JP2024057827A - 帯電防止フィルム - Google Patents

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唯純 田中
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Abstract

【課題】帯電防止機能のばらつきが抑制された帯電防止フィルムを提供する。【解決手段】帯電防止フィルムは、帯電防止層を備える。帯電防止層は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性エラストマーとを少なくとも含有する樹脂組成物から構成される。帯電防止層の表面において、所定の方向に沿って1m間隔で200か所測定した表面固有抵抗値(Ω/□)の対数値の最大値と最小値との差は、1.3以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、帯電防止フィルムに関する。
半導体ウェハや半導体パッケージの加工工程では、フィルム基材の少なくとも片面に粘着剤層が積層された各種の半導体加工用テープが使用される。より具体的には、半導体ウェハを切断して、個々の半導体チップに分割するダイシング工程において半導体ウェハに貼付されるダイシング用テープや、半導体ウェハの薄化を行うグラインディング工程において、パターニング面を保護する目的で半導体ウェハのパターニング面に貼付される、バックグラインド用テープ等がある。特許文献1はダイシング用テープに関する発明を開示し、特許文献2はバックグラインド用テープに関する発明を開示する。これらの半導体加工用テープは、フィルム基材部分において帯電防止機能を有する。
特開2018-125521号公報 特開2020-088231号公報
フィルム基材は、例えばフィルム基材を構成する樹脂組成物を、長手方向に連続したシート状に押出成形することで得られ、これを巻き取ってロール状としたものが原反となる。上記樹脂組成物において、フィルム基材に帯電防止機能を付与する帯電防止剤が凝集してしまうと、原反において帯電防止機能のばらつきを生じてしまう。
本発明は、帯電防止機能のばらつきが抑制された帯電防止フィルムを提供することを目的とする。
第1観点に係る帯電防止フィルムは、帯電防止層を備える。帯電防止層は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性エラストマーとを少なくとも含有する樹脂組成物から構成される。前記帯電防止層の表面において、所定の方向に沿って1m間隔で200か所測定した表面固有抵抗値(Ω/□)の対数値の最大値と最小値との差は、1.3以下である。
第2観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点に係る帯電防止フィルムであって、前記熱可塑性エラストマーは、水添スチレン系エラストマーである。
第3観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点または第2観点に係る帯電防止フィルムであって、前記帯電防止層を構成する樹脂組成物は、前記高分子型帯電防止剤を20重量%以上、40重量%以下含有する。
第4観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記帯電防止層を構成する樹脂組成物は、前記熱可塑性エラストマーを5重量%以上、40重量%以下含有する。
第5観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記熱可塑性エラストマーの230℃におけるメルトフローレートは、14g/10分未満である。
第6観点に係る帯電防止フィルムは、第1観点から第5観点のいずれかに係る帯電防止フィルムであって、前記帯電防止層の厚みは、2μm以上、20μm以下である。
本発明によれば、帯電防止機能のばらつきが抑制された帯電防止フィルムが提供される。
一実施形態に係る帯電防止フィルムの断面図。
以下、本発明に係る帯電防止フィルム1の一実施形態について説明する。本実施形態に係る帯電防止フィルム1は、図1に示すように、第1面21及び第2面22を有するシート状の基体層2と、第1面21及び第2面22の少なくとも一方に隣接して積層される帯電防止層3とを備える。帯電防止フィルム1は、帯電防止層3を備えることにより、帯電防止層3側の表面において静電気を帯びにくくなっており、後述する半導体加工用テープのフィルム基材として好適に使用される。なお、図1に示す実施形態はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されない。また、図面の寸法は必ずしも現実の寸法を反映したものではない。以下、各部材について詳細に説明する。
<1.帯電防止層>
帯電防止層3は、熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性エラストマーとを少なくとも含有する樹脂組成物から構成される。以下、それぞれの成分について説明する。
<1-1.熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、本実施形態では、帯電防止層3の片面に隣接して積層される、基体層2の隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂である。隣接層6については、後述する。樹脂組成物は、隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を少なくとも1種類含有することが好ましい。なお、「同じ種類の熱可塑性樹脂」とは、含有される全てのモノマーが一致する熱可塑性樹脂を言うものとする。本実施形態の樹脂組成物は、1種類の熱可塑性樹脂を含有し、これが隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂である。以下、この熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂と区別し、第1の熱可塑性樹脂と称することがある。第1の熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、エチレン系樹脂またはプロピレン系樹脂から選択されることが好ましい。
[エチレン系樹脂]
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン、分岐鎖状低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、及びアイオノマー樹脂からなる群から選択されるエチレン系樹脂を用いることができる。この中では、LDPE及びEMMAが好ましい。
[LDPE]
LDPEは、典型的には、100MPa以上の高圧、100℃~300℃の高温下でエチレンを重合させて得られる単独重合体である。LDPEの数平均分子量は、概ね10,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、概ね50,000以上、500,000以下であることがより好ましい。LDPEの数平均分子量を概ね10,000以上とすることで、これを含有する樹脂組成物のフィルムへの成形性が向上する。一方、LDPEの数平均分子量を概ね1,000,000以下とすることで、これを含有する樹脂組成物の押出形成性が向上する。
JIS K7112に基づくLDPEの密度は、0.915g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることが好ましく、0.917g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくLDPEのメルトフローレート(MFR、190℃)は、0.3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、3g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくLDPEのビカット軟化温度は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、85℃以上、115℃以下であることがより好ましく、90℃以上、110℃以下であることがさらに好ましい。また、LDPEの融点は、100℃以上、130℃以下であることが好ましく、105℃以上、125℃以下であることがより好ましい。
LDPEの市販品の例としては、UBEポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製)等が挙げられる。
[LLDPE]
LLDPEは、典型的には、中低圧化でエチレンを主成分とし、α-オレフィンを10モル%未満の共重合成分として共重合させて得られるエチレン系共重合体である。α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。
LLDPEの数平均分子量は、概ね10,000以上、1,000,000以下であることが好ましく、概ね50,000以上、500,000以下であることがより好ましい。LLDPEの数平均分子量を概ね10,000以上とすることで、これを含有する樹脂組成物のフィルムへの成形性が向上する。一方、LLDPEの数平均分子量を概ね1,000,000以下とすることで、これを含有する樹脂組成物の押出形成性が向上する。
JIS K7112に基づくLLDPEの密度は、0.880g/cm3以上、0.940g/cm3以下であることが好ましく、0.880g/cm3以上、0.935g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくLLDPEのMFR(190℃)は、1g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、3g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくLLDPEのビカット軟化温度は、40℃以上、125℃以下であることが好ましく、70℃以上、115℃以下であることがより好ましく、90℃以上、110℃以下であることがさらに好ましい。また、LLDPEの融点は、55℃以上、130℃以下であることが好ましく、60℃以上、125℃以下であることがより好ましい。
LLDPEの市販品の例としては、ユメリット(登録商標、宇部丸善ポリエチレン株式会社製)等が挙げられる。
[EVA]
JIS K7192:1999に基づくEVAの酢酸ビニル含有量は、30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。
JIS K7112:1999に基づくEVAの密度は、0.91g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.92g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくEVAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、6g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、7g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくEVAのビカット軟化温度は、60℃以上、80℃以下であることが好ましく、65℃以上、75℃以下であることがより好ましい。また、EVAの融点は、85℃以上、105℃以下であることが好ましく、90℃以上、100℃以下であることがより好ましい。
[EMMA]
EMMAのメタクリル酸メチル含有量は、20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
JIS K7112に基づくEMMAの密度は、0.91g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.92g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210-1に基づくEMMAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、1g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、1.5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206に基づくEMMAのビカット軟化温度は、70℃以上、95℃以下であることが好ましく、75℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、JIS K7121に基づくEMMAの融点は、75℃以上、115℃以下であることが好ましく、80℃以上、110℃以下であることがより好ましい。
[EMAA]
JIS K7112:1999に基づくEMAAの密度は、0.92g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.93g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくEMAAのMFR(190℃、荷重2.16kg)は、0.5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくEMAAのビカット軟化温度は、60℃以上、100℃以下であることが好ましく、70℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、JIS K7121に基づくEMAAの融点は、75℃以上、115℃以下であることが好ましく、80℃以上、110℃以下であることがより好ましい。
[アイオノマー樹脂]
アイオノマー樹脂は、エチレン-アクリル酸共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体中のカルボン酸基の少なくとも一部を、金属イオンで架橋することで得られる。
JIS K7112:1999に基づくアイオノマー樹脂の密度は、0.92g/cm3以上、0.99g/cm3以下であることが好ましく、0.93g/cm3以上、0.98g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K7210:1999に基づくアイオノマー樹脂のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、0.5g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、0.6g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、0.7g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K7206:1999に基づくアイオノマー樹脂のビカット軟化温度は、50℃以上、95℃以下であることが好ましく、55℃以上、90℃以下であることがより好ましい。また、アイオノマー樹脂の融点は、80℃以上、110℃以下であることが好ましく、85℃以上、105℃以下であることがより好ましい。
[プロピレン系樹脂]
プロピレン系樹脂としては、プロピレンを主成分として、α-オレフィンを共重合成分とするプロピレン系2元共重合体、または、プロピレン系3元共重合体が好ましく、プロピレン系3元ランダム共重合体が特に好ましい。α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。共重合成分であるα-オレフィンの比率は1~10モル%であるのが好ましい。また、プロピレン系樹脂は、異なるプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体の混合物であってもよい。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂の密度は、0.88g/cm3以上、0.92g/cm3以下であることが好ましく、0.89g/cm3以上、0.91g/cm3以下であることがより好ましい。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂のMFR(230℃)は、4g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましく、5g/10分以上、18g/10分以下であることがより好ましく、6g/10分以上、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
JIS K6921-2に基づくプロピレン系樹脂の荷重たわみ温度(0.45MPa)は、45℃以上、100℃以下であることが好ましく、55℃以上、90℃以下であることがより好ましく、60℃以上、80℃以下であることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂の融点は、110℃以上、170℃以下であることが好ましく、120℃以上、160℃以下であることがより好ましく、130℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
プロピレン系樹脂の市販品の例としては、サンアロマー(サンアロマー株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、第1の熱可塑性樹脂を30重量%以上、80重量%以下含有することが好ましく、35重量%以上、75重量%以下含有することがより好ましく、40重量%以上、70重量%以下含有することがさらに好ましい。なお、樹脂組成物が隣接層6に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂を2種類以上含有する場合は、樹脂組成物は、いずれかの熱可塑性樹脂を上記範囲となるように含有することが好ましい。
<1-2.高分子型帯電防止剤>
高分子型帯電防止剤は、帯電防止層3の表面固有抵抗値を調整することで、帯電防止フィルム1の帯電を抑制するとともに、直接放電を防止する機能を付与する。高分子型帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド(PEEA)、親水性オレフィンブロック共重合体等がある。帯電防止層3を構成する樹脂は、これらのいずれかを含有することができる。
[PEEA]
PEEAは、帯電防止性を主として付与するポリエーテルのソフトセグメントと、樹脂組成物への分散性や強度を主として付与するポリアミドのハードセグメントとを含む重合体である。PEEAは、例えば、主鎖中にエーテル基を有するポリジオール成分にジカルボン酸成分を反応させて末端エステルに代え、これにアミノカルボン酸またはラクタムを反応させることで製造することができる。
ASTM D 1238に基づくPEEAのMFR(215℃、荷重2.16kg)は、20g/10分以上、40g/10分以下であることが好ましい。また、PEEAの融点は、170℃以上、210℃以下であることが好ましく、180℃以上、200℃以下であることがより好ましい。
PEEAの市販品の例としては、TPAE(富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。
[親水性オレフィンブロック共重合体]
親水性オレフィンブロック共重合体は、親水性ポリオレフィンを含有することにより高い除電性を有する。親水性ポリオレフィンは、典型的には、ポリエチレン鎖またはポリプロピレン鎖とポリオキシアルキレン基とがブロック結合した共重合体である。ブロック結合は、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレタン基等によって行うことができるが、他の樹脂との相溶性の観点からは、ブロック結合はエステル基またはエーテル基によって行われることが好ましい。
ASTM D 1238に基づく親水性オレフィンブロック共重合体のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、8g/10分以上が好ましく、10g/10分以上がより好ましい。また、親水性オレフィンブロック共重合体の融点は、115℃以上、165℃以下であることが好ましく、130℃以上、160℃以下であることがより好ましい。
親水性オレフィンブロック共重合体(ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体)の市販品の例としては、ペレクトロン(三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、上記高分子型帯電防止剤のうち1種類を、20重量%以上、40重量%以下含有することが好ましく、25重量%以上、35重量%以下含有することがより好ましく、27重量%以上、33重量%以下含有することがさらに好ましい。1種類の高分子型帯電防止剤の含有割合を上記下限以上とすることで、帯電防止層3に十分な帯電防止機能を付与することができる。一方、1種類の高分子型帯電防止剤の含有割合を上記上限以下とすることで、高分子型帯電防止剤の凝集による帯電防止フィルム1の外観の悪化や、表面固有抵抗値の位置によるばらつきを抑制することができる。
<1-3.熱可塑性エラストマー>
熱可塑性エラストマーは、樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の分散性を向上させ、高分子型帯電防止剤が帯電防止層3において導電回路を形成することを促進する。これにより、帯電防止層3の表面固有抵抗値の位置によるばらつきが抑制され、帯電防止層3の外観が良好となる。なお、帯電防止層3の外観不良とは、例えば、筋状の不透明な痕や、白濁して見える曇りが現れる等、帯電防止フィルム1の透明性を阻害する不良であり、樹脂組成物中の成分が偏ることにより発生すると考えられる。
帯電防止フィルム1の透明性は、以下のような理由で求められている。例えば、加工装置にて画像処理や光源を使用した半導体ウェハの位置合わせを行う場合に、半導体加工用テープの外観不良があると、加工装置の適切な制御を妨げてしまうことがある。また、ダイシング工程には、レーザーを用いた方法があり、半導体ウェハに貼付されたダイシング用テープ越しに半導体ウェハにレーザーが照射される。このような場合、半導体加工用テープに外観不良があると、レーザーのダイシング用テープの透過量にムラが生じる等して、ダイシングが良好に実行できないことがある。
熱可塑性エラストマーとしては、水添スチレン系エラストマー及びその変性物が好ましい。
[水添スチレン系エラストマー]
水添スチレン系エラストマーは、スチレン系単量体とジエン系単量体との共重合体に存在する、ジエン系単量体に由来する二重結合に、ニッケル触媒等の公知の方法により、水素添加を施したものである。二重結合を飽和させると、耐熱性、耐薬品性及び耐久性が向上し、安定した樹脂が得られる。水添スチレン系エラストマーは、ランダム共重合体であってもよいし、SBS、及びSEBS等のブロック共重合体であってもよい。
スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。スチレン系単量体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
ジエン系単量体としては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられ、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、中でも1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。ジエン系単量体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
水添スチレン系エラストマーの水添率は、スチレン系エラストマーにおけるジエン系単量体に由来する二重結合の85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
水添スチレン系エラストマーにおけるスチレン系単量体の含有割合は、35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましい。
水添スチレン系エラストマーにおけるジエン系単量体の含有割合は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。ジエン系単量体の含有割合が大きくなると、水添スチレン系エラストマーのSP値(溶解度パラメータ)が高分子型帯電防止剤や帯電防止層3に使用される他の熱可塑性樹脂のSP値と近くなり、これらとの相溶性が向上する。これにより、帯電防止フィルム1の外観品質が向上し、表面固有抵抗値のばらつきが抑制される。また、帯電防止層3を構成する樹脂組成物と、隣接層6を構成する樹脂組成物とが、同じ種類の熱可塑性樹脂を含有する場合は、帯電防止層3と隣接する隣接層6との間で共押出時のムラが生じにくくなり、さらなる外観品質の向上が期待される。
ISO 1183に基づく水添スチレン系エラストマーの密度は、0.85g/cm3以上、0.95g/cm3以下であることが好ましく、0.86g/cm3以上、0.94g/cm3以下であることがより好ましく、0.87g/cm3以上、0.93g/cm3以下であることがさらに好ましい。
ISO 7619に基づく水添スチレン系エラストマーの硬度(デュロメータータイプA)は、40以上、90以下であることが好ましく、45以上、80以下であることがより好ましく、50以上、75以下であることがさらに好ましい。
ISO 1133に基づく水添スチレン系エラストマーのMFR(230℃、荷重2.16kg)は、14g/10分未満であることが好ましい。水添スチレン系エラストマーのMFRが14g/10分以上であると、第1熱可塑性樹脂と高分子型帯電防止剤との相溶化効果が十分に発揮されず、表面固有抵抗値のばらつきが大きくなる。
水添スチレン系エラストマーには、これを不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体で変性した変性物も含まれてよい。不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体は、1分子内にエチレン性不飽和結合とカルボキシル基、酸無水物基または誘導体基とを有する化合物である。不飽和カルボン酸類の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2,3-ジカルボン酸、メチル-エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸;これらの不飽和カルボン酸の無水物;不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、および不飽和カルボン酸イミドの誘導体などがあげられる。より具体的には、塩化マレニル、マレイミド、N-フェニルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸が好ましく、マレイン酸及び無水マレイン酸がより好ましい。このような不飽和カルボン酸、無水物及びその誘導体は1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
水添スチレン系エラストマーの市販品の例としては、タフテック(登録商標、旭化成株式会社製)等が挙げられる。
帯電防止層3を構成する樹脂組成物は、その全体100重量%に対し、上記熱可塑性エラストマーを、5重量%以上、40重量%以下含有することが好ましく、10重量%以上、35重量%以下含有することがより好ましく、15重量%以上、33重量%以下含有することがさらに好ましい。上記熱可塑性エラストマーの含有割合を上記下限以上とすることで、十分な相溶化効果を発揮することができる。一方、上記熱可塑性エラストマーの含有割合を上記上限以下とすることで、相溶化の促進が過剰となり、高分子型帯電防止剤による導電回路の形成が阻害されることが回避される。
帯電防止層3の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、3μm以上、15μm以下であることがより好ましく、4μm以上、12μm以下であることがさらに好ましい。帯電防止層3の厚みを上記下限以上とすることで、十分な帯電防止機能が付与される一方、帯電防止層3の厚みを上記上限以下とすることで、コストを抑制することができる。
<2.基体層>
基体層2は、熱可塑性樹脂を主成分として含有する層であり、後述する常温エキスパンド性及び均一エキスパンド性に対して支配的な層である。基体層2は、1つの層を有してもよいし、それ自体が異なる樹脂組成物から構成される2つ以上の層を有する積層体であってもよい。本実施形態に係る基体層2は、1つのコア層4と、2つの中間層5,5と、2つの隣接層6,6とを有する。2つの隣接層6,6は、基体層2の第1面21及び第2面22をそれぞれ構成する。2つの中間層5,5は、それぞれコア層4と隣接層6との間に積層され、コア層4の両面に隣接するとともに、1つの隣接層6とも隣接する。このように、基体層2が、コア層4を中心として対称な構造を有する場合は、カールの発生が抑制される。
基体層2の厚みは、40μm以上、200μm以下であることが好ましく、45μm以上、190μm以下であることがより好ましく、50μm以上、180μm以下であることがさらに好ましい。
<2-1.隣接層>
隣接層6,6は、少なくとも一方に帯電防止層3が積層される層である。以下、1つの隣接層6を例に説明する。隣接層6は、熱可塑性樹脂を含有し、その中には、帯電防止層3を構成する樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂が含まれることが好ましい。本実施形態の隣接層6は、1種類の熱可塑性樹脂から構成される。この熱可塑性樹脂は、帯電防止層3を構成する第1の熱可塑性樹脂と同じ種類の熱可塑性樹脂であることが好ましく、帯電防止層3の項で説明したエチレン系樹脂またはプロピレン系樹脂を用いることができる。中でも、LDPEが好ましい。このように、帯電防止層3と、隣接層6とで同じ熱可塑性樹脂を用いることにより、これらの層を構成する樹脂組成物を共押出する際の流速のムラが抑制され、帯電防止フィルム1の外観に好ましくない影響を与えにくくなる。また、層間の相溶性が向上することにより、層間の接着強度が向上する。
隣接層6の厚みは、5μm以上、40μm以下であることが好ましく、8μm以上、35μm以下であることがより好ましく、10μm以上、30μm以下であることがさらに好ましい。
<2-2.中間層>
本実施形態の中間層5,5は、コア層4と隣接層6,6との結合を強化するための接着層として構成される。以下、1つの中間層5を例に説明する。中間層5は、帯電防止層3の項で説明したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及び後述する非晶性オレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物から構成することができ、樹脂組成物は、これらの中から異なる2種類以上を含有してもよい。中でも、上述したLDPEと、LLDPEとが混合された樹脂組成物が好ましい。中間層5に用いるLDPE及びLLDPEは、それぞれ、隣接層6に用いられるLDPE及びLLDPEと同じ品であってもよいし、異なっていてもよい。
中間層5の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、3μm以上、15μm以下であることがより好ましく、4μm以上、12μm以下であることがさらに好ましい。
<2-3.コア層>
コア層4は、帯電防止フィルム1の中で最も厚みが大きい層である。コア層4は、帯電防止層3の項で説明したエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及び非晶性オレフィン系樹脂の少なくとも1種類を含有する樹脂組成物から構成することができる。
[非晶性オレフィン系樹脂]
非晶性オレフィン系樹脂としては、例えば、所定の触媒を用いてプロピレンを単独重合させた、(軟質ポリプロピレンとも称される)非晶性ポリプロピレンや、所定の触媒を用いて、プロピレン及び1-ブテンの少なくとも一方と、(プロピレン及び1-ブテンを除く)炭素数2~20のα-オレフィンとを共重合させた共重合体が挙げられる。プロピレンまたは1-ブテンの重合比は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが特に好ましく、90重量%以上であることが最も好ましい。
プロピレン及び1-ブテンを除く炭素数2~20のα-オレフィンとしては、エチレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種類が用いられてもよいし、2種類以上が用いられてもよい。
上記非晶性オレフィン系樹脂としては、例えば、プロプレン・1-ブテン共重合、プロピレン・エチレン共重合体、1-ブテン・エチレン共重合体、プロプレン・1-ブテン・エチレン共重合体等が好ましい。各モノマー単位は、ランダムに配列され、結晶性が低いことが好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の数平均分子量は、概ね1,000以上、100,000以下であることが好ましく、1,200以上、50,000以下であることがより好ましく、1,500以上、30,000以下であることがより好ましく、2,000以上、25,000以下であることがさらに好ましく、2,000以上、20,000以下であることが特に好ましく、2,000以上、15,000以下であることが最も好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-80℃以上、0℃以下であることが好ましく、-70℃以上、-5℃以下であることがより好ましく、-60℃以上、-10℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温温度10℃/分で測定することができる。非晶性オレフィン系樹脂のガラス転移温度が上記範囲内であることにより、帯電防止フィルム1を含む半導体加工用テープは、低温条件下でエキスパンドを実施する場合でも均一に伸長することができ、半導体ウェハ等の切断対象物とダイボンド層とが一括して良好に切断される。
非晶性オレフィン系樹脂の結晶融解熱は、帯電防止フィルム1の柔軟性及び加工性を向上させる観点から、50J/g以下であることが好ましく、40J/g以下であることがより好ましく、30J/g以下であることがさらに好ましく、25J/g以下であることが特に好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の固有粘度[η]は、概ね0.1dl/g以上、1.0dl/g以下であることが好ましく、0.2dl/g以上、0.9dl/g以下であることがより好ましく、0.25dl/g以上、0.7dl/g以下であることがさらに好ましく、0.3dl/g以上、0.6dl/g以下であることが特に好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の溶融粘度(190℃)は、概ね200mPa・s以上、30,000mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以上、28,000mPa・s以下であることがより好ましく、1,000mPa・s以上、25,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、5,000mPa・s以上、10,000mPa・s以下であることが特に好ましい。
特に、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7112に基づく密度は、0.86g/cm3以上、0.92g/cm3以下であることが好ましく、0.87g/cm3以上、0.91g/cm3以下であることがより好ましく、0.88g/cm3以上、0.9g/cm3以下であることがさらに好ましい。
また、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7210に基づくMFR(230℃)は、1g/10分以上、15g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上、12g/10分以下であることがより好ましい。
また、非晶性オレフィン系樹脂として非晶性ポリプロピレンを用いる場合、非晶性ポリプロピレンのJIS K7191に基づく荷重たわみ温度(0.46MPa)は、35℃以上、65℃以下であることが好ましく、40℃以上、60℃以下であることがより好ましく、45℃以上、55℃以下であることがさらに好ましい。
非晶性オレフィン系樹脂の市販品の例としては、タフセレン(住友化学株式会社製)、タフマー(登録商標、三井化学株式会社製)、ペリコンCAP(大日精化工業株式会社製)等が挙げられる。
コア層4の厚みは、30μm以上、160μm以下であることが好ましく、40μm以上、150μm以下であることがより好ましく、50μm以上、140μm以下であることがさらに好ましい。
<3.その他の成分>
その他、コア層4、中間層5,5、隣接層6,6及び帯電防止層を構成する樹脂組成物の少なくとも1つには、本発明の効果を阻害しない範囲において、高分子型帯電防止剤以外の帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤、フィラー等の添加剤が添加されてもよい。
<4.表面固有抵抗値のばらつき>
帯電防止層3の表面において、長手方向に沿って1m間隔で200か所の表面固有抵抗値(Ω/□)をJIS K6911:1995に準拠して測定した場合、その対数値(Log10(Ω/□))の最大値と最小値との差は、1.3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
<5.常温エキスパンド性>
帯電防止フィルム1の常温エキスパンド性は、引張伸度(%)で評価することができる。帯電防止フィルム1のMD方向及びTD方向について、15mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを、引張速度200mm/分で引張して測定される引張伸度は、MD方向及びTD方向ともに100%以上となることが好ましい。引張伸度が100%未満であると、半導体ウェハ等の加工工程において、エキスパンド時の破れやシワの原因となるからである。なお、MD方向は、帯電防止フィルム1の押出方向であり、長手方向でもある。TD方向は、MD方向に直交する方向である。
<6.均一エキスパンド性>
帯電防止フィルム1の均一エキスパンド性は、25%モジュラス比(MD/TD)で評価することができる。帯電防止フィルム1のMD方向及びTD方向について、15mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを引張速度200mm/分で引張し、応力―ひずみ曲線(SSカーブ)を得る。得られたSSカーブの、引張伸度25%におけるMD方向の応力値と、引張伸度25%におけるTD方向の応力値との比を算出し、モジュラス比(MD/TD)とする。モジュラス比(MD/TD)が1.5未満であれば、半導体加工用テープの均一なエキスパンドにより、個片化された半導体チップ同士の間(カーフ幅)が均一となり、半導体チップが斜めになったりせず、ピックアップ性が良好となるため、好ましい。一方、モジュラス比(MD/TD)が1.5以上であると、カーフ幅が不均一となり、半導体チップがずれたり、半導体チップ同士の衝突、及びこれによる損傷等を発生するおそれがある。
<7.製造方法>
帯電防止フィルム1を製造する方法は特に限定されないが、共押出法により帯電防止層3、コア層4、中間層5,5、及び隣接層6,6を同時に成形する方法が好ましい。上記共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、または、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、帯電防止フィルム1の各層を構成する樹脂組成物の原料をそれぞれ押出機に投入し、帯電防止層3/隣接層6/中間層5/コア層4/中間層5/隣接層6の順に積層されるように、ダイスによりシート状に押出し、30℃~70℃の引き取りロールにて冷却固化した後、実質的に無延伸で引き取る。無延伸のまま引き取りを行うことで、半導体装置の加工工程にて半導体加工用テープの拡張を効果的に行うことができる。
なお、「実質的に無延伸」とは、引き取りの際にたるみが生じない程度に引張することや、半導体加工用テープの拡張に悪影響を及ぼさない程度の延伸を排除するものではない。
<8.帯電防止フィルムの適用例>
帯電防止フィルム1は、例えばバックグラインド用、テープダイシング用テープ、及びステルスダイシング用テープ等を含む半導体加工用テープに適用することができる。
<9.帯電防止フィルムの他の態様>
帯電防止フィルム1の層構成は、上記実施形態のものに限られない。例えば、帯電防止層3は、両側の隣接層6,6に隣接して、2つ積層されてもよい。また、基体層2は、コア層4を挟んで対照的な層構成でなくてもよく、コア層4を挟んだ層の構成を変更してもよい。また、基体層2のうち、隣接層6,6の一方や、中間層5,5の少なくとも一方、及びコア層4のうち少なくとも1つは、省略されてもよい。また、帯電防止フィルム1を半導体加工用テープ等へ適用する場合も、上記実施形態に限られず、適宜変更することができる。
<10.特徴>
帯電防止層3は、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性樹脂と、熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂組成物から構成される。熱可塑性エラストマーは、樹脂組成物において高分子型帯電防止剤と熱可塑性樹脂の相溶化剤として機能するため、高分子型帯電防止剤の凝集が抑制され、導電回路が帯電防止層3に広く形成され、帯電防止フィルム1において距離が離れた位置間でも表面固有抵抗値のばらつきが抑制される。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の準備>
以下の通り、実施例1~7及び比較例1~3に係る帯電防止フィルムを作製した。実施例1,2,5~7及び比較例1~3に係る帯電防止フィルムは、図1に示すように、隣接層/中間層/コア層/中間層/隣接層/帯電防止層がこの順に積層された、4種6層構成とした。また、実施例3及び4に係る帯電防止フィルムでは、中間層を省略し、隣接層/コア層/隣接層/帯電防止層がこの順に積層された、3種4層構成とした。用いた原料の組成、物性等を表1に示す。高分子型帯電防止剤は、ペレクトロンUC(三洋化成工業株式会社製)である。PE-3はVA含有量10重量%のEVAである。
表1に示す原料を、以下の表2に示す割合で混合することで、実施例1~7及び比較例1~3に係る帯電防止層及び基体層を構成する原料組成物を得た。これらの原料組成物をそれぞれの押出機に供給し、180℃~240℃で帯電防止層及び基体層が積層されたフィルム状に多層Tダイから共押出し、これを30℃~70℃の冷却ロールに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取り、実施例1~7及び比較例1~3に係る帯電防止フィルムを作製した。実施例1~4及び比較例1~3では帯電防止層の厚みを5μm、基体層の厚みを145μm、全体の厚みを150μmとし、実施例5では帯電防止層の厚みを15μm、基体層の厚みを135μm、全体の厚みを150μmとし、実施例6では帯電防止層の厚みを3μm、基体層の厚みを147μm、全体の厚みを150μmとし、実施例7では帯電防止層の厚みを5μm、基体層の厚みを65μm、全体の厚みを70μmとした。
<2.評価>
上記実施例1~7及び比較例1~3に係る帯電防止フィルムについて、以下の評価を行った。
<2-1.常温エキスパンド性>
各帯電防止フィルムのMD方向及びTD方向について、15mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを作製した。各フィルムサンプルを、引張試験機にて引張速度200mm/分で引張し、MD方向及びTD方向の引張伸度(%)を測定し、常温エキスパンド性を以下の基準に従って評価した。
A:MD方向及びTD方向ともに引張伸度が100%以上であり、常温エキスパンド性が良好である
B:MD方向及びTD方向の少なくとも一方で引張伸度が100%未満であり、常温エキスパンド性が不良である
<2-2.均一エキスパンド性>
各帯電防止フィルムのMD方向及びTD方向について、15mm幅でチャック間距離が40mmになるように加工したフィルムサンプルを作製した。各フィルムサンプルを、引張試験機にて引張速度200mm/分で引張し、応力―ひずみ曲線(SSカーブ)を得た。得られたSSカーブの、引張伸度25%におけるMD方向の応力値と、引張伸度25%におけるTD方向の応力値との比を算出し、モジュラス比(MD/TD)とした。このモジュラス比(MD/TD)に基づき、均一エキスパンド性を以下の基準に従って評価した。
A:モジュラス比(MD/TD)が1.5未満であり、エキスパンド性が良好である
B:モジュラス比(MD/TD)が1.5以上であり、エキスパンド性が不良である
<2-3.表面固有抵抗値のばらつき>
JIS K6911(1995)に準拠した。各帯電防止フィルム(原反)を21℃~25℃、45%~55%RH雰囲気下で12~24時間静置した後、同環境下で各帯電防止フィルムに電圧500Vを印加した。各帯電防止フィルムには、長手方向に200m離れた2本のラインを設定し、このライン間において、長手方向に沿って1m間隔の200か所を測定箇所と定めた。電圧の印加開始から10秒後、ハイレスタUP MCP-450型(株式会社ダイアインスツルメンツ社製)により、各測定箇所の表面固有抵抗(Ω/□)を測定した。各帯電防止フィルムについて、表面固有抵抗(Ω/□)の測定値の対数値(Log10(Ω/□))の最大値と最小値を特定し、その差を当該帯電防止フィルムの表面固有抵抗値(Ω/□)のばらつきとした。評価基準は以下の通りとした。
A:最大値と最小値との差が1.3以下であり、ばらつきが十分に抑制できている
B:最大値と最小値との差が1.3を超え、ばらつきが大きい
<3.評価結果>
評価結果を表3に示す。
以上の結果によると、実施例1~7は、常温エキスパンド性及び均一エキスパンド性が良好であるのに加え、比較例1~3と比較して、表面固有抵抗値のばらつきが十分に抑制できていることが確認された。実施例1~7では、帯電防止層を構成する樹脂組成物が水添スチレン系エラストマーを含有することにより、樹脂組成物中の高分子型帯電防止剤の分散性が向上し、導電回路の形成が促進されたためと考えられる。加えて、水添スチレン系エラストマー自体の導電性が寄与したためと考えられる。実施例3,4の結果からは、基体層における中間層を省略したり、基体層及び帯電防止層を構成する樹脂組成物の主成分を変更したりしても、常温エキスパンド性及び均一エキスパンド性の良好性は劣らず、表面固有抵抗値のばらつきも良好に抑制できることが確認された。実施例5,6の結果からは、帯電防止層の厚みをある程度変更しても、表面固有抵抗値のばらつきが抑制できることが確認された。実施例7の結果からは、基材層の厚みを薄くしても、常温エキスパンド性及び均一エキスパンド性が十分であることが確認された。
1 帯電防止フィルム
2 基体層
3 帯電防止層
4 コア層
5 中間層
6 隣接層
21 第1面
22 第2面

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂と、1種類の高分子型帯電防止剤と、熱可塑性エラストマーとを少なくとも含有する樹脂組成物から構成される帯電防止層
    を備え、
    前記帯電防止層の表面において、所定の方向に沿って1m間隔で200か所測定した表面固有抵抗値(Ω/□)の対数値の最大値と最小値との差は、1.3以下である、
    帯電防止フィルム。
  2. 前記熱可塑性エラストマーは、水添スチレン系エラストマーである、
    請求項1に記載の帯電防止フィルム。
  3. 前記帯電防止層を構成する樹脂組成物は、前記高分子型帯電防止剤を20重量%以上、40重量%以下含有する、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  4. 前記帯電防止層を構成する樹脂組成物は、前記熱可塑性エラストマーを5重量%以上、40重量%以下含有する、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  5. 前記熱可塑性エラストマーの230℃におけるメルトフローレートは、14g/10分未満である、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
  6. 前記帯電防止層の厚みは、2μm以上、20μm以下である、
    請求項1または2に記載の帯電防止フィルム。
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