JP2024061111A - 重合体の分解油を精製する方法および精製油の製造方法 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
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Abstract

【課題】炭素を含む重合体の分解油から、シアノ基などの炭素-窒素多重結合構造を有する化合物やピロール類の様な含窒素環状化合物などの窒素含有化合物を含むヘテロ元素含有化合物をより効率的に除去する分解油の精製方法、および精製油の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、(A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および(B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを150℃未満で接触させる工程を含む、前記分解油の精製方法を含む。【選択図】なし

Description

本発明は重合体の分解油を精製する方法および精製油の製造方法に関する。
近年、環境問題が重視される傾向がある。中でも地球温暖化やプラスチックによる海洋汚染への言及があり、石油、石炭などの化石資源の使用低減や、廃プラスチックの投棄防止、再利用の促進などの方策が検討されている。
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の汎用樹脂類や、ポリアミド、ポリエーテル、ポリチオエーテル等の機能性樹脂類は、熱分解方法によって容易に油状化し、分解油が得られることは公知であり、使用済みとなった樹脂類の再利用方法の有力な候補である。例えば、前記分解油を回収ナフサとして、既存の石油化学工業のシステムに再利用する方法を挙げることが出来る。
一方で、一般社会生活から樹脂を種類別に分別回収することは事実上困難であり、結果としてプラスチック類の分解油の中には窒素含有化合物及び/又は塩素含有化合物が含有されることが多い。この様な所謂ヘテロ元素を含む化合物は、下流工程での触媒毒として作用したり、装置の腐食などの原因となることがあるので、一般的に除去することが求められる。
このような問題解決の方法としては、前記分解油を水素化処理する方法(特許文献1)や、水蒸気処理する方法(特許文献2)、無機酸と接触させる方法(特許文献3)、アルカリ性化合物や水と接触させる方法(特許文献4)、金属酸化物などの固体化合物と接触させる方法(特許文献5)等が開示されている。
特開平9-48983号公報 特開平9-48981号公報 特開平9-48982号公報 特開2003-34794号公報 特表平11-504672号公報
特許文献1~5の方法は、分解油から窒素、塩素等のヘテロ原子含有化合物を低減する効果があるが、例えば、既存のナフサクラッカーに前記の分解油を供給して、エチレン、プロピレンなどのオレフィンを製造するような再利用方法への適用には、よりヘテロ原子含有率を低減することが好ましいと考えられる。これは、例えば、エチレンやプロピレンなどにヘテロ原子含有化合物が含まれていると、その重合触媒の触媒毒となる場合などの弊害が生じる可能性がある事による。
また、本発明者らが前記特許文献で開示された方法で得られる分解油を分析したところ、シアノ基などの炭素-窒素多重結合構造を有する化合物やピロール類の様な含窒素環状化合物のような、特異なヘテロ原子含有化合物の残存率が高い傾向である結果を得た。この結果より、上記の様なヘテロ原子含有化合物は、前記の特許文献に開示された方法では十分に除去できないか、または新たに生成した成分であることが示唆され、予想外の新たな問題が浮上した。
このような問題に鑑み、本発明は炭素を含む重合体の分解油から、シアノ基などの炭素-窒素多重結合構造を有する化合物やピロール類の様な含窒素環状化合物などの窒素含有化合物を含む、ヘテロ元素含有化合物をより効率的に除去する分解油の精製方法、および精製油の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、所定の条件下で炭素を含む分解油を水素化処理および金属酸化物と接触処理することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は下記の要件により特定される。
[1](A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および(B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを150℃未満で接触させる工程を含む、前記分解油の精製方法。
[2]前記(A)工程が、180~450℃で行なわれる、前記[1]に記載の精製方法。
[3]前記触媒が遷移金属系触媒である、前記[1]に記載の精製方法。
[4]前記金属酸化物が酸化アルミニウムを含む、前記[1]に記載の精製方法。
[5]前記金属酸化物が活性白土を含む、前記[1]に記載の精製方法。
[6](A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および(B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを150℃未満で接触させる工程を含む、精製油の製造方法。
本発明によれば、炭素を含む重合体の分解油から、シアノ基などの炭素-窒素多重結合構造を有する化合物やピロール類の様な含窒素環状化合物などの窒素含有化合物を含む、ヘテロ元素含有化合物をより効率的に除去する分解油の精製方法、および精製油の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、従来の方法では除去することが困難な傾向にあったと考えられる特定の成分をも除去できるので、例えば廃プラスチックなどの重合体を分解して得られる分解油のヘテロ原子含有化合物の含有率が少ない態様に精製することが出来る。この為、得られる精製分解油を従来のナフサクラッカーに導入することによって、エチレン、プロピレンや芳香族化合物等を得ることが出来る。この方法は、例えば廃プラスチックなどの再利用の方法として有力であると考えられ、工業的にも環境問題の観点からも有用な技術であると言える。よって、本発明の産業的意義は大きい。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書中、各数値範囲の下限値と上限値は任意に組合わせることができる。
<精製方法>
本発明の一実施形態は、(A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および(B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを接触させる工程を含む、前記分解油の精製方法である。以下、炭素を含む重合体、(A)工程である水素化処理工程、(B)工程である金属酸化物接触工程について説明する。
<炭素を含む重合体>
本発明に使用される炭素を含む重合体は、分解油の原料となる重合体であり、好ましくは各種用途のプラスチック成形体の廃棄物である。前記のプラスチックは各種のものを包含しており、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の何れをも包含し得る。また、前記重合体は、エラストマー類、ワックス類、オイル類、グリース類なども前記重合体の例である。さらにこれら複数種を含む、所謂組成物も勿論前記重合体の例である。
前記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン(PO);ポリスチレン(PS)および耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などのスチレン系樹脂;ポリアミド樹脂(別名「ナイロン」)およびABS樹脂などの窒素含有樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などのオレフィンモノマーと小割合の別種モノマーとの共重合樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリ塩化ビニリデン(PVDC)などの塩素含有樹脂;ならびに、ポリカーボネート、ポリアクリル酸メチル、およびポリメタクリル酸メチル樹脂などのアクリル樹脂等の酸素含有樹脂、ナイロン(商標名)を代表例とする各種ポリアミドやポリイミド、ABS樹脂等の窒素含有樹脂が挙げられる。
前記の熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン(PU)、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
前記重合体は、前記熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が単独使用でも2種以上併用されてもよい。
前記のエラストマー類、ワックス類、オイル類、グリース類としては、以下の様な化合物を例示することが出来る。
合成ゴム、例えばエチレン-プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)及びそれらの架橋物(加硫物)、熱可塑性エラストマー例えばエチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム/ポリエチレン組成物の部分架橋物、スチレン-ブタジエン共重合体水素化物及び通称「石油樹脂」等の合成「炭化水素樹脂」を挙げることが出来る。勿論、天然ゴムを採用することも出来る。
その他、エチレン系ワックス状重合体もしくはグリース状重合体、プロピレン系ワックス状重合体もしくはグリース状重合体、例えばアタクチックポリプロピレンを挙げることも出来る。また、エンジンオイルなどの成分である液状の低分子量オレフィン重合体や鉱物油なども対象となる。前記のエラストマー、ワックス類、オイル類、グリース類も、単独で使用することも、2種以上併用することも出来る。
また、上記の全ての種類の重合体を、適宜組み合わせた組成物として使用することも出来る。
上記の複数種の成分を含む組成物としては、高融点成分(所謂樹脂)と、低融点成分及び/又は液状の成分とを含む態様が、熱分解時に熱伝導、分解効率などの観点で好ましいことがある。
本発明に使用される分解油の原料となる重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、前記ポリオレフィンとエラストマーとを含む所謂ポリオレフィンコンパウンドであることが特に好ましい。
他方、分解油の原料となる重合体には窒素含有重合体及び/又は塩素含有重合体が混在する場合が多い。そのような成分としては、例えば、下記の様な重合体(「樹脂」及び「ゴム」、別名「結晶性重合体」及び「非晶性もしくは低結晶性重合体」を包含する)を挙げることができる。
窒素含有重合体:ポリアミド樹脂(別名「ナイロン」)、ABS樹脂、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体ゴム(NBR)
塩素含有重合体:ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、クロロプレンゴム(CR)
上記の窒素含有重合体及び/又は塩素含有重合体が通常0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%(全重合体量基準)混在する重合体に対して、本発明の精製方法が著効を発揮する。
上記の様な重合体を公知の方法で熱分解して分解油を得ることが出来る。
本発明者の検討によれば、この様な分解油には、ヘテロ原子含有重合体由来と考えられる成分が含まれている。例えば、窒素含有成分であれば、アミン化合物の他、ピリジン、ピロール等の含窒素環状化合物やシアノ基を有する化合物が含まれる。この様な窒素を含む化合物の多くは塩基性を有する為、無機酸などと接触させることで除去することが出来るが、シアノ基を有する化合物は特許文献1~5に記載の方法で除去することは困難無い傾向があるであろう事が今回の検討で分かってきた。
<水素化触媒>
本発明の精製方法において、(A)水素化処理工程に用いられる触媒(水素化触媒)は、公知のあらゆる水素化処理用の触媒を採用することが可能である。好ましい例としては、遷移金属系触媒であり、より好ましい例としては、石油の接触水素化精製において用いられる遷移金属の酸化物触媒を挙げることが出来る。特に好ましい触媒としては、酸化モリブデン、酸化ニッケル及び酸化コバルトを挙げることが出来る。これらの成分は複数種を併用することも可能である。
また、これらの遷移金属酸化物が固体酸であるアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア及びゼオライトの1種以上並びに固体塩基であるマグネシアから選ばれる1種以上からなる適切な微粒子担体表面に担持されたものは、触媒効率の点で好ましい。即ち、触媒性能を発揮する遷移金属酸化物が担体表面に選択的に分布し得ることから、所定量の触媒を可能な限り効率的に活用することができる。
本発明の精製方法において、所期の効果を発現させるに好ましい態様としては、上記の各種遷移金属酸化物触媒を、固体酸及び/又は固体塩基からなり、次記の性状を備えた粉末の担体に担持させて用いる例を挙げることが出来る。前記担体としては、平均粒径域50~50000μm、好ましくは500~5000μm、比表面積(BET法による)0.1~1000m2/g、好ましくは10~300m2/gのものが挙げられる。
<(A)水素化処理工程>
本発明の(A)工程である水素化処理工程は、各種の反応方式(装置)、例えば、(槽型)バッチ反応方式もしくはセミバッチ方式、連続反応方式、固定床方式、管型反応方式、流動床方式又は移動床方式等を用いて行なうことができる。
本発明の(A)工程は、反応温度が150~800℃で行う。前記温度範囲の好ましい下限値は170℃、より好ましくは180℃であり、好ましい上限値は600℃、より好ましくは450℃である。これら上限値と下限値は任意に組合わせることができるが、170~600℃で行うのが好ましく、180~450℃で行うのがより好ましい。
例えば、(A)工程をバッチ反応方式で行う場合、上記の分解油1kg当たり、前記水素化触媒(遷移金属酸化物基準)5~500g、好ましくは20~200gの存在下に、水素をその分圧0.1~15MPa、好ましくは0.3~10MPaで存在させた状態で、反応温度150~800℃、好ましくは170~600℃、より好ましくは180~450℃、通常0.5~10時間、好ましくは1~3時間加熱して、窒素含有化合物及び/又は塩素含有化合物を分解する方法を挙げることが出来る。
(A)工程を連続反応方式で行う場合、例えば、固定床に前記水素化触媒を充填し、前記分解油と水素とを連続的に供給する方法を挙げることが出来る。操作条件は、反応温度が150~800℃であり、好ましい下限値は170℃、より好ましくは180℃であり、好ましい上限値は600℃、より好ましくは450℃である。好ましい反応圧力は0.1~15MPaであり、より好ましい下限値は0.3MPa、さらに好ましくは0.4MPaであり、より好ましい上限値は10MPa、さらに好ましくは8.0MPaである。好ましい重量空間速度(WHSV)は0.1~100h-1であり、より好ましい下限値は0.5h-1、さらに好ましくは0.8h-1、特に好ましくは1.0h-1であり、より好ましい上限値は50h-1、さらに好ましくは10h-1、特に好ましくは5h-1、殊に好ましくは3h-1である。(前記「h」は時間(hour)を示す。)好ましい水素過剰量は1~100倍であり、より好ましい下限値は2倍、さらに好ましくは3倍、特に好ましくは5倍であり、より好ましい上限値は50倍、さらに好ましくは30倍、特に好ましくは20倍である。
前記連続反応法やセミバッチ法の場合、前記分解油や水素は、水素化触媒に循環供給することも勿論可能である。
上記の様な条件で水素化処理を行うと、分解油に含まれる多重結合を有する成分が効率的に水素化されたり、分解される。例えば、オレフィン類やジエン類などの不飽和炭化水素化合物が含まれている場合は、飽和炭化水素化合物が生成するので好ましい。また、含窒素化合物等のヘテロ原子含有化合物は、揮発性の含窒素化合物や低分子量アミン化合物に分解される。この様な成分は低圧下で揮発させるなどの方法で簡単に除去可能である。
一方、本発明者の検討によれば、この水素化処理分解油にはピロール類などの比較的分子量の高い含窒素環状化合物等も含まれるが、前記のシアノ基の様な炭素-窒素多重結合の構造を含む化合物が効果的に低減されていることが多いことが判明した。
<(B)金属酸化物との接触工程>
前記(A)工程で水素化処理された分解油は、適宜、冷却や加熱等の方法で温度を調整した後、(B)工程である金属酸化物との接触工程に供される。該接触工程では、金属酸化物を含む固体状成分に前記分解油を接触させる。この様な方法は、バッチ法、連続法など、公知の方法を制限なく適用することが出来る。
本発明の(B)工程は、150℃未満で行い、好適には室温以上150℃未満で行う。温度範囲の下限値は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃、特に好ましくは80℃である。一方、好ましい上限値は、140℃、より好ましくは130℃、さらに好ましくは125℃、特に好ましくは120℃である。
この様な温度で前記分解油を後述する金属酸化物と接触させると、効率的にヘテロ原子含有化合物を除去することが出来る。
〔金属酸化物〕
本発明の(B)工程で用いられる金属酸化物は、例えば、アミンやピロール類の様な窒素含有化合物等のヘテロ原子含有化合物を除去する効果を示せば公知の金属酸化物を制限なく用いることが出来る。この様な金属酸化物としては、酸化アルミニウム、ならびにゼオライトに代表されるアルミノシリケート、酸化鉄、酸化ジルコニウム、および酸化チタンなどの金属酸化物を挙げることが出来る、その他、二酸化ケイ素、ならびに酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化カルシウム、および酸化ナトリウムなどを挙げることも出来る。これらの中では酸化アルミニウム、ならびにゼオライトに代表されるアルミノシリケート、酸化鉄、酸化ジルコニウム、および酸化チタンが好ましく、酸化アルミニウム、アルミノシリケートをさらに好ましい例として挙げることが出来る。特に好ましくは酸化アルミニウムである。これら金属酸化物は、一種のみの態様も複数種の組み合わせの態様の何れでも構わない。これらの金属酸化物の組み合わせにより、酸性度や塩基性度等を調節することや例えば、複数種を多層的に配置することで、多様なヘテロ原子含有化合物に好適な組成を実現することが出来る。
本発明に用いられる金属酸化物は、前記の金属酸化物の態様であってもよいし、他の成分が含まれる組成物の態様でもよい。他の成分としては、例えば多孔質樹脂等、所謂担体として知られているものを制限なく例示することが出来る。この様な担体等を併用することによって、例えば前記の金属酸化物をカラムに充填させるのに好適な形状にすることや、前記の金属酸化物の表面積を広げて、その単位重量当たりの性能を効率的に高めることも可能となる。
上記のような態様を有する金属酸化物の市販製品の例としては、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、活性ジルコニア、活性白土、カオリン、活性クレーなどを挙げることが出来る。
本発明においては、金属酸化物としての性能の他、入手容易性、焼成などによる繰り返し使用等の観点を考慮すると、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、活性白土を好ましい例として挙げることが出来る。特に好ましい例は活性アルミナ、活性白土であり、殊に好ましくは活性白土である。(活性白土は、酸化アルミニウム、シリカを含むほか、酸化鉄、酸化マグネシウムなども含まれる態様であることが知られている。)
前記の分解油と、金属酸化物との比率(金属酸化物比=分解油/金属酸化物)は、重量比で2~1000であることが好ましい。より好ましい下限値は4、さらに好ましくは5、特に好ましくは6である。一方、より好ましい上限値は500、さらに好ましくは100、特に好ましくは50である。
前記分解油と金属酸化物とを接触させる時間は、好ましくは1分間~24時間である。より好ましい下限値は5分間、さらに好ましくは8分間、特に好ましくは10分間である。一方、より好ましい上限値は18時間、さらに好ましくは12時間、特に好ましくは6時間である。
金属酸化物が少な過ぎたり、接触時間が短過ぎると、十分にヘテロ原子含有成分を除去できない場合がある、一方で、前記金属酸化物が多過ぎたり、接触時間が長過ぎると、コスト高を招く傾向がある。また、条件によっては前記金属酸化物により分解油が変質してしまうことがある。
本発明の精製方法は、前記の通り、(B)接触工程の前に(A)水素化処理工程を実施する態様であることを必須とする。
上記の条件を満たしていれば、(A)水素化処理工程、(B)金属酸化物との接触工程は複数回実施してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他の工程を含んでいてもよい。例えば、無機酸による処理や水蒸気処理などの公知のヘテロ原子含有化合物を除去する工程を含む方法を用いることも出来る。
本発明においては、前記の(A)工程で、除去され難い傾向があると推定されるシアノ基を有するような多重結合を有する化合物(例えばニトリル類)が水素化反応によって、ピロール類やアミン類などに変換されているであろうことは前記の通りである。このため、(A)工程で得られる分解油を金属酸化物と接触させることで、例えば前記の窒素化合物の様なヘテロ原子含有化合物が恐らく吸着あるいは分解され、分解油から除去することが出来るのであろうと考えられる。また、前記の金属酸化物が吸着剤の性能を持つ場合、通常、オレフィンなどの炭素-炭素多重結合を有する化合物も吸着されやすいと言われている。この為、前記ヘテロ原子含有化合物の吸着効率を低下させている可能性がある。本発明の(A)工程では、この様なオレフィン等の多重結合を有する化合物の含有率を減少させるであろうことから前記のヘテロ原子含有化合物を吸着除去しやすい要因となっていることが推測される。
本発明の精製方法によって得られる分解油は、前記の(A)工程、(B)工程によって、ヘテロ原子含有化合物、特には含窒素化合物が低減された状態である。この為、例えばこれをナフサクラッキングプロセスに供給すれば、石油化学原料として有用なエチレン、プロピレン、1-ブテン、ブタジエン、イソプレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレンその他の不飽和炭化水素へ変換できると期待できる。これらの中でも、エチレン及びプロピレンが広汎な製品の原料となり得る点で好ましい。
合成プラスチックなどの重合体は広範な用途に使用されるが、その使命を終えると多くはこれまで埋め立てや焼却処理などが行われる他、ごみとして投棄される等、有効活用と言う視点では改善の余地があったと考えられる。一方、本発明の精製方法を用いればこれらの重合体を原油などと同様、資源として利用することが出来る。
<精製油の製造方法>
本発明の一実施形態は、(A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に水素化処理する工程、および(B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物を含む金属酸化物とを接触させる工程を含む、精製油の製造方法である。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
本発明の精製方法によって達成された効果を確認する為の定量分析は下記の分析装置を用いて行なった:
・窒素含有化合物の定量:微量全窒素分析装置:TN-2100V型装置 (縦型炉、非水系用)(日東精工アナリテック株式会社)
・ガスクロマトグラフ:アジレント・テクノロジー製7890B GC型装置
キャリアガス:ヘリウム(流速:1.27ml/分)
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB-5MSDB-5MS型キャピラリーカラム(内径:0.25mm、長さ:30m、膜厚:1μm)
検出器:NPD(窒素リン検出器)
[実施例1]
〔水素化処理〕
下記の条件で、廃プラスチックを熱分解して得た分解油を水素化処理した。使用した分解油の窒素含有量は230ppmであった。ガスクロマトグラフィーなどの方法を用い、この分解油には、シアノ基含有化合物やピロール類が含まれていることが判明した。
分解油や水素の供給ライン、排出ライン、温度調整装置等を付したカラムを含む反応装置を準備し、前記カラムにニッケル、酸化ニッケルなどを含む水素化触媒(日揮触媒化成製)15gを充填した。このカラムに水素を供給して前記カラム内を水素で置換した後、水素で0.7MPaに加圧した。次いで、前記カラムに、前記分解油を重量空間速度1.0h-1の条件で供給し、分解油の水素化処理反応を行った。前記カラムを加熱することで、反応温度は200℃とした。水素過剰量は10倍であった。
前記カラムを通過して得られた分解油の窒素含有率は、84ppmであった(窒素除去効率:63%)。この分解油には、シアノ基含有化合物は殆ど検出されず、ピロール類等が含まれていた。
〔金属酸化物接触処理〕
反応装置に、前記の水素化処理分解油10ml(窒素含有量:84ppm)と、金属酸化物として東新化成製活性白土0.7gとを装入し、100℃、常圧にて30分攪拌した(活性白土濃度:10重量%、金属酸化物比:10)。次いで、活性白土を常法にて濾別し、精製分解油を得た。窒素含有量は12ppmであった(金属酸化物接触処理工程での窒素除去効率:86%、水素化処理工程*金属酸化物接触処理工程での窒素除去効率:95%)。
[比較例1]
前記熱分解油(窒素含有量230ppm)を水素化処理せずに、実施例1と同様の方法で金属酸化物による処理を行った。得られた分解油の窒素含有量は110ppmであった(窒素除去効率:52%)。
上記の通り、水素化処理工程と金属酸化物接触工程とを組み合わせることで、予想外の高い効率で窒素含有化合物が除去できる結果を得た。これは、水素化処理によって、シアノ基含有化合物が分解などによって消失し、窒素含有化合物がピロール類やアミン類等を不純物として含む態様となり、これを金属酸化物を含む活性白土を利用して除去することにより予想外の高い効率で窒素含有化合物を除去できたものと考えられる。

Claims (6)

  1. (A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および
    (B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを150℃未満で接触させる工程
    を含む、前記分解油の精製方法。
  2. 前記(A)工程が、180~450℃で行なわれる、請求項1に記載の精製方法。
  3. 前記触媒が遷移金属系触媒である、請求項1に記載の精製方法。
  4. 前記金属酸化物が酸化アルミニウムを含む、請求項1に記載の精製方法。
  5. 前記金属酸化物が活性白土を含む、請求項1に記載の精製方法。
  6. (A)炭素を含む重合体の分解油を、触媒の存在下に150~800℃で水素化処理する工程、および
    (B)前記(A)工程で得られる処理油と、金属酸化物とを150℃未満で接触させる工程
    を含む、精製油の製造方法。
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