JP2024052732A - 穀稈の刈取作業方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024052732000001
【課題】1台のコンバインで圃場内の倒伏した穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる穀稈の刈取作業方法を提供する。
【解決手段】操縦部(5)に、穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、操縦部(5)のコントローラ(30)は、刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、コントローラ(30)は、倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定する。
【選択図】図14

Description

本発明は、自動走行しているコンバインの穀稈の刈取作業方法に関するものである。
圃場に植立された穀稈の倒伏状態や圃場の湿田状態に応じて大型コンバインと小型コンバインを自動走行させて圃場の穀稈の刈取作業を行う技術が知られている。(特許文献1)
特開2021―19531号公報
しかし、特許文献1の技術では、圃場に少なくとも大型コンバインと小型コンバインを自動走行させて穀稈を刈取る必要があることから複数台のコンバインを所有する必要があった。
そこで、本発明は、1台のコンバインで圃場内の倒伏した穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる穀稈の刈取作業方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、前記刈取装置(3)の後方左側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインを自動走行させて圃場の穀稈を刈取る穀稈の刈取作業方法であって、
前記操縦部(5)に、前記穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、前記走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、前記第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記操縦部(5)のコントローラ(30)は、前記刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、前記第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記コントローラ(30)は、前記倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定することを特徴する穀稈の刈取作業方法である。
請求項2記載の発明は、前記コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)上に沿って増減速し、前記コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速する請求項1記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項3記載の発明は、前記コントローラ(30)は、前記左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が予め設定した高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速し、前記コントローラ(30)は、前記右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が所定の高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第2直線(56C)よりも高速の第3直線(56D)上に沿って増減速する請求項2記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項4記載の発明は、前記穂先高さ(B)を120cmに設定した請求項3記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項5記載の発明は、前記倒伏角度(A)を60度に設定した請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項6記載の発明は、前記操縦部(5)のキャビン(9)の上部に、前記倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を測定するカメラ(25)を上下方向の昇降と軸心方向に回動する支持装置(26)を介して設けた請求項1記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)に、穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、操縦部(5)のコントローラ(30)は、刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、コントローラ(30)は、倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定するので、1台のコンバインで倒伏穀稈が刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのを抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)上に沿って増減速し、コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を、第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速するので、刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのをより抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業をより効率良く行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が予め設定した高さを超える場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速し、コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が所定の高さを超える場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を、第2直線(56C)よりも高速の第3直線(56D)上に沿って増減速するので、刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのをさらに抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業をさらに効率良く行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、穂先高さ(B)を120cmに設定したので、走行装置(2)の走行速度に対して刈取装置(3)の刈取回転数を適切に変更することができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、倒伏角度(A)を60度に設定したので、倒伏していない穀稈と倒伏穀稈を容易に選別することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)のキャビン(9)の上部に、倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を測定するカメラ(25)を上下方向の昇降と軸心方向に回動する支持装置(26)を介して設けたので、穀稈の刈取作業開始前に、穀稈の倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を容易に測定することができる。
コンバインの正面図である。 コンバインの平面図である。 コンバインの左側面図である。 操縦部の説明図である。 測位衛星とコンバイン等の接続図である。 コンバインのコントローラの接続図である。 ドローンの説明図である。 測位衛星とドローン等の接続図である。 ドローンのコントローラの接続図である。 倒伏領域の説明図である。 穀稈の倒伏角度と穂先高さの説明図である。 左倒伏刈りと、追い刈りと、右倒伏刈りと、向い刈り説明図である。 走行装置の走行速度と刈取装置の刈取回転数の説明図である。 刈取方法の説明図である。 詰まり防止優先経路の説明図である。 距離優先経路の説明図である。 駐車ブレーキペダルとロックレバーの正面図である。 駐車ブレーキペダルとロックレバーの左側面図である。 操縦部の後側に装着された消火器の右側面図である。 グレンタンクの取付プレートの正面図である。 キャビンの開口部とグレンタンクの開口部を説明する斜視図である。 バッテリと収納ケースの平面図である。
図1~3に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5は、上部に穀稈の倒伏角度や穂先高さを測定するカメラ25を備えたキャビン9によって囲繞されている。また、カメラ25は、上下方向に伸縮して軸心方向に回動する支持装置26に装着されている。
図4に示すように、操縦部5の操縦席の前側のフロントパネル10には、走行装置2の走行速度等を表示するタッチパネル式のモニタ11が設けられ、モニタ11の右側には、走行装置2を左右方向に旋回と刈取装置3を上下方向の昇降させる操作レバー12が設けられ、モニタ11の左側には、コンバインの走行経路を切替える経路切替スイッチ(請求項の「スイッチ」)13が設けられ、経路切替スイッチ13の左側には、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14が設けられている。なお、操作レバー12の操作状態は、操作レバー12の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
操縦部5の操縦席の左側のサイドパネル15には、エンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置を操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には、無段変速装置の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー17が設けられている。また、フロントパネル10の下側には、走行装置2にブレーキを掛ける駐車ブレーキペダル18が設けられている。なお、主変速レバー16の操作状態は、主変速レバー16の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定され、副変速レバー17の操作状態は、副変速レバー17の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
図5に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット20Aは、測位衛星21と、既知の位置に設けられた基地局22と、コンバインに設けられた移動局23で構成されている。これにより、測位衛星21から移動局23に送信されてくる位置情報と基地局22から移動局23に送信されてくる補正用の位置情報から移動局23の位置によってコンバインの位置を正確に得ることができる。
基地局22は、固定用の通信機22Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する固定用のGPSアンテナ22Bと、移動局23に補正用の位置情報を送信等する固定用のデータ送受信アンテナ22Cで構成されている。
移動局23は、移動用の通信機23Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する移動用のGPSアンテナ23Bと、基地局22からの補正用の位置情報を受信等する移動用のデータ送受信アンテナ23Cで構成されている。
図6に示すように、コンバインのコントローラ30は、CPU等からなる処理部30Aと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部30Bと、外部とのデータ通信用の通信部30Cから形成されている。
処理部30Aは、経路切替スイッチ13の入力状態を判断して、コンバインの走行経路54を穀稈の詰まり防止を優先する詰まり防止優先経路60又は走行距離を優先する距離優先経路(請求項の「第2優先経路」)65を設定する。
記憶部30Bは、圃場の形状、刈取装置3の刈幅、図13に示す穀稈の倒伏角度と穂先高さに基づいて走行装置2の走行速度に対する刈取装置3の刈取速度を変化させる直線等の保存を行う。
通信部30Cは、GPSアンテナ23Bを介して測位衛星21からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ23Cを介して基地局22からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ23Cを介して後述するドローン40からの測定データ51の受信等を行う。
コントローラ30の入力側には、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14と測位衛星21からの位置情報を受信するGPSアンテナ23Bと、基地局22からの位置情報の受信やドローン40からの測定データ51を受信するデータ送受信アンテナ23Cと、後述する倒伏領域52に植立する穀稈の倒伏角度や倒伏方向を測定するカメラ25が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
コントローラ30の出力側には、走行経路54の設定後に走行装置2の自動走行を開始する走行開始スイッチ58と、刈取装置3の刈取回転数の増減速を行う増減速手段59が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
<ドローン>
図7に示すように、圃場の上空を飛行して倒伏した穀稈の位置を測定するドローン40には、ドローン40と穀稈の距離を測定する赤外線センサや超音波センサ等の距離センサ41が搭載されている。
図8に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット20Bは、測位衛星21と、既知の位置に設けられた基地局22と、ドローン40に設けられた移動局24で構成されている。これにより、測位衛星21から移動局24に送信されてくる位置情報と基地局22から移動局24に送信されてくる補正用の位置情報から移動局24の位置によってドローン40の飛行位置を正確に得ることができる。
移動局24は、移動用の通信機24Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する移動用のGPSアンテナ24Bと、基地局22からの補正用の位置情報を受信等する移動用のデータ送受信アンテナ24Cで構成されている。また、基地局22の構成は上述したとおりである。
図9に示すように、ドローン40のコントローラ31は、CPU等からなる処理部31Aと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部31Bと、外部とのデータ通信用の通信部31Cから形成されている。
処理部31Aは、予め記憶部32Bに保存された圃場の位置、圃場の形状に基づいてドローン40を反時計回りに飛行させる飛行経路50を設定する。これにより、倒伏した穀稈の位置を特定することができる。
記憶部31Bは、ドローン40の距離センサ41で測定されたドローン40と穀稈の離間距離等の測定データ51を保存する
通信部31Cは、GPSアンテナ24Bを介して測位衛星21からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ24Cを介して基地局22からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ24Cを介してコンバインのコントローラ30から送信されてくる圃場の位置、圃場の形状の受信等を行う。
コントローラ31の入力側には、測位衛星21からの位置情報を受信するGPSアンテナ24B、基地局22からの位置情報の受信やコンバインのコントローラ30から送信されてくる圃場の位置等を受信するデータ送受信アンテナ24Cが所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
コントローラ31の出力側には、ドローン40と穀稈の離間距離を測定する距離センサ41が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
<倒伏した穀稈の領域の特定>
図10に示すように、圃場の上空に所定の距離隔てて設けられた反時計方向の矩形状の飛行経路50に沿って飛行させて距離センサ41でドローン40と穀稈の離間距離を測定して記憶部31Bに保存する。
次に、記憶部31Bに保存された飛行位置と離間距離の測定データ51は、データ送受信アンテナ24Cとデータ送受信アンテナ23Cを介してコンバインのコントローラ30に送信される。
次に、コンバインのコントローラ30は測定データ51に基づいて、離間距離が予め設定した設定離間距離よりも長い場合には、倒伏した穀稈と判断して、倒伏した穀稈の倒伏領域52を特定する。なお、倒伏した穀稈の高さは倒伏していない穀稈の高さよりも低く、ドローン40と倒伏した穀稈の離間距離は、ドローン40と倒伏していない穀稈の離間距離よりも長くなる。また、符号45は圃場を示している。
<穀稈の倒伏角度と倒伏方向の特定>
図11に示すように、コンバインのキャビン9に設けられたカメラ25を倒伏領域52に向けて倒伏した穀稈を撮影して、穀稈の倒伏角度と、倒伏方向と、穂先高さの穀稈データ53を測定する。これにより、倒伏領域52に植立された倒伏した穀稈の倒伏角度と、倒伏方向と、穂先高さを特定することができる。なお、本実施形態では、穀稈の倒伏角度は、カメラ25で撮影した複数の穀稈の倒伏角度から算出した平均値を設定し、倒伏方向は、カメラ25で撮影した複数の穀稈の50%以上の穀稈の倒伏方向を設定し、穂先高さは、カメラ25で撮影した複数の穀稈の穂先高さら算出した平均値を設定した。また、図11は、コンバインの走行方向に対して、穀稈の穂先が株元よりも右側に位置している右倒伏した形態を図示し、符号Aが倒伏角度を示し、符号Bが穂先高さを示している。
<倒伏した穀稈の刈取方法>
図12に示すように、倒伏領域52に植立した穀稈は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏し、倒伏角度は45度である。
コンバインを反時計方向に矩形状の走行経路54に沿って走行させた場合、コンバインを走行経路54に沿って下側から上側に走行中の刈取作業は左倒伏刈り55Aといわれ、コンバインを走行経路54に沿って右側から左側に走行中の刈取作業は追い刈り55Bといわれ、コンバインを走行経路54に沿って上側から下側に走行中の刈取作業は右倒伏刈り55Cといわれ、コンバインを走行経路54に沿って左側から右側に走行中の刈取作業は向い刈り55Dといわれる。
左倒伏刈り55Aの場合は、折り重なった倒伏した穀稈の内、上側の穀稈から刈取装置3によって引起こされて刈取られるので刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが少ない。
また、追い刈り55Bの場合は、折り重なった倒伏した穀稈の内、上側の穀稈から刈取装置3によって引起こされて刈取られるので刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが少ない。
一方、右倒伏刈り55Cの場合、刈取装置3の左外側に植立した穀稈が、刈取装置3で刈取りする穀稈の上側に覆いかぶさり刈取り直前に穀稈どうしが絡まるので、刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが高くなる。
また、向い刈り55Dの場合は、刈取装置3で引起こされて刈取られる穀稈の上側に、その前方に植立された穀稈が覆いかぶさり刈取り直前に穀稈どうしが絡まるので、刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが高くなる。
図13に示すように、横軸はコンバインの走行装置2の走行速度を示し、縦軸は刈取装置3の刈取回転数を示している。
穀稈の倒伏角度が60度以下の場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線56Aに示すように、走行装置2の走行速度が0~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度未満の穀稈を効率良く刈取ることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超の場合で、左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bの場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第1直線」)56Bに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R1rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR1~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上の穀稈を、効率良く左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bすることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超の場合で、右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dの場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第2直線」)56Cに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R3rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR3~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上の穀稈を、効率良く右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dすることができる。
また、穀稈の倒伏角度が60度超、且つ、穂先高さが120cm超の場合で、左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bの場合は、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線56Cに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R3rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR3~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上で穂先高さが120cm以上の穀稈を、効率良く左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bすることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超、且つ、穂先高さが120cm超の場合で、右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dの場合は、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第3直線」)56Dに示すように、走行装置2の走行速度が0~0.6m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R2rpmに増速し、走行装置2の走行速度が0.6~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR2~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上で穂先高さが120cm以上の穀稈を、効率良く右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dすることができる。
<刈取方法>
図14に示すように、ステップS1で、コンバインのコントローラ30の処理部30Aは、経路切替スイッチ13の操作状態を判断する。経路切替スイッチ13が、穀稈の詰まり防止優先側に操作されていると判断した場合にはステップS2に進み、経路切替スイッチ13が、走行距離を短くする距離優先側に操作されていると判断した場合にはステップS5に進む。
ステップS2で、処理部30Aは、倒伏領域52に植立した穀稈の倒伏角度、倒伏方向、及び穂先高さと、位置が関連付けられた測定データ51に基づいて詰まり防止優先経路(請求項の「第1優先経路」)60を設定する。
図15の倒伏領域52に植立された穀稈(図示省略)は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏した形態である。処理部30Aは、詰まり防止優先経路60として、作業者が圃場の外周部に沿って反時計方向にコンバインを走行させて回刈りした終端部から刈取装置3の刈幅を隔てて倒伏領域52の下部から上部に向けて直線状に延在する設定経路(請求項の「第1設定経路」)61を形成してステップS3に進む。
ステップS3で、処理部30Aは、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14の操作状態を判断する。自動走行スイッチ14が入力されていると判断した場合には、走行開始スイッチ58を入力してコンバインの走行を開始し、コンバインの設定経路61に沿って自動走行させて往復刈りを行ってステップS4に進む。一方、自動走行スイッチ14が入力されていないと判断した場合には、ステップS3を繰返す。
図15には、設定経路61として、3本の設定経路61A~61Cが図示されている。処理部30Aは、コンバインを設定経路61Aに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Aに沿って終端部から始端部を自動走行させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路61Aの始端部から設定経路61Bの始端部に移動させた後に、コンバインを設定経路61Bに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Bに沿って終端部から始端部を自動走行させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路61Bの始端部から設定経路61Cの始端部に移動させた後に、コンバインを設定経路61Cに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Cに沿って終端部から始端部を自動走行させる。これにより、コンバインの進行方向に対して左倒伏した穀稈を左倒伏刈り55Aすることができ、刈取装置3に穀稈が詰まるのを防止することができる。
ステップS4で、処理部30Aは、穂先高さが120cm以下の場合には、図13に図示した直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、穂先高さが120cm超の場合には、図13の直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
なお、上述では、倒伏領域52に植立された穀稈が左倒伏した形態について説明したが、倒伏領域52に植立された穀稈が、コンバインの進行方向に対して穀稈の穂先が株元よりも前側に位置している追倒伏した形態でも同じである。
ステップS5で、処理部30Aは、倒伏領域52に植立した穀稈の倒伏角度、倒伏方向、及び穂先高さと、位置が関連付けられた測定データ51に基づいて距離優先経路65を設定する。
図16の倒伏領域52に植立された穀稈(図示省略)は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏した形態である。処理部30Aは、距離優先経路65として、作業者が圃場の外周部に沿って反時計方向にコンバインを走行させて回刈りした終端部から刈取装置3の刈幅を隔てて倒伏領域52を反時計方向に矩形状に回転する設定経路(請求項の「第2設定経路」)66の設定経路66A~66Eを形成してステップS6に進む。
ステップS6で、処理部30Aは、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14の操作状態を判断する。自動走行スイッチ14が入力されていると判断した場合には、走行開始スイッチ58を入力してコンバインの走行を開始し、コンバインの設定経路66A~66Eに沿って自動走行させて回刈りを行ってステップS7に進む。一方、自動走行スイッチ14が入力されていないと判断した場合には、ステップS6を繰返す。
図16には、設定経路66として、反時計方向に回転する5本の設定経路66A~66Eが図示されている。処理部30Aは、コンバインを設定経路66Aに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Bの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Bに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Cの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Cに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Dの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Dに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Eの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Eに沿って始端部から終端部を自動走行させる。これにより、コンバインを短い距離自動走行させて倒伏領域52に植立した穀稈を効率良く刈取ることができる。
ステップS7で、処理部30Aは、穂先高さが120cm以下の場合に、コンバインが設定経路66Aを自動走行している場合には、図13に図示した直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Bを自動走行している場合には、直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Cを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Dを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Eを自動走行している場合には、直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
また、ステップS7で、処理部30Aは、穂先高さが120cm超の場合に、コンバインが設定経路66Aを自動走行している場合には、図13に図示した直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Bを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Cを自動走行している場合には、直線56Dに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Dを自動走行している場合には、直線56Dに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Eを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
<駐車ブレーキペダルとロックレバー>
図17,18に示すように、駐車ブレーキペダル18の左側には、駐車ブレーキペダル18の踏込み量を所定の範囲に調整する後上がり傾斜に形成されたロックレバー19が設けられている。
ロックレバー19の操作部19Aは、踏込みがされていない駐車ブレーキペダル18よりも所定の間隔を隔てて上方に位置させるのが好ましい。これにより、操作部19Aが駐車ブレーキペダル18に接触することを防止してロックレバー19の操作を容易に行うことができる。
<消化器>
図19に示すように、操縦部5の後上下フレーム70には、消火器71が装着するのが好ましい。これにより、操縦部5の後壁の後側に形成される空間を有効に活用することができる。なお、符号72は、外気中の不純物を除去するエアクリーナを示している、
<グレンタンク>
図20に示すように、グレンタンク7の前壁は、上下方向に長軸を有する長穴74Aが形成された取付プレート74を介して支持プレート75に連結するのが好ましい。これにより、側面視において、グレンタンク7の前壁が傾斜して装着されるのを防止して、操縦部5の後壁とグレンタンク7の前壁の下部の離間間隔と、操縦部5の後壁とグレンタンク7の前壁の上部の離間間隔を同一間隔に維持することができる。
<キャビンとグレンタンク>
図21に示すように、キャビン9の後壁に透明の樹脂が内嵌された開口部77を形成し、グレンタンク7の前壁の開口部77に対向する部位に透明の樹脂が内嵌された開口部78を形成するのが好ましい。これにより、作業者が開口部77と開口部78を介してグレンタンク7に貯留された穀粒の貯留量を目視で確認することができる。
<バッテリ>
図22に示すように、刈取装置3の駆動をエンジンEに替えて電動モータ(図示省略)で駆動する場合、電動モータに供給する電気を蓄電するバッテリ80を機体フレーム1におけるグレンタンク7の下側に対向する部位に配置されている。また、バッテリ80は、収納位置と引出位置を摺動可能な収納ケース81に収納するのが好ましい。これにより、収納ケース81を機体フレーム1の右側の引出位置に引出してバッテリ80の交換を容易に行うことができる。
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
5 操縦部
13 経路切替スイッチ(スイッチ)
30 コントローラ
55A 左倒伏刈り
55B 追い刈り
55C 右倒伏刈り
55D 向い刈り
56B 直線(第1直線)
56C 直線(第2直線)
56D 直線(第3直線)
60 詰まり防止優先経路(第1優先経路)
61 設定経路(第1設定経路)
65 距離優先経路(第2優先経路)
66 設定経路(第2設定経路)
A 倒伏角度
B 穂先高さ
本発明は、自動走行しているコンバインの穀稈の刈取作業方法に関するものである。
圃場に植立された穀稈の倒伏状態や圃場の湿田状態に応じて大型コンバインと小型コンバインを自動走行させて圃場の穀稈の刈取作業を行う技術が知られている。(特許文献1)
特開2021―19531号公報
しかし、特許文献1の技術では、圃場に少なくとも大型コンバインと小型コンバインを自動走行させて穀稈を刈取る必要があることから複数台のコンバインを所有する必要があった。
そこで、本発明は、1台のコンバインで圃場内の倒伏した穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる穀稈の刈取作業方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、前記刈取装置(3)の後方側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインを自動走行させて圃場の穀稈を刈取る穀稈の刈取作業方法であって、
前記操縦部(5)に、前記穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、前記走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、前記第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記操縦部(5)のコントローラ(30)は、前記刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、前記第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記コントローラ(30)は、前記倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定し、前記コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)上に沿って増減速し、前記コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速することを特徴する穀稈の刈取作業方法である。
請求項記載の発明は、前記コントローラ(30)は、前記左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が予め設定した高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速し、前記コントローラ(30)は、前記右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が所定の高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第2直線(56C)よりも高速の第3直線(56D)上に沿って増減速する請求項記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項記載の発明は、前記穂先高さ(B)を120cmに設定した請求項記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項記載の発明は、前記倒伏角度(A)を60度に設定した請求項1~のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項記載の発明は、前記操縦部(5)のキャビン(9)の上部に、前記倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を測定するカメラ(25)を上下方向の昇降と軸心方向に回動する支持装置(26)を介して設けた請求項1記載の穀稈の刈取作業方法である。
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)に、穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、操縦部(5)のコントローラ(30)は、刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、コントローラ(30)は、倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定し、コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)上に沿って増減速し、コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を、第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速するので、1台のコンバインで倒伏穀稈が刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのを抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業を効率良く行うことができる。
また、刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのをより抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業をより効率良く行うことができる。
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明による効果に加えて、コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が予め設定した高さを超える場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速し、コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が所定の高さを超える場合には、走行装置(2)の走行速度に対して、刈取装置(3)の刈取回転数を、第2直線(56C)よりも高速の第3直線(56D)上に沿って増減速するので、刈取装置(3)に倒伏穀稈が詰まるのをさらに抑制したり、又は、走行装置(2)の走行距離を短くして穀稈の刈取作業をさらに効率良く行うことができる。
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明による効果に加えて、穂先高さ(B)を120cmに設定したので、走行装置(2)の走行速度に対して刈取装置(3)の刈取回転数を適切に変更することができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1~のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、倒伏角度(A)を60度に設定したので、倒伏していない穀稈と倒伏穀稈を容易に選別することができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操縦部(5)のキャビン(9)の上部に、倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を測定するカメラ(25)を上下方向の昇降と軸心方向に回動する支持装置(26)を介して設けたので、穀稈の刈取作業開始前に、穀稈の倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を容易に測定することができる。
コンバインの正面図である。 コンバインの平面図である。 コンバインの左側面図である。 操縦部の説明図である。 測位衛星とコンバイン等の接続図である。 コンバインのコントローラの接続図である。 ドローンの説明図である。 測位衛星とドローン等の接続図である。 ドローンのコントローラの接続図である。 倒伏領域の説明図である。 穀稈の倒伏角度と穂先高さの説明図である。 左倒伏刈りと、追い刈りと、右倒伏刈りと、向い刈り説明図である。 走行装置の走行速度と刈取装置の刈取回転数の説明図である。 刈取方法の説明図である。 詰まり防止優先経路の説明図である。 距離優先経路の説明図である。 駐車ブレーキペダルとロックレバーの正面図である。 駐車ブレーキペダルとロックレバーの左側面図である。 操縦部の後側に装着された消火器の右側面図である。 グレンタンクの取付プレートの正面図である。 キャビンの開口部とグレンタンクの開口部を説明する斜視図である。 バッテリと収納ケースの平面図である。
図1~3に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5は、上部に穀稈の倒伏角度や穂先高さを測定するカメラ25を備えたキャビン9によって囲繞されている。また、カメラ25は、上下方向に伸縮して軸心方向に回動する支持装置26に装着されている。
図4に示すように、操縦部5の操縦席の前側のフロントパネル10には、走行装置2の走行速度等を表示するタッチパネル式のモニタ11が設けられ、モニタ11の右側には、走行装置2を左右方向に旋回と刈取装置3を上下方向の昇降させる操作レバー12が設けられ、モニタ11の左側には、コンバインの走行経路を切替える経路切替スイッチ(請求項の「スイッチ」)13が設けられ、経路切替スイッチ13の左側には、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14が設けられている。なお、操作レバー12の操作状態は、操作レバー12の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
操縦部5の操縦席の左側のサイドパネル15には、エンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行う無段変速装置を操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には、無段変速装置の出力回転の増減速を行うトランスミッションを操作する副変速レバー17が設けられている。また、フロントパネル10の下側には、走行装置2にブレーキを掛ける駐車ブレーキペダル18が設けられている。なお、主変速レバー16の操作状態は、主変速レバー16の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定され、副変速レバー17の操作状態は、副変速レバー17の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサによって測定されている。
図5に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット20Aは、測位衛星21と、既知の位置に設けられた基地局22と、コンバインに設けられた移動局23で構成されている。これにより、測位衛星21から移動局23に送信されてくる位置情報と基地局22から移動局23に送信されてくる補正用の位置情報から移動局23の位置によってコンバインの位置を正確に得ることができる。
基地局22は、固定用の通信機22Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する固定用のGPSアンテナ22Bと、移動局23に補正用の位置情報を送信等する固定用のデータ送受信アンテナ22Cで構成されている。
移動局23は、移動用の通信機23Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する移動用のGPSアンテナ23Bと、基地局22からの補正用の位置情報を受信等する移動用のデータ送受信アンテナ23Cで構成されている。
図6に示すように、コンバインのコントローラ30は、CPU等からなる処理部30Aと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部30Bと、外部とのデータ通信用の通信部30Cから形成されている。
処理部30Aは、経路切替スイッチ13の入力状態を判断して、コンバインの走行経路54を穀稈の詰まり防止を優先する詰まり防止優先経路60又は走行距離を優先する距離優先経路(請求項の「第2優先経路」)65を設定する。
記憶部30Bは、圃場の形状、刈取装置3の刈幅、図13に示す穀稈の倒伏角度と穂先高さに基づいて走行装置2の走行速度に対する刈取装置3の刈取速度を変化させる直線等の保存を行う。
通信部30Cは、GPSアンテナ23Bを介して測位衛星21からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ23Cを介して基地局22からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ23Cを介して後述するドローン40からの測定データ51の受信等を行う。
コントローラ30の入力側には、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14と測位衛星21からの位置情報を受信するGPSアンテナ23Bと、基地局22からの位置情報の受信やドローン40からの測定データ51を受信するデータ送受信アンテナ23Cと、後述する倒伏領域52に植立する穀稈の倒伏角度や倒伏方向を測定するカメラ25が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
コントローラ30の出力側には、走行経路54の設定後に走行装置2の自動走行を開始する走行開始スイッチ58と、刈取装置3の刈取回転数の増減速を行う増減速手段59が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
<ドローン>
図7に示すように、圃場の上空を飛行して倒伏した穀稈の位置を測定するドローン40には、ドローン40と穀稈の距離を測定する赤外線センサや超音波センサ等の距離センサ41が搭載されている。
図8に示すように、RTK-GPS測位方式である測位ユニット20Bは、測位衛星21と、既知の位置に設けられた基地局22と、ドローン40に設けられた移動局24で構成されている。これにより、測位衛星21から移動局24に送信されてくる位置情報と基地局22から移動局24に送信されてくる補正用の位置情報から移動局24の位置によってドローン40の飛行位置を正確に得ることができる。
移動局24は、移動用の通信機24Aと、測位衛星21からの位置情報を受信する移動用のGPSアンテナ24Bと、基地局22からの補正用の位置情報を受信等する移動用のデータ送受信アンテナ24Cで構成されている。また、基地局22の構成は上述したとおりである。
図9に示すように、ドローン40のコントローラ31は、CPU等からなる処理部31Aと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部31Bと、外部とのデータ通信用の通信部31Cから形成されている。
処理部31Aは、予め記憶部32Bに保存された圃場の位置、圃場の形状に基づいてドローン40を反時計回りに飛行させる飛行経路50を設定する。これにより、倒伏した穀稈の位置を特定することができる。
記憶部31Bは、ドローン40の距離センサ41で測定されたドローン40と穀稈の離間距離等の測定データ51を保存する
通信部31Cは、GPSアンテナ24Bを介して測位衛星21からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ24Cを介して基地局22からの位置情報の受信、データ送受信アンテナ24Cを介してコンバインのコントローラ30から送信されてくる圃場の位置、圃場の形状の受信等を行う。
コントローラ31の入力側には、測位衛星21からの位置情報を受信するGPSアンテナ24B、基地局22からの位置情報の受信やコンバインのコントローラ30から送信されてくる圃場の位置等を受信するデータ送受信アンテナ24Cが所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
コントローラ31の出力側には、ドローン40と穀稈の離間距離を測定する距離センサ41が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
<倒伏した穀稈の領域の特定>
図10に示すように、圃場の上空に所定の距離隔てて設けられた反時計方向の矩形状の飛行経路50に沿って飛行させて距離センサ41でドローン40と穀稈の離間距離を測定して記憶部31Bに保存する。
次に、記憶部31Bに保存された飛行位置と離間距離の測定データ51は、データ送受信アンテナ24Cとデータ送受信アンテナ23Cを介してコンバインのコントローラ30に送信される。
次に、コンバインのコントローラ30は測定データ51に基づいて、離間距離が予め設定した設定離間距離よりも長い場合には、倒伏した穀稈と判断して、倒伏した穀稈の倒伏領域52を特定する。なお、倒伏した穀稈の高さは倒伏していない穀稈の高さよりも低く、ドローン40と倒伏した穀稈の離間距離は、ドローン40と倒伏していない穀稈の離間距離よりも長くなる。また、符号45は圃場を示している。
<穀稈の倒伏角度と倒伏方向の特定>
図11に示すように、コンバインのキャビン9に設けられたカメラ25を倒伏領域52に向けて倒伏した穀稈を撮影して、穀稈の倒伏角度と、倒伏方向と、穂先高さの穀稈データ53を測定する。これにより、倒伏領域52に植立された倒伏した穀稈の倒伏角度と、倒伏方向と、穂先高さを特定することができる。なお、本実施形態では、穀稈の倒伏角度は、カメラ25で撮影した複数の穀稈の倒伏角度から算出した平均値を設定し、倒伏方向は、カメラ25で撮影した複数の穀稈の50%以上の穀稈の倒伏方向を設定し、穂先高さは、カメラ25で撮影した複数の穀稈の穂先高さら算出した平均値を設定した。また、図11は、コンバインの走行方向に対して、穀稈の穂先が株元よりも右側に位置している右倒伏した形態を図示し、符号Aが倒伏角度を示し、符号Bが穂先高さを示している。
<倒伏した穀稈の刈取方法>
図12に示すように、倒伏領域52に植立した穀稈は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏し、倒伏角度は45度である。
コンバインを反時計方向に矩形状の走行経路54に沿って走行させた場合、コンバインを走行経路54に沿って下側から上側に走行中の刈取作業は左倒伏刈り55Aといわれ、コンバインを走行経路54に沿って右側から左側に走行中の刈取作業は追い刈り55Bといわれ、コンバインを走行経路54に沿って上側から下側に走行中の刈取作業は右倒伏刈り55Cといわれ、コンバインを走行経路54に沿って左側から右側に走行中の刈取作業は向い刈り55Dといわれる。
左倒伏刈り55Aの場合は、折り重なった倒伏した穀稈の内、上側の穀稈から刈取装置3によって引起こされて刈取られるので刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが少ない。
また、追い刈り55Bの場合は、折り重なった倒伏した穀稈の内、上側の穀稈から刈取装置3によって引起こされて刈取られるので刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが少ない。
一方、右倒伏刈り55Cの場合、刈取装置3の左外側に植立した穀稈が、刈取装置3で刈取りする穀稈の上側に覆いかぶさり刈取り直前に穀稈どうしが絡まるので、刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが高くなる。
また、向い刈り55Dの場合は、刈取装置3で引起こされて刈取られる穀稈の上側に、その前方に植立された穀稈が覆いかぶさり刈取り直前に穀稈どうしが絡まるので、刈取装置3に穀稈が詰まる恐れが高くなる。
図13に示すように、横軸はコンバインの走行装置2の走行速度を示し、縦軸は刈取装置3の刈取回転数を示している。
穀稈の倒伏角度が60度以下の場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線56Aに示すように、走行装置2の走行速度が0~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度未満の穀稈を効率良く刈取ることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超の場合で、左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bの場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第1直線」)56Bに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R1rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR1~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上の穀稈を、効率良く左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bすることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超の場合で、右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dの場合には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第2直線」)56Cに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R3rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR3~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上の穀稈を、効率良く右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dすることができる。
また、穀稈の倒伏角度が60度超、且つ、穂先高さが120cm超の場合で、左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bの場合は、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線56Cに示すように、走行装置2の走行速度が0~1m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R3rpmに増速し、走行装置2の走行速度が1~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR3~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上で穂先高さが120cm以上の穀稈を、効率良く左倒伏刈り55Aと追い刈り55Bすることができる。
穀稈の倒伏角度が60度超、且つ、穂先高さが120cm超の場合で、右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dの場合は、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数は直線(請求項の「第3直線」)56Dに示すように、走行装置2の走行速度が0~0.6m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数が0~R2rpmに増速し、走行装置2の走行速度が0.6~2m/sに増速すると刈取装置3の刈取回転数がR2~R4rpmに増速する。これにより、倒伏角度が60度以上で穂先高さが120cm以上の穀稈を、効率良く右倒伏刈り55Cと向い刈り55Dすることができる。
<刈取方法>
図14に示すように、ステップS1で、コンバインのコントローラ30の処理部30Aは、経路切替スイッチ13の操作状態を判断する。経路切替スイッチ13が、穀稈の詰まり防止優先側に操作されていると判断した場合にはステップS2に進み、経路切替スイッチ13が、走行距離を短くする距離優先側に操作されていると判断した場合にはステップS5に進む。
ステップS2で、処理部30Aは、倒伏領域52に植立した穀稈の倒伏角度、倒伏方向、及び穂先高さと、位置が関連付けられた測定データ51に基づいて詰まり防止優先経路(請求項の「第1優先経路」)60を設定する。
図15の倒伏領域52に植立された穀稈(図示省略)は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏した形態である。処理部30Aは、詰まり防止優先経路60として、作業者が圃場の外周部に沿って反時計方向にコンバインを走行させて回刈りした終端部から刈取装置3の刈幅を隔てて倒伏領域52の下部から上部に向けて直線状に延在する設定経路(請求項の「第1設定経路」)61を形成してステップS3に進む。
ステップS3で、処理部30Aは、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14の操作状態を判断する。自動走行スイッチ14が入力されていると判断した場合には、走行開始スイッチ58を入力してコンバインの走行を開始し、コンバインの設定経路61に沿って自動走行させて往復刈りを行ってステップS4に進む。一方、自動走行スイッチ14が入力されていないと判断した場合には、ステップS3を繰返す。
図15には、設定経路61として、3本の設定経路61A~61Cが図示されている。処理部30Aは、コンバインを設定経路61Aに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Aに沿って終端部から始端部を自動走行させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路61Aの始端部から設定経路61Bの始端部に移動させた後に、コンバインを設定経路61Bに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Bに沿って終端部から始端部を自動走行させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路61Bの始端部から設定経路61Cの始端部に移動させた後に、コンバインを設定経路61Cに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、設定経路61Cに沿って終端部から始端部を自動走行させる。これにより、コンバインの進行方向に対して左倒伏した穀稈を左倒伏刈り55Aすることができ、刈取装置3に穀稈が詰まるのを防止することができる。
ステップS4で、処理部30Aは、穂先高さが120cm以下の場合には、図13に図示した直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、穂先高さが120cm超の場合には、図13の直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
なお、上述では、倒伏領域52に植立された穀稈が左倒伏した形態について説明したが、倒伏領域52に植立された穀稈が、コンバインの進行方向に対して穀稈の穂先が株元よりも前側に位置している追倒伏した形態でも同じである。
ステップS5で、処理部30Aは、倒伏領域52に植立した穀稈の倒伏角度、倒伏方向、及び穂先高さと、位置が関連付けられた測定データ51に基づいて距離優先経路65を設定する。
図16の倒伏領域52に植立された穀稈(図示省略)は、穀稈の穂先が株元よりも左側に位置している左倒伏した形態である。処理部30Aは、距離優先経路65として、作業者が圃場の外周部に沿って反時計方向にコンバインを走行させて回刈りした終端部から刈取装置3の刈幅を隔てて倒伏領域52を反時計方向に矩形状に回転する設定経路(請求項の「第2設定経路」)66の設定経路66A~66Eを形成してステップS6に進む。
ステップS6で、処理部30Aは、コンバインを自動走行させる自動走行スイッチ14の操作状態を判断する。自動走行スイッチ14が入力されていると判断した場合には、走行開始スイッチ58を入力してコンバインの走行を開始し、コンバインの設定経路66A~66Eに沿って自動走行させて回刈りを行ってステップS7に進む。一方、自動走行スイッチ14が入力されていないと判断した場合には、ステップS6を繰返す。
図16には、設定経路66として、反時計方向に回転する5本の設定経路66A~66Eが図示されている。処理部30Aは、コンバインを設定経路66Aに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Bの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Bに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Cの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Cに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Dの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Dに沿って始端部から終端部を自動走行させた後に、αターンを行って設定経路66Eの始端部に移動させる。次に、処理部30Aは、コンバインを設定経路66Eに沿って始端部から終端部を自動走行させる。これにより、コンバインを短い距離自動走行させて倒伏領域52に植立した穀稈を効率良く刈取ることができる。
ステップS7で、処理部30Aは、穂先高さが120cm以下の場合に、コンバインが設定経路66Aを自動走行している場合には、図13に図示した直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Bを自動走行している場合には、直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Cを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Dを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Eを自動走行している場合には、直線56Bに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
また、ステップS7で、処理部30Aは、穂先高さが120cm超の場合に、コンバインが設定経路66Aを自動走行している場合には、図13に図示した直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Bを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Cを自動走行している場合には、直線56Dに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Dを自動走行している場合には、直線56Dに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御し、コンバインが設定経路66Eを自動走行している場合には、直線56Cに基づいて走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取回転数を制御してステップS1に戻る。これにより、刈取装置3に穀稈が詰まるのをより防止することができる。
<駐車ブレーキペダルとロックレバー>
図17,18に示すように、駐車ブレーキペダル18の左側には、駐車ブレーキペダル18の踏込み量を所定の範囲に調整する後上がり傾斜に形成されたロックレバー19が設けられている。
ロックレバー19の操作部19Aは、踏込みがされていない駐車ブレーキペダル18よりも所定の間隔を隔てて上方に位置させるのが好ましい。これにより、操作部19Aが駐車ブレーキペダル18に接触することを防止してロックレバー19の操作を容易に行うことができる。
<消化器>
図19に示すように、操縦部5の後上下フレーム70には、消火器71が装着するのが好ましい。これにより、操縦部5の後壁の後側に形成される空間を有効に活用することができる。なお、符号72は、外気中の不純物を除去するエアクリーナを示している、
<グレンタンク>
図20に示すように、グレンタンク7の前壁は、上下方向に長軸を有する長穴74Aが形成された取付プレート74を介して支持プレート75に連結するのが好ましい。これにより、側面視において、グレンタンク7の前壁が傾斜して装着されるのを防止して、操縦部5の後壁とグレンタンク7の前壁の下部の離間間隔と、操縦部5の後壁とグレンタンク7の前壁の上部の離間間隔を同一間隔に維持することができる。
<キャビンとグレンタンク>
図21に示すように、キャビン9の後壁に透明の樹脂が内嵌された開口部77を形成し、グレンタンク7の前壁の開口部77に対向する部位に透明の樹脂が内嵌された開口部78を形成するのが好ましい。これにより、作業者が開口部77と開口部78を介してグレンタンク7に貯留された穀粒の貯留量を目視で確認することができる。
<バッテリ>
図22に示すように、刈取装置3の駆動をエンジンEに替えて電動モータ(図示省略)で駆動する場合、電動モータに供給する電気を蓄電するバッテリ80を機体フレーム1におけるグレンタンク7の下側に対向する部位に配置されている。また、バッテリ80は、収納位置と引出位置を摺動可能な収納ケース81に収納するのが好ましい。これにより、収納ケース81を機体フレーム1の右側の引出位置に引出してバッテリ80の交換を容易に行うことができる。
1 機体フレーム
2 走行装置
3 刈取装置
5 操縦部
13 経路切替スイッチ(スイッチ)
30 コントローラ
55A 左倒伏刈り
55B 追い刈り
55C 右倒伏刈り
55D 向い刈り
56B 直線(第1直線)
56C 直線(第2直線)
56D 直線(第3直線)
60 詰まり防止優先経路(第1優先経路)
61 設定経路(第1設定経路)
65 距離優先経路(第2優先経路)
66 設定経路(第2設定経路)
A 倒伏角度
B 穂先高さ

Claims (6)

  1. 機体フレーム(1)の下側に圃場を走行する走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前側に穀稈を刈取る刈取装置(3)と、前記刈取装置(3)の後方左側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けたコンバインを自動走行させて圃場の穀稈を刈取る穀稈の刈取作業方法であって、
    前記操縦部(5)に、前記穀稈の倒伏角度(A)が予め設定した角度を超える倒伏穀稈が刈取装置(3)に詰まるのを抑制する第1優先経路(60)と、前記走行装置(2)の走行距離を短くする第2優先経路(65)を切替えるスイッチ(13)を設け、
    前記第1優先経路(60)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記操縦部(5)のコントローラ(30)は、前記刈取装置(3)が倒伏穀稈を左倒伏刈り(55A)、又は、追い刈り(55B)する往復刈りの第1設定経路(61)を設定し、
    前記第2優先経路(65)側にスイッチが(13)が切替えられている場合には、前記コントローラ(30)は、前記倒伏穀稈を刈取装置(3)で左倒伏刈り(55A)、追い刈り(55B)、右倒伏刈り(55C)、及び向い刈り(55D)する反時計の回り刈りの第2設定経路(66)を設定することを特徴する穀稈の刈取作業方法。
  2. 前記コントローラ(30)は、左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)上に沿って増減速し、
    前記コントローラ(30)は、右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速する請求項1記載の穀稈の刈取作業方法。
  3. 前記コントローラ(30)は、前記左倒伏刈り(55A)と追い刈り(55B)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が予め設定した高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を第1直線(56B)よりも高速の第2直線(56C)上に沿って増減速し、
    前記コントローラ(30)は、前記右倒伏刈り(55C)と向かい刈り(55D)の場合で、且つ、倒伏穀稈の穂先高さ(B)が所定の高さを超える場合には、前記走行装置(2)の走行速度に対して、前記刈取装置(3)の刈取回転数を、前記第2直線(56C)よりも高速の第3直線(56D)上に沿って増減速する請求項2記載の穀稈の刈取作業方法。
  4. 前記穂先高さ(B)を120cmに設定した請求項3記載の穀稈の刈取作業方法。
  5. 前記倒伏角度(A)を60度に設定した請求項1~4のいずれか1項に記載の穀稈の刈取作業方法。
  6. 前記操縦部(5)のキャビン(9)の上部に、前記倒伏角度(A)と穂先高さ(B)を測定するカメラ(25)を上下方向の昇降と軸心方向に回動する支持装置(26)を介して設けた請求項1記載の穀稈の刈取作業方法。
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