JP2024061223A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024061223A
JP2024061223A JP2022169026A JP2022169026A JP2024061223A JP 2024061223 A JP2024061223 A JP 2024061223A JP 2022169026 A JP2022169026 A JP 2022169026A JP 2022169026 A JP2022169026 A JP 2022169026A JP 2024061223 A JP2024061223 A JP 2024061223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
polypropylene
polypropylene resin
expanded
random copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022169026A
Other languages
English (en)
Inventor
琢也 千葉
泰三 北原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSP Corp
Original Assignee
JSP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSP Corp filed Critical JSP Corp
Priority to JP2022169026A priority Critical patent/JP2024061223A/ja
Priority to PCT/JP2023/036097 priority patent/WO2024075742A1/ja
Publication of JP2024061223A publication Critical patent/JP2024061223A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、ポリプロピレン系樹脂粒子からポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る際の発泡性と、得られた発泡粒子から発泡粒子成形体を得る際の成形性が共に優れる、発泡粒子の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、特定の方法によりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法であって、ポリプロピレン系樹脂粒子は、特定のポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)と、特定のインパクトポリプロピレン樹脂(B)とを混練して得られるポリプロピレン系樹脂(P)を基材樹脂とし、共重合樹脂(A)の配合量とインパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量との質量比が特定の菅家を満足し、共重合樹脂(A)の融点とインパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点とが特定の関係を満足し、共重合樹脂(A)のMFRと、インパクトポリプロピレン(B)のMFRとが特定の関係を満足する。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、ポリスチレン系樹脂発泡粒子成形体に比して耐薬品性、耐衝撃性、圧縮歪回復性等に優れることから、電気・電子分野、自動車、建材分野、雑貨など幅広い分野に使用されている。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させてポリプロピレン系樹脂発泡粒子とし、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形することにより得られるものである。
近年、発泡粒子製造時の生産性を向上させたり、環境負荷を低減させる等の観点から、発泡性に優れるポリプピレン系樹脂発泡粒子の製造方法が求められるようになってきている。
しかし、従来の方法では、発泡性を向上させた製造方法にて得られた発泡粒子を用いて型内成形を行うと、型内成形直後に成形体が収縮しやすくなって、発泡粒子から発泡粒子成形体を得る際の成形性が低下してしまうおそれがあった。本発明は、樹脂粒子から発泡粒子を得る際の発泡性と、得られた発泡粒子から発泡粒子成形体を得る際の成形性が共に優れる、発泡粒子の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
[1]
密閉容器内にて分散媒に分散している、発泡剤を含むポリプロピレン系樹脂粒子を分散媒とともに該密閉容器内から該容器内の圧力よりも低圧域に放出して、該ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂及びエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂から選択されるポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)と、ポリプロピレンをマトリックスとし、エチレンプロピレンゴムを含むゴム状体をドメインとするモルフォロジーを有するインパクトポリプロピレン樹脂(B)とを混練して得られるポリプロピレン系樹脂(P)を基材樹脂とし、
前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の配合量:aと前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量:bとの質量比がa:b=55:45~98:2を満足し、
前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点:d(℃)と、前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点:c(℃)とが下式(1)及び(2)を満足すると共に、
150(℃)<c<170(℃) (1)
5(℃)≦c-d≦35(℃) (2)
前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイト:f(g/10min)と、前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイト:e(g/10min)とが、下式(3)、(4)及び(5)を満足する、
3(g/10min)≦e (3)
0.3(g/10min)≦e/f≦8(g/10min) (4)
3(g/10min)≦f≦ 10(g/10min) (5)
ことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
[2]
前記ポリプロピレン系樹脂(P)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイトが5g/10min以上20g/10min以下である、前記[1]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
[3]
前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率が800MPa以上1200MPa以下である、前記[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
[4]
前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率に対する、ランダム共重合樹脂(A)の曲げ弾性率の比が0.5以上1未満である、前記[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
本発明によれば、特定の関係を満たすポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)とインパクトポリプロピレン樹脂(B)とを混練してなる樹脂粒子を前記方法により発泡させることにより、樹脂粒子から発泡粒子を製造する際の発泡性に優れると共に、得られた発泡粒子を用いて型内成形する際の成形性にも優れる、発泡粒子の製造方法が提供される。
図1は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の顕微鏡写真(5000倍)の一例を示す図面である。 図2は、高温ピークを持つポリプロピレン系樹脂発泡粒子の、第1回目のDSC曲線のチャートの一例を示す模式図である。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法について詳細に説明する。
該ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、ポリプロピレン系樹脂の樹脂粒子(以下、ポリプロピレン系樹脂粒子、又は単に樹脂粒子ともいう。)を密閉容器内にて分散媒に分散させると共に、物理発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、該発泡性樹脂粒子を分散媒とともに該密閉容器内から該容器内の圧力よりも低圧域に放出して発泡させるという、所謂分散媒放出発泡方法により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう。)が製造される。
本発明の製造方法において、ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂(P)を基材樹脂とする。ポリプロピレン系樹脂(P)は、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)とインパクトポリプロピレン樹脂(B)とを溶融混練して得られるものである。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂とはプロピレンに由来する構造単位を50質量%以上有するものをいう。また、基材樹脂とするとは、基材樹脂の50質量%以上がポリプロピレン系樹脂であることをいい、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)は、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂及びエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂から選択される。即ち、共重合樹脂(A)は、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂又はエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のどちらか単独でもよく、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂とエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂との混合物であってもよい。
エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂のコモノマー成分としては、プロピレン成分を主成分とし、共重合樹脂中のエチレン成分の含有量が0.5質量%以上6質量%以下であることが好ましい。なお、エチレン-プロピレンランダム共重合樹脂中のエチレン成分とプロピレン成分との合計は100質量%である。共重合樹脂中のエチレン成分の含有量は0.8質量%以上5.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、コモノマー成分の含有量は、IRスペクトル測定により求めることができる。ここで、エチレン-プロピレン共重合樹脂のエチレン成分、プロピレン成分は、エチレン-プロピレン共重合樹脂におけるエチレン由来の構成単位、プロピレン由来の構成単位をそれぞれ意味する。また、共重合樹脂中の各モノマー成分の含有量は、共重合樹脂中の各モノマー由来の構成単位の含有量を意味するものとする。
エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂はプロピレン成分を主成分とし、コモノマー成分としては、エチレン、1-ブテン,cis-2-ブテン,trans-2-ブテン,及び2-メチルプロペンが挙げられる。
エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のブテン成分含有量は、好ましくは0.2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上12質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下である。エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のブテン成分含有量が前記範囲内であれば、発泡粒子は、成形性と剛性とのバランスにより優れるものとなる。共重合樹脂のブテン成分に用いられるブテンは、直鎖のα-オレフィンである1-ブテンが好ましい。
また、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のエチレン成分含有量は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.4質量%以上3質量%以下である。
また、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のプロピレン成分含有量は、好ましくは85質量%以上98質量%以下、より好ましくは86質量%以上95質量%以下、更に好ましくは88質量%以上92質量%以下である。
なお、コモノマー成分の含有量は、IRスペクトル測定により求めることができる。ここで、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂のエチレン成分、プロピレン成分、ブテン成分は、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂におけるエチレン由来の構成単位、プロピレン由来の構成単位、ブテン由来の構成単位をそれぞれ意味する。また、共重合樹脂中の各モノマー成分の含有量は、共重合樹脂中の各モノマー由来の構成単位の含有量を意味するものとする。
前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)(以下、インパクトポリプロピレン樹脂をICPともいう。)は、ポリプロピレンをマトリックスとし、エチレンプロピレンゴムを含むゴム状体をドメインとするモルフォロジーを有する樹脂である。前記ゴムとは、ゴム弾性を有するものをいい、樹脂とは異なるものである。
図1に、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の顕微鏡写真の一例を示す。
インパクトポリプロピレン樹脂(B)のモルフォロジーは、以下の方法により観察することができる。
まず、インパクトポリプロピレン樹脂(B)から観察用サンプルを切り出し、次いで、この観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウムにて染色させた後、ウルトラミクロトーム等を用いてサンプルから切片を作製する。この切片を透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子社製「JEM-1040Flash」)のグリッドに載せ、倍率10000倍または5000倍で観察すると共に、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の断面写真(以下、TEM写真と略すことがある)を撮影する。断面写真から、ポリプロピレンの相とエチレンプロピレンゴムの相のモルフォロジーを目視にて観察することができる。
また、インパクトポリプロピレン樹脂(B)における、エチレンプロピレンゴムの相(ドメイン)の平均径は0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。 エチレンプロピレンゴムから構成されるドメインの平均直径は、前記TEM写真を用いて算出することができる。具体的には、TEM写真において無作為に選択した30個のドメインの面積をそれぞれ計測し、計測値を相加平均すると共に、円相当径に換算することで、エチレンプロピレンゴムの相(ドメイン)の平均径(円相当径の平均値)を算出することができる。なお、エチレンプロピレンゴムの円相当径の平均値は、エチレンプロピレンゴムの面積の平均値と同じ面積を有する真円の直径である。尚、エチレンプロピレンゴムの相(ドメイン)とは、エチレンプロピレンゴムの相単独、およびエチレンプロピレンゴムとポリエチレンが隣接している場合はエチレンプロピレンゴムとポリエチレンの相全体のことを示す。
インパクトポリプロピレン樹脂(ICP)中のエチレンプロピレンゴム(EPR)の含有割合は、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
インパクトポリプロピレン樹脂(B)中のエチレンプロピレンゴムの含有量は、以下の方法で測定することができる。 インパクトポリプロピレン樹脂(B)の試料5gを135℃のn-デカン500mlに添加し、可溶性の成分(可溶性のポリマー)を完全に溶解させた後、23℃に降温して24時間放置し、次に、この溶液に対して遠心分離を行い、分離後の液相を1000mlのアセトン中にデカンテーションして、ポリマー(エチレンプロピレンゴム)を析出させる。この析出物を濾別し、洗浄した後、乾燥させ、その重量を測定する。測定された重量を資料の重量で除し、百分率で表すことで、インパクトポリプロピレン樹脂(B)中のエチレンプロピレンゴムの含有量を求めることができる。
インパクトポリプロピレン樹脂(B)は、一般に、自動車用のポリプロピレン系樹脂として使用、市販されているものであり、多様なプロセスで製造される。例えば、多段のプロセスで製造され、前段でプロピレンガスによるホモポリプロピレン(ホモPP)を、後段でエチレンガスを共存させてエチレンプロピレンゴム(EPR)を重合することにより製造することができる。また、ICPには、ホモPPとEPRのブレンドとして供給されるものも含まれ、いわゆるブロックポリプロピレンと呼ばれるものも含まれる。
なお、ICP中には、エチレンプロピレンゴムの他に、ポリエチレンを混合、またはエチレンを重合時に追添加して重合することにより配合することができる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ICP中のポリエチレンの含有量は、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムとポリエチレンの合計100質量%に対して、0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上27質量%以下であることがより好ましい。
また、ICP中のエチレン成分の含有量は、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。ここで、エチレン成分とは、エチレンプロピレンゴムに含まれるエチレン成分とその他添加されたポリエチレンのエチレン成分との合計として算出される。前記含有量は、IRスペクトルにより決定する公知の方法により求めることができる。なお、具体的には、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、出版年月:1995年1月、出版社:紀伊国屋書店、ページ番号と項目名:615~616「II.2.3 2.3.4 プロピレン/エチレン共重合体」、618~619「II.2.3 2.3.5 プロピレン/ブテン共重合体」)に記載されている方法、つまり、エチレンの吸光度を所定の係数で補正した値とフィルム状の試験片の厚み等との関係から定量する方法により求めることができる。
ICPの重量平均分子量(Mw)は、10万以上100万以下であることが好ましく、15万以上50万以下であることがより好ましく、11万以上40万以下であることが特に好ましい。ICPの重量平均分子量が前記範囲内であれば、より成形性に優れる発泡粒子となる。また、ICPにおいては、数平均分子量(Mn)は2万以上5万以下であると共に、数平均分子量(Mn)に対する、重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は7以上10以下であることが好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)は、試料30mgをo-ジクロロベンゼン20mLに145℃で振とう、溶解した後、その溶液を孔径が1.0μmの焼結フィルターで熱濾過したものを分析試料とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定することができる。
ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)にインパクトポリプロピレン樹脂(B)が配合されていると、発泡粒子製造時の発泡性や、広い成形範囲を確保しつつ、型内成形時の発泡粒子の成形性を向上させることができる。これは、インパクトポリプロピレン樹脂(B)が配合されていると、高い成形温度で成形を行っても、発泡粒子の気泡膜強度が高く維持されるためであると考えられる。
本発明においては、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の配合量:aとインパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量:bとの比は、質量比でa:b=55:45~98:2で定まる範囲内にあることを要する。
インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量が多すぎると、気泡膜が破泡し易くなり、発泡性向上効果が得られないおそれがある。一方、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量が少なすぎると、発泡後の収縮が大きくなり、発泡粒子が収縮してしまうことから、結果として発泡性向上効果が得られないおそれがある。
かかる理由により、aとbとの質量比は、a:b=60:40~97:3の範囲内にあることが好ましく、より好ましくはa:b=70:30~96:4である。
また、本発明においては、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点:c(℃)と、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点:d(℃)とは下式(1)及び(2)を満足することを要する。
150(℃)<c<170(℃) (1)
5(℃)≦c-d≦35(℃) (2)
インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点とポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点とが上式の関係を満足することにより、適正な発泡温度にまで密閉容器内温度を上昇させても、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の結晶が存在することで、ポリプロピレン系樹脂(P)全体としては発泡しやすく、気泡膜が伸びやすいにもかかわらず、樹脂(P)全体として適度な剛性を維持することができるため、発泡性を向上させることができると考えられる。
前記の観点から、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点:c(℃)は、下式(6)を満足することが好ましく、下式(7)を満足することがより好ましい。
155(℃)<c<168(℃) (6)
158 (℃)<c<165(℃) (7)
また、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点:c(℃)と、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点:d(℃)とは、発泡性の付与と良好な成形性とのバランスの観点から、下式(7)を満足することが好ましく、下式(8)を満足することがより好ましい。
7(℃)≦c-d≦30(℃) (8)
8(℃)≦c-d≦25(℃) (9)
また、成形性を向上させるという観点から、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点:d(℃)は、下式(10)を満足することが好ましく、下式(11)を満足することがより好ましい。
130(℃)<d<155(℃) (10)
135(℃)<d<150(℃) (11)
前記共重合樹脂(A)の融点及びインパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点は、JIS K7121:1987に基づき求められる。DSC曲線に現れた最大融解ピークの頂点温度を融点とする。
更に、本発明においては、インパクトポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレイト:e(g/10min)とポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)のメルトフローレイト:f(g/10min)とは、下式(3)、(4)、及び(5)を満足することを要する。
3(g/10min)≦e (3)
0.3(g/10min)≦e/f≦8(g/10min) (4)
3(g/10min)≦f≦10(g/10min) (5)
インパクトポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレイト(以下、MFRともいう。)が低すぎると発泡時に気泡膜部分が伸びにくくなり、発泡性が低下し易くなる。また、得られる発泡粒子に残留応力が残りやすくなり、成形性が悪くなるおそれがある。
一方、インパクトポリプロピレン樹脂(B)のMFRが共重合樹脂のMFRに対して高くなりすぎると、気泡膜の強度が低くなって、破泡し易くなり、得られる発泡粒子に収縮が生じたり、成形性が悪化するおそれがある。
かかる理由により、インパクトポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレイト:e(g/10min)は、下式(12)を満足することが好ましく、下式(13)を満足することがより好ましい。
3.5(g/10min)≦e(g/10min)≦80 (12)
4(g/10min)≦e(g/10min) ≦50 (13)
また、インパクトポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレイト:e(g/10min)とポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)のメルトフローレイト:f(g/10min)とは、下式(11)を満足することが好ましく、下式(12)を満足することがより好ましい。
0.5(g/10min)≦e/f≦7.5(g/10min) (14)
1(g/10min)≦e/f≦7(g/10min) (15)
また、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)のメルトフローレイト:f(g/10min)は、下式(16)を満足することが好ましく、下式(17)を満足することがより好ましい。
4(g/10min)≦f≦9(g/10min) (16)
5(g/10min)≦e/f≦8.5(g/10min) (17)
本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂(P)のメルトフローレイト(MFR)は5g/10min以上20g/10min以下であることが好ましい。MFRがこの範囲内であれば、発泡性と成形性のバランスが良好となり、低見掛け密度で型内成形性に優れた発泡粒子を得ることができる。かかる理由により、MFRは、6g/10min以上18g/10min以下であることがより好ましく、7g/10min以上15g/10min以下であることが更に好ましい。
本明細書において、メルトフローレイト(MFR)の測定は、JIS K7210-1:2014に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される値である。
前記共重合樹脂(A)や前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)には、前述した作用効果を損なわない範囲で、気泡調整剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、抗菌剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。その配合量は、樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
なお、前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)として、自動車回収原料(ASR)由来を用いた場合には、インパクトポリプロピレン樹脂(B)中の灰分量は、概ね、0.5質量%以上20質量%以下であり、1質量%以上10質量%以下であることが多い。なお、本明細書において、ASRとは、平成14年法律第87号「使用済自動車の再資源化等に関する法律」の第二条の5で定義されている「自動車破砕残さ」をいう。より具体的には、使用済自動車からエンジンやバッテリー等の再生可能な部品等を取り外した後の解体自動車を破砕し、破砕物から金属その他有用なものを分別し、これらを回収した後に残存する物をASRという。
また、インパクトポリプロピレン樹脂(B)として、自動車回収原料(ASR)を用いた場合には、インパクトポリプロピレン樹脂(B)はカーボンブラック(CB)を含むことが多く、そのカーボンブラックの含有量は概ね0.1質量%以上1質量%以下である。また、前記灰分量に対するカーボンブラック(CB)の含有量の比(CB量/灰分量)は、概ね0.005以上2以下であり、0.01以上1.0以下であることが多い。
このようなインパクトポリプロピレン樹脂(B)が用いられる場合には、MFRが上式(3)、(4)、及び(5)を満足することにより、インパクトポリプロピレン樹脂(B)中に添加剤が均一に分散され、気泡径が均一で、成形性に優れる発泡粒子が得られる。
前記灰分量及びCB量は、熱重量分析測定装置を用いて測定することができる。
前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率は、800MPa以上1200MPa以下であることが好まく、さらには、900MPa以上1100MPa以下であることが好ましい。ポリプロピレン(B)の曲げ弾性率がこの範囲内であれば、発泡性と成形性のバランスが良好となり、特に、気泡径が小さく気泡膜が薄くても、低見掛け密度で型内成形性に優れた発泡粒子を得ることが出来る。
また、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の曲げ弾性率は、600MPa以上1200MPa以下であることが好ましく、750MPa以上1000MPa以下であることが好ましい。さらに、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率に対する、ランダム共重合樹脂(A)の曲げ弾性率の比は0.5以上1未満であることが好ましく、0.7以上0.9以下であることがさらに好ましい。
インパクトポリプロピレン樹脂(B)及びポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の曲げ弾性率は、JIS K7171:2008に基づき、求めることができる。
本発明によれば、得られる発泡粒子の見掛け密度を、好ましくは15kg/m以上400kg/m以下にすることができる。発泡粒子の見掛け密度が小さすぎると、得られる発泡粒子成形体の収縮が大きくなり、発泡粒子成形体を製造することが困難となるおそれがある。一方、発泡粒子の見掛け密度が大きすぎると、軽量性や断熱性等の発泡体の長所が失われるおそれがある。かかる観点から、発泡粒子の見掛け密度は20kg/m以上300kg/m以下がより好ましく、更に好ましくは24kg/m以上240kg/m以下である。
見掛け密度が更に小さい発泡粒子が望まれる場合には、分散媒放出発泡方法により得た発泡粒子(以下、一段発泡粒子と呼ぶ。)を再度発泡させる方法(以下、二段発泡法と呼び、二段発泡法によって得た発泡粒子を二段発泡粒子と呼ぶ。)を採用することができる。二段発泡粒子は、例えば一段発泡粒子を密閉容器内に入れて無機ガス等によって加圧処理して発泡粒子内の圧力を常圧よりも高くした後、該発泡粒子をスチーム等で加熱して更に発泡させる方法により得ることができる。
発泡粒子の見掛け密度は、次のようにして求められる。
相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して状態調節した発泡粒子群の重量W(g)を発泡粒子群の体積V(L)で除する(W/V)ことにより求めることができる。なお、発泡粒子群の体積V(L)は、23℃のアルコール(例えばエタノール)などの液体を入れたメスシリンダーを用意し、メスシリンダー内の液体中に発泡粒子群を、金網などを使用して沈め、液体の液面の上昇分から求めることができる。
本発明により得られる発泡粒子の平均気泡径は、20μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以上300μm以下、更に好ましくは50μm以上200μm以下である。
本発明の製造方法において、インパクトポリプロピレン樹脂(B)として自動車回収原料が用いられた場合には、灰分量やカーボンブラックなどの添加剤量が多くなり、平均気泡径は小さくなる傾向がある。しかし、平均気泡径が小さくなっても、特定のMFRを有するインパクトポリプロピレン樹脂(B)を用いることにより、添加剤を良好に分散させることで発泡性に優れる発泡粒子の製造方法を提供でき、さらには、得られた発泡粒子は良好な成形性を有するものとなる。
発泡粒子の平均気泡径は、次のようにして測定される。
発泡粒子を略二等分した切断面を顕微鏡で撮影した拡大写真に基づき、以下のとおり求めることができる。まず、発泡粒子の切断面拡大写真において発泡粒子の一方の表面から他方の表面に亘って、気泡切断面の略中心を通る4本の線分を引く。ただし、該線分は、気泡切断面の略中心から切断粒子表面へ等間隔の8方向に伸びる放射状の直線を形成するように引くこととする。次いで、前記4本の線分と交わる気泡の数の総数N(個)を求める。4本の各線分の長さの総和L(μm)を求め、総和Lを総和Nで除した値(L/N)を発泡粒子1個の平均気泡径とする。この作業を10個の発泡粒子について行い、各発泡粒子の平均気泡径を相加平均し、0.616で除した値を発泡粒子の平均気泡径とする。
また、発泡粒子の独立気泡率は、75%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。独立気泡率が小さすぎると、発泡粒子の二次発泡性が低下するとともに、得られる成形体の機械的物性も低下するおそれがある。
発泡粒子の独立気泡率は、次のようにして測定される。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置し養生する。次に同恒温室内にて、嵩体積約20cmの養生後の発泡粒子を測定用サンプルとし水没法により正確に見かけの体積Vaを測定する。見かけの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製空気比較式比重計930により測定される測定用サンプルの真の体積Vxを測定する。そして、これらの体積Va及びVxを基に、下記(83)式により独立気泡率を計算し、N=5の平均値を発泡粒子の独立気泡率とする。
独立気泡率(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(18)
ただし、
Vx:前記方法で測定される発泡粒子の真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm
Va:発泡粒子を、水の入ったメスシリンダーに沈めて、水位上昇分から測定される発泡粒子の見かけの体積(cm
W:発泡粒子測定用サンプルの重量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm
次に、本発明により得られる発泡粒子における二次結晶の成長について説明する。
本発明により得られる発泡粒子は、二次結晶を有し、該発泡粒子2~10mgを熱流束示差走査熱量測定法により、10℃/分の昇温速度で23℃から220℃まで加熱したときに得られるDSC曲線(第1回加熱のDSC曲線)が、ポリプロピレン系樹脂に固有の吸熱ピークa(以下、単に「固有ピーク」ともいう)と、該固有ピークの高温側に、該二次結晶に由来する1つ以上の吸熱ピークb(以下、単に「高温ピーク」ともいう)とを有することが好ましい。
該高温ピークの融解熱量(ΔH2)(以下、単に高温ピーク熱量(ΔH2)ともいう。)は、5J/g以上30J/g以下であることが好ましく、より好ましくは10J/g以上25J/g以下である。該高温ピーク熱量がこの範囲内であることにより、成形時の融着性に優れる発泡粒子となると共に、機械的強度に優れた成形体を得ることができる。
前記第1回加熱のDSC曲線と、固有ピーク熱量、高温ピーク熱量の測定は、JIS K7122:1987年に準拠する測定方法により次のように行なう。
まず、発泡粒子2~10mgを採取し、示差走査熱量測定装置によって23℃から220℃まで10℃/分で昇温測定を行なう。かかる測定により得られたDSC曲線の一例を図2に示す。
図2のDSC曲線には、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂に由来する固有ピークaと、該固有ピークの高温側に高温ピークbが示され、高温ピークb熱量はそのピーク面積に相当するものである。具体的には次のようにして求める。 まず、DSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α-β)を引く。尚、前記融解終了温度Tとは、高温ピークBの高温側におけるDSC曲線と高温側ベースラインとの交点をいう。
次に前記の固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α-β)と交わる点をδとする。高温ピークbの面積は、DSC曲線の高温ピークb部分の曲線と、線分(δ-β)と、線分(γ-δ)とによって囲まれる部分(図2において斜線を付した部分)の面積であり、これが高温ピークの熱量に相当する。前記の手順により、融点の測定を行うものとする。
尚、高温ピークbは、前記のようにして測定した第1回加熱時のDSC曲線には認められるが、第2回目に昇温して得られたDSC曲線には認められない。第2回加熱時のDSC曲線には、発泡粒子を構成するPP樹脂に固有の吸熱曲線ピークのみが認められる。
発泡粒子の高温ピーク熱量は周知の方法で調節可能であり、具体的には、その調節方法は、例えば特開2001-151928号等に開示されている。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法について更に詳しく説明する。
本発明の発泡粒子は、従来公知の分散媒放出発泡方法により、製造される。
ポリプロピレン系樹脂粒子をオートクレーブ等の密閉容器内にて水等の分散媒に分散させ、無機系物理発泡剤を圧入し、樹脂粒子の軟化温度以上の温度に加熱し、樹脂粒子内に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら、密閉容器内の水面下の一端を開放し、該発泡性樹脂粒子を水等の分散媒とともに該密閉容器内から該容器内の圧力よりも低圧域、通常は大気圧下に放出して発泡させる、所謂分散媒放出発泡法によって得ることができる。
該樹脂粒子は、前記したポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)と、インパクトポリプロピレン樹脂(B)とを前記の配合割合で混合し、更に必要に応じて気泡調節剤等の添加剤を混合して押出機に供給して加熱、混練し、ダイから多数のストランドとして押出し、該ストランドを水中を通して冷却してから適宜長さに切断したり、ダイからポリプロピレン系樹脂(P)の溶融樹脂組成物を水中に押出すのと同時に切断・冷却する等の手段により製造することができる。
前記ポリプロピレン系樹脂(P)には、前述した作用効果を損なわない範囲で、気泡調整剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、抗菌剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。その含有量は、ポリプロピレン系樹脂(P)100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
発泡粒子の気泡径を調節するために、気泡調節剤を添加することが好ましい。該気泡調節剤としては、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ミョウバン等の無機物が挙げられる。その添加量は、ポリプロピレン系樹脂(P)100重量部あたり、0.001~10重量部が好ましく、0.01~5重量部がより好ましい。
尚、ポリプロピレン系樹脂(P)に気泡調節剤を添加する場合、気泡調節剤をそのまま配合することもできるが、通常は分散性等を考慮して気泡調節剤のマスターバッチとして添加することが好ましい。
該樹脂粒子の重量は、型内への発泡粒子の均一な充填性を確保できることから、0.02~20mgが好ましく、0.1~6mgがより好ましい。
発泡が生じない高圧下から発泡の生じる低圧下へ放出する際の高圧下と低圧下の差圧は400kPa以上、好ましくは500~15000kPaとすることが好ましい。
分散媒放出発泡法で用いられる発泡剤としては、通常、プロパン、イソブタン、ブタン、イソペンタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン等の有機系物理発泡剤や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機系物理発泡剤が挙げられる。これらの中でもオゾン層の破壊がなく且つ安価な無機ガス系発泡剤が好ましく、特に窒素、空気、二酸化炭素が好ましい。又、これらの発泡剤の二種以上の混合系にて使用することもできる。
発泡剤の使用量は、得ようとする発泡粒子の見掛け密度と発泡温度との関係に応じて適宜に選択される。具体的には、窒素、空気を除く前記発泡剤の場合、発泡剤の使用量は通常樹脂粒子100重量部当り2~50重量部である。また窒素、空気の場合は、密閉容器内の圧力が10~70kgf/cmGの圧力範囲内となる量が使用される。
密閉容器内において、樹脂粒子を分散させるための分散媒としては水が好ましいが、樹脂粒子を溶解しないものであれば使用することができ、このような分散媒としては例えば、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
密閉容器内において、樹脂粒子を分散媒に分散せしめて発泡温度に加熱するに際し、樹脂粒子相互の融着を防止するために融着防止剤を用いることもできる。融着防止剤としては水等に溶解せず、加熱によっても溶融しないものであれば、無機系、有機系を問わずいずれも使用可能であるが、一般的には無機系のものが好ましい。
無機系の融着防止剤としては、カオリン、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の粉体が好適である。該融着防止剤としては平均粒径0.001~100μm、特に0.001~30μmのものが好ましい。また融着防止剤の添加量は樹脂粒子100重量部に対し、通常は0.01~10重量部が好ましい。
また分散助剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤や硫酸アルミニウムが好適に使用される。該分散助剤は樹脂粒子100重量部当たり、通常0.001~5重量部添加することが好ましい。
本発明により得られる発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体(以下、単に発泡粒子成形体または成形体ともいう。)の製造に用いられる。
該発泡粒子成形体は、必要に応じて従来公知の方法により、前記発泡粒子を成形型内に充填し、スチームで加熱成形することにより得ることができる。即ち、発泡粒子を閉鎖し得るが密閉し得ない成形型内に充填した後、成形型内にスチームを導入することにより、発泡粒子を加熱し発泡させ、相互に融着させて成形空間の形状が賦形された成形体を得ることができる。また、必要に応じて前記した二段発泡における操作と同様に発泡粒子内の圧力を高める加圧処理操作を行なって発泡粒子内の内圧を0.01~0.2MPa(G)に調整した発泡粒子を用いて成形することもできる。このようにすると、より低見掛け密度の成形体を得ることができる。
型内成形により得られた成形体の独立気泡率は、75%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。独立気泡率が小さすぎると、低見掛け密度の成形体となりにくく、機械的物性が劣ったものとなりやすい。
なお、成形体の独立気泡率は、次のようにして測定される。
得られた成形体を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置し養生する。次に、該成形体から25×25×30mmの試料を切出し、該試料を用いて前記した発泡粒子の独立気泡率と同様に測定する。
成形体の密度は、重量を求めた後に該試料の外形寸法から求めた体積で除し、単位換算することによって求められる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
実施例、比較例において、次の原料を用いた。
(ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A))
(1)略称「r-PP1」:株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン(エチレン含有量2.5質量%)
(2)略称「r-PP2」:中国石化上海石油化工股▲分▼有限公司(Sinopec Shanghai Petrochemical Co., Ltd.)製、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂(エチレン含有量0.9質量%、ブテン含有量9.6質量%)
(インパクトポリプロピレン樹脂(B))
(1)略称「ICP1」:プラニック製ポリプロピレン「PLC-A02」、重量平均分子量(Mw)22万、数平均分子量(Mn)2.4万、エチレン成分26質量%。
(2)略称「ICP2」:出光興産株式会社製ブロックポリプロピレン「MK112」
(3)略称「ICP3」:プライムポリマー社製ブロックポリプロピレン「J762HP」
(4)略称「ICP4」:ICP2の分解原料(ICP2に日油株式製パーヘキサ25Bを0.2質量部加えて押出機にて一度溶融混錬し、ペレット化したものである)
(5)略称「ICP5」:REEF Technology Co.,Ltd.製ブロックポリプロピレン「rPP CPP050RP」、重量平均分子量(Mw)26.5万、数平均分子量(Mn)4.6万。
これらのポリプロピレン系樹脂の各種物性を表1に示す。
(気泡調整剤)
ホウ酸亜鉛粉末(商品名:ほう酸亜鉛2335、(株)富田製薬製)
(ポリプロピレン系樹脂の融点及び融解熱量)
表1中、融点、融解熱量は次のように測定した。
ポリプロピレン系樹脂の融点及び融解熱量は、JIS K7121:1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて測定した。まず、ポリプロピレン系樹脂からなる試験片を準備し、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に1日以上静置して試験片の状態を調節した。状態調節後の試験片を10℃/分の昇温速度で23℃から200℃まで昇温した後に、10℃/分の冷却速度で23℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で23℃から200℃まで昇温した。そして、2回目の昇温時に得られるDSC曲線により定まる吸熱ピークの頂点温度を樹脂の融点とした。なお、前記2回目のDSC曲線に複数の吸熱ピークが表れる場合は、最も面積の大きな吸熱ピークの頂点温度を融点とした。DSC曲線の取得には、熱流束示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「DSC7020」)を用いた。また、前述した方法により得られる2回目のDSC曲線において、ポリプロピレン系樹脂の融解に対応する吸熱ピークの面積(単位:J)を算出した。この吸熱ピークの面積を試験片の質量(単位:g)で除した値をポリプロピレン系樹脂の融解熱量(単位:J/g)とした。
実施例1~4、比較例1~6
[樹脂粒子の製造]
まず、表2、表3に示すポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)と、インパクトポリプロピレン樹脂(B)とを表2、表3に示す配合割合で押出機に供給し、さらに気泡調整剤としてホウ酸亜鉛の含有量が1000重量ppmとなるようにして、溶融混錬した後、押出機からストランド状に押出し、このストランドを冷却後切断して、重量約1.0mgの着色樹脂粒子を得た。なお、実施例4、比較例1、比較例2、比較例5、比較例6においては、表2、3に記載のCB量、灰分量となるように、r-PP1を基材とするカーボンブラックマスターバッチ、タルクマスターバッチを別途添加して着色樹脂粒子を製造した。
(樹脂の灰分量、カーボンブラック含有量)
樹脂の灰分量は、株式会社日立ハイテク製熱重量測定装置TG/DTA7200を使用し、白金製サンプルパンK-Y50-035 PTΦ5×5PANを用いて以下の様に測定した。
サンプルを入れていない白金製サンプルパン1と2をリファレンス用天秤と測定用天秤に置き、ゼロ点調整を行い、続いて、樹脂粒子または、ミニペレットを14~16mg秤量し(以下樹脂重量という)、白金製サンプルパン2に入れ測定用天秤に置いた。その後、天秤で連続的に重量を記録しながら、窒素雰囲気下で40℃、5分間保持後、40℃から500℃まで速度10℃/minで昇温して、樹脂粒子に含まれる有機分を熱分解させ、残渣として無機分が残る様にした。この際の重量を残渣重量1とした。
続けて、空気雰囲気下で500℃から900℃まで昇温して、無機分中のCBを酸化除去した。CB除去後の重量を残渣重量2とした。
そして、下記式(19)を用いてCB量を計算し、式(20)を用いて灰分量をCB量を計算した。
CB量(wt%)=(残渣重量1-残渣重量2)÷樹脂重量×100 (19)
灰分量(wt%)=残渣重量2÷樹脂重量×100 (20)
[発泡粒子の製造]
前記した各樹脂粒子1kgと、分散媒体の水3Lとを、5Lのオートクレーブ内に仕込み、分散媒中に、分散剤としてカオリン3g、分散助剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.04g、及び硫酸アルミニウム0.1gをそれぞれ添加し、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、撹拌下に表4、表5に示す発泡温度まで加熱昇温して同温度に15分間保持して、高温ピーク熱量を調整した後、表4、表5に示す発泡圧が保持されるようにオートクレーブ内に連続して二酸化炭素を圧入しながら、オートクレーブ内容物を大気圧下に水と共に放出して着色発泡粒子を得た。
なお、発泡温度は、分散媒放出発泡を行う際に、発泡圧(オートクレーブ内の背圧)を2.1MPaに固定し、良好な成形性を維持しつつ、見掛け密度が最小となる温度を発泡温度として定めて、発泡粒子を製造した。
得られた発泡粒子について、見掛け密度等の物性を測定した結果を表4、表5に示す。
表4、表5中、高温ピーク熱量(ΔH2)の測定、発泡粒子の見掛け密度の測定、発泡粒子の平均気泡径の測定、発泡粒子の独立気泡率の測定は前記方法により行った。
(発泡粒子の高温ピーク熱量)
株式会社日立ハイテク製熱重量測定装置TG/DTA7200を使用し、第1回加熱のDSC曲線と高温ピーク熱量の測定を、JIS K7122:1987年に準拠して次のように行った。
まず、発泡粒子2~10mgを採取し、示差走査熱量測定装置によって23℃から220℃まで10℃/分で昇温測定を行なった。かかる測定により得られたDSC曲線の一例を図2に示す。 図2のDSC曲線には、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂に由来する固有ピークaと、該固有ピークの高温側に高温ピークbが示され、高温ピークb熱量はそのピーク面積に相当するものであり、具体的には次のようにして求めた。
まず、DSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α-β)を引いた。尚、前記融解終了温度Tとは、高温ピークBの高温側におけるDSC曲線と高温側ベースラインとの交点をいう。
次に前記の固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α-β)と交わる点をδとした。高温ピークbの面積は、DSC曲線の高温ピークb部分の曲線と、線分(δ-β)と、線分(γ-δ)とによって囲まれる部分(図2において斜線を付した部分)の面積であり、これが高温ピークの熱量に相当する。前記の手順により、融点の測定を行った。
尚、高温ピークbは、前記のようにして測定した第1回加熱時のDSC曲線には認められるが、第2回目に昇温して得られたDSC曲線には認められない。第2回加熱時のDSC曲線には、発泡粒子を構成するPP樹脂に固有の吸熱曲線ピークのみが認められる。
表4、表5中、発泡粒子の見掛け密度の測定、発泡粒子の平均気泡径の測定、発泡粒子の独立気泡率の測定は前記方法により行った。
表4,表5中、発泡性の評価は次の様にして行った。
発泡圧(発泡時における密閉容器内の背圧)を一定の圧力に固定(具体的には2.1MPa)して発泡粒子を製造し、低見掛け密度が80kg/m以下、独立気泡率が80%以上である発泡粒子を安定して製造することができるか否かを基準として評価した。
より具体的には、発泡粒子の見掛け密度/発泡圧で現わされる比が小さいほど、発泡性に優れるとして評価した。
[発泡粒子成形体の製造]
成形型として、縦方向寸法300mm×横方向寸法250mm×厚み方向寸法50mmの内寸法を持つ直方体状の成形キャビティを有する金型を用いた。
金型を完全に閉じた状態から5mm開いた状態で、成形キャビティ内に発泡粒子を充填し、充填完了後、金型を完全に閉じた(クラッキング量5mm、10%)。その後、0.20~0.44MPa(G)のスチームを成形キャビティ内に供給して発泡粒子を加熱して、発泡粒子を二次発泡させると共に融着させることで着色発泡粒子成形体を得た。金型内の発泡粒子成形体の面圧が0.04MPa(G)となるまで金型を水冷し、金型を開いて、金型から着色発泡粒子成形体を取り出した。得られた発泡粒子成形体を大気圧、温度80℃の雰囲気下で12時間養生した。
表4、表5中、成形可能範囲、下限融着圧、下限成形圧、成形性は、それぞれ次のようにして求めた。
(発泡粒子の成形可能範囲(型内成形性))
前記(発泡粒子成形体の製造)の方法において、成形スチーム圧を0.20~0.44MPaの間で0.01MPa変化させて発泡粒子成形体を成形し、得られた成形体の融着性(隣接する発泡粒子間の融着度合い)、表面外観(間隙=ボイドの度合い)、回復性(型内成形後の膨張または収縮によるヒケの度合い)の項目について評価を行い、下記に示した基準に達したものを合格とし、融着性、表面外観、回復性の全ての項目で合格となったスチーム圧を成形可能なスチーム圧とした。成形可能なスチーム圧の下限値から上限値までの幅が広いものほど、成形可能範囲が広く、成形性に優れたものである。
成形可能範囲の上限の値を上限成形圧とし、下限の値を下限成形圧とした。
また、後述する融着性が合格となる発泡粒子成形体が得られる、最低の成形圧を、下限融着圧とした。
なお、表に示した成形体の評価は、成形可能範囲の下限成形圧で成形した成形体につき評価を行った。
また、成形可能範囲が無かったもの(表には「-」を記載した)は成形不可とした。
(融着性)
発泡粒子成形体を折り曲げて破断し、破断面に存在する発泡粒子の数(C1)と破壊した発泡粒子の数(C2)とを求め、前記発泡粒子に対する破壊した発泡粒子の比率(C2/C1×100)を材料破壊率として算出した。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均した材料破壊率が90%以上であるものを合格とした。
(表面外観)
発泡粒子成形体の中央部に100mm×100mmの正方形を描き、該正方形の一の角から対角線上に線を引き、その線上の1mm×1mmの大きさ以上のボイド(間隙)の数を数え、ボイドの数が5個未満であり、かつ表面に凹凸がないときを合格とした。
(回復性)
型内成形で用いた縦300mm、横250mm、厚み50mmの平板形状の金型の寸法に対応する発泡粒子成形体における四隅部付近(角より中心方向に10mm内側)の厚みと中心部(縦方向、横方向とも2等分する部分)の厚みをそれぞれ計測した。次いで、四隅部付近のうち最も厚みの厚い箇所の厚みに対する中心部の厚みの比(%)を算出し、比が99%以上であるときを合格とした。
表4、表5中、上限成形圧時の表面状態は次の基準により評価した。
上限成形圧の成形体の表面状態を観察し、成形体の表面外観が良好でかつ、表面にシワが無いことが目視で判別できる状態を良好と評価した。また、成形体の成形体の表面を構成する発泡粒子部分に、部分的にシワ(凹溝状の凹み部分)が寄った箇所が5か所以上存在することを目視で判別できる状態をシワありと評価した。
表4、表5中、成形体密度、成形体の独立気泡率の測定は前記方法により行った。
表4、表5中、収縮率の測定は次の方法により行った。
発泡粒子成形体の収縮率[%]は、(成形用金型の長辺寸法[mm]-成形体の長辺長さ[mm])/成形用金型の長辺寸法[mm]×100に、成形体の長辺長さの測定値を代入して求めた。なお、「成形体の長辺長さ[mm]」とは、実施例及び比較例で得られた発泡粒子成形体を80℃の雰囲気下で12時間養生した後、徐冷し、さらに23℃の雰囲気下で6時間養生した後の発泡粒子成形体の長辺の長さを計測した値である(n=10)。
比較例1
実施例1と、比較例1とを対比すると、実施例1の発泡粒子は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)を含有するので、高い発泡温度での発泡粒子の製造が可能であり、得られた発泡粒子の見掛け密度、更に成形体の見掛け密度は比較例1に比べて低く、発泡性が向上していた。また、実施例1の発泡粒子、比較例1の発泡粒子ともに成形性には優れていたが、実施例1の発泡粒子の成形可能範囲はより広くなり、成形性に更に優れていた。
比較例2は、比較例1に対し、発泡粒子を構成する樹脂が同じで、発泡温度を高くした例である。その結果、発泡性は向上し見掛け密度の小さな発泡粒子を得ることはできたが、発泡粒子の成形性は低下し、得られた発泡粒子成形体の収縮は大きくなり、表面にシワが発生した。
比較例3
比較例3は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)のみからなる樹脂粒子を発泡した例である。比較例3の場合、発泡温度を高くすることはできた。しかし、得られた発泡粒子の成形性は低下し、成形圧を変えても、目的の形状を有する成形体を得ることができなかったので、成形不可と判断した。なお、物性測定に関しては、目的の形状となっていないが、得られた発泡粒子成形体を用いて測定を行った。また、発泡粒子の見掛け密度等の物性等は、この発泡粒子成形体を得た際の発泡粒子の物性である。
比較例4
比較例4は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)を多量に配合し、ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の配合割合と、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合割合とを等しく共に50質量%とした例である。
比較例4の発泡粒子は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)を多量に含有するため発泡性を向上させることはできた。しかし、成形可能範囲は狭くなり、成形性は低下した。
比較例5
比較例5は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合割合は実施例1と同じだが、MFRが異なる例である。
発泡性が低下すると共に、得られた発泡粒子の成形性も低下していた。これは、発泡粒子を構成する樹脂の残留応力の影響により成形性が低下したものと考えられる。
比較例6
比較例6は、インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合割合は実施例1と同じだが、MFRが異なる例である。発泡性には優れるものの、得られた発泡粒子の成形性が低下していた。
T 融解終了温度
a 固有ピーク
b 高温ピーク

Claims (4)

  1. 密閉容器内にて分散媒に分散している、発泡剤を含むポリプロピレン系樹脂粒子を分散媒とともに該密閉容器内から該容器内の圧力よりも低圧域に放出して、該ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂及びエチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合樹脂から選択されるポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)と、ポリプロピレンをマトリックスとし、エチレンプロピレンゴムを含むゴム状体をドメインとするモルフォロジーを有するインパクトポリプロピレン樹脂(B)とを混練して得られるポリプロピレン系樹脂(P)を基材樹脂とし、
    前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の配合量:aと前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の配合量:bとの質量比がa:b=55:45~98:2を満足し、
    前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の融点:d(℃)と、前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の融点:c(℃)とが下式(1)及び(2)を満足すると共に、
    150(℃)<c<170(℃) (1)
    5(℃)≦c-d≦35(℃) (2)
    前記ポリプロピレン系ランダム共重合樹脂(A)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイト:f(g/10min)と、前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイト:e(g/10min)とが、下式(3)、(4)及び(5)を満足する、
    3(g/10min)≦e (3)
    0.3(g/10min)≦e/f≦8(g/10min) (4)
    3(g/10min)≦f≦10(g/10min) (5)
    ことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(P)の230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローレイトが5g/10min以上20g/10min以下である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  3. 前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率が800MPa以上1200MPa以下である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  4. 前記インパクトポリプロピレン樹脂(B)の曲げ弾性率に対する、ランダム共重合樹脂(A)の曲げ弾性率の比が0.5以上1未満である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。

JP2022169026A 2022-10-07 2022-10-21 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法 Pending JP2024061223A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022169026A JP2024061223A (ja) 2022-10-21 2022-10-21 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
PCT/JP2023/036097 WO2024075742A1 (ja) 2022-10-07 2023-10-03 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022169026A JP2024061223A (ja) 2022-10-21 2022-10-21 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024061223A true JP2024061223A (ja) 2024-05-07

Family

ID=90925782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022169026A Pending JP2024061223A (ja) 2022-10-07 2022-10-21 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024061223A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5107692B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、及びその発泡粒子成形体
KR100798204B1 (ko) 폴리올레핀 수지 발포체용 조성물, 폴리올레핀 수지발포체, 및 이의 제조방법
JP6519813B2 (ja) 発泡粒子とその成形体
KR20150036288A (ko) 발포 거동에서의 탈크의 핵형성 효율 및 폴리머-기반 발포체의 셀 구조
WO2007099833A1 (ja) スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法
TW200909494A (en) Polypropylene resin foam particle and molding thereof
JP7227526B1 (ja) ポリエチレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法
EP4112678A1 (en) Polypropylene-based resin foamed particles, method for producing same, and polypropylene-based resin foam molded body
JP7053594B2 (ja) オレフィン系熱可塑性エラストマー架橋発泡粒子
CN114341237A (zh) 聚丙烯系树脂发泡颗粒、其制造方法及聚丙烯系树脂发泡成型体
KR101997947B1 (ko) 폴리프로필렌-기반 수지 발포 입자, 그 제조 방법, 및 폴리프로필렌-기반 수지 발포 입자 성형품
EP3235860B1 (en) Polypropylene resin foamed particles
JP4157399B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体
WO2019009094A1 (ja) オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡粒子
WO2018084245A1 (ja) 発泡粒子及び発泡粒子成形体
JPS6010047B2 (ja) 無架橋直鎖低密度ポリエチレン予備発泡粒子およびその製造方法
JP2024061223A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
KR20070028736A (ko) 폴리프로필렌 복합수지를 이용한 자동차 내장재용 경질발포 기재
CN112955499B (zh) 发泡粒子
WO2012105608A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体
JP5399126B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子
JP2018100380A (ja) ポリスチレン系樹脂発泡性粒子及びその製法、ポリスチレン系樹脂発泡粒子及びその製法、並びに、ポリスチレン系樹脂発泡成形体及びその製法
WO2019220994A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体、およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法
JP2795079B2 (ja) ポリスチレン系樹脂発泡体
JP2007217597A (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法