JP2024063836A - 放射能測定装置及び放射能測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことができる放射能測定装置を提供する。【解決手段】放射能測定装置(10)は、放射線検出器(11)と、遮蔽体と、処理装置(15)とを備える。遮蔽体は、放射線検出器(11)から見込める角度範囲を設定する。処理装置(15)は、角度範囲に含まれる配管の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する放射線検出器(11)の検出効率を算出する。処理装置(15)は、放射線検出器(11)に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される放射線検出器(11)の検出効率を算出する。処理装置(15)は、配管及び放射線検出器(11)の幾何条件に応じた放射線検出器(11)の検出効率である幾何効率を算出する。処理装置(15)は、放射線検出器(11)の検出効率と、幾何効率と、放射線の減弱に対する補正とに基づいて、放射性物質の量を検出する。【選択図】図1
Description
本発明は、放射能測定装置及び放射能測定方法に関する。
従来、例えば、原子力施設での冷却水等の放射性物質を含む流体が流れる配管の放射能を測定する放射能測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この放射能測定装置は、遮蔽体のコリメータによって見込まれる配管の複数の異なる範囲でGe検出器によってガンマ線を計測するとともに、複数の異なる計測数よりも少ないパラメータの所定の近似式によって配管内流体及び配管内壁面の放射能を算出する。
ところで、上記した従来技術の放射能測定装置によれば、高線量の環境下で複数の配管の各々に対して複数回の計測を行う必要が生じ、所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことが望まれている。
本発明は、所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことができる放射能測定装置及び放射能測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1):本発明の一態様に係る放射能測定装置(10)は、放射線を検出する放射線検出器(11)と、前記放射線検出器から見込める角度範囲を設定する遮蔽体(21)と、前記角度範囲に含まれる配管(30)の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する前記放射線検出器の検出効率を算出する処理部(15)とを備え、前記処理部は、前記放射線検出器に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される前記放射線検出器の検出効率と、前記配管及び前記放射線検出器の幾何条件に応じた前記放射線検出器の検出効率である幾何効率と、前記配管での前記放射線の減弱に対する補正とに基づいて、前記放射性物質の量を検出する。
(1):本発明の一態様に係る放射能測定装置(10)は、放射線を検出する放射線検出器(11)と、前記放射線検出器から見込める角度範囲を設定する遮蔽体(21)と、前記角度範囲に含まれる配管(30)の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する前記放射線検出器の検出効率を算出する処理部(15)とを備え、前記処理部は、前記放射線検出器に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される前記放射線検出器の検出効率と、前記配管及び前記放射線検出器の幾何条件に応じた前記放射線検出器の検出効率である幾何効率と、前記配管での前記放射線の減弱に対する補正とに基づいて、前記放射性物質の量を検出する。
(2):上記(1)に記載の放射能測定装置では、前記処理部は、前記放射線検出器に対する所定の基準位置と前記角度範囲内に含まれる前記配管の内壁面上の位置との間の距離に関する逆二乗則に基づいて前記幾何効率を取得してもよい。
(3):上記(1)又は(2)に記載の放射能測定装置では、前記処理部は、前記角度範囲内に含まれる前記配管の内壁面上の位置と前記配管の外壁面上の位置との間の距離に基づいて前記減弱に対する補正を行ってもよい。
(4):本発明の一態様に係る放射能測定方法は、放射線を検出する放射線検出器(11)と、前記放射線検出器から見込める角度範囲を設定する遮蔽体(21)と、前記角度範囲に含まれる配管の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する前記放射線検出器の検出効率を算出する処理部(15)とを備える放射能測定装置(10)の前記処理部が行う放射能測定方法であって、前記処理部が、前記放射線検出器に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される前記放射線検出器の検出効率を算出する第1のステップ(S06)と、前記処理部が、前記配管及び前記放射線検出器の幾何条件に応じた前記放射線検出器の検出効率である幾何効率を算出する第2のステップ(S07)と、前記処理部が、前記配管での前記放射線の減弱に対する補正を行う第3のステップ(S07,S08)とを含む。
上記(1)によれば、標準線源によって得られる検出効率と、幾何効率と、減弱の補正とに基づいて、配管の内壁に存在する放射性物質の量を検出する処理部を備えることによって、所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことができる。例えば、高線量の環境下での測定が必要となる場合であっても、操作者の被ばく量の増大を抑制することができる。
上記(2)の場合、距離に関する逆二乗則に基づいて幾何効率を取得する処理部を備えることによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便に幾何効率を取得することができる。
上記(3)の場合、角度範囲内の配管の内壁面上の位置と外壁面上の位置との間の距離に基づいて放射線の減弱に対する補正を行う処理部を備えることによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便に減弱の補正を行うことができる。
上記(3)の場合、角度範囲内の配管の内壁面上の位置と外壁面上の位置との間の距離に基づいて放射線の減弱に対する補正を行う処理部を備えることによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便に減弱の補正を行うことができる。
上記(4)によれば、標準線源によって得られる検出効率と、幾何効率と、減弱の補正とに基づいて、配管の内壁に存在する放射性物質の量を検出することによって、所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことができる。例えば、高線量の環境下での測定が必要となる場合であっても、操作者の被ばく量の増大を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態の放射能測定装置について、添付図面を参照しながら説明する。実施形態の放射能測定装置は、例えば、原子力施設での冷却水等の放射性物質を含む流体が流れる配管の内壁に付着する放射性物質の放射能を測定する。
図1は、実施形態の放射能測定装置10の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態の放射能測定装置10は、例えば、放射線検出器11と、波高分析装置12と、入力装置13と、出力装置14と、処理装置15とを備える。処理装置15は、例えば、記憶部16と、演算部17とを備える。
図1は、実施形態の放射能測定装置10の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態の放射能測定装置10は、例えば、放射線検出器11と、波高分析装置12と、入力装置13と、出力装置14と、処理装置15とを備える。処理装置15は、例えば、記憶部16と、演算部17とを備える。
図2は、実施形態に係る放射能測定装置10の放射線検出器11、遮蔽体21、支持部材22及び架台23の構成図である。図3は、実施形態に係る放射能測定装置10の放射線検出器11及び遮蔽体21の構成図である。
図2及び図3に示すように、放射線検出器11は、例えばポータブル型のデュワーを備えるゲルマニウム半導体検出器である。放射線検出器11は、例えば、放射線に対して有感なゲルマニウム結晶11aを内部に収容するエンドキャップハウジング11bを備える。ゲルマニウム結晶11aは、エンドキャップハウジング11bの内部の真空領域に保持される。
放射線検出器11は、例えば、エンドキャップハウジング11bを覆う遮蔽体21及び遮蔽体21を支持する支持部材22とともに架台23に固定されている。
図2及び図3に示すように、放射線検出器11は、例えばポータブル型のデュワーを備えるゲルマニウム半導体検出器である。放射線検出器11は、例えば、放射線に対して有感なゲルマニウム結晶11aを内部に収容するエンドキャップハウジング11bを備える。ゲルマニウム結晶11aは、エンドキャップハウジング11bの内部の真空領域に保持される。
放射線検出器11は、例えば、エンドキャップハウジング11bを覆う遮蔽体21及び遮蔽体21を支持する支持部材22とともに架台23に固定されている。
遮蔽体21の外形は、例えば円筒状である。遮蔽体21は、例えば、複数に分割される円環状部材の組み合わせによって形成されている。複数の円環状部材の一部は、搬送用の取手部21aを備える。
遮蔽体21には、放射線検出器11のエンドキャップハウジング11bを挿入するための貫通孔21bが中心軸に沿って形成されている。貫通孔21bの軸方向の一方側、つまり貫通孔21bに挿入されるエンドキャップハウジング11bの反対側には、コリメート部材21cが挿入される。コリメート部材21cは、中心軸に沿ってエンドキャップハウジング11bに向かい合うように配置される。コリメート部材21cに形成された貫通孔であるコリメート孔21dの中心軸は、遮蔽体21の中心軸と同軸である。
支持部材22及び架台23は、例えば、腐食防止用等の非導電性の塗膜によって被覆された鋼材等の材料によって形成されている。
遮蔽体21には、放射線検出器11のエンドキャップハウジング11bを挿入するための貫通孔21bが中心軸に沿って形成されている。貫通孔21bの軸方向の一方側、つまり貫通孔21bに挿入されるエンドキャップハウジング11bの反対側には、コリメート部材21cが挿入される。コリメート部材21cは、中心軸に沿ってエンドキャップハウジング11bに向かい合うように配置される。コリメート部材21cに形成された貫通孔であるコリメート孔21dの中心軸は、遮蔽体21の中心軸と同軸である。
支持部材22及び架台23は、例えば、腐食防止用等の非導電性の塗膜によって被覆された鋼材等の材料によって形成されている。
図1に示す波高分析装置12は、例えばマルチチャンネルアナライザである。波高分析装置12は、放射線検出器11から出力される出力信号パルスの波高分布、つまり波高値に対応付けられた複数のチャンネル毎の計数値を算出する。例えば、放射線検出器11が放射線のエネルギーに応じた波高値を有する出力信号パルスを出力すると、波高分析装置12は放射線検出器11の出力信号パルスの波高分布としてエネルギースペクトルを作成する。
入力装置13は、例えば操作者の入力操作に応じた信号を出力する各種のスイッチ及びキーボード等を備える。入力装置13は、操作者の入力操作に応じた各種の信号を処理装置15へ出力する。
出力装置14は、例えばスピーカ及び表示装置等を備える。出力装置14は、処理装置15から出力される各種の情報を出力する。
出力装置14は、例えばスピーカ及び表示装置等を備える。出力装置14は、処理装置15から出力される各種の情報を出力する。
処理装置15は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部を備える。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。なお、処理装置15の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
処理装置15の記憶部16は、例えば、予め設定される各種のデータと、演算部17から出力されるデータと、波高分析装置12から出力されるデータとなどを記憶する。予め設定される各種のデータは、例えば、放射線検出器11の測定対象である配管の材質及び形状等の情報と、放射線検出器11及び測定対象の幾何条件の情報と、測定対象の媒質の線減弱係数の情報となどである。波高分析装置12及び演算部17から出力されるデータは、例えば、放射線検出器11によって検出される放射線のエネルギースペクトルと、所定の標準線源及び測定対象に対して測定される放射線検出器11の検出効率となどの情報である。
演算部17は、例えば、放射線検出器11に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定されるγ線のエネルギースペクトルに基づいて、放射線検出器11の検出効率(基準効率)ε0を演算する。放射線検出器11に対する所定位置は、例えば、エンドキャップハウジング11bの先端表面の中心等である。放射線検出器11の基準効率ε0は、例えば、標準線源の放射能、γ線の全吸収ピークの計数率、γ線の放出率及び標準線源の媒質での放射線の減弱に対する補正等に基づいて演算される。放射線検出器11の基準効率ε0は、例えば、γ線の全吸収ピーク効率とγ線のエネルギーとの対応関係を示すデータである。
演算部17は、例えば、基準効率ε0と、測定対象である配管及び放射線検出器11の幾何条件に応じた放射線検出器11の幾何学的な検出効率である幾何効率と、測定対象である配管等での放射線の減弱に対する補正とに基づいて、配管の内壁に付着する放射性物質の量を演算する。
図4は、実施形態に係る放射能測定装置10の放射線検出器11及び配管30の位置関係の一例を模式的に示す図である。
図4に示す一例では、鉛直方向に沿って平行に延びる配管30に対して、放射線検出器11のエンドキャップハウジング11b及びコリメート部材21cの中心軸Hは、配管30の中心軸Vに直交するように設定されている。
図4は、実施形態に係る放射能測定装置10の放射線検出器11及び配管30の位置関係の一例を模式的に示す図である。
図4に示す一例では、鉛直方向に沿って平行に延びる配管30に対して、放射線検出器11のエンドキャップハウジング11b及びコリメート部材21cの中心軸Hは、配管30の中心軸Vに直交するように設定されている。
例えば、演算部17は、放射線検出器11及び配管30の幾何学的な条件に対する所定の基準位置Oを、コリメート部材21cのコリメート孔21dの中心位置とする。所定の基準位置Oは、コリメート孔21dを通して放射線検出器11から見込める角度範囲(視野範囲)Fの頂点(例えば、立体角の頂点等)である。なお、図4に示す一例での視野範囲Fは、半頂角θaによって規定される領域である。
演算部17は、所定の基準位置Oと配管30の内壁面30A上の適宜の位置Pとの間の距離OPの逆二乗則に基づき、基準効率ε0から位置Pに対する幾何学的な検出効率(幾何効率)εPを演算する。
演算部17は、所定の基準位置Oと配管30の内壁面30A上の適宜の位置Pとの間の距離OPの逆二乗則に基づき、基準効率ε0から位置Pに対する幾何学的な検出効率(幾何効率)εPを演算する。
演算部17は、例えば、下記数式(1)に示すように、基準位置Oと配管30の外壁面30Bとの間の距離Dと、配管30の厚さ(つまり内壁面30Aと外壁面30Bとの間の距離)dと、配管30の半径rと、第1角度θと、第2角度φとによって、距離OPを記述する。演算部17は、例えば、中心軸Hを含む水平面で配管30を破断して得られる断面を基準面Sとして、配管30の軸方向に沿って位置Pを基準面S上に正射影することによって、第1射影位置P0を設定する。演算部17は、基準位置Oと位置Pとを含む直線と、基準位置Oと第1射影位置P0とを含む直線との成す角を第1角度θとする。演算部17は、配管30の中心軸Vに直交して第1射影位置P0を含む直線と、中心軸Hとの成す角を第2角度φとする。
演算部17は、例えば、上記数式(1)に基づき、下記数式(2)に示すように、距離OPの逆二乗則に基づき、基準効率ε0から位置Pの幾何効率εPを演算する。
上記(2)に示す幾何効率εPは、例えば、放射線検出器11の視野範囲F内での配管30の内壁面30Aに対して積分された後に、視野範囲F内での内壁面30Aの表面積によって除算されることによって、単位面積当たりの平均の幾何学的な検出効率を示す。
演算部17は、例えば、基準位置Oと位置Pとを含む直線と、配管30の外壁面30Bとの交点位置Qを、配管30の軸方向に沿って基準面S上に正射影することによって、第2射影位置Q0を設定する。演算部17は、例えば、基準位置Oと交点位置Qとを含む直線と、基準位置Oと第2射影位置Q0とを含む直線との成す角(θq)を、上述の第1角度θに近似する。演算部17は、例えば、配管30の中心軸Vに直交して第2射影位置Q0を含む直線と、中心軸Hとの成す角(φq)を、上述の第2角度φに近似する。演算部17は、例えば、下記数式(3)に示すように、基準位置Oと配管30の外壁面30Bとの間の距離Dと、配管30の厚さdと、配管30の半径rと、第1角度θと、第2角度φとによって、基準位置Oと交点位置Qとの間の距離OQを記述する。
演算部17は、例えば、基準位置Oと位置Pとを含む直線と、配管30の外壁面30Bとの交点位置Qを、配管30の軸方向に沿って基準面S上に正射影することによって、第2射影位置Q0を設定する。演算部17は、例えば、基準位置Oと交点位置Qとを含む直線と、基準位置Oと第2射影位置Q0とを含む直線との成す角(θq)を、上述の第1角度θに近似する。演算部17は、例えば、配管30の中心軸Vに直交して第2射影位置Q0を含む直線と、中心軸Hとの成す角(φq)を、上述の第2角度φに近似する。演算部17は、例えば、下記数式(3)に示すように、基準位置Oと配管30の外壁面30Bとの間の距離Dと、配管30の厚さdと、配管30の半径rと、第1角度θと、第2角度φとによって、基準位置Oと交点位置Qとの間の距離OQを記述する。
演算部17は、例えば、上記数式(1)及び数式(3)に基づき、下記数式(4)に示すように、配管30の内壁面30A上の適宜の位置Pに対して、放射線検出器11の遮蔽となる配管30の領域PQを記述する。
上記数式(4)に示す領域PQは、例えば、配管30の材質に応じた線減弱係数μが乗算されることによって、位置Pから基準位置Oに至る放射線の配管30の厚みによる減弱の大きさを示す。
演算部17は、例えば、上記数式(2)及び数式(4)に基づき、下記数式(5)に示すように、配管30でのγ線の減弱を補正した後の配管30に対する放射線検出器11の検出効率εを演算する。演算部17は、例えば、配管30の厚みによるγ線の減弱を補正する係数(=exp(-μ・PQ))を位置Pの幾何効率εPに乗じて、放射線検出器11の視野範囲F内での第1角度θ及び第2角度φに関する積分を実行する。
演算部17は、例えば、上記数式(2)及び数式(4)に基づき、下記数式(5)に示すように、配管30でのγ線の減弱を補正した後の配管30に対する放射線検出器11の検出効率εを演算する。演算部17は、例えば、配管30の厚みによるγ線の減弱を補正する係数(=exp(-μ・PQ))を位置Pの幾何効率εPに乗じて、放射線検出器11の視野範囲F内での第1角度θ及び第2角度φに関する積分を実行する。
演算部17は、例えば、上記数式(5)に示す検出効率εと、配管30に対する放射線検出器11による測定で得られるγ線の全吸収ピークの計数率とに基づいて、配管30の内壁に付着する放射性物質の放射能、付着量及び単位面積当たりの付着量等を演算する。
以下に、実施形態での放射能測定装置10の動作、つまり処理装置15が実行する処理について説明する。
図5は、実施形態での実施形態に係る放射能測定装置10の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、演算部17は、遮蔽体21が設置された放射線検出器11によって、測定対象である配管30に対する放射能の測定が行われる際のコリメート部材21cの情報を取得する(ステップS01)。コリメート部材21cの情報は、例えば、コリメート孔21dの形状、長さ及び大きさ等の情報である。
次に、演算部17は、例えばコリメート部材21cの情報に基づく所定の演算等によって、コリメート孔21dを通して放射線検出器11から見込める角度範囲(視野範囲)Fを取得する(ステップS02)。
図5は、実施形態での実施形態に係る放射能測定装置10の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、演算部17は、遮蔽体21が設置された放射線検出器11によって、測定対象である配管30に対する放射能の測定が行われる際のコリメート部材21cの情報を取得する(ステップS01)。コリメート部材21cの情報は、例えば、コリメート孔21dの形状、長さ及び大きさ等の情報である。
次に、演算部17は、例えばコリメート部材21cの情報に基づく所定の演算等によって、コリメート孔21dを通して放射線検出器11から見込める角度範囲(視野範囲)Fを取得する(ステップS02)。
次に、演算部17は、測定対象である配管30の情報を取得する(ステップS03)。配管30の情報は、例えば、配管30の材質、形状、厚さ及び大きさ等の情報である。
次に、演算部17は、放射線検出器11に対するコリメート部材21cの相対位置と、放射線検出器11及びコリメート部材21cに対する配管30の相対位置となどに基づき、測定時の幾何条件を取得する(ステップS04)。
次に、演算部17は、例えば、配管30の情報と、測定時の幾何条件となどに基づく所定の演算等によって、放射線検出器11の視野範囲F内での配管30の内壁表面積を取得する(ステップS05)。
次に、演算部17は、放射線検出器11に対するコリメート部材21cの相対位置と、放射線検出器11及びコリメート部材21cに対する配管30の相対位置となどに基づき、測定時の幾何条件を取得する(ステップS04)。
次に、演算部17は、例えば、配管30の情報と、測定時の幾何条件となどに基づく所定の演算等によって、放射線検出器11の視野範囲F内での配管30の内壁表面積を取得する(ステップS05)。
次に、演算部17は、放射線検出器11に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定されるγ線のエネルギースペクトルに基づいて、放射線検出器11の検出効率(基準効率)ε0を演算する(ステップS06)。
次に、演算部17は、例えば、配管30の情報と、配管30に対する測定時の幾何条件となどに基づく所定の演算等によって、測定時の幾何効率εP及び配管30による放射線の減弱の大きさを取得する(ステップS07)。
次に、演算部17は、例えば、配管30の厚みによるγ線の減弱を補正する係数(=exp(-μ・PQ))を幾何効率εPに乗じて、放射線検出器11の視野範囲F内での第1角度θ及び第2角度φに関する積分を実行することによって、配管30に対する検出効率εを取得する(ステップS08)。
次に、演算部17は、例えば、検出効率εと、配管30に対する放射線検出器11による測定で得られるγ線の全吸収ピークの計数率とに基づく所定の演算等によって、配管30の内壁に付着する放射性物質の放射能、付着量及び単位面積当たりの付着量等を取得(ステップS09)する。そして、演算部17は、処理をエンドに進める。
次に、演算部17は、例えば、配管30の情報と、配管30に対する測定時の幾何条件となどに基づく所定の演算等によって、測定時の幾何効率εP及び配管30による放射線の減弱の大きさを取得する(ステップS07)。
次に、演算部17は、例えば、配管30の厚みによるγ線の減弱を補正する係数(=exp(-μ・PQ))を幾何効率εPに乗じて、放射線検出器11の視野範囲F内での第1角度θ及び第2角度φに関する積分を実行することによって、配管30に対する検出効率εを取得する(ステップS08)。
次に、演算部17は、例えば、検出効率εと、配管30に対する放射線検出器11による測定で得られるγ線の全吸収ピークの計数率とに基づく所定の演算等によって、配管30の内壁に付着する放射性物質の放射能、付着量及び単位面積当たりの付着量等を取得(ステップS09)する。そして、演算部17は、処理をエンドに進める。
上述したように、実施形態の放射能測定装置10及び放射能測定方法の各々によれば、標準線源によって得られる基準効率ε0と、幾何効率εPと、減弱の補正とに基づいて、配管30の内壁に存在する放射性物質の量を検出する処理装置15を備えることによって、所望の精度を確保しつつ迅速及び簡便な測定を行うことができる。例えば、高線量の環境下での測定が必要となる場合であっても、操作者の被ばく量の増大を抑制することができる。例えば、測定対象である各種の配管30に対応する標準体積線源等を必要とせずに、容易に放射線検出器11の検出効率εを算出することができる。
処理装置15は、距離OPに関する逆二乗則に基づいて幾何効率εPを演算することによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便に幾何効率εPを取得することができる。
処理装置15は、放射線検出器11の視野範囲内の配管30の内壁面30A上の位置Pと外壁面30B上の交点位置Qとの間の領域PQに基づいてγ線の減弱に対する補正を行うことによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便にγ線の減弱を補正することができる。
処理装置15は、距離OPに関する逆二乗則に基づいて幾何効率εPを演算することによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便に幾何効率εPを取得することができる。
処理装置15は、放射線検出器11の視野範囲内の配管30の内壁面30A上の位置Pと外壁面30B上の交点位置Qとの間の領域PQに基づいてγ線の減弱に対する補正を行うことによって、煩雑な処理を必要とせずに迅速及び簡便にγ線の減弱を補正することができる。
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
上述した実施形態では、演算部17は、放射線検出器11の所定の基準位置Oをコリメート孔21dの中心位置としたが、これに限定されない。例えば、演算部17は、所定の基準位置Oを、放射線検出器11のゲルマニウム結晶11aの実効中心等の他の位置に設定してもよい。
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
上述した実施形態では、演算部17は、放射線検出器11の所定の基準位置Oをコリメート孔21dの中心位置としたが、これに限定されない。例えば、演算部17は、所定の基準位置Oを、放射線検出器11のゲルマニウム結晶11aの実効中心等の他の位置に設定してもよい。
上述した実施形態では、演算部17は、予め記憶部16に記憶されている配管30の材質の情報及び線減弱係数の情報を用いるとしたが、これに限定されない。放射能測定装置10は、測定対象である配管30の組成分析を行う蛍光X線分析装置等を備えてもよい。演算部17は、蛍光X線分析装置による蛍光X線分析等の組成分析の結果に基づいて配管30の材質の情報を取得してもよい。
なお、上述した実施形態では、演算部17は、交点位置Qに関連する各角度(θq,φq)を、位置Pに関連する各第1角度θ及び第2角度φによって近似するとしたが、これに限定されない。例えば、演算部17は、交点位置Qに関連する各角度(θq,φq)を近似せずに、検出効率εを演算する際に各角度(θq,φq)と各第1角度θ及び第2角度φとに関する積分を実行してもよい。
なお、上述した実施形態では、放射線検出器11をゲルマニウム半導体検出器としたが、これに限定されず、例えば、シリコン等の他の半導体検出器及びシンチレーション検出器等の他の検出器であってもよい。
なお、上述した実施形態では、架台23は、例えば、鉛直方向の高さ位置を調整する高さ調整機構及び水平方向の位置を調整するスライド機構等を備えてもよい。
なお、上述した実施形態では、架台23は、例えば、鉛直方向の高さ位置を調整する高さ調整機構及び水平方向の位置を調整するスライド機構等を備えてもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…放射能測定装置、11…放射線検出器、15…処理装置、16…記憶部、17…演算部、21…遮蔽体、21c…コリメート部材、21d…コリメート孔、22…支持部材、23…架台、30…配管。
Claims (4)
- 放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から見込める角度範囲を設定する遮蔽体と、
前記角度範囲に含まれる配管の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する前記放射線検出器の検出効率を算出する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記放射線検出器に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される前記放射線検出器の検出効率と、
前記配管及び前記放射線検出器の幾何条件に応じた前記放射線検出器の検出効率である幾何効率と、
前記配管での前記放射線の減弱に対する補正と
に基づいて、前記放射性物質の量を検出する
ことを特徴とする放射能測定装置。 - 前記処理部は、
前記放射線検出器に対する所定の基準位置と前記角度範囲内に含まれる前記配管の内壁面上の位置との間の距離に関する逆二乗則に基づいて前記幾何効率を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の放射能測定装置。 - 前記処理部は、
前記角度範囲内に含まれる前記配管の内壁面上の位置と前記配管の外壁面上の位置との間の距離に基づいて前記減弱に対する補正を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射能測定装置。 - 放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から見込める角度範囲を設定する遮蔽体と、
前記角度範囲に含まれる配管の内壁に存在する放射性物質から発生する放射線に対する前記放射線検出器の検出効率を算出する処理部と
を備える放射能測定装置の前記処理部が行う放射能測定方法であって、
前記処理部が、前記放射線検出器に対する所定位置に配置される所定の標準線源を用いて測定される前記放射線検出器の検出効率を算出する第1のステップと、
前記処理部が、前記配管及び前記放射線検出器の幾何条件に応じた前記放射線検出器の検出効率である幾何効率を算出する第2のステップと、
前記処理部が、前記配管での前記放射線の減弱に対する補正を行う第3のステップと
を含む
ことを特徴とする放射能測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022171947A JP2024063836A (ja) | 2022-10-27 | 2022-10-27 | 放射能測定装置及び放射能測定方法 |
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2022
- 2022-10-27 JP JP2022171947A patent/JP2024063836A/ja active Pending
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