JP2024063578A - 振動ふるい装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存のストーカ式焼却施設の改良だけで実現可能で、エネルギーの増加量を抑制して、有価金属類を回収可能な振動ふるい装置、ストーカ式焼却炉及び有価金属類回収方法を提供する。【解決手段】振動ふるい槽20と、振動ふるい槽を振動させる振動付与手段23と、を具備し、振動ふるい槽20には、上面に設けられている無孔板12と、無孔板12に隣接して且つ無孔板12より下方に位置する上面に設けられているふるい板10と、無孔板12とふるい板10との間に位置づけられ、ふるい板10上に気体を噴出させる風力選別ノズル14と、振動ふるい槽20内に空気を導入する空気導入口27と、振動ふるい槽20の底部の排出口30と、が設けられていることを特徴とする振動ふるい装置1。【選択図】図3

Description

本発明は、ストーカ式焼却炉の主灰から有価金属類を回収することができる振動ふるい装置に関し、特に大掛かりな追加の処理装置を必要とせず、且つ省エネルギーにて効率よく有価金属類を回収することができる振動ふるい装置に関するものである。
廃棄物焼却施設では、雑多なごみを焼却しているが、かかる焼却により生じる燃え殻の処理が問題であり、燃え殻の減量化や資源化が求められている。そのため、燃え殻から資源(例えば、有価金属類)を回収し、リサイクルする技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1においては、火格子式廃棄物焼却炉から排出される焼却灰から金属製錬原料を回収する金属製錬原料回収装置が開示されている。特許文献1の図2に明示されているように、火格子の隙間および火格子の燃焼用空気の噴出口から落下する落塵灰は落塵灰捕集装置にて捕集された後、廃棄物ガス化溶融装置へ送られる落塵灰供給運転と、火格子末端部から排出される主灰は主灰捕集装置にて捕集された後、廃棄物ガス化溶融装置へ送られる主灰供給運転と、を切り換えることにより、落塵灰から有価金属類を回収する技術が提案されている。特許文献1には、主灰中の有価金属類が少量であり、その回収は困難であるから、主灰と落塵灰とを分離回収して、それぞれを廃棄物ガス化溶融装置にて別々に溶融処理して有価金属類を回収することが記載されている。
特許文献2においては、廃棄物中に混入していた貴金属が付着した貴金属付着粒子を含む焼却灰を破砕し、焼却灰中の貴金属付着粒子の表面から削り取られた貴金属部分を含む貴金属濃縮粒子と、その他の粒子とを生成する破砕工程と、破砕工程で得られた貴金属濃縮粒子とその他の粒子とを一定の粒径に分級する分級工程と、分級工程で分級された粒子を比重選別して貴金属濃縮粒子をその他の粒子から選別する比重選別工程と、貴金属濃縮粒子を含む重量灰に含まれている磁着性の金属を磁場により選別する高磁力選別工程と、有する焼却灰からの貴金属回収方法が提案されている。分級工程は篩分けにより行われ、比重選別工程は吹上空気流と吸引空気流によってエアテーブル上の焼却灰を浮かしつつ振動によって比重の大きい粒状灰が下層、比重の小さい軽量灰が上層となる流動層を形成させることにより行われる乾式工程である。
特許文献3においては、焼却灰を乾燥させ、磁力選別により磁性金属を取り除き、次いで篩分級して、再び磁力選別及び渦電流選別により所定粒径以下の磁性金属に付着した磁性金属ではない粒子を回収し、竪型ミルにより粉砕、乾燥及び微粉(ミル精粉)と粗粉(ミル排石)への分級を行い、ミル排石に有価金属を濃縮させて回収する、有価金属回収システムが提案されている。
特許文献4には、燃焼用空気噴出口の面積の火格子炉床全面積に対する割合が2%以上5%以下の火格子を用いて、火格子の隙間および燃焼用空気噴出口から落下する落塵灰と火格子の末端部から排出される主灰とを分離し捕集し、分離捕集された落塵灰について有価金属類の回収を行う廃棄物焼却灰中の金属回収方法及び装置が開示されている。特許文献4には、有価金属類は主灰よりも落塵灰に多く含まれていること、火格子気孔率が2%より小さいと有価金属類のほとんどが主灰に含まれることが記載されている。
特許第6391046号公報 特許第6465825号公報 特許第6375205号公報 特許第3661662号公報
特許文献1に記載の技術においては、落塵灰から分離された主灰はそのまま後段の廃棄物ガス化溶融装置に送られて、廃棄物と一緒に処理される。有価金属類は落塵灰中に多く含まれるが、ストーカ式焼却炉における落塵灰の総量は主灰の総量に比して少量であり、廃棄物全体から回収できる有価金属類は少量である。また、含水率の高い主灰をそのまま廃棄物と一緒に廃棄物ガス化溶融装置にて溶融処理するため、乾燥装置や排水処理装置等が必要になり、エネルギー消費が多い割には有価金属類の回収率が低いという問題がある。
特許文献2及び3に記載の技術は、いずれも磁力選別を併用するため、装置構成が大がかりで煩雑になる。
特許文献4に記載の技術は、特定範囲の火格子気孔率を有する火格子を用いて、火格子の隙間から落下する落塵灰から有価金属類を回収するが、主灰からの有価金属類の回収は行われない。火格子気孔率が特定範囲を逸脱する場合には、有価金属類が主灰に含まれることになり、焼却灰からの有価金属類の回収ができないことになる。
したがって、本発明の目的は、大掛かりな追加の装置を必要とせずに既存のストーカ式焼却施設の改良だけで実現可能で、且つ使用するエネルギーの増加量を抑制して、有価金属類を回収可能なストーカ式焼却施設を構成できる振動ふるい装置、当該振動ふるい装置を具備するストーカ式焼却装置、及びストーカ式焼却装置からの有価金属類回収方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討し、主灰シュートへと移送される灰の中に有価金属類が含まれており、この灰を分別して有価金属類を有する灰を回収することで上記目的を達成して、有価金属類を低コストで回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の各態様を提供するものである。
[1]焼却炉内が負圧に調整可能なストーカ式燃焼炉に設けられ、主灰の軽量成分を焼却炉内に再吸引させると共に主灰の小粒径の重量成分を分級して回収する振動ふるい装置であって、
振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
振動ふるい槽には、
上面に設けられている無孔板と、
上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
振動ふるい槽の底部の排出口と、
が設けられていることを特徴とする振動ふるい装置。
[2]前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする上記[1]に記載の振動ふる
い装置。
[3]前記振動ふるい槽には、導入された空気を上記風力選別ノズルに向けて流す案内板がさらに設けられていることを特徴とする上記[1]に記載の振動ふるい装置。
[4]ストーカ式焼却炉であって、
ストーカ最終帯の下流側に隣接して設けられている振動ふるい装置と、
上記振動ふるい装置の下流側に隣接して設けられている、大粒径の重量成分を落下させる大粒径重量成分シュートと、
上記振動ふるい装置の底部の排出口からの小粒径の重量成分を落下させる落塵灰搬送コンベヤと、を具備し、
上記振動ふるい装置は、振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
振動ふるい槽には、
上面に設けられている無孔板と、
上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
振動ふるい槽の底部の排出口と、
が設けられていることを特徴とするストーカ式焼却炉。
[5]前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする上記[4]に記載のストーカ式焼却炉。
[6]前記大粒径重量成分シュートからの大粒径の重量成分を受け入れる灰押出装置をさらに具備することを特徴とする上記[4]又は[5]に記載のストーカ式焼却炉。
[7]ストーカ式焼却炉であって、
ストーカ式焼却炉のストーカ最終帯の下流側に隣接して設けられている主灰シュートと、上記主灰シュートの下方に設けられている振動ふるい装置と、
上記振動ふるい装置の下流側に隣接して設けられている、大粒径の重量成分を落下させる大粒径重量成分シュートと、
上記振動ふるい装置の底部の排出口からの小粒径の重量成分を落下させる落塵灰搬送コンベヤと、を具備し、
上記振動ふるい装置は、振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
上記振動ふるい槽には、
上面に設けられている無孔板と、
上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
振動ふるい槽の底部の排出口と、
が設けられていることを特徴とするストーカ式焼却炉。
[8]前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする上記[7]に記載のストーカ式焼却炉。
[9]前記大粒径重量成分シュートからの大粒径の重量成分を受け入れる灰押出装置をさらに具備することを特徴とする上記[7]又は[8]に記載のストーカ式焼却炉。
[10]上記[4]又は[7]に記載のストーカ式焼却炉の灰から有価金属類を回収する方法であって、
(1)振動ふるい槽へ空気を導入した状態若しくは導入を停止した状態で、振動ふるい槽を振動させ、無孔板上の主灰をふるい板に向かって移動させるとともに小粒径の重量成分を下層に、軽量成分及び大粒径成分を上層に偏析させ、
(2)振動ふるい槽の空気導入口から空気を導入し、風力選別ノズルから空気を噴出させて、無孔板からふるい板に移動する主灰のうち軽量成分を浮遊させて焼却炉内に再吸引させ、重量成分をふるい板上に落下させ、
(3)ふるい板上に落下した主灰のうち、大粒径の重量成分を大粒径重量成分シュートに落下させ、小粒径の重量成分を振動ふるい槽内にふるい落として分級する
ことを特徴とする回収方法。
[11]上記[5]又は[8]に記載のストーカ式焼却炉の灰から有価金属類を回収する方法であって、
(1)振動ふるい槽へ気体を導入した状態若しくは導入を停止した状態で、振動ふるい槽を振動させ、無孔板上の主灰をふるい板に向かって移動させるとともに小粒径の重量成分を下層に、軽量成分及び大粒径成分を上層に偏析させ、
(2)振動ふるい槽の空気導入口から空気を導入し、排ガス導入口から排ガスを導入し、空気及び排ガスの混合気体を風力選別ノズルから噴出させて、無孔板からふるい板に移動する主灰のうち軽量成分を浮遊させて焼却炉内に再吸引させ、重量成分をふるい板上に落下させ、
(3)ふるい板上に落下した主灰のうち、大粒径の重量成分を大粒径重量成分シュートに落下させ、小粒径の重量成分を振動ふるい槽内にふるい落として分級する
ことを特徴とする回収方法。
本発明の振動ふるい装置は、大掛かりな追加の装置を必要とせずに既存のストーカ式焼却施設の改良だけで実現可能で、且つ使用するエネルギーの増加量を抑制して、有価金属類を回収可能なストーカ式焼却施設を構成できる。
また、従来は主灰シュートへと移送されて分別回収できなかった主灰中の有価金属類を含む重量且つ小粒径の成分を分別して回収することができ、有価金属類の回収効率を向上させることができる。
さらに、従来は主灰シュートへと移送されていた主灰中の軽量成分を焼却炉内に戻して再度燃焼させることにより、未燃焼又は不完全燃焼に起因して発生していたダイオキシン類の発生量を削減することができる。
さらに、主灰中の重量且つ大粒径の成分のみを主灰シュートに落下させることにより、大粒径成分の二次処理が容易になり、大粒径成分を減容でき、埋め立て処理などの費用も削減できる。
したがって、本発明の振動ふるい装置及びストーカ式焼却装置は、既存の灰溶融装置やエコセメント装置などの有価金属類の回収及びダイオキシン類発生抑制において有用である。
図1は、本発明の第一の実施形態のストーカ式焼却炉全体を模式的に示す概略説明図である。 図2は、本発明の第二の実施形態のストーカ式焼却炉全体を模式的に示す概略説明である。 図3は本発明の振動ふるい装置を模式的に示す概略説明図である。 図4はふるい板の上面図である。 図5はふるい板の変形例の上面図である。 図6はふるい板の断面図である。 図7はふるい板の変形例の断面図である。 図8はふるい板の別の変形例の断面図である。 図9は風力選別ノズルの空気噴出口の配列の一例を示す平面図である。 図10は風力選別ノズルの空気噴出口の配列の変形例を示す平面図である。 図11は風力選別ノズルの断面図である。 図12は風力選別ノズルの変形例の断面図である。 図13は風力選別ノズルの別の変形例の断面図である。 図14は風力選別ノズルのまた別の変形例の断面図である。 図15は風力選別ノズルのさらに別の変形例の断面図である。 図16は振動ふるい槽内の案内板の配置を示す概略説明図である。 図17は図16のB-B矢視断面図である。 図18は、本発明の有価金属類の回収方法の第1工程における振動ふるい装置を模式的に示す概略説明図である。 図19は、本発明の有価金属類の回収方法の第2工程における振動ふるい装置を模式的に示す概略説明図である。 図20は、本発明の有価金属類の回収方法の第3工程における振動ふるい装置を模式的に示す概略説明図である。 図21は、本発明の有価金属類の回収方法の第4工程における振動ふるい装置を模式的に示す概略説明図である。 図22は、従来のストーカ式焼却炉全体を模式的に示す概略説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
ストーカ式焼却炉においては飛灰よりも主灰が多量に発生する。主灰は、飛灰中の含有量よりも微量ではあるが、金、銀、銅、白金等の貴金属、及び亜鉛、鉛などの有価金属類を含む。本明細書において、主灰中に含まれる貴金属及び有価金属をまとめて「有価金属類」という。
本発明において「有価金属類高濃縮灰」とは有価金属類が濃縮されて相対的に高濃度で含まれる主灰であり、「有価金属類低濃縮灰」とは有価金属類が濃縮されておらず相対的に低濃度で含まれる主灰である。「有価金属類高濃縮灰」は、主灰中の有価金属類の平均濃度の約1.5倍以上、好ましくは約1.7倍以上の有価金属類の濃度を有し、「有価金属類低濃縮灰」は、主灰中の有価金属類の平均濃度の約0.7倍以下、好ましくは約0.6倍以下の有価金属類の濃度を有する。「有価金属類高濃縮灰」は、「有価金属類低濃縮灰」の有価金属類の濃度の約2倍以上、好ましくは約2.5倍以上の有価金属類の濃度を有することが望ましい。たとえば、有価金属が銅の場合、有価金属類高濃縮灰は、10g/kg以上の銅を含有することが好ましい。
本発明において、「大粒径成分」とはクリンカや耐火物など、15mm以上、好ましくは30mm以上の粒径を有する大きな塊をいう。「小粒径成分」とは15mm未満、好ましくは10mmの粒径を有する有価金属類高濃縮灰をいう。
図22に示すように、従来公知のストーカ式焼却炉201には、焼却炉本体210の底部に乾燥帯ストーカ211、燃焼帯ストーカ213、後燃焼帯ストーカ215、及び主灰シュート205がこの順番で連設されている。それぞれのストーカの下方には乾燥帯シュート212、燃焼帯シュート214、後燃焼帯シュート216が設けられており、これら
各シュートの下方には落塵灰搬送コンベア220が設置されていて、各シュートからの落塵灰を受け取り、灰ピット(図示せず)に搬送するように構成されている。主灰シュート205の下方には、灰押出装置225が設けられ、主灰を受け取り、主灰塊を形成する。灰押出装置225の下方には主灰搬送コンベヤ223が設置されており、灰押出装置225からの主灰塊を受け取り、灰ピット(図示せず)に搬送するように構成されている。
本発明の振動ふるい装置は従来公知のストーカ式焼却炉に設置することができる。したがって、本発明は、本発明の振動ふるい装置を具備するストーカ式焼却炉も提供する。
[ストーカ式焼却炉第一実施形態]
図1に、図22の従来のストーカ式焼却炉の基本構成を利用して本発明の振動ふるい装置を設けたストーカ式焼却炉の第一の実施形態を示す。本実施形態の振動ふるい装置1を具備するストーカ式焼却炉101には、焼却炉本体110の底部に乾燥帯ストーカ111、燃焼帯ストーカ113、後燃焼帯ストーカ115、振動ふるい装置1、及び大粒径重量成分シュート105がこの順番で連設されている。それぞれのストーカの下方には乾燥帯シュート112、燃焼帯シュート114、後燃焼帯シュート116が設けられており、これら各シュートの下方には落塵灰搬送コンベア120が設置されていて、各シュートからの落塵灰を受け取り、灰ピットA(有価金属高濃縮)に搬送するように構成されている。振動ふるい装置1には、排出口30が設けられており、排出口30からの主灰を落塵灰搬送コンベヤ120に落下させるように位置づけられている。大粒径重量成分シュート105の下方には、灰押出装置125が設けられ、主灰を受け取り、主灰塊を形成する。灰押出装置125の下方には主灰搬送コンベヤ123が設置されており、灰押出装置125からの主灰塊を受け取り、灰ピットB(有価金属低濃縮)に搬送するように構成されている。本実施形態において、振動ふるい装置1は後燃焼帯ストーカ115の下流側に設けられているが、後燃焼帯ストーカ115を設けない態様とすることもできる。振動ふるい装置1は、ストーカ最終帯(後燃焼帯ストーカがない場合には燃焼帯ストーカ)の下流側に隣接して設けられていればよい。
本実施形態の振動ふるい装置1は、図1に示すように、稼働時に焼却炉内が負圧になるストーカ式燃焼炉本体110に設けられ、振動ふるい装置の振動による灰の微細化及びふるい分けと、空気による上昇流及び焼却炉内の負圧による吸引とにより、従来の装置であれば主灰シュートに落下していた主灰をさらに細かく分別することができる。
[ストーカ式焼却炉第二実施形態]
図2に、図22の従来のストーカ式焼却炉の基本構成を利用して本発明の振動ふるい装置を設けたストーカ式焼却炉の第二の実施形態を示す。図1において、図2に示す第一の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。
本実施形態の振動ふるい装置1を具備するストーカ式焼却炉101には、焼却炉本体110の底部に乾燥帯ストーカ111、燃焼帯ストーカ113、後燃焼帯ストーカ115、及び主灰シュート107がこの順番で連設されている。それぞれのストーカの下方には乾燥帯シュート112、燃焼帯シュート114、後燃焼帯シュート116が設けられており、これら各シュートの下方には落塵灰搬送コンベア120が設置されていて、各シュートからの落塵灰を受け取り、灰ピットA(有価金属高濃縮)に搬送するように構成されている。主灰シュート107の下方に、振動ふるい装置1及び大粒径重量成分シュート105が設けられている。振動ふるい装置1には、排出口30が設けられており、排出口30からの主灰を落塵灰搬送コンベヤ120に落下させるように位置づけられている。大粒径重量成分シュート105の下方には、灰押出装置125が設けられ、主灰を受け取り、主灰塊を形成する。灰押出装置125の下方には主灰搬送コンベヤ123が設置されており、灰押出装置125からの主灰塊を受け取り、灰ピットB(有価金属低濃縮)に搬送するよ
うに構成されている。本実施形態において、主灰シュート107は、後燃焼帯ストーカ115の下流側に隣接して設けられているが、後燃焼帯ストーカ115を設けない態様も可能である。主灰シュート107は、ストーカ最終帯(後燃焼帯ストーカがない場合には燃焼帯ストーカ)の下流側に隣接して設けられていればよい。
本実施形態の振動ふるい装置1は、図2に示すように、稼働時に焼却炉内が負圧になるストーカ式燃焼炉本体110に連接されている主灰シュート107の下方に設けられている。振動ふるい装置の振動による灰の微細化及びふるい分けと、気体による上昇流及び焼却炉内の負圧による吸引とにより、従来の装置であれば主灰シュートからそのまま灰ピットに落下していた主灰をさらに細かく分別することができる。
[振動ふるい装置]
本発明の振動ふるい装置の実施形態を図3に示す。振動ふるい装置1は、振動ふるい槽20、及び振動ふるい槽20に振動を与える振動付与手段23を有する。振動ふるい槽20は、焼却炉110内(図1)又は主灰シュート107内(図2)に面する上面に設けられている無孔板12と、焼却炉110内(図1)又は主灰シュート107内(図2)に面する上面ではあるが無孔板12よりも下方に設けられているふるい板10と、無孔板12及びふるい板10の間であってふるい板10の上面に気体を押し出す位置に設けられている風力選別ノズル14と、後燃焼帯115側の側面に設けられている空気導入口27と、底部に設けられている主灰の小粒径成分を排出する排出口30と、を有する。
図3に示すふるい槽1は、空気導入口27から導入される気体の流れを風力選別ノズル14に向けるための案内板21を設けているが、案内板を設けなくてもよいし、あるいは2枚以上の案内板を設けてもよい。2枚以上の案内板を設ける場合には、空気導入口27からの気体の流れを風力選別ノズル14に方向付ける位置、たとえば図16に符号22で示すように、ふるい板10の下方で空気導入口27に対面し且つ案内板21に向けて流れを変える位置に設けることが好ましい。
振動ふるい装置1は、振動付与手段23の作動によって無孔板12上の主灰に振動を与えて、大粒径成分を上層に、小粒径性分を下層に偏析させながら、ふるい板10へと移動させる。ふるい板10は、無孔板12よりも下方に位置づけられており、無孔板12の端部まで移動した主灰は、ふるい板10へと落下する。主灰が無孔板12からふるい板10へと落下する際に、主灰のうち軽量成分は、風力選別ノズル14からの噴出流によって吹き飛ばされ、焼却炉110内の負圧により焼却炉内に再吸引される。図19に示すように、ふるい板10上に落下した主灰は、振動付与手段23の作動によってふるい板10に付与される振動によって、大粒径成分が主灰の上層に、小粒径成分が主灰の下層に偏析させられながら、ふるい板10から大粒径重量成分シュート105へと移動させられる。ふるい板10上に落下した主灰のうち大粒径の軽量成分は、風力選別ノズル14からの噴出流と、空気導入口27から導入されふるい板10の孔から上昇する上昇流と、により浮上し、焼却炉110内の負圧により焼却炉110内に再吸引される。ふるい板10上に落下した主灰のうち大粒径の重量成分は、ふるい板10の振動によって大粒径重量成分シュート105まで移動し、落下する。ふるい板10上に落下した主灰のうち小粒径成分はふるい板10を通過して、振動ふるい槽20内に落下する。振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち軽量成分は、押込空気導入口27より導入される気体の上昇流に随伴されて浮上し、風力選別ノズル14を通して焼却炉110内に戻され、再吸引される。振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち重量成分は、振動ふるい槽20の排出口30から落塵灰排出コンベヤ120に落下する。このように、従来のストーカ式焼却炉においては分別できなかった主灰を軽量成分と重量成分とに分別して軽量成分を焼却炉内に戻して再度燃焼させると共に、重量成分を小粒径成分と大粒径成分とに分別して、大粒径成分を灰押出装置に送って処理し、有価金属類を含む小粒径成分を落塵灰と一緒に回収して有価金
属類の回収処理に供することができる。
以下、本発明の振動ふるい装置の各部材について詳述する。
〔無孔板〕
無孔板12は、後燃焼帯116に隣接して、焼却炉内110又は主灰シュート107に面する振動ふるい槽20の上部開口に設置されて、振動ふるい槽20の上面の一部を構成する。振動ふるい槽20の上面全体をふるい板にすると、風力選別用の風量が確保できないため、振動ふるい槽20の上面の一部を無孔板とする。
〔ふるい板〕
ふるい板10は、無孔板12に隣接して且つ無孔板12よりも下方の位置に、焼却炉内110又は主灰シュート107に面する振動ふるい槽20の上部開口に設置されて、振動ふるい槽20の上面の残部を構成する。ふるい板10は、10mm未満、好ましくは7mm以下の小粒径成分が通過できる開孔径を有する多数の孔Pが設けられている多孔板又はメッシュとすることができる。
多数の孔Pの配置は特に限定されないが、例えば、図4及び5に示す配置とすることができる。図4に示すふるい板10aは、複数の孔Pが格子状に縦横に整列されて配されている。図5に示すふるい板10bは、複数の孔Pが千鳥状に互い違いに整列されて配されている。
孔Pは、たとえば図6~8に示すように種々の断面形状を有することができる。図6に示すように同じ幅で板を貫通する貫通孔形状、図7に示すように上部が広く下部が狭いテーパー形状、あるいは図8に示すように上部が狭く下部が広いテーパー形状などをとることができる。図8に示す下部が広いテーパー形状が目詰まりしにくいため好ましい。図6に示す貫通形状の場合の開孔径は、7mm以上15mm以下、さらには7mm以上10mm以下とすることが好ましく、開孔率は3%以上25%以下とすることが好ましく、さらには3.5%以上10%以下とすることが好ましい。図7及び8に示すテーパー形状の場合は、狭い方の開孔径が好ましくは7mm以上15mm以下、より好ましくは7mm以上10mm以下と、狭い方の開孔率が好ましくは3%以上15%以下、より好ましくは3.5%以上10%以下となればよい。
〔風力選別ノズル〕
無孔板12とふるい板10との間の段差部分に、ふるい板10の上に気体を噴出する風力選別ノズル14が設けられている。風力選別ノズル14には、ふるい板10を通過した小粒径の軽量成分を再び焼却炉内110に戻すことができ、かつふるい板10の上に落下する主灰の軽量成分を吹き飛ばす程度の風力で気体を噴出させることができるように、多数の孔Qが設けられている。
風力選別ノズルの孔Qは均等に配置されていればよく、例えば、図9及び10に示す配置とすることができる。図9に示す風力選別ノズル14は、複数の孔Qが格子状に縦横に整列されて配されている。図10に示す風力選別ノズル14は、複数の孔Qが千鳥状に互い違いに整列されて配されている。風力選別ノズルの孔Qの孔径と開孔率は、押込風量と排ガス再循環風量を鑑みて風速3m/s以上、好ましくは5m/s以上10m/s以下で気体を噴出できるように設計する。また、ふるい板10から落下した小粒径の軽量成分を再び焼却炉内110に戻すことができるように、孔Qの孔径は7mm以上であることが好ましく、孔Pの孔径+1mm以上が望ましい。最適孔径はふるい板10の孔径により変動する。
孔Qは、たとえば図11~15に示すように種々の断面形状を有することができる。図11には、板を水平方向に貫通して、ふるい板10に落下する主灰に対して、気体を横から衝突させるように噴出する断面形状を示す。図12には、板の下から上へと傾斜して貫通して、ふるい板10に落下する主灰に対して、気体を下から上へと斜め上方向に噴出する断面形状を示す。図13には、板の上から下へと傾斜して貫通して、ふるい板10に落下する主灰に対して、気体を上から下へと斜め下方向に噴出する断面形状を示す。図14には、板の下方では下から上へと傾斜して貫通し、板の上方では上から下へと傾斜して貫通して、ふるい板10に落下する主灰の高さ方向中央部に対して、気体を斜め下方向と斜め上方向に同時に噴出させて主灰に衝突させる断面形状を示す。図15には、板の下方では上から下へと傾斜して貫通し、板の上方では下から上へと傾斜して貫通して、ふるい板10に落下する主灰の高さ方向上部に対して気体を斜め下方向から上方に向けて噴出させると共に、ふるい板10に落下する主灰の高さ方向下部に対して気体を斜め上方向から下方向に向けて噴出させる断面形状を示す。
〔振動ふるい槽〕
振動ふるい槽20は、中空の錐型の形状を有する槽である。特に図示しないが、上面に矩形状の開口を有し、槽本体は円錐又は四角錐形状とすることができる。振動ふるい槽20には、底部に位置し、小粒径の重量成分を排出するための開閉自在な蓋体31を有する排出口30が設けられている。
また、振動ふるい槽20には、振動を付与するためのモーター23が設けられている。振動ふるい槽20の側面24には、空気を振動ふるい槽20内に導入するための空気導入口27が設けられている。空気導入口27は、従来装置において乾燥帯シュート112、燃焼帯シュート114及び後燃焼帯シュート116に新鮮な空気を導入する押出送風機に連結されている。空気導入口27は、公知の風量調節機構(図示せず)を備え、風量調節及び開閉が自在である。
図1及び2に示す実施形態においては、振動ふるい槽20の側面に、排ガスを振動ふるい槽20内に導入する排ガス導入口25が設けられているが、排ガス導入口25が設けられていなくてもよい。空気導入口27と排ガス導入口25を設ける場合には、互いに対向した位置に設けられていることが好ましい。排ガス導入口25は、焼却設備内で排気ガスを再循環させる排気ガス導入管に連結されている。排ガス導入口25は、公知の風量調節機構(図示せず)を備え、風量調節及び開閉が自在である。排ガス導入口25と空気導入口27を錐体である振動ふるい槽20の側面に対向して設けることにより乱流が発生し、振動ふるい槽20内の主灰の凝集を防止し、ふるい分けを助長することができる。また、排ガス導入口25を設けて排ガスを導入することにより、上昇流として利用する新鮮な空気の使用量を削減し、焼却設備内の排ガスを有効利用することができる。
押込空気導入口27から導入する空気を増やすと、酸素濃度が増えたり、炉内温度が下がったり、焼却炉内の燃焼状態を悪化させる場合がある。排ガス導入口25から導入する排ガスは、焼却設備内で発生する排ガスを用いるため、酸素濃度が約6%で一定であり、温度が150℃以上と安定しているため、空気導入口27からの空気の導入と併用することで、風力選別や目詰まり対策の風量向上に寄与できる。
〔排出口〕
排出口30は、錐型の振動ふるい槽20の底部に設けられており、開閉自在の板状の蓋体31が設けられている。排出口30の大きさは振動ふるい槽20の大きさに応じて任意である。蓋体31には、開閉を制御しつつ行うための開閉用のモーター(図示せず)が設けられておいる。モーターは配線を介して制御用のコンピュータに連結されており、タイマー制御等各種の制御が可能である。
〔案内板〕
ふるい槽20には、空気導入口27から導入される気体を風力選別ノズル14に向けて流す案内板21が設けられていてもよい。図16に示すように、案内板21にふるい板10を通過した小粒径成分が堆積しないように、案内板21は傾斜して設けられ、下方縁がふるい槽20の側面24と接触せず、側面24との間の空隙から小粒径成分が滑り落ちるように設けられていることが好ましく、側面24に対して安息角以上傾斜して設けられていることが好ましい。また、図16に示すように、案内板を2枚以上設けてもよい。案内板を2枚以上設ける場合には、案内板22として示すように、案内板21と対向する位置に設けることが好ましい。案内板21は、無孔板でも多孔板でもよいし、平坦でも湾曲していてもよい。
〔有価金属類の回収方法〕
本発明の振動ふるい装置を具備するストーカ式焼却装置の焼却灰から有価金属類を回収する方法について、図18~21を参照して説明する。本発明の有価金属類の回収方法は、ふるい振動装置の作動を図18~21に示す第1工程~第4工程を経て図18に示す初期状態(第1工程を行う状態)へと戻るサイクルを繰り返すことで実施できる。図示する実施形態では、排ガス導入口25から排ガスを導入するが、排ガス導入口25からの排ガスの導入は行わなくてもよい。
図18に示す第1工程は、空気導入口27からの空気及び排ガス導入口25からの排ガスを導入せずに、振動ふるい槽20を振動させる。焼却炉110内の主灰は無孔板12及びふるい板10の上に堆積し、無孔板12及びふるい板10の振動によって、大粒径成分は主灰の上層に移動し、小粒径成分は主灰の下層に移動して、大粒径成分と小粒径成分が偏析により分級される。無孔板12及びふるい板10の振動及び焼却炉110内の負圧による吸引によって、無孔板12及びふるい板10上の主灰のうち軽量成分は浮上して焼却炉110内に再吸引され、再燃焼して、集塵機により捕集される。無孔板12上に残った主灰は大粒径成分と小粒径成分とを偏析させつつ、ふるい板10に向かって移動し、無孔板12の端部からふるい板10に落下する。ふるい板10上の主灰のうち小粒径成分は、ふるい板10の多数の孔を通過してふるい槽20内に落下する。
図19に示す第2工程は、空気導入口27からの空気と、排ガス導入口25からの排ガスとを導入して、振動ふるい槽20を振動させる。空気導入口27からの空気の導入と、排ガス導入口25からの排ガスの導入は、炉内の燃焼状況と炉下圧力を監視し、演算制御にて風量を決定する。空気導入口27から導入された空気及び排ガス導入口25から導入された排ガスは混合されて、風力選別ノズル14を通して、無孔板12からふるい板10に落下する主灰に対して噴出される。ふるい板10上の主灰のうち軽量成分及び無孔板12からふるい板10に落下する主灰のうち軽量成分は、風力選別ノズル14から噴出される気体によって浮上して、焼却炉110内の負圧によって炉内に吸引されて再燃焼し、集塵機により捕集される。ふるい板10に落下した主灰のうち小粒径成分は、ふるい板10の多数の孔を通過してふるい槽20内に落下する。ふるい板10に落下した主灰の重量成分のうち大粒径成分は、ふるい板10から振動ふるい槽20内に落下せずに、ふるい板10から大粒径重量成分シュート105まで移動して、大粒径重量成分シュート105内に落下する。
図20に示す第3工程は、第2工程に引き続き、空気導入口27からの空気と、排ガス導入口25からの排ガスとを導入して、振動ふるい槽20を振動させるが、無孔板12上の主灰の大半がふるい板10に近い端部に移動した状態である。空気導入口27からの空気の導入と、排ガス導入口からの排ガスの導入は、炉内の燃焼状況と炉下圧力を監視し、演算制御にて風量を決定する。振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち軽量成分
は、空気導入口27からの空気と排ガス導入口25からの排ガスとの混合気体の上昇流に随伴されて、風力選別ノズル14から焼却炉110内に戻され、再燃焼される。振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち重量成分は、振動ふるい槽20内を落下して排出口30に堆積する。
図21に示す第4工程は、第3工程に引き続き空気導入口27からの空気と、排ガス導入口25からの排ガスとを導入し続けるが、無孔板12上の主灰はほとんど残っておらず、ふるい板10上に主灰が残っている状態になったときに、振動ふるい槽20の振動を停止する。空気導入口27からの空気の導入と、排ガス導入口25からの排ガスの導入は、炉内の燃焼状況と炉下圧力を監視し、演算制御にて風量を決定する。振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち軽量成分は、空気導入口27からの空気と排ガス導入口25からの排ガスとの混合気体の上昇流に随伴されて、風力選別ノズル14から焼却炉110内に戻され、再燃焼される。次に、空気導入口27からの空気と排ガス導入口25からの排ガスの導入を停止し、排出口30の蓋体31を開いて、振動ふるい槽20内に落下した小粒径成分のうち重量成分を落塵灰搬送コンベヤに落下させる。その後、排出口30の蓋体31を閉じて、第1工程に戻る。
なお、本実施形態は、無孔板12上の主灰がほとんど残らない状態での断続工程であるが、無孔板12上への主灰を連続的に供給してもよい。通常、炉内に主灰がない焼却炉の立ち上げ運転時には、炉内に過剰な流体が流れ込み、酸素濃度が過剰になり、炉内が冷却されることを防止するため、空気導入口27からの空気及び排ガス導入口25からの排ガスの導入を停止する。立ち上げ運転から定常運転に切り換えた後は、主灰が途切れることなく供給され、無孔板12上及びふるい板10上に主灰が堆積した状態となるため、第4工程で蓋体31を開くまで、空気導入口27からの空気及び排ガス導入口25からの排ガスを導入し続ける連続運転とすることができる。図示した実施形態では、第4工程において、排出口30の蓋体31を開く際に、空気導入口27からの空気と排ガス導入口25からの排ガスの導入を停止しているが、蓋体31を上下2段に設け、上段の蓋体と下段の蓋体の開閉を交互に行うことにより、空気及び排ガスの導入を停止しなくてもよい。さらに、落塵灰搬送コンベヤなどの下流機器が密閉性に優れている構造の場合には、焼却炉立ち上げ運転時に無孔板12及びふるい板10の上に主灰が堆積するまでの間、及びふるい板10の上に主灰がなくなった時を除いて、空気及び排ガスの導入を停止しなくてもよい。
本発明の振動ふるい装置を具備するストーカ式焼却炉によれば、従来は分別されずに二次処理されていた主灰を軽量成分、重量且つ大粒径成分、重量且つ小粒径成分に分級して、有価金属類を含有する小粒径の重量成分を回収することができる。従来のストーカ式焼却炉に振動ふるい装置を設けるのみで、他に大掛かりな装置は不要であり、多大なエネルギーの付加が不要である。したがって、本発明によれば、イニシャルコストやランニングコストを掛けず、廃棄物焼却施設に現に備わっている装置や機器をそのまま利用して、有価金属類の回収を効率的に行うことができるので、一部の企業や自治体のみならず、日本全体において有益な資源回収システムの前処理工程を提供できる。
〔その他の部材〕
本発明の振動ふるい装置及びストーカ式焼却炉は、上述の各構成部材に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の部材を具備することができる。
本発明は上述の実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明の装置は、偏析現象(粒径差、比重差)を利用して、既存のストーカ式焼却施設からの主灰、特に従来は処理されずに廃棄されていた有価金属類を含有する灰を回収し
て中間処理施設や資源化施設へ提供することができる。そのため、主灰の減容や資源回収をシステムフローとして有益に機能させることができる。これにより主灰に微量に含まれている有価金属類を効率的に回収し資源化することができる。これにより2050年カーボンニュートラルゼロを目指す廃棄物循環型社会の構築に寄与することができる。
1 振動ふるい装置
10 ふるい板
P ふるい板の孔
12 無孔板
14 風力選別ノズル
Q 風力選別ノズルの空気噴出口
20 振動ふるい槽
21 案内板
23 振動付与手段(モーター)
25 排ガス導入口
27 空気導入口
30 排出口
101 ストーカ式焼却炉
105 大粒径重量成分シュート
107 主灰シュート
110 ストーカ式焼却炉本体
111 乾燥帯ストーカ
112 乾燥帯シュート
113 燃焼帯ストーカ
114 燃焼帯シュート
115 後燃焼帯ストーカ
116 後燃焼帯シュート
120 落塵灰搬送コンベヤ
121 第2の主灰シュート
123 主灰搬送コンベヤ
125 灰押出装置

Claims (11)

  1. 焼却炉内が負圧に調整可能なストーカ式燃焼炉に設けられ、主灰の軽量成分を焼却炉内に再吸引させると共に主灰の小粒径の重量成分を分級して回収する振動ふるい装置であって、
    振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
    振動ふるい槽には、
    上面に設けられている無孔板と、
    上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
    上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
    振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
    振動ふるい槽の底部の排出口と、
    が設けられていることを特徴とする振動ふるい装置。
  2. 前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振動ふるい装置。
  3. 前記振動ふるい槽には、導入された空気を上記風力選別ノズルに向けて流す案内板がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振動ふるい装置。
  4. ストーカ式焼却炉であって、
    ストーカ最終帯の下流側に隣接して設けられている振動ふるい装置と、
    上記振動ふるい装置の下流側に隣接して設けられている、大粒径の重量成分を落下させる大粒径重量成分シュートと、
    上記振動ふるい装置の底部の排出口からの小粒径の重量成分を落下させる落塵灰搬送コンベヤと、を具備し、
    上記振動ふるい装置は、振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
    振動ふるい槽には、
    上面に設けられている無孔板と、
    上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
    上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
    振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
    振動ふるい槽の底部の排出口と、
    が設けられていることを特徴とするストーカ式焼却炉。
  5. 前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする請求項4に記載のストーカ式焼却炉。
  6. 前記大粒径重量成分シュートからの大粒径の重量成分を受け入れる灰押出装置をさらに具備することを特徴とする請求項4又は5に記載のストーカ式焼却炉。
  7. ストーカ式焼却炉であって、
    ストーカ式焼却炉のストーカ最終帯の下流側に隣接して設けられている主灰シュートと、上記主灰シュートの下方に設けられている振動ふるい装置と、
    上記振動ふるい装置の下流側に隣接して設けられている、大粒径の重量成分を落下させる大粒径重量成分シュートと、
    上記振動ふるい装置の底部の排出口からの小粒径の重量成分を落下させる落塵灰搬送コンベヤと、を具備し、
    上記振動ふるい装置は、振動ふるい槽と、当該振動ふるい槽を振動させる振動付与手段と、を具備し、
    上記振動ふるい槽には、
    上面に設けられている無孔板と、
    上記無孔板に隣接して且つ上記無孔板より下方に位置する上面に設けられているふるい板と、
    上記無孔板と上記ふるい板との間に位置づけられ、上記ふるい板上に気体を噴出させる風力選別ノズルと、
    振動ふるい槽内に空気を導入する空気導入口と、
    振動ふるい槽の底部の排出口と、
    が設けられていることを特徴とするストーカ式焼却炉。
  8. 前記振動ふるい槽には、焼却施設内で発生する排ガスを前記振動ふるい槽内に導入する排ガス導入口がさらに設けられていることを特徴とする請求項7に記載のストーカ式焼却炉。
  9. 前記大粒径重量成分シュートからの大粒径の重量成分を受け入れる灰押出装置をさらに具備することを特徴とする請求項7又は8に記載のストーカ式焼却炉。
  10. 請求項4又は7に記載のストーカ式焼却炉の灰から有価金属類を回収する方法であって、(1)振動ふるい槽へ空気を導入した状態若しくは導入を停止した状態で、振動ふるい槽を振動させ、無孔板上の主灰をふるい板に向かって移動させるとともに小粒径の重量成分を下層に、軽量成分及び大粒径成分を上層に偏析させ、
    (2)振動ふるい槽の空気導入口から空気を導入し、風力選別ノズルから空気を噴出させて、無孔板からふるい板に移動する主灰のうち軽量成分を浮遊させて焼却炉内に再吸引させ、重量成分をふるい板上に落下させ、
    (3)ふるい板上に落下した主灰のうち、大粒径の重量成分を大粒径重量成分シュートに落下させ、小粒径の重量成分を振動ふるい槽内にふるい落として分級する
    ことを特徴とする回収方法。
  11. 請求項5又は8に記載のストーカ式焼却炉の灰から有価金属類を回収する方法であって、(1)振動ふるい槽へ気体を導入した状態若しくは導入を停止した状態で、振動ふるい槽を振動させ、無孔板上の主灰をふるい板に向かって移動させるとともに小粒径の重量成分を下層に、軽量成分及び大粒径成分を上層に偏析させ、
    (2)振動ふるい槽の空気導入口から空気を導入し、排ガス導入口から排ガスを導入し、空気及び排ガスの混合気体を風力選別ノズルから噴出させて、無孔板からふるい板に移動する主灰のうち軽量成分を浮遊させて焼却炉内に再吸引させ、重量成分をふるい板上に落下させ、
    (3)ふるい板上に落下した主灰のうち、大粒径の重量成分を大粒径重量成分シュートに落下させ、小粒径の重量成分を振動ふるい槽内にふるい落として分級する
    ことを特徴とする回収方法。
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