JP2024062294A - 変性共役ジエン系重合体及びその製造方法、重合体組成物、架橋体並びにタイヤ - Google Patents

変性共役ジエン系重合体及びその製造方法、重合体組成物、架橋体並びにタイヤ Download PDF

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浩之 森田
文順 施
瀚洋 秦
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Abstract

【課題】フィラー分散性、強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを得ることができる変性共役ジエン系重合体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】式(1)で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体(A)と、特定のフッ化スルホニル化合物とを反応させる工程を含む方法により変性共役ジエン系重合体を製造する。式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立してヒドロカルビル基である。「*1」は結合手を表す。TIFF2024062294000028.tif20170【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体及びその製造方法、重合体組成物、架橋体並びにタイヤに関するものである。
近年、自動車の電動化や低燃費化の潮流の中で、低転がり抵抗性や耐摩耗性に優れた自動車用タイヤに対する需要が高まっている。この需要に応えるべく、ゴム製品の更なる低ヒステリシスロス化や高強度化、高耐摩耗化といった性能の改善を図るための材料の開発が盛んになっている。
高強度かつ高耐摩耗な加硫ゴムを得るための1つの手段として、ポリマー主鎖やポリマー末端構造に窒素やケイ素、酸素等の元素を導入することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、重合開始剤としてのアルカリ金属化合物の存在下、共役ジエン化合物単独で、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合して、共役ジエン系重合体を形成する工程と、その後、共役ジエン系重合体にアルカリ金属化合物を更に添加する工程と、共役ジエン系重合体とアルカリ金属化合物との反応により得られた生成物を変性剤と反応させて共役ジエン系重合体をカルボン酸変性させる工程と、を含む方法により、非極性ポリマーである共役ジエン系重合体に変性基(-COOLi)を導入した変性共役ジエン系重合体を製造することが開示されている。
国際公開第2019/045053号
従来の重合体の変性技術は、副反応への懸念等から変性基の導入可能な量に限界があったり、変性基の種類の選択や変性部位の制御の自由度が十分に高くなかったりすることがある。ゴム製品の更なる高品質化を図る観点からすると、加硫ゴムにおけるフィラー分散性や強度、耐摩耗性といった性能の更なる改善を達成できる変性共役ジエン系重合体を得るための新たな変性手法を開発することが望まれている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、フィラー分散性、強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを得ることができる変性共役ジエン系重合体及びその製造方法を提供することを主たる目的とする。
本発明により、以下の変性共役ジエン系重合体及びその製造方法、重合体組成物、架橋体並びにタイヤが提供される。
[1] 下記式(1)で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体(A)と、下記式(2)で表される化合物とを反応させる工程を含む、変性共役ジエン系重合体の製造方法。
Figure 2024062294000001
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立してヒドロカルビル基である。「*」は結合手を表す。)
Figure 2024062294000002
(式(2)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。)
[2] 下記式(3)で表される部分構造を有する、変性共役ジエン系重合体。
Figure 2024062294000003
(式(3)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。「*」は結合手を表す。)
[3] 上記[2]の変性共役ジエン系重合体と、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラーと、を含有する、重合体組成物。
[4] 上記[3]の重合体組成物が架橋された架橋体。
[5] 上記[3]の重合体組成物を用いて、トレッド、サイドウォール又はその両方が形成されたタイヤ。
本発明の変性共役ジエン系重合体によれば、フィラー分散性、強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、フィラー分散性、強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを得るための変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
以下、本開示の態様に関連する事項について詳細に説明する。
《変性共役ジエン系重合体》
本開示の変性共役ジエン系重合体(以下、「変性共役ジエン系重合体(P)」ともいう)は、下記式(3):
Figure 2024062294000004
(式(3)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。「*」は結合手を表す。)
で表される部分構造を有する。
ここで、本明細書において「変性」とは、炭化水素に由来する構造単位からなる共役ジエン系重合体に、窒素や酸素、硫黄、ケイ素等のヘテロ原子を含む部分構造を持たせることをいう。変性の種類としては、ヘテロ原子を含む部分構造を共役ジエン系重合体における重合開始末端や重合終了末端に導入する末端変性;ヘテロ原子を有するモノマーを共重合させたり、共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させてヘテロ原子を含む部分構造を重合体の主鎖に対して導入したりする主鎖変性;が挙げられる。なお、共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させてヘテロ原子を含む部分構造を重合体の主鎖に対して導入した場合、ヘテロ原子を含む部分構造は重合体の側鎖に導入され、側鎖に存在することとなる。「変性共役ジエン系重合体」とは、変性された共役ジエン系重合体をいう。変性共役ジエン系重合体は、重合反応の過程(例えば、重合開始時や重合途中)において変性のための反応が行われることにより得られたものであってもよいし、重合停止反応として変性のための反応が行われることにより得られたものであってもよい。また、変性共役ジエン系重合体は、重合により得られた(変性)共役ジエン系重合体に対して変性のための反応を行うことにより得られてもよい。「変性剤」とは、変性を引き起こす化学薬品をいう。「(変性)共役ジエン系重合体」は、未変性の共役ジエン系重合体と、変性された共役ジエン系重合体(すなわち変性共役ジエン系重合体)とを包括する用語である。以下において、単に「共役ジエン系重合体」と記載されている場合、その「共役ジエン系重合体」は、未変性であることを特に断らない限り、変性された共役ジエン系重合体であってもよく、未変性の共役ジエン系重合体であってもよい。
上記式(3)で表される部分構造について、Rで表されるヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基等が挙げられる。Rで表されるヒドロカルビル基は、高強度かつ耐摩耗性に優れた架橋体を得る観点及び原料の入手容易性の観点から、これらのうち炭素数6~20のアリール基が好ましい。
窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基(以下、「1価の基F」ともいう)としては、置換ヒドロカルビル基、窒素含有複素環基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基等が挙げられる。これらのうち、置換ヒドロカルビル基の具体例としては、Rで表されるヒドロカルビル基として例示した基における任意の水素原子が、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する置換基で置き換えられてなる基が挙げられる。当該置換基の具体例としては、カルボキシ基、-OR、-COR、-COOR、-R10-OR、1級アミノ基、2級アミノ基(-NHR)、3級アミノ基(-NR9a9b)、ニトロ基、シアノ基、ホスフィノ基、チオール基、炭素-窒素二重結合を有する基、環状エーテル基、環状チオエーテル基、保護されたアミノ基、保護された水酸基、保護されたチオール基(ただし、R、R9a及びR9bはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり、R10はヒドロカルビレン基である。)等が挙げられる。これら置換基が結合しているヒドロカルビル基は芳香環基であることが好ましい。置換基の数は1個以上であればよく、例えば1~6個である。
窒素含有複素環基としては、ピロール環構造、イミダゾール環構造、ピリジン環構造、ピリミジン環構造、ピリダジン環構造、ピラジン環構造、カルバゾール環構造、ピペリジン環構造、又はピペラジン環構造を有する基が挙げられる。酸素含有複素環基としては、フラン環構造を有する基が挙げられる。硫黄含有複素環基としては、チオフェン環構造又は2,3-ジヒドロ-1,4-ジチイン環構造を有する基が挙げられる。これらの複素環基は、高強度かつ耐摩耗性に優れた架橋体を得る観点から、芳香族複素環構造を有することが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(P)と無機フィラー(特にシリカ)とを配合した重合体組成物を得る場合に無機フィラーの分散性を高める観点、並びに強度及び耐摩耗性に優れた架橋体を得る観点から、Rは、上記のうち、ヒドロカルビル基又は1価の基Fであることが好ましく、1価の基Fであることがより好ましく、窒素及び酸素からなる群より選択される少なくとも1種を有する基であることが更に好ましい。
変性共役ジエン系重合体(P)において、上記式(3)で表される部分構造の位置は特に限定されない。したがって、上記式(3)で表される部分構造は、重合体の主鎖を構成する原子に結合していてもよく、重合体の側鎖を構成する原子に結合していてもよい。また、上記式(3)で表される部分構造は、重合体の末端に結合していてもよく、末端とは異なる部分(すなわち、上記式(3)で表される部分構造を重合体の側鎖に導入可能な位置)に結合していてもよい。上記式(3)で表される部分構造が結合している原子の種類についても特に限定されない。上記式(3)で表される部分構造を導入することによるフィラー分散性、強度及び耐摩耗性の改善効果を十分に得る観点から、上記式(3)で表される部分構造中の酸素原子は、重合体が有する炭素原子に結合していることが好ましく、具体的には、炭化水素構造を構成する炭素原子に結合していることが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(P)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位からなる重合体であってもよいが、より高強度な架橋体を得る観点から、共役ジエン化合物に由来する構造単位と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とを有する共重合体であることが好ましい。この共重合体は、低温及び高温におけるヒステリシスロスのバランスを改善できる点で、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を有することが好ましい。変性共役ジエン系重合体(P)が共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を有する場合、当該変性共役ジエン系重合体(P)は、ランダム共重合部分と共に、共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物からなるブロック部分を更に有していてもよい。
なお、変性共役ジエン系重合体(P)において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の少なくとも一部が上記式(3)で表される部分構造を有していてもよい。また、変性共役ジエン系重合体(P)が芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有する場合、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の少なくとも一部が上記式(3)で表される部分構造を有していてもよい。
<変性共役ジエン系重合体(P)の製造方法>
上記の変性共役ジエン系重合体(P)は、下記式(1):
Figure 2024062294000005
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立してヒドロカルビル基である。「*」は結合手を表す。)
で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体(A)と、下記式(2):
Figure 2024062294000006
(式(2)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。)
で表される化合物と、を反応させる工程(以下、「反応工程」ともいう)を含む方法により製造することができる。また、当該方法は、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、必要に応じて末端変性を行うことにより共役ジエン系重合体(A)を得る工程(以下、「重合工程」ともいう)を更に含んでいてもよい。以下、変性共役ジエン系重合体(P)の製造方法について詳細に説明する。
(重合工程)
共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物を単量体組成に含む重合により得られ、かつ上記式(1)で表される部分構造を有するものである限り、特に限定されない。共役ジエン系重合体(A)においては、上記式(1)で表される部分構造が上記式(2)で表される化合物(以下、「フッ化スルホニル化合物(SF)」ともいう)との反応部位となり、以下の反応工程により上記式(3)で表される部分構造が共役ジエン系重合体に導入される。
上記式(1)で表される部分構造は、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(以下、「シリル基含有化合物(SM)」ともいう)を単量体として用いたり停止末端変性剤として用いたりすることにより共役ジエン系重合体に導入することができる。すなわち、共役ジエン系重合体(A)は、シリル基含有化合物(SM)に由来する構造単位を有する重合体であってもよく、シリル基含有化合物(SM)に由来する構造を重合体末端に有する重合体であってもよい。また、共役ジエン系重合体(A)がシリル基含有化合物(SM)に由来する構造単位を有する場合、共役ジエン系重合体(A)は、シリル基含有化合物(SM)に由来する構造単位を有し、かつその分布が不規則なランダム共重合部分を有していてもよく、シリル基含有化合物(SM)に由来する構造単位からなるブロックを有していてもよく、それらの組み合わせであってもよい。得られる変性共役ジエン系重合体(P)において、上記式(3)で表される部分構造の量や位置の制御がしやすい点において、シリル基含有化合物(SM)を単量体に用いた重合により共役ジエン系重合体(A)を得ることが好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の製造に使用するシリル基含有化合物(SM)としては、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。フィラー分散性、強度及び耐摩耗性に優れた架橋体を得る観点から、上記式(1)で表される部分構造中の酸素原子は、重合体が有する炭素原子に結合していることが好ましく、炭化水素構造を構成する炭素原子に結合していることが特に好ましい。
シリル基含有化合物(SM)の好ましい具体例としては、下記式(1-1)で表される化合物及び下記式(1-2)で表される化合物が挙げられる。共役ジエン系重合体(A)は、下記式(1-1)で表される化合物及び下記式(1-2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種に由来する部分構造を有することが好ましい。なお、下記式(1-1)で表される化合物は芳香族ビニル化合物の1種であり、下記式(1-2)で表される化合物は共役ジエン化合物の1種である。
Figure 2024062294000007
(式(1-1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基である。Aは(m+1)価の芳香環基である。Xは上記式(1)で表される基である。mは1以上の整数である。nは1又は2である。)
Figure 2024062294000008
(式(1-2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のヒドロカルビル基、「-A-(X」で表される1価の基である。Aは、単結合又は炭素数1~12の(k+1)価の鎖状炭化水素基である。Xは上記式(1)で表される基である。kは1以上の整数である。ただし、R、R及びRのうち1個以上は「-A-(X」で表される1価の基である。)
上記式(1-1)において、Rで表される炭素数1~20のヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基が好ましい。
で表される(m+1)価の芳香環基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から(m+1)個の水素原子を取り除いた基である。当該芳香環は芳香族炭化水素環であることが好ましく、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのうち、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
は、上記式(1)で表される基(トリヒドロカルビルシリルオキシ基)である。上記式(1)において、R、R及びRで表されるヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基が好ましい。
mは1~5であることが好ましく、1又は2がより好ましい。
上記式(1-2)において、R、R及びRで表される炭素数1~20のヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基が好ましい。
、R又はRが「-A-(X」で表される1価の基である場合、Aで表される炭素数1~12の(k+1)価の鎖状炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でもよい。Aは、中でも、単結合又は炭素数1~3の(k+1)価の鎖状炭化水素基が好ましい。
シリル基含有化合物(SM)の具体例としては、上記式(1-1)で表される化合物として、2-トリメチルシロキシスチレン、2-トリエチルシロキシスチレン、2-ジエチルメチルシロキシスチレン、2-エチルジメチルシロキシスチレン、3-トリメチルシロキシスチレン、3-トリエチルシロキシスチレン、3-ジエチルメチルシロキシスチレン、3-エチルジメチルシロキシスチレン、4-トリメチルシロキシスチレン、4-トリエチルシロキシスチレン、4-ジエチルメチルシロキシスチレン、4-エチルジメチルシロキシスチレン、3-tert-ブチルジメチルシロキシスチレン、4-tert-ブチルジメチルシロキシスチレン、3-トリイソプロピルシロキシスチレン、4-トリイソプロピルシロキシスチレン、3-tert-ブチルジフェニルシロキシスチレン、4-tert-ブチルジフェニルシロキシスチレン、2,3-ビス(トリメチルシロキシ)スチレン、2,3-ビス(トリエチルシロキシ)スチレン、2,3-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)スチレン、3,4-ビス(トリメチルシロキシ)スチレン、3,4-ビス(トリエチルシロキシ)スチレン、3,4-ビス(ジエチルメチルシロキシ)スチレン、3,4-ビス(エチルジメチルシロキシ)スチレン、3,4-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)スチレン、3-(トリエチルシロキシ)-4-(トリメチルシロキシ)スチレン、2,4-ビス(トリメチルシロキシ)スチレン、2,4-ビス(トリエチルシロキシ)スチレン、2,4-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)スチレン、2,3,4-トリ(トリメチルシロキシ)スチレン、2,3,4-トリ(トリエチルシロキシ)スチレン、1,1-ビス(3-トリメチルシロキシフェニル)エチレン、1,1-ビス(3-トリエチルシロキシフェニル)エチレン等を;
上記式(1-2)で表される化合物として、3-(トリメチルシロキシ)-1,3-ブタジエン、3-(トリエチルシロキシ)-1,3-ブタジエン、3-(ジエチルメチルシロキシ)-1,3-ブタジエン、3-(エチルジメチルシロキシ)-1,3-ブタジエン、3-(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,3-ブタジエン等を、それぞれ挙げることができる。なお、シリル基含有化合物(SM)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
共役ジエン系重合体(A)を得る際に用いる重合法は特に限定されず、例えば、溶液重合法、乳化重合法、気相重合法、バルク重合法、塊状重合法等が挙げられる。変性共役ジエン系重合体(P)の製造容易性の観点から、使用する重合法は、これらのうち溶液重合法又は乳化重合法が好ましく、変性共役ジエン系重合体(P)における上記式(3)で表される部分構造の量や位置の制御がしやすい点で、溶液重合法が特に好ましい。
(溶液重合について)
共役ジエン系重合体(A)の製造に際し溶液重合法を用いる場合、具体的な重合方法の一例としては、溶媒中(好ましくは有機溶媒中)において、共役ジエン化合物を含む単量体を、重合開始剤、及び必要に応じて用いられるビニル含量調整剤(以下、「ランダマイザー」ともいう)の存在下で重合する方法が挙げられる。重合形式は回分式でもよく、連続式でもよい。
共役ジエン系重合体(A)を得る方法の具体例としては、下記の方法〔1〕若しくは方法〔2〕、又はこれらのうちの2種以上の組み合わせが挙げられる。
方法〔1〕:アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で、シリル基含有化合物(SM)を含む単量体を重合する方法。
方法〔2〕:アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で単量体を重合することにより活性末端を有する重合体を得て、得られた活性末端を有する重合体と、シリル基含有化合物(SM)とを反応させる方法。
また、上記方法〔1〕の好ましい具体例としては、下記の方法〔1-1〕及び方法〔1-2〕が挙げられる。
方法〔1-1〕:アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で、シリル基含有化合物(SM)を含む単量体を重合することにより、共役ジエン系重合体(A)として、シリル基含有化合物(SM)に由来する構造単位の分布が不規則なランダム共重合部分を有する重合体を得る方法。
方法〔1-2〕:アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で単量体を重合した後、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物を反応系に添加することにより、共役ジエン系重合体(A)として、シリル基含有化合物(SM)からなるブロック部分を有する重合体を得る方法。
これらの方法のうち、上記式(1)で表される部分構造(ひいては上記式(3)で表される部分構造)を導入する位置や量を調整しやすく、得られる架橋体のフィラー分散性や強度、耐摩耗性の改善効果が高い点で、方法〔1〕を含む方法によることが好ましく、フィラー分散性の改善効果がより高い点で、方法〔1-1〕を含む方法によることがより好ましい。
・単量体
共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する。共役ジエン系重合体(A)を構成する共役ジエン化合物は、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(例えば、上記式(1-2)で表される化合物)であってもよく、上記式(1)で表される部分構造を有しない化合物(以下、「共役ジエン化合物(M1)」ともいう)であってもよく、それらの両方であってもよい。変性共役ジエン系重合体(P)を用いて得られる架橋体のフィラー分散性や強度、耐摩耗性等の観点から、共役ジエン系重合体(A)及び変性共役ジエン系重合体(P)は、共役ジエン化合物(M1)に由来する構造単位を有することが好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用する共役ジエン化合物(M1)としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3-ブタジエン、イソプレン又は2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが好ましい。共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用する共役ジエン化合物(M1)は、これらのうちの1種でもよく2種以上でもよい。
共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物の単独重合体であってもよい。より高強度な架橋体を得る観点からすると、共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位と共に、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有する共重合体であることが好ましい。共役ジエン系重合体(A)を構成する芳香族ビニル化合物は、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物(例えば、上記式(1-1)で表される化合物)であってもよく、上記式(1)で表される部分構造を有しない化合物(以下、「芳香族ビニル化合物(M2)」ともいう)であってもよく、それらの両方であってもよい。変性共役ジエン系重合体(P)を用いて得られる架橋体の強度を更に高める観点から、共役ジエン系重合体(A)及び変性共役ジエン系重合体(P)は、芳香族ビニル化合物(M2)に由来する構造単位を更に有することが好ましい。
共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用する芳香族ビニル化合物(M2)としては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレン(例えば、1-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレン)等が挙げられる。芳香族ビニル化合物(M2)としては、これらの中でもスチレン又はα-メチルスチレンが好ましい。共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用する芳香族ビニル化合物(M2)は、これらのうちの1種でもよく2種以上でもよい。
共役ジエン系重合体(A)が、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である場合、アニオン重合におけるリビング性が高い点で、中でも、1,3-ブタジエンとスチレンとを単量体組成に含む共重合体であることが好ましい。この共重合体は、低温及び高温におけるヒステリシスロスのバランスを改善できる点で、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との分布が不規則なランダム共重合部分を有することが好ましい。共役ジエン系重合体(A)が、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を有する場合、ランダム共重合部分と共に、共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物からなるブロック部分を更に有していてもよい。上記方法〔1-2〕では、当該ブロック部分をシリル基含有化合物(SM)により形成してもよい。シリル基含有化合物(SM)により形成されたブロック部分を有する重合体とすることにより、耐摩耗性に優れた架橋体を得ることができる。
共役ジエン系重合体(A)における芳香族ビニル化合物(M2)に由来する構造単位の含有割合は、変性共役ジエン系重合体(P)を用いて得られる架橋体の低ヒステリシスロス特性とウェットグリップ性能とのバランスを良好にする観点、及び変性共役ジエン系重合体(P)を含む重合体組成物の加工性を良好にする観点から、共役ジエン系重合体(A)を構成する全構造単位に対して、3~55質量%であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物(M2)に由来する構造単位の含有割合は、共役ジエン系重合体(A)を構成する全構造単位に対して、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることがより更に好ましい。また、共役ジエン系重合体(A)における芳香族ビニル化合物(M2)に由来する構造単位の含有割合は、共役ジエン系重合体(A)を構成する全構造単位に対して、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることがより更に好ましく、35質量%以下であることが特に好ましい。なお、共役ジエン系重合体(A)における芳香族ビニル化合物(M2)に由来する構造単位の含有割合はH-NMRによって測定した値である。
共役ジエン系重合体(A)を得るための重合に際しては、単量体として、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物以外の化合物(以下、「他のモノマー」ともいう)を更に用いてもよい。他のモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられる。他のモノマーの使用割合は、重合に使用する単量体の全量に対して、10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
上記方法〔1〕により共役ジエン系重合体(A)を得る場合、重合体への上記式(3)で表される部分構造の導入によるフィラー分散性、強度及び耐摩耗性の改善効果を十分に得る観点から、単量体としてのシリル基含有化合物(SM)の使用割合は、重合に使用する単量体の全量に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが更に好ましい。また、過剰な導入を避ける観点から、シリル基含有化合物(SM)の使用割合は、重合に使用する単量体の全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
・重合開始剤
重合開始剤としては、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物を用いることができる。これらのうち、アルカリ金属化合物が好ましい。重合開始剤としての金属化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルキルリチウム;1,4-ジリチオブタン、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ナフチルリチウム、1,3-ビス(1-リチオ-1,3-ジメチルペンチル)ベンゼン、1,3-フェニレンビス(3-メチル-1-フェニルペンチリデン)ジリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、エトキシカリウム等が挙げられる。中でも、重合開始剤はリチウム化合物が好ましい。
また、重合開始剤として使用する金属化合物には、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属アミド化合物が含まれていてもよい。シリル基含有重合体を得るための重合を金属アミド化合物の存在下で行うことにより、変性共役ジエン系重合体(P)として、重合開始末端に窒素含有基が導入された重合体を得ることができる。
金属アミド化合物としては、中でも、リチウム化合物(例えば、アルキルリチウム等)と、窒素原子を有する化合物(以下、「開始末端変性剤」ともいう)とを混合して得られる化合物であることが好ましい。開始末端変性剤は2級アミン化合物が好ましく、その具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ドデカメチレンイミン、N,N’-ジメチル-N’-トリメチルシリル-1,6-ジアミノヘキサン、ピペリジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルベンジルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)アミン、ジアリルアミン、モルホリン、N-(トリメチルシリル)ピペラジン、N-(tert-ブチルジメチルシリル)-4-ピペラジン、1,3-ジトリメチルシリル-1,3,5-トリアジナン等が挙げられる。これらの化合物を使用することにより、重合体の末端にアミノ基や窒素含有複素環基等の窒素含有基を導入することができる。
なお、金属アミド化合物の存在下で重合を行う場合、リチウム化合物と開始末端変性剤とを予め混合することにより金属アミド化合物を調製し、その調製した金属アミド化合物を重合系に添加して重合を行ってもよい。あるいは、リチウム化合物と開始末端変性剤とを重合系に添加し、重合系内で両者を混合することにより金属アミド化合物を調製して重合を行ってもよい。
上記重合に際し、重合開始剤の使用量(2種以上使用する場合にはその合計量)は、重合体の合成に使用する単量体100gに対して、0.01~20mmolとすることが好ましく、0.05~15mmolとすることがより好ましい。重合開始剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
・ビニル含量調整剤(ランダマイザー)
上記重合反応は、重合体中のビニル基の含有率(ビニル含量)を調整すること等を目的として、ビニル含量調整剤の存在下で実施されてもよい。ビニル含量調整剤の例としては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2-ジ(テトラヒドロフルフリル)プロパン、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。ビニル含量調整剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
・重合溶媒
重合に使用する有機溶媒としては、重合反応に関与しない有機溶剤を好ましく用いることができる。重合に使用する有機溶媒の具体例としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3~8の炭化水素が好ましく、その具体例としては、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-へキサン、シクロへキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、1-ペンテン、2-ペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。有機溶媒としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶液重合とする場合、反応溶媒中の単量体濃度は、生産性と重合コントロールの容易性とのバランスを維持する観点から、5~50質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。重合反応の温度は、-20℃~150℃が好ましく、0~120℃がより好ましい。また、重合反応は、単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力の下で行うことが好ましい。このような圧力は、重合反応に関与しないガスによって、反応器内を加圧する等の方法により得ることができる。上記重合により、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。
上記重合により得られる共役ジエン系重合体(A)につき、ビニル含量は、15~75モル%であることが好ましい。共役ジエン系重合体(A)のビニル含量(ひいては変性共役ジエン系重合体(P)のビニル含量)を15モル%以上とすることによって、柔軟性が維持され加工性が良好であって、しかも耐摩耗性に優れた架橋体を得ることができる。共役ジエン系重合体(A)のビニル含量は、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることがより更に好ましい。また、耐摩耗性の観点から、共役ジエン系重合体(A)のビニル含量は、65モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。なお、本明細書において「ビニル含量」は、共役ジエン系重合体が有する、共役ジエン化合物(M1)に由来する構造単位の全量のうち、ビニル結合を有する構造単位(すなわち、結合様式が1,2-結合又は3,4-結合である構造単位の合計)の割合を示す値であり、H-NMRによって測定される値である。
重合反応を停止させる際には、アルコール(例えば、メタノール、2-プロパノール、オクタノール等)等の重合停止剤を反応系に添加してもよい。あるいは、上記重合により得られた共役ジエン系重合体の活性末端と、停止末端変性剤とを反応させることにより、共役ジエン系重合体の重合終了末端に、停止末端変性剤に由来する構造を導入してもよい。
上記の方法〔2〕では、停止末端変性剤として、シリル基含有化合物(SM)を少なくとも一部に用いる。また、方法〔1〕及び方法〔2〕において、停止末端変性剤として、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を有し、上記式(1)で表される部分構造を有さず、かつ上記重合により得られた共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応し得る化合物(以下、「変性剤(IS)」ともいう)を用いてもよい。
変性剤(IS)としては、アミノ基、窒素含有複素環基、ホスフィノ基、水酸基、チオール基及びヒドロカルビルオキシシリル基よりなる群から選ばれる1種以上の官能基を重合体の末端に導入可能な化合物を好ましく使用できる。変性剤(IS)の具体例としては、下記式(5)で表される化合物及び下記式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024062294000009
(式(5)中、Aは、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を有し、活性水素を有さず、かつR13に対して窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、若しくはカルボニル基に含まれる炭素原子で結合する1価の官能基であるか、又は(チオ)エポキシ基である。R11及びR12は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基である。R13は、ヒドロカルビレン基である。tは、0~2の整数である。ただし、tが2の場合、式中の複数のR11は、互いに同一又は異なる。tが0又は1の場合、式中の複数のR12は、互いに同一又は異なる。)
Figure 2024062294000010
(式(6)中、Aは、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を有し、活性水素を有さず、かつR17に対して窒素、リン、酸素、硫黄若しくはケイ素で結合する1価の官能基であるか、又は炭素数1~20のヒドロカルビル基である。R14及びR15は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基である。R16は、ヒドロカルビレン基である。R17は、単結合又はヒドロカルビレン基である。uは0又は1である。ただし、uが0の場合、式中の複数のR15は、互いに同一又は異なる。)
上記式(5)及び式(6)において、R11、R12、R14、R15及びヒドロカルビル基である場合のAについて、ヒドロカルビル基は、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であることが好ましい。
13、R16及びR17で表されるヒドロカルビレン基は、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルカンジイル基、炭素数3~20のシクロアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基が好ましい。
tは、0又は1が好ましい。uは0であることが好ましい。
が上記1価の官能基である場合にAが有する、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の元素、並びに、Aが上記1価の官能基である場合にAが有する、窒素、リン、酸素、硫黄及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の元素は、例えば3置換のヒドロカルビルシリル基等で保護されていてもよい。なお、本明細書において「活性水素」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素-水素結合よりも結合エネルギーが低いものを指す。「(チオ)エポキシ基」とは、エポキシ基及びチオエポキシ基を包含する意味である。
は、オニウム塩生成剤によってオニウムイオンになり得る基であってもよい。停止末端変性剤がこのような基(A)を有することにより、重合体に対して優れた形状保持性を付与することができる。ここで、「オニウム塩生成剤」とは、ブレンステッド酸、又は水と接触することでブレンステッド酸を生成する化合物である。
の具体例としては、例えば1級アミノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、2級アミノ基の1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、3級アミノ基、イミノ基、ピリジル基、1級ホスフィノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなるリン含有基、2級ホスフィノ基の1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなるリン含有基、3級ホスフィノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、水酸基の水素原子が保護基によって置換されてなる基、チオール基の水素原子が保護基によって置換されてなる硫黄含有基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中でも、シリカとの親和性が良好である点で、窒素原子を有する基であることが好ましく、3級アミノ基、又は1級アミノ基の2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基であることがより好ましい。なお、保護基とは、A、Aを重合活性末端に対して不活性な官能基に変換しておく官能基である。
変性剤(IS)の具体例としては、上記式(5)で表される化合物として、例えば、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピルジエトキシメチルシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’,N’-トリス(トリメチルシリル)-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(4-トリメチルシリル-1-ピペラジノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記式(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,2-アザシロリジン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,2-アザシロリジン、2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1,2-アザシロリジン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-(2,2-ジメトキシ-1,2-アザシロリジン-1-イル)-N,N-ジエチルエタン-1-アミン、2-(2,2-ジメトキシ-1,2-アザシロリジン-1-イル)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン、3-(2,2-ジメトキシ-1,2-アザシロリジン-1-イル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン等が挙げられる。停止末端変性剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体と停止末端変性剤との反応(末端変性反応)は、例えば溶液反応として行うことができる。この溶液反応は、回分式及び連続式のいずれを用いて行ってもよい。このとき、停止末端変性剤の添加方法は特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法等が挙げられる。
使用する停止末端変性剤の量は、反応に使用する化合物の種類に応じて適宜設定することができる。停止末端変性剤の使用量は、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子1モルに対して、好ましくは0.05モル以上であり、より好ましくは0.1モル以上である。停止末端変性剤の使用量を0.1モル当量以上とすることにより、変性反応を十分に進行させることができ、フィラーの分散性の改善効果を高めることができる。また、停止末端変性剤の使用量は、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子1モルに対して、好ましくは1.0モル以下であり、より好ましくは0.8以下である。
末端変性反応の反応温度は、通常、重合反応の温度と同じであり、-20~150℃であることが好ましく、0~120℃であることがより好ましく、20~100℃であることが更に好ましい。変性反応の温度が低いと、重合体溶液の粘度が上昇する傾向がある。また、末端変性反応の温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。末端変性反応の反応時間は、好ましくは1分~5時間であり、より好ましくは2分~1時間である。
共役ジエン系重合体を製造する際には、重合体のムーニー粘度やコールドフロー特性を高めること等を目的として、共役ジエン系重合体が有する活性末端とカップリング剤とを反応させる処理を行ってもよい。カップリング剤を用いた反応は、重合活性末端と停止末端変性剤との反応前に行ってもよく、それらの反応後に行ってもよく、あるいは重合活性末端と停止末端変性剤との反応と同時に行ってもよい。カップリング剤の具体例としては、2,4-トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、N,N,N’,N’-テトラメチルフタル酸アミド、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が挙げられる。
上記方法〔2〕により停止末端変性剤としてシリル基含有化合物(SM)を用いて共役ジエン系重合体(A)を得る場合、シリル基含有化合物(SM)による共役ジエン系重合体(A)の末端変性率は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。末端変性率が上記範囲であることにより、得られる架橋体のフィラー分散性、強度及び耐摩耗性の改善効果を十分に得ることができる点で好ましい。なお、共役ジエン系重合体(A)の末端変性率は、H-NMR測定によって算出された値である。
反応溶液に含まれる共役ジエン系重合体を単離するには、例えばスチームストリッピング等の公知の脱溶媒方法及び熱処理等の乾燥の操作により行うことができる。
(乳化重合について)
乳化重合法を用いて共役ジエン系重合体(A)を得る場合、乳化重合法としては公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、単量体を乳化剤により水系媒体中(好ましくは水中)に分散させ、重合開始剤の存在下で重合を行い、所望の重合転化率に達した後、重合停止剤を添加して重合を停止させる方法が挙げられる。
共役ジエン系重合体(A)の製造に際しては、単量体として共役ジエン化合物(M1)及びシリル基含有化合物(SM)を含み、任意成分として芳香族ビニル化合物(M2)を含む単量体混合物を使用することが好ましい。共役ジエン化合物(M1)は、全単量体に対し50~99.5質量%の割合で使用されることが好ましい。共役ジエン化合物(M1)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、より好ましくは55質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。また、共役ジエン化合物(M1)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、より好ましくは95質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。
重合に際し、芳香族ビニル化合物(M2)の使用量は、全単量体に対し0~40質量%の割合が好ましい。芳香族ビニル化合物(M2)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、より好ましくは35質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。また、芳香族ビニル化合物(M2)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。
シリル基含有化合物(SM)は、全単量体に対し0.5~35質量%の割合で使用されることが好ましい。シリル基含有化合物(SM)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上である。また、シリル基含有化合物(SM)の使用量は、共役ジエン系重合体(A)の製造に使用する全単量体に対して、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは25質量%以下である。
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。安定な乳化分散液を得るために、通常、アニオン系界面活性剤が使用される。アニオン系界面活性剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩、ロジン酸塩、直鎖アルキル基含有ベンゼンスルホン酸塩等が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルジフェニルオキシドスルホン酸及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等のカリウム塩及びナトリウム塩等が挙げられる。また、フッ素系の界面活性剤を使用することもできる。乳化剤としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤としては、一般に乳化重合において使用されるラジカル重合開始剤等を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロペルオキシド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、トリメチルビシクロヘプチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリルに代表されるジアゾ化合物、過硫酸カリウムに代表される無機過酸化物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合せに代表されるレドックス系触媒等を用いることもできる。重合開始剤としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。重合開始剤の使用量は、重合に用いる単量体の全量100質量部に対し、通常0.01質量部以上であり、好ましくは0.05~1.0質量部である。
重合に際しては、共役ジエン系重合体(A)の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、tert-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレン、γ-テルピネン類及びα-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。連鎖移動剤としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、重合に用いる単量体の全量100質量部に対し、通常0.05質量部以上であり、好ましくは0.1~15質量部である。
なお、乳化重合に際しては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のキレート剤;塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム等の電解質;ナトリウムホルムアルデヒドスルホオキシレート、硫酸第一鉄等の活性剤;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;スチレン化フェノール、ヒンダードフェノール、イミダゾール類、パラフェニレンジアミン、ナトリウムハイドロサルファイト等の酸素除去剤等の添加剤を適宜加えてもよい。
乳化重合による共役ジエン系重合体(A)の製造において、重合形式は連続式でもよく、回分式でもよい。重合は、酸素を除去した反応器を用いて、通常0~100℃の温度で、好ましくは0~80℃で行うことができる。重合時間は、1~24時間が好ましく、2~12時間がより好ましい。また、反応途中において、温度や撹拌等の操作条件等を適宜に変更することもできる。
重合反応において、重合転化率が大きくなるとゲル化することがある。したがって、重合転化率は、85%以下に抑えることが好ましく、80%以下がより好ましく、30~70%の範囲で重合を停止させることが更に好ましい。重合の停止は、所望の重合転化率に達した時点で重合停止剤を添加することによって行うことができる。重合停止剤としては、ヒドロキシルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン化合物;ヒドロキノン等のキノン化合物等が挙げられる。重合停止後、必要に応じて、水蒸気蒸留等の方法により反応系から未反応単量体を除去することにより、共役ジエン系重合体(A)が分散媒中に分散されたラテックスを得ることができる。
(反応工程)
反応工程では、共役ジエン系重合体(A)と、フッ化スルホニル化合物(SF)とを反応させる。これにより、共役ジエン系重合体(A)が有する上記式(1)で表される部分構造と、フッ化スルホニル化合物(SF)との硫黄-フッ素交換反応(SuFEx反応)により、上記式(3)で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体である変性共役ジエン系重合体(P)を得ることができる。
・フッ化スルホニル化合物(SF)
上記式(2)において、Rの具体例及び好ましい例については、上記式(3)中のRの説明と同様のものが挙げられる。
フッ化スルホニル化合物(SF)の具体例としては、Rがフッ素原子である化合物としてフッ化スルフリルを;
がヒドロカルビル基である化合物として、アルキルスルホニルフルオリド、o-トルエンスルホニルフルオリド、m-トルエンスルホニルフルオリド、p-トルエンスルホニルフルオリド、2,4-ジメチルベンゼンスルホニルフルオリド、2,5-ジメチルベンゼンスルホニルフルオリド、3,5-ジメチルベンゼンスルホニルフルオリド、2-エチルベンゼンスルホニルフルオリド、3-エチルベンゼンスルホニルフルオリド、4-エチルベンゼンスルホニルフルオリド、4-プロピルベンゼンスルホニルフルオリド、ナフタレンスルホニルフルオリド等を;
が1価の基Fである化合物として、3-メトキシベンゼンスルホニルフルオリド、4-メトキシベンゼンスルホニルフルオリド、3-エトキシベンゼンスルホニルフルオリド、4-エトキシベンゼンスルホニルフルオリド、3-アミノベンゼンスルホニルフルオリド、4-アミノベンゼンスルホニルフルオリド、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド、3-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゼンスルホニルフルオリド、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゼンスルホニルフルオリド、3-アセチルベンゼンスルホニルフルオリド、4-アセチルベンゼンスルホニルフルオリド、2-(フルオロスルホニル)安息香酸、3-(フルオロスルホニル)安息香酸、4-(フルオロスルホニル)安息香酸、2-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド、3-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド、4-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド、3-アミノ-4-メトキシベンゼンスルホニルフルオリド、2-アミノ-4-メトキシベンゼンスルホニルフルオリド、ピリジン-2-スルホニルフルオリド、ピリジン-3-スルホニルフルオリド、ピリジン-4-スルホニルフルオリド、ピリミジン-2-スルホニルフルオリド、ピリミジン-4-スルホニルフルオリド、ピラジン-2-スルホニルフルオリド、3-チオフェノールスルホニルフルオリド、4-チオフェノールスルホニルフルオリド、3-(P,P-ジメチルフォスフィノ)ベンゼンスルホニルフルオリド等を、それぞれ挙げることができる。
共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応は、例えば溶液反応として行うことができる。溶媒としては、共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応に関与しない有機溶媒を好ましく用いることができる。フッ化スルホニル化合物(SF)の使用量(2種以上使用する場合にはその合計量)は、フッ化スルホニル化合物(SF)による変性反応を十分に進行させる観点から、共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用したシリル基含有化合物(SM)が有するヒドロキシカルビルシリルオキシ基1モルに対して、0.1モル以上とすることが好ましく、0.5モル以上とすることがより好ましい。また、フッ化スルホニル化合物(SF)の使用量は、過剰な添加を避けるため、共役ジエン系重合体(A)の製造に際し使用したシリル基含有化合物(SM)が有するヒドロキシカルビルシリルオキシ基1モルに対して、2.0モル以下とすることが好ましく、1.5モル以下とすることがより好ましい。共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応に際しては、共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応を促進するために塩基性化合物等の添加剤を適宜加えてもよい。
共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応に際し、反応温度は、0~100℃とすることが好ましく、0~60℃とすることがより好ましい。反応時間は、好ましくは1分~48時間であり、より好ましくは5分~36時間である。反応溶液に含まれる変性共役ジエン系重合体(A)を単離するには、例えばスチームストリッピング等の公知の脱溶媒方法及び熱処理等の乾燥の操作によって行うことができる。
共役ジエン系重合体(A)とフッ化スルホニル化合物(SF)との反応において、共役ジエン系重合体(A)が有するシリル基含有化合物(SM)に由来する部分構造のうち、フッ化スルホニル化合物(SF)に由来する官能基に変換された割合、すなわち、上記式(1)で表される部分構造から上記式(3)で表される部分構造への変換率(以下、単に「変換率」ともいう)は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。なお、本明細書において「変換率」は、H-NMR測定によって算出された値である。
<変性共役ジエン系重合体(P)の物性等>
次に、変性共役ジエン系重合体(P)の物性等について説明する。
変性共役ジエン系重合体(P)につき、共役ジエン化合物に由来する構造単位におけるビニル含量は15~75モル%であることが好ましい。変性共役ジエン系重合体(P)のビニル含量を15モル%以上とすることにより、得られる架橋体において柔軟性が維持され加工性が良好となり、また耐摩耗性に優れる傾向がある。このような観点から、変性共役ジエン系重合体(P)のビニル含量は、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることがより更に好ましい。また、耐摩耗性の観点から、変性共役ジエン系重合体(P)のビニル含量は、65モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体(P)は硫黄原子を有する。変性共役ジエン系重合体(P)における硫黄原子の含有量(以下、「硫黄含量」ともいう)は、無機フィラーの分散性、強度及び耐摩耗性の改善効果を十分に得る観点から、変性共役ジエン系重合体(P)の1分子当たり0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、0.15質量%以上であることが更に好ましい。また、過剰な導入を避ける観点から、硫黄含量は、2.5質量%以下であることが好ましく、2.2質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることが更に好ましい。なお、本明細書において、「硫黄含量」は、蛍光X線分析(XRF)によって測定された値である。
変性共役ジエン系重合体(P)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、50,000~2,500,000であることが好ましい。変性共役ジエン系重合体(P)のMwは、100,000以上であることがより好ましく、150,000以上であることが更に好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(P)のMwは、2,000,000以下であることがより好ましく、1,500,000以下であることが更に好ましく、1,200,000以下であることがより更に好ましい。変性共役ジエン系重合体(P)のMwが上記範囲であることにより、高強度であり、かつ低ヒステリシスロス特性及び耐摩耗性により優れた架橋体を得ることができる。なお、ここでいう変性共役ジエン系重合体(P)のMwは、GPCにより測定されるGPC曲線の全ピークによる重量平均分子量(トータル重量平均分子量)を表す。
変性共役ジエン系重合体(P)につき、分子量が最も小さいピークのピークトップ分子量(以下、「1stピーク重量平均分子量」ともいう)は、45,000以上であることが好ましく、80,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(P)の1stピーク重量平均分子量は、2,000,000以下であることが好ましく、1,500,000以下であることがより好ましく、1,200,000以下であることが更に好ましい。変性共役ジエン系重合体(P)の1stピーク重量平均分子量はGPCによるポリスチレン換算値である。
変性共役ジエン系重合体(P)につき、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.5以下がより更に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0以上である。
《重合体組成物》
本開示の重合体組成物は、上記の変性共役ジエン系重合体(P)と、シリカ及びカーボンブラックよりなる群から選択される少なくとも1種である無機フィラーと、を含有する。また、本開示の重合体組成物は、変性共役ジエン系重合体(P)、シリカ及びカーボンブラック以外の各種成分を更に含有してもよい。
[B]シリカ
本開示の重合体組成物は、[B]シリカを含有してもよい。[B]シリカの配合量は、変性共役ジエン系重合体(P)を含むゴム成分100質量部に対して、20~120質量部の範囲が好ましく、30~100質量部の範囲が更に好ましい。[B]シリカの配合量がゴム成分100質量部に対して20質量部以上であれば、重合体組成物の低ヒステリシスロス特性、破壊特性、耐摩耗性を十分に向上させることができ、また、120質量部以下であれば、重合体組成物の加工性を十分に向上させることができる。
なお、本明細書において、重合体組成物に含まれる「ゴム成分」とは、熱や光、イオン架橋等による硬化によりゴム弾性を示す硬化物を得ることが可能な重合体をいう。当該硬化物は、室温において小さな力で大きな変形(例えば、室温で伸ばすと2倍以上に伸びる変形)を起こし、力を取り除くと急速にほぼ元の形状に戻る性質を示す。
[B]シリカとしては特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、湿式シリカが好ましい。[B]シリカとしては、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、[B]シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定される値)は40~350m/gの範囲が好ましく、80~350m/gの範囲が更に好ましく、120~350m/gの範囲が特に好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性と変性共役ジエン系重合体(P)中への分散性とを両立できるという利点がある。このようなシリカとしては、東ソー・シリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積=205m/g)、「ニプシルKQ」、デグッサ社製、商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m/g)等の市販品を用いることができる。
重合体組成物が含有するシリカは、比表面積の異なる2種以上の併用であってもよい。具体的には、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上、アグリゲートサイズが45nm以上である第一シリカと、CTAB比表面積が95m/g以下、BET比表面積が100m/g以下である第二シリカとを併用していてもよい。なお、シリカのCTAB比表面積は、ASTM D3765-92に準拠して測定される。
重合体組成物の一態様は、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上、アグリゲートサイズが45nm以上である第一シリカと、CTAB比表面積が95m/g以下、BET比表面積が100m/g以下の第二シリカとを含有する。このような第一シリカと第二シリカとを併用することにより、平均一次粒子径は小さいが比較的アグリゲートサイズの大きい第一シリカをゴム成分中に良好に分散させることが可能となり、シリカの分散性を改善し、優れたゴム破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス特性及び加工性を得ることができる。
第一シリカのCTAB比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは197m/g以上である。CTAB比表面積が180m/g未満であると、ゴム破壊強度、耐摩耗性の十分な向上が得られにくくなる傾向がある。CTAB比表面積は、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。CTAB比表面積が350m/gを超えると、分散性に劣り凝集しやすくなるため、物性が低下する傾向がある。
第一シリカのBET比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは210m/g以上である。BET比表面積が185m/g未満であると、ゴム破壊強度、耐摩耗性の十分な向上が得られにくくなる傾向がある。BET比表面積は、好ましくは350m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは260m/g以下である。BET比表面積が350m/gを超えると、分散性に劣り凝集しやすくなるため、物性が低下する傾向がある。なお、シリカのBET比表面積は、ASTM D3037-81に準じて測定される。
第一シリカのアグリゲートサイズは、好ましくは45nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは55nm以上、より更に好ましくは60nm以上である。また、アグリゲートサイズは、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下、より更に好ましくは67nm以下である。このようなアグリゲートサイズを有することにより、良好な分散性(加工性)を有しながら、優れた低ヒステリシスロス特性、耐摩耗性を与えることができる。なお、シリカのアグリゲートサイズは、特開2011-140613号公報に記載の方法により測定できる。
第一シリカの平均一次粒子径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは22nm以下、更に好ましくは17nm以下、特に好ましくは14nm以下である。平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。このような小さい平均一次粒子径を有しているものの、上記のアグリゲートサイズを有するカーボンブラックのような構造により、シリカの分散性(加工性)をより改善でき、低ヒステリシスロス特性、耐摩耗性を更に改善できる。なお、シリカの平均一次粒子径は、シリカを透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子400個以上について粒子径を測定し、その平均により求めることができる。
第二シリカのCTAB比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは30m/g以上である。CTAB比表面積が10m/g未満であると、補強性が低くなり、タイヤ製造用として用いられる重合体組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが困難になるおそれがある。CTAB比表面積は、好ましくは80m/g以下、より好ましくは60m/g以下、更に好ましくは50m/g以下である。CTAB比表面積が95m/gを超えると、シリカの分散性が悪くなり、ゴム破壊強度及び耐摩耗性を改善することが困難になるおそれがある。
第二シリカのBET比表面積は、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは30m/g以上である。BET比表面積が10m/g未満であると、補強性が低くなり、タイヤ用ゴムを得るための重合体組成物に必要な力学強度や耐摩耗性を確保することが困難になる場合がある。BET比表面積は、好ましくは85m/g以下、より好ましくは60m/g以下、更に好ましくは50m/g以下である。BET比表面積が100m/gを超えると、シリカの分散性が悪くなり、ゴム破壊強度及び耐摩耗性を改善することが困難になるおそれがある。
第二シリカの平均一次粒子径は、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、更に好ましくは30nm以上、特に好ましくは35nm以上、最も好ましくは55nm以上である。また、平均一次粒子径は、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。このような平均一次粒子径を有することにより、ゴム破壊強度及び耐摩耗性を改善することができる。
[C]カーボンブラック
本開示の重合体組成物は、重合体組成物の破壊特性、耐摩耗性の観点から、[C]カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックとしては特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、特に限定されないが、本発明の効果等により優れるという理由から、50~200m/gが好ましく、70~150m/gがより好ましい。窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、カーボンブラックの配合量は、変性共役ジエン系重合体(P)100質量部に対して、1~150質量部の範囲が好ましく、5~120質量部の範囲がより好ましい。
[D]他の補強剤
本開示の重合体組成物は、上述の[B]シリカ及び[C]カーボンブラックの他に、無機フィラーとして他の補強剤を含んでもよい。かかる他の補強剤としては、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(CaSiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように、電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
本開示の重合体組成物において、[B]シリカと[C]カーボンブラックを含む無機フィラーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。また、[B]シリカと[C]カーボンブラックを含む無機フィラーの配合量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下である。重合体組成物中の補強剤の配合量が上記範囲内であると、本開示の重合体組成物をタイヤのトレッド製造用とした場合に、タイヤの低転がり抵抗性と、湿潤路面での制動性能と、乾燥路面でのハンドリング性能と、耐摩耗性とを高度に両立することができる。
[E]他のゴム成分
本開示の重合体組成物は、変性共役ジエン系重合体(P)以外のゴム成分(「他のゴム成分」ともいう)を更に含有していてもよい。他のゴム成分としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、乳化重合スチレン-ブタジエンゴム、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びエチレン-プロピレンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のジエン系ゴムを好ましく使用できる。他のゴム成分はこれらの中でも、天然ゴム、ブタジエンゴム、乳化重合スチレン-ブタジエンゴム及び溶液重合スチレン-ブタジエンゴムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。他のゴム成分を変性共役ジエン系重合体(P)と混合するときには、通常行われているバンバリーミキサー、ロール等の混練時に混合してもよいし、重合後の溶液状態のままで予め混合、乾燥したものを使用してもよい。
変性共役ジエン系重合体(P)と他のゴム成分との割合は、ゴム成分(変性共役ジエン系重合体(P)と他のゴム成分との合計量)100質量部に対して、変性共役ジエン系重合体(P)が10~95質量部、他のゴム成分が5~90質量部であることが好ましく、変性共役ジエン系重合体(P)が50~95質量部、他のゴム成分が5~50質量部であることがより好ましい。特に、変性共役ジエン系重合体(P)が60~90質量部であり、他のゴム成分が10~40質量部である場合、タイヤ製造用として用いられる重合体組成物として好適である。
本開示では、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能及び耐ブローアウト性を更に向上させる観点から、他のゴム成分の一部又は全部に液状ゴムを使用することもできる。液状ゴムとしては、液状ポリイソプレン(液状IR)、液状ポリブタジエン(液状BR)、液状スチレン-ブタジエン共重合体(液状SBR)及び液状エチレン-プロピレン共重合体(液状EP)等が挙げられる。例えば液状SBRは、重量平均分子量が1,000~100,000、好ましくは2,000~80,000のものを使用することができる。なお、液状ゴムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により分析されるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。液状ゴムは、23℃で流動性を有するものを指す。
[F]熱可塑性/熱硬化性樹脂
本開示の重合体組成物は、熱可塑性/熱硬化性樹脂(以下、単に「[F]樹脂」ともいう)を含有してもよい。[F]樹脂としては、強度、耐摩耗性及び耐亀裂成長性の各種特性により優れた架橋ゴムを得る観点から、スチレン系樹脂、ポリエチレン、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、テルペン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ここで、スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を用いて得られる重合体であり、中でも、スチレン系単量体に由来する構造単位を、スチレン系樹脂が有する単量体単位の全量に対して20質量%以上有する重合体であることが好ましい。スチレン系単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、これらのうち、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方であることが好ましい。
スチレン系樹脂は、1種のスチレン系単量体を重合した単独重合体でもよいし、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体でもよい。また、スチレン系樹脂は、スチレン系単量体と、スチレン系単量体と共重合し得る他の単量体とを用いて得られる共重合体でもよい。他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル類;クロロプレン、ブタジエン、イソプレン等のジエン類;1-ブテン、1-ペンテン等のオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物、等が挙げられる。
スチレン系樹脂の軟化点は、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。軟化点が30℃以上であると、重合体組成物を用いて得られる架橋体において耐亀裂成長性の改善効果が得られやすい傾向がある。また、スチレン系樹脂の軟化点は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。軟化点が160℃以下であると、樹脂の分散性が良好となり、耐亀裂成長性、耐摩耗性及び破断強度が改善されやすい傾向がある。なお、本明細書においてスチレン系樹脂の軟化点は、JIS K 6220-1:2015に規定される方法に従い、環球式軟化点測定装置を用いて測定した値であり、試料が軟化して試料に載せた球が底板上に降下したときの温度である。
スチレン系樹脂としては、ソフトセグメントとしての共役ジエン系重合体ブロックと、ハードセグメントとしてのポリスチレン系ブロックとを有するブロックポリマー(熱可塑性エラストマー)を用いることもできる。こうしたブロックポリマーを用いた場合、耐亀裂成長性の改善効果をより高くでき好ましい。なお、上記ブロックポリマーが有する共役ジエン系重合体ブロックは、共役ジエン化合物に由来する構造単位中の炭素-炭素二重結合のうちの一部が水素添加されていてもよい。
上記共役ジエン系重合体ブロックを構成する共役ジエン化合物としては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。当該共役ジエン化合物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン及びイソプレンの少なくともいずれかであることが好ましい。ブロックポリマー中における共役ジエンユニットの割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。また、共役ジエンユニットの割合は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
上記ブロックポリマーにおけるポリスチレン系ブロックの含有割合は、破断強度をより高くできる点で、20質量%以上であることが好ましい。また、ポリスチレン系ブロックの含有割合は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。なお、ブロックポリマー中におけるポリスチレン系ブロック、共役ジエン系重合体ブロック及び共役ジエンユニットの各含有割合は、H-NMRスペクトルの積分比により算出することができる。
上記ブロックポリマーの具体例としては、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、スチレン-ブタジエンブロック共重合体又はスチレン-イソプレンブロック共重合体が有する共役ジエン系重合体ブロックの一部を水素添加したブロック共重合体等が挙げられる。より詳細には、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SBBS)、及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーのエポキシ化物、並びにこれらコポリマーの水添物等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、架橋点を十分に持つことから、これらの中でも、ソフトセグメントが水素添加されていない共役ジエン系重合体ブロックを有するSBS若しくはSIS、又はスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーのエポキシ化物を好ましく用いることができる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。C5系樹脂は、C5留分をフリーデルクラフツ型触媒(AlClやBF等)を用いて重合して得られる固体重合体(C5系合成石油樹脂)である。C5系樹脂の具体例としては、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1-ペンテン等を主成分とする共重合体、2-ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3-ペンタジエンを主成分とする重合体等が挙げられる。
C9系樹脂は、C9留分をフリーデルクラフツ型触媒(AlClやBF等)を用いて重合して得られる固体重合体(C9系合成石油樹脂)である。C9系樹脂の具体例としては、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。C5/C9系樹脂は、C5~C9留分をフリーデルクラフツ型触媒(AlClやBF等)を用いて重合して得られる固体重合体(C5/C9系合成石油樹脂)である。C5/C9系樹脂の具体例としては、例えばビニルトルエン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。C5/C9系樹脂は、C9以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。具体的には、C5/C9系樹脂は、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
ジシクロペンタジエン系樹脂とは、C5留分中のジシクロペンタジエンを主原料として用いた石油樹脂である。ジシクロペンタジエン系樹脂の具体例としては、丸善石油化学(株)の商品名「マルカレッツM」シリーズ(M-890A、M-845A、M-990A等)が挙げられる。アルキルフェノール系樹脂としては、例えば、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂等のアルキルフェノール-アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
テルペン系樹脂は、マツ属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレピン油、あるいは、これから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β-ピネン樹脂、α-ピネン樹脂等が挙げられる。該テルペン系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製の商品名「YSレジン」シリーズ(PX-1250、TR-105等)、ハーキュリーズ社製の商品名「ピコライト」シリーズ(A115、S115等)等が挙げられる。
テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン-フェノール樹脂を挙げることができる。このテルペン-フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、あるいは更にホルマリンで縮合したりする方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α-ピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素が好ましく、α-ピネンを含むものがより好ましく、特にα-ピネンであることが好ましい。本開示においては、フェノール成分の比率の少ないテルペン-フェノール樹脂が好適である。ここで、「フェノール成分の比率が少ない」とは、樹脂全量中のフェノール成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを指すものとする。なお、[F]樹脂としてテルペン-芳香族化合物系樹脂、特にテルペン-フェノール樹脂を用いれば、更にハンドリング性能を向上させることもできる。上記テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「タマノル803L」、「タマノル901」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「YSポリスター(登録商標)」シリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられる。
[F]樹脂の配合量は、重合体組成物に含まれるゴム成分100質量部に対して、1質量部以上とすることが好ましい。[F]樹脂を1質量部以上配合することにより、当該重合体組成物を用いて得られる架橋体において、[F]樹脂の添加による耐摩耗性、破断強度及び耐亀裂成長性の改善効果を十分に高くでき好適である。[F]樹脂の配合量は、より好ましくは、ゴム成分100質量部に対して3質量部以上であり、更に好ましくは7質量部以上である。また、[F]樹脂の配合量は、重合体組成物の各種性能が良好に維持されるようにする観点から、重合体組成物に含まれるゴム成分100質量部に対し、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは25質量部以下である。[F]樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[G]シランカップリング剤
本開示では、シランカップリング剤を配合してシリカの分散性を更に高めることができる。シランカップリング剤は特に制限されないが、含硫黄シランカップリング剤が好ましい。含硫黄シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量に対し1~20質量部が好ましい。シランカップリング剤の配合量が1質量部未満であると、配合量が少な過ぎてシリカの分散性の改善効果を十分に得ることができないことがある。一方、シランカップリング剤の配合量が20質量部を超えると、加工性及び破断伸びが低下する場合がある。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して5~15質量部であることがより好ましい。
[H]架橋剤
本開示の重合体組成物は架橋剤を含有してもよい。本開示の重合体組成物が架橋剤を含有することで、強度及び耐摩耗性が更に向上された架橋体を得ることができる。架橋剤としては、イオウ、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂等が挙げられ、通常、イオウが使用される。架橋剤の配合量は、重合体組成物に含まれるゴム成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.5~3質量部である。
重合体組成物には、油展のためのオイルとして、エラストマーを油展するために一般的に用いられるプロセスオイルが配合されてもよい。プロセスオイルは、例えば、ゴム配合中にオイルを直接添加することによって重合体組成物に配合される。好ましいプロセスオイルとしては、当業界で公知の様々なオイルが挙げられ、例えば、芳香族系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、植物油、並びに、多環式芳香族化合物の含量の低いオイル(低PCAオイル)、例えば軽度抽出溶媒和物(MES: mild extraction solvate)、留出油からの芳香族系抽出物を処理した油(TDAE: treated distillate aromatic extract)、残油からの芳香族系特殊抽出物(SRAE: special residual aromatic extract)、及び重ナフテン系オイルなどが挙げられる。市販のMES、TDAE及びSRAEの例としては、MESとしてShell製のCatenex SNR(留出油を溶媒で脱ワックスした重質パラフィン)、TDAEとしてH&R Wasag AG製のVivatec 500、及びSRAEとしてJapan Energy Corp.製のNC140などが挙げられる。プロセスオイルの配合量は、重合体組成物に含まれるゴム成分の合計量100質量部に対して、好ましくは10~100質量部である。
重合体組成物には、上記した成分の他に、例えば老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、加硫促進剤、シランカップリング剤、相溶化剤、加硫助剤、加工助剤、スコーチ防止剤など、タイヤ用ゴムを製造するための重合体組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各種成分に応じて適宜選択することができる。
本開示の重合体組成物は、重合体成分の他、必要に応じて配合される成分を、開放式混練機(例えば、ロール)、密閉式混練機(例えば、バンバリーミキサー)等の混練機を用いて混練し、成形加工後に架橋(加硫)することによって、架橋体として各種ゴム製品に適用可能である。具体的には、本開示の架橋体は、例えばタイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ用途;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O-リング等のシール材;自動車、船舶、航空機、鉄道等の各種車両用の内外装表皮材;建築材料;産業機械用や設備用などの防振ゴム類;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース及びホースカバー類;動力伝達用ベルトなどのベルト類;ライニング;ダストブーツ;医療用機器材料;防舷材;電線用絶縁材料;その他の工業品等の用途に適用できる。
本開示の変性共役ジエン系重合体によれば、低ヒステリシスロス性能、強度及び耐摩耗性といった、タイヤ用途において求められる物性が良好な架橋体を得ることができる。したがって、本開示の変性共役ジエン系重合体を含む重合体組成物は、特にタイヤのトレッド、サイドウォール又はその両方の材料として好適である。
タイヤの製造は、常法に従い行うことができる。例えば、重合体組成物を混練機で混合し、シート状にしたものを、常法に従い所定位置(例えば、サイドウォールの場合にはカーカスの外側)に配して加硫成形することにより、トレッドゴム又はサイドウォールゴムとして形成され、空気入りタイヤが得られる。
以上詳述した本開示によれば、以下の手段が提供される。
〔手段1〕 上記式(1)で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体(A)と、上記式(2)で表される化合物とを反応させる工程を含む、変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段2〕 上記式(1)中の酸素原子は、前記共役ジエン系重合体(A)が有する炭素原子に結合している、〔手段1〕の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段3〕 前記変性共役ジエン系重合体(A)は、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物に由来する構造単位を含む、〔手段1〕又は〔手段2〕の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段4〕 上記式(1)で表される部分構造を有する化合物は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、〔手段3〕の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段5〕 前記共役ジエン系重合体(A)は、上記式(1-1)で表される化合物及び上記式(1-2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種に由来する部分構造を有する、〔手段1〕~〔手段4〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段6〕 アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物を含む単量体を重合することにより前記共役ジエン系重合体(A)を得る工程を更に含む、〔手段1〕~〔手段5〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段7〕 アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で単量体を重合することにより活性末端を有する重合体を得て、得られた活性末端を有する重合体と、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物とを反応させることにより前記共役ジエン系重合体(A)を得る工程を更に含む、〔手段1〕~〔手段5〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段8〕 前記共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とを有する、〔手段1〕~〔手段7〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔手段9〕 上記式(3)で表される部分構造を有する、変性共役ジエン系重合体。
〔手段10〕 上記式(3)中の酸素原子は、重合体が有する炭素原子に結合している、〔手段9〕の変性共役ジエン系重合体。
〔手段11〕 ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50,000~2,500,000である、〔手段9〕又は〔手段10〕の変性共役ジエン系重合体。
〔手段12〕 ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mw)が4.5以下である、〔手段9〕~〔手段11〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体。
〔手段13〕 共役ジエン化合物に由来する構造単位の全量のうち、ビニル結合を有する構造単位の割合が15~75モル%である、〔手段9〕~〔手段12〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体。
〔手段14〕 〔手段9〕~〔手段13〕のいずれかの変性共役ジエン系重合体と、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラーと、を含有する、重合体組成物。
〔手段15〕 〔手段14〕の重合体組成物が架橋された架橋体。
〔手段16〕 〔手段14〕の重合体組成物を用いて、トレッド、サイドウォール又はその両方が形成されたタイヤ。
以下、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。重合体の各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重合体の特性評価]
・結合スチレン含量(質量%):400MHzのH-NMRによって測定した。
・ビニル含量(モル%):400MHzのH-NMRによって測定した。
・結合Siモノマー含量(質量%):400MHzのH-NMR測定によって、シリル基に結合したヒドロカルビル基由来のプロトンの積分値から重合体一本鎖当たりのシリル基含有化合物(SM)の結合量を算出し、その算出した結合量を重合体のGPC測定によって求めた重量平均分子量における百分率として算出した。
・トータル重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn):ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、ポリスチレン換算の分子量に基づくチャート(GPC曲線)を得て、そのチャートに基づいて求めた。GPCの具体的な測定条件は以下のとおりである。
(GPC測定条件)
測定器:HLC-8020(東ソー社製)
カラム:GMH-HR-H(東ソー社製)2本を直列に連結した
検出器:示差屈折計RI-8020(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
サンプル濃度:10mg/20ml
・1stピーク重量平均分子量:Mw測定の際に得られたGPC曲線において、分子量が最も小さいピークについてポリスチレン換算の重量平均分子量を求め、これを1stピーク重量平均分子量とした。
・末端変性率:400MHzのH-NMR測定によって測定した。
・硫黄含量:蛍光X線分析装置(XRF;リガク社製 ZSX Primus IV)によって測定した。
・変換率(%):SuFEx反応前の重合体におけるシリル基含有化合物(SM)に由来する構造のうち、SuFEx反応によってフッ化スルホニル化合物(SF)に由来する官能基に変換された割合を変換率(%)とし、以下の(i)及び(ii)を用いて変換率(%)を算出した。
(i)SuFEx反応前の重合体におけるシリル基含有化合物(SM)の結合量。なお、シリル基含有化合物(SM)の結合量は、400MHzのH-NMR測定によって算出した。
(ii)SuFEx反応後の重合体におけるフッ化スルホニル化合物(SF)に由来する官能基の結合量。なお、フッ化スルホニル化合物(SF)に由来する官能基の結合量は、SuFEx反応後の重合体をサンプルとする400MHzのH-NMR測定によって検出された、スルホニル基を構成する硫黄原子に結合したヒドロカルビル基のプロトン由来の積分値を用いて算出した。
<(変性)共役ジエン系重合体の製造及び物性>
[製造例1]
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン1800g、ビニル含量調整剤(ランダマイザー)として2,2-ジ(テトラヒドロフルフリル)プロパン4.1mL、モノマーとしてスチレン80g及び1,3-ブタジエン300gを仕込んだ。反応器の内容物の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn-ブチルリチウム2.154mmolを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した後に(重合開始から25分経過後に)、1,3-ブタジエン20gを1分間かけて追加し(追添ブタジエン)、その後、重合停止剤としてメタノール0.5mLを添加し、20分間撹拌した。得られた重合体溶液に、老化防止剤として2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを4.40g添加した後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことにより、未変性の共役ジエン系重合体A-1(以下、単に「重合体A-1」ともいう)を得た。得られた重合体A-1の各種物性値等を表1に示す。
なお、以下の製造例により得られた(変性)共役ジエン系重合体についても同様に、(変性)共役ジエン系重合体X(X:重合体名を表す記号)を単に「重合体X」とも表記する。以下の製造例では、フッ化スルホニル化合物以外の化合物により変性を行ったものについては単に「共役ジエン系重合体」と表記する。表1中、結合スチレン含量は、スチレン(すなわち芳香族ビニル化合物(M2))に由来する構造単位の割合を表し、ビニル含量は、1,3-ブタジエン(すなわち共役ジエン化合物(M1))に由来する構造単位のうちビニル基を有する構造単位の割合を表す。
[製造例2]
重合停止剤のメタノールの代わりに、3-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(化合物Si-1)を1.723mmol添加した以外は製造例1と同様にして、共役ジエン系重合体A-2を得た。得られた重合体A-2の各種物性値等を表1に示す。
[製造例3、5、6、8、13]
使用する化合物の種類及び量を表1のとおりとした以外は、製造例1と同様にして共役ジエン系重合体(A-3、A-5、A-6、A-8、A-13)をそれぞれ得た。なお、製造例3、5、6、8、13では、モノマーとしてシリル基含有化合物(SM-1、SM-2)を使用した。また、製造例6では、モノマーとしてスチレンを使用しなかった。得られた重合体A-3、重合体A-5、重合体A-6、重合体A-8及び重合体A-13の各種物性値等を表1に示す。
[製造例4]
使用する化合物の種類及び量を表1のとおりとした以外は、製造例2と同様にして、共役ジエン系重合体A-4を得た。得られた重合体A-4の各種物性値等を表1に示す。
[製造例7]
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン1800g、ビニル含量調整剤(ランダマイザー)として2,2-ジ(テトラヒドロフルフリル)プロパン4.1ml、モノマーとしてスチレン80g及び1,3-ブタジエン300gを仕込んだ。反応器の内容物の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn-ブチルリチウム2.154mmolを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した後に(重合開始から25分経過後に)、1,3-ブタジエン20gを1分間かけて添加し、次いで3-トリエチルシロキシスチレン(化合物SM-1)40gを1分間かけて追加で添加した。その後、重合停止剤としてメタノール0.5mLを添加し、20分間撹拌した。得られた重合体溶液に、老化防止剤として2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを4.40g添加した後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことにより共役ジエン系重合体A-7を得た。得られた重合体A-7の各種物性値等を表1に示す。
[製造例9]
重合停止剤のメタノールの代わりに、1,1-ビス(3-トリエチルシロキシフェニル)エチレン(化合物SM-3)2.154mmolを添加した以外は製造例1と同様にして、共役ジエン系重合体A-9を得た。得られた重合体A-9の各種物性値等を表1に示す。
[製造例10]
使用する化合物の種類及び量を表1のとおりとした以外は製造例9と同様にして、共役ジエン系重合体A-10を得た。得られた重合体A-10の各種物性値等を表1に示す。
Figure 2024062294000011
表1中、シリル基含有化合物、停止末端変性剤の略称は以下のとおりである。
SM-1:3-トリエチルシロキシスチレン
SM-2:3,4-ビス(トリエチルシロキシ)スチレン
SM-3:1,1-ビス(3-トリエチルシロキシフェニル)エチレン
SM-4:3-(トリメチルシロキシ)-1,3-ブタジエン
Si-1:3-[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピルジエトキシメチルシラン
Figure 2024062294000012
[製造例11]
窒素置換された内容積16リットルのオートクレーブ反応器(1基目の反応器)に、モノマーとして1,3-ブタジエンを25.0g/分、スチレンを10.53g/分、及び3-トリエチルシロキシスチレン(化合物SM-1)を7.90g/分、溶媒としてシクロヘキサンを237.1g/分、ビニル含量調整剤(ランダマイザー)としてテトラヒドロフランを3.0g/分、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを18.67mg/分の速度で連続的にチャージし、反応器内の温度を75℃でコントロールした。
1基目の反応器から重合体溶液を279.2g/分の速度で連続的に抜き出し、抜き出した重合体溶液に、1,3-ブタジエンを23.72mg/分の速度で添加し、2基目の反応器に連続的に導入し反応を行った。2基目の反応器の出口にて、ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを、重合生成物(固形分)100質量部に対して0.88質量部添加した。次いで、伸展油を37.5質量部添加後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、共役ジエン系重合体A-11を得た。得られた重合体A-11の各種物性値等を表2に示す。
[製造例12]
窒素置換された内容積5Lのリアクターに、水1.9L、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム63g、塩化カリウム0.45g、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(キレート剤)0.45g、及びナトリウムハイドロサルファイト0.45gを添加した。続いて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.56g、硫酸第一鉄0.23g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホオキシレート0.90gを含んだ水を34mL、tert-ドデシルメルカプタン3.2g、1,3-ブタジエン633g、スチレン174g、及び3-トリエチルシロキシスチレン(化合物SM-1)131gを仕込んだ。330rpmにて撹拌を行い、反応器内容物の温度を10℃に調整後、ピナンヒドロペルオキシド1.3gを添加して重合を開始した。重合は温度コントロール条件(10℃)で実施した。重合転化率が70%に達した後に、6.2%N,N-ジエチルヒドロキシルアミン水溶液を87mL添加し、重合反応を停止させた。
次いで、50℃の温水5Lに塩化カルシウム95gを加えて溶解させて水溶液を調製し、更に上記重合で得られたラテックスに老化防止剤としてジ-tert-ブチル-p-クレゾール11gを加えたものを水溶液に投入することで、ゴム成分を凝固させた。その後、50℃、50℃、20℃の順に水洗を行い、130℃に調温した6インチロールにより乾燥を行い、共役ジエン系重合体A-12を得た。得られた重合体A-12の各種物性値等を表2に示す。
Figure 2024062294000013
(SuFEx反応を用いた変性共役ジエン系重合体の製造及び物性)
[実施例1]
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器中で、重合体A-3の30gをジクロロメタン600mLに溶解させた。この溶液に、p-トルエンスルホニルフルオリド(化合物S-1)を7.2mmol、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)を3.0mmol添加し、5時間撹拌した。その後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことにより変性共役ジエン系重合体B-1(以下、単に「重合体B-1」ともいう。以下の実施例及び比較例についても同じ。)を得た。得られた重合体B-1の各種物性値等を表3に示す。
[実施例2~実施例9]
使用する共役ジエン系重合体、フッ化スルホニル化合物及び塩基の種類及び量を表3のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体B-2~変性共役ジエン系重合体B-8、変性共役ジエン系重合体C-1を得た。得られた重合体B-2~重合体B-8、重合体C-1の各種物性値等を表3に示す。なお、硫黄含量について実施例8では、化合物S-2に由来する導入量(0.38%)と化合物S-4に由来する導入量(0.50%)との合計量(0.88%)を表3に示した。実施例8の変換率については、化合物S-2に由来する構造の変換率(31%)と化合物S-4に由来する構造の変換率(41%)とをそれぞれ表3に示した。
Figure 2024062294000014
[実施例10~実施例17]
使用する共役ジエン系重合体、フッ化スルホニル化合物及び塩基の種類及び量を表4のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体D-1~変性共役ジエン系重合体K-1を得た。得られた重合体D-1~重合体K-1の各種物性値等を表4に示す。
Figure 2024062294000015
[実施例18~実施例22]
使用する共役ジエン系重合体、フッ化スルホニル化合物及び塩基の種類及び量を表5のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体L-1~変性共役ジエン系重合体L-5を得た。得られた重合体L-1~重合体L-5の各種物性値等を表5に示す。
Figure 2024062294000016
表3~表5中、フッ化スルホニル化合物の略称は以下のとおりである。
S-1:p-トルエンスルホニルフルオリド
S-2:4-(フルオロスルホニル)安息香酸
S-3:4-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド
S-4:3-アミノ-4-メトキシベンゼンスルホニルフルオリド
S-5:ピリジン-2-スルホニルフルオリド
S-6:ピリミジン-2-スルホニルフルオリド
S-7:3-(フルオロスルホニル)安息香酸
S-8:3-ニトロベンゼンスルホニルフルオリド
Figure 2024062294000017
<重合体組成物及び架橋体の製造並びに評価>
[比較例1~3、実施例23~30]
上記で製造した重合体A-1~重合体A-3及び重合体B-1~重合体B-8をそれぞれ用いて、表6に示す配合処方により各成分を配合し、これを混練りすることによって重合体組成物を製造した。混練りは以下の方法で行った。温度制御装置を付属したプラストミル(内容量:250mL)を使用し、まず1段目の混練りとして、充填率72%、回転数60rpmの条件で、重合体(A-1~A-3、B-1~B-8)、シリカ、シランカップリング剤、伸展油、ステアリン酸、酸化亜鉛及び老化防止剤を配合して混練りした。次いで、2段目の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、加硫促進剤及び硫黄を配合し、混練りした。得られた重合体組成物を成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫して、架橋体(加硫ゴム)を得た。また、以下のようにして耐摩耗性を評価した。結果を表6に示す。
・耐摩耗性(DIN摩耗試験):架橋ゴムを測定用試料とし、DIN摩耗試験機(東洋精機社製)を使用して、JIS K 6264-2:2005に準拠し、荷重10Nで25℃にて測定した。比較例1を100とした指数で示し、数値が大きいほど耐摩耗性が良好であることを表す。
Figure 2024062294000018
[比較例4~12、実施例31~39]
上記で製造した重合体A-4~A-12及び重合体C-1~K-1をそれぞれ用いて、表7、表8に示す配合処方により各成分を配合し、これを混練りすることによって重合体組成物を製造した。混練りは、比較例1~3、実施例23~30と同様の方法で行った。また、得られた重合体組成物を用いて、比較例1~3、実施例23~30と同様の方法により架橋体(加硫ゴム)を製造し、耐摩耗性を評価した。なお、実施例31~実施例39の評価結果についてはそれぞれ、比較例4~比較例12の結果を100とした指数で表した。数値が大きいほど耐摩耗性が良好であることを表す。結果を表7、表8に示す。
Figure 2024062294000019
Figure 2024062294000020
[比較例13、実施例40~42]
上記で製造した重合体A-13、L-1~L-3をそれぞれ用いて、表9に示す配合処方により各成分を配合し、これを混練りすることによって重合体組成物を製造した。混練りは以下の方法で行った。温度制御装置を付属したプラストミル(内容量:250mL)を使用し、まず1段目の混練りとして、充填率72%、回転数60rpmの条件で、重合体(A-13、L-1~L-3)、シリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、伸展油、ステアリン酸、酸化亜鉛及び老化防止剤を配合して混練りした。次いで、2段目の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、加硫促進剤及び硫黄を配合し、混練りした。得られた重合体組成物を成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫して、架橋体(加硫ゴム)を得た。また、得られた重合体組成物を用いて、以下のようにして強度及びフィラー分散性を評価するとともに、比較例1~3、実施例23~30と同様の方法により架橋体(加硫ゴム)を製造し、耐摩耗性を評価した。なお、耐摩耗性の評価は比較例13を100とした指数で表した。結果を表9に示す。
・引張強度(M300):加硫ゴムを測定用試料とし、JIS K6251:2010に従って300%モジュラス(M300)を測定した。測定結果については、比較例13を100とした指数で示した。数値が大きいほど引張強度が高く、良好であることを示す。
・フィラー分散性(Δtanδ):加硫ゴムを測定用試料とし、ARES粘弾性試験装置(TAインスツルメント社製)を使用し、角速100ラジアン毎秒、50℃の条件にて、せん断動歪0.1%における弾性率とせん断動歪10.0%における弾性率を測定し、その差の絶対値をΔtanδとして算出した。比較例13を100とした指数で示し、数値が大きいほどフィラー分散性が良好であることを示す。
Figure 2024062294000021
[比較例15、比較例16、実施例43、実施例44]
SL563((株)ENEOSマテリアル社製、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム)、上記で製造した重合体A-13、重合体L-4、又は重合体L-5をそれぞれ用いて、表10に示す配合処方により各成分を配合し、これを混練りすることによって重合体組成物を製造した。混練りは以下の方法で行った。温度制御装置を付属したプラストミル(内容量:250mL)を使用し、まず1段目の混練りとして、充填率72%、回転数60rpmの条件で、重合体(SL563、A-13、L-4、L-5)、カーボンブラック、伸展油、ステアリン酸、酸化亜鉛、及び老化防止剤を配合して混練りした。次いで、2段目の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、加硫促進剤及び硫黄を配合し、混練りした。得られた重合体組成物を成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫して、架橋体(加硫ゴム)を得た。また、以下のようにしてムーニー粘度を評価するとともに、比較例13、実施例40~42と同様の方法によりフィラー分散性を評価した。なお、各例のフィラー分散性の評価は比較例15を100とした指数で表した。結果を表10に示す。
・ムーニー粘度(MV):加硫前の混練物を測定用試料とし、JIS K6300-1:2013に準拠し、ムーニー試験機(アルファテクノロジー社製)を用い、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。比較例15を100とした指数で示し、数値が小さいほど、重合体組成物の加工性が良好であることを示す。
Figure 2024062294000022
表6~8から明らかなように、スルホニル基を導入した共役ジエン系重合体を用いて製造した加硫ゴム(実施例23~実施例39)では、スルホニル基を有しない共役ジエン系重合体を用いて製造した加硫ゴム(比較例1~12)と比較して、良好な耐摩耗性を示すことがわかった。また、表9の結果から、スルホニル基を導入した共役ジエン系重合体を用いて製造した加硫ゴム(実施例40~実施例42)では、スルホニル基を有しない共役ジエン系重合体を用いて製造した架橋ゴム(比較例13)と比較して、耐摩耗性だけでなく、引張強度及びフィラー分散性に優れることが分かった。さらに、表10に示すように、スルホニル基を導入した共役ジエン系重合体を用いて製造した重合体組成物(実施例43、実施例44)では、既存の溶液重合スチレン-ブタジエンゴムを用いて製造した重合体組成物(比較例15)と比較して良好な加工性を示し、また得られた加硫ゴムはフィラー分散性も良好であった。
以上の結果から、スルホニル基を導入した共役ジエン系重合体を用いることにより、耐摩耗性、引張強度及びフィラー分散性に優れた加硫ゴムを得ることができることが明らかとなった。また、スルホニル基を導入した共役ジエン系重合体を含む重合体組成物は加工性も良好であった。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表される部分構造を有する共役ジエン系重合体(A)と、下記式(2)で表される化合物とを反応させる工程を含む、変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    Figure 2024062294000023
    (式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立してヒドロカルビル基である。「*」は結合手を表す。)
    Figure 2024062294000024
    (式(2)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。)
  2. 上記式(1)中の酸素原子は、前記共役ジエン系重合体(A)が有する炭素原子に結合している、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  3. 前記変性共役ジエン系重合体(A)は、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物に由来する構造単位を含む、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  4. 上記式(1)で表される部分構造を有する化合物は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  5. 前記共役ジエン系重合体(A)は、下記式(1-1)で表される化合物及び下記式(1-2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種に由来する部分構造を有する、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    Figure 2024062294000025
    (式(1-1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基である。Aは(m+1)価の芳香環基である。Xは上記式(1)で表される基である。mは1以上の整数である。nは1又は2である。)
    Figure 2024062294000026
    (式(1-2)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のヒドロカルビル基、「-A-(X」で表される1価の基である。Aは、単結合又は炭素数1~12の(k+1)価の鎖状炭化水素基である。Xは上記式(1)で表される基である。kは1以上の整数である。ただし、R、R及びRのうち1個以上は「-A-(X」で表される1価の基である。)
  6. アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物を含む単量体を重合することにより前記共役ジエン系重合体(A)を得る工程を更に含む、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  7. アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を有する金属化合物の存在下で単量体を重合することにより活性末端を有する重合体を得て、得られた活性末端を有する重合体と、上記式(1)で表される部分構造を有する化合物とを反応させることにより前記共役ジエン系重合体(A)を得る工程を更に含む、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  8. 前記共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位とを有する、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  9. 下記式(3)で表される部分構造を有する、変性共役ジエン系重合体。
    Figure 2024062294000027
    (式(3)中、Rは、フルオロ基、ヒドロカルビル基、又は、窒素、酸素、硫黄及びリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する1価の基である。「*」は結合手を表す。)
  10. 上記式(3)中の酸素原子は、重合体が有する炭素原子に結合している、請求項9に記載の変性共役ジエン系重合体。
  11. ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50,000~2,500,000である、請求項9に記載の変性共役ジエン系重合体。
  12. ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mw)が4.5以下である、請求項9に記載の変性共役ジエン系重合体。
  13. 共役ジエン化合物に由来する構造単位の全量のうち、ビニル結合を有する構造単位の割合が15~75モル%である、請求項9に記載の変性共役ジエン系重合体。
  14. 請求項9~13のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体と、
    シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラーと、
    を含有する、重合体組成物。
  15. 請求項14に記載の重合体組成物が架橋された架橋体。
  16. 請求項14に記載の重合体組成物を用いて、トレッド、サイドウォール又はその両方が形成されたタイヤ。
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