JP2024062254A - 吐出容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】流路閉塞等による液剤の吐出不良が生じ難い吐出容器を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、液剤及び噴射剤が収容され、ステムラバーを備えるバルブを有する吐出容器であって、前記噴射剤はハイドロフルオロオレフィンを含有し、前記ステムラバーは前記液剤もしくは噴射剤と接触し、前記ステムラバーを、前記噴射剤に接触させた際の前記ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率が共に10%以下である、吐出容器である。【選択図】なし

Description

本発明は、吐出容器、及び該吐出容器を備える2液吐出容器に関する。
従来、ポリウレタンフォームは、自動車、鉄道車輌、船舶などの乗り物、建築物などにおいて断熱材として使用されている。ポリウレタンフォームには、別々の容器に充填されたポリオール液剤とポリイソシアネート液剤を混合してフォームを形成する2液型ポリウレタンが広く使用される。
2液型ポリウレタンは、各液を比較的簡単な構成で容器から吐出し混合させることが可能なことから、バルブを備えるエアゾール容器で使用されることがある。例えば、ポリウレタンの施工において、部分的に欠損が生じた場合には、それを補うために、エアゾール容器を用いて補修することも多い。
具体的には、一方のエアゾール容器(吐出容器)にポリイソシアネート、噴射剤、低沸点有機溶剤などが、他方のエアゾール容器(吐出容器)にポリオール、噴射剤、低沸点有機溶剤などが充填されている。そして、各吐出容器から、噴射剤や低沸点溶剤の蒸気圧により、ポリイソシアネート及びポリオールをそれぞれ吐出させ、それらを混合することで、ポリウレタンフォームを形成することができる。
エアゾール容器において、組成物(収容物)の漏洩の防止や吐出安定性の観点から、バルブを構成する各種部材についての検討が行われている。
例えば特許文献1では、組成物(収容物)に対して安定な材質からなるステムラバーを選択することで、漏洩の心配のないエアゾール製品に関する発明が開示されている。具体的には、組成物に対して収縮性を有し、かつ内径及び外径を特定の範囲としたステムラバーを備えるエアゾール製品が提案されている。
また特許文献2では、吐出容器に収容されている液体の吐出量を安定化することができる吐出容器に関する発明が開示されている。具体的には、バルブを構成する部材の吸水率及び総含水量が一定以下である吐出容器が提案されている。
特開2001-163381号公報 特開2021-113066号公報
上記のとおり、エアゾール容器は、ポリウレタンフォームの補修などに用いられ、有用なものであるが、本発明者らの検討によると、容器内の噴射剤がハイドロフルオロオレフィンを含んでいると、流路が閉塞し、液剤の吐出不良が生じやすいことが分かった。これに対して、ハイドロフルオロオレフィンを用いないことも考えられるが、ハイドロフルオロオレフィンは、上記のような流路の閉塞が生じない限りは、液剤の吐出性に優れるため、噴射剤として用いることが望まれる。
そこで本発明は、ハイドロフルオロオレフィンを含む噴射剤が収容された吐出容器において、流路閉塞等による吐出不良が生じ難い吐出容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ハイドロフルオロオレフィンを含む噴射剤が収容された吐出容器における流路閉塞の原因が、バルブが備えるステムラバーの変形に起因するものであるとの知見を得た。
このような知見に基づき、本発明者らは、液剤及びハイドロフルオロオレフィンを含む噴射剤が収容された、バルブを有する吐出容器であって、前記バルブが備えるステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率が一定以下である吐出容器によって、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供する。
[1]液剤及び噴射剤が収容され、ステムラバーを備えるバルブを有する吐出容器であって、前記噴射剤はハイドロフルオロオレフィンを含有し、前記ステムラバーは前記液剤もしくは噴射剤と接触し、前記ステムラバーを、前記噴射剤に接触させた際の前記ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率が共に10%以下である、吐出容器。
[2]前記ステムラバーがブチルゴム製である、上記[1]に記載の吐出容器。
[3]前記吐出容器に収容された液剤が有機溶剤を含有し、該有機溶剤の蒸気圧により前記液剤が吐出される、上記[1]又は[2]に記載の吐出容器。
[4]前記有機溶剤が、23℃、1気圧において気体である、上記[3]に記載の吐出容器。
[5]前記液剤が、ポリオールを含有するポリオール液剤である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の吐出容器。
[6]前記液剤が、ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート液剤である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の吐出容器。
[7]上記[5]に記載の吐出容器からなる第1の吐出容器と、上記[6]に記載の吐出容器からなる第2の吐出容器とを備える2液吐出容器。
本発明によれば、ハイドロフルオロオレフィンを含む噴射剤が収容された吐出容器において、流路閉塞等による液剤の吐出不良が生じ難い吐出容器を提供することができる。
本発明の一実施形態として示した吐出容器の全体図である。 本発明の一実施形態として示した吐出容器の部分断面図である。 本発明の一実施形態として示した吐出容器の部分断面図である。 本発明の別の実施形態として示した吐出容器の部分断面図である。 本発明の別の実施形態として示した吐出容器の部分断面図である。 本発明の混合システムの一実施形態を示す模式図である。 本発明の混合システムの別の一実施形態を示す模式図である。
以下、実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。
[吐出容器]
本発明は、液剤及び噴射剤が収容され、ステムラバーを備えるバルブを有する吐出容器であって、前記噴射剤はハイドロフルオロオレフィンを含有し、前記ステムラバーは前記液剤もしくは噴射剤と接触し、前記ステムラバーを、前記噴射剤に接触させた際の前記ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率が共に10%以下である、吐出容器である。
図1に、本発明の一実施形態として示す吐出容器の全体図を示す。なお、本発明の吐出容器は、図に示す吐出容器の具体的構造に何ら限定されるものではない。
吐出容器10は、液剤13A及び噴射剤13Bが内部に収容されているエアゾール容器である。なお、図1では噴射剤13Bは液体として、液剤13Aと共に存在しているように記載しているが、噴射剤13Bの一部は気化しており、気体として吐出容器10内に存在している。
該吐出容器10は、液剤13A及び噴射剤13Bが充填された耐圧容器12と、耐圧容器12の上部に設けられ、耐圧容器12を気密する密封部品14により形成される。
密封部品14は、耐圧容器12の上部に気密するように設けられたマウンテンカップ115と、該カップ15に保持されたバルブ11と、バルブ11から耐圧容器12の下部に伸びるディップチューブ21とを備える。さらにバルブ11の上端に、アクチュエータ22を備えている。アクチュエータ22を押下することにより、液剤を横方向に吐出することができる。
以下バルブ11を図2により説明するが、以下説明するバルブの構成は、本発明の効果を奏する限り限定されない。
図2には、吐出容器10のバルブ部分の部分断面図を示す。バルブ11は、マウンテンカップ15に保持されたハウジング16と、ハウジング16内部に設けられたステム18と、ステム18が有するステム孔18Bを塞ぐように設けられたステムラバー17と、ステム18の下部に設けられ、ステム18の上下方向の移動を可能とするスプリング19とを備えている。
バルブ11の上部に設けられたアクチュエータ22が押下操作されない非動作時においては、スプリング19によってステム18が上方に押し上げられて、ステム孔18Bの開口部分がステムラバー17により塞がれる。これにより、耐圧容器12の内部に連通するハウジング16内の空間がステム通路18Aと遮断された状態となる。この場合は、液剤13Aは、吐出容器10の外部に吐出されない。
一方、アクチュエータ22により、スプリング19に抗してステム18が押下操作された動作時は、ステムラバー17の内周面部分が下方に湾曲した状態となり、ステム孔18Bの開口部分がステムラバー17より下方に外れた位置となるために、ハウジング16内の空間と連通された状態となる(図3)。これにより、吐出容器10内部の液剤13Aが、容器内に充填されている噴射剤又は有機溶剤の蒸気圧により吐出される。
図3に示す矢印は、液剤13Aの流路を示している。液剤13Aは、バルブ11を構成するハウジング16、スプリング19、ステムラバー17、及びステム18に接触しながら外部に吐出される。
ステムラバー17は、液剤13Aの吐出時において、液剤13A及び噴射剤13Bと接触するし、液剤13Aの非吐出時、すなわち、アクチュエータ22が押下操作されない非動作時においても、気体の噴射剤13Bと接触する。
ステムラバー17は、噴射剤の接触によって、変形して、液剤の流路を塞ぎやすい傾向にあるが、後述するように、厚み膨潤率及び硬度変化率が特定範囲のステムラバーを使用することにより、変形が抑制され、流路の閉塞を防止することができる。
本発明の別の実施形態を図4に示す。図4では、図2、3においてバルブを構成する部材として示したハウジング及びスプリングは存在せず、ステムラバーとステムによりバルブが構成されている。
図4におけるバルブ31は、上下方向に移動可能なステム38とステムラバー37とを備えている。ステム38は、円盤状部材と円盤状部材の中央部から鉛直上に配置された中空筒状部材から形成されており、中空筒状部材の円盤状部材の近傍には、ステム孔38Bが形成されている。ステムラバー37は、ドーナツ状の形状であり、ステム38の円盤状部材の一面と、中空筒状部材の外周部分に接触するように配置され、ステム孔38Bを塞いでいる。
ステム38を下方に移動させることにより、塞がれていたステム孔38Bが開放されるため、吐出容器内部の液剤がステム孔38Bを通過して外部に吐出される(図5)。図5の矢印は、液剤の流路を示しており、液剤及び噴射剤はバルブ31を構成するステムラバー37、ステム38に接触しながら外部に吐出される。
ステムラバー37は、噴射剤の接触によって、変形して、液剤の流路を塞ぎやすい傾向にあるが、後述するように、厚み膨潤率及び硬度変化率が特定範囲のステムラバーを使用することにより、変形が抑制され、流路の閉塞を防止することができる。
<ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率>
本発明の吐出容器におけるステムラバーの厚み膨潤率は10%以下である。さらに、該ステムラバーの硬度変化率は10%以下である。該ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率は、噴射剤と接触させた際の値である。測定方法の詳細は後述する。
ステムラバーの厚み膨潤率が10%超であるか、又はステムラバーの硬度変化率が10%超であると、ステムラバーが変形しやすく流路閉塞が生じやすくなる。ステムラバーは、上記したように、バルブが備えるステムのステム孔を塞ぐ機能を有しており、ステムが移動することにより、ステム孔が開放され、液剤がステム孔を通過できるようになる。しかしながら、ステムラバーが変形しやすいと、ステム孔が開放され難く、液剤がステム孔を通過しにくくなると考えられる。
ステムラバーの厚み膨潤率は、吐出容器の流路閉塞を抑制する観点から、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下である。
ステムラバーの硬度変化率は、吐出容器の流路閉塞を抑制する観点から、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率は、ステムラバーの材質を適切に選択することにより、所望の範囲に調整できる。
ステムラバーの厚み膨潤率は、ステムラバーを噴射剤に45℃で2週間接触させて測定する。
厚み膨潤率(%)は、100×(B-A)/Aで算出される。Aは噴射剤に接触させる前のステムラバーの厚みであり、Bは噴射剤に45℃で2週間接触させた後のステムラバーの厚みである。
ステムラバーの硬度変化率は、ステムラバーを噴射剤に45℃で2週間接触させて測定する。
硬度変化率(%)は、|100×(D-C)/C|で算出される。Cは噴射剤に接触させる前のステムラバーの硬度であり、Dは噴射剤に45℃で2週間接触させた後のステムラバーの硬度である。なお、|100×(D-C)/C|は、100×(D-C)/Cの絶対値を意味する。硬度は、JISスプリング式硬度計で測定できる。
上記した、ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率の測定において、ステムラバーを噴射剤に接触させる際には、吐出容器であるエアゾール缶に、ステムラバー及び噴射剤を入れ、密閉下において行うとよい。
<ステムラバーの材質>
ステムラバーは、厚み膨潤率及び硬度変化率が上記した範囲となるものであれば特に制限されないが、噴射剤に含まれるハイドロフルオロオレフィンと親和性の低い材質であることが好ましい。このような観点から、ステムラバーは、炭化水素系ゴム製であることが好ましい。上記炭化水素系ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンターポリマー(EPT)などのエチレンを構成単位として含むゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらの中でも、ハイドロフルオロオレフィンに対する厚み膨潤率及び硬度変化率が低く、変形を抑制しやすいことから、ブチルゴム(IIR)が特に好ましい。すなわち、ステムラバーがブチルゴム(IIR)製であると、吐出容器の流路閉塞を抑制する効果が高く、好ましい。
なお、ステムラバーが炭化水素系ゴム製であるとは、ステムラバーが炭化水素系ゴムを含むことを意味し、ステムラバーおける炭化水素系ゴムの含有量が好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であることを意味する。
同様に、ステムラバーがブチルゴム製であるとは、ステムラバーがブチルゴムを含むことを意味し、ステムラバーおけるブチルゴムの含有量が好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であることを意味する。
バルブを構成するステムラバー以外の部材としては、上記したとおり、ハウジング、ステム、スプリングなどがあるが、これらの材質は特に限定されない。一般には、ハウジング及びステムは、それぞれ、ポリエチレン、フッ素化ポリエチレン、ポリアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリブチレンテレフタレート、アルミニウム、及び真鍮からなる群から選択される少なくとも1種から形成されることが好ましい。また、スプリングは、SUSなどの金属系材料から形成されることが好ましい。
<噴射剤>
本発明の吐出容器には、噴射剤が収容される。噴射剤を用いることで、その蒸気圧により、吐出容器内の液剤を吐出しやすくすることができる。また、液剤を吐出する際に気化することで、後述するポリオール液剤、ポリイソシアネート液剤、あるいはポリウレタン組成物を発泡させることができる。なお、本発明における噴射剤は、後述する有機溶剤以外の物質である。
本発明の噴射剤は、ハイドロフルオロオレフィンを含有する。噴射剤としてハイドロフルオロオレフィンを用いると、液剤の吐出性が向上する。一方で、ハイドロフルオロオレフィンを用いると、ステムラバーが変形し易くなる傾向になるが、本発明の厚み膨潤率及び硬度変化率が特定範囲のステムラバーを用いることで、噴射剤としてハイドロフルオロオレフィンを用いたとしても、ステムラバーの変形が抑制され、流路の閉塞を防止することができる。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6であるフルオロアルケン等を挙げることができる。また、ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよく、したがって、炭素数が3~6であるクロロフルオロアルケン等であってもよい。ハイドロフルオロオレフィンは、炭素数が3又は4のものが好ましく、炭素数3のものがさらに好ましい。
本発明においては、ハイドロフルオロオレフィンの中でも沸点が40℃未満のハイドロフルオロオレフィンを使用するとよい。吐出力の向上の観点から、ハイドロフルオロオレフィンの沸点は20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。なお、沸点は1気圧における沸点を意味する。
好適に使用されるハイドロフルオロオレフィンとしては、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)などが挙げられる。中でも、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)が好ましい。
噴射剤として、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)を用いると、液剤の吐出性がより向上する。また、HFO-1234zeを用いると、ステムラバーがより変形し易くなる傾向になるが、本発明の厚み膨潤率及び硬度変化率が特定範囲のステムラバーを用いることで、噴射剤としてHFO-1234zeを用いたとしても、ステムラバーの変形が抑制され、流路の閉塞を防止することができる。
これらのハイドロフルオロオレフィンは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
噴射剤におけるハイドロフルオロオレフィンの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
吐出容器に収容された噴射剤の量は、液剤100質量部に対して、例えば2~200質量部であり、好ましくは5~100質量部であり、さらに好ましくは10~50質量部である。
液剤がポリオールを含有する場合、噴射剤の量は、ポリオール100質量部に対して、例えば2~200質量部であり、好ましくは5~100質量部であり、さらに好ましくは10~50質量部である。
液剤がポリイソシアネートを含有する場合、噴射剤の量は、ポリイソシアネート100質量部に対して、例えば2~200質量部であり、好ましくは5~100質量部であり、さらに好ましくは10~50質量部である。
<液剤>
本発明の吐出容器には、液剤が収容される。液剤は、ポリオールを含有するポリオール液剤であるか、又は、ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート液剤であることが好ましい。
ポリオール液剤を収容した吐出容器と、ポリイソシアネート液剤を収容した吐出容器とから、それぞれポリオール及びポリイソシアネートを吐出し、混合することで、ポリウレタンフォームを形成させることができる。
また、液剤には、後述する有機溶剤などが含まれていてもよい。すなわち、ポリオール液剤は、ポリオール以外にも有機溶剤が含まれていてもよいし、ポリイソシアネート液剤は、ポリイソシアネート以外にも有機溶剤が含まれていてもよい。なお、ポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤に含まれる各成分の詳細は後述する。
[ポリオール液剤]
以下、ポリオール液剤に含有される各種成分について説明する。
<ポリオール>
ポリオール液剤に含有されるポリオールとしては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーポネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリオールは、通常、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体となる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等のアルカンジオールが挙げられる
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、及び多価アルコールの変性ポリオール又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコ-ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等のポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、「AO」ともいう)を付加させる方法が好適に用いられる。AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、「EO」ともいう)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、「PO」ともいう)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、PO及びEOがより好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
本発明に使用するポリオールとしては、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールが好ましい。中でも、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)等の芳香族環を有する多塩基酸と、ビスフェノールA、エチレングリコール、及び1,2-プロピレングリコール等の2価アルコールとを脱水縮合して得られる芳香族系ポリエステルポリオールがより好ましい。また、水酸基を2個有するポリオールが好ましい。
<固形難燃剤>
ポリオール液剤は、固形難燃剤を含有してもよい。固形難燃剤を使用することで、難燃性を効果的に高めることができる。また、固形難燃剤は、通常、粉体成分としてポリオール液剤に分散した状態にある。なお、固形難燃剤とは、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体となる難燃剤である。
固形難燃剤の具体例としては、赤燐系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、及び金属水酸化物が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを被膜したものでもよいし、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などと混合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないがフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述するものを適宜選択して使用するとよい。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環中に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩が挙げられる。
リン酸としては、は特に限定されないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等が挙げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、o-トリイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。環中に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。ここで、ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温、常圧で固体となる化合物であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー系有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、このポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物などが挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シアヌールとの臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物であってもよい。
(塩素含有難燃剤)
塩素含有難燃剤は、難燃性樹脂組成物に通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテンなどが挙げられる。
(アンチモン含有難燃剤)
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
(ホウ素含有難燃剤)
本発明で使用するホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
(金属水酸化物)
本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。
固形難燃剤を使用する場合は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してしようしてもよい。固体難燃剤を使用する場合において、その含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは5~150質量部であり、より好ましくは10~100質量部である。
ポリオール液剤は、液状難燃剤を含有してもよい。液状難燃剤は、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、液体となる難燃剤である。液状難燃剤の具体例としては、リン酸エステルが挙げられる。
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用できる。モノリン酸エステルとは、分子中にリン原子を1つ有するリン酸エステルである。モノリン酸エステルとしては、常温、常圧で液体のものであれば限定されないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェートなどの芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、「CR747」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「FP-600」等が挙げられる
液状難燃剤は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以を併用してもよい。これらの中でも、ポリオールの粘度を適切にしやすくする観点、及びポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステルがより好ましい。
ポリオール液剤が液状難燃剤を含有する場合、液状難燃剤の配合量は、ポリオール100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましい。
<有機溶剤>
ポリオール液剤は、有機溶剤を含有していてもよい。該有機溶剤は、23℃、1気圧において気体となるものであり、その蒸気圧により、ポリオール液剤を吐出させるとともに、ポリオール液剤を吐出する際に気化することで、ポリオール液剤や後述するポリウレタン組成物を発泡させる。有機溶剤は、20℃における蒸気圧が好ましくは0.1MPaG以上となるものである。蒸気圧が0.1MPaG以上であると、比較的高い吐出流速で吐出させることが可能となり、吐出後にポリイソシアネート液剤と適切に混合しやすくなる。また、吐出する際の発泡性も良好となる。本発明の吐出容器は、上記のように噴射剤や有機溶剤の蒸気圧により液剤を吐出する、エアゾール用の吐出容器とすることが好ましい。
有機溶剤の20℃における蒸気圧は、0.2MPaG以上が好ましく、0.3MPaG以上がさらに好ましい。蒸気圧をこれら下限値以上とすることで、吐出流速が高くなり、ポリイソシアネート液剤との混合性が優れたものとなる。さらにはポリウレタンフォーム形成時の発泡性も優れたものとなる。
20℃における蒸気圧の上限値は、特に限定されないが、例えば1.2MPaGである。また、吐出容器内部の内圧が高くなりすぎるのを防止するために、20℃における蒸気圧は、0.8MPaG以下が好ましく、0.7MPaG以下がさらに好ましい。
なお、有機溶剤としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、「20℃における蒸気圧」とは、その2種以上の有機溶剤の混合物(混合溶剤)の20℃における蒸気圧を意味する。したがって、2種以上併用する場合において、蒸気圧を0.1MPaG以上とする場合において、20℃における蒸気圧が0.1MPaG以上の有機溶剤と、20℃における蒸気圧が0.1MPaG未満の有機溶剤とを併用してもよい。
有機溶剤は、炭素数2~5の炭化水素、及びジメチルエーテルから選択されることが好ましい。これら有機溶剤は、蒸気圧が比較的高いうえ、ポリオール化合物との相溶性も良好である。炭素数2~5の炭化水素としては、エタン、プロパン、イソブタン、ノルマルブタンなどの各種ブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタンなどの各種ペンタンが挙げられる。
上記した炭化水素及びジメチルエーテルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、例えば、プロパンとブタン類とを主成分とするLPGなども好適な具体例として挙げられる。
また、炭化水素及びジメチルエーテルとしては、上記した中では、蒸気圧を好適な範囲とするために、プロパン、イソブタン、ノルマルブタンなどの炭素数3、4の炭化水素、及びジメチルエーテルが好ましい。また、相溶性などの観点から、ジメチルエーテル、ジメチルエーテルとプロパンまたはイソブタンまたはノルマルブタンとの混合溶剤などがより好ましい。
ポリオール液剤に有機溶媒を含有させる場合において、有機溶剤の配合量は、特に限定されないが、ポリオール100質量部に対して、好ましくは3~50質量部、より好ましくは5~20質量部である。
<触媒>
本発明のポリオール液剤は、触媒を含有することが好ましい。触媒は三量化触媒を含有するものであってもよいし、樹脂化触媒を含有するものであってもよいし、三量化触媒と樹脂化触媒の両方を含有するものであってもよい。中でも触媒は、三量化触媒と樹脂化触媒の両方を含むことが好ましい。
(樹脂化触媒)
樹脂化触媒は、金属触媒(樹脂化金属触媒)を含有することが好ましい。該金属触媒を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が促進される。本発明における触媒は、発泡性などの観点から、ビスマス及びスズからなる群から選択される少なくとも1種の金属触媒を含有することが好ましく、ビスマスを含むことがより好ましい。
上記の金属触媒は、ビスマス塩及びスズ塩から選択される金属塩が好ましく、ビスマス塩であることがより好ましい。金属塩は、有機酸金属塩であることが好ましく、より好ましくは炭素数5以上のカルボン酸の金属塩である。カルボン酸は、炭素数5以上であることで、発泡剤、特にハイドロフルオロオレフィンに対する安定性が良好となる。また、カルボン酸の炭素数は、触媒活性などの観点から、18以下が好ましく、12以下がより好ましい。カルボン酸は、脂肪族カルボン酸であることが好ましく、飽和脂肪族カルボン酸がより好ましい。カルボン酸は、直鎖であってもよいし、分岐構造を有してもよいが、分岐構造を有することが好ましい。
カルボン酸の具体例としては、オクチル酸、ラウリル酸、バーサチック酸、ペンタン酸及び酢酸等が挙げられ、これらのなかではオクチル酸が好ましい。すなわち、遷移金属塩は、オクチル酸の金属塩が好ましい。これらカルボン酸は、上記の通り直鎖状であってもよいが、分岐構造を有してもよい。なお、分岐構造を有するオクチル酸としては、2-エチルヘキサン酸が挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、カルボン酸のビスマス塩、カルボン酸の錫塩が好ましく、中でもオクチル酸のビスマス塩が好ましい。また、カルボン酸の金属塩は、アルキル金属のカルボン酸塩であってもよい。例えばカルボン酸錫塩はジアルキル錫カルボン酸塩等であってもよく、好ましくはジオクチル錫カルボン酸塩等である。
カルボン酸の金属塩の具体例としては、ビスマストリオクテート、ジオクチルスズバーサテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチル酸スズ等が挙げられ、好ましくはビスマストリオクテート、ジオクチルスズバーサテート、より好ましくはビスマストリオクテートである。
本発明のポリオール組成物に使用される触媒は、樹脂化触媒として、樹脂化アミン触媒であるイミダゾール誘導体を含有してもよい。
イミダゾール誘導体は、ハイドロフルオロオレフィンの影響を受けにくく、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させやすくする。したがって、ポリオール液剤は、上記した金属触媒に加えて、イミダゾール誘導体を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートの反応性が高められ、発泡性が良好となる。
イミダゾール誘導体は、好ましくは1位および2位がそれぞれ独立に炭素数8以下のアルキル基で置換されたイミダゾールであり、アルキル基は好ましくは炭素数6以下、より好ましくは炭素数4以下である。イミダゾール誘導体の好適な具体例は、下記一般式(1)で表される。

(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。)
一般式(1)におけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基又は炭素数2~8のアルケニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基はそれぞれ直鎖状であってもよいし、分岐構造を有してもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
1及びR2のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が前記下限値以上であると、立体障害が大きくなりハイドロフルオロオレフィン等の発泡剤の影響を受けにくくなるため好ましい。一方、R及びRのアルキル基の炭素数が前記上限値以下であると、極端に立体障害が大きくならないためポリオールとポリイソシアネートとの反応を速やかに進行させることが可能になり、発泡性も良好となる。
これらの観点から、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体としては、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。中でも、ハイドロフルオロオレフィン存在下での触媒の活性を向上させる観点と反応を速やかに進行させる観点から、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾールが好ましい。また、安定性をより高める観点からは1,2-ジメチルイミダゾールがさらに好ましい。
ポリオール液剤中の樹脂化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.2~25質量部であり、より好ましくは1~20質量部であり、さらに好ましくは5~15質量部である。
(三量化触媒)
本発明のポリオール液剤に含まれる触媒は、三量化触媒を含有することが好ましい。三量化触媒は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒を含有することで未反応のイソシアネート基の反応を完了させることで良好なポリウレタンフォームが得られるという優位点がある。三量化触媒としては、金属触媒及びアンモニウム塩等が挙げられる。中でも、三量化触媒は、アンモニウム塩を含むことが好ましく、4級アンモニウム塩を含むことがより好ましい。
三量化触媒として使用される金属触媒(三量化金属触媒)としては、有機酸カリウムが挙げられ、好ましくは2-エチルヘキサン酸カリウム等のオクチル酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウム等の炭素数2~8のカルボン酸カリウムである。
アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができるが、これらのなかでは、4級アンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩は、例えばカルボン酸のアンモニウム塩である。アンモニウム塩におけるカルボン酸としては、例えば炭素数1~10、好ましくは炭素数2~8の飽和脂肪酸が挙げられる。飽和脂肪酸は、炭化水素基が直鎖であってもよいし、分岐を有してもよいが、分岐を有することが好ましい。カルボン酸の具体例としては、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、酢酸、及びギ酸などが挙げられるが、これらの中では2,2-ジメチルプロパン酸が好ましい。三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオール液剤中の三量化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、1~12質量部がより好ましく、2~10質量部が更に好ましい。
(沈降防止剤)
本発明において、ポリオール液剤は、沈降防止剤を含有してもよい。沈降防止剤を使用することにより、ポリオール液剤に分散された固形難燃剤の沈殿を防止することができる。また、沈降防止剤の使用により、固形難燃剤を均一に分散させやすくなる。沈降防止剤は、一般的に常温、常圧で固体となるものであり、通常、ポリオール液剤において固形分(不溶分)となる。
沈降防止剤としては、特に限定はないが、例えば、カーボンブラック、粉状シリカ、水添ひまし油ワックス、脂肪酸アミドワックス、有機クレー等から選択される一種又は二種以上を使用することが好ましく、これらの中では粉状シリカがより好ましい。
沈降防止剤に使用するカーボンブラックは、ファーネス法、チャンネル法、サーマル法等の方法で製造されたものを使用することができる。カーボンブラックは、市販品を適宜選択して使用すればよい。
また、粉状シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカゲルなどを使用できる。これらの中では、ヒュームドシリカが好ましく、特に疎水性ヒュームドシリカが好ましい。ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル社のアエロジル(登録商標)などを使用できる。
水添ひまし油ワックス、脂肪酸アミドワックス等は、液体中で膨潤ゲル構造を形成するものである。なお、これらは、一般的に、チクソトロピック付与剤、増粘剤、沈降防止剤、たれ防止剤等の名称により市販されており、市販品を適宜選択して使用することができる。
沈降防止剤の配合量は、特に限定されないが、固形難燃剤100質量部に対して、例えば0.5~20質量部、好ましくは0.7~12質量部、より好ましくは1.1~8質量部である。沈降防止剤の配合量を上記範囲内とすることで、固形分を必要以上に増加させることなく、固形難燃剤の沈降を防止し、さらには固形難燃剤の分散性を良好にできる。
(水)
ポリオール液剤は、水を含有してもよい。水を含有することで、ポリウレタンフォームを形成するときの発泡性が良好となる。水の配合量は、ポリオール100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部、より好ましくは0.3~3質量部である。水の配合量をこれら範囲内とすることで、ポリウレタン組成物を適切に発泡しやすくなる。
また、ポリオール液剤は、発泡剤として、水以外にも、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどから選択される1種又は2種以上をさらに含有してもよい。
(その他の成分)
ポリオール液剤は、本発明の効果を損なわない限り、上記した成分以外の成分を含有してもよい。そのような成分としては、上記した沈降防止剤、固形難燃剤以外の無機充填材が挙げられる。
無機充填材としては、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。無機充填材は、常温、常圧で固体となる固形成分である。
無機充填材は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、ポリオール液剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
ポリオール液剤を収容した本発明の吐出容器は、例えば、噴射剤及び有機溶剤以外の各成分を、ディスパーなどを用いて必要に応じて混合した後、吐出容器に充填して、次いで、噴射剤及び必要に応じて用いられる有機溶剤を吐出容器内部に充填して、密閉させることで製造するとよい。
[ポリイソシアネート液剤]
本発明においては、液剤としてポリオール液剤を収容した吐出容器からなる第1の吐出容器と、液剤としてポリイソシアネート液剤を収容した吐出容器からなる第2の吐出容器とを備える2液吐出容器とすることができる。第1及び第2の吐出容器は、共にエアゾール用の吐出容器であることが好ましい。
以下、ポリイソシアネート液剤に含有される各種成分について説明する。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネート液剤に含まれるポリイソシアネートは、ポリウレタンフォームの形成に使用する公知のポリイソシアネートを使用できる。ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、使いやすさの観点、及び入手容易性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックMDI、又はこれらの混合物がより好ましい。ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<有機溶剤>
ポリイソシアネート液剤は、有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤を含有することで、その蒸気圧によりポリイソシアネートを吐出させることができる。ポリイソシアネート液剤に含まれる有機溶剤としては、ポリオール液剤に含まれる有機溶剤として説明したものが制限なく使用することができる。
ポリイソシアネート液剤に有機溶媒を含有させる場合において、有機溶剤の配合量は、特に限定されないが、ポリイソシアネート100質量部に対して、好ましくは3~50質量部、より好ましくは5~20質量部である。
ポリイソシアネート液剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
ポリイソシアネート液剤を収容した本発明の吐出容器は、例えば、噴射剤及び有機溶剤以外の各成分を、ディスパーなどを用いて必要に応じて混合した後、吐出容器に充填して、次いで、噴射剤及び必要に応じて用いられる有機溶剤を吐出容器内部に充填して、密閉させることで製造するとよい。
(ポリウレタン組成物)
第1及び第2の吐出容器から、それぞれポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤が吐出されることにより混合され、反応することによりポリウレタン組成物を形成する。ポリウレタン組成物は、上記したポリオール液剤に含有される噴射剤又は有機溶剤、ポリイソシアネート液剤に含有される噴射剤又は有機溶剤などによって、発泡しながら形成されるものであり、ポリウレタンフォームとなる。ポリオール液剤とイソシアネート液剤とは、後述するようにイソシアネートインデックスが所定の範囲になる質量割合で混合させるとよい。
ポリウレタン組成物のイソシアネートインデックスは、250以上が好ましい。イソシアネートインデックスが250以上であると、ポリオールに対するポリイソシアネートの量が過剰になりポリイソシアネートの三量化体によるイソシアヌレート結合が生成し易くなる結果、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。難燃性をより向上させるために、イソシアネートインデックスは、300以上がより好ましく、340以上更に好ましい。
また、イソシアネートインデックスは、1000以下が好ましく、650以下がさらに好ましく、500以下がよりさらに好ましい。イソシアネートインデックスがこれら上限値以下であると、得られるポリウレタンフォームの難燃性と製造コストとのバランスが良好になる。
なお、イソシアネートインデックスは、以下の方法により計算することができる。
イソシアネートインデックス
=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、各当量数は以下のとおり計算することができる。
・ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用量(g)×NCO含有量(質量%)/NCOの分子量(モル)×100
・ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用量(g)÷KOHの分子量(ミリモル)
OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)である。
・水の当量数=水の使用量(g)/水の分子量(モル)×水のOH基の数
上記各式において、NCOの分子量は42(モル)、KOHの分子量は56100(ミリモル)、水の分子量は18(モル)、水のOH基の数は2とする。
本発明は、ポリオール液剤とポリイソシアネート液剤とを混合するための混合システムも提供する。図6に示すように、混合システム40は、ポリオール液剤が収容された第1の吐出容器41と、ポリイソシアネート液剤が収容された第2の吐出容器42とを備える。第1及び第2の吐出容器41、42は、エアゾール用の吐出容器であり、第1の吐出容器41に収容されたポリオール液剤は、噴射剤又は必要に応じて配合される有機溶剤の蒸気圧により該液剤を吐出する。第2の吐出容器42に封入されたポリイソシアネート液剤は、噴射剤又は必要に応じて配合される有機溶剤の蒸気圧により該液剤を吐出する。なお、第1の吐出容器41内部では、噴射剤及び必要に応じて配合される有機溶剤は一部が気化して気相を形成する。第2の吐出容器42内部においても同様である。
第1及び第2の吐出容器41、42から吐出されたポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤は、噴射剤などにより発泡されながら混合して、ポリオールとポリイソシアネートとが反応することで、ポリウレタンフォーム(ポリウレタン組成物)を形成する。
混合システム40は、混合器43を備えるとよい。第1及び第2の吐出容器41、42それぞれの吐出口41A、42Aは、供給ライン41B,42Bを介して混合器43に接続される。第1及び第2の吐出容器41、42から吐出されたポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤は、それぞれ供給ライン41B,42Bを介して混合器43に供給され、これらは混合器43にて混合される。混合器43は静止型混合器であり、管体43Aの内部にミキサーエレメント43Bが配置されている。ミキサーエレメント43Bとしては、螺旋状に形成されたもの、複数の邪魔板が形成されたものなどがある。混合器43で混合されたポリオール液剤とポリイソシアネート液剤は、噴射器などにより、施工対象面に吹き付けられる。例えば、ポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤は、混合器43の管体43A内部で混合され、混合物が管体の先端43Cから噴射される。
混合システムは上記態様以外にも、図7に示す混合システム50であってもよい。混合システム50は、第1の吐出容器41と第2の吐出容器42とを有する2液吐出装置53と、供給ライン41B及び42Bと、吐出用ガン54と、混合器43とを備える。第1の吐出容器41と第2の吐出容器42については上記説明したとおりであり、それぞれポリオール液剤、ポリイソシアネート液剤を収容している。第1及び第2の吐出容器から、ポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤が、それぞれ供給ライン41B、42Bを介して吐出用ガン54に送液される。吐出用ガン54はレバー54Aを備えており、送液のON-OFF機構を有する。具体的には、レバー54Aを引くと、ポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤が混合器43に送液され、レバー54Aを離すとポリオール液剤及びポリイソシアネート液剤の混合器43への送液が停止される。吐出用ガン54を備える混合システム50を用いることで、必要に応じて送液を行うことができるため、ポリウレタンフォームを形成する際の作業性が向上する。
ポリウレタン組成物は、様々な用途で使用可能であるが、断熱材として使用することが好ましい。ポリウレタン組成物は、ポリウレタンフォームを構成することで多数の気泡を有するので、それにより断熱効果を有する。
ポリウレタン組成物は、特に、乗り物または建築物の断熱材として使用することがより好ましい。乗り物としては、鉄道車輌、自動車、船舶、航空機などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各種測定方法は、以下の通りである。
[厚み膨潤率]
ステムラバーの厚み膨潤率は、図1に示すエアゾール容器内で、各種ステムラバーを噴射剤であるHFO-1234zeに45℃で2週間接触させて測定した。
具体的には、耐圧容器12(内径は65.4mm)に各実施例及び比較例で用いたステムラバー(サイズ:縦10mm、横50mm、厚み1.3mmの板状)を導入した後、バルブ11及びマウンテンカップ15を取り付け、バキューム式クリンパーを用いて封入した。次いで、容器内に噴射剤であるHFO-1234zeを60g充填した。そして、該容器を45℃で2週間静置した。なお、エアゾール容器内では、HFO-1234zeは液体となるため、該液体にステムラバーは接触することとなる。2週間経過後、容器からステムラバーを取り出し、厚みを測定した。
厚み膨潤率(%)は、100×(B-A)/Aで算出した。Aは噴射剤に接触させる前のステムラバーの厚みであり、Bは噴射剤に45℃で2週間接触させた後のステムラバーの厚みである。
[硬度変化率]
ステムラバーの硬度変化率は、図1に示すエアゾール容器内で、各種ステムラバーを噴射剤であるHFO-1234zeに45℃で2週間接触させて測定した。
具体的には、耐圧容器12(内径は65.4mm)に各実施例及び比較例で用いたステムラバー(サイズ:縦10mm、横50mm、厚み1.3mmの板状)を導入した後、バルブ11及びマウンテンカップ15を取り付け、バキューム式クリンパーを用いて封入した。次いで、容器内に噴射剤であるHFO-1234zeを60g充填した。そして、該容器を45℃で2週間静置した。なお、エアゾール容器内では、HFO-1234zeは液体となるため、該液体にステムラバーは接触することとなる。2週間経過後、容器からステムラバーを取り出し、硬度を測定した。硬度は、JIS K6253-3:2012で規定するタイプAデュロメータ硬さである。
硬度変化率(%)は、|100×(D-C)/C|で算出される。Cは噴射剤に接触させる前のステムラバーの硬度であり、Dは噴射剤に45℃で2週間接触させた後のステムラバーの硬度である。硬度は、JISスプリング式硬度計(ムラテックKDS社製「ゴム硬度計Aタイプ標準型」)で測定した。
JISスプリング式硬度計の測定治具は以下のものを用いた。
測定治具:デジタルシックネスゲージ(1/1000mm)、プッシュプルゲージ(100N)
実施例及び比較例で使用した成分は以下のとおりである。
ポリオール:フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK-087、水酸基価=200mgKOH/g)
ポリイソシアネート:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)(住化コベストロウレタン株式会社製、製品名:スミジュール44V20L)
三量化触媒:4級アンモニウム塩 2,2-ジメチルプロパン酸テトラメチルアンモニウム塩、エボニックジャパン社製、製品名:TMR7、濃度45~55質量%
樹脂化触媒:ビスマス化合物 ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)、Shepherd Chemical社製、製品名:Bicat8210、濃度80~90質量%
噴射剤:ハイドロフルオロオレフィン HFO-1234ze(トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、ハネウエル社製、製品名:ソルスティス(登録商標)GBA、沸点:-19℃
[実施例1]
バルブを構成する部材が、ハウジング(材質:ポリアセタール)、ステム(材質:真鍮)、ステムラバー(材質:ブチルゴム)、及びスプリング(材質:SUS)である図1に示すエアゾール容器(吐出容器)を準備した。
耐圧容器12(内径は65.4mm)に、ポリオール(RLK-087)200質量部、三量化触媒(TMR7)30質量部、樹脂化触媒(BiCAT8210)20質量部を導入した後、バルブ11及びマウンテンカップ15を取り付け、バキューム式クリンパーを用いて封入した。次いで、容器内に噴射剤であるHFO-1234zeを50質量部充填した後、アクチュエータ22を取り付け、液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得た。該エアゾール容器から、液剤を4回吐出して、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
[実施例2]
バルブを構成する部材が、ハウジング(材質:ポリアセタール)、ステム(材質:真鍮)、ステムラバー(材質:ブチルゴム)、及びスプリング(材質:SUS)である図1に示すエアゾール容器(吐出容器)を準備した。
耐圧容器12(内径は65.4mm)に、ポリイソシアネート(MDI)250質量部を導入した後、バルブ11及びマウンテンカップ15を取り付け、バキューム式クリンパーを用いて封入した。次いで、容器内に噴射剤であるHFO-1234zeを50質量部充填した後、アクチュエータ22を取り付け、液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得た。該エアゾール容器から、液剤を4回吐出して、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
[比較例1]
ステムラバーの種類をフッ素ゴム(デュポン製「バイトン」(登録商標))に変更した以外は、実施例1と同様にして液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得て、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
[比較例2]
ステムラバーの種類をアクリロニトリルゴム-ブタジエンゴム(NBR)に変更した以外は、実施例1と同様にして液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得て、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
[比較例3]
ステムラバーの種類をフッ素ゴム(デュポン製「バイトン」(登録商標))に変更した以外は、実施例2と同様にして液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得て、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
[比較例4]
ステムラバーの種類をアクリロニトリルゴム-ブタジエンゴム(NBR)に変更した以外は、実施例2と同様にして液剤及び噴射剤が収容されたエアゾール容器を得て、流路閉塞に起因する吐出不良の発生率を算出した。
以上の実施例に示すように、厚み膨潤率及び硬度変化率が共に10%以下のステムラバーを備えた吐出容器を用いることにより、噴射剤としてハイドロフルオロオレフィンを用いた場合であっても、吐出不良が生じ難いことが分かった。
これに対して、厚み膨潤率及び硬度変化率のいずれか又は両方が10%を超えるステムラバーを備えた吐出容器の場合は、実施例と比べて、吐出不良が生じやすいことが分かった。
10 吐出容器
11 バルブ
12 耐圧容器
13A 液剤
13B 噴射剤
14 密封部品
15 マウンテンカップ
16 ハウジング
17 ステムラバー
18 ステム
19 スプリング
21 ディップチューブ
22 アクチュエータ
31 バルブ
37 ステムラバー
38 ステム
38B ステム孔
40 混合システム
41 第1の吐出容器
42 第2の吐出容器
41A、42A 吐出口
41B、42B 供給ライン
43 混合器
43A 管体
43B ミキサーエレメント
43C 先端
50 混合システム
53 2液吐出装置
54 吐出用ガン
54A レバー

Claims (7)

  1. 液剤及び噴射剤が収容され、ステムラバーを備えるバルブを有する吐出容器であって、
    前記噴射剤はハイドロフルオロオレフィンを含有し、
    前記ステムラバーは前記液剤もしくは噴射剤と接触し、
    前記ステムラバーを、前記噴射剤に接触させた際の前記ステムラバーの厚み膨潤率及び硬度変化率が共に10%以下である、吐出容器。
  2. 前記ステムラバーがブチルゴム製である、請求項1に記載の吐出容器。
  3. 前記吐出容器に収容された液剤が有機溶剤を含有し、該有機溶剤の蒸気圧により前記液剤が吐出される、請求項1又は2に記載の吐出容器。
  4. 前記有機溶剤が、23℃、1気圧において気体である、請求項3に記載の吐出容器。
  5. 前記液剤が、ポリオールを含有するポリオール液剤である、請求項1又は2に記載の吐出容器。
  6. 前記液剤が、ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート液剤である、請求項1又は2に記載の吐出容器。
  7. 請求項5に記載の吐出容器からなる第1の吐出容器と、請求項6に記載の吐出容器からなる第2の吐出容器とを備える2液吐出容器。
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