JP2024057965A - ロボット制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ロボットの安全性の向上とロボットの協調による生産性の向上とに貢献すること。【解決手段】ロボットの制御装置には安全関連パラメータ群であるシーンが複数記憶されており、安全関連部の論理部ではそれらシーンの何れかを参照してロボットの動作判定を行う。この動作判定にて基準を外れた動きを特定した場合には、ロボットが強制的に停止される。制御プログラムに基づくロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている「CHANGE SCENE」コマンドに達した場合には、ロボットの位置条件を含んだ切替条件が成立したことに基づいて参照対象となるシーンの切り替えを行う。2台のロボットを協調させてワークの姿勢を変更する場合には、リーダロボットの動作判定とフォロワロボットの動作判定とで異なる協調動作用シーンが参照される。【選択図】 図45

Description

本発明は、ロボット制御システムに関する。
産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。
特許第4240517号公報
近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成、例えば動作判定用の基準値を別の基準値に変える構成を考案した。このように、ロボットの安全性の向上及び生産性の向上を図る上で、安全機能に係る構成には未だ改善の余地がある。
また、1のロボットでは対応が不可又は困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても複数のロボットの動きを同期させる協調制御によって自動化を促進することができる。これは、更なる生産性の向上を実現する上で好ましい。ここで、複数のロボットの動きを同期させる場合であっても、ロボットの役割や配置等の違いによって各ロボットの動作態様が異なる可能性がある。動作態様が異なる場合に、上記安全機能によってロボットの動きが同じ基準(例えば基準値)で制限されることは、ロボットの同期を維持する上で妨げになり得る。つまり、複数のロボットによる協調と上記安全機能との融合させる上では、単体で動作するロボットに対して上記安全機能を適用した場合には生じない新たな課題が生じ得る。このように、上述した安全機能によってロボットの安全性の向上を図りつつロボットの協調によって生産性の向上を図る上では、ロボットの協調及び安全機能に係る構成には未だ改善の余地がある。
本発明は、上記例示した課題等に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ロボットの協調による生産性の向上を図りつつ協調時のロボットの安全性を向上させることにある。
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
第1の手段.動作中のロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーンを複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令に達した場合に、所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット及び第2ロボットを含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作が含まれており、
前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなる。
本手段1に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替命令を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。特に、制御プログラムにおける切替命令に達した場合に、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えが実行される。つまり、所定の切替条件の成立を確認した上で、切替命令に応じてシーンが切り替わる構成となっている。これは、不適切な切り替えを抑制し、シーン切替の自動化や半自動化を促進する上で好ましい。
また、本手段1においては、第1ロボット及び第2ロボットの協調によって所定の作業を実行する構成であるため、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても自動化を促進できる。これは、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、所定の作業における第1ロボット及び第2ロボットの動作には、両ロボットを同期させつつもそれらロボットの動作態様が異なる特別動作が含まれている。動作態様が異なる場合には、特別動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい判定基準(例えば基準値)が異なる可能性がある。この点、本手段1に示す構成では、特別動作に際して各ロボットについて参照対象となる自動運転用シーンが別々のシーン(第1シーン/第2シーン)となるようにして切り替わる。動作態様の異なる各ロボットについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボットの安全機能を適正に発揮させることができる。
第2の手段.動作中のロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーンを複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット及び第2ロボットを含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作が含まれており、
前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなる。
本手段2に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替命令を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。特に、制御プログラムにおける切替命令に達した場合に、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えが実行される。つまり、所定の切替条件の成立を確認した上で、切替命令に応じてシーンが切り替わる構成となっている。これは、不適切な切り替えを抑制し、シーン切替の自動化や半自動化を促進する上で好ましい。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本手段2においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
また、本手段2においては、第1ロボット及び第2ロボットの協調によって所定の作業を実行する構成であるため、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても自動化を促進できる。これは、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、所定の作業における第1ロボット及び第2ロボットの動作には、両ロボットを同期させつつもそれらロボットの動作態様が異なる特別動作が含まれている。動作態様が異なる場合には、特別動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい基準(例えば基準値)が異なる可能性がある。この点、本手段2に示す構成では、特別動作に際して各ロボットについて参照対象となる自動運転用シーンが別々のシーン(第1シーン/第2シーン)となるようにして切り替わる。動作態様の異なる各ロボットについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボットの安全機能を適正に発揮させることができる。
第1の実施形態における工場を示す概略図。 ロボットの側面図。 ロボットシステムの電気的構成を示すブロック図。 ロボットの作業ルーティンを示す概略図。 安全関連部と安全非関連部との関係を示す概略図。 (A)動作監視処理を示すフローチャート、(B)作業シーン毎に設定されている判定用の基準を対比した概略図。 安全機能の切り替えを指示するコントロールデバイスを例示した概略図。 安全機能の切替位置を例示した概略図。 シーンチェンジシーケンスの流れを示す概略図。 第2の実施形態における安全関連パラメータの項目を示す概略図。 メインシーンの設定画面を例示した概略図。 メインシーンの設定画面を例示した概略図。 特殊シーン1の設定画面を例示した概略図。 特殊シーン2の設定画面を例示した概略図。 第3の実施形態におけるシミュレーション画面を示す概略図。 プログラム作成の流れを例示した概略図。 シーン切替時に位置条件不成立となった場合の対応方法を対比した概略図。 シミュレーションにおけるシーンチェンジシーケンスの流れを示すフローチャート。 シミュレーションの流れの一部を例示した概略図。 シミュレーションにおけるシーンチェンジシーケンスの変形例を示すフローチャート。 シミュレーションに関する変形例を示す概略図。 課題を説明するための概略図。 第4の実施形態における設定画面を例示した概略図。 送信用処理を示すフローチャート。 送信確認用のメッセージボックスを示す概略図。 名称の表示に係る構成を示す概略図。 第5の実施形態における名称の設定に係る構成を示す概略図。 固有情報の種類を示す概略図。 送信用処理を示すフローチャート。 (A)製造番号と名称とを対比した概略図、(B)第6の実施形態における名称構造を示す概略図。 名称を構成している各パートの役割を説明するための概略図。 第7の実施形態における手動操作用のシーンを示す概略図。 (A)制御モードを示す概略図、(B)安全関連部の状態を示す概略図。 エラー解消時のシーン切替の流れを示す概略図。 第8の実施形態における工場の一画を示す概略図。 自動制御モードの種類と適用エリアとの関係を示す概略図。 ロボットシステムの概略図。 個別制御モードと協調制御モードとを対比した概略図。 個別制御モードと協調制御モードとの切り替えの流れを示す概略図。 個別制御モードと協調制御モードとの切り替えの流れを示す概略図。 ロボットの作業ルーティンを示す概略図。 作業内容を示す概略図。 協調制御モード中のシーンチェンジシーケンスの流れを示す概略図。 課題を説明するための概略図。 (A)協調動作用シーンの種類を示す概略図、(B)協調動作用シーンの切り替わりを示す概略図。 ロボットの動きとシーンとの関係を示す概略図。 ロボットシステムの変形例を示す概略図。 ロボットシステムの変形例を示す概略図。
<第1の実施形態>
以下、工場などで用いられるロボットシステムに具現化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。先ず、図1を参照して、本ロボットシステムが適用された工場について説明する。
工場10の一画には、コンベア11により当該一画に搬送された材料を収納する棚12や空のコンテナBを収納する棚13が配設されたストックエリアE1と、ワークを成形するための各種加工機14が配設された加工エリアE2と、成形済みのワークを集積する集積エリアE3と、コンベア11より搬送された材料を受け取る受取エリアE4と、それらエリアE1~E4を繋ぐ通路E5とが設けられている。本実施形態に示す産業用ロボット16(以下、ロボット16という)は、通路E5を通ってエリアE1~E4間を移動し、各所にて予め定められた作業に従事する。
図2に示すように、ロボット16は、AGV(AutomAted Guided Vehicle)21と、当該AGV21に搭載された垂直多関節型(具体的には6軸)のロボットアーム31と、それらAGV21及びロボットアーム31を制御する制御装置51(図3参照)とを備えている。
AGV21には、走行モータ25と、床に設けられた磁気誘導用のガイドテープから磁気を検出する磁気センサ26とが設けられており(図3参照)、制御装置51では、磁気センサ26により検出された磁気等に基づいてAGV21の走行制御、例えば走行モータ25の駆動制御や操舵制御を行う。本実施形態では、エリアE1~E4を繋ぐようにしてそれらエリアE1~E4及び通路E5にガイドテープが配置されており、当該ガイドテープによってロボット16の移動経路(走行ルート)が規定されている。
AGV21のボディ上面にはコンテナBが載置されるテーブル22が形成されており、当該AGV21はコンテナBをテーブル22に載せた状態で工場10内を移動可能となっている。また、AGV21には、ロボット16の進路上の障害物を検出可能なスキャナ27や緊急時に作業者等によって操作される非常停止スイッチ28が配設されている。これら、スキャナ27及び非常停止スイッチ28は後述する安全関連部の入力部として機能しており、障害物を検出した場合や非常停止操作を検出した場合には、ロボット16を非常停止(所謂防護停止)させる構成となっている。
ロボットアーム31は、AGV21のボディ上面(テーブル22の隣)に固定されたベース32と、当該ベース32に取り付けられたアーム本体33と、アーム本体33の先端(手先)に設けられたハンド34とを有している。ハンド34は、ロボット16が従事する作業に応じて工具等の他のエンドエフェクタと交換可能となっている。
アーム本体33は複数の可動部が連結されてなり、関節部毎に、それら可動部を駆動させる駆動モータ35と、各関節部(軸)の回転角度を検出するロータリエンコーダ36と、各関節部(軸)の回転トルクを検出するトルクセンサ37とが配設されている(図3参照)。図3に示すように、駆動モータ35、ロータリエンコーダ36、トルクセンサ37は、制御装置51に接続されており、制御装置51の駆動制御部52では、ロータリエンコーダ36により検出された回転角度等に基づいて各駆動モータ35を制御する。
制御装置51には、パーソナルコンピュータ(以下、PC60という)及びティーチングペンダント70を、有線又は無線により接続可能となっている。PC60の制御部62には、ロボット16の制御プログラムの作成、当該制御装置51のデータのバックアップ、ロボット16の3Dモデルを用いた制御プログラムのシミュレーション等を行うソフトウェアがインストールされており、ティーチングペンダント70には、ユーザによるロボット16の動きの設定(所謂ティーチングを含む)を支援する設定支援アプリケーションがインストールされている。例えば、PC60にて作成された制御プログラムは、制御装置51に送信され、制御装置51の駆動制御部52は当該制御プログラムに基づいてAGV21やロボットアーム31の駆動制御を行う。つまり、この制御プログラムによってロボット16の作業内容や作業順等が規定されている。以下、図1及び図4を参照して、本実施形態に示すロボット16が担当している作業の内容及び作業の流れ(ルーティン)について説明する。
ロボット16は、先ずストックエリアE1にて空のコンテナBを自身にセットする(作業シーンSCN1)。具体的には、ロボットアーム31を伸ばして棚13に収容されている空のコンテナBを掴み、当該コンテナBを自身のテーブル22へ載せる。その後は、ロボットアーム31を待機姿勢に戻し、通路E5を通って加工エリアE2へ移動する(作業シーンSCN2)。なお、待機姿勢となっているロボットアーム31は、ロボット16を上方から見てAGV21からのはみ出しが回避されるように構成されている。
加工エリアE2においては、当該加工エリアE2に配列された各種加工機14から加工が完了したワークを収集する(作業シーンSCN3)。具体的には、ロボットアーム31を伸ばして加工機14のチャック等に保持されているワークをハンド34で掴み、当該ワークを取り出してテーブル22上のコンテナBに収容する。このようなピッキング動作を繰り返し、集まったワークの数が所定数に達した場合に収集完了となる。収集完了後は、ロボットアーム31を待機姿勢に戻し、ワークを収容したコンテナBを通路E5を通って集積エリアE3へ搬送する(作業シーンSCN4)。
集積エリアE3では、コンテナBの荷下ろしを行う。具体的には、当該コンテナBをパレット15上に段積み(所謂パレタイジング)する(作業シーンSCN5)。パレット15に段積みされたコンテナB群は、次工程(例えば別の加工工程)へと順次搬送される。
因みに、上記作業シーンSCN3において偶発的な要因等によりコンテナB内でワークが山積みとなった場合には、作業シーンSCN5におけるコンテナBの段積みが難しくなると想定される。本実施形態に示すロボットアーム31にはカメラ(図示略)が装着されており、制御装置51ではコンテナB内を撮影した画像から当該コンテナBにおけるワークの収容状態を確認可能となっている。作業シーンSCN4では、必要に応じてロボットアーム31によりコンテナB内で山積みとなっているワーク群を均す作業が実行される。
集積エリアE3にて荷下ろしを終えたロボット16は、ロボットアーム31を待機姿勢に戻し、通路E5を通って集積エリアE3からコンベア11の終点の受取エリアE4へと移動する(作業シーンSCN6)。そして、コンベア11からワークの材料が収容されたコンテナBを受け取る(作業シーンSCN7)。詳しくは、コンベア11に併設されたクレーンによってコンテナBがテーブル22にセットされる。この際、クレーンやコンテナBとの衝突を回避すべく、ロボットアーム31が一時的に向きを変える。
コンテナBを受け取ったロボット16は、当該コンテナBを通路E5を通ってストックエリアE1へ搬送する(作業シーンSCN8)。ストックエリアE1へ到達した後は、セットされているコンテナBを棚12へ収納する(作業シーンSCN9)。
収納完了後は、再び作業シーンSCN1~SCN9を繰り返す。このように、本実施形態におけるロボット16の作業ルーティンは、作業シーンSCN1~SCN9によって構築されている。なお、コンベア11の稼動状況によっては、作業シーンSCN7~SCN9はスキップされる場合がある。
作業シーンSCN1~SCN9では、ロボット16が位置するエリアや作業の具体的な内容だけでなく、人との関係(協働の有無等)が異なる。例えば、作業シーンSCN1(コンテナ入手)に対応するストックエリアE1及び作業シーンSCN3(ピッキング)に対応する加工エリアE2は、ロボット16とともにエリア担当者(人)が作業する協働エリアとなっている。具体的には、棚12に収納されているコンテナBから材料を取り出して加工機14へ投入する投入作業、各加工機14のセッティング作業及び各加工機14の動作確認作業は、ストックエリアE1及び加工エリアE2のエリア担当者の役割となっており、加工後のワークの収集する収集作業は空のコンテナBの入手作業を含めてロボット16の役割となっている。つまり、ストックエリアE1及び加工エリアE2では、エリア担当者及びロボット16の両者で作業を分担している。
作業シーンSCN2,SCN4,SCN6については、作業エリアが通路E5となるように規定されており、作業シーンSCN5(パレタイジング)については、作業エリアが集積エリアE3となるように規定されている。作業シーンSCN2,SCN4,SCN5,SCN6については、何れもロボット16の単独作業(非協働作業)となっている点で作業シーンSCN1,SCN3と異なる。但し、通路E5については人(エリア担当者等)も通行可となっているのに対して、集積エリアE3については基本的に人の立ち入りが禁止となっている。つまり、作業シーンSCN2,SCN4,SCN6と作業シーンSCN5とでは、エリアの運用の違いによってロボット16と人とが接触する可能性に差が生じている。具体的には人とロボット16とが接触する可能性は作業シーンSCN5よりも作業シーンSCN2,SCN4,SCN6の方が高くなっている。
このように、ロボット16は、作業ルーティン中に人と接触する可能性があり、上記スキャナ27や非常停止スイッチ28以外にもロボット16の安全性を高める構成を備えていることを特徴の1つとしている。以下、図5を参照してロボット16の安全機能に関連する構成について補足説明する。
ロボット16に適用されている制御システムCSは、安全関連入力信号に応答して安全関連出力信号を出力することによりロボット16の安全機能を実現する安全関連部PXと、当該安全関連部PXにより安全が確認されAGV21やロボットアーム31の動作が許可されている場合にそれらAGV21やロボットアーム31の駆動制御を行う安全非関連部PYとに分類される。
安全関連部PXは、上記安全関連入力信号を入力する入力部X1と、安全確認を行う論理部X2と、安全関連出力信号を出力する出力部X3とで構成されており、本実施形態では、スキャナ27や非常停止スイッチ28等が入力部X1に相当し、制御装置51に設けられた監視制御部(セーフティコントローラ)53が論理部X2に相当し、制御装置51に付属の安全コンタクタが出力部X3に相当する。
安全コンタクタは、AGV21の走行モータ25用の駆動回路に設けられたスイッチやロボットアーム31の駆動モータ35用の駆動回路に設けられたスイッチに接続されている。これらスイッチに安全コンタクタから安全関連出力信号が出力されることで、各モータ25,35への電力供給が遮断され、ロボット16が強制的に停止される。なお、これに限定されるものではなく、安全関連出力信号に基づいて、ロボット16の動きを反転させる構成としたり、ロボット16を所定の速度まで減速させる構成としたり、所定の位置へ退避させる構成としたりすることも可能である。
本実施形態に示す安全関連部PXは、スキャナ27や非常停止スイッチ28の他に上記ロータリエンコーダ36及びトルクセンサ37を含んでいる。つまり、ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37からの検出信号が、上記安全関連入力信号として論理部X2に入力される。論理部X2では、ロータリエンコーダ36及びトルクセンサ37からの検出信号に基づいてロボット16の動作を監視している。ここで、図6(A)を参照して、論理部X2(制御装置51の監視制御部53)にて定期処理の一環として実行される動作監視処理について説明する。
動作監視処理においては先ず、ロータリエンコーダ36からの検出信号及びトルクセンサ37からの検出信号に基づいて、ロボット16(ロボットアーム31)の手先(所謂ツールセンタポイント)の速さ、力(推力)、位置(座標)を把握する(ステップS101)。
次に、制御装置51のメモリに記憶されている速さの監視基準値(速さの閾値又は上限値)よりも現在の手先の速さの値が小さいかを判定する(ステップS102)。手先の速さの値が監視基準値よりも小さい場合には、制御装置51のメモリに記憶されている力の監視基準値(力の閾値又は上限値)よりも現在の手先の力の値が小さくなっているかを判定する(ステップS103)。手先の力の値が監視基準値よりも小さい場合には、現在の手先の位置が制御装置51のメモリに記憶されている監視基準領域内(動作許容範囲内)となっているかを判定する(ステップS104)。手先の位置が監視基準領域内となっている場合、つまり上述した3つの判定基準を全てクリアしている場合には、動作が適正に行われているものとして、本動作監視処理を終了する。以下の説明では、各監視基準値及び監視基準領域を「判定基準」とも称する。
一方、上述した3つの判定基準の何れかをクリアしていない場合には、緊急停止用及び異常報知用の各処理を実行し(ステップS105)、本動作監視処理を終了する。緊急停止用の処理では、モータ25,35への電力供給を強制的に遮断することでロボット16を停止(以下、非常停止ともいう)させる。そして、異常報知用の処理ではロボット16に設けられた警告ランプを点灯させるとともに、異常が発生した旨の情報を工場10の管理システムへ送信する。このように、本実施形態では、ロボット16の手先の力、速さ、位置が当該ロボット16の動作を監視するためのパラメータとなっている。以下の説明では、それら力、速さ、位置のパラメータ、具体的にはロータリエンコーダ36やトルクセンサ37から論理部X2に入力されるパラメータを「監視用パラメータ」とも称する。
なお、監視用パラメータについてはロボット16の手先の力、速さ、位置のパラメータに限定されるものではない。これらに代えて又は加えて、各関節部(軸)の力(回転トルク)、速さ(回転速度)、位置を示す各パラメータを監視用パラメータとすることも可能である。
また、本実施形態では、監視用パラメータの判定基準がロボットアーム31(詳しくは手先)の動きを抑制(制限)するための目標としても機能する。例えば、ユーザがロボットアーム31等に直接触れてロボット16に動きを教示(ティーチング)する場合には、勢いに任せてロボットアーム31が押し引きされることで、上記判定基準を超えるような動きが設定され得る。このような場合であっても、ロボットアーム31の動きが判定基準を超えない範囲で収まるように制限されることにより、作業中に判定基準を超えることで非常停止が頻発することを抑制している。
ここで、上述したようにロボット16を様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的となることで、安全性の向上と生産性の向上とを両立することが難しくなると想定される。本実施形態では、このような事情に配慮して、ロボット16の安全機能、具体的には各監視用パラメータの判定基準を作業シーンに応じて切替可能としている。つまり、本実施形態に示す判定基準については可変式のパラメータ(以下の説明では、安全関連パラメータとも称する)となっている。
例えば、図6(B)に示すように、作業シーンSCN3の「ピッキング」では、速さの監視用パラメータの判定基準=150mm/s、力の監視用パラメータの判定基準=100N、位置の監視用パラメータの判定基準=AGV31の上方領域+ワークの取り出し動作を考慮したAGV31の外側領域(ロボット16の平面視における外側領域)となる。このケースでは、手先の速さが150mm/sを超えた場合、手先の力が100Nを超えた場合、手先の位置がAGV31の上記上方領域+外側領域を外れた場合の何れかに該当したことに基づいてロボット16が非常停止されることとなる。
これに対して、作業シーンSCN4の「搬送(1)」では、速さの監視用パラメータの判定基準=200mm/s、力の監視用パラメータの判定基準=150N、位置の監視用パラメータの判定基準=AGV31の上方領域となる。このケースでは、手先の速さが200mm/sを超えた場合、手先の力が150Nを超えた場合、手先の位置がAGV31の上記上方領域を外れた場合(平面視にてロボットアーム31がAGV31からはみ出した場合)の何れかに該当したことに基づいてロボット16が非常停止されることとなる。
また、作業シーンSCN5の「パレタイジング」では、速さの監視用パラメータの判定基準=100mm/s、力の監視用パラメータの判定基準=300N、位置の監視用パラメータの判定基準=AGV31の上方領域+パレタイジング動作を考慮したAGV31の外側領域(ロボット16の平面視における外側領域)となる。このケースでは、手先の速さが100mm/sを超えた場合、手先の力が300Nを超えた場合、手先の位置がAGV31の上記上方領域+外側領域を外れた場合の何れかに該当したことに基づいてロボット16が非常停止されることとなる。
安全関連部PXによる安全機能を切替可能なコントロールデバイスとして、(1)ティーチングペンダント70、(2)駆動制御部52(詳しくはパックスクリプト)、(3)外部汎用入出力80(以下、IO80という)の3つが設けられている(図5参照)。これら3つのコントロールデバイスについては何れも安全非関連部PYに相当する。ここで、図7を参照して、安全機能の切り替えに係る構成について説明する。
ティーチングペンダント70には安全機能切替用のアプリケーションがインストールされており、ユーザにより安全機能の切替操作、すなわち作業シーンの切替操作が行われた場合には、安全非関連部PYであるティーチングペンダント70と、安全関連部PXの安全FPGA(Field ProgrAmmABle GAte ArrAy)とにより安全機能を切り替えるべくシーンチェンジシーケンスが実行される。詳細については後述するが、このシーンチェンジシーケンスでは、安全機能の切り替えを指示する指令(リクエストコマンド)及び当該指令が正常に送受信されたかを診断するための診断用情報(CRC)が安全関連部PXの安全FPGAに送信される。安全FPGAでは、この指令に基づいて監視用パラメータの判定基準を切り替える。なお、安全関連部PXの論理部X2に係る具体的構成については安全FPGAに限定されるものではなく、マイコンやCPUとすることも可能である。
IO80にはセンサや工場10のコントロールセンタ等が通信可能に接続されており、ティーチングペンダント70以外の外部機器からも安全機能の切り替えが許容されている。つまり、IO80からの信号を契機としてシーンチェンジシーケンスが開始されることとなる。
また、本実施形態に示す制御システムCSについては、制御装置51の判断によって能動的に安全機能を切替可能な構成が採用されている。具体的には、ロボット16の自動運転中は作業シーンに応じて監視用パラメータの判定基準の切り替えがなされる構成となっている。具体的には、ロボット16の制御プログラムにおいては、複数の動作制御用のコマンドの組み合わせによって作業シーンにおけるロボット16の動きが規定されている。それら動作制御用のコマンドとは別に、安全機能の切り替えを行うための安全機能切替用のコマンド、詳しくはシーンチェンジシーケンスを実行するための「CHANGE SECEN」コマンドが設けられている。この「CHANGE SECEN」コマンドは、安全機能をどのように設定するかの情報として、切替先の作業シーンを示す情報(後述するシーン番号)を含む構成となっている。つまり、ユーザは、制御プログラム作成時に「CHANGE SECEN」コマンドによって切替先の作業シーンを指定可能となっている。シーンチェンジシーケンスが開始された後は、当該シーンチェンジシーケンスが終了するまで次のタスクの実行すなわち上記制御プログラムの進行が中断される。
ここで、動作制御コマンドには、ロボット16の移動先を指定するコマンドが含まれており、このコマンドによってロボット16を次の作業エリアにおける所定の制御点(本実施形態では最初の制御点)へと移動させる。制御プログラムにおいては当該コマンドの次に上記「CHANGE SECEN」コマンドが記載されており、ロボット16を所定の制御点へ移動させる処理を実行した後に、「CHANGE SECEN」コマンドによってシーチェンジシーケンスが開始されることとなる。
例えば図8に示す例では、ロボット16が加工エリアE2→通路E5→集積エリアE3の順に移動している。通路E5において加工エリアE2から最初に移動する制御点PT4(上記所定の制御点に相当)にてシーチェンジシーケンスが開始される。ロボットアーム31については加工エリアE2にてピッキングを終えた時点で待機姿勢に復帰するように駆動制御され、基本的には当該ロボットアーム31を待機姿勢としたままロボット16が制御点PT4へ移動することとなる。そして、シーンチェンジシーケンスの完了後にロボットアーム31による荷均しが必要に応じて実行される。
また、集積エリアE3において通路E5から最初に移動する制御点PT5(上記所定の制御点に相当)にて、シーチェンジシーケンスが開始される。ロボットアーム31については通路E5にて荷均しを終えた時点で待機姿勢に復帰するように駆動制御され、基本的にはロボットアーム31を待機姿勢としたまま制御点PT5へロボット16が移動することとなる。そして、シーチェンジシーケンスの完了後にロボットアーム31による荷下ろしが開始される。
次に、図9を参照して安全非関連部PYと安全関連部PX(詳しくは安全FPGA)とで実行されるシーンチェンジシーケンスについて説明する。
シーンチェンジシーケンスにおいては先ず、安全非関連部PYにて、ロボット16(AGV21及びロボットアーム31)が停止(静止)していることを確認する(第1のプロセスP1)。なお、安全機能の切り替えについては基本的に、安全性に配慮してロボット16が停止している状況下にて実行される構成となっており、動作の遅れ等によってロボット16が停止していない場合には当該ロボット16の停止を待って当該シーケンスを進める。
因みに、本実施形態においてはAGV21及びロボットアーム31の両者が停止(静止)していることが確認できた場合にシーチェンジシーケンスを進める構成としているが、これを変更し、ロボットアーム31が停止していることが確認できた場合には、AGV21が移動中であってもシーンチェンジシーケンスを進める構成としてもよい。
ロボット16の停止が確認できた場合には、ロボット16について位置確認を行う(第2のプロセスP2)。具体的には、ロボット16には工場10におけるロボット16の位置を特定可能なロケータ41が配設されており、このロケータ41から取得したロボット16の位置情報(例えば座標)に基づいて、当該ロボット16が指定されたエリアの上記所定の制御点に位置していることを確認する。なお、ロボット16についてはある程度の大きさを有しており、上述した位置確認においてはロボット16の特定部分(本実施形態においてロボットアーム31の手先)が指定されたエリアの所定の制御点に位置しているかの判断となるように構成されている。
また、第2のプロセスP2における位置確認では、ロータリエンコーダ36から取得したエンコーダ情報に基づいてロボットアーム31の手先が予め設定されている位置(本実施形態では上述した待機姿勢に対応する位置である待機位置)に配置されていることを確認する。つまり、本実施形態においては、ロボット16の位置及びロボットアーム31の手先の位置が予め設定されている位置となっていることが安全機能の切り替えの条件となっている。
上述した停止条件及び位置条件の各条件(切替条件)を満たしている場合には、安全非関連部PYから安全関連部PXに当該安全関連部PXの安全機能の切り替え、すなわち監視用パラメータ(判定基準)の切り替えを指示する(第3のプロセスP3参照)。具体的には、安全機能の切り替えを安全関連部PXの安全FPGAに要求するリクエストコマンドと、当該リクエストコマンドの送受信が正常に行われたかを診断するための診断用情報であるCRCとを安全関連部PXの安全FPGAへ送信する。
本実施形態における安全機能については、ロボット16の作業シーン(作業シーンSCN1~SCN9)毎に規定されており、リクエストコマンドは、送信元となるコントロールデバイスを識別するための情報と、今回のリクエストが安全機能の切り替えであることを示す情報とを含むコマンドIDと、以降の判定にて参照すべき判定基準を示すデータ(シーン番号)とで構成されている。安全機能の切り替えに係るリクエストコマンドの送信元が、ティーチングペンダント70である場合にはコマンドID=「11」、駆動制御部52(詳しくはパックスクリプト)である場合にはコマンドID=「12」、IO80である場合にはコマンドID=「13」となる。
また、安全機能の切り替えに係るリクエストコマンドが設定される場合のデータについては、「1」~「9」の9つの番号の何れかとなる。例えば、次が作業シーンSCN3(ピッキング)である場合にはデータ=「3」、次が作業シーンSCN4(搬送(1))である場合にはデータ=「4」、次が作業シーンSCN5(パレタイジング)である場合にはデータ=「5」となる。CRCについては、コマンドIDとデータの番号とのチェックサムである。例えば、駆動制御部52が送信元であり且つ次が作業シーンSCN3のピッキングである場合には、CRC=「12」+「3」=「15」となる。
安全関連部PXでは、安全非関連部PYからの指示を受けたことに基づいて、今回のリクエストコマンド及びCRCに破損等の異常が発生していないかを診断する(第4のプロセスP4)。具合的には、リクエストコマンドのコマンドIDの番号とデータの番号とを足した数が、CRCと一致しているかを判定する。これらが一致している場合には、今回の指示が正常に送受信されたとみなし、次にリクエストコマンド自体が正常であるかを診断する。具体的には、コマンドIDを参照して、今回の指示が安全機能の切り替えであることを特定し、データが今回のコマンドIDに対応する範囲内であるかを判定する。上述したように、コマンドIDが「11」~「13」である場合には、データが「1」~「9」の何れかとなる。今回のデータが「1」~「9」の何れかである場合には、リクエストコマンドが正常であると診断する。
次に、ロケータ41から取得したロボット16の位置情報(例えば座標)に基づいてロボット16が指定されたエリア、詳しくは上記所定の制御点に位置していることを確認し、ロータリエンコーダ36から取得したエンコーダ情報に基づいてロボットアーム31の手先が上記待機位置に配置されていることを確認する(第5のプロセスP5)。当該第5のプロセスP5における位置確認については上記第2のプロセスP2における位置確認と同様である。
なお、リクエストコマンドが正常でないと診断した場合又はロボット16やロボットアーム31の手先が指定された位置にないと判定した場合には、工場10のコントロールセンタ等に通信エラー等の異常が発生している旨を報知し、本シーンチェンジシーケンスを終了する。
今回のリクエストコマンドが正常であり且つロボット16やロボットアーム31の手先が指定された位置にある場合には、当該リクエストコマンドを受理し、安全非関連部PYの指示に応じて安全機能、すなわち監視用パラメータの判定基準を切り替える(第6のプロセスP6)。具体的には、制御装置51のメモリには、データの番号と各監視用パラメータ及び判定基準との対応関係が記憶されている。指定されたデータの番号と、メモリに記憶されている対応関係とに基づいて、安全機能(判定基準)を切り替える。つまり、上記安全関連パラメータの値が変更される。
安全機能の切替完了後は、安全関連部PXから安全非関連部PYに切替後の安全機能の設定を特定するための情報を送信する(第7のプロセスP7)。具体的には、安全機能の切替完了後に、リクエストコマンドを受理した旨を安全非関連部PYに報告すべく、アクノレッジ信号を安全非関連部PYに送る。安全非関連部PYでは、安全関連部PXからアクノレッジ信号が届いた場合に、安全関連部PXに対して切替後の安全機能の設定を特定するための情報、すなわち現在参照対象として設定されている判定基準を特定するための情報を要求する。この要求においても、CRCを付加してもよい。
安全関連部PXは、安全非関連部PYからの確認要求に応じて、当該安全非関連部PYにリクエストコマンド(詳しくはリクエストコマンドを模したコマンド)と当該リクエストコマンドの送受信が正常に行われたかを診断するための診断用情報であるCRCとを送る。安全関連部PXからのリクエストコマンドについては、安全非関連部PYからの上記リクエストコマンドと同様に、送信元が安全関連部PXであることを識別するための情報と、今回のリクエストが安全機能の切り替えであることを示す情報とを含むコマンドIDと、以降の判定にて参照すべき判定基準を示すデータ(シーン番号)とで構成される。そして、CRCについては今回返答するコマンドのコマンドIDの番号とデータ番号とを足した数となる。例えば、現在の設定が安全非関連部PYからの要求に応じて作業シーンSCN3の「ピッキング」に対応している場合には、安全関連部PX(安全FPGA)のコマンドID=「19」、データ番号=「3」、CRC=「22」を返す。因みに、CRCは、コマンドIDとデータ番号とに基づいて決定されるのであれば足り、その具体的な計算方法については任意である。
安全関連部PXから返答を受けた安全非関連部PYは、当該安全非関連部PYからのリクエストに応じて安全関連部PXの安全機能が正常に切り替わったかを判定する(第8のプロセスP8)。具体的には、先ず今回の返答が正常に送受信されたかをリクエストコマンドとCRCとに基づいて診断する。詳しくは、リクエストコマンドのコマンドIDの番号とデータの番号とを足した数が、CRCと一致しているかを判定する。これらが一致している場合には、今回の返答が正常に送受信されたとみなす。安全非関連部PYには安全関連部PXからのリクエストコマンドのコマンドIDとデータとの関係が記憶されており、これらの関係を踏まえて、自身が安全関連部PXに送ったリクエストコマンドのコマンドID及びデータと内容が一致しているかを判定する。安全関連部PXからの返答が自身の指示に一致していることが確認された場合に、シーンチェンジシーケンス完了となる。
以上詳述した第1の実施形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
1のロボットが異なる複数の作業を担うことは、製造工程等の自動化を促進する上で好ましい。但し、作業内容等が異なる複数の作業シーンに対して同じレベルの安全機能(動作監視用の判定基準)を適用する画一的な構成とした場合には、安全性の向上と生産性の向上とを両立させることが難しくなる。この点、本実施形態に示したように、作業シーン毎に安全機能が切り替わる(動作監視用の判定基準が変更される)構成とすれば、ロボットの安全性の向上と作業効率の向上とに寄与できる。
上述したように安全機能を切替可能とすることには上述したような様々な技術的意義がある。しかしながら、このような切替機能を具備することで、以下の新たな懸念が生じる。すなわち、ロボット16が動作している最中に偶発的な理由等により突如として安全機能の切り替えが発生すると、本来であれば問題のない動きが監視に引っかかるといった事象が発生し得る。これは、ロボットが強制的に停止等される機会を不要に増やし、生産性を低下させる要因となる。そこで、本実施形態に示したように、ロボット16の自動運転中は、1の作業シーンが完了となりロボット16が停止した状態で安全機能の切り替えが許容される構成とすれば、上記懸念を好適に緩和できる。
本実施形態においては特に、上述した停止条件及び位置条件の各条件を安全機能の切替条件としている。つまり、ロボット16やロボットアーム31の手先の位置確認を行った上で安全機能の切り替えを行う構成としている。ロボット16が作業を行うエリアによって作業内容が異なり、それに応じて適正な安全機能が異なる点に鑑みれば、位置の確認を行った上で安全機能を切り替える構成とすることは当該切り替えに対する信頼性の向上を図る上で好ましい。
複数種類の判定基準(力の判定基準、速さの判定基準等)について切り替えを行う場合には、各判定基準を個別に指定するのではなく、予め規定されたそれら判定基準の組み合わせ(シーン番号)を指定することにより、安全非関連部PYから安全関連部PXへの指示が複雑になることを抑制できる。これは、安全機能に配慮しつつロボットが従事可能な作業の数が増やす上で好ましい構成である。
安全機能を切り替える場合には、安全非関連部PYから安全関連部PXに切り替えの指示がなされる。この指示はリクエストコマンド及びCRCで構成されており、安全関連部PXではリクエストコマンド及びCRCに基づいて指示が正常に届いたかが診断され、当該指示自体が正常であるかが診断される。診断で異常無しとなった場合には、安全非関連部PYからの指示が受理され、安全関連部PXでは当該指示に従って参照対象となる判定基準を切り替える。つまり、安全非関連部PYからの指示であっても、当該指示に送信エラー等による異常が無いと判断した場合には、判定基準の切り替えがなされる。このようにして、安全非関連部PYからの安全な切替を実現すれば、制御システムCSにおける安全機能の変更に係る操作性を好適に向上させることができる。
本実施形態に示した構成によれば、安全非関連部PYから安全関連部PXの安全機能を切り替える場合であっても、安全機能の変更に対する信頼性の低下を抑制し、安全機能を変更するための入力についても入力部X1からの入力(所謂安全入力)とする場合と比較して当該変更に係る制約が強くなることを回避できる。これにより、安全機能変更の操作性を好適に向上させることができる。
本実施形態に示したように、安全関連部PXにおいて予め記憶されている指令の種類と今回の指令とを照合することにより安全非関連部PYからの指示自体が正常であるかを診断する構成とすれば、ビットの固着や通信エラー等によって指令が損傷した場合に、当該損傷した指令に基づいて安全機能が切り替わってしまうことを好適に抑制できる。
<変形例1>
上記第1の実施形態では、安全機能の切替条件の1つであるロボットアーム31の手先の位置(ロボット16における位置)を何れの作業シーンであってもロボットアーム31の待機姿勢に対応する位置として共通の設定としたが、これに限定されるものではない。安全機能の切替条件となるロボットアーム31の手先の位置(ロボット16における位置)が安全機能を切り替える作業シーン(例えば作業エリア)に応じて異なる設定としてもよい。また、ロボット16の位置確認についてはロボットアーム31の手先を基準としたが、これに限定されるものではない。例えばロボットアーム31のベース32を位置確認の基準としたり、ロボット16の中心を位置確認の基準としたり、AGV21の中心や先端を位置確認の基準としたりすることも可能である。
<変形例2>
上記第1の実施形態では、ロボット16に搭載されたロケータ41からの情報に基づいてロボット16の位置を特定し、ロータリエンコーダ36からの情報に基づいてロボットアーム31の手先の位置を特定したが、それらの位置を特定するための具体的構成については任意である。例えば、工場10に設置された監視カメラにより撮影された画像に基づいてロボット16の位置及びロボットアーム31の手先の位置を特定する構成としてもよい。また、電子タグを各エリアに配置し、ロボット16に搭載されたリーダによって当該電子タグを読み取ることで位置を特定する構成としてもよい。
<変形例3>
上記第1の実施形態では、シーンチェンジシーケンスを実行する場合には安全非関連部PY(駆動制御部52)から安全関連部PX(安全FPGA)にリクエストコマンドとCRCとを送信する一方、ロボット16の位置情報やロボットアーム31の手先の位置情報については送信しない構成とした。すなわち、それらの位置情報は安全関連部PXが入力部X1から独自に取得する構成とした。これを変更し、シーンチェンジシーケンスを実行する場合には安全非関連部PY(駆動制御部52)から安全関連部PX(安全FPGA)にリクエストコマンド及びCRCとともにロボット16の位置情報やロボットアーム31の手先の位置情報を送信する構成としてもよい。なお、このような構成とする場合には、位置情報を加味してCRCを設定するとよい。
<変形例4>
上記第1の実施形態では、ロボット16を従事させる作業としてピッキングやパレタイジングを例示したが、これに限定されるものではない。ロボット16を、加工、組み立て、溶接、検査等の作業に従事させることも可能である。
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、作業シーン(作業シーンSCN1~SCN9)毎に安全機能、具体的には「速さ」、「力」、「位置」の3つの監視用パラメータについて判定基準を切り替えることにより、ロボット16の安全性の向上と生産性の向上とを両立させた。ここで、例えば「速さ」や「力」に着目した場合には、ある方向への動きと別の方向への動きとでは安全性の観点から許容できる速さや力が異なる可能性がある。また、「速さ」、「力」、「位置」について判定基準を定める場合には、基準としたい座標系等が作業シーン等によって異なる可能性もある。更には、上記3つの監視用パラメータの判定基準以外にも作業シーン毎に設定可能な安全関連パラメータを設けることにより安全性及び生産性の更なる向上に寄与し得る。本実施形態では、これらの事情に配慮して、設定可能な安全関連パラメータを上記判定基準以外にも様々に設けている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に本実施形態における特徴的な構成について説明する。以下の説明では、ユーザにより設定される監視用パラメータの判定基準(値)や判定基準以外の安全関連パラメータの設定値を包括して「設定値」又は単に「値」と称する。なお、以下の説明においては、安全関連パラメータ群を「シーン」とも記載し、第1の実施形態に示したようにロボット16が従事する「作業シーン」と区別する。
図10に示すように、本実施形態における安全関連パラメータは、基本項目(基本パラメータ)、動作範囲の監視に関する項目(監視基準パラメータ)、速さの監視に関する項目(監視基準パラメータ)、力の監視に関する項目(監視基準パラメータ)、シーン切替条件に関する項目(切替基準パラメータ)、センサ入力に関する項目(センサ入力用パラメータ)に大別される。
基本項目には、本シーンが協働及び非協働の何れに対応しているかを示す項目である「協働動作設定(協働/非協働)」と、使用するエンドエフェクタ(ツール)の種類を示す項目である「ツール番号」と、ワークの種類を示す項目である「ワーク番号」と、オブジェクトの種類を数字で示す項目である「オブジェクト番号」とが含まれている。例えば「協働動作設定(協働/非協働)」については、設定値=「0」とすることで協働、設定値=「1」とすることで非協働が示される。
協働動作時には、速さや力を抑える必要があり、それら速さ及び力の基準値には安全性を考慮した限界が設けられている。上記「協働動作設定(協働/非協働)」にて協働を指定することで、速さや力の基準値をユーザが設定する際に上記限界を考慮した範囲で設定可能となるように設定可能範囲が制限されることとなる。また、ロボット16の自動運転中は、「協働動作設定(協働/非協働)」の設定値に従ってIO80を切り替えることにより、協働動作中であるか否かが外部に報知される。「ツール番号」、「ワーク番号」、「オブジェクト番号」については、特定の座標系を指定するパラメータである。基本的にはシーン(安全関連パラメータ群)は特定の作業と紐づくため、ツール座標系等の各種座標系についてもそれに合わせて切り替わる構成とすることで、安全関連パラメータ群の設定作業を行う際の利便性を向上させている。
なお、ロボット16(詳しくはロボットアーム31)は、作業者が接近した場合に減速したり停止したりする機能を有している。例えば、協働/非協働の設定に応じて当該減速が開始される距離の長/短や減速の強/弱を切り替えることで安全性の向上と生産性の向上とを好適に両立させることができる。また、ツール、ワーク、オブジェクトの種類によってロボットアーム31の先端の重さ等が異なるため、作業者等と接近に伴ってロボットアーム31の減速を開始する適切なタイミングや適切な減速の度合いについても異なる。「ツール番号」、「ワーク番号」、「オブジェクト番号」をパラメータとして設定することにより現実に即した対応が可能となる。つまり、これらの基本項目によって、第1の実施形態に示した動作監視による安全性の向上だけでなく障害物等との衝突回避による安全性の向上に寄与し得る。
動作範囲の監視に関する項目には、RLO(RoBot Limited OrientAtion)監視の有効/無効を指定する項目である「RLO有効設定(有効/無効)」と、判定基準として各座標軸における監視姿勢(角度)を指定する項目である「RLO監視姿勢Rx(deg)」、「RLO監視姿勢Ry(deg)」、「RLO監視姿勢Rz(deg)」と、監視許容角度を指定する項目である「RLO監視許容角度(deg)」とが含まれている。また、動作範囲の監視に関連する項目には、J1軸~J8軸の各軸における制限角度を指定する項目である「正方向ソフトウェアリミットJ1(deg)」~「正方向ソフトウェアリミットJ8(deg)」、「負方向ソフトウェアリミットJ1(deg)」~「負方向ソフトウェアリミットJ8(deg)」が含まれている。「RLO有効設定(有効/無効)」については、設定値=「0」とすることで無効、設定値=「1」とすることで有効となる。
速さの監視に関する項目には、RLS(RoBot Limited Speed)監視の有効/無効の設定を指定する項目である「RLS有効設定(有効/無効)」と、方向を限定せずに判定基準として速度を指定する項目である「RLS監視速度(mm/s)」と、手先座標系における各軸方向の速度を個別に指定する項目とが含まれている。「RLS有効設定(有効/無効)」については、設定値=「0」とすることで無効、設定値=「1」とすることで有効となる。
力の監視に関する項目には、RLF(RoBot Limited Force)監視の有効/無効の設定を数字により指定する項目である「RLF有効設定(有効/無効)」と、方向を限定せずに判定基準として力を指定する項目である「RLF監視力(N)」と、手先座標系における各軸方向の力を各々指定する項目とが含まれている。「RLF有効設定(有効/無効)」については、設定値=「0」とすることで無効、設定値=「1」とすることで有効となる。
シーン切替条件に関する項目には、シーンチェンジシーケンスの実行条件の1つである位置条件を制御点(ポイント)及び当該制御点を含む領域の何れとするかを選択する項目である「シーン切替条件<位置>設定」と、切替用の制御点を指定するため項目である「シーン切替条件<Point>番号」と、領域を指定するための項目である「シーン切替条件<領域>X(mm)」、「シーン切替条件<領域>Y(mm)」、「シーン切替条件<領域>Z(mm)」、「シーン切替条件<領域>RX(deg)」、「シーン切替条件<領域>RY(deg)」、「シーン切替条件<領域>RZ(deg)」、「シーン切替条件<領域>DX(mm)」、「シーン切替条件<領域>DY(mm)」、「シーン切替条件<領域>DZ(mm)」とが含まれている。また、シーン切替条件に関する項目には、位置条件成立となるロボット16の位置又は領域を指定する各種項目と、シーンチェンジシーケンスの実行条件の1である停止条件(ロボットアーム31の停止)を有効/無効の設定を数字により指定する項目である「シーン切替条件<停止状態>有効設定(有効/無効)」とが含まれている。
センサ入力に関する項目は、IO80のセンサ入力番号やそれらの状態と速さや力の基準値とを紐づける項目であり、IO80の状態によって、速さや力の基準値を切り替える機能(後述のサブシーンと類似の機能)を担っている。
ここで、上述の如くユーザが設定可能な項目が多くなれば、作業シーンに合わせて安全機能をより適正に設定できるものの、設定可能な項目が多くなることで以下の新たな懸念が生じる。すなわち、設定可能な項目が少ない場合と比べてユーザによる設定ミスが生じやすくなったり、必要な項目を見極めにくくなったりし得る。これは、安全性を向上させる効果を上手く発揮させる上で妨げになる。本実施形態においては、このような新たな課題に着目した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。
上記PC60の制御部62には、ユーザによるシーン毎の各安全関連パラメータの設定を支援するためのソフトウェアがインストールされている。このソフトウェアを実行することにより、PC60のディスプレイ61に安全関連パラメータの設定画面(以下、シーンパラメータ設定画面という)が表示される。図11及び図12に示すように、シーンパラメータ設定画面WDには、登録されているシーンを表示するシーン表示部D1と、各種パラメータを表示するパラメータ表示部D2とが設けられている。シーン表示部D1に表示されているシーンの中から1のシーンをユーザが選択することにより、当該1のシーンに対応したパラメータ群が設定値とともにパラメータ表示部D2に表示されることとなる。なお、本実施形態では、主に自動運転時の各種作業シーンに対応したメインシーンと、それ以外のシーンである特殊シーンとに分かれており、メインシーンについては複数(具体的には9つ)用意されている。
なお、メインシーンの数については固定としてもよいし、追加・削除を可能としてもよい。但し、メインシーンが過度に多くなることはシーンの管理を難しくする要因になる。そこで、詳細については後述するが、本実施形態においてはメインシーンの数を一定とした上で、それらメインシーン毎にサブシーンの設定を許容することで実用上好ましい構成が実現されている。
図11及び図12に示す例では、メインシーンとしてメインシーン1~メインシーン9が用意されている。これらメインシーン1~メインシーン9についてはパラメータ表示部D2の表示態様(表示されるパラメータの種類、並び順、レイアウト)が共通となっている。本実施形態では、パラメータ表示部D2の表示を複数のパターン、具体的には全項目表示と主要項目表示とに切替可能となっている。パラメータ表示部D2の上部に設けられた表示切替用のタブ(全項目表示用のタブ及び主要項目表示用のタブ)をユーザが操作することにより、全項目表示と主要項目表示とに切り替わる。なお、本実施形態においては、メインシーン1~メインシーン9のシーン番号として「1」~「9」、特殊シーン1~特殊シーン2のシーン番号として「11」~「12」が各々規定されている。
図11に示す全項目表示では、全ての安全関連パラメータが表示対象となっており、基本項目、動作範囲の監視に関する項目、速さの監視に関する項目、力の監視に関する項目、シーン切替条件に関する項目、センサ入力に関する項目の順に、縦に並べて一覧表示される。なお、安全関連パラメータの数が多いため、パラメータ表示部D2の枠内に収まりきらないものについては一覧をスクロールさせることで当該パラメータ表示部D2に表示させることができる構成となっている。
図12に示す主要項目表示では、全ての安全関連パラメータの中から抽出された一部のパラメータが表示されるように表示対象が限定されている。具体的には、基本項目、速さの監視に関する項目、力の監視に関する項目、シーン切替条件に関する項目、センサ入力に関する項目から少なくとも一部のパラメータを各々抽出し、それら抽出したパラメータを用途毎に分けて表示している。より詳しくは、基本項目、シーン切替条件に関する項目、センサ入力に関する項目については各々全ての安全関連パラメータが表示対象となっているのに対して、動作範囲の監視に関する項目については何れの安全関連パラメータも表示対象から外れており、残りの項目(速さの監視に関する項目、力の監視に関する項目)については各項目にて主要となる安全関連パラメータのみが表示対象となっている。
速さの監視に関する項目及び力の監視に関する項目については、判定基準を方向に関係なく設定する安全関連パラメータと複数の方向について各々設定する安全関連パラメータとのうち前者を主要となるパラメータとして抽出している。例えば、速さの監視に関する項目群からは「RLS監視速度(mm/s)」を抽出し、力の監視に関する項目群からは「RLF監視力(N)」を抽出している。そして、抽出した安全関連パラメータを用途毎に分けて表示している。ここで、主要項目表示となっている場合のパラメータ表示部D2の表示について補足説明する。
主要項目表示においてはパラメータ表示部D2が3つの表示部G1~G3に区分けされている。1つ目の表示部G1には基本項目に属する安全関連パラメータ群がまとめて表示されており、2つ目の表示部G2にはセンサ入力に関連する項目に属する安全関連パラメータ群がまとめて表示されており、3つ目の表示部G3には速さの監視に関する項目から抽出した安全関連パラメータ、力の監視に関する項目から抽出した安全関連パラメータ、シーン切替条件に関する項目に属する安全関連パラメータ群がまとめて表示されている。
ここで、本実施形態においては、メインシーンから派生するシーン、具体的には表示部G3に表示される安全関連パラメータの設定値のみが相違するシーンをサブシーンとして登録可能となっている。これは、メインシーンの乱立を抑えて、ユーザによるシーンの管理が煩雑になることを抑制する工夫であり、誤設定を抑制する上で効果的である。例えば、表示部G1に表示されるパラメータの設定値が同一であるのに対して「RLS監視速度(mm/s)」及び「RLF監視力(N)」の少なくとも一方の設定値を変更したい場合やシーン切替条件に関する設定値を変更したい場合に、当該サブシーンの登録機能を利用するとよい。
より具体的には、第1の実施形態に示した作業シーンSCN4の搬送(1)ではロボット16が通路E5を通るが、この通路E5については折れ曲がっている(図1参照)。直進時と旋回時とではロボットアーム31に働く外力が異なるため、適正な「RLF監視力(N)」が相違し得る。そこで、メインシーン=搬送(1)とした上で、直進時用にサブシーン1を登録し、旋回時用にサブシーン2を登録して「RLF監視力(N)」の判定基準を個々に設定するとよい。また、工場10においてはお昼休み等の休憩時等の特定の時間帯に通路E5を通る人が増えると想定され、適正な「RLS監視速度(mm/s)」及び「RLF監視力(N)」が相違し得る。そこで、メインシーン=搬送(1)とした上で特定の時間帯以外用にサブシーン1を登録し、特定の時間帯用にサブシーン2を登録して「RLS監視速度(mm/s)」及び「RLF監視力(N)」の判定基準を個々に設定するとよい。
なお、選択されているメインシーンについてサブシーンが複数登録されている場合には、表示部G3の上部に設けられたタブを操作することにより、それらサブシーンを切り替えることができる。
1のメインシーンについて複数のサブシーンが登録されている場合には、全項目表示とすることで各サブシーンに対応したパラメータ群が全て表示されることとなる。具体的には、例えばサブシーン1及びサブシーン2が登録されている場合には「RLS監視速度(mm/s)サブシーン1」及び「RLS監視速度(mm/s)サブシーン2」が上下に並べて表示されることとなる。つまり、1のメインシーンについてサブシーンの数が多くなれば全項目表示にて一覧表示されるパラメータの数(表示対象となるパラメータの数)も増えることとなる。これに対して、主要項目表示では、サブシーンの登録数が増えたとしても、サブシーンの表示切替が可能であるためパラメータ表示部D2にまとめて表示されるパラメータの数(表示対象となるパラメータの数)は一定となる。
ここで、ユーザによるパラメータ設定の流れについて説明する。PC60のディスプレイ61にてシーンパラメータ設定画面WDを開いた際には、パラメータ表示部D2の表示が主要項目表示となるように構成されている。主要項目表示を全項目表示よりも優先させる点については、選択しているシーンを他のメインシーンや特殊シーンに変更した場合であっても同様である。主要項目表示となっている状況下にて各安全関連パラメータの設定を行うことで、安全機能に関する主要なパラメータの設定が完了する。その後は、必要に応じて詳細な設定を行うこととなる。詳細な設定を行う場合には、パラメータ表示部D2の表示を主要項目表示から全項目表示に切り替える。この際、主要項目表示で設定した内容は全項目表示に引き継がれる。つまり、全項目表示とした時点で既に一部の安全関連パラメータは設定済みとなっているため、ユーザは未設定の安全関連パラメータに絞って設定を検討できる。なお、主要項目表示にて「RLS監視速度(mm/s)」や「RLF監視力(N)」を設定した場合には、「RLS有効設定(有効/無効)」や「RLF有効設定(有効/無効)」は自動的に「有効」となる。
上述したように、本実施形態においてはメインシーンの他に特殊シーン1及び特殊シーン2が登録されている。特殊シーン1については自動運転中(自動制御中)のデフォルトを想定しており、例えばロボット16が起動して自動運転が開始される場合に、最初の作業シーンとなるまでシーン=本特殊シーン1となる。図13に示すように、シーン表示部D1にて特殊シーン1がユーザにより選択された場合には、パラメータ表示部D2の表示が主要項目表示となる。この主要項目表示では、メインシーンと比べて表示されるパラメータの数が少なくなっている。本実施形態では、「協働動作設定(協働/非協働)」、「RLS監視速度(mm/s)」、「RLF監視力(N)」が表示され、基本項目に属するパラメータ群等の他のパラメータについては表示対象外となる。自動運転を想定したシーンであるメインシーンにて必要となるパラメータであっても、特殊シーン1にて実質的に不要又は重要度の低いものは主要項目表示の表示対象から外れている。これにより、主要項目表示における表示対象がスリム化されている。
特殊シーン2についてはユーザが手動でロボット16(ロボットアーム31)を動かす場合を想定しており、例えばロボット16がエリア外へと移動して強制停止となりユーザが当該ロボット16を手動でエリア内に戻す場合のシーンに適用される。図14に示すように、シーン表示部D1にて特殊シーン2がユーザにより選択された場合には、パラメータ表示部D2の表示が主要項目表示となる。この主要項目表示では、メインシーンと比べて表示されるパラメータの数が少なくなっている。具体的には、「RLS監視速度(mm/s)」、「RLF監視力(N)」が表示され、それ以外のパラメータは表示対象外となる。
なお、特殊シーン1及び特殊シーン2では、シーン切替条件に関する項目に属する安全関連パラメータ群やセンサ入力に関する項目に属する安全関連パラメータ群については、設定の必要がない。全項目表示とした場合には、これらの安全関連パラメータ群についても表示されるものの、設定値の入力が不可となるように制限される。
シーン毎にユーザが設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、作業内容等に合わせて安全機能を細かく変更できる。これは、安全性の向上と生産性の向上を両立させる上では好ましい。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、ユーザは必要とする項目を見極めにくくなる。これは、誤った設定がなされる要因になり得る。この点、本実施形態に示した構成によれば、シーンパラメータ設定画面WD(「パラメータ設定画面」に相当)のパラメータ表示部D2における安全関連パラメータ群の表示パターン(「表示モード」に相当)として、全項目表示(「第1表示モード」に相当)と主要項目表示(「第2表示モード」に相当)とに切替可能となっている。主要項目表示では表示対象が一部の安全関連パラメータに限定されているため、ユーザは必要な項目の絞り込みを行いやすくなる。他方で、全項目表示では全ての安全関連パラメータが表示対象(設定対象)となるため、個々の安全関連パラメータの設定や確認等が可能となる。このように、パラメータ表示部D2の表示パターンとして、全項目表示/主要項目表示の2つのパターンを設けることは、安全性の向上と生産性の向上とを両立させつつ、ユーザの設定ミスを抑制する上で好ましい。
主要項目表示にて表示される特定の安全関連パラメータについて詳細設定を行いたい場合には、当該主要項目表示から全項目表示に切り替えることで、当該詳細設定が可能となる。このような詳細設定については様々な事情によって要/不要が分かれる。主要項目表示においてそれら詳細設定用のパラメータを表示対象から外して表示対象を絞ることは、重要度の高いパラメータ等の埋没を抑制する上で好ましい。
本実施形態では、主要項目表示で表示される安全関連パラメータの項目の数 < 全項目表示で表示される安全関連パラメータの項目の数-主要項目表示で表示される安全関連パラメータの項目の数となっており、主要項目表示用に抽出する項目を大きく絞っている。これにより、主要項目表示と全項目表示とを目的に合わせて好適に共存させることができる。
主要項目表示においては安全関連パラメータ群を複数のグループに分類した状態で表示している。これにより、主要項目表示にて表示対象となっている項目にユーザが所望とする項目が含まれている場合には、当該項目を見つけやすくなる。また、分類毎にまとめて設定するように促すことは、ユーザによるパラメータの設定間違いを抑制する上でも好ましい。
ユーザがシーンパラメータ設定画面WDを開いた場合には先ず、安全関連パラメータ群が主要項目表示で表示される。これにより、ユーザに、ある程度絞り込まれた項目について設定を促すことができる。その後は、表示パターンの切替操作を行うことで全項目表示とすることができるため、シーンパラメータ設定画面WDの立ち上げ時に表示されない他の項目についても設定機会を確保できる。
ユーザによりメインシーンが指定された場合には、当該メインシーンに対応する安全関連パラメータ群が主要項目表示で表示される。複数のメインシーンについて安全関連パラメータの設定を行う場合であっても、指定されたメインシーンに絞って安全関連パラメータを主要項目表示で表示することにより、情報が過多となってユーザが困惑することを好適に抑制できる。
自動運転用の各メインシーンでは、それらメインシーンについて主要項目表示にて表示される項目が一致する。このような構成とすれば、何れかのメインシーンについて主要項目表示でパラメータ群の設定を行った後に、他のメインシーンについて主要項目表示で第パラメータ群の設定を行う場合に、先の設定時のイメージをそのままに設定作業を行うことができる。これは、設定間違いを減らす上で好ましい。
メインシーンによっては一部の安全関連パラメータのみが相違する場合がある。このような場合にサブシーンによって当該一部の安全関連パラメータのみを調整可能とすれば、メインシーンの乱立を抑制し、ユーザによるメインシーンの混同を抑制できる。
本実施形態に示したようにサブシーン毎に設定される項目と、サブシーン間で共通となる項目とを区別して表示することにより、サブシーン毎に設定される項目を分かりやすくユーザに示唆できる。また、サブシーン間で共通となる項目を区別して表示させることは、サブシーンの設定作業に際して、上記共通となる項目の設定が誤って変更されることを抑制する上で好ましい。
<変形例1>
上記第2の実施形態では、PC60により安全関連パラメータを設定する場合の設定支援を行う構成について説明したが、ティーチングペンダント70にて安全関連パラメータを設定可能とする場合には、設定支援に係る構成を当該ティーチングペンダント70に適用してもよい。また、本実施形態ではPC60の制御部62に設定支援用のソフトウェアが予めインストールされている場合について例示したが、このソフトウェアをインターネット回線等を通じて配信し、ユーザが当該ソフトウェアを所望とするPC60の制御部62に任意のタイミングでインストール可能としてもよい。
<変形例2>
上記第2の実施形態では、シーンパラメータ設定画面WDを開いた場合や、各シーンを選択した場合には、安全関連パラメータ群が先ずは主要項目表示で表示される構成としたが、これを変更し、先ずは全項目表示で表示される構成とすることも可能である。
<変形例3>
上記第2の実施形態では、特殊シーン1及び特殊シーン2にて全項目表示とした場合には、シーン切替条件に関する項目に属する安全関連パラメータ群やセンサ入力に関する項目に属する安全関連パラメータ群を表示させた上で設定値の入力が不可となるように制限する構成としたが、これらのパラメータ群については全項目表示においても表示対象から外す構成とすることも可能である。但し、各メインシーン及び各特殊シーンでは、全項目表示にて表示される項目を統一することは、一部項目が表示されないことに対してユーザが違和感を感じることを抑制する上で好ましい。
<第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施形態に示したロボットシステムにおいては、ユーザがPC60にて作成した制御プログラムがロボット16の制御装置51に送信され、ロボット16はこの制御プログラムに従って動作する構成とした。このPC60では、作成された制御プログラムを当該PC60上で実行し、ロボット16を動作させることなく当該ロボット16の動作、姿勢、干渉等の確認を行うシミュレーションが可能となっている。本実施形態ではこのシミュレーションに係る構成が特徴的なものとなっている。以下、第2の実施形態との相違点を中心に本実施形態における特徴的な構成について説明する。
PC60の制御部62にインストールされているシミュレーション用のソフトウェアの立ち上げにより、PC60のディスプレイ61にシミュレーション画面が表示される。図15に示すように、シミュレーション画面は、ユーザにより作成された制御プログラムが表示されるプログラム表示部WPと、ロボット16、周辺デバイス、工場10の設備等の各3Dモデルを仮想空間に表示可能な3DビューWVとを有してなる。なお、3Dビューについては3Dモデルを個々に表示/非表示で切替可能となっており、図15においてはロボットアーム31のモデルRMのみを表示した状態を例示している。
ユーザが制御プログラムを指定してシミュレーションの開始操作を行うことにより当該制御プログラムがPC60上で実行される。これにより、3DビューWVに表示されているモデルRMが制御プログラムの進行に合わせて動作する。ユーザは自身のイメージ通りに制御プログラムが構成されているかを、モデルRMの動きから確認できる。なお、プログラム表示部WPにおいては、制御プログラムにおける実行中の行がハイライトされる構成となっており、モデルRMの動きが制御プログラムの何れの行に対応しているかをユーザが把握しやすくなっている。
また、シミュレーション画面にはシーン設定モニタWMが含まれており、このシーン設定モニタWMには各種安全関連パラメータが表示される。これにより、ユーザは、各種パラメータがどのような設定値となっているかを適宜確認可能となっている。なお、安全関連パラメータについては項目が多いため(図10参照)、シーン設定モニタWMには一部の主要な安全関連パラメータのみが表示されるように表示対象が制限されている。
ここで、本実施形態に示すロボット16の制御プログラムについては、当該ロボット16が複数の異なる作業に従事することを想定したものとなっており、作業毎に安全機能の切り替えを行うべく上記「CHANGE SCENE」コマンドが複数配されている。既に説明したように、ロボット16においてはこの「CHANGE SCENE」コマンドを契機としてシーンチェンジシーケンスが開始されることとなるが、シミュレーションにおいても疑似的にシーンチェンジシーケンスが実行される。
シーンチェンジシーケンスにおいては、ロボット16が停止(静止)していること(停止条件)、ロボット16及びロボットアーム31の手先が指定の位置にあること(位置条件)が確認できた場合に安全非関連部PYと安全関連部PXとの間で安全機能の切り替えが実行される。本実施形態に示すシミュレーションにおいても同様に、基本的には停止条件及び位置条件が成立した場合に安全機能の切り替えが実行される。
次に、ユーザが制御プログラムを作成等する場合の一般的な手順について例示する。図16(A)に示すパターンAでは、第1のフェーズでロボット16の動作の概要を決定し(PA1)、その概要に沿って制御プログラムを作成する(PA2)。但し、この時点ではロボット16の動きを定めることを優先し、シーンについては十分に検証を行う前の仮の設定とする。制御プログラムを作成した後は第2のフェーズに移り、シミュレーションによる動作確認(PA3)とその結果を踏まえた制御プログラムの修正(PA4)とを繰り返して制御プログラムを作り込む。そして、制御プログラムがある程度固まった段階で第3のフェーズへ移り、シーンの本設定を行う(PA5)。そして、再びシミュレーションによる動作確認とシーンの設定確認とを行う(PA6)。なお、必要に応じてシーンの設定や制御プログラムを修正する。以上の手順により、制御プログラム及びシーンの設定が完了することとなる。一方、図16(B)に示すパターンBでは、第1のフェーズでロボット16の動作の概要及びシーンの概要を決定し(PB1)、その概要に沿って制御プログラムを作成するとともにシーンの設定を行う(PB2)。その後は、第2のフェーズに移り、シミュレーションによる動作確認及びシーンの設定確認を行い(PB3)、その結果を踏まえて制御プログラム及びシーンの設定を修正する(PB4)。第2のフェーズでは確認と修正を繰り返して、制御プログラム及びシーンの設定を完了する。多くの場合には、以上の2つのパターンの何れかで制御プログラムの作成とシーンの設定とが行われる。
制御プログラムが完成し、既にシーンが適正に設定(特にシーン切替の位置の設定)されている場合には、安全機能の切り替えに係る上記位置条件が問題なく成立し、シミュレーションは滞りなく進行する。一方で、制御プログラムの作成を効率よく進めたりプログラムが適正であるかを随時確認したりする上では、図16(A),(B)に例示したように制御プログラムの作成やシーンの設定が完了する前(途中段階)にユーザがシミュレーションを希望する場面が発生する。また、安全機能の切り替え後の動作確認を行う可能性もあり、シーンの設定が完了していない場合にはシーンチェンジシーケンスを完了できず、本来であれば確認したい部分(行)についてのシミュレーションが実行できないといった事象が発生し得る。これは、安全機能の切り替えを含む制御プログラムを対象としてシミュレーションを実行しようとした場合に生じる新たな課題である。
ロボット16の自動運転中に偶発的な理由等で位置条件不成立となった場合には、エラー発生として当該ロボット16が停止することとなる。この場合、ユーザはロボット16の状態確認を行った後、当該ロボット16を適正位置に戻すことで自動運転を再開させることができる(図17参照)。一方、制御プログラム等の作成段階においては、シーンの設定が適正ではないことを承知の上でシミュレーションが実行される場合があり、このような状況でシミュレーションを続行できなくなったり、位置条件不成立を解消するための手間が大きくなったりすることは好ましくない。そこで、本実施形態では、シミュレーション中に位置条件不成立となった場合にはロボット16の自動運転中とは異なる簡易な対応によってシミュレーションを続行可能とする工夫がなされている。以下、図18及び図19を参照して、シミュレーション中に実行されるシーンチェンジシーケンスの大まかな流れについて説明する。なお、シミュレーションにおいては、ソフトウェアによりPC60に仮想安全非関連部(仮想駆動制御部)と仮想安全関連部(仮想安全FPGA)とが設定され、図9に示した流れと同様の流れがそれら仮想安全非関連部と仮想安全関連部との間で再現される。つまり、シーンチェンジシーケンスについてもシミュレーションの一部として実行される。
図18に示すように、シミュレーション中のシーンチェンジシーケンスにおいては先ず、ロボット16を模したモデル、すなわちAGV21を模したモデルやロボットアーム31を模したモデルRM(図15参照)が停止していることを確認する(S201)。そして、停止を確認できた場合にはロボット16を模したモデルの位置確認とロボットアーム31を模したモデルRMの手先の位置確認とを行う(S202)。この確認については先ず仮想安全非関連部側で実行され、次に仮想安全関連部側で実行される。停止条件及び位置条件の両方が成立し且つ仮想リクエストコマンド等の確認を行い、何れの条件についても成立した場合には(S203:YES)、安全機能の切り替えを行う。すなわち、各安全関連パラメータを次のシーンに対応するものに変更する(S204)。そして、シーン設定モニタWMに表示されている各安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する(S205)。
一方、シーンの設定が適正にされていない場合には、仮想安全非関連部側の位置確認にて位置条件不成立となる(S203:NO)。位置条件不成立の場合には、シミュレーションを中断し(S206)、シーンチェンジシーケンスにて位置条件が不成立となった旨を示すメッセージを表示させる(S207)。具体的には、図19(A)に示すように、モデルRM等が表示されている3DビューWVに重なるようにしてメッセージボックスMB1がポップアップ表示される。このメッセージボックスMB1には、本メッセージがシーンチェンジシーケンスに関するものであることを示すタイトルである「CHANGE SCENE」と、位置条件不成立を明示し且つプログラム再開を確認するメッセージである「現在状態が切替条件(位置条件)を満たしていません。プログラムを再開しますか?」とが表示される。そして、ユーザが選択操作可能なアイコンとしてシミュレーション続行を指示するための「再開」ボタンと、シミュレーション終了を指示するための「キャンセル」ボタンとが表示される。なお、3DビューWVには現在のシーンを示す情報が表示される構成となっているが、メッセージボックスMB1は当該情報と重ならない位置に表示され、メッセージボックスMB1の表示中も当該情報の視認性が担保される構成となっている。また、プログラム表示部WPにおいては現在のプログラムの進行位置(行)を明示すべく、「CHANGE SCENE」コマンドをハイライトさせた状態を維持する。
図18の説明に戻り、メッセージボックスMB1を表示した後は、ユーザによりシミュレーションの継続操作、すなわち「再開」ボタンの操作が行われたか否かを判定し(S208)、当該操作が行われた場合には、シミュレーションを再開させる(S209)。つまり、位置条件の判定結果を無効としてそのままシミュレーションを続行する。そして、各種停止条件や位置条件が成立した場合と同様に、安全機能を切り替える。すなわち、各安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する(S204)。そして、シーン設定モニタWMに表示されている各安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する(S205)。なお、シミュレーションが再開された場合には、メッセージボックスMB1が非表示となり、プログラム表示部WPのハイライトが「CHANGE SCENE」コマンドから次のコマンド(図19(B)に示す例では「APPROACH」コマンド)に移る。
因みに、ユーザによりシミュレーションの終了操作、すなわち「キャンセル」ボタンの操作が行われた場合には(S210:YES)、本シミュレーションを終了する(S211)。その後、シミュレーションの開始操作が行われた場合には、本シミュレーションが再び制御プログラムの冒頭から実行されることとなる。
なお、以上詳述したシミュレーショに係る構成については第1の実施形態に示したロボットシステムに適用することも可能である。
本実施形態に示した構成によれば、シミュレーションにおいては、シーンの切替条件が成立する場合だけでなく、シーンの切替条件が成立しない場合であっても、シミュレーションを継続可能となっている。シミュレーションにおいては、実際にロボットが動作するわけではないため、シミュレーションを続行したとしても安全性に影響はない。故に、このような構成とすることで、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
本実施形態では、制御プログラム中の「CHANGE SCENE」コマンドに達した場合に、その旨がユーザに報知される。これにより、ユーザがシーン切替を見逃す機会を減らすことができる。また、シミュレーションを一旦停止させてユーザによる再開操作を待つ構成とすることは、シミュレーションが一旦停止しない構成と比べて、安全関連パラメータの表示等に目を向ける機会を確保する上で好ましい。
<変形例1>
上記第3の実施形態では、シミュレーションにてシーンチェンジシーケンスを実行する場合には安全機能を切り替えるための切替条件(詳しくは位置条件)が不成立となっても、この結果を無効とすることでシミュレーションを継続する構成、具体的には安全機能を切り替えた上でシミュレーションを継続する構成とした。これを変更し、位置条件が不成立となる場合であってもシミュレーションを継続可能とする上では位置条件の判定自体を行わない(判定機能そのものを無効化する)構成としてもよい。以下、図20及び図21(A)を参照して具体例を説明する。図20は、シミュレーションにおけるシーンチェンジシーケンスの変形例を示している。
シミュレーション中のシーンチェンジシーケンスにおいては先ず、ロボットアーム31を模したモデルRM等が停止しているかを確認する。そして、停止を確認できた場合には仮想安全非関連部から仮想安全関連部に仮想リクエストコマンド等が送信され、仮想安全関連部においては当該リクエストコマンドの診断を行う。当該診断によりコマンドが適正であることを確認した場合には、位置条件の確認をすることなく安全機能の設定切替を行う。すなわち、各安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する(S302)。そして、シーン設定モニタWMに表示されている各安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する(S303)。その後、シミュレーションを一時中断し(S304)、シーンチェンジシーケンスが実行されたことを示すメッセージを表示する(S305)。具体的には、図21(A)に示すように、モデルRMが表示されている3DビューWVに重なるようにしてメッセージボックスMB2がポップアップ表示される。このメッセージボックスMB2には、本メッセージボックスMB2がシーンチェンジシーケンスに関するものであることを示すタイトルである「CHANGE SCENE」と、プログラム再開を確認するメッセージである「プログラムを再開しますか?」とが表示される。そして、ユーザが選択操作可能なアイコンとしてシミュレーション続行を指示するための「再開」ボタンと、シミュレーション終了を指示するための「キャンセル」ボタンとが表示される。なお、3DビューWVには切替前後のシーンを示す情報が表示される構成となっているが、メッセージボックスMB2は当該情報と重ならない位置に表示され、当該情報の視認性が担保される構成となっている。また、プログラム表示部WPにおいては現在のプログラムの進行位置(行)を明示すべく、「CHANGE SCENE」コマンドをハイライトさせた状態のまま維持する。図20の説明に戻り、メッセージボックスMB2を表示した後は、ユーザにより「再開」ボタンが操作された場合に(S306:YES)、シミュレーションを再開させる(S307)。一方、ユーザにより「キャンセル」ボタンが操作された場合には(S308:YES)、本シミュレーションを終了する(S211)。
なお、シミュレーション中はシーンチェンジシーケンス(「CHANGE SCENE」コマンド)自体を無効化できる構成、例えばシーンチェンジシーケンスの有効/無効をユーザが選択できる構成とすることも可能である。
<変形例2>
シミュレーションの実行モードとして、安全機能の切替条件(特に位置条件)の判定を行わない条件チェック回避モード(図21(A)参照)と、当該切替条件の判定を行う条件チェック実施モード(図21(B)参照)とを設け、切替条件の判定の要否をユーザが選択可能な構成としてもよい。なお、条件チェック実施モードでは、条件成立とならなかった場合にはロボット16の自動運転時と同じエラーメッセージ(メッセージボックスMB3)を表示する構成とするとよい。
<変形例3>
上記第3の実施形態においては、シミュレーション中のシーンチェンジシーケンスにて位置条件が成立せずにシミュレーションが中断した場合には、ユーザによりシミュレーションの継続操作が行われることで、安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更し、且つシーン設定モニタWMに表示されている安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に変更する構成とした。これを変更し、条件不成立となってシミュレーションが中断した際に、ユーザの操作に先駆けて次のシーンに対応した安全関連パラメータの値を事前に報知する構成としてもよい。例えば、メッセージボックスに次のシーンに対応した安全関連パラメータの値を表示する構成としたり、シーン設定モニタWMに表示されている安全関連パラメータを次のシーンに対応する値に先に変更する構成としてもよい。
<変形例4>
上記第3の実施形態や上記変形例に示したように、切替条件(位置条件)の判定を無効化したり、切替条件の判定結果を無効化したりしてシミュレーションを継続する場合には、ユーザに継続の意思を確認せずに安全機能を切り替えてシミュレーションを継続する構成としてもよい。このような構成とする場合であっても、安全機能の切り替えが行われた旨をユーザに報知することが好ましい。
<変形例5>
シミュレーション中のシーンチェンジシーケンスにおいて、位置条件等の切替条件が不成立となったことをエラーではない方法でユーザに報知する具体的構成については任意である。例えば、位置条件等の切替条件が不成立となった旨をシミュレーションのログに出力する構成としてもよい。
<変形例6>
シミュレーション時には、シーンチェンジによって値が変更される安全関連パラメータと値が変更されない安全関連パラメータとを識別容易となるように表示を工夫することが好ましい。例えば、値が変更される安全関連パラメータについては値が変更されない安全関連パラメータとは異なる色で表示したり、値が変更される安全関連パラメータと、値が変更されない安全関連パラメータとの一方をハイライトさせたりすることで目視による識別をサポートするとよい。
<変形例7>
上記第3の実施形態に示したシミュレーションでは、シーチェンジシーケンスを実行する場合に停止確認を行う構成としたが、これに限定されるものではない。シミュレーションにおけるシーンチェンジシーケンスにおいては停止確認を行わない構成としてもよい。
<第4の実施形態>
第1~第3の実施形態に示したように、作業シーンに応じて安全機能を切替可能とすることはロボット16の安全性の向上とロボット16による生産性の向上との両立を図る上で好ましい。PC60の制御部62には安全機能に係る各種安全関連パラメータの設定作業を支援するソフトフェアがインストールされており、安全関連パラメータの設定作業の効率化が図られている。特に、第2の実施形態等に示したように、設定すべき安全関連パラメータが多くなれば安全性及び生産性の更なる向上が期待できる反面、設定作業の負荷も大きくなるため、PC60にて各シーンの安全関連パラメータ群を一括管理することにより支援効果は一層顕著となる。
PC60にて設定された安全関連パラメータ群は、当該PC60からロボット16に送信され、ロボット16(制御装置51)のメモリに記憶される。そして、ロボット16の制御では、メモリに記憶されている安全関連パラメータ群を参照する。ここで、ユーザが特定のロボットによる特定の作業シーンを想定して設定した安全関連パラメータ群を誤って他のロボットに送信した場合に、誤送信された安全関連パラメータ群が当該他のロボットに適用されることで安全性及び生産性の両立が難しくなると懸念される。
例えば、図22に示す例では、工場の第1エリアEXに配置されたロボット16Xと、第2エリアEYに配置されたロボット16Yとは同型ではあるが、各エリアで従事している作業が異なっており、作業内容が重複しない構成となっている。具体的には、ロボット16Xにおけるメインシーン1とロボット16Yにおけるメインシーン1とは異なっている。ユーザはロボット16Xについてメインシーン1を想定した安全関連パラメータ群をPC60にて設定している。当該安全関連パラメータ群がターゲット(ロボット16X)に送信され、制御装置51Xのメモリ55Xにメインシーン1対応の安全関連パラメータ群として記憶される場合には問題はないが、当該安全関連パラメータ群がロボット16Yに誤って送信され、制御装置51Yのメモリ55Yにメインシーン1対応の安全関連パラメータ群として記憶されることで、上述した不都合が発生する。ロボット16Xに接続されているティーチングペンダント70Xではメモリ55Xに記憶されている安全関連パラメータ群をディスプレイ71Xに表示して目視で確認可能となっており、ロボット16Yに接続されているティーチングペンダント70Yではメモリ55Yに記憶されている安全関連パラメータ群をディスプレイ71Yに表示して目視で確認可能となっている。
しかしながら、ユーザは安全関連パラメータを1つずつ確認すれば、安全関連パラメータ群がロボット16Yのメインシーン1にとって適正でないことを発見し得るものの、安全関連パラメータの数が多くなれば設定した安全関連パラメータを一つ一つ目視で確認することが大きな手間となり、発見は実質的に困難となり得る。また、PC60から送信する際に、同じメインシーン1の安全関連パラメータ群であっても異なるロボットを想定して作成されたものを誤って送信対象として選択してしまう可能性も否定できない。
本実施形態では、安全関連パラメータ群の送信先を間違えたり、送信対象とする安全関連パラメータ群の選択を間違えたまま送信したり、といった作業ミスを抑制する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、第2の実施形態との相違点を中心に、当該工夫について説明する。
図23に示すように、PC60のディスプレイ61に表示されるシーンパラメータ設定画面WDには、選択しているシーンすなわち現在表示されている安全関連パラメータ群の名称を表示する名称表示部D3が設けられている。この名称表示部D3についてはユーザが任意に名称を設定・変更可能となっている。つまり、PC60のソフトウェア側で識別用に設定されている変更不可な名称(固定名称)、すなわちシーン表示部D1に表示される名称とは別に、ユーザが任意に設定・変更が可能な名称(任意名称)を設定可能となっている。この任意名称については、名称表示部D3をクリックすることで設定・変更でき、設定された名称はパラメータ群に紐づけて記憶される。因みに、シーン表示部D1に表示される名称(メインシーン1~メインシーン9、特殊シーン1~特殊シーン2)については、他のロボットについてシーン(安全関連パラメータ群)を設定する場合でも同一の表示となる。
図23に示す例では、任意名称として送信先となるロボットの名称と当該ロボットの担当エリアとを組み合わせた名称(複合名称)、具体的には「ロボットX_第1エリア用パラメータ」が設定されている。任意名称が未設定の場合には、名称表示部D3に、名称の設定をユーザに促すメッセージが表示される。なお、図23では主要項目表示となっている場合について例示しているが、シーンパラメータ設定画面WDが開いている状態では、主要項目表示及び全項目表示の何れであっても名称表示部D3は表示されたままとなる。
また、シーンパラメータ設定画面WDには、現在のパラメータ群をロボット16へ送信する操作アイコンである送信ボタンSBが表示されている。この送信ボタンSBについては主要項目表示となっている場合に表示され、ユーザが当該送信ボタンSBを操作することで選択されているシーンの安全関連パラメータ群がロボット16へ送信される。
次に図24を参照して、上述した設定支援に係るソフトウェアが起動している場合に、PC60にて定期処理の一環として実行される送信用処理について説明する。
送信用処理においては先ず、ステップS401にて、パラメータ群を送信する前の確認(送信先の確認及び最終確認)をユーザに対して行っている最中であるかを判定する。確認中ではない場合にはステップS402に進む。ステップS402では、シーンパラメータ設定画面WDの送信ボタンSBが操作されたかを判定する。送信ボタンSBが操作されていない場合にはそのまま本送信用処理を終了する。送信ボタンSBが操作された場合にはステップS402にて肯定判定をしてステップS403に進む。
ステップS403では、上記任意名称が設定されている否かを判定する。任意名称が設定されていない場合には、ステップS404にてユーザに任意名称の設定を教示する教示処理を実行した後、本送信用処理を終了する。この教示処理では、シーンパラメータ設定画面WDの送信ボタンSBの近傍に「送信には名称の設定が必要です」等のメッセージを表示する。このメッセージについては任意名称が設定された場合に非表示となる。
一方、任意名称が設定されている場合には、ステップS405にて送信確認処理を実行した後、本送信用処理を終了する。送信確認処理では、シーンパラメータ設定画面WDの中央にメッセージボックスが表示される。図25(A)に示すように、このメッセージボックスMB3においては先ず、PC60が接続されているロボットの一覧が表示される。具体的には接続されているロボットから当該ロボットを識別するための固有情報(例えばロボット名、コントローラ名、製造番号等)を取得し、取得した固有情報を送信先の候補として表示する。当該候補の一覧からユーザが送信先を指定することにより、メッセージボックスMB3が送信の最終確認用の表示に切り替わる。具体的には、図25(B)に示すように送信前の最終確認であることを示すタイトルと、最終確認用のメッセージと、操作アイコンである実行ボタン及びキャンセルボタンとが表示される。最終確認用のメッセージは、送信先のロボットを識別するための上記固有情報と、設定されている任意名称とを含む。例えば図25(B)に示す例では、固有情報として「送信先:ロボットX」が表示され、任意名称として「ロボットX_第1エリア用パラメータ」が表示されている。
図24の説明に戻り、上記メッセージボックスMB3が表示されている場合には、ステップS406に進み、最終確認操作が行われたか否かを判定する。すなわち、メッセージボックスMB3に送信先と任意名称とが表示されている状況下にて実行ボタンが操作されたかを判定する。ステップS406にて否定判定をした場合には、ステップS407に進み、キャンセル操作が行われたか否かを判定する。キャンセル操作が行われた場合には、ステップS408にてパラメータの送信を中止する中止処理を実行した後、本送信用処理を終了する。
ステップS406にて肯定判定をした場合には、ステップS409にて送信処理を実行した後に、本送信用処理を終了する。ステップS409の送信処理では、送信先に指定されたロボットにシーン番号と、安全関連パラメータ群と、ユーザにより設定された任意名称とを送信する。つまり、ユーザが送信の手続きを行うにあたり、主要な安全関連パラメータ群と任意名称と送信先とを確認する機会が提供される。これは、送信時に上記作業ミスが生じることを減らす工夫である。
ロボット16の制御装置51は、PC60から受信した各種情報を当該制御装置51のメモリに記憶する。そして、ティーチングペンダント70をロボット16に接続することにより、メモリに記憶されている上記各種情報を当該ティーチングペンダント70のディスプレイ71に表示可能となる。つまり、ユーザがティーチングペンダント70のディスプレイ71に表示された任意名称を現場で確認できる。任意名称の表示は、ユーザはパラメータがロボット16にとって適正なものであるかを確認する一助となる。
図26に示す例では、図22に示した例と同様に、PC60にて設定されたロボット16X用の安全関連パラメータ群が誤ってロボット16Yに送信されている。但し、ユーザはロボット16Yについてティーチングペンダント70Yのディスプレイ71Yに表示される任意名称を確認することにより、安全関連パラメータ群が誤送信された可能性があることを把握し得る。このようにして誤送信が発見され得る機会を設けることは、不適正なパラメータのままロボット16が運用される機会を減らす上で好ましい。
周辺環境や作業内容等の各種状況に応じて設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、状況に合わせて安全機能を細かく調整(変更)できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で有利となる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、安全関連パラメータ群(シーン)をPC60から制御装置へ送信する際にユーザが確認すべき項目が増え、全ての項目を都度確認することは実質的に困難となる。この結果、ユーザは送信する安全関連パラメータ群を間違って選んだ際にそれに気づかずそのまま送信してしまうといった作業ミスが発生しやすくなる。仮に間違った安全関連パラメータ群がそのまま制御装置に記憶された場合には、当該パラメータ群の適用によってロボットの安全機能が適正に発揮されなくなると懸念される。この点、本実施形態に示した構成では、シーン毎に当該シーンの任意名称(「シーン名称」に相当)を設定可能となっており、設定支援中のシーンについて当該任意名称が報知される。このような機能を利用すれば、安全関連パラメータを個々に確認しなくても安全関連パラメータ群がどのようなものであるかを容易に把握可能な構成を実現できる。例えばユーザは送信に際して個々の安全関連パラメータを確認しなくても任意名称を確認することで、自身の作業が適正であるかを判断可能となる。つまり、安全関連パラメータ群の任意名称を設定可能とすることは、上記作業ミスを抑制する上で効果的である。以上の理由から、安全関連パラメータ群からなるシーンの切り替えによってロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制できる。
PC60においては、シーン番号を用いることによりシーンを適切に管理することができる。しかしながら、当該シーン番号をユーザが見て、シーン(安全関連パラメータ群)を適切に識別できるかは不明となる。例えば、識別情報が単なる数字や数字の羅列であった場合には、当該シーン番号から該当するシーンや当該シーンを適用するロボットを直感的に把握することは困難となる。この点、システム用のシーン番号とは別にシーンの任意名称をユーザが設定可能な構成とすることで、ユーザは当該任意名称から該当するシーン等を直感的に把握しやすくなる。故に、シーンを構成している安全関連パラメータの各項目を確認しなくても当該シーンがどのようなものであるかを把握しやすくなる。これは、上述したように、シーンを制御装置へ送信する際に個々の安全関連パラメータをチェックするといった手間を減らす上で好ましい。
本実施形態に示したように、ユーザにより設定された任意名称を当該任意名称が対応するシーン(安全関連パラメータ群)とともにディスプレイ61に表示させる構成とすれば、ユーザは安全関連パラメータ群と任意名称との関係を簡易に確認することができる。これは、上述した作業ミスを減らす上で好ましい。なお、シーンパラメータ設定画面WDにユーザにより設定された任意名称が表示されるため、ユーザはシーン毎に安全関連パラメータを設定する際に任意名称を適宜確認できるため、他のシーン(他の制御装置用のシーンを含む)と混同による設定ミス(作業ミス)を少なくすることができる。
シーンを制御装置に送信する場合には少なくとも送信操作が行われる前に任意名称をユーザに報知することにより、シーンの誤送信や誤設定の機会を減らすことができる。
シーンや任意名称の送信元となったデバイス以外の他のデバイス(例えばティーチングペンダント)を制御装置に接続することで、シーン及び任意名称を当該他のデバイスにて表示可能とすれば、ユーザはシーンの誤送信等が発生していないかを他のデバイスにて事後的に確認できる。
<変形例1>
上記第4の実施形態では、安全関連パラメータの設定や変更が可能なPC60において任意名称の設定や変更を可能とした一方、それら安全関連パラメータの設定や変更が不可となっているティーチングペンダント70では任意名称の設定や変更を不可とした。ティーチングペンダント70にて安全関連パラメータの設定や変更が可能な構成とする場合には当該ティーチングペンダント70にて名称の設定や変更を可能としてもよい。なお、パラメータの設定や変更と任意名称の設定や変更が可能なデバイスを複数設けた場合には、それらデバイス間で安全関連パラメータの最新の設定値及び最新の任意名称を共有化することが好ましい。このような構成を実現する上では、例えば任意名称に設定値のバージョン情報や日付の情報を含めるように教示したり、デバイス側でこれらの情報を任意名称に付加したりするとよい。
<変形例2>
上記第4の実施形態では、ユーザが任意名称を直接入力する構成について例示したが、プルダウンメニューによって任意名称の候補を表示し、その中からユーザが1の任意名称を選択する構成としてもよい。また、第4の実施形態に示したように、任意名称を複数の情報の組み合わせによって構成することで名称の識別力を強化しやすくなる。このように複数の情報の組み合わせによって名称を構成する上では、各情報を個別に設けられたプルダウンメニューから各々選択する構成としてもよい。
<変形例3>
上記第4の実施形態では、ロボット名とエリア名との2つの情報の組み合わせ(複合名称)によって任意名称を構成した場合について例示したが、これに限定されるものではない。任意名称については1の情報によって構成してもよいし、3以上の情報の組み合わせによって構成してもよい。例えば、任意名称=「第1エリア用パラメータ」とすることも可能である。
また、上記第4の実施形態では、任意名称の全体をユーザが任意に設定できる構成としたが、これに限定されるものではない。上記変形例1に示したように、任意名称をユーザが任意に設定可能な部分と、デバイス側で強制的に決定される部分とで構成することも可能である。
<変形例4>
上記第4の実施形態では、主要項目表示となっている場合に送信ボタンが表示される構成、すなわち主要項目表示となっている場合に安全関連パラメータ群の送信が可能となる構成としたが、これに限定されるものではない。全項目表示となっている場合に送信ボタンが表示される構成としてもよいし、主要項目表示及び全項目表示の何れとなっている場合であっても送信ボタンが表示される構成としてもよい。
<変形例5>
安全関連パラメータの値の見直し等により安全関連パラメータ群の少なくとも何れかの値が変更された場合には、変更前の任意名称の引継ぎを不可とし、任意名称をユーザに必ず変更させる構成(例えば、変更しなければ保存や送信が不可となる構成)とすることも可能である。特に、ロボット16へ送信済みの安全関連パラメータ群の値については、安全関連パラメータの値の見直し時の任意名称の変更を必須とすることで、ロボット16に記憶されている安全関連パラメータ群の値が最新のものに更新されているかの特定が困難になることを抑制できる。例えば、名称に変更日時を含めたり、ログインユーザIDやユーザ名等の個人を識別できる情報を含めたり、バージョン情報を含めたりするとよい。
<変形例6>
本実施形態においても、PC60に設定支援用のソフトウェアが予めインストールされている場合について例示したが、このソフトウェアをインターネット回線等を通じて配信し、ユーザが当該ソフトウェアを所望とするPC60に任意のタイミングでインストール可能としてもよい。
<第5の実施形態>
上記第4の実施形態では、安全関連パラメータ群の名称としてユーザが任意に設定可能な任意名称を設け、PC60から安全関連パラメータ群を送信する場合やロボット16にて安全関連パラメータ群を受信した後に当該任意名称を表示させる機会を設けた。このような構成によれば安全関連パラメータ群の誤送信の抑制や誤設定の早期発見に寄与できる。本実施形態では任意名称の利用についてシステム側からより積極的に介入することにより、上記効果の底上げを図っていることを特徴の1つとしている。以下、第4の実施形態との相違点を中心に本実施形態における特徴的な構成について説明する。
先ず、本実施形態では任意名称を前半パートと後半パートとで構成し、両パートの一方(後半パート)については任意の文字列の設定を促す一方、両パートの他方(前半パート)については設定にガイドラインを設けた。具体的には、一方のパート(前半パート)については送信先のロボットの固有情報を入力するように促す構成とした。
図27に示すように、任意名称が設定されていない状況下では、シーンパラメータ設定画面WDの名称表示部D3には、上記ガイドラインに沿った名称が設定されるように促すべく、「送信先の固有情報_任意の文字列」のメッセージが表示されている。このメッセージについてはユーザが名称表示部D3をクリックして入力を開始することで非表示となる。例えば、図27に示す例では、固有情報=「ロボットX」、任意の文字列=「第1エリア用パラメータ」の組み合わせにより任意名称が構成されている。
固有情報については、ロボットの個体毎に設定されており変更不可となっている固定情報(例えばIDや製造番号等)とユーザがティーチングペンダント70等を用いて任意に設定可能な任意設定情報(例えばコントローラ名やロボット名等)とに大別される(図28参照)。なお、固有情報についてはロボット16の製造プレートやティーチングペンダント70からユーザが確認できる情報である。
本実施形態では、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報とロボット16に記憶されている固有情報とを安全関連パラメータの送信に際して照合することにより、誤送信の発生を抑制している。以下、図29を参照して、本実施形態における送信用処理を第4の実施形態に示した送信用処理との相違点を中心に説明する。
本実施形態における送信用処理においてはステップS406にて最終確認操作が行われたと判定した場合には、ステップS501に進む。ステップS501では、ユーザにより送信先に指定されたロボットから固有情報を取得する。具体的には、ロボットに記憶されているIDや製造番号等の固定情報、コントローラ名やロボット名等の任意設定情報を各々取得する。なお、送信先の指定に係る構成については第4の実施形態と同様であるため説明を省略する。
送信先のロボットから固有情報を取得した後は、ステップS502に進み、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報と、送信先から取得した固有情報とを照合する。この照合において、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報が、送信先から取得した固有情報の何れかと一致した場合には、ステップS503にて肯定判定をしてステップS409に進み、送信処理を実行した後に本送信用処理を終了する。送信処理では、送信先として指定されたロボットにシーン番号と、安全関連パラメータ群と、ユーザにより設定された任意名称(送信先の固有情報及び任意の文字列)とを送信する。なお、送信処理では任意名称のうち任意の文字列のみを送付する構成とすることも可能である。
ステップS502の照合において、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報が、送信先から取得した固有情報の何れとも一致しなかった場合には、ステップS503にて否定判定をしてステップS506に進み、安全関連パラメータの送信の中止処理(ステップS408と同様)及び名称設定の教示処理(ステップS403と同様)を実行した後、本送信用処理を終了する。
ユーザにより設定される任意名称が送信先の制御装置にて固有となる固有情報を含むことにより、当該固有情報を用いた照合が可能となる。このように、システム側で誤送信を特定可能な構成とすれば、人為的なミスを大幅に軽減できる。
<変形例1>
上記第5の実施形態では、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報と、送信先のロボット16の固有情報とをPC60にて照合し、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報が送信先のロボット16の固有情報に含まれない場合には送信を中止する(すなわち安全関連パラメータ群等を送信しない)構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報と、送信先のロボット16の固有情報とをロボット16にて照合し、ユーザにより設定された任意名称に含まれる固有情報が送信先のロボット16の固有情報に含まれない場合にはロボット16側で安全関連パラメータ群等の受信を拒否する構成としてもよい。
<変形例2>
ロボット16側で任意名称に含める情報を指定し、当該指定された情報が任意名称に含まれている場合にのみ安全関連パラメータ群等の送信及び受信が許容され、含まれていない場合には送信又は受信が不可となるように制限してもよい。また、ロボット16側で任意名称を指定し、当該指定された任意名称とPC60においてユーザにより設定された任意名称とが一致した場合にのみ安全関連パラメータ群等の送信及び受信が許容され、一致しない場合には送信又は受信が不可となるように制限してもよい。
<変形例3>
CRC計算によって安全関連パラメータ群から一意な値を作成し、送信側(PC60側)で実施したCRC計算の結果と、受信側(ロボット16側)で実施したCRC計算の結果とを比較することでデータの欠損や改ざんを監視する構成としてもよい。また、安全関連パラメータ群のCRC計算に任意名称の一部又は全部を含める構成としてもよい。
<第6の実施形態>
上記第5の実施形態に示した固有情報については、固定情報(例えばIDや製造番号)と任意設定情報(例えばロボット名やコントローラ名)とで特性に大きな違いがある。IDや製造番号については他のデバイスとの識別時に重複(衝突)が発生しないように設定されることが前提となっている。つまり、基本的に同じ固定情報を有するロボットは存在しない又はほぼ存在しないため、固定情報同士を対比した場合に一致する可能性(混同のリスク)は低い。但し、固定情報については、その多くは英数字の組み合わせなど意味を持たないため、ユーザにとっては固定情報を見てもそれがどのロボットに対応しているかを特定することは難しい(図30(A)の例参照)。
一方、コントローラ名やロボット名等の任意設定情報については、ユーザ自身が理解できる程度に意味を持たせた名称(分かりやすい名称)にすることが可能である。故に、ユーザは、任意名称を見て、当該任意名称がどのロボットに対応しているかを任意設定情報から特定することは固定情報から特定する場合と比べて容易になる(図30(A)の例参照)。しかしながら、任意設定情報の設定をユーザに委ねることで、同じ任意名称が複数のロボットで設定される可能性は上記固定情報よりも高くなる。
本実施形態では、このような特性の違いに着目して、任意名称の設定のガイドラインを以下のように定めていることを特徴の1つとしている。以下、第5の実施形態との相違点を中心に本実施形態における特徴的な構成について説明する。
図30(B)に示すように、本実施形態に示す名称表示部D3においては、任意名称が未設定である場合に、どのように任意名称を設定すればよいかを教示するメッセージ(具体的には「固定情報(製造番号等)_任意設定情報(コントローラ名等)_任意の文字列」)が表示されている。つまり、本実施形態では任意名称を3つの情報の組み合わせによって構成するように教示されている。なお、ユーザがカーソルを名称表示部D3に合わせることでより詳細なガイドライン(例えば固定情報や任意設定情報の他の例やそれら各情報の確認方法等)がポップアップ表示される。
例えば、製造番号=「0001」、コントローラ名=「RoBotX」となっているロボットを対象としてパラメータ群の任意名称を設定する場合であって、ユーザが任意文字列=「第1エリア用パラメータ」とする場合には、ガイドラインに従って任意名称を設定することで、任意名称=「0001_RoBotX_第1エリア用パラメータ」となる(図31参照)。ここで、図31を参照して、本実施形態における任意名称を構成している各情報の取り扱いについて説明する。
図31に示す例では、工場の第1エリアEXに配置されたロボット16Xと第2エリアEYに配置されたロボット16Yとは同型ではあるものの、各エリアで従事している作業が異なっている。すなわち、作業内容が重複しない構成となっている。具体的には、ロボット16Xにおけるメインシーン1とロボット16Yにおけるメインシーン1とは異なる作業を想定したものとなっている。
そして、ユーザはロボット16Xについてメインシーン1のパラメータ群をPC60にて設定し、且つ、任意名称として、固定情報であるロボット16Xの製造番号「0001」、任意設定情報であるコントローラ名「RoBotX」、任意の文字列「第1エリア用パラメータ」の組み合わせである「0001_RoBotX_第1エリア用パラメータ」を設定している。このパラメータ群をロボット16Xへ送信する場合には、上記第5の実施形態と同様に、PC60とロボット16Xとで情報の照合が行われる。
本実施形態において照合の対象として規定されているのは「固定情報」である。つまり、任意名称に含まれる固定情報(製造番号)が、ロボット16Xに記憶されている固定情報(製造番号)と一致しているかが照合される。図31の例では、製造番号が一致しているため、PC60で設定された安全関連パラメータ群、シーン番号、任意名称がロボット16Xに送信され、送信された安全関連パラメータ群は当該ロボット16Xのメモリにメインシーン1対応の安全関連パラメータ群として記憶されることとなる。これにより、ロボット16Xに接続されているティーチングペンダント70Xではメモリ55Xに記憶されているメインシーン1対応の安全関連パラメータ群をディスプレイ71Xに表示して確認可能となる。また、安全関連パラメータ群をディスプレイ71Xに表示した場合には、当該安全関連パラメータ群だけでなく上記任意名称についても併せて表示される。具体的には任意名称が「現在のパラメータ<0001_RoBotX_第1エリア用パラメータ>」と表示される。つまり、表示される任意名称には任意設定情報(コントローラ名)である「RoBotX」と任意の文字列である「第1エリア用パラメータ」とが含まれる。ディスプレイ71Xに表示された「RoBotX」及び「第1エリア用パラメータ」を、ロボット16Xに適用されている安全関連パラメータ群が本ロボット16Xを想定したものであるかをユーザが目視で確認する際の一助とすることができる。
ここで、上記安全関連パラメータ群を誤ってロボット16Yに送信しようとした場合にも上記照合が行われる。図31の例では、任意名称に含まれる固定情報(製造番号)と、ロボット16Yに記憶されている固定情報(製造番号)とが不一致となっている。故に、照合の結果、PC60からロボット16Yへの安全関連パラメータ群の送信は不可となり、誤送信が回避されることとなる。つまり、ロボット16Yではパラメータの上書きが実行されず、ティーチングペンダント70Yのディスプレイ71Yに表示されるパラメータや名称は元のままとなる。
<変形例1>
上記第6の実施形態では、ティーチングペンダント70X,70Yのディスプレイ71X,71Yに安全関連パラメータ群の任意名称を表示する構成としたが、表示される任意名称ともに、ロボット16X,16Yに記憶されている固有情報を表示する構成としてもよい。ユーザは、それらを目視で対比することにより、誤った安全関連パラメータ群が適用されていないかを簡易に確認でき、確認作業の容易化に寄与できる。
<変形例2>
上記第6の実施形態では、ティーチングペンダント70X,70Yのディスプレイ71X,71Yに安全関連パラメータ群の任意名称を構成している固定情報、任意設定情報、任意の文字列を全て表示する構成としたが、少なくとも任意設定情報、好ましくは任意設定情報及び任意の文字列が表示される構成とすれば足りる。つまり、任意名称に含まれる固定情報については表示対象から外すことも可能である。
<変形例3>
上記第6の実施形態では、PC60からロボット16X,16Yに安全関連パラメータ群等を送信する場合に固定情報についてのみ照合を行う構成としたが、これに加えて任意設定情報についても照合を行う構成としてもよい。
<第7の実施形態>
上記第1~第6の各実施形態においては、安全関連部PXにより基準値を超える力や速さ、基準領域を外れる位置への移動を確認した場合にはエラー発生としてロボット16を停止させる構成とすることにより、ロボット16の安全性の向上に貢献している。ここで、例えば自動運転中に上記力や位置に係るエラー発生によってロボット16が停止した場合には、ユーザが手動でロボット16を移動させて当該エラーを解消することで、ロボット16の自動運転を再開させることができる。また、ロボット16に動作軌道を設定する場合には、ジョグ操作によってロボット16を操作したり、ロボット16を手で押し引きしたりして動作軌道等を教示する場合もある。第1の実施形態等に示したように、自動運転時だけでなく手動操作時においても安全関連部PXによる監視を行う構成とすることはロボット16の安全性を向上させる上で好ましいものの、手動操作が行われる状況や作業内容によって各安全関連パラメータの適正な値は異なる可能性が高い。更には、手動操作の機能を活用する際の利便性の向上と安全性の向上とを両立させる上では、各安全関連パラメータの適正な値が異なる可能性が一層高くなる。
本実施形態では、このような事情に配慮して、手動操作時の安全性の向上と利便性の向上とを両立させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図32を参照して、当該工夫を第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、以下の説明においても、安全関連パラメータ群を「シーン」とも記載し、第1の実施形態に示したようにロボット16が従事する「作業シーン」と区別する。
本実施形態では、上記第1の実施形態に示した特殊シーン2に代えて、手動操作用シーンD、手動操作用シーンR、手動操作用シーン1~3が設けられている。つまり、これら5つのシーンが手動操作用のシーンとして登録されており、手動操作時には状況や作業内容等に応じてこれら5つのシーンの何れかに基づいて安全関連部PXによる監視等が実行される。
手動操作用シーンDは、手動操作時のデフォルトとなるシーンであり、例えば後述するように駆動制御部52における制御モードが手動操作モードに切り替えられた際にセットされたり、エラー解消時やティーチング終了時にセットされたりするシーンである。手動操作用シーンDでは、速さ及び力が監視対象(基準値の設定=「有効」)となっており、位置については監視対象外(基準領域の設定=「無効」)となっている。なお、図32に示す例では、速さ及び力の制限レベルはHIレベルとしており、速さ及び力は大きく制限される構成となっているが、これに限定されるものではない。それらの制限レベルについては任意である。また、力についても監視対象外としてもよい。力を監視対象外とすることは、ジョグ操作によって設備等に接触して力がかかって停止する度に安全関連部PXの状態をリカバリに切り替えたり手動操作用シーンRに切り替えたりする手間を減らす上で効果的である。
手動操作用シーンRは、エラー停止したロボット16の復旧(リカバリ)作業を行う際に選択されることを想定したシーンである。手動操作用シーンDでは、速さ、力、位置が何れも監視対象となっているが、何れも制限レベルはLOWレベルとなっている。例えばロボット16が設備等に引っ掛かった状態で停止している状況下にて復旧作業を行う場合には、ロボット16を引き離す際に必要な力が大きくなり得る。上述の如く力の監視レベルを低くすることにより、復旧作業が困難になることを抑制している。また、ロボット16が基準領域外に出てしまった場合にも当該手動操作用シーンRがセットされるため、位置についても監視レベルを低くすることで位置の監視機能が復旧作業の妨げになることを抑制している。なお、後述するように安全関連部PXが「リカバリ状態」となっている場合に本手動操作用シーンRがセットされるが、この「リカバリ状態」では力及び位置の監視が無効化される。このため、少なくとも当該「リカバリ状態」との組み合わせにおいては、上述した力及び位置の判定基準に引っ掛かったとしても、ロボット16の動きが妨げられることはない。
手動操作用シーン1は、ティーチングペンダント70等におけるジョグ操作によってティーチングを行う際に選択されることを想定したシーンである。手動操作を想定してはいるものの、ユーザがロボット16に直接触れるわけではないため、速さ、力及び位置の制限レベルについては最低限(MIN)となっている。つまり、手動操作用シーン1~3の中では最も制限が緩い。
手動操作用シーン2及び手動操作用シーン3は、所謂ダイレクトティーチングを行う際に選択されることを想定したシーンである。速さ、力、位置が全て監視対象となっている点では手動操作用シーン1と同様である。但し、ダイレクトティーチングではジョグ操作によるティーチングとは異なり、ユーザがロボット16に直接触れることになる。このため、速さ、力、位置の監視レベルについては何れも手動操作用シーン1と比べて高くなっている。
手動操作用シーン2及び手動操作用シーン3については、少なくとも一部の安全関連パラメータ(例えば、速さ、力、位置の少なくとも1つ)が互いに相違している。図32に示す例では、手動操作用シーン3の速さの制限レベルを手動操作用シーン2の速さの制限レベルよりも高くすることで差別化されており、ダイレクトティーチングを行う状況等に応じてこれら2つの手動操作用シーン2~3を選べる構成となっている。ロボット16については様々なエリアにて各種作業に従事するため、ダイレクトティーチングについても状況等に応じて選択可能な構成とすることには作業の安全性や作業効率を向上させる上で好ましい。
ここで、図33を参照して、駆動制御部52における制御モード及び安全関連部PXの状態について補足説明する。
図33(A)に示すように、駆動制御部52の制御モードとして自動運転用の自動制御モードと、手動操作用の手動操作モードとが設けられている。自動制御モードでは、ユーザにより作成された動作プログラムの進行に従って駆動制御を行い、当該動作プログラムにおけるシーン切替用のコマンドである「CHANGE SCENE」コマンドを契機として当該コマンドで指定されているシーンへ切り替える。これに対して、手動操作モードでは、ユーザの操作に応じてシーンを切り替える。つまり、切替タイミング及び切替先についてはユーザが任意に決定可能となっている。このように、自動制御モードと手動操作モードとではシーン切替の契機が異なっている。また、手動操作モードにおけるシーンの切り替えについては安全関連部PXの状態とも関連性がある。以下、図33(B)を参照して、安全関連部PXの状態について補足説明する。
安全関連部PXの状態は、大きく以下の3つに分類される。すなわち、「ノーマル状態」、「セーフ状態」、「リカバリ状態」である。ノーマル状態はロボット16の動作を許可する状態であり、駆動制御部52は安全関連部PXがノーマル状態となっており且つ自動運転モードとなっている場合に動作プログラムが実行可能となる。ノーマル状態となっている状況下にて上記エラーが発生すると、ロボットが強制的に停止され、安全関連部PXの状態がノーマル状態からセーフ状態に切り替わる。つまり、セーフ状態はロボットの動作を不可としてロボット16を停止した位置に保持する状態であるとも言える。このセーフ状態のままでは、安全関連部PXによってロボット16の監視は継続されているため、当該位置からロボット16を移動させることは困難となる。そこで、ロボット16を復旧させるには、安全関連部PXの状態をリカバリ状態に切り替える必要がある。リカバリ状態では、力及び位置の監視が無効化されるため、監視機能がロボット16を適正な位置へ戻してエラーを解消する上で妨げになることはない。
ここで、図34を参照して、エラー解消の流れを制御モード、安全関連部PXの状態、セットされるシーンの関係を踏まえて説明する。
安全関連部PXが「ノーマル状態」となっている状況下にてユーザにより運転の開始操作が行われることにより、ユーザが指定した動作プログラムで自動運転が開始される(tA1参照)。自動運転開始時は、セットされるシーンが自動制御モードにおけるデフォルトである「特殊シーン1」となり、動作プログラムの進行に応じて「メインシーン1~メインシーン9」の何れかに切り替わる。
自動運転中は、制御モードが「自動制御モード」、安全関連部PXの状態が「ノーマル状態」、シーンが「メインシーン1~メインシーン9」及び「特殊シーン1」の何れかとなる。自動運転中にロボット16が基準領域外へ移動する等してエラーが発生すると、安全関連部PXが「ノーマル状態」から「セーフ状態」に切り替わってロボット16が強制的に停止され、シーンが自動的に「特殊シーン1」に切り替わる(tA2参照)。
その後、ユーザがティーチングペンダント70を操作する等して制御モードを「自動制御モード」から「手動操作モード」に切り替えることにより、シーンが「特殊シーン1」から「手動操作モード」におけるデフォルトである「手動操作用シーンD」に切り替わっている(tA3参照)。「手動操作モード」への切り替えが完了して「手動操作モード」且つ「セーフ状態」となることでティーチングペンダント70のディスプレイ71(詳しくはトップ画面)に「リカバリ状態」へ切り替えるための切替ボタンが表示される(tA4参照)。言い換えれば、ディスプレイ71のトップ画面には基本的に当該切替ボタンは表示されず、上述した「手動操作モード」且つ「セーフ状態」の条件が成立した場合にのみ表示される構成となっている。これは、自動運転中にユーザが誤ってリカバリへの切り替えを行うことを回避する工夫である。
ユーザが当該切替ボタンを操作すると、安全関連部PXが「セーフ状態」から「リカバリ状態」に切り替わり、セットされているシーンが「手動操作用シーンR」に切り替わる(tA5参照)。これにより、ロボット16の復旧作業が可能となる。ユーザがロボット16を手動で動かして復旧作業をしている場合には、安全関連部PXが「リカバリ状態」となっていることで力及び位置の監視が無効化されている(tA6参照)。なお、「リカバリ状態」における無効化により、シーンの判定基準(基準値や基準領域)を用いて監視はするもののその結果(停止の判断)を無効となる構成であるが、これに代えて、監視自体を行わない構成とすることを否定するものではない。因みに、「リカバリ状態」となったまま一定時間放置された場合には安全関連部PXが自動的に「リカバリ状態」となる前の状態、すなわち「セーフ状態」に戻る。
復旧作業が完了してエラーが解消されることで、安全関連部PXが「リカバリ状態」から「ノーマル状態」に戻り、これに合わせてシーンがリカバリ用の「手動操作用シーンR」からデフォルトの「手動操作用シーンD」に切り替わる(tA7参照)。その後、ユーザが自動制御モードへの切替操作を行うことで、制御モードが「手動操作モード」から「自動制御モード」に切り替わり、それに合わせてシーンが「手動操作用シーンD」から自動制御モードにおけるデフォルトである「特殊シーン1」に切り替わる(tA8参照)。
その後、動作プログラムにおいてエラー発生により中断していた部分から自動運転が再開されることとなる(tA9参照)。この時点では、動作プログラムが再開される際にセットされていたシーンが再セットされ、以降は動作プログラムの「CHANGE SCENE」コマンドに従ってシーンが順に切り替わることとなる。
本実施形態に示したように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動制御モード(「自動運転モード」に相当)と手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。但し、自動制御モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを自動制御モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本実施形態に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを手動操作する場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
また、自動運転中は上述の如くシーンが制御プログラムの切替指示に応じて自動的に切り替わる一方、手動操作用シーンにはユーザの操作に応じて切り替わる構成となっている。このような構成とすれば、ユーザが意図していないタイミングで突如としてシーンが切り替わることを抑制できる。これは、更なる安全性の向上を図る上で好ましい。
ロボットがユーザにより指定された監視基準領域から外れた位置へ移動することで停止した場合には、当該ロボットを監視基準領域内に戻す作業が行われる。本特徴に示す構成では、手動操作用シーンへの切り替えについてはロボットの位置が不問となっているため、ロボットの位置によって手動操作用シーンへの切り替えが難しくなるといった不都合が生じない。これは、ロボットの動作を再開させるためのリカバリ操作を円滑に行う上で好ましい。
以上詳述した第7の実施形態によれば、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
<変形例1>
自動運転時には、手動操作用のシーンへの切り替えを不可とすることも可能である。例えば、自動運転時には安全関連パラメータが自動で切り替わる際にロボット16について位置確認を行うことで不適切なシーン切替を回避している。これに対して、手動操作用のシーンへはユーザの操作によって切り替わるがその際に位置確認を行っていない。手動操作用のシーンを自動運転用のシーンとして設定した場合には、位置確認が行われないことで安全機能の信頼性が低下し得る。故に、本変形例に示すように、自動運転時は手動操作用のシーンへの切り替えを不可として信頼性の低下を抑えることには技術的意義がある。
<変形例2>
上記第7の実施形態では、デフォルト用の手動操作用シーンDとは別にリカバリ用の手動操作用シーンRを設けたがこれに限定されるものではなく、手動操作用シーンDが手動操作用シーンRを兼ねる構成とすることも可能である。また、手動操作用シーンDや手動操作用シーンRがジョグ操作によるティーチング用の手動操作用シーン1を兼ねる構成とすることも可能である。なお、手動操作用シーンの数については5つに限定されるものではない。少なくとも手動操作用シーンとしてデフォルト用の手動操作用シーンを含む複数のシーンが設けられているのであれば、その数については任意である。例えば、2つとしてもよいし、3つ、4つとしてもよいし、6つ以上としてもよい。
<変形例3>
上記第7の実施形態では、安全関連部PXがセーフ状態且つ制御モードが手動操作モードとなっている場合に、ティーチングペンダント70のディスプレイ71にリカバリボタンが表示され、ユーザが当該リカバリボタンを操作することで、リカバリ状態且つ手動操作用シーンRとなるように切り替わる構成としたが、リカバリ状態への切替操作と手動操作用シーンRへの切替操作とを分ける構成とすることも可能である。なお、安全関連部PXがセーフ状態且つ制御モードが自動制御モードとなっている場合にリカバリ状態や手動操作用シーンRへの切り替えが許容される構成とすることも可能である。
<変形例4>
ロボット16が安全機能によって停止された場合に手動操作モードへの切替操作がなされると、当該切替操作を契機として手動操作用シーンRに切り替わる構成とすることも可能である。
<変形例5>
手動操作用シーン1~手動操作用シーン3については、手動操作モードとなっている状況下にてユーザがシーンの選択操作を行うことで、当該選択されたシーンに切り替わる構成とするとよい。
<変形例6>
上記第7の実施形態に示した手動操作用シーン2及び手動操作用シーン3については手動操作用シーンのサブシーンとして定義することも可能である。
<第8の実施形態>
本実施形態に示すロボットシステムにおいては、複数(具体的には2台)のロボット16の協調により、ロボット16単体では困難な作業についても自動化の対象とし、更なる生産性の向上を図っている点で上記各実施形態に示したロボットシステムと異なっている。そして、協調による作業時にも上述した安全機能の切り替えを実行する上で、当該安全機能に係る構成が工夫されている。以下、上記第2の実施形態との相違点を中心に当該工夫について説明する。なお、以下の説明では、第2の実施形態等と同様に、安全関連パラメータ群を「シーン」とも記載し、第1の実施形態に示したようにロボット16が従事する「作業シーン」と区別する。
図35に示すように、工場の一画には、2台のロボット16の協調により第1ワークW1及び第2ワークW2のアセンブリ(「所定の作業」に相当)を行うアセンブリエリアE6が設けられている。アセンブリエリアE6は、アセンブリ前の第1ワークW1及び第2ワークW2がストックされているストックエリアと、第1ワークW1及び第2ワークW2がアセンブリされてなるワークWAを後工程へ搬送する搬送エリアと、それらストックエリア及び搬送エリアの間に設けられた作業エリアとで構成されている。
ストックエリアには、パレットPとコンベアC1とが配設されている。パレットPにはアセンブリ前の第1ワークW1がコンテナB1に収容された状態で載置され、コンベアC1にはアセンブリ前の第2ワークW2がコンテナB2に収容された状態で載置されている。作業エリアには、第1ワークW1と第2ワークW2とのアセンブリ(組み立て)に際して第1ワークW1を所定の向きとなるようにしてセットするための作業台TBが配置されている。作業台TBの両側にロボット16の滞在範囲が設定さており、滞在中の2台のロボット16が作業台TBを挟んで相対峙する構成となっている。搬送エリアにはコンベアC2が配設されており、アセンブリ後のワークWAがロボット16によってコンベアC2に載置される。
各ロボット16は予め設定されている順に各エリアE1~E6を巡回する。各ロボット16の巡回スケジュールは、それらロボット16のうち2台が巡回過程にてアセンブリエリアE6に同時に到達→滞在するように設定されている。ロボット16がエリアE1~E6間を移動したり、各エリアE1~E6にて作業に従事したりする場合には、ロボット16の制御モードが自動運転に対応したモードである自動制御モードとなる。
図36に示すように、本実施形態に示す自動制御モードは、ロボット16がエリアE1~E6間を移動したりエリアE1~E5にて作業を行ったりする際に適用される個別制御モードと、アセンブリエリアE6にて作業を行う際に適用される協調制御モードとに大別されており、自動運転中はロボット16が位置するエリア等に応じて個別制御モード/協調制御モードに切り替わる構成となっている。
2台のロボット16がアセンブリエリアE6に到達すると、図37に示すように、それらロボット16が相互に通信可能となるようにして無線接続された状態となる。この接続状態については、アセンブリエリアE6における作業が完了してエリアE1~E5への復帰条件が成立するまで維持される。協調制御モードにおいては、それら無線接続されたロボット16に一時的な主従(リーダ/フォロワ)の関係が生じる。具体的には、2台のロボット16の一方がリーダロボットとなり、他方がリーダロボットに追従するようにして動作するフォロワロボットとなる。なお、ロボット16を通信可能とするための具体的構成については任意であり、例えば各ロボット16を有線接続する構成を否定するものではない。また、中継器を介して両ロボット16が間接的に接続される構成とすることも可能である。
何れのロボット16がリーダロボットとなるかについては、制御プログラムにて予め規定されている。具体的には、集積エリアE3及び通路E5の各エリアからアセンブリエリアE6にロボット16が集まる構成となっており、集積エリアE3からアセンブリエリアE6に移動するロボット16がリーダロボット且つ通路E5からアセンブリエリアE6に移動するロボット16がフォロワロボットとなるように規定されている。因みに、アセンブリエリアE6においては、リーダロボット用の滞在範囲(作業台TBの左側)と、フォロワロボット用の滞在範囲(作業台TBの右側)とが決まっており、各ロボット16がどちらの滞在範囲へ移動するかについても制御プログラムにより規定されている。以下の説明では、リーダとなるロボット16を「リーダロボット16A」、フォロワとなるロボット16を「フォロワロボット16B」とも称する。
フォロワロボット16Bの動作状況等の各種情報については、無線通信によって当該フォロワロボット16Bからリーダロボット16Aに送信され、リーダロボット16Aでは、受信した各種情報とリーダロボット16Aに記憶されている協調用の制御プログラムとに基づいてフォロワロボット16Bの駆動制御を実行する。つまり、協調制御モードにおいては、リーダロボット16Aの制御装置51Aが、リーダロボット16AのAGV21A及びロボットアーム31Aの駆動制御と、フォロワロボット16BのAGV21B及びロボットアーム31Bの駆動制御との両方を担う。また、協調制御モードにおいては、フォロワロボット16Bにおける安全機能の切り替え(シーンの切り替え)及びフォロワロボット16Bの動作監視の各機能についてもリーダロボット16A側へと移管され、それらの機能に係る各種制御についてはリーダロボット16Aに一任される(図38参照)。
ここで、図39及び図40のフローチャートを参照して、個別制御モード/協調制御モードの切り替えの流れについて補足説明する。
図39に示すように、リーダとなるロボット16がアセンブリエリアE6に到達し(P101)且つフォロワとなるロボット16がアセンブリエリアE6に到達すると(P102)、それらロボット16が無線接続される(P103)。これにより、フォロワとなるロボット16の動作状況等の各種情報をリーダとなるロボット16にて適宜取得可能となる。図39の例では、無線接続後に、フォロワとなるロボット16の停止情報や位置情報がリーダとなるロボット16に送信されている(P104)。リーダとなるロボット16では、各ロボット16が停止していることを確認し(P105)、各ロボット16(詳しくは手先)が上記滞在範囲における基準位置に位置しているかを確認する(P106)。各ロボット16が停止しており且つ上記基準位置に位置している場合には、協調制御モードへの切替条件(停止条件及び位置条件)が成立となり、制御モードを協調制御モードへ切り替える(P107)。
具体的には、リーダとなるロボット16では、自身をリーダとすべくリーダ設定を行い、フォロワとなるロボット16に対して協調制御モードへの切り替えを指示する。フォロワとなるロボット16においては、この指示に基づいて、制御モードを協調制御モードに切り替えるとともに自身をフォロワとすべくフォロワ設定を行う(P108)。そして、設定が完了した旨をリーダ側へ通知する。
リーダとなったロボット16(リーダロボット16A)では、フォロワ側からの上記通知に基づいて、各ロボットに係る安全機能の設定及び切り替えを行う。具体的には、自身が参照対象としているシーンを協調制御モードに対応するシーンに切り替え(P109)、フォロワとなったロボット16(フォロワロボット16B)の動作監視を開始し(P110)、フォロワロボット16Bの動作監視にて参照するシーンとして協調制御モードに対応するシーンを設定する(P111)。
また、フォロワロボット16Bでは、協調制御モードが終了するまでシーン切替機能や動作判定機能の各機能が一時的にオフとなり(P112)、フォロワロボット16Bにおける安全機能の一部(シーン切替機能や動作判定機能)がリーダロボット16Aへ移管された状態となる。
以上の流れで協調制御モードへの切り替えと安全機能の切り替えとが完了した後に、アセンブリエリアE6における作業が開始されることとなる。
作業中は、フォロワロボット16Bからリーダロボット16Aにフォロワロボット16Bの停止情報や位置情報が随時送信される。図40に示すように、アセンブリエリアE6における作業が終了した後もフォロワロボット16Bの停止情報や位置情報がリーダロボット16Aに送信され(P201)、リーダロボット16Aにおいては自身の停止情報や位置情報とフォロワロボット16Bの停止情報や位置情報とに基づいて各ロボット16A,16Bが停止しているかを確認し(P202)、各ロボット16A,16B(詳しくは手先)が上述した基準位置に位置しているかを確認する(P203)。各ロボット16A,16Bが停止しており且つ基準位置に位置している場合には、個別制御モードへの切替条件(停止条件及び位置条件)が成立となり、制御モードを個別制御モードへ切り替える(P204)。
具体的には、リーダロボット16Aでは自身のリーダ設定を解除するとともに、フォロワロボット16Bに対して個別制御モードへの切り替えを指示する。フォロワロボット16Bではこの指示に基づいて、制御モードを個別制御モードに切り替えるとともに自身のフォロワ設定を解除する(P205)。また、フォロワとなっていたロボット16では、オフとなっているシーン切替機能や判定機能の各機能をオンとする。詳しくは、当該ロボット16では、参照対象となっているシーンを、個別制御モード用のシーン、具体的には次に移動するエリアに対応したメインシーンに切り替え(P206)、自身の動作監視を再開させる(P207)。
また、リーダとなっていたロボット16では、参照対象となっているシーンを個別制御モード用のシーン、具体的には次に移動するエリアに対応したメインシーンに切り替え(P208)、フォロワとなっていたロボット16の動作監視を終了する(P209)。その後は、両ロボット16の無線接続が解除され(P210)、それらロボット16は各々別のエリアへと移動して個別の作業に従事する。なお、無線接続の解除のタイミングについては、必ずしもメインシーンへの切替後とする必要はなく、協調制御モードから個別制御モードへの切替後(例えばP205の後)とすることも可能である。
因みに、個別制御モードへ切り替わった際に設定されるシーンについては、次に移動するエリアに対応したメインシーンとする必要は必ずしもなく、例えば個別制御モードにおけるデフォルトのシーンである特殊シーン1とし、各エリアへの移動後に当該エリアに対応したメインシーンに切り替わる構成とすることも可能である。
ここで、図41及び図42を参照して、アセンブリエリアE6における作業の流れについて補足説明する。
図41に示すように、アセンブリエリアE6においては先ず、第1のステップPC1にて、パレットPに載置されているコンテナB1から第1ワークW1をピックアップし、ピックアップした第1ワークW1を作業台TBの所定箇所にセットする。このセット作業についてはパレットP側に位置しているリーダロボット16Aが単独で実行する。
第1ワークW1を作業台TBにセットした後は、第2のステップPC2にて、第2ワークW2をピックアップする。このピックアップ作業については、リーダロボット16A及びフォロワロボット16Bが協調して実行される。具体的には、第2ワークW2については長板状をなしており、その両端(左右両端)がハンド34A,34Bによる把持位置となっている。第2ワークW2の把持位置へ各ロボット16A,16Bのハンド34A,34Bを移動させ、それらハンド34A,34Bによって第2ワークW2の両端を上方から把持した後は、両ハンド34A,34Bを鉛直方向へ直線移動(平行移動)させることでコンテナB2から第2ワークW2を取り出し、両ハンド34A,34Bを水平方向へ直線移動(平行移動)させることで、第2ワークW2を作業台TBの上方へと運ぶ(図42(A)参照)。この際、各AGV21A,21Bが作業台TBから離れる側へ各々移動することで、それらAGV21A,21Bの相対距離が変更(拡大)され、各ロボットアーム31A,31Bの無理のない動きが実現されている。これらの動きについては、リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとが同期し、リーダロボット16Aに追従するようにしてフォロワロボット16Bが動作することで、すなわち両ハンド34A,34Bの移動方向、移動距離、移動速度を各々一致させることで、ハンド34Aとハンド34Bとの距離が一定に維持される。
第2ワークW2をピックアップした後は、第3のステップPC3にて、第2ワークW2の加工作業を行う。本実施形態に示す第2ワークW2については、弧状をなすようにして湾曲させた状態で第1ワークW1へ取り付けられる構成となっており、この取り付けの前段階として、両ロボット16A,16Bにより第2ワークW2の曲げ加工が行われる。この曲げ加工では、リーダロボット16Aのハンド34Aを、当該ハンド34Aとアーム本体33(図2等参照)とが接続されている関節部分の軸(第6軸)を中心として、すなわちハンド34AのツールセンタポイントCPAを中心として水平に回動させることで当該ハンド34Aの姿勢を上方から見て反時計回り方向(以下、正方向という)に変化させるとともに、フォロワロボット16Bのハンド34Bを、当該ハンド34Bとアーム本体33(図2等参照)とが接続されている関節部分の軸(第6軸)を中心として、すなわちハンド34BのツールセンタポイントCPBを中心として水平に回動させることで当該ハンド34Bの姿勢を上方から見て反時計回り方向(以下、逆方向という)に変化させる。また、それらの姿勢変化に合わせて、ハンド34A,34Bの中間点CPMを中心としてハンド34Aを上方から見て正方向へ水平に回動させ且つハンド34Bを上方から見て逆方向へ水平に回動させている(図42(B)参照)。これにより、第2ワークW2を弧状となるように変形させている。これらの動きについては、リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとが同期し、リーダロボット16Aに追従するようにしてフォロワロボット16Bが動作することで、すなわち両ハンド34A,34Bの移動距離、移動速度を各々一致させるとともに移動方向を互いに逆とすることで、ハンド34A及びハンド34Bの動きは左右対称となっている。
第2ワークW2を変形させた後は、第4のステップPC4にて、第1ワークW1と第2ワークW2とのアセンブリ作業を行う。アセンブリ作業においては先ず、ハンド34A,34Bによって第2ワークW2を把持したまま当該第2ワークW2の姿勢を作業台TBにセットされている第1ワークW1の向きに合わせて変更する。具体的には、ハンド34A(詳しくはハンド34AのツールセンタポイントCPA、第6軸)を中心としてハンド34Bを逆方向に回動(旋回)させる1次回動(図42(c1)参照)と、ハンド34B(詳しくはハンド34BのツールセンタポイントCPB、第6軸)を中心としてハンド34Aを正方向に回動(旋回)させる2次回動(図42(c2)参照)とが実行される。
1次回動においては、ハンド34Aが当該ハンド34AのツールセンタポイントCPA(第6軸)を中心として正方向に回動することでハンド34Aの姿勢が変更され、ハンド34Bが当該ハンド34BのツールセンタポイントCPB(第6軸)を中心として正方向に回動することでハンド34Bの姿勢が変更されている。また、2次回動においては、ハンド34Aが当該ハンド34AのツールセンタポイントCPA(第6軸)を中心として正方向に回動することでハンド34Aの姿勢が変更され、ハンド34Bが当該ハンド34BのツールセンタポイントCPB(第6軸)を中心として正方向に回動することでハンド34Bの姿勢が変更されている。
これらの動きについては、リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとが同期し、リーダロボット16Aに追従するようにしてフォロワロボット16Bを動作させることで、ハンド34Aとハンド34Bとの距離を一定に維持するとともに、ハンド34Aとハンド34Bとの向きの関係を維持している。そして、1次回動(1次姿勢変更)及び2次回動(2次姿勢変更)を経ることにより、上方から見て第2ワークW2の姿勢が横向き→縦向きに変更される。
なお、1次回動におけるフォロワロボット16Bのハンド34Bの移動距離及び移動速度と、2次回動におけるリーダロボット16Aのハンド34Aの移動距離及び移動速度とは同一となっており、1次回動におけるリーダロボット16Aのハンド34Aの回動角度及び回動速度と、2次回動におけるフォロワロボット16Bのハンド34Bの回動角度及び回動速度とは同一となっている。
その後は、両ハンド34A,34Bを水平方向に直線移動(平行移動)させることにより第1ワークW1への取付位置の直上へ第2ワークW2を配置する。そして、両ハンド34A,34Bを鉛直方向に直線移動(平行移動)させて、取付位置へ第2ワークW2を配置する。その後は、ハンド34A,34Bによる把持を解除することで、第1ワークW1及び第2ワークW2のアセンブリ作業が完了することとなる。これらの動きについては、リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとが同期し、リーダロボット16Aに追従するようにしてフォロワロボット16Bが動作することで、すなわち両ハンド34A,34Bの移動方向、移動距離、移動速度を各々一致させることで、ハンド34Aとハンド34Bとの距離が一定に維持される。
第1ワークW1及び第2ワークW2をアセンブリしてワークWAを形成した後は、第5のステップPC5にて、当該ワークWAをコンベアC2へ搬送する。この搬送作業についてはフォロワロボット16Bが単独で実行する。
本実施形態においては、ストックエリアにストックされている第1ワークW1及び第2ワークW2の少なくとも一方がなくなるまで、上記第1のステップPC1~第5のステップPC5の各作業が繰り返されることとなる。因みに、第1のステップPC1~第5のステップPC5を繰り返す場合には、第1のステップPC1におけるリーダロボット16Aの動作と、第5のステップPC5におけるフォロワロボット16Bの動作とが並行し、且つ、両ロボット16A,16Bの衝突が回避されるようにしてロボット16A,16Bの動作タイミングや動作軌道が設定されている。つまり、第1のステップPC1及び第5のステップPC5が重なる場合には、ワークの入替作業についてロボット16A,16Bが協調しているとも言える。
以上詳述したように、アセンブリエリアE6における作業についてはロボット16A,16Bの様々な動作を組み合わせることで実現されている。本実施形態に示す協調制御モードにおいては、個別制御モードと同様に、参照可能な複数のシーン(具体的には協調動作用シーン)が設けられており、動作内容(作業内容)に応じて参照する協調動作用シーンが切り替わる構成となっている。以下、図43を参照して、協調制御モード中のシーンチェンジシーケンスの流れについて、その概要を説明する。
本実施形態に示す協調制御モード用の制御プログラムは、ロボット16が複数の異なる作業に従事することを想定したものとなっており、作業毎に安全機能の切り替えを行うべく上記「CHANGE SCENE」コマンドが複数配されている。協調制御モードにおいては、リーダロボット16Aの制御プログラムにおける「CHANGE SCENE」コマンドを契機としてシーンチェンジシーケンスが開始される(P301)。
シーンチェンジシーケンスにおいては先ず、リーダロボット16Aにて、当該リーダロボット16A(AGV21A及びロボットアーム31A)が停止(静止)していることを確認し、フォロワロボット16B(AGV21B及びロボットアーム31B)が停止(静止)していることを確認する(P302)。安全機能の切り替えについては基本的に、安全性に配慮してロボット16A,16Bが停止している状況下にて実行される構成となっており、動作の遅れ等によってロボット16A,16Bが停止していない場合にはそれらロボット16A,16Bの停止を待って当該シーケンスを進める。
ロボット16A,16Bの停止が確認できた場合には、リーダロボット16Aにて、当該リーダロボット16Aの位置及びフォロワロボット16Bの位置を確認する(P303)。具体的には、ロボット16A,16Bには工場10におけるロボット16A,16Bの位置を特定可能なロケータ41(図3参照)が配設されており、このロケータ41から取得したロボット16A,16Bの位置情報(例えば座標)及び各ロボット16A,16Bに搭載されたロータリエンコーダ36(図3参照)から取得したエンコーダ情報に基づいて、ロボット16A,16Bの手先がアセンブリエリアE6に設定されている所定の制御点に位置していることを確認する。つまり、本実施形態においても、ロボット16A,16B(ロボットアーム31A,31Bの手先)の位置が予め設定されている位置となっていることが安全機能の切り替えの条件となっている。
上述した停止条件及び位置条件の各条件(切替条件)を満たしている場合には、リーダロボット16Aの安全関連部PX(図5参照)にて、リーダロボット16Aに係る安全機能及びフォロワロボット16Bに係る安全機能の切り替え、すなわち各ロボット16A,16Bの動作監視において参照するシーンの切り替えを行う(P304,P305)。
より詳細には、各ロボット16の各安全関連部PXに、当該安全関連部PXが搭載されているロボット16自身の動作監視を行うメインパートと、他のロボット16の動作監視を行うサブパートとが設けられている。メインパートには自身の動作監視にて参照するシーンを設定可能となっており、サブパートには他のロボット16の動作監視にて参照するシーンを設定可能となっている。
各ロボット16については、制御モードが個別制御モードとなっている場合には、メインパートにおける監視機能が有効化され、サブパートにおける監視機能が無効化される。一方、制御モードが協調制御モードとなっている場合には、自身がリーダロボット及びフォロワロボットの何れとなっているかによって各パートが有効/無効の何れとなるかが異なる。具体的には、自身がリーダロボットである場合には、メインパート及びサブパートの両方が有効化され、自身がフォロワロボットである場合には、メインパート及びサブパートの両方が無効化される。
「CHANGE SCENE」コマンドには、メインパートにて設定される協調動作用シーンと、サブパートにて設定される協調動作用シーンとを各々指定可能となっており、本シーンチェンジシーケンスにおいては、メインパートにて設定されているシーンを当該「CHANGE SCENE」コマンドにて指定されている協調動作用シーンに切り替えるとともに、サブパートにて設定されているシーンを当該「CHANGE SCENE」コマンドにて指定されている協調動作用シーンに切り替える。
メインパート及びサブパートにおいては、手先の速さ、力、位置等の情報が入力され、それらの情報と設定されているシーンとに基づいてロボット16の動きを制限したり停止させたりする。例えば、メインパートには自身の手先の速さが入力され、実際の速さが監視基準を超えそうな場合には当該監視基準を超えないように速さを抑え、実際の速さが監視基準を超えた場合には自身の動作を停止させる。一方、サブパートには他のロボット16の速さが入力され、実際の速さが監視基準を超えそうな場合には当該監視基準を超えないように速さを抑え、実際の速さが監視基準を超えた場合には他のロボット16の動作を停止させる。
本実施形態に示す協調制御モードにおいては、ロボット16A,16Bの動作態様として、第2ワークW2を直線移動させる動作態様と、第2ワークW2を回動させる動作態様とが設けられている。第2ワークW2を回動させる動作態様については、第2ワークW2を直線移動させる動作態様と以下の点で異なる。すなわち、リーダロボット16Aの手先が移動する速度とフォロワロボット16Bの手先が移動する速度とが不一致となる。具体的には、第2ワークW2を回動させる際の回動中心に近い手先については遠い手先よりも移動速度が高くなる。ここで、第2ワークW2を回動させる場合のロボット16A,16Bの回動を1の動作として想定し、当該動作に対応した特定のシーンを両ロボット16A,16Bについて参照対象として設定した場合には、以下の不都合が生じ得る。以下、図44を参照して当該不都合について説明する。なお、図44においては便宜上、第2ワークW2の図示を省略している。
図44には、上記1次姿勢変更時のロボット16A,16Bの動きを例示している。具体的には、リーダロボット16Aのハンド34Aが制御点PTA1にてツールセンタポイントCPAを中心に水平に回動することで向きを変え、フォロワロボット16Bについては、ハンド34Bがリーダロボット16Aのハンド34Aの向きの変化に合わせてツールセンタポイントCPBを中心に水平に回動することでハンド34Bの向きを変えるとともに、上記制御点PTA1を中心として水平に回動することにより制御点PTB1から制御点PTB2へ移動する動きを例示している。
ここで、図44(A)に示す例では、制御モードが協調制御モードとなっている場合に参照対象となる協調動作用シーンの1つとしてシーンXが設けられており、1次姿勢変更時は、各ロボット16A,16Bについて参照対象とするシーンとして当該シーンXが設定されている。シーンXについては、ハンドの移動速度の監視基準=「12mm/s」、上記第6軸を中心としてハンドが回動する場合の回動速度の監視基準=「5deg/s」となっている。そして、リーダロボット16Aについては、ハンドの移動速度が「0mm/s」且つ第6軸を中心としたハンドの回動速度が「3deg/s」となり、フォロワロボット16Bについては、ハンドの移動速度が「10mm/s」且つ第6軸を中心としたハンドの回動速度が「3deg/s」となるように駆動制御される。
つまり、シーンXについては、フォロワロボット16Bのハンド34Bに対しては移動速度の監視基準にある程度の余裕が確保されてはいるものの、リーダ側に寄せた設定となることで、リーダロボット16Aのハンド34Aに対しては移動速度の監視基準が緩くなっている。
図44(A)に示す例では、フォロワロボット16Bはハンド34Bの実際の移動速度が「10mm/s」且つ実際の回動速度が「3deg/s」となるように動作している。これに対して、リーダロボット16Aのハンド34Aは、実際の回動速度が「3deg/s」となってはいるものの、ユーザの接触等の要因によって実際の移動速度が一時的に「2mm/s」となっており、想定から外れた動作となっている。この場合であっても、ハンド34Aについては移動速度の監視基準=「12mm/s」であるため、速度が制限されたり停止されたりすることはない。このような見逃しによって、両ロボット16A,16Bの同期が崩れ、両ハンド34A,34Bの相対位置を一定の関係に維持することが困難になり得る。
一方、図44(B)に示す例では、制御モードが協調制御モードとなっている場合に参照対象となる協調動作用シーンの1つとしてシーンYが設けられており、1次姿勢変更時は、各ロボット16A,16Bについて参照対象とするシーンとして当該シーンYが設定されている。このシーンYに係る構成が、図44(A)に示したシーンXと異なっている。具体的には、シーンYについては、ハンドの移動速度の監視基準=「12mm/s」、上記第6軸を中心としてハンドが回動する場合の回動速度の監視基準=「5deg/s」となっている。つまり、シーンYについては、リーダロボット16Aのハンド34Aに対しては移動速度の監視基準をシーンXよりもシビアにしてはいるものの、フォロワ側に寄せた設定となることで、フォロワロボット16Bのハンド34Bに対しては移動速度の監視基準の余裕が小さくなっている。
図44(B)に示す例では、リーダロボット16Aはハンド34Aの実際の移動速度が「0mm/s」且つ実際の回動速度が「3deg/s」となるように動作している。一方、フォロワロボット16Bのハンド34Bは、実際の回動速度が「3deg/s」となってはいるものの、ユーザの接触等の要因によって実際の移動速度が一時的に「11mm/s」となっており、想定から外れた動作となっている。つまり、若干ではあってもハンド34Bの移動速度が監視基準に達するため、当該ハンド34Bの速度が制限されたり停止されたりする。これにより、両ロボット16A,16Bの同期が崩れ、両ハンド34A,34Bの相対位置を一定の関係に維持することが困難になり得る。このように、移動速度が僅かに変化することで安全機能による制限/停止が生じることは、生産性の向上を図る上で妨げになり得る。
以上詳述したような同期の崩れは、第2ワークW2の把持位置がずれたり当該第2ワークW2が脱落したりする要因になるため好ましくない。本実施形態では、このような事情に配慮した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図45を参照して当該工夫について説明する。
図45(A)に示すように、本実施形態においては、上記協調動作用シーンとして協調動作用シーンD、協調動作用シーン1~6が設けられており、これら協調動作用シーンD,1~6については各ロボット16に記憶されている。なお、図45(A)においては、安全関連パラメータとして、ハンド34の移動速度の監視基準、第6軸を中心とするハンド34の回動速度の監視基準、力の監視基準、位置(動作範囲)の監視基準について例示しているが、各シーンの安全関連パラメータについてはそれら例示しているもの以外の存在を否定するものではない。また、各安全関連パラメータについては他の実施形態と同様に数値等によって細かく設定されているが、図45(A)においては説明の便宜上、それらの安全関連パラメータを「高」「中」「低」、「広」「中」「狭」として大まかに区別した記載としている。
協調動作用シーンDは、協調制御モードにおけるデフォルトのシーンであり、移動速度の監視基準が「低」、回動速度の監視基準が「低」、力の監視基準が「低」、位置の監視基準が未設定となっている。協調動作用シーン1は、ワークW1,W2,WAの搬送を想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「高」、回動速度の監視基準が「高」、力の監視基準が「高」、位置の監視基準が「広」となっている。協調動作用シーン2は、2台のロボット16の協調による第2ワークW2のピックアップを想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「中」、回動速度の監視基準が「中」、力の監視基準が「中」、位置の監視基準が「中」となっている。協調動作用シーン3は、2台のロボット16の協調による第2ワークW2の曲げ加工を想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「低」、回動速度の監視基準が「低」、力の監視基準が「高」、位置の監視基準が「狭」となっている。協調動作用シーン4は、2台のロボット16の協調による第2ワークW2の姿勢変更、具体的に回動基端側担当のロボット16の動きを想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「低」、回動速度の監視基準が「中」、力の監視基準が「低」、位置の監視基準が「狭」となっている。協調動作用シーン5は、2台のロボット16の協調による第2ワークW2の姿勢変更、具体的に回動先端側担当のロボット16の動きを想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「高」、回動速度の監視基準が「中」、力の監視基準が「低」、位置の監視基準が「狭」となっている。協調動作用シーン6は、2台のロボット16の協調による第1ワークW1と第2ワークW2とのアセンブリを想定したシーンであり、移動速度の監視基準が「中」、回動速度の監視基準が「中」、力の監視基準が「中」、位置の監視基準が「狭」となっている。
なお、本実施形態に示す各協調動作用シーン1~6については何れも、シーン切替となる制御点(各動作が開始される制御点)からの変位量によって位置の監視基準が規定されている。位置の監視基準をどのように規定するかについては任意であり、例えばアセンブリエリアE6における座標によって規定してもよい。また、協調動作用シーンを構成している安全関連パラメータから位置の監視基準を省略することも可能である。
ここで、協調動作用シーン4と協調動作用シーン5との関係について補足説明する。第2ワークW2の姿勢を変更する際には、フォロワロボット16Bがリーダロボット16Aに追従するようにして動作するため、リーダロボット16Aの動作態様とフォロワロボット16Bの動作態様とが異なるものの、それら動作態様には一定の関係性が生じる。そこで、協調動作用シーン5については、協調動作用シーン4とは異なるシーンとなってはいるものの、リーダロボット16Aの動作態様とフォロワロボット16Bの動作態様との関係性が反映されたものとなっている。例えば、上記回動速度の監視基準については協調動作用シーン4及び協調動作用シーン5で同一となっている一方、移動速度の監視基準については、両ハンド34A,34Bの距離を考慮した差が設けられている。具体的には、協調動作用シーン4における移動速度の監視基準については、協調動作用シーン5における移動速度の監視基準に少なくとも移動速度の差(詳しくは、移動速度の差+α)を加えたものとなっている。
次に、図45(B)を参照して、リーダロボット16A及びフォロワロボット16Bについて参照対象となるシーンの切り替わりについて説明する。
既に説明したように、リーダロボット16Aは集積エリアE3からアセンブリエリアE6へ移動する。集積エリアE3においては参照対象となるシーン=メインシーン5となっており、アセンブリエリアE6へ移動することで(詳しくは協調制御モードに切り替わることで)、メインシーン5→協調動作用シーンDに切り替わる。また、フォロワロボット16Bは通路E5からアセンブリエリアE6へ移動する。通路E5においては参照対象となるシーン=メインシーン6となっており、アセンブリエリアE6へ移動することで(詳しくは協調制御モードに切り替わることで)、メインシーン6→協調動作用シーンDに切り替わる。以下の説明では、ロボットについて参照対象となるシーンを、単に「ロボットに係るシーン」ともいう。
次に、第1ワークW1をコンテナB1から取り出して作業台TBにセットする際には、リーダロボット16Aに係るシーンが、協調動作用シーンD→協調動作用シーン1に切り替わる。第1ワークW1のセットについてはリーダロボット16Aが単独で行うため、フォロワロボット16Bについては待機中となり、フォロワロボット16Bに係るシーンは協調動作用シーンDに維持される。
第1ワークW1をセットした後は、両ロボット16A,16Bが協調して第2ワークW2をピックアップする。この際、リーダロボット16Aに係るシーンは協調動作用シーン1→協調動作用シーン2に切り替わり、フォロワロボット16Bに係るシーンは、協調動作用シーンD→協調動作用シーン2に切り替わる。つまり、フォロワロボット16Bについては、リーダロボット16Aについて設定される協調動作用シーン(協調動作用シーン2)と同じ協調動作用シーン(協調動作用シーン2)が設定される。
第2ワークW2をピックアップした後は、第2ワークW2の曲げ加工に際して両ロボット16A,16Bのシーンが協調動作用シーン2→協調動作用シーン3に切り替わる。つまり、フォロワロボット16Bについては、リーダロボット16Aについて設定される協調動作用シーン(協調動作用シーン3)と同じ協調動作用シーン(協調動作用シーン3)が設定されている。
第2ワークW2の曲げ加工後は、当該第2ワークW2の姿勢変更を行うこととなる。この姿勢変更については、上述の如く1次姿勢変更(1次回動)→2次姿勢変更(2次回動)の順に実行される構成となっている。
1次姿勢変更に際して、リーダロボット16Aに係るシーンは協調動作用シーン3→協調動作用シーン4に切り替わり、フォロワロボット16Bに係るシーンは協調動作用シーン3→協調動作用シーン5に切り替わる。1次姿勢変更については、協調を前提としてはいるものの、リーダロボット16Aが回動基端側、フォロワロボット16Bが回動先端側となって動作態様が異なり、各ロボット16A,16Bに係るシーンが別々となる。具体的には、回動先端側となるフォロワロボット16Bについては、回動基端側となるリーダロボット16Aと比べて移動速度の監視基準が高くなるように、言い換えれば回動基端側となるリーダロボット16Aについては、回動先端側となるフォロワロボット16Bと比べて移動速度の監視基準が低くなるように差別化されている。
1次姿勢変更の完了後は2次姿勢変更に移る。この2次姿勢変更に際して、リーダロボット16Aに係るシーンは協調動作用シーン4→協調動作用シーン5に切り替わり、フォロワロボット16Bに係るシーンは協調動作用シーン5→協調動作用シーン4に切り替わる。つまり、1次姿勢変更については協調を前提としてはいるものの、リーダロボット16Aが回動先端側、フォロワロボット16Bが回動基端側となって動作態様が異なり、各ロボット16A,16Bに係るシーンが別々となる。具体的には、回動先端側となるリーダロボット16Aについては、回動基端側となるフォロワロボット16Bと比べて移動速度の監視基準が高くなるように、言い換えれば回動基端側となるフォロワロボット16Bについては、回動先端側となるリーダロボット16Aと比べて移動速度の監視基準が低くなるように差別化されている。
第2ワークW2の姿勢変更が完了した後は、第2ワークW2と作業台TBにセットされている第1ワークW1とのアセンブリを実行する。このアセンブリに際して、リーダロボット16Aに係るシーンは協調動作用シーン5→協調動作用シーン6に切り替わり、フォロワロボット16Bに係るシーンは協調動作用シーン4→協調動作用シーン6に切り替わる。つまり、フォロワロボット16Bには、リーダロボット16Aについて設定される協調動作用シーン(協調動作用シーン6)と同じ協調動作用シーン(協調動作用シーン6)が設定される。
アセンブリが完了した後は、作業台TB上のワークWAをコンベアC2へ搬送する。この搬送に際して、フォロワロボット16Bに係るシーンが協調動作用シーン6→協調動作用シーン1に切り替わる。当該搬送についてはフォロワロボット16Bが単独で行うものの、その搬送期間を利用してリーダロボット16Aが第1ワークW1を作業台TBに再びセットする。この再セットに際して、リーダロボット16Aに係るシーンが協調動作用シーン6→協調動作用シーン1に切り替わる。
その後は、アセンブリエリアE6におけるルーティンを終えた際に、両ロボット16A,16Bに係るシーンが協調動作用シーン→メインシーンに切り替わる。具体的には、リーダとなっていたロボット16Aは集積エリアE3に戻るため、当該ロボット16Aに係るシーンはメインシーン5となり、フォロワとなっていたロボット16Bは通路E5に戻るため、当該ロボット16Bに係るシーンはメインシーン6となる。
ここで、図46を参照して、第2ワークW2の姿勢変更時のシーンと各ロボット16A,16Bの動きとの関係について説明する。図46においては、図44と同様に、1次姿勢変更時のロボット16A,16Bの動きを例示しており、第2ワークW2の図示を省略している。
図46に示す姿勢変更時(1次姿勢変更時)には、回動基端側となるリーダロボット16Aに係るシーンが協調動作用シーン4となっており、回動先端側となるフォロワロボット16Bに係るシーンが協調動作用シーン5となっている。協調動作用シーン4を構成している安全関連パラメータについては、ハンドの移動速度の監視基準=「1mm/s」、上記第6軸を中心としてハンドが回動する場合の回動速度の監視基準=「5deg/s」となっており、リーダロボット16Aについては、ハンド34Aの移動速度が「0mm/s」且つ第6軸を中心としたハンド34Aの回動速度が「3deg/s」となるように駆動制御される。協調動作用シーン5を構成している安全関連パラメータについては、ハンドの移動速度の監視基準=「12mm/s」、上記第6軸を中心としてハンドが回動する場合の回動速度の監視基準=「5deg/s」となっており、フォロワロボット16Bについては、ハンド34Bの移動速度が「10mm/s」且つ第6軸を中心としたハンド34Bの回動速度が「3deg/s」となるように駆動制御される。
図46(A)に示す例では、リーダロボット16Aはハンド34Aの実際の移動速度が「0mm/s」且つ実際の回動速度が「3deg/s」となるように動作しており、フォロワロボット16Bはハンド34Bの実際の回動速度が「3deg/s」となっている一方、実際の移動速度が一時的に「11mm/s」となっている。但し、このような移動速度のばらつきが発生したとしても、移動速度の監視基準=「12mm/s」であるため、安全機能によってリーダロボット16Aの移動速度が制限されたり停止されたりしない。故に、両ロボット16A,16Bの同期が崩れることはなく、ハンド34A,34Bの相対位置が一定の関係に維持される。
これに対して、図46(B)に示す例では、人の接触等の要因によってリーダロボット16Aのハンド34Aの位置がずれている。具体的には、動作中にリーダロボット16Aについてはハンド34Aの実際の移動速度が「1mm/s」となり、移動速度の監視基準=「1mm/s」に達している。これにより、安全機能が作用してハンド34Aの移動速度が制限されリーダロボット16Aが停止する。このように、異常が発生している可能性がある場合には、ロボットを速やかに停止させることで安全性の向上に寄与している。
以上詳述した第8の実施形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
本実施形態に示したように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本実施形態に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本実施形態においては、位置条件を含む切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
また、本実施形態においては、複数のロボット16の協調によって第1ワークW1及び第2ワークW2のアセンブリが自動化されており、生産性の向上が図られている。ここで、作業におけるロボット16の動作には、リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとを同期させつつもそれらロボット16A,16Bの動作態様が異なる動作(1次姿勢変更や2次姿勢変更)が含まれている。動作態様が異なる場合には、動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい各種安全関連パラメータ(判定基準)が異なる可能性がある。この点、本実施形態においては、1次姿勢変更や2次姿勢変更に際して各ロボット16A,16Bに係るシーンが別々のシーン(協調動作用シーン4、協調動作用シーン5)となるようにして切り替わる。動作態様の異なる各ロボット16A,16Bについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボット16A,16Bの安全機能を適正に発揮させることができる。
リーダロボット16A及びフォロワロボット16Bによって第2ワークW2を保持したまま当該第2ワークW2の姿勢が変更される。このような動き(特別動作)では、回動基端側に位置するハンドと回動先端側に位置するハンドとでは、移動速度が相違し得る。つまり、回動先端側では回動基端側と比べてハンドの移動速度が高くなる。ここで、本実施形態に示す構成によれば、1次姿勢変更や2次姿勢変更時に各ロボット16A,16Bについて参照対象となるシーンとして、回動基端側を想定した協調動作用シーン4と回動先端側を想定した協調動作用シーン5とが設けられている。このような構成によれば、協調時に各ロボット16A,16Bが異なる動きをする場合であっても、動きの違いに合わせて安全機能を適正に発揮させることが可能となり、当該安全機能の働きによって第2ワークW2の保持位置がずれたり第2ワークW2が脱落したりするといった不都合を生じにくくすることができる。
また、本実施形態に示す構成によれば、第2ワークW2のアセンブリの過程で第2ワークW2を把持したまま、すなわち持ち替えることなく、アセンブリを完了させることができるため、アセンブリ作業における作業効率を好適に向上させることができる。
<変形例1>
上記第8の実施形態では、協調制御モード中はリーダロボット16Aの安全関連部PXにてフォロワロボット16Bの動作を監視する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、図47(A)に示す様に、協調制御モード中も個別制御モード中と同様にフォロワロボット16Bの安全関連部PXにて当該フォロワロボット16Bの動作を監視する構成とすることも可能である。つまり、協調制御モード中はフォロワロボット16Bの駆動制御をリーダロボット16Aへ移管する一方、動作監視(シーン切替や動作判定)についてはフォロワロボット16Bが担当する構成とすることも可能である。このような構成とすれば、リーダロボット16Aへ動作監視用の情報等を送信することなくフォロワロボット16Bで情報取得→判定を完結できるため、通信途絶や通信遅れ等の影響によって移動速度の制限や停止の判断遅れ等が生じることを好適に抑制できる。
なお、このような構成とする場合であっても、駆動制御の主導権がリーダロボット16Aにある状況下においては、リーダロボット16Aからの切替指示又は切替許可に基づいてフォロワロボット16Bに係るシーンの切り替えを当該フォロワロボット16Bにて実行する構成にするとよい。具体的には、図47(B)に示すように、「CHANGE SCENE」コマンドに到達し(P301)、シーンの切替条件が成立した場合に(P302,P303)、リーダロボット16Aは当該リーダロボット16Aに係るシーンを切り替えるとともに(P304)、フォロワロボット16Bへシーンの切り替えを指示し(P401)する。この指示には、次のシーンを特定する情報が含まれており、フォロワロボット16Bでは、当該指示に従ってシーンを切り替え(P402)、シーンの切り替えが完了した旨をリーダロボット16Aに通知する(P403)。リーダロボット16Aでは、この通知を受けて、シーン切替が完了したと判断した場合に、駆動制御を再開する(P404)。
<変形例2>
上記第8の実施形態に示した協調動作用シーンを個別制御モード用のメインシーンとは分けて記憶し、個別制御モード中は協調動作用シーンの参照(協調動作用シーンが記憶されているアドレスへのアクセス)を不可とし、協調制御モード中はメインシーンの参照(メインシーンが記憶されているアドレスへのアクセス)を不可としてもよい。
<変形例3>
上記第8の実施形態では、協調制御モード中に参照対象とするシーン(協調動作用シーン)を個別制御モード中に参照対象とするシーン(メインシーン)とは別の専用シーンとして設けたが、これに限定されるものではない。複数のシーンの少なくとも一部については協調制御モード中と個別制御モード中とで共用としてもよい。
<変形例4>
上記第8の実施形態では、同じタイプのロボット16を協調させる場合について例示したが、サイズや軸数等が異なる別タイプのロボットを協調させる構成としてもよい。このように異なるタイプのロボットを用いる場合にも、各ロボットについて個別のシーンを設定可能とすることには技術的意義がある。
<変形例5>
上記第8の実施形態では、2台のロボット16の協調によって1のワークの保持や曲げ加工を行う構成について例示したが、これに限定されるものではない。複数台のロボット16を協調させる場合の作業内容については任意である。例えば、一方のロボット16がワークを保持し、他のロボット16が当該ワークのバリ取り等の研磨を行う構成としてもよい。
<変形例6>
上記第8の実施形態では、2台のロボット16を協調させる構成について例示したが、協調させるロボット16の台数については3台としてもよいし、4台以上としてもよい。
<変形例7>
上記第8の実施形態では、各ロボット16がロボットコントローラである制御装置51を各々有する構成としたが、協調させる複数のロボット毎に1のロボットコントローラを設ける構成としてもよい。
<変形例8>
上記第8の実施形態では、協調制御モードへの切り替えのタイミングをリーダ側とフォロワ側とで揃える構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、リーダとなるロボット16がアセンブリエリアE6に先に到達した場合には、当該ロボット16の制御モードをフォロワとなるロボット16に先んじて協調制御モードに切り替える構成としてもよい。なお、上記第8の実施形態では、リーダ側とフォロワ側とでシーン切替のタイミングを揃える構成としたが、リーダ側とフォロワ側とでシーン切替のタイミングをずらす構成を否定するものではない。
<変形例9>
上記第8の実施形態では、協調制御モード中に各ロボット16に係るシーンの切り替えが完了したことを確認した場合に、当該シーンに対応した次の動作を開始する構成としたが、このような切り替えの確認については必須ではない。シーンの切り替え完了を確認することなく、次の動作を開始する構成とすることも可能である。
<変形例10>
上記第8の実施形態では、協調制御モード中は、ロボット16が停止していること(停止条件)及びロボット16が所定の制御点に位置していること(位置条件)を確認した場合に切替条件成立としてシーンの切り替えを行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、停止条件=切替条件としてもよいし、位置条件=切替条件としてもよい。また、これらの条件の成立をシーン切替の要件としない構成とすることも可能である。
<変形例11>
上記第8の実施形態では、協調制御モード中は、フォロワロボット16Bの安全関連部PXにおける監視機能を無効とした。当該監視機能を無効とする場合であっても、フォロワロボット16Bの安全関連部PXにて参照対象として設定されているシーンをリーダロボット16Aからの指示に従って都度切り替える構成としてもよい。
<変形例12>
上記第8の実施形態では、1のロボット16の移動速度が監視基準に達する等した場合にはそのロボット16の移動速度を制限したり強制的に停止させたりする構成とした。これを変更し、1のロボット16の移動速度が監視基準に達する等した場合には両ロボット16の移動速度を制限させたり強制的に停止させたりする構成とすることも可能である。
<変形例13>
リーダロボット16Aとフォロワロボット16Bとを協調させることができるのであれば足り、協調時にフォロワロボット16Bの駆動制御をリーダロボット16Aの制御装置51Aが担う構成とする必要は必ずしもない。協調時であってもリーダロボット16Aの駆動制御についてはリーダロボット16Aの制御装置51Aが担い、フォロワロボット16Bの駆動制御についてはフォロワロボット16Bの制御装置51Bが担う構成とすることも可能である。
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。実施形態の組み合わせからなる新たな構成に対して以下の各構成を個別に適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。
・ロボット16が複数の作業(作業ルーティン)を予め定められたタイムスケジュールで実行する構成においては、当該作業ルーティンの進行を同ルーティン開始から経過した時間又は現在の時刻によって管理する構成とし、それら時間又は時刻に基づいて安全機能を切り替える構成とすることも可能である。また、スケジュールに遅延が生じる場合に配慮して、時間又は時刻と遅延時間を示す情報とに基づいて安全機能を切り替える構成とすることも可能である。更に、上記各実施形態に示したようにロボット16の作業に応じて安全機能を切り替える構成に付加して、経過した時間又は現在の時刻によって安全機能を切り替える構成とすることも可能である。
・上記各実施形態では、AGV21とロボットアーム31とを組み合わせてロボット16を構成し、自走させることでエリア間を移動させる構成としたがこれに限定されるものではない。例えば、図48に示すように、2条のラインL1,L2の間に台座19を設置し、その台座19にロボットアーム31のベース32を固定する。そして、ロボットアーム31のアーム本体33が水平に回転して向きを変えることにより第1のラインL1の第1作業エリアLE1にて第1の作業に従事する状態と、第2のラインL2の第2作業エリアLE2にて第1の作業とは異なる第2の作業に従事する状態とで切替可能としてもよい。この場合、ロボットアーム31の手先が第2作業エリアLE2等から第1作業エリアLE1の基準位置LP1に移った場合に当該ロボットアーム31の安全機能(動作監視用パラメータの判定基準等)が第1の作業用となり、ロボットアーム31の手先が第1作業エリアLE1等から第2作業エリアLE2の基準位置LP2に移った場合に当該ロボットアーム31の安全機能が第2の作業用となるように切り替わる構成とするとよい。
また、例えばラインの所定位置に設置されたロボットがコンベア等により供給されるワークの種類に応じて異なる複数種の作業を実行する構成においては、その作業シーンを判別して、作業シーン毎に安全機能(安全関連パラメータ)を切り替える構成とすることも可能である。なお、当該作業シーンについても上述の如く細分化して、細分化されたシーン毎に安全機能を切り替える構成としてもよい。
・作業シーンSCN3のピッキングでは、加工機14からワークを取り出すシーンと、隣の加工機へ移るシーンとを個別のシーンとして安全機能を切り替える構成としてもよい。更には、ワークの取り出しシーンの前半(ワークを把持するまで)と後半(ワークをコンテナBに移すまで)とで安全機能を切り替える構成としてもよい。
また、1の作業シーンを、人との距離が相対的に近くなると想定されるシーンと、人との距離が相対的に遠くなると想定されるシーンとに細分化し、それら細分化したシーン毎に安全機能を切り替える構成とすることも可能である。
・シーンチェンジシーケンスを開始する具体的なタイミングについては任意である。例えば先の作業シーンから次の作業シーンに移る場合には先の作業シーンが完了したタイミングや次の作業シーンに移ったタイミングとしてもよい。また、1の作業エリアから他の作業エリアに移る直前のタイミングや移った直後のタイミングとしてもよい。
・安全機能の切替中にロボットアーム31の動作の継続を許容するか否かについては任意である。また、判定基準を厳しくする切り替えにおいてロボットアーム31を一時停止させる一方、判定基準を緩くする切り替えにおいてはロボットアーム31の動作を継続させる構成とすることも可能である。
・上記各実施形態では、安全非関連部PYと安全関連部PXとの送受信が正常に行われているかを診断するための診断情報としてCRCを付加する構成とした。このCRCの設定態様については任意であり、必ずしもリクエストコマンドのコマンドIDとデータとに基づいて設定する必要はない。
・上記第1の実施形態では、各安全非関連部PY(コントロールデバイス)からのリクエストコマンドについては作業シーンSCN1~SCN9を指定する番号(シーン番号=1~9)が共用となるように構成したが、これに限定されるものではない。何れの安全非関連部PYからのリクエストコマンドかによってシーン番号が個別となる構成としてもよい。例えば、コントロールデバイス=ティーチングペンダント70である場合のリクエストコマンドではシーン番号=1~9、コントロールデバイス=駆動制御部52(パックスクリプト)である場合のリクエストコマンドではシーン番号=11~19、コントロールデバイス=IO80である場合のリクエストコマンドではシーン番号=21~29としてもよい。
・上記各実施形態に示した制御装置51には安全関連パラメータ群の各値をシーン番号に対応付けて予め記憶し、安全非関連部PYにより指定されたシーン番号から各値を特定する構成としたが、これに限定されるものではない。安全非関連部PYは、シーン番号に代えて各設定値を安全関連部PXに送る構成としてもよい。
・上記各実施形態では、安全関連パラメータ群によってシーンを構成したが、これに限定されるものではない。ロボットの安全機能については、1の判定基準(例えば、速さ又は力)に基づいてロボットの動きを監視する簡易な構成により実現してもよい。但し、このような構成であっても、状況に応じて当該判定基準を切り替える構成、例えば自動運転中は判定基準切替コマンドに基づいて当該判定基準を切り替える構成とし、手動操作時にはユーザの操作に基づいて手動操作用の判定基準に切り替える構成とするとよい。
・上記各実施形態では、工場10の加工ラインにロボット16を適用した場合について例示したが、ロボット16の適用については加工ラインに限定されるものではない。ロボット16を組立ライン、検査ライン、梱包ラインに適用することも可能である。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群> シーン名称
以下の特徴A群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成を考案した。ここで、変更時の通信エラー等によって安全機能が損なわれることを抑制する上では、安全機能を変更するための入力を安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とすることが好ましい。しかしながら、安全入力を必須要件とした場合には変更に係る制約が強くなり、安全機能変更の操作性を向上させる上で妨げになると想定される。これに対して、当該要件を単に避けた場合には、操作性の向上が期待できるものの、ロボットの安全機能に対する信頼が揺らぐと懸念される。このように、ロボットの安全性及び作業効率の向上を図る上で、安全機能の変更に係る構成には未だ改善の余地がある。また、安全性の向上と生産性の向上とを図る上では安全機能に影響を及ぼす安全関連パラメータを様々に設けて作業内容等への細かな配慮を可能とすることが効果的である。ユーザによる安全関連パラメータ群(シーン)の設定を支援する設定支援システムを設け、当該設定支援システムにて設定した安全関連パラメータ群をロボット制御装置へ送信する構成とすれば、ユーザの作業負担の軽減に寄与できる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、安全関連パラメータ群をロボット制御装置へ送信する際にユーザが確認すべき項目が増え、全ての項目を都度確認することは実質的に困難となる。この結果、例えばユーザは送信する安全関連パラメータ群を間違って選んだ際にそれに気づかずそのまま送信してしまうといった作業ミスが発生しやすくなる。仮に間違った安全関連パラメータ群がそのままロボット制御装置に記憶・参照された場合には、ロボットの安全機能が適正に発揮されなくなると懸念される。このように、ロボットの安全性の向上と作業性との向上を実現しつつ、安全機能に係る設定ミスを抑制する上で、当該安全機能の設定に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴A1.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、ユーザによる各前記シーンの設定を支援する設定支援システムであって、
ユーザにより入力された各前記安全関連パラメータを前記シーン毎に記憶する記憶手段(PC60の記憶機能)と、
前記記憶手段に記憶されている前記シーンをユーザの送信操作に基づいて前記ロボット制御装置へ送信する送信手段(PC60の通信機能)と
を備え、
前記シーン毎にユーザがシーン名称を設定可能な構成となっており、
設定支援中の前記シーンについてユーザにより設定された前記シーン名称を報知する報知手段(例えばディスプレイ61にシーンの名称を表示する機能)を備えている設定支援システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを実行する構成としている。つまり、シーンの切り替えに際して可否等の要件を確認し得る構成としている。これは、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑える上で好ましい。
ここで、周辺環境や作業内容等の各種状況に応じて設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、状況に合わせて安全機能を細かく調整(変更)できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で有利となる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、安全関連パラメータ群(シーン)を設定支援システムからロボット制御装置へ送信する際にユーザが確認すべき項目が増え、全ての項目を都度確認することは実質的に困難となる。この結果、ユーザは送信する安全関連パラメータ群を間違って選んだ際にそれに気づかずそのまま送信してしまうといった作業ミスが発生しやすくなる。仮に間違った安全関連パラメータ群がそのままロボット制御装置に記憶された場合には、当該パラメータ群の適用によってロボットの安全機能が適正に発揮されなくなると懸念される。この点、本特徴に示す構成では、シーン毎に当該シーンの名称(シーン名称)を設定可能となっており、設定支援中のシーンについて当該シーン名称が報知される。このような機能を利用すれば、安全関連パラメータを個々に確認しなくても安全関連パラメータ群がどのようなものであるかを容易に把握可能な構成を実現できる。例えばユーザは送信に際して個々の安全関連パラメータを確認しなくてもシーン名称を確認することで、自身の作業が適正であるかを判断可能となる。つまり、安全関連パラメータ群のシーン名称を設定可能とすることは、上記作業ミスを抑制する上で効果的である。以上の理由から、安全関連パラメータ群からなるシーンの切り替えによってロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制できる。
なお、「前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、ユーザによる各前記シーンの設定を支援する設定支援システム」との記載を「前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が成立していない場合には前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援する設定支援システム」としてもよい。
因みに、例えば切替指示に係るコマンドの診断にて当該コマンドが正常であるとの診断結果となり、ロボットについて適正位置に位置していることが確認できた場合に、「所定の切替条件」=「成立」となるようにするとよい。
また、「ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており」との記載を、「動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられ、前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており」とすることも可能である。なお、他の特徴群においても同様の置き換えを行ってもよい。
特徴A2.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援する設定支援システムであって、
ユーザにより入力された各前記安全関連パラメータを前記シーン毎に記憶する記憶手段(PC60の記憶機能)と、
前記記憶手段に記憶されている前記シーンをユーザの送信操作に基づいて前記ロボット制御装置へ送信する送信手段(PC60の通信機能)と
を備え、
前記シーン毎にユーザがシーン名称を設定可能な構成となっており、
設定支援中の前記シーンについてユーザにより設定された前記シーン名称を報知する報知手段(ディスプレイ61にシーンの名称を表示する機能)を備えている設定支援システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
ここで、周辺環境や作業内容等の各種状況に応じて設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、状況に合わせて安全機能を細かく調整(変更)できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で有利となる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、安全関連パラメータ群(シーン)を設定支援システムからロボット制御装置へ送信する際にユーザが確認すべき項目が増え、全ての項目を都度確認することは実質的に困難となる。この結果、ユーザは送信する安全関連パラメータ群を間違って選んだ際にそれに気づかずそのまま送信してしまうといった作業ミスが発生しやすくなる。仮に間違った安全関連パラメータ群がそのままロボット制御装置に記憶された場合には、当該パラメータ群の適用によってロボットの安全機能が適正に発揮されなくなると懸念される。この点、本特徴に示す構成では、シーン毎に当該シーンの名称(シーン名称)を設定可能となっており、設定支援中のシーンについて当該シーン名称が報知される。このような機能を利用すれば、安全関連パラメータを個々に確認しなくても安全関連パラメータ群がどのようなものであるかを容易に把握可能な構成を実現できる。例えばユーザは送信に際して個々の安全関連パラメータを確認しなくてもシーン名称を確認することで、自身の作業が適正であるかを判断可能となる。つまり、安全関連パラメータ群のシーン名称を設定可能とすることは、上記作業ミスを抑制する上で効果的である。以上の理由から、安全関連パラメータ群からなるシーンの切り替えによってロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制できる。
特徴A3.前記シーン名称は、前記設定支援システムにより前記シーンを識別すべく当該設定支援システムにより付与されている識別情報(例えばシーン番号)とは別に、ユーザが設定可能な名称(例えば任意名称)である特徴A1又は特徴A2に記載の設定支援システム。
設定支援システムにおいては、シーン識別用の識別情報を用いることによりシーンを適切に管理することができる。しかしながら、これらの識別情報をユーザが見て、シーン(安全関連パラメータ群)を適切に識別できるかは不明となる。例えば、識別情報が単なる数字や数字の羅列であった場合には、当該識別情報から該当するシーンや当該シーンを適用するロボットを直感的に把握することは困難となる。この点、システム用の識別情報とは別にシーン名称をユーザが設定可能な構成とすれば、ユーザは当該名称から該当するシーン等を直感的に把握しやすくなる。故に、シーンを構成している安全関連パラメータの各項目を確認しなくても当該シーンがどのようなものであるかを把握しやすくなる。これは、特徴A1等に示したように、シーンをロボット制御装置へ送信する際に個々の安全関連パラメータをチェックするといった手間を減らす上で好ましい。
特徴A4.表示部(ディスプレイ61)に、設定支援中の前記シーンを構成している各前記安全関連パラメータと、当該シーンの前記シーン名称とを表示させる特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載の設定支援システム。
本特徴に示すようにユーザにより設定されたシーン名称を当該シーン名称が対応するシーン(安全関連パラメータ群)とともに表示部に表示させる構成とすれば、ユーザは安全関連パラメータ群とシーン名称との関係を簡易に確認することができる。これは、特徴A1等に示した作業ミスを減らす上で好ましい。
なお、例えば各シーンの設定画面にユーザにより設定されたシーン名称を表示する構成とするとよい。このような構成とすれば、ユーザはシーン毎に安全関連パラメータを設定する際にシーン名称を適宜確認できるため、他のシーン(他のロボット制御装置用のシーンを含む)と混同による設定ミス(作業ミス)を少なくすることができる。
特徴A5.ユーザの送信操作に基づいて前記シーンを前記ロボット制御装置に送信する場合に、当該シーンの前記シーン名称を少なくとも当該送信操作が行われる前にユーザに報知する特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の設定支援システム。
本特徴に示すように、シーンをロボット制御装置に送信する場合には少なくとも送信操作が行われる前にシーン名称をユーザに報知することにより、シーンの誤送信や誤設定の機会を減らすことができる。例えば、シーンを送信する送信画面にて当該安全関連パラメータ群の名称を表示する構成とするとよい。
特徴A6.前記シーン名称が設定されていない前記シーンについては、前記ロボット制御装置への送信が不可となる特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の設定支援システム。
シーン名称が設定されていることをロボット制御装置へのシーンの送信条件となるように規定することで、特徴A1等に示した効果を好適に発揮させることができる。
特徴A7.前記シーンを前記ロボット制御装置に送信する場合には、当該シーンとともに同シーンの前記シーン名称を前記ロボット制御装置に送信することにより当該ロボット制御装置側へ当該シーン名称を報知する特徴A1乃至特徴A6のいずれか1つに記載の設定支援システム。
シーン名称をロボット制御装置へ報知することにより、ロボット制御装置側でもシーン名称を把握可能となる。
特徴A8.前記ロボット制御装置に接続される複数のデバイスを有し、それらデバイスのうち前記シーンを前記ロボット制御装置に送信したデバイス以外のデバイスにおいても当該ロボット制御装置に接続することで前記シーン及びシーン名称を表示可能となるように構成されている特徴A7に記載の設定支援システム。
シーンやシーン名称の送信元となったデバイス以外の他のデバイス(例えばティーチングペンダント)をロボット制御装置に接続することで、シーン及びシーン名称を当該他のデバイスにて表示可能とすれば、ユーザはシーンの誤送信等が発生していないかを他のデバイスにて事後的に確認できる。
特徴A9.設定する前記シーン名称に、送信先となる前記ロボット制御装置に係る固有情報を含めるようにユーザに促す手段を有し、
前記シーンを前記ロボット制御装置に送信する際には、前記シーン名称と送信先の前記ロボット制御装置に係る前記固有情報とを照合し、前記シーン名称に前記固有情報が含まれている場合には前記ロボット制御装置への前記シーンの設定が可となる一方、前記シーン名称に前記固有情報が含まれていない場合には前記ロボット制御装置への前記シーンの設定が不可となるように構成されている特徴A7又は特徴A8に記載の設定支援システム。
ユーザにより設定されるシーン名称が送信先のロボット制御装置にて固有となる固有情報を含むことにより、当該固有情報を用いた照合が可能となる。このように、システム側で誤送信を特定可能な構成とすれば、人為的なミスを大幅に軽減できる。
特徴A10.設定済みの前記シーンについて各前記安全関連パラメータを変更可能であり、当該変更が行われた場合には当該シーンの前記シーン名称の変更をユーザに促す手段を有している特徴A7乃至特徴A9のいずれか1つに記載の設定支援システム。
本特徴に示すように、安全関連パラメータのいずれか1つでも変更された場合にはユーザにシーン名称の変更を促すことは、変更前後のシーンの混同を抑制する上で好ましい。
特徴A11.設定済みの前記シーンについて各前記安全関連パラメータの何れかが変更された場合には、当該シーンの前記シーン名称が変更されるまで前記安全関連パラメータ群の前記ロボット制御装置への送信が不可となる特徴A7乃至特徴A10のいずれか1つに記載の設定支援システム。
設定済みのシーンについて安全関連パラメータの何れかを変更した場合には、当該シーンのシーン名称の変更を必須とすることで、上記特徴A10に示した効果を好適に発揮させることができる。
特徴A12.前記ロボット制御装置に接続される複数のデバイスを有し、それら複数のデバイスうち前記シーンを設定可能な特定のデバイスにおいては前記シーン名称の設定が可能であり、前記シーンの設定が不可となっている他のデバイスにおいては前記シーン名称の設定が不可となっている特徴A1乃至特徴A11のいずれか1つに記載の設定支援システム。
シーンを設定可能な特定のデバイスにおいてのみシーン名称の設定を可能とすれば、シーンの設定が不可となっている他のデバイスを操作等した際に操作ミス等によってシーン名称が不用意に設定・変更されることを抑制できる。これは、例えば事後的にシーン名称を確認する際に当該シーン名称による確認サポートの機能を上手く発揮させる上で好ましい。
特徴A13.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、ユーザによる各前記シーンの設定を支援する設定支援システムであって、
ユーザが前記シーン毎にシーン名称を設定可能となるように構成されている設定支援システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを実行する構成としている。つまり、シーンの切り替えに際して可否等の要件を確認し得る構成としている。これは、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑える上で好ましい。
ここで、周辺環境や作業内容等の各種状況に応じて設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、状況に合わせて安全機能を細かく調整(変更)できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で有利となる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、安全関連パラメータ群(シーン)を設定支援システムからロボット制御装置へ送信する際にユーザが確認すべき項目が増え、全ての項目を都度確認することは実質的に困難となる。この結果、ユーザは送信する安全関連パラメータ群を間違って選んだ際にそれに気づかずそのまま送信してしまうといった作業ミスが発生しやすくなる。仮に間違った安全関連パラメータ群がそのままロボット制御装置に記憶された場合には、当該パラメータ群の適用によってロボットの安全機能が適正に発揮されなくなると懸念される。この点、本特徴に示す構成では、シーン毎に当該シーンの名称(シーン名称)を設定可能としている。この名称設定の機能を利用すれば、安全関連パラメータを個々に確認しなくても安全関連パラメータ群がどのようなものであるかを容易に把握可能な構成を実現できる。例えばユーザは送信に際して個々の安全関連パラメータを確認しなくてもシーン名称を確認することで、自身の作業が適正であるかを判断可能となる。つまり、安全関連パラメータ群のシーン名称を設定可能とすることは、上記作業ミスを抑制する上で効果的である。以上の理由から、安全関連パラメータ群からなるシーンの切り替えによってロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制できる。
なお、本特徴に示す「前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、ユーザによる各前記シーンの設定を支援する設定支援システム」との記載を、「前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能となっており、各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援する設定支援システム」としてもよい。
特徴A14.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能なコンピュータにインストールされ、当該コンピュータにユーザによる各前記シーンの設定を支援させる設定支援プログラムであって、
前記コンピュータにて、前記シーン毎にユーザがシーン名称を設定可能となるように当該コンピュータを制御する設定支援プログラム。
本特徴に示す構成によれば、安全性の向上と生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制することができる。
特徴A15.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能なコンピュータにインストールされ、当該コンピュータにユーザによる各前記シーンの設定を支援させる設定支援プログラムであって、
前記コンピュータに、
ユーザにより入力された各前記安全関連パラメータを前記シーン毎に記憶する記憶処理と、
記憶されている前記シーンをユーザの送信操作に基づいて前記ロボット制御装置へ送信する送信処理と
を実行させ、
前記コンピュータにて、前記シーン毎にユーザがシーン名称を設定可能とし、
前記コンピュータに、設定支援中の前記シーンの前記シーン名称を報知する報知処理を実行させる設定支援プログラム。
本特徴に示す構成によれば、安全性の向上と生産性の向上との両立を図りつつ、それに起因した作業ミスの増加を抑制することができる。
なお、特徴A2乃至特徴A12に記載された技術的思想を本特徴に適用することも可能である。
<特徴B群> 主要項目表示
以下の特徴B群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成を考案した。ここで、変更時の通信エラー等によって安全機能が損なわれることを抑制する上では、安全機能を変更するための入力を安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とすることが好ましい。しかしながら、安全入力を必須要件とした場合には変更に係る制約が強くなり、安全機能変更の操作性を向上させる上で妨げになると想定される。これに対して、当該要件を単に避けた場合には、操作性の向上が期待できるものの、ロボットの安全機能に対する信頼が揺らぐと懸念される。このように、ロボットの安全性及び作業効率の向上を図る上で、安全機能の変更に係る構成には未だ改善の余地がある。また、安全性の向上と生産性の向上とを図る上では安全機能に影響を及ぼす安全関連パラメータを様々に設けて作業内容等への細かな配慮を可能とすることが効果的である。ここで、設定支援装置によってユーザによる安全関連パラメータ群(シーン)の設定を支援する構成とすれば、ユーザの作業負担の軽減できる。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、ユーザは必要とする項目を見極めにくくなる。これは、設定作業の効率化を図る上で好ましくなく、安全関連パラメータの設定ミス等の要因にもなり得る。このように、ロボットの安全性の向上と作業性との向上を実現しつつ、安全機能に係る設定ミスを抑制する上で、当該安全機能の設定に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴B1.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援する設定支援装置(PC60)であって、
表示部(PC60のディスプレイ61)と、
前記表示部に、ユーザにより指定された前記シーンに対応するパラメータ設定画面(シーンパラメータ設定画面WDのパラメータ表示部D2)を表示させる表示制御部(PC60の制御部62)と
を備え、
前記パラメータ設定画面における前記安全関連パラメータ群の表示モードとして、当該安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示モード(全項目表示)と、前記第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち前記第1のパラメータ群を表示する第2表示モード(主要項目表示)とが設けられている設定支援装置。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によってシーンが切り替わることで、実際の状況とシーンとがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを実行する構成としている。これにより、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑えることができる。
ここで、シーン毎にユーザが設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、作業内容等に合わせて安全機能を細かく変更できる。これは、安全性の向上と生産性の向上を両立させる上では好ましい。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、ユーザは必要とする項目を見極めにくくなる。これは、設定作業の効率化を図る上で好ましくなく、安全関連パラメータの設定間違い等の要因にもなり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、パラメータ設定画面における安全関連パラメータ群の表示モードとして、安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示モード(全項目表示)と、第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち第1のパラメータ群を表示する第2表示モード(主要項目表示)とが設けられている。第2表示モードでは表示対象が第1のパラメータ群に限定されているため、ユーザは必要な項目の絞り込みを行いやすくなる。他方で、第1表示モードでは第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方が表示対象(設定対象)となるため、個々の安全関連パラメータの設定や確認等が可能となる。このように、2つの表示モードを設けることは、安全性の向上と生産性の向上とを両立させつつ、ユーザの設定ミスを抑制する上で好ましい。
なお、本特徴に示す「第2表示モード」に関する記載を「前記第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち前記第1のパラメータ群を表示する」に代えて「前記第1のパラメータ群を表示する一方、前記第2のパラメータ群を表示しない」としてもよい。
因みに、例えば切替指示に係るコマンドの診断にて当該コマンドが正常であるとの診断結果となり、ロボットについて適正位置に位置していることが確認できた場合に、「所定の切替条件」=「成立」となるようにするとよい。
特徴B2.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援する設定支援装置(PC60)であって、
表示部(PC60のディスプレイ61)と、
前記表示部に、ユーザにより指定された前記シーンに対応するパラメータ設定画面(シーンパラメータ設定画面WDのパラメータ表示部D2)を表示させる表示制御部(PC60の制御部62)と
を備え、
前記パラメータ設定画面における前記安全関連パラメータ群の表示モードとして、当該安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示モード(全項目表示)と、前記第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち前記第1のパラメータ群を表示する第2表示モード(主要項目表示)とが設けられている設定支援装置。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によってシーンが切り替わることで、実際の状況とシーンとがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
ここで、シーン毎にユーザが設定可能な安全関連パラメータの項目が多くなれば、作業内容等に合わせて安全機能を細かく変更できる。これは、安全性の向上と生産性の向上を両立させる上では好ましい。しかしながら、設定可能な項目が多くなれば、ユーザは必要とする項目を見極めにくくなる。これは、誤った設定がなされる要因になり得る。この点、本特徴に示す構成によれば、パラメータ設定画面における安全関連パラメータ群の表示モードとして、安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示モード(全項目表示)と、第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち第1のパラメータ群を表示する第2表示モード(主要項目表示)とが設けられている。第2表示モードでは表示対象が第1のパラメータ群に限定されているため、ユーザは必要な項目の絞り込みを行いやすくなる。他方で、第1表示モードでは第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方が表示対象(設定対象)となるため、個々の安全関連パラメータの設定や確認等が可能となる。このように、2つの表示モードを設けることは、安全性の向上と生産性の向上とを両立させつつ、ユーザの設定ミスを抑制する上で好ましい。
特徴B3.前記パラメータ設定画面における前記安全関連パラメータ群の表示モードを、ユーザの切替操作に基づいて、前記第1表示モードと前記第2表示モードとに切り替える特徴B2に記載の設定支援装置。
本特徴に示すように、ユーザが表示モードを任意に切り替えることができる構成とすることはユーザの利便性の向上を図る上で好ましい。
特徴B4.前記第2のパラメータ群には、前記第1のパラメータ群に含まれている特定の安全関連パラメータに関連し詳細設定を行うための複数の安全関連パラメータが含まれている特徴B3に記載の設定支援装置。
第2表示モードにて表示される特定の安全関連パラメータについて詳細設定を行いたい場合には、当該第2表示モードから第1表示モードへ切り替えることで、当該詳細設定が可能となる。このような詳細設定については様々な事情によって要/不要が分かれる。第2表示モードにおいてそれら詳細設定用のパラメータを表示対象から外して表示対象を絞ることは、重要度の高いパラメータ等の埋没を抑制する上で好ましい。
特徴B5.前記第1のパラメータ群及び前記第2のパラメータ群を、前記第1のパラメータ群を構成している前記安全関連パラメータの項目が、前記第2のパラメータ群を構成している前記安全関連パラメータの項目よりも少なくなるように分類している特徴B2乃至特徴B4のいずれか1つに記載の設定支援装置。
第1のパラメータ群を構成している安全関連パラメータの項目 < 第2のパラメータ群を構成している安全関連パラメータの項目として、第2表示モード用に抽出する項目を絞ることにより、2つの表示モードを目的に合わせて好適に共存させることができる。
特徴B6.前記第2表示モードにおいては、前記第1のパラメータ群を複数のグループに分類した状態で表示する特徴B2乃至特徴B5のいずれか1つに記載の設定支援装置。
本特徴に示すように、第2表示モードにおいては第1のパラメータ群を複数のグループに分類した状態で表示することにより、第2表示モードにて表示対象となっている項目にユーザが所望とする項目が含まれている場合には、当該項目を見つけやすくなる。また、分類毎にまとめて設定するように促すことは、ユーザによるパラメータの設定間違いを抑制する上でも好ましい。
特徴B7.ユーザの開始操作に基づいて前記パラメータ設定画面を立ち上げた場合の前記表示モードを前記第2表示モードとし、ユーザの切替操作に基づいて前記表示モードを前記第1表示モードに切り替える特徴B2乃至特徴B6のいずれか1つに記載の設定支援装置。
ユーザがパラメータ設定画面を開いた場合には先ず、安全関連パラメータ群が第2表示モードで表示される。これにより、ユーザに、ある程度絞り込まれた項目について設定を促すことができる。その後は、表示モードの切替操作を行うことで第1表示モードとすることができるため、パラメータ設定画面の立ち上げ時に表示されない他の項目についても設定機会を確保できる。
特徴B8.前記パラメータ設定画面が表示されている状況下にて、ユーザによる前記シーンの指定操作が行われた場合には、指定された前記シーンの前記安全関連パラメータ群を前記第2表示モードで表示する特徴B2乃至特徴B7のいずれか1つに記載の設定支援装置。
ユーザによりシーンが指定された場合には、当該シーンに対応する安全関連パラメータ群が第2表示モードで表示される。複数のシーンについて安全関連パラメータの設定を行う場合であっても、指定されたシーンに絞って安全関連パラメータを第2表示モードで表示することにより、情報が過多となってユーザが困惑することを好適に抑制できる。
特徴B9.前記シーンとして、前記制御プログラムに従って前記ロボットの駆動制御が行われている場合を想定した第1シーン及び第2シーンを含み、
前記第1シーンにおける前記第1のパラメータ群の項目と、前記第2シーンにおける前記第1のパラメータ群の項目とが一致している特徴B2乃至特徴B8のいずれか1つに記載の設定支援装置。
自動運転用の第1シーン及び第2シーンでは、それらのシーンについて第2表示モードにて表示される項目が一致する。このような構成とすれば、第1シーン及び第2シーンの一方について第2表示モードで第1のパラメータ群の設定を行った後に、第1シーン及び第2シーンの他方について第2表示モードで第1のパラメータ群の設定を行う場合に、先の設定時のイメージをそのままに設定作業を行うことができる。これは、設定間違いを減らす上で好ましい。なお、特徴B7との組み合わせにおいては特に、第1シーンについて第1のパラメータ群の設定をした後に第2シーンを指定すれば、第1のパラメータ群が表示されることになり、第1のパラメータ群の設定を効率よく行うことができる。
特徴B10.前記シーンは、メインシーンであり、
前記メインシーンには、当該メインシーンを構成している前記安全関連パラメータ群の一部である所定の安全関連パラメータのみが相違する複数のサブシーンを設定可能となっている特徴2乃至特徴B9のいずれか1つに記載の設定支援装置。
メインシーンによっては一部の安全関連パラメータのみが相違する場合がある。このような場合にサブシーンによって当該一部の安全関連パラメータのみを調整可能とすれば、メインシーンの乱立を抑制し、ユーザによるメインシーンの混同を抑制できる。
特徴B11.前記第1表示モードでは、ユーザにより指定された前記メインシーンに対応する全てのサブシーンについて前記特定の安全関連パラメータを表示し、
前記第2表示モードでは、ユーザにより指定された前記メインシーンに対応する全てのサブシーンのうちユーザにより指定された1のサブシーンについて前記特定の安全関連パラメータを表示する特徴B10に記載の設定支援装置。
第2表示モードではユーザに指定された1のサブシーンについて安全関連パラメータを表示することで当該1のサブシーンにフォーカスして設定・確認することができる。このようにして表示対象を絞ることは、安全関連パラメータの誤設定を抑制する上で好ましい。これに対して、第1表示モードでは全てのサブシーンについて安全関連パラメータを表示することで指定されているメインシーンについてサブシーンの切り替えを行うことなくそれらサブシーンの対比が可能となる。このように2つの表示モードでサブシーンへの対応を相違させることで実用上好ましい構成が実現できる。
特徴B12.前記第2表示モードでは、ユーザにより指定された前記メインシーンに対応する全てのサブシーンについて共通となる安全関連パラメータを前記所定の安全関連パラメータと区別して表示する特徴B10又は特徴B11に記載の設定支援装置。
本特徴に示すようにサブシーン毎に設定される項目と、サブシーン間で共通となる項目とを区別して表示することにより、サブシーン毎に設定される項目を分かりやすくユーザに示唆できる。また、サブシーン間で共通となる項目を区別して表示させることは、サブシーンの設定作業に際して、上記共通となる項目の設定が誤って変更されることを抑制する上で好ましい。
特徴B13.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御装置(制御装置51)に接続可能なコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに各前記シーンについてユーザによる各前記安全関連パラメータの設定を支援させる設定支援プログラムであって、
表示部(PC60のディスプレイ61)に、ユーザにより指定された前記シーンに対応するパラメータ設定画面(シーンパラメータ設定画面WDのパラメータ表示部D2)を表示させ、
前記パラメータ設定画面における前記安全関連パラメータ群の表示モードとして、当該安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示モード(全項目表示)と、前記第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち前記第1のパラメータ群を表示する第2表示モード(主要項目表示)とを規定し、
ユーザの切替操作に基づいて、前記表示モードを前記第1表示モードと前記第2表示モードとに切り替える設定支援プログラム。
本特徴に示す構成によれば、安全性の向上と生産性の向上とを両立させつつ、ユーザの設定ミスを好適に抑制できる。
特徴B14.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)が複数設定され、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、各前記シーンを構成する各前記安全関連パラメータをユーザが設定又は確認する場合にそれら安全関連パラメータを表示する安全関連パラメータ群の表示方法であって、
表示部(PC60のディスプレイ61)に、ユーザにより指定された前記シーンに対応するパラメータ設定画面(シーンパラメータ設定画面WDのパラメータ表示部D2)を表示し、
前記パラメータ設定画面における前記安全関連パラメータ群の表示を、ユーザの切替操作に基づいて、当該安全関連パラメータ群を構成している第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群の両方を表示する第1表示(全項目表示)と、前記第1のパラメータ群及び第2のパラメータ群のうち前記第1のパラメータ群を表示する第2表示(主要項目表示)とに切り替える安全関連パラメータ群の表示方法。
本特徴に示す構成によれば、安全性の向上と生産性の向上とを両立させつつ、ユーザの設定ミスを好適に抑制できる。
なお、特徴B3~特徴B12に示した各技術的思想を特徴B13及び特徴B14に適用してもよい。
<特徴C群> シミュレーション中のシーン変更
以下の特徴C群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成を考案した。ここで、変更時の通信エラー等によって安全機能が損なわれることを抑制する上では、安全機能を変更するための入力を安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とすることが好ましい。しかしながら、安全入力を必須要件とした場合には変更に係る制約が強くなり、安全機能変更の操作性を向上させる上で妨げになると想定される。これに対して、当該要件を単に避けた場合には、操作性の向上が期待できるものの、ロボットの安全機能に対する信頼が揺らぐと懸念される。このように、ロボットの安全性及び作業効率の向上を図る上で、安全機能の変更に係る構成には未だ改善の余地がある。また、近年では仮想空間に表示されるロボットのモデルを用いて動作確認を行うシミュレーション技術が普及しており、作成した制御プログラムが正しく機能しているかの検証を効率よく実施可能とすることで、制御プログラムの作成期間の短縮等が実現されている。ここで、安全機能の切替指示を含む制御プログラムについてシミュレーションを行う場合には、当該切替指示が妨げになってシミュレーションが上手く活用できなくなるといった新たな懸念が生じる。何故ならば、制御プログラム等の作成の流れは作成者によって様々となり必ずしも切替指示が適正になされた状態でシミュレーションが行われるとは限らないからである。つまり、動作確認に際して安全機能の切替指示を含む制御プログラムについてはシミュレーションの活用に係る制約を強くして、制御プログラム作成時の作業効率を低下させる要因になり得る。このように、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を支援する上では、当該支援に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴C1.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記動作判定部により参照される前記判定基準の候補を複数設定可能であり、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記判定基準用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準の切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が不成立となったことに基づいて前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、前記制御プログラムを構成している前記各動作指示に従って前記ロボットのモデル(例えばモデルRM)を仮想領域にて動作させるようにしてシミュレーションを実行可能なシミュレーション装置であって、
前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、当該シミュレーションを継続可能となるように構成されているシミュレーション装置。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムに判定基準の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)に当該判定基準を切替可能な構成によれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的に判定基準が切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によって当該判定基準が切り替わることで、想定していた状況と判定基準とがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件として判定基準の切り替えを実行する構成としている。これにより、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑えることができる。
近年では仮想空間に表示されるロボットのモデルを用いて動作確認を行うシミュレーション技術が普及しており、作成した制御プログラムが正しく機能しているかの検証を効率よく実施可能とすることで、制御プログラムの作成期間の短縮等が実現されている。ここで、判定基準の切替指示を含む制御プログラムについてシミュレーションを行う場合には、所定の切替条件が不成立となってシミュレーションの続行が妨げられることで上記検証が難しくなる。つまり、安全機能の切り替えを加味した制御プログラムについては、シミュレーションが上手く活用できなくなるといった新たな懸念が生じる。何故ならば、制御プログラム等の作成の流れは作成者によって様々となり、必ずしも動作プログラムの作成の進捗と判定基準や切替条件(特に位置条件)の設定の進捗とがリンクするとは限らないからである。つまり、動作確認に際して所定の切替条件の成立が必須となることはシミュレーションの活用に係る制約を強くして、制御プログラム作成時の作業効率を低下させる要因になり得る。特に、判定基準を様々に切り替える上では、動作プログラムがある程度まとまった後の方が判定基準や切替条件の設定のやり直しが少なく済むことも考慮すると上記懸念は強くなる。この点、本特徴に示す構成によれば、シミュレーションにおいては、所定の切替条件が成立する場合だけでなく、所定の切替条件が成立しない場合であっても、シミュレーションを継続可能となっている。シミュレーションにおいては、実際にロボットが動作するわけではないため、シミュレーションを続行したとしても安全性に実質的な影響はない。故に、上記構成とすることで、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
なお、「前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、 ~ 前記所定の切替条件が成立しない場合であっても ~ 」とは、実際に所定の切替条件の判定を行いその判定結果が不成立となった場合だけでなく、所定の切替条件の判定は行わないが仮に当該判定を行ったとしたら不成立となる場合を含む。これは、以下の特徴C2や特徴C3等においても同様である。
特徴C2.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記動作判定部により参照される前記判定基準の候補を複数設定可能であり、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記判定基準用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準の切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が不成立となったことに基づいて前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、前記制御プログラムを構成している前記各動作指示に従って前記ロボットのモデル(例えばモデルRM)を仮想領域にて動作させるようにしてシミュレーションを実行可能なシミュレーション装置であって、
前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、当該シミュレーションを継続可能となるように構成されているシミュレーション装置。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムに判定基準の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)に当該判定基準を切替可能な構成によれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的に判定基準が切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によって判定基準が切り替わることで、実際の状況と判定基準とがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに沿ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件として判定基準を切り替える構成としている。このように、判定基準切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、判定基準の切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年では仮想空間に表示されるロボットのモデルを用いて動作確認を行うシミュレーション技術が普及しており、作成した制御プログラムが正しく機能しているかの検証を効率よく実施可能とすることで、制御プログラムの作成期間の短縮等が実現されている。ここで、判定基準の切替指示を含む制御プログラムについてシミュレーションを行う場合には、所定の切替条件が不成立となってシミュレーションの続行が妨げられることで上記検証が難しくなる。つまり、安全機能の切り替えを加味した制御プログラムについては、シミュレーションが上手く活用できなくなるといった新たな懸念が生じる。何故ならば、制御プログラム等の作成の流れは作成者によって様々となり、必ずしも動作プログラムの作成の進捗と判定基準や切替条件(特に位置条件)の設定の進捗とがリンクするとは限らないからである。つまり、動作確認に際して所定の切替条件の成立が必須となることはシミュレーションの活用に係る制約を強くして、制御プログラム作成時の作業効率を低下させる要因になり得る。特に、判定基準を様々に切り替える上では、ロボットの動作軌道等を含めて動作プログラムがある程度まとまった後の方が判定基準や切替条件の設定のやり直しが少なく済むことも考慮すると上記懸念は強くなる。この点、本特徴に示す構成によれば、シミュレーションにおいては、所定の切替条件が成立する場合だけでなく、所定の切替条件が成立しない場合であっても、シミュレーションを継続可能となっている。シミュレーションにおいては、実際にロボットが動作するわけではないため、シミュレーションを続行したとしても安全性に実質的な影響はない。故に、上記構成とすることで、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
特徴C3.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が不成立となったことに基づいて前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に適用され、前記制御プログラムを構成している前記各動作指示に従って前記ロボットのモデル(例えばモデルRM)を仮想領域にて動作させるようにしてシミュレーションを実行可能なシミュレーション装置であって、
前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、当該シミュレーションを継続可能となるように構成されているシミュレーション装置。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によってシーンが切り替わることで、実際の状況とシーンとがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年では仮想空間に表示されるロボットのモデルを用いて動作確認を行うシミュレーション技術が普及しており、作成した制御プログラムが正しく機能しているかの検証を効率よく実施可能とすることで、制御プログラムの作成期間の短縮等が実現されている。ここで、シーンの切替指示を含む制御プログラムについてシミュレーションを行う場合には、所定の切替条件が不成立となってシミュレーションの続行が妨げられることで上記検証が難しくなる。つまり、安全機能の切り替えを加味した制御プログラムについては、シミュレーションが上手く活用できなくなるといった新たな懸念が生じる。何故ならば、制御プログラム等の作成の流れは作成者によって様々となり、必ずしも動作プログラムの作成の進捗とシーンや切替条件(特に位置条件)の設定の進捗とがリンクするとは限らないからである。つまり、動作確認に際して所定の切替条件の成立が必須となることはシミュレーションの活用に係る制約を強くして、制御プログラム作成時の作業効率を低下させる要因になり得る。特に、シーンを様々に切り替える上でシーンに係る設定項目が多くなれば、ロボットの動作軌道等を含めて動作プログラムがある程度まとまった後の方がシーンに係る設定のやり直しが少なく済むことも考慮した場合、上記懸念は強くなる。この点、本特徴に示す構成によれば、シミュレーションにおいては、所定の切替条件が成立する場合だけでなく、所定の切替条件が成立しない場合であっても、シミュレーションを継続可能となっている。シミュレーションにおいては、実際にロボットが動作するわけではないため、シミュレーションを続行したとしても安全性に影響はない。故に、このような構成とすることで、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
特徴C4.前記シミュレーションにおいては、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、前記切替指示に従って前記シーンを切り替えて当該シミュレーションを継続可能となっている特徴C3に記載のシミュレーション装置。
シミュレーションにおいてはモデルが仮想空間で動作しているため所定の切替条件が不成立となった際にシーン切替を強行したとしても実質的な安全性に影響はない。そして、シーン切替を強行することで、ユーザはロボットの動きとシーンとの関係についてもシミュレーションにて確認可能となるため、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を一層好適に支援できる。
特徴C5.前記シミュレーションにおいては、前記所定の切替条件の判定結果が当該所定の切替条件が不成立となる判定結果である場合に、当該判定結果を無効として前記シミュレーションを継続する特徴C3又は特徴C4に記載のシミュレーション装置。
本特徴に示すように、シミュレーション中は所定の切替条件について判定を行う構成とすることで、実際の駆動制御とシミュレーション上の駆動制御とを合わせることができる。このような構成においては、判定結果を無効としてシミュレーションを継続することにより、仮に所定の切替条件が不成立となった場合であっても、それがシミュレーションの妨げになることを抑制できる。
特徴C6.前記シミュレーションにおいては、前記制御プログラムにおける前記所定の切替条件の判定をスキップすることにより当該シミュレーションを継続する特徴C3又は特徴C4に記載のシミュレーション装置。
本特徴に示すように、シミュレーション時には所定の切替条件の判定をスキップする構成とすれば、特徴C3等に示した技術的思想を簡易に具現化し、シミュレーションによる動作確認を円滑に実施できる。
特徴C7.前記シミュレーションが進行して前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、当該シミュレーショの進行を一旦停止し且つ当該切替指示に達したことをユーザに報知し、ユーザによる前記シミュレーションの再開操作が行われたことに基づいて当該シミュレーションを再開させる特徴C3乃至特徴C6のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
本特徴に示すシミュレーション装置によれば、ユーザに切替指示に達したことが報知される。これにより、ユーザがシーン切替を見逃す機会を減らすことができる。また、シミュレーションを一旦停止させてユーザによる再開操作を待つ構成とすることは、シミュレーションが一旦停止しない構成と比べて、安全関連パラメータの表示等に目を向ける機会を確保する上で好ましい。
特徴C8.前記シミュレーション中に、前記切替指示に基づいて前記シーンを切り替える場合には、当該切り替えによって新たに適用される前記シーンを前記再開操作よりも前に先報知する特徴C7に記載のシミュレーション装置。
切り替え後のシーンを再開操作よりも前に先報知することにより、ユーザが変更後のシーンを確認するための時間を好適に確保できる。なお、例えば切替指示に達したことに基づいて先報知を開始し、当該先報知を再開操作が行われるまで継続させる構成とするとよい。
特徴C9.前記シミュレーションにおいて、前記シーンを構成している前記安全関連パラメータ群を表示するパラメータ表示部を有し、前記パラメータ表示部では前記切替指示に基づいて前記シーンを切り替える場合に、変更される前記安全関連パラメータの表示態様と変更されない前記安全関連パラメータの表示態様とを相違させる特定表示を行う特徴C3乃至特徴C8のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
本特徴に示す構成によれば、シーンがユーザの想定通りに切り替わっているかの確認を補助することができる。モデルの動きとシーンの切り替えと確認する上では確認項目が多くなることで見逃し→シミュレーションのやり直しが発生して、検証の効率が低下し得る。この点、上述の如く変更対象である安全関連パラメータの表示態様と変更対象でない安全関連パラメータの表示態様とを相違させる特定表示を行うことにより、上記やり直しの機会を減らすことができる。
特徴C10.前記ロボットシステムの前記安全関連部は、前記ロボットの駆動制御中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達して、前記所定の切替条件が不成立となった場合にエラー報知を行う構成となっており、
前記シミュレーション中に、前記制御プログラムにおける前記切替指示に達して、前記所定の切替条件が不成立となった場合には、前記エラー報知と同じ態様でエラー報知を行う特徴C3乃至特徴C9のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
シミュレーション中に所定の切替条件が不成立となった場合には、実際のロボットにて所定の切替条件が不成立となった場合と同じ態様でエラー報知が実行される。このような構成とすることで、シーン切替の失敗を含めてより現実に即したシミュレーションを行うことができる。
特徴C11.前記ロボット制御システムは、前記位置条件と前記ロボットが停止していることを示す停止条件とが成立した場合に前記所定の切替条件が成立したと判定し、前記位置条件及び前記停止条件の少なくとも一方が成立していない場合には前記所定の切替条件が成立していないと判定する構成となっており、
前記シミュレーションにおいては、前記位置条件と前記停止条件が成立した場合に前記所定の切替条件が成立したと判定され、前記位置条件及び前記停止条件の少なくとも一方が成立していない場合には前記所定の切替条件が成立していないと判定される特徴C3乃至特徴C10のいずれか1つに記載のシミュレーション装置。
本特徴に示すように、所定の切替条件が位置条件及び停止条件を含む構成においては、シミュレーション中に当該所定の切替条件を成立させるハードルが上がることとなる。つまり、実際のロボットにおいては信頼性の向上に寄与できる反面、シミュレーションの利用を促進する上で妨げになり得る。このような構成に、特徴C3等に示した技術的思想を適用すれば、信頼性の向上を図りつつ、シミュレーションの利用促進に寄与できる。
なお、特徴C4乃至特徴C11に示した各技術的思想を特徴C1又は特徴C2に適用することも可能である。
特徴C12.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記動作判定部により参照される前記判定基準の候補を複数設定可能であり、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記判定基準用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準の切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が不成立となったことに基づいて前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に接続可能なコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに前記制御プログラムの前記動作指示に従い前記ロボットのモデルを仮想領域にて動作させるようにしてシミュレーションを実行させるシミュレーションプログラムであって、
前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、前記シミュレーションを継続可能とするシミュレーションプログラム。
本特徴に示す構成によれば、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
特徴C13.ロボット(ロボット16)用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを駆動制御する駆動制御部(駆動制御部52)と、駆動制御中の前記ロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準領域)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)とを備え、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーン用の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンの切り替えを行うとともに前記ロボットの駆動制御を継続する一方、前記所定の切替条件が不成立となった場合には前記ロボットの駆動制御を中断するように構成されたロボット制御システム(制御システムCS)に接続可能なコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに前記制御プログラムの前記動作指示に従い前記ロボットのモデルを仮想領域にて動作させるようにしてシミュレーションを実行させるシミュレーションプログラムであって、
前記シミュレーション中に前記制御プログラムにおける前記切替指示に達した際には、前記所定の切替条件が成立する場合だけでなく、前記所定の切替条件が成立しない場合であっても、前記シミュレーションを継続可能とするシミュレーションプログラム。
本特徴に示す構成によれば、ロボットの安全性及び生産性の両立に配慮した制御プログラムの作成を好適に支援することができる。
なお、特徴C4乃至特徴C11に示した各技術的思想を特徴C12又は特徴C13に適用することも可能である。
<特徴D群> 手動操作用のシーン
以下の特徴D群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成を考案した。ここで、変更時の通信エラー等によって安全機能が損なわれることを抑制する上では、安全機能を変更するための入力を安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とすることが好ましい。しかしながら、安全入力を必須要件とした場合には変更に係る制約が強くなり、安全機能変更の操作性を向上させる上で妨げになると想定される。これに対して、当該要件を単に避けた場合には、操作性の向上が期待できるものの、ロボットの安全機能に対する信頼が揺らぐと懸念される。このように、ロボットの安全性及び作業効率の向上を図る上で、安全機能の変更に係る構成には未だ改善の余地がある。また、近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、適正な安全機能が異なる可能性がある。つまり、自動運転モードを想定した安全機能を手動操作モード適用した場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。このように、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上に寄与し、手動操作時はユーザの作業性の向上に寄与する上では安全機能に係る構成に未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴D1.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
前記シーンとして、前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の自動運転用シーン(例えばメインシーン1~メインシーン9)が設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記自動運転用シーンの切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンを複数の前記自動運転用シーンのうち当該切替指示により指定されている自動運転用シーンに切り替える構成となっており、
前記シーンには、前記手動操作モードとなっている場合に参照される手動操作用シーン(例えば手動操作用シーンRや手動操作用シーン1~手動操作用シーン3)が含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを実行する構成としている。つまり、シーンの切り替えに際して可否等の要件を確認し得る構成としている。これは、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑える上で好ましい。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを手動操作する場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D2.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
前記シーンとして、前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の自動運転用シーン(例えばメインシーン1~メインシーン9)が設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記自動運転用シーンの切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンを複数の前記自動運転用シーンのうち当該切替指示により指定されている自動運転用シーンに切り替える構成となっており、
前記シーンには、前記手動操作モードとなっている場合に参照される手動操作用シーン(例えば手動操作用シーンRや手動操作用シーン1~手動操作用シーン3)が含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを手動操作する場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D3.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
複数の前記シーンとして、前記自動運転モードとなっている場合に参照される自動運転用シーン(例えばメインシーン1~メインシーン9)と、前記手動操作モードとなっている場合に参照される手動操作用シーン(例えば手動操作用シーンRや手動操作用シーン1~手動操作用シーン3)とが設けられており、
少なくとも前記自動運転用シーンについては複数設定可能となっており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記自動運転用シーンの切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンを複数の前記自動運転用シーンのうち当該切替指示により指定されている自動運転用シーンに切り替える構成となっており、
前記手動操作モードとなる場合又は前記手動操作モードとなっている場合には、ユーザによる所定の操作に基づいて、参照対象となる前記シーンを前記手動操作用シーンに切り替えるロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーン(安全関連パラメータ群)の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを手動操作する場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
また、自動運転中は上述の如くシーンが制御プログラムの切替指示に応じて自動的に切り替わる一方、手動操作用シーンにはユーザの操作に応じて切り替わる構成となっている。このような構成とすれば、ユーザが意図していないタイミングで突如としてシーンが切り替わることを抑制できる。これは、更なる安全性の向上を図る上で好ましい。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D4.前記手動操作用シーンを複数設定可能となっており、
前記手動操作モード中に前記手動操作用シーンを指定する操作である前記所定の操作がなされたことに基づいて、参照対象となる前記シーンを複数の前記手動操作用シーンのうちユーザにより指定された手動操作用シーンに切り替える特徴D2又は特徴D3に記載のロボット制御システム。
特徴D1等にて例示したように、ティーチングやリカバリ等、作業内容等によって手動操作の態様は異なる。そこで、手動操作用シーンを複数設けて、手動操作モード中はユーザがそれら手動操作用シーンを選択し得る構成とすることで、作業内容等に応じて安全機能を適正に発揮させることができる。
特徴D5.前記制御モードが前記自動運転モードとなっている場合には、参照対象となる前記シーンの前記手動操作用シーンへの切り替えが不可となり、前記制御モードが前記手動操作モードとなることで参照対象となる前記シーンの前記手動操作用シーンへの切り替えが許容される特徴D2乃至特徴D4のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
自動運転モードと手動操作モードとでは前提となる状況が大きく異なり、力、速さ、位置等の監視レベルに大きな差が生じ得る。故に、自動運転モード中は手動操作用シーンへの切り替えを不可とし、手動操作モードへ切り替わることで手動操作用シーンへの切り替えが許容される構成とすることは、特徴D1等に示した安全性及び作業性の向上効果を発揮させる上で好ましい。
特徴D6.前記手動操作用シーンを複数設定可能となっており、
前記自動運転モードから前記手動操作モードへの切り替え用の操作である前記所定の操作に基づいて、参照対象となる前記シーンを複数の前記手動操作用シーンのうち所定の手動操作用シーンに切り替える特徴D2又は特徴D3に記載のロボット制御システム。
本特徴に示すように自動運転モード→手動操作モードへ切り替えることで参照対象となるシーンを所定の手動操作用シーン(例えば手動操作用のデフォルト)に切り替わる構成とすることで、自動運転用シーンのまま手動操作が行われる機会を減らすことができる。自動運転モードと手動操作モードとでは前提となる状況が大きく異なり、力、速さ、位置等の監視レベルに大きな差が生じ得るため、手動操作モードへの切り替えによってシーンを手動操作用シーンに自動的に切り替えることには明確な技術的意義がある。
特徴D7.前記安全関連パラメータとして前記ロボットの動作位置を監視する位置監視用のパラメータを含み、前記安全関連部は前記ロボットの動作位置が基準領域から外れた場合に前記安全関連出力信号によって当該ロボットを停止させる構成となっており、
前記安全関連部によって前記ロボットが停止されている場合には、参照対象となる前記シーンを前記ロボットの位置に関係なく前記手動操作用シーンへ切替可能となっている特徴D2又は特徴D3に記載のロボット制御システム。
ロボットがユーザにより指定された基準領域から外れた位置へ移動することで停止した場合には、当該ロボットを基準領域内に戻す作業が行われる。本特徴に示す構成では、手動操作用シーンへの切り替えについてはロボットの位置が不問となっているため、ロボットの位置によって手動操作用シーンへの切り替えが難しくなるといった不都合が生じない。これは、ロボットの動作を再開させるためのリカバリ操作を円滑に行う上で好ましい。
特徴D8.前記手動操作用シーンとして、前記ロボットのリカバリ操作に対応するリカバリ用シーンを含み、
前記動作判定部の判定結果に基づいて前記ロボットを停止させている状況下にて前記自動運転モードから前記手動操作モードへの切替操作が行われた場合に、前記リカバリ用シーンへの切り替えが可能となる特徴D2又は特徴D3に記載のロボット制御システム。
ロボットが工場設備やワーク等に引っ掛かる等して正常に動作できなくなった場合には、安全関連部によりロボットを停止させることでロボット等を保護することができる。このような場合には、リカバリに際してロボットの駆動力の上限を大きくしたり撤廃したりすることで引っ掛かりの解消に寄与できる。但し、リカバリを想定したシーン(リカバリ用シーン)がリカバリ以外の状況で使用された場合には、ロボットの駆動力が過度になり得る。この点、本特徴に示すように、ロボットを停止させている状況下にて自動運転モードから手動操作モードへの切替操作が行われた場合にリカバリ用シーンへの切り替えが可能な構成とすれば、リカバリ用シーンへの不用意な切り替えを抑制することができる。
特徴D9.前記手動操作用シーンは、ダイレクトティーチングに対応するダイレクトティーチング用シーンと、前記ロボットのリカバリ操作に対応するリカバリ用シーンとを含む特徴D2乃至特徴D8のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
ロボットを手動操作する作業場面については、例えばダイレクトティーチングやリカバリが想定される。これらの作業場面については適正な安全機能が相違し得るため、ダイレクトティーチング用シーンとリカバリ用シーンとを設けることで実用上好ましい構成を実現できる。
特徴D10.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記動作判定部により参照される前記パラメータ用の判定基準の候補を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
前記判定基準として、前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の第1種判定基準が設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記第1種判定基準の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準を複数の前記第1種判定基準のうち当該切替指示により指定されている第1種判定基準に切り替える構成となっており、
前記判定基準には、前記手動操作モードとなっている場合に参照される第2種判定基準が含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムに判定基準の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)に当該判定基準を切替可能な構成によれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的に判定基準が切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によって当該判定基準が切り替わることで、想定していた状況と判定基準とがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。この点、本特徴においては、制御プログラムにおける切替指示に達した場合には、所定の切替条件の成立を要件として判定基準の切り替えを実行する構成としている。これにより、ユーザの意図から外れたシーンの切り替えを抑制し、上述したミスマッチの発生を抑えることができる。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じ判定基準を自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となる判定基準と、ロボットを手動操作する場合に参照対象となる判定基準とが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D11.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記動作判定部により参照される前記パラメータ用の判定基準の候補を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
前記判定基準として、前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の第1種判定基準が設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記第1種判定基準の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準を複数の前記第1種判定基準のうち当該切替指示により指定されている第1種判定基準に切り替える構成となっており、
前記判定基準には、前記手動操作モードとなっている場合に参照される第2種判定基準が含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムに判定基準の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)に当該判定基準を切替可能な構成によれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的に判定基準が切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によって当該判定基準が切り替わることで、想定していた状況と判定基準とがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件として判定基準の切り替えを行う構成としている。このように、判定基準の切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、判定基準の切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させるための判定基準が異なる可能性がある。つまり、同じ判定基準を自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となる判定基準と、ロボットを手動操作する場合に参照対象となる判定基準とが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D12.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記動作判定部により参照される前記パラメータ用の判定基準の候補として、前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の第1種判定基準と、前記手動操作モードとなっている場合に参照される複数の第2種判定基準とが設けられており、前記動作判定部はそれら判定基準の何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記第1種判定基準の切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記判定基準を複数の前記第1種判定基準のうち当該切替指示により指定されている第1種判定基準に切り替え、
前記手動操作モードとなる場合又は前記手動操作モードとなっている場合には、ユーザによる所定の操作に基づいて、参照対象となる前記判定基準をユーザにより指定された前記第2種判定基準に切り替えるロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムに判定基準の切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)に当該判定基準を切替可能な構成によれば、状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本特徴に示すように、自動的に判定基準が切り替わる構成とした場合には、ノイズ等の偶発的な要因によって当該判定基準が切り替わることで、想定していた状況と判定基準とがミスマッチになり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件として判定基準の切り替えを行う構成としている。このように、判定基準の切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、判定基準の切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年ではロボットをユーザが手動操作して当該ロボットに動きを教示(ティーチング)するといった方法(所謂ティーチング)を用いることで、制御プログラムの作成に係る期間の短縮等が実現されている。また、自動運転中の異常動作等が発生した場合には安全機能が働いてロボットを停止させる場合があり、そのリカバリに際してもユーザがロボットを手動操作することがある。本特徴に示すように、ロボットの制御モードとして自動運転用の自動運転モードと手動操作用の手動操作モードとを設け、上述したような手動操作に配慮することは、当該手動操作を行う際の安全性や作業性の向上を図る上で好ましい。
但し、自動運転モードと手動操作モードとでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させるための判定基準が異なる可能性がある。つまり、同じ判定基準を自動運転モード及び手動操作モードにて参照する構成とした場合には、自動運転時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、手動操作時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを自動運転させる場合に参照対象となる判定基準と、ロボットを手動操作する場合に参照対象となる判定基準とが各々設けられている。これにより、自動運転時と手動操作時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
また、自動運転中は上述の如く判定基準が制御プログラムの切替指示に応じて自動的に切り替わる一方、手動操作用の判定基準にはユーザの操作に応じて切り替わる構成となっている。このような構成とすれば、ユーザが意図していないタイミングで突如として判定基準が切り替わることを抑制できる。これは、更なる安全性の向上を図る上で好ましい。
以上の理由から、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
特徴D13.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードと、ユーザにより前記ロボットが手動操作される場合に適用される手動操作モードとが設けられており、
前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、
複数の前記シーンとして、前記自動運転モードとなっている場合に参照される自動運転用シーン(例えばメインシーン1~メインシーン9)と、前記手動操作モードとなっている場合に参照される手動操作用シーン(例えば手動操作用シーンRや手動操作用シーン1~手動操作用シーン3)とが設けられているロボット制御システム。
本特徴に示す構成によれば、ロボットの安全性の向上を図りつつ、自動運転時にはロボットによる生産性の向上、手動操作時はユーザの作業性の向上に貢献できる。
<特徴E群> 安全非関連部からの安全機能の切替
以下の特徴E群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能を変更(操作)可能とすることが、安全性に配慮しつつロボットの作業効率の向上を図る上で有利となり得る。ここで、変更時の通信エラー等によって安全機能が損なわれることを抑制する上では、安全機能を変更するための入力についても安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とすることが好ましい。しかしながら、安全入力を要件とした場合には変更に係る制約が強くなり、安全機能変更の操作性を向上させる上で妨げになると想定される。これに対して、当該要件を単に避けた場合には、操作性の向上が期待できるものの、ロボットの安全性が低下し、安全機能に対する信頼が揺らぐと懸念される。このように、ロボットの安全性及び作業効率の向上を図る上で、安全機能の変更に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴E1.作業中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のあるパラメータを含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該パラメータ用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部(安全関連部PX)と、安全非関連部(安全非関連部PY)と、が設けられたロボット制御システム(制御システムCS)であって、
前記安全非関連部が有している前記動作判定部により参照される前記パラメータ用の判定基準の候補が複数設けられ前記動作判定部による判定にて参照すべき判定基準を示す指令情報(コマンドID及びデータからなるリクエストコマンド)と第1診断用情報(CRC)とからなる情報群を、前記安全非関連部は、前記安全関連部に送ることにより、当該安全関連部に前記判定基準の切り替えを指示し、
前記安全関連部は、前記安全非関連部から前記指示を受けた場合に、前記指示が正常に届いたかを前記第1診断用情報に基づいて診断し、前記指示自体が正常であるかを前記指令情報に基づいて診断し、前記指示が正常に届いており且つ前記指示自体が正常であると診断した場合に、前記指示を受理して前記複数の判定基準のうち前記判定にて参照する判定基準を前記指令情報に応じて切り替え、前記安全非関連部からの指示を受理した場合にその旨を前記安全非関連部に報知し、
前安全非関連部は、前記安全関連部により前記指示を受理した旨が報知された場合に、前記安全関連部に対して、当該指示に基づく切り替えにより参照対象として設定された前記判定基準を特定可能な特定用情報を要求し、
前記安全関連部は、前記特定用情報と第2診断用情報(CRC)とからなる情報群を前記安全非関連部に送ることにより、前記安全非関連部の要求に応答し、
前記安全非関連部は、前記安全関連部から前記応答を受けた場合に、前記応答が正常に届いたかを前記第2診断用情報に基づいて診断し、実際に設定されている前記判定基準が前記指示により指定した前記判定基準となっているかを診断するロボット制御システム。
安全機能(判定基準)を切り替える場合には、先ず安全非関連部から安全関連部に切り替えの指示がなされる。この指示は指令情報及び第1診断用情報で構成されており、安全関連部では第1診断用情報に基づいて指示が正常に届いたかが診断され、指令情報に基づいて当該指示自体が正常であるかが診断される。診断で異常無しとなった場合には、安全非関連部からの指示が受理され、安全関連部では当該指示に従って参照対象となる判定基準を切り替える。つまり、安全非関連部からの指示であっても、当該指示に送信エラー等による異常が無いと判断した場合には、判定基準の切り替えがなされる。このようにして、安全非関連部からの安全な切替を実現すれば、ロボット制御システムにおける安全機能の変更に係る操作性を好適に向上させることができる。すなわち、安全非関連部からの指示を正常に受理した場合でなければ安全関連部における安全機能が変更されないことで安全制御の確実性を担保しつつ、安全非関連部からの操作による設定変更を可能とすることでユーザ利便性を考慮した操作設定を実現して操作手段の設定自由度を向上させることができる。
次に、安全関連部から安全非関連部へ指示を受理した旨が報知され、当該報知を受けた安全非関連部は安全関連部に対して現在参照対象となっている判定基準(切替後の判定基準)を特定可能な特定用情報を要求する。安全関連部ではこれに応答して、特定用情報と第2診断用情報とからなる情報群を安全非関連部に送る。安全非関連部は、安全関連部からの応答が正常に届いたかを第2診断用情報に基づいて診断し、実際に設定されている判定基準が当初の指示により指定した判定基準となっているかを診断する。つまり、安全非関連部では、自身の指示によって安全関連部における安全機能の切替が正常に行われたかを確認可能となっている。
本特徴に示す構成によれば、安全非関連部から安全関連部の安全機能を切り替える場合であっても、安全機能の変更に対する信頼性の低下を抑制し、安全機能を変更するための入力についても安全関連入力部からの入力(所謂安全入力)とする場合と比較して当該変更に係る制約が強くなることを回避できる。これにより、安全機能変更の操作性を好適に向上させることができる。
因みに、例えば1のロボットを様々な作業に従事させる場合、作業に応じて安全機能を変更(操作)可能とすることは、安全性に配慮しつつロボットの作業効率の向上を図る上で有利となる。本特徴に示すように、安全非関連部からの安全機能の切り替えを可能とすることは、複数種類の作業へのロボットの適用を促し、工場の自動化を推進する上でも好ましい。
なお、上記各特徴群に示した「ロボットの力及び速さ」については、ロボットのツールセンタポイントにおける力や速さだけではなく、ロボットの各軸の力(回転トルク)や速さ(回転速度)も含む。
<特徴F群> 協調動作用のシーン(別々シーン)
以下の特徴F群は、「産業用ロボット等のロボットに適用されるロボット制御システムには、ロボットの安全機能を実現する安全関連部と、ロボットの駆動制御等を行う安全非関連部とを有しているものがある。安全関連部については、例えば人等の障害物が衝突した場合にロボットを強制停止させたり(例えば特許文献1参照)、駆動中のロボットの力(推力)や速さを監視して安全用の基準を外れるような動きとなった場合にロボットを強制的に停止させたりするものが提案されている。近年では、ロボット技術の進歩により1のロボットが従事可能な作業の種類についても増加傾向にある。1のロボットを様々な作業に従事させる場合には、安全機能が画一的ではロボットの安全性の向上とロボットによる生産性(作業効率)の向上とを両立することが困難となり得る。このような事情に鑑みて、本件の発明者は、作業内容等に応じてロボットの安全機能を切り替える構成を考案した。このように、ロボットの安全性の向上及び生産性の向上を図る上で、安全機能に係る構成には未だ改善の余地がある。また、1のロボットでは対応が不可又は困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても複数のロボットの動きを同期させる協調制御によって自動化を促進することができる。これは、更なる生産性の向上を実現する上で好ましい。但し、それらロボットが同じ動作態様となるようにして協調制御を行う場合には、上記安全機能によってロボットの動きが異なる基準(例えば基準値)で制限されることは、複数のロボットの同期を維持する上で妨げになり得る。つまり、複数のロボットによる協調と上記安全機能との融合させる上では、単体で動作するロボットに対して上記安全機能を適用した場合には生じない新たな課題が生じ得る。このように、上述した安全機能によってロボットの安全性の向上を図りつつロボットの協調によって生産性の向上を図る上では、ロボットの協調及び安全機能に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴F1.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記自動運転モードとして、複数の前記ロボットを協調させて所定の作業を実行させる協調モードと、それら複数のロボットを協調させることなくロボット毎に個別の作業を実行させる個別モードとが設けられており、
前記シーンには、前記制御モードが前記個別モードとなっている場合に前記参照対象として設定される個別モード用シーン(例えばメインシーン1~9)と、前記制御モードが前記協調モードとなっている場合に前記参照対象として設定される協調モード用シーン(例えば協調動作用シーンD,1~6)とが含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。特に、制御プログラムにおける切替命令に達した場合に、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えが実行される。つまり、所定の切替条件の成立を確認した上で、切替命令に応じてシーンが切り替わる構成となっている。これは、不適切な切り替えを抑制し、シーン切替の自動化や半自動化を促進する上で好ましい。
近年では、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても複数のロボットの動きを同期させる協調制御によって自動化が実現されている。これは、製造工程等の自動化を促進し、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、自動運転モード=個別モードとなる場合と自動運転モード=協調モードとなる場合とでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを個別モード及び協調モードにて参照する構成とした場合には、個別モード時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、協調モード時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを個別モードで運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを協調モードで運転させる場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、個別モード時と協調モード時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
なお、本特徴における「前記自動運転モードとして、~協調モードと、~個別モードとが設けられており」との記載を、「前記自動運転モードとして、1の作業エリアにおいて1の前記ロボットに他の前記ロボットを追従させるようにしてそれらロボットを協調させることによりそれらロボットに所定の作業を実行させる協調モードと、それらロボットを協調させることなく各ロボットに各々の作業エリアにて個別の作業を実行させる個別モードとが設けられており」に変更してもよい。因みに、当該変更を以下の特徴F2,F4~F6等に適用することも可能である。
特徴F2.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記自動運転モードとして、複数の前記ロボットを協調させて所定の作業を実行させる協調モードと、それら複数のロボットを協調させることなくロボット毎に個別の作業を実行させる個別モードとが設けられており、
前記シーンには、前記制御モードが前記個別モードとなっている場合に前記参照対象として設定される個別モード用シーン(例えばメインシーン1~9)と、前記制御モードが前記協調モードとなっている場合に前記参照対象として設定される協調モード用シーン(例えば協調動作用シーンD,1~6)とが含まれているロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替指示を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。特に、制御プログラムにおける切替命令に達した場合に、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えが実行される。つまり、所定の切替条件の成立を確認した上で、切替命令に応じてシーンが切り替わる構成となっている。これは、不適切な切り替えを抑制し、シーン切替の自動化や半自動化を促進する上で好ましい。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
近年では、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても複数のロボットの動きを同期させる協調制御によって自動化が実現されている。これは、製造工程等の自動化を促進し、生産性の向上を実現する上で好ましい。ここで、自動運転モード=個別モードとなる場合と自動運転モード=協調モードとなる場合とでは想定される状況が大きく異なり、安全機能を適正に発揮させる上で各種安全関連パラメータが異なる可能性がある。つまり、同じシーンを個別モード及び協調モードにて参照する構成とした場合には、個別モード時の安全性の向上と生産性の向上を実現し、且つ、協調モード時の安全性の向上と作業性の向上とを実現することが困難になり得る。この点、本特徴に示す構成では、ロボットを個別モードで運転させる場合に参照対象となるシーンと、ロボットを協調モードで運転させる場合に参照対象となるシーンとが各々設けられている。これにより、個別モード時と協調モード時とで安全機能を適正に発揮させることができる。
特徴F3.前記制御プログラムには、前記自動運転モード中に前記制御モードを前記個別モードから前記協調モードに切り替える契機となるモード切替用の切替命令と、前記参照対象とするシーンを前記個別モード用シーンから前記協調モード用シーンに切り替える契機となるシーン切替用の切替命令とが含まれており、
前記モード切替用の切替命令に従って前記制御モードを前記個別モードから前記協調モードに切り替える場合には、前記複数のロボットについて前記参照対象とするシーンをシーン切替用の切替命令に従って前記個別モード用シーンから前記協調モード用シーンに各々切り替える特徴F1又は特徴F2に記載のロボット制御システム。
本特徴に示す構成によれば、個別モード→協調モードとなる場合には各ロボットについて参照対象となるシーンが個別モード用シーンから協調モード用シーンに切り替わる。このようにモード切替に伴うシーン切替を制御プログラムに組み込んでおく構成とすることは、ユーザの操作忘れ等の人為的ミスによって協調開始に際してシーン切替が適正に行われなくなることを抑制する上で好ましい。
特徴F4.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット(例えばロボット16A)及び第2ロボット(例えばロボット16B)を含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)が含まれており、
前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなるロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替命令を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。特に、制御プログラムにおける切替命令に達した場合に、所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えが実行される。つまり、所定の切替条件の成立を確認した上で、切替命令に応じてシーンが切り替わる構成となっている。これは、不適切な切り替えを抑制し、シーン切替の自動化や半自動化を促進する上で好ましい。
また、本特徴においては、第1ロボット及び第2ロボットの協調によって所定の作業を実行する構成であるため、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても自動化を促進できる。これは、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、所定の作業における第1ロボット及び第2ロボットの動作には、両ロボットを同期させつつもそれらロボットの動作態様が異なる特別動作が含まれている。動作態様が異なる場合には、特別動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい判定基準(例えば基準値)が異なる可能性がある。この点、本手段1に示す構成では、特別動作に際して各ロボットについて参照対象となるシーンが別々のシーン(第1シーン/第2シーン)となるようにして切り替わる。動作態様の異なる各ロボットについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボットの安全機能を適正に発揮させることができる。
なお、「前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数備え」との記載を「前記判定基準として使用する安全関連パラメータを含む安全パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数備え」又は「前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており」に変更することも可能である。
因みに、本特徴に示す構成を「動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連入力信号(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部を有し、その判定結果に応じて安全関連出力信号を生成することにより当該ロボットの安全機能を実現する安全関連部が設けられたロボット制御システムであって、前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作指示(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、前記判定基準を前記安全機能に影響を与える安全関連パラメータとして含んだ安全関連パラメータ群であるシーン(例えばメインシーン)を複数設定可能となっており、前記動作判定部はそれらシーンの何れかを参照して前記判定を行う構成となっており、前記シーンとして、前記ロボットの制御モードが前記自動運転モードとなっている場合に参照される複数の自動運転用シーン(例えばメインシーン1~9や協調動作用シーンD,1~6)が設けられており、前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記自動運転用シーンの切替指示(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件(例えば停止条件、位置条件、コマンド正常)が成立したことに基づいて参照対象となる前記シーンを複数の前記自動運転用シーンのうち当該切替指示により指定されている自動運転用シーンに切り替える構成となっており、前記ロボットとして、第1ロボット(例えばロボット16A)及び第2ロボット(例えばロボット16B)を含み、前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)が含まれており、前記自動運転用シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なるシーンであって前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについて参照される前記シーンが前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについて参照される前記シーンが前記第2シーンとなるロボット制御システム。」とすることも可能である。
特徴F5.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット(例えばロボット16A)及び第2ロボット(例えばロボット16B)を含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)が含まれており、
前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなるロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替命令を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本手段2に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
また、本特徴においては、第1ロボット及び第2ロボットの協調によって所定の作業を実行する構成であるため、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても自動化を促進できる。これは、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、所定の作業における第1ロボット及び第2ロボットの動作には、両ロボットを同期させつつもそれらロボットの動作態様が異なる特別動作が含まれている。動作態様が異なる場合には、特別動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい基準(例えば基準値)が異なる可能性がある。この点、本手段2に示す構成では、特別動作に際して各ロボットについて参照対象となるシーンが別々のシーン(第1シーン/第2シーン)となるようにして切り替わる。動作態様の異なる各ロボットについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボットの安全機能を適正に発揮させることができる。
特徴F6.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーン(例えばメインシーン)を複数記憶可能となっており、
前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット(例えばロボット16A)及び第2ロボット(例えばロボット16B)を含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)が含まれており、
前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの役割に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なるシーンであって前記特別動作における前記第2ロボットの役割に対応する第2シーンとが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなるロボット制御システム。
本特徴に示すように、ロボットの制御プログラムにシーンの切替命令を組み込んで、駆動制御中(自動運転中)にシーンを切替可能とすれば、周辺環境や作業内容等の各種状況に合わせて安全機能を適正に発揮させる構成の実現に寄与できる。これは、ロボットの安全性の向上とロボットによる生産性の向上とを両立させる上で好ましい。但し、本手段2に示すように、自動的にシーンが切り替わる構成とした場合には、ロボットの挙動の乱れやノイズ等によってシーンの不適切な切り替えがなされることで、予め想定されているシーンと実際のシーンとがミスマッチとなり得る。これは、安全機能を適正に発揮させる上で妨げになると懸念される。ここで、ロボットを様々な作業に従事させるにしても、その動きは基本的に上記制御プログラムに従ったものとなるため、作業と当該作業を行うエリア(動作領域)とには一定の関係性が生じる。このような実情を考慮して、本特徴においては、位置条件を含む所定の切替条件の成立を要件としてシーンの切り替えを行う構成としている。このように、シーン切替時に少なくとも位置確認を行うことにより、上記懸念を払拭し、シーンの切り替えを適正に行うことが可能となっている。
また、本特徴においては、第1ロボット及び第2ロボットの協調によって所定の作業を実行する構成であるため、1のロボットでは対応が困難な作業(例えば重量物や長尺物等の運搬・組み立て等)についても自動化を促進できる。これは、生産性の向上を図る上で好ましい。ここで、所定の作業における第1ロボット及び第2ロボットの動作には、両ロボットを同期させつつもそれらロボットの役割が異なる特別動作が含まれている。動作態様が異なる場合には、特別動作中に安全機能を適正に発揮させる上で好ましい基準についても異なる可能性がある。この点、本特徴に示す構成では、特別動作に際して各ロボットについて参照対象となるシーンが別々のシーン(第1シーン/第2シーン)となるようにして切り替わる。役割の異なる各ロボットについて別々のシーンが適用されることにより、協調によって生産性の向上を図りつつ、協調時においても各ロボットの安全機能を適正に発揮させることができる。
特徴F7.前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様及び前記第2ロボットの動作態様は、前記第1ロボットの手先(ハンド34A)と前記第2ロボットの手先(ハンド34B)との距離を一定に維持しながらそれら第1ロボット及び第2ロボットが両ロボットの一方に他方が追従するようにして各々動作するように規定され、且つ前記特別動作について規定された前記第1ロボットの手先の移動速度と前記第2ロボットの手先の移動速度とが相違しており、
前記第1ロボットに係る前記安全関連データは、当該第1ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、前記第2ロボットに係る前記安全関連データは、当該第2ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、
前記第1シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第1ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっており、前記第2シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第2ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっている特徴F4乃至特徴F6のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
第1ロボットの手先と第2ロボットの手先との距離を一定に維持しながらそれら第1ロボット及び第2ロボットが両ロボットの一方に他方が追従するようにして各々動作する構成とすることで、第1ロボットの手先の動きと第2ロボットの手先の動きとを同期させることができる。ここで、各手先の移動速度(設定値)に差を設けた場合には、仮に参照対象となるシーン(使用する安全関連パラメータ)が同一となれば、移動速度に係る制約が強くなったり、安全機能が上手く発揮されなくなったりすると懸念される。この点、本特徴に示す構成によれば、特別動作を実行する場合に各ロボットについて参照対象となるシーンについては、それらシーンを構成している安全関連パラメータのうち少なくとも手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータが当該移動速度に応じた設定となっているため、上記懸念を好適に払しょくできる。
特徴F8.前記特別動作は、前記第1ロボットの手先(ハンド34A)と前記第2ロボットの手先(ハンド34B)とを所定位置(例えばツールセンタポイントCPA)を中心として所定方向(例えば上方から見て反時計回り方向)に各々回動させる動作であり、
前記特別動作が実行される場合の前記所定位置から前記第1ロボットの手先までの距離と、前記所定位置から前記第2ロボットの手先までの距離とが異なっており、
前記特別動作においては、前記第1ロボットの手先の前記回動と前記第2ロボットの手先の前記回動とが同期する構成となっており、
前記第1ロボットに係る前記安全関連データは、当該第1ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、前記第2ロボットに係る前記安全関連データは、当該第2ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、
前記第1シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第1ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっており、前記第2シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第2ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっている特徴F4乃至特徴F6のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
本特徴に示すように、所定位置を中心とする第1ロボットの手先の回動と第2ロボットの手先の回動とを同期させるようにして各ロボットを動作させる構成によれば、例えば両ロボットによって1のワークを保持したまま当該ワークの姿勢を変更することが可能となる。このような動き(特別動作)では、所定位置に近い手先と遠い手先とでは、移動速度が相違し得る。つまり、所定位置に近いものと比べて遠い位置では移動速度が高くなる。ここで、本特徴に示す構成によれば、特別動作時に各ロボットについて参照対象となるシーンについては、それらシーンを構成している安全関連パラメータのうち少なくとも手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータが各移動速度に応じた設定となっている。このように協調時に各ロボットが異なる動きをする場合であっても、動きの違いに合わせて安全機能を適正に発揮させることができれば、当該安全機能が上記同期を崩す要因になることを好適に抑制できる。
特徴F9.前記特別動作は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットの一方によって1のワークの一端部を保持し且つ前記第1ロボット及び前記第2ロボットの他方によって前記ワークの他端部を保持した状態のまま、前記一端部側を基端側として前記ワークを回動させることで当該ワークの姿勢を変更する動作であり、
前記第1シーン及び前記第2シーンの一方は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットのうち前記特別動作に際して回動基端側に位置するロボットについて参照対象となるシーンであり、前記第1シーン及び前記第2シーンの他方は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットのうち前記特別動作に際して回動先端側に位置するロボットについて参照対象となるシーンである特徴F4乃至特徴F6のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
本特徴に示す構成によれば、両ロボットによって1のワークを保持したまま当該ワークの姿勢が変更される。このような動き(特別動作)では、回動基端側に位置する手先と回動先端側に位置する手先とでは、移動速度が相違し得る。つまり、回動先端側では回動基端側と比べて手先の移動速度が高くなる。ここで、本特徴に示す構成によれば、特別動作時に各ロボットについて参照対象となるシーンは、回動基端側を想定したシーンと回動先端側を想定したシーンとを有している。このような構成によれば、協調時に各ロボットが異なる動きをする場合であっても、動きの違いに合わせて安全機能を適正に発揮させることが可能となり、当該安全機能の働きによってワークの保持位置がずれたりワークが脱落したりするといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴F10.前記特別動作は、第1特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)であり、
前記所定の作業は、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とが同一となる第2特別動作(ワークのピックアップ用の動作)を含み、
前記第2特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについて前記参照対象として設定されるシーンと、前記第2ロボットについて前記参照対象として設定されるシーンとが同じシーンとなる特徴F4乃至特徴F9のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
複数のロボットの協調によって所定の作業を実行する場合には、ロボットの動きのバリエーションを増やすことが所定の作業の幅を広げる上で有利となる。ここで、本特徴に示す構成では、特別動作として各ロボットの動作態様が同一となる第2特別動作を含んでおり、この第2特別動作においては各ロボットについて同じシーンが参照対象となる。特別動作中も、動作態様が同じ場合と異なる場合とでシーンを使い分けることにより、安全性の向上と生産性の向上とを好適に実現できる。
特徴F11.前記第1ロボットはリーダロボット、前記第2ロボットは前記リーダロボットに追従するようにして動作するフォロワロボットであり、
前記リーダロボットには、前記安全関連部を有するリーダ側制御部が設けられており、
前記フォロワロボットには、前記安全関連部を有するフォロワ側制御部が設けられており、
前記自動運転モードとして、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて前記所定の作業を実行させる協調モードと、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させることなくロボット毎に個別の作業を実行させる個別モードとが設けられており、
前記制御モードが前記個別モードとなっている場合には、前記リーダ側制御部が前記リーダロボットに係る動作制御及び当該リーダロボットについて前記参照対象として設定されるシーンの切り替えを行い、前記フォロワ側制御部が前記フォロワロボットに係る動作制御及び当該フォロワロボットについて前記参照対象として設定されるシーンの切り替えを行い、
前記制御モードが前記協調モードとなっている場合には、前記リーダ側制御部が前記リーダロボットに係る動作制御及び当該リーダロボットについて前記参照対象として設定されるシーンの切り替えと、前記フォロワロボットに係る動作制御及び当該フォロワロボットについて前記参照対象として設定されるシーンの切り替えとを行う特徴F4乃至特徴F10のいずれか1つに記載のロボット制御システム。
特徴F11に示すロボット制御システムでは、制御モード=個別モードである場合には、リーダ側制御部がリーダロボットに係る動作制御及びリーダロボットについて参照対象とするシーンの切り替えを担っており、フォロワ側制御部がフォロワロボットに係る動作制御及びフォロワロボットについて参照対象とするシーンの切り替えを担っている。これに対して、制御モード=協調モードである場合には、リーダ側制御部が各ロボットの動作制御及びシーンの切り替えを担う。つまり、協調モードにおいてはリーダ側制御部にて各ロボットに係る動作及びシーンを一括してコントロールする構成となっている。このような構成とすれば、個々のロボットが相手の動き等を随時確認しながらシーンの切り替えを行う構成と比べて、協調時のシーン切替の円滑化を図る上で好ましい。
特徴F12.前記リーダ側制御部には、前記フォロワロボットについて前記参照対象となるシーンが記憶されており、前記協調モードにおいては前記フォロワロボットについて前記参照対象となるシーンが前記リーダ側制御部の安全関連部に設定され、
前記協調モードにおいては、前記フォロワロボットに関する前記パラメータを含んだ前記安全関連データを前記リーダ側制御部にて取得し、当該リーダ側制御部の安全関連部では、前記フォロワロボットについて前記参照対象となっているシーンと前記フォロワロボット側から取得した安全関連データとに基づいて前記フォロワロボットの動きを判定し、その判定結果に応じて生成した安全関連出力用の情報(例えば安全関連出力信号)を前記フォロワロボット側へ出力する特徴F11に記載のロボット制御システム。
本特徴に示す構成によれば、協調モード中はリーダ側制御部がフォロワロボットに係るシーンの管理とフォロワロボットの動きの判定とを担うこととなる。このように、各ロボットに係るシーン切替及び判定の各機能をリーダ側制御部にまとめることは、システム全体でシーンの管理の簡素化を実現し、安全機能の安定化を図る上で好ましい。
特徴F13.前記協調モードにおいては、前記フォロワ側制御部は、前記リーダ側制御部からの切替指令に基づいて前記フォロワロボットについて参照対象とする前記シーンの切り替えを行う特徴F11に記載のロボット制御システム。
協調モードにおいては、リーダ側制御部がロボットの駆動制御の主体となる。このリーダ側制御部からの切替指令に基づいてフォロワ側制御部にてシーンの切り替えを行う構成とすることは、フォロワロボット側でロボットの動きとシーンとのミスマッチが生じる機会を減らす上で好ましい。
特徴F14.動作中のロボット(ロボット16)の力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ(ロータリエンコーダ36やトルクセンサ37等からの信号)及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準(基準値又は基準範囲)に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部(論理部X2)を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部(安全関連部PX)が設けられたロボット制御システムであって、
前記判定基準として、前記ロボットの制御モードが前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令(駆動制御用のコマンド)に従って前記ロボットを動作させる自動運転モードとなっている場合に参照される複数の判定基準(例えばメインシーン1~メインシーン9)が設けられており、
前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記判定基準の切替命令(「CHANGE SCENE」コマンド)に達した場合に、所定の切替条件が成立したことに基づいて、参照対象となる判定基準を当該切替命令により指定されている判定基準に切り替える構成となっており、
前記ロボットとして、第1ロボット及び第2ロボットを含み、
前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作(ワークの姿勢変更用の動作)が含まれており、
前記判定基準には、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1判定基準と、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2判定基準とが含まれており、
前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1判定基準となり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2判定基準となるロボット制御システム。
本特徴に示す構成によれば、複数のロボットの協調による生産性の向上と、それらロボットの安全性の向上とに寄与できる。
10…工場、16…ロボット、16A…リーダロボット、16B…フォロワロボット、21…AGV、31…ロボットアーム、34A…リーダロボットのハンド、34B…フォロワロボットのハンド、36…ロータリエンコーダ、37…トルクセンサ、41…ロケータ、51…制御装置、52…駆動制御部、53…監視制御部、60…PC、61…ディスプレイ、62…制御部、70…ティーチングペンダント、71…ディスプレイ、E1…ストックエリア、E2…加工エリア、E3…集積エリア、E4…コンベアエリア、E5…通路、E6…アセンブリエリア、PX…安全関連部、PY…安全非関連部、W1…第1ワーク、W2…第2ワーク、WA…アセンブリされたワーク。

Claims (5)

  1. 動作中のロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部が設けられたロボット制御システムであって、
    前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーンを複数記憶可能となっており、
    前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
    前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
    前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令に達した場合に、所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
    前記ロボットとして、第1ロボット及び第2ロボットを含み、
    前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
    前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作が含まれており、
    前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
    前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなるロボット制御システム。
  2. 動作中のロボットの力及び速さの少なくとも何れかに相関のある相関情報を含んだ安全関連データ及び予め記憶されている当該相関情報用の判定基準に基づいて前記ロボットの動きを判定する動作判定部を有し、その判定結果に応じて当該ロボットの動作又は停止を制御する安全関連部が設けられたロボット制御システムであって、
    前記判定基準として使用する安全関連パラメータを有してなるシーンを複数記憶可能となっており、
    前記動作判定部は、複数の前記シーンのうち参照対象として設定されているシーンの前記安全関連パラメータを使用して前記判定を行う構成となっており、
    前記ロボットの制御モードとして、前記ロボット用の制御プログラムを構成している各動作命令に従って前記ロボットを動作させる場合に適用される自動運転モードが設けられており、
    前記自動運転モード中は、前記制御プログラムに基づく前記ロボットの駆動制御中に当該制御プログラムに含まれている前記シーンの切替命令に達した場合に、前記ロボットについて位置を規定した位置条件を含む所定の切替条件が成立したことに基づいて、前記参照対象として設定されているシーンを当該切替命令により指定されているシーンに切り替える構成となっており、
    前記ロボットとして、第1ロボット及び第2ロボットを含み、
    前記自動運転モードにおいては、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを協調させて所定の作業を実行可能であり、
    前記所定の作業における前記第1ロボット及び前記第2ロボットの動作には、前記第1ロボット及び前記第2ロボットを同期させる一方、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とを相違させるように設定された特別動作が含まれており、
    前記シーンには、前記特別動作における前記第1ロボットの動作態様に対応する第1シーンと、少なくとも一部の前記安全関連パラメータが前記第1シーンとは異なり、前記特別動作における前記第2ロボットの動作態様に対応する第2シーンとが含まれており、
    前記特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについては前記参照対象が前記第1シーンとなり、前記第2ロボットについては前記参照対象が前記第2シーンとなるロボット制御システム。
  3. 前記特別動作は、前記第1ロボットの手先と前記第2ロボットの手先とを所定位置を中心として所定方向に各々回動させる動作であり、
    前記特別動作が実行される場合の前記所定位置から前記第1ロボットの手先までの距離と、前記所定位置から前記第2ロボットの手先までの距離とが異なっており、
    前記特別動作においては、前記第1ロボットの手先の前記回動と前記第2ロボットの手先の前記回動とが同期する構成となっており、
    前記第1ロボットに係る前記安全関連データは、当該第1ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、前記第2ロボットに係る前記安全関連データは、当該第2ロボットの手先の移動速度に相関のある相関情報を含み、
    前記第1シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第1ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっており、前記第2シーンを構成している前記安全関連パラメータのうち手先の移動速度に相関のある安全関連パラメータは前記第2ロボットの手先の移動速度に応じた設定となっている請求項1又は請求項2に記載のロボット制御システム。
  4. 前記特別動作は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットの一方によって1のワークの一端部を保持し且つ前記第1ロボット及び前記第2ロボットの他方によって前記ワークの他端部を保持した状態のまま、前記一端部側を基端側として前記ワークを回動させることで当該ワークの姿勢を変更する動作であり、
    前記第1シーン及び前記第2シーンの一方は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットのうち前記特別動作に際して回動基端側に位置するロボットについて参照対象となるシーンであり、前記第1シーン及び前記第2シーンの他方は、前記第1ロボット及び前記第2ロボットのうち前記特別動作に際して回動先端側に位置するロボットについて参照対象となるシーンである請求項1又は請求項2に記載のロボット制御システム。
  5. 前記特別動作は、第1特別動作であり、
    前記所定の作業は、前記第1ロボットの動作態様と前記第2ロボットの動作態様とが同一となる第2特別動作を含み、
    前記第2特別動作を実行する場合には、前記第1ロボットについて前記参照対象として設定されるシーンと、前記第2ロボットについて前記参照対象として設定されるシーンとが同じシーンとなる請求項1又は請求項2に記載のロボット制御システム。
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