JP2024065594A - 車両のブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動駐車ブレーキ動作中にブレーキペダルが操作された場合にブレーキ力が過剰になることを抑える。【解決手段】電動駐車ブレーキを掛ける過程で、ブレーキペダルが急操作されたとき、機械系押圧力Mと液圧センサに検出された液圧系押圧力Hfdの和である検出総押圧力Ffdが、駐車時に必要な押圧力Fcに第1付加押圧力Fdr1を加えた第1増量必要押圧力Fca1に達すると駐車ブレーキ動作を終了する。ブレーキペダルが緩操作されたとき、検出総押圧力Ffdが、第1増量必要押圧力Fca1より小さい第2増量必要押圧力Fca2に達すると駐車ブレーキ動作を終了する。ブレーキペダルの緩操作の際に過剰な押圧力(ブレーキ力)の発生を抑制する。【選択図】図4
Description
本発明は、車両のブレーキ装置、特に電動駐車ブレーキを備えたブレーキ装置に関する。
車両のブレーキ装置は、運転者のペダル操作を液圧を介してブレーキパッド等のブレーキ部材に伝え、ブレーキ部材をディスクロータ等の被ブレーキ部材に押圧して車輪の回転を拘束する。また、モータによってブレーキ部材を駆動し、被ブレーキ部材を機械的に押圧して車輪の回転を拘束する電動駐車ブレーキを備えた車両が近年増加している。下記特許文献1には、油圧を介してブレーキ部材を駆動する油圧システム(16)と、モータ(42)を含む電動システム(40)とを用いて駐車ブレーキ動作を実行するブレーキ装置が示されている。なお、上記の( )内の符号は、下記特許文献1で用いられたものであり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
モータによってブレーキ部材を機械的に駆動する機械駆動系と、液圧を介してブレーキ部材を駆動する液圧駆動系を有するブレーキ装置において、機械駆動系と液圧駆動系を用いて駐車ブレーキを動作させるときに、両系統によるブレーキ力を調整して必要なブレーキ力を得るようにすることができる。液圧駆動系だけでは不足しているブレーキ力を機械駆動系で補う場合、液圧を検出し、検出した液圧に応じた機械駆動系によるブレーキ力を発生させる。液圧駆動系の液圧に対して、実際のブレーキ力は時間遅れをもって発生する。このため、実際の液圧駆動系によるブレーキ力は、検出された液圧に相当するブレーキ力より小さい場合があり、このとき合計のブレーキ力が必要なブレーキ力より小さくなる可能性がある。これを避けるため、遅れによるブレーキ力の減少を考慮して、機械駆動系によるブレーキ力を常時一定量増加させると、遅れが小さい場合には、過剰なブレーキ力が発生する。
本発明は、駐車ブレーキを掛けたとき過剰なブレーキ力の発生を抑制することを目的とする。
本発明に係る車両のブレーキ装置は、車輪と一体に回転する被ブレーキ部材に向けてブレーキ部材を押し出すピストンと、液圧によってピストンを駆動し、ブレーキ部材を押し出して被ブレーキ部材に対する押圧力を生じさせる液圧駆動系と、モータによって機械的に直接ピストンを駆動し、ブレーキ部材を押し出して被ブレーキ部材に対する押圧力を生じさせる機械駆動系と、液圧駆動系の液圧を検出する液圧センサと、駐車ブレーキ動作において、液圧駆動系による押圧力が作用している場合には、液圧駆動系による押圧力と機械駆動系による押圧力によって駐車時に必要な必要押圧力が得られるように機械駆動系を制御する制御部と、を備える。制御部は、駐車ブレーキ動作において、液圧センサにより検出された液圧に基づき算出された液圧駆動系による押圧力と機械駆動系による押圧力との和である総押圧力が、必要押圧力に液圧センサにより検出された液圧に応じた付加押圧力を加えた押圧力となるように機械駆動系を制御する。
液圧センサにより検出された液圧に対する液圧駆動系の押圧力に遅れが生じても、遅れに応じた押圧力を得ることができ、押圧力が過剰となることを抑制できる。
上記の車両のブレーキ装置において、制御部は、液圧センサにより検出された液圧が所定値を超える増加速度となった場合、付加押圧力を第1付加押圧力とし、液圧センサにより検出された液圧が所定値以下の増加速度であった場合、付加押圧力を第1付加押圧力より小さい第2付加押圧力とするものとできる。
付加押圧力を液圧に応じて連続的に変化させる場合に比べて、制御の演算負担が軽減する。
上記の車両のブレーキ装置において、液圧駆動系は、運転者が操作するブレーキ操作子の動きを液体を介してピストンに伝えて当該ピストンを駆動する手動操作機構を含むものとすることができる。
上記の車両のブレーキ装置であって、液圧駆動系は、ブレーキ操作子の動きを液圧に変換するマスタシリンダを含むものとでき、液圧センサは、マスタシリンダにおける液圧を検出するものとできる。
液圧センサにより検出された液圧に対する液圧駆動系の押圧力に遅れが生じても、押圧力が過剰となることを抑制でき、装置の強度、耐久性に関して有利となる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態の車両のブレーキ装置10の概略構成を模式的に示す図である。ブレーキ装置10は、車両の車輪と一体となって回転する円板状のディスクロータ12と、回転するディスクロータ12と摺接し、ディスクロータ12に摩擦力によりブレーキ力を付与するブレーキパッド14を含む。ディスクロータ12は、車輪と一体となって回転する被ブレーキ部材の一例であり、被ブレーキ部材の他の例として例えばブレーキドラムが挙げられる。ブレーキパッド14は、被ブレーキ部材に摺接するブレーキ部材の一例である。前述のブレーキドラムに対応するブレーキ部材としてブレーキシューが挙げられる。
ブレーキ装置10は、さらにブレーキパッド14が組み込まれたブレーキキャリパ16(以下、キャリパ16と記す。)を含み、キャリパ16には、さらにブレーキパッド14をディスクロータ12に向けて押し出すためのブレーキピストン18(以下、ピストン18と記す。)が、キャリパ16内に規定されたシリンダ室20に摺動可能に組み込まれている。ピストン18は、中空の円筒部18aと、円筒部18aのブレーキパッド14側の端をふさぐように設けられた端面部18bを含む。ブレーキ装置10は、液圧を介してピストン18を駆動する液圧駆動系22と、液圧等の流体圧を介さず直接機械的にピストン18を駆動する機械駆動系24を含む。
液圧駆動系22は、ブレーキペダル26の操作量に応じた液圧を発生するマスタシリンダ28と、マスタシリンダ28により発生された液圧を増減可能な液圧回路30を含む。液圧回路30は、液圧ポンプ(不図示)を備え、マスタシリンダ28の圧力が不足するとき、当該液圧ポンプによりシリンダ室20に供給される液圧を増圧する。液圧回路30は、車両挙動制御装置、横滑り防止装置などと呼ばれる装置の液圧回路を用いることができる。車両挙動制御装置は、各車輪に発生するブレーキ力を個々に制御し、ブレーキ力によって車両のヨーモーメントを生じさせて、車両の挙動を安定化させる装置である。マスタシリンダ28からの液圧は、液圧回路30を介してシリンダ室20に供給され、この圧力によってピストン18が駆動され、ピストン18がブレーキパッド14をディスクロータ12に向けて押し出す。これにより、ディスクロータ12は、ディスクロータ12を挟んで対向するブレーキパッド14によって挟持され、ブレーキ力が発生する。
機械駆動系24は、電気モータ32(以下、モータ32と記す。)と、モータ32の回転を伝達し、直線動作に変換してピストン18を駆動する機械伝達機構34を含む。よって、機械駆動系24は、ピストン18を電動駆動する電動アクチュエータである。機械伝達機構34は、モータ32の回転を減速して伝達するギヤ列36と、ギヤ列36に回転駆動される送りねじ軸38と、送りねじ軸38とねじ結合するスラストナット40を含む。送りねじ軸38と、スラストナット40は、ピストン18の円筒部18aの内側に、ピストン18と同軸に配置されている。スラストナット40は、ピストン18およびキャリパ16に対して回転しないよう規制されており、送りねじ軸38が回転すると、送りねじ軸38の軸線方向に沿って移動する。送りねじ軸38とスラストナット40は、モータ32の回転動作を直線動作に変換する動作変換機構を構成する。スラストナット40がピストン18の端面部18b側に駆動されると、ピストン18はブレーキパッド14をディスクロータ12に向けて押し出す。これにより、ディスクロータ12は、ディスクロータ12を挟んで対向するブレーキパッド14によって挟持され、ブレーキ力が発生する。
ディスクロータ12、キャリパ16、液圧駆動系22および機械駆動系24は、複数の車輪についてそれぞれ配置されており、図1は、1つの車輪についての構成を示している。機械駆動系24は、一部の車輪のみに対して設けられてよく、例えば一般的な乗用車等の四輪車両においては、2つの後輪のみに設けられてよい。
ブレーキ装置10は、各車輪の液圧駆動系22および機械駆動系24の動作を制御する制御部42を含む。制御部42は、液圧回路30を制御して、液圧駆動系22によってシリンダ室20に供給される液圧を制御する。このとき、液圧駆動系22の液圧を検出する液圧センサ44の検出した液圧に基づきフィードバック制御を行ってよい。液圧センサ44をマスタシリンダ28またはその近傍に配置し、マスタシリンダ28の液圧を検出するようにしてよい。また、制御部42は、モータ32に供給する電流を制御して機械駆動系24によるピストン18の駆動力を制御する。モータ32に供給される電流値によってピストン18を駆動する力を検出することができる。さらに、制御部42は、乗員による電動駐車ブレーキスイッチ46(以下、EPBスイッチ46と記す。)の操作に基づきモータ32を駆動制御し、スラストナット40を進退させる。EPBスイッチ46がオン操作されると、スラストナット40がピストン18の端面部18b側に進出駆動され、オフ操作されるとスラストナット40は反対向きに退避駆動される。
以下の説明に用いるパラメータについて、次のように定める。ブレーキパッド14がディスクロータ12を押圧する力を「総押圧力F」と記す。車両に作用するブレーキ力は、押圧力に比例する。液圧駆動系22による押圧力を「液圧系押圧力H」、機械駆動系24による押圧力を「機械系押圧力M」と記す。また、液圧系押圧力Hと機械系押圧力Mの和が総押圧力Fである。所定の傾斜角の坂道に駐車する際、車両を止めておくために必要な押圧力を「必要押圧力Fc」と記す。
ブレーキ装置10は、通常、機械駆動系24のみの動作で駐車ブレーキを掛ける。EPBスイッチ46がオン操作されると、制御部42は、モータ32に電力を供給し、送りねじ軸38を回転させてピストン18をブレーキパッド14に向けて進出させる。制御部42は、モータ32に供給される電流Iを監視し、この電流に対応する機械系押圧力Mが必要押圧力Fcに対応する値に達すると、電流Iの供給を止めてモータ32を停止し、駐車ブレーキ動作を停止する。
液圧回路30によって、液圧駆動系22の液圧が維持されているときに、または運転者がブレーキペダル26を踏んで液圧が発生しているときに、液圧がないときと同様に機械系押圧力Mが必要押圧力Fcに達するまで機械駆動系24を動作させると、総押圧力Fは、必要押圧力Fcに液圧系押圧力Hを加えた圧力になる。この圧力は、必要押圧力Fcに対して過剰な圧力となる。また、液圧系押圧力Hと機械系押圧力Mが作用している状態から、液圧系押圧力Hを減少させても、ピストン18の位置は機械駆動系24によって固定されているため、総押圧力Fは変化しない。このため、運転者がブレーキペダル26から足を離すことで液圧が低下したとしても、過剰な押圧力が維持される。このブレーキ装置10においては、駐車ブレーキを掛けるときに、液圧系押圧力Hが作用している場合には、機械系押圧力Mのみで必要押圧力Fcを得るのではなく、液圧系押圧力Hと機械系押圧力Mにより必要押圧力Fcを得ている。また、前述のように、機械系押圧力Mが作用した状態で、液圧系押圧力Hが低下しても必要押圧力Fcが確保される。
図2は、ブレーキ装置10の駐車ブレーキを掛けるときの動作を説明するための図である。より具体的には、駐車ブレーキを掛ける過程でブレーキペダル26が踏まれて液圧駆動系22の液圧が作用した場合の押圧力およびモータ電流Iを示す図である。
時点t1でEPBスイッチ46がオン操作されると、モータ32にモータ電流Iが供給される。モータ電流Iは、モータ32の起動時には大きな値となるが直ぐに低下する。スラストナット40がピストン18に向けて進出し、時点t2でピストン18に当接して、これを押し始めると機械系押圧力Mが生じる。機械系押圧力Mの増加に伴いモータ電流Iも増加する。さらに、時点t3で、ブレーキペダル26が踏み込まれて液圧駆動系22の液圧が増加する。液圧センサ44により検出された液圧に基づく押圧力が符号Hdで示されている。この押圧力Hdを検出液圧系押圧力Hdと記す。液圧の増加の速度が大きいと、液圧の増加に対して、実際にディスクロータ12に作用する押圧力Hrは遅れて増加する。この押圧力Hrを実液圧系押圧力Hrと記す。実液圧系押圧力Hrは、時点t3から遅れて時点t4にて増加が始まる。検出液圧系押圧力Hdと機械系押圧力Mの和の押圧力が符号Fd(=M+Hd)で示されており、この押圧力Fdを検出総押圧力Fdと記す。また、実液圧系押圧力Hrと機械系押圧力Mの和が符号Fr(=M+Hr)で示されており、この押圧力Frを実総押圧力Frと記す。また、液圧に関し、その増加の速度を「増加速度」と記す。
検出総押圧力Fdが必要押圧力Fcに達した時点t5における検出総押圧力Fd、機械系押圧力M、検出液圧系押圧力Hd、実液圧系押圧力Hrを、それぞれFd5、M5、Hd5、Hr5と記す。時点t5において、
Fd5=M5+Hd5=Fc
である。
Fd5=M5+Hd5=Fc
である。
時点t5において、実総押圧力Fr5は、実液圧系押圧力Hrが検出液圧系押圧力Hdより小さいため、検出総押圧力Fd5よりも小さく、また必要押圧力Fcより小さい。
Fr5=M5+Hr5<Fc
Fr5=M5+Hr5<Fc
時点t5において、モータ32を停止すると、機械系押圧力Mは、符号MAで示すように、押圧力M5を維持され、一方、実総押圧力Frは、時点t5の後、符号FrAで示すように、実液圧系押圧力Hrが増加するのに伴って増加する。運転者がブレーキペダル26から足を離すと実液圧系押圧力Hrが零となるが、ピストン18の動きはスラストナット40に規制されているのでピストン18を後退せず、その位置は変わらない。ディスクロータ12に対するブレーキパッド14の押圧力は、ピストン18の位置で定まるので、ピストン18が後退しなければ、実液圧系押圧力Hrが零となっても押圧力は変化しない。よって、実総押圧力Frは、時点t5におけるピストン18の進出量で定まる値、すなわちFr5となる。つまり、なくなった実液圧系押圧力Hrの分を担うように機械系押圧力Mが増加し、機械系押圧力Mのみで実総押圧力FrがFr5となる。この実総押圧力Fr5は、必要押圧力Fcに達していない。これは、検出液圧系押圧力Hdと実液圧系押圧力Hrの差Hdrに起因するものである。したがって、この差をあらかじめ考慮して、検出総押圧力Fdが、必要押圧力Fcに所定の値を加算した押圧力を超えてからモータ32を停止することで、最終的な実総押圧力Frを必要押圧力Fc以上とすることができる。
検出液圧系押圧力Hdに対する実液圧系押圧力Hrの遅れによる両者の差、つまり遅れによる押圧力減少分Hdrは、両者が変化中のどの時点でもほぼ同値であるから、時点t5における値で代表でき、
Hdr=Hd5-Hr5
と表せる。この押圧力減少分Hdrに等しい値Fdrを必要押圧力Fcに加え、この押圧力(Fc+Fdr)に検出総押圧力Fdが達したとき、モータ32を停止するようにする。この必要押圧力Fcに加算される押圧力Fdrを付加押圧力Fdrと記し、必要押圧力Fcに付加押圧力Fdrを加算した押圧力を増量必要押圧力Fcaと記す。
Hdr=Hd5-Hr5
と表せる。この押圧力減少分Hdrに等しい値Fdrを必要押圧力Fcに加え、この押圧力(Fc+Fdr)に検出総押圧力Fdが達したとき、モータ32を停止するようにする。この必要押圧力Fcに加算される押圧力Fdrを付加押圧力Fdrと記し、必要押圧力Fcに付加押圧力Fdrを加算した押圧力を増量必要押圧力Fcaと記す。
制御部42は、検出総押圧力Fdが増量必要押圧力Fcaに達する時点t6までモータ電流Iを供給し、時点t6でモータ電流Iの供給を止める。時点t6における検出総押圧力Fd、機械系押圧力M、検出液圧系押圧力Hd、実液圧系押圧力Hr、実総押圧力Frを、それぞれFd6、M6、Hd6、Hr6、Fr6と記す。時点t6において、
Fd6=M6+Hd6=Fca
Fr6=M6+Hr6=Fc
である。
Fd6=M6+Hd6=Fca
Fr6=M6+Hr6=Fc
である。
時点t6以降、機械系押圧力Mは、符号MBで示すように、押圧力M6が維持され、一方、実総押圧力Frは、時点t6の後、符号FrBで示すように、実液圧系押圧力Hrが増加するのに伴って増加する。運転者がブレーキペダル26から足を離すと、実液圧系押圧力Hrがなくなり、このなくなった押圧力Hr分を担うように機械系押圧力Mが増加し、時点t6におけるピストン18の進出量で定まる値、すなわちFr6となる。よって、実総押圧力FrはFr6(=Fc)となる。
図3は、液圧の増加速度と、付加押圧力Fdrの関係を示す図である。液圧の増加速度が大きくなると、これに伴って遅れによる押圧力減少分Hdrも増加する。駐車ブレーキを掛ける過程で液圧系押圧力Hが増加したとき、そのときの押圧力減少分Hdrに等しい付加押圧力Fdrをその都度必要押圧力Fcに加算して増量必要押圧力Fcaを算出し、この増量必要押圧力Fcaに基づき機械系押圧力Mの制御を行えば、常に、液圧系押圧力Hが減少後(つまり、最終的に)、必要押圧力Fcを得ることができる。このように、付加押圧力Fdrを、液圧増加速度の増減に応じて連続的に変化させるようにすれば、駐車ブレーキを常に必要押圧力Fcとすることができる。
このブレーキ装置10においては、簡易的に、2値の付加押圧力Fdrを用いて制御を行う。液圧増加速度が所定のしきい値Thを超えるとき第1付加押圧力Fdr1を用い、しきい値Th以下のとき第1付加押圧力Fdr1より小さい値の第2付加押圧力Fdr2を用いて制御を行う。ブレーキ装置10は、ブレーキペダル26が急操作され、液圧駆動系22の遅れが大きいときには、大きな値の第1付加押圧力Fdr1を用いることで必要押圧力Fcを得るようにし、ブレーキペダル26が緩操作されるか、または操作されないときには、小さい値の第2付加押圧力Fdr2を用いることで駐車ブレーキ時の押圧力が過剰とならないようにしている。
図4は、ブレーキ装置10の駐車ブレーキ時の動作を示す図である。図4には、駐車ブレーキを掛ける過程で、ブレーキペダル26が急操作されたときと、駐車ブレーキを掛ける前にブレーキペダル26が操作され、その状態が維持されているときの各押圧力が示されている。ブレーキペダル26が急操作されたときの検出液圧系押圧力が符号Hfdで、実液圧系押圧力Hfrで、検出総押圧力が符号Ffdで、実総押圧力が符号Ffrで示されている。また、ブレーキペダル26が操作されなかった、つまり動かなかったときの検出液圧系押圧力が符号Hsdで、実液圧系押圧力が符号Hsrで、検出総押圧力が符号Fsdで、実総押圧力が符号Fsrで示されている。
最初に、駐車ブレーキ動作中に、運転者がブレーキペダル26を急に踏み込んだ際の動作を説明する。時点t1でEPBスイッチ46がオン操作されると、駐車ブレーキ動作が開始され、モータ32にモータ電流Iが供給される。モータ電流Iは、モータ32の起動時には大きな値となるが直ぐに低下する。モータ32に駆動されてスラストナット40がピストン18に向けて進出し、時点t2でピストン18に当接して、ピストン18を押し始めると機械系押圧力Mが生じる。機械系押圧力Mの増加に伴いモータ電流Iも増加する。
時点t3で、ブレーキペダル26が踏み込まれて液圧駆動系22の液圧が増加する。液圧センサ44により検出された検出液圧系押圧力Hfdの増加速度がしきい値Th(図3参照)を超えていると、制御部42は、必要押圧力Fcに第1付加押圧力Fdr1を加えた第1増量必要押圧力Fca1を設定する。制御部42は、機械系押圧力Mと検出液圧系押圧力Hfdを監視し、これらの和Ffd(=M+Hfd)が第1増量必要押圧力Fca1に達すると(時点t6)、モータ電流Iの供給を止め、駐車ブレーキ動作を終了する。モータ電流Iの供給が止まりモータ32が停止すると、それ以降、機械系押圧力Mは、符号Mfで示すように、押圧力M6が維持され、一方、実総押圧力Ffrは、実液圧系押圧力Hfrが増加するのに伴って増加する。運転者がブレーキペダル26から足を離すと、実液圧系押圧力Hfrが減少して零となり、このなくなった押圧力Hfr分を担うように機械系押圧力Mfが時点t6における値Ffr6まで増加し、実総押圧力FfrはFfr6となる。遅れによる押圧力減少分Hdrが、第1付加押圧力Fdr1以下であれば、最終的な実総押圧力Ffrが必要押圧力Fc以上となる(Ffr≧Fc)。したがって、駐車時に必要なブレーキ力が確保される。
次に、運転者がブレーキペダル26を踏んだ状態でEPBスイッチ46がオン操作され、オン操作後にブレーキペダル26が動かされなかった際の動作を説明する。この場合、液圧系押圧力Hは一定であり、検出液圧系押圧力Hsdに対する実液圧系押圧力Hsrの遅れはなく、これらは同じ値となる。時点t1でEPBスイッチ46がオン操作されると、駐車ブレーキ動作が開始され、モータ32にモータ電流Iが供給される。モータ32に駆動されてスラストナット40がピストン18に向けて進出し、時点t2でピストン18に当接して、これを押し始めると機械系押圧力Mが生じる。機械系押圧力Mの増加に伴いモータ電流Iも増加する。
液圧が増加しない場合、または増加速度がしきい値Th以下である場合、制御部42は、必要押圧力Fcに、第1付加押圧力Fdr1より小さい第2付加押圧力Fdr2を加えた第2増量必要押圧力Fca2を設定する。第2増量必要押圧力Fca2を初期値として設定しておき、液圧の増加速度がしきい値Thを超えたときには第1増量必要押圧力Fca1に設定を変更するようにしてよい。制御部42は、機械系押圧力Mと検出液圧系押圧力Hsdを監視し、これらの和Fsd(=M+Hsd)が、第2増量必要押圧力Fca2に達すると(時点t7)、モータ電流Iの供給を止め、駐車ブレーキ動作を終了する。モータ電流Iの供給が止まりモータ32が停止すると、それ以降、機械系押圧力Mは、符号Msで示すように、押圧力M7が維持される。実液圧系押圧力Hsrも一定であるので、実総押圧力Fsrも時点t7における押圧力Fsr7(=Fca2=M7+Hsr7)に維持される。運転者がブレーキペダル26から足を離すと、実液圧系押圧力Hsrが減少して零となり、このなくなった押圧力Hsr分を担うように機械系押圧力Msが時点t7における値Fsr7まで増加する(実総押圧力FsrはFsr7で維持される。)。液圧の増加速度がしきい値Th以下であれば、最終的な実総押圧力Fsrは必要押圧力Fc以上となる(Fsr≧Fc)。
ブレーキペダル26が操作されないか、または緩操作されたとき、急操作されたときの第1増量必要押圧力Fca1より小さな第2増量必要押圧力Fca2を用いることにより、過剰な押圧力の発生を抑制することができる。
上述の実施形態では、増量必要押圧力Fcaに関し、液圧の増加速度に応じて第1および第2増量必要押圧力Fca1,Fca2の2つの値を用いたが、3つ以上の値を用いてもよい。また、増量必要押圧力Fcaを液圧の増加速度の変化に応じて連続的に変化するものとしてもよい。
10 ブレーキ装置、12 ディスクロータ(被ブレーキ部材)、14 ブレーキパッド(ブレーキ部材)、16 キャリパ、18 ピストン、20 シリンダ室、22 液圧駆動系、24 機械駆動系、26 ブレーキペダル(ブレーキ操作子)、28 マスタシリンダ、30 液圧回路、32 モータ、34 機械伝達機構、36 ギヤ列、38 送りねじ軸、40 スラストナット、42 制御部、44 液圧センサ、46 電動駐車ブレーキ(EPB)スイッチ、F 総押圧力、Fc 必要押圧力、Fd 検出総押圧力、Fr 実総押圧力、Fdr 付加押圧力、Fca 増量必要押圧力、H 液圧系押圧力、Hd 検出液圧系押圧力、Hr 実液圧系押圧力、Hdr 遅れによる押圧力減少分、M 機械系押圧力、Ff,Hf,Mf ブレーキペダルの急操作時の押圧力、Fs,Hs,Ms ブレーキペダルの緩操作時の押圧力。
Claims (4)
- 車輪と一体に回転する被ブレーキ部材に向けてブレーキ部材を押し出すピストンと、
液圧によって前記ピストンを駆動し、前記ブレーキ部材を押し出して前記被ブレーキ部材に対する押圧力を生じさせる液圧駆動系と、
モータによって機械的に直接前記ピストンを駆動し、前記ブレーキ部材を押し出して前記被ブレーキ部材に対する押圧力を生じさせる機械駆動系と、
前記液圧駆動系の液圧を検出する液圧センサと、
駐車ブレーキ動作において、前記液圧駆動系による押圧力が作用している場合には、前記液圧駆動系による押圧力と前記機械駆動系による押圧力によって駐車時に必要な必要押圧力が得られるように前記機械駆動系を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、駐車ブレーキ動作において、前記液圧センサにより検出された液圧に基づき算出された前記液圧駆動系による押圧力と前記機械駆動系による押圧力との和である総押圧力が、前記必要押圧力に前記液圧センサにより検出された液圧に応じた付加押圧力を加えた押圧力となるように前記機械駆動系を制御する、
車両のブレーキ装置。 - 請求項1に記載の車両のブレーキ装置であって、
前記制御部は、前記液圧センサにより検出された液圧が所定値を超える増加速度となった場合、前記付加押圧力を第1付加押圧力とし、前記液圧センサにより検出された液圧が前記所定値以下の増加速度であった場合、前記付加押圧力を前記第1付加押圧力より小さい第2付加押圧力とする、
車両のブレーキ装置。 - 請求項1または2に記載の車両のブレーキ装置であって、前記液圧駆動系は、運転者が操作するブレーキ操作子の動きを液体を介して前記ピストンに伝えて当該ピストンを駆動する手動操作機構を含む、車両のブレーキ装置。
- 請求項3に記載の車両のブレーキ装置であって、前記液圧駆動系は、前記ブレーキ操作子の動きを液圧に変換するマスタシリンダを含み、前記液圧センサは、前記マスタシリンダにおける液圧を検出する、車両のブレーキ装置。
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