JP2024060449A - 画像形成装置及び搬送速度補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】転写部及び定着部における媒体の搬送速度を適正に補正することができ、画像品位を向上させることができるようにする。【解決手段】転写部と、定着部と、弛み検出部と、加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで定着装置を空転させる前処理部Pr3と、前処理が行われた後に、転写部から定着部に媒体を搬送したときの媒体の弛みの検出結果に基づいて、転写部における媒体の搬送速度に対する定着部における媒体の搬送速度の補正値を算出する搬送速度補正値算出処理部Pr4と、補正値に基づいて搬送速度を制御する搬送速度制御処理部Pr5とを有する。製造誤差があっても、加圧部材の表面と内部との温度差によって生じる熱膨張量のばらつきの影響を排除して、転写部及び定着部における媒体の搬送速度を適正に補正することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、画像形成装置及び搬送速度補正方法に関するものである。
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面がLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像ローラによって現像されてトナー像が形成される。そして、用紙カセットから給紙され、前記感光体ドラムと転写ローラとの間の転写部としての転写ニップ部に供給された媒体としての用紙に、前記トナー像が転写ローラによって転写される。トナー像が転写された用紙は定着器に送られ、該定着器における加熱ローラと加圧ローラとの間の定着部としての定着ニップ部においてトナー像が用紙に定着させられて画像が形成され、印刷が行われる。
ところで、転写ニップ部と定着ニップ部との間において用紙に弛みを形成するとともに、弛みセンサによって前記弛みを検出し、弛みセンサが所定の信号を発生させるまでの時間に応じて、転写ニップ部における用紙の搬送速度及び定着ニップ部における用紙の搬送速度を補正することによって、画像の品位が低下するのを防止するようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、転写ニップ部及び定着ニップ部を構成する各部材に製造誤差があると、転写ニップ部及び定着ニップ部における用紙の搬送速度の設計値からのずれが発生し、搬送速度を適正に補正することができず、画像品位が低下してしまう。
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、転写部及び定着部における媒体の搬送速度を適正に補正することができ、画像品位を向上させることができる画像形成装置及び搬送速度補正方法を提供することを目的とする。
そのために、本発明の画像形成装置においては、現像剤像を媒体に転写するための転写部と、定着装置において、熱源によって加熱される加熱部材と加圧部材との間に形成され、前記媒体に転写された前記現像剤像を定着させるための定着部と、前記媒体の搬送方向における前記転写部と前記定着部との間に配設され、前記媒体の弛みを検出する弛み検出部と、前記熱源による前記加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで前記定着装置を空転させる前処理部と、該前処理部による前処理が行われた後に、前記転写部から前記定着部に媒体を搬送したときの前記弛み検出部による媒体の弛みの検出結果に基づいて、前記転写部における媒体の搬送速度と前記定着部における媒体の搬送速度との搬送速度差の補正値を算出する搬送速度補正値算出処理部と、該搬送速度補正値算出処理部によって算出された前記補正値に基づいて前記転写部及び前記定着部における媒体の搬送速度を制御する搬送速度制御処理部とを有する。
本発明によれば、画像形成装置においては、現像剤像を媒体に転写するための転写部と、定着装置において、熱源によって加熱される加熱部材と加圧部材との間に形成され、前記媒体に転写された前記現像剤像を定着させるための定着部と、前記媒体の搬送方向における前記転写部と前記定着部との間に配設され、前記媒体の弛みを検出する弛み検出部と、前記熱源による前記加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで前記定着装置を空転させる前処理部と、該前処理部による前処理が行われた後に、前記転写部から前記定着部に媒体を搬送したときの前記弛み検出部による媒体の弛みの検出結果に基づいて、前記転写部における媒体の搬送速度と前記定着部における媒体の搬送速度との搬送速度差の補正値を算出する搬送速度補正値算出処理部と、該搬送速度補正値算出処理部によって算出された前記補正値に基づいて前記転写部及び前記定着部における媒体の搬送速度を制御する搬送速度制御処理部とを有する。
この場合、前処理において、熱源による加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで定着装置が空転させられ、前処理が行われた後に、転写部を介して定着部に媒体を搬送したときの弛み検出部による媒体の弛みの検出結果に基づいて、前記転写部における媒体の搬送速度と前記定着部における媒体の搬送速度との搬送速度差の補正値が算出されるので、転写部及び定着部を構成する各部材の表面と内部との温度差に起因する熱膨張が弛みの検出に与える影響をなくすことができる。
したがって、転写部及び定着部を構成する各部材に製造誤差があっても、転写部及び定着部における媒体の搬送速度を適正に補正することができるので、画像品位を向上させることができる。
また、弛み制御を行うことができなくても、定着部における媒体の搬送速度を適正に補正することができるので、媒体が弛み制御を行うのが困難な厚紙であっても、転写部及び定着部を構成する各部材の製造誤差に起因して画像品位が低下するのを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の外装である筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体である。
該装置本体Bdの下部には、媒体収容部としての用紙カセット11が配設され、該用紙カセット11に、媒体としての用紙Pが積載された状態で収容される。また、前記用紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを給紙する給紙機構Mzが配設され、該給紙機構Mzに媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1が接続される。
該用紙搬送路Rt1に、給紙された用紙Pを搬送する第1の搬送部材としてのレジストローラ対m1が配設され、該レジストローラ対m1より下流側に画像形成部Q1が配設される。
該画像形成部Q1は、複数の色、本実施の形態においては、ブラック、イエロー、マゼンダ及びシアンの4色の画像形成ユニット16i(i=Bk、Y、M、C)、露光装置としてのLEDヘッドHd、転写装置としての転写ユニットu1等から成り、各画像形成ユニット16iは、現像剤としてのトナーが収容される現像剤収容部としてのトナーカートリッジCt、画像形成用の駆動部としての後述されるIDモータM1(図1)によって矢印A方向に回転させられる像担持体としての感光体ドラム21、該感光体ドラム21に当接させて回転自在に配設された帯電装置としての帯電ローラ22、前記感光体ドラム21に当接させて回転自在に配設された現像剤担持体としての図示されない現像ローラ、クリーニング部材としての図示されないクリーニングブレード等を備える。
また、前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1と従動ローラr2との間に矢印B方向に走行自在に張設され、搬送される用紙Pを保持するベルト部材としての転写ベルト26、該転写ベルト26を介して前記各感光体ドラム21と対向させて回転自在に配設された転写部材としての後述される転写ローラ28(図4)等を備える。前記転写ベルト26は、転写用の駆動部としての、かつ、転写モータとしての後述されるベルトモータM2が駆動され、駆動ローラr1が回転させられるのに伴って、矢印B方向に走行させられる。
前記用紙搬送路Rt1における画像形成部Q1より下流側には、定着装置としての定着器31が配設される。該定着器31は、第1の定着部材としての、かつ、加熱部材としての定着ベルトユニット32、及び該定着ベルトユニット32と対向させて配設された第2の定着部材としての、かつ、加圧部材としての加圧ローラ33を備え、定着ベルトユニット32と加圧ローラ33との間に定着部としての定着ニップ部Nfが形成される。
そして、前記用紙搬送路Rt1における定着器31より下流側に第2の搬送部材としての搬送ローラ対m2が、該搬送ローラ対m2より下流側に第3の搬送部材としての排出ローラ対m3が配設される。
次に、前記プリンタ10の動作について説明する。
プリンタ10において、上位装置としての図示されないホストコンピュータから印刷データ及び印刷指示が受信されると、用紙Pは、前記給紙機構Mzによって1枚ずつ分離させられて用紙搬送路Rt1に給紙され、レジストローラ対m1によって用紙搬送路Rt1上を搬送され、画像形成部Q1に送られる。
該画像形成部Q1においては、感光体ドラム21が回転させられ、帯電ローラ22によって一様に帯電させられた感光体ドラム21の表面がLEDヘッドHdによって露光されて潜像としての静電潜像が形成され、トナーカートリッジCtから供給されたトナーが現像ローラによって感光体ドラム21に付着させられて静電潜像が現像され、各感光体ドラム21の表面に、現像剤像としての各色のトナー像が形成される。
そして、画像形成部Q1に送られた用紙Pが、転写ベルト26の走行に伴って各画像形成ユニット16iの感光体ドラム21と転写ローラ28との間に形成された転写部としての後述される転写ニップ部Nt(図5)を搬送される間に、各色のトナー像が転写ローラ28によって用紙Pに順次重ねて転写され、用紙P上の転写領域にカラーのトナー像が形成される。
なお、各色のトナー像が用紙Pに転写された後に感光体ドラム21上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
カラーのトナー像が形成された用紙Pは定着器31に送られ、該定着器31において、用紙Pが、定着ベルトユニット32の環状ベルトとしての後述される定着ベルト35(図3)と加圧ローラ33との間の定着ニップ部Nfを通過する(搬送される)間に、用紙P上のカラーのトナー像が、定着ベルトユニット32によって加熱され、溶融させられ、加圧ローラ33によって加圧されて用紙Pに定着させられて、用紙Pにカラーの画像が形成される。
このようにして、カラーの画像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対m2によって搬送され、排出ローラ対m3によって、破線で表される出口部から装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂壁Wtに形成されたスタッカskに積載される。
次に、前記定着器31について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における定着器の要部断面図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10(図2)における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
図において、31は定着器、32は定着ベルトユニット、33は加圧ローラである。
前記定着ベルトユニット32は、Y軸方向に延在させて配設され、定着ベルト35、該定着ベルト35の裏面Sbに当接させて配設されたニップ部形成部材37、該ニップ部形成部材37に当接させて配設されたプレート状の熱源としてのヒータ39、前記ニップ部形成部材37及びヒータ39を保持する保持部材43、並びに該保持部材43に固定され、Y軸方向における両端に配設された付勢部材としての図示されないスプリングによって下方(Z軸負方向)に向けて付勢されるフレーム45を備える。
前記定着ベルト35は、筒状の形状を有し、金属層又は樹脂層から成る基材、該基材の外側に形成されたシリコーンゴム製の弾性層、及び該弾性層の外側に形成され、定着ベルト35の表面を覆うPFAチューブ層を備える。定着ベルト35は、加圧ローラ33が回転させられるのに伴って連回りで走行させられ、ヒータ39の熱を用紙Pに伝達する。また、定着ベルト35の両端は図示されない環状体によって保持され、これにより、筒状の形状が維持される。
前記ニップ部形成部材37は、アルミニウム、ステンレス鋼等から成り、帯状の形状を有する平坦部、及び両縁から立ち上げて形成されたエッジを備え、定着ベルト35を介して加圧ローラ33と対向させられ、定着ベルトユニット32と加圧ローラ33との間に前記定着ニップ部Nfを形成する。ニップ部形成部材37は、定着ベルト35と摺動させられて、ヒータ39の熱を定着ベルト35に伝達する。また、ニップ部形成部材37の定着ベルト35の裏面Sbと接触する面には、摺動性を有する材料でコーティングが施される。
前記ヒータ39は、ステンレス鋼製の基材に印刷又は埋込みによってパターン状の発熱部が形成され、外側からガラスコーティングを施すことによって発熱部が保護される。ヒータ39によって、用紙Pにカラーのトナー像を定着させるのに必要な分の熱が発生させられる。
前記保持部材43は、耐熱性を有する樹脂から成り、フレーム45に取り付けられ、前記定着ベルト35との間に、前記ニップ部形成部材37とヒータ39とを分離させた状態で保持する。
前記フレーム45は、金属によって形成され、両端においてスプリングによって加圧ローラ33に向けて付勢され、定着ベルト35を介してニップ部形成部材37を加圧ローラ33に押し付ける。
前記加圧ローラ33は、金属製の中空芯金33a、該中空芯金33aの外側に形成された弾性層33b、及び該弾性層33bの外側に形成され、加圧ローラ33の表面を覆うPFAチューブ層33cを備える。加圧ローラ33は、定着用の駆動部としての後述される定着モータM3(図1)と連結され、定着モータM3を駆動することによって矢印C方向に回転させられる。なお、加圧ローラ33の回転数は後述される制御部50によって調整される。
また、前記加圧ローラ33に当接させて接触式の温度検出器としてのサーミスタs1が配設され、該サーミスタs1によって、加圧ローラ33の表面の温度、すなわち、表面温度が検出される。
ところで、転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度をVtとし、定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度をVfとしたとき、搬送速度Vfが搬送速度Vtより高いと、用紙Pに弛みが形成されず、転写ニップ部Ntにおいて用紙Pが定着器31側に引っ張られ、各トナー像を用紙Pに適正に転写させることができず、画像品位が低下してしまう。
そこで、本実施の形態においては、搬送速度Vtが搬送速度Vfより高くされ、転写ニップ部Ntと定着ニップ部Nfとの間において用紙Pに弛みが形成されるようになっている。
次に、用紙Pに形成された弛みを検出する弛み検出部としての弛みセンサs2について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成部と定着器との間の詳細を説明するための図、図5は本発明の第1の実施の形態における弛みセンサの検出状態を示す第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態における弛みセンサの検出状態を示す第2の図である。
図において、Q1は画像形成部、16Cは画像形成ユニット、21は感光体ドラム、u1は転写ユニット、r1は駆動ローラ、26は転写ベルト、28は転写ローラ、Ntは、各画像形成ユニット16iにおいて感光体ドラム21と転写ローラ28との間に形成される転写ニップ部、31は定着器、32は定着ベルトユニット、33は加圧ローラ、Nfは、定着ベルトユニット32と加圧ローラ33との間に形成される定着ニップ部、s1はサーミスタである。
また、s2は、用紙搬送路Rt1における画像形成部Q1と定着器31との間に配設され、用紙Pの弛みを検出する弛みセンサである。該弛みセンサs2は、シャフトsh1を中心にして揺動自在に配設されたセンサレバー47、及び該センサレバー47の揺動に伴ってオン・オフさせられるフォトセンサ48を備え、センサレバー47の下端に形成された遮光部49がフォトセンサ48の光路を遮っているかどうかによって用紙Pの弛みを検出する。
転写ニップ部Ntと定着ニップ部Nfとの間において用紙Pに弛みが形成されていない場合、図5に示されるように、遮光部49がフォトセンサ48の光路を遮るので、フォトセンサ48のセンサ信号は、画像形成部Q1と定着器31との間を用紙Pが搬送されていないときと同様に、オフになる。
また、転写ニップ部Ntと定着ニップ部Nfとの間において用紙Pに弛みが形成されている場合、図6に示されるように、遮光部49がフォトセンサ48の光路を遮らないので、フォトセンサ48のセンサ信号はオンになる。
したがって、フォトセンサ48のセンサ信号がオンであるか、オフであるかを判断することによって、転写ニップ部Ntと定着ニップ部Nfとの間の用紙Pに弛みが形成されているかどうかを判断(検出)することができる。
ところで、前記転写ニップ部Ntを構成する各部材、本実施の形態においては、感光体ドラム21、転写ローラ28等、及び定着ニップ部Nfを構成する各部材、本実施の形態においては、定着ベルトユニット32、加圧ローラ33等に製造誤差があると、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vt、Vfの設計値(基準寸法を元に設定した搬送速度Vt、Vfの設計値)からのずれを計測することができず、搬送速度Vt、Vfを適正に補正することができない。その結果、画像品位が低下してしまう。
そこで、本実施の形態においては、前記弛みセンサs2による用紙Pの弛みの検出結果に基づいて、前記転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度Vtに対する定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfの補正値αを算出し、該補正値αに基づいて搬送速度Vt、Vfを制御するようにしている。
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、図7は本発明の第1の実施の形態における常温状態の加圧ローラを加熱したときの加圧ローラの外径の変化を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における搬送速度補正テーブルの例を示す図である。なお、図7において、横軸に時間を、縦軸に加圧ローラ33の外径Dと飽和外径Dsとの外径差δDを、図8において、横軸に弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを、縦軸に乖離度εを採ってある。
図1において、10はプリンタ、PCは、有線又は無線のLAN等によってプリンタ10に接続された上位装置としてのホストコンピュータである。
また、50は制御部、IFは、プリンタ10とホストコンピュータPCとを接続し、ホストコンピュータPCから印刷データ、印刷命令(制御コマンド)等から成る印刷ジョブを受信したり、プリンタ10のステータス情報をホストコンピュータPCに送信したりする通信部としてのインタフェース部、53は書換え可能な第1の記憶部としてのフラッシュROM、54は第2の記憶部としてのRAM、55は制御部50の指示に基づいて計時を行う計時装置としてのタイマ、56は操作・表示部としての操作パネル、s1はサーミスタ、s2は弛みセンサである。
さらに、Dr1は、IDモータM1、ベルトモータM2及び定着モータM3を駆動する駆動系制御部としてのモータ制御部、Dr2は定着器31の制御を行う定着制御部であり、該定着制御部Dr2は、ヒータ39の制御(オン・オフ)を行い、定着ベルト35を加熱する。
IDモータM1は、前記感光体ドラム21、現像ローラ等を回転させ、ベルトモータM2は、前記駆動ローラr1を回転させ、転写ベルト26を走行させるとともに転写ローラ28を回転させ、定着モータM3は加圧ローラ33を回転させる。
前記制御部50は、演算装置としての図示されないCPU、図示されない入出力ポート等を備え、プリンタ10の全体の制御を行うとともに、フラッシュROM53に記録されたプログラム(ソフトウェア)、制御データ等に基づいて各種の処理を行う。
前記フラッシュROM53には、前記プログラムのほかに、制御部50が前記各種の処理を行うために必要な設定値、閾値、後述される搬送速度補正テーブルTb1(図7)等が記録される。
前記RAM54には、前記印刷データに基づいて生成され、印刷を行うための画像データのほかに、プログラムの実行に伴って生成される各種情報が一時的に記録される。
前記操作パネル56は、操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部58、及びプリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部59を備える。
また、前記制御部50は、印刷処理部Pr1、弛み検出処理部Pr2、前処理部Pr3、搬送速度補正値算出処理部Pr4、搬送速度制御処理部Pr5等を備える。
前記印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、ホストコンピュータPCから印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブごとに印刷データを画像データに変換し、画像形成部Q1において、各感光体ドラム21にトナー像を形成し、各トナー像を用紙Pに転写し、定着器31において、カラーのトナー像を用紙Pに定着させる。
前記弛み検出処理部Pr2は、弛み検出処理を行い、弛みセンサs2のオン・オフに基づいて用紙Pに弛みが形成されているかどうかを判断(検出)する。
前記前処理部Pr3は、前処理を行い、定着制御部Dr2によってヒータ39による前記定着ベルトユニット32の加熱を開始してから所定の時間、本実施の形態においては、後述される空転時間τaが経過するまで加圧ローラ33の空回しを行うことによって定着器31を空転させ、加圧ローラ33の外径を設計値である後述される飽和外径Dsにする。
前記搬送速度補正値算出処理部Pr4は、搬送速度補正値算出処理を行い、転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度Vtに対する定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfの補正値αを算出する。すなわち、前記搬送速度補正値算出処理部Pr4は、設計値上の転写ニップ部Ntにおける搬送速度をVStと、定着ニップ部Nfにおける搬送速度をVSfとの搬送速度差をδVSとし、実際の搬送速度Vt、Vfの搬送速度差をδVとしたとき、搬送速度差δVが搬送速度差δVSと等しくなるように補正値αを算出する。
前記搬送速度制御処理部Pr5は、搬送速度制御処理を行い、補正値αに基づいて搬送速度Vt、Vfを制御し、搬送速度Vt、Vfが設計値になるように、転写ユニットu1の駆動ローラr1の回転数、及び定着器31の加圧ローラ33の回転数のうちの少なくとも一方を補正する。なお、前記駆動ローラr1の回転数を補正する場合、転写ベルト26の走行速度が変化するので、前記搬送速度制御処理部Pr5は感光体ドラム21の回転数も補正する。
次に、前記制御部50の動作について説明する。
まず、前処理部Pr3は、定着制御部Dr2によってヒータ39による前記定着ベルトユニット32の加熱を開始し、加圧ローラ33の熱膨張による搬送速度Vfへの影響をなくすために、用紙Pが定着ニップ部Nfを搬送されていない状態でサーミスタs1によって検出された加圧ローラ33の表面温度を読み込み、加圧ローラ33の表面温度Tsを一定に保ったまま加圧ローラ33の空回しを行うことによって定着器31を空転させる。
このとき、加圧ローラ33の表面温度Tsは、プリンタ10によって印刷を行うときの表面温度の範囲内の任意の温度に設定され、加圧ローラ33の内部の温度が表面温度Tsと等しくなるまで、すなわち、加圧ローラ33の熱膨張が飽和するまで、加圧ローラ33の空回しが行われる。
通常は、加圧ローラ33の熱膨張が飽和するまでの時間は数分程度であるが、加圧ローラ33の熱容量が大きく、熱伝導率が低いほど、加圧ローラ33の熱膨張が飽和するまでの時間が長くなる。
実際に加圧ローラ33の熱膨張が飽和したかどうかを判断するのは困難であるので、本実施の形態においては、あらかじめ加圧ローラ33の前記表面温度Tsを目標温度に設定した炉に加圧ローラ33を長時間(数日程度)放置し、熱膨張が飽和したときの加圧ローラ33の外径である飽和外径をDsとし、常温の加圧ローラ33を加熱し、目標精度を±0.1〔%〕としたとき、外径Dが飽和外径Ds±0.1〔%〕になるのに必要な時間を算出し、該時間以上の時間を空転時間τaとした。
すなわち、空転時間τaは、加圧ローラ33の熱膨張が飽和するまでの時間、すなわち、加圧ローラ33の外径Dが前記飽和外径Dsに対して0.1〔%〕以内の外径差になるまでの時間に所定の時間を加算した時間であり、前記前処理部Pr3は、前記空転時間τaをフラッシュROM53に記録し、フラッシュROM53から空転時間τaを読み出し、前記定着ベルトユニット32の加熱が開始されると、空転時間τaが経過するまで、加圧ローラ33の表面温度Tsを一定に保ち、加圧ローラ33の空回しを行う。
図7において、L1は、加圧ローラ33を目標精度が±0.1〔%〕で飽和外径Dsになるように加熱したときの、加圧ローラ33の外径Dの推移を表す線であり、線L1に基づいて、加圧ローラ33の外径Dと飽和外径Dsとの外径差δDが-0.1〔%〕になるときの時間を算出し、該時間以上の時間、例えば、3〔分〕30〔秒〕を空転時間τaに設定することができる。すなわち、空転時間τaは、加圧ローラ33の外径Dが前記飽和外径Dsに対して0.1〔%〕以内の外径差δDになるまでの時間以上の時間である。
飽和外径Dsが36.0〔mm〕であり、目標精度が±0.1〔%〕である場合、空転時間τaは、飽和外径Dsが
36.0-36.0 × 0.001=35.964〔mm〕
になるまでに必要な時間以上の時間である。加圧ローラ33の外径Dが前記飽和外径Dsに対して0.1〔%〕以内の外径差δDになるまでに加圧ローラ33の熱膨張が十分に飽和することが知られている。
36.0-36.0 × 0.001=35.964〔mm〕
になるまでに必要な時間以上の時間である。加圧ローラ33の外径Dが前記飽和外径Dsに対して0.1〔%〕以内の外径差δDになるまでに加圧ローラ33の熱膨張が十分に飽和することが知られている。
次に、搬送速度制御処理部Pr5は、転写ニップ部Ntを構成する部材及び定着ニップ部Nfを構成する部材に製造誤差があり、搬送速度Vt、Vfにばらつきが生じていても、確実に搬送速度Vtより搬送速度Vfが高くなるようにした状態で、弛み制御が可能な厚紙以外の1枚の用紙Pを、前端が定着ニップ部Nfを超える位置に到達するまで搬送(通紙)する。
例えば、感光体ドラム21の製造誤差が±0.1〔%〕であり、駆動ローラr1の製造誤差が±0.2〔%〕であり、加圧ローラ33の製造誤差が±0.3〔%〕である場合、
Vt<Vf×(1+0.002+0.003)
にされる。なお、前記式において、感光体ドラム21の製造誤差及び駆動ローラr1の製造誤差のうち大きい値の製造誤差が使用される。
Vt<Vf×(1+0.002+0.003)
にされる。なお、前記式において、感光体ドラム21の製造誤差及び駆動ローラr1の製造誤差のうち大きい値の製造誤差が使用される。
これにより、転写ニップ部Ntと定着ニップ部Nfとの間において、用紙Pは確実に引っ張り状態に置かれる。
続いて、前記搬送速度補正値算出処理部Pr4は、転写ニップ部Ntを構成する部材及び定着ニップ部Nfを構成する部材に製造誤差があり、搬送速度Vt、Vfにばらつきが生じていても、確実に搬送速度Vfより搬送速度Vtが高くなるように搬送速度Vt、Vfを変更し、搬送速度Vt、Vfを変更してから弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonをタイマ55によって計時する。
次に、前記搬送速度補正値算出処理部Pr4は、フラッシュROM53の搬送速度補正テーブルTb1(図8)を参照し、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonに対応する乖離度εを読み出す。
設計値上の転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度をVStとし、定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度をVSfとし、搬送速度差をδVSとすると、該搬送速度差δVSは、
δVS=VSt-VSf
になり、前記乖離度εは、実際の搬送速度Vt、Vfの搬送速度差δVが設計値上の搬送速度差δVSからどの程度異なるか(乖離するか)を百分率で表したものであり、実際の搬送速度Vt、Vfごと(オン時間Tonが異なるごと)にあらかじめ算出され、時間Tonと対応させてフラッシュROM53に記録される。
δVS=VSt-VSf
になり、前記乖離度εは、実際の搬送速度Vt、Vfの搬送速度差δVが設計値上の搬送速度差δVSからどの程度異なるか(乖離するか)を百分率で表したものであり、実際の搬送速度Vt、Vfごと(オン時間Tonが異なるごと)にあらかじめ算出され、時間Tonと対応させてフラッシュROM53に記録される。
そして、前記搬送速度補正値算出処理部Pr4は、乖離度εが0〔%〕になるように、すなわち、搬送速度差δVが搬送速度差δVSと等しくなるように補正値αを算出する。
続いて、前記搬送速度制御処理部Pr5は、補正値αに基づいて搬送速度Vt、Vfを制御し、補正する。
例えば、乖離度εが-0.1〔%〕である場合、搬送速度制御処理部Pr5は、補正値αを0.1〔%〕とし、加圧ローラ33の回転数を0.1〔%〕低くする。
このように、本実施の形態においては、前処理において、ヒータ39による定着ベルトユニット32の加熱を開始してから空転時間τaが経過するまで定着器31が空転させられ、加圧ローラ33の熱膨張を飽和させる前処理が行われた後に、転写ニップ部Ntから定着ニップ部Nfに用紙Pを搬送したときの弛みセンサs2による用紙Pの弛みの検出結果に基づいて、転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度Vtと定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfとの搬送速度差δVの補正値αが算出され、補正値αに基づいて搬送速度Vtが制御され、補正される。
したがって、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfを構成する各部材に製造誤差があっても、加圧ローラ33の表面と内部との温度差によって生じる熱膨張量のばらつきの影響を排除して、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vt、Vfを適正に補正することができるので、画像品位を向上させることができる。
また、弛み制御を行うことができなくても、定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfを補正することができるので、用紙Pが、弛み制御を行うのが困難な厚紙であっても、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfを構成する各部材の製造誤差に起因して画像品位が低下するのを防止することができる。
さらに、転写ニップ部Ntから定着ニップ部Nfまで用紙Pを搬送して、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonが計時されるので、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfの各部材の外径だけでなく、各部材の熱膨張率、摩擦力等の影響を含めて搬送速度Vt、Vfを補正することができる。
また、搬送速度補正値算出処理部Pr4は、搬送速度Vtを搬送速度Vfより低くした後、搬送速度Vtを搬送速度Vfより高い搬送速度に切り替えたときに、時間Tonの計時を開始するので、時間Tonの誤差が生じず、精度良く搬送速度Vt、Vfを補正することができる。
そして、転写ニップ部Nt及び定着ニップ部Nfを構成する各部材の製造誤差に起因してばらつきが生じた搬送速度差δVが補正されるので、転写ユニットu1及び定着器31を変更しない限り、搬送速度差δVの補正は1度だけ行えばよい。また、消耗品の交換等により、転写ユニットu1及び定着器31の組合せが変わった場合は、その後、1度だけ搬送速度差δVの補正を行えばよい。
本実施の形態においては、接触式の弛みセンサs2を使用するようになっているが、非接触式の弛みセンサを使用したり、弛み量を測定することができる弛みセンサを使用したりすることもできる。弛み量を測定することができる弛みセンサを使用する場合、搬送速度Vt、Vfを変更してから弛み量が一定の値になるまでの時間が計時される。
また、本実施の形態においては、加圧ローラ33が定着モータM3によって回転させられるようになっているが、転写ニップ部Ntの搬送速度Vt及び定着ニップ部Nfの搬送速度Vfをそれぞれ別々に調整することができ、かつ、直接又は間接的に定着器の図示されない駆動源の温度を測定することができるセンサを有する構造であれば、どのような構造の転写ユニット及び定着器でも使用することができ、中間転写方式の転写ユニットを使用したり、加熱ローラ又は定着ベルトユニット側に駆動源を有する定着器を使用したりすることができる。
さらに、本実施の形態において、前処理部Pr3は、加圧ローラ33の表面温度Tsを一定に保ち、加圧ローラ33の空回しを行うようになっているが、加圧ローラ33の熱膨張が飽和するまでの時間を短くするために、最初に加圧ローラ33の表面温度Tsを目標温度より高くし、その後、目標温度にするような温度制御等を行うことができ、最終的に加圧ローラ33の熱膨張を飽和させることができるのであれば空回し中にどのような温度制御を行うこともできる。
なお、転写ニップ部Ntを構成する部材、本実施の形態においては、感光体ドラム21、転写ローラ28等、及び定着ニップ部Nfを構成する部材、本実施の形態においては、定着ベルトユニット32、加圧ローラ33等が偏心している場合、搬送速度Vt、Vfを変更するときの前記各部材の位相によって弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonにばらつきが生じる。その場合、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを複数回測定し、平均値に基づいて補正値αを算出することができる。
また、装置本体Bd(図2)に温湿度センサ等の環境センサが配設されている場合、あらかじめ複数の環境下にプリンタ10を置き、搬送速度Vt、Vfを測定し、環境による差分を把握しておくことによって、環境の違いにより、例えば、湿度の変化によって用紙Pの剛性が変化したり、用紙Pの弛み方が変化したりしても、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonにばらつきが生じるのを抑制することができる。
さらに、本実施の形態においては、定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfを転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度Vtより高くした後、搬送速度Vfを搬送速度Vtより低い搬送速度に切り替え、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを計時するようにしているが、転写ニップ部Ntにおける用紙Pの搬送速度Vtを定着ニップ部Nfにおける用紙Pの搬送速度Vfより低くした後、搬送速度Vtを搬送速度Vfより高い搬送速度に切り替え、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを計時するようにすることもできる。
また、本実施の形態においては、空転時間τaが、加圧ローラ33の外径Dが飽和外径Dsに対して0.1〔%〕以内の外径差δDになるまでの時間に所定の時間を加算した時間にされるが、外径Dに代えて、搬送速度Vfを利用することもできる。
次に、前記補正値αに基づいて、加圧ローラ33の回転数を補正する手順について説明する。
すなわち、加圧ローラ33の回転数をNとすると、回転数Nは、加圧ローラ33の、用紙Pの種類、用紙Pの搬送状況等に応じない、プリンタ10の印刷速度に合わせるための部材固有の基準となる基準回転数Nsに、用紙Pの種類、用紙Pの搬送状況等に応じた状況補正値Kcを乗算することによって算出され、
回転数N〔rps〕=基準回転数Ns〔rps〕×状況補正値Kc〔%〕…(1)
になる。
回転数N〔rps〕=基準回転数Ns〔rps〕×状況補正値Kc〔%〕…(1)
になる。
そして、基準回転数Nsは、加圧ローラ33の回転周速度である基準速度Nb、円周長L(設計値)及び補正値αによって算出され、
基準回転数Ns〔rps〕=基準速度Nb〔mm/s〕÷円周長L(設計値)〔mm〕×(1+補正値α〔%〕) …(2)
になる。
基準回転数Ns〔rps〕=基準速度Nb〔mm/s〕÷円周長L(設計値)〔mm〕×(1+補正値α〔%〕) …(2)
になる。
なお、状況補正値Kcは、補正値A~Cに基づいて算出される。
状況補正値K〔%〕=(1+補正値A〔%〕)×(1+補正値B〔%〕)×(1+補正値C〔%〕) …(3)
補正値A:用紙Pの厚さに応じた補正を行うためのものである。例えば、薄紙の場合は適度な弛みを形成するために搬送速度Vfをわずかに低くするが、厚紙の場合は弛まないので、搬送速度Vtと搬送速度Vfとが等しくなるようにする。
補正値A:用紙Pの厚さに応じた補正を行うためのものである。例えば、薄紙の場合は適度な弛みを形成するために搬送速度Vfをわずかに低くするが、厚紙の場合は弛まないので、搬送速度Vtと搬送速度Vfとが等しくなるようにする。
補正値B:加圧ローラ33の表面温度Tsに基づいて、印刷中の熱膨張による搬送速度Vfの変化を打ち消すように補正を行うためのものである。
補正値C:弛みセンサs2の検出結果に基づいて補正を行うためのものである。例えば、用紙Pが薄紙である場合は、弛みを検出したときに搬送速度Vfを高くし、弛みが検出されなくなったときに、搬送速度Vfを元の値に戻す。
ところで、第1の実施の形態においては、乖離度εに基づいて、転写ユニットu1の駆動ローラr1の回転数及び定着器31の加圧ローラ33の回転数のうちの少なくとも一方が補正されるようになっているが、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを計時する際に、プリンタ10の置かれた環境である気温、湿度等、又は用紙Pの種類によって時間Tonにばらつきが生じると、転写ユニットu1の駆動ローラr1の回転数及び定着器31の加圧ローラ33の回転数うちの少なくとも一方を適正に補正することができない。また、前処理において、長時間加圧ローラ33の空回しを行う必要があるので、その間、操作者はプリンタ10を使用することができない。
そこで、転写ユニットu1及び定着器31のうちの一方にあらかじめ搬送速度として設計値を使用するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図9は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
この場合、転写装置としての転写ユニットu1、及び定着装置としての、かつ、定着ユニットとしての定着器31は、いずれも、装置本体Bd(図2)に対して着脱自在に配設され、転写ユニットu1及び定着器31のうちの一方には、製造誤差が無視できるほど小さく、搬送速度が設計値とみなせるユニットが使用されるか、又は設計値と搬送速度との差があらかじめ分かっていて、かつ、後述されるタグTgf、Tgtに書き込む等の方法によって搬送速度が設計値に補正されたユニットが使用される。したがって、例えば、第2の定着部材としての、かつ、加圧部材としての加圧ローラ33の回転数を補正する場合、搬送速度Vtとして製造誤差が無視できるほど小さく、搬送速度Vtが設計値とみなせるユニット、又は設計値と搬送速度Vtとの差があらかじめ分かっていて、かつ、タグTgf、Tgtに書き込む等の方法によって搬送速度が設計値に補正されたユニットが使用され、弛み検出部としての弛みセンサs2の検出タイミングが設計値と等しいプリンタが使用される。
また、転写ユニットu1には、前記補正値αを記録するための第3の記憶部としてのタグTgtが、定着器31には、前記補正値αを記録するための第4の記憶部としてのタグTgfが配設され、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonが計時されると、前記搬送速度補正テーブルTb1から読み出された補正値αが対応するタグに記録される。
すなわち、搬送速度制御処理部Pr5の補正対象が定着器31である場合、搬送速度補正値算出処理部Pr4は、搬送速度補正テーブルTb1を参照し、オン時間Tonに対応する乖離度εを読み出し、補正値αを算出し、定着器31のタグTgfに記録する。このとき、搬送速度制御処理部Pr5は、加圧ローラ33の回転数を補正するが、転写ユニットu1の転写部材としての転写ローラ28の回転数は補正しない。
これに対して、搬送速度制御処理部Pr5の補正対象が転写ユニットu1である場合、搬送速度補正値算出処理部Pr4は、搬送速度補正テーブルTb1を参照し、オン時間Tonに対応する乖離度εを読み出し、補正値αを算出し、転写ユニットu1のタグTgtに記録する。このとき、搬送速度制御処理部Pr5は、転写ユニットu1の転写ローラ28の回転数は補正するが、加圧ローラ33の回転数は補正しない。
通常印刷においては、各タグTgt、Tgfに記録された補正値αに基づいて、転写ユニットu1における転写ニップ部Nt及び定着器31における定着ニップ部Nfの各部材の回転数が補正される。
本実施の形態においては、転写ユニットu1及び定着器31のうちの一方にあらかじめ搬送速度として設計値が使用されるので、装置本体Bdに実装された転写ユニットu1及び定着器31だけでなく、消耗品として製造された転写ユニットu1及び定着器31についても、補正を行うことによって搬送速度Vt、Vfを設計値に合わせることができる。
また、画像形成装置としてのプリンタ10の工場出荷時に搬送速度Vt、Vfが補正されるので、操作者が転写ユニットu1及び定着器31を交換した後に改めて搬送速度Vt、Vfを補正する必要がなくなる。
したがって、弛みセンサs2がオンになるまでの時間Tonを計時する際のプリンタ10の置かれた環境である気温、湿度等、又は媒体としての用紙Pの種類を統一することができ、これらに起因して補正値αに誤差が生じるのを抑制することができる。
なお、前記第1の実施の形態では、装置本体Bdに実装された転写ユニットu1及び定着器31の工場出荷時の搬送速度の補正、及び操作者が消耗品である転写ユニットu1及び定着器31の一方、又は両方を交換した後の搬送速度の補正を想定している。
また、第2の実施の形態では、装置本体Bdに実装された転写ユニットu1及び定着器31だけでなく、消耗品としての転写ユニットu1及び定着器31について、工場で行われる搬送速度の補正を想定している。
前記各実施の形態においては、像担持体として感光体ドラム21が配設されるようになっているが、感光体ドラム21に代えてベルト状の感光体を配設し、該感光体に潜像としての静電潜像を形成することもできる。
また、前記各実施の形態においては、転写装置として転写ユニットu1が配設され、該転写ユニットu1と画像形成ユニット16iとの間に複数の転写ニップ部Ntが形成されるようになっているが、転写装置として一つの転写ローラを配設し、一つの感光体ドラムとの間に一つの転写ニップ部が形成されるようにすることもできる。
前記各実施の形態においては、プリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
10 プリンタ
31 定着器
32 定着ベルトユニット
33 加圧ローラ
Nf、Nt 搬送速度
P 用紙
Pr3 前処理部
Pr4 搬送速度補正値算出処理部
Pr5 搬送速度制御処理部
s2 弛みセンサ
α 補正値
τa 空転時間
31 定着器
32 定着ベルトユニット
33 加圧ローラ
Nf、Nt 搬送速度
P 用紙
Pr3 前処理部
Pr4 搬送速度補正値算出処理部
Pr5 搬送速度制御処理部
s2 弛みセンサ
α 補正値
τa 空転時間
Claims (9)
- (a)現像剤像を媒体に転写するための転写部と、
(b)定着装置において、熱源によって加熱される加熱部材と加圧部材との間に形成され、前記媒体に転写された前記現像剤像を定着させるための定着部と、
(c)前記媒体の搬送方向における前記転写部と前記定着部との間に配設され、前記媒体の弛みを検出する弛み検出部と、
(d)前記熱源による前記加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで前記定着装置を空転させる前処理部と、
(e)該前処理部による前処理が行われた後に、前記転写部から前記定着部に媒体を搬送したときの前記弛み検出部による媒体の弛みの検出結果に基づいて、前記転写部における媒体の搬送速度と前記定着部における媒体の搬送速度との搬送速度差の補正値を算出する搬送速度補正値算出処理部と、
(f)該搬送速度補正値算出処理部によって算出された前記補正値に基づいて前記転写部及び前記定着部における媒体の搬送速度を制御する搬送速度制御処理部とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記搬送速度補正値算出処理部は、前記転写部から前記定着部に媒体を搬送し、前記定着部における媒体の搬送速度を前記転写部における媒体の搬送速度より高くした後、前記定着部における媒体の搬送速度を前記転写部における媒体の搬送速度より低い搬送速度に切り替えてから、前記弛み検出部が媒体の弛みを検出するまでの時間に基づいて、前記補正値を算出する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記所定の時間は、前記熱源による前記加熱部材の加熱を開始してから前記加圧部材の熱膨張が飽和するまでの時間以上の時間にされる請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記所定の時間は、前記加圧部材の外径が、前記加圧部材の熱膨張が飽和したときの前記外径を表す飽和外径に対して、0.1〔%〕以内の外径差になるまでの時間以上の時間にされる請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記所定の時間は3〔分〕30〔秒〕以上の時間にされる請求項1に記載の画像形成装置。
- (a)前記補正値を記録する記憶部を有するとともに、
(b)前記搬送速度補正値算出処理部は、算出した前記補正値を前記記憶部に記録する請求項1に記載の画像形成装置。 - (a)前記定着部が形成される定着器は前記画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に配設され、
(b)前記定着器に前記記憶部が配設される請求項6に記載の画像形成装置。 - (a)前記転写部が形成される転写装置は前記画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に配設され、
(b)前記転写装置に前記記憶部が配設される請求項6に記載の画像形成装置。 - 現像剤像を媒体に転写するための転写部、定着装置において、熱源によって加熱される加熱部材と加圧部材との間に形成され、前記媒体に転写された前記現像剤像を定着させるための定着部、及び前記媒体の搬送方向における前記転写部と前記定着部との間に配設され、前記媒体の弛みを検出する弛み検出部を備えた画像形成装置の搬送速度補正方法において、
(a)前記熱源による前記加熱部材の加熱を開始してから所定の時間が経過するまで前記定着装置を空転させて前処理を行うステップと、
(b)前記前処理が行われた後に、前記転写部を介して前記定着部に媒体を搬送したときの前記弛み検出部による媒体の弛みの検出結果に基づいて、前記転写部における媒体の搬送速度と前記定着部における媒体の搬送速度との搬送速度差の補正値を算出する搬送速度補正値算出処理を行うステップとを有することを特徴とする搬送速度補正方法。
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