JP2024063338A - 蒸発源、成膜装置、及び成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成膜特性のバラツキを抑制可能な蒸発源、成膜装置、及び成膜方法を提供する。【解決手段】基板に対して相対的に移動しながら成膜する蒸発源300であって、材料容器に収容された成膜材料Mが加熱されることで蒸発又は昇華した材料を噴出するノズル332と、ノズル332の外周を取り囲むように配される筒状部材333と、を備えることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、蒸発源、成膜装置、及び成膜方法に関する。
基板に薄膜を形成する成膜装置においては、蒸発源を移動させつつ複数のノズルから成膜材料を噴出させて成膜する技術が知られている。この技術によれば、大判の基板に対しても好適に薄膜を形成することができる。特許文献1では、複数の蒸着源ノズルに設けられて複数の蒸着源ノズルの外側の一部に突出リフレクタを配置し、複数のノズルの温度低下を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の構成では、ノズルの温度低下を十分に抑制できず、ノズルの温度低下によりノズルに材料が堆積しやすくなり、その結果、成膜特性にバラツキが生じ得る。本発明の目的は、成膜特性のバラツキを抑制可能な蒸発源、成膜装置、及び成膜方法を提供する。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の蒸発源は、
基板に対して相対的に移動しながら成膜する蒸発源であって、
材料容器に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を噴出するノズルと、
前記ノズルの外周を取り囲むように配される筒状部材と、
を備えることを特徴とする。
基板に対して相対的に移動しながら成膜する蒸発源であって、
材料容器に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を噴出するノズルと、
前記ノズルの外周を取り囲むように配される筒状部材と、
を備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、成膜特性のバラツキを抑制することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下の説明においては、蒸発源の移動方向を第1方向Xとし、
第1方向Xに交差する方向を第2方向Yとする。なお、各実施例において、より具体的には、第2方向Yは、第1方向Xに直交し、かつ、成膜する基板の成膜面に平行な方向である。
第1方向Xに交差する方向を第2方向Yとする。なお、各実施例において、より具体的には、第2方向Yは、第1方向Xに直交し、かつ、成膜する基板の成膜面に平行な方向である。
(実施例)
図1~図5を参照して、本発明の実施例に係る蒸発源と、この蒸発源を備える成膜装置、及び蒸発源を用いた成膜方法について説明する。
図1~図5を参照して、本発明の実施例に係る蒸発源と、この蒸発源を備える成膜装置、及び蒸発源を用いた成膜方法について説明する。
<成膜装置>
図1及び図2を参照して、本実施例に係る成膜装置10について説明する。図1は本発明の実施例に係る成膜装置の概略構成図であり、正面側から見た構成を簡略的に示したものである。図2は本発明の実施例に係る成膜装置の概略構成図であり、上方から見た構成を簡略的に示したものである。なお、図1及び図2においては、主要な構成を透視して示している。
図1及び図2を参照して、本実施例に係る成膜装置10について説明する。図1は本発明の実施例に係る成膜装置の概略構成図であり、正面側から見た構成を簡略的に示したものである。図2は本発明の実施例に係る成膜装置の概略構成図であり、上方から見た構成を簡略的に示したものである。なお、図1及び図2においては、主要な構成を透視して示している。
本実施例に係る成膜装置10は、真空蒸着を行う蒸着装置である。成膜装置10は、チャンバ100と、チャンバ100の内部を真空(減圧雰囲気)にするための真空ポンプ200と、チャンバ100の内部に配される蒸発源300とを備えている。蒸発源300は、チャンバ100の内部に配された基板Sに蒸着させる成膜材料Mを加熱することで、当該材料を蒸発又は昇華させる役割を担っている。この蒸発源300によって蒸発または昇華された材料が、基板Sに付着することで、基板Sに薄膜が形成される。
また、成膜装置10は、蒸発源300に電気や冷却液を供給するための大気ボックス410と、大気ボックス410の移動に伴って従動する第1大気アーム420及び第2大気アーム430とを備えている。大気ボックス410は、その内部が空洞により構成されており、第1大気アーム420及び第2大気アーム430の内部を通じて、チャンバ100の外部と連通するように構成されている。そのため、大気ボックス410の内部は大気に曝された状態となっている。このような構成が採用されることで、チャンバ100の外部に設けられた電源に接続される配線と、チャンバ100の外部に設けられた冷却液供給装置に接続される冷却管を蒸発源300に接続することができる。
第1大気アーム420及び第2大気アーム430は、移動する大気ボックス410の空洞内に、配線及び冷却管を配するために設けられている。すなわち、第1大気アーム420及び第2大気アーム430は、その内部が空洞により構成され、かつ、大気ボックス410の移動に追随して動作するように構成されている。より具体的には、第2大気アーム430は、その一端がチャンバ100の底板に対して回動自在に構成されている。そして、第1大気アーム420は、その一端が第2大気アーム430の他端に対して回動自在に軸支され、その他端が大気ボックス410に対して回動自在に軸支されている。
また、成膜装置10には、蒸発源300を移動させる移動機構が設けられている。本実施例に係る移動機構は、一対のガイドレール520と、大気ボックス410を貫く回転軸の両側に設けられる一対のギア510と、回転軸を回転させるモータなどの駆動源(不図示)とを備えている。一対のガイドレール520には、一対のギア510とそれぞれ噛み合うラックが設けられている。以上の構成により、駆動源によって回転軸を回転させることで、一対のガイドレール520に沿って、大気ボックス410と共に蒸発源300を往復移動させることができる。
以上のように、蒸発源300は、一対のガイドレール520に案内されるように構成されており、第1方向Xに直線的に往復移動するように構成されている。そして、蒸発源300を第1方向Xに移動させながら成膜材料Mを蒸発または昇華させることで、基板Sに
薄膜を形成することができる。なお、蒸発源300の往路及び復路のうちの少なくともいずれか一方の移動中に成膜を行うことができる。このように、蒸発源300が基板Sに対して相対的に移動しながら成膜が行われる。
薄膜を形成することができる。なお、蒸発源300の往路及び復路のうちの少なくともいずれか一方の移動中に成膜を行うことができる。このように、蒸発源300が基板Sに対して相対的に移動しながら成膜が行われる。
以上のように、本実施例における移動機構においては、いわゆるラックアンドピニオン機構を採用する場合を示した。ただし、大気ボックス410及び蒸発源300を往復移動させるための移動機構については、ラックアンドピニオン機構に限定されることはなく、ボールねじ機構など、各種公知技術を採用し得る。
また、本実施例に係る成膜装置10においては、蒸発源300における第2方向Yの両側に、基板Sに形成される膜の膜厚を測定するための膜厚モニタ600がそれぞれ設けられている。膜厚モニタ600は、膜厚モニタ600に形成される膜の膜厚を測定してその膜厚を基に基板Sに形成される膜の膜厚を予測することにより、基板Sに形成される膜の膜厚を測定するものである。膜厚モニタ600により測定される膜厚に基づいて、成膜量を制御する(例えば、蒸発源300における成膜材料Mの加熱量を制御する)ことによって、基板Sに形成する薄膜の厚みを所望の厚みにすることができる。
<蒸発源>
図3及び図4を参照して、本発明の実施例に係る蒸発源300について説明する。図3及び図4は本発明の実施例に係る蒸発源の模式的断面図である。図3は蒸発源300を第2方向Yに垂直な面、かつノズル中心を通る面で切断した断面を簡略的に示した図であり、図4は蒸発源300を第1方向Xに平行な面、かつノズル中心を通る面で切断した断面を簡略的に示した図である。なお、ノズルは多数設けられる(図1及び図2では14個設けられる場合を示している)が、図4においては、便宜上、4個のノズルのみを示す図としている。
図3及び図4を参照して、本発明の実施例に係る蒸発源300について説明する。図3及び図4は本発明の実施例に係る蒸発源の模式的断面図である。図3は蒸発源300を第2方向Yに垂直な面、かつノズル中心を通る面で切断した断面を簡略的に示した図であり、図4は蒸発源300を第1方向Xに平行な面、かつノズル中心を通る面で切断した断面を簡略的に示した図である。なお、ノズルは多数設けられる(図1及び図2では14個設けられる場合を示している)が、図4においては、便宜上、4個のノズルのみを示す図としている。
蒸発源300は直方体状のケースを備えている。このケースは、底板部分と4方の側板部分とを有するケース本体311と、ケース本体311の上方の開口部の大部分を塞ぐ蓋部312とを有している。ケース本体311は、断熱機能を備えている。例えば、ケース本体311の内部に通路(流路)を形成しておき、この通路に冷却水などの冷却液を流すことで、断熱効果を発揮させることができる。
また、蒸発源300は、ケース内に備えられる材料容器(坩堝)を備えている。この材料容器は、材料室321を形成する下部坩堝320と、拡散室331を形成する上部坩堝330とを備えている。上部坩堝330の上面には複数のノズル332が設けられている。下部坩堝320と上部坩堝330は、これらの間に、材料室321と拡散室331とを連通するための導入管341を有する中板340が挟み込まれた状態で、ボルトなどの固定具Bにより固定されている。材料室321は、成膜材料Mを収容するために用いられる室である。また、拡散室331は、材料室321に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を複数のノズル332に至る前に拡散させて圧力分布を整え、複数のノズル332への流入量を調整するための室である。材料室321の室内で蒸発又は昇華した材料は、導入管341により、拡散室331の室内に導かれて拡散され複数のノズル332からチャンバ100内に噴出される。以上のように構成される材料容器は、支持部材350により支持されることで、ケース内において位置決めされた状態でケースに固定される。
また、蒸発源300においては、下部坩堝320を加熱するための第1ヒーター361と、上部坩堝330を加熱するための第2ヒーター362とを備えている。なお、第1ヒーター361は、下部坩堝320の外壁面とケース本体311の内壁面との間に設けられ、第2ヒーター362は、上部坩堝330の外壁面とケース本体311の内壁面との間に
設けられている。なお、特に図示はしないが、紙面手前側と奥側にも第1ヒーター361及び第2ヒーター362が設けられている。すなわち、これら第1ヒーター361と第2ヒーター362は、下部坩堝320と上部坩堝330の外壁面をそれぞれ取り囲むように設けられている。第1ヒーター361及び第2ヒーター362としては、シースヒータなど、通電により発熱する部材を好適に適用できる。第1ヒーター361によって、下部坩堝320に収容された成膜材料Mが加熱されて蒸発又は昇華する。また、第2ヒーター362によって、上部坩堝330の拡散室331において、蒸発又は昇華した材料が凝固してしまうことを抑制することができる。
設けられている。なお、特に図示はしないが、紙面手前側と奥側にも第1ヒーター361及び第2ヒーター362が設けられている。すなわち、これら第1ヒーター361と第2ヒーター362は、下部坩堝320と上部坩堝330の外壁面をそれぞれ取り囲むように設けられている。第1ヒーター361及び第2ヒーター362としては、シースヒータなど、通電により発熱する部材を好適に適用できる。第1ヒーター361によって、下部坩堝320に収容された成膜材料Mが加熱されて蒸発又は昇華する。また、第2ヒーター362によって、上部坩堝330の拡散室331において、蒸発又は昇華した材料が凝固してしまうことを抑制することができる。
更に、蒸発源300においては、ケース本体311の底面と材料容器との間、蓋部312の下面と材料容器との間、第1ヒーター361と第2ヒーター362との間、及びケース本体311の内壁面と材料容器との間に、それぞれリフレクタ371,372,373,374が設けられている。これらのリフレクタ371,372,373,374により、第1ヒーター361及び第2ヒーター362からの熱がケースに伝わることを抑制できるため、材料室321及び拡散室331を効率的に加熱することができ、かつケースの外部に熱が逃げることを抑制することができる。なお、リフレクタは、ケース本体311と各種部材との間に、複数枚並べて配置する構成を採用することで、加熱効率をより一層高めることができる。
<ノズル付近の詳細>
ノズル332の付近の詳細構成について説明する。本実施例に係る蒸発源300においては、複数のノズル332の外周をそれぞれ取り囲むように配される複数の筒状部材333を備えている。図4においては、断面図の上部に、ノズル332の付近を上方から見た平面図の一部を示している。この図に示すように、本実施例においては、筒状部材333は円筒形状であるが、筒状であれば、その形状が限定されることはない。これら複数の筒状部材333は材料容器(より具体的には、上部坩堝330)に固定されることで、材料容器に一体的に設けられている。なお、蓋部312のうち、複数のノズル332及び筒状部材333が設けられる位置には、それぞれ貫通孔312aが設けられている。これにより、ノズル332及び筒状部材333は、貫通孔312aを通って、これらの先端が蓋部312の上面よりも上方に突出するように構成されている。
ノズル332の付近の詳細構成について説明する。本実施例に係る蒸発源300においては、複数のノズル332の外周をそれぞれ取り囲むように配される複数の筒状部材333を備えている。図4においては、断面図の上部に、ノズル332の付近を上方から見た平面図の一部を示している。この図に示すように、本実施例においては、筒状部材333は円筒形状であるが、筒状であれば、その形状が限定されることはない。これら複数の筒状部材333は材料容器(より具体的には、上部坩堝330)に固定されることで、材料容器に一体的に設けられている。なお、蓋部312のうち、複数のノズル332及び筒状部材333が設けられる位置には、それぞれ貫通孔312aが設けられている。これにより、ノズル332及び筒状部材333は、貫通孔312aを通って、これらの先端が蓋部312の上面よりも上方に突出するように構成されている。
また、図5(a)(b)に示すように、蓋部312の下面と材料容器との間に配されるリフレクタ372に、筒状部材333の外壁面に対向するように上方に向かって突出する突出部372aを設ける構成を採用することもできる。この図示の例では、突出部372aは筒状部材333を取り囲むように配される構成が採用されている。より具体的には、突出部372aの形状は円筒形状である。ただし、突出部372aは断熱機能が発揮されればよく、必ずしも、筒状部材333を取り囲む必要はない。また、図5(a)(b)に示す例では、突出部372aは一つの筒状部材333を取り囲むように構成されている。ただし、隣り合うノズル332及び筒状部材333の間隔が狭い場合には、一つの突出部372aによって、複数の筒状部材333を取り囲む構成を採用することもできる。図5(c)では、一つの突出部372aによって、2つの筒状部材333を取り囲む構成を示しているが、一つの突出部372aによって、3つ以上の筒状部材333を取り囲む構成を採用することもできる。
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施例に係る蒸発源、成膜装置、及び成膜方法を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成を示し、有機EL表示装置の製造方法を例示する。
次に、本実施例に係る蒸発源、成膜装置、及び成膜方法を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成を示し、有機EL表示装置の製造方法を例示する。
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図6(a)は有機EL表示装置1
50の全体図、図6(b)は1画素の断面構造を表している。
50の全体図、図6(b)は1画素の断面構造を表している。
図6(a)に示すように、有機EL表示装置150の表示領域151には、発光素子を複数備える画素152がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域151において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例に係る有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子152R、第2発光素子152G、第3発光素子152Bの組み合わせにより画素152が構成されている。画素152は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合わせで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
図6(b)は、図6(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素152は、複数の発光素子からなり、各発光素子は、基板153上に、第1電極(陽極)154と、正孔輸送層155と、発光層156R、156G、156Bのいずれかと、電子輸送層157と、第2電極(陰極)158と、を有している。これらのうち、正孔輸送層155、発光層156R、156G、156B、電子輸送層157が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層156Rは赤色を発する有機EL層、発光層156Gは緑色を発する有機EL層、発光層156Bは青色を発する有機EL層である。発光層156R、156G、156Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極154は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層155と電子輸送層157と第2電極158は、複数の発光素子152R、152G、152Bで共通に形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極154と第2電極158とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極154間に絶縁層159が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層140が設けられている。
図6(b)では正孔輸送層155や電子輸送層157は一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によっては、正孔ブロック層や電子ブロック層を備える複数の層で形成されてもよい。また、第1電極154と正孔輸送層155との間には第1電極154から正孔輸送層155への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極158と電子輸送層157の間にも電子注入層が形成することもできる。
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極154が形成された基板153を準備する。
第1電極154が形成された基板153の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極154が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層159を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
絶縁層159がパターニングされた基板153を第1の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持台及び静電チャックにて基板を保持し、正孔輸送層155を、表示領域の第1電極154の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層155は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層155は表示領域151よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
次に、正孔輸送層155までが形成された基板153を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持台及び静電チャックで保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板153の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層156Rを成膜する。
発光層156Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層156Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層156Bを成膜する。発光層156R、156G、156Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域151の全体に電子輸送層157を成膜する。電子輸送層157は、3色の発光層156R、156G、156Bに共通の層として形成される。
電子輸送層157まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置で移動させて第2電極158を成膜する。
その後プラズマCVD装置に移動して保護層140を成膜して、有機EL表示装置150が完成する。
絶縁層159がパターニングされた基板153を成膜装置に搬入してから保護層140の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本実施例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
<本実施例に係る蒸発源、成膜装置、及び成膜方法の優れた点>
本実施例に係る蒸発源300においては、複数のノズル332の外周をそれぞれ取り囲むように配される複数の筒状部材333を備えている。これにより、ノズル332の温度低下を抑制し成膜特性のバラツキを抑制することができる。特に、ノズル332の先端の温度低下が抑制されるため、ノズル332の先端に材料が堆積することを抑制することができる。また、複数のノズル332のうち、温度が低下し易い端部付近のノズル332においても温度低下が抑制されることで、それぞれのノズル332の温度のバラツキを抑制することができる。従って、成膜する基板Sの大判化に伴って、蒸発源300の長手方向の長さを長くする必要が生じても、成膜特性のバラツキを抑制することができる。
本実施例に係る蒸発源300においては、複数のノズル332の外周をそれぞれ取り囲むように配される複数の筒状部材333を備えている。これにより、ノズル332の温度低下を抑制し成膜特性のバラツキを抑制することができる。特に、ノズル332の先端の温度低下が抑制されるため、ノズル332の先端に材料が堆積することを抑制することができる。また、複数のノズル332のうち、温度が低下し易い端部付近のノズル332においても温度低下が抑制されることで、それぞれのノズル332の温度のバラツキを抑制することができる。従って、成膜する基板Sの大判化に伴って、蒸発源300の長手方向の長さを長くする必要が生じても、成膜特性のバラツキを抑制することができる。
例えば、X方向の幅が1,310mm、Y方向の幅が2,290mmmの大判の基板Sの場合、蒸発源300のサイズは、X方向の幅W1が850mm程度、Y方向の幅W2が2,600mm程度となる。このような大サイズの蒸発源300であっても、Y方向の端部付近のノズル332の温度の低下を抑制することができ、成膜特性のバラツキを抑制することができる。なお、第1ヒーター361に500Wの電力を供給し、第2ヒーター362に600Wの電力を供給して加熱した際に、筒状部材333を備えていない蒸発源と、筒状部材333を備える蒸発源300で、複数のノズル332における最高温度と最低温度を比較する実験を行った。その結果、前者が温度差52℃であったのに対して、後者は温度差37℃であった。このように、本実施例に係る蒸発源300により、複数のノズル332の温度差を抑制できることを確認することができた。
また、図5を参照して説明した通り、リフレクタ372に筒状部材333の外壁面に対向するように上方に向かって突出する突出部372aを設ける構成を採用することで、ノズル332の温度低下をより一層抑制することができる。
なお、図4及び図5においては、ノズル332が鉛直方向に真っすぐに伸びる構成を示
したが、ノズル332の伸びる方向は限定されない。例えば、複数のノズル332のうち、外側のノズル332が鉛直方向に対して外側に傾くように設けられる構成を採用することもできる。この場合には、筒状部材333や突出部372aについても、鉛直方向に対して外側に傾くように構成すると好適である(図1参照)。
したが、ノズル332の伸びる方向は限定されない。例えば、複数のノズル332のうち、外側のノズル332が鉛直方向に対して外側に傾くように設けられる構成を採用することもできる。この場合には、筒状部材333や突出部372aについても、鉛直方向に対して外側に傾くように構成すると好適である(図1参照)。
10:成膜装置 100:チャンバ 200:真空ポンプ 300:蒸発源 311:ケース本体 312:蓋部 312a:貫通孔 320:下部坩堝 321:材料室 330:上部坩堝 331:拡散室 332:ノズル 333:筒状部材 340:中板 341:導入管 350:支持部材 361:第1ヒーター 362:第2ヒーター 371,372,373,374:リフレクタ 372a:突出部 410:大気ボックス
420:第1大気アーム 430:第2大気アーム 510:ギア 520:ガイドレール 600:膜厚モニタ B:固定具 M:成膜材料 S:基板
420:第1大気アーム 430:第2大気アーム 510:ギア 520:ガイドレール 600:膜厚モニタ B:固定具 M:成膜材料 S:基板
Claims (8)
- 基板に対して相対的に移動しながら成膜する蒸発源であって、
材料容器に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を噴出するノズルと、
前記ノズルの外周を取り囲むように配される筒状部材と、
を備えることを特徴とする蒸発源。 - 基板に対して相対的に移動しながら成膜する蒸発源であって、
材料容器に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を噴出する複数のノズルと、
前記複数のノズルの外周をそれぞれ取り囲むように配される複数の筒状部材と、
を備えることを特徴とする蒸発源。 - 前記筒状部材は前記材料容器に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。
- 前記材料容器を収容するケースと、
前記ケースと前記材料容器との間に配されるリフレクタと、
を備え、
前記リフレクタは、前記筒状部材の外壁面に対向するように上方に向かって突出する突出部を有することを特徴とする請求項3に記載の蒸発源。 - 前記突出部は前記筒状部材を取り囲むように配されることを特徴とする請求項4に記載の蒸発源。
- 前記材料容器は、
前記成膜材料を収容する材料室と、
前記材料室と連通し、前記材料室に収容された成膜材料が加熱されることで蒸発又は昇華した材料を拡散する拡散室と、
を有し、
前記ノズルは前記拡散室の上面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源。 - チャンバと、
前記チャンバ内に配される請求項1または2に記載の蒸発源と、
前記蒸発源を移動させる移動機構と、
を備えることを特徴とする成膜装置。 - 請求項1または2に記載の蒸発源を移動させる工程と、
前記蒸発源を移動させながら前記蒸発源によって蒸発又は昇華した材料を噴出させる工程と、
を有することを特徴とする成膜方法。
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JP2022171186A JP2024063338A (ja) | 2022-10-26 | 2022-10-26 | 蒸発源、成膜装置、及び成膜方法 |
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2022
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