JP2024064016A - トランスミッション装置および作業車両 - Google Patents

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亮 本岡
健 森下
史洋 江川
直樹 山本
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Abstract

【課題】サクションポートを介してトランスミッションケース内の空気が吸い込まれるおそれを低減する。トランスミッションケースに高い強度を確保しながら前輪の駆動力を取り出すことを可能にする。【解決手段】トランスミッション装置は、エンジンの回転動力を後輪に伝達する動力伝達部と、動力伝達部を収容するトランスミッションケースと、トランスミッションケースに設けられるサクションポートと、動力伝達部の下方に位置する前輪駆動力取出軸部と、を備える。トランスミッションケースは、本体底面部と、本体底面部から前方に延びて位置するとともに、下方に窪む膨出部と、を有する。サクションポートおよび前輪駆動力取出軸部は、膨出部に設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、トラクタなどの作業車両に搭載されるトランスミッション装置と、上記作業車両と、に関する。
従来、エンジンの回転動力を前輪および後輪に伝達する伝動装置(トランスミッション装置)が種々提案されている。例えば特許文献1の伝動装置では、車体の後部に位置するデフケースの底面に、取出ケースが取り付けられている。取出ケースは、前後方向に延びる出力軸を有する。上記出力軸は、エンジンの回転動力を後輪に伝達する経路から取り出される駆動力を前輪に伝達する。これにより、後輪とともに前輪を駆動することが可能となる。
特開2005-225353号公報
通常、伝動装置のケース(以下、トランスミッションケースと称する)の底面近くには、サクションポートが配置されている。トランスミッションケース内に収容されたオイルは、油圧ポンプにより、サクションポートから油圧ホースを介して吸い出され、油圧機器に送られる。油圧機器に送られたオイルは、潤滑油または油圧源(作動油)として用いられる。
ここで、伝動装置を備えた作業車両が、作業場所の傾斜に沿って例えば前後に大きく傾くと、トランスミッションケース内のオイルの上面がサクションポートよりも下がる場合がある。この場合、油圧ポンプを駆動すると、トランスミッションケース内の空気を、サクションポートを介して吸い込むことになる。上記空気の吸い込みは、油圧機器の誤作動につながるおそれがある。空気の吸い込みを低減するためのサクションポートの位置については、特許文献1では何ら検討されていない。
また、作業車両の後方に大型の作業機を装着する場合、前後のバランスを保つために、作業車両の前方に装着するバランスウェイトの重量を増大させる必要がある。大型の作業機の装着およびバランスウェイトの重量の増大により、トランスミッションケースに生じる曲げ応力は増大する。このため、トランスミッションケースには、大きな曲げ応力に耐え得る高い強度を確保することが必要である。
この点、特許文献1のように、前輪の駆動力を取り出す出力軸を有する取付ケースを、デフケースの底面に取り付ける構成では、デフケース自体の断面積(断面係数)は変化しないことから、デフケース自体の強度は何ら変化しない。また、デフケース全体に対して取付ケースは非常に小さいことから、取付ケースはデフケースの補強にほとんど寄与しない。したがって、特許文献1の構成は、作業機の大型化に対応すべく、トランスミッションケースの高い強度を確保する点で、改善の余地がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、サクションポートを介してトランスミッションケース内の空気が吸い込まれるおそれを低減することができるとともに、トランスミッションケースに高い強度を確保しながら前輪の駆動力を取り出すことができるトランスミッション装置と、上記トランスミッション装置を備える作業車両と、を提供することにある。
本発明の一側面に係るトランスミッション装置は、エンジンの回転動力を後輪に伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部を収容するトランスミッションケースと、前記トランスミッションケースに設けられるサクションポートと、前記動力伝達部の下方に位置する前輪駆動力取出軸部と、を備え、前記トランスミッションケースは、本体底面部と、前記本体底面部から前方に延びて位置するとともに、下方に窪む膨出部と、を有し、前記サクションポートおよび前記前輪駆動力取出軸部は、前記膨出部に設けられる。
本発明の他の側面に係る作業車両は、上記のトランスミッション装置と、前記エンジンと、を備える。
上記の構成によれば、サクションポートを介してトランスミッションケース内の空気が吸い込まれるおそれを低減することができるとともに、トランスミッションケースに高い強度を確保しながら前輪の駆動力を取り出すことができる。
本発明の実施の一形態に係る作業車両の一例であるトラクタの概略の構成を示す側面図である。 上記トラクタが備えるトランスミッション装置の構成を示す垂直断面図である。 上記トランスミッション装置が備えるトランスミッションケースの一部であるリアケースを、その内部の構成とともに拡大して示す垂直断面図である。 上記トランスミッション装置が備える膨出部を、その内部の構成とともに示す水平断面図である。 上記リアケースを斜め前方から見たときの斜視図である。 上記膨出部に設けられる前輪駆動力取出軸部の4WDモードでの状態を示す水平断面図である。 上記トラクタが前下がりとなったときの、上記トランスミッションケース内のオイルの上面の位置を模式的に示す説明図である。 上記トランスミッションケースの、上記膨出部を通る位置での模式的な垂直断面図である。 上記トランスミッションケースが有するセンターケースと上記リアケースとを分解して示す垂直断面図である。 他の前輪駆動力取出軸部を配置したときの上記膨出部の内部の構成を模式的に示す水平断面図である。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、作業車両としてトラクタを例に挙げて説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等を考えることもできる。
また、本明細書では、方向を以下のように定義する。まず、作業車両としてのトラクタが作業時に進行する方向を「前」とし、その逆方向を「後」とする。また、トラクタの進行方向に向かって右側を右とし、左側を左とする。そして、トラクタの前後方向および左右方向に垂直な方向を上下方向とする。このとき、重力方向の下流側を下とし、その反対側(上流側)を上とする。図面では、適宜、前方向をFで示し、後方向をBで示し、左方向をLで示し、右方向をRで示し、上方向をUで示し、下方向をDで示す。
〔1.トラクタの概略の構成〕
図1は、本実施形態の作業車両の一例であるトラクタ1の概略の構成を示す側面図である。なお、図1では、トラクタ1の内部構成を明確にする目的で、ボンネット4、前輪6および後輪7を一点鎖線で示し、残りを実線で示す。
トラクタ1は、車体フレーム2を備える。車体フレーム2の前方には、バランスウェイトの取付部2aが設けられる。トラクタ1の後方に作業機を装着する場合には、必要に応じてバランスウェイトが取付部2aに取り付けられる。これにより、トラクタ1の前後のバランスが良好に保たれる。
車体フレーム2は、エンジン3を支持する。エンジン3は、例えばディーゼルエンジンで構成されるが、これに限定されるわけではなく、例えばガソリンエンジンで構成されてもよい。エンジン3は、ボンネット4によって覆われる。
車体フレーム2には、フロントアクスルケース5を介して左右の前輪6が駆動可能で操舵可能に支持される。車体フレーム2の後方には、トランスミッションケース100aが取り付けられる。トランスミッションケース100aは、例えば鋳物で形成され、伝動装置としてのトランスミッション装置100の一部を構成する。すなわち、トラクタ1は、少なくとも、エンジン3と、トランスミッション装置100と、を備える。また、トランスミッション装置100は、トランスミッションケース100aを有する。なお、トランスミッション装置100の詳細については後述する。トランスミッションケース100aの後方側部には、リアアクスルケースを介して左右の後輪7が駆動可能に取り付けられる。
トランスミッションケース100aの後部上方には、油圧リフトユニット8が設けられる。油圧リフトユニット8は、昇降シリンダ等の油圧装置を有する。油圧リフトユニット8の後方には、3点リンク機構を介して作業機が装着される。油圧リフトユニット8によって3点リンク機構を昇降させることにより、作業機を昇降させることができる。
油圧リフトユニット8の上方には、シートマウント(図示せず)を介して運転座席9が配置される。運転座席9の前方には、操縦ハンドル10が設けられる。また、運転座席9の周囲には、操作レバーLVおよびペダルPも設けられる。操縦者(運転者)は、運転座席9に着座して、操縦ハンドル10、操作レバーLVおよびペダルPを操作することにより、トラクタ1の運転(操縦)を行うことができる。
なお、操作レバーLVには、前後進切替レバー、主変速レバー、副変速レバー、PTO変速レバー、4WD切替レバー等が含まれる。4WD切替レバーは、トラクタ1の駆動モードを、後輪7のみを駆動する2WDモードと、前輪6および後輪7を駆動する4WDモードとで切り替えるためのレバーである。なお、操作レバーLVの一部はボタンに置き換えられてもよい。ペダルPには、アクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダルが含まれる。
〔2.トランスミッション装置の詳細について〕
図2は、トランスミッション装置100の構成を示す垂直断面図である。トランスミッション装置100の上述したトランスミッションケース100aは、動力伝達部12を収容する。動力伝達部12は、複数の回転軸、ギア等を有して構成されており、ダンパーディスク11を介して伝達されるエンジン3の回転動力を後輪7(図1参照)に伝達する。ダンパーディスク11は、エンジン3のエンジンの回転変動の吸収と、ネジリ振動等の防止のために設けられる。以下、動力伝達部12における動力の伝達経路について説明する。なお、以下では、「回転動力」のことを、単に「動力」と呼ぶこともある。
エンジン3の動力は、ダンパーディスク11を介して、動力伝達部12の走行軸21に入力される。走行軸21は、パワーリバーサ22を通り、前後方向に延びて位置する。なお、動力伝達部12における走行軸21などの軸は、特に断らない限り、全て前後方向に延びて位置しているとする。走行軸21の下方には、カウンター軸23が位置する。
パワーリバーサ22は、第1クラッチ22aと、第2クラッチ22bと、を含む。パワーリバーサ22は、操作レバーLV(例えば前後進切替レバー)の操作に応じて、第1クラッチ22aまたは第2クラッチ22bを介して、エンジン3の動力をカウンター軸23に伝達する。これにより、カウンター軸23の回転方向を正転方向と逆転方向とで素早く切り替えることができ、カウンター軸23を介して伝達される動力によって駆動される後輪7の回転方向を素早く切り替えることができる。つまり、操作レバーLVの操作に応じて、トラクタ1の前後進を素早く切り替えることができる。
例えば、カウンター軸23を走行軸21の回転方向と同じ方向に回転させる場合、エンジン3の動力は、パワーリバーサ22の第1クラッチ22aから複数のギアを介してカウンター軸23に伝えられる。ここで、上記複数のギアは、走行軸21の前側に固定される前側走行ギア21aと、カウンター軸23の前側に固定される前側カウンターギア23aと、前側走行ギア21aおよび前側カウンターギア23aと噛み合って配置される中間ギア(図示せず)と、を含む。走行軸21および前側走行ギア21aが一方向に回転(正転)すると、中間ギアのみが逆方向に回転し、前側カウンターギア23aおよびカウンター軸23は、上記一方向に回転する。つまり、カウンター軸23は、走行軸21の回転方向と同じ方向に回転する。
一方、カウンター軸23の回転方向を走行軸21と逆方向に回転させる場合、エンジン3の動力は、パワーリバーサ22の第2クラッチ22bから複数のギアを介してカウンター軸23に伝えられる。ここで、上記複数のギアは、走行軸21の後側に固定される後側走行ギア21bと、カウンター軸23の後側に固定される後側カウンターギア23bと、を含む。後側カウンターギア23bは、後側走行ギア21bと噛み合って配置される。走行軸21および後側走行ギア21bが一方向に回転(正転)すると、後側走行ギア21bの回転方向とは逆方向に後側カウンターギア23bが回転する。したがって、カウンター軸23は、走行軸21の回転方向と逆方向に回転(逆転)する。
カウンター軸23の回転動力は、連結軸24、連結ギア24aおよび第1伝動ギア26a1を介して、第1変速伝動軸26aに伝えられる。連結軸24は、カウンター軸23と同軸で設けられる。連結ギア24aは、連結軸24の後端に設けられる。第1伝動ギア26a1は、第1変速伝動軸26aの前端と後端との間に設けられる。第1変速伝動軸26aは中空シャフトであり、PTO伝動軸27の外側に嵌められている。PTO伝動軸27は、走行軸21と同軸で連結されている。
第1変速伝動軸26aに伝えられた動力は、操作レバーLV(例えば主変速レバー)の操作に応じて選択されるギアを介して、主変速軸25に伝えられる。主変速軸25は、カウンター軸23および連結軸24と同軸で設けられる。主変速軸25に伝えられた動力は、後端ギア25aおよび第2伝動ギア26b1を介して、第2変速伝動軸26bに伝えられる。後端ギア25aは、主変速軸25の後端に設けられる。第2伝動ギア26b1は、第2変速伝動軸26bの前端に設けられる。第2変速伝動軸26bは中空シャフトであり、第1変速伝動軸26aよりも後方の位置で、PTO伝動軸27の外側に嵌められている。
第2変速伝動軸26bに伝えられた動力は、操作レバーLV(例えば副変速レバー)の操作に応じて選択されるギアを介して、ピニオンシャフト28に伝えられる。ピニオンシャフト28は、主変速軸25と同軸で設けられる。副変速レバーの操作によるギアの選択により、副変速としては3段の変速が可能である。したがって、トラクタ1においては、前進および後進とも、4段(主変速)×3段(副変速)=12段の変速が可能である。
ピニオンシャフト28の後端には、ベベルギア28aが取り付けられている。ベベルギア28aは、デファレンシャル装置(差動装置)29のリングギア29aと噛み合う。したがって、ピニオンシャフト28およびベベルギア28aが回転すると、リングギア29aが回転し、デファレンシャル装置29を介して後輪7が駆動される。以上のようにして、エンジン3の動力が動力伝達部12を介して後輪7に伝達され、後輪7が駆動される。
また、上記のPTO伝動軸27は、PTO出力軸30と連結される。このため、走行軸21の回転動力は、PTO伝動軸27に直接伝えられ、PTO出力軸30、PTOクラッチ31およびPTO変速装置32を介してPTO軸33に伝えられる。これにより、PTO軸33から動力を取り出して作業機を駆動することができる。なお、PTO変速装置32は、操作レバーLV(例えばPTO変速レバー)の操作に応じたギアの選択により、例えば2段の変速を行うことが可能である。
また、ピニオンシャフト28において、ベベルギア28aの前方には、前輪6(図1参照)の駆動力を伝達するための駆動力伝達ギア28bが設けられている。駆動力伝達ギア28bは、ピニオンシャフト28の下方に位置する中間軸34の後端に設けられた入力ギア34aと噛み合う。中間軸34の前端には、出力ギア34bが設けられている。出力ギア34bは、中間軸34の下方に位置する前輪駆動力取出軸41の取出ギア41aと噛み合う。
前輪駆動力取出軸41は、前輪駆動力取出軸部40の一部を構成する。前輪駆動力取出軸部40は、動力伝達部12の下方に位置し、動力伝達部12から前輪6(図1参照)の駆動力を取り出すために設けられる。このように、本実施形態のトランスミッション装置100は、動力伝達部12の下方に位置する前輪駆動力取出軸部40を備える。なお、前輪駆動力取出軸部40の詳細については後述する。
上記の取出ギア41aは、前輪駆動力取出軸41に遊嵌されている。なお、上記の「遊嵌」とは、「遊びをもった状態で嵌められること」を意味する。つまり、取出ギア41aは、前輪駆動力取出軸41に対して固定されておらず、自由に回転可能である。ただし、操作レバーLVの操作(例えば4WD切替レバーによる2WDモード/4WDモードの切替操作)に応じて、中間軸34(出力ギア34b)の回転動力を、取出ギア41aを介して前輪駆動力取出軸41に伝えることが可能である。なお、この点の詳細については後述する。
前輪駆動力取出軸41は、前輪駆動力伝達軸5a(図1参照)と連結される。前輪駆動力伝達軸5aは、フロントアクスルケース5に支持される。4WDモードでは、前輪駆動力取出軸41の回転動力が、前輪駆動力伝達軸5aと、フロントアクスルケース5の内部の車軸とを介して前輪6に伝えられる。これにより、後輪7とともに前輪6が駆動される。
上記のトランスミッションケース100aは、前後に連結される複数のケース部材として、フロントケースC1と、センターケースC2と、リアケースC3と、を有する。フロントケースC1、センターケースC2、およびリアケースC3は、前側から後側に向かってこの順で位置し、互いにボルト等の締結部材によって前後方向に締結される。
フロントケースC1は、走行軸21、パワーリバーサ22、カウンター軸23、連結軸24、および各軸を支持する軸受、各軸に設けられるギア等を収容する。また、フロントケースC1は、第1変速伝動軸26aの一部、PTO伝動軸27の一部も収容する。センターケースC2は、主変速軸25、第1変速伝動軸26aの一部、第2変速伝動軸26bの一部、PTO伝動軸27の一部のほか、各軸を支持する軸受、各軸に設けられるギア等を収容する。リアケースC3は、第2変速伝動軸26bの一部、PTO伝動軸27の一部、ピニオンシャフト28、デファレンシャル装置29、PTO出力軸30、PTOクラッチ31、PTO変速装置32、PTO軸33、中間軸34、前輪駆動力取出軸部40のほか、各軸を支持する軸受、各軸に設けられるギア等を収容する。
また、リアケースC3には、サクションポート81も設けられる。すなわち、トランスミッション装置100は、トランスミッションケース100aに設けられるサクションポート81を備える。本実施形態では、サクションポート81は、リアケースC3の右側面に設けられているが、左側面に設けられてもよい。
トランスミッションケース100a内には、潤滑の目的で所定量のオイルが予め収容されている。トランスミッションケース100a内のオイルは、油圧ポンプ(図示せず)により、サクションポート81からパイピング83(図4等参照)を介して吸い出されて油圧機器に送られ、潤滑油または油圧源(作動油)として用いられる。上記油圧機器としては、例えば上述したパワーリバーサ22、作業機などを考えることができる。また、サクションポート81の近傍には、後述するオイルヒータ82が配置される。
〔3.トランスミッションケースの詳細について〕
図2に示すように、トランスミッションケース100aは、本体底面部51と、前側底面部52と、膨出部60と、を有する。
本体底面部51は、トランスミッションケース100aのリアケースC3の底面の一部を形成する。具体的には、本体底面部51は、デファレンシャル装置29の下方からPTO変速装置32の下方にわたって位置する。前側底面部52は、本体底面部51よりも前方に位置し、主に、トランスミッションケース100aのフロントケースC1およびセンターケースC2の底面を形成する。
図3は、リアケースC3を、その内部の構成とともに拡大して示す垂直断面図である。膨出部60は、本体底面部51から前方に延びて位置するとともに、下方に窪む形状で形成される。膨出部60は、センターケースC2とリアケースC3とにまたがって位置する。具体的には、膨出部60は、前側底面部52と本体底面部51との間に位置する。そして、膨出部60の前側は、前側底面部52と連結される。膨出部60の後側は、本体底面部51と連結される。
(3-1.膨出部の詳細について)
膨出部60は、膨出底面部61と、前壁部62と、を有する。膨出底面部61は、本体底面部51および前側底面部52よりも下方に位置する。前壁部62は、膨出底面部61と前方に連結されて上方に延びる。前壁部62の上端は、前側底面部52の後端につながる。前壁部62と前側底面部52とは、一体的に構成される。
図4は、膨出部60を、その内部の構成とともに示す水平断面図である。図5は、リアケースC3を斜め前方から見たときの斜視図である。膨出部60は、仕切壁部63と、後壁部64(図3にも図示)と、膨出側壁部65と、をさらに有する。
仕切壁部63は、前壁部62よりも後方に位置し、膨出底面部61および膨出側壁部65によって支持される。仕切壁部63は、左右で一対設けられる。後壁部64は、仕切壁部63よりも後方に位置して、膨出底面部61と本体底面部51とを連結する(図3参照)。膨出側壁部65は、膨出底面部61および後壁部64に対して左右両側に位置し、膨出底面部61および後壁部64と連結される。また、左側および右側の膨出側壁部65は、左側および右側の仕切壁部63とそれぞれ連結される。膨出底面部61、仕切壁部63、後壁部64、膨出側壁部65、および本体底面部51は、一体的に構成される。
(3-2.前輪駆動力取出軸部の詳細について)
次に、上記した前輪駆動力取出軸部40の詳細について説明する。図3~図5に示すように、前輪駆動力取出軸部40は、上記した前輪駆動力取出軸41と、アダプタ42と、を有する。アダプタ42は、前輪駆動力取出軸41の後端に軸受42aを介して取り付けられる。アダプタ42は、例えばボルトBoによって仕切壁部63に固定される。これにより、アダプタ42は、仕切壁部63で支持される。
前輪駆動力取出軸部40は、図4に示すように、シフタ43と、シフタ駆動部44と、をさらに有する。シフタ43は、前輪駆動力取出軸41の軸方向に沿って移動することにより、取出ギア41aに対して係合または離間する。シフタ駆動部44は、操作レバーLVの操作に応じて、シフタ43を上記軸方向(前方または後方)に移動させる機構である。例えば、シフタ駆動部44は、操作レバーLVとシフタ43とをリンクして、シフタ43を上記軸方向に移動させるリンク機構で構成される。シフタ43およびシフタ駆動部44を用いた前輪駆動力取出軸部40の駆動方式を、ここでは「機械式」とも呼ぶ。
例えば、図6に示すように、シフタ駆動部44によってシフタ43が前方に移動すると、シフタ43が取出ギア41aの後端と係合する。これにより、中間軸34(図3参照)から出力ギア34bおよび取出ギア41aに伝えられた回転動力は、シフタ43を介して前輪駆動力取出軸41に伝わり、前輪駆動力取出軸41が回転する。これにより、前輪の駆動力を取り出すことができる(4WDモード)。
一方、図4で示したように、シフタ駆動部44によってシフタ43が後方に移動すると、シフタ43が取出ギア41aから後方に離間する。この場合、中間軸34から出力ギア34bおよび取出ギア41aに伝えられた回転動力は、シフタ43には伝わらないため、取出ギア41aが回転しても前輪駆動力取出軸41は回転しない。すなわち、前輪駆動力取出軸部40から前輪の駆動力は取り出されない(2WDモード)。
このようなシフタ駆動部44によるシフタ43の移動により、取出ギア41aから前輪駆動力取出軸41への駆動力の伝達をオンとオフとで切り替えることができる。これにより、トラクタ1の駆動モードを、4WDモードと2WDモードとで切り替えることができる。
(3-3.サクションポートおよび前輪駆動力取出軸部の位置等について)
本実施形態では、上述したサクションポート81および前輪駆動力取出軸部40は、膨出部60に設けられる。その理由は、以下の通りである。
図7は、トラクタ1が前下がりとなったときの、トランスミッションケース100a内のオイルの上面Sの位置を模式的に示している。なお、図7の左側は、トランスミッションケース100aに膨出部を設けない比較例の構成でのオイルの上面Sの位置を示す。これに対して、図7の右側は、トランスミッションケース100aに膨出部60を設けた本実施形態の構成(実施例)でのオイルの上面Sの位置を示す。
なお、比較例では、前輪6の駆動力を取り出すための出力軸を収容する、トランスミッションケース100aとは別体の取出ケース100bが、トランスミッションケース100aの底面(例えば本体底面部51よりも高い位置にある前側底面部52)にボルト等により取り付けられているとする。また、図7では、比較例および実施例において、後輪7の車軸の高さを揃えて示している。
膨出部を設けない比較例の構成では、サクションポート81は、例えばトランスミッションケース100aにおいて本体底面部51の上方に設けられる。このため、本体底面部51よりも低い膨出部60にサクションポート81を設ける実施例の構成に比べて、(トラクタ1が水平に位置する状態で)サクションポート81の位置が高くなる。したがって、トラクタ1が前下がりに大きく傾くと、トランスミッションケース100a内で規定の高さまで収容されたオイルの上面Sがサクションポート81よりも下がる(図7左側の状態参照)。その結果、サクションポート81を介してトランスミッションケース100a内の空気が吸い込まれるおそれが生じる。サクションポート81から空気が吸い込まれると、オイルの供給先(油圧機器)で誤作動が発生するおそれが生じることは前述の通りである。
これに対して、実施例の構成では、膨出部60が本体底面部51から下方に窪んでおり、この膨出部60にサクションポート81が設けられる。これにより、(トラクタ1が水平に位置する状態で)サクションポート81の位置を比較例の構成よりも低くすることができる。したがって、トラクタ1が前下がりに大きく傾いた場合でも、トランスミッションケース100a内のオイルがサクションポート81に浸った状態を維持することができる(図7右側の状態参照)。なお、この点は、トラクタ1が後下がり、右下がり、左下がりに大きく傾いた場合でも同様に言える。よって、トラクタ1が前後左右に大きく傾いた場合でも、サクションポート81を介してトランスミッションケース100a内の空気が吸い込まれるおそれを低減することができ、空気の吸い込みに起因してオイルの供給先(油圧機器)で誤作動が発生するおそれを低減することができる。
また、図8は、膨出部60を通る位置で、トランスミッションケース100aを前輪駆動力取出軸41に垂直な断面で切ったときの断面を、後方から見たときの模式的な垂直断面図である。トランスミッションケース100aが膨出部60を有する実施例の構成では、膨出部60を設けない比較例の構成に比べて、トランスミッションケース100a自体の断面積(断面係数)が増大する。なお、図8において、破線で示す枠状の領域は、膨出部60を設けない比較例の構成におけるトランスミッションケース100aの断面を模式的に示す。なお、図示の都合により、破線で示す枠状の領域の位置を、実施例の断面とは若干ずらして示している。
トランスミッションケース100aの断面係数の増大により、トランスミッションケース100aの剛性、つまり、曲げ応力(曲げモーメント)に対する強度を増大させることができる。したがって、例えばトラクタ1の後方に大型の作業機を装着する場合でも、トラクタ1の前方に装着するバランスウェイトの重量を増大させて、前後のバランスを取ることが可能となる。本実施形態では、このような膨出部60に前輪駆動力取出軸部40が設けられるため、トランスミッションケース100aの高い剛性を確保しつつ、前輪駆動力取出軸部40によって前輪6の駆動力を取り出すことができる。
膨出部60において、前輪駆動力取出軸部40の支持を安定させるためには、前輪駆動力取出軸部40を複数箇所(例えば2か所)で支持することが望ましい。この点では、図4に示すように、膨出部60において、前輪駆動力取出軸41の前側は、軸受62aを介して前壁部62に支持され、後側はアダプタ42を介して仕切壁部63に支持されることが望ましい。すなわち、前輪駆動力取出軸部40は、前壁部62および仕切壁部63によって支持されることが望ましい。
図4に示すように、上記したサクションポート81は、膨出側壁部65において、仕切壁部63よりも後方に設けられることが望ましい。その理由は、以下の通りである。
膨出部60が、上述した仕切壁部63を有することにより、膨出部60においては、仕切壁部63によって前後に区切られる2つの区画R1およびR2が形成される。区画R1は、膨出底面部61と、前壁部62と、仕切壁部63と、膨出側壁部65と、で囲まれる区画である。区画R2は、仕切壁部63と、後壁部64と、膨出側壁部65と、で囲まれる区画である。
区画R1およびR2の両方において、トランスミッションケース100a内のオイルを溜めることができる。したがって、サクションポート81が区画R1およびR2のどちらに設けられても、サクションポート81を介して吸い込まれるオイルに空気が混入するおそれを低減することができる。ただし、サクションポート81の近傍にオイルヒータ82を配置するスペースを容易に確保できる観点では、サクションポート81は、仕切壁部63よりも後方、つまり、区画R2に設けられることが望ましい。
また、膨出部60の区画R1のみならず、区画R2にもオイルを溜めることができるため、トランスミッションケース100a内に規定の高さ位置までオイルを収容したときに、(例えば図4の比較例の構成に比べて)トランスミッションケース100aに収容するオイルの量を。区画R2の容量分だけ増大させることができる。これにより、トラクタ1において、油圧を利用する油圧リフトユニット8(図1参照)の揚力アップのためにリフトピストン径を拡大する場合、および大きな油圧を利用して作業機による作業を行う場合において、オイル量が不足するおそれも低減される。
ところで、上記した膨出部60において、前後方向に離間して位置する前壁部62と仕切壁部63とが同じケース部材(例えばリアケースC3)に保持されていると、前壁部62と仕切壁部63との間に、前輪駆動力取出軸部40の取出ギア41aおよびシフタ43等を組み込むことが困難となる。この点を考慮して、本実施形態では、膨出部60の前壁部62は、上記のセンターケースC2に保持される。一方、仕切壁部63は、上記のリアケースC3に保持される。
図9は、トランスミッションケース100aのセンターケースC2とリアケースC3とを分解して示す垂直断面図である。仕切壁部63がリアケースC3に保持されると、軸受42aを後端に取り付けた前輪駆動力取出軸41を、アダプタ42を介して仕切壁部63に取り付け、その後、前壁部62を保持したセンターケースC2をリアケースC3に対して前側から被せてボルト締結することにより、センターケースC2をリアケースC3に取り付けることができる。前輪駆動力取出軸部40の組み込みを考慮したトランスミッションケース100aの組立を容易にする観点では、本実施形態のように、前壁部62および仕切壁部63は、トランスミッションケース100aの異なるケース部材に保持されることが望ましい。
(3-4.アダプタの形状について)
前輪駆動力取出軸部40の駆動方式としては、上記した機械式のほかに、電子油圧式がある。電子油圧式の前輪駆動力取出軸部40では、前輪駆動力取出軸41の内部をオイルが通り、上記オイルの油圧によってシフタ43を軸方向に移動させる構造上、前輪駆動力取出軸41の形状が機械式とは異なる。このため、前輪駆動力取出軸41の後端に取り付けられるアダプタ42も、機械式とは異なる形状を有する。
図10は、電子油圧式の前輪駆動力取出軸部40を配置したときの膨出部60の内部の構成を模式的に示す水平断面図である。なお、図10では、前輪駆動力取出軸41の中心軸CAよりも右側を、前輪駆動力の伝達オン状態で示し、中心軸CAよりも左側を、前輪駆動力の伝達オフ状態で示す。また、前輪駆動力取出軸41に対する取出ギア41aの位置は、機械式よりも後方の位置とする。
操作レバーLVの操作により、2WDモードが設定されると、前輪駆動力の伝達がオフ状態となる(中心軸CAよりも左側参照)。すなわち、配管を介してクラッチ入切弁(図示せず)と接続された接続ポート45から、トランスミッションケース100a内のオイルが前輪駆動力取出軸41の内部の流路41bに入り込む(給油状態)。上記オイルの油圧により、第1シフタ43aが前方にスライドすると、第1シフタ43aがバネ43cの後方への付勢力に抗して第2シフタ43bを前方にスライドさせる。これにより、取出ギア41aの前方端部と第2シフタ43bとの係合が解除される(クラッチ切状態)。したがって、中間軸34(図3参照)の出力ギア34bから取出ギア41aに伝えられた回転動力は、第2シフタ43bを介して前輪駆動力取出軸41に伝達されない。
一方、操作レバーLVの操作により、4WDモードが設定されると、前輪駆動力の伝達がオン状態となる(中心軸CAよりも右側参照)。すなわち、前輪駆動力取出軸41の内部のオイルが、接続ポート45から外部に流れ出す(排油状態)。この場合、バネ43cの後方への付勢力によって、第2シフタ43bが第1シフタ43aとともに後方にスライドする。そして、第2シフタ43bが、取出ギア41aの前方端部と係合する(クラッチ入状態)。したがって、中間軸34の出力ギア34bから取出ギア41aに伝えられた回転動力は、第2シフタ43bを介して前輪駆動力取出軸41に伝達され、前輪駆動力取出軸41が回転する。このときの回転動力(前輪6の駆動力)の伝達経路は、図10に示す通りである。
前輪駆動力取出軸41の流路41bに上記オイルを供給するために、アダプタ42は、流路41bと連通する通路部42bを有する。このため、電子油圧式の前輪駆動力取出軸部40で用いられるアダプタ42は、機械式で用いられる図4のアダプタ42と形状が異なることは明らかである。
前輪駆動力取出軸部40がどのような駆動方式であっても、上記駆動方式に対応するアダプタ42を前輪駆動力取出軸41の後端に取り付けて、アダプタ42を仕切壁部63で支持するようにすれば、前輪駆動力取出軸部40の複数の駆動方式に容易に対応することができる。つまり、用いる前輪駆動力取出軸部40の駆動形式によって、仕切壁部63の形状を変更したり、トランスミッションケース100aのような大物ケースそのものを取り換えることなく、アダプタ42の取り換えだけで、前輪駆動力取出軸部40を仕切壁部63に取り付けることができる。このように、前輪駆動力取出軸部40の複数の駆動方式に対して、トランスミッションケース100aを共用化することができる観点では、アダプタ42は、前輪駆動力取出軸部40の駆動方式に応じた形状を有することが望ましい。
なお、前輪駆動力取出軸部40の駆動方式としては、上記の機械式、電子油圧式以外に、倍速式がある。図示はしないが、前輪駆動力取出軸部40の駆動方式が倍速式であっても、そのような倍速式に対応する形状のアダプタ42を用いて、前輪駆動力取出軸部40を仕切壁部63に取り付けることができる。
(3-5.ピニオンシャフトの支持構造について)
図9に示すように、ピニオンシャフト28の後端には、ベベルギア28aが取り付けられている。つまり、動力伝達部12は、後端にギアが取り付けられたピニオンシャフト28を有する。また、ピニオンシャフト28は、軸受35aを介して保持部35に保持される。すなわち、動力伝達部12は、ピニオンシャフト28を、軸受35aを介して保持する保持部35を有する。保持部35は、上記のベベルギア28aよりも前方に位置するとともに、ベベルギア28aに対して、ピニオンシャフト28の径方向外側に位置する。
ここで、本実施形態では、リアケースC3は、支持壁部71を有する。リアケースC3において、支持壁部71は、上述の仕切壁部63よりも後方に位置する。すなわち、トランスミッションケース100aを構成する複数のケース部材のうち、仕切壁部63を支持するケース部材(リアケースC3)は、仕切壁部63よりも後方に位置する支持壁部71を有する。支持壁部71は、PTO伝動軸27を、軸受を介して支持するとともに、PTO伝動軸27よりも下方の位置で、上記の保持部35を支持する。
支持壁部71は、孔部71aを有する。孔部71aは、支持壁部71を、ピニオンシャフト28の軸方向に貫通して位置する。孔部71aは保持部35が嵌る形状を有する。
一般的なトランスミッションケースの組立では、後端にベベルギアが取り付けられたピニオンシャフトを、ピニオンシャフトの軸部と同じ径の孔部に前方から挿入することは不可能である(ベベルギアがピニオンシャフトよりも大径であるため)。このため、通常、孔部に対して後方から(デファレンシャル装置側から)、ベベルギア付きのピニオンシャフトを挿入する形態が採られる。
図9で示した構成では、保持部35は、ベベルギア28aよりも径方向外側に位置し、保持部35が嵌る形状の孔部71aを支持壁部71が有するため、ベベルギア28a付きのピニオンシャフト28、軸受35a、および保持部35を一体とした状態で、ケース部材(リアケースC3)の支持壁部71の孔部71aに対して、保持部35を前側から嵌め込むことができる。これにより、ピニオンシャフト28が軸受35aおよび保持部35を介して支持壁部71に支持される。したがって、ベベルギア28a付きのピニオンシャフト28を用いる場合でも、前述の前輪駆動力取出軸部40と同様に、リアケースC3に対して前側から組み込むことが可能となる。その結果、複数のケース部材を前後に連結してトランスミッションケース100aを組み立てるときの組立性が向上する(組立がしやすくなる)。
(3-6.オイルヒータについて)
例えば寒冷地において、トランスミッションケース100aに収容されたオイルの温度が下がり、オイルの粘性が高くなると、サクションポート81を介してオイルを吸引する油圧ポンプの負荷が増大する。このため、エンジン3(図1参照)が始動しにくくなる場合がある。
サクションポート81の近傍のオイルの粘性を下げて、油圧ポンプの負荷を低減し、エンジン3の始動をしやすくする観点では、図4、図9等で示すように、膨出部60にオイルヒータ82が配置されることが望ましい。本実施形態では、オイルヒータ82を内側に挿入したメッシュ状の筒82aをサクションポート81に差し込むことにより、膨出部60にオイルヒータ82が配置される。なお、図4等では、便宜的に、メッシュ状の筒82aを一部破断して示している。油圧ポンプの駆動により、膨出部60内のオイルは、メッシュ状の筒82aの隙間を通り、オイルヒータ82によって温められた状態で、サクションポート81を介して吸い出される。
このとき、サクションポート81の近傍のオイルを確実に温める観点では、オイルヒータ82は、膨出部60において、仕切壁部63によって仕切られる前後の区画R1およびR2のうち、サクションポート81が位置する区画と同じ区画R2に位置することが望ましい。つまり、膨出部60において、仕切壁部63よりも後方の区画R2にオイルヒータ82が位置することが望ましい。
なお、区画R2内において、オイルヒータ82が配置される位置は、できるだけサクションポート81の近傍であることが望ましいが、区画R2内であれば、サクションポート81から離れた位置であってもよい。
〔4.付記〕
本実施形態で説明したトランスミッション装置100およびトラクタ1(作業車両)は、以下の付記のように表現することができる。
付記(1)のトランスミッション装置は、
エンジンの回転動力を後輪に伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部を収容するトランスミッションケースと、
前記トランスミッションケースに設けられるサクションポートと、
前記動力伝達部の下方に位置する前輪駆動力取出軸部と、を備え、
前記トランスミッションケースは、
本体底面部と、
前記本体底面部から前方に延びて位置するとともに、下方に窪む膨出部と、を有し、
前記サクションポートおよび前記前輪駆動力取出軸部は、前記膨出部に設けられる。
付記(2)のトランスミッション装置は、付記(1)のトランスミッション装置において、
前記膨出部は、
前記本体底面部よりも下方に位置する膨出底面部と、
前記膨出底面部と前方に連結される前壁部と、
前記前壁部よりも後方に位置する仕切壁部と、を有し、
前記前輪駆動力取出軸部は、前記前壁部および前記仕切壁部によって支持される。
付記(3)のトランスミッション装置は、付記(2)のトランスミッション装置において、
前記膨出部は、
前記仕切壁部よりも後方に位置して、前記膨出底面部と前記本体底面部とを連結する後壁部と、
前記膨出底面部および前記後壁部と連結される膨出側壁部と、をさらに有し、
前記サクションポートは、前記膨出側壁部において、前記仕切壁部よりも後方に設けられる。
付記(4)のトランスミッション装置は、付記(2)または(3)のトランスミッション装置において、
前記トランスミッションケースは、前後に連結される複数のケース部材を有し、
前記前壁部および前記仕切壁部は、異なる前記ケース部材に保持される。
付記(5)のトランスミッション装置は、付記(2)から(4)のいずれかに記載のトランスミッション装置において、
前記前輪駆動力取出軸部は、
前輪駆動力取出軸と、
前記前輪駆動力取出軸の後端に取り付けられて、前記仕切壁部で支持されるアダプタと、を有し、
前記アダプタは、前記前輪駆動力取出軸の駆動方式に応じた形状を有する。
付記(6)のトランスミッション装置は、付記(4)に記載のトランスミッション装置において、
前記動力伝達部は、
後端にギアが取り付けられたピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトを、軸受を介して保持する保持部と、を有し、
前記保持部は、前記ギアよりも前方に位置するとともに、前記ギアに対して、前記ピニオンシャフトの径方向外側に位置し、
前記複数のケース部材のうち、前記仕切壁部を支持するケース部材は、前記仕切壁部よりも後方に位置する支持壁部を有し、
前記支持壁部は、前記ピニオンシャフトの軸方向に貫通して位置し、前記保持部が嵌る孔部を有する。
付記(7)のトランスミッション装置は、付記(3)に記載のトランスミッション装置において、
前記膨出部に配置されるオイルヒータをさらに備え、
前記オイルヒータは、前記仕切壁部よりも後方に位置する。
付記(8)の作業車両は、
付記(1)から(7)のいずれかに記載のトランスミッション装置と、
、前記エンジンと、を備える。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
本発明のトランスミッション装置は、例えばトラクタなどの作業車両に利用可能である。
1 トラクタ(作業車両)
3 エンジン
6 前輪
7 後輪
12 動力伝達部
28a ベベルギア(ギア)
35 保持部
40 前輪駆動力取出軸部
41 前輪駆動力取出軸
42 アダプタ
42a 軸受
51 本体底面部
60 膨出部
61 膨出底面部
62 前壁部
63 仕切壁部
64 後壁部
65 膨出側壁部
71 支持壁部
71a 孔部
81 サクションポート
82 オイルヒータ
100 トランスミッション装置
100a トランスミッションケース
C2 センターケース(ケース部材)
C3 リアケース(ケース部材)
R1 区画
R2 区画
S 上面

Claims (8)

  1. エンジンの回転動力を後輪に伝達する動力伝達部と、
    前記動力伝達部を収容するトランスミッションケースと、
    前記トランスミッションケースに設けられるサクションポートと、
    前記動力伝達部の下方に位置する前輪駆動力取出軸部と、を備え、
    前記トランスミッションケースは、
    本体底面部と、
    前記本体底面部から前方に延びて位置するとともに、下方に窪む膨出部と、を有し、
    前記サクションポートおよび前記前輪駆動力取出軸部は、前記膨出部に設けられる、トランスミッション装置。
  2. 前記膨出部は、
    前記本体底面部よりも下方に位置する膨出底面部と、
    前記膨出底面部と前方に連結される前壁部と、
    前記前壁部よりも後方に位置する仕切壁部と、を有し、
    前記前輪駆動力取出軸部は、前記前壁部および前記仕切壁部によって支持される、請求項1に記載のトランスミッション装置。
  3. 前記膨出部は、
    前記仕切壁部よりも後方に位置して、前記膨出底面部と前記本体底面部とを連結する後壁部と、
    前記膨出底面部および前記後壁部と連結される膨出側壁部と、をさらに有し、
    前記サクションポートは、前記膨出側壁部において、前記仕切壁部よりも後方に設けられる、請求項2に記載のトランスミッション装置。
  4. 前記トランスミッションケースは、前後に連結される複数のケース部材を有し、
    前記前壁部および前記仕切壁部は、異なる前記ケース部材に保持される、請求項2に記載のトランスミッション装置。
  5. 前記前輪駆動力取出軸部は、
    前輪駆動力取出軸と、
    前記前輪駆動力取出軸の後端に取り付けられて、前記仕切壁部で支持されるアダプタと、を有し、
    前記アダプタは、前記前輪駆動力取出軸の駆動方式に応じた形状を有する、請求項2に記載のトランスミッション装置。
  6. 前記動力伝達部は、
    後端にギアが取り付けられたピニオンシャフトと、
    前記ピニオンシャフトを、軸受を介して保持する保持部と、を有し、
    前記保持部は、前記ギアよりも前方に位置するとともに、前記ギアに対して、前記ピニオンシャフトの径方向外側に位置し、
    前記複数のケース部材のうち、前記仕切壁部を支持するケース部材は、前記仕切壁部よりも後方に位置する支持壁部を有し、
    前記支持壁部は、前記ピニオンシャフトの軸方向に貫通して位置し、前記保持部が嵌る孔部を有する、請求項4に記載のトランスミッション装置。
  7. 前記膨出部に配置されるオイルヒータをさらに備え、
    前記オイルヒータは、前記仕切壁部よりも後方に位置する、請求項3に記載のトランスミッション装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のトランスミッション装置と、
    前記エンジンと、を備える、作業車両。
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