JP2024062109A - 流体の電気加熱装置および流体の電気加熱方法 - Google Patents

流体の電気加熱装置および流体の電気加熱方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流体の加熱効率の高効率化と加熱装置の小型化とを可能にする、流体の電気加熱装置及び流体の電気加熱方法を提供する。【解決手段】本発明は、通電加熱される加熱管が略相似形断面の複数本で大断面加熱管に小断面加熱管が挿通される多重管構造の加熱部をなし、加熱管同士の間隙を被加熱流体の複数の流体流路とする、多重管式の流体の電気加熱装置とそれによる流体の電気加熱方法であって、1)被加熱流体の給排手段と、2)加熱管に給電する給電電極と、3)電源と、4)加熱管と電源とを結ぶ給電回路と、5)被加熱流体の温度および流量を含む物理量、ならびに加熱管の単位発熱量を含む設備能力に基づいて、前記加熱管への投入電力を制御する制御装置と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、流体の電気加熱装置および流体の電気加熱方法に関し、詳しくは高い加熱効率を有して小型化可能な流体の電気加熱装置および流体の電気加熱方法に関するものである。
近年、地球温暖化対策のために、エネルギー効率の高効率化や二酸化炭素排出量の少ない燃料への転換が進められている。大規模で大容量の流体の加熱装置の分野では、従来より、種々なものが使用されており、数百度というような高温加熱を行うには、通常、燃焼ガスを利用したボイラ等の加熱装置が使用されている。しかし、燃焼ガスを使用するボイラ等の加熱装置は、設備が大型化するだけでなく、加熱効率が高効率のものでも35%程度と高効率化に限界があるという問題がある。
このような加熱設備の小型化および加熱効率の効率化のいずれの問題に対しても、大電力を限られた空間に投入できる電気加熱手段が有利であるといえる。例えば、特許文献1には、図7の(a)縦断面図(ただし、発熱体62は、横断面図での記載より単純化して2本のみを記載)と(b)横断面図とで示すような、誘導加熱による流体の電気加熱装置60が開示されている。具体的には、発熱体62は、例えばSUS304からなる非磁性管62aおよび例えばSUS430からなる磁性体としての磁性管62bによって構成される。非磁性管62aの両端は、管支え板64、66で固定支持される。また、発熱体62の外側周囲には、図示しない交流電源に接続された誘導加熱コイル72が配設される。この誘導加熱コイル72は、円筒形状の内側断熱材68と外側断熱材70との間に介在し、内側断熱材68の両端が、管支え板64、66に固定支持されることにより、位置決めされる。管支え板64、66には、それぞれ流体入口ヘッダー74、流体出口ヘッダー76が設けられ、気体または液体の被加熱流体(矢印A)は、流体入口ヘッダー74から非磁性管62aを通って加熱されて流体出口ヘッダー76へと導かれる。
特許文献1に記載の発明では、磁性管62bは、被加熱流体(矢印A)が流れる非磁性管62aの外周面に接触しており、誘導加熱により磁性管62bにおいて生じた熱は磁性管62bから非磁性管62aに、非磁性管62aから被加熱流体に熱伝導している。そのため、非磁性管62aに比べ耐食性に劣る磁性管62bに被加熱流体が接触することがなく、耐食性が向上するとする。また、複数の発熱体62を、互いに平行に、且つ、誘導加熱コイル72内で互いに略均等間隔をもって分布して配置することで、流体の電気加熱装置60の大型化を抑えながら、有効に被加熱流体を加熱することもできるとする。
また、特許文献2には、図8に示すような通電加熱による流体の電気加熱装置80が開示されている。その基本的な構成は、図8(a)に示すように、加熱管体82と、非加熱管体84と、管体継ぎ手86と、交流電源88とから「一加熱管体一電源」の構成である。加熱管体82は、通電により発熱する金属で形成される。この加熱管体82には、その一方の端部から他方の端部に電流を流す交流電源88が接続される。非加熱管体84は、加熱管体82の両端部に接続され、加熱管体82と同じ径寸法を有して、被加熱流体の流路をなす。管体継ぎ手86は、加熱管体82と非加熱管体84、84とを機械的に接続して流路を形成すると共に加熱管体82と非加熱管体84、84とを電気的に絶縁する。なお、加熱管体82を保持する支持台を必要とする場合には、図8(a)に示すように、支持台90と加熱管体82との間に電気絶縁体92を介在させる。
特許文献2には、図8(b)、(c)に示すように、複数本の加熱管体82同士を接続する場合の実施形態も開示している。図8(b)は、電気的絶縁性を有する管体継ぎ手86を使って加熱管体82同士を連結し、ジャンパー94によって加熱管体82同士を電気的に接続する場合の一例である。また、別法として、機械的に連結し且つ電気的にも接続するフランジを使って、加熱管体82同士を接続してもよいとする。あるいは、図8(c)に示すように、各加熱管体82を管体継ぎ手86で電気的に絶縁して、各加熱管体82毎に交流電源88を設けてもよいとする。
このように、特許文献2に記載の流体の電気加熱装置80によれば、加熱管体82で被加熱流体の流路の少なくとも一部を構成するとともに、流体の流路自体を発熱手段として流体を直接電気加熱することにより、高いエネルギー効率で流体を加熱昇温することができるとする。具体的なエネルギー効率についての実験例としては、内径7mm、外形10.5mm、長さ8mのステンレス鋼管製の加熱管体に、60V、180Aの交流を流しながら、汚泥スラリーを流量80リットル/時間で流した例が示されている。この実験では、20℃から200℃まで約180℃昇温させることができ、加熱管体に与えた電気エネルギーの80~90%が汚泥スラリーの加熱に利用できたとしている。
特開2008-134041号公報 特開2000-213807号公報
しかしながら、特許文献1に記載のようなソレノイドコイル状の誘導加熱コイル72の内側の発熱体62(磁性管62b)を加熱する場合には、次のような理由により、その加熱効率を向上させるには、限界があった。これは、誘導加熱コイル72により生じる磁束を、誘導加熱コイル内の発熱体(導体)に全て通すことは難しいからである。このような効率低下の要因を、図7(b)を参照しながら具体的に説明すると次のとおりである。
(ア)誘導加熱コイル72で発生した磁束は、誘導加熱コイル72の内側では、誘導加熱コイル72に近接した発熱体62の表層を貫通して誘導電流を起こすが、磁束の性質上、加熱に寄与する発熱体62の部位は誘導加熱コイル72側の半周程度に限られる。
(イ)一方、誘導加熱コイル72の内側の発熱体62のうち、外側の発熱体62は、誘導加熱コイル72と反対の面側が、また中心側の発熱体62は全体的に、誘導加熱コイル72から離れているために、有効な磁束の貫通量が少なく、有効な加熱がし難いと推測される。
(ウ)さらに、誘導加熱コイル72の外側の磁束は自由に放射されるため、発熱体62以外の周囲の金属を貫通する磁束も相当程度多い。
以上のとおり、ソレノイドコイル状の誘導加熱コイルにより生じる磁束の全てを、被加熱材に集中させることは困難であり、そのためにソレノイドコイル状の誘導加熱コイルでの加熱効率向上には限界があるという問題がある。
また、特許文献2に記載のような流体の電気加熱装置80では、加熱管体82から被加熱流体への伝熱は、加熱管体82の内面からとなる。そのため、このような加熱装置で数百度というような高温加熱を行うために加熱能力を高めようとする場合には、加熱管体を延長して伝熱面積を大きく確保する必要がある。しかし、加熱管体の延長は加熱装置の大型化に結びつきやすいことから、特許文献2に記載の発明による加熱装置の小型化には限界があるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、流体の電気加熱による加熱効率の高効率化および大容量の加熱装置の小型化を可能にする、流体の電気加熱装置および流体の電気加熱方法を提供することを目的とする。
[1]導電性の加熱管が、互いに略相似形断面の複数本で、大断面の加熱管に小断面の加熱管が非接触で挿通されるようにして多重管構造の加熱部をなし、前記加熱管同士の間の環状の間隙を、最内加熱管の管内とともに被加熱流体の複数の流体流路とする、通電加熱による多重管式の流体の電気加熱装置であって、
(a)前記加熱管の一方の端部および他方の端部のそれぞれに接続され、前記被加熱流体を供給し且つ排出させる流体給排手段と、
(b)前記加熱管の一方の端部および他方の端部のそれぞれの管壁に配設され、前記加熱管に給電する給電電極と、
(c)前記給電電極を通して、前記加熱管の一本または複数本に給電する電源と、
(d)前記加熱管と前記電源とを結ぶ給電回路と、
(e)前記被加熱流体の少なくとも温度および流量を含む物理量、ならびに前記加熱管の少なくとも管壁単位面積当たりの単位発熱量を含む設備能力に基づいて、前記加熱管への投入電力を制御する制御装置と、
を有する、流体の電気加熱装置。
[2]前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管を、内外方向で連続した複数本で加熱管群として複数の加熱管群に分け、前記加熱管群毎に前記給電回路を配設した、[1]に記載の流体の電気加熱装置。
[3]前記給電回路が、
(d1)前記多重管構造の加熱部の一方の端部および他方の端部で、前記給電電極が相互に電気的に短絡されて、前記加熱管が単一の前記電源に並列接続される単一の並列給電回路、
(d2)前記多重管構造の加熱部の一方の端部および他方の端部で、前記給電電極が一つおきに電気的に短絡されて、前記加熱管が単一の前記電源に直列接続される単一の直列給電回路、
および、
(d3)前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管がそれぞれ一の前記電源に接続される、一加熱管一電源の給電回路の組からなる一群の給電回路、
のうちのいずれかの給電回路である、[1]または[2]に記載の流体の電気加熱装置。
[4]前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管は、横断面外形寸法の異なる内外方向の前記加熱管同士の間で、または、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管同士の間で、少なくとも一部に他と異なる発熱特性を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[5]前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管は、横断面外形寸法の異なる内外方向の前記加熱管同士、および、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管同士、のいずれか一方または双方で、比抵抗、断面積、および長さのいずれか1または2以上を変数にしてそれぞれ異なる所定の単位発熱量を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[6]前記加熱管の略相似形断面の形状が、円形または多角形である、[1]~[5]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[7]前記最内加熱管の管内の流体流路を除く前記流体流路内に、電気的な絶縁層を有する振れ止め部材を配設する、[1]~[6]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[8]前記加熱管の内周面および外周面のいずれか一方または双方に電気的な絶縁層を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[9]前記最外加熱管の外周面に断熱材が配設される、[1]~[8]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[10]前記多重管構造の加熱部の少なくとも片側の全ての前記給電電極のそれぞれと前記給電回路側との接続部には、前記加熱管の熱変形を吸収する可撓性導体または摺動接点が配設される、[1]~[9]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[11]前記流体給排手段が、流体供給ヘッダーおよび流体排出ヘッダーを備える、[1]~[10]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の流体の電気加熱装置を用いて、被加熱流体を加熱する、流体の電気加熱方法。
[13]前記複数の流体流路の内の1または2以上の流路に、他の流路と異なる前記被加熱流体を、それぞれ独立して流すことにより、異種流体を非混合のまま同時に加熱する、[12]に記載の流体の電気加熱方法。
本発明によれば、流体の電気加熱装置の導電性の加熱管を多重管構造とし、加熱管同士の間の環状の間隙を被加熱流体の流路とすることで、大きな伝熱面積の確保と空間的な小型化とを同時に達成できる。また、通電加熱を採用することで、誘導加熱とは異なり、そもそも磁束漏れによる効率低下がなく、高い加熱効率を確保することができる。本発明は、以上のように、伝熱面積拡大を含む空間的な加熱装置の小型化と電気的な高効率化とが相まって大容量の流体の加熱設備の小型化を有利に達成することができる流体の電気加熱装置とそれによる流体の電気加熱方法を提供することができる。
実施の形態1に係る流体の電気加熱装置100を模式的に示す縦断面図である。 実施の形態1の変形例に係る流体の電気加熱装置110を模式的に示す縦断面図である。 実施の形態1の他の変形例に係る流体の電気加熱装置120を模式的に示す縦断面図である。 実施の形態1のさらに他の変形例に係る流体の電気加熱装置130を模式的に示す縦断面図である。 実施の形態2に係る流体の電気加熱装置200を模式的に示す縦断面図である。 実施の形態3に係る流体の電気加熱装置300を模式的に示す縦断面図である。 従来技術に係る誘導加熱による流体の電気加熱装置を、(a)縦断面図と(b)横断面図とで模式的に示す図である。 従来技術に係る通電加熱による流体の電気加熱装置を、(a)一加熱管体一電源の基本構成例、(b)加熱管体を複数直列配置した構成例、および(c)基本構成を複数直列に配した構成例で、それぞれ模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る流体の電気加熱装置100を模式的に示す縦断面図である。また、図2は、実施の形態1の変形例に係る流体の電気加熱装置110を模式的に示す縦断面図である。図3は、実施の形態1の他の変形例に係る流体の電気加熱装置120を模式的に示す縦断面図である。図4は、実施の形態1のさらに他の変形例に係る流体の電気加熱装置130を模式的に示す縦断面図である。図1~図4を参照して、実施の形態1に係る流体の電気加熱装置について説明する。
図1~図4に示すように、実施の形態1に係る流体の電気加熱装置は、通電加熱による多重管式の流体の電気加熱装置である。多重管構造の加熱部(以下、単に加熱部ともいう。)10は、導電性の加熱管10aが、互いに略相似形断面の複数本で、大断面の加熱管に小断面の加熱管が非接触で挿通されるようにして多重管構造をなしている。また、加熱管同士の間の環状の間隙を、最内加熱管の管内とともに被加熱流体の複数の流体流路とする。なお、最内加熱管および環状流路の典型的な流路間隔は、例えば化学反応用途での加熱の場合で2~3mm程度、気体加熱用途で10mm程度である。
本実施形態に係る多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aは、導電性を有し、被加熱流体の加熱温度に耐える耐熱性および耐食性を有し、管体に成形できるものである等の要件を満たすものであれば特にその材質は限定されない。このような要件を満たす好ましい材質として、例えば、公知のCr合金鋼(炭素鋼に1質量%前後のCrが添加された合金鋼から、さらに高合金のCr系ステンレス鋼も含む。)がある。また他の合金鋼として、Cr-Ni合金鋼(炭素鋼に0.2~1.0質量%程度のCr、および、1.0~3.5質量%程度のNiが添加された合金鋼から、さらに高合金のCr-Ni系ステンレス鋼も含む。)が例示できる。さらに、特に1000℃超での使用に耐える、人造黒鉛、または導電性セラミックスが例示できる。これらの材質は、比較的固有抵抗が大きいので、発熱管として好ましい材質である。導電性セラミックスとしては、公知のSiC、TiC、またはTiN等の導電性セラミックスを採用すればよい。その他、被加熱流体や設置場所等によっては、必要に応じて公知のタングステン、モリブデン等の高融点金属またはこれらの合金を用いてもよい。
さらに、本実施形態に係る多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aは、横断面外形寸法の異なる内外方向の加熱管10a毎に、上記で例示した種々の材質のものが配設されてもよい。これにより、例えば加熱部10内の複数の流体流路に異なる被加熱流体を流す場合で、その中に耐食性および耐熱性等で悪条件の被加熱流体を含む場合は、その流路を他の流路より高品質のもの、例えばCr-Ni系ステンレス鋼とする等の対策をとることができる。また、加熱部10をなす加熱管10aは、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管毎に、上記で例示した種々の材質のものが配設されてもよい。これにより、加熱開始から終了までの加熱管10aの温度域に応じて、適切な耐熱性および耐食性を有する材質の部分加熱管からなる加熱管10aとすることができる。例えば、加熱管入口付近の常温域から600℃程度までの比較的低温域では、Cr合金鋼等を、耐熱性および耐食性の問題なく採用することができる。さらに、1000℃程度までの高温域では、Cr-Ni系ステンレス鋼等を採用することができる。1000℃超のさらなる高温域では、人造黒鉛、または、SiC、TiC、もしくはTiN等の導電性セラミックスを採用することができる。このようにして、環境の過酷化に応じた素材の選択をすることで、加熱管の素材費を低く抑えることができる。
また、本実施形態に係る加熱管10aは、横断面外形寸法の異なる内外方向の加熱管10a同士の間で、比抵抗、断面積、および長さのいずれか1または2以上を変数にして、それぞれ異なる所定の単位発熱量を有するものとしてもよい。これにより、例えば加熱部10内の複数の流体流路にそれぞれ異なる被加熱流体を流す場合等に、それぞれの被加熱流体の比熱や加熱目標温度等に合わせて、その流路壁を構成する加熱管10aの単位発熱量を所定の適正値とすることができる。また、加熱部10をなす加熱管10aは、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管同士の間で、比抵抗、断面積、および長さのいずれか1または2以上を変数にして、それぞれ異なる所定の単位発熱量を有するものとしてもよい。これにより、例えば加熱管10a単位で、加熱初期から中期にかけては単位発熱量を高め、加熱後期には単位発熱量が低くなる加熱パターンを採用する等して、加熱温度の的中率を高めることもできる。
本実施形態に係る多重管構造の加熱部10は、例えば図8に示すような従来技術に係る単管構造の加熱管からなる流体の電気加熱装置80と比較して、同等の加熱部容積の条件では、広い伝熱面(発熱面、加熱面ともいう。)面積の確保の点で有利である。すなわち、本実施形態では、挿通される複数の加熱管10aの管壁の内外周面分だけ広い伝熱面積を確保することができる。また、本実施形態では、多重管とすることにより、被加熱流体は、狭い空間を通らざるを得なくなり、乱流となりやすくなることから、伝熱能力が向上する。乱流による伝熱促進を高めるために、加熱管10aの管壁の表面粗度を粗くしたり、凹凸、ギザギザ等の流体が乱れやすい形状を管壁に付与することで、更に伝熱効率を向上させることができる。そのため、本実施形態に係る流体の電気加熱装置100においては、装置を大型化させることなく加熱能力を大幅に増大させることができる。また逆に、本実施形態に係る流体の電気加熱装置100によれば、単管構造の加熱管からなる流体の電気加熱装置を、加熱能力を損なうことなく小型化した加熱装置に置き換えることもできる。
また、本実施形態に係る多重管構造の加熱部10では、本質的に周囲への熱放散による熱損失を低く抑えることができる。これは、多重管構造では、最外加熱管14を除き、他の加熱管10a(最内加熱管11および中間加熱管12、13)は、その表面を他の加熱管10aで囲まれるからである。すなわち、本実施形態では、加熱管10aからの熱損失は最外加熱管14の外周面からの熱放散による熱損失が主体であり、他の加熱管10aでは、内外周面も被加熱流体の加熱面となり熱損失は殆ど生じないからである。
多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aが互いに略相似形断面を有するようにするのは、内外方向で隣接する加熱管10a同士の間の環状の間隙を、加熱管10aのいずれの周面位置でも略同一間隔にするためである。これにより、被加熱流体が流速のばらつきや偏流を起こすことなく安定して流れる流体流路を形成することができる。併せて、通電加熱される加熱管10a同士が接触して電気的に短絡することで発生するスパークを回避することもできる。なお、被加熱流体が気体で流路方向に沿った加熱量(昇温量)が大きく、流体流路の断面積が流路方向で変わらない場合に、被加熱流体の体積膨張のために流路方向に沿って被加熱流体の流速が漸次増速して問題となる場合がある。このような場合は、その増速効果を相殺するために、加熱管10aの断面形状は略相似形を維持しながら断面積を流路方向に沿って漸次拡大させるようにしてもよい。また、加熱管10aの流路長手方向の熱膨張または熱収縮に関しては、伸縮管を設けたり縦置きの場合には、下方に自由膨張させるなどすればよい。
加熱管10aの略相似形断面の形状は、円形または多角形であることが好ましい。円形の場合は、加熱管10aの製造および環状の流体流路の形成ならびに偏流の回避が他の形状と比較して有利だからである。また、多角形の場合も円形の場合に準じて、加熱管10aの製造および環状の流体流路の形成ならびに偏流の回避が比較的有利となる。さらに多角形のなかでも四角形の場合は、電気加熱装置の設置スペースが限られている場合に、周囲の設備等との干渉を避けながら加熱部10のスペースを最大化することが比較的容易であり、好ましい。
最内加熱管11の管内の流体流路を除く流体流路内には、電気的な絶縁層を有する振れ止め部材56を配設して、両側の加熱管10aの横振れを防止するようにするのが好ましい。電磁力および流体流動起因の加熱管の振動、または加熱管の熱変形等で、加熱管同士の接触が懸念される場合、この振れ止め部材56により、内外方向で隣接する加熱管10a同士の間隙を、いずれの位置でもより確実に略同一間隔にできるからである。また、この振れ止め部材56は、被加熱流体の体積膨張による流路方向に沿った被加熱流体の漸次増速の対策として、加熱管10aの断面積を流路方向に沿って漸次拡大させる場合にも、流路方向で漸次拡大される流路幅を維持するために用いることができる。なお、振れ止め部材56の大きさ、配設位置および配設数等の流路内への配設条件については、振れ止めの目的からすれば限定的な配設で十分であるため、振れ止め部材56が被加熱流体の流れの阻害要因となることはない。また、振れ止め部材56には、それぞれ独立して通電される両側の加熱管10aが互いに電気的に短絡しないようにするため、公知の電気的な絶縁層を有する耐火物またはセラミックスを配設する。振れ止め部材56のその他の素材についても、被加熱流体の加熱温度に耐える耐熱性、耐食性、および耐化学反応性を有し、部材成形できるものである等の要件を満たすものであれば特にその素材は限定されない。
また、加熱管10aの内周面および外周面のいずれか一方または双方に電気的な絶縁層を有するようにするのが好ましい。通電加熱される加熱管10a同士が接触してスパークが発生したり、加熱管の破裂が生じる等のトラブルを、このような電気的な絶縁層により回避できるからである。また、このような電気的な絶縁層を設けることで、電気導電性を有する被加熱流体も、通電加熱による加熱が可能になるからである。なお、この電気的な絶縁層の素材については、電気的な絶縁性の他、被加熱流体の加熱温度に耐える耐熱性および耐食性を有するものである等の要件を満たすものであれば特にその素材は限定されない。例えば、アルミナ等の絶縁性酸化物セラミックスを溶射するなど公知の素材、および被覆方法を用いればよい。
本実施形態に係る流体の電気加熱装置100は、(a)加熱管10aの一方の端部および他方の端部のそれぞれに接続され、被加熱流体を供給し且つ排出させる流体給排手段(図示せず。)を有する。この流体給排手段は、加熱管10aへの被加熱流体の供給と、加熱管10aからの被加熱流体の排出を安定的に行うために、公知の流体供給ヘッダーおよび流体排出ヘッダーを備えるのが好ましい。また、流体供給ヘッダーおよび流体排出ヘッダーと、通電される加熱管10aとは、電気的な絶縁を確保して被加熱流体を流通させるために、公知の絶縁継手を介して接続するのが好ましい。
また、図1に示すように、本実施形態に係る流体の電気加熱装置100は、次の(b)~(d)の3つの構成を有する。
(b)加熱管10aの一方の端部および他方の端部のそれぞれの管壁に配設され、加熱管10aに給電する給電電極50
(c)給電電極50を通して、加熱管10aの一本または複数本に給電する電源40
(d)加熱管10aと電源40とを結ぶ給電回路
この給電回路としては、例えば、次の2つの給電回路(d1)および(d2)のうちのいずれかの給電回路とすることができる。
(d1)多重管構造の加熱部10の一方の端部および他方の端部で、給電電極50が相互に電気的に短絡されて、加熱管10aが単一の電源40に並列接続される単一の並列給電回路
(d2)多重管構造の加熱部10の一方の端部および他方の端部で、給電電極50が一つおきに電気的に短絡されて、加熱管10aが単一の電源40に直列接続される単一の直列給電回路
給電電極50が、加熱管10aの一方の端部および他方の端部のそれぞれの管壁に配設されるようにするのは、これにより、加熱管10aの両端部の給電電極50の間の有効加熱範囲を加熱管10aの管壁のほぼ全域とするためである。なお、図示はしていないが、本発明の加熱管または被加熱流体に対しては熱電対等の測温手段が設けられ、電源の投入電力、電流、および電圧等の制御により、加熱管の温度および被加熱流体の温度等が制御される。
本実施形態に係る電源40は、直流電源でも交流電源でもよい。加熱管の電流分布の均一性が必要であれば、表皮効果の影響がない直流電源が望ましい。逆に表皮効果により、加熱管表層を加熱する目的であったり、電源の設備費等を重視するのであれば、交流電源とするのが好ましい。交流電源の場合の加熱周波数帯域は、通常の誘導加熱の場合と同じ加熱周波数帯域1kHz~400kHzでよく、表皮効果を抑える場合には、これより低い周波数帯域である1kHz未満を加熱周波数帯域とするのが好ましい。この1kHz未満の加熱周波数帯域の交流電源であれば、加熱管の電流分布への表皮効果の影響が小さく、電源コストが低い、等のメリットが得られやすいからである。
本実施形態では、加熱管10aと電源40とを、給電電極50および電線52等を介して結ぶ、給電回路の一つとして、図1に示すような(d1)加熱管10aが単一の電源40に並列接続される単一の並列給電回路を採用する。また、本実施形態では、加熱管10aと電源40とを、給電電極50および電線52等を介して結ぶ、他の給電回路として、図2に示すような(d2)加熱管10aが単一の電源40に直列接続される単一の直列給電回路を採用してもよい。これらの給電回路を構成するには、(d1)では、多重管構造の加熱部10の一方の端部および他方の端部で、給電電極50が相互に電気的に短絡されるようにすればよい。また、(d2)では、多重管構造の加熱部10の一方の端部および他方の端部で、給電電極50が一つおきに電気的に短絡されるようにすればよい。なお、いずれの給電回路においても、電流、電圧、および電力等を制御する公知技術に基づいて、本実施形態に係る流体の電気加熱装置100(110)の加熱制御を行うことができる。並列接続とするか直列接続とするかは、各加熱管の抵抗、発熱量、および被加熱流体の昇温量等を勘案して設計すればよい。
さらに、本実施形態では、(e)被加熱流体の少なくとも温度および流量を含む物理量、ならびに加熱管10aの少なくとも管壁単位面積当たりの単位発熱量を含む設備能力に基づいて、加熱管10aへの投入電力を制御する制御装置(図示せず。)を有する。この制御装置により、電源40から加熱管10aへ投入する電力を制御しながら、加熱管10aを通電加熱する。多重管構造の加熱部10全体でみると、投入電力を制御しながら、最外加熱管14では、管内側の管壁から被加熱流体を加熱し、最外加熱管14を除く全ての加熱管(最内加熱管11および中間加熱管12、13)では、管壁の両側を流れる被加熱流体を加熱する。なお、ここでの制御装置は、演算装置、記憶装置、入出力装置等を含む公知の制御装置でよく、その詳細な説明は省略する。
加熱制御に用いる、被加熱流体の温度および流量を含む、所定の物理量は、多重管構造の加熱部10の被加熱流体の入口および/または出口の近傍で測定するのが好ましい。入口近傍および/または出口近傍での被加熱流体の物理量の測定結果は、投入電力、電流、および電圧等の電源へのフィードフォワード制御および/またはフィードバック制御による被加熱流体温度制御の高精度化に寄与できるからである。なお、電気加熱では制御の応答性が高いため、多重管構造の加熱部10の被加熱流体入口近傍のみで、被加熱流体の物理量を測定し、フィードフォワード制御のみを行うようにしてもよい。加熱管10aの少なくとも管壁単位面積当たりの単位発熱量を含む設備能力は、上記のフィードバック制御およびフィードフォワード制御のいずれにおいても、加熱管10aへの投入電力、電流、および電圧等の電源の制御をするための基礎データとして用いられる。ここでの被加熱流体の温度測定手段としては、公知の熱電対による温度測定等が例示できる。また、被加熱流体の流量測定手段としては、公知の電磁流量計、羽根車式流量計、超音波流量計、および差圧式流量計(オリフィス流量計)等が例示できる。
図3に示すように、本実施形態に係る流体の電気加熱装置120は、最外加熱管14の外周面に断熱材58が被覆されるようにしてもよい。最外加熱管14を除く他の加熱管(最内加熱管11および中間加熱管12、13)では、その外周面が他の加熱管10aで囲まれ被加熱流体の流路となるため、熱損失の懸念がないのに対し、最外加熱管14の外周面からの熱放散はそのまま熱損失となるからである。また、多重管構造の加熱部10の周囲の設備等の保護のためにも、最外加熱管14の外周面からの熱放散を軽減するのが好ましいためである。なお、断熱材としては、公知の低熱伝導のセラミックスファイバーなどの断熱材を用いることができる。
また、本実施形態では、図4に示す流体の電気加熱装置130のように、多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aが加熱条件に応じて熱膨張または熱収縮しても、給電回路での断線トラブル等を有利に回避できる手段が配設されるようにしてもよい。例えば、多重管構造の加熱部10の少なくとも片側の全ての給電電極50のそれぞれと給電回路側との接続部には、少なくとも加熱管10aの熱変形が及ぶ範囲に、該熱変形に追従する可撓性導体54または摺動接点(図示せず)が配設されるようにしてもよい。これにより、多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aが、加熱条件に応じて熱膨張または熱収縮しても、電極部の変形および位置の変化に追従することができ好ましい。なお、可撓性導体とは、導体そのものが外力を受けても柔軟に折り曲がる等して熱膨張または熱収縮を吸収できる、いわゆる編組線、または水冷ケーブル、ばね式の導体等である。また、摺動接点とは、給電側の接点と受電側の接点とが、一定以上の圧力、接触面積を確保して通電状態を維持しながら摺動することで、熱膨張または熱収縮に追従できるカーボンブラシ等の公知の接点である。
次に図1に基づいて、本実施形態に係る流体の電気加熱装置100を用いた流体の電気加熱方法について説明する。本実施形態では、図1に示すように、被加熱流体は、多重管構造の加熱部10の3つの流体流路のそれぞれの流体入口20(最内加熱管の流体入口21、中間加熱管の流体入口22、および最外加熱管の流体入口24)から、それぞれ供給される。被加熱流体は、その後、多重管構造の加熱部10内の3つ加熱管10a(最内加熱管11、中間加熱管12、および最外加熱管14)で形成される流体流路を通過中に加熱される。このとき、加熱管10aの管壁が通電加熱されて発熱面となりそのまま加熱面として働くことから、被加熱流体が流体流路を通過中に加熱されることになる。なお細かく見れば、最外加熱管14では管内側の管壁から被加熱流体を加熱し、最外加熱管14を除く全ての加熱管10aでは、管壁の両側を流れる被加熱流体を加熱することになる。
加熱された被加熱流体は、それぞれの流体出口30、すなわち、最内加熱管11の流体出口31、中間加熱管12の流体出口32、および最外加熱管14の流体出口34から、それぞれ排出される。なお、図1に示す例では、中間加熱管12が1本、付随して中間加熱管の流体入口22および中間加熱管の流体出口32も1箇所ずつ記載されているが、さらに多くの中間加熱管(流体入口、流体出口を含め)が配設されてもよい。
被加熱流体の加熱制御では、不図示の制御装置により、加熱目標温度および加熱流量等の物理量、ならびに加熱管10aの単位発熱量等の設備能力に基づいた加熱部10への投入電力制御がなされる。これに加えて、加熱後の被加熱流体の温度および流量に基づくフィードバック制御等が行われるのが好ましい。
本実施形態では、複数の流体流路がそれぞれ独立した流路であるため、1または2以上の流路に、他の流路と異なる被加熱流体をそれぞれ独立して流すことにより、異種流体を非混合のまま同時に加熱することができる。これにより、被加熱流体毎の複数の加熱装置を統合することも可能になり、加熱装置設置場所の省スペース化を図ることができる。
具体的な被加熱流体の加熱用途の例としては、燃焼装置へ送られる燃料および燃焼用空気の予熱、または重油アトマイズのための重油およびアトマイズ蒸気の加熱、等を例示できるが、これに限定されない。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る流体の電気加熱装置200を模式的に示す縦断面図である。図5を参照して、実施の形態2に係る流体の電気加熱装置200について説明する。
図5に示すように、実施の形態2に係る流体の電気加熱装置200は、実施の形態1に係る流体の電気加熱装置と比較した場合に、次のような点で相違する。すなわち、具体的な相違点は、(d)加熱管10aと電源40とを結ぶ給電回路として、(d3)多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aがそれぞれ一の電源40に接続される、一加熱管一電源の給電回路の組からなる一群の給電回路を備える点である。図5に示す例は、最内加熱管11と専用の電源41、中間加熱管12と専用の電源42、および最外加熱管14と専用の電源44というような、それぞれの一加熱管一電源の給電回路が3つで一群の給電回路をなす例である。その他の構成については、実施の形態1とほぼ同様である。
以上のように構成される場合であっても、実施の形態2に係る流体の電気加熱装置200は、実施の形態1に係る流体の電気加熱装置とほぼ同様の効果が得られる。
加えて、加熱管10a毎に専用の電源40が配設されているため、加熱管10a毎のきめ細かな加熱制御をとおして、多重管構造の加熱部10全体としての加熱制御のさらなる高精度化が可能になる。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る流体の電気加熱装置300を模式的に示す縦断面図である。図6を参照して、実施の形態3に係る流体の電気加熱装置300について説明する。
図6に示すように、実施の形態3に係る流体の電気加熱装置300は、実施の形態1、2に係る流体の電気加熱装置と比較した場合に、次のような相違点を有する。すなわち、本実施形態は、多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aを、内外方向で連続した複数本で加熱管群として複数の加熱管群に分け、加熱管群毎に並列給電回路を備える点において実施の形態1、2と相違する。その他の構成については、実施の形態1、2とほぼ同様である。
図6に示す例では、多重管構造の加熱部10をなす加熱管10aを、最内加熱管11と中間加熱管12とで小断面の加熱管群15とし、その外側に連続して、中間加熱管13と最外加熱管14とで大断面の加熱管群16として、2つの加熱管群に分けている。この2つの加熱管群には、それぞれ並列給電回路により、小断面の加熱管群15には小断面の加熱管群用の電源45が連結され、また、大断面の加熱管群16には大断面の加熱管群用の電源46が連結されている。
なお、図6に示す例は一例であって、本実施形態では、加熱管群毎に、並列給電回路、直列給電回路、および一群の給電回路のうちのいずれかを備えるようする。例えば、加熱管群毎に別々の給電回路が配設され、結果的にこれら3種の給電回路全てが配設されてもよい。また、図6に示す例では、中間加熱管12、13が2本、付随して中間加熱管の流体入口22、23、および中間加熱管の流体出口32、33も2箇所ずつ記載されているが、さらに多くの中間加熱管(流体入口、流体出口を含め)が配設されてもよい。
以上のように構成される場合であっても、実施の形態3に係る流体の電気加熱装置300は、実施の形態1、2に係る流体の電気加熱装置とほぼ同様の効果が得られる。
加えて、加熱管群毎に専用の電源40が配設されているため、加熱管群毎のきめ細かな加熱制御をとおして、多重管構造の加熱部10全体としての加熱制御もさらに高精度化することができる。
以上、本発明に係る種々の実施形態の流体の電気加熱装置100、110、120、130、200、および300について説明してきたが、これらを同一の実施形態同士でまたは異なる実施形態同士で、流路方向に直列にまたは並列に連結して配設してもよい。これにより、限られた加熱装置の配設スペースのなかで、上流側と下流側とで流体の電気加熱装置の加熱能力の最適化を行う等、設備設計の自由度を高めることができる。なお、異なる実施形態の組合せとして、例えば流体の電気加熱装置100と300との組合せの場合のように流路数が異なる場合は、例えば同一の被加熱流体であれば、流路数の多い側の一部の流路を、少ない側の流路数に合わせて連結部で合流させればよい。
10 多重管構造の加熱部
10a 加熱管
11 最内加熱管
12、13 中間加熱管
14 最外加熱管
15 小断面の加熱管群
16 大断面の加熱管群
20 流体入口
21 最内加熱管の流体入口
22、23 中間加熱管の流体入口
24 最外加熱管の流体入口
30 流体出口
31 最内加熱管の流体出口
32、33 中間加熱管の流体出口
34 最外加熱管の流体出口
40 電源
41 最内加熱管用の電源
42 中間加熱管用の電源
44 最外加熱管用の電源
45 小断面の加熱管群用の電源
46 大断面の加熱管群用の電源
50 給電電極
52 電線
54 可撓性導体
56 振れ止め部材(スペーサー)
58 断熱材
60 流体の電気加熱装置
62 発熱体
62a 非磁性管
62b 磁性管
64、66 管支え板
68 内側断熱材
70 外側断熱材
72 誘導加熱コイル
74 流体入口ヘッダー
76 流体出口ヘッダー
80 流体の電気加熱装置
82 加熱管体
84 非加熱管体
86 管体継ぎ手
88 交流電源
90 支持台
92 電気絶縁体
94 ジャンパー
100、110、120、130、200、300 流体の電気加熱装置

Claims (13)

  1. 導電性の加熱管が、互いに略相似形断面の複数本で、大断面の加熱管に小断面の加熱管が非接触で挿通されるようにして多重管構造の加熱部をなし、前記加熱管同士の間の環状の間隙を、最内加熱管の管内とともに被加熱流体の複数の流体流路とする、通電加熱による多重管式の流体の電気加熱装置であって、
    (a)前記加熱管の一方の端部および他方の端部のそれぞれに接続され、前記被加熱流体を供給し且つ排出させる流体給排手段と、
    (b)前記加熱管の一方の端部および他方の端部のそれぞれの管壁に配設され、前記加熱管に給電する給電電極と、
    (c)前記給電電極を通して、前記加熱管の一本または複数本に給電する電源と、
    (d)前記加熱管と前記電源とを結ぶ給電回路と、
    (e)前記被加熱流体の少なくとも温度および流量を含む物理量、ならびに前記加熱管の少なくとも管壁単位面積当たりの単位発熱量を含む設備能力に基づいて、前記加熱管への投入電力を制御する制御装置と、
    を有する、流体の電気加熱装置。
  2. 前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管を、内外方向で連続した複数本で加熱管群として複数の加熱管群に分け、前記加熱管群毎に前記給電回路を配設した、請求項1に記載の流体の電気加熱装置。
  3. 前記給電回路が、
    (d1)前記多重管構造の加熱部の一方の端部および他方の端部で、前記給電電極が相互に電気的に短絡されて、前記加熱管が単一の前記電源に並列接続される単一の並列給電回路、
    (d2)前記多重管構造の加熱部の一方の端部および他方の端部で、前記給電電極が一つおきに電気的に短絡されて、前記加熱管が単一の前記電源に直列接続される単一の直列給電回路、
    および、
    (d3)前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管がそれぞれ一の前記電源に接続される、一加熱管一電源の給電回路の組からなる一群の給電回路、
    のうちのいずれかの給電回路である、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  4. 前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管は、横断面外形寸法の異なる内外方向の前記加熱管同士の間で、または、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管同士の間で、少なくとも一部に他と異なる発熱特性を有する、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  5. 前記多重管構造の加熱部をなす前記加熱管は、横断面外形寸法の異なる内外方向の前記加熱管同士、および、同一横断面外形寸法で長手方向に相互に接合された部分加熱管同士、のいずれか一方または双方で、比抵抗、断面積、および長さのいずれか1または2以上を変数にしてそれぞれ異なる所定の前記単位発熱量を有する、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  6. 前記加熱管の略相似形断面の形状が、円形または多角形である、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  7. 前記最内加熱管の管内の流体流路を除く前記流体流路内に、電気的な絶縁層を有する振れ止め部材を配設する、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  8. 前記加熱管の内周面および外周面のいずれか一方または双方に電気的な絶縁層を有する、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  9. 前記最外加熱管の外周面に断熱材が配設される、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  10. 前記多重管構造の加熱部の少なくとも片側の全ての前記給電電極のそれぞれと前記給電回路側との接続部には、前記加熱管の熱変形に追従する可撓性導体または摺動接点が配設される、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  11. 前記流体給排手段が、流体供給ヘッダーおよび流体排出ヘッダーを備える、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。
  12. 請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置を用いて、被加熱流体を加熱する、流体の電気加熱方法。
  13. 前記複数の流体流路の内の1または2以上の流路に、他の流路と異なる前記被加熱流体を、それぞれ独立して流すことにより、異種流体を非混合のまま同時に加熱する、請求項12に記載の流体の電気加熱方法。

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