JP2024057677A - レンズ装置、およびそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広画角で高い光学性能を維持しながら、反射部材において反射する撮像面ゴーストを低減可能なレンズ装置を提供する。【解決手段】レンズ装置100は、2つの光学系101,102を有する。2つの光学系のそれぞれは、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、第1反射部材LR、正の屈折力の第2レンズ群L2からなる。第1反射部材は、像側の射出面LRS2に曲率を有する。第1反射部材の焦点距離fR、2つの光学系のそれぞれの焦点距離fは、所定の条件式を満足する。【選択図】図1
Description
本発明は、レンズ装置に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等に好適なものである。
近年、バーチャルリアリティー等の臨場感のある映像を撮影するための撮像装置が求められている。特に、高い臨場感を得るため、視野を覆うような360°の全周映像や、180°程度の画角を有し立体映像を撮影する、2つの光学系が並列に配置されている撮像装置が提案されている。
特許文献1には、光路を折り曲げることで2つの広角レンズのイメージサークルを1枚の撮像素子内に収め、立体映像撮影可能なレンズ装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載のレンズ装置においては、2つの光学系の像を一枚の撮像センサに結像させるため、プリズムのような反射部材が必要であり、光が撮像面近傍の平板とプリズムの射出面で反射することで、撮像面ゴーストが発生しやすい。この撮像面ゴーストを回避するためには、反射部材の前後のレンズ群の焦点距離や間隔を調整する必要がある。しかし、2つの光学系を並列に配置するためのレンズ径の制約や、立体視に有効な基線長を設定するための制約があり、これらレンズ群の焦点距離や間隔の調整には制限がある。そのため、これらの制約を満たした上で、光学性能を維持しながらゴーストを回避することは困難である。
本発明は、広画角で高い光学性能を維持しながら、反射部材において反射する撮像面ゴーストを低減可能なレンズ装置を提供する。
本発明の一側面としてのレンズ装置は、2つの光学系を有し、前記2つの光学系のそれぞれは、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第1反射部材、正の屈折力の第2レンズ群からなり、前記第1反射部材は、像側の射出面に曲率を有し、前記第1反射部材の焦点距離をfR、前記2つの光学系のそれぞれの焦点距離をfとするとき、
23.3<fR/f<80.0
なる条件式を満足することを特徴とする。
23.3<fR/f<80.0
なる条件式を満足することを特徴とする。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、広画角で高い光学性能を維持しながら、反射部材において反射する撮像面ゴーストを低減可能な光学系及びそれを有する撮像装置を提供することができる。
以下、各実施例に係るレンズ装置について、添付の図面に基づいて説明する。各実施例では、立体視可能な画像を取得するため2つの光学系が撮像素子に対して並列に配置されている。
図7は、2つの光学系を備えたレンズ装置100の要部断面図である。図7に示すように、各実施例のレンズ装置100は、2つの光学系101,102を有し、2つの光学系101,102は撮像素子200に対して並列に配置されている。図8は、光学系101,102に入射した光線を反射プリズムで折り曲げ、1つの撮像素子200内に2つの光学系101,102のイメージサークル201,202を結像させた状態を示した図である。図8に示すように、1つの撮像素子200上に2つの光学系のイメージサークル201,202が横並びに配置される。撮像素子200の像面には、光学系101、102によって像(光学像)が形成される。すなわち、本実施例のレンズ装置100において、2つの光学系による2つの光学像は1つの撮像素子200上に形成される。2つの光学系101,102は不図示の筐体によって保持されている。各実施例において光学系101,102は、後に述べる反射部材の反射方向を除いて同一であるため、以降の説明では代表として光学系101について述べる。以下、本願明細書において光学系101,102が同一であるという場合、反射部材の反射方向を除いてレンズ構成等が同一であることを意味する。
各実施例のレンズ装置100は、パノラマ撮影といった広画角の被写体を立体視可能な撮影画像として取得可能な撮像装置に用いられるレンズ装置である。
図1、図3、図5はそれぞれ、実施例1、2、3の光学系101の断面図である。各実施例の光学系101は、後述するが、反射部材としての反射プリズムを有している。各実施例において、反射部材は単なるミラーであっても良い。
図2、図4、図6はそれぞれ、実施例1、2、3の光学系101の無限遠合焦時の収差図である。
各レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。各実施例の光学系101は複数のレンズ群を有して構成されている。レンズ群は1枚のレンズから構成されていても良いし、複数のレンズから成っていても良い。また、レンズ群は開口絞りを含んでいても良い。
各レンズ断面図において、Liは物体側から数えてi番目(iは自然数)のレンズ群を表している。SPは開口絞りである。IPは像面である。像面IPは、各実施例の光学系101をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系101を銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。各実施例の光学系101には、図示していないが像面IPの物体側に、光学フィルター、フェースプレート、ローパスフィルター、赤外カットフィルターなどに相当する光学ブロックが配置されてもよい。LR、LR1は、ともに反射部材である。
球面収差図においてFnoはFナンバーであり、d線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてΔSはサジタル像面における非点収差量、ΔMはメリディオナル像面における非点収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)である。
撮影画像をヘッドマウントディスプレイ等で観察する際、臨場感ある立体映像を体感するためには、撮影時の2つの光学系の入射側の光軸間の距離(基線長)を人間の目の間隔と同程度にするのが良い。一般に、人間の目の間隔は60~65mm程度である。人間の目の間隔とのズレが大きくなるほど、人間の体感、経験に基づく立体感覚からのズレが大きくなり、違和感を生じてしまう。基線長が短すぎると、左右の光学系で視差がつかず、撮影画像を観察する際、立体感を得られない。逆に基線長が長すぎると、視差がつきすぎて、撮影画像を観察する際、立体感が強調され、観察者に疲労を感じさせる可能性が高くなる。
次に、各実施例の光学系101における特徴的な構成について述べる。
各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、反射部材(第1反射部材)LR、正の屈折力の第2レンズ群L2からなる。反射部材LRは、像側の射出面LRS2に曲率を有している。これにより、反射部材LRの像側の射出面LRS2で反射するゴースト光の像面IPにおけるスポット径を広げ、照度を低減することが可能になる。また、射出面LRS2に曲率をつけることで、反射部材LRの設計自由度が上がり、光学性能を維持したままゴーストを回避することが可能になる。さらに、射出面LRS2に曲率をつけることで、第2レンズ群L2にレンズを追加するよりも省スペース化が可能になる。
さらに、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、以下の条件式(1)を満足する。ここで、反射部材LRの焦点距離をfR、光学系101の焦点距離をfとする。
23.3<fR/f<80.0 ・・・(1)
条件式(1)は、反射部材LRの焦点距離fRと光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(1)の下限値を下回って、焦点距離fRが短くなると、反射部材LRの屈折力が大きくなり、コマ収差や像面湾曲の補正が困難になる。一方、条件式(1)の上限値を上回って、焦点距離fRが長くなると、ゴーストの回避が困難になる。
条件式(1)は、反射部材LRの焦点距離fRと光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(1)の下限値を下回って、焦点距離fRが短くなると、反射部材LRの屈折力が大きくなり、コマ収差や像面湾曲の補正が困難になる。一方、条件式(1)の上限値を上回って、焦点距離fRが長くなると、ゴーストの回避が困難になる。
条件式(1)の数値範囲は、以下の条件式(1a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(1b)の範囲とすることがさらに好ましい。
25.5<fR/f<70.4 ・・・(1a)
27.8<fR/f<60.8 ・・・(1b)
以上の構成により、広画角で高い光学性能を維持しながら、反射部材LRにおいて反射する撮像面ゴーストを低減可能なレンズ装置100を提供することができる。
27.8<fR/f<60.8 ・・・(1b)
以上の構成により、広画角で高い光学性能を維持しながら、反射部材LRにおいて反射する撮像面ゴーストを低減可能なレンズ装置100を提供することができる。
次に、各実施例のレンズ装置100が満足することが好ましい条件および構成について述べる。以下に述べる好ましい条件および構成は、2つの光学系101,102のうち少なくとも一方が満たしていれば良い。より好ましくは、2つの光学系101,102を同一の構成とするなどして、2つの光学系101,102の両方で以下に述べる好ましい条件および構成を満足していると良い。
各実施例のレンズ装置100において、各実施例の光学系101は、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。ここで、反射部材LRの像側の射出面LRS2から像面IPまでの光軸上の距離をd2、第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。
0.5<d2/f2<1.8 ・・・(2)
条件式(2)は、反射部材LRの像側の射出面LRS2から像面IPまでの光軸上の距離d2と第2レンズ群L2の焦点距離f2との比を規定する。条件式(2)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が弱まるため、第2レンズ群L2における軸外光束の高さが高くなり、第2レンズ群L2の径が大きくなる。このため並列に配置される2つの光学系における第2レンズ群L2同士が干渉してしまい好ましくない。条件式(2)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の屈折力が強まるため、第1レンズ群L1から出射して第2レンズ群L2に入射する軸外光束の角度を大きくする必要がある。これにより、第1レンズ群L1の径が大きくなり、並列に配置される2つの光学系において第1レンズ群L1同士が干渉してしまい好ましくない。
条件式(2)は、反射部材LRの像側の射出面LRS2から像面IPまでの光軸上の距離d2と第2レンズ群L2の焦点距離f2との比を規定する。条件式(2)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が弱まるため、第2レンズ群L2における軸外光束の高さが高くなり、第2レンズ群L2の径が大きくなる。このため並列に配置される2つの光学系における第2レンズ群L2同士が干渉してしまい好ましくない。条件式(2)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の屈折力が強まるため、第1レンズ群L1から出射して第2レンズ群L2に入射する軸外光束の角度を大きくする必要がある。これにより、第1レンズ群L1の径が大きくなり、並列に配置される2つの光学系において第1レンズ群L1同士が干渉してしまい好ましくない。
なお、条件式(2)の数値範囲は、以下の条件式(2a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(2b)の範囲とすることがさらに好ましい。
0.6<d2/f2<1.6 ・・・(2a)
0.7<d2/f2<1.3 ・・・(2b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、第2レンズ群L2の焦点距離をf2、光学系101の焦点距離をfとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.7<d2/f2<1.3 ・・・(2b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、第2レンズ群L2の焦点距離をf2、光学系101の焦点距離をfとするとき、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
4.0<f2/f<10.5 ・・・(3)
条件式(3)は、第2レンズ群L2の焦点距離f2と光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(3)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が大きくなりすぎ、第2レンズ群L2内で発生する倍率色収差や非点収差を十分補正することができない。このため、高性能化が困難となり好ましくない。一方、条件式(3)の上限値を下回って、第2レンズ群L2の屈折力が小さくなると、第1レンズ群L1で発生した収差が補正困難となるため好ましくない。
条件式(3)は、第2レンズ群L2の焦点距離f2と光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(3)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が大きくなりすぎ、第2レンズ群L2内で発生する倍率色収差や非点収差を十分補正することができない。このため、高性能化が困難となり好ましくない。一方、条件式(3)の上限値を下回って、第2レンズ群L2の屈折力が小さくなると、第1レンズ群L1で発生した収差が補正困難となるため好ましくない。
なお、条件式(3)の数値範囲は、以下の条件式(3a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(3b)の範囲とすることがさらに好ましい。
4.8<f2/f<9.4 ・・・(3a)
5.5<f2/f<8.3 ・・・(3b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、第1レンズ群L1の焦点距離をf1、光学系101の焦点距離をfとするとき、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
5.5<f2/f<8.3 ・・・(3b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、第1レンズ群L1の焦点距離をf1、光学系101の焦点距離をfとするとき、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
2.6<|f1/f|<8.3 ・・・(4)
条件式(4)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(4)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の屈折力が大きくなり、倍率色収差や非点収差が大きくなる。このため、高性能化が困難となり好ましくない。一方、条件式(4)の上限値を上回って、第1レンズ群L1の屈折力が小さくなると、広画角を維持することが困難になり好ましくない。
条件式(4)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と光学系101の焦点距離fとの比を規定する。条件式(4)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の屈折力が大きくなり、倍率色収差や非点収差が大きくなる。このため、高性能化が困難となり好ましくない。一方、条件式(4)の上限値を上回って、第1レンズ群L1の屈折力が小さくなると、広画角を維持することが困難になり好ましくない。
なお、条件式(4)の数値範囲は、以下の条件式(4a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(4b)の範囲とすることがさらに好ましい。
3.1<|f1/f|<7.5 ・・・(4a)
3.6<|f1/f|<6.6 ・・・(4b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、反射部材LRの射出面LRS2の曲率半径をLRR2、第2レンズ群L2の焦点距離をf2とするとき、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
3.6<|f1/f|<6.6 ・・・(4b)
また、各実施例のレンズ装置100において、光学系101は、反射部材LRの射出面LRS2の曲率半径をLRR2、第2レンズ群L2の焦点距離をf2とするとき、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
-6.5<LRR2/f2<-1.0 ・・・(5)
条件式(5)は、反射部材LRの射出面LRS2の曲率半径LRR2、第2レンズ群L2の焦点距離f2との比を規定する。条件式(5)の下限値を下回って、曲率半径LRR2が小さくなると、反射部材LRの屈折力が大きくなる。このため、コマ収差や像面湾曲の補正が困難になり好ましくない。条件式(5)の上限値を上回って、曲率半径LRR2が大きくなると、ゴースト光束の像面IP上のスポット径を広げることで照度を低減することができず、反射部材LRで反射する撮像面ゴーストの回避が困難になり好ましくない。
条件式(5)は、反射部材LRの射出面LRS2の曲率半径LRR2、第2レンズ群L2の焦点距離f2との比を規定する。条件式(5)の下限値を下回って、曲率半径LRR2が小さくなると、反射部材LRの屈折力が大きくなる。このため、コマ収差や像面湾曲の補正が困難になり好ましくない。条件式(5)の上限値を上回って、曲率半径LRR2が大きくなると、ゴースト光束の像面IP上のスポット径を広げることで照度を低減することができず、反射部材LRで反射する撮像面ゴーストの回避が困難になり好ましくない。
なお、条件式(5)の数値範囲は、以下の条件式(5a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(5b)の範囲とすることがさらに好ましい。
-5.7<LRR2/f2<-1.4 ・・・(5a)
-5.0<LRR2/f2<-1.8 ・・・(5b)
また、各実施例のレンズ装置100において、反射部材LRは、光学系101に含まれる反射部材のなかで、最も像側に配置されていることが好ましい。像面IPから光軸に沿って物体側に離れた位置の平面で反射するゴーストの光路がレンズ有効径外に外れ、像面IPに到達しない可能性が高くなる。撮像面ゴーストの発生確率が高い最も像側の反射部材に曲率をつけることで、ゴーストを回避する効果が高くなる。
-5.0<LRR2/f2<-1.8 ・・・(5b)
また、各実施例のレンズ装置100において、反射部材LRは、光学系101に含まれる反射部材のなかで、最も像側に配置されていることが好ましい。像面IPから光軸に沿って物体側に離れた位置の平面で反射するゴーストの光路がレンズ有効径外に外れ、像面IPに到達しない可能性が高くなる。撮像面ゴーストの発生確率が高い最も像側の反射部材に曲率をつけることで、ゴーストを回避する効果が高くなる。
また、実施例1および2のレンズ装置100において、2つの光学系101,102において最も物体側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDin、最も像側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDoutとする。このとき、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
0.03<Dout/Din<0.50 ・・・(6)
条件式(6)は、2つの光学系101,102を並列に配置し、1つの撮像面に立体映像を結像させるための条件である。条件式(6)の下限値を下回ると、基線長が不足し十分な立体感を得ることができないため好ましくない。一方、条件式(6)の上限値を上回ると、視差が過大となり、この場合も自然な立体映像を撮影することが困難となり好ましくない。
条件式(6)は、2つの光学系101,102を並列に配置し、1つの撮像面に立体映像を結像させるための条件である。条件式(6)の下限値を下回ると、基線長が不足し十分な立体感を得ることができないため好ましくない。一方、条件式(6)の上限値を上回ると、視差が過大となり、この場合も自然な立体映像を撮影することが困難となり好ましくない。
なお、条件式(6)の数値範囲は、以下の条件式(6a)の範囲とすることがより好ましく、以下の条件式(6b)の範囲とすることがさらに好ましい。
0.05<Dout/Din<0.40 ・・・(6a)
0.09<Dout/Din<0.35 ・・・(6b)
次に各実施例のレンズ装置100における光学系101について説明する。
0.09<Dout/Din<0.35 ・・・(6b)
次に各実施例のレンズ装置100における光学系101について説明する。
各実施例において、光学系101は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、反射部材LR、第2レンズ群L2からなる。
実施例1~実施例3の光学系101において、反射部材LRは、像側の射出面LRS2に曲率を有している。実施例1および実施例3においては、射出面LRS2の曲率は、反射部材LRに接合された平凸レンズにより与えられる。実施例2では、反射部材LR自体に曲率を設けている。
実施例1、実施例2の光学系は、2つの反射部材LR、LR1を含み、そのうち最も像側に配置されている反射部材が曲率を有する反射部材LRである。
以下に、実施例1~3にそれぞれ対応する数値実施例1~3を示す。
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例の光学系が無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。「バックフォーカスBF」は、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、光学系の最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。「レンズ群」は、複数のレンズから構成される場合に限らず、1枚のレンズから構成される場合も含むものとする。
(数値実施例1)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 54.739 1.90 1.65160 58.5
2 13.890 6.98
3 21.937 1.05 2.00069 25.5
4 11.042 8.94
5 -15.569 0.85 1.80100 35.0
6 54.556 0.85
7 178.890 9.61 1.91082 35.3
8 -19.778 11.74
9 ∞ 12.62 1.51633 64.1
10 ∞ 2.35
11(絞り) ∞ 2.11
12 38.064 0.50 1.80400 46.5
13 9.974 3.02 1.57501 41.5
14 -24.970 0.15
15 ∞ 12.62 1.51633 64.1
16 -136.894 1.80
17 16.755 5.21 1.49700 81.6
18 -22.479 1.66
19 311.412 0.75 2.00100 29.1
20 8.555 6.65 1.59282 68.6
21 -26.163 13.21
像面 ∞
各種データ
焦点距離 5.18
Fナンバー 2.91
半画角(°) 95.1
像高 8.55
レンズ全長 104.58
BF 13.21
入射瞳位置 13.36
射出瞳位置 -48.67
前側主点位置 18.10
後側主点位置 8.03
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 21.47
LR 15 265.13
L2 17 32.42
2光学系配置条件
Din 60.0
Dout 18.5
(数値実施例2)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 30.643 1.50 1.90043 37.4
2 10.837 8.72
3 106.073 1.00 1.90043 37.4
4 18.419 11.13
5 -30.589 0.99 1.75500 52.3
6 -154.852 6.55
7 ∞ 10.08 1.51633 64.1
8 ∞ 6.75
9 83.841 0.50 1.90043 37.4
10 9.911 1.70 1.70244 27.6
11 -25.263 2.58
12(絞り) ∞ 3.01
13 ∞ 9.17 1.51633 64.1
14 ∞ 0.91 1.51633 64.1
15 -59.949 1.50
16 13.647 4.64 1.49700 81.6
17 -34.764 0.80
18 26.033 0.80 2.00069 25.5
19 7.780 4.25 1.49700 81.6
20 -51.481 18.86
像面 ∞
各種データ
焦点距離 3.86
Fナンバー 3.77
半画角(°) 72.0
像高 4.85
レンズ全長 95.47
BF 18.86
入射瞳位置 11.54
射出瞳位置 -27.98
前側主点位置 15.08
後側主点位置 15.00
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 -22.34
LR 13 116.11
L2 16 27.78
2光学系配置条件
Din 60.0
Dout 11.6
(数値実施例3)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 37.847 1.90 2.00100 29.1
2 13.867 7.85
3 22.800 1.05 1.83481 42.7
4 16.506 6.88
5 -31.987 0.85 1.48749 70.2
6 14.790 24.17
7 51.729 3.84 1.80610 40.7
8 -44.255 10.00
9(絞り) ∞ 4.00
10 15.896 0.50 1.76385 48.5
11 8.879 0.73
12 11.327 2.49 1.48749 70.2
13 97.811 0.40
14 ∞ 11.07 2.00100 29.1
15 ∞ 1.13 1.49700 81.5
16 -122.854 1.80
17 32.601 3.25 1.49700 81.5
18 -14.195 0.20
19 31.648 3.78 1.43875 94.7
20 -14.872 0.30
21 -13.936 0.75 1.91082 35.3
22 12.958 6.09 1.43875 94.7
23 -14.731 13.21
像面 ∞
各種データ
焦点距離 5.17
Fナンバー 2.91
半画角(°) 95.1
像高 8.55
レンズ全長 106.23
BF 13.21
入射瞳位置 13.51
射出瞳位置 -46.71
前側主点位置 18.23
後側主点位置 8.04
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 22.28
LR 14 247.19
L2 17 33.82
2光学系配置条件
Dout 18.5
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。なお、全ての実施例ともd線を基準波長としており、下記の表1に示す値はこの基準波長におけるものである。
[撮像装置]
次に本発明の撮像装置の実施例について述べる。図9は、本実施例の撮像装置(デジタルスチルカメラ)300の概略図である。撮像装置300は、撮像素子310を有するカメラ本体320と、上述した実施例1乃至3のいずれかと同様である光学系101,102を備えるレンズ装置100を備える。レンズ装置100とカメラ本体320は一体に構成されていても良いし、着脱可能に構成されていても良い。カメラ本体320はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。撮像素子310は、光学系101,102によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。なお、図9に1つの光学系しか図示していないのは、奥行方向に2つの光学系が並んで配置されているためである。
次に本発明の撮像装置の実施例について述べる。図9は、本実施例の撮像装置(デジタルスチルカメラ)300の概略図である。撮像装置300は、撮像素子310を有するカメラ本体320と、上述した実施例1乃至3のいずれかと同様である光学系101,102を備えるレンズ装置100を備える。レンズ装置100とカメラ本体320は一体に構成されていても良いし、着脱可能に構成されていても良い。カメラ本体320はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。撮像素子310は、光学系101,102によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。なお、図9に1つの光学系しか図示していないのは、奥行方向に2つの光学系が並んで配置されているためである。
本実施例の撮像装置300は、レンズ装置100を有することによって、2つの光学系による撮影を1枚の撮像素子で行うことが可能な、立体映像撮影可能な撮像装置となっている。
なお、上述した各実施例の光学系は、図9に示したデジタルスチルカメラに限らず、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等の種々の撮像装置に適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
各実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
2つの光学系を有し、
前記2つの光学系のそれぞれは、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第1反射部材、正の屈折力の第2レンズ群からなり、
前記第1反射部材は、像側の射出面に曲率を有し、
前記第1反射部材の焦点距離をfR、前記2つの光学系のそれぞれの焦点距離をfとするとき、
23.3<fR/f<80.0
なる条件式を満足することを特徴とするレンズ装置。
(構成2)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面から像面までの光軸上の距離をd2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.5<d2/f2<1.8
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載のレンズ装置。
(構成3)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
4.0<f2/f<10.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載のレンズ装置。
(構成4)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
2.6<|f1/f|<8.3
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成5)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面の曲率半径をLRR2とするとき、
-6.5<LRR2/f2<-1.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成6)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材は、前記光学系に含まれる反射部材のなかで最も像側に配置されていることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成7)
前記2つの光学系において最も物体側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDin、前記2つの光学系において最も像側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDoutとするとき、
0.03<Dout/Din<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成8)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群は、反射部材を含むことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成9)
前記2つの光学系は、並列に配置されていることを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成10)
前記2つの光学系は、互いに同一の光学系であることを特徴とする構成1から9のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成11)
構成1から10のいずれかに記載のレンズ装置と、前記2つの光学系によって形成される光学像を撮像する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
2つの光学系を有し、
前記2つの光学系のそれぞれは、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第1反射部材、正の屈折力の第2レンズ群からなり、
前記第1反射部材は、像側の射出面に曲率を有し、
前記第1反射部材の焦点距離をfR、前記2つの光学系のそれぞれの焦点距離をfとするとき、
23.3<fR/f<80.0
なる条件式を満足することを特徴とするレンズ装置。
(構成2)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面から像面までの光軸上の距離をd2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.5<d2/f2<1.8
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載のレンズ装置。
(構成3)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
4.0<f2/f<10.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載のレンズ装置。
(構成4)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
2.6<|f1/f|<8.3
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成5)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面の曲率半径をLRR2とするとき、
-6.5<LRR2/f2<-1.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成6)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材は、前記光学系に含まれる反射部材のなかで最も像側に配置されていることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成7)
前記2つの光学系において最も物体側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDin、前記2つの光学系において最も像側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDoutとするとき、
0.03<Dout/Din<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成8)
前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群は、反射部材を含むことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成9)
前記2つの光学系は、並列に配置されていることを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成10)
前記2つの光学系は、互いに同一の光学系であることを特徴とする構成1から9のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成11)
構成1から10のいずれかに記載のレンズ装置と、前記2つの光学系によって形成される光学像を撮像する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
100 レンズ装置
101,102 光学系
L1 第1レンズ群
LR 反射部材(第1反射部材)
L2 第2レンズ群
101,102 光学系
L1 第1レンズ群
LR 反射部材(第1反射部材)
L2 第2レンズ群
Claims (11)
- 2つの光学系を有し、
前記2つの光学系のそれぞれは、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第1反射部材、正の屈折力の第2レンズ群からなり、
前記第1反射部材は、像側の射出面に曲率を有し、
前記第1反射部材の焦点距離をfR、前記2つの光学系のそれぞれの焦点距離をfとするとき、
23.3<fR/f<80.0
なる条件式を満足することを特徴とするレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面から像面までの光軸上の距離をd2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.5<d2/f2<1.8
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
4.0<f2/f<10.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
2.6<|f1/f|<8.3
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材の前記射出面の曲率半径をLRR2とするとき、
-6.5<LRR2/f2<-1.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1反射部材は、前記光学系に含まれる反射部材のなかで最も像側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 前記2つの光学系において最も物体側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDin、前記2つの光学系において最も像側に配置されたレンズの面頂点同士の間隔をDoutとするとき、
0.03<Dout/Din<0.50
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。 - 前記2つの光学系の少なくとも一方において、前記第1レンズ群は、反射部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 前記2つの光学系は、並列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 前記2つの光学系は、互いに同一の光学系であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 請求項1から10のいずれか一項に記載のレンズ装置と、前記2つの光学系によって形成される光学像を撮像する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022164473A JP2024057677A (ja) | 2022-10-13 | 2022-10-13 | レンズ装置、およびそれを有する撮像装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family Applications (1)
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