JP2024054022A - プログラム、画像処理装置、画像処理装置の制御方法 - Google Patents

プログラム、画像処理装置、画像処理装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特色を用いて印刷するための設定に対応したプログラムの利便性を向上させるプログラム、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法を提供する。【解決手段】画像処理装置のコンピュータを、プログラムにおいて、プロセスカラーと異なる色である特色を用いて画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、画像のうち特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、画像のうち特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御である所定の制御を実行する実行手段と、所定の制御が実行された後に画像を表示するための制御を実行する表示手段と、として機能させる。【選択図】図12

Description

本発明は、蛍光特性をもつ色材と非蛍光特性をもつ色材を搭載した記録装置が印刷すべき画像をプレビュー表示させるプログラム、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法に関する。
従来から、記録装置で印刷する前に印刷結果を確認するための機能として、印刷プレビューの機能が知られている。このような印刷プレビュー機能により、印刷前の印刷結果を確認することで、意図しない印刷を未然に防ぎ、印刷コストを削減することが可能となっている。
一方、記録装置については、近年蛍光を示す色材を用いたインク(以下「蛍光色インク」という。)は明るく鮮やかに発色するため、ポスターやPOPなどの掲示物、食品や飲料製品の包装などの印刷において、人の目を引く目的で用いられるようになってきている。そのため、画像上で蛍光色インクのような特殊インクを使用する場所を把握するためのプレビュー機能が知られている(特許文献1参照)。
特開2021-8112号公報
ところで、特色を用いて印刷するための設定に対応したプログラムが普及するにつれ、そのようなプログラムの利便性を向上させることが要望されている。
本発明は、特色を用いて印刷するための設定に対応したプログラムの利便性を向上させることを目的とする。
上記目的を達するために本発明は、プログラムであって、画像処理装置のコンピュータを、前記プログラムにおいて、プロセスカラーと異なる色である特色を用いて画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、前記画像のうち前記特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御である所定の制御を実行する実行手段と、前記所定の制御が実行された後に前記画像を表示するための制御を実行する表示手段と、として機能させることを特徴とする。
本発明の画像処理装置によれば、ユーザが印刷前に蛍光色インクが発色したことによる印象を把握することができる。
画像処理装置のソフトウェアブロック図 実施形態の印刷システムの構成を説明するブロック図 実施形態における記録ヘッドの図 記録ヘッドのノズル列の配置を示す図 蛍光ピンクインクの励起の強度と発光及び減法混色インクの分光反射率 プリンタ色域の断面図(色相角350°55°315°) 蛍光スポットカラーを使用したポスターの例 プリンタ色域の断面図(色相角350°) ポスター作成時のアプリケーションの表示画面 プリンタドライバが表示する設定画面 印刷プレビュー画面 印刷プレビューの表示処理のフローチャート 5GridのLUTの説明図 RGB値とモニタのRGB値の対応表 プリンタ色域の断面図(色相角350°:蛍光色、非蛍光色の色変換) 印刷プレビュー画面(通常表示モード)
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[実施形態1]
<画像処理装置の構成>
図1は、本発明に係る画像処理装置101のソフトウェアブロック図である。本実施系の印刷システムは、画像処理装置101とこの画像処理装置101に接続された記録装置108とによって構成される。
画像処理装置101には、オペレーションシステム(以下「OS」という。)501と、記録装置108を制御するソフトウェアであるドライバ(以下「プリンタドライバ」という。)503とがインストールされている。画像処理装置101では、アプリンケーション502によって作成される各種のドキュメントを印刷するため、OS501とプリンタドライバ503とが動作する。また、プリンタドライバ503は、以下4つの機能部を含む。即ち、ユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェース部504、記録装置108に送信する印刷データを生成するグラフィックス処理部505、印刷レイアウトなどを確認する印刷プレビュー機能の制御を行う印刷プレビュー制御部506である。さらに、これらに加えて、記録装置108に装着されている印刷媒体の幅情報や現在の記録装置108の状態など各種記録装置情報の取得及び記録装置108に対する情報の送信を行う記録装置情報取得部507がある。
本実施形態において画像処理装置101に接続された記録装置108は、インク等の記録剤を紙等の記録媒体に付加することで、記録媒体上に画像を形成する(印刷する)プリンタである。記録装置108は、複写機能、FAX機能、印刷機能等の複数の機能を備える複合機であってもよい。なお、本実施形態では、記録装置108は、インクジェット記録方式によって印刷を行う装置であるものとするが、この形態に限られず、例えば、電子写真方式や熱昇華方式によって印刷を行う装置であっても良い。なお本実施形態においてさらに、記録装置108は、特色インクを用いて印刷可能な印刷装置であっても良い。特色インクとは、特色を発現するインクであり、例えば、印刷時に発現する色をsRGBの色空間では表示不可能なインクである。つまり、プリンタ14は、通常のインク以外の特色のインク(つまり、特色インクであり、以下、「特色インク」とも称する。)を用いた印刷である特色印刷が可能な構成となっている。「通常のインク」とは、プロセスカラー(通常色)の印刷を行うためのインクであり、プロセスカラーの基本となるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)等の色のインクである。なおプロセスカラーとは、CMYKのうちの1つの色、またはCMYKのうちの2以上の色の組み合わせによって表現される色である。また本実施形態では、特色インクとして、蛍光ピンクのインク、蛍光オレンジのインクが用いられる。すなわち特色とは、プロセスカラーとは異なる色であり、CMYKのうちの1つの色、またはCMYKのうちの2以上の色の組み合わせだけでは表現できない色である。しかしながら、この形態に限定されず、特色インクの数や色は、任意のものであって良く、蛍光色でない色のインクを使用しても良い。例えば、特色インクとして、ヴァイオレットのインク、グリーンのインク、オレンジのインク、金色のインク、銀色のインク等が用いられても良い。また、他の金属色のインクが用いられても良い。さらに、特色インクと他のインク(例えば通常のインク)とが調合されたインクも特色インクとして扱われても良い。また本実施形態では、画像データのうち特色で印刷されるオブジェクトには、それが特色で印刷されることを示す情報(特色情報と呼ぶ)が関連付けられている。そして、特色情報が付加されている画素は、当該画素のRGB値に対応する特色によって印刷が行われる。なお、特色に対応する画素のRGB値は、通常のインクのみによって表現される色(すなわち、通常色)に対応する画素のRGB値としても利用されうる。言い換えれば、特色に対応する画素のRGB値と同じRGB値が、通常のインクのみによって表現される色に対応する画素にも設定されることがある。その場合において、当該RGB値の画素の印刷に特殊なインクを用いるか否かは、印刷データに、特色を用いた印刷を指示するための指示情報が付加されているか否かによって制御される。また、後述するプリンタドライバ503において特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されている状態で生成された印刷データには、指示情報が付加されることとなる。なおプリンタドライバ503において後述する蛍光ポスターモードが指定されている場合は、指示情報は、特色に対応する画素のRGB値の全てを、特色で印刷するよう指示するための情報である。一方、プリンタドライバ503において蛍光スポットカラーモードが指定されている場合は、指示情報は、記録装置108が使用可能な特色のうちプリンタドライバ503において有効に設定されている特色を用いた印刷を指示するための情報である。
そして、プリンタドライバ503において特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されていない状態で生成された画像データには、指示情報が付加されないこととなる。
<印刷システム全体>
図2は、本発明の印刷システムの構成を説明するブロック図である。画像処理装置101はホストPCやタブレットPCなどからなる。
CPU102は、HDD104に保持されるプログラムに従ってRAM103をワークエリアとしながら各種処理を実行する。例えばCPU102は、キーボード/マウスI/F106やタッチパネル(不図示)を介してユーザより受信したコマンドやHDD104に保持されるプログラムに従って記録装置108が記録可能な画像データを生成し、これを記録装置108に転送する。また、データ転送I/F107を介して記録装置108から受信した画像データにHDD104に記憶されているプログラムに従って処理を行い、その結果や様々な情報をディスプレイI/F105を介して表示装置であるディスプレイに表示する。
一方、記録装置108において、CPU111は、ROM113に保持されるプログラムに従ってRAM112をワークエリアとしながら各種処理を実行する。
さらに、記録装置108は、高速な画像処理を行うための画像処理アクセラレータ109を備える。画像処理アクセラレータ109は、CPU111よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ109は、CPU111が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM112の所定のアドレスに書き込むことにより起動され、上記パラメータとデータを読み込んだ後、上記データに対し所定の画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ109は必須な要素ではなく、同等の処理はCPU111で実行することができる。上記パラメータはROM113に格納してもよいし、フラッシュメモリやHDDなどのストレージ(不図示)に格納しておいてもよい。
(画像処理)
ここで、CPU111又は画像処理アクセラレータ109が行う所定の画像処理について説明を行う。この所定の画像処理は、入力された印刷データを各走査でのインクのドット形成位置を示すデータにまで加工する処理である。
CPU111又は画像処理アクセラレータ109は、入力された印刷データの色変換と量子化を行う。色変換は記録装置で扱うインク濃度に色変換する処理である。例えば入力された印刷データには画像を示す画像データと蛍光印刷を行う蛍光データが含まれる。この画像データがモニタの表現色であるsRGB等の色空間座標で画像を示す場合、このsRGBの色座標(R、G、B)を記録装置の減法混色インクデータ(CMYK)又は、蛍光色インクを含んだインクデータ(CMYKF)に変換する。蛍光データの場合は、蛍光色インクデータに変換する。さらに、色座標(R,G,B)と蛍光データの両方がある場合は、減法混色インクデータ(CMYK)と蛍光色インクデータの両方に、又は、蛍光色インクを含むインクデータ(CMYKF)と蛍光色インクデータの両方に変換される。後者の場合、蛍光色インクデータは2プレーン生成されることになる。変換方法は、マトリクス演算処理や三次元LUT、四次元LUTを用いた処理等の既知の手法によって実現される。本実施形態の記録装置108はブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、蛍光(F)のインクを用いることから、RGB信号の画像データと蛍光データは、K、C、M、Y、Fの各8ビットの色信号からなる画像データに変換される。各色の色信号は各インクの付与量に対応する。また、インクの数としてはK、C、M、Y、Fの5色を例に挙げたが、画質向上の為に、濃度の薄いライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなど、その他のインクを使用する場合は、それらに応じたインク信号が生成される。本実施形態では、ライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなどのインクも減法混色インクとして説明する。さらに黒(K)やグレー(Gy)などの無彩色インクも減法混色インクとして説明する。その後、インクデータに対して量子化処理を行う。この量子化処理は、インクデータの階調のレベル数を下げる処理である。本実施形態では、各画素についてインクデータの値と比較するための閾値を配列したディザマトリックスを用いて量子化を行う。この処理を経て、最終的には各ドット形成位置にドットを形成するかしないかを示す2値データにすることができる。
(紙面への画像形成)
所定の画像処理を終えた後、記録ヘッドコントローラ114によって、記録ヘッド115へ記録データが転送される。同時にCPU111は記録ヘッド115を動作させるキャリッジモータを動作させ、さらに紙を搬送する搬送モータも動作させる。記録ヘッドは紙上を走査し、同時に記録ヘッド115によって所定のインクが紙面に吐出され画像が形成されることになる。
複数走査記録を行う場合には、所定の画像処理を行った後に走査順決定処理を行う。走査順決定処理とは、各回の走査に対応したデータを生成するため、量子化処理後のデータに対してマスクパターン等を用いて、画像を間引く処理を行う。画像処理アクセラレータ109を用いる方が、処理を高速化することができる。
画像処理装置101は通信回線100を介して、記録装置108と繋がっている。本件では、一実施形態として通信回線100はイーサネット(登録商標)として記述するが、USBハブ、無線のアクセスポイントを用いた無線通信ネットワーク、Wifiダイレクト通信機能を用いた接続でもよい。
以下、記録ヘッドが、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ-(Y)、ブラック(K)の4色のカラ-インクと蛍光ピンク(FP)インクとの計5つの記録ノズル列を有するケ-スを例に挙げて説明する。蛍光色インクは蛍光ピンクの他に蛍光レッド(FR)、蛍光イエロー(FY)、蛍光グリーン(FG)、蛍光ブルー(FB)を用いてもよい。さらに複数の蛍光色インクを搭載してもよい。本発明において好ましくは、有彩色の減法混色インクと発色の色相角が近いインクを複数搭載することである。例えば、マゼンタインクと色相角の近い蛍光ピンク、イエローインクと色相角の近い蛍光イエロー、シアンインクと色相角の近い蛍光ブルーである。本発明では一つの蛍光色インクを用いてもよい。
<記録装置の記録ヘッドについて>
図3は、本実施形態における記録ヘッド115を説明するための図である。記録ヘッド115は、キャリッジ116と、ノズル列115k、115c、115m、115y、115FPと、光学センサ118とを有する。5つのノズル列115k、115c、115m、115y、115FPと光学センサ118とを搭載したキャリッジ116は、ベルト117を介して伝達されるキャリッジモ-タの駆動力によって、図中X方向(所謂、主走査方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ116が記録媒体に対し相対的にX方向に移動する最中、ノズル列の各ノズルからインクが記録デ-タに基づいて重力方向(図中-Z方向)に吐出される。これにより、プラテン119上に配された記録媒体に主走査1回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1回分の幅に対応する距離だけ搬送方向に沿って(図中-Y方向に)搬送される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に徐々に画像が形成される。
光学センサ118は、キャリッジ116とともに移動しながら検出動作を行うことにより、プラテン119上に記録媒体が存在するか判定する。
<記録ヘッドの説明>
図4は、記録ヘッド115を装置上面(-Z方向)から見た場合のノズル列の配置を示す図である。記録ヘッド115には、5つのノズル列、即ち、Kインクに対応するノズル列115k、Cインクに対応するノズル列115c、Mインクに対応するノズル列115m、Yインクに対応するノズル列115y、FPインクに対応するノズル列115FPがある。5つのノズル列は、X方向における位置が異なるように配置されている。ノズル列115cのノズルからCインクが吐出される。ノズル列115mのノズルからMインクが吐出される。ノズル列115yのノズルからYインクが吐出される。ノズル列115kのノズルからKインクが吐出される。ノズル列115FPからFPインクが吐出される。各ノズル列において、インクを滴として吐出するための複数のノズルがY方向に沿って所定のピッチで配列されている。そして、記録ヘッド115は、±X方向に移動しながら、各ノズル列からインクを吐出することにより画像を記録媒体上に形成する。
<蛍光色インクの特性と減法混色インクについて>
蛍光色材は、基底状態から励起波長の光を吸収し励起状態となり、発光波長の光を発光し基底状態に戻ることで発色している色材である。図5は記録媒体上に記録したときの波長に対する強度のグラフである。本図のグラフにおいて横軸を光の波長、縦軸を強度に設定したグラフである。このグラフは、記録サンプルに当てる光の波長とサンプルから受光される光の波長とを、それぞれ変化させて検知したときの光の強度を示している。
励起スペクトル401は、受光する光の波長を固定して、蛍光ピンクインクの記録サンプルに照射する光の波長を変化させたときに受光した光の強度を表している。
発光スペクトル402は、480[nm]の光を蛍光ピンクインクの記録サンプルに照射したときに励起する波長の光に記録サンプルから受光した光の強度を波長ごとに表している。
図5からも分かる通り、紙面上に記録された蛍光色インクの励起する波長域は、発光する波長域と被りつつ短波長側となる。また、励起スペクトル401は、波長毎に強弱があり効率的に発光する波長と発光しない波長をもっている。また、発光スペクトル402は蛍光色材が発光しているため、発光波長における反射率は1を超えることが多い。本実施形態では上記のような特性を持つ色材のことを蛍光色材と定義する。そして図5の発光スペクトル402は、480[nm]の可視光の光を当てた場合の結果を掲載しているが、励起401スペクトルでわかるように380[nm]にも励起強度があり、通常蛍光色インクは380[nm]以下の紫外線(UV光)にも励起する。
なお上述したように本実施形態において、蛍光色インクとは、蛍光色の特色インクのみで構成されたインクだけでなく、蛍光色インクとプロセスカラーインクが混ざったインクや、蛍光色の特色インクと蛍光色でない特色インクが混ざったインクも含む。同様に、本実施形態において、蛍光の特色とは、蛍光色の特色インクのみで印刷される色だけでなく、蛍光色インクとプロセスカラーインクの両方が用いられて印刷される色や、蛍光色の特色インクと蛍光色でない特色インクの両方が用いられて印刷される色も含む。一方プロセスカラーは、プロセスカラーインクのみで印刷される色である。
上記では蛍光ピンクの励起と発光について説明したが、本発明では他の波長を発光する蛍光色インクでもよい。例えば、青領域(450[nm]~500[nm])の光を発光する蛍光ブルー、緑領域(500[nm]~565[nm])の光を発光する蛍光グリーンある。さらに、黄色領域(565[nm]~590[nm])の光を発光する蛍光イエロー、赤領域(590[nm]~780[nm])の光を発光する蛍光オレンジ又は蛍光レッドなどでもよい。さらに、上述の組み合わせた蛍光色インクでもよい。さらに励起する波長の強度が異なる蛍光色インクを組み合わせて、色調を調整してもよい。例えば、青領域の励起が弱く緑領域の励起が強く、オレンジ領域を発光する蛍光ピンクなどである。
本実施形態では、減法混色インクとは、当てられた光のうち、特定波長の光を吸収し発光しない色材を含有するインクのことと定義する。例えば、減法混色インクは図4におけるシアン(C)403、マゼンタ(M)404、イエロー(Y)405のような分光反射率となる。図4のグラフは公知の分光反射率を測定する方法を用いて測定している。減法混色インクは蛍光色インクとは異なり、光を吸収するだけなので反射率が1を超えることはない。
次に蛍光色インクと減法混色インクを紙面上で混色させることについて図4を用いて説明する。蛍光ピンクとイエロー405を混色させた場合、イエローは蛍光ピンクの励起401の波長域(480[nm]付近)の光を吸光する。そのため、蛍光ピンクは励起401の波長域の光をイエローに吸収され、十分に励起することができず、発光が抑制されてしまう。蛍光ピンクとシアン403を混色させた場合、シアンは蛍光ピンクの発光402の波長域(560~640[nm]付近)の光を吸光する。そのため、蛍光ピンクが発光した光をシアンインクが吸光してしまい、発光した光が抑制されてしまう。蛍光ピンクとマゼンタ404を混色させた場合、蛍光ピンクの励起感度が高いところを吸光し、発光も吸光してしまう。蛍光ピンクと黒インク(不図示)を混色させた場合、励起401の波長域の光を吸収し、発光402の波長域の光も吸収する。そのため、蛍光ピンクの励起も抑制され、発光の光も吸収されてしまう。つまり、蛍光ピンクと減法混色インクを混色した場合、蛍光ピンクの発色への寄与率は低下してしまう。しかしながら、近年の記録装置では蛍光色インクを単独で使用するだけでなく、発色効果の見られる組み合わせにおいて、減法混色インクと併せて色を再現する記録装置も見られる。
一般的に印字に使用されるメディア(紙)は白が多く、その反射率は可視領域においてほぼ一定で且つ多くは高い反射率を示す(不図示)。そのため、本実施形態では、印字された色の最大分光反射率をaとした場合、aと同一波長における紙白の分光反射率をbとした場合、a>bが成り立つ色を蛍光色と定義する。
<蛍光色インクについて>
次に、本実施形態で使用される蛍光色インクについて説明する。
本実施形態では、蛍光特性をもつ色材の分散体と溶剤と活性材を混ぜることで作成された蛍光色インクを使用する。本実施形態に用いられる蛍光色材の分散体は、上述した蛍光特性をもつ色材の分散体である。例えば、NKW-3207E(蛍光ピンク水分散体:日本蛍光化学)やNKW-3205E(蛍光イエロー水分散体:日本蛍光化学)であるが、蛍光特性を持っている色材の分散体であればよい。
上記の蛍光色材分散体に既知の溶剤と活性剤を組み合わせて蛍光色材分散体を分散することでインク化する。蛍光色材分散体の分散方式は特に限定されない。例えば、界面活性剤により分散させた蛍光色材分散体、分散樹脂により分散させた樹脂分散蛍光色材分散体、などを用いることができる。勿論、分散方式の異なる蛍光色材分散体を組み合わせて使用することも可能である。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両イオン性活性剤を用いることができる。分散樹脂は、水溶性もしくは水分散性を有する樹脂であれば何れのものも用いることができるが、中でも特に、分散樹脂の重量平均分子量が1,000以上100,000以下、更には3,000以上50,000以下のものが好ましい。溶剤は、例えば水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。
<記録媒体>
本発明の記録媒体は、基材と、少なくとも1層のインク受容層とを有している。本発明においては、インクジェット画像記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。
<蛍光色インクを用いた印刷の発光効果・色域拡大効果>
蛍光色インクを用いた印刷の発光効果および色域拡大効果に関して、図4で説明した蛍光ピンクインクを用いた場合を例に説明する。
蛍光ピンク単色だけでなく蛍光ピンクと他のインクを組み合わせた場合もインクの組み合わせ次第では光はそれほど抑制されず高発色な出力が得られ発光効果色域拡大効果が得られる。
図6に蛍光ピンクインクを用いた発光効果色域拡大効果について説明する。Lab空間で色域を定義することとする。図6(a)は色相角350度のプリンタ色域の断面図である。縦軸がLab空間における明度、横軸がLab空間における彩度を表す。色相角350度は蛍光ピンクインクの単色で印刷した場合の色相角と略同じである。実線601が蛍光ピンクを用いた場合の色域、破線602が蛍光ピンクを用いない場合の色域である。図6(b)は色相角55度のオレンジ色域の断面図である。実線603が蛍光ピンクを用いた場合の色域、破線604が蛍光ピンクを用いない場合の色域である。実線603では蛍光ピンクとイエローインクを組み合わせて使うことで色域を広げることができる。図6(c)は色相角315度のバイオレット色域の断面図である。実線605が蛍光ピンクを用いた場合の色域、破線606が蛍光ピンクを用いない場合の色域である。実線605では蛍光ピンクとシアンインクを組み合わせて使うことで色域を広げることができる。C,M,Yインクの減法混色インクと蛍光ピンクインクを併せて使用する場合は、発光の抑制効果がもっとも少ないYインクとの組み合わせが発色を抑制しないためオレンジ色で発光効果・明度側の色域拡大が得られる。
蛍光色インクとして蛍光ピンク1色の場合のみを示したが、蛍光ピンクと蛍光イエローの蛍光色インクを2色使った場合、図6(b)の色域拡大はより広がり蛍光効果が得られる。
この色域は可視光をあてたときの色域を表示しているが、前述のように紫外光(UV光)を含む光をあてることで蛍光色インクの発光効果をより得ることができる。
<蛍光色インクを用いたポスターと蛍光スポットカラーについて>
蛍光色インクを用いたポスターについて図7および図8を用いて説明する。
まず図7はポスター画像の一例である。図7のポスターには、背景部701、図形部702、703および文字部704が存在する。次にこのポスターを記録する色について図8を用いて説明する。図8は、色相角350°における記録装置の色域の断面図であり、縦軸がLab空間における明度、横軸がLab空間における彩度を表す。色801,802,803,804は蛍光ピンクを用いず減法混色だけで記録することのできる色域に含まれる色であり、色805、806は蛍光ピンクを使うことではじめて記録することのできる色域の色である。背景部701は色801、図形702は色802で印刷するとする。蛍光ピンクを用いない印刷では、図形703に色803、文字704に色804で印刷する。これが通常の印刷にあたる。蛍光ピンクを用いたポスターの場合は、図形703は色805、文字704は色806の色で印刷する。色805および色806は蛍光ピンクを用いないと印刷できない色であり、色801および色802と比較して蛍光色インクの発光効果で明るく鮮やかな色で印刷できる。そのため、図形703および文字704がワンポイントで目を引くポスターを作成することができる。さらに、ユーザが色805、806のような蛍光色インクを使用して明るく鮮やかな色をパレットなど複数候補の中から選択し、ポスター内の指定領域(今回の例では図形703および文字704)の色を置き換えて使用できるようにしてもよい。このような機能を本実施形態では蛍光スポットカラーと呼ぶこととする。
蛍光スポットカラーでは蛍光色インクの発光効果として、通常の照明光に加えて、紫外光(UV光)を照射することにより蛍光色インクの発光効果がより現れより目立つポスターを作製できる。
<アプリケーション>
アプリケーション502を用いてポスター作成する方法についてさらに説明する。図7のポスター原図を使用して、蛍光スポットカラーを使用したポスターを作成することとする。ポスター作成時のアプリケーション502のUIを図9に示す。
表示画面には、アプリケーション502全体の表示画面である全体表示部901、アプリケーション502により作成しているポスター画像の画像表示部902を備えている。画像表示部902には、図7で提示したポスターを表示しているとする。全体表示部901には、蛍光スポットカラーを色選択する蛍光スポットカラーパレット部903と通常色を色選択する通常色カラーパレット部904を備える。蛍光スポットカラーパレット部は、蛍光色インクの発光効果で明るく鮮やかになる複数の色がRGB値のスポットカラーとして使用できるように用意されている。通常色カラーパレット部904は、OS標準のペイントアプリや、その他通常のアプリケーション502に搭載されているものと同等なRGBベースで定義されたカラーパレットである。そして、ユーザはパレットの中から置き換えたい色を選択した後、ポスター画像内のオブジェクトを指定すると、オブジェクトの色はパレットから選択した色に置き換わる。画像データの画像表示部902の画像データの少なくとも一部の画像領域を選択表示する選択領域設定部905を備える。さらに、編集完了後、印刷するための設定画面へ切り替えるための[印刷設定]ボタン906、印刷を実行するための[印刷]ボタン907、処理をキャンセルする[キャンセル]ボタン908を持つ。
[印刷設定]ボタン906を押すとアプリケーション502から印刷ダイアログが起動する。一般的にアプリケーション502が備える印刷ダイアログからはプロパティボタン等を押すことにより、選択している記録装置108の設定を確認、又は変更することができる。
<印刷設定画面について>
図10は、プリンタドライバ503が表示する設定画面のユーザインタフェースを示す。ユーザはアプリケーション502で編集したポスター画像を印字するために、用紙サイズを用紙サイズ設定部1001で設定する。次に給紙方法を設定する給紙方法設定部1002、用紙の種類を設定する用紙種類設定部1003、印刷の品質を設定する印刷品質設定部1004を設定する。そして、カラーモード設定部1005にて、特色を使用した印刷を実行するためのモードか、特色を用いずに印刷を実行するためのモードかを設定する。本実施形態では、特色を使用した印刷を実行するためのモードは、特色モードともいう。特色を使用した印刷を実行するためのモードとは具体的には、特色に対応するRGB値を有する画素をプロセスカラーではなく特色で印刷するためのモードである。そして、特色を用いずに印刷を実行するためのモードとは具体的には、特色に対応するRGB値を有する画素を特色ではなくプロセスカラーで印刷するためのモードである。そして印刷前に仕上がりを確認する印刷プレビューチェックボックス1006にチェックを入れて、[OK]ボタン1007を押すと印刷データは印刷プレビュー制御部506へ渡されて、印刷プレビューの起動処理が開始される。印刷プレビューチェックボックス1006にチェックを入れずに[OK]ボタン1007を押した場合は、ユーザインタフェース表示が終了する。そして、アプリケーション502の印刷ダイアログから[印刷開始]ボタン907を押すことにより、プリンタドライバ503に印刷データが渡される。一方、[キャンセル]ボタン1008を押した場合はユーザインタフェースの設定は無効となり、プリンタドライバ503が表示する設定画面のユーザインタフェースは閉じてアプリケーション502の画面へ戻る。
なお特色を使用した印刷を実行するためのモードか、特色を用いずに印刷を実行するためのモードかの設定の方法は、上述した形態に限定されない。例えばプリンタドライバ503は、特色印刷を設定するか否かを受け付ける領域であり、1つの特色に対応するチェックボックスを表示しても良い。複数の特色を用いた印刷を実行可能な形態においては、複数のチェックボックスが表示されて良い。そして、該当チェックボックスへの操作に基づいて、操作されたチェックボックスに対応する特色を使用した印刷を実行するためのモードか、操作されたチェックボックスに対応する特色を使用しない印刷を実行するためのモードかを切り替える。具体的には例えばプリンタドライバ503は、蛍光ピンクに対応するチェックボックスを表示可能である。蛍光ピンクに対応するチェックボックスは、蛍光ピンクに対応するRGB値を有する画素を蛍光ピンクで印刷するための特色印刷(蛍光ピンク特色印刷)を有効にするか否かの選択を受け付ける領域である。なお、蛍光ピンク特色印刷が有効にされていない場合、蛍光ピンクに対応するRGB値を有する画素は、蛍光ピンクでないプロセスカラーで色印刷される。そのため当該領域は、特定のRGB値を有する画素を、蛍光ピンクで印刷するか蛍光ピンクとは異なる色で印刷するかに関する設定を受け付けるための領域ともいえる。また例えば、特色インクを用いて印刷するか、特色インクを用いず通常のインクを用いて印刷するかの設定を受け付けるための領域ともいえる。
蛍光ピンク特色印刷が設定された場合、プリンタドライバ503で生成される印刷データに、蛍光ピンクと用いた印刷を記録装置108に指示するための指示情報が付加される。そして、当該指示情報が付加された印刷データに含まれる画素に、蛍光ピンクに対応するRGB値を持つ画素がある場合には、記録装置108により、当該印刷データに基づき、蛍光ピンクの特色インクを用いた印刷が実行される。蛍光ピンク特色印刷が設定されなかった場合、プリンタドライバ503で生成される印刷データに、蛍光ピンクと用いた印刷を記録装置108に指示するための指示情報が付加されない。そして、当該指示情報が付加されていない印刷データに含まれる画素に、蛍光ピンク対応するRGB値を持つ画素があっても当該画素の印刷において、蛍光ピンクの特色インクは使用されず、通常のインクのみが用いられる。なお蛍光ピンクに対応するチェックボックスと同様に、他の特色に対応するチェックボックスが表示されて、各特色に関して、特色印刷の有効や無効が設定されてよい。
<印刷プレビュー>
図11は印刷プレビュー制御部506が表示する印刷プレビューのユーザインタフェースである。印刷プレビューダイアログ1101は、印刷プレビュー表示部1102、拡大・縮小表示設定部1103、用紙サイズ設定部1104、給紙方法設定部1105,用紙種類設定部1106、印刷品質設定部1107を含んでいる。また、印刷プレビューダイアログ1101は、カラーモード設定部1108、[OK]ボタン1109、[キャンセル]ボタン1110を含んでいる。用紙サイズ設定部1104、給紙方法設定部1105,用紙種類設定部1106、印刷品質設定部1107、カラーモード設定部1108については前述のプリンタドライバ503が既に取得している設定内容がデフォルト値で反映されるようになっている。ユーザは印刷プレビュー表示部1102に表示される印刷画像のプレビュー画像を確認し、この内容で印刷を行いたい場合は[OK]ボタン1109を押すことにより、印刷データがプリンタドライバ503に印刷データが渡される。印刷プレビュー表示部1102に表示されるプレビュー画像を確認し、印刷しない場合は、[キャンセル]ボタン1110を押すことにより、印刷プレビューダイアログ1101が閉じる。印刷プレビュー制御部506が記録装置108と情報の送受信を行う際は、プリンタ情報取得設定部507を介して情報の送受信が行われる。
<印刷プレビューの表示処理>
次に図12を用いて画像処理装置101における印刷プレビューの表示処理について説明する。本処理は、画像処理装置101のCPU102がHDD104に格納されたプログラムをRAM103に展開して実行する。また、以下の処理のステップを“S”で表す。
S101では、CPU102は、印刷プレビューダイアログ1101を表示する。
S102で、CPU102は、印刷プレビューダイアログ1101に設定されたカラーモード設定部1108で選択された設定値を取得する。
S103で、CPU102は、記録装置108から取得したカラーモード設定部1108に設定された設定値に対応する印刷プレビュー表示用LUT(LookUp Table)を選択する。本実施例では、蛍光ポスターモード用と蛍光スポットカラーモード用に2種類のLUTがあり、その中からいずれかが選択されるものとする。本実施形態では、特色印刷が有効されている状態におけるモードとして、蛍光ポスターモードと蛍光スポットカラーモードとがあるものとする。そのためS103では、いずれのモードが設定されているかに応じて、LUTが選択されるものとする。蛍光ポスターモードは、印刷対象の画像のうち特色を使用できる全ての領域において特色を使用して印刷するためのモードである。一方、蛍光スポットカラーモードは、印刷対象の画像のうち有効に設定されている特色を使用できる領域のみにおいて特色を使用し、有効に設定されなかった特色を使用できる領域においては特色を使用せずに印刷するためのモードである。記録装置108が使用可能な各特色の有効/無効の設定は、プリンタドライバ503においてユーザが任意に実行可能である。印刷プレビュー表示用LUTの作成方法については後述する。
S104で、CPU102は、S103で選択した印刷プレビュー表示用LUTを用いてポスター画像データをプレビュー表示用に色変換をする。S103で蛍光ポスターモード用LUTが選択された場合は、発光する発光波長において、反射率が1を超える領域については、従来技術の色差最小、明度保持、彩度保持といったマッピング方法でモニタの色域内に明度、彩度を割り当ててプレビュー表示する。ただし、マッピング方法は記載した内容に限らない。そして、反射率が1以下となる領域については、後述の通り反射率が1を超える領域がプレビュー表示されるときの明度圧縮率よりも高い明度圧縮率となる明度でプレビュー表示されるように作られたプレビュー表示用LUTを使用して、プレビュー表示用にポスター画像データの色変換を行う。S103で蛍光スポットカラー用LUTが選択された場合は、ユーザが蛍光インクを使用すると決めたRGB信号値に対応する領域については、従来技術と同等の明度でプレビュー表示する。そして、その他の領域については、ユーザが蛍光インクを使用すると決めたRGB信号値がプレビュー表示されるときの明度圧縮率よりも高い明度圧縮率となる明度でプレビュー表示されるように作られたプレビュー表示用LUTを使用して、プレビュー表示用にポスター画像データの色変換を行う。
結果として、S103で蛍光ポスターモード用LUTが選択された場合は、印刷対象の画像のうち特色を使用できる全ての領域の明度圧縮率より、印刷対象の画像のうち特色を使用しない領域の明度圧縮率が高くなるように制御される。そして、S103で蛍光スポットカラーモード用LUTが選択された場合は、印刷対象の画像のうち有効に設定された特色を使用できる領域の明度圧縮率より、印刷対象の画像のうち有効に設定された特色を使用しない領域の明度圧縮率が高くなるように制御される。印刷対象の画像のうち有効に設定された特色を使用しない領域は、印刷対象の画像のうち無効に設定された特色を使用可能な領域も含まれうる。このように、蛍光ポスターモードと蛍光スポットカラーモードいずれが設定されているかに応じて、明度圧縮率が高くなるように制御される対象領域が異なることとなる。
S105で、CPU102は、S104での変換結果を印刷プレビューダイアログ1101の印刷プレビュー表示部1102に表示する。
S106で、CPU102は、カラーモード設定部1108が変更されたかを判断する。変更された場合は(S106でYesの場合)、印刷プレビューデータの表示を切り替える必要があるのでS103に戻って印刷プレビューデータ表示処理を行う。変更されていない場合は(S106でNoの場合)、S107に進む。
次のS107で、CPU102は、印刷プレビューダイアログ1101において、[OK]ボタン1109が押されたかどうかを判断する。[OK]ボタン1109が押された場合はS108へ進み、指定された印刷条件に従ってプリンタドライバ503でレンダリング処理を行い印刷データの作成を行う。
そしてS109で記録装置108に対して印刷データを送信することにより、本実施形態の印刷プレビュー処理が終了になる。押されていない場合はS107へ戻り、印刷プレビュー表示を行う。
S102では、カラーモード設定部1108の設定情報以外にも、用紙サイズ設定部1104、給紙方法設定部1105,用紙種類設定部1106、印刷品質設定部1107を取得してもよい。これらの情報が追加し、S103のLUTの種類を増やすことで、印刷結果に対するプレビュー表示の精度が高くなる。
本実施形態ではカラーモード設定部1108は蛍光色インクを使用したモードのみを記載しているが、蛍光色インクを使用しないモードも設定できるようにしてもよく設定項目に対する制限はない。これに応じて、S103において選択されるLUTも蛍光色インクを使用しないモードを搭載してもよく、LUTの数に対する制限はないものとする。また本実施形態ではプレビュー用の色変換はLUTを使用しているが、算出によってもよく色変換方法はLUTに限らない。また記録装置108の用紙種類設定部1106、印刷品質設定部1107、カラーモード設定部1108の情報に対応した色再現領域と蛍光色インクが発光する色を特定する情報を取得してLUTを随時算出してもよい。
<印刷プレビュー表示用LUTについて>
S103で使用する印刷プレビュー表示用LUTについて詳細に説明する。
ここでは簡略化のため、図13Aで示す5GridのLUTで説明する。入力画像データのRGB値からモニタのデバイスRGB値へ変換するLUTである。入力画像データRGB値は、一般的にはsRGB、AdobeRGBなどが挙げられるが、色空間はこれに限らない。例えば図13Bのように、格子点であるRGB値に対して、モニタのRGBの対応関係が割り当てられている。
<蛍光色表示用のLUT作成方法>
つぎに、LUTの作り方についてまず説明する。
まず、蛍光色インクを用いた蛍光ポスターもしくは蛍光スポットカラーの印字条件で記録装置108を使用してパッチチャートを印字する。パッチチャートは、生成する印刷プレビュー表示用LUTの格子点数に対応した16×16×16=4096個のカラーパッチからなる。なお、このパッチの数は、LUT格子点数に対応した数でなく、M個(Mは整数)でもよい。次に印字したパッチチャートの分光反射率を測定する。測色光源は可視光のみ、紫外光のみ、可視光と紫外光を併せもった光源でもよい。本実施形態で記載した蛍光ピンクは可視光、紫外光両者を吸収するため、可視光と紫外光を併せ持った光源を使用するものとする。次にパッチチャートを印字したメディアと同じメディアで印字されていない領域(以下「紙白」という。)の分光反射率を測定する。そして、各色のインクに対応する各パッチを測色することで得られる分光反射率と紙白の分光反射率を比較し、各パッチの分光反射率において最も反射率が高い波長において、紙白の反射率よりも高いか低いかを判定する。高い場合は蛍光色であり、同等以下の場合は非蛍光色と判定する。
以後の処理は図14を用いて説明する。図14は色相角350度のプリンタ色域の断面図である。縦軸がLab空間における明度、横軸がLab空間における彩度を表す。実線1501が蛍光ピンクを用いた場合の色域、一点鎖線1502は一般的なモニタの表示色域であり、ほぼ大きさはsRGB同程度の広さである。蛍光色と判定された色のパッチ信号値R,G,Bに応じた測色値1503(L1、1、)の情報を取得する。この測色値は分光反射率を測定した光源と同じものを使用してもよいが、用途に応じて可視光のみ、紫外光のみの光源でも構わない。
蛍光色の測色値1503(L1、1、)は、モニタの表示色域に対して色域内か色域外であるのかを判定し、色域外の場合はモニタの表示色域内に入るように明度L、色度a、bそれぞれを色変換(マッピング)する。このマッピング方法は公知の方法で構わない。マッピング後の値1504(L2、a、b)とすると元々の蛍光色の測色値Lとマッピング後のL2から圧縮率Lcompを式(1)で算出する。
comp=L2/L1 式(1)
そして、蛍光色全色について、Lcompを求めその中で最大の圧縮率であるLcomp maxを取得する。
次に非蛍光色1505(L、a、b)と判定された色について、Lcomp max以上(最大の圧縮率以上)の圧縮率Lcomp max+α(但し、0≦α)をかけて非蛍光色の圧縮後Lを算出する。
4=L3×(Lcomp max+α) 式(2)
その後Lに明度を圧縮したことで、非蛍光色1505(L、a、b)は中間点1506(L、a、b)のようにモニタの表示色域である一点鎖線1502の外へ出てしまう場合がある。その場合は、マッピングを行い、マッピング後非蛍光色1507(L、a、b)のように色域外のデータは色域内に収まるようにする。その結果、蛍光色は明るく、他の非蛍光色は暗く表示されるLUTが作成される。
また、Lcomp max以上の圧縮率をLcomp max+αと、式(2)のように調整値をαとして表現した。この調整値αは、圧縮率は自動的にもしくはユーザ可変、もしくはユーザがモニタを見る環境光によって自動的に可変するとしてもよい。その結果ユーザが、より見やすい印刷プレビュー表示に調整することができる。
また蛍光色インクは明るく鮮やかな色であるため、一般的に記録装置108のデバイス色域の各色相の最大彩度の明度よりも明るい。そのため蛍光色インクが使用される色相の最大彩度の明度の中で最も低い明度以下となるように設定しもよい。さらにモニタの白色と黒色の明度の平均値以下となるようにαを設定してもよい。そして暗所でブラックライトを当てて蛍光色インクを確認するような明るさとなる10ルクス以下になるようにαを設定して表示してもよい。このようにすることで、ユーザは手動調整する必要なく、ポスター画像に蛍光色インクを使用したことによる効果を確認しやすくなる。また本実施例では非蛍光色の明度については一律の圧縮率をかけていたが、一番高明度な信号値はLcomp max+αの圧縮率をかけ、黒へ向けて徐々に圧縮率を下げてもよい。この手法を使用することで、非蛍光色の暗部が黒く潰れることを防ぐことができるので、非蛍光色領域の仕上がりもユーザはより確認できるようになる。
また非蛍光色の色全てが黒くなると、蛍光色の使用場所を知ることはできるが、印刷時の仕上がりを把握することができなくなる。そのため、αは白もしくは非蛍光色の中で最も高い明度の色が黒にならないようにすることが好ましい。
また、本実施形態では明度で圧縮をかけているが、CIELABの式(3)を用いて、YCCに変換して輝度Yで圧縮をかけても良い。
L*=116(Y/Yn)1/3-16 式(3)
Y:輝度、Yn:基準白色の輝度値
その場合は、Helmholtz-Kohlruasch効果(ヘルムホルツ―コウラウシュ効果)の予測式を用いて、最も輝度の低い蛍光色から無彩色時に同等の明るさに見える低彩度の輝度Ygを算出し、該輝度以下となるように圧縮率を設定しもよい。この方法を使うことで、蛍光色の効果が確認できる中で、非蛍光色の色再現もモニタの色域内を広く使用することができるので、ユーザとしては有用である。なお、上記予測式は、納谷嘉信(1998). Helmholtz-Kohlruasch効果におけるVAC法とVCC法の関係 照明学会誌1998年82巻2号143-152.を参照されたい。
上述のようにすることで本実施形態では、特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されている(特色印刷が有効に設定されている)ことに基づいて、画像のうち特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための所定の制御が実行される。またより詳細には、複数の特色のうち蛍光の特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、蛍光の特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための所定の制御が実行される。またより詳細には、所定の蛍光の特色に対応するインクを測色した分光反射率において最も反射率が、紙白の反射率よりも高い場合に、当該所定の蛍光の特色に関して所定の制御が実行される。なお紙白の反射率よりも高い反射率に対応する所定の蛍光の特色が複数存在する場合もあり、その場合は、当該複数の蛍光の特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、当該複数の蛍光の特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御が実行される。言い換えれば、蛍光の特色であっても、当該蛍光の特色に対応するインクを測色することで得られる分光反射率において最も高い反射率が、紙白の反射率よりも低い場合には、その蛍光の特色に対応しない領域の明度圧縮率は、特色に対応しない領域の明度圧縮率と同様にして制御される。これにより、蛍光色インクを使用したことで明るく鮮やかに発色する色をよりユーザが認知可能なように印刷プレビューを表示することができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、各パッチの各パッチの分光反射率と紙白の分光反射率を比較し、各パッチを測色した分光反射率において最も反射率が高い波長において、紙白の反射率よりも高い場合に蛍光色と判定し、明度の圧縮を行った。第2の実施形態では、紙白の反射率より1.2倍以上高い反射率の場合を蛍光色と判定することにより、蛍光色と判定された場合は、その明度で圧縮を行うものである。
1.2倍以上とした理由は、前述の式(3)に対してY/Ynを蛍光色の反射率と紙白の反射率の比に置き換え、CIE 1976色差計算式にて
ΔEab={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
色差(ΔEab)を算出すると、色差は7.0以上となる。この結果は新編 色彩科学ハンドブック(第3版)(1998)によると、同一印字物内で同一色とみることは厳しい色差であることが判る、つまり、蛍光色による効果が明確にわかる差である。
本実施形態により、より蛍光色インクを使用したことで明るく鮮やかに発色する効果的な色に厳選してユーザに印刷プレビュー表示することができる。
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、蛍光ポスター、蛍光スポットカラーを提案したプレビュー表示のみであった。本実施形態では、図15のように通常表示モード切り替え設定部1401を設け、ここにチェックを入れることで、従来の通常表示と蛍光色表示用のLUTを使用した表示を切り替えることができるようにしたものである。
図15に、本実施例における印刷プレビューダイアログ1101を示す。印刷プレビューダイアログ1101では、新たに通常表示モード切り替え設定部1401を設けている。ここにチェックを入れることで、従来の通常表示と蛍光色表示用のLUTを使用した表示を切り替えることができる。蛍光色の明度を表現したプレビュー表示と、非蛍光色を適切に表現したプレビュー表示とを切換可能とすることで、実際の印刷イメージをユーザに認識可能に提供することが可能となっている。
但し、従来の通常表示では上述のとおり、モニタのデバイス色域外に位置する蛍光色は、色域表面付近にマッピングされるため、マッピング後の信号値周辺に位置する非蛍光色との見分けが難しくなる。ユーザは、2種のプレビュー表示と実際の印刷イメージとの関係が把握できるようトレーニングは必要である。
以上の上述の説明では、プレビュー表示はホストPCである画像処理装置側で行われる場合を説明したが、記録装置108内にプレビュー表示画像な画面を搭載している場合は、記録装置108側でプレビュー表示してもよい。
(その他の実施例)
上述では、特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されている(特色印刷が有効に設定されている)ことに基づいて、画像のうち特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための所定の制御を実行する形態について説明した。しかし例えば、プリンタドライバ503が複数の特色に対応しており、複数の特色のそれぞれにおいて、特色印刷の有効と無効が設定可能な形態では、異なる形態が採用されても良い。例えば、複数の特色のうち蛍光の特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されていることに基づいて前記所定の制御が実行される形態であっても良い。すなわち例えば、複数の特色のうち蛍光の特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されていないが、複数の特色のうち蛍光でない特色を使用した印刷を実行するためのモードが設定されている場合は、前記所定の制御が実行されない形態であっても良い。またこのとき実行される所定の制御において、蛍光である特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、蛍光でない特色に対応する領域の明度圧縮率が高くなるようにするため制御が実行されても良い。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101 画像処理装置
502 アプリケーション
503 プリンタドライバ
505 グラフィックス処理部
506 印刷プレビュー制御部

Claims (11)

  1. プログラムであって、
    画像処理装置のコンピュータを、
    前記プログラムにおいて、プロセスカラーと異なる色である特色を用いて画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、前記画像のうち前記特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御である所定の制御を実行する実行手段と、
    前記所定の制御が実行された後に前記画像を表示するための制御を実行する表示手段と、として機能させることを特徴とするプログラム。
  2. 前記プログラムにおいて、前記特色を用いずに前記画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、前記所定の制御が実行されずに前記画像が表示されることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  3. 前記所定の制御は、複数の前記特色のうち蛍光の前記特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記蛍光の前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御であることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  4. 前記所定の制御は、複数の蛍光の前記特色のうち1又は複数の所定の蛍光の特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記所定の蛍光の特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御であり、
    前記所定の蛍光の特色に対応するインクを測色した分光反射率において最も高い反射率が、紙白の反射率より高い反射率であることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  5. 前記所定の制御は、複数の蛍光の前記特色のうち1又は複数の前記所定の蛍光の特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち複数の蛍光の前記特色のうち特定の蛍光の特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御であり、
    前記特定の蛍光の特色に対応するインクを測色した分光反射率において最も高い反射率が、紙白の反射率より低い反射率であることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
  6. 前記所定の制御において、前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が前記特色に対応する領域の明度圧縮率の最大値以上となるように制御されることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  7. 前記所定の制御において、前記特色に対応しない領域の明度が、前記画像の表示に用いられるディスプレイの白色の明度と黒色の明度の平均値以下となるよう圧縮される
    ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  8. 前記画像のうち前記特色を使用できる全ての領域において特色を使用して印刷するための設定が前記プログラムにおいて行われている状態においては、前記所定の制御は、前記画像のうち前記特色に対応する全ての領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記全ての領域以外の領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御であり、
    前記画像のうち有効に設定されている特色を使用できる領域のみにおいて特色を使用し、有効に設定されなかった特色を使用できる領域においては特色を使用せずに印刷するための設定が前記プログラムにおいて行われている状態においては、前記所定の制御は、前記画像のうち前記有効に設定されている特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記有効に設定されている特色以外の領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御であることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  9. 前記特色は、蛍光ピンクのインク、蛍光オレンジのインク、ヴァイオレットのインク、グリーンのインク、オレンジのインク、金色のインク、銀色のインクのうち少なくとも1つが少なくとも用いられて印刷される色であることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  10. 所定のプログラムを有する画像処理装置であって、
    前記プログラムにおいて、プロセスカラーと異なる色である特色を用いて画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、前記画像のうち前記特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御である所定の制御を実行する実行手段と、
    前記所定の制御が実行された後に前記画像を表示するための制御を実行する表示手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
  11. 所定のプログラムを有する画像処理装置の制御方法であって、
    前記プログラムにおいて、プロセスカラーと異なる色である特色を用いて画像を印刷するための設定が行われていることに基づいて、前記画像のうち前記特色に対応する領域の明度圧縮率よりも、前記画像のうち前記特色に対応しない領域の明度圧縮率が高くなるようにするための制御である所定の制御を実行する実行ステップと、
    前記所定の制御が実行された後に前記画像を表示するための制御を実行する表示ステップと、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

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