JP2024059228A - 車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の進路上に検出することが難しい物体が存在しても、車両を安全に制御することが可能な車両制御装置を提供する。【解決手段】車両制御装置は、車両10に設けられた撮像部により生成された車両10の周囲を表す画像から車両10の前方の路面上に存在する物体401の候補を検出する検出部と、検出された物体401の候補の位置に車両10が到達したときに、車両10の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する判定部と、車両10の向きが所定角度以上偏向した場合、車両10を減速するよう制御する車両制御部とを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、車両を制御する車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラムに関する。
車両に搭載されたセンサにより得られたセンサ信号から車両の周囲に存在する障害物を検知し、その検知結果を車両の自動運転制御に利用する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された車両制御システムは、車両の進行方向における障害の分布状態を認識し、認識した障害の分布状態に基づいて、車両の車輪ごとの目標軌道を決定する。そしてこの車両制御システムは、目標軌道に沿って車両の自動運転を実行する。
車両の進路上に存在する障害物が、落下物あるいはポットホールである場合のように、形状、色及びサイズが予め特定されないような物体であることがある。このような物体については、車両に搭載されたセンサにより得られるセンサ信号から精度良く検出できないことがある。その結果として、適切な車両の制御が実行されないことがある。
そこで、本発明は、車両の進路上に検出することが難しい物体が存在しても、車両を安全に制御することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
一つの実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、車両に設けられた撮像部により生成された車両の周囲を表す画像から車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する検出部と、検出された物体の候補の位置に車両が到達したときに、車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する判定部と、車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御する車両制御部とを有する。
この車両制御装置において、検出部は、車両に搭載された測距センサにより生成された測距信号から物体の候補をさらに検出できるか否か判定し、車両制御部は、測距信号から物体の候補を検出できない場合において車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御することが好ましい。
この場合において、車両制御部は、測距信号からも物体の候補が検出された場合、物体の候補の位置を車両が回避するように車両を制御することが好ましい。
他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法は、車両に設けられた撮像部により生成された車両の周囲を表す画像から車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出し、検出された物体の候補の位置に車両が到達したときに、車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定し、車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御する、ことを含む。
さらに他の実施形態によれば、車両制御用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御用コンピュータプログラムは、車両に設けられた撮像部により生成された車両の周囲を表す画像から車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出し、検出された物体の候補の位置に車両が到達したときに、車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定し、車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御する、ことを車両に搭載されたプロセッサに実行させる命令を含む。
本開示による車両制御装置は、車両の進路上に検出することが難しい物体が存在しても、車両を安全に制御することができるという効果を奏する。
以下、図を参照しつつ、車両制御装置、及び、車両制御装置において実施される車両制御方法ならびに車両制御用コンピュータプログラムについて説明する。この車両制御装置は、車両に設けられた撮像部により生成された車両の周囲を表す画像から車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する。さらに、この車両制御装置は、検出された物体の候補の位置に車両が到達したときに、車両の挙動を検知する挙動センサにより得られたセンサ信号または画像に基づいて車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する。そしてこの車両制御装置は、車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御する。
図1は、車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。車両制御システム1は、車両10に搭載され、かつ、車両10を制御する。そのために、車両制御システム1は、カメラ2と、測距センサ3と、挙動センサ4と、車両制御装置の一例である電子制御装置(ECU)5とを有する。カメラ2、測距センサ3及び挙動センサ4とECU5とは、通信可能に接続される。さらに、車両制御システム1は、目的地までの走行予定ルートを探索するためのナビゲーション装置(図示せず)を有していてもよい。さらにまた、車両制御システム1は、車両10の位置を測位するためのGPS受信機(図示せず)を有していてもよい。さらにまた、車両制御システム1は、地図情報を記憶するストレージ装置(図示せず)を有していてもよい。さらにまた、車両制御システム1は、車両10の外部の機器と無線通信するための無線通信端末(図示せず)を有していてもよい。
カメラ2は、車両10の周囲を表す画像を生成する撮像部の一例である。カメラ2は、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する結像光学系を有する。カメラ2は、車両10の前方を向くように、例えば、車両10の車室内に取り付けられる。そしてカメラ2は、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとに車両10の前方領域を撮影し、その前方領域が写った画像を生成する。カメラ2により得られた画像は、カラー画像であってもよく、あるいは、グレー画像であってもよい。なお、車両10には、撮影方向または焦点距離が異なる2台以上のカメラが設けられてもよい。
カメラ2は、画像を生成する度に、その生成した画像を、車内ネットワークを介してECU5へ出力する。
測距センサ3は、車両10の周囲の物体までの距離を表す測距信号を生成する測距部の一例である。測距センサ3は、例えば、LiDAR、レーダあるいはソナーによる測距センサとすることができる。測距センサ3は、所定の周期ごとに、車両10の周囲の所定の測距範囲に含まれる方位ごとに、その方位に存在する物体までの距離を表す測距信号を生成する。測距センサ3は、その測距センサの測距範囲がカメラ2の撮影領域と少なくとも部分的に重複するように車両10に取り付けられることが好ましい。なお、車両10には、測距範囲が互いに異なる複数の測距センサが設けられてもよい。
測距センサ3は、測距信号を生成する度に、その生成した測距信号を、車内ネットワークを介してECU5へ出力する。
挙動センサ4は、車両10の挙動を検知するためのセンサであり、所定の周期ごとに、車両10の所定の挙動を表す挙動信号を生成する。本実施形態では、挙動センサ4は、車両10のヨーレートを検知するためのヨーレートセンサとすることができる。挙動センサ4は、2軸以上を有するジャイロセンサといった、車両10のヨーレートだけでなく、車両10のピッチレートも測定可能なセンサであってもよい。
ECU5は、所定の状況下において車両10を自動運転制御するよう構成される。
図2は、車両制御装置の一例であるECU5のハードウェア構成図である。図2に示されるように、ECU5は、通信インターフェース21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信インターフェース21、メモリ22及びプロセッサ23は、それぞれ、別個の回路として構成されてもよく、あるいは、一つの集積回路として一体的に構成されてもよい。
通信インターフェース21は、ECU5と、カメラ2、測距センサ3及び挙動センサ4とを接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信インターフェース21は、カメラ2から画像を受信する度に、受信した画像をプロセッサ23へわたす。さらに、通信インターフェース21は、測距センサ3から測距信号を受信する度に、受信した測距信号をプロセッサ23へわたす。さらにまた、通信インターフェース21は、挙動センサ4から挙動信号を受信する度に、受信した挙動信号をプロセッサ23へわたす。
メモリ22は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、ECU5のプロセッサ23により実行される車両制御処理において使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ22は、カメラ2の焦点距離、画角、撮影方向、取り付け位置及び撮影範囲などを表すパラメータ、及び、測距センサ3の測距範囲を記憶する。また、メモリ22は、車両10の周囲に存在する障害物などの物体の検出に利用される、物体検出用の識別器を特定するためのパラメータセットを記憶する。さらに、メモリ22は、画像、測距信号及び挙動信号といったセンサ信号を一時的に記憶する。さらにまた、メモリ22は、車両制御処理の途中で生成される各種のデータを一時的に記憶する。
プロセッサ23は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。そしてプロセッサ23は、車両10に対する車両制御処理を実行する。
図3は、車両制御処理に関する、プロセッサ23の機能ブロック図である。プロセッサ23は、検出部31と、判定部32と、車両制御部33とを有する。プロセッサ23が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ23が有するこれらの各部は、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
検出部31は、所定の周期ごとに、カメラ2からECU5が受け取った最新の画像に基づいて、車両10の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する。
例えば、検出部31は、カメラ2から取得した画像を、路面上に存在する物体を検出するように予め学習された第1の識別器に入力することで、路面上に存在する物体の候補を検出する。本実施形態において、検出対象となる路面上の物体は、例えば、路面上に落下した箱といった、本来路面上に存在するべきでない何らかの立体的な構造物、あるいは、路面に形成されたポットホールである。また、検出部31は、第1の識別器として、コンボリューショナルニューラルネットワーク型(CNN)のアーキテクチャを持つディープニューラルネットワーク(DNN)を用いることができる。より具体的に、第1の識別器として、画素ごとに、その画素に表されている物体を識別するセマンティックセグメンテーション用のDNN、例えば、Fully Convolutional Network(FCN)またはU-netが用いられる。あるいは、検出部31は、第1の識別器として、ランダムフォレストといった、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法に基づく識別器を用いてもよい。第1の識別器は、検出対象となる物体が表された多数の教師画像を用いて、誤差逆伝搬法といった所定の学習手法に従って予め学習される。
検出部31は、第1の識別器が出力した、路面上の物体が表されているとする画素の集合を、路面上に存在する物体の候補が表された物体候補領域とする。
さらに、検出部31は、測距信号に基づいて、物体候補領域に相当する実空間上の位置において路面上に存在する物体の候補を検出できるか否か判定する。この場合も、検出部31は、測距信号から路面上に存在する物体を検出するように予め学習された第2の識別器に測距信号を入力することで、路面上に存在する物体の候補を検出すればよい。検出部31は、第2の識別器として、CNN型またはself attention network型のアーキテクチャを有するDNNを用いることができる。あるいは、検出部31は、測距信号から物体を検出する他の手法に従って、路面上に存在する物体の候補を検出してもよい。
ここで、画像上の個々の画素は、カメラ2からその画素に表された物体への方位と1対1に対応している。また、物体候補領域に表された物体は、路面上に位置していると想定される。そのため、検出部31は、カメラ2の設置高さ、撮影方向及び焦点距離といったパラメータを用いて、カメラ2の位置を基準とする、物体候補領域に表された物体の実空間における位置を推定できる。さらに、検出部31は、カメラ2の取り付け位置と測距センサ3の取り付け位置とに基づいて、測距センサ3から見た、物体候補領域に表された物体の実空間における位置への方位を推定できる。したがって、検出部31は、推定した方位において、第2の識別器が測距信号から路面上の物体を検出すれば、物体候補領域に相当する実空間上の位置において路面上に存在する物体の候補を検出できたと判定する。この場合、検出部31は、その物体の候補を、実際に路面上に存在する立体的な物体として検出する。
検出部31は、画像から物体候補領域を検出する度に、その物体候補領域の画像上での位置及び範囲を表す情報を判定部32へ通知する。さらに、検出部31は、画像及び測距信号の両方から路面上に存在する物体の候補を検出すると、路面上に存在する立体的な物体を検出したこと、及び、実空間におけるその物体の位置を車両制御部33へ通知する。
判定部32は、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに、挙動センサ4により得られた挙動信号、またはカメラ2により得られた画像に基づいて、車両10の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する。
例えば、判定部32は、画像から路面上に存在する物体の候補が最後に検出されたときの画像上の物体候補領域の位置に基づいて、その物体の候補と車両10間の距離を推定する。検出部31において説明したように、画像上の個々の画素は、カメラ2からその画素に表された物体への方位と1対1に対応している。また、物体候補領域に表された物体は、路面上に位置していると想定される。そのため、判定部32は、カメラ2の設置高さ、撮影方向及び焦点距離といったパラメータを用いて、カメラ2の位置を基準とする、物体候補領域に表された物体の実空間における位置を推定できる。したがって、判定部32は、路面上に存在する物体の候補が最後に検出されたときの画像上の物体候補領域の位置から推定される、カメラ2の位置を基準とする、その物体の候補の位置までの距離を、車両10とその物体の候補間の距離とすればよい。
判定部32は、路面上に存在する物体の候補と車両10間の距離を、車両10に搭載された車速センサ(図示せず)により測定された車両10の速度で除することで、車両10がその物体の候補の位置に達するタイミングを推定する。以下では、車両10がその物体の候補の位置に達すると推定したタイミングを、単に推定到達タイミングと呼ぶことがある。そして判定部32は、推定到達タイミングの前後の所定期間(例えば、1~2秒間)において、車両10の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する。
例えば、判定部32は、挙動センサ4からECU5が受け取った時系列の複数の挙動信号に基づいて、推定到達タイミングの前後の所定期間内においてヨー方向における車両10の向きの変化量をもとめる。そして判定部32は、その所定期間内においてヨー方向における車両10の向きの変化量が所定角度以上であれば、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したと判定する。
また、挙動センサ4がピッチレートを検出可能なセンサである場合、判定部32は、時系列の複数の挙動信号に基づいて、推定到達タイミングの前後の所定期間内においてピッチ方向における車両10の向きの変化量をもとめてもよい。そして判定部32は、その所定期間内においてピッチ方向における車両10の向きの変化量が所定角度以上であれば、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したと判定してもよい。
あるいは、判定部32は、カメラ2からECU5が受け取った時系列の複数の画像に基づいて、推定到達タイミングの前後の所定期間内におけるピッチ方向における車両10の向きの変化量をもとめてもよい。この場合、判定部32は、複数の画像のそれぞれにおいて消失点をもとめる。さらに、判定部32は、推定到達タイミングの前後の所定期間において、画像の垂直方向における消失点の位置の変化量を、所定角度に相当する画素数と比較する。そして判定部32は、その消失点の位置の変化量が所定角度に相当する画素数以上であれば、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したと判定する。
判定部32は、画像における消失点を求めるために、画像に表された複数の車線区画線を検出する。そのために、判定部32は、車線区画線を検出するように予め学習された第3の識別器に画像を入力することで、複数の車線区画線を検出する。この場合、第3の識別器として、第1の識別器と同様の識別器が用いられる。判定部32は、第3の識別器が出力した、車線区画線が表されている画素の集合に対してラベリング処理を実行することで、互いに連続するそのような画素の集合のそれぞれを、一つの車線区画線を表す物体領域とする。判定部32は、物体領域ごとに、車線区画線を近似する線をもとめる。その際、判定部32は、物体領域ごとに、その物体領域に含まれる各画素との距離の二乗和が最小化されるよう、車線区画線を近似する線をもとめればよい。そして判定部32は、複数の車線区画線のそれぞれを近似する線同士の交点を消失点としてもとめる。なお、3本以上の車線区画線が検出されており、それぞれを近似する線が一点で交差しない場合には、判定部32は、各近似線までの距離の和が最小となる位置を消失点とすればよい。
なお、検出部31が使用する第1の識別器が、路面上に存在する物体の候補だけでなく、車線区画線も識別するように予め学習されてもよい。この場合には、判定部32は、各画像について、検出部31から、車線区画線が表された画素の集合を表す情報を受け取ればよい。
あるいはまた、判定部32は、測距センサ3からECU5が受け取った時系列の複数の測距信号に基づいて、推定到達タイミングの前後の所定期間内におけるヨー方向またはピッチ方向における車両10の向きの変化量をもとめてもよい。
この場合、判定部32は、連続する二つの測距信号間の相互相関値を、ヨー方向またはピッチ方向においてずらしながら算出する。その際、判定部32は、車両10の周囲を走行する他の車両に影響されないように、測距信号において距離が所定距離以上となる測定点のみを相互相関値の算出に利用してもよい。そして判定部32は、連続する二つの測距信号間の相互相関値が最も大きくなるヨー方向またはピッチ方向の角度を、その二つの測距信号の生成時刻間でのヨー方向またはピッチ方向における車両10の向きの変化量とする。判定部32は、所定期間において、連続二つの測距信号間で求めた車両10の向きの変化量の合計を、路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときの車両10の向きの変化量とすればよい。
路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向した場合、その物体の候補は、実際に路面上に存在し、かつ、高さのある物体である可能性が高い。そして車両10がその物体と接触したことで、車両10の向きが変わったと推定される。そこで判定部32は、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したと判定すると、その判定結果を車両制御部33へ通知する。
車両制御部33は、画像から検出された路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したとの判定結果が判定部32より通知されると、車両10を所定の減速度で減速するよう、車両10の各部を制御する。すなわち、画像からは路面上に存在する物体の候補が検出されるものの、測距信号からその物体の候補が検出されず、かつ、その物体の候補の位置に車両10が到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向すると、車両制御部33は、車両10を減速させる。
車両制御部33は、設定された減速度となるようにアクセル開度またはブレーキ量を設定する。そして車両制御部33は、設定されたアクセル開度に従って燃料噴射量を求め、その燃料噴射量に応じた制御信号を車両10のエンジンの燃料噴射装置へ出力する。あるいは、車両制御部33は、設定されたアクセル開度に応じた電力を、車両10を駆動するためのモータへ供給させるように、そのモータへの電力供給装置を制御する。あるいはまた、車両制御部33は、設定されたブレーキ量に応じた制御信号を車両10のブレーキへ出力する。
また、車両制御部33は、路面上に存在する立体的な物体を検出したことを検出部31から通知されると、その物体の位置を回避するように、車両10の各部を制御してもよい。これにより、車両10がその物体に接触することが避けられる。この場合、車両制御部33は、検出部31から通知された実空間におけるその物体の位置に対して所定距離以上離れるように、車両10が走行する予定の走行予定経路を設定する。そして車両制御部33は、その走行予定経路に沿って車両10が走行するように、車両10の各部を制御する。例えば、車両制御部33は、走行予定経路及び車両10の現在位置に基づいて、走行予定経路に従って車両10が走行するための車両10の操舵角を求め、その操舵角に応じた制御信号を、車両10の操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)へ出力する。なお、車両制御部33は、車両10に搭載されたGPS受信機(図示せず)により測位された最新の車両10の位置を、車両10の現在位置とする。あるいは、車両制御部33は、走行予定経路を設定したときの車両10の位置を基準として、それ以降における車両10の加速度及び角速度に基づいて、車両10の移動量及び進行方向方の変化量をもとめることで、車両10の現在位置をもとめてもよい。車両10の加速度及び角速度は、それぞれ、車両10に搭載された加速度センサ及びジャイロセンサにより測定される。
さらに、車両制御部33は、カメラ2から受け取った画像または測距センサ3から受け取った測距信号に基づいて、車両10の周囲に存在する他の車両、歩行者あるいはガードレールといった、車両10の走行の障害となり得る他の物体を検出してもよい。車両制御部33は、そのような物体を検出するように予め学習された識別器に画像または測距信号を入力することで、他の物体を検出すればよい。この場合、車両制御部33は、検出した他の物体と所定距離以上離れるように、走行予定軌跡を設定する。
また、検出した他の物体と所定距離以上離れる走行予定経路を設定できない場合には、車両制御部33は、路面上に存在する立体的な物体の手前で停止するように車両10を制御してもよい。そして車両制御部33は、車室内に設けられた表示装置またはスピーカといった通知機器を介して、衝突回避のために停車することをドライバに通知してもよい。
図4は、本実施形態による車両制御処理の一例を説明する図である。この例では、位置P1に車両10が位置するときにカメラ2により生成された画像400から、車両10の前方の位置P2において路面上に存在する物体の候補401が検出されている。ただし、測距信号からは、位置P2において路面上に存在する物体の候補は検出されていない。そして物体の候補401が存在する位置P2に車両10が到達したときに、矢印410で示される車両10の向きの偏向角αが所定角度以上になっている。そのため、路面上に存在する物体の候補401は、実際に路面上に存在する立体的な物体であると推定され、車両10は減速制御される。
図5は、本実施形態による車両制御処理の他の一例を説明する図である。この例でも、図4に示される例と同様に、位置P1に車両10が位置するときにカメラ2により生成された画像500から、車両10の前方の位置P2において路面上に存在する物体の候補501が検出されている。一方、測距信号からは、位置P2において路面上に存在する物体の候補は検出されていない。この例では、物体の候補501が存在する位置P2に車両10が到達しても、矢印510で示される車両10の向きは変化していない。そのため、路面上に存在する物体の候補501は、実際には路面の汚れまたは路面に描画された標示物であると推定される。したがって、この例では、車両10は減速制御されず、車両10の速度は維持される。
図6は、本実施形態による車両制御処理のさらに他の一例を説明する図である。この例でも、図4に示される例と同様に、位置P1に車両10が位置するときにカメラ2により生成された画像600から、車両10の前方の位置P2において路面上に存在する物体の候補601が検出されている。さらに、測距信号からも、位置P2において路面上に存在する物体の候補が検出されている。そのため、矢印602で示される、物体の候補601の位置P2を回避するための経路に沿って車両10が走行するように車両10は制御される。
図7は、プロセッサ23により実行される、車両制御処理の動作フローチャートである。プロセッサ23は、所定の周期ごとに、以下の動作フローチャートに従って車両制御処理を実行する。
プロセッサ23の検出部31は、カメラ2により得られた画像に基づいて、車両10の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する(ステップS101)。そしてその物体の候補が検出されると、検出部31は、測距信号に基づいて、その物体の候補が表された物体候補領域に相当する実空間上の位置において、路面上に存在するその物体の候補を検出できるか否か判定する(ステップS102)。測距信号からも路面上に存在する物体の候補が検出されると(ステップS102-Yes)、その物体の候補は、実際に路面上に存在する立体的な物体であると推定される。そこでプロセッサ23の車両制御部33は、推定した物体の実空間における位置を回避するよう、車両10を制御する(ステップS103)。
一方、測距信号から路面上に存在する物体の候補が検出されない場合(ステップS102-No)、プロセッサ23の判定部32は、その物体の候補の位置に車両10が到達したときに、車両10の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する(ステップS104)。車両10の向きが所定角度以上偏向した場合(ステップS104-Yes)、車両10は、その物体の候補に相当する実際の路面上の物体と接触した可能性が高い。そこで車両制御部33は、車両10を減速させる(ステップS105)。一方、車両10の向きの変化が所定角度未満である場合(ステップS104-No)、その物体の候補は、路面の汚れまたは路面上に描画された標示物である可能性が高い。そこで車両制御部33は、車両10の速度を維持する(ステップS106)。なお、車両制御部33は、車両10の速度を維持する代わりに、その物体の候補の位置に到達する直前に実行されていた車両10の制御を継続してもよい。例えば、その物体の候補の位置に到達する直前において車両10が加速中である場合、車両制御部33は、ステップS106において、車両10の加速を継続してもよい。
ステップS103、S105またはS106の後、プロセッサ23は、車両制御処理を終了する。
以上に説明してきたように、この車両制御装置は、車両に設けられた撮像部により生成された車両の周囲を表す画像から車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する。さらに、この車両制御装置は、検出された物体の候補の位置に車両が到達したときに、車両の挙動を検知する挙動センサにより得られたセンサ信号または画像に基づいて車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する。そしてこの車両制御装置は、車両の向きが所定角度以上偏向した場合、車両を減速するよう制御する。これにより、車両に搭載された測距センサを用いて検出することが困難な、路面からの高さが低い障害物が車両の進路上に存在する場合でも、この車両制御装置は、車両が危険な状況に陥ることを防止して、車両を安全に制御することができる。また、車両の周囲を表す画像に表された路面の汚れなどが、路面からの高さが低い障害物として誤検出された場合でも、この車両制御装置は、無用な回避行動を車両に実行させることを抑制できる。そのため、この車両制御装置は、ドライバに違和感を与えるような車両の制御を抑制することができる。
変形例によれば、車両制御部33は、路面上に存在する物体の候補が検出されると、その物体の候補の位置に車両10が到達するよりも前に、車両10のブレーキの油圧を上げるようにしてもよい。これにより、その物体の候補が実際に路面上に存在する立体的な物体であったとしても、車両制御部33は、車両10がその物体に接触すると直ちにブレーキを利かせられるようにすることができる。
なお、以下の二つの条件の何れかが満たされる場合に限り、車両制御部33は、路面上に存在する物体の候補の位置に車両10が到達するよりも前に、車両10のブレーキの油圧を上げるようにしてもよい。
(i)車両10が走行中の道路の路肩の幅が所定幅未満。
(ii)車両10が走行中の自車線に隣接する隣接車線を走行する他の車両を検出。
車両10が走行中の道路の路肩が狭い場合、あるいは車両10が走行中の自車線に対する隣接車線を他の車両が走行している場合、車両10と路面上に存在する物体との接触により車両10が偏向することで、車両10の安全性が損なわれるおそれがある。そこでブレーキの油圧を事前に上げておくことで、車両制御部33は、車両10の安全性が損なわれることを防止できる。
(i)車両10が走行中の道路の路肩の幅が所定幅未満。
(ii)車両10が走行中の自車線に隣接する隣接車線を走行する他の車両を検出。
車両10が走行中の道路の路肩が狭い場合、あるいは車両10が走行中の自車線に対する隣接車線を他の車両が走行している場合、車両10と路面上に存在する物体との接触により車両10が偏向することで、車両10の安全性が損なわれるおそれがある。そこでブレーキの油圧を事前に上げておくことで、車両制御部33は、車両10の安全性が損なわれることを防止できる。
車両制御部33は、カメラ2により得られた画像、または、測距センサ3により得られた測距信号を、他の車両を検出するように予め学習された識別器に入力することで、隣接車線を走行する他の車両を検出すればよい。その際、車両制御部33は、検出された他の車両への方位、及び、測距信号から検出される場合は他の車両までの距離に基づいて、その他の車両が隣接車線を走行するか否かを判定すればよい。また、車両制御部33は、車両10に搭載されたGPS受信機に測位される車両10の位置と、メモリ22に記憶された地図情報とを参照することで、車両10が走行中の道路の路肩の幅を特定すればよい。
さらに他の変形例によれば、本開示に係る車両制御装置は、測距センサが搭載されていない車両に適用されてもよい。この場合には、図7のフローチャートにおける、ステップS102の処理及びステップS103の処理が省略される。すなわち、カメラ2からの画像に基づいて車両10の前方の路面上に存在する物体の候補が検出され、かつ、車両10がその物体の候補の位置に到達したときに車両10の向きが所定角度以上偏向したと判定されると、車両制御部33は、車両10を減速させる。
上記の実施形態または変形例による、ECU5のプロセッサ23の機能を実現するコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
1 車両制御システム
10 車両
2 カメラ
3 測距センサ
4 挙動センサ
5 電子制御装置(ECU)
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
31 検出部
32 判定部
33 車両制御部
10 車両
2 カメラ
3 測距センサ
4 挙動センサ
5 電子制御装置(ECU)
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
31 検出部
32 判定部
33 車両制御部
Claims (5)
- 車両に設けられた撮像部により生成された前記車両の周囲を表す画像から、前記車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出する検出部と、
検出された前記物体の候補の位置に前記車両が到達したときに、前記車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定する判定部と、
前記車両の向きが前記所定角度以上偏向した場合、前記車両を減速するよう制御する車両制御部と、
を有する車両制御装置。 - 前記検出部は、前記車両に搭載された測距センサにより生成された測距信号から前記物体の候補をさらに検出できるか否か判定し、
前記車両制御部は、前記測距信号から前記物体の候補を検出できない場合において前記車両の向きが前記所定角度以上偏向した場合、前記車両を減速するよう制御する、請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記車両制御部は、前記測距信号からも前記物体の候補が検出された場合、前記物体の候補の位置を前記車両が回避するように前記車両を制御する、請求項2に記載の車両制御装置。
- 車両に設けられた撮像部により生成された前記車両の周囲を表す画像から、前記車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出し、
検出された前記物体の候補の位置に前記車両が到達したときに、前記車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定し、
前記車両の向きが前記所定角度以上偏向した場合、前記車両を減速するよう制御する、
ことを含む車両制御方法。 - 車両に設けられた撮像部により生成された前記車両の周囲を表す画像から、前記車両の前方の路面上に存在する物体の候補を検出し、
検出された前記物体の候補の位置に前記車両が到達したときに、前記車両の向きが所定角度以上偏向したか否か判定し、
前記車両の向きが前記所定角度以上偏向した場合、前記車両を減速するよう制御する、
ことを前記車両に搭載されたプロセッサに実行させるための車両制御用コンピュータプログラム。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022166778A JP2024059228A (ja) | 2022-10-18 | 2022-10-18 | 車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム |
US18/224,132 US20240123976A1 (en) | 2022-10-18 | 2023-07-20 | Vehicle controller, method, and computer program for vehicle control |
CN202311302229.6A CN117901855A (zh) | 2022-10-18 | 2023-10-10 | 车辆控制装置、车辆控制方法以及车辆控制用计算机程序 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022166778A JP2024059228A (ja) | 2022-10-18 | 2022-10-18 | 車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム |
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Family Applications (1)
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JP2022166778A Pending JP2024059228A (ja) | 2022-10-18 | 2022-10-18 | 車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム |
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JP (1) | JP2024059228A (ja) |
CN (1) | CN117901855A (ja) |
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2022
- 2022-10-18 JP JP2022166778A patent/JP2024059228A/ja active Pending
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2023
- 2023-07-20 US US18/224,132 patent/US20240123976A1/en active Pending
- 2023-10-10 CN CN202311302229.6A patent/CN117901855A/zh active Pending
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Publication number | Publication date |
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CN117901855A (zh) | 2024-04-19 |
US20240123976A1 (en) | 2024-04-18 |
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