JP2024055473A - 再利用可能なユニット建築 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工性、強度、居住性等の観点から、合理的な構造で再利用可能なユニット建築を提要する。【解決手段】柱11と床梁12及び天井梁13とを接合したフレームに機能部材を取り付けて居室ユニット1を形成し、居室ユニット1を隣り合わせて積み重ね、居室ユニット1同士を連結すると共に、異なる機能を有する他のユニットを連結して建物を構築するユニット建築において、居室ユニット1は、各階で隣り合うものが整列して、柱11が2本1組となり、下階と上階の居室ユニット1が垂直に揃えて配置され、下階の天井梁13と上階の床梁12との間には空間が確保され、鋼管である柱11の内部にPC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸7が挿通され、連結軸7によりプレストレスが付与されて、下階の居室ユニット1と上階の居室ユニット1の柱11が緊結されているものとする。【選択図】図1
Description
この発明は、各種ユニットを繰り返して利用できるユニット建築に関するものである。
我が国の建物は、30年から40年程度を周期として解体と新築が繰り返されされる場合が多く、その解体の都度、大量の産業廃棄物が発生し、新築の都度、多くの建材が消費されている。このことは、環境の悪化等の原因となり、持続可能な循環型社会を目指す現代の目標に反しているといえる。
一方、本出願人は、下記特許文献1において、図12に示すようなユニット建築を提案している。このユニット建築は、コンテナ型のユニット71を、柱72と梁73とを箱枠状に接合して、各面に壁パネル74を取り付けることにより製作し、複数のユニット71を隣り合わせて積み重ね、ユニット71同士を連結して、建物を構築するものである。
このユニット建築においては、最上階から最下階のユニット71にかけて、角形鋼管の柱72に長軸のPC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸75を挿通し、建物の下方に連結軸75の先端部を係止した後、建物の上部で連結軸75に螺合したナット76を締め付けることにより、上下のユニット71を連結する。
このようなユニット建築は、各階に配置したユニット71を積み重ねて、安定的に高層化でき、短い工期での建設が可能で、移設作業も簡単に行えるため、大規模災害からの復興拠点や長期間に及ぶ開発プロジェクト等における仮設建物の建築に適したものとなり、構造部材の有効利用を図ることもできる。
しかしながら、上記特許文献1では、ユニット建築における具体的なユニットの組み合わせ構造について開示されておらず、実際にどのようにすれば再利用可能な住宅や事業用建築を構築できるのか不明であった。
そこで、この発明は、施工性、強度、居住性等の観点から、合理的な構造で再利用可能なユニット建築を提要することを課題とする。
上記課題を解決するため、この発明は、隅部の柱と下部の床梁及び上部の天井梁とを接合したフレームに機能部材を取り付けて居室ユニットを形成し、前記居室ユニットを隣り合わせて積み重ね、居室ユニット同士を連結すると共に、異なる機能を有する他のユニットを連結して建物を構築するユニット建築において、
前記居室ユニットは、各階で隣り合うものが整列して、隣り合う居室ユニットの柱が2本1組となり、下階と上階の居室ユニットが垂直に揃えて配置され、下階の天井梁と上階の床梁との間には、空間が確保されており、
前記柱は、断面形状が閉断面を形成する鋼管とされ、前記柱の内部に上下方向に延びるPC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸が挿通され、
前記連結軸によりプレストレスが付与されて、前記下階の居室ユニットと上階の居室ユニットの柱が緊結されているものとしたのである。
前記居室ユニットは、各階で隣り合うものが整列して、隣り合う居室ユニットの柱が2本1組となり、下階と上階の居室ユニットが垂直に揃えて配置され、下階の天井梁と上階の床梁との間には、空間が確保されており、
前記柱は、断面形状が閉断面を形成する鋼管とされ、前記柱の内部に上下方向に延びるPC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸が挿通され、
前記連結軸によりプレストレスが付与されて、前記下階の居室ユニットと上階の居室ユニットの柱が緊結されているものとしたのである。
また、この構造による集合住宅用ユニット建築は、前記居室ユニットが生活スペースとなるものであり、これに付帯して階段ユニット、廊下ユニット及びバルコニーユニットが少なくとも組み合わされているものとしたのである。
また、事業用ユニット建築は、前記居室ユニットが業務スペースとなるものであり、これに付帯して他のユニットが組み合わされているものとしたのである。
そして、これらのユニット建築は、前記居室ユニットと他のユニットとが組み合わされて、最下階から最上階まで積層された建物本体の上方に、屋根ユニットが架構されているものとしたのである。
この発明に係るユニット建築は、居室ユニットのほか、異なる機能を有する他のユニットから構築されるものであり、これらを任意の配置で結合することができるので、各種のユニットを適宜の配置で組み合わせて、居住者の家族構成や利用者の用途に適した様々なプランに対応することができる。
また、上下階の居室ユニットの柱を、その内部に挿通した連結軸で緊結するので、施工性に優れると共に、安定的に高層化できる。
また、上下階の居室ユニットにおいて、下階の天井梁と上階の床梁との間に空間が確保されるので、この空間を利用して設備配管を容易に行うことができ、上階の騒音や振動が階下に伝わり難いものとなる。
さらに、隣り合う居室ユニットの柱が2本1組となり、柱で支持された内壁が二重構造となるので、隣り合う居室ユニット間の遮音効果も優れたものとなる。
そして、柱の連結を解除することにより、居室ユニット等の主要部材を破壊することなく、容易に解体でき、移設作業も容易に行うことができるので、建築資材の無駄な廃棄を抑制し、資源の有効利用を図ることができる。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、集合住宅用ユニット建築の廊下側立面図、断面図、バルコニー側立面図を示しており、図2は、各階におけるユニットの配置の平面図を示している。このユニット建築では、生活スペースとなる居室ユニット1と、これに付帯する階段ユニット2、廊下ユニット3及びバルコニーユニット4が組み合わされて積層され、その上方に屋根ユニット5が架構されている。
居室ユニット1は、各階で隣り合うものが整列しており、例えば、図3に示す2DKの場合、隣り合う2つの居室ユニット1を1つの住戸として、各住戸の内部は、図示のように、洋室、和室、台所及びサニタリースペースを配置した間取りとされる。
なお、各住戸の広さや間取りによっては、1つの居室ユニット1を1つの住戸としてもよく、3つ以上の居室ユニット1を1つの住戸としてもよい。また、居室ユニット1の境界と住戸の境界が対応する必要はなく、居室ユニット1の中間部に隣り合う住戸の境界となる遮音界壁を設けるようにしてもよい。
このようなユニット建築において、図4及び図5に示すように、居室ユニット1のフレームは、四隅の柱11と、下部の桁行方向及びスパン方向の床梁12と、上部の桁行方向及びスパン方向の天井梁13とを接合して構成されている。
各階の居室ユニット1は、隣り合う居室ユニット1の柱11が2本1組となるように配置され、下階と上階の居室ユニット1は、垂直に揃うように配置されている。下階の天井梁13と上階の床梁12との間には、空間が確保されている。
居室ユニット1の床は、CLT床パネル(直交集成板)、コンクリート版(床用ALC版、押出成形セメント板、プレキャスト版)等を用いたものや、デッキプレートコンクリート工法によるものが考えられるが、軽量であることが望ましいため、耐火性を考慮したCLT床パネルを用いた工法とするのが適当である。
居室ユニット1の壁は、軽量であって、耐火性、遮音性、断熱性が要求されるため、CLT壁パネル(直交集成板)、金属断熱サンドイッチパネルを用いたものや、金属板・断熱材・石膏ボードの積層構造、押出成形セメント板・断熱材・石膏ボードの積層構造としたものが適当である。
図6に示すように、階段ユニット2は、居室ユニット1に隣り合って配置される。階段ユニット2の各階における位置は、桁行方向の外端のほか、中間部であってもよく、任意の位置に設定できる。
階段ユニット2のフレームは、隣り合う居室ユニット1に対応して配置された柱21と床梁22及び天井梁23とを接合して構成されている。
階段ユニット2の階段24は、折返し階段又は直通階段とする。階段24の設置に際しては、下階と上階とに接続する必要があるので、階段24の段床部分は側桁やささら桁と共に階段ユニット2のフレームとは別に運搬し、現地で建て方を行ってもよい。最上階の階段ユニット2は、階段24がないものとする。
図6の例の場合、階段ユニット2と廊下ユニット3を繋ぐエレベーターユニット25が設けられ、エレベーターユニット25には、出入口26が設けられている。エレベーターユニット25は、エレベーターの機種により、各種サイズが選べるようにしておく。エレベーターが必要ない場合には、通常の廊下ユニット3が設けられる。
図7に示すように、廊下ユニット3は、複数階まとめて柱31と床梁32及び天井梁33とを接合してフレームを構成したタイプと、図示省略するが、居室ユニット1に対応して各階ごとに柱31と床梁32及び天井梁33とを接合してフレームを構成したタイプとを用意し、運搬や現地での工期を考慮して選択できるようにする。
複数階まとめてフレームを構成するタイプの場合、各階の床梁32のみとし、天井梁33を省略できるが、ユニットが高さ方向に長くなるので、運搬・建て方に注意を要する。各階ごとのタイプの場合、運搬・建て方は容易であるが、上下階の接合部において、下階の天井梁33と上階の床梁32とが二重になる。
廊下ユニット3には、床開口部34のあるタイプと、床開口部34がないタイプを用意しておく。床開口部34のあるタイプでは、床開口部34の通路側に転落防止用の手すり35を設けておく必要がある。
床開口部34があるタイプでは、住戸のプライバシーを守るため、通路を窓から離すことができるほか、床開口部34を浴室やトイレの配管スペースとして利用することや、換気扇の吸排気の空間として利用することができる。床開口部34のないタイプは、玄関前のスペースとして利用することができる。
図8に示すように、バルコニーユニット4は、両側のコ字状の側枠41を下枠42と上枠43とで接合してフレームを構成し、床板44と手すり45を設けたものであり、居室ユニット1から張り出すように接合されれる。側枠41に吊元を居室ユニット1側としたブレース46を設けると、側枠41に使用する鋼材を軽量化することができる。
バルコニーユニット4において、隣接する住戸との境界に隔壁47を設けておくと、バルコニーの使用時におけるプライバシーを確保できる。また、隔壁47に避難開口48を設けておくと、火災発生時等に2方向避難ができる。
図9に示すように、屋根ユニット5は、居室屋根ユニット51、廊下屋根ユニット52及びバルコニー屋根ユニット53から構成されている。屋根ユニット5のフレームは、図示のように通り芯に載せる場合のほか、桁行き梁に載せる場合もある。屋根仕上げは、瓦棒葺き屋根や折版屋根とし、雨漏りや強風に対する対策を施す。
図10に示すように、居室ユニット1、階段ユニット2及び廊下ユニット3の柱11,21,31は、断面形状が閉断面を形成する角形鋼管とし、最下階の柱11,21,31を、基礎脚体6のベースプレート61から立ち上がる柱脚62に載せて、柱脚62と柱11,21,31とを継ぎ合わせる。
そして、各階の居室ユニット1、階段ユニット2及び廊下ユニット3を上方へ順次積み重ね、下階の柱11,21,31に上階の柱11,21,31を継ぎ合わせる。
柱11,21,31には、PC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸7を挿通し、連結軸7によりプレストレスを付与して、柱脚62と最下階の柱11,21,31を緊結すると共に、下階と上階の柱11,21,31同士を緊結する。
建物の基礎部分において、連結軸7は、例えば、二重のナット7a等によって基礎脚体6に係止する。各階の柱11,21,31に挿通される連結軸7は、作業性を考慮して不連続とし、それぞれの端部に螺合するカプラー7bを介して接続すればよい。
柱脚62と最下階の柱11,21,31の間、及びその上方に継ぎ合わされる柱11,21,31同士の間には、接合部のジョイント枠材8の内側に、充填材9として固化材を袋詰めしたものを挟み込んだり、時間の経過とともに硬化するモルタル等を注入して、垂直方向の軸力が伝達されるようにする。
なお、上記実施形態においては、集合住宅用ユニット建築について例示したが、この発明に係るユニット建築の構造は、例えば、図11に示すような事業用ユニット建築に適用することもできる。その用途は、中長期で移転の可能性のある一般事務所、短期で移転する展示場、比較的工期の長い建築・土木工事の作業事務所等が考えられる。
図示の事業用ユニット建築では、各階においてスパン方向に2つの居室ユニット1を配置し、その各階の床梁12及び最上部の天井梁13を連結梁36で繋いで、居室ユニット1に挟まれた部分を廊下としている。屋根ユニット5は、スパン方向全長に及ぶアーチ状の折版屋根としている。
上記のような集合住宅用又は事業用ユニット建築は、基本要素である居室ユニット1のほか、異なる機能を有する他のユニットから構築されるものであり、これらを任意の配置で結合することができるので、各種のユニットを適宜の配置で組み合わせて、居住者の家族構成や利用者の用途に適した様々なプランに対応することができる。
また、上下階の居室ユニット1の柱を、その内部に挿通した連結軸7で緊結するので、施工性に優れると共に、安定的に高層化できる。
また、上下階の居室ユニット1において、下階の天井梁13と上階の床梁12との間に空間が確保されるので、この空間を利用して設備配管を容易に行うことができ、上階の騒音や振動が階下に伝わり難いものとなる。
さらに、隣り合う居室ユニット1の柱11が2本1組となり、柱11で支持された内壁が二重構造となるので、隣り合う居室ユニット1間の遮音効果も優れたものとなる。
そして、柱11の連結を解除することにより、居室ユニット1等の主要部材を破壊することなく、容易に解体でき、移設作業も容易に行うことができるので、建築資材の無駄な廃棄を抑制し、資源の有効利用を図ることができる。
1 居室ユニット
2 階段ユニット
3 廊下ユニット
4 バルコニーユニット
5 屋根ユニット
6 基礎脚体
7 連結軸
7a ナット
7b カプラー
8 ジョイント枠材
9 充填材
11 柱
12 床梁
13 天井梁
21 柱
22 床梁
23 天井梁
24 階段
25 エレベーターユニット
26 出入口
31 柱
32 床梁
33 天井梁
34 床開口部
35 手すり
36 連結梁
41 側枠
42 下枠
43 上枠
44 床板
45 手すり
46 ブレース
47 隔壁
48 避難開口
51 居室屋根ユニット
52 廊下屋根ユニット
53 バルコニー屋根ユニット
61 ベースプレート
62 柱脚
71 ユニット
72 柱
73 梁
74 壁パネル
75 連結軸
76 ナット
2 階段ユニット
3 廊下ユニット
4 バルコニーユニット
5 屋根ユニット
6 基礎脚体
7 連結軸
7a ナット
7b カプラー
8 ジョイント枠材
9 充填材
11 柱
12 床梁
13 天井梁
21 柱
22 床梁
23 天井梁
24 階段
25 エレベーターユニット
26 出入口
31 柱
32 床梁
33 天井梁
34 床開口部
35 手すり
36 連結梁
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42 下枠
43 上枠
44 床板
45 手すり
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51 居室屋根ユニット
52 廊下屋根ユニット
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61 ベースプレート
62 柱脚
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76 ナット
Claims (4)
- 隅部の柱(11)と下部の床梁(12)及び上部の天井梁(13)とを接合したフレームに機能部材を取り付けて居室ユニット(1)を形成し、前記居室ユニット(1)を隣り合わせて積み重ね、居室ユニット(1)同士を連結すると共に、異なる機能を有する他のユニットを連結して建物を構築するユニット建築において、
前記居室ユニット(1)は、各階で隣り合うものが整列して、隣り合う居室ユニット(1)の柱(11)が2本1組となり、下階と上階の居室ユニット(1)が垂直に揃えて配置され、下階の天井梁(13)と上階の床梁(12)との間には、空間が確保されており、
前記柱(11)は、断面形状が閉断面を形成する鋼管とされ、前記柱(11)の内部に上下方向に延びるPC鋼棒又はPC鋼線から成る連結軸(7)が挿通され、
前記連結軸(7)によりプレストレスが付与されて、前記下階の居室ユニット(1)と上階の居室ユニット(1)の柱(11)が緊結されていることを特徴とするユニット建築。 - 前記居室ユニット(1)は、生活スペースとなるものであり、これに付帯して階段ユニット(2)、廊下ユニット(3)及びバルコニーユニット(4)が少なくとも組み合わされていることを特徴とする請求項1に記載の集合住宅用ユニット建築。
- 前記居室ユニット(1)は、業務スペースとなるものであり、これに付帯して他のユニットが組み合わされていることを特徴とする請求項1に記載の事業用ユニット建築。
- 前記居室ユニット(1)と他のユニットとが組み合わされて、最下階から最上階まで積層された建物本体の上方に、屋根ユニット(5)が架構されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のユニット建築。
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JP2022162423A JP2024055473A (ja) | 2022-10-07 | 2022-10-07 | 再利用可能なユニット建築 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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2022
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