JP2024054391A - 溶解原料の製造方法、および溶解原料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高融点元素を含む合金粉末について、例えば、金属積層造形や圧粉成型、粉末冶金、金属射出成型に用いる合金粉末を安定的に製造できる溶解原料の製造方法、溶解原料を提供すること。【解決手段】 複数種の原料粉末からなる混合粉末を、前記原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素の融点をMPmin(℃)としたとき、2MPmin/3以上の温度で、かつ5MPa以上の圧力で焼結する加圧焼結工程と、を備え前記原料粉末は、融点が1600℃以上の高融点金属元素を含むことを特徴とする溶解原料の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、溶解原料の製造方法と溶解原料に関するものであり、特に高融点元素を含む溶解原料の製造方法と溶解原料に関するものである。
金属粉末は素形材分野においては圧粉成型、粉末冶金、金属射出成型(Metal Injection Molding、 MIM)などの素材として重要な基礎材料である。金属粉末を用いるこれらの素形材技術は強度と量産性に優れるために、各種工業製品に好適に用いられる。また、近年では金属積層造形(金属三次元プリンティング)の原料にも用いられるようになって型レスでの素形材製造も可能となり、その重要度が増している。
このような素形材技術に用いられる金属粉末としてはこれまでに鉄鋼、アルミ合金、銅合金、ニッケル基合金、チタン合金など数多くの合金が用いられてきた。さらには、タングステン、モリブデン、ニオブなどの高融点元素(金属)を加えることで耐熱性などを飛躍的に向上させる試みがなされている。
特許文献1には、チタン粉末とアルミ粉末を混合した原料粉末を冷間成形によって圧粉体の棒状原料とし、その棒状原料をガスアトマイズ法により粉末化する手法が開示されている。
特開2002-241807号
しかしながら、特許文献1に開示されている手法では、冷間での加工性に乏しい材料、例えば、高融点元素(高融点金属)を含む場合には、冷間成形された成形体の内部に空隙が生じやすい。そして、成形体を溶解させる際に、空隙が起点となって成形体が損傷したり、空隙中に残存する空気が成形体の溶解を不安定にしてしまうことで、安定的に合金粉末を製造することが困難であった。
以上のことより、本発明の目的は、高融点元素を含む合金粉末について、例えば、金属積層造形、圧粉成型、粉末冶金、金属射出成型等に用いる合金粉末を安定的に製造できる溶解原料とその製造方法を提供することにある。
本発明は、複数種の原料粉末からなる混合粉末を、前記原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素の融点をMPmin(℃)としたとき、2MPmin/3以上の温度で、かつ5MPa以上の圧力で焼結する加圧焼結工程と、を備え、前記原料粉末は、融点が1600℃以上の高融点金属元素を含むことを特徴とする溶解原料の製造方法である。
また、前記複数種の原料粉末のうち、少なくとも一つの原料粉末が2種類以上の高融点金属元素を含んでいることが好ましい。
また、前記加圧焼結工程において、熱間等方加圧焼結法を用いることが好ましい。
また本発明は、溶解・噴霧させて合金粉末を得るために用いる溶解原料であって、融点が1600℃以上の高融点金属元素を少なくとも二種類含み、空隙率が5%未満の焼結体であることを特徴とする溶解原料である。
本発明によれば、高融点元素を含む合金粉末について、例えば、金属積層造形、圧粉成型、粉末冶金、金属射出成型等に用いる合金粉末を安定的に製造できる溶解原料の製造方法、および溶解原料を提供することができる。
本発明に係る金属粉末の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に係る金属粉末の製造方法について、溶解・噴霧工程の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る金属粉末の製造方法について、溶解・噴霧工程の別実施形態を示す模式図である。 選択的レーザ溶融法の積層造形装置の構成および積層造形方法の例を示す断面模式図である。 レーザビーム粉末肉盛法の積層造形装置の構成および積層造形方法の例を示す断面模式図である。
まず、本発明者等は、既存の溶融(溶解)設備では均一に溶解することが難しい高融点の元素を多量に含む金属粉末の製法について鋭意研究を重ねた。その結果、融点が1600℃以上の金属元素を含む複数の原料粉末を目的とする組成となるように均一に混合して、これを所定の温度と圧力で焼結する事で製造したい金属粉末と略同一の組成を有する焼結体(原料棒材と言う場合もある)を製作する。そしてこの焼結体を局所的に溶解して得られる融液を粉末化することで所望の組成を有する合金粉末(プレアロイ粉)を安定して得られることを見出した。
<溶解原料の製造方法>
以下、図1を用いて、本発明の製造方法の実施形態を説明していく。図1は本発明の実施形態に係る溶解原料の製造方法と、溶解原料を用いて合金粉末を得る際の好適な製造方法を示す工程図である。
[加圧焼結工程(S101)]
まず、原料粉末について説明する。所望の合金粉末の組成に合わせて高融点金属を含む原料粉末を混合して混合粉末を得る。このとき1つの原料粉末には、1600℃以上の融点を有する金属元素(高融点金属元素)を含むものであり、このような原料粉末を2つ以上混合することで少なくとも二種類以上の高融点金属元素を含む混合粉末を得る。高融点金属元素としては、例えば、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、テクチニウム(Tc)、ロジウム(Rh)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、トリウム(Th)、チタン(Ti)などがある。混合方法は特に限定しないが、例えば、ボールミル等の各種粉末混合機を用いることができる。原料粉末の製法としては、原料に応じて、化学還元法、粉砕法などが選択される。また、原料粉末にはアトマイズ法によって製造した粉末を含めても良い。
また、原料粉末には、高融点の金属元素を含む粉末同士を予め混合し、二種類以上の高融点金属元素を予め含む原料粉末を用いても良く、混合方法としても上記同様、例えば、ボールミル等の各種粉末混合機を用いることで均一に混合しておくことが好ましい。
原料粉末の平均粒径としては、1μm以上1mm以下に設定することが好ましい。平均粒径が1μm以上であると粉末の流動性を確保でき、粉末が舞い上がることも抑制できる。そして、平均粒径を1mm以下とすることで、後述する加圧焼結工程において、粉末間の空隙が残存することを抑制できる。
次に、混合粉末を、加圧焼結して溶解原料を作製する方法を説明する。
本明細書でいう溶解原料は、溶解・噴霧させて合金粉末を得るためのものであり、原料粉末を混合することで少なくとも二種類以上の高融点金属元素を含む混合粉末を加圧焼結したものである。よって、焼結体になったものを指すが、溶解原料、原料棒材、消耗電極と換言することもできる。また、焼結体の形状は特に限定しないが、棒状にすると、溶解・噴霧工程において取扱い易いので好ましい。以下、加圧焼結工程(S101)から溶解・噴霧工程(S103)について、焼結体の形状を棒材とし、原料棒材と称して説明する。
加圧焼結工程は、原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素の融点をMPmin(℃)としたとき、2MPmin/3以上の温度で、且つ5MPa以上の圧力により混合粉末を加圧焼結することで原料棒材を得る工程である。原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素の融点MPminの2/3以上の温度と、5MPa以上の圧力という条件とすることで、焼結体の空隙率を5%未満とすることができる。これにより焼結体を溶解して粉末化する溶解・噴霧工程における焼結体の破損や空気の混入を防ぐことができるため好適である。より好ましい温度は、MPminの5/7以上であり、さらに好ましくは3/4以上の温度である。また、より好ましい圧力は20MPa以上であり、さらに好ましい圧力は40MPa以上である。また、温度の上限は特に限定しないが、温度をMPmin未満とすることで、原料粉末間で液相の反応が生じにくくでき、組成の均一性を確保しやすくなるため好適である。また、圧力の上限は炉体の強度に依存し、300MPa程度である。
このような原料棒材を加圧焼結して製造する方法としては、圧粉焼結法、一軸加圧焼結法(ホットプレスや放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)、熱間等方加圧焼結法(HIP:Hot Isostatic Press)を用いることができるが、焼結密度などの点から、均等に圧縮することができる一軸加圧焼結法、もしくは熱間等方加圧焼結法を用いることが好ましい。
加圧焼結方法の中でも、均等に圧縮することができる一軸加圧焼結法(ホットプレス、SPS法)または熱間等方加圧焼結法(HIP法)を用いることが特に好ましい。これら加圧焼結方法であれば、原料粉末間の空隙をより効果的に低減し、空隙率が2%未満の原料棒材を得ることができるのでより好ましい。また、等方的に加圧できる熱間等方加圧焼結法は、材料を均一に収縮させて固化することができるので、さらに好ましい。このような加圧焼結工程を経て作製された焼結体であれば、溶解・噴霧工程(S103)における不良の発生をより一層抑制することができる。
なお、本明細書でいう空隙率とは、観察した領域(視野面積)に対して空隙が占める面積の比である。例えば、得られた溶解原料(試料)の任意箇所を切断し、切断面を研磨する。研磨された試料表面を200~1000倍の倍率で光学顕微鏡等を用いて観察し、観察した領域を写真などの画像データとして取得する。空隙箇所は画像上で黒く示されるので、画像を2値化するなどして、黒い箇所が占める面積、すなわち空隙が占める面積を算出すればよい。
加圧焼結工程にHIP法を用いた場合について、より具体的に説明する。
まず、原料棒材の大きさに合わせたカプセル(容器)に原料粉末を封入し、脱気して密封する。カプセルの大きさはHIP処理後の形状収縮を考慮して適切に設定する。その後にHIP装置に装填し、前記の設定温度と設定圧力、即ち、最も融点が低い元素の融点をMPmin(℃)としたとき、2MPmin/3以上の温度と5MPa以上の圧力によってHIP処理を行う。処理後にカプセルを除去することで原料棒材を得る。なお、カプセルの代わりに他の手法にて仮成形した原料棒材の素材を準備し、HIP処理を行うカプセルフリー法(オープンHIP法)によっても原料棒材を作製する事は可能である。
加圧焼結条件は上述の通りであるが、例えば、原料粉末である高融点材料を封入したカプセルを0.01MPa以下に脱気をして密封する。そして、カプセルをHIP設備に配して、100℃~2000℃の温度と、10MPa~200MPaの圧力で、1時間~10時間程度加圧保持し、カプセル中の原料粉末を固化させて、原料棒材を作製する。
原料棒材は、例えば、溶解・噴霧工程で用いられる設備に応じて直径10mm以上500mm以下、長さ10mm以上3000mm以下に設定される。得られた原料棒材の断面観察による空隙面積の評価によって規定される原料粉末間の空隙は5%未満、より好ましくは2%未満とすることができる。かかる原料棒材は、原料棒材の溶解・噴霧工程における棒材の破損や空気の混入を防ぐことができ好適である。このように本工程で得られる原料棒材は機械強度に優れている。
[溶解・噴霧工程(S103)]
次に、原料棒材を用いて合金粉末を得る際の好適な溶解・噴霧工程について、図2および図3を用いて説明する。
図2は合金粉末の製造方法の溶解・噴霧工程の好適な一形態を示す図であり、直接溶解ガスアトマイズ法を示す。図3は、溶解・噴霧工程の別形態を示す図であり、プラズマアーク加熱法を示す。以下に述べる直接溶解ガスアトマイズ法およびプラズマアーク加熱法であれば、融液が坩堝等に触れることがなく、融液の清浄度を確保できるため好適である。
まず、図2を用いて、直接溶解ガスアトマイズ法を適用した場合の実施形態について説明する。
まず、原料棒材11を粉末製造装置12の誘導加熱装置13中に配置する。原料棒材は誘導加熱装置に対し、中心軸を合わせて固定しても良いし、原料棒材11の均熱化を図るために中心軸周りで回転させても良い。
その後、粉末製造装置12内の雰囲気を真空のような減圧雰囲気または不活性ガス雰囲気とし、誘導加熱装置13によって原料棒材11の一端を溶解していく。溶解されている原料棒材11の一端から融液14が形成され、重力により下方へ落下させる。このとき、誘導加熱によって生じる流れ場によって融液14は均一に攪拌されている。そして、下方へ落下した融液14に対してガスノズル15から噴出するアルゴン、窒素、空気などの高圧ガス16によって融液を噴霧し、飛散中に融液14を冷却、固化させることで噴霧粉末17を得る。
より具体的には、得られた原料棒材11を、直接溶解ガスアトマイズ法を適用して合金粉末17を製造することができる。原料棒材11を直接溶解ガスアトマイズ装置に設置し、雰囲気を0.01MPa以下の減圧雰囲気とする。そして、原料棒材11の端部近傍に配した誘導加熱装置によって原料棒材11の端部を溶解して融液を得て、下方へ落下する融液に2~20MPa、100~1500L/分の純アルゴンガスを吹き付けて融液を噴霧し、飛散中に冷却、凝固することで噴霧粉末を得ることができる。
このとき、ガスノズルの配置並びにガス流量、流速、圧力などは、噴霧粉末17の粒度分布を所望の値とするように適宜調整すればよい。以上、本実施形態であれば、原料棒材11の融液14が坩堝などに触れることなく、噴霧粉末17を得ることができ、噴霧粉末17の清浄度を確保できる利点がある。また、上記の高圧ガス16は、特に限定せず、高温の融液に対する反応性を鑑みて、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを適宜選定すればよい。
溶解・噴霧工程において、原料棒材11の一端を局所的に溶解(溶融)していく方法としては、高周波誘導加熱法やプラズマアーク加熱法を用いることが好ましい。これにより、原料棒材11の一端を保持した状態で他端側を非接触で溶解することが可能となり、坩堝などに融液を接さずに供給することが可能となり、不純物の混入を抑制することができる。
また、溶解棒材11は、プラズマアーク加熱法に用いてもよい。プラズマアーク加熱法は、溶解棒材をプラズマアーク熱により溶解させるが、得た融液を高圧ガスへ暴露したり、原料棒材を回転させながら溶解させる回転電極法を用いたりすることで、融液を遠心力で飛散させたり、融液に超音波を加えることもできる。具体例として、回転電極法を例に説明する。回転電極法はプラズマアーク熱によって原料棒材11を回転させながら溶解し、得た融液を遠心力で飛散させ、飛散中に固化し噴霧粉末を得る。これらは、溶解手段と合わせて選定でき、何れも坩堝などに融液を接さずに固化できるため、不純物の混入を抑制することができる。ここで、融液に付与する遠心力や微振動は、原料棒材に回転機構や振動機構を配すればよく、それら機構を用いて、噴霧粉末の粒度や円形度などに応じて、適宜設定すればよい。
より具体的には、図3に示すように、原料棒材21を軸中心に回転できるよう、粉末製造装置22の電極回転機構23に固定する。その後、雰囲気を真空雰囲気または不活性ガス雰囲気とし、原料棒材21を中心軸周りで10000rpm以上の高速で回転させる。この回転速度は噴霧粉末26の粒径制御に用いられる。原料棒材21を回転した状態でプラズマ加熱装置24によって原料棒材21の一端を溶解し、生じた融液25を回転によって加わる遠心力で直ちに飛散させる。そして、飛散中に融液を冷却、凝固させることで噴霧粉末26を得る。
原料棒材を電極回転機構23に設置し、雰囲気を0.01MPa以下の減圧雰囲気とする。そして、原料棒材21を例えば10000rpmの回転速度にて、棒材の長軸を中心に回転させる。原料棒材21の端部近傍に配したプラズマ加熱装置によって回転する原料棒材21の端部を溶解して融液を得て、原料棒材21の回転で生じる遠心力によって側方へ飛散させる。そして、飛散中に融液を冷却、凝固することで噴霧粉末26を得る。
上記の溶解・噴霧工程であれば、焼結体(原料棒材)の融液から直接に噴霧粉末を得ることができ、噴霧粉末の清浄度を確保できる利点がある。また、噴霧粉末は高圧ガスとの相互作用無しに形成できるため、ガスアトマイズ法で得た合金粉末に比べて真球度の高い噴霧粉末とすることができる。
以上、上記のような合金粉末の製造方法の実施形態であれば、坩堝を用いることなく合金粉末を製造できるため、溶解した高融点金属を含む合金が坩堝に残置することがなく、溶け残りや坩堝との反応による組成の不均一性が生じることを抑制でき、所望組成の噴霧粉末(合金粉末と言うことがある)を得ることができる。
[分級工程(S105)]
上記工程(S101~S103)を経てから分級工程(S105)を追加することが好ましい。溶解・噴霧工程(S103)で得られた噴霧粉末(合金粉末)は、篩別分級法、旋回気流分級法などの手法で粒度分布を調整することが好ましい。具体的な合金粉末の平均粒径としては、ハンドリング性や充填性の観点から、10μm以上200μm以下が好ましい。平均粒径が10μm未満になると、合金粉末が舞い上がり易くなり、積層造形体の形状精度が低下する要因となる場合がある。一方、平均粒径が200μm超になると、積層造形体の表面粗さが増加するのみでなく、特に高融点を有する合金粉末20の溶融が不十分になる要因にもなる。また、この中で用いる製造方法によって好適な平均粒径は異なる。例えば金属積層造形法について例示すると、選択的レーザ溶融(Selective Laser Melting:SLM)法では10μm以上50μm以下、電子ビーム積層造形(Electron Beam Melting:EBM)法では45μm以上105μm以下がより好ましい。
また、レーザビーム粉末肉盛(Laser Metal Deposition:LMD)法では50μm以上200μm以下とすると良い。
また、本実施形態の溶解原料を用いた合金粉末の製造方法であれば、高融点元素などを多種類含んだNb、Mo、Ta、W等から成るハイエントロピー合金(HEA)の合金粉末を製造することも可能である。
以上、上記の溶解原料の製造方法の一実施形態であれば、高融点金属を含んだHEAの合金粉末を製造できる。また、高融点の純金属粉を混合してSLM法で溶融する場合の課題であった、相対的に低融点のNbやMoと相対的に高融点のTaやWの偏析を抑制する効果も期待できるし、合金粉末を積層造形して得られた積層造形体の濃度変動をも抑制する効果も期待できる。
<合金粉末>
上記した好適な合金粉末の製造方法の実施形態によって、高融点な元素、具体的には融点が1600℃以上の高融点金属元素を2種類以上含む合金粉末を得ることができる。さらに、円形度が0.5以上、好ましくは0.7以上であり、平均粒径が10μm以上200μm未満の合金粉末を得ることも可能である。なお合金粉末の組成は、誘導結合プラズマ発光分光分析法で評価することができる。
上記した合金粉末を用いて、図4に示すような粉末積層造形装置により、SLM法による造形部材を積層造形することもできる。造形条件としては、例えば、レーザ出力:100W~300W、レーザ走査速度:50~300mm/秒、走査間隔:0.01~0.10mmを適用することができるが、特に限定しない。
また、例えば、得られた合金粉末に対し、図5に示すような粉末積層造形装置を用いて、LMD法による造形部材を積層造形することもできる。造形条件として、例えば、レーザ出力:0.6~2.4kW、走査速度:100~1500mm/分、走査間隔:0.5~3.0mm、粉末供給量:4~14g/分を適用することができるが、特に限定しない。
[用途・製造物]
上述の好適な製造方法にて製造された合金粉末は、特に高融点金属を主成分に含む合金に対して有効であり、金属積層造形、圧粉成型、粉末冶金、金属射出成型などに好適に用いることができるが、用途や製造物は特に制限されない。
本発明の合金粉末を用いた造形物及び成形物の用途の一例としては、高温環境に用いられる金型や電極部品や加熱熱源、熱処理炉および反応炉内構造体、X線及び粒子線フィルタ、加工工具などへの適用が好適である。本明細書でいう製造物とは、これらの機械、機器、部材、金型、部品等を総称する。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験1]
(A1およびA2の混合粉末の作製)
表1に示す質量比で複数の原料粉末を混合し、A1およびA2の混合粉末を用意した。原料粉末は何れも化学還元法で得られた純合金粉末であり、表1に示すように何れも融点1600℃以上の金属元素の粉末を10質量%以上含んでいた。Vミキサーによって30分以上混合することで、各々の原料粉末内での複数の比重の異なる原料粉末を均一に混合した。
[実験2]
<原料棒材B1およびB2の製造>
実験1で用意した混合粉末A1とA2とを各々10kgを、カプセル(直径120mm、高さ600mm、SUS304製)に封入して0.01MPa以下に脱気をして密封した。そして、HIP設備に配して1250℃で、110MPaの加圧雰囲気下に5時間保持し、カプセル中で各々の原料粉末を固化した。これによりA1とA2に対応する、直径100mm、長さ500mmの原料棒材B1とB2を得た。
(実施例)
得られた原料棒材の断面観察による空隙面積の評価の結果、原料棒材B1は4%の空隙率、原料棒材B2は1%の空隙率であった。いずれも高融点組成の粉末を用いているものの、高温高圧下のHIP処理により、十分に空隙率の低い棒材に固化できた。
(比較例1)
A1を基に、冷間プレス(室温(22℃)、100MPa、10分間による原料棒材の作製を試みたが、プレスした原料は粉体同士の結合が起こらず、固化しないため、棒材を得ることができなかった。
(比較例2)
A1を基に、該原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素であるZr(1855℃)の融点の2/3℃に満たない300℃にて熱間プレス(100MPa、10分間)による原料棒材作製を試みたが、空隙率は高く、固化しないため、緻密な棒材を得ることができなかった。この原料棒材の断面観察による空隙面積の評価の結果、空隙率は28%であった。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成に置換したり、また他の構成の追加をすることが可能である。このような実施形態の調整により、本発明で開示した合金粉末は、高温部品やプラント機器、金型部材などで用いられる高融点金属部品を製造することに適用することが可能となる。
11:原料棒材
12:粉末製造装置
13:誘導加熱装置
14:融液
15:ガスノズル
16:高圧ガス
17:噴霧粉末
22:粉末製造装置
23:電極回転機構
24:プラズマ加熱装置
25:融液
26:噴霧粉末
100:SLM粉末積層造形装置
101:造形部材
102:ステージ
103:ベースプレート
104:パウダー供給用コンテナ
105:合金粉末
106:リコータ
107:粉末床(層状粉末)
108:レーザ発振器
109:レーザビーム
110:ガルバノメーターミラー
111:未溶融粉末回収用コンテナ
112:2Dスライス形状の凝固層
200:粉末積層造形装置
201:レーザヘッド
202:造形基材
203:バイス(固定治具)
204:テーブル
205:レーザ発振器
206:粉末供給機
210:装置外壁
211:全面ドア
212:操作パネル
220:ノズル
221:粉末
222:シールドガス
223:造形体

Claims (4)

  1. 複数種の原料粉末からなる混合粉末を、前記原料粉末を構成する元素の中で最も融点が低い元素の融点をMPmin(℃)としたとき、2MPmin/3以上の温度で、かつ5MPa以上の圧力で焼結する加圧焼結工程と、を備え
    前記原料粉末は、融点が1600℃以上の高融点金属元素を含むこと
    を特徴とする溶解原料の製造方法。
  2. 前記複数種の原料粉末のうち、少なくとも一つの原料粉末が2種類以上の高融点金属元素を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶解原料の製造方法。
  3. 前記加圧焼結工程において、熱間等方加圧焼結法を用いる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶解原料の製造方法。
  4. 溶解・噴霧させて合金粉末を得るために用いる溶解原料であって、
    融点が1600℃以上の高融点金属元素を少なくとも二種類含み、
    空隙率が5%未満の焼結体である
    ことを特徴とする溶解原料。

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