JP2024058605A - 放射線撮影装置及び放射線撮影システム - Google Patents

放射線撮影装置及び放射線撮影システム Download PDF

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Abstract

【課題】放射線撮影装置の厚肉部における平面方向の肥大化を抑制できるようにする。【解決手段】入射した放射線201を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネル1130と、放射線検出パネル1130の駆動を制御する制御基板1150と、放射線検出パネル1130から出力された信号を処理する処理基板1170と、放射線検出パネル1130、制御基板1150及び処理基板1170を内包する筐体1110を備え、筐体1110は、放射線201の入射方向に第1の厚みを有し、有効撮影領域が配置される薄肉部1111と、放射線201の入射方向に第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、制御基板1150及び処理基板1170が配置される厚肉部1112を有し、厚肉部1112において放射線201の入射方向から見た場合に、制御基板1150と処理基板1170との少なくとも一部が重ねられて配置されている。【選択図】図2

Description

本開示は、放射線撮影装置及び放射線撮影システムに関する。
被写体を透過した放射線の強度分布を検出して放射線画像を得る放射線撮影装置が、医療診断の場で広く一般的に利用されている。このような放射線撮影装置は、迅速且つ広範囲な部位の撮影を可能にするため、薄型で取り回しがよい物が求められている。このような要求に対して、特許文献1には、放射線撮影装置の筐体において、放射線検出パネルを配置した薄肉部と、制御基板や電源等の複数の実装物を配置した厚肉部とを構成した放射線撮影装置が記載されている。また、特許文献2には、放射線検出パネルを配置した薄型の第1筐体と、第1筐体とは別体で且つ第1筐体上を移動可能に設けられ、制御基板や電源等の複数の実装物を配置した第2筐体を備えた放射線撮影装置が記載されている。
国際公開第2020/105706号 特許第5638372号公報
特許文献1に記載の筐体の厚肉部や、特許文献2に記載の第2筐体のように、複数の実装物を平面方向に配置した場合、放射線撮影装置の厚肉部における平面方向の肥大化を招くという課題がある。即ち、従来の放射線撮影装置では、使用者の作業性を考慮し、適切な形状で適切な動作を行うのには不十分であるという課題があった。
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、使用者の作業性を考慮し、適切な形状で適切な動作を行える放射線撮影装置を提供することを目的とする。
本開示の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、前記放射線検出パネルから出力された信号を処理する処理基板と、前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記処理基板を内包する筐体と、を備え、前記筐体は、前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記処理基板が配置される第2の厚み部と、を有し、前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記処理基板との少なくとも一部が重ねられて配置されている。
また、本開示の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、前記放射線検出パネルおよび前記制御基板を内包する筐体と、前記筐体を把持するための把持部と、を備え、前記筐体は、前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記把持部が配置される第2の厚み部と、を有し、前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記把持部との少なくとも一部が重ねられて配置されている。
また、本開示の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、前記放射線検出パネルと前記制御基板とを接続するフレキシブル回路基板と、前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記フレキシブル回路基板を内包する筐体と、を備え、前記筐体は、前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板が配置される第2の厚み部と、前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを勾配をもって接合し、少なくとも前記フレキシブル回路基板の一部が配置される勾配部と、を有し、前記フレキシブル回路基板は、前記放射線の入射方向において異なる位置に配置された前記放射線検出パネルと前記制御基板とを、勾配をもって接続する。
また、本開示の放射線撮影装置は、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記放射線検出部から出力される信号を検出する信号検出回路と、前記信号検出回路から出力される信号を処理する信号処理回路と、前記放射線検出部を駆動する駆動回路と、閉回路が生じ得る領域におけるループ電流を低減する電流低減機構とを備える。
また、本開示の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルを内包する筐体と、ユーザーインターフェースとして機能する表示部と、を備え、前記筐体は、前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記表示部が配置される第2の厚み部と、を有する。
また、本開示の放射線撮影装置は、被写体を透過した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルを内包し、前記放射線が入射する側から見た場合に前記有効撮影領域の形状が多角形を有する筐体と、前記筐体において前記有効撮影領域の前記多角形の少なくとも一辺の外側に配置され、前記被写体を検出するための1種類以上のセンサを含むセンサ部と、を備える。
また、本開示の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出して放射線画像を撮影する放射線撮影装置であって、前記放射線が照射される撮影領域の範囲内に設けられ、前記放射線を光に変換する蛍光体と、前記撮影領域の範囲内に設けられ、前記光を前記放射線画像における電気信号に変換する光電変換素子を含む画素が複数配置された画素アレイと、前記撮影領域の範囲外に設けられ、前記画素アレイと通信を行う電子部品を備えたプリント基板と、前記蛍光体、前記画素アレイおよび前記プリント基板を収容する筐体と、を有し、前記筐体は、前記蛍光体の側に位置する第1の面と前記画素アレイの側に位置する第2の面に、前記撮影領域の範囲を示す指標が表示されている。
本開示によれば、使用者の作業性を考慮し、適切な形状で適切な動作を行える放射線撮影装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。 図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置のA-A断面における内部構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る放射線撮影装置において、筐体の内部の構成要素を背面の側から見た図である。 第2の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る放射線撮影装置を背面の側から見た図である。 図5に示す第2の実施形態に係る放射線撮影装置のB-B断面における内部構成の一例を示す図である。 第3の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。 図7に示す第3の実施形態に係る放射線撮影装置のC-C断面における内部構成の一例を示す図である。 一般的な放射線撮影装置の外観を示す概略斜視図である。 図9における一点鎖線D-D'に沿った概略断面図である。 放射線撮影装置の一般的構成を示す概略構成図である。 一般的な放射線撮影装置を放射線入射方向の裏側から見た各構造要素を示す概略平面図である。 図12の破線で囲んだ領域Rを拡大して示す概略平面図である。 第4の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す模式図である。 第4の実施形態における第1態様の他の例に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す模式図である。 第4の実施形態の放射線撮影装置において、第2態様に係る電流低減機構を配置した領域Rを拡大して示す概略平面図である。 第4の実施形態の放射線撮影装置において、第3態様に係る電流低減機構を一般的な放射線撮影装置と共に示し、閉回路が形成されている様子を示す模式図である。 第4の実施形態の放射線撮影装置において、第3態様に係る電流低減機構を一般的な放射線撮影装置と共に示し、ループ電流が発生している様子を示す模式図である。 第5の実施形態による放射線撮影装置の一般的構成を放射線入射方向の裏側から見た概略平面図である。 第5の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。 第5の実施形態において、第2態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。 第6の実施形態による放射線撮影装置の一般的構成を放射線入射方向の裏側から見た概略平面図である。 第6の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。 第6の実施形態において、第2態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。 第7の実施形態を示し、第4~第6の実施形態の第1~第3態様による放射線撮影装置を備えた放射線撮影システムを示す模式図である。 第8の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。 第8の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。 第8の実施形態に係る放射線撮影装置の機能構成の一例を示す図である。 第8の実施形態に係る放射線撮影装置において、表示部を使用したAECに用いるROIの選択例を説明するための図である。 第9の実施形態に係る放射線撮影システムの放射線撮影方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。 第9の実施形態に係る放射線撮影装置において、表示部の表示例を示す図である。 第10の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。 第11の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。 第12の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。 第13の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。 図35に示す放射線撮影装置のF-F断面における内部構成の一例を示す図である。 第13の実施形態に係る放射線撮影装置の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第13の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第13の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の変形例1を示す図である。 第13の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の変形例2を示す図である。 第13の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第14の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第15の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第16の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第17の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。 第13~第17の実施形態で適用したセンサの検出能力の一例を示す図である。 第18の実施形態に係る放射線撮影装置の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第19の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の一例を示す図である。 第19の実施形態に係る放射線撮影装置において被写体の位置を識別する第1例を示す図である。 第19の実施形態に係る放射線撮影装置において被写体の位置を識別する第2例を示す図である。 第19の実施形態に係る放射線撮影装置の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第20の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成のうちの一部の構成の一例を示す図である。 第20の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の第1例を示す図である。 第20の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の第2例を示す図である。 第21の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の一例を示す図である。 図55に示す放射線撮影装置を用いて、被写体の放射線撮影の開始から終了までの処理手順の一例を示すフローチャートである。 図55に示すFPD撮影部の筐体の表面及び裏面から放射線を入射させて放射線画像の撮影を行った場合の画質特性の違いの原理を説明するための図である。 図55に示す操作パネルに表示される操作画面の一例を示す図である。 図55に示すFPD撮影部の外観の一例を示す図である。 図55に示すFPD撮影部の断面例を示す図である。 図55に示すFPD撮影部の筐体の構成例を示す図である。 図55に示すFPD撮影部の筐体の構成例を示す図である。 第21の実施形態及び比較例に係る放射線撮影装置の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。 第21の実施形態及び比較例に係る画像処理手段の画像処理例を示す図である。 図55に示すFPD撮影部の外観及び内部構成の一例を示す図である。 第21の実施形態を示し、図65に示す遮光画素を用いた放射線入射方向判定方法を説明するための図である。 図55に示す放射線撮影装置による放射線入射方向判定処理における処理手順の一例を示す図である。 第21の実施形態に係る放射線撮影装置を適用可能な撮影システムの具体例を示す図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。ただし、各実施形態に示す寸法や構造の詳細は、本明細書の記載や図面に示されたものに限定されるものではない。また、本明細書において、放射線には、X線だけではなく、α線やβ線、γ線、粒子線、宇宙線なども、含まれるものとする。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る放射線撮影システム10-1の概略構成の一例を示す図である。放射線撮影システム10-1は、図1に示すように、放射線撮影装置100-1、及び、放射線発生装置200を備える。
放射線発生装置200は、被写体H及び放射線撮影装置100-1に向けて放射線201を照射する装置である。
放射線撮影装置100-1は、入射した放射線201(被写体Hを透過した放射線201も含む)を検出して、被写体Hの放射線画像を取得する装置である。この放射線撮影装置100-1で取得された放射線画像は、例えば、外部装置に転送され、外部装置においてモニタ上に表示されて診断などに使用される。図1では、放射線撮影装置100-1において、放射線が入射する側である放射線入射面1101と、放射線入射面1101とは反対側に位置する背面1102を図示している。また、図1には、放射線201の入射方向(鉛直方向)をZ方向とし、Z方向と直交する2方向であって相互に直交する方向をX方向及びY方向とした、XYZ座標系を図示している。
また、図1では、放射線撮影装置100-1の外観として、放射線撮影装置100-1の筐体1110が図示されている。この筐体1110には、筐体1110の内部に内包されている放射線検出パネル(後述する図2の放射線検出パネル1130)において、被写体Hを透過した放射線201を検出する有効撮影領域1131の範囲を示す指標1114が表示されている。
筐体1110は、図1に示すように、有効撮影領域1131を含む部分であって放射線201の入射方向であるZ方向に第1の厚みを有する第1の厚み部に相当する、薄肉部1111を有する。また、筐体1110は、図1に示すように、有効撮影領域1131を含まない部分であって放射線201の入射方向であるZ方向に薄肉部1111の厚み(第1の厚み)よりも厚い第2の厚みを有する第2の厚み部に相当する、厚肉部1112を有する。より詳細に、図1に示す例では、厚肉部(第2の厚み部)1112は、薄肉部(第1の厚み部)1111よりも放射線201が入射する側に厚みが厚くなっている。さらに、筐体1110は、図1に示すように、薄肉部(第1の厚み部)1111と厚肉部(第2の厚み部)1112とを勾配をもって接合する勾配部1113を有する。筐体1110は、上述した薄肉部(第1の厚み部)1111、厚肉部(第2の厚み部)1112及び勾配部1113を有する、1つまたは複数の部品による一体筐体である。また、筐体1110の厚肉部(第2の厚み部)1112には、使用者が筐体1110を把持するための把持部1120が設けられている。
以下に、図1に示す筐体1110について、さらに詳しく説明する。
筐体1110は、可搬性と強度を両立するために、例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金、繊維強化樹脂等などの材料で構成されることが好ましいが、本実施形態においては、ここで例示した材料以外の材料で構成されてもよい。特に、有効撮影領域1131が配置される薄肉部1111の放射線入射面1101は、放射線201の透過率の高さと軽量性に優れた炭素繊維強化樹脂などで構成されることが好ましいが、それ以外であってもよい。ここで、患者などの被写体Hを放射線201を用いて撮影する際に、放射線撮影装置100-1を、被写体Hにおける撮影部位のすぐ背面に配置することが考えられる。その際、放射線撮影装置100-1の筐体1110の厚みによって生じる段差で、被写体Hと筐体1110の端部が接触して反力が生じてしまい、被写体Hである患者などが不快に感じる可能性が考えられる。一般的な放射線撮影装置は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさで提供されることが多く、厚みが約15mm~16mmで構成されることが多い。しかしながら、本実施形態に係る放射線撮影装置100-1では、例えば、筐体1110の薄肉部1111の厚み(第1の厚み)は、8.0mmを想定している。そのため、本実施形態に係る放射線撮影装置100-1では、放射線撮影の際に、筐体1110の厚みによって生じる段差が少なくなるため、被写体Hと筐体1110の端部とで生じる反力を和らげることができる。なお、これらの効果を得るには、筐体1110の薄肉部1111の厚みを8.0mmに限定する必要は無く、例えばより薄くてもよい。ここで、出願人は、筐体1110の厚みが10.0mmよりも薄いと、上述した効果が得られることを確認している。本実施形態において、上述した筐体1110の薄肉部1111の厚みを8.0mmとしたのは、薄肉部1111に配置される放射線検出パネルの構成や機械的強度を鑑みて、適正厚みとして設定している。
図2は、図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1のA-A断面における内部構成の一例を示す図である。この図2において、図1に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図2には、図1に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。具体的に、図1に示すA-A断面は、Y方向の断面である。
放射線撮影装置100-1の筐体1110は、図2に示すように、放射線検出パネル1130、フレキシブル回路基板1140、制御基板1150、配線1160、処理基板1170、シールド材1180を内包している。また、上述したように、筐体1110の厚肉部1112には、使用者が筐体1110を把持するための把持部1120が設けられている。
把持部1120は、図2に示す例では、筐体1110の厚肉部1112において放射線201が入射する側に、凹形状で設けられている。
放射線検出パネル1130は、放射線発生装置200から照射され、入射した放射線201(被写体Hを透過した放射線201も含む)を検出する図1に示す有効撮影領域1131を有する。放射線検出パネル1130は、例えば、上部に多数の光電変換素子(センサ)が配置されたセンサ基板と、センサ基板の上方に配置された蛍光体層(シンチレータ層)及び蛍光体保護膜などからなる、いわゆる間接変換方式で構成されうる。この際、センサ基板の材質は、ガラスや可撓性の高い樹脂等が考えられるが、本実施形態においてはこれらに限定されるものではない。また、蛍光体保護膜は、透湿性の低いものからなり、蛍光体層を保護するために用いる。この間接変換方式の放射線検出パネル1130では、入射した放射線201が蛍光体層で光に変換され、蛍光体層で得られた光が各光電変換素子で電気信号に変換され、放射線画像に係る画像信号が生成される。また、放射線検出パネル1130は、光電変換素子(センサ)の一部または全部を有効撮影領域1131とする。有効撮影領域1131は、被写体Hの放射線撮影が可能で実際に放射線画像が生成される領域である。放射線検出パネル1130の有効撮影領域1131は、図1に示すように、薄肉部1111に配置される。また、図1に示す例では、有効撮影領域1131は、放射線201の入射方向から見た場合に、略矩形の形状となっているが、本実施形態においてはこの図1に示す態様に限定されるものではない。また、放射線検出パネル1130は、上述した間接変換方式で構成されたものに限定されるものではなく、例えば、a-Se等からなる変換素子とTFT等のスイッチ素子が二次元状に配置された変換素子部からなる、いわゆる直接変換方式で構成されてもよい。この直接変換方式の放射線検出パネル1130では、入射した放射線201が各変換素子で電気信号に変換され、放射線画像に係る画像信号が生成される。
フレキシブル回路基板1140は、放射線検出パネル1130と制御基板1150とを接続する基板である。放射線検出パネル1130と制御基板1150は、図2に示すように、放射線201の入射方向であるZ方向において異なる位置(高さ)に配置されている。このため、フレキシブル回路基板1140は、放射線検出パネル1130と制御基板1150とを、水平方向であるY方向に対して勾配1141をもって接続している。また、図2に示すように、少なくともフレキシブル回路基板1140の一部は、筐体1110の勾配部1113に配置されている。フレキシブル回路基板1140は、内部に各種の基板や素子が配置されている関係で必要面積が定められている。このため、例えば、フレキシブル回路基板1140を、放射線201の入射方向(Z方向)に対して垂直なY方向に平行に配置した場合、放射線撮影装置100-1における平面方向(Y方向を含む平面)の肥大化につながる。本実施形態では、図2に示すように、フレキシブル回路基板1140に勾配1141を持たせることで、フレキシブル回路基板1140の平面方向(Y方向を含む平面)における面積を小さくすることができる。このため、図2に示すように、フレキシブル回路基板1140に勾配1141を持たせることで、放射線撮影装置100-1(例えば厚肉部1112)における平面方向の省スペース化を実現することができ、肥大化を抑制することができる。この効果は、フレキシブル回路基板1140の勾配1141の角度が大きくなるほどその効果も大きくなるため、放射線検出パネル1130と制御基板1150におけるZ方向の高低差が大きいものほど効果がある。本実施形態では、その効果に基づき、制御基板1150を各基板の中で放射線入射面1101の側に配置し、放射線検出パネル1130を背面1102の側に配置しているが、構成によっては他の配置関係となっても一定の効果を望むことができる。
制御基板1150は、フレキシブル回路基板1140を介して、放射線検出パネル1130の駆動を制御する基板である。さらに、制御基板1150は、フレキシブル回路基板1140を介して、放射線検出パネル1130から、放射線画像に係る画像信号を取得する。この制御基板1150は、図2に示すように、厚肉部1112に配置されている。具体的に、制御基板1150は、図2に示すように、厚肉部1112の内部において、処理基板1170に対して放射線201が入射する側に配置されている。
配線1160は、制御基板1150と処理基板1170とを接続する配線である。この配線1160は、図2に示すように、厚肉部1112に配置されている。より具体的に、配線1160は、図2に示すように、制御基板1150及び処理基板1170において放射線検出パネル1130が配置されている側とは反対側に配置されている。
処理基板1170は、放射線検出パネル1130から出力された信号である放射線画像に係る画像信号を処理する基板である。具体的に、処理基板1170は、配線1160を介して、制御基板1150から、放射線検出パネル1130から出力された放射線画像に係る画像信号を取得し、取得した放射線画像に係る画像信号を処理する。この処理基板1170は、図2に示すように、厚肉部1112に配置されている。
図2に示す例では、厚肉部1112の放射線入射面1101の側から見て、制御基板1150、処理基板1170の順番に配置されている。この際、図2に示すように、処理基板1170は、制御基板1150よりも、放射線検出パネル1130が配置されている側への水平方向(Y方向)における幅が大きくなっている。厚肉部1112の放射線入射面1101の側の制御基板1150の幅を小さく、放射線検出パネル1130の近傍の処理基板1170の幅を大きくすることで、厚肉部1112と薄肉部1111との境界に勾配部1113を設けることができる。この勾配部1113を設けることより、厚肉部1112と薄肉部1111との境界部への機械的応力集中による変形や破断を防ぐことができる。
シールド材1180は、図2に示すように、厚肉部1112の内部において、制御基板1150と処理基板1170との間に配置されており、電磁的なノイズを低減するために設けられている。
図3は、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1において、筐体1110の内部の構成要素を背面1102の側から見た図である。この図3において、図1及び図2に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図3には、図1に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。具体的に、図3は、放射線撮影装置100-1における筐体1110の内部の構成要素を、放射線201の入射方向であるZ方向から見た図である。
放射線撮影装置100-1は、図3に示すように、筐体1110の厚肉部1112に、バッテリ1190を更に備える。このバッテリ1190は、放射線撮影装置100-1の各構成要素(例えば、放射線検出パネル1130やフレキシブル回路基板1140、制御基板1150、処理基板1170等)に電力を供給する電源である。バッテリ1190は、一例として、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、全固体電池等が用いられるが、それ以外であってもよい。
図3では、図2からも分かるように背面1102の側から見た場合に、処理基板1170は、制御基板1150の手前に図示されている。同様に、図3では、バッテリ1190は、制御基板1150の手前に図示されている。図3に示す例では、制御基板1150は、X方向については、厚肉部1112の両端に位置している。このように、制御基板1150は、放射線検出パネル1130のX方向に沿った一辺に沿って長矩形状に配置されている。
図3に示すように、厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、制御基板1150と処理基板1170との少なくとも一部が重ねられて配置されている。このように、厚肉部1112において放射線201の入射方向(Z方向)から見た場合に、制御基板1150と処理基板1170とを重ねて配置することにより、厚肉部1112の平面方向(XY平面方向)における面積を小さくすることができる。このため、放射線撮影装置100-1の厚肉部1112における平面方向の省スペース化を実現することができ、肥大化を抑制することができる。
また、図3に示すように、把持部1120は、厚肉部1112において、放射線検出パネル1130のX方向に沿った一辺の中心付近に配置されている。厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、制御基板1150と把持部1120との少なくとも一部が重ねられて配置されている。このように、厚肉部1112において放射線201の入射方向(Z方向)から見た場合に、制御基板1150と把持部1120とを重ねて配置することにより、厚肉部1112の平面方向(XY平面方向)における面積を小さくすることができる。このため、放射線撮影装置100-1の厚肉部1112における平面方向の省スペース化を実現することができ、肥大化を抑制することができる。具体的に、制御基板1150と把持部1120とのZ方向における位置関係は、図2に示すように、把持部1120が放射線入射面1101の側に配置され、制御基板1150が背面1102の側に配置される。
また、図3に示すように、厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、制御基板1150とバッテリ1190との少なくとも一部が重ねられて配置されている。このように、厚肉部1112において放射線201の入射方向(Z方向)から見た場合に、制御基板1150とバッテリ1190とを重ねて配置することにより、厚肉部1112の平面方向(XY平面方向)における面積を小さくすることができる。このため、放射線撮影装置100-1の厚肉部1112における平面方向の省スペース化を実現することができ、肥大化を抑制することができる。
また、図3に示すように、厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、把持部1120と処理基板1170とは重ならない位置に配置されている。また、図3に示すように、厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、バッテリ1190と処理基板1170とは重ならない位置に配置されている。また、図3に示すように、厚肉部1112において放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、処理基板1170とバッテリ1190とは、把持部1120を間に挟んで配置されている。
この図3に示すように、放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に、把持部1120、制御基板1150、処理基板1170及びバッテリ1190を厚肉部1112に効率的に配置することで、厚肉部1112の面積の小型化を実現できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図4は、第2の実施形態に係る放射線撮影システム10-2の概略構成の一例を示す図である。放射線撮影システム10-2は、図4に示すように、放射線撮影装置100-2、及び、放射線発生装置200を備える。この図4において、図1に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図4には、図1に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
図5は、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2を背面1102の側から見た図である。この図5において、図1及び図4に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図5には、図4に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2では、図5に示すように、筐体1110の厚肉部1112の背面1102の側に、使用者が筐体1110を把持するための把持部1121が設けられている。
図6は、図5に示す第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2のB-B断面における内部構成の一例を示す図である。この図6において、図1~図5に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図6には、図4及び図5に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。具体的に、図5に示すB-B断面は、Y方向の断面である。
図6に示すように、把持部1121は、筐体1110の厚肉部1112において放射線201が入射する側の放射線入射面1101とは反対側の背面1102の側に、凹形状で設けられている。把持部1121と制御基板1150の一部は、放射線201の入射方向であるZ方向から見た場合に重ねられて配置されている。この際、把持部1121が背面1102の側に配置され、制御基板1150が放射線入射面1101の側に配置される。
第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2においても、制御基板1150と処理基板1170の一部は、厚肉部1112の片側に重ねて配置され、また、バッテリ1190と制御基板1150の一部は、放射線201の入射方向から見て重ねて配置されている。また、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2においても、バッテリ1190は、放射線201の入射方向から見た場合に、処理基板1170及び把持部1121の未配置領域に配置される。
第2の実施形態に係る放射線撮影装置100-2においても、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1と同様に、厚肉部1112の平面方向(XY平面方向)における面積の小型化が実現でき、肥大化を抑制することができる。このため、厚肉部1112の形状に合わせて、使用者が持ちやすい把持部1120または把持部1121を採用すればよい。また、厚肉部1112の厚み方向に配置余地があれば、把持部1120と把持部1121を同時に配置する構成を採用してもよく、その場合には、放射線入射面1101の側から見て、把持部1120、制御基板1150、把持部1121の順番に重ねて配置すればよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
上述した第1の実施形態では、筐体1110の厚肉部1112の内部空間に、処理基板1170を1枚配置する形態であったが、第3の実施形態では、処理基板を複数枚配置する形態を採る。
図7は、第3の実施形態に係る放射線撮影システム10-3の概略構成の一例を示す図である。放射線撮影システム10-3は、図7に示すように、放射線撮影装置100-3、及び、放射線発生装置200を備える。この図7において、図1に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図7には、図1に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
図8は、図7に示す第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3のC-C断面における内部構成の一例を示す図である。この図8において、図1~図7に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図8には、図7に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。具体的に、図7に示すC-C断面は、Y方向の断面である。
第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3では、放射線検出パネル1130から出力された信号である放射線画像に係る画像信号を処理する2枚の処理基板1171及び1172を備える。第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3では、2枚の処理基板1171及び1172を備えて、機能を分散させている。このため、第3の実施形態に係る放射線撮影装置100-3では、制御基板1150と処理基板1171とを接続する配線1161と、制御基板1150と処理基板1172とを接続する配線1162を備える。
第3の実施形態では、厚肉部1112の内部空間に配置される制御基板1150と処理基板1171及び1172の3枚の基板は、放射線201の入射方向であるZ方向からから見た場合に重ねられて配置されている。なお、図8に示す例では、2枚の処理基板1171及び1172を備えているが、3枚以上の処理基板を配置するようにしてもよい。
第3の実施形態は、基板と配線との間の配線時ノイズを低減させるために、図8に示すように、配線1161及び1162を、厚肉部1112の内部空間の片側一方向に設け、電流のループが発生しない位置関係を実現している。これは、配線による電流のループが発生しない配線の這いまわしであれば、どのような配線の配置でもよい。
図8に示す例では、厚肉部1112の放射線入射面1101の側から見て、制御基板1150、処理基板1171、処理基板1172の順番に配置されている。この際、図8に示すように、処理基板1172は、制御基板1150及び処理基板1171よりも、放射線検出パネル1130が配置されている側への水平方向(Y方向)における幅が大きくなっている。また、処理基板1171は、制御基板1150よりも、放射線検出パネル1130が配置されている側への水平方向(Y方向)における幅が大きくなっている。厚肉部1112の放射線入射面1101の側の制御基板1150の幅を小さく、放射線検出パネル1130の近傍の処理基板1172の幅を大きくすることで、厚肉部1112と薄肉部1111との境界に勾配部1113を設けることができる。この勾配部1113を設けることより、厚肉部1112と薄肉部1111との境界部への機械的応力集中による変形や破断を防ぐことができる。
なお、上述した本開示の第1~第3の実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本開示は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本開示の第1~第3の実施形態は、以下の構成を含む。
[構成1]
入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
前記放射線検出パネルから出力された信号を処理する処理基板と、
前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記処理基板を内包する筐体と、
を備え、
前記筐体は、
前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記処理基板が配置される第2の厚み部と、
を有し、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記処理基板との少なくとも一部が重ねられて配置されている
ことを特徴とする放射線撮影装置。
[構成2]
入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
前記放射線検出パネルおよび前記制御基板を内包する筐体と、
前記筐体を把持するための把持部と、
を備え、
前記筐体は、
前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記把持部が配置される第2の厚み部と、
を有し、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記把持部との少なくとも一部が重ねられて配置されている
ことを特徴とする放射線撮影装置。
[構成3]
入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
前記放射線検出パネルと前記制御基板とを接続するフレキシブル回路基板と、
前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記フレキシブル回路基板を内包する筐体と、
を備え、
前記筐体は、
前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板が配置される第2の厚み部と、
前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを勾配をもって接合し、少なくとも前記フレキシブル回路基板の一部が配置される勾配部と、
を有し、
前記フレキシブル回路基板は、前記放射線の入射方向において異なる位置に配置された前記放射線検出パネルと前記制御基板とを、勾配をもって接続する
ことを特徴とする放射線撮影装置。
[構成4]
前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリを更に備え、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記バッテリとの少なくとも一部が重ねられて配置されている
ことを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成5]
前記放射線検出パネルと前記制御基板とは、前記放射線の入射方向において異なる位置に配置されている
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成6]
前記第2の厚み部は、前記第1の厚み部よりも前記放射線が入射する側に厚みが厚い
ことを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成7]
前記処理基板は、1枚または複数枚である
ことを特徴とする構成1に記載の放射線撮影装置。
[構成8]
前記制御基板は、前記処理基板に対して前記放射線が入射する側に配置されている
ことを特徴とする構成1または7に記載の放射線撮影装置。
[構成9]
前記処理基板は、前記制御基板よりも、前記放射線検出パネルが配置されている側への水平方向における幅が大きい
ことを特徴とする構成8に記載の放射線撮影装置。
[構成10]
前記制御基板と前記処理基板との間に、電磁的なノイズを低減するためのシールド材を更に備える
ことを特徴とする構成1、7乃至9のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成11]
前記筐体の前記第2の厚み部に、前記筐体を把持するための把持部を更に備え、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記把持部と前記処理基板とは重ならない位置に配置されている
ことを特徴とする構成1、7乃至10のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成12]
前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリを更に備え、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記バッテリと前記処理基板とは重ならない位置に配置されている
ことを特徴とする構成1、7乃至11のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成13]
前記筐体の前記第2の厚み部に、前記筐体を把持するための把持部と、
前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリと、
を更に備え、
前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記処理基板と前記バッテリとは、前記把持部を間に挟んで配置されている
ことを特徴とする構成1、7乃至12のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成14]
前記制御基板と前記処理基板とを接続する配線を更に備え、
前記配線は、前記制御基板および前記処理基板において前記放射線検出パネルが配置されている側とは反対側に配置されている
ことを特徴とする構成1、7乃至13のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成15]
前記把持部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側に、凹形状で設けられている
ことを特徴とする構成2に記載の放射線撮影装置。
[構成16]
前記把持部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側とは反対側に、凹形状で設けられている
ことを特徴とする構成2または15に記載の放射線撮影装置。
[構成17]
構成1乃至16のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線を発生させる放射線発生装置と、
を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
以上説明した構成1~17に記載の特徴によれば、放射線撮影装置の厚肉部における平面方向の肥大化を抑制することができる。
(第4の実施形態)
-放射線撮影装置の基本構成-
次に、第4の実施形態による放射線撮影装置の基本構成について説明する。
[放射線撮影装置における一般的構成]
図9は、一般的な放射線撮影装置の外観を示す概略斜視図である。図10は、図9における一点鎖線D-D'に沿った概略断面図である。図9及び図10では、当該放射線撮影装置の電流低減機構については図示されていない。この放射線撮影装置では、本実施形態による放射線撮影装置と共通する構造部材等については同符号を付している。また、後述する図10、図17、及び図18においては、図2のバッテリ2002、緩衝材2003、及び支持基台2006の図示を省略する。
放射線撮影装置2100は、不図示の放射線発生装置から出射し、被写体を透過した放射線を検出して撮影する装置である。放射線撮影装置2100で取得された画像は、外部に転送されてモニタ装置等に表示され、診断等に使用される。放射線撮影装置2100は、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、及び制御回路2005を備えている。
放射線検出パネル2001は、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出部であり、上部に多数の光電変換素子(センサ)が配置されたセンサ基板と、センサ基板の上方に配置された蛍光体層(シンチレータ層)と、蛍光体保護膜等を有して構成されている。放射線検出パネル2001では、複数の光電変換素子の一部または全てを有効撮影領域とする。有効撮影領域は、放射線撮影が可能で実際に画像が生成される領域である。本実施形態では、有効撮影領域は、放射線入射方向から見た平面視で略矩形状とされているが、これに限定されるものではない。蛍光体保護膜は、透湿性が低い性質を有しており、蛍光体を保護するために用いられるものである。また、放射線検出パネル2001のセンサ基板の材質としては、ガラスや可撓性の高い樹脂等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
放射線検出パネル2001が信号検出回路2004と、信号検出回路2004が制御回路2005とそれぞれ接続されている。制御回路2005には、放射線撮影装置2100に必要な電力を供給するためのバッテリ2002が接続されている。バッテリ2002としては、一例として、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、全固体電池等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
放射線撮影装置2100は、放射線検出パネル2001、バッテリ2002、緩衝材2003、信号検出回路2004、制御回路2005、支持基台2006等を収容する筐体(外装)2007を有している。筐体2007は、その外形について、放射線入射方向に厚い厚肉部2007aと、厚肉部2007aよりも薄い薄肉部2007bとを有している。厚肉部2007a内には、バッテリ2002及び制御回路2005等が配置されており、薄肉部2007b内には、放射線検出パネル2001及び信号検出回路2004等が配置されている。
筐体2007は、可搬性と強度とを両立させるために、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、樹脂等を用いて構成することが好適であるが、これらに限定されるものではない。特に、放射線検出パネル2001の有効撮影領域が位置する、薄肉部2007bの放射線が入射する面は、放射線の透過率の高さと軽量性とに優れた炭素繊維強化樹脂等で構成することが好適であるが、これらに限定されるものではない。また、放射線検出パネル2001と筐体2007の入射面との間には、放射線検出パネル2001を外力等から保護するための緩衝材2003が配置されている。緩衝材2003は、発泡樹脂やゲル等で構成することが好適であるが、これらに限定されるものではない。また、放射線検出パネル2001と緩衝材2003との間には、放射線検出パネル2001を支持するための支持基台2006が配置されている。支持基台2006は、軽量性に優れた、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、樹脂等で構成することが好適であるが、これらに限定されるものではない。
患者などの被写体を撮影する際には、放射線撮影装置を患者などの被写体における撮影部位の直ぐ背面に配置することが考えられる。この場合、放射線撮影装置の厚みによって生じる段差により、患者などの被写体と放射線撮影装置の端部とが接触し、反力が生じてしまい、被写体である患者などが不快に感じる可能性がある。一般的な放射線撮影装置は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさで提供されることが多く、厚みが約15mm~16mmで構成されることが多い。本実施形態では、放射線撮影装置2100の筐体2007における薄肉部2007bの厚みは、8.0mm程度としている。そのため、放射線撮影の際に、放射線撮影装置2100に生じる段差が小さく、患者などの被写体と放射線撮影装置2100の端部との間に生じる反力を緩和することができる。このような効果を得るには、薄肉部2007bの筐体の厚みを8.0mm程度に限定することはなく、より薄くてもよい。具体的には、10.0mm程度よりも薄いと効果が顕著であることが確認されている。
[放射線検出パネル及びその周辺の各部構造]
図11は、放射線撮影装置の一般的構成を示す概略構成図である。
放射線検出パネル2001は、半導体を用いて形成された光電変換素子2102を有する複数の画素2101が2次元のマトリクス状に配列された構造をしている。各々の画素2101は、アモルファスセレン(a-Se)等を有する光電変換素子2102及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等のスイッチ素子2103を含んで構成されており、不図示のシンチレータ層で覆われている。シンチレータ層は、照射された放射線に基づいて励起され可視光を発する。光電変換素子2102は、当該可視光を電気信号に変換する。即ち、放射線検出パネル2001は、シンチレータ層を介して入射した放射線を、光電変換素子2102を用いて電気信号に変換し得る、いわゆる間接変換型のものである。なお、放射線検出パネル2001は、間接変換型に限定されるものではなく、シンチレータ層を介さずに、光電変換素子により放射線を直接可視光に変換する、いわゆる直接変換型ものであってもよい。
信号検出回路2004を介して放射線検出パネル2001と電気的に接続されている制御回路2005は、信号処理回路2005aと、他の回路として電源生成回路2005c及びフロントエンド回路2005bとを有して構成されている。信号検出回路2004は、放射線検出パネル2001から出力される信号を検出する回路である。信号処理回路2005aは、信号検出回路2004から出力される信号を処理する回路である。フロントエンド回路2005bは、FPGAやCPU等を有する回路であり、放射線撮影装置としての諸処理を担っている。電源生成回路2005cは、放射線撮影装置の中で使用する各種電圧を生成している回路である。
なお、ここでは、制御回路2005を3種類の回路に分けて説明したが、その分け方に制限はない。3つの回路をまとめて1つの回路としてもよいし、2つ、または4つ以上の回路として扱ってもよい。図11では、信号検出回路2004は、1個のみを図示しているが、個数に限定はない。また、1つの信号検出回路2004には、信号線2105が2本のみの接続であるが、この本数も限定されるものではない。画素2101から送られてくるアナログの電気信号を信号検出回路2004で検出し、検出された電気信号は、信号処理回路2005aを介して、フロントエンド回路2005bに送られる。
放射線検出パネル2001を駆動する際には、フロントエンド回路2005bから駆動信号が駆動回路2008に入力される。また、電源生成回路2005cから駆動回路2008上にあるICを起動するための駆動電源が入力される。なお、図11において、駆動回路2008は電源生成回路2005cに接続されているが、制御回路2005内の部位であれば接続箇所は限定されない。当該接続箇所は、フロントエンド回路2005bでもよいし、信号処理回路2005aでもよい。駆動回路2008は、フロントエンド回路2005bから受け取った制御信号に従い、放射線検出パネル2001を構成する複数の画素2101の中で、駆動する行または列の選択を行う。駆動回路2008が所定行の画素2101を、駆動配線2104を介して駆動信号によって選択する。そして、選択された行の画素2101のスイッチ素子2103が順次オンとなり、当該選択された行の画素2101の光電変換素子2102に蓄積されている画像信号(電荷)が、各画素2101に接続されている信号配線2105に出力される。
信号配線2105は、信号検出回路2004を介して、制御回路2005に接続されている。信号検出回路2004は、アンプIC及びA/Dコンバータ(A/D Converter:ADC)を有している。アンプICは、信号配線2105に出力された画像信号を順次読み出し、増幅する機能を有している。ADCは、アンプICによって読み出されたアナログの画像信号をデジタル信号に変換するためのユニットである。制御回路2005には、デジタル変換された放射線画像データが入力される。
[ループ電流の発生について]
図12は、一般的な放射線撮影装置を放射線入射方向の裏側から見た各構造要素を示す概略平面図である。図12では、当該放射線撮影装置の電流低減機構については図示されていない。この放射線撮影装置では、本実施形態による放射線撮影装置と共通する構造部材等については同符号を付している。
この放射線撮影装置2200においては、放射線検出パネル2001は、上述したように、信号検出回路2004を介して制御回路2005と電気的に接続され、接続配線(後述する図13の接続配線2009)を介して駆動回路2008と電気的に接続されている。制御回路2005と駆動回路2008とは、接続配線2010を介して電気的に接続されている。制御回路2005及び駆動回路2008は、放射線検出パネル2001の裏側に折りたたまれておらず、放射線検出パネル2001と同一平面に配置されている。そのため、放射線検出パネル2001及び各回路のレイアウト等により、所定箇所に磁場等の外来の電磁ノイズの通過を許容する入射可能部位が存在する。放射線撮影装置では、電磁ノイズの入射可能部位を囲むように、放射線撮影装置の各構成部材間にGNDループの閉回路が形成されている場合がある。放射線検出パネル2001に対して入射可能部位に電磁ノイズが閉回路に入力して放射線撮影装置2200を貫くと、アンペールの法則に従って、放射線撮影装置2200の閉回路に画像ノイズの発生原因となるループ電流が生じる。
図13は、図12の破線で囲んだ領域Rを拡大して示す概略平面図である。具体的に、図13(a)が電磁ノイズの入力がない場合、図13(b)が電磁ノイズの入力された場合をそれぞれ表している。具体的に、図12に示す放射線撮影装置2200においては、図13(a)及び図13(b)に示す3種類の隙間2011a,2011b,2011cが存在している。隙間2011aは、上下を制御回路2005と放射線検出パネル2001とで挟まれた隣り合う信号検出回路2004間に形成されている。隙間2011bは、制御回路2005、信号検出回路2004、放射線検出パネル2001、上端の接続配線2009、駆動回路2008、及び接続配線2010で囲まれた部位に形成されている。隙間2011cは、左右を放射線検出パネル2001と駆動回路2008とで挟まれた隣り合う接続配線2009間に形成されている。これらの隙間2011a,2011b,2011cには、電磁遮蔽できる構造物が存在していない。そのため、隙間2011a,2011b,2011cが電磁ノイズの入射可能部位となる。
ここで、領域R内において、信号検出回路2004、制御回路2005、及び駆動回路2008には、共通の接地基準(GND)が存在している。図13(a)に示すように、この場合、GNDループ(駆動回路2008、配線部材2010、制御回路2005、信号検出回路2004、及び放射線検出パネル2001が電気的に接続されて構成されるループ)により、閉回路2101a,2101b,2101cが形成されている。閉回路2101aは、2つの隙間2011a及び隙間2011bを囲むループである。閉回路2101bは、1つの隙間2011a及び隙間2011bを囲むループである。閉回路2101cは、隙間2011c及び隙間2011bを囲むループである。
放射線撮影装置に対して略垂直な方向、例えば裏面から表面に向かう方向から2種の隙間2011a及び隙間2011bに外来の電磁ノイズが入力すると、電磁ノイズは2種の隙間2011a及び隙間2011bをそれぞれ通って放射線撮影装置2200を貫く。このとき、2種の隙間2011a及び隙間2011bは、閉回路2101a,2101b,2101cの領域内にそれぞれ存在する。そのため、アンペールの法則により、閉回路2101a,2101b,2101cには、入力された電磁ノイズを妨げる方向、図13(b)の例では時計回りにループ電流2102a,2102b,2102cが発生する。このループ電流2102a,2102b,2102cによってアンプICに入力される画像信号(電荷)量の変動が発生し、それが画像ノイズとして現れる。閉回路の面積(ループ径)が大きければ大きいほどループ電流の値は大きくなるため、電磁ノイズの入力箇所が駆動回路2008から離れるほどループ電流が大きくなる。図13(b)の例では、ループ電流2102a,2102b,2102cのうち、ループ径の最も大きいループ電流2102aが最も大きな電流値となる。
また、信号検出回路2004には、放射線検出パネル2001の基準電圧となるセンサバイアス線が接続されており、センサバイアス線にループ電流の影響が生じる。センサバイアス線に流れる電流によって検知判定を行う自動検知機能においては、実際に放射線を照射していないにも関わらず検知判定となる虞がある。当該電流により放射線検出パネル2001では、既に照射線が検知されているものとされていることに使用者が気付かず放射線を検出してしまうと、画像が取得できないために誤曝射となる可能性がある。
なお、図13(b)では、電磁ノイズが放射線撮影装置2200に対して略垂直に放射線撮影装置2200の裏面から表面に向かう方向から入力する場合について説明しているが、電磁ノイズが表面から裏面に向かう方向から入力する場合も考えられる。この場合には、上記とは逆方向である反時計回りにループ電流が発生することになる。
[電流低減機構]
上述のように、放射線撮影装置に外来の電磁ノイズの入射可能部位となる隙間が存在する。そのため、電磁ノイズに起因して閉回路にループ電流が発生する旨、放射線撮影装置に生じる閉回路の面積(ループ径)が大きいほど、ループ電流が大きくなる旨の知見が得られている。本実施形態では、当該知見に鑑みて、放射線撮影装置に、閉回路が生じ得る領域におけるループ電流を低減する電流低減機構を設ける。
電流低減機構としては、例えば以下のものが考えられる。
(1)ループ電流の発生原因である電磁ノイズの入射可能部位への入力を遮断することにより、閉回路におけるループ電流が抑止される構成。
(2)閉回路が形成されず、放射線撮影装置に電磁ノイズが入力してもループ電流が発生しない構成。
(3)閉回路の面積を小さく抑え、放射線撮影装置に電磁ノイズが入力してもループ電流が低減される構成。
本実施形態における電流低減機構としては、所定の領域内において、閉回路が形成されることを前提とする構成と、閉回路が形成されない構成とが考えられるため、両者を含めるべく「閉回路が生じ得る」領域におけるループ電流を低減するものとしている。
-第1態様-
以下、第4の実施形態における電流低減機構の第1態様について説明する。
図14は、第4の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す模式図である。具体的に、図14(a)が放射線撮影装置を裏側から見た概略平面図、図14(b)が図14(a)の一点鎖線E-E'に沿った概略断面図である。
第1態様における電流低減機構は、上記した(1)の構成を具体化したものであり、電磁ノイズの入射可能部位を覆うように配置された電磁遮蔽物である。この電磁遮蔽物は、GNDループの閉回路が形成されている領域の少なくとも一部を覆うシート状部材であり、磁性体またはプラスチック等を材料としたものである。例えば、パーマロイ等の磁性体シートの表面にPET等のプラスチックフィルムをラミネートしてなる電磁遮蔽物が好適に使用される。第1態様では、筐体2007内における裏面及び表面に、隙間2011a,2011b,2011cを含む、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、制御回路2005、駆動回路2008、及び接続配線2010を全て覆うように、電磁遮蔽物2110a,2110bが配置される。ここで、放射線検出パネル2001はその表面が放射線入射面となるため、電磁遮蔽物2110a,2110bは、放射線検出パネル2001とは平面視で非重畳状態であることが望ましい。
放射線撮影装置2100に電磁遮蔽物2110a,2110bを配置することで、隙間2011a,2011b,2011cが電磁遮蔽物2110a,2110bで閉塞される。これにより、電磁ノイズの隙間2011a,2011b,2011cへの入力が遮蔽される。そのため、外来の電磁ノイズに起因する各閉回路におけるループ電流の発生が抑止される。第1態様では、筐体2007内における表面及び裏面の双方に電磁遮蔽物を配置することにより、外来の電磁ノイズが表面及び裏面のいずれから入射しても、隙間2011a,2011b,2011cへの入力が遮蔽される。従って、放射線撮影装置2100は、外来磁界ノイズによる影響を受けることがなく、ループ電流の発生を可及的に抑制することができる。なお、例えば放射線入射面である表面のみに電磁遮蔽物を配置しても、ループ電流の抑制効果を得ることができる。
第1態様における電流低減機構は、上記した電磁遮蔽物2110a,2110bに限定されるものではない。図15は、第4の実施形態における第1態様の他の例に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す模式図である。
図15(a)に電磁遮蔽物の第1例を示す。放射線撮影装置2100の各構成部材のうちで、ループ電流によって受ける影響の大部分を信号検出回路2004が占めていることが判明している。信号検出回路2004は、ループ電流の発生のみならず、当該信号検出回路2004に電磁ノイズが入力してその内部でノイズが発生する場合もある。そのため、信号検出回路2004を覆うと共に、信号検出回路2004を含むGNDループの閉回路にループ電流を発生させる電磁ノイズの入射可能部位に電流低減機構を設ける。これにより、ループ電流に起因する影響の大部分を抑制すると共に、信号検出回路2004に電磁ノイズが入力した場合の影響を抑止することができる。第1例では、当該知見に鑑みて、信号検出回路2004が含まれるGNDループの閉回路が形成された場合において、電磁ノイズによる影響が大きい信号検出回路2004が含まれる閉回路を覆う電磁遮蔽物2120を設ける。電磁遮蔽物2120は、筐体2007内における表面側及び裏面側にそれぞれ、信号検出回路2004、制御回路2005、接続配線2010、及び隙間2011a,2011bを含む上端部分を覆うように配置される。
放射線撮影装置2100に電磁遮蔽物2120を配置することにより、放射線撮影装置に付加される電流低減機構のボリュームを小さく抑え、ループ電流の発生を抑制してループ電流に起因する影響の大部分を効率良く排除することができる。
図15(b)に電磁遮蔽物の第2例を示す。第2例においては、信号検出回路2004に電磁ノイズが入力する虞がない場合や、信号検出回路2004に電磁ノイズが入力してもその影響が小さい場合を考慮し、第1例の考え方を更に徹底させた態様を例示する。第2例では、筐体2007内における表面側及び裏面側にそれぞれ、各隙間2011a及び隙間2011bのみを覆うように、それぞれ各電磁遮蔽物2130,2140を配置する。この構成により、放射線撮影装置に付加される電流低減機構のボリュームを更に小さく抑え、ループ電流の発生を抑制してループ電流に起因する影響の大部分を更に効率良く排除することができる。なお、ループ電流の影響をより確実に抑止すべく、図15(a)の構成または図15(b)の構成に加えて、個々の隙間2011cを覆う各電磁遮蔽物を配置するようにしてもよい。
-第2態様-
以下、第4の実施形態における電流低減機構の第2態様について説明する。
図16は、第4の実施形態の放射線撮影装置において、第2態様に係る電流低減機構を配置した領域Rを拡大して示す概略平面図である。
上述したように、放射線撮影装置2100の各構成部材のうちで、ループ電流によって受ける影響の大部分を信号検出回路2004が占めていることが判明している。そのため、第2態様では、上記した(2)の構成を具体化し、信号検出回路2004が含まれるGNDループの閉回路の存在が問題となる領域に電流低減機構を設ける。第2態様における電流低減機構は、当該領域において選択可能な複数の配線ルートのうち、閉回路が生じない配線ルートとされた電気接続部材である。この電気接続部材は、平面視で信号検出回路2004と少なくとも一部が重なるように配置され、制御回路2005と駆動回路2008とを電気的に接続している接続配線2150である。
通常、放射線撮影装置においては、例えば図12に示したように、制御回路2005と駆動回路2008とを電気的に接続する電気接続部材としては、放射線撮影装置の上右端のスペースを利用して、接続配線2010が設けられる。しかしながらこの場合、図13に示したように、GNDループの閉回路2101a,2101b,2101cが形成され、外来の電磁ノイズの入力によりループ電流2102a,2102b,2102cが発生する。第2態様では、制御回路2005と駆動回路2008との電気接続形態に着目し、領域Rにおいて両者の接続に選択可能な複数の配線ルートがある場合、閉回路2101a,2101b,2101cが生じない配線ルートを探索した。その結果、平面視で信号検出回路2004と少なくとも一部が重なる配線ルートが見出された。この配線ルートを採る接続配線2150は、一端が制御回路2005と接続され、右端の信号検出回路2004上及び放射線検出パネル2001の一部上を通り、他端が駆動回路2008と接続される。ここで、接続配線2150は、有効画素(実際に撮影に使用される画素)における光電変換素子への放射線の入射を妨げないように、有効画素領域上を避けて、平面視で放射線検出パネル2001の有効画素領域外の部分と重なるように配置することが好ましい。
接続配線2150としては、FFC(フラットフレキシブルケーブル)やFPC(フレキシブルプリント回路)、または磁性材料等のノイズ低減部材で覆われたFFCやFPCが用いられる。また、ビニル等の絶縁被膜で覆われた電線を用いてもよい。
図13では、接続配線2010が閉回路2101a,2101b,2101cの一部を構成するところ、接続配線2010が無ければ、その箇所でGNDループが分断され、領域Rには閉回路が生じず、ループ電流は発生しない。第2態様では、図16に示すように、接続配線2010に代わって接続配線2150を設けることにより、閉回路を生ぜしめることなく、制御回路2005と駆動回路2008との電気的接続が得られる。この場合、隙間2011a,2011bに電磁ノイズが入射しても、隙間2011a,2011bを囲む閉回路が存在しないため、ループ電流は発生しない。
また、図13のように制御回路2005と駆動回路2008との電気接続に通常の接続配線2010を採択した場合、筐体2007内では信号検出回路2004が露出状態とされているところ、外来の電磁ノイズが隙間2011a,2011b,2011cのみならず信号検出回路2004にも入射する可能性がある。そうすると、この電磁ノイズに起因して信号検出回路2004内でノイズが発生する懸念がある。第2態様では、接続配線2150を右端の信号検出回路2004と重なるように配置することにより、外来の電磁ノイズが接続配線2150で遮蔽され、電磁ノイズの当該信号検出回路2004内への入射が防止されて、信号検出回路2004内のノイズ発生が抑制される。ここで、接続配線2150として、例えばノイズ低減部材で覆われたFFCやFPC等を用いることによって、より確実に信号検出回路2004内への電磁ノイズの入射を抑止することができる。
また、接続配線2010に代わって接続配線2150を設けることにより、接続配線2150が信号検出回路2004及び放射線検出パネル2001の一部と重なって配置されるため、接続配線2010を用いる場合に比べて筐体2007の厚肉部2007aの厚みが増加する。厚肉部2007a内には多くの構造物が配置されており、使用者(操作者)が厚肉部2007aを把持して放射線撮影装置を持ち運ぶ際には、放射線検出パネル2001の撓みによって力がかかり易い。接続配線2010に代わって接続配線2150を設けることで厚肉部2007aの厚肉化が可能となり、放射線撮影装置2100の強度を向上させることができる。このように第2態様では、放射線撮影装置2100の使用者の作業性(使い勝手)が向上する。
-第3態様-
以下、第4の実施形態における電流低減機構の第3態様について説明する。
図17は、第4の実施形態の放射線撮影装置において、第3態様に係る電流低減機構を一般的な放射線撮影装置と共に示し、閉回路が形成されている様子を示す模式図である。図17(a)が一般的な放射線撮影装置を示し、図17(b)が第3態様を示す概略断面図である。図18は、第4の実施形態の放射線撮影装置において、第3態様に係る電流低減機構を一般的な放射線撮影装置と共に示し、ループ電流が発生している様子を示す模式図である。図18(a)が一般的な放射線撮影装置を示し、図18(b)が第3態様を示す概略断面図である。
放射線撮影装置2100,2200において、制御回路2005は、複数の回路基板が積層配置されて構成されている。具体的には、図17(a),図17(b)に示すように、筐体2007の厚肉部2007a内において、例えば、第1基板2021、第2基板2022、及び第3基板2023がそれぞれ所定の間隔をおいて積層されている。第1基板2021は、信号処理回路2005aを有し、信号検出回路2004の一部が接触して信号処理回路2005aが信号検出回路2004と電気的に接続された回路基板であり、上層部分に配置されている。第2基板2022は、配線2031により信号処理回路2005aと電気的に接続されたフロントエンド回路2005bを有する回路基板であり、中層部分に配置されている。第3基板2023は、配線2032によりフロントエンド回路2005bと電気的に接続された電源生成回路2005cを有する回路基板であり、下層部分に配置されている。なお、図17(a),図17(b)では、放射線入射方向から順に第1基板2021(信号処理回路2005a)、第2基板2022(フロントエンド回路2005b)、第3基板2023(電源生成回路2005c)としているが、この順番に制限されるものではない。また、回路基板の積層数は、上記の3層に限定されるものではなく、2層または4層以上とされる場合もある。
図17(a)に示すように、制御回路2005を複数の回路基板の積層構造としたことから、制御回路2005の側面部位を含む領域Rには、大きなGNDループが形成される。このGNDループにより、駆動回路2008、配線部材2010、制御回路2005(電源生成回路2005c、配線2032、フロントエンド回路2005b、配線2031、信号処理回路2005a)、信号検出回路2004、及び放射線検出パネル2001が接続されてなる閉回路2101dが生じる。領域Rにおいて、例えば、フロントエンド回路2005bを有する第2基板2022の側面が磁場等の外来の電磁ノイズの通過を許容する入射可能部位となる。図18(a)に示すように、この入射可能部位に電磁ノイズが入力してフロントエンド回路2005bを貫くと、閉回路2101dに画像ノイズとなるループ電流2102dが発生する。ループ電流の大きさは、それが発生する閉回路の面積(あるいはループ径)に依存する。閉回路2101dは、ループ径が制御回路2005の厚みに相当する大きなループ径を有しているため、ループ電流2102dも大きな値となる。
第3態様における電流低減機構は、上記した(3)の構成を具体化したものであり、領域Rにおいて選択可能な複数の配線ルートのうち、これら複数の配線ルートに対応する閉回路の面積が最も小さい配線ルートとされた電気接続部材である。第3態様では、信号検出回路2004は、第1基板2021、第2基板2022、及び第3基板2023のうちのいずれかの回路基板の表面及び裏面の一方と接触して電気的に接続されている。上記の電気接続部材は、信号検出回路2004が接続された回路基板の表面及び裏面の他方と接触して電気的に接続された接続配線2160である。第1基板2021、第2基板2022、及び第3基板2023は、配線2031,2032により電気的に接続されているため、制御回路2005と信号検出回路2004及び接続配線2160とは有効に接続される。以下、第3態様では、信号検出回路2004及び接続配線2160が制御回路2005の第1基板2021の表面及び裏面に接触して信号処理回路2005aと電気的に接続される構成を例に採って説明する。
通常、放射線撮影装置においては、図17(a)に示したように、駆動回路2008と制御回路2005とを電気的に接続する電気接続部材として接続配線2010が設けられる。接続配線2010は、制御回路2005を構成する第1基板2021、第2基板2022、及び第3基板2023のうちで第3基板2023が、駆動回路2008と略同一平面に位置して最も近いことから、第3基板2023と接触して駆動回路2008と電源生成回路2005cとを電気的に接続する。しかしながらこの場合、上述のように大きな閉回路2101dが形成されてループ電流2102dが発生する。なお、信号検出回路2004を第1基板2021と接触させて電気的に接続すると共に、接続配線2010を第2基板2022と接触させて電気的に接続すると、閉回路2101dよりは小さいが回路基板の2層分のループ径を持つ比較的大きな閉回路が形成される。
第3態様では、図17(b)に示すように、制御回路2005と駆動回路2008との電気接続に着目し、領域Rにおいて両者の接続に選択可能な複数の配線ルートがある場合、これら複数の配線ルートに対応する閉回路の面積が最も小さくなる配線ルートを探索した。その結果、接続配線2160を見出した。接続配線2160は、信号検出回路2004の接続と同様に、第1基板2021に接触して駆動回路2008と信号処理回路2005aとを電気的に接続する。具体的には、第1基板2021の表面及び裏面の一方(例えば表面)に信号検出回路2004を接続し、第1基板2021の表面及び裏面の他方(例えば裏面)に接続配線2160を接続する。これにより、第1基板2021内に閉回路2101eが生じる。領域Rにおいて、例えば信号処理回路2005aを有する第1基板2021の側面が磁場等の外来の電磁ノイズの通過を許容する入射可能部位となる。図18(b)に示すように、この入射可能部位に電磁ノイズが入力して信号処理回路2005aを貫くと、閉回路2101eにループ電流2102eが発生する。しかしながら、閉回路2101eは、領域Rに生じ得る閉回路のうちで、ループ径が第1基板2021の厚みに相当する最小サイズのものである。そのため、閉回路2101eに発生するループ電流2102eの値も最小となる。ループ電流2102eは、第1基板2021の厚みである例えば1mm程度の極微ループ径の閉回路2101eに発生するため、その発生量は殆ど無視し得る程度に小さい。このように、第3態様では、制御回路2005内におけるループ電流の発生量を最小に抑えることにより、ループ電流に起因して生じる画像のノイズや予期しない異常動作が可及的に抑制される。
接続配線2160としては、第2態様で説明した接続配線2150と同様に、FFCやFPC、または磁性材料等のノイズ低減部材で覆われたFFCやFPCが用いられる。また、ビニル等の絶縁被膜で覆われた電線を用いてもよい。
なお、制御回路2005では、図17(b)のように、第1基板2021と第2基板2022とは片側で配線2031のみにより、第2基板2022と第3基板2023とは片側で配線2032のみにより電気的に接続されることが好ましい。回路基板間の両側で電気的に接続されると、その接続により閉回路が生じてしまうため、望ましくない。また、第3態様の放射線撮影装置2100では、図17(b)のように、信号検出回路2004と接続配線2160とが略平行に配置されるところ、両者間の離間距離は、第3基板2023の厚み以下、例えば1mm以下とすることが好ましい。
以上説明したように、第4の実施形態における放射線撮影装置の諸態様によれば、簡素な手法により、外来の電磁ノイズに起因するループ電流の発生を低減して、画像ノイズや予期しない異常動作を抑制することができる。
(第5の実施形態)
-放射線撮影装置の基本構成-
図19は、第5の実施形態による放射線撮影装置の一般的構成を放射線入射方向の裏側から見た概略平面図である。図19では、当該放射線撮影装置の電流低減機構については図示されていない。この放射線撮影装置では、第4の実施形態による放射線撮影装置と共通する構造部材等については同符号を付している。
第5の実施形態における放射線撮影装置は、いわゆるWOA(Wire On Array)型の放射線検出パネルを備えた装置である。放射線撮影装置2300は、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、及び制御回路2005を備えている。第5の実施形態では、放射線検出パネル2001は、WOA型とされており、図12の駆動回路2008の代わりに駆動配線2014が放射線検出パネル2001の内部に配置されている。放射線検出パネル2001は、図12の接続配線2010に対応する接続配線2013により制御回路2005と接続されており、これにより制御回路2005と駆動配線2014とが電気的に接続される。
放射線撮影装置2300においても、図12の放射線撮影装置2200と同様に、隙間2011a,2011bが外来の電磁ノイズの入射可能部位となる。なお、放射線検出パネル2001がWOA型であるため、放射線撮影装置2300には、図13の隙間2011cは存在しない。電磁ノイズが隙間2011a,2011bを通って放射線撮影装置2300を貫くと、図13と同様に閉回路にループ電流が発生する。
-第1態様-
以下、第5の実施形態における電流低減機構の第1態様について説明する。
図20は、第5の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。
第1態様では、電流低減機構として、第4の実施形態における第1態様と同様に、筐体2007内における表面及び裏面に、隙間2011a,2011bを含む、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、制御回路2005、及び接続配線2013を覆うように、電磁遮蔽物2170が配置される。放射線撮影装置2100に電磁遮蔽物2170を配置することにより、隙間2011a,2011bが電磁遮蔽物2170で閉塞される。これにより、電磁ノイズの隙間2011a,2011bへの入力が遮蔽される。そのため、外来の電磁ノイズに起因する各閉回路におけるループ電流の発生が抑止される。
-第2態様-
以下、第5の実施形態における電流低減機構の第2態様について説明する。
図21は、第5の実施形態において、第2態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。
第2態様では、電流低減機構として、第4の実施形態における第2態様と同様に、閉回路を生ぜしめる接続配線2013に代わって接続配線2180が設けられる。接続配線2180は、一端が制御回路2005と接続され、右端の信号検出回路2004上を通り、他端が放射線検出パネル2001と接続される。これにより、制御回路2005と駆動配線2014とが電気的に接続される。
図19では、接続配線2013が閉回路の一部を構成するところ、接続配線2013が無ければ、その箇所でGNDループが分断されて閉回路が生じず、ループ電流は発生しない。第2態様では、図21に示すように、接続配線2013に代わって接続配線2180を設けることにより、閉回路を生ぜしめることなく、制御回路2005と駆動配線2014との電気接続が得られる。この場合、隙間2011a,2011bに電磁ノイズが入射しても、隙間2011a,2011bを囲む閉回路が存在しないため、ループ電流は発生しない。また、信号検出回路2004上が接続配線2180で覆われるため、信号検出回路2004への電磁ノイズの入力が接続配線2180で削減され、信号検出回路2004内におけるループ電流の発生が抑制される。
放射線検出パネル2001は、その内部に駆動配線2014が設けられたWOA型とされており、駆動回路が省略されているため、接続配線2180は、信号検出回路2004上を覆う長さを確保すれば十分である。このように、接続配線2180を短く抑えることが可能であり、大きくコストダウンすることができる。
なお、第5の実施形態においても、第4の実施形態の第3態様と同様に、制御回路2005を複数の回路基板を積層した構造とした場合、第1基板2021の表面に信号検出回路2004を接続し、裏面に電流低減機構である接続配線を接続するようにしてもよい。これにより、制御回路2005内におけるループ電流の発生量が最小に抑えられる。
以上説明したように、第5の実施形態における放射線撮影装置の諸態様によれば、簡素な手法により、外来の電磁ノイズに起因するループ電流の発生を低減して、画像ノイズや予期しない異常動作を抑制することができる。
(第6の実施形態)
-放射線撮影装置の基本構成-
図22は、第6の実施形態による放射線撮影装置の一般的構成を放射線入射方向の裏側から見た概略平面図である。図22では、当該放射線撮影装置の電流低減機構については図示されていない。この放射線撮影装置では、第4の実施形態による放射線撮影装置と共通する構造部材等については同符号を付している。
第6の実施形態における放射線撮影装置は、駆動回路が少なくとも2つ以上設けられるものである。以下では、駆動回路が放射線検出パネル2001の両側に配置される、いわゆる両読み型の放射線撮影装置を例示する。放射線撮影装置2400は、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、制御回路2005、及び駆動回路2008A,2008Bを備えている。駆動回路2008A,2008Bは、図22中で放射線検出パネル2001を挟持するように、放射線検出パネル2001の右側及び左側にそれぞれ接続されており、第4の実施形態における駆動回路2008が2つに分割または駆動回路2008が1つ追加された場合に相当する。駆動回路2008Aは、接続配線2010Aを介して制御回路2005と接続され、駆動回路2008Bは、接続配線2010Bを介して制御回路2005とそれぞれ電気的に接続されている。
放射線撮影装置2400においても、図12の放射線撮影装置2200と同様に、隙間2011a,2011b,2011cが外来の電磁ノイズの入射可能部位となる。電磁ノイズが隙間2011a,2011bを通って放射線撮影装置2400を貫くと、図13と同様に閉回路にループ電流が発生する。
-第1態様-
以下、第6の実施形態における電流低減機構の第1態様について説明する。
図23は、第6の実施形態において、第1態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。
第1態様では、電流低減機構として、第4の実施形態における第1態様と同様に、電磁遮蔽物2190が配置される。この電磁遮蔽物2190は、筐体2007内における表面及び裏面に、隙間2011a,2011b,2011cを含む、放射線検出パネル2001、信号検出回路2004、制御回路2005、駆動回路2008A,2008B、及び接続配線2010A,2010Bを覆うように配置される。放射線撮影装置2400に電磁遮蔽物2190を配置することにより、隙間2011a,2011b,2011cが電磁遮蔽物2190で閉塞される。これにより、電磁ノイズの隙間2011a,2011b,2011cへの入力が遮蔽される。そのため、外来の電磁ノイズに起因する各閉回路におけるループ電流の発生が抑止される。
-第2態様-
以下、第6の実施形態における電流低減機構の第2態様について説明する。
図24は、第6の実施形態において、第2態様に係る電流低減機構を配置した放射線撮影装置を示す概略平面図である。
第2態様では、電流低減機構として、第4の実施形態における第2態様と同様に、閉回路を生ぜしめる接続配線2010A,2010Bに代わって接続配線2210A,2210Bが設けられる。接続配線2210Aは、一端が制御回路2005と接続され、右端の信号検出回路2004上及び放射線検出パネル2001の一部上を通り、他端が駆動回路2008Aと接続される。これにより、制御回路2005と駆動回路2008Aとが電気的に接続される。接続配線2210Bは、一端が制御回路2005と接続され、左端の信号検出回路2004上及び放射線検出パネル2001の一部上を通り、他端が駆動回路2008Bと接続される。これにより、制御回路2005と駆動回路2008Bとが電気的に接続される。
図22では、接続配線2010A,2010Bが各閉回路の一部を構成するところ、接続配線2010A,2010Bが無ければ、その箇所でGNDループが分断されて閉回路が生じず、ループ電流は発生しない。第2態様では、図24に示すように、接続配線2010A,2010Bに代わって接続配線2210A,2210Bを設けることにより、閉回路を生ぜしめることなく、制御回路2005と駆動回路2008A,2008Bとの電気接続が得られる。この場合、隙間2011a,2011bに電磁ノイズが入射しても、隙間2011a,2011bを囲む閉回路が存在しないため、ループ電流は発生しない。また、信号検出回路2004上が接続配線2210で覆われるため、信号検出回路2004への電磁ノイズの入力が接続配線2210で削減され、信号検出回路2004内におけるループ電流の発生が抑制される。
なお、第6の実施形態においても、第4の実施形態の第3態様と同様に、制御回路2005を複数の回路基板を積層した構造とした場合、第1基板2021の表面に信号検出回路2004を接続し、裏面に電流低減機構である接続配線を接続するようにしてもよい。これにより、制御回路2005内におけるループ電流の発生量が最小に抑えられる。
以上説明したように、第6の実施形態における放射線撮影装置の諸態様によれば、簡素な手法により、外来の電磁ノイズに起因するループ電流の発生を低減して、画像ノイズや予期しない異常動作を抑制することができる。
なお、上述した第4~第6の実施形態について説明したが、それぞれの実施形態において、第1~第3態様のうちの複数の態様を組み合わせて実施してもよい。また、上述した第4~第6の実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本開示は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(第7の実施形態)
上述した第4~第6の実施形態の第1~第3態様による放射線撮影装置は、例えば図25に示すような放射線撮影システムに適用することができる。
この放射線撮影システムは、上述した第4~第6の実施形態の第1~第3態様のうちの1つの放射線撮影装置2501、放射線発生装置200、及び、制御及び演算処理装置2502を備えている。放射線撮影装置2501及び放射線発生装置200は、制御及び演算処理装置2502と接続されている。制御及び演算処理装置2502からの制御により、放射線発生装置200から被写体Hに放射線が照射される。放射線撮影装置2501は、被写体Hを透過した放射線を検出する。放射線撮影装置2501で検出された情報は、電気信号として制御及び演算処理装置2502に読み込まれる。制御及び演算処理装置2502で所望の演算処理を行い、診断が行われる。
第7の実施形態の放射線撮影システムによれば、外来の電磁ノイズに起因するループ電流の発生を低減して、画像ノイズや予期しない異常動作を抑制することができる放射線撮影装置2501を用いて、より正確な診断を行うことが可能となる。
本開示の第4~第7の実施形態は、以下の構成を含む。
[構成18]
被写体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部から出力される信号を検出する信号検出回路と、
前記信号検出回路から出力される信号を処理する信号処理回路と、
前記放射線検出部を駆動する駆動回路と、
閉回路が生じ得る領域におけるループ電流を低減する電流低減機構と
を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
[構成19]
前記電流低減機構は、少なくとも前記領域における電磁ノイズの入射可能部位を覆うように配置される
ことを特徴とする構成18に記載の放射線撮影装置。
[構成20]
前記電流低減機構は、電磁ノイズの入力を遮蔽する電磁遮蔽物である
ことを特徴とする構成19に記載の放射線撮影装置。
[構成21]
前記電磁遮蔽物は、前記放射線の入射面及び前記入射面の裏面の少なくとも一方に配置されている
ことを特徴とする構成20に記載の放射線撮影装置。
[構成22]
前記電磁遮蔽物は、平面視で前記放射線検出部と非重畳状態で配置されている
ことを特徴とする構成20に記載の放射線撮影装置。
[構成23]
前記電流低減機構は、前記領域において選択可能な複数の配線ルートのうち、前記閉回路が生じない配線ルートとされた電気接続部材である
ことを特徴とする構成18に記載の放射線撮影装置。
[構成24]
前記電流低減機構は電気接続部材であり、
前記電気接続部材は、前記信号検出回路と少なくとも一部が重なるように配置され、前記信号処理回路と前記駆動回路とを電気的に接続している
ことを特徴とする構成23に記載の放射線撮影装置。
[構成25]
前記電気接続部材は、フラットフレキシブルケーブルまたはフレキシブルプリント回路である
ことを特徴とする構成24に記載の放射線撮影装置。
[構成26]
前記電気接続部材は、ノイズ低減部材で覆われた、フラットフレキシブルケーブルまたはフレキシブルプリント回路である
ことを特徴とする構成24に記載の放射線撮影装置。
[構成27]
前記電気接続部材は、平面視で前記放射線検出部の有効画素領域外の部分と重なる
ことを特徴とする構成24に記載の放射線撮影装置。
[構成28]
前記電流低減機構は、前記領域において選択可能な複数の配線ルートのうち、前記閉回路の面積が最も小さい配線ルートとされた電気接続部材である
ことを特徴とする構成18に記載の放射線撮影装置。
[構成29]
制御回路を更に備え、
前記制御回路は、
前記信号処理回路を有する第1基板と、
他の回路を有する第2基板と、
を少なくとも含み、
前記第1基板と前記第2基板とが電気的に接続されて積層配置されている
ことを特徴とする構成28に記載の放射線撮影装置。
[構成30]
前記信号検出回路は、前記第1基板及び前記第2基板のうちのいずれかの回路基板の表面及び裏面の一方と接触して電気的に接続されており、
前記電流低減機構は、前記信号検出回路が接続された前記回路基板の表面及び裏面の他方と接触して電気的に接続された電気接続部材である
ことを特徴とする構成29に記載の放射線撮影装置。
[構成31]
前記信号検出回路は、前記第1基板の表面及び裏面の一方と接触して前記信号処理回路と電気的に接続されており、
前記電流低減機構は、前記第1基板の表面及び裏面の他方と接触して前記信号処理回路と電気的に接続された電気接続部材である
ことを特徴とする構成29に記載の放射線撮影装置。
[構成32]
前記駆動回路は、前記放射線検出部の内部に配置されている
ことを特徴とする構成18乃至31のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成33]
前記駆動回路は、少なくとも2つ以上設けられている
ことを特徴とする構成18乃至31のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成34]
2つの前記駆動回路は、前記放射線検出部を挟持するように前記放射線検出部の両側に配置されている
ことを特徴とする構成33に記載の放射線撮影装置。
[構成35]
被写体に放射線を照射する放射線発生装置と、
請求項1~17のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置で取得された情報に基づいて所定の演算処理を行う演算処理装置と、
を含むことを特徴とする放射線撮影システム。
以上説明した構成18~35に記載の特徴によれば、簡素な手法により、外来の電磁ノイズに起因するループ電流の発生を低減して、画像ノイズや予期しない異常動作を抑制することができる放射線撮影装置が実現する。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。
図26は、第8の実施形態に係る放射線撮影システム10-8の概略構成の一例を示す図である。放射線撮影システム10-8は、図26に示すように、放射線撮影装置100、放射線発生装置200、コンソール3300、通信ネットワーク3400、アクセスポイント(AP)3500、接続器3600、及び、クレードル3700を備える。第8の実施形態では、放射線撮影装置100と放射線発生装置200とが同期して被写体Hの放射線撮影を実施する同期撮影モードで放射線撮影システム10-8が動作する場合について説明する。
放射線撮影装置100は、被写体Hの放射線画像を取得する。また、放射線撮影装置100は、有線若しくは無線の通信機能、または、有線と無線との両方の通信機能を備えており、通信経路を介してコンソール3300と情報の送受信が可能に構成されている。放射線撮影装置100は、図26に示す例では、ベッド30と被写体Hとの間に挟み込むように配置される。
放射線発生装置200は、放射線を照射する放射線管球210を備えており、図26に示す例では、病室内などに持ち込み可能な可搬型の装置として構成されている。また、図26に示す例では、放射線発生装置200は、被写体Hの放射線撮影を行っていない状態を示している。被写体Hの放射線撮影を行う場合には、放射線発生装置200は、放射線管球210が、放射線撮影装置100との間に被写体Hが存在する位置に配置されることになる。
コンソール3300は、図26に示す例では、モニタなどの表示機能と使用者からの入力機能を備えたパーソナルコンピュータ(PC)として構成されている。このコンソール3300は、使用者からの入力指示を放射線撮影装置100に伝えたり、放射線撮影装置100が取得した放射線画像データを受け取って使用者に表示したりすることが可能である。また、コンソール3300は、有線若しくは無線の通信機能、または、有線と無線との両方の通信機能を備えている。図26に示す例では、コンソール3300は、ノート型のPCとして設置されているが、実際の放射線撮影システム10-8の運用において特に制約はなく、例えば、据え置きタイプとして設置される形態や放射線発生装置200に内蔵される形態であってもよい。
通信ネットワーク3400は、例えば、LANネットワークである。例えば、この通信ネットワーク3400に放射線撮影装置100とコンソール3300とが接続されることによって、相互にデータの送受信が可能となる。
アクセスポイント(AP)3500は、例えば、通信ネットワーク3400を介してコンソール3300に通信可能に接続されている。また、アクセスポイント(AP)3500は、例えば、コンソール3300に通信可能に直接接続されてもよい。
接続器3600は、例えば、コンソール3300、放射線発生装置200及びアクセスポイント(AP)3500を通信可能に接続する。
クレードル3700は、放射線撮影装置100を収納する。この際、クレードル3700の内部に給電装置を設けて、放射線撮影装置100を充電可能な構成にしてもよい。
図26において、放射線撮影装置100は、放射線撮影システム10-8の構成状況によって通信経路を構成する通信ネットワーク3400、アクセスポイント(AP)3500の何れかを介して、放射線画像データをコンソール3300に送信してもよい。また、放射線撮影装置100は、放射線画像データをコンソール3300に直接送信してもよい。
図26において、実線または点線が通信接続を示している。この際、点線は、無線接続を示している。図26に示す放射線撮影システム10-8では、コンソール3300と放射線撮影装置100とは無線接続される形態を示しているが、有線ケーブル等を用いて電気的に接続されるような構成であってもよい。また、放射線撮影装置100やコンソール3300、アクセスポイント(AP)3500が、相互にデータを直接送受信する機能を備えている場合、無線や有線によって、相互にデータを直接送受信してもよい。
次に、放射線撮影の流れの一例を説明する。ここで、本実施形態においては、放射線撮影装置100と放射線発生装置200とが同期して放射線撮影を実施する同期撮影モードでの動作について説明する。
技師などの使用者が放射線撮影装置100を起動した後に、コンソール3300を使用者が操作して放射線撮影装置100を撮影可能状態にする。続いて、使用者は、放射線発生装置200を操作し(放射線撮影装置100との間に被写体Hが存在する位置に配置することを含む)、放射線を照射する撮影条件(放射線管球210の管電圧や管電流、照射時間など)を設定する。以上の処理が終了後、使用者は、被写体Hを含めた撮影準備が整ったことを確認する。その後、使用者は、放射線発生装置200(またはコンソール3300)に備えられた曝射スイッチを押下し、放射線発生装置200の放射線管球210から被写体Hに向けて放射線を曝射(照射)させる。この放射線の照射の際、放射線発生装置200は、これから放射線が照射される旨の信号を放射線撮影装置100に接続器3600や通信ネットワーク3400等を介して送信する。なお、放射線発生装置200から放射線撮影装置100に対して放射線が照射される旨の信号を送信する形態は、接続器3600や通信ネットワーク3400等を介する形態に限定されるものではなく、直接送信する形態であってもよい。
放射線が照射される旨の信号を放射線撮影装置100が受信すると、放射線撮影装置100は、放射線の照射に対する準備が整っているか否かを確認し、問題がなければ放射線の照射許可信号を放射線発生装置200に対して返信する。これによって、放射線発生装置200から放射線が照射される。
本実施形態においては、放射線撮影装置100は、自動露出制御(Auto Exposure Control:AEC)機能を備えている。本実施形態においては、放射線撮影装置100は、放射線の照射開始からの照射線量を計測し、適切な放射線の照射線量を検知してコンソール3300に送信し、コンソール3300から接続器3600を介して放射線発生装置200に放射線の照射終了を送信する。
放射線撮影装置100は、放射線発生装置200からの通知或いは事前に取り決められた設定時間を参照するなどの各種の方法によって、放射線の照射終了を検出すると、放射線画像データの生成を開始する。生成された放射線画像データは、放射線撮影装置100から、図26に示す通信経路を通ってコンソール3300に送信される。そして、コンソール3300に送られた放射線画像データは、例えば、コンソール3300に含まれる表示装置に放射線画像として表示することができる。
放射線撮影装置100は、被写体Hの撮影部位や被写体Hの状況などの条件に応じて、撮影用の架台やベッド30に組み込まれて放射線撮影が行われてもよい。
図27は、第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観の一例を示す図である。この図27において、図26に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、図27に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100を「放射線撮影装置100-8」と記載する。この図27では、放射線発生装置200(放射線管球210)が、放射線撮影装置100-8との間に被写体Hが存在する位置に配置されている。そして、この図27では、放射線発生装置200(放射線管球210)から、被写体H及び放射線撮影装置100-8に向けて放射線201が照射される様子を図示している。
図27では、放射線撮影装置100-8において、放射線201が入射する側である放射線入射面3101と、放射線入射面3101とは反対側に位置する背面3102を図示している。また、図27では、放射線撮影装置100-8の外観として、放射線撮影装置100-8の筐体3110が図示されている。この筐体3110には、筐体3110の内部に内包されている放射線検出パネル(後述する図28の放射線検出パネル3140)において、被写体Hを透過した放射線201を検出する有効撮影領域3141の範囲を示す指標3114が表示されている。
筐体3110は、図27に示すように、放射線201の入射方向からみたときに有効撮影領域3141が配置される部分であって、放射線201の入射方向に第1の厚みを有する第1の厚み部に相当する、薄肉部3111を有する。また、筐体3110は、図27に示すように、有効撮影領域3141が配置されない部分であって、放射線201の入射方向に薄肉部3111の厚み(第1の厚み)よりも厚い第2の厚みを有する第2の厚み部に相当する、厚肉部3112を有する。より詳細に、図27に示す例では、厚肉部(第2の厚み部)3112は、薄肉部(第1の厚み部)3111よりも放射線201が入射する側に厚みが厚くなっている。さらに、筐体3110は、図27に示すように、薄肉部(第1の厚み部)3111と厚肉部(第2の厚み部)3112とを接合する接合部3113を有する。筐体3110は、接合部3113によって、薄肉部(第1の厚み部)3111、厚肉部(第2の厚み部)3112及び接合部3113が一体となった、1つ又は複数の部品による一体筐体として構成されている。また、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112には、使用者が筐体3110を把持するための把持部3120と、ユーザーインターフェースとして機能する表示部3130が設けられている。
筐体3110は、放射線撮影装置100-8における可搬性と強度を両立するために、マグネシウム合金やアルミニウム合金、繊維強化樹脂等の樹脂などの材料で構成することが好適であるが、それ以外の材料で構成してもよい。特に、有効撮影領域3141が配置される薄肉部3111の放射線入射面3101は、放射線201の透過率の高さと軽量性に優れた炭素繊維強化樹脂などの材料で構成することが好適であるが、それ以外の材料で構成してもよい。
ここで患者などの被写体Hを放射線撮影するときに、放射線撮影装置100-8を被写体Hにおける撮影部位のすぐ背面に配置することが想定される。そのとき、放射線撮影装置の厚みによって生じる段差で、被写体Hと放射線撮影装置の端部とが接触して反力が生じてしまい、被写体H(患者)が不快に感じる可能性が考えられる。一般的に、放射線撮影装置は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさで提供されることが多い。この場合、放射線撮影装置の厚みは、約15mm~16mmで構成されることが多い。これに対して、本実施形態では、筐体3110の薄肉部3111の厚みは、8.0mmを想定しているため、被写体Hを放射線撮影するときに放射線撮影装置100-8の厚みによって生じる段差を小さくすることができる。このため、本実施形態では、被写体Hと放射線撮影装置100-8の端部とが接触して生じる反力を低減することができ、被写体Hの負担や痛みを軽減することができる効果が得られる。なお、本実施形態においては、この効果を得るために、筐体3110の薄肉部3111の厚みを8.0mmに限定するものではなく、より厚みが薄くてもよい。ここで、出願人は、筐体3110の薄肉部3111の厚みが10.0mmよりも薄いと、上述した効果が得られることを確認している。また、本実施形態では、筐体3110の薄肉部3111の厚みを8.0mmとしているが、これは、各構成や機械的強度を鑑みて適正厚みとして設定している。
把持部3120は、使用者が筐体3110を把持する際に手を掛ける部分である。具体的に、把持部3120は、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aに凹形状で設けられている。さらに、本実施形態においては、把持部3120は、筐体3110の厚肉部3112において第1面3112aとは反対側に位置する面にも凹形状で設けられている。
表示部3130は、ユーザーインターフェースとして機能する部分である。具体的に、表示部3130は、図27に示す例では、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aに配置されている。表示部3130は、例えば、有効撮影領域3141に含まれる領域であって自動露出制御(AEC)に用いる関心領域(ROI)を設定することができるものである。また、表示部3130は、例えば、放射線撮影装置100-8の状態を表示することができるものである。この表示部3130は、例えば、入力可能なタッチセンサを備えた薄型ディスプレイであることが望ましいが、タッチセンサのない表示機能のみの薄型ディスプレイであってもよい。この表示部3130は、例えば、把持部3120に干渉することが無いように、厚肉部3112の中央よりも端部側に配置することが望ましい。
上述したように、本実施形態の筐体3110における薄肉部3111は、被写体H(患者)の背面への挿入時における被写体H(患者)の負担や痛みの軽減に寄与することができる。また、例えば、表示部が筐体3110の薄肉部3111に配置されている場合には、被写体Hの放射線撮影の際に筐体3110の薄肉部3111が被写体Hの背面に潜り込んでしまうため、使用者は表示部を視認し難くなる。これに対して、本実施形態では、表示部3130を筐体3110の厚肉部3112に配置しているため、被写体Hの放射線撮影の際においても、表示部3130を被写体Hの外側に露出させることができ、技師などの使用者が表示部3130を視認及び操作しやすくなる。さらに、表示部3130を筐体3110の厚肉部3112に配置しているため、被写体Hの放射線撮影の際に使用者から近い位置に表示部3130を配置することができ、使用者の視認性及び操作性の観点から好適である。以上のことから、本実施形態の放射線撮影装置100-8によれば、被写体H(患者)の負担や痛みの軽減と、使用者による表示部3130の視認性及び操作性の向上との両立を実現することができる。
図28は、第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成の一例を示す図である。放射線撮影装置100は、図28に示すように、表示部3130、放射線検出パネル3140、駆動用回路3151及び3152、素子用電源回路3153、制御部3154、記憶部3155、通信部3156、電源制御部3157の機能構成を備える。さらに、放射線撮影装置100は、図28に示すように、読み出し用回路3160及び3170、信号処理部3180、バッテリ部3191、位置検出部3192の機能構成を備える。
図28に示す放射線検出パネル3140において、入射した放射線201を検出する有効撮影領域3141は、筐体3110の薄肉部(第1の厚み部)3111の内部に配置される。図28に示す放射線検出パネル3140の駆動を制御する制御基板は、例えば、図28に示す駆動用回路3151及び3152、素子用電源回路3153、制御部3154、記憶部3155、通信部3156、電源制御部3157を含み構成されている。この制御基板は、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112に内包されている。図28に示す放射線検出パネル3140から出力された信号を処理する処理基板は、例えば、図28に示す読み出し用回路3160及び3170、信号処理部3180を含み構成されている。この処理基板は、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112に内包されている。なお、ここで説明した制御基板や処理基板は、1つの基板である必要は無く、例えば複数の基板で構成されていてもよい。放射線撮影装置100の各構成部に電力を供給するバッテリ部3191は、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112に内包されている。バッテリ部3191は、一例として、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ、全固体電池などが好適に用いられるが、それ以外の物でもよい。放射線撮影装置100の位置(例えば、放射線検出パネル3140の設置位置)を検出する位置検出部3192は、例えば、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112に内包されている。
放射線検出パネル3140は、入射した放射線201を検出する機能を備える。放射線検出パネル3140は、複数の行及び複数の列を構成するように行列状に設けられた複数の画素を有する。ここで説明した複数の画素は、放射線画像データを取得するための複数の撮像画素3310と、放射線201の照射量を検知(モニタ)するための検知画素3320とを含む。撮像画素3310は、図28に示すように、入射した放射線201を電気信号に変換する第1変換素子3311と、列信号線3143と第1変換素子3311との間に配置された第1スイッチ素子3312とを含む。検知画素3320は、入射した放射線201を電気信号に変換する第2変換素子3321と、検知信号線3146と第2変換素子3321との間に配置された第2スイッチ素子3322とを含む。検知画素3320は、複数の撮像画素3310の一部と同一の列に配置される。なお、検知画素3320は。撮像画素3310と同一の構造を有して構成されてもよい。
放射線検出パネル3140において、第1変換素子3311及び第2変換素子3321は、例えば、放射線201を光に変換するシンチレータと、シンチレータで発生した光を電気信号に変換する光電変換素子と、を含み構成される。この際、シンチレータは、一般的には、有効撮影領域3141を覆うようにシート状に形成され、複数の画素によって共有される。なお、第1変換素子3311及び第2変換素子3321は、例えば、放射線201を光に直接変換する変換素子で構成してもよい。第1スイッチ素子3312及び第2スイッチ素子3322は、例えば、非晶質シリコンまたは多結晶シリコン(好ましくは多結晶シリコン)などの半導体で活性領域が構成された薄膜トランジスタ(TFT)を含む。
放射線検出パネル3140は、複数の駆動線3142及び複数の列信号線3143を有する。それぞれの駆動線3142は、有効撮影領域3141における複数の行のうちの1つの行に対応し、駆動用回路3151によって駆動される。それぞれの列信号線3143は、有効撮影領域3141における複数の列のうちの1つ列に対応する。第1変換素子3311の第1電極は、第1スイッチ素子3312の第1主電極に接続され、また、第1変換素子3311の第2電極は、バイアス線3144に接続される。ここで、1つのバイアス線3144は、列方向に延びていて、列方向に配置された複数の第1変換素子3311の第2電極に共通に接続される。バイアス線3144には、素子用電源回路3153からバイアス電圧Vsが供給される。1つの行を構成する複数の撮像画素3310における第1スイッチ素子3312の制御電極は、1つの駆動線3142に接続される。1つの列を構成する複数の撮像画素3310における第1スイッチ素子3312の第2主電極は、1つの列信号線3143に接続される。
複数の列信号線3143は、読み出し用回路3160に接続される。ここで、読み出し用回路3160は、複数の検知部3161と、マルチプレクサ3162と、アナログ・デジタル変換器(以下、「AD変換器」と記載する)3163とを含む。それぞれの列信号線3143は、読み出し用回路3160の複数の検知部3161のうちの対応する検知部3161に接続される。ここで、1つの列信号線3143は、1つの検知部3161に対応する。検知部3161は、例えば、差動増幅器を含む。マルチプレクサ3162は、複数の検知部3161を所定の順番で選択し、選択した検知部3161からの信号をAD変換器3163に供給する。AD変換器3163は、供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換して放射線画像データとして出力する。
読み出し用回路3160がデジタル化した放射線画像データは、制御部3154に送られ、その後、制御部3154によって記憶部3155に送られて記憶される。記憶部3155に記憶された放射線画像データは、通信部3156を経由して直ちに外部装置(例えば、コンソール3300)に送信されてもよい。また、放射線画像データは、制御部3154によって何らかの処理が施された後に、通信部3156を経由して外部装置(例えば、コンソール3300)に送信されてもよい。また、放射線画像データは、記憶部3155に蓄積されてもよい。
制御部3154は、放射線撮影装置100の各構成部の制御に関わる処理を行う。例えば、制御部3154は、放射線撮影に関して放射線検出パネル3140を駆動するための指示を駆動用回路3151に出力する。また、制御部3154は、得られた放射線画像データを記憶部3155に保存するように制御してもよいし、記憶部3155に保存された放射線画像データを読み出して、通信部3156を介して外部装置(例えば、コンソール3300)に送信する制御をしてもよい。また、制御部3154は、通信部3156を介して外部装置への放射線画像データの送信に加えて、通信部3156を介してコンソール3300などからの指示の受信を実施する。また、制御部3154は、使用者による表示部3130からの操作によって、放射線撮影装置100の起動/停止の切り替えなどを実施する。さらに、制御部3154は、表示部3130を介して放射線撮影装置100の状態(動作状況やエラー状態など)を使用者に通知することも可能である。さらに、制御部3154は、信号処理部3180からの情報等に基づいて、駆動用回路3151及び3152、読み出し用回路3160及び3170等を制御する。本実施形態においては、上述した複数の処理を1つの制御部3154で実施しているが、例えば、放射線撮影装置100が所定の機能ごとに複数の制御部3154を有し、それぞれの制御部3154が機能ごとに分担して処理を実施してもよい。また、制御部3154は、例えば、CPUやMPU、FPGA、CPLDなどの様々な構成要素で実現可能であり、具体的な構成要素に関しては特に制限はない。制御部3154の構成要素としては、放射線撮影装置100に求められる機能や性能に応じて、適当な構成要素を選択して適用すればよい。
記憶部3155は、放射線撮影装置100が取得した放射線画像データや内部処理の結果等を示すログ情報を保存するために用いられうる。また、記憶部3155は、制御部3154がCPUなどであった場合に、当該CPUなどが実行するプログラムなどを格納することができる。なお、記憶部3155の具体的な構成要素に関しては特に制約はなく、記憶部3155は、各種のメモリ、HDD、揮発性/不揮発性についての様々な組み合わせで搭載が可能である。また、図28では、1つの記憶部3155を図示しているが、複数の記憶部3155が放射線撮影装置100に構成されていてもよい。
通信部3156は、放射線撮影装置100と、放射線撮影システム10-8における放射線撮影装置100を除く他の装置と、の通信を実現するための処理を行う。本実施形態における通信部3156は、無線通信もしくは有線通信を行うことができ、コンソール3300やアクセスポイント(AP)3500などと通信することができる。通信部3156は、ここで説明した構成に限定されるものではなく、有線通信だけ或いは無線通信だけの機能を備える構成であってもよい。また、通信部3156による通信の規格や方式についても、特に制限はない。
電源制御部3157は、バッテリ部3191や素子用電源回路3153の制御を行う。
また、放射線検出パネル3140において、第2変換素子3321の第1電極は、第2スイッチ素子3322の第1主電極に接続され、第2変換素子3321の第2電極は、バイアス線3144に接続される。第2スイッチ素子3322の制御電極は、駆動線3145に電気的に接続され、また、第2スイッチ素子3322の第2主電極は、検知信号線3146に接続される。1つの駆動線3145には、1つ又は複数の検知画素3320が接続され、駆動用回路3152によって駆動される。1つの検知信号線3146には、1つ又は複数の検知画素3320が接続される。複数の検知信号線3146は、読み出し用回路3170に接続される。ここで、読み出し用回路3170は、複数の検知部3171と、マルチプレクサ3172と、アナログ・デジタル変換器(以下、「AD変換器」と記載する)3173とを含む。それぞれの検知信号線3146は、読み出し用回路3170の複数の検知部3171のうちの対応する検知部3171に接続される。ここで、1つの検知信号線3146は、1つの検知部3171に対応する。検知部3171は、例えば、差動増幅器を含む。マルチプレクサ3172は、複数の検知部3171を所定の順番で選択し、選択した検知部3171からの信号をAD変換器3173に供給する。AD変換器3173は、供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
読み出し用回路3170(具体的には、AD変換器3173)からの出力信号は、信号処理部3180に供給され、信号処理部3180で処理される。信号処理部3180は、読み出し用回路3170(AD変換器3173)からの出力信号に基づいて、放射線撮影装置100に対する放射線201の照射に関する情報を出力する。具体的に、信号処理部3180は、放射線201の照射に関する情報として、例えば、放射線撮影装置100に対する放射線201の照射を検知した旨の情報や、AECにおいて照射された放射線201の線量(累積線量)の情報を出力する。そして、制御部3154は、信号処理部3180から出力された情報に基づいて、適切な放射線201の線量(累積線量)に至った場合に、放射線発生装置200に放射線201の照射停止を通知するといった被写体Hへの放射線201の照射量を制御する。なお、放射線撮影装置100において、照射された放射線201の線量(累積線量)を適切に検出する場合に、被写体Hが位置している場所の検知画素3320を使用する必要がある。その場合に、制御部3154は、例えば、表示部3130からのAECに用いるROIの選択情報に基づいて、駆動させる検知画素3320の選択を行う。
図29は、第8の実施形態に係る放射線撮影装置100において、表示部3130を使用したAECに用いるROIの選択例を説明するための図である。この図29において、図26~図28に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図29(a)は、放射線撮影装置100を、放射線201が入射する側から見た外観図である。図29(a)に示す放射線撮影装置100において、筐体3110の薄肉部3111に配置される有効撮影領域3141には、自動露出制御(AEC)に必要な関心領域(ROI)3410が設定されている。さらに、ROI3410には、9つの関心領域であるROI3411~3419が含まれている。なお、図29(a)に示す例では、ROI3410に9つのROI3411~3419が設定されているが、本実施形態においてはこれに限定されるものではなく、例えば12個のROIが設定されていてもよい。
表示部3130は、有効撮影領域3141の向きに応じたROI3410と同じ形状の四角形が表示されている。そして、表示部3130には、ROI3410に含まれる9つのROI3411~3419のそれぞれに対応する表示領域3131~3139が表示されている。使用者は、被写体Hの放射線撮影に際して、表示部3130を用いて、選択したいROI3411~3419に対応した表示領域3131~3139を直接タッチして選択することによって、AECで用いる関心領域を設定することが可能である。
例えば、被写体Hの胸部(肺野)を放射線撮影する場合について説明する。
使用者は、AECで用いる関心領域として、例えば、ROI3411、ROI3412、ROI3413、ROI3415を設定したい場合には、対応する表示部3130の表示領域3131、表示領域3132、表示領域3133、表示領域3135を選択する。使用者が表示部3130の表示領域を選択すると、例えば図29(b)の表示部3130に示すように、選択された表示領域の色が変わって選択箇所が明示される。
図29(b)は、放射線201の入射方向を向いている被写体Hに対して、筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112が左側にある例を図示している。図29(b)に示す状態に対して放射線撮影装置100が180°回転して、被写体Hに対して筐体3110の厚肉部(第2の厚み部)3112が右側にある場合には、ROI3415、3417~3419に対応する表示部3130の表示領域を選択すればよい。
第8の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体3110において、有効撮影領域3141が配置される薄肉部3111よりも放射線201の入射方向に厚みが厚い厚肉部3112に、ユーザーインターフェースとして機能する表示部3130を設けている。
かかる構成によれば、放射線撮影装置100と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。比較例として、有効撮影領域3141が配置される筐体3110の薄肉部3111に表示部3130を設けた場合、被写体Hの放射線撮影の際に筐体3110の薄肉部3111が被写体Hの背面に潜り込んでしまうため、使用者は表示部3130を視認し難くなる。また、この比較例の場合、表示部3130が操作機能を有している場合には、被写体Hの腕や足などと接触して誤動作を引き起こすことも想定される。これに対して、本実施形態では、表示部3130を筐体3110の厚肉部3112に配置しているため、被写体Hの放射線撮影の際においても、表示部3130を被写体Hの外側に露出させることができ、使用者が表示部3130を視認及び操作しやすくなる。さらに、表示部3130を筐体3110の厚肉部3112に配置しているため、被写体Hの放射線撮影の際に使用者から近い位置に表示部3130を配置することができ、使用者の視認性及び操作性の観点から好適である。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第9の実施形態の説明では、上述した第8の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第8の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第9の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成は、図26に示す第8の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。また、第9の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観は、図27に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観と同様である。また、第9の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成は、図28に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成と同様である。
図30は、第9の実施形態に係る放射線撮影システム10の放射線撮影方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図31は、第9の実施形態に係る放射線撮影装置100において、表示部3130の表示例を示す図である。この図31において、図26~図29に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。以下、必要に応じて図31を参照しながら、図30に示すフローチャートの説明を記載する。
まず、図30のステップS101において、技師などの使用者は、放射線撮影装置100を起動する。放射線撮影装置100が起動すると、表示部3130は、放射線撮影装置100の状態を示す情報として、例えば図31(c)に示すようなバッテリ部3191の残量情報や時刻情報などを表示する。
続いて、図30のステップS102において、被写体Hである患者が病院等にチェックインした後、図30のステップS103において、放射線撮影システム10のネットワーク接続を行う。
続いて、図30のステップS104において、被写体Hである患者が病室等に移動した後、図30のステップS105において、使用者は、被写体Hにおける撮影情報の選択を行う。この際、使用者は、例えばコンソール3300を操作して撮影プロトコルを選択し、表示部3130には、例えば、選択された撮影プロトコルが図31(d)に示すように表示される。
続いて、図30のステップS106において、使用者は、被写体Hである患者に対して放射線撮影装置100をセッティングする。
続いて、図30のステップS107において、使用者は、放射線発生装置200の準備として、放射線201を照射する撮影条件(放射線発生装置200の放射線管球210の管電圧や管電流、照射時間など)を設定する。
図30のステップS106及びステップS107において、放射線発生装置200と放射線撮影装置100とが同期している場合、表示部3130には、放射線発生装置200の条件を表示させるようにしてもよい。また、被写体Hの下などに放射線撮影装置100をセッティングした際に、被写体Hが放射線撮影装置100に接触していることを、薄肉部3111の外周に実装したタッチセンサ(不図示)等で認識して検知する。さらに、放射線撮影装置100と被写体Hとの接触が認識されると、表示部3130は、自動的に撮影プロトコルや放射線撮影装置100の動作状態を表示するように切り替えてもよい。また、表示部3130の表示内容が被写体Hなどによって意図せずに切り替わることを防ぐために、放射線撮影装置100と被写体Hとの接触が認識された場合には、表示部3130からの入力をロックしてもよい。
また、図30のステップS106及びステップS107において、放射線発生装置200と放射線撮影装置100とが同期していない場合、被写体Hの有無によって放射線201を検出する信号の閾値を変化させて、誤検出をし難いように動作させてもよい。例えば、放射線撮影装置100と被写体Hとの接触が認識されない場合には、周囲の装置からのノイズや振動などによる誤検出を防止するために、放射線201を検出する信号の閾値を上げ、表示部3130に当該閾値を上げたことを表示する。その後、放射線撮影装置100と被写体Hとの接触が認識されれば、元の閾値に戻し、表示部3130に放射線201の検出が可能な状態であることを表示するように制御してもよい。
図31(a)及び図31(b)では、被写体Hの胸部(肺野)を放射線撮影する場合を図示している。この場合、図31(a)及び図31(b)に示すように、放射線撮影装置100の上下の方向がわかるように、表示部3130に三角形(図31(a)及び図31(b)に示す例では、放射線撮影装置100の上を示す三角形)などを表示してもよい。この際、本実施形態においては、例えばジャイロセンサや角度センサ等から構成される位置検出部3192で検出した放射線撮影装置100の位置情報に基づいて、表示部3130に放射線撮影装置100の上下の方向を示す三角形などを表示する。
続いて、図30のステップS108において、放射線撮影装置100は、被写体Hの放射線撮影を行う。放射線撮影装置100は、放射線撮影が可能な状態になるまで数秒間の待ち時間が発生するため、表示部3130には、例えば図31(e)に示すような準備状態であることを示す情報が表示される。また、コンソール3300に替えて、放射線撮影が可能な状態に遷移させるために、表示部3130を操作することもできる。例えば、放射線発生装置200と放射線撮影装置100とが同期していない場合に、放射線201が検出された際には、表示部3130に放射線201の検出を表示する。
また、表示部3130は、図30の各ステップにおいて、放射線撮影装置100の状態が異常である場合には、図31(f)に示すように放射線撮影装置100の状態が異常であることを示す情報を表示する。使用者は、表示部3130に表示されたエラーコードに応じて、コンソール3300を操作することやサービスパーソンへの連絡を行うことが可能となる。
続いて、図30のステップS109において、使用者は、ステップS108による被写体Hの放射線撮影の結果得られた放射線画像の確認を行う。例えば、使用者は、コンソール3300によって表示された放射線画像の確認を行う。
続いて、図30のステップS110において、使用者は、ステップS109による放射線画像の確認の結果、問題等が無ければ、被写体Hの放射線撮影に用いた放射線撮影装置100の取り出しを行う。続いて、図30のステップS111において、使用者は、ステップS110で取り出した放射線撮影装置100をクレードル3700に収納する。
続いて、図30のステップS112において、被写体Hである患者は、放射線撮影のために横たわっていたベッド30から離れる。続いて、図30のステップS113において、放射線撮影装置100及びコンソール3300は、ステップS108による被写体Hの放射線撮影の結果得られた放射線画像を、院内ネットワークに送信(転送)する。続いて、図30のステップS114において、被写体Hである患者及び技師などの使用者は、病室等から移動する。そして、ステップS114が終了すると、図30に示すフローチャートの処理が終了する。
第9の実施形態においても、第8の実施形態と同様に、放射線撮影装置100と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第10の実施形態の説明では、上述した第8及び第9の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第8及び第9の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第10の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成は、図26に示す第8の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。また、第10の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成は、図28に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成と同様である。
図32は、第10の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観の一例を示す図である。この図32において、図26及び図27に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、図32(a)及び図32(b)に示す第10の実施形態に係る放射線撮影装置100を「放射線撮影装置100-10」と記載する。この図32(a)及び図32(b)では、放射線発生装置200(放射線管球210)が、放射線撮影装置100-10との間に被写体Hが存在する位置に配置されている。そして、この図32(a)及び図32(b)では、放射線発生装置200(放射線管球210)から、被写体H及び放射線撮影装置100-10に向けて放射線201が照射される様子を図示している。
図32(a)に示す放射線撮影装置100-10では、表示部3130は、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aとは異なる第2面3112bに配置されている。この図32(a)において、第2面3112bは、筐体3110の厚肉部3112における長辺側の側面に相当する。
図32(b)に示す放射線撮影装置100-10では、表示部3130は、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aとは異なる第2面3112cに配置されている。この図32(b)において、第2面3112cは、筐体3110の厚肉部3112における短辺側の側面に相当する。
被写体Hや病室のベッド30等の配置によっては、表示部3130が、放射線201が入射する側の第1面3112aに配置されていると、使用者が視認・操作し難い場合がある。この場合、図32(a)や図32(b)に示すように、筐体3110の厚肉部3112における側面に表示部3130を配置することによって、より視認及び操作がしやすい表示部3130を提供することができる。
第10の実施形態においても、第8の実施形態と同様に、放射線撮影装置100と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第11の実施形態の説明では、上述した第8~第10の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第8~第10の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第11の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成は、図26に示す第8の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。また、第11の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成は、図28に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成と同様である。
図33は、第11の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観の一例を示す図である。この図33において、図26、図27及び図32に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、図33に示す第11の実施形態に係る放射線撮影装置100を「放射線撮影装置100-11」と記載する。この図33では、放射線発生装置200(放射線管球210)が、放射線撮影装置100-11との間に被写体Hが存在する位置に配置されている。そして、この図33では、放射線発生装置200(放射線管球210)から、被写体H及び放射線撮影装置100-11に向けて放射線201が照射される様子を図示している。
図33に示す放射線撮影装置100-11では、表示部3130は、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aと、第1面3112aとは異なる第2面3112bと、にわたってまたがるように配置されている。この図33において、第2面3112bは、筐体3110の厚肉部3112における長辺側の側面に相当する。
図33に示す表示部3130は、フレキシブルタイプのディスプレイで構成してもよいし、厚肉部3112の第1面3112aと第2面3112bとを面取りするように平たく加工してそこに平面のディスプレイを配置してもよい。この図33に示す表示部3130の配置は、厚肉部3112の第1面3112aのみや第2面3112bのみからでは表示部3130を視認及び操作し難い場合に効果を発揮する。
第11の実施形態においても、第8の実施形態と同様に、放射線撮影装置100と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第12の実施形態の説明では、上述した第8~第11の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第8~第11の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第12の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成は、図26に示す第8の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。また、第12の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成は、図28に示す第8の実施形態に係る放射線撮影装置100の機能構成と同様である。
図34は、第12の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観の一例を示す図である。この図34において、図26、図27、図32及び図33に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、図34に示す第12の実施形態に係る放射線撮影装置100を「放射線撮影装置100-12」と記載する。この図34では、放射線発生装置200(放射線管球210)が、放射線撮影装置100-12との間に被写体Hが存在する位置に配置されている。そして、この図34では、放射線発生装置200(放射線管球210)から、被写体H及び放射線撮影装置100-12に向けて放射線201が照射される様子を図示している。
図34に示す放射線撮影装置100-12では、表示部3130として、筐体3110の厚肉部3112において複数の位置に複数の表示部3130-1及び3130-2が配置されている。具体的に、図34に示す放射線撮影装置100-12では、筐体3110の厚肉部3112において放射線201が入射する側の第1面3112aに第1の表示部3130-1が配置され、第1面3112aとは異なる第2面3112bに第2の表示部3130-2が配置されている。この図34において、第2面3112bは、筐体3110の厚肉部3112における長辺側の側面に相当する。
図34に示す放射線撮影装置100-12では、例えば、第1の表示部3130-1がメインの表示部として機能し、第2の表示部3130-2がサブの表示部として機能する。この際、第1の表示部3130-1は、例えば第8の実施形態のようにAECに用いるROIの設定に使用し、第2の表示部3130-2は、例えば図31(c)に示すようなバッテリ部3191の残量情報や時刻情報などを表示するように、機能を分けてもよい。
この図34に示すように、筐体3110の厚肉部3112に複数の表示部3130-1及び3130-2を配置することで、一方の表示部3130が被写体Hやベッド30の配置等で視認性及び操作性が損なわれても、他方の表示部3130で視認性及び操作性を確保できる。
なお、図34に示す例では、筐体3110の厚肉部3112における異なる面に表示部3130-1及び3130-2を配置しているが、例えば、筐体3110の厚肉部3112における同一の面に表示部3130-1及び3130-2を配置する形態も、本実施形態に含まれる。
第12の実施形態においても、第8の実施形態と同様に、放射線撮影装置100と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。
なお、上述した本開示の第8~第12の実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本開示は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本開示の第8~第12の実施形態は、以下の構成を含む。
[構成36]
入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルを内包する筐体と、
ユーザーインターフェースとして機能する表示部と、
を備え、
前記筐体は、
前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記表示部が配置される第2の厚み部と、
を有することを特徴とする放射線撮影装置。
[構成37]
当該放射線撮影装置は、自動露出制御の機能を有しており、
前記表示部は、前記有効撮影領域に含まれる領域であって前記自動露出制御に用いる領域を設定できる
ことを特徴とする構成36に記載の放射線撮影装置。
[構成38]
前記表示部は、当該放射線撮影装置の状態を表示する
ことを特徴とする構成36に記載の放射線撮影装置。
[構成39]
前記表示部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側の第1面に配置されている
ことを特徴とする構成36乃至38のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成40]
前記表示部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側の第1面とは異なる第2面に配置されている
ことを特徴とする構成36乃至38のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成41]
前記表示部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側の第1面と当該第1面とは異なる第2面とにわたって配置されている
ことを特徴とする構成36乃至38のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成42]
前記表示部は、前記第2の厚み部において複数の位置に配置されている
ことを特徴とする構成36乃至41のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成43]
前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板を更に備え、
前記第2の厚み部は、前記制御基板を内包する
ことを特徴とする構成36乃至42のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成44]
前記放射線検出パネルから出力された信号を処理する処理基板を更に備え、
前記第2の厚み部は、前記処理基板を内包する
ことを特徴とする構成36乃至43のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成45]
当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリ部を更に備え、
前記第2の厚み部は、前記バッテリ部を内包する
ことを特徴とする構成36乃至44のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成46]
前記筐体は、前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを接合する接合部を更に有し、
前記筐体は、前記接合部によって、前記第1の厚み部、前記第2の厚み部および前記接合部が一体となっている
ことを特徴とする構成36乃至45のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成47]
前記筐体を把持するための把持部を更に備え、
前記把持部は、前記第2の厚み部に凹形状で設けられている
ことを特徴とする構成36乃至46のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成48]
前記第2の厚み部は、前記第1の厚み部よりも前記放射線が入射する側に厚みが厚い
ことを特徴とする構成36乃至47のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成49]
構成36乃至48のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線を発生させる放射線発生装置と、
を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
以上説明した構成36~49に記載の特徴によれば、放射線撮影装置と使用者との間で情報のやり取りをしやすくすることができる。
(第13の実施形態)
次に、第13の実施形態について説明する。
図35は、第13の実施形態に係る放射線撮影システム10-13の概略構成の一例を示す図である。放射線撮影システム10-13は、放射線撮影装置100、及び、放射線発生装置200を有する。
放射線発生装置200は、被写体H及び放射線撮影装置100に向けて放射線201を照射する装置である。
放射線撮影装置100は、入射した放射線201(被写体Hを透過した放射線201も含む)を検出して、被写体Hの放射線画像を取得する装置である。図35では、放射線撮影装置100において、放射線が入射する側である放射線入射面4101と、放射線入射面4101とは反対側に位置する背面4102を図示している。
また、図35では、放射線撮影装置100の外観として、放射線撮影装置100の筐体4110が図示されている。この筐体4110には、筐体4110の内部に内包されている放射線検出パネル(後述する図36の放射線検出パネル4130)において、被写体Hを透過した放射線201を検出する有効撮影領域4134の範囲を示す指標4114が表示されている。図35に示す例では、有効撮影領域4134の範囲を示す指標4114から分かるように、放射線201が入射する側から見た場合に、有効撮影領域4134の形状は多角形(具体的には、四角形)を有するものとなっている。
筐体4110は、図35に示すように、有効撮影領域4134を含む部分であって第1の厚みを有する第1の厚み部4111を有する。また、筐体4110は、図35に示すように、有効撮影領域4134を含まない部分であって第1の厚み部4111の厚み(第1の厚み)とは異なる第2の厚みを有する第2の厚み部4112を有する。具体的に、第2の厚み部4112の厚み(第2の厚み)は、第1の厚み部4111の厚み(第1の厚み)よりも厚くなっている。この場合、第1の厚み部4111を「薄肉部」と称してもよく、また、第2の厚み部4112を「厚肉部」と称してもよい。より詳細に、図35に示す例では、第2の厚み部(厚肉部)4112は、第1の厚み部(薄肉部)4111よりも放射線201が入射する側に厚みが厚くなっている。さらに、筐体4110は、図35に示すように、第1の厚み部4111と第2の厚み部4112とを接合する接合部4113を有する。
また、放射線撮影装置100は、筐体4110において放射線201が入射する側に、センサ部4120を備えている。センサ部4120は、被写体Hを検出するための1種類以上のセンサを含む。具体的に、センサ部4120は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の少なくとも一辺の外側に配置されうる。より詳細に、図35に示す例では、センサ部4120は、有効撮影領域4134における第2の厚み部4112の側に面した一辺の外側であって、接合部4113に設けられている。
図36は、図35に示す放射線撮影装置100のF-F断面における内部構成の一例を示す図である。具体的に、図36(a)は、図35に示す放射線撮影装置100のF-F断面における内部構成の一例を示す図である。また、図36(b)は、図36(a)に示す領域Gの拡大図である。この図36において、図35に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
放射線撮影装置100は、図36(a)に示すように、図35の筐体4110及びセンサ部4120に加えて、放射線検出パネル4130、緩衝材4140、支持基台4150、フレキシブル回路基板4160、制御基板4170、バッテリ4180、及び、通知部4190を備える。
センサ部4120は、図36(a)に示す例では、筐体4110における第1の厚み部4111と第2の厚み部4112とを垂線で結ぶ接合部4113に設けられている。また、センサ部4120は、被写体Hを検出するための1種類以上のセンサ4121を含む。
放射線検出パネル4130は、筐体4110の第1の厚み部4111の内部に収容されており、被写体Hを透過した放射線201を検出する有効撮影領域4134を有する。この放射線検出パネル4130は、図36(b)に示すように、蛍光体層(シンチレータ層)4131、センサ基板4132、及び、蛍光体保護膜4133を有する。蛍光体層(シンチレータ層)4131は、入射した放射線201を光(可視光等)に変換する。センサ基板4132は、蛍光体層(シンチレータ層)4131で生じた光を放射線画像に係る電気信号に変換する複数の光電変換素子を備えている。ここで、センサ基板4132の材料としては、例えばガラスや可撓性の高い樹脂等が考えられるが、本実施形態においてはこれに限定されるものではない。蛍光体保護膜4133は、緩衝材4140と蛍光体層(シンチレータ層)4131との間に配置され、透湿性の低い材質から成り、蛍光体層(シンチレータ層)4131を保護する機能を有する。なお、図36(b)では、蛍光体層(シンチレータ層)4131及び光電変換素子による、いわゆる間接変換方式の変換素子の例を示している。しなしながら、例えば、蛍光体層(シンチレータ層)4131を設けずに、入射した放射線201を放射線画像に係る電気信号に直接変換する直接変換方式の変換素子を適用してもよい。この直接変換方式の変換素子を適用する場合、例えばa-Se等からなる変換素子及びTFT等の電気素子が2次元に配置されている変換素子部を構成してもよく、また、これに限定されるものでもない。放射線検出パネル4130は、センサ基板4132に形成された複数の光電変換素子のうちの一部または全部の光電変換素子の領域を有効撮影領域4134とする。この有効撮影領域4134は、放射線検出パネル4130において、放射線撮影が可能で実際に放射線画像が生成される領域である。なお、有効撮影領域4134は、図35に示すように、放射線201が入射する方向から見たときに略矩形の形状となっているが、本実施形態においては図35に示す態様に限定されるものではない。
緩衝材4140は、筐体4110の第1の厚み部4111の内部に収容されており、筐体4110(放射線入射面4101)と放射線検出パネル4130との間に設けられ、放射線検出パネル4130を外力などから保護する機能を有する。この緩衝材4140は、発泡樹脂やゲルなどの材料で形成することが好適であるが、それ以外の材料で形成してもよい。
支持基台4150は、筐体4110の第1の厚み部4111の内部に収容されており、放射線検出パネル4130を放射線撮影装置100の背面4102の側から支持する基台である。この支持基台4150は、軽量性に優れた材料である、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、樹脂等で形成することが好適であるが、それ以外の材料で形成してもよい。
フレキシブル回路基板4160は、放射線検出パネル4130及び制御基板4170と接続されている。フレキシブル回路基板4160は、例えば、放射線検出パネル4130から放射線画像に係る電気信号(放射線画像信号)を読み出して、制御基板4170に出力する等の機能を有する。
制御基板4170は、筐体4110の第2の厚み部4112の内部に収容されており、放射線撮影装置100の動作を統括的に制御するとともに、各種の処理を行う。例えば、制御基板4170は、フレキシブル回路基板4160から出力された放射線画像信号を処理する。また、例えば、制御基板4170は、センサ部4120からの被写体Hの検出結果情報に基づいて。被写体Hを検出する(更に、被写体Hではない物体を検出するようにしてもよい)処理を行う。また、制御基板4170の内部には、記憶部4171が構成されている。記憶部4171は、制御基板4170が各種の制御や各種の処理を実行する際に必要な各種の情報(信号やデータ等も含む)や、制御基板4170が各種の制御や各種の処理を実行する際に必要なプログラムを記憶している。また、記憶部4171は、制御基板4170が各種の制御や各種の処理を実行することにより得られた各種の情報(信号やデータ等も含む)を記憶する。なお、図36(a)に示す例では、制御基板4170の全部が、筐体4110の第2の厚み部4112の内部に収容されているが、制御基板4170の一部が、筐体4110の第2の厚み部4112の内部に収容されている形態でもよい。
バッテリ4180は、筐体4110の第2の厚み部4112の内部に収容されており、制御基板4170を介して放射線撮影装置100の各構成部に必要な電力を供給する。バッテリ4180は、一例として、リチウムイオン電池、電気2重層キャパシタ、全固体電池等が用いられるが、それ以外のものでもよい。
通知部4190は、例えば、図35に示す放射線撮影装置100のF-F断面ではないものの、その奥側または手前側に配置されている。通知部4190は、例えば筐体4110の第2の厚み部4112の内部に収容されており、制御基板4170による被写体Hの検出状況を通知する。例えば、通知部4190は、被写体Hに所定を超える変動が発生した状況の場合に、その状況を通知しうる。また、通知部4190は、PC等の外部装置と通信するための通信部4191を備えている。通信部4191は、有線ケーブルを用いた有線通信部もしくは無線LAN等による無線通信部、または、有線通信部及び無線通信部を備えている。例えば、通信部4191は、放射線撮影装置100で取得した放射線画像の画像データ等を外部装置に送信し、その後、モニタ等に放射線画像が表示されて診断等に使用される。また、本実施形態においては、通知部4190は、例えば、スピーカによる音、LED等による表示、または、通信部4191を介した外部装置との通信によって、放射線撮影装置100の使用者に、上述した被写体Hの検出状況を通知する。
また、筐体4110は、可搬性と強度を両立するために、例えば、マグネシウム合金、アルミニウム合金、繊維強化樹脂、他の樹脂等の材料で形成することが好適であるが、それ以外の材料で形成してもよい。特に、有効撮影領域4134を含む第1の厚み部4111における放射線入射面4101は、放射線201の透過率の高さと軽量性に優れた炭素繊維強化樹脂等の材料で形成することが好適であるが、それ以外の材料で形成してもよい。
ここで、患者などの被写体Hを放射線撮影する際に、放射線撮影装置100を患者などの被写体Hの撮影部位のすぐ背面に配置することが考えられる。そのとき、放射線撮影装置100の筐体4110の厚みによって生じる段差によって、患者などの被写体Hと放射線撮影装置100の筐体4110の端部とが接触して反力が生じてしまい、患者などの被写体Hが不快に感じる可能性が考えられる。一般的に、放射線撮影装置は、ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさのものが多く、厚みが約15mm~16mmで構成されることが多い。これに対して、本実施形態における放射線撮影装置100では、筐体4110における第1の厚み部(薄肉部)4111の厚みを8.0mm程度とすることを想定している。そのため、本実施形態における放射線撮影装置100では、筐体4110(第1の厚み部(薄肉部)4111)の厚みによって生じる段差が小さくなるため、患者などの被写体Hと放射線撮影装置100の筐体4110の端部とで生じる反力を和らげることができる。なお、この効果を得るために、第1の厚み部(薄肉部)4111の厚みを8.0mm程度に限定する必要は無く、より薄くてもよい。ここで、出願人は、筐体4110(第1の厚み部(薄肉部)4111)の厚みが10.0mmよりも薄いと、上述した効果がみられることを確認している。
また、患者などの被写体Hを放射線撮影する際に、技師等の使用者が、放射線撮影装置100を被写体Hの撮影部位に向けて挿入し、位置調整を行う作業が発生する。この作業時には、患者などの被写体Hと放射線撮影装置100とは、直接またはタオルやシーツ等の布等を介して、接する可能性がある。この布は、患者などの被写体Hの負担軽減や、衛生面等の観点で設置されることが多い。そこで、本実施形態においては、図35及び図36に示すように、筐体4110の接合部4113に、被写体Hを検出するためのセンサ部4120を設けている。
図37は、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図38は、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図38は、図36(a)と同様に、図35に示すF-F断面における内部構成の一例を示す図である。この図38において、図35及び図36に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、図38では、図36に示すセンサ4121として、人感センサとして用いられる赤外線センサ4121-1を適用した例を示している。以下、図38に示す構成を用いながら、図37に示すフローチャートの説明を行う。
まず、ステップS201において、制御基板4170は、放射線撮影装置100の電源がオンになると、バッテリ4180からの電力を放射線撮影装置100の各構成部に供給して、放射線撮影装置100を起動させる。
続いて、ステップS202において、制御基板4170は、センサ部4120を用いた被写体Hの検出を開始する。被写体Hの検出動作が開始されると、センサ部4120は、赤外線センサ4121-1において被写体Hの熱による赤外線情報4401を電気信号に変換し、これを被写体Hの検出結果情報として制御基板4170に送信する。
続いて、ステップS203において、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて、被写体Hが検出できたか否かを判断する。本実施形態では、例えば、被写体Hの熱による検出結果情報(電気信号)の信号変化が検出された場合、有効撮影領域4134上で被写体Hが検出できたと判断しうる。なお、ノイズによる誤検出防止等のために、例えば、被写体Hが検出できた判断する信号変化量の閾値を設けて、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておいてもよい。
ステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できていない場合には(S203/No)、被写体Hが検出できるまでステップS203で待機する。
一方、ステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できた場合には(S203/Yes)、ステップS204に進む。
ステップS204において、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。
ここで、本実施形態における放射線撮影装置100は、被写体Hの放射線撮影における複数の撮影モードを有している。そして、本実施形態における放射線撮影装置100は、複数の撮影モードにおける使用順位を示す情報を予め記憶部4171に記憶しており、その使用可否によって遷移させる撮影モードを決定してもよい。ここで、本実施形態では、複数の撮影モードとして、撮影モード1と撮影モード2を含むものとする。ここで、撮影モード1は、複数の撮影モードのうち、使用順位を示す情報が最上位の撮影モードであるものとする。即ち、撮影モード1は、撮影モード2よりも、使用順位を示す情報が高い撮影モードである。例えば、撮影モード1は、放射線撮影装置100が放射線発生装置200と通信を行い、放射線発生装置200と同期して放射線撮影を行う同期モードである。また、例えば、撮影モード2は、放射線撮影装置100が放射線発生装置200と同期を行わずに、放射線撮影装置100が放射線201の曝射を検出して自動で放射線撮影を行う自動モードである。なお、ここでは、撮影モード1及び撮影モード2の2つの撮影モードについて説明したが、使用可能な任意の撮影モードの数を設定してもよい。
ステップS204の処理が終了すると、ステップS205に進む。
ステップS205に進むと、制御基板4170は、記憶部4171に記憶されている使用順位を示す情報に基づいて、放射線発生装置200と通信による同期がとれる状態か否かに応じて撮影モード1が使用可能であるか否かを判断する。
ステップS205の判断の結果、撮影モード1が使用可能である場合には(S205/Yes)、ステップS206に進む。
ステップS206に進むと、制御基板4170は、被写体Hの放射線撮影における撮影モードを撮影モード1に設定して、放射線撮影装置100を撮影モード1に遷移させる。
続いて、ステップS207において、制御基板4170は、撮影モード1による被写体Hの放射線撮影を実施する。
また、ステップS205の判断の結果、撮影モード1が使用可能でない場合には(S205/No)、ステップS208に進む。
ステップS208に進むと、制御基板4170は、記憶部4171に記憶されている使用順位を示す情報に基づいて、放射線撮影装置100において撮影モード2が使用可能であるか否かを判断する。
ステップS208の判断の結果、撮影モード2が使用可能である場合には(S208/Yes)、ステップS209に進む。
ステップS209に進むと、制御基板4170は、被写体Hの放射線撮影における撮影モードを撮影モード2に設定して、放射線撮影装置100を撮影モード2に遷移させる。
続いて、ステップS210において、制御基板4170は、撮影モード2による被写体Hの放射線撮影を実施する。
ステップS208の判断の結果、撮影モード2が使用可能でない場合には(S208/No)、ステップS211に進む。
ステップS211に進むと、制御基板4170は、通知部4190から使用者に撮影不可である旨を通知させる。この際、通知部4190は、例えば、スピーカによる音、LED等による表示、または、通信部4191を介した外部装置との通信によって、放射線撮影装置100の使用者に、撮影不可である旨を通知する。
ステップS207の処理が終了した場合、ステップS210の処理が終了した場合、或いは、ステップS211の処理が終了した場合には、図37のフローチャートの処理を終了する。
図39は、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成の変形例1を示す図である。この図39において、図35、図36及び図38に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
具体的に、図39に示す放射線撮影装置100は、有効撮影領域4134における第2の厚み部4112の側に面した一辺の外側であって接合部4113に、複数個(n個)のセンサ部4120-11~4120-1nが設けられている点が、図35とは異なっている。この図39に示す放射線撮影装置100では、複数個(n個)のセンサ部4120-11~4120-1nのうち、使用するセンサ部4120を選択するようにしてもよい。また、複数のセンサ部4120からの検出結果情報を組み合わせて、被写体Hが検出できたか否かを判断するようにしてもよい。
図40は、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成の変形例2を示す図である。この図40において、図35、図36、図38及び図39に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
具体的に、図40に示す放射線撮影装置100は、センサ部4120が配置される接合部4113の形状が、図35等とは異なっている。より詳細に、図40に示す接合部4113は、筐体4110における第1の厚み部4111と第2の厚み部4112とを斜線で結ぶ傾斜面となっている。
また、使用可能な撮影モードに遷移してから実際に放射線撮影が行われるまでの間に、被写体Hが動く場合がある。この被写体Hが動く場合について、図41を用いて説明する。
図41は、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図41において、図38に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図41(a)に示す状態から図41(b)に示す状態に被写体Hが動いた場合、被写体Hは、センサ部4120から離れる方向に移動したことになる。この場合、センサ部4120に到達する、被写体Hの熱による赤外線情報4401は減少し、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)も信号の減少が生じる。逆に、図41(b)に示す状態から図41(a)に示す状態に被写体Hが動いた場合、被写体Hは、センサ部4120に近づく方向に移動し、その結果、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)も信号の増加が生じる。このように、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)に一定の変化が生じた場合、通知部4190から、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hの変動が発生した旨を通知するようにしてもよい。この場合、通知を行う検出結果情報(電気信号)の変化(増加または減少)やその変化量を予め定めておき、制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。使用者は、通知部4190から通知された情報をもとにして被写体Hの位置等を調整し、適切な位置に被写体Hを移動させることが可能となる。
以上説明した第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、被写体Hを透過した放射線201を検出する有効撮影領域4134を有する放射線検出パネル4130を備える。また、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、放射線検出パネル4130を内包し、放射線201が入射する側から見た場合に有効撮影領域4134の形状が多角形を有する筐体4110を備える。さらに、第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の少なくとも一辺の外側に配置され、被写体Hを検出するための1種類以上のセンサ4121を含むセンサ部4120を備える。
かかる放射線撮影装置100の構成によれば、例えば有効撮影領域4134上に被写体Hが存在するか否かを検出することができるため、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第14の実施形態)
次に、第14の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第14の実施形態の説明では、上述した第13の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第14の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成は、図35に示す第13の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。
図42は、第14の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図42において、図35、図36、図38~図41に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、赤外線センサ4121-1を適用する形態であった。これに対して、第14の実施形態に係る放射線撮影装置100は、図42に示すように、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、超音波センサ4121-2を適用する形態である。超音波センサ4121-2は、被写体Hへの超音波の送信と被写体Hで反射した超音波の受信とを同じセンサで行ってもよいし、送信用の超音波センサと受信用の超音波センサとを個別に配置してもよい。
第14の実施形態では、図37のフローチャートにおいて、ステップS202で被写体Hの検出動作が開始されると、センサ部4120に含まれる超音波センサ4121-2は、有効撮影領域4134に向けて超音波を送信し、その超音波の反射波を受信する形態を採る。
具体的に、図42(a)に示すように、センサ部4120に含まれる超音波センサ4121-2は、有効撮影領域4134上の被写体Hに向けて超音波送信波4501を送信する。そして、図42(b)に示すように、センサ部4120に含まれる超音波センサ4121-2は、被写体Hで反射した超音波反射波4502を受信する。なお、超音波送信波4501の強度や超音波の送受信の間隔は、任意の値を設定し、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。その後、センサ部4120は、受信した超音波反射波4502を電気信号に変換し、これを被写体Hの検出結果情報として制御基板4170に送信する。
続いて、図37のステップS203において、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて、有効撮影領域4134上に被写体Hが配置されたことによる超音波反射波4502の信号変化を検出した場合、被写体Hが検出できたと判断しうる。なお、ノイズによる誤検出防止等のために、被写体Hが検出できた判断する信号変化量の閾値を設けて、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておいてもよい。
そして、図37のステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できた場合には(S203/Yes)、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37のステップS205以降の処理が行われる。
なお、本実施形態においても、使用可能な撮影モードに遷移してから実際に放射線撮影が行われるまでの間に、被写体Hが動く場合が想定される。被写体Hがセンサ部4120から離れる方向に移動した場合、センサ部4120に到達する超音波反射波4502は減少し、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)も信号の減少が生じる。逆に、被写体Hがセンサ部4120に近づく方向に移動した場合、センサ部4120に到達する超音波反射波4502は増加し、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)も信号の増加が生じる。このように、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)に一定の変化が生じた場合、通知部4190から、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hの変動が発生した旨を通知するようにしてもよい。この際、通知を行う検出結果情報(電気信号)の変化(増加または減少)やその変化量を予め定めておき、制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。使用者は、通知部4190から通知された情報をもとにして被写体Hの位置等を調整し、適切な位置に被写体Hを移動させることが可能となる。
なお、本実施形態では、センサ部4120の内部に、超音波センサ4121-2と、第13の実施形態で適用した赤外線センサ4121-1とを配置してもよい。そして、この場合、センサ部4120は、超音波センサ4121-2と赤外線センサ4121-1を組み合わせて使用することもできる。
第14の実施形態においても、上述した第13の実施形態と同様に、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第15の実施形態)
次に、第15の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第15の実施形態の説明では、上述した第13及び14の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13及び第14の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第15の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成は、図35に示す第13の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。
図43は、第15の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図43において、図35、図36、図38~図42に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、赤外線センサ4121-1を適用する形態であった。これに対して、第15の実施形態に係る放射線撮影装置100は、図43に示すように、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、タッチセンサ等として好適に用いられる静電容量センサ4121-3を適用する形態である。図43(a)及び図43(b)に示すように、静電容量センサ4121-3は、電界領域4601を発生させる。そして、図43(b)に示すように、静電容量センサ4121-3が発生させる電界領域4601に被写体Hが入った場合に、制御基板4170は、その電界変化に伴う静電容量の変化を検出することにより、被写体Hの検出を行う。
第15の実施形態では、図37のフローチャートにおいて、ステップS202で被写体Hの検出動作が開始されると、センサ部4120に含まれる静電容量センサ4121-3は、電界領域4601を発生させる。なお、電界領域4601の強度は、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。その後、センサ部4120は、電界領域4601の電界変化に伴う静電容量の変化を電気信号に変換し、これを被写体Hの検出結果情報として制御基板4170に送信する。
続いて、図37のステップS203において、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて、有効撮影領域4134上に被写体Hが配置されたことによる静電容量の変化を検出した場合、被写体Hが検出できたと判断しうる。なお、ノイズによる誤検出防止等のために、被写体Hが検出できた判断する信号変化量の閾値を設けて、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておいてもよい。
そして、図37のステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できた場合には(S203/Yes)、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37のステップS205以降の処理が行われる。
なお、本実施形態においても、使用可能な撮影モードに遷移してから実際に放射線撮影が行われるまでの間に、被写体Hが動く場合が想定される。被写体Hがセンサ部4120から離れる方向に移動した場合、センサ部4120で検出される静電容量は被写体Hが電界領域4601に存在しない場合の状態に戻る。逆に、被写体Hがセンサ部4120に近づく方向に移動した場合、センサ部4120で検出される静電容量に更なる変化が生じる。この場合、通知部4190から、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hの変動が発生した旨を通知するようにしてもよい。この際、通知を行う検出結果情報(電気信号)の変化やその変化量を予め定めておき、制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。使用者は、通知部4190から通知された情報をもとにして被写体Hの位置等を調整し、適切な位置に被写体Hを移動させることが可能となる。
なお、本実施形態では、センサ部4120の内部に、静電容量センサ4121-3と、第13及び第14の実施形態で適用した赤外線センサ4121-1及び超音波センサ4121-2のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを配置してもよい。そして、この場合、センサ部4120は、静電容量センサ4121-3と、赤外線センサ4121-1及び超音波センサ4121-2のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを組み合わせて使用することもできる。
第15の実施形態においても、上述した第13の実施形態と同様に、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第16の実施形態)
次に、第16の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第16の実施形態の説明では、上述した第13~第15の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13~第15の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第16の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成は、図35に示す第13の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。
図44は、第16の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図44において、図35、図36、図38~図43に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、赤外線センサ4121-1を適用する形態であった。これに対して、第16の実施形態に係る放射線撮影装置100は、図44に示すように、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、磁気センサ4121-4を適用する形態である。第16の実施形態の場合には、図44に示すように、被写体Hの撮影部位の付近に予め磁気マーカ4700を取り付けておく。そして、被写体Hに取り付けられた磁気マーカ4700がセンサ部4120に近づいた場合、制御基板4170は、磁気センサ4121-4で検出された磁界4701の変化を検出することにより、被写体Hの検出を行う。
第16の実施形態では、図37のフローチャートにおいて、ステップS202で被写体Hの検出動作が開始されると、以下の処理を行う。具体的に、センサ部4120は、磁気センサ4121-4で検出された磁界4701の変化を電気信号に変換し、これを被写体Hの検出結果情報として制御基板4170に送信する。
続いて、図37のステップS203において、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて、以下の判断を行いうる。即ち、制御基板4170は、磁気マーカ4700がセンサ部4120に近づき有効撮影領域4134上に被写体Hが配置されたことによる磁界4701の変化を検出した場合、被写体Hが検出できたと判断しうる。なお、ノイズによる誤検出防止等のために、被写体Hが検出できた判断する信号変化量の閾値を設けて、予め制御基板4170の記憶部4171に記憶しておいてもよい。閾値の設定については、予め磁気マーカ4700がセンサ部4120に対して所望の距離に近づいた場合の磁界4701の強度やその変化量を測定し、その測定結果に基づいて閾値を設定してもよい。
そして、図37のステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できた場合には(S203/Yes)、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37のステップS205以降の処理が行われる。
なお、本実施形態においても、使用可能な撮影モードに遷移してから実際に放射線撮影が行われるまでの間に、被写体Hが動く場合が想定される。被写体Hに取り付けられた磁気マーカ4700がセンサ部4120から離れる方向に移動した場合、磁気センサ4121-4で検出される磁界4701の強度は減少し、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)も信号の減少が生じる。逆に、被写体Hに取り付けられた磁気マーカ4700がセンサ部4120に近づく方向に移動した場合、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)は信号の増加が生じる。このように、センサ部4120による検出結果情報(電気信号)に一定の変化が生じた場合、通知部4190から、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hの変動が発生した旨を通知するようにしてもよい。この場合、通知を行う検出結果情報(電気信号)の変化(増加または減少)やその変化量を予め定めておき、制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。使用者は、通知部4190から通知された情報をもとにして被写体Hの位置等を調整し、適切な位置に被写体Hを移動させることが可能となる。
なお、本実施形態では、センサ部4120の内部に、磁気センサ4121-4と、第13~第15の実施形態で適用した赤外線センサ4121-1、超音波センサ4121-2及び静電容量センサ4121-3のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを配置してもよい。この場合、センサ部4120は、磁気センサ4121-4と、第13~第15の実施形態で適用した赤外線センサ4121-1、超音波センサ4121-2及び静電容量センサ4121-3のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを組み合わせて使用することもできる。
第16の実施形態においても、上述した第13の実施形態と同様に、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第17の実施形態)
次に、第17の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第17の実施形態の説明では、上述した第13~第16の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13~第16の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第17の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成は、図35に示す第13の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。
図45は、第17の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この図45において、図35、図36、図38~図44に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第13の実施形態に係る放射線撮影装置100は、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、赤外線センサ4121-1を適用する形態であった。これに対して、第17の実施形態に係る放射線撮影装置100は、図45に示すように、センサ部4120に含まれるセンサ4121として、RFID等として個体識別に好適に用いられる近接無線センサ4121-5を適用する形態である。第17の実施形態の場合には、図45に示すように、被写体Hの撮影部位の付近に予めRFタグ4800を取り付けておく。
第17の実施形態では、図37のフローチャートにおいて、ステップS202で被写体Hの検出動作が開始されると、センサ部4120に含まれる近接無線センサ4121-5は、RFタグ4800の検出のための電波を送信する。被写体Hに取り付けられたRFタグ4800がセンサ部4120に近づいた場合、RFタグ4800は、近接無線センサ4121-5から送信された電波(送信電波)にID情報を付与して電波4801をセンサ部4120に向けて返す。その後、センサ部4120は、近接無線センサ4121-5で受信した電波4801からID情報を検出し、これを被写体Hの検出結果情報として制御基板4170に送信する。
RFタグ4800については、予め複数のタグを用意しておき、所望のタグのみを被写体Hとして検出するように制御基板4170の記憶部4171に記憶しておいてもよい。また、本実施形態では、RFタグ4800として送信電波にID情報を付与した電波4801を返す、いわゆる受動タグの例を説明したが、RFタグ4800にバッテリを内蔵し、能動的にID情報を含む電波4801をセンサ部4120に送信してもよい。この場合、センサ部4120に含まれる近接無線センサ4121-5は、電波の送信を行わずに受信のみを行う。
続いて、図37のステップS203において、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて、有効撮影領域4134上で被写体Hが検出できたと判断しうる。
そして、図37のステップS203の判断の結果、被写体Hが検出できた場合には(S203/Yes)、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37のステップS205以降の処理が行われる。
なお、本実施形態においても、使用可能な撮影モードに遷移してから実際に放射線撮影が行われるまでの間に、被写体Hが動く場合が想定される。被写体Hに取り付けられたRFタグ4800がセンサ部4120から離れる方向に移動した場合、RFタグ4800のID情報が読み取れなくなる。この場合、通知部4190から、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hの変動が発生した旨を通知するようにしてもよい。使用者は、通知部4190から通知された情報をもとにして被写体Hの位置等を調整し、適切な位置に被写体Hを移動させることが可能となる。
なお、本実施形態では、センサ部4120の内部に、近接無線センサ4121-5と、第13~第16の実施形態で適用したセンサ4121-1~4121-4のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを配置してもよい。そして、この場合、センサ部4120は、磁気センサ4121-4と、第13~第16の実施形態で適用したセンサ4121-1~4121-4のうちの少なくとも1つのセンサ4121とを組み合わせて使用することもできる。
第17の実施形態においても、上述した第13の実施形態と同様に、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第18の実施形態)
次に、第18の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第18の実施形態の説明では、上述した第13~第17の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13~第17の実施形態と異なる事項について説明を行う。
上述した第13~第17の実施形態では、被写体Hの検出に使用可能な各種のセンサの使用方法について説明したが、各種のセンサを組み合わせて使用することで、検出した対象が被写体Hか被写体Hではない物体かを識別する形態も考えうる。第18の実施形態では、第13~第17の実施形態で説明したセンサ4121-1~4121-5を組み合わせて使用して、検出した対象が被写体Hか被写体Hではない物体かを識別する形態を説明する。
例えば被写体Hとして患者を放射線撮影する際に、技師などの使用者が、放射線撮影装置100を患者などの被写体Hの撮影部位に向けて挿入し、位置調整を行う作業が発生する。この作業時には、患者などの被写体Hと放射線撮影装置100とは、直接またはタオルやシーツ等の布等を介して、接する可能性がある。この布は、患者などの被写体Hの負担軽減や、衛生面等の観点で設置されることが多い。また、タオルやシーツ等を使用する場合、タオルやシーツのみしか存在していない状態で、被写体Hが存在するとして検出してしまう可能性がある。
図46は、第13~第17の実施形態で適用したセンサ4121-1~4121-5の検出能力の一例を示す図である。具体的に、図46は、第13~第17の実施形態で適用したセンサ4121-1~4121-5について、被写体(人体)H、布などを介した被写体H、及び、布などのみの検出能力の一例を示している。
赤外線センサ4121-1は、被写体Hの熱による赤外線を検出するため、図46に示すように、布などを介した被写体Hを検出することは可能である。しかしながら、赤外線センサ4121-1では、被写体Hのみなのか、布などを介しているのかは、区別できない。
磁気センサ4121-4及び近接無線センサ4121-5は、被写体Hに取り付けられた磁気マーカ4700やRFタグ4800を検出するため、図46に示すように、布などを介した被写体Hを検出可能である。しかしながら、磁気センサ4121-4及び近接無線センサ4121-5では、被写体Hのみなのか、布などを介しているのかは区別できない。
静電容量センサ4121-3は、図46に示すように、布などを検出しない反面、布などを介した被写体Hを検出できない場合がある。
超音波センサ4121-2は、超音波を反射する何らかの物体が存在する場合に検出を行うため、図46に示すように、布などのみが存在している場合でも検出できる可能性がある。
以上説明したセンサ4121-1~4121-5の検出能力の差異を利用し、検出した対象が被写体Hなのか、布などを介した被写体Hなのか、布などのみなのかを、識別する方法が考えうる。本実施形態では、センサ部4120の内部に、赤外線センサ4121-1、超音波センサ4121-2、及び、静電容量センサ4121-3に配置し、これらのセンサ4121-1~4121-3を組み合わせた形態を説明する。なお、本開示においては、本実施形態で説明するセンサ4121の組み合わせに限定されるものではなく、任意の複数のセンサ4121を組み合わせて適用することができる。
図47は、第18の実施形態に係る放射線撮影装置100の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この図47において、図37に示す処理ステップと同様の処理ステップについては同じステップ番号を付しており、その詳細な説明は省略する。
まず、図47のステップS201において、制御基板4170は、放射線撮影装置100の電源がオンになると、バッテリ4180からの電力を放射線撮影装置100の各構成部に供給して、放射線撮影装置100を起動させる。
続いて、図47のステップS202において、制御基板4170は、センサ部4120を用いた被写体Hの検出を開始する。具体的に、本実施形態では、センサ部4120の内部に含まれる赤外線センサ4121-1、超音波センサ4121-2及び静電容量センサ4121-3のそれぞれで検出を行う。
続いて、ステップS301において、制御基板4170は、センサ4121-1~4121-3のうちのいずれかのセンサ4121で物体が検出されたか否かを判断する。この判断の結果、センサ4121-1~4121-3のうちのいずれのセンサ4121でも物体が検出できていない場合には(S301/No)、いずれかのセンサ4121で物体が検出されるまで、ステップS301で待機する。
また、ステップS301の判断の結果、センサ4121-1~4121-3のうちのいずれかのセンサ4121で物体が検出された場合には(S301/Yes)、ステップS302に進む。
ステップS302に進むと、制御基板4170は、少なくともいずれかのセンサで検出された物体が被写体Hとして識別できるか否かを判断する。被写体Hの識別条件は、各センサ4121の特性を踏まえて予め定め、制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。例えば、図46に示す特性から、赤外線センサ4121-1、超音波センサ4121-2及び静電容量センサ4121-3のうちの2種類以上のセンサ4121で検出できた場合に、被写体Hと識別してもよい。これにより、超音波センサ4121-2による布などの誤検出を防止することができる。
ステップS302の判断の結果、少なくともいずれかのセンサで検出された物体が被写体Hとして識別できない場合には(S302/No)、ステップS301に戻る。この際、制御基板4170は、通知部4190から使用者に被写体Hと識別されなかった旨を通知させてもよい。この場合、被写体Hと識別できるまで連続で通知が発生することが想定されるため、通知部4190による通知方法としては表示部への表示等の使用者の作業を阻害しないような手段が望ましい。
また、ステップS302の判断の結果、少なくともいずれかのセンサで検出された物体が被写体Hとして識別できる場合には(S302/Yes)、ステップS303に進む。
ステップS303に進むと、制御基板4170は、通知部4190から使用者に、被写体状況通知として被写体Hが検出された旨を通知させる。通知部4190は、例えば、スピーカによる音、LED等による表示、または、通信部4191を介した外部装置との通信によって、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hが検出された旨を通知する。通知部4190は、被写体Hが検出された旨を通知する際に、センサ4121の検出状況から、被写体Hが布などを介しているのかの情報を合わせて通知してもよい。
そして、図47のステップS303の処理が終了すると、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37で説明したステップS205以降の処理が行われる。
第18の実施形態によれば、センサ4121で検出した対象が被写体Hか被写体Hではない物体かを識別することができるため、放射線撮影における使用者の作業性の更なる向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第19の実施形態)
次に、第19の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第19の実施形態の説明では、上述した第13~第18の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13~第18の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第18の実施形態では、センサ部4120の内部に含める複数種類のセンサ4121を組み合わせて使用することで、検出した対象が被写体Hか被写体Hではない物体かを識別する形態を説明した。第19の実施形態では、異なる位置に複数のセンサ部4120を配置し、複数のセンサ部4120からの検出結果情報に基づいて、被写体Hが有効撮影領域4134のどの領域に位置しているのかを識別する形態を説明する。
また、これまで説明してきた第13~第18の実施形態では、センサ部4120を、筐体4110の接合部4113に設ける例を説明してきたが、筐体4110の接合部4113以外の部分に設けてもよい。
図48は、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成の一例を示す図である。この図48において、図35、図36、図38~図45に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
第19の実施形態に係る放射線撮影装置100では、図48に示すように、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形(具体的には、四角形)における複数の辺の外側に、複数のセンサ部4120が配置されている。
具体的に、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の第1辺の外側に位置する接合部4113に、複数のセンサ部4120-11~4120-13が設けられている。また、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の第2辺の外側に、複数のセンサ部4120-21~4120-23が設けられている。また、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の第3辺の外側に、複数のセンサ部4120-31~4120-33が設けられている。さらに、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100は、筐体4110において有効撮影領域4134の形状である多角形の第4辺の外側に、複数のセンサ部4120-41~4120-43が設けられている。複数のセンサ部4120-21~4120-23、4120-31~4120-33及び4120-41~4120-43は、有効撮影領域4134に配置された被写体Hの位置を検出するため、第1の厚み部(薄肉部)4111の放射線入射面4101の側に配置される。各辺のセンサ部4120は、当該辺の中心の位置及び当該辺の中心と両端との中間位置に配置されうる。また、各センサ部4120の内部に配置させるセンサ4121は、上述した第13~第17の実施形態で説明したセンサ4121-1~4121-5を任意に組み合わせて配置してもよい。また、各センサ部4120の内部に配置するセンサ4121の数や位置は任意に変更してもよい。
図49は、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100において被写体Hの位置を識別する第1例を示す図である。この図49において、図35、図36、図38~図45及び図48に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図49(a)は、被写体Hが有効撮影領域4134のほぼ全域に位置している例である。例えば、被写体Hの胸部撮影等がこの例に該当する。この場合、図48に示す全てのセンサ部4120で被写体Hが検出され、被写体Hが所望の配置で撮影可能な状態が期待できる。
次に、図49(b)は、被写体Hが、図48に示すセンサ部4120-31~4120-33の側にずれている場合の例である。この場合、センサ部4120-21及び4120-43では、被写体Hは検出されない。この図49(b)に示す状態で撮影を行うと、有効撮影領域4134の中心位置に対して被写体Hがずれてしまっており、所望の撮影ができない可能性がある。
図50は、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100において被写体Hの位置を識別する第2例を示す図である。この図50において、図35、図36、図38~図45及び図48に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図50(a)は、被写体Hの四肢(具体的には腕)の撮影の例である。この場合、図48に示すセンサ部4120-11~4120-13及び4120-42で被写体Hが検出される。被写体Hが検出されるセンサ部4120は、一部であるが、配置的には所望の被写体Hの配置で撮影可能な状態が期待できる。
図50(b)は、被写体Hの四肢(具体的には腕)の撮影において被写体Hの位置がずれている場合の例である。この場合、センサ部4120-11、4120-12及び4120-41で被写体Hが検出される。この図50(b)に示す状態で撮影を行うと、有効撮影領域4134の中心位置に対して被写体Hがずれてしまっており、所望の撮影ができない可能性がある。
このように、本実施形態では、異なる位置に配置された複数のセンサ部4120の検出状態によって被写体Hが所望の位置に配置されているかを識別することができる。
図51は、第19の実施形態に係る放射線撮影装置100の制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この図51において、図37に示す処理ステップと同様の処理ステップについては同じステップ番号を付しており、その詳細な説明は省略する。
まず、図51のステップS201において、制御基板4170は、放射線撮影装置100の電源がオンになると、バッテリ4180からの電力を放射線撮影装置100の各構成部に供給して、放射線撮影装置100を起動させる。
続いて、図51のステップS202において、制御基板4170は、センサ部4120を用いた被写体Hの検出を開始する。具体的に、本実施形態では、複数のセンサ部4120-11~4120-13、4120-21~4120-23、4120-31~4120-33及び4120-41~4120-43のそれぞれで被写体Hの検出を行う。
続いて、図51のステップS203において、制御基板4170は、上述した複数のセンサ部4120-11~4120-43のうちのいずれかのセンサ部4120で被写体Hが検出されたか否かを判断する。この判断の結果、複数のセンサ部4120-11~4120-43のうちのいずれのセンサ部4120でも被写体Hが検出できていない場合には(S203/No)、いずれかのセンサ部4120で被写体Hが検出されるまで、ステップS203で待機する。
また、図51のステップS203の判断の結果、複数のセンサ部4120-11~4120-43のうちのいずれかのセンサ部4120で被写体Hが検出された場合には(S203/Yes)、ステップS401に進む。
ステップS401に進むと、制御基板4170は、それぞれのセンサ部4120からの検出結果情報に基づいて(被写体Hを検出したセンサ部4120の検出状況に基づいて)、被写体Hが有効撮影領域4134の所望の位置に配置されているか否かを判断する。ここで、被写体Hの位置の識別条件は、被写体Hや撮影対象部位等の条件を踏まえて予め定め、検出が必要なセンサ部4120の位置等を制御基板4170の記憶部4171に記憶しておくことが望ましい。
ステップS401の判断の結果、被写体Hが有効撮影領域4134の所望の位置に配置されていない場合には(S401/No)、ステップS203に戻る。この際、制御基板4170は、通知部4190から使用者に対して、被写体Hが所望の位置に配置されていると識別されなかった旨を通知させてもよい。この場合、被写体Hが所望の位置に配置されていると識別できるまで連続で通知が発生することが想定されるため、通知部4190による通知方法としては表示部への表示等の使用者の作業を阻害しないような手段が望ましい。
また、ステップS401の判断の結果、被写体Hが有効撮影領域4134の所望の位置に配置されている場合には(S401/Yes)、ステップS402に進む。
ステップS402に進むと、制御基板4170は、通知部4190から使用者に、被写体状況通知として被写体Hが所望の位置に配置されている旨を通知させる。通知部4190は、例えば、スピーカによる音、LED等による表示、または、通信部4191を介した外部装置との通信によって、放射線撮影装置100の使用者に、被写体Hが所望の位置に配置されている旨を通知する。通知部4190は、被写体Hが所望の位置に配置されている旨を通知する際に、センサ部4120に含まれるセンサ4121の検出状況から、被写体Hが布などを介しているのかの情報を合わせて通知してもよい。
そして、図51のステップS402の処理が終了すると、ステップS204に進み、制御基板4170は、放射線撮影装置100を撮影可能状態に遷移させる。その後、図37で説明したステップS205以降の処理が行われる。
第19の実施形態によれば、被写体Hが有効撮影領域4134の所望の位置に配置されていると識別することができるため、放射線撮影における使用者の作業性の更なる向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第20の実施形態)
次に、第20の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第20の実施形態の説明では、上述した第13~第19の実施形態と共通する事項については説明を省略し、主として上述した第13~第19の実施形態と異なる事項について説明を行う。
第20の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成は、図35に示す第13の実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成と同様である。
第19の実施形態では、複数のセンサ部4120からの検出結果情報を利用して、被写体Hが有効撮影領域4134のどの領域に位置しているかを識別する形態を説明した。第20の実施形態では、センサ部4120からの検出結果情報を利用して、有効撮影領域4134のうち、放射線201の照射をモニタする位置(領域)をどの位置(領域)にするのかを識別する形態を説明する。第20の実施形態に係る放射線撮影装置100は、自動露出制御(AEC:Auto Exposure Control:AEC)機能を備える装置である。第20の実施形態に係る放射線撮影装置100では、照射された放射線201の線量(累積線量)をモニタする位置の決定に際して、センサ部4120からの検出結果情報を利用する。
図52は、第20の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成のうちの一部の構成の一例を示す図である。この図52において、図36、図40、図41~図45に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、図52には、第20の実施形態に係る放射線撮影装置100のうち、放射線検出パネル4130、フレキシブル回路基板4160及び制御基板4170に含まれる構成のみを図示している。
図36(a)等に記載の放射線検出パネル4130には、例えば、図52に示す放射線検出器1700、駆動用回路1741及び1742が含まれる。また、図36(a)等に記載のフレキシブル回路基板4160には、例えば、図52に示す読出し用回路1750及び1760が含まれる。また、図36(a)等に記載の制御基板4170には、図52に示す信号処理部1771、制御部1772、電源制御部1773及び素子用電源回路1774が含まれる。
放射線検出器1700は、照射された放射線201を検出する機能を備える。放射線検出器1700は、複数の行及び複数の列を構成するように配設された複数の画素を有する。以下の説明では、放射線検出器1700における複数の画素が配置された領域を撮影領域とする。
放射線検出器1700に設けられた複数の画素は、放射線201を放射線画像における電気信号に変換する複数の撮像画素1710と、放射線201の照射をモニタするための複数の検知画素1720を含む。
撮像画素1710は、放射線201を電気信号に変換する第1変換素子1711と、列信号線1734と第1変換素子1711との間に配置された第1スイッチ素子1712とを含む。
検知画素1720は、放射線201を電気信号に変換する第2変換素子1721と、検知信号線1735と第2変換素子1721との間に配置された第2スイッチ素子1722とを含む。なお、検知画素1720は、複数の撮像画素1710の一部と同一の列に配置される。
第1変換素子1711及び第2変換素子1721は、放射線201を光に変換するシンチレータと、シンチレータで生じた光を電気信号に変換する光電変換素子とを含み構成されている。シンチレータは、一般的には、撮像領域を覆うようにシート状に形成され、複数の画素によって共有される。或いは、第1変換素子1711及び第2変換素子1721は、放射線201を直接に光に変換する変換素子で構成されていてもよい。
第1スイッチ素子1712および第2スイッチ素子1722は、例えば、非晶質シリコンまたは多結晶シリコン(好ましくは多結晶シリコン)などの半導体で活性領域が構成された薄膜トランジスタ(TFT)を含む。
放射線撮影装置100は、複数の列信号線1734及び複数の駆動線1731を有する。それぞれの列信号線1734は、撮像領域における複数の列のうちの1つの列に対応する。また、それぞれの駆動線1731は、撮像領域における複数の行のうちの1つの行に対応する。それぞれの駆動線1731は、駆動用回路1741によって駆動される。
第1変換素子1711の第1電極は、第1スイッチ素子1712の第1主電極に接続され、第1変換素子1711の第2電極は、バイアス線1733に接続される。ここで、1つのバイアス線1733は、列方向に延びていて、列方向に配列された複数の第1変換素子1711の第2電極に共通に接続される。
バイアス線1733は、素子用電源回路1774からバイアス電圧Vsを受ける。バイアス電圧Vsは、素子用電源回路1774から供給される。電源制御部1773は、バッテリ4180等の電源を制御する。電源制御部1773は、素子用電源回路1774の制御も行う。
1つの列を構成する複数の撮像画素1710の第1スイッチ素子1712の第2主電極は、1つの列信号線1734に接続される。1つの行を構成する複数の撮像画素1710の第1スイッチ素子1712の制御電極は、1つの駆動線1731に接続される。複数の列信号線1734は、読出し用回路1750に接続される。ここで、読出し用回路1750は、複数の検知部1751と、マルチプレクサ1752と、アナログ・デジタル変換器(以降、「AD変換器」と呼ぶ)1753とを含む。
複数の列信号線1734のそれぞれは、読出し用回路1750の複数の検知部1751のうち対応する検知部1751に接続される。ここで、1つの列信号線1734は、1つの検知部1751に対応する。検知部1751は、例えば、差動増幅器を含む。マルチプレクサ1752は、複数の検知部1751を所定の順番で選択し、選択した検知部1751からの信号をAD変換器1753に供給する。AD変換器1753は、供給された信号をデジタル信号に変換して出力する。
第2変換素子1721の第1電極は、第2スイッチ素子1722の第1主電極に接続され、第2変換素子1721の第2電極は、バイアス線1733に接続される。第2スイッチ素子1722の第2主電極は、検知信号線1735に接続される。第2スイッチ素子1722の制御電極は、駆動線1731に電気的に接続される。
放射線撮影装置100は、複数の検知信号線1735を有する。1つの検知信号線1735には、1つまたは複数の検知画素1720が接続される。駆動線1732は、駆動用回路1742によって駆動される。1つの駆動線1732には、1つまたは複数の検知画素1720が接続される。検知信号線1735は、読出し用回路1760に接続される。ここで、読出し用回路1760は、複数の検知部1761と、マルチプレクサ1762と、AD変換器1763とを含む。
複数の検知信号線1735のそれぞれは、読出し用回路1760の複数の検知部1761のうち対応する検知部1761に接続される。ここで、1つの検知信号線1735は、1つの検知部1761に対応する。検知部1761は、例えば、差動増幅器を含む。マルチプレクサ1762は、複数の検知部1761を所定の順番で選択し、選択した検知部1761からの信号をAD変換器1763に供給する。AD変換器1763は、供給された信号をデジタル信号に変換して出力する。読出し用回路1760(AD変換器1763)の出力は、信号処理部1771に供給され、信号処理部1771によって処理される。信号処理部1771は、読出し用回路1760(AD変換器1763)の出力に基づいて、放射線撮影装置100に対する放射線201の照射を示す情報を出力する。具体的には、信号処理部1771は、例えば、放射線撮影装置100に対する放射線201の照射を検知することや、照射された放射線201の線量(累積線量)を演算すること等を行う。そして、制御部1772は、信号処理部1771で得られた情報に基づいて、適切な放射線201の線量(累積線量)に至った際に、放射線発生装置200への曝射停止通知を行うといった被写体Hへの放射線照射量を制御する。
なお、検知画素1720は、撮像画素1710と同一の構造を有してもよい。制御部1772は、信号処理部1771からの情報などに基づいて、駆動用回路1741、駆動用回路1742、読出し用回路1750及び読出し用回路1760などを制御する。
照射された放射線201の線量(累積線量)を適切に検出する場合に、被写体Hが位置している場所の検知画素1720を使用する必要がある。その場合に、制御基板4170は、センサ部4120からの検出結果情報を利用して、有効撮影領域4134のうち、被写体Hが有効撮影領域4134のどの領域に位置しているかを識別し、その識別情報に基づいて使用する検知画素1720を決定する。
図53は、第20の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成の第1例を示す図である。この図53において、図48に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図53に示す放射線撮影装置100では、センサ部4120-11~4120-43のうち、対向する位置にあるセンサ部4120同士を結ぶ線分の交点を被写体検出点1801~1809として設定する。そして、制御基板4170は、センサ部4120の検出状況によって、被写体検出点1801~1809に位置する検知画素1720を選択して使用する。
例えば、図49(a)に示すように、被写体Hが有効撮影領域4134のほぼ全域に位置している場合では、被写体検出点1801~1809で適切な放射線201の線量の検出が可能となる。もちろん、被写体検出点1801~1809に位置する検知画素1720を全て選択して使用してもよいし、任意の検知画素1720を選択して使用してもよい。
また、例えば、図49(b)に示す場合では、被写体Hがセンサ部4120-31~4120-33の側にずれているため、センサ部4120-21及び4120-43では被写体Hは検出されない。この場合には、被写体検出点1801~1803に位置する検知画素1720は使用せず、被写体検出点1804~1809に位置する検知画素1720を使用する。
また、例えば、図50(a)に示す場合には、センサ部4120-11~4120-13及び4120-42で被写体Hが検出されるため、被写体検出点1804に位置する検知画素1720を使用する。
また、例えば、図50(b)に示す場合には、センサ部4120-11、4120-12及び4120-41で被写体Hが検出されるため、被写体検出点1807に位置する検知画素1720を使用する。
図54は、第20の実施形態に係る放射線撮影装置100の概略構成の第2例を示す図である。この図54において、図48及び図53に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図54に示す放射線撮影装置100では、センサ部4120-11~4120-43のうち、対向する位置にあるセンサ部4120同士を結ぶ線分で有効撮影領域4134を区切り、被写体検出エリア1901~1916として設定する。そして、制御基板4170は、図53を用いて説明した場合と同様の趣旨で、センサ部4120の検出状況によって、被写体検出エリア1901~1916に位置する検知画素1720を選択して使用する。
第20の実施形態によれば、センサ部4120からの検出結果情報に基づいて放射線201の照射をモニタする際に使用する検知画素1720を設定するため、放射線撮影における使用者の作業性の更なる向上を実現することができる。これにより、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
なお、上述した本開示の第13~第20の実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本開示は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本開示の第13~第20の実施形態は、以下の構成を含む。
[構成50]
被写体を透過した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルを内包し、前記放射線が入射する側から見た場合に前記有効撮影領域の形状が多角形を有する筐体と、
前記筐体において前記有効撮影領域の前記多角形の少なくとも一辺の外側に配置され、前記被写体を検出するための1種類以上のセンサを含むセンサ部と、
を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
[構成51]
前記センサ部は、前記筐体において前記放射線が入射する側に配置されている
ことを特徴とする構成50に記載の放射線撮影装置。
[構成52]
前記筐体は、
前記有効撮影領域を含む部分であって第1の厚みを有する第1の厚み部と、
前記有効撮影領域を含まない部分であって前記第1の厚みとは異なる第2の厚みを有する第2の厚み部と、
前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを接合する接合部と、
を有することを特徴とする構成50または51に記載の放射線撮影装置。
[構成53]
前記第2の厚み部は、前記第1の厚み部よりも前記放射線が入射する側に厚みが厚い
ことを特徴とする構成52に記載の放射線撮影装置。
[構成54]
前記接合部は、前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを垂線または斜線で接合し、
前記センサ部は、前記接合部に配置されている
ことを特徴とする構成52または53に記載の放射線撮影装置。
[構成55]
前記センサ部からの検出結果情報に基づいて前記被写体を検出し、前記被写体を検出した場合に当該放射線撮影装置を撮影可能状態に遷移させる制御部を更に備える
ことを特徴とする構成50乃至54のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成56]
複数の撮影モードにおける使用順位を示す情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記撮影可能状態に遷移させる際に、前記使用順位を示す情報に基づいて前記複数の撮影モードのうちの最上位の撮影モードに遷移させる
ことを特徴とする構成55に記載の放射線撮影装置。
[構成57]
前記制御部は、前記センサ部からの検出結果情報に基づいて、検出した対象が前記被写体か前記被写体でない物体かを識別し、前記検出した対象が前記被写体である場合に前記撮影可能状態に遷移させる
ことを特徴とする構成55または56に記載の放射線撮影装置。
[構成58]
異なる位置に複数の前記センサ部が配置されており、
前記制御部は、前記複数のセンサ部からの検出結果情報に基づいて前記有効撮影領域での前記被写体の位置を検出し、当該検出した前記被写体の位置に応じて前記撮影可能状態に遷移させる
ことを特徴とする構成55乃至57のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成59]
前記複数のセンサ部は、前記筐体において前記有効撮影領域の前記多角形における複数の辺の外側に配置されている
ことを特徴とする構成58に記載の放射線撮影装置。
[構成60]
前記放射線検出パネルは、前記有効撮影領域の範囲内に、前記放射線を放射線画像における電気信号に変換する複数の撮像画素と、前記放射線の照射をモニタするための複数の検知画素と、を含み構成されており、
前記制御部は、前記センサ部からの検出結果情報に基づいて、前記放射線の照射をモニタする際に使用する前記検知画素を設定する
ことを特徴とする構成55乃至59のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成61]
前記制御部による前記被写体の検出状況を通知する通知部を更に備える
ことを特徴とする構成55乃至60のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成62]
前記通知部は、前記被写体に所定を超える変動が発生した状況の場合に、前記通知を行う
ことを特徴とする構成61に記載の放射線撮影装置。
[構成63]
前記通知部は、音、表示、または、有線通信部もしくは無線通信部を介した通信によって、前記通知を行う
ことを特徴とする構成61または62に記載の放射線撮影装置。
[構成64]
前記センサは、赤外線センサである
ことを特徴とする構成50乃至63のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成65]
前記センサは、超音波センサである
ことを特徴とする構成50乃至63のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成66]
前記センサは、静電容量センサである
ことを特徴とする構成50乃至63のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成67]
前記センサは、磁気センサである
ことを特徴とする構成50乃至63のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成68]
前記センサは、近接無線センサである
ことを特徴とする構成50乃至63のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成69]
構成50乃至68のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記被写体に向けて前記放射線を発生させる放射線発生装置と、
を有することを特徴とする放射線撮影システム。
以上説明した構成50~69に記載の特徴によれば、放射線撮影における使用者の作業性の向上を実現することができ、迅速な放射線撮影を行うことが可能となる。
(第21の実施形態)
次に、第21の実施形態について説明する。
図55は、第21の実施形態に係る放射線撮影装置5000の概略構成の一例を示す図である。図55に示す放射線撮影装置5000は、特に医療用として使用されうる。
図55に示す放射線撮影装置5000は、放射線発生手段5001、散乱線除去グリッド5003、FPD撮影部5100、放射線発生制御手段5005、角度入力手段5006、データ収集手段5007、CPU5008、主記憶装置5009を有する。また、放射線撮影装置5000は、前処理手段5010、CPUバス5021、メモリ部5022、記憶手段5030、到達線量表示手段5041、画像処理手段5050、操作パネル5060、画像表示手段5071、警告表示手段5072を有する。
放射線発生手段5001は、放射線発生制御手段5005の制御に基づいて、被写体H及びFPD撮影部5100に向けて、放射線5002を照射する。
FPD撮影部5100は、入射した放射線5002を検出して放射線画像を撮影する構成部である。FPD撮影部5100の筐体5130及びその内部は、放射線5002が照射される撮影領域の範囲内である撮影領域内5110と、撮影領域の範囲外である撮影領域外5120とに分かれている。撮影領域内5110には、入射した放射線5002を光に変換する蛍光体5111と、蛍光体5111で発生した光を放射線画像における電気信号に変換する光電変換素子を含む画素が複数配置された画素アレイ5112が設けられている。図55に示す画素アレイ5112は、複数の通常画素5610と、複数の遮光画素5620が含まれている。また、撮影領域外5120には、電子部品を備えた(電子部品が絶縁板に取り付けられた)プリント基板(不図示)、電源供給手段5121、信号増幅手段5122、及び、角度検出手段5123が設けられている。ここで、本実施形態では、プリント基板(不図示)に備えられた電子部品としては、画素アレイ5112と信号通信を行う電子部品や、画素アレイ5112に電力供給を行う電子部品等が挙げられる。また、画素アレイ5112と信号通信を行う電子部品としては、画素アレイ5112に対して駆動制御信号を送信する電子部品や、画素アレイ5112から放射線画像における電気信号を受信する電子部品等が挙げられる。FPD撮影部5100の筐体5130は、蛍光体5111、画素アレイ5112、プリント基板(不図示)、電源供給手段5121、信号増幅手段5122及び角度検出手段5123等を収容している。
前処理手段5010には、暗電流補正手段5011、ゲイン補正手段5012、欠損補正手段5013が含まれている。また、記憶手段5030には、FPD撮影部5100の筐体5130の表面から放射線5002が入射した場合の表面の物理特性記憶手段5031、筐体5130の裏面から放射線5002が入射した場合の裏面の物理特性記憶手段5032が含まれている。また、画像処理手段5050には、ノイズ抑制処理変更手段5051、周波数処理変更手段5052、諧調処理変更手段5053、グリッド縞低減処理変更手段5054が含まれている。また、操作パネル5060には、手動入力手段5061が含まれている。
医療従事者である使用者は、撮影オーダが到着すると、操作パネル5060を通じて撮影条件を設定する。撮影オーダには、撮影部位、体格、年齢、撮影目的等の情報が含まれている。また、設定される撮影条件には、放射線発生手段5001の管電圧、管電流、放射線Rの照射時間、散乱線除去グリッド5003の種類、被写体Hである患者の体位等が含まれている。撮影条件は、CPU5008及び主記憶装置5009を有する情報機器から、CPUバス5021を通して、放射線発生手段5001並びに蛍光体5111及び画素アレイ5112を含む2次元平面放射線検出手段を備えたFPD撮影部5100に設定される。
本実施形態においては、上述した撮影オーダや撮影条件に含まれる要望から、推奨される撮影方向(FPD撮影部5100の表面または裏面)が画像表示手段5071の画面や操作パネル5060の画面に表示される。この画面に表示されている適切な放射線5002の入射方向の情報を基にして、使用者は、被写体Hである患者(被検者)とFPD撮影部5100の配置を行う。FPD撮影部5100の筐体5130には、表面及び裏面の2方向(2方向以上であってもよい)に撮影領域の範囲を示す指標(後述する図59の指標5113、5114)が表示されている。また、図55に示す例では、FPD撮影部5100の筐体5130は、高剛性板5131及び高透過板5132を含み構成されている。使用者は、被写体Hである患者(被検者)とFPD撮影部5100の配置を行う。さらに、使用者は、放射線発生手段5001からの放射線5002の照射範囲が筐体5130の表面及び裏面の2方向に表示されている撮影領域の範囲を大きくは超えないように放射線5002の照射範囲を絞って、無用な被ばく線量を照射しないようにする。
使用者は、FPD撮影部5100の配置時に、FPD撮影部5100の筐体5130の表面及び裏面のどちらの面が放射線発生手段5001の側を向いているかを把握できる。このため、使用者は、撮影前に手動入力手段5061から放射線5002の入射方向を入力することが望ましい。
上述したように、放射線発生手段5001は、例えば人体である被写体Hに向けて、放射線5002を照射する。FPD撮影部5100は、蛍光体5111及び画素アレイ5112を含む2次元平面放射線検出手段を有するFPD(Flat Panel Detector)であり、放射線画像データ及びオフセット信号を生成する。本実施形態では、撮影領域内5110に対して、蛍光体5111の側から放射線5002を入射させた場合と画素アレイ5112の側から放射線5002を入射させた場合の2つの入射方向において撮影可能ある。上述した2次元平面放射線検出手段における画素アレイ5112は、大平面ウエハ上に多数の画素を並べて構成されており、通常画素5610及び遮光画素5620が有効画素領域に設けられている。
FPD撮影部5100の撮影領域外5120には、上述したプリント基板(不図示)などの多くの電気部品が含まれている。撮影領域内5110は、電気部品の多くが含まれないため、薄肉部とすることが可能となる。FPD撮影部5100の筐体5130の材質に関して、一般的に放射線5002の透過率が高いと剛性が低い材質が多い。このため、FPD撮影部5100の筐体5130の表面側と裏面側の一方を放射線5002の透過率が高い材質(高放射線透過率の材質)とし、他方を剛性が高い材質(高剛性の材質)とすることが好ましい。図55に示すFPD撮影部5100の筐体5130では、蛍光体5111に近い表面側の部分が高放射線透過率の材質からなる高透過板5132で構成され、画素アレイ5112に近い裏面側の部分が高剛性の材質からなる高剛性板5131で構成されている。これは、FPD撮影部5100の筐体5130に収容された蛍光体5111に多くの放射線5002を透過させるためと、画素アレイ5112及び蛍光体5111などを外力からより安全に守るためである。
FPD撮影部5100の撮影領域内5110に入射した放射線5002は、蛍光体5111によって光(可視光)に変換される。図55では、蛍光体5111は、画素アレイ5112から見て片側(上側)だけに配置されているが、本実施形態においては両側(上側及び下側)に配置されていてもよい。画素アレイ5112から見て両側(上側及び下側)に蛍光体5111を配置する場合、より多くの放射線5002を可視光に変換する方の蛍光体5111が図55に示されていると捉えることができる。
蛍光体5111で発光された可視光は、通常画素5610において光電変換素子で光電変換されて放射線画像における電気信号となる。一方、遮光画素5620は、蛍光体5111と光電変換素子との間及び隣接する画素の一部までメタル等の遮光マスクで遮光されており、放射線5002や可視光が当たっても、光電変換がされないようになっている。
放射線撮影の直後に、光電変換素子で得られた放射線画像における電気信号は、ゲート駆動回路及び読み出し回路において読み出し駆動が実行され、信号増幅手段5122で増幅された後、アナログ信号からデジタル信号(放射線画像信号)となる。そして、FPD撮影部5100からデータ収集手段5007に放射線画像信号が送られる。データ収集手段5007で得られた放射線画像信号(並び変えると放射線画像)は、前処理手段5010において前処理が実施され、その後、画像処理手段5050において表示用画像処理等がなされる。画像処理された放射線画像は、最終的に診断用画像となり、画像表示手段5071に表示される。放射線画像は診断用画像だけではなく、放射線5002の入射方向を検出する際にも用いられる。例えば、通常画素5610と遮光画素5620の画素出力(画素値)の違いを統計的に解析することにより、角度検出手段5123は、FPD撮影部5100に対する放射線5002の入射角度を検出し、その結果、放射線5002の入射方向を検出できる。例えば、FPD撮影部5100に対する放射線5002の入射角度の範囲を0°~360°としたときに、0°以上~180°未満(他の数値であってもよい)の場合には、放射線5002の入射方向が表面側として検出される。また、例えば、180°以上~360°未満(他の数値であってもよい)の場合には、放射線5002の入射方向が裏面側として検出される。
また、角度検出手段5123は、自動入力手段の1つである角度入力手段5006または手動入力手段5061から入力された放射線5002の入射角度を検出し、その結果、放射線5002の入射方向を検出することもできる。具体的に、角度検出手段5123は、撮影領域内5110に対する放射線5002の入射方向が、蛍光体5111の側(表面側)からの第1の入射方向か、画素アレイ5112の側(裏面側)からの第2の入射方向かを検出する。この場合、第1の入射方向と第2の入射方向とは、逆の方向である。
前処理手段5010に送信された放射線画像は、前処理手段5010の暗電流補正手段5011、ゲイン補正手段5012、欠損補正手段5013を通り、画像処理手段5050においてQA処理が実施される。本実施形態における放射線撮影装置5000は、出荷前に、放射線撮影装置の機種ごとの物理特性値が記憶手段5030の表面の物理特性記憶手段5031及び裏面の物理特性記憶手段5032に保存されていることが望ましい。ここで、物理特性値とは、放射線画像の画質特性値のことである。即ち、表面の物理特性記憶手段5031には、上述した蛍光体5111の側(表面側)からの第1の入射方向から入射した放射線に基づき得られた放射線画像の画質特性値が記憶されている。また、裏面の物理特性記憶手段5032には、上述した画素アレイ5112の側(裏面側)からの第2の入射方向から入射した放射線に基づき得られた放射線画像の画質特性値が記憶されている。物理特性記憶手段5031及び5032には、物理特性値(画質特性値)として、例えば、放射線の線量に依存した画素値、放射線の線量に依存したノイズ値、及び、放射線画像の周波数に依存した鮮鋭度値のうちの少なくとも1つの値が記憶されている。
画像処理手段5050は、撮影領域内5110に対して、蛍光体5111の側から入射した放射線5002に基づく第1の放射線画像と、画素アレイ5112の側から入射した放射線5002に基づく第2の放射線画像とで、異なる画像処理を行う。また、画像処理手段5050は、角度検出手段5123の検出結果(第1の入射方向または第2の入射方向)に基づいて、画像処理を行う。この場合、画像処理手段5050は、角度検出手段5123の検出結果に基づいて表面の物理特性記憶手段5031または裏面の物理特性記憶手段5032から物理特性値(画質特性値)を選択し、選択した物理特性値(画質特性値)に基づいて画像処理を行う。
また、QA処理として、画像処理手段5050で行われる画像処理は、画像処理パラメータを変更することによって、上述した第1の放射線画像と第2の放射線画像とで、異なる画像処理を行う。画像処理手段5050のノイズ抑制処理変更手段5051は、放射線画像のノイズ抑制処理パラメータを変更する第1の変更手段である。画像処理手段5050の周波数処理変更手段5052は、放射線画像の周波数処理パラメータを変更する第2の変更手段である。画像処理手段5050の諧調処理変更手段5053は、放射線画像の諧調処理パラメータを変更する第3の変更手段である。画像処理手段5050のグリッド縞低減処理変更手段5054は、放射線画像のグリッド縞低減処理パラメータを変更する第4の変更手段である。なお、本実施形態おいては、画像処理手段5050には、ノイズ抑制処理変更手段5051、周波数処理変更手段5052、諧調処理変更手段5053及びグリッド縞低減処理変更手段5054のうちの少なくとも1つが含まれていればよい。
また、放射線撮影装置5000には、到達線量表示手段5041が備えられている。到達線量表示手段5041は、例えば、到達線量としてEI値(Exposure Index値)を表示する。画素アレイ5112の各画素の画素値からEI値を算出する際に、各画素値をEI値に変換するテーブルは、物理特性値(画質特性値)に基づいている。本実施形態においては、放射線5002の入射方向が筐体5130の表面側(蛍光体側)か裏面側(光電素子側)かにより、画素値をEI値に変換する値が変わる。このため、到達線量表示手段5041は、放射線5002の入射方向に応じて表面の物理特性記憶手段5031及び裏面の物理特性記憶手段5032から適切な物理特性値(画質特性値)を選択して、到達線量を算出して表示する。なお、到達線量表示手段5041は、FPD撮影部5100の内部にFPGAとして実装されていてもよい。
図56は、図55に示す放射線撮影装置5000を用いて、被写体Hの放射線撮影の開始から終了までの処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、図56のステップS501において、被写体Hの撮影前に、医師等の医療従事者から、撮影オーダが撮影の現場に到着する。これらの撮影オーダには、撮影部位、体格、年齢、撮影目的等が含まれる。
続いて、ステップS502において、放射線撮影装置5000は、上述した撮影オーダ(更には物理特性値)に基づいて、操作パネル5060または画像表示手段5071に推奨する撮影方向が表面側(蛍光体側)か裏面側(画素アレイ側)かを表示する。このステップS502の処理を行う操作パネル5060または画像表示手段5071は、推奨する撮影方向(推奨する放射線5002の入射方向)を表示する方向表示手段に相当する。例えば、撮影オーダの撮影年齢が小児の場合には、被ばく線量が少なくなるように高感度、即ち高DQE(Detective Quantum Efficiency)となる放射線の入射方向が表面側(蛍光体側)であれば表面(A面/青色面)が表示される。また、例えば、撮影の主目的が骨折の有無であれば、高鮮鋭度、即ち高MTF(Modular Transfer Function)となる放射線の入射方向が裏面側(画素アレイ側)であれば裏面(B面/緑色面)が表示される。また、撮影オーダに経過観察や経時変化などがあれば、前回撮影と同じ筐体5130の面を推奨する面として表示する形態も採りうる。
続いて、ステップS503において、医療従事者(使用者)は、被写体Hを配置する。被写体Hは、FPD撮影部5100と放射線発生手段5001との間に、FPD撮影部5100にできるだけ近づけて配置する。本実施形態のFPD撮影部5100は、筐体5130の表面及び裏面の両面から放射線5002を入射させて放射線撮影を行うことが可能であるが、ここでは、ステップS502で推奨された方向に被写体Hを配置する。被写体Hの厚みが厚い場合などは、散乱線除去グリッド5003などを配置することも、ステップS503の被写体Hの配置に含まれる。
続いて、ステップS504において、放射線撮影装置5000は、放射線発生手段5001から放射線5002を発生させ、FPD撮影部5100に被写体Hの放射線画像を撮影させる。
続いて、ステップS505において、放射線撮影装置5000(角度検出手段5123)は、ステップS504の撮影時に、FPD撮影部5100の筐体5130の表面側または裏面側のどちらの方向から放射線5002が入射されたのかを検出する。例えば、角度検出手段5123は、手動入力手段5061、又は遮光画素5620や圧電素子を含み構成された加速度計測素子や撮影領域内5110に設けられたマーカを用いた自動入力手段から入力された情報に基づいて、放射線5002の入射方向を検出する。
続いて、ステップS506において、放射線撮影装置5000は、画像表示手段5071または操作パネル5060に、放射線5002の入射方向である撮影方向(表面または裏面)を表示する。
続いて、ステップS507において、放射線撮影装置5000は、ステップS506で表示された実際の撮影方向(表面または裏面)が、ステップS502で表示された推奨する撮影方向(表面または裏面)と同じであるか否かを判断する。
ステップS507の判断の結果、ステップS506で表示された実際の撮影方向(表面または裏面)が、ステップS502で表示された推奨する撮影方向(表面または裏面)と同じでない場合には(S507/No)、ステップS508に進む。
ステップS508に進むと、放射線撮影装置5000は、警告表示手段5072に、実際の撮影方向が推奨する撮影方向ではない旨の警告表示を行う。撮影方向が一致していない理由としては、感染対策でFPD撮影部5100の表裏が見えにくいこと等で医療従事者が間違えた場合や、被写体Hの姿勢の制限や時間タイミングなどの関係から画質の優先度よりも即時性の優先度が高い場合などが想定される。本実施形態の放射線撮影装置5000においては、医療従事者がFPD撮影部5100の表裏を間違えた場合においても、画像処理手段5050の処理によって再撮影の必要を低減することが可能である。
続いて、ステップS509において、放射線撮影装置5000は、実際に撮影された撮影方向(表面または裏面)に基づいて、表面の物理特性記憶手段5031または裏面の物理特性記憶手段5032の物理特性値(画質特性値)を切り替える。この際、物理特性値(画質特性値)には、画素値を元にした放射線の到達線量を含めてもよい。
続いて、ステップS510において、放射線撮影装置5000は、実際に撮影された撮影方向(表裏)の保存特性をもとに、撮影により得られた放射線画像に対して前処理手段5010でゲイン補正等を行う。
続いて、ステップS511において、放射線撮影装置5000は、ステップS509で設定された物理特性値(画質特性値)に基づいて、画像処理手段5050でノイズ抑制処理、周波数処理、諧調特性などを行う。ステップS509で設定された物理特性値(画質特性値)には、例えばディープラーニングを用いたノイズ抑制処理用の出荷前の機械学習の値も含まれる。
続いて、ステップS512において、放射線撮影装置5000は、撮影により得られた放射線画像のヘッダに、撮影した機種やシリアル番号だけではなく、撮影方向(表面または裏面)といった発生装置/FPD姿勢情報も付与する。また、線量指標値(EI値)も、放射線5002の入射方向に応じた物理特性値(画質特性値)を用いて適切に出力されて、放射線画像に付与される。
続いて、ステップS513において、放射線撮影装置5000は、必要に応じて、撮影により得られた放射線画像や発生装置/FPD姿勢情報を画像表示手段5071に表示する。医療従事者は、画像表示手段5071に表示された放射線画像等を確認し、問題が無ければ撮影終了となる。これにより、図56に示すフローチャートの処理が終了する。
図57は、図55に示すFPD撮影部5100の筐体5130の表面及び裏面から放射線5002を入射させて放射線画像の撮影を行った場合の画質特性の違いの原理を説明するための図である。この図57において、図55に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
本実施形態では、便宜的に、図57(a-1)に示す放射線5002の入射方向が蛍光体5111側を表面とし、図57(b-1)に示す放射線5002の入射方向が画素アレイ5112側を裏面としている。なお、表面及び裏面に替えて、A面及びB面や、方向1及び方向2、青面及び緑面といった、医療従事者から見てわかりやすい表現としてもよい。
図57(a-1)に示す放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の表面の場合には、FPD撮影部5100に入射した放射線5002が蛍光体5111で可視光5312に変換される。発光点5311は、入射側で発光することが物理現象として多いため、放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の表面の場合には、画素アレイ5112に可視光5312が到達するまでに距離があることになる。その結果、画素アレイ5112に可視光5312が届くまでに可視光5312が広がるため、図57(a-2)に示すように放射線画像の鮮鋭度(MTF)は低くなる。
一方、図57(b-1)に示す放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の裏面の場合には、発光点5311は、画素アレイ5112の近傍となる。このため、可視光5312の広がりを比較的抑制することができ、図57(b-2)に示すように放射線画像の鮮鋭度(MTF)が比較的高くなる。また、放射線5002が蛍光体5111に到達するまでに画素アレイ5112を通るため、感度(DQE)は少し低くなる。
この図57に示すように、同一のFPD撮影部5100を用いても放射線5002の入射方向が表面と裏面とでは、放射線画像の物理特性値(画質特性値)が異なるため、画像処理手段5050において両者で画像処理の変更を行う。画像処理には、視覚的な見た目を合わせる諧調処理などだけではなく、放射線撮影装置5000に特有なグリッド縞低減処理変更を行うことなどが望ましい。放射線画像中に映っているグリッド縞の鮮鋭度が放射線5002の表面入射と裏面入射で異なると、画像処理が弱すぎてグリッド縞が残るなどが起こりうるためである。例えば、線量指標値として、FPD撮影部5100に到達した画素値から演算して得たEI値を出力表示することが求められる。この際、表面入射と裏面入射で放射線画像の物理特性値(画質特性値)が異なるため、線量指標値の算出においても、放射線入射方向に応じて変更させる。なお、図57(a-1)及び図57(b-1)では、画素アレイ5112から見て蛍光体5111が片側だけに配置されているが、両側に配置してもよい。画素アレイ5112の両側に蛍光体5111を配置する場合には、より多くの放射線5002を可視光5312に変換する方の蛍光体5111を図57(a-1)及び図57(b-1)は図示していると解釈できる。
図58は、図55に示す操作パネル5060に表示される操作画面の一例を示す図である。この操作画面には、表示領域5410と、表示領域5410に設けられたCancelボタン5411及びOKボタン5412が設けられている。
図58(a)は、撮影前に、撮影部位、体格、年齢、撮影目的等の撮影オーダから撮影方向の推奨の画面の例である。小児の場合は高感度、四肢の場合は高解像度となる撮影方向の推奨を事前に表示する。
図58(b)は、事前に推奨した撮影方向と、入力/検出された撮影方向が異なった場合に、撮影方向の警告の画面の例である。各々の撮影方向の表示とともに、入力/検出された撮影方向が誤入力/誤検出である可能性もあるため、確認を促すものである。また、表示された画像や線量指標値、EI値が、異なる物理特性値(画質特性値)に基づいてなされている可能性があるので、確認を促すことが望ましい。
図58(c)は、画像処理のデフォルト変更画面の例である。事前に推奨した撮影方向と、入力/検出された撮影方向が異なった場合には、画像処理が異なる物理特性値(画質特性値)に基づいてなされている可能性があるので、変更を促すための画面である。
図58(d)は、EI値の算出の表裏による算出変更の画面の例である。事前に推奨した撮影方向と、入力/検出された撮影方向が異なった場合には、EI値等の線量指標値が異なる物理特性値(画質特性値)に基づいてなされている可能性があるので、変更を促すための画面である。
なお、図58では操作パネル5060に表示される操作画面であるとしたが、画像表示手段5071の画面や、専用の警告表示手段5072の画面であってもよい。また、図58は撮影直後の検像前の画面の例であるが、その後の2次検像や診断時などの画面でもよい。
図59は、図55に示すFPD撮影部5100の外観の一例を示す図である。
FPD撮影部5100は、蛍光体5111及び画素アレイ5112等が配置される撮影領域内5110と、プリント基板等が配置される撮影領域外5120の2つの領域に区分される。具体的に、図59(a)はFPD撮影部5100を表面(A面)の側から見た図であり、図59(b)はFPD撮影部5100を裏面(B面)の側から見た図である。
撮影領域内5110には、プリント基板や、バッテリ等の電源供給手段5121、アンプIC等の信号増幅手段5122、角度検出手段5123等が配置されていないため、薄型化が可能となる。一方、撮影領域外5120には、プリント基板や、電源供給手段5121、信号増幅手段5122、角度検出手段5123等が配置されているため、撮影領域内5110と比較すると厚肉部となる。即ち、FPD撮影部5100の筐体5130における撮影領域内5110と撮影領域外5120とは、厚みが異なり、撮影領域内5110の方が撮影領域外5120よりも厚みが小さくなっている。また、撮影領域内5110と撮影領域外5120で厚みが異なるスペースを活かして、グリッド装着スペース5160を設けることが望ましい。
また、図59のFPD撮影部5100の筐体5130には、図57に示す蛍光体5111の側に位置する表面である第1の面と、図57に示す画素アレイ5112の側に位置する裏面である第2の面に、撮影領域の範囲を示す指標5113、5114が表示されている。これにより、医療従事者は、筐体5130の表面及び裏面に表示された撮影領域の範囲を示す指標5113、5114を見ることにより、FPD撮影部5100の表面及び裏面の両面から放射線撮影が可能であることを把握することができる。
なお、図59では、平らな面に置きやすくするため、厚肉部である撮影領域外5120と薄肉部である撮影領域内5110とを同一平面で構成する例を示したが、本実施形態においてはこれに限定されるものではない。グリッド装着スペース5160をFPD撮影部5100の表面及び裏面の両方に設ける斜面図にも適用可能である。従来の放射線撮影装置と同様な使用勝手や間違い防止をわかりやすく設けることが適切な場合には、図59に示すような構成が望ましい。一方、ベッドなどの回診車使用が主で、固い平らな面に置くことが少なく、FPD撮影部5100の表面及び裏面の撮影割合が同等の頻度となる使用の場合、同一平面は無しにしてグリッド装着スペース5160を表面及び裏面に設ける構成の方が適切となる。
図60は、図55に示すFPD撮影部5100の断面例を示す図である。具体的に、図60(a)は、図59に示すグリッド装着スペース5160がFPD撮影部5100の表面及び裏面の両面にある場合の断面例である。図60(b)は、図59に示すグリッド装着スペース5160が片面のみにある場合の断面例である。この図60(a)及び図60(b)において、図55に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図60(a)に示す断面例では、グリッド装着スペース5160がFPD撮影部5100の表面及び裏面の両面にあるため、それぞれ、散乱線除去グリッド5003及び後方散乱線対策板5004を配置することができる。このため、放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の表面か裏面かによって装着配置を変更することが可能となる。また、ベッド架台や立位架台などに装着する際は、後方に金属などの原子番号が大きい物質が不均一に存在すると、後方散乱線により画像にアーチファクトや、散乱放射線のかぶりにより放射線画像にボケが生じる可能性がある。FPD撮影部5100の表面及び裏面の両方にグリッド装着スペース5160が存在すると、放射線5002の入射方向側には、散乱線除去グリッド5003を配置できる。また、放射線5002の入射方向とは反対側には、空隙か、後方散乱線対策板5004または後方散乱線対策板5004の代替として散乱線除去グリッド5003を配置することが可能となる。
FPD撮影部5100に係る医療用のカセッテは、JIS(Z4905)やISO(4090)などで厚みに標準が定められており、一般撮影用カセッテ標準寸法では、15mm(+1mm,-2mm)とされている。カセッテの厚みが厚いと、標準寸法を前提に立位架台や臥位架台に入らなくなる可能性がある。一方、カセッテの厚みが薄い分には、カセッテの外側にカバーを施すことによって所定の厚みに厚くすることは可能である。本実施形態において、FPD撮影部5100の撮影領域内5110と撮影領域外5120とは厚みが異なり、撮影領域内5110の厚みは10mm以下であることが望ましい。散乱線除去グリッド5003の厚みは、鉛箔部分の厚みと被覆材の厚みで構成されるが、合計で3mm以下となることが多い。この際、被覆材の厚みは約0.5mmである。鉛箔部分の厚みはグリッド比によって異なるが、4:1で0.8mm、6:1で1.2mm、10:1で2.0mm程度である。よって、一般撮影用カセッテ標準寸法の最大値16mmに対して、散乱線除去グリッド5003の最大の厚み3mmを両側に配置した際の総厚6mmを減算し、撮影領域内5110の厚みは10mm以下であることが望ましい。撮影領域内5110の厚みを10mm以下とすることにより、単に薄くなるだけでなく、標準寸法で設計された臥位架台、立位架台にグリッド込みでいれることができるという組み合わせだけでは達成できない新たな効果が生れる。
また、図60を用いて、FPD撮影部5100の筐体5130を構成する材質の要件を満たすために、高剛性材及び高透過率材の両方を満たす必要性があることを説明する。例えば、CsIのような蛍光体5111では、外力を起因として塑性変形が起こると、CsIの柱がゆがみ画像への影響が出てくる。また、画素アレイ5112の光電変換素子がアレイ状に配置されたフイルムやガラスも、外力が加わると割れやヒビが入り、放射線画像への影響や耐久性への影響があることがありうる。また、本実施形態においては、撮影領域内5110の筐体5130の部分は、外力を伝えにくい高剛性材であることが望ましい。一方、放射線撮影装置5000では、できるだけ低線量の放射線5002で撮影できることが望ましい。一般に剛性が強い材質は、放射線透過率が低い材質であることが多いため、放射線5002が入射する筐体5130の表面部分は、高透過率の材質であることが望ましい。また、値段は高くなることがあるが、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)などは、高放射線透過率の性質と高剛性の性質を両方兼ね備えた材質ということもできる。FPD撮影部5100の筐体5130の表面と裏面の材質が異なり、蛍光体5111側には高放射線透過率の材質からなる高透過板5132を設け、画素アレイ5112側には高剛性の材質からなる高剛性板5131を設けることが望ましい。
図61及び図62は、図55に示すFPD撮影部5100の筐体5130の構成例を示す図である。この図61及び図62において、図55に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。図61では、縦軸はFPD撮影部5100の内部構成とし、横軸はFPD撮影部5100の筐体5130の構成材質としたマトリクスを図示したものである。
図61(a)及び図61(c)は、筐体5130の構成材質として、上側を高透過率の材質とし、下側を高剛性の材質としている。図61(b)及び図61(d)は、筐体5130の構成材質として、上側に高剛性の材質、下側に高透過率の材質を構成している。例えば、図61(a)及び図61(c)のように、筐体5130の側壁を高剛性の材質とした方が厚みを薄くすることができる。また、筐体5130の側壁を高透過率の材質とした場合、重量は軽量化できるメリットはある。しかしながら、筐体5130の側壁から入射される放射線5002は可能であれば除去した方が適切であるため、図61(a)及び図61(c)に示すように側壁を高剛性の材質とした方が適切である。なお、図61(b)及び図61(d)のように下側を高透過率の材質とした場合には、画素アレイ5112や蛍光体5111に、外力が伝わらないようにするため、空隙(クリアランス)または外力からの緩衝材が必要となる可能性がある。FPD撮影部5100の筐体5130の厚みに関して、図61(a)及び図61(c)と比較して、図61(b)及び図61(d)を厚くしているのは、側壁の構造に伴う反映を行ったものである。
次に、図61の縦軸で見ると、図61(a)及び図61(b)は、上側に蛍光体5111を配置し、下側に画素アレイ5112を配置したFPD撮影部5100の構成例である。また、図61(c)及び図61(d)は、上側に画素アレイ5112を配置し、下側に蛍光体5111を配置したFPD撮影部5100の構成例である。放射線5002が入射する方向に、蛍光体5111がある構成か、画素アレイ5112がある構成かで、同じ放射線5002が入射されても、放射線画像の画質特性が異なることを、図57を用いて説明した。
例えば、放射線5002が入射する方向に蛍光体5111がある表面入射の場合、図57で説明したメカニズムにより、放射線画像の画質特性は、高DQE、低MTFとなる。低MTFとなる理由は、蛍光体入射側に発光点5311が発生することが確率的には支配的であるため、可視光5312が光電変換素子に到達するまでに距離が蛍光体の厚み分(約300~700μm)発生し、柱状蛍光体を用いた場合でも光が拡散するためである。
逆に、放射線5002が入射する方向に画素アレイ5112がある裏面入射の場合、図57で説明したメカニズムにより、放射線画像の画質特性は、低DQE、高MTFとなる。低DQEとなる理由は、放射線5002が蛍光体5111に入射するまでに、画素アレイ5112を透過するために、到達する放射線5002が約1%~3%低下するためである。また、高MTFとなる理由は、蛍光体入射側で発光点5311が発生することが確率的には支配的であるため、発光点5311と画素アレイ5112との距離が短く、可視光5312が拡散する量が少ないためである。
次に、図61を用いて、FPD撮影部5100の筐体5130における医療用の好適例を説明する。医療用の用途においても、高感度が必要な撮影と高鮮鋭度が必要な撮影が存在する。例えば小児のように被ばく線量を少なくすることが求められる撮影においては、高感度が求められる。また、成人でより細かい構造を把握することが求められる撮影においては、高精度が求められる。医療用用途においては、事前に撮影目的や、撮影部位、体格、年齢、前回撮影情報などが判っているため、筐体5130の表面及び裏面を適切に選択きるように、推奨を表示することが適切である。この際に、ニーズは主に以下の(1)及び(2)の2つあると考えられる。
(1)表面と裏面の画質上の強みを強めるように製品化するニーズ
(2)表面と裏面をどちらでも同じ画質なるように製品化するニーズ
(1)のニーズの場合には、例えば図61(a)及び図61(d)の筐体5130の構成が好適である。特徴としては、高DQE/低MTFとなる側には高透過率の材質を配置していることである。図61(a)及び図61(d)の筐体5130の構成とすることで、高DQE/低MTFとなる撮影の際に高DQE、つまり感度に特化した撮影を行うことができる装置となる。一方、高剛性の材質も用いているため、撮影領域内5110が薄肉あっても、外力に対して比較的強くなる。
また、(2)のニーズの場合には、図62に示すFPD撮影部5100のように表面側及び裏面側の両側に蛍光体5111を配置して、両側の蛍光体5111で画素アレイ5112を挟むことが望ましい。また、この場合に、筐体5130の材質も表面と裏面を同一の材質とすることが望ましく、例えばCFRRのような放射線5002に対する高透過率と高剛性を両立する材質を用いることで実現できる。図62に示すように、対称性のあるFPD撮影部5100の構成とすることで表面と裏面のどちらの面から放射線5002を照射しても同じ放射線画像の画質となる。表面と裏面とで同じ放射線画像の画質となることで、放射線5002の入射方向に基づく画像処理変更を行う必要性がなくなるというメリットある。高剛性の材質としては、例えば、鉄、マグネシウム、アルミ鋳物合金、セラミックスや、金属セラミックス素複合材料などが挙げられる。また、高透過率の材質としては、カーボンなどが挙げられる。高剛性板5131と高透過板5132を両方満たす素材であれば、本構成にこだわる必要がない。例えば、強化型のCFRPであれば、カーボンといった元素番号が低く放射線透過率が高いにもかかわらず、炭素繊維の織り込みにより剛性が高い。CFRPのような材質であれば、表面及び裏面の両方に使用するのに適している。しかしながら、価格は比較的高いため、表面及び裏面のどちらかは、放射線透過率は低いが、剛性は高いMgなどの金属板を用いることが適切である。そのような場合には、本実施形態のFPD撮影部5100の構成で実現することが望ましい。
図63は、第21の実施形態及び比較例に係る放射線撮影装置5000の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図63(a)は、本開示の第21の実施形態に係る放射線撮影装置5000の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図63(b)は、比較例に係る放射線撮影装置の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図63(a)及び図63(b)に示す処理において両者に共通する処理、即ち図63(b)に示す比較例に係る処理について説明を行う。
まず、図63(b)に示すステップS601において、FPD撮影部5100は、撮影により得られた放射線画像を生画像としてCPU5008に送信する。
続いて、図63(b)に示すステップS603において、前処理手段5010は、生画像に対して前処理を行う。前処理では、オフセット補正(暗画像補正)、ゲイン補正(明画像補正)、Log変換、欠損補正等がなされる。
続いて、図63(b)に示すステップS605において、前処理手段5010は、前処理を行った画像をオリジナル画像として保存する。
続いて、図63(b)に示すステップS606において、放射線撮影装置5000は、オリジナル画像に対してFPD撮影部5100の種類ごとのセンサ特性補正処理を行う。例えば、MTFがセンサごとに異れば各センサを同等にする処理を行う。センサごとの特性が異なる画像をQA処理しても、見え方がセンサごとに異なり、調整が難しいためである。
続いて、図63(b)に示すステップS608において、放射線撮影装置5000は、センサ特性補正処理を行った画像をプレQA画像とする。このプレQA画像は、医師等の医療従事者が診断しやすい画像になっていない。そこで、次工程のQA処理が行われる。
続いて、図63(b)に示すステップS609において、画像処理手段5050は、プレQA画像に対してQA処理を行う。このQA処理としては、諧調処理、先鋭化処理、周波数処理、グリッド縞低減処理などが挙げられる。諧調処理は、例えば胸部正面画像であれば、肺野と縦郭を見えやすくして他の濃度はつぶすといったS字カーブ等をかける。先鋭化処理は、末梢血管を追いたい場合や骨梁を見る場合などに行われる。周波数処理は、骨やスピキュラスなどを見たい場合には高周波数を強調し、腫瘤などを検診で見たい場合には低周波数を強調する。グリッド縞低減処理は、使用されたグリッド周波数及びその折り返し周波数による縞を低減する。
続いて、図63(b)に示すステップS610において、画像処理手段5050は、QA処理行った画像をQA画像とする。
続いて、ステップS611において、放射線撮影装置5000は、画像表示手段5071にQA画像をプレビュー表示し、医療従事者に検認を行わせる。また、この際、医療従事者は、撮影情報(例えば、撮影方向(表面または裏面)の確認も行う。
続いて、図63(b)に示すステップS612において、放射線撮影装置5000は、ステップS611の確認の結果がOKか否かを判断する。この判断の結果、ステップS611の確認の結果がOKでない(NGである)場合には(S612/No)、ステップS608に戻り、ステップS608以降の処理を行う。
一方、図63(b)に示すステップS612の判断の結果、ステップS611の確認の結果がOKである場合には(S612/YES)、図63(b)に示すフローチャートの処理を終了する。
次に、図63(a)に示す本開示の第21の実施形態に係る処理について説明を行う。
図63(a)に示すステップS601における生画像の取得の後に、図63(a)に示すステップS602において、生画像の保存処理を行う。
続いて、図63(a)に示すステップS603において、前処理手段5010は、生画像に対して第1の前処理を行う。第1の前処理では、オフセット補正(暗画像補正)、第1のゲイン補正(明画像補正)、Log変換、第1の欠損補正等がなされる。
続いて、図63(a)に示すステップS604において、前処理手段5010は、第1の前処理を行った画像に対して、第2の前処理を行う。第2の前処理では、第2のゲイン補正(明画像補正)、第2の欠損補正等がなされる。
続いて、図63(a)に示すステップS605において、前処理手段5010は、第2の前処理を行った画像をオリジナル画像として保存する。
続いて、図63(a)に示すステップS606において、放射線撮影装置5000は、図63(b)のステップS606と同様に、オリジナル画像に対してFPD撮影部5100の種類ごとのセンサ特性補正処理(第1のセンサ特性補正処理)を行う。
続いて、図63(a)に示すステップS607において、放射線撮影装置5000は、オリジナル画像に対して第2のセンサ特性補正処理を行う。この図63(a)に示す第2のセンサ特性補正処理の詳細については後述する。
続いて、ステップS608において、放射線撮影装置5000は、第2のセンサ特性補正処理を行った画像をプレQA画像とする。
続いて、図63(a)に示すステップS609において、画像処理手段5050は、プレQA画像に対してQA処理を行う。
続いて、図63(a)に示すステップS610において、画像処理手段5050は、QA処理行った画像をQA画像とする。
続いて、図63(a)に示すステップS611において、放射線撮影装置5000は、画像表示手段5071にQA画像をプレビュー表示し、医療従事者に検認を行わせる。また、この際、医療従事者は、撮影情報(例えば、撮影方向(表面または裏面))の確認も行う。
続いて、図63(a)に示すステップS612において、放射線撮影装置5000は、ステップS611の確認の結果がOKか否かを判断する。この判断の結果、ステップS611の確認の結果がOKでない(NGである)場合には(S612/No)、ステップS602に戻り、ステップS602以降の処理を行う。
一方、図63(a)に示すステップS612の判断の結果、ステップS611の確認の結果がOKである場合には(S612/YES)、図63(a)に示すフローチャートの処理を終了する。
図63(a)に示す本開示の第21の実施形態に係る処理では、ステップS611においてQA画像の検認を行う際に、撮影情報(例えば、撮影方向(表面または裏面))の確認をしている。もし、画像処理手段5050による画商処理がFPD撮影部5100の表面及び裏面で逆の画像処理になっていると、より適切な放射線画像を生成する余地が残っている。そこで、図63(a)に示す本開示の第21の実施形態に係る処理では、ステップS612の判断の結果、ステップS611の確認の結果がOKでない(NGである)場合には(S612/No)、ステップS602まで戻る必要がある。なぜならば、FPD撮影部5100の表面及び裏面で異なるゲインマップを用いてゲイン補正を行っている可能性や蛍光体5111のキズがある場合に表面及び裏面が異なると適切な座標の欠損マップ補正が行われていない可能性があるからである。画像の各処理を逆変換しても当然良いが処理に時間がかかり、必ずしも可逆的に元の画像に戻るとは限らない。
図63(a)に示す本開示の第21の実施形態に係る処理では、ステップS602において生画像を保存しておき、FPD撮影部5100の表面及び裏面が異なる場合には、ステップS602の生画像にまで戻ることも適切である。その後、ステップS603及びS604において、第1の前処理及び第2の前処理が行われる。放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の表面及び裏面で異なる場合の前処理は、FPD撮影部5100の表面及び裏面について、入力された実際の放射線5002の入射方向に合わせて第2の前処理を行う。この第2の前処理は、例えばゲイン補正処理や欠損補正処理である。
また、ステップS605で得られたオリジナル画像に対して、センサ特性補正も、放射線の入射方向がFPD撮影部5100の表面及び裏面で異なるため、ステップS607では、実際の表裏のセンサの物理特性に合わせて第2のセンサ特性補正を行う。
また、ステップS609では、ステップS608で得られたプレQA画像に対してQA処理610が行われ、その後、ステップS611において再度の放射線画像の検認が行われることになる。
図63に示す例では、ステップS611は画像確認の処理としたが、実際には画像の画素値を用いて線量指標値(EI値)を算出することも多い。放射線5002の入射方向がFPD撮影部5100の表面か裏面かで同じ線量が到達しても生画像における画素値が異なることがある。実際のFPD撮影部5100の表面か裏面かのセンサの物理特性に合わせて、線量に対する画素値を補正することが望ましい。この点、本実施形態におけるフローチャートは、単に画像だけではなく、線量指標値(EI値)などの画素値を用いた解析機能にも適用されうる。また、図63(a)で説明した本実施形態におけるフローチャートは、プレQA画像の前段階で、FPD撮影部5100の表面及び裏面のセンサにおける物理特性の差を吸収するフローチャートとした。なお、線量指標値(EI値)なとは、別に補正を行うフローチャートでもよい。また画像だけであれば、QA処理の強弱や周波数等を調整する値を、FPD撮影部5100の表面または裏面で切り替えることで、プレQA画像の後段階で調整を行ってもよい。
図64は、第21の実施形態及び比較例に係る画像処理手段5050の画像処理例を示す図である。図64では、FPD5200で撮影された放射線画像及びシリアル番号5230をCPU5008内の画像処理・調整ソフト5240で処理して、処理後の放射線画像等5250をモニタ/PACS5260に出力する流れが示されている。なお、画像処理・調整ソフト5240は、FPD5200の外部で実施しているが、FPD5200の内部で実施されてもよい。
画像処理・調整ソフト5240に入力されるFPD5200は複数ある。図64では、比較例としてFPD5200の片面のみから撮影可能なFPD5210と、第21の実施形態としてFPD5200の表面及び裏面の両面から撮影可能なFPD5220とに分けている。FPD5200の表面及び裏面の両面から撮影可能なFPD5220は、画像処理・調整ソフト5240から見ると、2つのセンサ5221及び5222と認識することができる。つまり、2つのセンサ5221及び5222は、シリアル番号は同じであるが、センサの物理特性は表面と裏面で異なるため、別々のセンサの物理特性をもつ機種として扱うことができる。
画像処理・調整ソフト5240には、各々の機種ごとまたは固体ごとのセンサ特性ファイル5241が保存されている。具体的に、センサ特性ファイル5241には、例えば、各々の機種ごとまたは固体ごとの感度、ノイズ、MTF、量子ノイズなどが保存されている。画像処理手段5050では、送られてきたセンサのシリアル番号5230や、入力/検出された表面・裏面情報から、撮影されてFPD5200に適したセンサ特性ファイル5241を選択して、画像処理を行う。
また、画像処理・調整ソフト5240は、使用者が、輝度調整、諧調処理、周波数調整、ノイズ低減調整などを調整可能なGUI5242を有する。使用者は、画像を見ながら調整を行い、適切な画像が出たらモニタ/PACS5260に出力する。図64では、画像処理・調整ソフト5240から見ると、表面のセンサ5221と裏面のセンサ5222は、各々異なるFPD5200として処理されたが、異なるシリアル番号5230を付与して画像処理としては演算する構成であってもよい。
図65は、図55に示すFPD撮影部5100の外観及び内部構成の一例を示す図である。この図65において、図55に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。具体的に、図65は、FPD撮影部5100に対する放射線5002の入射方向の検出を自動入力するための構成例を示している。なお、図65では、放射線5002の入射方向の検出を自動入力することを前提としたが、FPD撮影部5100に対する放射線5002の入射方向の検出を医療従事者が手動入力してもよい。
図65(a)は、FPD撮影部5100の筐体の外観の一例を示す図である。放射線5002の入射方向の検出構造は、FPD撮影部5100の筐体の内部に内蔵されていることが望ましいが、FPD撮影部5100の筐体の外部に設けられていてもよい。FPD撮影部5100の筐体の外部に放射線5002の入射方向の検出構造を設ける例として、例えば、図65(a)には、筐体の外部の撮影領域内5110に表面マーカ5101を配置している。そして、この場合、表面マーカ5101を含む撮影領域内5110に照射された放射線5002に基づく放射線画像を解析することにより、放射線5002の入射方向の検出を自動入力することができる。
図65(b)は、図55に示すFPD撮影部5100の内部構成の一例を示す図である。具体的に、図65(b)は、FPD撮影部5100の撮影領域内5110における内部構成の一部をばらして図示したものである。筐体の内部に表面マーカ5141、例えば画素アレイ5112の表面側及び裏面側に緩衝材5140が配置されている場合には、その緩衝材5140に表面マーカ5141が取り付けられていてもよい。ただし、上述した方法では、表面マーカの位置が放射線画像に映り込むというデメリットもある。この点を考慮して、筐体の内部に圧電素子を用いた加速度計測素子5150を設けて、事前に放射線発生手段5001の位置をキャリブレーションし、加速度計測素子5150を用いて放射線5002の入射方向が表面からか裏面からかを判定することが望ましい。また、画素アレイ5112において、表面側及び裏面側のうちの片側または両側が遮光マスクで遮光された遮光画素5620を用いて放射線5002の入射方向が表面からか裏面からかを判定することもできる。図65(b)に示すように、画素アレイ5112に通常画素5610だけでなく遮光画素5620を入れておくことにより、放射線5002の入射方向を判定することができる。放射線5002の入射方向が表面か裏面かを精度よく判定するためには、画素アレイ5112の全体に少なくとも500画素×500画素に1画素が、遮光画素5620や表示マーカが配置されており、照射野を絞った場合でも検出できる構成であることが望ましい。また、画素アレイ5112の中央部に放射線5002が当たらない撮影は少ないので、画素アレイ5112の周辺部は疎の配置とし、画素アレイ5112の中央部は蜜の配置とすることが望ましい。図65では、表面マーカ、加速度計測素子5150及び遮光画素5620を用いた3つの放射線入射方向判定方法を説明したが、1つの放射線入射方向判定方法であってもよいし、医療従事者が手動入力手段5061から入力してもよい。
図66は、第21の実施形態を示し、図65に示す遮光画素5620を用いた放射線入射方向判定方法を説明するための図である。この図66において、図55及び図65に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図66(a)には、画素アレイ5112において、光電変換素子5601を含む通常画素5610と、光電変換素子5601と光電変換素子5601の上側に配置された遮光マスク5602とを含む遮光画素5620-Aが設けられている。遮光画素5620-Aは、光電変換素子5601の上側から入射する光を遮光する遮光画素5620である。
図66(b)には、画素アレイ5112において、通常画素5610と、遮光画素5620-Aと、光電変換素子5601と光電変換素子5601の下側に配置された遮光マスク5603とを含む遮光画素5620-Bが設けられている。遮光画素5620-Bは、光電変換素子5601の下側から入射する光を遮光する遮光画素5620である。
図66(a)及び図66(b)では、画素アレイ5112に対して上側及び下側の両側に蛍光体5111が形成されている例を示しているが、片側のみに蛍光体5111が形成されている形態であってもよい。図66(a)及び図66(b)では、放射線5002の上側からの入射と下側からの入射の両方が記載されているが、同時に照射されるのは上側または下側のどちらか1方向のみである。
画素アレイ5112にアレイ状に配置された各画素には、光電変換素子5601が含まれている。遮光マスク5602は、その遮光画素5620-Aの内部に光が全く入らない構造ではなく、上側及び下側のうちの片側からは光が入射しやすい構造となっている。光電変換素子5601の電変換層は斜めから入射した光にも感度があるため、遮光マスク5602及び遮光マスク5603は、光電変換素子5601よりも面積が大きいことが好ましく、またL字型に構成されていることが望ましい。ただし、本実施形態においては、遮光マスク5602及び遮光マスク5603による遮光は、完全な遮光である必要はない。放射線5002の入射方向が統計的に判定できればよいだけであるため、遮光率が例えば50%程度でも十分に放射線5002の入射方向を判定可能である。
図66(a)の例を説明する。
例えば上側から放射線5002が入射した場合、遮光マスク5602で半遮光された半遮光A画素5620-Aの出力の統計値と、通常画素5610の出力の統計値は、図66(a-1)のようになったとする。また、下側から放射線5002が入射した場合、半遮光A画素5620-Aの出力の統計値と、通常画素5610の出力の統計値は、図66(a-2)のようになったとする。通常画素5610の統計値(平均値と標準偏差値)と半遮光A画素5620-Aの統計値(平均値と標準偏差値)とは、図66(a-1)及び図66(a-2)に示すように放射線5002の入射方向によって有意に異なる。ここでは、統計値(平均値と標準偏差値)と記載したが、統計値(平均値)だけで十分である可能性ある。半遮光A画素5620-Aの数が多いほど統計的な安定性は増加し、多くの照射野絞りに対応できる。また、被写体Hの構造が複雑な場合や、散乱線除去グリッド5003のように隣り合う画素の画素値が少しずつ異なるような被写体Hの場合には、統計的な安定性が増す。しかしながら、半遮光A画素5620-Aは、画像上は欠損画素なるため、数が少ない方が望ましい。
図66(b)は、遮光画素5620-Aで上側を遮光し、遮光画素5620-Bで下側を遮光する。即ち、図66(b)は、上側及び下側の両側を遮光することによって放射線5002の入射方向を判定する方法を説明する図であるが、原理は上述した図66(a)と同じである。図66(b)では、光電変換素子5601の上側及び下側の両側に遮光マスク5602及び5603を配置するため、半導体の製造工程が増えるというデメリットがある。ただし、他の機能を目的に、表面及び裏面の両面で撮影可能な放射線撮影装置5000において、光電変換素子5601の上側及び下側の両側に遮光マスク5602及び5603が配置されている場合には、以下の処理を行うことが考えられる。即ち、図66(b)に示す半遮光A画素5620-A及び半遮光B画素5620-Bにおいて、半遮光A画素5620-Aと半遮光B画素5620-Bとに分けて各々の統計処理を行う。これにより、精度や、被写体Hや照射野によって、放射線画像が変化してもロバスト性を向上させることができる可能性がある。なお、図66(a-1)~図66(b-2)では、半遮光画素として記載しているが、他の目的で実装されている遮光画素を用いてもよい。他の目的の例として、画像やFPD撮影部5100に内蔵されたAEC機能の暗電流の補正等に用いられる完全遮光画素を用いることも、本実施形態における遮光画素5620に含まれる。
図67は、図55に示す放射線撮影装置5000による放射線入射方向判定処理における処理手順の一例を示す図である。この図67において、図56に示す処理ステップの同じ処理ステップについては同じステップ番号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図67に示すフローチャートの処理では、既に撮影条件が定まっている。このため、まず、ステップS502において、放射線撮影装置5000は、操作パネル5060または画像表示手段5071に推奨する撮影方向が表面側(蛍光体側)か裏面側(画素アレイ側)かを表示する。その後、医療従事者は、推奨する撮影方向(表面または裏面)の表示に基づいて、放射線撮影装置5000を設置する。
続いて、ステップS504において、放射線撮影装置5000は、放射線発生手段5001から放射線5002を発生させ、FPD撮影部5100に被写体Hの放射線画像を撮影させる。
ステップS504で撮影された放射線画像は、遮光画素5620と通常画素5610で統計処理をする際に、画像上の場所に応じて、放射線発生手段5001の発生分布や、被写体Hの構造等により、通常画素5610でも画素値が異なる。このため、ステップS701において、放射線撮影装置5000は、ステップS504で撮影された放射線画像を領域分割して、同じ画像領域や近い場所において画素値が同等になると仮定して演算を行う。
続いて、ステップS702において、放射線撮影装置5000は、通常画素5610の画素値の統計解析を行う。
続いて、ステップS703において、放射線撮影装置5000は、遮光画素5620-A及び5620-Bの画素値の統計解析を行う。
上述した画素値の統計計算は、平均値と標準偏差値を用いて、放射線画像の同領域内で演算する。
続いて、ステップS704において、放射線撮影装置5000は、通常画素5610と遮光画素5620の両方の統計解析結果を比較する。表面と裏面で統計的には明かに違うため、統計的な有意差検定を用いるまでもないが、次のステップS705において、放射線撮影装置5000は、放射線入射方向(表面または裏面)の判定を行う。
続いて、ステップS506において、放射線撮影装置5000は、画像表示手段5071または操作パネル5060に、放射線5002の入射方向である撮影方向(表面または裏面)を表示する。その後、図56のステップS507以降の処理を行う。
本実施形態は、遮光画素5620による放射線入射方向判定だけに限定されない。例えば、圧電素子を用いた加速度計測素子5150による放射線入射方向判定を行ってもよい。加速度計測素子5150は、加速度を受けると方向に依存して電荷を発生する。随時計測を行い、発生した電荷の積分値を取ることにより、図67のステップS711において、加速度計測素子5150は、相対的な角度を随時取得する。
続いて、ステップS712において、放射線撮影装置5000は、得られた積分値から初期値からの相対角度を演算して算出する。
続いて、ステップS713において、放射線撮影装置5000は、撮影前に電源を入れた後の放射線発生手段5001との角度キャリブレーション結果と比較する。これにより、放射線撮影時点での放射線発生手段5001と放射線撮影装置5000との相対角度を把握することができる。本実施形態では、撮影が表面か裏面かを把握できればよいので、1°単位での精度は要求されない。また、加速度計測素子5150の弱点は、あくまでも相対角度であり、電源がOFFされた時に、移動した場合は算出が難しくなることにある。また、放射線発生手段5001が移動した場合も、放射線撮影装置5000単体では算出が難しくなる。ジャイロセンサのような地磁気に対して角度を撮影することも適切である。ただし、病院内はMRIが近くにある可能性もあり、角度測定前にキャリブレーションを実施していることが、精度確保の上では前提となる。
図68は、第21の実施形態に係る放射線撮影装置5000を適用可能な撮影システムの具体例を示す図である。本実施形態に係る放射線撮影装置5000は、例えば、図68に示す胸部撮影装置5000-1や、ブッキー立位撮影台5000-2、天板昇降式のブッキーテーブル5000-3、DUアラーム型ブッキー撮影装置5000-4に取り付けることができる。
本実施形態に係る放射線撮影装置5000は、放射線5002が照射される撮影領域の範囲内である撮影領域内5110に、放射線5002を光に変換する蛍光体5111と、光電変換素子5601を含む画素が複数配置された画素アレイ5112を備える。また、放射線5002が照射される撮影領域の範囲外である撮影領域外5120に、画素アレイ5112と通信を行う電子部品を備えたプリント基板を備える。さらに、本実施形態に係る放射線撮影装置5000は、蛍光体5111、画素アレイ5112及びプリント基板を収容する筐体5130を備える。そして、筐体5130は、蛍光体5111の側に位置する第1の面と画素アレイ5112の側に位置する第2の面に、撮影の際に放射線5002が照射される撮影領域の範囲を示す指標5113、5114が表示されている。
かかる構成によれば、撮影領域外5120にプリント基板が備えられているため、筐体5130の第1の面と第2の面を間違えて設置した場合でも、撮影により得られる放射線画像にプリント基板が映り込むことを防止することができる。また、筐体5130の第1の面と第2の面に、撮影の際に放射線5002が照射される撮影領域の範囲を示す指標5113、5114を表示している。このため、医療従事者は、筐体5130の第1の面及び第2の面の両面から放射線撮影が可能であることを把握することができる。以上により、放射線撮影装置の撮影領域に対して放射線5002の入射方向が変更された場合に、被写体Hの再撮影の頻度を低減させることができる。
また、本実施形態の画像処理手段5050は、撮影領域に対して、筐体5130の第1の面から入射した放射線に基づき得られた放射線画像と、筐体5130の第2の面から入射した放射線に基づき得られた放射線画像とで、異なる画像処理を行う。
かかる構成によれば、放射線撮影装置の撮影領域に対して放射線5002の入射方向が変更された場合にも、放射線画像の画質劣化を抑制することが可能となり、被写体Hの再撮影の頻度を低減させることができる。
(その他の実施形態)
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本開示に含まれる。
なお、上述した本開示の第21の実施形態は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本開示は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本開示の第21の実施形態は、以下の構成を含む。
[構成70]
入射した放射線を検出して放射線画像を撮影する放射線撮影装置であって、
前記放射線が照射される撮影領域の範囲内に設けられ、前記放射線を光に変換する蛍光体と、
前記撮影領域の範囲内に設けられ、前記光を前記放射線画像における電気信号に変換する光電変換素子を含む画素が複数配置された画素アレイと、
前記撮影領域の範囲外に設けられ、前記画素アレイと通信を行う電子部品を備えたプリント基板と、
前記蛍光体、前記画素アレイおよび前記プリント基板を収容する筐体と、
を有し、
前記筐体は、前記蛍光体の側に位置する第1の面と前記画素アレイの側に位置する第2の面に、前記撮影領域の範囲を示す指標が表示されている
ことを特徴とする放射線撮影装置。
[構成71]
前記撮影領域に対して前記第1の面から入射した前記放射線に基づき得られた前記放射線画像と、前記撮影領域に対して前記第2の面から入射した前記放射線に基づき得られた前記放射線画像とで、異なる画像処理を行う画像処理手段と、
を更に有することを特徴とする構成70に記載の放射線撮影装置。
[構成72]
前記撮影領域に対する前記放射線の入射方向が、前記第1の面からの第1の入射方向か前記第2の面からの第2の入射方向かを検出する検出手段を更に有し、
前記画像処理手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記画像処理を行う
ことを特徴とする構成71に記載の放射線撮影装置。
[構成73]
前記第1の入射方向と前記第2の入射方向とは、逆の方向である
ことを特徴とする構成72に記載の放射線撮影装置。
[構成74]
前記検出手段は、自動入力手段または手動入力手段から入力された前記放射線の入射角度に基づいて、前記第1の入射方向か前記第2の入射方向かを検出する
ことを特徴とする構成72または73に記載の放射線撮影装置。
[構成75]
前記自動入力手段は、
前記画素アレイに配置された複数の前記画素のうち、前記光電変換素子に入射する前記光を遮光する遮光マスクを含む遮光画素を用いた第1の入力手段、
圧電素子を含み構成された加速度計測素子を用いた第2の入力手段、および、
前記撮影領域の範囲内に設けられたマーカを用いた第3の入力手段、
の1つ以上を有することを特徴とする構成74に記載の放射線撮影装置。
[構成76]
前記撮影の前に得られた撮影オーダに基づいて、前記第1の入射方向および前記第2の入射方向のうち、推奨する入射方向を表示する方向表示手段を更に有する
ことを特徴とする構成72乃至75のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成77]
前記推奨する入射方向と、前記撮影の際の前記放射線の入射方向とが異なる場合に、警告を表示する警告表示手段を更に有する
ことを特徴とする構成76に記載の放射線撮影装置。
[構成78]
前記第1の入射方向および前記第2の入射方向から入射した前記放射線に基づき得られた前記放射線画像の画質特性値を記憶する記憶手段を更に有し、
前記画像処理手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記第1の入射方向における前記画質特性値または前記第2の入射方向における前記画質特性値を選択し、当該選択した前記画質特性値に基づいて前記画像処理を行う
ことを特徴とする構成72乃至77のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成79]
前記画質特性値は、前記放射線の線量に依存した画素値、前記放射線の線量に依存したノイズ値、および、前記放射線画像の周波数に依存した鮮鋭度値のうちの少なくとも1つである
ことを特徴とする構成78に記載の放射線撮影装置。
[構成80]
前記画像処理手段は、前記画像処理のパラメータを変更することによって、前記異なる画像処理を行う
ことを特徴とする構成72乃至79のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成81]
前記画像処理手段は、前記画像処理のパラメータを変更する手段として、
前記放射線画像のノイズ抑制処理パラメータを変更する第1の変更手段、
前記放射線画像の周波数処理パラメータを変更する第2の変更手段、
前記放射線画像の諧調処理パラメータを変更する第3の変更手段、および、
前記放射線画像のグリッド縞低減処理パラメータを変更する第4の変更手段
のうちの少なくとも1つの変更手段を有する
ことを特徴とする構成80に記載の放射線撮影装置。
[構成82]
前記筐体は、前記蛍光体に近い部分が高放射線透過率の材質で構成され、前記画素アレイに近い部分が高剛性の材質で構成されている
ことを特徴とする構成70乃至81のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
[構成83]
前記筐体における前記撮影領域の範囲内と前記撮影領域の範囲外とは、厚みが異なり、
前記撮影領域の範囲内の厚みは、10mm以下である
ことを特徴とする構成70乃至82のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
以上説明した構成70~83に記載の特徴によれば、放射線撮影装置に対して放射線の入射方向が変更された場合に、被写体の再撮影の頻度を低減させることができる。
10:放射線撮影システム、100:放射線撮影装置、1101:放射線入射面、1102:背面、1110:筐体、1111:薄肉部、1112:厚肉部、1113:勾配部、1114:有効撮影領域の範囲を示す指標、1120,1121:把持部、1130:放射線検出パネル、1131:有効撮影領域、1140:フレキシブル回路基板、1141:勾配、1150:制御基板、1160~1162:配線、1170~1172:処理基板、1180:シールド材、1190:バッテリ、200:放射線発生装置、201:放射線、H:被写体

Claims (21)

  1. 入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
    前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
    前記放射線検出パネルから出力された信号を処理する処理基板と、
    前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記処理基板を内包する筐体と、
    を備え、
    前記筐体は、
    前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
    前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記処理基板が配置される第2の厚み部と、
    を有し、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記処理基板との少なくとも一部が重ねられて配置されている
    ことを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
    前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
    前記放射線検出パネルおよび前記制御基板を内包する筐体と、
    前記筐体を把持するための把持部と、
    を備え、
    前記筐体は、
    前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
    前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板および前記把持部が配置される第2の厚み部と、
    を有し、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記把持部との少なくとも一部が重ねられて配置されている
    ことを特徴とする放射線撮影装置。
  3. 入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
    前記放射線検出パネルの駆動を制御する制御基板と、
    前記放射線検出パネルと前記制御基板とを接続するフレキシブル回路基板と、
    前記放射線検出パネル、前記制御基板および前記フレキシブル回路基板を内包する筐体と、
    を備え、
    前記筐体は、
    前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
    前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記制御基板が配置される第2の厚み部と、
    前記第1の厚み部と前記第2の厚み部とを勾配をもって接合し、少なくとも前記フレキシブル回路基板の一部が配置される勾配部と、
    を有し、
    前記フレキシブル回路基板は、前記放射線の入射方向において異なる位置に配置された前記放射線検出パネルと前記制御基板とを、勾配をもって接続する
    ことを特徴とする放射線撮影装置。
  4. 前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリを更に備え、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記制御基板と前記バッテリとの少なくとも一部が重ねられて配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
  5. 前記放射線検出パネルと前記制御基板とは、前記放射線の入射方向において異なる位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
  6. 前記第2の厚み部は、前記第1の厚み部よりも前記放射線が入射する側に厚みが厚い
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
  7. 前記処理基板は、1枚または複数枚である
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  8. 前記制御基板は、前記処理基板に対して前記放射線が入射する側に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  9. 前記処理基板は、前記制御基板よりも、前記放射線検出パネルが配置されている側への水平方向における幅が大きい
    ことを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影装置。
  10. 前記制御基板と前記処理基板との間に、電磁的なノイズを低減するためのシールド材を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  11. 前記筐体の前記第2の厚み部に、前記筐体を把持するための把持部を更に備え、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記把持部と前記処理基板とは重ならない位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  12. 前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリを更に備え、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記バッテリと前記処理基板とは重ならない位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  13. 前記筐体の前記第2の厚み部に、前記筐体を把持するための把持部と、
    前記筐体の前記第2の厚み部に、当該放射線撮影装置に電力を供給するバッテリと、
    を更に備え、
    前記第2の厚み部において前記放射線の入射方向から見た場合に、前記処理基板と前記バッテリとは、前記把持部を間に挟んで配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  14. 前記制御基板と前記処理基板とを接続する配線を更に備え、
    前記配線は、前記制御基板および前記処理基板において前記放射線検出パネルが配置されている側とは反対側に配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
  15. 前記把持部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側に、凹形状で設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
  16. 前記把持部は、前記第2の厚み部において前記放射線が入射する側とは反対側に、凹形状で設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
  17. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、
    前記放射線を発生させる放射線発生装置と、
    を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
  18. 被写体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、
    前記放射線検出部から出力される信号を検出する信号検出回路と、
    前記信号検出回路から出力される信号を処理する信号処理回路と、
    前記放射線検出部を駆動する駆動回路と、
    閉回路が生じ得る領域におけるループ電流を低減する電流低減機構と
    を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
  19. 入射した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
    前記放射線検出パネルを内包する筐体と、
    ユーザーインターフェースとして機能する表示部と、
    を備え、
    前記筐体は、
    前記放射線の入射方向に第1の厚みを有し、前記有効撮影領域が配置される第1の厚み部と、
    前記放射線の入射方向に前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みを有し、前記表示部が配置される第2の厚み部と、
    を有することを特徴とする放射線撮影装置。
  20. 被写体を透過した放射線を検出する有効撮影領域を有する放射線検出パネルと、
    前記放射線検出パネルを内包し、前記放射線が入射する側から見た場合に前記有効撮影領域の形状が多角形を有する筐体と、
    前記筐体において前記有効撮影領域の前記多角形の少なくとも一辺の外側に配置され、前記被写体を検出するための1種類以上のセンサを含むセンサ部と、
    を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
  21. 入射した放射線を検出して放射線画像を撮影する放射線撮影装置であって、
    前記放射線が照射される撮影領域の範囲内に設けられ、前記放射線を光に変換する蛍光体と、
    前記撮影領域の範囲内に設けられ、前記光を前記放射線画像における電気信号に変換する光電変換素子を含む画素が複数配置された画素アレイと、
    前記撮影領域の範囲外に設けられ、前記画素アレイと通信を行う電子部品を備えたプリント基板と、
    前記蛍光体、前記画素アレイおよび前記プリント基板を収容する筐体と、
    を有し、
    前記筐体は、前記蛍光体の側に位置する第1の面と前記画素アレイの側に位置する第2の面に、前記撮影領域の範囲を示す指標が表示されている
    ことを特徴とする放射線撮影装置。
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