JP2024061156A - 検査装置及び3次元断層像形成装置 - Google Patents

検査装置及び3次元断層像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】視野を各段に広くし、計測時間を極めて短時間化し、更には、深い被写界深度を実現し、工場ラインなどへのリアルタイム検査を実現することができる検査装置及び3次元断層像形成装置を提供する。【解決手段】光源101にコヒーレント光源を用い、光源101から射出する光を2分岐し、集光光学系102により交差させて交差部を形成させ、該交差部において、光軸に対し傾斜する傾斜フリンジを形成する。傾斜フリンジにおいて発生する前方散乱光、或いは、後方散乱光のうち直進光成分のみを受光光学系103で受光する。受光光学系103は、散乱光成分を含まないDoppler信号のみを受光光学系103の焦点位置に配置した受光素子により受光する。【選択図】 図3

Description

本発明は、可視光や赤外光などの領域において透過性を有する媒質中の内部構造の把握や前記媒質中の異物、欠陥の検出を目的とする検査装置及び3次元断層像形成装置に関するものである。
眼底検査や皮下組織の検査などの医用検査用途に光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography、以下「OCT」と記すことがある)の原理を応用した検査装置が普及して久しい。OCTの原理はマイケルソン干渉計に似た光学系において、3次元断層像(トモグラフイ)を得るため、参照光用のミラー部(参照光ミラー)を前後させ受光面上で参照光とサンプル光を光軸方向に干渉させ、検査対象物の深さ方向の1つの「層」の厚み分だけ可干渉性(コヒーレンシー)を有する光源(ブロードバンドなスペクトルを有するレーザーダイオード(Laser Diode、以下「LD」と記すことがある)やスーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」と記すことがある)、スーパーコンティニューム(Supercontinuum、以下「SC」と記すことがある)光源など)を用いる。即ち前記光源のコヒーレンス長の半分程度がほぼ「層」の厚みとなる。「層」を複数層用意するために、参照光ミラーを光軸方向に必要な「層」の数だけ移動させる。初期型のタイムドメイン(Time Domain、以下「TD」と記すことがある)方式のOCTの模式図を図1Aに示す。なお、図1AにおけるTD方式のOCTは、光源10、参照光ミラー12、ビームスプリッタ14、検出器16を備える。各「層」に応じた時間的(部分的)コヒーレンシーを有する波束が重なりあった場合にのみ干渉する。逆に言えば参照光ミラー12によって反射され検出器16に到達した波束と検査対象物Tの内部で反射した波束とが重なり合うように参照光ミラー12を移動させる。或いは、参照光ミラー12を移動させれば、参照光とサンプル光同士の重なり合う波束のサンプル内における光軸方向の位置が変わる。即ち、光源10の有するコヒーレンス長半分程度が1単位の「層」の厚みである移動量にほぼ等しく、サンプル内における光軸方向の「層」の位置が移動する。
また、OCTの原理を応用した前記の医用検査、或いは生体検査以外にも、生鮮食品や食品加工品などの鮮度の検査並びに食品内部に混入した異物の検出、半導体基板の欠陥検出、プラスチック製品の内部のキズの検出・検査、繊維製品の検査、塗装被膜検査、薬剤検査などへの応用も進められてきている。この辺りの事情については、非特許文献1が参考になる。特許文献1には、初期型タイムドメイン方式OCTが示されている。また、特許文献2には、特許文献1の改良型である、ファイバカプラを応用したタイムドメイン方式が示されている。いずれも図1Aに示したマイケルソン型であり、前記の視野の狭さと長時間の計測に問題が残る。また、非特許文献2ではOCT技術が解説されており、タイムドメイン方式に始まり、スペクトラルドメイン(Spectral Domain、以下「SD」と記すことがある)方式やスウェプトソース(Swept Source、以下「SS」と記すことがある)方式についても解説されている。スペクトラルドメイン方式は、回折格子などの分光器でスペクトル分解し、ラインセンサで回折光を受光することで、機械的な動作を排し、検査速度を向上させている。更に光源の波長を高速に変化させたOCTがスウェプトソースOCTであり、より高速化を実現している。しかしながら、どの方式においても視野は数mm程度と非常に狭い。
特開2003-543号公報 特表2004-502483号公報
SS-OCT を用いた材料の内部構造の非破壊評価技術,高橋 拓実(機械・材料技術部 材料物性グループ),多々見 純一(横浜国立大学),研究報告 2021(地独)神奈川県立産業技術総合研究所,5-9) 光コヒーレンストモグラフィ(OCT) 春名正光 映像情報メディア学会誌Vol. 65, No. 1, pp. 67~71(2011)
従来の方式の最大の問題は、S/Nを良好にするために多数の繰り返し計測(アベレージング或いはスムージング)をしなければならず、長時間の検査時間を要することである。更には、検査領域が非常に狭いことである。近年ではファイバカプラを用いて小型化し、移動も容易にはなってきているが、参照光方式であるため、S/Nを良化させるために多数回の繰り返し測定が必要であり、数mm角の範囲を数秒掛けて測定している。前記問題に対する改良は進められてきており、方式にも変化があり20fps(フレーム毎秒)などテレビレートに近い高速化も実現はしてきているが、依然、S/Nの問題や視野の狭さの問題は残っている。即ち、医療用検査機器では、さほど問題にならない秒単位の長時間の検査時間や非常に狭い視野も、産業用に応用する場合には受け入れ難いものとなる。更に、産業用用途としての大きな問題は、大多数のラインがオンライン検査を求めており、かつ、大きなサイズの検査がほとんどであることである。
前記の産業用検査装置に適用可能なOCT装置の受光素子としてラインセンサを用い、従来型のマイケルソン方式に対し、参照光ミラーを用いずとも光断層撮影(光トモグラフィ)が可能となる検査装置を実現することが本願発明の目的である。勿論、医用検査装置や解析装置にも適用可能であることは言うまでもない。
(1)本発明に係る検査装置は、光源としてのコヒーレント光源と、集光光学系と、受光光学系とを備える。前記集光光学系は、前記コヒーレント光源から射出する光を2分岐し、分岐した光を交差させて交差部を形成させ、該交差部において、前記コヒーレント光源からの光の光軸に対し傾斜する傾斜フリンジを形成させる。前記受光光学系は、前記傾斜フリンジにおいて発生する前方散乱光、或いは、後方散乱光のうち、直進光成分を受光する。前記受光光学系は、散乱光成分を含まないDoppler信号を前記受光光学系の焦点位置に配置した受光素子により受光する。
(2)本発明に係る3次元断層像形成装置は、前記検査装置を備え、前記傾斜フリンジの形成領域において、主走査方向並びに副走査方向において複数の前記受光素子を画素単位とし、該画素単位と前記傾斜フリンジの形成領域における光軸方向の「層」の数とからなる直方体を単位直方体として、該単位直方体内の前記傾斜フリンジにおいて発生するDoppler信号から、離散的フーリエ変換によって前記単位直方体に含まれる各「層」の周波数スペクトルを求め、該周波数スペクトルに基づき、前記交差部における検査対象物の主走査方向、副走査方向及び光軸方向の各座標の濃度或いは透過率を算出し、これらの3次元の座標値により、3次元断層像を求める。本願発明において、「層」は、傾斜フリンジに含まれる光学的構造を意味し、単に一語で層と記す場合は、単位を表す。(但し、請求項については除く)
前述した如く、従来の参照光方式の測定装置では、視野が狭く、測定時間が長いため、本願発明者は新たに圧倒的に速い検査時間、格段に広い視野、及びS/Nを向上させた差動型ヘテロダイン干渉方式を提案する。該差動型ヘテロダイン干渉方式は、参照光式である時間的コヒーレント光源、即ちコヒーレンス長の短い光源の代わりに、時空間的にコヒーレントな光源(レーザダイオード(Laser Diode、以下「LD」と記すことがある)、ファイバレーザーなど)即ちコヒーレンス長の長い光源のビームを2本に分岐したシートビームをレンズ焦点位置近傍、かつ、Rayleighレンジを外れた位置で交差させる方法を採用する。本願発明においてコヒーレント光源とは、時空間的コヒーレントな光源を意味する。従来のガスレーザーやLDなどのコヒーレント光源を用いるヘテロダイン方式であるレーザードップラー速度計(Laser Doppler Velocimeter、以下「LDV」と記すことがある)では、レンズ焦点位置に2本のビームのビームウエスト同士を交差させ、ビームの交差部(ビーム交差部)のRayleighレンジ内で光軸に平行な干渉縞(フリンジ)を発生させるのに対し、本願発明においては、ビームウエスト近傍におけるRayleighレンジ外で交差させ、断面が略同心円状をなす円筒波、或いは、球面波の波面を用い、光軸に対し傾斜したフリンジを用いる。図1BにLDVのようにビームウエストでビームを交差させた場合のフリンジパターンを示す。Rayleighレンジ内ではほぼ平面波とみなしてよいので、フリンジパターンも平行になる。従来の参照光型OCTに対し、本願発明のOCTは差動型OCTである。
また、本願発明においては、コヒーレント光源であるレーザーを用いるため、光パワー密度が大きい光源が豊富にある。W級の半導体レーザーも現在市販されており、入手は容易である。即ち、後方散乱光を受光する場合においても、高出力レーザーを用いることで、シートビームに成形してビーム断面積が増大してもパワー密度に不足を生じない。
故に、各段に広い検査領域を実現できる。しかも参照光型のように参照光とサンプル光の比が一定でないため、信号のビジビリティ(信号の交流成分の振幅が直流成分に比べて小さい)に問題があり、かつ、検出器が常に参照光に曝されている。そのため、参照光方式はショットノイズが大きいのに対し、差動型は、ほぼ各ビームの散乱光が略1対1の強度比になるため、信号のビジビリティが優れていると同時にショットノイズが小さいという点や、高出力のコヒーレント光源を用いるため、深い位置まで信号検出が可能であり、より厚みのある検査対象物への適用も可能な点で有利である。更に、受光光学系にテレセントリック光学系を採用し、ほぼ直進光成分を受光でき、該光学系と受光素子アレイを主走査方向に千鳥配置することにより、幅の広い検査対象物であっても良好なS/Nを維持しながら検査幅を十分満足する。
本発明によれば、視野を各段に広くし、計測時間を極めて短時間化し、更には、深い被写界深度を実現し、工場ラインなどへのリアルタイム検査を実現することができる。
初期型のTD(Time Domain)方式のOCTの模式図である。 従来方式の差動型LDV(Laser Doppler Velocimeter)のビーム交差部に形成される互いに平行なフリンジを示した図である。 円筒波を交差させ、「傾斜フリンジ」を形成させた場合の様子を表す模式図である。 「傾斜フリンジ」を立体的に表した模式図である。 本願発明の方式による信号の生成方法を簡略化して表した模式図である。 最小画素単位の主走査方向、副走査方向の面内を表した図である。 3次元立体画像を得るための単位直方体を表した図である。 差動型ヘテロダイン検出方式において観測されるDopplaer信号のビジビリティの模式図である。 受光素子アレイの一つが得た周波数スペクトルを示した図である。 図6Aのスペクトルを周波数分解能Δf、毎に切り出して離散的スペクトルにした場合の模式図である。 検査対象物中を直進する検査対象物の光軸方向における散乱光強度を比較した模式図である。 ビームウエストの下流側(焦点位置より受光素子アレイ側)にビーム交差部が位置している様子を表した図である。 ビームウエストの上流側(焦点位置より光源側)にビーム交差部が位置している様子を表した図である。 図8Aに「層」を加えた図である。 図8Bに「層」を加えた図である。 円筒波や球面波がビームウエストを外れた位置で交差し、「傾斜フリンジ」が形成され、光軸方向の「層」の位置によってフリンジ間隔が変化する様子を「層」も含めて表し、ビームウエストよりも下流(受光素子側)に位置する場合を示した図である。 円筒波や球面波がビームウエストを外れた位置で交差し、「傾斜フリンジ」が形成され、光軸方向の「層」の位置によってフリンジ間隔が変化する様子を「層」も含めて表し、ビームウエストよりも上流(光源側)に位置する場合を示した図である。 粒子径5μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径10μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径15μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径20μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径25μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径30μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 粒子径0.05μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。 テレセントリック受光光学系の受光立体角N.A.を0.02としたときの前方散乱光と後方散乱光の受光強度比を粒子径別に相対値で示した図である。 Lambert-Beerの法則において減衰係数、吸収係数などを代表させ、ρで表した場合のρ=1-1の減衰率を示す。 Lambert-Beerの法則において減衰係数、吸収係数などを代表させ、ρで表した場合のρ=0.1-1の減衰率を示す。 差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、前方散乱光受光方式のみを表した図である。 差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、光軸上に前方散乱及び後方散乱の両受光系を配置した図である。 差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、光軸上に前方散乱受光系を配置し、後方散乱受光系は光軸を外して配置した図である。 1組の前方散乱受光方式(傾斜フリンジ形成光学系とテレセトリック受光光学系)を表した図である。 平面波ビームと円筒波ビームを交差させてフリンジ間隔を変更した例である。 歪ませた波面を交差させてフリンジ間隔を変更した例である。 複数の前方散乱受光方式(傾斜フリンジ形成光学系とテレセトリック受光光学系)の模式図である。 3種類の近赤外波長の光源をビームスプリッタで分岐し、コリメータレンズで平行光束にした後に、集光レンズによりビームウエスト上流側で交差させ、かつ、3波長を重ね合わせた共通部分を形成した集光光学系の模式図である。 集光レンズ手前でビームを拡げ、集光レンズ固有の焦点の位置より下流側にビーム交差部を形成している場合の模式図である。 集光レンズ手前で、ビームを狭め、集光レンズの固有の焦点位置の上流側にビーム交差部を形成している場合の模式図である。 ビームウエスト下流側にビーム交差部を形成した場合の具体例を示した図である。 ビームウエスト上流側にビーム交差部を形成した場合の具体例を示した図である。 図21Aの場合のビーム径並びにビームウエストを基準にしたパワー密度を示した図である。 ガウシアンビームの波面の曲率と光軸距離の誤差を表した図である。 高周波変調を掛けたDoppler信号と場合の元のDoppler信号を示した図(破線はバンドパスフィタ)を示した図である。 光源としてSS(Swept_Source(波長掃引型光源))を用いた場合に「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔が変わる様子を示す模式図である。 AODを用いて測定部長を伸長した場合の模式図である。 検査対象物内にビームウエストを入射させない方法(ビームウエストの下流側に交差部を配置)を表す模式図である。 検査対象物内にビームウエストを入射させない方法(ビームウエストの上流側に交差部を配置)を表す模式図である。 フリンジを副走査方向に往復移動させ静止した検査対象物に適用できるようにした場合の模式図である。 光源をアレイとして副走査方向に複数配置し、静止した検査対象物に適用できるようにした場合を表す模式図である。 マイクロチャンネルプレートを用いた前方散乱受光方式の模式図である。 マイクロチャンネルプレートを用いた前方散乱方式に後方散乱方式も加えた受光方式の模式図である。 マイクロチャンネルプレートを用いた前方散乱方式に後方散乱方式も加えた受光方式の変形例の模式図である。 マイクロチャンネルプレートを用いて光出力を増倍した場合を示す図である。 複数の受光レンズの配置の一例を示す図である。 複数の受光レンズの配置の一例を示す図である。 複数の受光レンズの配置の一例を示す図である。 複数の受光レンズの配置の一例を示す図である。 複数の受光レンズの配置の一例を示す図である。
<傾斜フリンジと受光立体角>
常時受光素子に参照光が入射している参照光受光方式に比べ、受光素子に散乱光のみが入射する差動方式は、ショットノイズが小さく、S/Nが向上する。後方散乱方式では、コヒーレント後方散乱ピークが出現し、受光強度が数10%程度増大するとされるが、後方散乱であるが故に、物理的に受光する散乱光強度は前方散乱光強度よりもはるかに小さい。それに対し、前方散乱を用いることにより、散乱光強度は、飛躍的に増大し、故に、検査対象物の深さ、厚み等といった光軸方向の観測領域が増大する。従来、前方散乱方式は高濃度の光散乱体媒質において多重散乱光と直進光の弁別が困難とされているが、本願発明では前方散乱光の可干渉性(コヒーレンシー)を有する直進光成分のみを差動型ヘテロダイン方式で受光するため、可干渉性のある光のみが干渉し、ビジビリティの高い交流成分を有するDoppler信号が得られる。前方散乱方式に加え、受光光学系にテレセントリック光学系を用いる。アパチャー径を小さくすることにより、テレセントリック光学系により受光立体角(Numerical Aperture、以下「N.A.」と記すことがある)を平行光束に近い状態までに絞り込むことができ、故にDoppler信号を得ることに加え、可干渉性のより優れた直進光成分のみに制限できる。故に、本願発明においては、散乱光成分を除去し、可干渉性の高い直進光成分のみ受光出来るという優位性を有する。
更に、深度方向の各「層」毎のDoppler信号を弁別するために、「傾斜フリンジ(傾斜干渉縞)」を用いることで周波数の異なる信号光を同時に受光し、周波数と深さの関係から周波数スペクトルを深度方向の各「層」の位置に置き換える。それ故に深度方向(厚み方向)へも高い空間分解能を有し、10mm以上のテレセントリック受光光学系の深い被写界深度を数10から数100の数の「数10μm以下の厚みの「層」として光軸方向の領域に分割し、周波数スペクトルに対応した光軸方向の成分を主走査方向、副走査方向の2次元成分に加えることにより、3次元空間に周波数スペクトルをプロットし、検査対象物の3次元画像を得ることが出来る。更に、千鳥配置の受光素子アレイ、及び、テレセントリック光学系の組み合わせにより、主走査方向の検査幅を、従来の方式に比べ各段に広くすることが可能であり、応用分野は、産業用用途以外にも医療用途、理化学分野など多岐にわたる。「傾斜フリンジ」の生成方法を図2Aに記す。
図2Aは、円筒波を交差させ、「傾斜フリンジ」を形成させた場合の様子を表す模式図である。図2Bは、「傾斜フリンジ」を立体的に表した模式図である。可干渉性の優れたLD等の光源(図示は省略)から出射したビームは、ビームスプリッタ等を用いて路差が極めて小さい2本のビームに分岐され、集光レンズ(図示は省略)に入射する。なお、光源としては、直線偏光を有するLDを含むレーザーが用いられてもよい。また、集光レンズとしては、ビームプロファイルがシート状に成型されたシリンドリカルレンズが用いられてもよい。シリンドリカルレンズは、収差の極めて小さい性能を有する必要がある。そのため、シリンドリカルレンズとしては、「傾斜フリンジ」の波面が円筒波や球面波から逸脱することが無いように、波面収差の極めて小さいレンズを用いる。集光レンズを出射したシート状ビーム(入射ビーム)については、ビームウエスト近傍、かつ、Rayleighレンジからほぼ外れた位置で交差させる。ビームウエスト近傍で交差させる理由は、受光強度を確保するためであり、即ち出来得る限り光パワー密度を低下させないためである。なお、シート状ビームをビームウエストから外れた位置での交差させる際は、集光レンズの受光素子アレイ側(下流側)にウェッジプリズムなどを用いて、各シート状ビームの交差角を適宜変更し、集光レンズ固有の焦点位置から外れた位置で交差させればよい。また、光源から出射したビームの分岐については、コヒーレンス長の比較的短い光源を用いる場合に必要とされるが、コヒーレンス長の長い光源を用いる場合であれば、この限りではない。
ウェッジプリズムを用いる方法以外にも、集光レンズに入射する2分岐されたビームが集光レンズに入射する手前で、予め平行ビームから適宜非平行ビームとすれば、ビームウエストから外れた位置で交差させることでも実現可能であり、他にも各種の方法が考えられる。
本願発明に用いる「傾斜フリンジ」の生成方法について説明する。まず、シート状ビームをビームウエスト近傍、かつ、Rayleighレンジからほぼ外れた位置で交差させることで、ビームウエストを外れた位置であり、かつ、Rayleighレンジ領域外において円筒波や球面波が形成される。また、シート状ビームが交差されると、ビームウエストを中心とするRayleighレンジを超えた位置から、ビームウエストではほぼ平面波(或いは、曲率半径の非常に大きい波面)であった波面が円筒波に変わりはじめる。そして、その円筒波は、主走査方向、及び、光軸に直交する断面内で略同心円状に拡がり、「傾斜フリンジ」が形成され、その「傾斜フリンジ」により検査対象物(図示は省略)の厚み方向(光軸方向)に異なる周波数のDoppler信号を得ることが可能になる。厚み方向(光軸方向)に異なる周波数信号を得ることが可能になることは、即ち、検査対象物の厚み方向の構造を弁別可能になることを意味する。
このように、傾斜フリンジは、ビームウエスト以外で光を交差させた交差部(ビーム交差部)に、円筒波、或いは、球面波を発生させることにより形成される。ただし、傾斜フリンジは、円筒波と平面波の組み合わせ、或いは、球面波と平面波の組み合わせ、或いは、平面波、円筒波、及び、球面波以外の波面を交差させることにより形成されてもよい。
<「層」に含まれる周波数情報と離散的フーリエ変換;DFT:Discrete Fourier transformation>
図3は、本願発明の方式による信号の生成方法を簡略化して表した模式図である。図4Aは、最小画素単位の主走査方向、副走査方向の面内を表した図である。図4Bは、3次元立体画像を得るための単位直方体を表した図である。図4Aでは、最小単位を構成する1辺の主走査方向の長さをDrm、副走査方向の長さをDrsとする。そのため、Drm×Drsは、主走査方向、及び、副走査方向に基づく2次元の最小単位(μm)を表す。なお、図4Aの場合は、をDrm=Drsとしている。また、図4Bでは、Drm、及び、Drsに加えて、最小単位を構成する1辺の被写界深度長をDlとすることにより、Drm×Drs×Dlは、主走査方向、副走査方向、及び、被写界深度方向に基づく3次元の最小単位(μm)を表す。つまり、Drm×Drs×Dlで表される最小単位の直方体(単位直方系)は、3次元立体画像を得るための最小単位となる。
故に、単位直方体の体積Vr(μm)はDr×Drs×Dlで表され、単位直方体の主走査方向に直交する断面と、副走査方向に直交する断面とに含まれる受光素子アレイが、受光テレセントリック受光光学系の被写界深度方向に沿って延びる単位直方体を観測していることになる。単位直方体は観測されるDoppler信号の全周波数帯域を含んでいる。また、単位直方体内の「傾斜フリンジ」において発生するDoppler信号は、仮に検査対象物がほぼ静止した状態でも、受光素子アレイが検出系の微小な振動を拾い低周波信号として出力するので、検査対象物の搬送速度に合わせたフリンジ周波数帯域にのみ信号を得るようにバンドパスフィルタを設定する。バンドパスフィルタは、後述するサンプリング定理を満足し、折り返しノイズを発生させない帯域に設定しておく。また、バンドパスフィルタは、デジタルフィルタを用いれば、搬送速度の変更や切替に対応しやすい。
単位直方体毎に周波数解析を行う。周波数解析の方法としては、離散フ―リエ変換(Dicrete Fourier Transform、以下「DFT」と記すことがある)や、高速フ―リエ変換(Fast Fourier Transform、以下「FFT」と記すことがある)等の周知の方法を用いる。また、周波数解析を精度よく実行するために加え、DFT処理条件を満足するためにも、単位直方体の主走査方向と副走査方向の断面において、単位画素よりも小さい受光素子アレイを用いる。また、このことに併せて、受光素子アレイの主走査方向において、オーバーサンプリングが実施されてもよい。また、副走査方向においては、複数のラインが設けられてもよい。図4Aにおいては、受光素子アレイにオーバーサンプリングを実施し、かつ、副走査方向に複数ラインの受光素子アレイを設けている。
このように、図3に示す本実施形態では、コヒーレント光源からなる光源101から射出する光が、集光光学系102により集光される。このとき、集光光学系102は、光源101からの光を2分岐し、分岐した光を交差させて交差部(ビーム交差部)を形成させ、該交差部において、光源101からの光の光軸に対し傾斜する傾斜フリンジを形成させる。具体的には、ビームスプリッタ121により2分岐された光が、集光レンズとしてのシリンドリカルレンズ122によりそれぞれ集光される際、ウェッジプリズム123により角度が変更されて交差部で交差する。ウェッジプリズム123は、光源101からの光の光軸を含む平面に直交する方向にパワーを有する光学素子の一例であり、シリンドリカルレンズ122の固有の焦点位置以外の前記光軸上の位置で光を交差させることにより交差部を形成させる。
傾斜フリンジにおいて発生する前方散乱光、或いは、後方散乱光のうち、直進光成分が受光光学系103に入射し、該受光光学系103に含まれる受光素子アレイ131の各受光素子により受光される。受光光学系103は、散乱光成分を含まないDoppler信号を受光光学系103の焦点位置に配置した受光素子により受光する。受光素子アレイ131の各受光素子は、光源101からの光の光軸に直交する方向に配列されることにより、1列のアレイ状に配置されている。
本実施形態では、受光光学系103にテレセントリック受光光学系が含まれる。テレセントリック受光光学系は、両側テレセントリック光学系でもよいし、片側テレセントリック光学系でもよい。この例では、2つの受光レンズ132の間にアパチャー133が配置された両側テレセントリック光学系が用いられている。
次に、具体的な処理方法について説明する。本実施形態では、受光素子が出力した信号をA/D変換した後の信号から、DFT(FFT)処理を用いて周波数スペクトルを求める。その際、傾斜フリンジに含まれる単位直方体が形成される。単位直方体は、主走査方向並びに副走査方向の複数の受光素子、並びに、被写界深度内の全ての「層」を含む。受光素子が出力した信号をA/D変換した後のデジタル信号にデジタルフィルタを掛け、Doppler信号のみの帯域に制限した信号としてもよい。DFT(FFT)処理を実行するために、N個のデータを用いるとする。解像度を考慮し、3次元の構造を構成する最小単位の画素を検査対象物の任意の位置が副走査方向に向かって通過する際に、最小単位の画素に滞在する時間内にN個のデータを取得する。
まず、搬送速度をVcとする。また、受光素子アレイ131は、矩形形状の画素とし、受光素子のサイズは、主走査方向の長さをPsm、副走査方向の長さをPssとする。故に、副走査方向にPssの距離を通過するのに要する時間はPss/Vcとなり、周波数では、Vc/Pss(Hz)になる。今、受光素子アレイ131が1ラインNs画素の素子からなり、ラインレートをLr(Hz)、オーバーサンプリング数をNos、最小単位の画素に含まれる受光素子アレイ131の画素の主走査方向の数をNmr(=N/Nos)、副走査方向の受光素子アレイ141のライン数をNslとすれば、N個のデータによってDFTを実行するためには、N=Nos×Nmr×Nsl(図4AではNmr=Nslとしている)を満足することが必要である。より具体的には、サンプリング数Nは、単位直方体に含まれる受光素子から出力され、A/D変換された後のデジタル信号の自然数から成る総数であり、2のべき乗を満足する。Nosは、受光素子の読取ラインのオーバーサンプリング数である。Nmrは、主走査方向における単位直方体に含まれる受光素子の数である。Nslは、副走査方向における単位直方体に含まれる受光素子の数又はライン数である。総数N個のデータについてDFT(FFT)処理を実行すれば、単位直方体における深度方向(光軸方向)の周波数スペクトルを求めることができる。同時に、周波数スペクトルは、各「層」と対応付けられている。そして、該周波数スペクトルを検査対象物の深さ方向における任意の位置の濃度に置き換えることができる。隣あった「層」の周波数同士が分離可能になるようにDFT(FFT)処理におけるサンプリング数Nが決定される。
単位直方体の体積について、N個のDFT(FFT)処理を検討する。時間領域のN個の離散データ(d0, d1, ..., dN-1)から周波数領域へのN個の離散データ (D0, D1, ..., DAN-1)への変換は、下記式(1)、(2)を用いて行われる。
Figure 2024061156000002
Figure 2024061156000003
故に、受光素子アレイ131から時間分割されたN個のデータは、周波数領域へのN個の分割されたデータに変換される。この周波数領域に分割されたN個のデータが周波数スペクトルである。全周波数スペクトルは、周波数分解能で分割されたデータを各「層」の周波数に変換する元データとなる。
単位直方体の体積Vrの断面積SrはSr=Drm×Drsである。受光素子アレイ131の主走査方向の長さをPsm、副走査方向の長さをPsmとしたので、受光素子面積Spは、Sp=Psm×Psmである。画素サイズで単位直方体断面積Srを除算することで、単位直方体の断面積Srに含まれる受光素子の数Nsが求められる。即ち、Ns=Nmr×Nslである。
DFTに必要なN個の数よりもNsが小さい場合、つまり、N>Nsの場合では、NはNsに2のべき乗を掛けた数でなければならず、即ち、N=Ns×2(m:2以上の自然数)であり、この条件でN、Nsを調整し、かつ、オーバーサンプリング数NosとNsとを乗算する。故に、N=Nos×Nsである。或いは、Nos=N/Nsである。
測定の正確さについては、「傾斜フリンジ」から得た信号の周波数を正確に測定することが重要になる。即ち信号のビジビリティ(直流成分に対する交流成分の比)を高めることが必要である。故に、上述したようにフリンジ間隔よりも受光素子アレイ131の素子サイズを小さくした方が好ましい。すなわち、受光素子の副走査方向のサイズが傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズであってもよい。或いは、受光素子アレイ131の副走査方向のサイズが傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズであってもよい。勿論、Doppler信号のビジビリティは劣化するが、フリンジ間隔よりも若干大きくとも信号検出は出来る。しかしながら、フリンジ間隔を超え数本のフリンジ間隔のサイズになると、もはやフリンジとして識別できなくなる。つまり、交流成分が検出できなくなり、直流成分のみが検出される。そのため、最小単位の画素サイズ、受光素子アレイ131の画素サイズ、搬送速度、走査周波数、検出速度、信号の質(S/Nやビジビリティ)、DFT(FFT)処理数、即ち、3次元画像を構築する場合の解像度や鮮鋭度などを勘案して決める。
図4Bでは、DFT(FFT)処理を実行する際の検査対象物における「層」を形成し、3次元の画像を得るときの単位直方体と1つの「層」との関係を示す。1つの「層」の深さについては、基本的には、単位直方体の断面の主走査方向、又は、副走査方向の何れかの長さで単位直方体の長さを割った数が「層」数となる。「層」数は、周波数分解能で全周波数帯域を除算することで得られる数を用いて、被写界深度を除算することでも算出される。
図5は、差動型ヘテロダイン検出方式において観測されるDopplaer信号のビジビリティの模式図である。ビジビリティが良好であれば、図5(A)の信号になり、ビジビリティが劣化すれば、図5(B)の信号になる。図5(B)は、図5(A)に比べて、交流成分の振幅が小さくなっていることが分かる。交流成分の振幅が小さくなれば、Dopplaer信号の強度が小さくなり、S/Nが劣化する。
図6Aは、受光素子アレイ131の一つが得た周波数スペクトルを示した図である。図6Bは、図6Aのスペクトルを周波数分解能Δf毎に切り出して離散的スペクトルにした場合の模式図である。図6Aに、取得した或る一つの「層」の周波数スペクトルを示す。該周波数スペクトルは、少なくとも「層」の数よりも分解能の高い離散的なスペクトルである。また、図6Bは図6Aの周波数スペクトルを「層」毎に平均化するか、或いは、間引いて、「層」の数に合致させた離散的スペクトルである。該スペクトルから、透過率の減衰に応じた各「層」の濃度に変換し、「層」の位置と受光素子アレイ131の2次元データと組み合わせれば、検査対象物の3次元のデータの一つが得られる。
このように、本実施形態では、傾斜フリンジにより発生したDoppler信号の周波数を任意の「層」に分解し、かつ、各「層」から発生するDoppler信号の周波数を前記「層」に対応させ、検査対象物の光軸方向に沿って区分された各「層」の濃度或いは透過率を検出する。受光素子アレイ131の長手方向が主走査方向である。また、主走査方向と光源101からの光の光軸とに直交する副走査方向は、検査対象物の搬送方向である。本実施形態では、主走査方向と副走査方向並びに各「層」によって区分された光軸方向の任意の位置で検出した信号から3次元データを構成する。
<光信号強度の補正>
検査対象物は、光散乱性、及び、等方性を有する媒質とする。本願発明では、散乱光の直進光成分のみを受光素子アレイ131で検出するため、どの場合も光路長は同様となる。また、検査対象物の各「層」に入射し、散乱された任意の光の減衰の程度については、同様である。故に、前記の複数の濃度の異なる等方的媒質を基準媒質とし、予め前記複数の基準媒質により測定を実施し、各「層」における光減衰の度合いを補正値テーブルとしてメモリに記憶させておき、実際の検査媒質に応じた補正値テーブルを用いて、各検査対象物の各「層」における減衰率に応じた補正を実施し、各「層」における実際の濃度、或いは、透過率を求める。また、このとき、予め複数の基準媒質の各「層」のDoppler信号を離散フーリエ変換して得た光減衰率を用いて、検査対象物の各「層」の離散フーリエ変換により得たスペクトル強度を補正してもよい。
図7は、検査対象物中を直進する検査対象物の光軸方向における散乱光強度を比較した模式図である。受光した信号を周波数スペクトルに変換した際に、その強度については、ビームが照射され光散乱が発生した所定の位置における「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔の拡がりによるパワー密度に対して補正すればよい。「傾斜フリンジ」による光ビームの拡がりは、「傾斜フリンジ」を形成するビームのパワー密度に逆比例する。つまり、「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔が狭くなるにつれて、ビームのパワー密度が高くなり、広くなるにつれて、パワー密度が低くなる。この比は、検出される周波数(検出周波数)の比にも等しい。パワー密度の補正には、検出周波数が用いられてもよい。この場合は、シートビームを形成する光学系であることから、周波数の最大値を最小値で除算することで補正してもよい。
ビームウエストより下流側に「傾斜フリンジ」を形成させる場合は、検査対象物における受光光学系側のフリンジ周波数は、最小のフリンジ周波数である最小フリンジ周波数となる。最小のフリンジの間隔、即ち、最大のフリンジ周波数である最大フリンジ周波数の周波数スペクトル強度I(Ffmax)を基準とした場合、各「層」で切り取って得られたスペクトル強度については、周波数をf(fc)としてスペクトル強度Icを(f(Ff(max))/f(Ffc))倍すればよく、故にIc=Ic・(f(Ff(max))/f(Ffc))となる。補正された周波数スペクトル強度が所謂各「層」における濃度、又は、透過率となる。また、「傾斜フリンジ」をビームウエストの光源側(上流側)に形成させる場合は、「傾斜フリンジ」をビームウエストの下流側に形成させる場合とは逆に、下流側のフリンジ周波数が大きくなる。
<傾斜フリンジの生成方法>
図8A、及び、図8Bは、ビームがビームウエストのRayleighレンジの外側で交差することで形成されるビーム交差部の様子を表す模式図である。また、図8Aは、ビームウエストの下流側(焦点位置より受光素子アレイ131側)にビーム交差部が位置している様子を表した図である。図8Bは、ビームウエストの上流側(焦点位置より光源101側)にビーム交差部が位置している様子を表した図である。各図の太い実線で囲んだ箇所がビーム交差部に対応する領域(交差領域)である。交差領域に形成される「傾斜フリンジ」は、各「層」で異なる周波数のDoppler信号を生成する。
図9Aは、図8Aに「層」を加えた図である。図9Bは、図8Bに「層」を加えた図である。また、図9A、及び、図9Bは、ビーム交差部と「層」との位置関係を示す。図8A、及び、図8Bに示したような交差領域に、「傾斜フリンジ」が並んでいる。そして、その本数は、1組のビームウエスト同士の光軸を挟んだ距離、波長、及び、ビームウエストから「傾斜フリンジ」までの距離に基づいて決まる。受光レンズ132側の受光素子アレイ131の視野(被写界領域)は図8A、及び、図8Bに示したビーム交差部の幅よりも狭い。本願発明のテレセントリック受光光学系を経て、単位直方体の主走査方向と副走査方向の断面に含まれる受光素子アレイ131に投影される面積が受光する「傾斜フリンジ」の本数は、数本程度である。
前述した円筒波や球面波がビームウエストのRayleighレンジを外れた位置で交差し、「傾斜フリンジ」が形成され、光軸方向の「層」の位置によってフリンジ間隔が変化する様子を、「層」も含め、改めて図10A、及び、図10Bに示す。図10Aは、円筒波や球面波がビームウエストを外れた位置で交差し、「傾斜フリンジ」が形成され、光軸方向の「層」の位置によってフリンジ間隔が変化する様子を「層」も含めて表し、ビームウエストよりも下流(受光素子側)に位置する場合を示した図である。図10Bは、円筒波や球面波がビームウエストを外れた位置で交差し、「傾斜フリンジ」が形成され、光軸方向の「層」の位置によってフリンジ間隔が変化する様子を「層」も含めて表し、ビームウエストよりも上流(光源側)に位置する場合を示した図である。
<「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔>
上述したように、略同心円状の波面が交差すれば、Youngの2重スリット実験の回折・干渉パターンのようにフリンジがビームウエストから離れるに従い略同心円状に拡がってゆく。「傾斜フリンジ」におけるフリンジ間隔DFについては、ビームウエストを開口部と考え、2つのシート状ビームウエスト同士の副走査方向における間隔をDbw、光源波長をλ、シートビームウエストから一番近い交差部までの距離をLbnとし、一番遠い交差部までの距離をLbfとする。
まず、ビームウエストの径Dbwについては、収束レンズの焦点距離をf、収束レンズへの入射ビーム径をDbiとして、下記式(3)よりDbwを求める。
Figure 2024061156000004
また、収束したビームの拡がり角(半角)θdは、下記式(4)より求められる。
Figure 2024061156000005
Youngの回折実験においてよく知られているフリンジ間隔を求める式については、ビームウエストを2つの開口部の間隔とし、ビームウエストの間隔(ビームウエスト間隔)をWbとすると、フリンジ間隔DFが、下記式(5)より求まる。尚、Lは、ビームウエストからの距離である。
Figure 2024061156000006
また、式(5)に関し、ビーム交差部におけるシートビームのビームウエストから最も近い位置までの距離をLbnとし、一番遠い位置までの距離をLbfとすると、ビームウエストから一番近い位置にある「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔DFnが下記式(6)より求まり、一番遠いフリンジ間隔をDFfが下記式(7)より求まる。
Figure 2024061156000007
Figure 2024061156000008
<ガウシアンビームの波面>
フリンジを形成するシートビーム交差部の波面について以下に述べる。ガウシアンビームの光軸方向(Z方向)のにおけるビーム径W(Z)は、下記式(8)より求まる。
Figure 2024061156000009
ここで、Wはビームウエスト半径であり、ZrはRayleighレンジであり、Rayleighレンジについては、下記式(9)で表される。
Figure 2024061156000010
一方、波面の光軸方向Zにおける曲率半径R(Z)については、下記式(10)で表される。
Figure 2024061156000011
例えば、ビームウエスト半径W=15μmの場合は、RayleighレンジがZr=884μmである。また、この場合、各々のガウシアンビームの曲率半径Rgは、Rg(Z=4.7mm)=4.87mm、Rg(Z=14.7mm)=14.85mmである。つまり、この場合、曲率半径Rgの誤差は3.5%未満の差に収まる。この誤差は、必要に応じて、周波数検出時に各位置で補正すればよい。要は、各「層」において、周波数と検査対象物の厚み方向の位置と検出した周波数との間に対応が取れればよい。また、検査基準媒質にてキャリブレーションをすることは重要である。代表的な誘電体球状粒子にシリコーン粒子があり、該シリコーン粒子は、ほぼ真球粒子(粒径数μm~10数μm)が製品化されている。また、該シリコーン粒子を一定濃度でPMMA中に分散させたシート材は市販されている。該シートを検査基準媒質に用いることが出来る。屈折率は、生体に固有の屈折率の範囲(1.35~1.6)に収まっている。
「傾斜フリンジ」の測定部の光軸方向の長さは、テレセントリック受光光学系の被写界深度以上あればよく、また、測定部の幅は、前記単位直方体の主走査方向と副走査方向の断面の副走査方向の視野寸法以上であればよい。テレセントリック受光光学系が、等倍光学系で、焦点距離f=50mmの場合は、アパチャー径を1mm程度とすれば、被写界深度、及び、焦点深度については、約10mmとなりえる。被写界深度、及び、焦点深度は光学系自身を大きくすれば深くなる。テレセントリック受光光学系については、縮小光学系としてもよい。例えば、f=50mmの受光レンズに代えて、検査対象物側のf=500mmの受光レンズを用いる場合、元のf=50mmで用いたアパチャーの径を変更しなければ、幾何光学的N.A.が1/10になる。この場合、100mmの被写界深度が得られる。例えば生鮮野菜、果物、生魚、パック入りの各種食材などは、焦点距離を長くすれば、原理的に内部の構造の欠陥や異物の混入などの検査が可能になる。但し、テレセントリック受光光学系の物体側のレンズのNAが小さくなるので、f=50mm、f=500mmでは、立体角比で検討すると、100倍光量を増大させる必要がある。
<光減衰のLambert-Beerの法則による補正の詳細>
検査対象物が厚みのある光散乱性媒体である場合、光減衰が問題となる。本願発明において、前方散乱受光方式は、後方散乱受光方式に比べ、高い受光強度が得られる。生体内の散乱は、粒子径に置き換えると、サイズが数μmから数10μmの範囲とされ、この範囲においてMie散乱が支配的である。但し、多重散乱であるため、光減衰はLambert-Beerの法則に従う。
平行光束を光散乱性、及び、等方性を有する媒体に入射させた場合の透過率Tは、Lambert-Beerの法則に基づく下記式(11)より求まる。なお、式(11)におけるxは距離、Iは入射光強度、Iは出射光強度、ρは減衰定数である。
Figure 2024061156000012
生体において、光源波長λが800nm程度では、減衰定数ρがおおよそ0.1-1~1mm-1とされる。故に、1mm程度の厚みの媒体を用いた場合、出射光強度Iは、入射光強度Iのe-1に減衰する。仮に100分の1の出射光強度が減衰する厚みまで検出可能であり、ρ=0.1-1であるとすると、許容測定深さDaは、45mm程度となる。また、ρ=1mm-1の場合では、許容測定深さDaは、4.5mm程度となる。
図11Aは、粒子径5μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Bは、粒子径10μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Cは、粒子径15μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Dは、粒子径20μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Eは、粒子径25μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Fは、粒子径30μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11Gは粒子径0.05μmの場合のMie散乱光強度を全方位角方向の強度で表した図である。図11A~図11Fでは、球状粒子による方位角に対するMie散乱強度を示す。生体を屈折率の観点から主に細胞質、細胞壁、及び、細胞膜等からなるものと考え、波長λを800nm、細胞質の相対屈折率Nを1.35、細胞壁の相対屈折率N´を1.46~1.6とする。なお、細胞壁の相対屈折率N´については、代表的に1.46、又は、1.6として計算している。OCTにおいては、Mie散乱の領域のサイズを5μm~25μmとする。
ただし、Mie散乱については、非常に多くの粒子による散乱である多粒子系の散乱であるため、Mie散乱光強度そのもので生体を表すことは難しい。そのため、散乱光の減衰に対しては、Lambert-Beerの法則で説明するのが好ましい。一方で、一つ一つの光散乱は、Mie散乱、又は、Raylegh散乱であることに変わりはない。本願発明においては、ほぼ直進光成分を受光するため、散乱光強度分布をMie理論によるものとして扱い、減衰率については、Lambert-Beerの法則に従うものとする。
図11Aにおいて縦軸は、粒子径を5μm、波長λを800nmとした場合の相対屈折率に対応する散乱光強度である。横軸は、方位角である。また、図11Aにおいて、太い実線で囲まれる領域については、後方散乱領域に対応し、それ以外の領域については、前方散乱領域に対応する(本願発明では、側方散乱領域(90°方向散乱)は無視している)。前方散乱と後方散乱との光強度を、受光立体角N.A.を0.02としたうえで比較すると、10以上の散乱光強度の比となる大きな差がある。この差は、Mie散乱領域に特有の微細構造(振動現象)はあるものの、粒子径が大きくなるほど顕著になる。図11Eに示すように粒子径が25μmの場合では、10以上の比となる更に大きな差を生じる。つまり、前方散乱受光方式を採用できる透過型光学系の場合は、後方散乱型よりも受光量が多い。図11Gでは、波長λを0.85μm、粒子径を0.05μm、細胞質の相対屈折率Nを1.35、細胞壁の相対屈折率N´を1.6とした場合における方位角方向の散乱光強度を示す。図11Gに示すように、粒子径を0.05μmとした場合では前方散乱と後方散乱に差が無いことが分かる。
前方散乱光受光方式においては、後方散乱光受光方式において検査対象物となりえない物体、具体的には、閾値以上の厚みを有する物体、言い換えると、閾値以上の深さを有する物体が検査対象物となりえる。その旨を以下に示す。下記式(12)は、上記式(11)において受光される散乱光の強度をM倍まで高めた形に変更したものである。
Figure 2024061156000013
M=10であって、100分の1への減衰が測定限界であるとすると、距離xは、11.5mm程度である。また、M=10の場合では、距離xは、14mm程度となり、後方散乱型の2倍以上の厚みを有する検査対象物の測定が可能になる。
図12は、テレセントリック受光光学系の受光立体角NAを0.02としたときの前方散乱光と後方散乱光の受光強度比を粒子径別に相対値で示した図である。図12によれば、前方散乱光の強度が、後方散乱光の強度の100倍程度~1000倍程度あることが分かる。
図13Aは、Lambert-Beerの法則において減衰係数、吸収係数などを代表させ、ρで表した場合のρ=1-1の減衰率を示す。図13Bは、Lambert-Beerの法則において減衰係数、吸収係数などを代表させ、ρで表した場合のρ=0.1-1の減衰率を示す。また、図13Aは、上記式(12)のMに10を代入して減衰率を求めた結果を示し、図13Bは、上記式(12)のMに10を代入して減衰率を求めた結果を示す。図13A、及び、図13Bにおいて、太い実線で10-2に減衰する箇所を示した。前方散乱光受光方式が後方散乱光受光方式に比べ2~3倍の厚みまで許容測定範囲があることが分かる。
図14Aは、差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、前方散乱光受光方式のみを表した図である。図14Bは、差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、光軸上に前方散乱及び後方散乱の両受光系を配置した図である。図14Cは、差動型「傾斜フリンジ」を採用した前方散乱光受光方式と後方散乱光受光方式の例を主走査方向断面視にて示し、光軸上に前方散乱受光系を配置し、後方散乱受光系は光軸を外して配置した図である。
なお、図14Bに示すように、前方散乱受光方式に後方散乱受光方式を含める場合は、集光レンズであるシリンドリカルレンズ122を分割して配置することで、後方散乱光受光方式に関しても前方散乱光受光方式に関しても光軸上への受光素子アレイ131の配置を可能とする。また、前方散乱受光方式に後方散乱受光方式を含める場合は、散乱光の受光を可能とするため、後方散乱光が受光レンズ系のN.A.と受光素子アレイ131の長さを満足するような開口部をシリンドリカルレンズ122に設けてもよい。
また、図14Cは、図14Bの前方散乱受光方式と後方散乱受光方式の変形例であり、分岐したビームの光路を遮らないようにシリンドリカルレンズ122の下流側にプリズム124を配置し、光軸を折り曲げた後方散乱受光方式である。
<光学系>
図15に「傾斜フリンジ」を形成する集光光学系102と「傾斜フリンジ」から発生した散乱光を受光する受光光学系103と受光素子アレイ131を1組とした光学系を示す。つまり、図15は、1組の前方散乱受光方式(傾斜フリンジ形成光学系とテレセトリック受光光学系)を表した図である。テレセントリック受光光学系としては、被写界深度をより深く出来る両側テレセントリック光学系が好ましい。
受光素子アレイ131は「傾斜フリンジ」で散乱された前方散乱光を各画素で主走査方向に沿って受光する。即ち、「傾斜フリンジ」の光軸方向の周波数の異なる信号を、設定された蓄積時間内で、受光素子アレイ131の各画素が受光する。周波数解析を実行するためには、時間軸方向にずれた周波数分解能で位相をずらした信号を取り込み、かつ、DFT(FFT)処理を実行するためのデータが必要になる。故に、受光素子アレイ131を最小のフリンジ間隔よりも小さくし、かつ、単位直方体を定義する。前記の単位直方体は、受光素子アレイ131が複数集合して該受光素子アレイ131の主走査方向と副走査方向の画素面を底辺とした直方体が構成単位となる周波数分解能を満足する最小単位の直方体である。そして時間軸方向にずれた複数のデータに対しDFT(FFT)処理を実行し、単位直方体に含まれる周波数スペクトルを求める。
周波数スペクトルを求める一連の処理を主走査方向と副走査方向の全体にわたり実行すれば、図14A、図14B、及び、図14Cに示した光学系により、「傾斜フリンジ」部の主走査方向の長さ及び副走査方向に移動した長さ分であり、かつ、受光光学系103の被写界深度分の深さと同じ長さのすべての「層」を含む単位直方体について、1組の3次元の情報が得られる。
<他のフリンジ間隔変更方法>
前記の「傾斜フリンジ」方式以外にも、深度方向にフリンジ間隔を変更する手段はある。図16は、平面波ビームと円筒波ビームを交差させてフリンジ間隔を変更した例である。図16に示すフリンジは、平面波と円筒波を加えて作成されたものである。図16に示すフリンジは、光軸方向に楕円状に拡がっている。楕円状のフリンジは、受光素子方向に向かうにつれて拡がるため、フリンジ間隔が光軸方向に変化している。そのため、深度方向において、周波数の異なるDoppler信号を得ることが可能になる。つまり、検査対象物の厚み方向(深さ方向)の情報を得ることが出来る。
楕円状のフリンジは、Rayleighレンジ内に発生する略平面波と、ビームウエスト並びにRayleighレンジ外に発生する円筒波とを交差させることで、形成する。例えば、70μmのビームウエストの径を有するビームのRayleighレンジは、約10mmである。このビームと円筒波発生用のビームとでは、ビームウエストの径が異なり、ビームウエストの径Dbwは、Dbw=30μmにする。また、円筒波発生用のビームのウエスト位置をビーム交差部より光源101側に位置させることで、平面波に交差する手前にRayleighレンジを位置させる。円筒波発生用のビームのRayleighレンジは、約884μmである。
このように、ビームのウエストの位置等が決まると、確実に円筒波と平面波が交差する。平面波発生用ビームが70μmから99μmの径であることに対し、円筒波発生用ビームは、10mmの深度で70μmから340μmの径である。円筒波発生用ビームは、平面波発生用ビームと比べ3倍程度拡がる。そのため、円筒波発生用ビームについては、1/10倍程度パワー密度は低下するが、平面波発生用のビームによって一定程度パワーが補われる。
光軸方向へのフリンジ間隔の変更方法としては、レンズの球面収差を用いる方法を用いてもよい。図17は、歪ませた波面を交差させてフリンジ間隔を変更した例である。図17に示すように、波面を平面波から歪ませることで、歪む波面同士を交差させて光軸方向に変化させることが出来る。
<フリンジ間隔の測定>
「傾斜フリンジ」の光軸方向における受光光学系103の被写界深度内の各「層」の光軸方向の位置におけるDoppler信号の検出周波数について、予め求めておく。補正方法を以下に記す。
本願発明では、ターンテーブルの駆動モータにステッピングモータを用い、マイクロステップで駆動し、精密にコントロールする。タングステンワイヤーなどの数μmの細線に加工可能な常磁性或いは非磁性の金属ワイヤーを、回転対象の形状を有する金具に張りつけターンテーブル上に固定し、金具を回転体中心に配置する。精密に回転角度を制御し、フリンジを横切るように回転させてDoppler信号を得て、回転速度と観測周波数の関係からフリンジ間隔を求める。
また、「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔を求めるため、ターンテーブル自身を光軸方向に移動して、回転速度と観測した周波数の関係から「傾斜フリンジ」の各「層」におけるフリンジ間隔を求めればよい。この場合は、後方散乱光のDoppler信号を検出することになる。
或いは、副走査方向に移動するステージにおいて平行度のよいガラス基板に金属ワイヤーを張り、主走査方向に一定速度で(往復)移動させて、「傾斜フリンジ」を横切らせてDoppler信号を測定し、該Doppler信号の周波数からフリンジ間隔を求めてもよい。また或いは、上記ガラス基板上に半導体蒸着技術で細線を形成したものを、ステージに載置固定し、主走査方向と副走査方向に(往復)移動させ、Doppler信号を検出して各「層」におけるフリンジ間隔を求めることも可能である。前方散乱光を受光する場合は、平板に開口部を設け、前記の金属ワイヤーを張り、前記の往復運動をするステージに載せ、前方散乱光のDoppler信号を検出すればよい。
このようにして、予めフリンジ間隔程度の細い金属ワイヤーや蒸着した細線からDoppler信号を検出し、「傾斜フリンジ」の各「層」におけるフリンジ間隔を求め、後述する単位直方体から得られる周波数スペクトルと検査対象物の各「層」における濃度(透過率)を求める。そして、被写界深度内の任意の位置における濃度(透過率)と、主走査方向及び副走査方向の任意の位置(座標)とを組み合わせ、3次元の座標における濃度(透過率)を3次元空間にプロットすることにより、検査対象物の3次元画像を得る。
このように、本実施形態では、「傾斜フリンジ」の形成領域において、主走査方向並びに副走査方向において複数の受光素子を画素単位とし、該画素単位と「傾斜フリンジ」の形成領域における光軸方向の「層」の数とからなる直方体を単位直方体として、該単位直方体内の「傾斜フリンジ」において発生するDoppler信号から、DFT(FFT)処理によって単位直方体に含まれる各「層」の周波数スペクトルが求められる。そして、該周波数スペクトルに基づき、ビーム交差部における検査対象物の主走査方向、副走査方向及び光軸方向の各座標の濃度或いは透過率が算出され、これらの3次元の座標値により、3次元断層像が求められる。
図18に、図15に示した光学系を基本単位として、主走査方向に複数配置した光学系を示す。図15の光学系の受光素子アレイ131の長さは、約14mm程度であり、幅の広い検査対象物には、複数の光学系を配置して対応すればよい。例えば、300mmの主走査方向の長さを必要とする検査対象物には、1対の集光光学系102と受光光学系103を21組千鳥配置して、互いの光学系の主走査方向に並ぶ各受光素アレイ131の端部にオーバーラップ部を設けて全読み取り幅を確保すればよい。更に幅が広い検査対象物にも千鳥配置の光学系の数を増せば済み、工場のラインへの対応も可能である。また、医療検査分野、理化学分野、分析機器などへの対応も十分可能である。
各光学系の光源101は、読取ラインLに平行に並べて配置され、各光源101の光軸は、各受光レンズ132の光軸と略一致している。各光源101を射出した光はコリメーション後に分岐される。各集光光学系102は、副走査方向に略直交する方向に傾斜フリンジを形成するように副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズ122と、該シリンドリカルレンズ122の固有の焦点以外の位置で交差部を形成するように、分岐した各光を別々に副走査方向に対して傾斜させるウェッジプリズム123とを備える。集光光学系102と受光光学系103が対を成して、主走査方向に沿って交互に千鳥状に配置されている。
<フリンジ間隔と屈折率>
検査対象物には固有の屈折率がある。本願発明では、入射角が極めて小さい場合の近軸光学の適用範囲に相当するので、前記近軸光学の範囲で検討する。まず、検査対象物に入射した光線の屈折角θ´は、入射角θに対し小さくなる。また、波長については、屈折率N´の媒質中の波長をλ´とすると、波長λ´=λ/N´と短くなる。λは真空中(空気中)の波長である。一方、ビームウエスト間隔Wb´は、屈折角θ´が小さくなった分、真空中(空気中)におけるビームウエスト間隔Wbより狭くなり、Wb´=Wb/N´となる。故に「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔は、DF=L・λ´/Wb´=L・(λ/N´)/(Wb/N´)となり、結局、「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔DFは、空気中のフリンジ間隔であるDF=L・λ/Wbとしてよい。但し、L=L´と設定した場合であるので、検査対象物内部では、L´=L・N´分の伸びを考慮して、「層」の位置や受光光学系の被写界深度の位置を決定する。伸びは、検査対象物サンプルを用いて補正してもよい。
<DFT(FFT)処理>
サンプリング回数Nとサンプリング周波数fnは、周波数分解能をΔfとすれば、下記式(13)の関係がある。
Figure 2024061156000014
式(13)からNを求めることが出来、フリンジ周波数の最大値f(fmax)により式(12)からN=N(f(fmax))を求める。この周波数は、更にサンプリング定理の制限を受けるが、それについては後述する。
次に、取得した信号に対して前記単位直方体毎にDFT(FFT)処理を実行する。DFT(FFT)処理されたDoppler信号は、周波数スペクトルになり、予め設定した各「層」が含まれる周波数範囲毎に分別して、スペクトルのピーク値を算出する。各「層」は、その深さが既知であるため、「傾斜フリンジ」の光軸方向に対する光パワー密度に対し、前記スペクトルのピーク値を補正する。即ち補正したピーク値が最終的に求める深さ方向の濃度、或いは、透過率であり、主走査方向及び副走査方向の2次元座標と深度方向の座標とを合わせ、3次元の座標に濃度(透過率)データをプロットしてゆけば3次元断層像、或いは、3次元画像が求められる。
このように、本実施形態では、DFT(FFT)処理により得られた周波数スペクトルの強度と、該周波数スペクトルを得た傾斜フリンジにおける「層」の光軸上の座標と、主走査方向と副走査方向の座標から、3次元座標に傾斜フリンジの光軸方向の光パワー密度で補正された周波数スペクトルデータをプロットして3次元画像のデータとする。得られた3次元断層像、或いは、3次元画像から、経時的に画像が変化する3次元映像(3次元断層映像)が求められてもよい。
原信号を復元し、かつ、折り返しノイズ(エリアシング)を回避するために、Nyquistのサンプリング定理から、前記のfsとNyquist周波数fnとが下記式(14)の関係を満足することが要請されている。更に一般的に周波数解析機器において、原信号は、下記式(14)よりも厳しく制限された下記式(15)を満足しなければならないことが知られている。
Figure 2024061156000015
Figure 2024061156000016
故に改めて、式(15)に基づき、fs´(rev)=2.56・fnが得られる。このデータが、前記単位直方体の断面積の副走査方向のサイズ内に滞在している間に得られる。
<疑似カラー化>
尚、3波長の光源に、CMOSセンサに近赤外線フィルタを3波長分備えた3ラインセンサを合わせて用いれば、近赤外線をRGBに適宜変換し、各近赤外線の疑似カラー画像として得ることが出来る。図19に、3種類の近赤外波長の光源101からの光をコリメータレンズ125で平行光束にした後に、ビームスプリッタ126で分岐し、シリンドリカルレンズ122によりビームウエストの上流側で交差させ、かつ、3波長を重ね合わせた共通部分を有する集光光学系102を示す。平面図の濃い塗りつぶし部が3波長の共通部分である。図20A、図20Bにビームスプリッタ126の部分を詳細に示す。この例では、ビームスプリッタ126が、ウェッジプリズム126a及びビームストップ126bを含む。図20Aでは、シリンドリカルレンズ122の手前でビームを拡げ、シリンドリカルレンズ122に固有の焦点の位置より下流側にビーム交差部を形成している。図20Bでは、逆に、シリンドリカルレンズ122の手前でビームを狭め、シリンドリカルレンズ122に固有の焦点の位置より上流側にビーム交差部を形成している。
ウェッジプリズム126aは、集光光学系102に含まれるシリンドリカルレンズ122に対して光軸方向の上流側に、光軸に対して対称配置された光学素子であり、副走査方向にパワーを有し、かつ、主走査方向断面視においてウェッジ状に形成されている。ただし、ウェッジプリズム126aは、シリンドリカルレンズ122に対して光軸方向の上流側に限らず、下流側に配置されてもよい。
<光源の高出力化>
尚、前述の光源101は、CWレーザーを念頭において説明したが、PWM制御により受光素子アレイ131の蓄積時間のみ点灯させることで、効率的な受光ができ、かつ、光源101自身の高出力化も図れる。すなわち、光源101を直接変調することでDoppler信号を周波数変調してもよい。具体的には、光源101を変調する周波数が、複数の受光素子を含む受光素子アレイ131の1素子を駆動するクロック周波数よりも小さく、受光素子アレイ131の蓄積時間と光源101のパルス点灯時間が同期し、かつ、パルス点灯時間が、受光素子アレイ131の蓄積時間内であることが好ましい。
<周波数変調によるS/Nの改善>
従来、LDVやレーザードップラー血流計では、周波数シフタ(音響光学変調器:AOM(Acousto-Optic-Modulator)が多く用いられる)などを活用して、Doppler信号を数10MHzの高周波で変調することにより、S/Nの改善や検査対象物内部の構造の動きなどの補足が行われ、特に血流計においては、多粒子系であり、S/Nの改善に有効である。本願発明においても、S/Nの改善に向けて、周波数シフタを用いることは有効である。LDVにおいて、一般的には光源(レーザー)を出射したビームを2分岐し、一方のビームを前記AOMの周波数f1でBragg回折させ、他方のビームを周波数f2でBragg回折させると、ビーム交差部では、差周波数ΔfdがΔfd=|f1-f2|で交差部のフリンジが移動し、Δfdに高周波変調されたDoppler信号が観測される。これは、AOMが本来の駆動周波数近傍で駆動する必要があるが、変調周波数を駆動周波数よりも低域としたい場合に用いる方法である。本願発明においては、前記以外にも、光源からの光を直接変調した信号を搬送波としてDoppler信号を観測する系を採用することで、S/Nを改善できる。図24に、高周波変調を掛けたDoppler信号と、元のDoppler信号を示した図(破線の囲みはバンドパスフィルタ)を示す。
以上、「傾斜フリンジ」から得られるDoppler信号をDFT(FFT)処理し、検査対象物の3次元画像を得ることを示したが、工場ラインの検査装置では、必ずしも常に異物や欠陥の3次元構造を観察する必要は無く、通常は異物や欠陥の有無を判定し、異物や欠陥が検出したと判定されたときのみ3次元画像を蓄積したデータから3次元画像化し、異物や欠陥の種類の特定をすればよい。
本願発明の差動型ヘテロダイン検出方式では、ビームウエスト近傍に「傾斜フリンジ」を形成し、前方散乱光を受光することにより、従来型のOCTと比較し、より厚み(深さ)のある検査対象物を検査することが可能になる。また、「傾斜フリンジ」部から光軸方向(厚み方向或いは、深さ方向)に異なる周波数を発生する複数の「層」を設け、直進光成分のみを検出できるヘテロダイン検出によるビジビリティが良好なDoppler信号を得ること、並びに、テレセントリック光学系の立体角の小さいN.A.と相まって、より高いS/Nを実現し、かつ、千鳥状に複数の受光素子アレイ131を配置することにより、幅が広く、大きな検査対象物を検査することが可能になる。
<実施例1>
<「傾斜フリンジ」の形成とフリンジ間隔>
前述した如く、「傾斜フリンジ」部のフリンジ間隔DFは、従来のLDV(Laser_Doppler_Velocimeter)におけるビームウエストに形成されるフリンジ間隔とは異なる「傾斜フリンジ」を形成する。即ち、ビームウエストを開口部と考え、シート状ビームウエストの短辺側の幅をDbw、光源波長λをλ=0.8μmとし、シートビームのビームウエストから一番近い交差部までの距離をLbnとし、一番遠い交差部までの距離をLbfとする。シートビームの交差角(半角)θcは、θc=1.5°に設定し、幾何学的な交差部の形状を求める際に用いる。
まず、ビームウエストの径Dbwについては、収束レンズの焦点距離f、収束レンズへの入射ビーム径をDbiとすると、式(3)より、Dbi=1.7mm、f=50mmの場合Dbw≒30μmとなる。従って収束したビームの拡がり角(半角)θdは、式(4)より、θd≒0.97°が得られる。
次に、交差部のサイズを求める。Youngの回折実験においてよく知られているフリンジ間隔DFを求める式(5)より、Wb=0.35mm、とし、2本のシートビームの交差角(半角)θcは、θc=1.5°とする。図21Aに上記実施例の数値を反映した模式図を示す。ビーム交差部の光軸方向の長さは、18.9mmである。
図21Bは、ビームウエストよりも光源側にビーム交差部を形成した場合である。ビームウエストを光源側に配置する利点は、ビームウエスト間隔を狭くしても受光レンズに直接ビームが入射しないことである。図21Bの場合はWb=0.1mmである。ビームウエスト間隔を狭く出来ることで、フリンジ間隔を拡げることが可能になり、受光素子アレイのサイズを大きく出来る。更に、ビーム交差部の幅を長くとることと、光軸にほぼ平行にすることが出来、ビーム交差部のパワー密度が低下し難い利点もある。
<測定部長と受光系の被写界深度>
図21Aにおいて、単位直方体をビーム交差部が包含するためには、ビームウエストからZ=4.7mm離れた位置から、被写界深度の10mmを加えた14.7mmまでの長さにわたってフリンジ形成部が必要になる。図21Aで示したビーム交差部の長さ18.9mmから受光素子のサイズが被写界深度内を満足する範囲を選ぶ。Lbn=4.7mm、Lbf=14.7mmであり、ビームウエスト間隔Wbは、Wb=0.35mmなので、式(5)より、「傾斜フリンジ」のビームウエストに近い側のフリンジ間隔DF(nbw)は、DF(nbw)=37.6μm、ビームウエストから遠い側のフリンジ間隔DF(fbw)は、DF(fbw)=117.6μmとなる。図22に図21Aの場合のビーム径並びにビームウエストを基準にしたパワー密度を示す。ビームウエストからの距離が4.7mmから14.7mmの間では、ビームウエストにおけるパワー密度の50%強から10%の範囲でビームを用いることが出来る。
前方散乱光の受光では、散乱光強度が後方散乱光強度よりも3桁から5桁程度高いため、10%程度に光量が減じても、まだ受光素子上で、2桁から4桁の光量の大きさ(強さ、高さ)を得られるため問題ない。また、後方散乱光の受光では、検査対象物の光損傷を考慮しつつ、高出力の光源を用いて低下したパワーを補うことも可能である。
次に「傾斜フリンジ」の周波数Ffを求める。検査対象物の搬送速度が0.5m/secのとき、Ff=4.25KHz~13.3KHzとなるので、周波数帯域ΔFfは、ΔFf=9.05KHzである。また、フリンジ周波数から求めたフリンジ通過時間FtはFt=75μsec~235μsecとなる。
<ガウシアンビームの波面>
図23にガウシアンビームの波面の曲率と光軸距離の誤差を示す。式(8)により、本実施例1のRayleighレンジZrは、Zr≒884μmとなる。交差部におけるビーム波面の曲率半径として、単位直方体のある交差部における曲率半径R(Z=4.7mm)とR(Z=14.7mm)は、R(Z=4.7mm)=4.87mm、R(Z=14.7mm)=14.75mmである。ビームウエストに近い方の曲率半径と距離の誤差は3.5%である。このため、予め、周波数と単位直方体の測定体積に含まれる「層」との関係を前記の<フリンジ周波数の測定>に記した方法で補正しておき、被写界深度における「層」の位置を正確に求め、主走査方向と副走査方向の2次元データに加え、3次元データとする。
前述のように検査対象物の搬送速度を0.5m/secとしたので、検査対象物のフリンジ通過時に観測される周波数であるフリンジ周波数FfがFf=4.25KHz~13.3KHzの周波数領域において、帯域ΔFfがΔFf=9.05KHzの帯域信号を解析することになる。ここで、フリンジ周波数を観測する際に1画素サイズを決める。本実施例1では、画素サイズ3.5μm角の受光素子が主走査方向に4096素子、副走査方向に16ラインの受光素子アレイを用いる。このサイズでは、高速の走査速度を有するCMOSラインセンサが市販されている。同時に、37.6μmの「傾斜フリンジ」の最小のフリンジ間隔を識別するには、十分である。そして3.5μm角サイズの受光素子を用いた場合について、後述するDFT処理のために、16素子、16ラインを1単位とする単位画素を設定する。ここで、検査対象物の奥行方向(光軸方向)にも同サイズの立方体を1単位とすれば、10mmの被写界深度内で、178層の傾斜フリンジによる周波数の異なる信号を得ることが可能になる。次に、副走査方向に56μmだけ検査対象物が移動する間に、56μm×178層≒10mmの深さについて、周波数分解能をどのくらいに設定すればよいか、その際にはどのくらいのサンプリング数が必要であるかを検討する。
<傾斜フリンジによるDoppler信号周波数の光軸方向への変化とサンプリング周波数:一つの信号の周波数解析が出来ると同時に隣接した「層」の弁別ができることが必要であること>
フリンジが形成された測定部を受光素子アレイに投影した場合に、受光素子アレイの1画素サイズ面積56μmに投影されたフリンジ数は、1本から5本である。そして、投影された該フリンジが受光素子アレイの1画素内を横切ることにより、各「層」毎にフリンジ間隔に応じた出力変動を生じる。また、副走査方向と同様に主走査方向の1画素分である16素子を1組として、16パラレル処理の受光素子アレイ(256素子×16組)でオーバーサンプリングを16回行う。また、搬送速度が0.5m/secであるので、3.5μm角の画素を副走査方向に通過するのに要する時間は7μsecであり、周波数に置き換えると、143KHzとなる。市販の受光素子アレイには、ラインレートが200KHz以上の性能の素子があるので、143KHz×16パラレル処理は十分可能である。
16パラレル処理は、1行のラインセンサのラインレートに置き換えると、2.29MHzと同等である。以上、4096/16=256画素を1組として合計16組で1つの読取ラインをパラレル出力する。
<周波数帯域で隣接する「層」から発生した信号を識別できること>
本実施例1におけるサンプリング周波数Fsを求めるために、隣り合った「層」を識別するのに必要な周波数分解能を検討する。本実施例1の「層」の数と「傾斜フリンジ」形成部のフリンジにより、0.5m/secの搬送速度で検出するDoppler信号は、最小値のFf(min)=4.25KHzから最大値のFf(max)=13.3KHzまで観測される。最大フリンジ周波数Ff(max)=13.3KHzであるので、Nyquistのサンプリング定理が要請するサンプリング周波数Fsは、式(15)より、Fs=2.56・Ff(max)≒34KHzが得られ、この値について、再度、周波数分解能Δf(N=4096)を求めると、Δf(N=4096)=34KHz/4096≒8.3Hzとなる。一方、フリンジ周波数の帯域ΔFfは、ΔFf=9.1KHzであり、これを178層で割ると、ΔFf/178=51Hzとなり、Δf(N=4096)=8.3Hzで1層当たり6データとなり、十分識別可能である。
そして、4096個のサンプリング数を式(1)によりDFT(FFT)処理し、時間領域のN個のデータから周波数領域へのN個の周波数データに変換する。これにより、単位直方体における「傾斜フリンジ」内の178層の各「層」の周波数スペクトル、即ち濃度或いは透過率が得られ、主走査方向及び副走査方向の2次元データの一組と組み合わせて3次元データとし、単位直方体における3次元データの1組が揃う。
この操作を主走査方向及び副走査方向に繰り返すことにより、検査対象物全体における3次元データの全てが得られ、故に、目的とする検査対象物の3次元データを3次元画像化できる。
上記は、N=4096個のデータとしたが、周波数分解能について、N=1024とした場合も検討する。サンプリング周波数Fs=34KHzとN=1024を式(13)に代入すれば、Δf(N=1024)=33Hzとなり、フリンジ周波数の帯域ΔFf=9.1KHzから得た51Hzの「層」の周波数間隔よりも若干小さく、検出時の周波数分解能を満足している。故にN=1024個もサンプリング数を満足する。ここで検討したN=1024は、図4Bに示した単位直方体の小さい枠で囲んだ方の矩形において、オーバーサンプリング数をNos=16、前記最小単位画素に含まれる受光素子アレイの画素の主走査方向の数をNmr=8、副走査方向の受光素子アレイのライン数をNl=8とした場合を表している。この場合は、単位直方体が28μm角となって、光軸方向の「層」の分解能は変化しないが、主走査方向及び副走査方向については、2倍の画素密度になる。
<実施例2>
搬送速度が1m/secの場合、「傾斜フリンジ」から得られるフリンジ周波数Ff(1m/sec)は、前記の倍の8.5KHz≦Ff≦26.6KHzで、帯域ΔFf(1m/sec)は、ΔFf(1m/sec)=18.1KHzとなる。また、受光素子サイズ3.5μmを通過するに要する時間は3.5μsecであり、周波数に置き換えると、285.7KHzになる。この場合は、パラレル処理数を増やし、32パラレル処理(128個の受光素子を1組とする)とするか、或いは、8回のオーバーサンプリングとして、Nos×Nmr×Nsl=8×16×16=2048、即ち、N=2048とする。単位直方体の「層」の厚みを前記<実施例1>と同じ56μmとすれば、「層」の数は178層であるから、隣接する「層」の信号を識別するには、N=2048の場合、最大フリンジ周波数Ffは、Ff(max)=26.6KHzより、Fs=2.56・Ff(max)=68.1KHzとなる。一方、周波数分解能ΔFsは、ΔFs=68.1KHz/2048=33.3Hzである。故に1m/sの場合の「層」の周波数間隔101Hzに3データを割り振ることができ、隣接する「層」の信号を識別可能である。
<実施例3>
産業用途では、空間分解能は、500μmあれば許容される分野もあり、食品内部の異物検出などが代表的である。本実施例3では、単位直方体の空間分解能を、338.4μm(8画素、8ライン分)とし、8ラインCMOSセンサを用いる。該CMOSラインセンサは、1ライン当たり、400画素の600dpi相当(42.3μm角)の受光素子アレイである。走査は、1ライン毎に独立で、ラインレートは125KHzである。即ち走査時間は、8μs/ラインとなる。また、搬送速度は0.5m/sである。故に、受光素子の副走査方向を通過するのに要する時間は84.6μsである。故に、1ラインについて、オーバーサンプリングは、10回まで可能である。本実施例3では、Nos=8とする。338.4μmの単位直方体の主走査方向と副走査方向の断面に含まれる受光素子数は、主走査方向には338.4/42.3=8素子である。故に副走査方向に8ライン分あれば、N=Nos(8)×Nmr(8)×Nsl(8)=512となる。光軸方向の「層」は、この例では、8素子×42.3=338.4μmの厚みとしたので、被写界深度10mmに対し、30層の周波数信号の識別ができればよい。
図21Bの各種パラメータの条件は、ビームウエスト間隔以外は図21Aと同じで、ビームウエスト間隔Wbのみが異なり、Wb=0.1mmである。検出されるDoppler信号の周波数は、「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔がビームウエストから4.7mm離間した位置で、DF(4.7mm)=75.2μm、「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔がビームウエストから14.7mm離間した位置で、DF(14.7mm)=235.2μmである。故に、受光素子アレイのサイズ42.3μmよりもフリンジ間隔が大きく、フリンジを十分識別可能である。また、ビーム拡がり角θdについては、ビームウエスト径DbwをDbw=30μmとして、θd=0.97°としている。また、ビーム交差半角θc(=1.5°)とビーム拡がり角の差を少なくしている。こうすることで、交差部の光軸方向の長さを長くできる。交差部の長さは、13.1mmであり(ビームウエスト間隔DbwをDbw=0.1mmとした)、交差部の幅が338.4μmの単位直方体の副走査方向の幅が含まれる被写界深度を十分確保できる。フリンジ数は、1本から4本である。次に、搬送速度は、0.5m/sであり、Ff=2.1KHz~6.7KHzの信号及びΔFf=4.6KHzが得られる。最大周波数F(Doppler_max)がF(Doppler_max)=6.7KHzであるので、これを2.56倍したF(Doppler_max2.56)がF(Doppler_max2.56)=17.1KHz以上のサンプリング周波数であればよい。ラインレート125KHzは、上記サンプリング周波数を十分満足している。故に、N=512から周波数分解能ΔFs(Doppler_max)=34Hzが得られ、「層」の数は30層であるので、Doppler信号の周波数帯域が3.6KHzであることから、3.6KHz/30は153Hzとなる。したがって、上記周波数分解能は各「層」に対し、4個以上のデータからとなり、識別分解能を十分に満足している。
透過型光学系の光軸合わせは一般的に難しいとされてきた(特に共焦点型において顕著である)。本願発明は、透過型光学系に付き物の、光軸合わせの問題はある。図14A、図14B、図14Cの前方散乱方式において、破線で囲んだ受光光学系を副走査方向と光軸方向に平行移動でき、かつ、主走査方向にチルト(傾き)の調整が可能になるように、平行移動機構及び傾き調整機構が備えられていてもよい。この場合、検査対象物のサンプルを搬送して、受光光学系における平行移動機構及び傾き調整機構により、受光素子アレイの出力を最大になるように光軸調整すればよい。
<変形例1>
前述した差動型ヘテロダイン方式検査装置では、「傾斜フリンジ」を形成し、「傾斜フリンジ」に含まれる「層」のDoppler信号が各「層」で異なる周波数を発生し、該Doppler信号をDFT(離散フーリエ変換)処理することにより、周波数スペクトルを求め、各「層」の濃度或いは、透過率を求める方法を取った。図25に、光源101が現在SS_OCTで用いられている光源であるSS(Swept_Source)の場合を示す。SS光源からなる光源101は、波長掃引型のコヒーレント光源である。
図25と式(5)により、傾斜フリンジのフリンジ間隔DFが変化することが分かる。波長毎のDoppler信号を各単位直方体におけるすべての「層」において取得し、DFT処理により各「層」の周波数スペクトルを求め、濃度或いは透過率に変換し、次々に波長をスイープさせて、前記のプロセスを繰り返せば、より詳細な生体組織の情報を取得できる。更に、Rayleghレンジ内であってもフリンジ間隔は変わるので、より光パワー密度の大きいビームウエスト近傍のビーム交差領域でも曲率半径の「層」の識別に必要とされる差分を有するのであれば、ビームウエストにより近づけてもよい。なお、SS光源からなる光源101は、変形例1の場合、コヒーレンス長の長い光源であり、コヒーレンス長が長いSS(Swept_Source)は既に市販されている。
<変形例2>
図26に、AOD(音響光学偏向器)127を用いてシリンドリカルレンズ122への入射ビームの角度を可変にした集光光学系102を示す。光源101から射出した光は、光軸方向視に対する光ビーム断面が略円形状にコリメーションされた後、ビームスプリッタ121で2分岐され、1対のAOD127に入射する。このAOD127により、出射光を副走査方向と光軸を含む面内でスキャニングし、2分岐された光が互いに光軸上の同じ位置で交差するように1対のAOD127の走査を同期させ、偏向角を調整する。
図20A、図20Bで示した、ウェッジプリズム126aでは、入射角を変更できるが、角度は固定される。AOD127を用いることで、高速に入射角度を変更できるため、光軸方向への「傾斜フリンジ」の位置を高速に可変出来る。故に、受光光学系103に被写界深度の長いテレセントリック光学系を採用できる。即ち、より長い測定部を形成できる。
例として12mrad(at:λ=800mm)の最大偏向角を有するAOD127を用いる。±6mradの角度が、元々のレンズの焦点距離から求められる交差角θc=26mrad±2mrad(1.5°±0.34°)になる。これより、光軸上の交差位置は、45mm(-6mrad)-50mm-64mm(+6mrad)となり、光軸上を交差部が19mm移動する。交差部の単位直方体の長さは、被写界深度に等しく、10mmであったが、倍の長さの測定部を形成でき、故に、受光光学系103の被写界深度も2倍に出来る。被写界深度を2倍にするには、例として、受光光学系103の上流側の受光レンズ132の焦点距離foをfo=100mmとし、下流側の受光レンズ132の焦点距離frをfr=50mmとすればよい。
縮小率が1/2となると、受光素子の画素に投影されるフリンジ間隔が1/2となるので、前記の「傾斜フリンジ」のフリンジ間隔は受光素子アレイ131の画素上で、DF(nbw)=37.6/2=18.8μm、ビームウエストから遠い側のフリンジ間隔DF(fbw)は、DF(fbw)=117.6/2=58.8μmとなる。前記の3.5μm角の受光素子アレイ131であればフリンジを十分識別可能である。尚、AOD127に入射させる光ビームは円形が好ましく、かつビーム径Φbは、Φb≦2mmであることが好ましい。故に、光源101から出射した光ビームを一度、円形断面にコリメーションし、ビームスプリッタで2分岐した後、AOD127に入射させBragg回折させた後、適宜シリンドリカルレンズペアでシートビームに成型すると同時にコリメーションする。
<変形例3>
ビームウエストが検査対象物内に位置すると、該ビームウエストのパワー密度が最大になり、ビーム交差部のパワー密度を高めようとする際に、検査対象物が損傷を受ける場合があるため、損傷を回避するために、ビームウエストを検査対象物外に位置させる。図27A及び図27Bは、光源101から射出した光が形成するビームウエストが検査対象物の外部に位置する例を示している。図27Aは、ビームウエストの下流側にビーム交差部を設けた場合を示し、図27Bは、ビームウエストの上流側にビーム交差部を設けた場合を示す。ビームウエストを検査対象物の外側に位置させることにより、ビーム交差部のパワー密度を検査対象物の損傷限界まで高めることが可能になる。
<変形例4>
図28に、副走査方向にビーム交差部を移動可能にし、検査対象物が静止した状態でも検査を可能にする方式を示す。光源を射出した光ビームを2分岐し、各ビームに対し、1個のAOD127を配し、各ビームの偏向角を同角度に偏向する。同角度に偏向することにより、ビーム交差部が副走査方向に移動する。
<変形例5>
図29に、光源101をアレイとして副走査方向に複数配置し、静止した検査対象物に適用できるようにした場合を表す。アレイ状の光源101とビームスプリッタ126との間には、第1コリメータレンズ125a及び第2コリメータレンズ125bが配置されている。主走査方向及び光軸に略直交する方向である副走査方向に配列された複数の光源101を用いて、ビーム交差部を副走査方向に移動させることができる。前述したフリンジ間隔の測定方法は、そのまま、静止した検査対象物の検査に用いることが可能である。即ち、フリンジ間隔を測定するワイヤー基板の代わりに検査対象物を同じ位置に載置し、副走査方向にビーム交差部を移動させれば、検査対象物自身を検査することが可能になる。本方法は、搬送系が無い場合の比較的小さな検査対象物を検査するのに好適である。
集光光学系102に含まれるシリンドリカルレンズ122に対して光軸方向の上流側には、光軸に対して対称配置されたウェッジプリズム126aが配置されている。ウェッジプリズム126aは、副走査方向にパワーを有し、かつ、主走査方向断面視においてウェッジ状に形成された光学素子である。図29には図示しないが、受光素子アレイ131としては、副走査方向のサイズが傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズのものを用いる。受光素子アレイ131の各受光素子が出力した信号をA/D変換した後の信号から、DFT(FFT)処理を用いて周波数スペクトルを求めることができる。ただし、ウェッジプリズム126aは、シリンドリカルレンズ122に対して光軸方向の上流側に限らず、下流側に配置されてもよい。
<変形例6>
図30A、図30B、図30Cに受光素子アレイ131の上流側にMCP(マイクロチャンネルプレート;以下MCPと記す)134を配置した場合の模式図を示す。MCP134を配置した以外は、図14A、図14B、図14Cの構成と同様である。本願発明において、MCP134に入射する光束が直進光成分であるため、MCP134の光電面におけるバランシェ効果をより増大させるために、光軸に対しMCP134の入射面を傾斜させている。また、受光素子アレイ131の受光面には蛍光物質(図示は省略)を塗布し、MCP134から射出した電子を光子に変換することにより、受光素子アレイ131が、MCP134に入射する前よりも多くの光子を受光出来る。このように、受光素子の手前にMCP134が主走査方向、或いは、副走査方向に対して傾斜配置され、受光素子の受光面に蛍光物質が塗布され、MCP134から射出した電子が蛍光体に入射した際に、二次的な光子を発生し、受光素子の受光面に入射する。更に、MCP134の開口のサイズは、受光素子アレイ131の画素寸法より、小さいか、或いは、前記単位直方体の光軸に垂直な断面のサイズよりも小さい方が好ましい。
前記MCP134を10度傾斜させた場合、電子の出射口は、MCP134の厚みを1mm(2段のMCP134)とすると、入射口に対し176μm移動する。そのため、受光素子アレイ131を予め、受光レンズ132の光軸に対し、176μmずらして配置することが好ましい。但し、移動量を満足する程度に、主走査方向の受光素子アレイ131が十分長い場合や副走査方向のライン数が多い場合はこの限りではない。前記のようなMCP134を用いることにより、増幅率は、約100万倍~1000万倍以上になり、後方散乱光を受光する場合でもMCP134を用いない前方散乱光を受光する場合と同等以上の光散乱光からの出力を得られる。前方散乱光を受光する場合は、式(12)においてM=10とすると、検査対象物の測定厚みを30mm以上にできる。図31にM=10及びM=10との場合について、M=1と比較した場合を示す。いずれもρ=0.5mm-1である。
<受光レンズの配置>
図32A~図32Eは、複数の受光レンズ132の配置の一例を示す図である。図32A~図32Eにおいて、X方向が主走査方向であり、Y方向が副走査方向である。Z方向は、X方向及びY方向に直交している。受光光学系103は、主走査方向に沿って複数配置された複数の受光レンズ132を備える。また、受光素子アレイ131は、主走査方向に沿ってライン状に配置された複数の受光素子を備え、各受光素子において、複数の受光レンズ132を透過した光を受光する。図32A~図32Eの例では、複数の受光レンズ132が、各受光レンズ132の直径以上に互いに離間して配置され、集光光学系102の光軸と受光光学系103の光軸が一致している。また、受光素子アレイ131に備えられた複数の受光素子は、少なくとも1列以上の読取ラインLを形成する。
図32A及び図32Eの例では、複数の受光レンズ132は、各受光レンズ132の視野135の寸法以下に互いに離間して配置されている。図32C及び図32Dの例では、複数の受光レンズ132は、各受光レンズ132の視野135の寸法以上に互いに離間して配置されている。図32Bの例では、主走査方向に隣り合う1対の受光レンズ132については、各受光レンズ132の視野135の寸法以下に互いに離間して配置され、1対の受光レンズ132同士は、各受光レンズ132の視野135の寸法以上に互いに離間して配置されている。図32Aの例では、複数の受光素子が1列のアレイ状に配置されることにより1つの受光素子アレイ131を構成し、1列の読取ラインLを形成しているのに対し、図32B~図32Eの例では、複数の受光素子は少なくとも2列以上の読取ラインLを形成している。
より具体的には、図32Eの例では、複数の受光素子が2列以上のアレイ状に配置されることにより複数の受光素子アレイ131を構成し、複数の受光素子アレイ131の各々は、読取ラインLに直交する方向において受光レンズ132の直径以上に互いに離間し、かつ、受光レンズ132の視野135の寸法以下に互いに離間して配置されている。一方、図32B~図32Dの例では、複数の受光素子が2列以上のアレイ状に配置されることにより複数の受光素子アレイ131を構成し、複数の受光素子アレイ131の各々は、読取ラインLに直交する方向において受光レンズ132の視野135の寸法以上に互いに離間して配置されている。特に、図32Cの例では、複数の受光レンズ132は、複数の受光素子アレイ131に対応した数だけ配置され、各受光レンズ132の光軸は、各受光素子アレイ131の略中央部を貫く。
また、図32B、図32C及び図32Eの例では、複数の受光素子アレイ131が、2列の読取ラインLにそれぞれ複数配置された各読取ラインLよりも短い受光素子アレイ131であり、一方の読取ラインLに配置された受光素子アレイ131と他方の読取ラインLに配置された受光素子アレイ131とが、主走査方向に沿って交互に千鳥状に配置されている。特に、図32Eの例では、複数の受光レンズ132は、2列の読取ラインLの間に、複数の受光素子アレイ131に平行に1列で配置され、各受光レンズ132の光軸が、2列の読取ラインLの間の副走査方向における略中央部を貫く。
101 光源
102 集光光学系
103 受光光学系
121 ビームスプリッタ
122 シリンドリカルレンズ
123 ウェッジプリズム
124 プリズム
125 コリメータレンズ
126 ビームスプリッタ
126a ウェッジプリズム
126b ビームストップ
127 AOD(音響光学偏向器)
131 受光素子アレイ
132 受光レンズ
133 アパチャー
134 MCP(マイクロチャンネルプレート)
135 視野
L 読取ライン

Claims (39)

  1. 光源としてのコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源から射出する光を2分岐し、分岐した光を交差させて交差部を形成させ、該交差部において、前記コヒーレント光源からの光の光軸に対し傾斜する傾斜フリンジを形成させる集光光学系と、
    前記傾斜フリンジにおいて発生する前方散乱光、或いは、後方散乱光のうち、直進光成分を受光する受光光学系とを備え、
    前記受光光学系は、散乱光成分を含まないDoppler信号を前記受光光学系の焦点位置に配置した受光素子により受光することを特徴とする検査装置。
  2. 前記傾斜フリンジにより発生したDoppler信号の周波数を任意の層に分解し、かつ、各層から発生するDoppler信号の周波数を前記層に対応させ、検査対象物の光軸方向に沿って区分された各層の濃度或いは透過率を検出することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記受光光学系は、前記受光素子が前記光軸に直交する方向に配列された受光素子アレイを備え、
    前記受光素子アレイの長手方向が主走査方向であり、前記主走査方向と前記光軸とに直交する副走査方向は、検査対象物の搬送方向であり、主走査方向と副走査方向並びに前記層によって区分された光軸方向の任意の位置で検出した信号から3次元データを構成することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
  4. 前記傾斜フリンジは、ビームウエスト以外で光を交差させた前記交差部に、円筒波、或いは、球面波を発生させることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  5. 前記傾斜フリンジは、円筒波と平面波の組み合わせ、或いは、球面波と平面波の組み合わせ、或いは、平面波、円筒波、及び、球面波以外の波面を交差させることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  6. 前記集光光学系は、集光レンズと、前記光軸を含む平面に直交する方向にパワーを有する光学素子とを備え、前記集光レンズの固有の焦点位置以外の前記光軸上の位置で光を交差させることにより前記交差部を形成させることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  7. 前記受光光学系は、主走査方向に沿って複数配置された複数の受光レンズと、主走査方向に沿ってライン状に配置され、前記複数の受光レンズを透過した光を受光する複数の前記受光素子とを備え、
    前記複数の受光レンズは、該受光レンズの直径以上に互いに離間して配置され、前記集光光学系の光軸と前記受光光学系の光軸は一致しており、前記複数の受光素子は、少なくとも1列以上の読取ラインを形成することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  8. 前記複数の受光レンズは、該受光レンズの視野寸法以下に互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
  9. 前記複数の受光レンズは、該受光レンズの視野寸法以上に互いに離間して配置され、
    前記複数の受光素子は少なくとも2列以上の前記読取ラインを形成することを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
  10. 前記複数の受光素子は、1列のアレイ状に配置されることにより1つの受光素子アレイを構成し、
    前記複数の受光レンズは、該受光レンズの直径以上に互いに離間し、かつ、該受光レンズの視野寸法以下に互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
  11. 前記複数の受光素子は、2列以上のアレイ状に配置されることにより複数の受光素子アレイを構成し、該複数の受光素子アレイの各々は、前記読取ラインに直交する方向において前記受光レンズの直径以上に互いに離間し、かつ、該受光レンズの視野寸法以下に互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
  12. 前記複数の受光素子は、2列以上のアレイ状に配置されることにより複数の受光素子アレイを構成し、該複数の受光素子アレイの各々は、前記読取ラインに直交する方向において前記受光レンズの視野寸法以上に互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
  13. 前記複数の受光レンズは、前記複数の受光素子アレイに対応した数だけ配置され、各受光レンズの光軸は、各受光素子アレイの略中央部を貫くことを特徴とする請求項11又は12に記載の検査装置。
  14. 前記複数の受光素子アレイは、2列の前記読取ラインにそれぞれ複数配置された各読取ラインよりも短い受光素子アレイであり、一方の読取ラインに配置された受光素子アレイと他方の読取ラインに配置された受光素子アレイとが、主走査方向に沿って交互に千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の検査装置。
  15. 前記複数の受光レンズは、2列の前記読取ラインの間に、前記複数の受光素子アレイに平行に1列で配置され、各受光レンズの光軸が、2列の前記読取ラインの間の副走査方向における略中央部を貫くことを特徴とする請求項14に記載の検査装置。
  16. 前記コヒーレント光源は、前記読取ラインに平行に並べて配置され、前記コヒーレント光源の光軸は、前記受光レンズの光軸と略一致しており、前記コヒーレント光源を射出した光はコリメーション後に分岐され、
    前記集光光学系は、前記副走査方向に略直交する方向に前記傾斜フリンジを形成するように前記副走査方向にのみパワーを有する集光レンズと、該集光レンズの固有の焦点以外の位置で前記交差部を形成するように、分岐した各光を別々に前記副走査方向に対して傾斜させる光学素子とを備え、
    前記集光光学系と前記受光光学系が対を成して、前記主走査方向に沿って交互に千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載の検査装置。
  17. 前記コヒーレント光源に直線偏光を有するLDを含むレーザーを用いることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  18. 前記光源が波長掃引型のコヒーレント光源であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  19. 前記コヒーレント光源から射出した光の光軸方向視に対する光ビーム断面を略円形状にコリメーションした後、ビームスプリッタで2分岐し、1対の音響光学偏向器に入射させ、出射光を副走査方向と光軸を含む面内でスキャニングし、前記2分岐された光が互いに光軸上の同じ位置で交差するように前記1対の音響光学偏向器の走査を同期させ、偏向角を調整することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  20. 前記コヒーレント光源から射出した光が形成するビームウエストが検査対象物の外部に位置することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  21. 主走査方向及び前記光軸に略直交する方向である副走査方向に配列された複数の前記光源を用いて、前記交差部を前記副走査方向に移動可能にすることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  22. 前記集光光学系に含まれる集光レンズに対して光軸方向の上流側又は下流側に、前記光軸に対して対称配置され、副走査方向にパワーを有し、かつ、主走査方向断面視においてウェッジ状に形成された光学素子を有しており、かつ、副走査方向のサイズが前記傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズである受光素子アレイを有することを特徴とする請求項21に記載の検査装置。
  23. 副走査方向のサイズが前記傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズである受光素子アレイを有しており、かつ、前記受光素子が出力した信号をA/D変換した後の信号から、離散フーリエ変換を用いて周波数スペクトルを求めることを特徴とする請求項21に記載の検査装置。
  24. 予め複数の基準媒質の各層のDoppler信号を離散フーリエ変換して得た光減衰率を用いて、検査対象物の各層の離散フーリエ変換により得たスペクトル強度を補正することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  25. 前記受光素子の手前にマイクロチャンネルプレートが主走査方向、或いは、副走査方向に対して傾斜配置され、前記受光素子の受光面に蛍光物質が塗布され、前記マイクロチャンネルプレートから射出した電子が蛍光体に入射した際に、二次的な光子を発生し、前記受光素子の受光面に入射することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
  26. 請求項1に記載の検査装置を備え、
    前記傾斜フリンジの形成領域において、主走査方向並びに副走査方向において複数の前記受光素子を画素単位とし、該画素単位と前記傾斜フリンジの形成領域における光軸方向の層の数とからなる直方体を単位直方体として、該単位直方体内の前記傾斜フリンジにおいて発生するDoppler信号から、離散フーリエ変換によって前記単位直方体に含まれる各層の周波数スペクトルを求め、該周波数スペクトルに基づき、前記交差部における検査対象物の主走査方向、副走査方向及び光軸方向の各座標の濃度或いは透過率を算出し、これらの3次元の座標値により、3次元断層像を求めることを特徴とする3次元断層像形成装置。
  27. 前記3次元断層像から3次元断層映像を求めることを特徴とする請求項26に記載の3次元断層像形成装置。
  28. 請求項1に記載の検査装置に用いる光学素子であって、該検査装置の集光光学系に含まれる集光レンズに対して光軸方向の上流側に、前記光軸に対して対称配置され、副走査方向にパワーを有し、かつ、主走査方向断面視においてウェッジ状に形成されたことを特徴とする光学素子。
  29. 請求項1に記載の検査装置に用いる光学素子であって、該検査装置の集光光学系に含まれる集光レンズに対して光軸方向の下流側に、前記光軸に対して対称配置され、副走査方向にパワーを有し、かつ、主走査方向断面視においてウェッジ状に形成されたことを特徴とする光学素子。
  30. 請求項1に記載の検査装置に用いる受光素子であって、該受光素子の副走査方向のサイズが前記傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズであることを特徴とする受光素子。
  31. 請求項1に記載の検査装置に用いる受光素子アレイであって、該受光素子アレイの副走査方向のサイズが前記傾斜フリンジにおけるフリンジ間隔よりも小さいサイズであることを特徴とする受光素子アレイ。
  32. 請求項1に記載の検査装置における信号処理方法であって、前記受光素子が出力した信号をA/D変換した後の信号から、離散フーリエ変換を用いて周波数スペクトルを求めることを特徴とする信号処理方法。
  33. 前記受光素子が出力した信号をA/D変換した後の信号から、離散フーリエ変換を用いて周波数スペクトルを求める際に、前記傾斜フリンジに含まれる単位直方体を形成し、該単位直方体は、主走査方向並びに副走査方向の複数の前記受光素子、並びに、被写界深度内の全ての層を含み、
    前記単位直方体に含まれる前記受光素子から出力され、A/D変換された後のデジタル信号の自然数から成る総数をNとし、前記受光素子の読取ラインのオーバーサンプリング数をNos、主走査方向における前記単位直方体に含まれる前記受光素子の数をNmr、副走査方向における前記単位直方体に含まれる前記受光素子の数又はライン数をNsl、とした場合に、
    N=Nos・Nmr・Nsl
    を満足し、かつ、Nは2のべき乗を満足することを特徴とする請求項32に記載の信号処理方法。
  34. 隣あった層の周波数同士が分離可能になるように離散フーリエ変換におけるサンプリング数Nを決定することを特徴とする請求項33に記載の信号処理方法。
  35. 離散フーリエ変換により得られた周波数スペクトルの強度と、該周波数スペクトルを得た前記傾斜フリンジにおける層の光軸上の座標と、前記主走査方向と副走査方向の座標から、3次元座標に前記傾斜フリンジの光軸方向の光パワー密度で補正された周波数スペクトルデータをプロットして3次元画像のデータとすることを特徴とする請求項33に記載の信号処理方法。
  36. 前記受光素子が出力した信号をA/D変換した後のデジタル信号にデジタルフィルタを掛け、Doppler信号のみの帯域に制限した信号とすることを特徴とする請求項32に記載の信号処理方法。
  37. 請求項32に記載の信号処理方法を実行するために、前記光源を直接変調することでDoppler信号を周波数変調する方法であって、前記光源を変調する周波数が、複数の前記受光素子を含む受光素子アレイの1素子を駆動するクロック周波数よりも小さく、前記受光素子アレイの蓄積時間と前記光源のパルス点灯時間が同期し、かつ、前記パルス点灯時間が、前記受光素子アレイの蓄積時間内であることを特徴とする周波数変調方法。
  38. 請求項1に記載の検査装置に用いる受光光学系であって、副走査方向及び光軸方向の平行移動機構、並びに、主走査方向の傾き調整機構を備えたことを特徴とする受光光学系。
  39. 請求項38に記載の受光光学系の光軸調整方法であって、検査対象物のサンプルを用い、前記受光光学系における前記平行移動機構及び前記傾き調整機構により、光軸調整することを特徴とした光軸調整方法。

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