起動スイッチがオン操作されることで、蓄電池46から磁気検出部43、磁気検出部44、及び通信用チップ45へ電力の供給が開始される。なお、検出ユニット40は、起動スイッチを設けずに、外部からの無線給電を受けて、磁気検出部43、磁気検出部44、及び通信用チップ45へ電力の供給が開始されるように構成してもよい。起動スイッチを設けない場合には、筐体42の収容空間を完全に密閉した構造を容易に実現できる。
図8は、磁気検出部43によって検出される磁束密度の一例を示す模式図である。なお、磁気検出部44によって検出される磁束密度は、図8と同様であるため、図示を省略する。図8に示す2つのグラフは、軟性部10Aが貫通孔41を通って長手方向X1に移動していった場合に、磁気検出部43によって検出される磁束密度BX及び磁束密度BYを示している。図8には、正極領域17Nから、この長手方向Xの隣の負極領域17Sに向かう磁束線が破線矢印にて示されている。
図8中の左上に示した検出ユニット40の貫通孔41に向かって軟性部10A(管状部材17)が移動していく場合、図8のグラフに示すように、磁気検出部43によって検出される磁束密度BXは、各正極領域17Nとその長手方向X1の隣の負極領域17Sとの間ではプラスの値となり、各正極領域17Nとその長手方向X2の隣の負極領域17Sとの間ではマイナスの値となる。また、磁気検出部43によって検出される磁束密度BYは、負極領域17Sの近傍ではマイナスの値且つ絶対値が大きな値となり、正極領域17Nの近傍ではプラスの値且つ絶対値が大きな値となり、負極領域17Sと正極領域17Nの中間位置付近ではゼロに近い値となる。
このように、管状部材17に形成された磁気パターンから、管状部材17の長手方向Xの複数の位置で検出される磁束密度は、磁束密度BXと磁束密度BYがそれぞれ正負の値で周期的に変化するものであり、且つ、磁束密度BXと磁束密度BYの位相が長手方向Xにずれたものとなっている。負極領域17Sのうち、磁束密度BYの絶対値が最大となる長手方向Xの端(図6中の位置P1の部分)を以下では負極端と記載し、正極領域17Nのうち、磁束密度BYの絶対値が最大となる長手方向Xの端(図6中の位置P2の部分)を以下では正極端と記載する。
一例として、磁界発生装置300の円筒状コイルの軸線方向の長さを60mmとし、磁界発生装置300の円筒状コイルの内径を18mmとし、円筒状コイルの長手方向Xへの移動ピッチを144mmとして、上述した方法で管状部材17に対して着磁を行うことで、負極端と正極端間の距離が72mmとなる磁気パターンを形成することができる。図8の例では、例えば、左端の負極領域17Sとその右隣の正極領域17Nの間に円筒状コイルを配置して磁界を形成することで、これら2つの磁極領域を形成できる。そして、その状態から、円筒状コイルを長手方向X2に144mm相対移動させ、その状態で磁界を形成することで、右端の正極領域17Nとその左隣の負極領域17Sを形成できる。このようにすると、長手方向Xに交互に形成された正極端と負極端の間の距離(位置P1と位置P2の間の距離)が72mmとなる磁気パターンを形成できる。
内視鏡システム200において、拡張装置8のプロセッサ8Pは、磁気検出部43及び磁気検出部44により検出された磁束密度の情報を検出ユニット40から取得し、取得した磁束密度BXと磁束密度BYに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定する。ここで判定する挿入部10の移動状態には、検出ユニット40に対し、挿入部10が長手方向Xのどちらの方向に移動している状態なのかを示す移動方向と、検出ユニット40の貫通孔41に挿入された挿入部10が、検出ユニット40に対して長手方向Xにどのくらいの距離移動しているのかを示す移動量(移動距離)と、が含まれる。なお、プロセッサ8Pは、磁気検出部43及び磁気検出部44のそれぞれにより同一タイミングで検出された磁束密度BXを相加平均し、磁気検出部43及び磁気検出部44のそれぞれにより同一タイミングで検出された磁束密度BYを相加平均し、これら相加平均して得た磁束密度BXと磁束密度BYに基づいて、挿入部10の移動状態を判定する。
プロセッサ8Pは、磁束密度BXをその大きさによって、複数の情報に分類し、磁束密度BYをその大きさによって、複数の情報に分類し、磁束密度BXを分類して得られる複数の情報のいずれかと、磁束密度BYを分類して得られる複数の情報のいずれかとの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定する。
具体的には、プロセッサ8Pは、磁束密度BXを2つのレベルに分類するための閾値として、第1閾値th(例えば、“0”)を設定し、磁束密度BYを3つのレベルに分類するための閾値として、第2閾値th1(0より大きい正の値)と第2閾値th2(0より小さい負の値)を設定する。そして、プロセッサ8Pは、磁束密度BXにおいて、第1閾値thよりも大きい値をハイレベルHとし、第1閾値thよりも小さい値をローレベルLとして分類する。また、プロセッサ8Pは、磁束密度BYにおいて、第2閾値th1よりも大きい値をハイレベルHとし、第2閾値th1と第2閾値th2の間の値をミドルレベルMとし、第2閾値th2よりも小さい値をローレベルLとして分類する。磁束密度BXをこのようにして分類した結果を磁束密度BXの分類レベルとも記載し、磁束密度BYをこのようにして分類した結果を磁束密度BYの分類レベルとも記載する。本明細書において、磁束密度BXの分類レベルのうち、ハイレベルは第4情報と第5情報の一方を構成し、ローレベルは第4情報と第5情報の他方を構成する。また、磁束密度BYの分類レベルのうち、ハイレベルは第1情報と第2情報の一方を構成し、ローレベルは第1情報と第2情報の他方を構成し、ミドルレベルは第3情報を構成する。
図9には、図8に示すグラフの磁束密度BXと磁束密度BYを分類した結果(分類レベル)が、太実線で示されている。図9に示すように、管状部材17において、隣り合う2つの位置P1の間(負極端同士の間)の範囲は、磁束密度BXがハイレベルとなり且つ磁束密度BYがローレベルとなる領域R1と、磁束密度BXがハイレベルとなり且つ磁束密度BYがミドルレベルとなる領域R2と、磁束密度BXがハイレベルとなり且つ磁束密度BYがハイレベルとなる領域R3と、磁束密度BXがローレベルとなり且つ磁束密度BYがハイレベルとなる領域R4と、磁束密度BXがローレベルとなり且つ磁束密度BYがミドルレベルとなる領域R5と、磁束密度BXがローレベルとなり且つ磁束密度BYがローレベルとなる領域R6とに分けられる。このように、長手方向Xで隣り合う負極端同士の間の範囲は、磁束密度BXの分類レベルと磁束密度BYの分類レベルの組み合わせによって、6つの領域R1~R6に分けることができる。
プロセッサ8Pは、図9に示した太実線(磁束密度BX,BYの分類レベル)をモニタすることで、挿入部10の検出ユニット40に対する移動方向と、検出ユニット40の位置を起点とした挿入部10の長手方向Xへの移動量(移動距離)と、を判定する。
例えば、管状部材17の最も先端側に設けられた負極領域17Sが貫通孔41を通過した場合に、プロセッサ8Pは、磁束密度BXの分類レベルと磁束密度BYの分類レベルの組み合わせから、管状部材17の最も先端の領域R1が貫通孔41内に位置することを検出し、この位置を基準位置として検出する。管状部材17の最も先端側に設けられた負極領域17Sから、先端部10Cの先端までの長手方向Xの距離(距離L1とする)は既知である。したがって、プロセッサ8Pは、この基準位置を検出すると、検出ユニット40に対する挿入部10の移動距離は“0”と判定し、更に、挿入部10の被検者50の体内への挿入長(基準位置(貫通孔41)から挿入部10の先端までの距離)が距離L1であると判定する。
プロセッサ8Pは、基準位置を検出した後、磁束密度BX,BYの分類レベルにより、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が、領域R1から領域R6に向かう方向に変化していると判定した場合には、挿入部10が長手方向X1に移動していると判定する。また、プロセッサ8Pは、挿入部10が長手方向X1に移動していると判定した場合には、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が1つ変化(例えば、領域R1から領域R2へ変化、領域R2から領域R3へ変化等)する毎に、挿入部10の長手方向X1への移動距離を単位距離ΔLだけ増やし、挿入部10の被検者50の体内への挿入長を単位距離ΔLだけ増やす。この単位距離ΔLは、隣り合う負極領域17S同士の間隔を6で割った値とすることができる。
一方、プロセッサ8Pは、磁束密度BX,BYの分類レベルにより、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が、領域R6から領域R1に向かう方向に変化していると判定した場合には、挿入部10が長手方向X2に移動していると判定する。また、プロセッサ8Pは、挿入部10が長手方向X2に移動していると判定した場合には、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が1つ変化する毎に、挿入部10の長手方向X1への移動距離を単位距離ΔLだけ減らし、挿入部10の被検者50の体内への挿入長を単位距離ΔLだけ減らす。
なお、挿入部10の移動速度によっては、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が、領域R1から領域R3に変化したと判定されたり、領域R3から領域R1に変化したと判定されたりすることも有り得る。このように、貫通孔41内を通過している管状部材17の領域が2つ分変化していると判定した場合には、プロセッサ8Pは、挿入部10の挿入長を、単位距離ΔLの2倍だけ増やしたり、減らしたりすればよい。
プロセッサ8Pは、このようにして判定した挿入長の情報を、表示装置7に表示させたり、不図示のスピーカから音声で出力させたり、操作部11に設けた振動子の振動によって内視鏡1の操作者に伝達したりする。これにより、内視鏡1による撮像位置の正確な記録、内視鏡1の操作のガイドや評価等が可能となる。
なお、前述したように、挿入部10において、先端部10Cと湾曲部10Bを消磁しておくことで、プロセッサ8Pは、基準位置の検出を容易に行うことができる。具体的には、挿入部10が先端側から貫通孔41に挿入され、長手方向X1に移動していくと、貫通孔41内を先端部10Cと湾曲部10Bが通過している間は、磁束密度BX及び磁束密度BYがいずれも“0”付近の値となる。そして、貫通孔41内に管状部材17の最も先端側の負極領域17Sが到達した時点で、磁束密度BX及び磁束密度BYは、図9に示すように、ハイレベルとローレベルの組み合わせとなるため、この磁束密度の変動によって、基準位置を容易に検出できる。
以上のように、プロセッサ8Pは、磁束密度BXをハイレベルとローレベルの2つに分類し、磁束密度BYをハイレベルとミドルレベルとローレベルの3つに分類し、これらの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定する。このように、磁束密度BXの分類レベルと磁束密度BYの分類レベルの組み合わせの変化をモニタすることで、挿入部10の移動方向、移動距離、及び挿入長を判定することができる。内視鏡システム200によれば、このような効果を、汎用的な構成の内視鏡1に対する着磁と、検出ユニット40の追加だけで実現できるため、システムの構築コストを下げることができる。また、非光学的に取得できる磁束密度の情報に基づいて、挿入部10の移動方向、移動距離、及び挿入長が判定されるため、挿入部10が汚れていても、その判定精度が低下することはなく、実用的である。
また、磁束密度BXの分類レベルと磁束密度BYの分類レベルの組み合わせを用いることで、隣り合う2種の磁極領域(負極領域17Sと正極領域17N)の間隔よりも細かい分解能(例えば、この間隔の1/3の単位)で、挿入部10の移動距離を判定できる。このように、移動距離を細かく判定できることで、内視鏡1による撮像位置の正確な記録、内視鏡1の操作のガイドや評価等に役立てることができる。
また、プロセッサ8Pは、磁気検出部43により検出される磁束密度と磁気検出部44により検出される磁束密度の相加平均を求め、この相加平均の磁束密度に基づいて、挿入部10の移動方向、移動距離、及び挿入長を判定する。このため、貫通孔41内における挿入部10の位置によらずに、磁気パターンに応じた磁束密度の変化を得ることができる。また、磁気検出部43と磁気検出部44が検出する磁束密度には、着磁によって生じるものに加えて、地磁気、建屋の鉄骨により生じる磁界、鋼製の家具により生じる磁界等に起因する外乱成分が含まれ得る。しかし、上記のように、2つの磁気検出部により検出される磁束密度の相加平均を取ることで、この外乱成分の影響を軽減することができる。
なお、貫通孔41の内径と挿入部10の外径の差を極力小さくしておけば、検出ユニット40に設けられる磁気検出部43と磁気検出部44のいずれか一方は必須ではなく、省略可能である。この場合、プロセッサ8Pは、磁気検出部43又は磁気検出部44により検出される磁束密度BX、BYに基づいて、挿入部10の移動方向、移動距離、及び挿入長を判定すればよい。
また、本形態では、管状部材17に形成される負極領域17Sと正極領域17Nは、それぞれ、管状部材17の外周に沿って環状に形成されている。このため、貫通孔41内において挿入部10がその周方向に回転した場合でも、磁気検出部43と磁気検出部44により検出される磁束密度の変化をほぼ無くすことができる。したがって、挿入部10がどのような姿勢であっても、挿入部10の移動方向、移動距離、及び挿入長を判定することができる。
磁気検出部43と磁気検出部44が検出する磁束密度には、外乱成分が含まれ得る。また、この外乱成分は、検出ユニット40の姿勢により、その向きも変化する。したがって、磁束密度BXと磁束密度BYの生データをそのまま用いて挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定するよりも、上述してきたように、磁束密度BXをハイレベルとローレベルの2つに分類し、磁束密度BYをハイレベルとミドルレベルとローレベルの3つに分類し、これら分類レベルの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定することで、外乱成分の影響を排除することができる。
以上の説明では、プロセッサ8Pが、磁束密度BXをハイレベルとローレベルの2つに分類し、磁束密度BYをハイレベルとミドルレベルとローレベルの3つに分類し、これら分類レベルの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定している。この変形例として、プロセッサ8Pが、磁束密度BXをハイレベルとローレベルの2つに分類し、磁束密度BYをハイレベルとローレベルの2つに分類し、これら分類レベルの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向Xへの移動状態を判定してもよい。
具体的には、プロセッサ8Pは、磁束密度BXを2つのレベルに分類するための閾値として、“第1閾値th(例えば、0)”を設定し、磁束密度BYを2つのレベルに分類するための閾値として、“第2閾値th3(例えば、0)”を設定する。そして、プロセッサ8Pは、磁束密度BXにおいて、第1閾値thよりも大きい値をハイレベルとし、第1閾値thよりも小さい値をローレベルとして分類する。また、プロセッサ8Pは、磁束密度BYにおいて、第2閾値th3よりも大きい値をハイレベルとし、第2閾値th3よりも小さい値をローレベルとして分類する。
図10には、図8に示すグラフの磁束密度BXと磁束密度BYを分類した結果(分類レベル)が、太実線で示されている。図10に示すように、管状部材17において、2つの位置P1の間の範囲は、磁束密度BXがハイレベルとなり且つ磁束密度BYがローレベルとなる領域R1と、磁束密度BXがハイレベルとなり且つ磁束密度BYがハイレベルとなる領域R2と、磁束密度BXがローレベルとなり且つ磁束密度BYがハイレベルとなる領域R3と、磁束密度BXがローレベルとなり且つ磁束密度BYがローレベルとなる領域R4と、に分けられる。このように、長手方向Xで隣り合う負極端同士の間の範囲は、磁束密度BXの分類レベルと磁束密度BYの分類レベルの組み合わせによって、4つの領域R1~R4に分けることができる。プロセッサ8Pは、図10に示した太実線(磁束密度BX,BYの分類レベル)をモニタすることで、挿入部10の移動方向と、挿入部10の長手方向Xへの移動量(移動距離)と、を判定することが可能である。
なお、ここまでの説明では、プロセッサ8Pが磁束密度をその大きさによって複数の情報に分類しているが、検出ユニット40の通信用チップに設けられたプロセッサによって、この分類が行われる構成としてもよい。つまり、検出ユニット40からは、図9や図10に示した太字線で示す分類レベルの情報が、プロセッサ8Pに送信される構成としてもよい。また、プロセッサ8Pが、挿入部10の移動状態の判定を行うものとしているが、検出ユニット40の通信用チップに設けられたプロセッサがこの判定を行い、その判定結果を、プロセッサ8Pに送信する構成としてもよい。また、拡張装置8とネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータ等のプロセッサが、検出ユニット40から磁束密度の情報を取得して上記判定を行い、その判定結果をプロセッサ8Pに送信する構成としてもよい。また、プロセッサ8Pとは別体のプロセッサが、挿入部10の移動状態の判定を行ってもよい。また、内視鏡装置100の外部に設けられたプロセッサが、挿入部10の移動状態の判定を行い、その判定結果を、プロセッサ8Pに送信する構成としてもよい。
磁束密度BXと磁束密度BYのそれぞれをその大きさで分類する際に用いる閾値は、予め決められた固定値としてもよいが、貫通孔41への挿入部10の挿入が開始されてからの磁気検出部43と磁気検出部44により検出される磁束密度に基づいて決められる変動値とすることが好ましい。
例えば、検出ユニット40の起動スイッチがオンとなり、貫通孔41に挿入部10の挿通がなされ、管状部材17の最も先端側から3つ目の磁極領域が貫通孔41を通過すると、プロセッサ8Pは、磁気検出部43によって検出される磁束密度BXの最大値及び最小値と、磁気検出部43によって検出される磁束密度BYの最大値及び最小値と、をそれぞれ取得できる。プロセッサ8Pは、磁束密度BXの最大値及び最小値を取得すると、この最大値と最小値の平均値を求めて、その平均値を上記の第1閾値thとして設定する。また、プロセッサ8Pは、磁束密度BYの最大値と最小値を取得すると、この最大値と最小値の平均値を求め、その平均値に既定値を加算した値を上記の第2閾値th1として設定し、その平均値から既定値を減算した値を上記の第2閾値th2として設定する。この既定値は、外乱成分として想定される値よりも大きく、且つ、磁束密度BYの最大値と最小値のそれぞれの絶対値よりも小さい値である。管状部材17の最も先端側から3つ目までの磁極領域は、磁気パターンが形成された領域における消磁された領域(隣接領域)側の基端部を構成する。
以後、プロセッサ8Pは、このようにして設定した閾値を用いて、磁束密度BXと磁束密度BYの分類を行えばよい。このように、磁気検出部43と磁気検出部44により検出される磁束密度に基づいて閾値を設定することで、挿入部10の移動状態の判定をより高精度に行うことができる。
なお、このように、磁気検出部43と磁気検出部44により検出される磁束密度に基づいて閾値を設定する場合、プロセッサ8Pは、管状部材17の最も先端側から3つ目の磁極領域が貫通孔41を通過するまでの期間は、第1閾値th、第2閾値th1、及び第2閾値th2をそれぞれ予め決められた値に設定して、基準位置の検出や挿入部10の移動状態の判定を行い、その後は、上述した方法で第1閾値th、第2閾値th1、及び第2閾値th2を更新して、挿入部10の移動状態の判定を行うことが好ましい。
このように、内視鏡システム200では、挿入部10が貫通孔41を通過していくときに、磁気検出部43と磁気検出部44のそれぞれによって検出される磁束密度BX、BYが、それぞれ、プラスとマイナスの間で周期的に変化し、且つ、互いに位相のずれたものとなるように、管状部材17に磁気パターンが形成されていることで、挿入部10の移動状態の判定を行うことができる。このような磁気パターンは、図3及び図4に示した磁極部MA1、MA2の構成に限らず、様々な変形が可能である。
図11は、図3に示す磁極部MA1、MA2の変形例を示すA-A矢視とB-B矢視での断面模式図である。図11に示す変形例において、磁極部MA1は、負極領域17Sと正極領域17Nが管状部材17の周方向に沿って交互に且つ間隔を空けて形成された構成となっている。同様に、磁極部MA2は、負極領域17Sと正極領域17Nが管状部材17の周方向に沿って交互に且つ間隔を空けて形成された構成となっている。磁極部MA2は、磁極部MA1を、管状部材17の軸中心の周りに90度回転させた構成となっている。
図11に示すように、長手方向Xに見た状態では、磁極部MA1における正極領域17Nと磁極部MA2における負極領域17Sとが、管状部材17の周方向の同一位置に存在する。すなわち、管状部材17において、その周方向の同一位置にある全ての磁極領域は、負極領域17Sと正極領域17Nが交互に長手方向Xに並ぶ構成となっている。つまり、管状部材17には、負極領域17Sを先頭に、長手方向Xに沿って負極領域17Sと正極領域17Nが交互に並ぶ第1磁気パターンと、正極領域17Nを先頭に、長手方向Xに沿って負極領域17Sと正極領域17Nが交互に並ぶ第2磁気パターンとが、管状部材17の周方向に、間隔を空けて交互に並んで形成されたものとなっている。
図12は、図11に示す構成の磁極部MA1において発生する磁束線を模式的に示す図である。図12には、軟性部10Aが貫通孔41を通るときの、軟性部10Aに対する磁気検出部43、44の位置を図示している。
図12に示す状態では、磁気検出部43により検出される磁束密度BYはマイナスの大きい値となる。図12の状態から、軟性部10Aが反時計回りに45度回転すると、磁気検出部43により検出される磁束密度BYはゼロに近い値となる。図12の状態から、軟性部10Aが反時計回りに90度回転した場合には、磁気検出部43により検出される磁束密度BYはプラスの大きい値となる。図12の状態から、軟性部10Aが反時計回りに135度回転した場合には、磁気検出部43により検出される磁束密度BYはゼロに近い値となる。図12の状態から、軟性部10Aが反時計回りに180度回転した場合には、磁気検出部43により検出される磁束密度BYはマイナスの大きい値となる。このように、貫通孔41内で軟性部10Aがその周方向に回転した場合に、磁気検出部43により検出される磁束密度BYは、図8に示した磁束密度BYと同等のものとなる。同様に、貫通孔41内で軟性部10Aがその周方向に回転した場合に磁気検出部43により検出される磁束密度BZは、図8に示した磁束密度BYと同等で位相が90度ずれたものとなる。したがって、磁気検出部43によって検出される磁束密度BY、BZをそれぞれハイレベルとローレベルに分類した場合には、これら分類レベルは、図10に示す磁束密度BYの太実線と同等のもの(ただし、磁束密度BYと磁束密度BZでは位相が90度ずれたもの)となる。そのため、この分類レベルの組み合わせによって、挿入部10の回転方向と回転量を導出することが可能となる。
このような構成の磁気パターンを持つ内視鏡1を用いた場合には、プロセッサ8Pが、磁束密度BZと磁束密度BYのそれぞれを複数の情報に分類し、これら情報の組み合わせの変化を見ることで、挿入部10の移動状態の判定方法と同様に、挿入部10の周方向への回転状態(回転方向と回転量(回転角度))を判定することができる。なお、図11に示す構成では、管状部材17において、長手方向Xに延びる第1磁気パターン及び第2磁気パターンが形成されいるため、前述してきたように、磁束密度BXと磁束密度BYに基づいて、挿入部10の移動状態を判定することができる。図11では、磁極部MA1と磁極部MA2が、それぞれ、周方向に並ぶ4つの磁極領域を含むものとしている。しかし、磁極部MA1と磁極部MA2は、それぞれ、2つの磁極領域を含む構成であってもよいし、偶数且つ6つ以上の磁極領域を含む構成であってもよい。
なお、図11に示す構成においても、磁気検出部43により検出される磁束密度BY、BZと磁気検出部44により検出される磁束密度BY、BZの相加平均を求め、これらの2つの相加平均の値をそれぞれハイレベルとローレベルに分類し、この分類レベルの組み合わせによって、挿入部10の回転方向と回転量を導出することが好ましい。
<プロセッサ8Pの処理>
次に、プロセッサ8Pが実行する各種処理の詳細について説明する。この各種処理を説明するにあたり、内視鏡1の挿入部10の移動経路について説明する。図13は、内視鏡1を用いて行われる検査(以下、内視鏡検査と記載)における挿入部10の移動経路を説明するための模式図である。
内視鏡検査には、大腸等の上部消化器官を検査する内視鏡検査と、胃等の下部消化器官を検査する内視鏡検査等が含まれる。また、内視鏡検査には、被検体内に病変領域が存在するか否かを調べるために挿入部10を被検体内に挿入する第1検査と、既にわかっている病変領域を切除するために挿入部10を被検体内に挿入する第2検査と、が含まれる。
(内視鏡の移動経路)
図13には、被検体(被検者50)の大腸51が示されている。大腸の内視鏡検査において、挿入部10は、図中の破線で示した移動経路10Xに沿って移動される。移動経路10Xは、被検体外における肛門50Aの近傍に配置された検出ユニット40の貫通孔41から、肛門50Aを通過して直腸53に達し、更に、直腸53から、S状結腸54、下行結腸55、横行結腸56、及び上行結腸57を通過して回盲部58まで至る管状の経路である。
大腸の内視鏡検査且つ第1検査では、内視鏡1の操作者は、挿入部10を、貫通孔41を介して肛門50Aに挿入し、検査の折り返し地点である回盲部58まで到達させ、その後、回盲部58から被検体外に向かって抜き去っていく。以下では、挿入部10の先端を貫通孔41から回盲部58に移動させていく工程を挿入工程と記載し、挿入部10の先端を回盲部58から貫通孔41まで移動させていく工程を抜去工程と記載する。第1検査は、挿入工程と抜去工程のセットで構成される。大腸の内視鏡検査且つ第2検査は、検査の折り返し地点が、事前の第1検査で発見していた病変領域の存在位置に変更される点を除いては、第1検査と同じである。
なお、胃の内視鏡検査においては、第1検査の折り返し地点が十二指腸となり、第2検査の折り返し地点が、事前の第1検査で発見していた病変領域の存在位置となる。
(内視鏡検査時の処理)
内視鏡検査が開始されると、検出ユニット40の電源がオンされる。プロセッサ8Pは、前述したように、検出ユニット40により検出される磁束密度BX,BYに基づいて、移動経路10X上の基準位置(貫通孔41の位置)から挿入部10の先端までの第1距離(上述してきた挿入長)を導出する。
プロセッサ8Pは、内視鏡1が起動すると、内視鏡1で撮像された撮像画像を逐次取得し、取得した撮像画像に基づいて、挿入部10の先端が到達している被検体内の部位(肛門、直腸、S状結腸、S-top(S状結腸頂上部)、SDJ(S状結腸と下行結腸の移行部)、下行結腸、脾彎部、横行結腸、肝彎部、上行結腸、回盲部、又は体外等)を認識する到達部位認識処理を行う。プロセッサ8Pは、例えば、撮像画像を入力として、被検体内の部位の認識結果を出力する、機械学習により生成された認識モデルを用いて、この到達部位認識処理を行う。或いは、プロセッサ8Pは、内視鏡1の操作者から入力された情報に基づいて、挿入部10の先端が被検体内のどの部位に到達しているのかを認識してもよい。例えば、操作者は、挿入部10の先端が所定部位に到達したことを撮像画像から認識した場合に、例えば内視鏡1に対して所定の操作を行って、所定部位に到達したことを示す情報を入力する。プロセッサ8Pは、この情報を受けると、挿入部10の先端が到達している被検体内の部位が所定部位であることを認識する。
プロセッサ8Pは、例えば、この到達部位認識処理の結果を用いることで、挿入工程と抜去工程のどちらが行われているかを判定することも可能である。一例として、プロセッサ8Pは、到達部位が肛門50A又は直腸53であるという認識結果が得られ、その後に、到達部位が回盲部58であるという認識結果が得られるまでの期間を、内視鏡1が移動経路10Xの始端から終端に向かって移動している挿入工程の期間(第1期間)として判定し、到達部位が回盲部58であるという認識結果が得られてから、到達部位が被検体外であるという認識結果が得られるまでの期間を、内視鏡1が移動経路10Xの終端から始端に向かって移動している抜去工程の期間(第2期間)として判定する。
プロセッサ8Pは、検出ユニット40により検出される磁束密度BX,BYに基づいて導出される第1距離の時間変化に基づいて、挿入部10の移動経路10X上の移動方向を判定し、その移動方向から、挿入工程の期間と抜去工程の期間を判別することもできる。例えば、プロセッサ8Pは、第1距離が増加傾向にある場合には、挿入部10が被検体の体外から回盲部58に向かう方向に移動していると判定し、挿入工程の期間(第1期間)であると判定する。一方、プロセッサ8Pは、第1距離が減少傾向にある場合には、挿入部10が回盲部58から被検体の体外に向かう方向に移動していると判定し、抜去工程の期間(第2期間)であると判定する。
(イベントの検出)
プロセッサ8Pは、例えば、上述した到達部位認識処理の結果と、上述した病変認識処理及び処置具認識処理の結果と、を用いることで、内視鏡検査に関連する様々なイベントの発生を検出して、そのイベントの情報であるイベント情報を取得することができる。
プロセッサ8Pは、例えば、挿入工程が開始されたというイベント、抜去工程が開始されたというイベント、内視鏡検査が終了したというイベント、被検体内の特定部位に内視鏡1の先端が到達したというイベント、内視鏡1の特定操作(例えば処置具の操作)がなされたというイベント、又は、被検体内から病変領域が検出されたというイベント等を検出することができる。
具体的には、プロセッサ8Pは、到達部位認識処理により、到達部位が肛門50Aであるという認識結果が得られた場合には、内視鏡検査が開始された(挿入工程が開始された)というイベント(検査開始イベント)の発生を検出する。プロセッサ8Pは、検査開始イベントの検出後に、到達部位認識処理により、到達部位が回盲部58であるという認識結果が得られた場合には、抜去工程が開始されたというイベント(抜去開始イベント)の発生を検出する。プロセッサ8Pは、抜去開始イベントの後に、到達部位が被検体内ではないという認識結果が得られた場合には、内視鏡検査が終了されたというイベント(検査終了イベント)の発生を検出する。
プロセッサ8Pは、病変認識結果によって病変領域が検出された場合には、病変領域が検出されたというイベント(病変検出イベント)の発生を検出する。プロセッサ8Pは、処置具認識結果によって処置具が検出された場合には、処置(処置具の操作)が行われたというイベント(処置イベント)の発生を検出する。プロセッサ8Pは、到達部位認識処理によって、予め決められた特定部位に到達したという認識結果が得られた場合には、挿入部10の先端が特定部位に到達したというイベント(特定部位到達イベント)の発生を検出する。
プロセッサ8Pは、操作者から入力される情報に基づいて、内視鏡1の特定操作(例えば挿入部10の硬度調整)がなされたというイベントを検出して、そのイベントの情報を取得することができる。
プロセッサ8Pは、操作者が特定の動作を行ったという操作者動作イベントの発生を検出し、そのイベントの情報を取得することもできる。例えば、操作者が、特定の動作として、挿入部10の回転(ひねり)又は用手圧迫等を行ったときに、音声入力、タッチパネル等の入力デバイスの操作、又は、内視鏡1のボタン操作等を行って、その動作を実施したことを示す情報を入力する。プロセッサ8Pは、この情報を受けることで、その動作がなされたというイベントの発生を検出することが可能である。図11に示した磁気パターンを採用すれば、プロセッサ8Pは、検出ユニット40により検出される磁束密度の情報に基づいて、挿入部10の回転が行われたことを検出することも可能である。
なお、プロセッサ8Pは、到達部位認識処理、病変認識処理、及び処置具認識処理の結果を用いずとも、操作者から入力される情報に基づいて、検査開始イベント、抜去開始イベント、検査終了イベント、病変検出イベント、処置イベント、及び特定部位到達イベントを検出することは可能である。例えば、操作者が、検査開始(挿入開始)、抜去開始、検査終了(抜去終了)、病変領域検出、処置の実施、又は特定部位への到達等の各種イベントの発生時に、音声入力、タッチパネル等の入力デバイスの操作、又は、内視鏡1のボタン操作等を行う。プロセッサ8Pは、これら操作によって、そのイベントの発生を検出して、イベント情報を取得することが可能である。
(第2距離の導出)
プロセッサ8Pは、上述した到達部位認識処理の結果と、磁束密度BX,BYに基づいて導出した第1距離とに基づいて、挿入部10の先端の被検体内の特定部位からの距離である第2距離を導出する。
まず、大腸の内視鏡検査が開始されると、挿入工程の初期において、プロセッサ8Pは、挿入部10の先端の到達部位が肛門50A又は直腸53であるという認識結果を得る。プロセッサ8Pは、このような認識結果を得ると、その認識結果を得た状態において導出した第1距離を第1補正値として設定する。そして、プロセッサ8Pは、その認識結果を得た後は、磁束密度BX,BYに基づいて導出した第1距離から第1補正値を減算して、特定挿入長(移動経路10Xの始端側にある肛門50A又は直腸53を基準位置としたときの挿入部10の挿入長)を得る処理を行う。この処理により、挿入工程においては、肛門50A又は直腸53を特定部位(第1特定部位)とする上記第2距離が、特定挿入長として、逐次導出されることになる。特定挿入長は、第1値を構成する。例えば、図13に示すように、位置PO1に挿入部10の先端が到達した状態で、到達部位が直腸53であるとの認識結果が得られた場合を想定する。この場合、直腸53から少し進んだ位置PO2に挿入部10の先端が移動すると、その時点で導出される第1距離(=D1)から、位置PO1に挿入部10の先端がある状態で導出された第1距離(=D0、第1補正値)を減算した値(=D2)が特定挿入長として導出される。
その後、挿入工程が継続して、挿入工程から抜去工程に切り替わる折り返し地点(つまり回盲部58)まで挿入部10の先端が移動すると、プロセッサ8Pは、挿入部10の先端の到達部位が回盲部58であるという認識結果を得る。プロセッサ8Pは、到達部位が回盲部58であるという認識結果を得ると、その認識結果を得た状態において導出した第1距離を第2補正値として設定する。そして、プロセッサ8Pは、その認識結果を得た後は、第2補正値から、磁束密度BX,BYに基づいて導出した第1距離を減算して、抜去長(移動経路10Xの終端にある回盲部58を基準位置としたときの挿入部10の抜去長)を得る処理を行う。この処理により、抜去工程においては、回盲部58を特定部位(第2特定部位)とする上記第2距離が、抜去長として、逐次導出されることになる。抜去長は、第2値を構成する。
なお、大腸の内視鏡検査の挿入工程では、大腸を折り畳みながら挿入部10を挿入したり、大腸を引き延ばしながら挿入部10を挿入したりといったことが行われる場合がある。一方、大腸の内視鏡検査の抜去工程では、大腸が定常状態に戻った状態で挿入部10の抜き去りが行われる。このため、大腸の内視鏡検査では、挿入工程と抜去工程とで、磁束密度BX,BYに基づいて導出される第1距離が同じ値であっても、挿入部10の先端が存在している大腸51内での位置は異なる場合がある。本形態では、挿入工程においては、挿入部10の先端位置を特定挿入長で管理し、抜去工程においては、挿入部10の先端位置を抜去長で管理できる。このため、挿入部10の挿入状態を高精度に管理することができる。
特定挿入長は、移動経路10X上の始端側の基準位置(肛門50A又は直腸53の位置)から移動経路10Xに沿って移動する内視鏡1の先端までの距離を構成する。抜去長は、移動経路10X上の終端位置(回盲部58の位置)から移動経路10Xに沿って移動する内視鏡1の先端までの距離を構成する。第1距離は、移動経路10Xの始端側の基準位置(貫通孔41の位置)から移動経路10Xに沿って移動する内視鏡1の先端までの距離を構成する。第1距離、特定挿入長、又は抜去長を以下では距離情報とも記載する。
なお、プロセッサ8Pは、抜去工程においても、肛門又は直腸を基準位置とした挿入部10の挿入長である特定挿入長を導出するようにしてもよい。つまり、プロセッサ8Pは、挿入工程において第1距離及び特定挿入長を導出し且つ抜去工程において第1距離及び抜去長を導出する処理と、挿入工程及び抜去工程のそれぞれにおいて第1距離及び特定挿入長を導出する処理と、のいずれかを行うことができる。
(内視鏡検査時の表示、記録)
プロセッサ8Pは、挿入工程の期間においては、以上のようにして導出した特定挿入長(第2距離)と第1距離の少なくとも一方を、表示装置7に表示する制御を行ったり、内視鏡検査に関する情報(以下、検査関連情報と記載)と関連付けて、記録媒体(例えば拡張装置8のメモリ等)に記録する制御を行ったりすることが好ましい。検査関連情報とは、内視鏡1により撮像される撮像画像、上述した各種のイベント情報、又は内視鏡検査の開始(検査開始イベント)からの経過時間(検査時間)等のことを言う。例えば、プロセッサ8Pは、第1距離及び特定挿入長を導出する毎に、どの導出値を、経過時間(検査時間)と関連付けて記録する制御を行う。プロセッサ8Pは、撮像画像の記録指示があった場合には、そのときの経過時間に対して撮像画像を更に関連付けて記録する制御を行う。プロセッサ8Pは、イベント情報を取得した場合には、そのときの経過時間に対してイベント情報を更に関連付けて記録する制御を行う。
プロセッサ8Pは、抜去工程の期間においては、以上のようにして導出した抜去長(第2距離)と第1距離の少なくとも一方を、表示装置7に表示する制御を行ったり、検査関連情報と関連付けて記録媒体に記録する制御を行ったりすることが好ましい。
プロセッサ8Pは、挿入工程と抜去工程のいずれにおいても、第1距離と、特定挿入長及び抜去長と、のうち、第1距離のみを表示装置7に表示する制御を行い、更に、第1距離、特定挿入長、及び抜去長を、表示以外の他の用途に用いてもよい。具体的には、プロセッサ8Pは、第1距離、特定挿入長、及び抜去長の少なくとも1つと、検査関連情報とを関連付けて記録媒体に記録する制御を行ったり、第1距離、特定挿入長、及び抜去長の少なくとも1つに基づいて内視鏡1の操作支援情報を出力する制御を行ったりしてもよい。
例えば、挿入工程において、挿入部10の先端の位置によっては、挿入部10を円滑に挿入できるようにするために、内視鏡1の挿入部10の硬度調整が必要になったり、用手圧迫が必要になったりする。プロセッサ8Pは、例えば、導出した特定挿入長から、このような硬度調整や用手圧迫が必要となる位置に挿入部10の先端が到達していると判定した場合には、硬度調整や用手圧迫を指示する情報(操作支援情報)を表示装置7に表示する制御を行ったり、スピーカから音声で出力する制御を行ったりする。このようにすることで、内視鏡1の挿入を円滑に行うことが可能となる。プロセッサ8Pは、挿入工程と抜去工程のうち、挿入工程においてのみ、第1距離又は特定挿入長に基づいて操作支援情報を出力する制御を行い、抜去工程においては、この制御を行わないようにしてもよい。大腸の内視鏡検査の抜去工程では、内視鏡1の抜き去りが困難にならないことが多いため、このようにすることで、プロセッサ8Pの処理負荷を軽減できる。
プロセッサ8Pは、導出した第1距離、特定挿入長、又は抜去長と、予め記録されているテーブルデータと、を用いて、挿入部10の先端が到達している位置(部位)の判定を行うことができる。例えば、内視鏡1の大腸内での先端位置と第1距離との対応関係を示すテーブルデータ、内視鏡1の大腸内での先端位置と特定挿入長との対応関係を示すテーブルデータ、及び、内視鏡1の大腸内での先端位置と抜去長との対応関係を示すテーブルデータを、様々な被検者に対して行われた多数の内視鏡検査の実績データから統計的に求めて、或いは、同一の被検者に対して行われた内視鏡検査の実績データから統計的に求めて、プロセッサ8Pがアクセス可能な記録媒体(例えば拡張装置8のメモリ等)に記録しておくことができる。プロセッサ8Pは、内視鏡検査時に導出した第1距離、特定挿入長、又は抜去長に対応する内視鏡1の先端位置(到達部位)の情報を、上記テーブルデータから取得することで、挿入部10の先端が到達している位置の判定を行うことができる。
プロセッサ8Pによって関連付けられた検査関連情報(撮像画像、イベント情報、又は検査時間)及び距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)を含む検査データは、図示省略のサーバに転送されて保存される。内視鏡検査の終了後は、このサーバにアクセス可能な検査レポート作成支援装置が、上記検査データに基づいて、検査レポートのドラフトを作成する。医師は、このドラフトを利用して最終的な検査レポートを作成することで、効率的に業務を行うことができる。
(検査データの表示例)
図14は、プロセッサ8Pにより関連付けて記録された検査データの表示例を示すグラフである。プロセッサ8Pは、図14に示すグラフを、例えば表示装置7やその他のディスプレイに表示する制御を行う。このようにして表示されたグラフにより、内視鏡1の操作者やその指導者等が、内視鏡検査の手技を評価可能となる。
図14に示すグラフは、内視鏡検査の経過時間毎に第1距離がプロットされたものとなっている。図14に示すグラフには、特定部位到達イベントが検出されたタイミングに対し、そのイベントの内容(到達部位)を示す文字(S-top、SDJ、脾彎部、肝湾部、及び回盲部)が付されている。また、その他のイベントが検出されたタイミングに対し、そのイベントの内容を示す文字(硬度調整、抜去開始、処置、病変検出、検査終了)が付されている。挿入工程の開始(経過時間=0)から抜去開始イベントまでが挿入工程の期間であり、抜去開始イベントから検査終了イベントまでが抜去工程の期間である。
図14に示すグラフは、縦軸を距離とし、挿入工程の期間では特定挿入長をプロットし、抜去工程の期間では抜去長をプロットしたものとしてもよい。或いは、抜去工程において抜去長の代わりに特定挿入長を導出する場合には、縦軸を特定挿入長とし、挿入工程と抜去工程のそれぞれの期間で特定挿入長をプロットしたものとしてもよい。
プロセッサ8Pは、図14における距離情報のプロット波形の任意位置が指定された場合に、その任意位置の経過時間に関連付けられた撮像画像が記録されている場合には、その撮像画像を表示装置7に表示させてもよい。プロセッサ8Pは、図14に示すグラフと、予め生成された基準データ(経過時間、距離情報、及びイベント情報を関連付けたデータ)に基づく基準グラフ(経過時間毎に距離情報をプロットし且つ特定部位到達イベントの発生タイミングを付加したグラフ)と、を対比可能に表示装置7に表示する制御を行ってもよい。
基準データは、複数回の内視鏡検査のそれぞれによって得られた検査データに基づいて統計的に生成されたデータ、手技の評価が高い操作者によって実施された内視鏡検査によって得られた過去の検査データ、又は、図14に示すグラフの内視鏡検査時と同一の操作者によって行われた過去の内視鏡検査の検査データ等とすることができる。
プロセッサ8Pは、図14に示すグラフを、内視鏡検査中、リアルタイムで表示装置7に表示する制御を行ってもよい。この場合、プロセッサ8Pは、内視鏡検査の開始前に、サーバのメモリ等に記録されている基準データを取得し、取得した基準データに基づく基準グラフを表示装置7に表示させる。プロセッサ8Pは、この基準グラフを表示装置7に表示させた後、内視鏡検査が開始された場合には、表示中の基準グラフにおける“経過時間=0”のときの距離情報と、内視鏡検査の開始後に導出した距離情報とが一致したタイミングを、検査開始タイミングとして検出し、距離情報のプロットを開始して、実施中の内視鏡検査に対応するグラフを表示することが好ましい。
或いは、プロセッサ8Pは、この基準グラフを表示装置7に表示させた後、内視鏡検査が開始された場合には、特定のイベント(例えば到達部位が肛門となったというイベントや、到達部位が回盲部であるというイベント)のイベント情報を取得した場合に、基準グラフにおけるそのイベント情報の関連付けられたタイミングを起点にして、距離情報のプロットを開始して、実施中の内視鏡検査に対応するグラフを表示することが好ましい。例えば、図14に示すような基準グラフが表示された後、内視鏡検査が開始されると、内視鏡1の先端が肛門に到達したタイミングで、時間=0の位置から、導出された挿入長のプロット(表示)が開始される。また、内視鏡1の先端が回盲部に到達したタイミングで、導出された抜去長のプロット(表示)が開始される。基準グラフに病変検出イベントが含まれる場合には、内視鏡検査時に生成される図14に示されるようなグラフのデータに対して、基準グラフに含まれる病変検出イベントの内容とその検出タイミングを関連付けて記憶しておくようにしてもよい。これらのようにすることで、第1検査後の第2検査であれば、病変領域の位置を容易に認識しやすくなり、検査効率を高めることができる。
プロセッサ8Pは、図14に示すグラフに対して、経過時間とイベント情報の少なくとも一方の修正を要求する操作がなされた場合には、その修正を受け付けて、このグラフに対応する検査データにおける経過時間とイベント情報の少なくとも一方を修正することが好ましい。これにより、例えば、図14に示す“硬度調整”を“用手圧迫”に変更したり、図14に示す“硬度調整”のタイミングを左右にずらしたり、その両方を行ったりすることができるようになる。このようにすることで、経過時間、距離情報、及びイベント情報の対応関係をより正確に残すことができる。
プロセッサ8Pは、複数回の内視鏡検査のそれぞれにおいて取得した検査データに基づいて、イベント情報(特定部位到達イベントの情報)と距離情報との統計的な対応を示すテーブルデータ(到達部位と距離情報の対応テーブル)を生成して、拡張装置8のメモリ等に記録することが好ましい。具体的には、各内視鏡検査で得た挿入工程の検査データから、大腸内の特定部位に内視鏡1の先端が到達したときの距離情報を抽出し、抽出した全ての距離情報の代表値(例えば平均値や中央値等)を算出し、その特定部位とその代表値とを対応付ける処理を、特定部位を変更して繰り返し行うことで、大腸内の各特定部位と距離情報との対応を示す第1テーブルデータを生成する。
図15は、第1テーブルデータの一例を示す図である。図15に示す第1テーブルデータにおける距離情報は、第1距離又は特定挿入長である。第1テーブルデータは、挿入工程用と、抜去工程用とで分けて生成しておいてもよい。この場合、挿入工程用の第1テーブルデータの距離情報は特定挿入長となり、抜去工程用の第1テーブルデータの距離情報は抜去長となる。なお、検査データを用いずとも、距離情報と被検体内の部位との対応関係を示すデータは、解剖学的な情報にしたがって生成することも可能である。
プロセッサ8Pは、内視鏡検査中に導出した距離情報と、図15に例示される第1テーブルデータとを用いることで、内視鏡1の先端が大腸内のどの位置にあるのかを判定することが可能となる。
<内視鏡システム200の主な効果>
内視鏡システム200によれば、被検体外に設置された検出ユニット40の位置を起点としたときの挿入部10の被検体内への挿入長(第1距離)だけでなく、被検体内の第1特定部位(肛門又は直腸)を起点としたときの挿入部10の被検体内への特定挿入長と、被検体内の第2特定部位(回盲部)を起点としたときの挿入部10の被検体外への抜去長と、を導出することができる。なお、胃の内視鏡検査を行う場合には、第1特定部位を例えば噴門部とし、第2特定部位を例えば十二指腸として、特定挿入長と抜去長を得ることが可能である。
内視鏡システム200によれば、実際に被検体内に挿入されている内視鏡1で撮像して得た撮像画像を用いた到達部位認識処理の結果を用いて特定挿入長と抜去長を導出しているため、これら特定挿入長と抜去長を用いることで、被検体毎の個体差の影響を排除して、挿入部10の先端位置を精度よく管理できるようになる。この結果、内視鏡検査中においては、内視鏡1の操作支援を高精度に行うことができる。また、撮像画像の記録位置を高精度に判断することができ、後の検査レポート作成に役立てたり、診断精度を向上させたりすることができる。特に、特定挿入長と抜去長を分けて導出できることで、これらの効果をより高めることができる。
<好ましい形態I:特定挿入長による挿入制御>
内視鏡1の挿入部10が自走式の機構を有する場合には、プロセッサ8Pは、挿入工程において、導出した特定挿入長又は第1距離に基づいて、その機構の駆動制御を行ってもよい。例えば、プロセッサ8Pは、挿入工程において導出した特定挿入長又は第1距離の時間変化が、統計的に求められた理想的な内視鏡挿入時の特定挿入長又は第1距離の時間変化(例えば、上述した基準データにおける特定挿入長又は第1距離の時間変化)と等しくなるように、上記機構を駆動して、挿入部10を移動経路10Xに沿って移動させる制御を行う。このようにすることで、操作者の熟練度に関係なく、内視鏡1の被検体内への挿入を効率よく行うことができる。
<好ましい形態II:検出ユニットの位置変動に基づく処理>
検出ユニット40は、図1に示したように被検体外に配置されるため、移動経路10Xに沿った方向における検出ユニット40の位置(第1距離の導出に用いられる基準位置)は、内視鏡検査中に変動し得る。例えば、検出ユニット40の位置が、挿入工程の開始時よりも被検体から遠ざかる方向に移動した場合には、導出される第1距離が検出ユニット40の移動距離だけ増え、その結果、特定挿入長又は抜去長には、その移動距離分だけ誤差が生じる。一方、検出ユニット40の位置が、挿入工程の開始時よりも被検体に近づく方向に移動した場合には、導出される第1距離が、検出ユニット40の移動距離だけ減少し、その結果、特定挿入長又は抜去長には、その移動距離分だけ誤差が生じる。したがって、このような検出ユニット40の位置変動の有無を判定して、位置変動が生じている場合には、その位置変動に伴う特定挿入長又は抜去長の誤差を補正することが好ましい。
例えば、プロセッサ8Pは、内視鏡検査中に導出した第1距離の単位時間あたりの変化量(タイミングt1において導出した第1距離(距離LL1とする)と、タイミングt1の後のタイミングt2において導出した第1距離(距離LL2とする)との差分)を取得する。また、プロセッサ8Pは、この変化量を取得した期間における撮像画像の動き量(タイミングt1で撮像された撮像画像と、タイミングt2で撮像された撮像画像の間の動き量)を取得する。撮像画像の動き量は、撮像画像の輝度の変化量、又は、撮像画像から抽出される特徴点の移動量等である。プロセッサ8Pは、これら変化量と動き量に基づいて、検出ユニット40の位置の変動の有無を判定する。
例えば、プロセッサ8Pは、撮像画像の動き量を移動経路10Xに沿った方向の距離に換算した換算値と、第1距離の変化量とを比較し、両者の差が閾値以上の場合には、検出ユニット40の位置に変動が生じていると判定し、両者の差が閾値未満の場合には、検出ユニット40の位置に変動が生じていないと判定する。プロセッサ8Pは、検出ユニット40の位置に変動が生じていると判定した場合には、検出ユニット40の位置変動分を相殺するように、特定挿入長又は抜去長を補正する。このような処理により、検出ユニット40の位置変動があっても、特定挿入長又は抜去長の導出を高精度に行うことができる。なお、プロセッサ8Pは、検出ユニット40の位置に変動が生じていると判定した場合に、表示装置7又はスピーカ等から警告情報を出力させてもよい。このようにすることで、操作者に対して検出ユニット40の位置調整を促すことができる。
<好ましい形態III:目的位置による報知>
プロセッサ8Pは、内視鏡検査中において導出した第1距離、特定挿入長、及び抜去長の少なくとも1つと、拡張装置8のメモリ等に予め記録されている、移動経路10Xの目的位置を示す目的位置情報とに基づいて、報知する制御を行うことが好ましい。報知する制御とは、表示装置7に所定情報を表示させたり、図示省略のスピーカから所定情報を出力させたりすることを言う。この制御によって、内視鏡検査に関わる人に、所定情報が提供される。
目的位置情報は、例えば、同一の被検者に対して行われた過去の内視鏡検査(例えば、第2検査を行う場合における、事前の第1検査)において、内視鏡1が被検体内の注目領域を撮像している状態でプロセッサ8Pにより取得された第1距離の情報、又は、特定挿入長及び抜去長の情報とすることができる。
例えば、ある被検者(被検者Hとする)に対する大腸の内視鏡検査且つ第1検査の挿入工程において、操作者が、撮像画像を確認し、その撮像画像に病変と疑われる領域があった場合に、その領域を注目領域として記録する操作を行う場合を想定する。この場合、プロセッサ8Pは、操作者から注目領域の記録を行う操作が行われた場合に、その操作が行われた時点又はその時点の直近に導出した第1距離又は特定挿入長を、目的位置情報として拡張装置8のメモリに記録する。また、被検者Hに対する大腸の内視鏡検査且つ第1検査の抜去工程において、操作者が、撮像画像を確認し、その撮像画像に病変と疑われる領域があった場合に、その領域を注目領域として記録する操作を行う場合を想定する。この場合、プロセッサ8Pは、操作者から注目領域の記録を行う操作が行われた場合に、その操作が行われた時点又はその時点の直近に導出した第1距離又は抜去長を、目的位置情報として拡張装置8のメモリに記録する。
被検者Hに対する第1検査が終了し、その後、被検者Hの第2検査が開始された場合には、プロセッサ8Pは、逐次導出する第1距離、或いは、特定挿入長又は抜去長が、拡張装置8のメモリから取得した上記目的位置情報と近い値になった場合に、注目領域の存在を報知する制御を行う。例えば、プロセッサ8Pは、第2検査の挿入工程においては、導出した第1距離又は特定挿入長が、拡張装置8のメモリに記録されている目的位置情報(第1距離又は特定挿入長)とほぼ一致する場合に、注目領域の存在を報知する制御を行う。また、プロセッサ8Pは、第2検査の抜去工程においては、導出した第1距離又は抜去長が、拡張装置8のメモリに記録されている目的位置情報(第1距離又は抜去長)とほぼ一致する場合に、注目領域の存在を報知する制御を行う。
プロセッサ8Pは、抜去工程においても特定挿入長を導出するようにした場合には、同一の内視鏡検査のうち、挿入工程において目的位置情報の記録を行い、抜去工程において、その目的位置情報に基づいて報知を行ってもよい。例えば、プロセッサ8Pは、内視鏡検査の挿入工程において、操作者から注目領域の記録を行う操作が行われた場合に、その操作が行われた時点又はその時点の直近に導出した特定挿入長を、目的位置情報として拡張装置8のメモリに記録する。その後、同一の内視鏡検査の抜去工程が開始されると、プロセッサ8Pは、その抜去工程において導出した特定挿入長と、挿入工程において拡張装置8のメモリに記録した目的位置情報(特定挿入長)とに基づいて、注目領域の存在を報知する制御を行う。
具体的には、プロセッサ8Pは、挿入工程において記録した目的位置情報を含む特定挿入長の所定範囲を移動経路10X上に設定し、抜去工程においては、導出した特定挿入長がその所定範囲に入っている場合に、注目領域の存在を報知する。例えば、挿入工程において記録された目的位置情報が特定挿入長であり、その値が距離XX1であるとする。この場合、距離XX1に任意の値ΔXX1を加算した値と、距離XX1から値ΔXX1を減算した値との間の範囲が、上記の所定範囲として設定される。そして、抜去工程においては、導出される特定挿入長がこの所定範囲に入った場合に、注目領域の存在を報知する制御が行われる。このようにすることで、挿入工程と抜去工程における内視鏡1の先端の大腸内での位置の相違を考慮して、精度の高い報知が可能となる。
別のケースとして、被検者Hに対する大腸の内視鏡検査且つ挿入工程において、操作者が、撮像画像を確認し、その撮像画像に病変と疑われる領域があった場合に、その領域を注目領域として記録する操作を行い、その後、内視鏡1の挿入を進めて、目印となる領域があった場合に、その領域を注目領域として記録する操作を行う場合を想定する。
この場合、プロセッサ8Pは、操作者から病変領域の記録を行う操作が行われた場合に、その操作が行われた時点又はその時点の直近に導出した距離情報La(第1距離又は特定挿入長)を拡張装置8のメモリに記録する。その後、プロセッサ8Pは、操作者から目印となる領域の記録を行う操作が行われた場合に、その操作が行われた時点又はその時点の直近に導出した距離情報Lb(第1距離又は特定挿入長)と、事前に記録した距離情報Laとの差Δl(絶対値)を算出し、距離情報Lbから、差Δlよりも僅かに小さい値を減算して得た距離Lcを目的位置情報としてメモリに記録する。また、プロセッサ8Pは、その操作が行われたときの撮像画像IM1をメモリに記録する。その後、抜去工程が開始され、プロセッサ8Pは、撮像画像IM1に類似する撮像画像を取得すると、その時点での第1距離又は特定挿入長を基準値とし、その後に導出する第1距離又は特定挿入長が、この基準値よりも距離Lcだけ小さい値になった場合に、注目領域の存在を報知する制御を行う。目印となる領域の記録は、プロセッサ8Pが撮像画像を解析することで自動的に行う構成とすることも可能である。
以上のように、目的位置情報と、第1距離、又は、特定挿入長及び抜去長とに基づいて、注目領域の存在を報知することで、操作者が病変領域を見落としてしまうのを防いで、検査精度の向上や検査効率の向上が可能となる。
<好ましい形態IV:目的位置と画像認識結果による報知>
プロセッサ8Pは、内視鏡検査中において導出した第1距離、或いは、特定挿入長及び抜去長と、拡張装置8のメモリ等に記録されている上記の目的位置情報と、病変認識処理の結果と、に基づいて、報知する制御を行うことが好ましい。
例えば、プロセッサ8Pは、内視鏡検査時に導出した第1距離、特定挿入長、又は抜去長が、拡張装置8のメモリに記録されている目的位置情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)とほぼ一致する状態になると、その状態或いはその状態になるタイミングの近傍において内視鏡1により撮像された撮像画像を取得し、その撮像画像に基づいて病変認識処理を行う。そして、プロセッサ8Pは、病変認識処理の結果、病変領域が検出された場合には、注目領域の存在を報知する制御を行い、病変領域が検出されない場合には、その制御を行わない。このように、病変認識処理の結果を更に用いることで、内視鏡1の先端が、目的位置である病変領域の存在位置に到達しているかどうかを高精度に判定することができ、より的確な報知が可能となる。
<目的位置情報の変形例>
目的位置情報は、内視鏡1の先端が移動経路10Xの始端側の位置にある状態にてプロセッサ8Pが取得可能な距離情報とすることもできる。この場合、プロセッサ8Pは、内視鏡検査時に導出した距離情報と、メモリから取得した目的位置情報に基づいて、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行う。内視鏡検査の終了に関する情報とは、内視鏡検査の終了が近づいていることを示す情報、又は、内視鏡検査の終了に伴う作業(鎮静剤を使用している被検者への呼びかけ、内視鏡の洗浄のための準備作業、又は、次の内視鏡検査のための準備作業等)の開始を促す情報等である。
このような目的位置情報は、例えば、同一の操作者或いは複数の操作者が過去に実施した複数回の内視鏡検査の各々において、プロセッサ8Pが、検査終了イベントの検出タイミングから所定時間前のタイミングにおいて導出した第1距離、抜去長、又は、特定挿入長(抜去工程において抜去長の代わりに特定挿入長を導出する場合に限る)の情報を統計的に処理する(例えばこれら多数の距離情報の平均化等)ことで、生成される。
例えば、プロセッサ8Pは、抜去工程において、抜去長と、目的位置情報(抜去長)との差が閾値以下になった場合、或いは、抜去長が目的位置情報(抜去長)よりも大きくなった場合に、被検体の体外近傍の位置に内視鏡1の先端が到達したと判定して、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行う。または、プロセッサ8Pは、抜去工程において、第1距離又は特定挿入長と、目的位置情報(第1距離又は特定挿入長)との差が閾値以下になった場合に、被検体の体外近傍の位置に内視鏡1の先端が到達したと判定して、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行う。これにより、その情報を確認した関係者は、内視鏡検査の終了が近づいていることを認識して、各種の作業を開始することができ、内視鏡検査を効率よく行うことが可能になる。
なお、プロセッサ8Pは、抜去長と目的位置情報(抜去長)との差が閾値以下になった場合、又は、第1距離又は特定挿入長と目的位置情報(第1距離又は特定挿入長)との差が閾値以下になった場合には、挿入部10の移動方向を判定し、判定した移動方向が、被検体の体内から体外に向かう方向であると判定した場合に、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行い、判定した移動方向が、被検体の体外から体内に向かう方向であると判定した場合には、その制御を行わないことが好ましい。このようにすることで、内視鏡検査の終了に関する情報が挿入工程において報知されるのを防ぐことができる。
プロセッサ8Pは、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行った後に、病変検出イベントの発生を検出した場合には、その報知内容を変更することが好ましい。報知内容の変更には、報知の停止、又は、検査終了までの残り時間を報知している場合のその残り時間の修正等が含まれる。このように、内視鏡検査の終了に関する情報を報知する制御を行った後に、病変領域等の注目すべき領域を検出した場合には、報知内容を変更することで、関係者に必要な行動を促すことができる。
この変形例における目的位置情報は、第1検査と第2検査とで分けてメモリに記録しておいてもよい。第1検査は、病変領域の有無を判定するのが主目的であるため、内視鏡1が比較的時間をかけて抜去される。一方、第2検査は、病変領域の切除等の処置が主目的であるため、処置が済んでしまえば、内視鏡1が比較的時間をかけずに抜去される。したがって、第1検査と第2検査のそれぞれに適した目的位置情報を設定しておくことで、適切なタイミングでの報知が可能になる。目的位置情報を第1検査と第2検査とで共通とし、報知条件を満たした場合の報知を行うまでの時間を第1検査と第2検査で変えることでも、同様に、適切なタイミングでの報知が可能になる。
<好ましい形態V:挿入状態の判定>
内視鏡1を被検体内に挿入している状態(特に挿入工程)では、様々な状況が発生し得る。例えば、挿入部10の先端が臓器の内壁に近接した第1特定状態では、撮像画像が全体として赤っぽくなる赤玉現象が発生する。また、挿入部10の先端が付着物によって汚れている第2特定状態では、内視鏡1の撮像範囲の少なくとも一部が遮蔽される。また、挿入部10の先端よりも奥側において大腸の腸壁が潰されている結果、挿入部10の先端によって移動経路10Xの下流側を撮像不能な第3特定状態になることがある。また、挿入部10にたわみやループが形成された第4特定状態となることがある。第1特定状態、第2特定状態、及び第3特定状態は、それぞれ、内視鏡1の先端の状態を構成しており、特定状態を構成する。
好ましい形態Vでは、プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像と、距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)と、に基づいて、内視鏡1の被検体内への挿入状態を判定する。内視鏡1の挿入状態の判定とは、挿入部10が被検体内においてどのような状況に置かれているのかを判定することを言う。この状況として、内視鏡検査に影響があり得るものとしては、臓器の内壁を伸展させている状況、観察を十分に行うことができない状況、移動経路に沿った移動が困難になっている状況、必要以上に挿入がなされている(たわみやループが形成)状況等が含まれる。以下、挿入状態の判定方法の詳細について説明する。
(臓器の内壁を過度に伸展させている挿入状態(臓器伸展状態)の判定)
プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像に基づいて内視鏡1の先端の状態が第1特定状態であるか否かを判定し、その判定結果と、距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)の変化量と、に基づいて、内視鏡1の被検体内への挿入状態が臓器伸展状態であるか否かを判定する。
第1距離又は特定挿入長が増加しているにもかかわらず、挿入部10の先端が臓器の内壁に近接した第1特定状態が継続されている場合には、臓器の内壁に内視鏡1の先端が押し込まれ続けて内壁が伸びている状態であると判定できる。第1特定状態では撮像画像が全体として赤っぽくなるため、撮像画像を解析することで、第1特定状態の発生の有無を判定可能である。プロセッサ8Pは、例えば、機械学習等により生成された画像認識モデルに撮像画像を入力して得られるこの画像認識モデルの出力から、第1特定状態が発生しているか否かを判定する。プロセッサ8Pは、撮像画像に含まれる赤色領域の大きさや、第1特定状態で得られる基準の撮像画像とのパターンマッチング等によって、第1特定状態が発生しているか否かを判定してもよい。プロセッサ8Pは、第1特定状態であるとの判定結果が連続(所定時間継続)して得られ、且つ、その判定結果が得られている期間における距離情報の変化量(増加量)が第1閾値以上である場合に、臓器伸展状態が発生していると判定する。
プロセッサ8Pは、臓器伸展状態が発生していると判定した場合には、臓器伸展状態に基づく操作支援情報を出力することが好ましい。例えば、プロセッサ8Pは、臓器の内壁を伸展していることを示すアラートを表示装置7に表示させたり、スピーカから出力させたりする。また、プロセッサ8Pは、このアラートの出力と併せて、それ以上、内壁を伸展させないための推奨操作(手前に引く、ジグリングする等)を出力することが好ましい。これにより、被検体にかかる負荷を軽減しつつ、内視鏡1の挿入を効率よく行うことが可能となる。
なお、プロセッサ8Pは、第1特定状態であるとの判定結果が連続(所定時間継続)して得られ、且つ、その判定結果が得られている期間における距離情報の変化量(増加量)が第1閾値以上であっても、その期間に導出される距離情報の大きさによって、臓器伸展状態であるか否かを判定してもよい。
例えば、プロセッサ8Pは、第1特定状態であるとの判定結果が連続して得られ、且つ、その判定結果が得られている期間における距離情報の変化量(増加量)が第1閾値以上である場合に、その期間に導出される距離情報の最小値又は最大値に対応する部位を、図15に示す第1テーブルデータに基づいて判定する。プロセッサ8Pは、判定した部位が肛門からSDJの範囲に属している場合には、臓器伸展状態であると判定する。プロセッサ8Pは、判定した部位が脾彎部である場合には、臓器伸展状態ではなく、脾彎部に内視鏡1の先端が達した状態と判定して、例えばアングル操作を促す報知を行う。プロセッサ8Pは、判定した部位が回盲部である場合には、臓器伸展状態ではなく、回盲部に内視鏡1の先端が達した状態と判定して、例えば回盲到達を報知する制御を行う。このようにすることで、臓器伸展状態であるかどうかの判定をより高精度に行うことができる。
(観察不十分となり得る挿入状態(観察不十分状態)の判定)
プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像に基づいて内視鏡1の先端の状態が第2特定状態であるか否かを判定し、その判定結果と、距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)の変化量と、に基づいて、内視鏡1の被検体内への挿入状態が観察不十分状態であるか否かを判定する。
挿入部10の先端が付着物によって汚れている第2特定状態が継続されているにもかかわらず、第1距離又は特定挿入長が増加している場合には、臓器の内壁の観察が十分に行えない可能性がある。第2特定状態では、挿入部10の先端の付着物によって生じる影や反射光が撮像画像に含まれる。このため、撮像画像を解析することで、第2特定状態の発生の有無を判定可能である。プロセッサ8Pは、例えば、機械学習等により生成された画像認識モデルに撮像画像を入力して得られるこの画像認識モデルの出力から、第2特定状態が発生しているか否かを判定する。プロセッサ8Pは、撮像画像に含まれる遮蔽領域の大きさ等によって、第2特定状態が発生しているか否かを判定してもよい。プロセッサ8Pは、第2特定状態であるとの判定結果が連続(所定時間継続)して得られ、且つ、その判定結果が得られている期間における距離情報の変化量(増加量又は減少量)が第1閾値以上である場合に、観察不十分状態が発生していると判定する。
プロセッサ8Pは、観察不十分状態が発生していると判定した場合には、観察不十分状態に基づく操作支援情報を出力することが好ましい。例えば、プロセッサ8Pは、観察不十分状態を解消する(内視鏡1の視界を確保する)ための推奨操作(送気する、送水する、吸引する等)を表示装置7に表示させたり、スピーカから出力させたりする。これにより、病変領域の見落としを防いで、内視鏡検査の質を向上させることができる。
なお、この判定に用いる上記の第1閾値は、挿入工程と抜去工程とで異なる値としてもよい。一般に、抜去工程では、挿入工程よりも、観察が詳細に行われる。そのため、例えば、抜去工程における第1閾値を、挿入工程における第1閾値よりも小さくしておくことで、抜去工程においては、第2特定状態が僅かな時間継続するだけで、操作支援情報を出力できるようになる。これにより、内視鏡検査の質をより向上させることができる。
上述した臓器伸展状態と観察不十分状態は、第1状態を構成する。
(進行方向へ移動困難な挿入状態(挿入困難状態)の判定)
プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像に基づいて内視鏡1の先端の状態が第3特定状態であるか否かを判定し、その判定結果と、距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)の変化量と、に基づいて、内視鏡1の被検体内への挿入状態が挿入困難状態であるか否かを判定する。
挿入部10の先端によって移動経路10Xの下流側を撮像不能な第3特定状態が継続されていて、且つ、第1距離又は特定挿入長が変化していない場合には、操作者が内視鏡1の進行方向を判断できなくなっている状況と言える。第3特定状態では、内視鏡1を挿入していく方向(移動経路10Xの下流側)が撮像画像上で見えなくなるため、撮像画像を解析することで、第3特定状態の発生の有無を判定可能である。プロセッサ8Pは、例えば、機械学習等により生成された画像認識モデルに撮像画像を入力して得られるこの画像認識モデルの出力から、第3特定状態が発生しているか否かを判定する。プロセッサ8Pは、撮像画像に、管腔の形状に相当する円状の領域が含まれるかどうかを判定して、第3特定状態が発生しているか否かを判定してもよい。プロセッサ8Pは、第3特定状態であるとの判定結果が連続(所定時間継続)して得られ、且つ、その判定結果が得られている期間における距離情報の変化量(増加量又は減少量)が第2閾値以下である場合に、挿入困難状態が発生していると判定する。
プロセッサ8Pは、挿入困難状態が発生していると判定した場合には、挿入困難状態に基づく操作支援情報の出力を行うことが好ましい。例えば、プロセッサ8Pは、挿入を進めるための推奨操作(送水操作、ジグリング等)を表示装置7に表示させたり、スピーカから出力させたりする。これにより、被検体にかかる負荷を軽減しつつ、内視鏡1の挿入を効率よく行うことが可能となる。
(第4特定状態(たわみやループ形成)の判定)
プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像と、距離情報(第1距離、特定挿入長、又は抜去長)と、に基づいて、内視鏡1の被検体内への挿入状態が第4特定状態であるか否かを判定する。より具体的には、プロセッサ8Pは、内視鏡1により撮像された撮像画像に基づいて上述した到達部位認識処理を行い、この到達部位認識処理の結果と、距離情報とに基づいて、第4特定状態の発生の有無を判定する。
プロセッサ8Pは、第1タイミングで距離情報(距離LY1とする)を取得すると、その距離情報を取得した時点での内視鏡1の先端の到達部位を到達部位認識処理によって認識する。プロセッサ8Pは、内視鏡1の先端の到達部位を認識すると、図15に例示された第1テーブルデータから、その到達部位に対応する距離情報(距離LY2とする)を取得する。距離LY1と距離LY2がほぼ同じ値となっていれば、内視鏡1はほぼ基準データにしたがって理想的に挿入されていると言える。これに対し、距離LY1が距離LY2よりも閾値以上大きい場合には、必要以上に内視鏡1が挿入されている、つまり、たわみやループが形成されていると判断できる。したがって、プロセッサ8Pは、距離LY1と距離LY2を比較し、距離LY1が距離LY2よりも閾値以上大きい場合には、内視鏡1の挿入状態が第4特定状態であると判定し、距離LY1が距離LY2よりも閾値以上大きくない場合には、内視鏡1の挿入状態が第4特定状態ではないと判定する。
或いは、プロセッサ8Pは、第1タイミングで距離情報(距離LY1とする)を取得すると、図15に例示された第1テーブルデータから、その距離LY1に対応する到達部位(部位J1とする)を取得する。また、プロセッサ8Pは、その距離LY1を取得した時点よりも前に行われた到達部位認識処理によって認識した過去の到達部位と、部位J1とを比較し、過去の到達部位の中に部位J1が含まれない場合には、第4特定状態であると判定する。
プロセッサ8Pは、第4特定状態が発生していると判定した場合には、推定したたわみ・ループ形成位置、又は、たわみ・ループを解消するための推奨操作(用手圧迫する、右ひねりする等)等を報知することが好ましい。プロセッサ8Pは、例えば、到達部位認識処理によって認識した到達部位から、その到達部位と肛門との間におけるたわみ・ループが発生しやすい部位を統計的に推定することができる。
以上に例示した挿入状態の判定は、挿入工程と抜去工程のうち、挿入工程のみで行ってもよい。また、内視鏡1の先端の到達範囲毎に、どの挿入状態の判定を行うかを決めてもよい。例えば、観察不十分状態の発生有無の判定は挿入工程及び抜去工程の全て(肛門から回盲部の全範囲)において行い、臓器伸展状態、挿入困難状態、及び第4特定状態の発生有無の判定は、S状結腸から脾彎部までの範囲においてのみ行うようにしてもよい。また、挿入工程と抜去工程とで、判定すべき挿入状態を変更してもよい。例えば、挿入工程では、臓器伸展状態、観察不十分状態、挿入困難状態、及び第4特定状態の発生有無を判定し、抜去工程では、臓器伸展状態及び観察不十分状態の発生有無を判定するようにしてもよい。これらのようにすることで、プロセッサ8Pの処理負荷を軽減することができる。
(挿入状態の判定結果の記録)
プロセッサ8Pは、以上に説明した挿入状態の判定結果(臓器伸展状態であるとの判定結果、観察不十分状態であるとの判定結果、挿入困難状態であるとの判定結果、又は、第4特定状態であるとの判定結果)を、その判定結果が得られた時の経過時間と関連付けて、検査データとして記録する制御を行うことが好ましい。このようにすることで、例えば、図14に示すグラフにおいて、臓器伸展状態となった期間、観察不十分状態となった期間、挿入困難状態となった期間、第4特定状態(たわみ・ループ形成)となった期間を併せて確認することができ、手技の評価に役立てることができる。
上述してきた検出ユニット40は、内視鏡1の挿入補助部材と一体的に構成することも可能である。例えば、検出ユニット40は、肛門に挿入される挿入補助部材と一体的に形成されたり、口に咥えるマウスピースタイプの挿入補助部材と一体的に形成されたりしてもよい。また、検出ユニット40は、内視鏡検査用パンツと一体的に形成してもよいし、内視鏡検査用パンツに対して着脱可能に構成してもよい。
本開示の技術は、上述したものに限らず、以下に示すように、適宜変更が可能である。
例えば、内視鏡1は、被検者50の口や鼻から体内に挿入されるものであってもよい。この場合には、検出ユニット40は、被検者50の口や鼻に装着可能な形状とすればよい。
管状部材17は、第1部材14と第2部材15を有し、それぞれが磁化可能なオーステナイト系ステンレスを含む構成としているが、これらのうちの一方は、磁化不能な材料で構成されていてもよい。つまり、これらのうちの一方には磁気パターンが形成されていなくてもよい。その場合でも、管状部材17からは、前述してきた磁束密度BX、BY、BZを検出できるため、挿入部10の移動状態と回転状態の判定は可能である。
以上の説明では、管状部材17に2種の磁極領域が長手方向に交互に並ぶ磁気パターンを形成し、その磁気パターンから検出された2方向の磁気情報の分類レベルの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向への移動状態を判定するものとした。しかし、管状部材17に形成される2種の磁極領域は、長手方向に交互に配置されていなくてもよい。このようにした場合でも、磁気パターンから検出された2方向の磁気情報の分類レベルの組み合わせに基づいて、挿入部10の長手方向への移動状態を判定することは可能である。
また、変形例として、管状部材17に、上記磁気パターンよりも複雑なパターンを形成しておき、そのパターンを磁気検出部43、44により検出することで、挿入部10の長手方向への移動状態を判定してもよい。具体的には、管状部材17の長手方向の各位置と、その各位置で検出される磁束密度BX又は磁束密度BY(分類レベル)とを対応付けたテーブルをメモリに記録しておき、プロセッサ8Pは、磁気検出部43が検出した磁束密度BX又は磁束密度BYを分類して分類レベルを取得し、この分類レベルに対応する位置の情報を、このテーブルから取得して、挿入部10の挿入長を判定するようにしてもよい。このようにすることで、挿入部10の挿入長をより細かく判定することができる。また、磁気検出部43、44を、一方向の磁束密度を検出するものとすることができ、コストを下げることができる。
以上説明してきたように、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。
(1)
内視鏡の移動経路上の基準位置から上記移動経路に沿って移動する上記内視鏡の先端までの距離を取得し、
上記内視鏡を用いた検査の開始からの経過時間を取得し、
上記検査に関連するイベントが発生した場合に上記イベントの情報であるイベント情報を取得し、
上記距離と、上記経過時間と、上記イベント情報とを関連付けて記憶する制御を行う、プロセッサを備える処理装置。
(2)
(1)に記載の処理装置であって、
上記イベントは、被検体内の特定部位に上記内視鏡の先端が到達したことを含む処理装置。
(3)
(1)又は(2)に記載の処理装置であって、
上記イベントは、上記内視鏡の特定操作がなされたことを含む処理装置。
(4)
(3)に記載の処理装置であって、
上記特定操作は、上記内視鏡の処置具の操作を含む処理装置。
(5)
(3)又は(4)に記載の処理装置であって、
上記特定操作は、上記内視鏡の回転操作を含む処理装置。
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記イベントは、病変領域が検出されたことを含む処理装置。
(7)
(2)から(4)、(6)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記プロセッサは、上記内視鏡により撮像された撮像画像を取得し、上記撮像画像に基づいて上記イベントの発生を検出する処理装置。
(8)
(1)から(6)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記イベントは、上記内視鏡の操作者が特定の動作を行ったことを含む処理装置。
(9)
(8)に記載の処理装置であって、
上記操作者の上記特定の動作は、用手圧迫を含む処理装置。
(10)
(1)から(9)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記プロセッサは、記憶した上記経過時間及び上記イベント情報の少なくとも一方の修正を受け付ける処理装置。
(11)
(1)から(10)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記プロセッサは、上記検査の開始前にメモリに記憶されていた上記距離と上記経過時間との関係を少なくとも示す基準データを上記メモリから取得して表示装置に表示させ、上記検査の開始後に取得した上記距離及び上記経過時間を上記基準データと対応付けて上記表示装置に表示させる処理装置。
(12)
(11)に記載の処理装置であって、
上記基準データは、上記距離と上記経過時間と上記イベント情報との関係を示すデータである処理装置。
(13)
(12)に記載の処理装置であって、
上記プロセッサは、上記検査において特定の上記イベントが発生した場合に、上記基準データにおけるそのイベントの発生タイミングを起点にして、上記距離の表示を開始させる処理装置。
(14)
(1)から(13)のいずれかに記載の処理装置であって、
上記プロセッサは、複数回の上記検査のそれぞれにおいて取得した上記経過時間毎の上記距離及び上記イベント情報のデータに基づいて、上記イベント情報と上記距離との統計的な対応を示す情報を生成する処理装置。
(15)
(1)から(14)のいずれか1項に記載の処理装置であって、
上記内視鏡の挿入部には、長手方向に沿って磁気パターンが形成されており、
上記プロセッサは、上記磁気パターンから、上記内視鏡の挿入される被検体の体外に設置された磁気検出部により検出された磁場に基づいて、上記距離を取得する処理装置。
(16)
(15)に記載の処理装置であって、
上記基準位置は、上記磁気検出部の位置である処理装置。
(17)
(1)から(16)のいずれかに記載の処理装置と、上記内視鏡とを備える内視鏡装置。
(18)
(17)に記載の内視鏡装置であって、
上記移動経路に配置される磁気検出部を備え、
上記内視鏡の挿入部は、長手方向に延び且つ磁気パターンが上記長手方向に沿って一体的に形成された金属を含む部材を有し、
上記磁気検出部は、上記部材から磁場を検出し、
上記プロセッサは、上記磁気検出部により検出された磁場に基づいて、上記距離を導出する内視鏡装置。
(19)
(18)に記載の内視鏡装置であって、
上記挿入部は、上記内視鏡の軟性部を含む内視鏡装置。
(20)
(19)に記載の内視鏡装置であって、
上記軟性部は、絶縁性の筒状部材と、金属を含んで構成され且つ上記筒状部材に内挿された筒状の第1部材と、金属を含んで構成され且つ上記第1部材に内挿された筒状の第2部材と、を有し、
上記部材は、上記第1部材と上記第2部材の少なくとも一方を含む内視鏡装置。
(21)
(17)に記載の内視鏡装置であって、
上記移動経路に配置される磁気検出部を備え、
上記内視鏡の挿入部は、長手方向に延び且つ磁気パターンが上記長手方向に沿って形成された金属を含む部材を有し、
上記磁気検出部は、上記部材から磁場を検出し、
上記プロセッサは、上記磁気検出部により検出された磁場に基づいて、上記距離を導出し、
上記挿入部は、絶縁性の筒状部材と、金属を含んで構成され且つ上記筒状部材に内挿された筒状の第1部材と、金属を含んで構成され且つ上記第1部材に内挿された筒状の第2部材と、を有し、
上記部材は、上記第1部材と上記第2部材の少なくとも一方を含み、
上記第1部材は、螺旋菅であり、
上記第2部材は、網体である内視鏡装置。
(22)
(20)に記載の内視鏡装置であって、
上記第1部材と上記第2部材の少なくとも一方は、磁化可能なオーステナイト系ステンレスによって構成される内視鏡装置。
(23)
(18)から(22)のいずれかに記載の内視鏡装置であって、
上記磁気検出部は、上記部材の長手方向に沿った複数の位置において、第1方向の第1磁束密度と、上記第1方向に交差する第2方向の第2磁束密度を検出する内視鏡装置。
(24)
内視鏡の移動経路上の基準位置から上記移動経路に沿って移動する上記内視鏡の先端までの距離を取得し、
上記内視鏡を用いた検査の経過時間を取得し、
上記検査に関連するイベントが発生した場合に上記イベントの情報であるイベント情報を取得し、
上記距離と、上記経過時間と、上記イベント情報とを関連付けて記憶する処理方法。
1 内視鏡
MA,MA1,MA2 磁極部
4P プロセッサ
4 プロセッサ装置
5 光源装置
6 入力部
7 表示装置
8 拡張装置
8P プロセッサ
10A 軟性部
10B 湾曲部
10C 先端部
10 挿入部
11 操作部
12 アングルノブ
13A,13B コネクタ部
13 ユニバーサルコード
14 第1部材
15a 金属帯片
15 第2部材
16A,16B 口金
17N 正極領域
17S 負極領域
17 管状部材
18A 内側樹脂層
18B 外側樹脂層
18 外皮層
19 コーティング層
40 検出ユニット
42 筐体
42A 本体部
42B 蓋部
42a 平板部
42b 側壁部
42c 内壁部
41A,41B,41 貫通孔
43,44 磁気検出部
45 通信用チップ
46 蓄電池
47 受電用コイル
50A 肛門
53 直腸
54 S状結腸
55 下行結腸
56 横行結腸
57 上行結腸
58 回盲部
50 被検者
100 内視鏡装置
200 内視鏡システム
300 磁界発生装置
PO1、PO2 位置

Claims (24)

  1. 内視鏡の移動経路上の基準位置から前記移動経路に沿って移動する前記内視鏡の先端までの距離を取得し、
    前記内視鏡を用いた検査の開始からの経過時間を取得し、
    前記検査に関連するイベントが発生した場合に前記イベントの情報であるイベント情報を取得し、
    前記距離と、前記経過時間と、前記イベント情報とを関連付けて記憶する制御を行う、プロセッサを備える処理装置。
  2. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記イベントは、被検体内の特定部位に前記内視鏡の先端が到達したことを含む処理装置。
  3. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記イベントは、前記内視鏡の特定操作がなされたことを含む処理装置。
  4. 請求項3に記載の処理装置であって、
    前記特定操作は、前記内視鏡の処置具の操作を含む処理装置。
  5. 請求項3に記載の処理装置であって、
    前記特定操作は、前記内視鏡の回転操作を含む処理装置。
  6. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記イベントは、病変領域が検出されたことを含む処理装置。
  7. 請求項2に記載の処理装置であって、
    前記プロセッサは、前記内視鏡により撮像された撮像画像を取得し、前記撮像画像に基づいて前記イベントの発生を検出する処理装置。
  8. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記イベントは、前記内視鏡の操作者が特定の動作を行ったことを含む処理装置。
  9. 請求項8に記載の処理装置であって、
    前記操作者の前記特定の動作は、用手圧迫を含む処理装置。
  10. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記プロセッサは、記憶した前記経過時間及び前記イベント情報の少なくとも一方の修正を受け付ける処理装置。
  11. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記プロセッサは、前記検査の開始前にメモリに記憶されていた前記距離と前記経過時間との関係を少なくとも示す基準データを前記メモリから取得して表示装置に表示させ、前記検査の開始後に取得した前記距離及び前記経過時間を前記基準データと対応付けて前記表示装置に表示させる処理装置。
  12. 請求項11に記載の処理装置であって、
    前記基準データは、前記距離と前記経過時間と前記イベント情報との関係を示すデータである処理装置。
  13. 請求項12に記載の処理装置であって、
    前記プロセッサは、前記検査において特定の前記イベントが発生した場合に、前記基準データにおける当該イベントの発生タイミングを起点にして、前記距離の表示を開始させる処理装置。
  14. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記プロセッサは、複数回の前記検査のそれぞれにおいて取得した前記経過時間毎の前記距離及び前記イベント情報のデータに基づいて、前記イベント情報と前記距離との統計的な対応を示す情報を生成する処理装置。
  15. 請求項1に記載の処理装置であって、
    前記内視鏡の挿入部には、長手方向に沿って磁気パターンが形成されており、
    前記プロセッサは、前記磁気パターンから、前記内視鏡の挿入される被検体の体外に設置された磁気検出部により検出された磁場に基づいて、前記距離を取得する処理装置。
  16. 請求項15に記載の処理装置であって、
    前記基準位置は、前記磁気検出部の位置である処理装置。
  17. 請求項1に記載の処理装置と、前記内視鏡とを備える内視鏡装置。
  18. 請求項17に記載の内視鏡装置であって、
    前記移動経路に配置される磁気検出部を備え、
    前記内視鏡の挿入部は、長手方向に延び且つ磁気パターンが前記長手方向に沿って一体的に形成された金属を含む部材を有し、
    前記磁気検出部は、前記部材から磁場を検出し、
    前記プロセッサは、前記磁気検出部により検出された磁場に基づいて、前記距離を導出する内視鏡装置。
  19. 請求項18に記載の内視鏡装置であって、
    前記挿入部は、前記内視鏡の軟性部を含む内視鏡装置。
  20. 請求項19に記載の内視鏡装置であって、
    前記軟性部は、絶縁性の筒状部材と、金属を含んで構成され且つ前記筒状部材に内挿された筒状の第1部材と、金属を含んで構成され且つ前記第1部材に内挿された筒状の第2部材と、を有し、
    前記部材は、前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方を含む内視鏡装置。
  21. 請求項17に記載の内視鏡装置であって、
    前記移動経路に配置される磁気検出部を備え、
    前記内視鏡の挿入部は、長手方向に延び且つ磁気パターンが前記長手方向に沿って形成された金属を含む部材を有し、
    前記磁気検出部は、前記部材から磁場を検出し、
    前記プロセッサは、前記磁気検出部により検出された磁場に基づいて、前記第1距離を導出し、
    前記挿入部は、絶縁性の筒状部材と、金属を含んで構成され且つ前記筒状部材に内挿された筒状の第1部材と、金属を含んで構成され且つ前記第1部材に内挿された筒状の第2部材と、を有し、
    前記部材は、前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方を含み、
    前記第1部材は、螺旋菅であり、
    前記第2部材は、網体である内視鏡装置。
  22. 請求項20に記載の内視鏡装置であって、
    前記第1部材と前記第2部材の少なくとも一方は、磁化可能なオーステナイト系ステンレスによって構成される内視鏡装置。
  23. 請求項18に記載の内視鏡装置であって、
    前記磁気検出部は、前記部材の長手方向に沿った複数の位置において、第1方向の第1磁束密度と、前記第1方向に交差する第2方向の第2磁束密度を検出する内視鏡装置。
  24. 内視鏡の移動経路上の基準位置から前記移動経路に沿って移動する前記内視鏡の先端までの距離を取得し、
    前記内視鏡を用いた検査の経過時間を取得し、
    前記検査に関連するイベントが発生した場合に前記イベントの情報であるイベント情報を取得し、
    前記距離と、前記経過時間と、前記イベント情報とを関連付けて記憶する処理方法。
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