JP2024052640A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン徐放性と十分な強度が付与された充填物が得られる歯科用硬化性組成物を提供する。【解決手段】歯科用硬化性組成物は、1剤型の歯科用硬化性組成物であって、シリケートガラス、ポリカルボン酸系重合体、及び有機溶媒を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用硬化性組成物に関する。
歯科用硬化性組成物の一例として、硫酸カルシウムを含む粒状材料と、水溶性ポリマー及び水を含む液体キャリアと、を含有する歯科用組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の歯科用硬化性組成物は、パテ状であるため、練和や特殊な器具が必要ない。また、水硬性であるため、口腔内の水分で硬化する。
特開2016-56102号公報
しかしながら、従来の歯科用硬化性組成物は、イオンを徐放しながら十分な強度を有する充填物が得られない。
本発明の課題は、イオン徐放性と十分な強度が付与された充填物が得られる歯科用硬化性組成物を提供することである。
本発明の一態様に係る歯科用硬化性組成物は、1剤型の歯科用硬化性組成物であって、シリケートガラス、ポリカルボン酸系重合体、及び有機溶媒を含む。
本発明の一態様によれば、イオン徐放性と十分な強度が付与された充填物が得られる歯科用硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、シリケートガラス、ポリカルボン酸系重合体、及び有機溶媒を含む、1剤型の歯科用硬化性組成物である。本明細書において、1剤型とは、歯科用硬化性組成物に含まれる各成分が1つのまとまった形態を構成することを示す。
シリケートガラスは、無機元素を含有するケイ酸塩ガラスである。ケイ酸塩ガラスは、ポリカルボン酸系重合体に接触すると硬化する機能(以下、硬化性という)及び含有する無機元素をイオンとして徐放する機能(以下、イオン徐放性という)を有する。
シリケートガラスの形態は、粉末である。粉末のサイズは、粒度が0.02μm以上30μm以下であることが好ましく、0.02μm以上20μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上10μm以下であることが更に好ましい。本明細書において、粒度は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準の累積分布が50%となるメジアン径(D50)を示す。
シリケートガラスの粒度が0.02μm以上30μm以下であると、粉末としてのシリケートガラスの表面積が小さくなりすぎず、歯科用硬化性組成物のイオン徐放性、操作性を低下させずに、硬化後の強度を高めることができる。
シリケートガラスとしては、特に限定されず、例えば、フルオロシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロジンクシリケートガラス、バリウムアルミノフルオロシリケートガラス、バリウムシリケートガラス、ボロシリケートガラス、バリウムボロシリケートガラス、バリウムアルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、バリウムマグネシウムアルミノシリケートガラス、ストロンチウムシリケートガラス、ストロンチウムアルミニウム-ボロシリケートガラス、ジルコニウムシリケートガラス、チタニウムシリケートガラス等が挙げられる。これらのシリケートガラスは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリケートガラスとしては、これらの中でも、フルオロシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロジンクシリケートガラス、バリウムアルミノフルオロシリケートガラス等のフルオロ系シリケートガラスが、歯質強化につながるフッ素イオンを徐放する点で好ましい。
歯科用硬化性組成物中のシリケートガラスの含有量は、特に限定されないが、30質量%以上75質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上70質量%以下、更に好ましくは40質量%以上65質量%以下である。シリケートガラスの含有量が30質量%以上75質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物としての十分な硬化性が得られ、充填物として十分なイオン徐放性が得られる。
ポリカルボン酸系重合体は、シリケートガラスと混合することにより、シリケートガラスから溶出した無機元素のイオンとポリカルボン酸系重合体の共役塩基がイオン架橋する酸塩基反応が起こり、硬化する。
ポリカルボン酸系重合体としては、特に限定されず、例えば、α,β-不飽和カルボン酸の単独重合体又は共重合体を用いることができる。
α,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2-クロロアクリル酸、3-クロロアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。これらのα,β-不飽和カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。ポリカルボン酸系重合体としては、これらの中でも、α,β-不飽和カルボン酸がアクリル酸であるポリアクリル酸が好ましい。
また、ポリカルボン酸系重合体は、α,β-不飽和カルボン酸と、α,β-不飽和カルボン酸と共重合することが可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
α,β-不飽和カルボン酸と共重合することが可能なモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸塩類、塩化アリル等が挙げられる。
この場合、ポリカルボン酸系重合体を構成するモノマーに対するα,β-不飽和カルボン酸の割合は、50質量%以上であることが好ましい。
歯科用硬化性組成物中のポリカルボン酸系重合体の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上25質量%以下、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下である。ポリカルボン酸系重合体の含有量が15質量%以上30質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物としての十分な硬化性が得られる。
有機溶媒は、歯科用硬化性組成物中でシリケートガラスとポリカルボン酸系重合体や疎水性樹脂との混合を容易にする液状の有機化合物である。
有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルジグリコール、分子量が20000以下のポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒としては、これらの中でも、生体に対する安全性の点で、エタノール、1-プロパノール、エチルジグリコール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)が好ましく、基材との親和性が高い点で、エチルジグリコールがより好ましい。
歯科用硬化性組成物中の有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下である。有機溶媒の含有量が5質量%以上35質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物としての十分な練和性が得られる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、疎水性樹脂を更に含むことが好ましい。疎水性樹脂は、樹脂骨格中に疎水性基を有する樹脂である。疎水性樹脂は、歯科用硬化性組成物中で可塑剤として機能し得る。
疎水性樹脂は、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等の単独重合体及び共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、フッ化ビニリデン-アクリル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチルジグリコール等が挙げられる。これらの疎水性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
疎水性樹脂としては、これらの中でも、歯科用硬化性組成物の操作性を向上させる観点から、ビニル系樹脂の単独重合体及び共重合体が好ましく、より好ましくは酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体であり、更に好ましくは酢酸ビニルである。
歯科用硬化性組成物中の疎水性樹脂の含有量は、特に限定されないが、0質量%以上25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上23質量%以下、更に好ましくは0質量%以上20質量%以下である。疎水性樹脂の含有量が0質量%以上25質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物としての十分な練和性が得られる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、界面活性剤を更に含むことが好ましい。界面活性剤は、歯科用硬化性組成物に水との相溶性を付与し得る。界面活性剤としては、特に限定されないが、好ましくは非イオン界面活性剤である。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどの中でエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加モル数が1~30であるもの、アルキル基の炭素数が12~22であるエーテル型のもの、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの中で多価アルコールと炭素数が12~22である脂肪酸の部分エステル型のもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンマンニタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルなどの中でエチレンオキサイドの付加モル数が1~30で脂肪酸の炭素数が12~22であるエーテルエステル型のもの、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体などの中で付加モル数が1~30のエチレンオキサイドとのエステル型のものを挙げることができる。これらの非イオン系界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、これらの中でも、親油基であるアルキル基に親水基が組み合わさった非イオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキレンエーテルがより好ましい。
歯科用硬化性組成物中の界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上8質量%以下、更に好ましくは0質量%以上5質量%以下である。界面活性剤の含有量が0質量%以上10質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物に水との相溶性が付与され、歯科用硬化性組成物としての十分な練和性と硬化性が得られる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、機能性ガラスを更に含むことが好ましい。機能性ガラスは、シリケートガラスを除いた、歯科用硬化性組成物を硬化して得られる充填物に種々の機能(例えば、抗菌効果、酸生成抑制、脱灰抑制、耐酸性向上、骨形成促進、抗炎症作用など)を付与するガラスである。
機能性ガラスの形態は、粉末である。粉末のサイズは、粒度が0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、0.01μm以上50μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
機能性ガラスの粒度が0.01μm以上100μm以下であると、粉末としての機能性ガラスの表面積が小さくなりすぎず、歯科用硬化性組成物の操作性、硬化後の強度を低下させずに、歯科用硬化性組成物を硬化して得られる充填物に抗菌効果等の種々の機能を付与することができる。
機能性ガラスとしては、特に限定されず、例えば、フルオロジンクシリケートガラス、リン酸亜鉛ガラス、バイオアクティブガラスなどが挙げられる。これらの機能性ガラスは1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
歯科用硬化性組成物中の機能性ガラスの含有量は、特に限定されないが、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上15質量%以下、更に好ましくは0質量%以上10質量%以下である。機能性ガラスの含有量が0質量%以上20質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物を硬化して得られる充填物に種々の機能を十分に付与する。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、高級脂肪酸を更に含むことが好ましい。本明細書において、高級脂肪酸は、炭素数10以上の脂肪酸を示す。
高級脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ラノリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。高級脂肪酸としては、これらの中でも、ラノリン酸が好ましい。
歯科用硬化性組成物中の高級脂肪酸の含有量は、特に限定されないが、0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上3質量%以下、更に好ましくは0質量%以上1質量%以下である。機能性ガラスの含有量が0質量%以上5質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物の練和性、充填物の除去性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、石膏を更に含むことが好ましい。本明細書において、石膏は、硫酸カルシウムを主成分とする鉱物である。
石膏の種類としては、二水石膏(CaSO・2HO)、半水石膏(CaSO・1/2HO:三方晶)、無水石膏(CaSO)等が挙げられる。
二水石膏としては、例えば、天然二水石膏、リン酸二水石膏、フッ酸二水石膏、排脱二水石膏等が挙げられる。なお、二水石膏は、加熱して一部または全部の水分を失った焼石膏でもよい。
半水石膏としては、例えば、α型半水石膏(α半水石膏またはα石膏ともいう)、β型半水石膏(β半水石膏またはβ石膏ともいう)、α石膏とβ石膏の混合物等が挙げられる。
無水石膏としては、例えば、天然無水石膏、フッ酸石膏、リン酸石膏等が挙げられる。
これらの石膏は1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。石膏としては、これらの中でも、半水石膏が好ましく、より好ましくはα石膏、β石膏、α石膏とβ石膏の混合物である。
歯科用硬化性組成物中の石膏の含有量は、特に限定されないが、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上13質量%以下、更に好ましくは0.4質量%以上10質量%以下である。石膏の含有量が0.1質量%以上15質量%以下であることで、歯科用硬化性組成物の硬化時間が短くなり過ぎないため、操作性の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態の歯科用硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない限り、その他の任意の成分として、必要に応じて、硫酸塩等の硬化促進剤、各種の無機あるいは有機の着色剤、抗菌材、香料等を含有してもよい。
本実施形態の歯科用硬化性組成物の用途は、特に限定されないが、例えば、歯科用セメント、歯科用接着剤、歯科用仮封材、歯科用仮着材、歯科用プライマー、歯科用コート剤、根面被覆材、歯科用コンポジットレジン、歯科用硬質レジン、歯科切削加工用レジン材料、歯科用暫間修復材、歯科用充填剤、覆髄材、義歯床材料、人工歯、歯磨剤などが挙げられる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、シリケートガラスとポリカルボン酸系重合体と有機溶媒とを含む1剤型の歯科用硬化性組成物であることで、イオン徐放性と十分な強度が付与された充填物が得られる。また、歯科用硬化性組成物の練和性に優れ、歯科用硬化性組成物に十分な硬化性を付与することできる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、疎水性樹脂を更に含むことで、歯科用硬化性組成物がパテ状になるように稠度を調整することができ、優れた操作性が得られる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、界面活性剤を更に含むことで、歯科用硬化性組成物に水との相溶性が付与され、歯科用硬化性組成物の練和性を向上させることができ、その結果、歯科用硬化性組成物の硬化性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、機能性ガラスを更に含むことで、歯科用硬化性組成物を硬化して得られる充填物に抗菌効果等の種々の機能を付与することができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、高級脂肪酸を更に含むことで、歯科用硬化性組成物の練和性を更に向上させることができ、得られた充填物の除去性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、上述のように、石膏を更に含むことで、石膏が口腔内の水分と反応して、歯科用硬化性組成物の硬化時間を短くすることができる。そのため、本実施形態の歯科用硬化性組成物を用いることにより、歯科施術における操作時間の短縮化を図ることができる。
以下、本発明について、更に実施例を用いて説明する。なお、以下において、単位のない数値又は「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。
<歯科用硬化性組成物の調製>
[実施例1~19、比較例1~3]
表1、表2に示す組成(質量%)で、シリケートガラス(フルオロアルミノシリケートガラス、メジアン径:3μm)、ポリカルボン酸系重合体(ポリアクリル酸、富士フイルム和光純薬社製、ポリアクリル酸25000、平均分子量:25000)、疎水性樹脂(酢酸ビニル、WACKER CHEMICALS社製、VINNAPAS(登録商標))、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、機能性ガラス(フルオロジンクシリケートガラス、メジアン径:6μm)、高級脂肪酸(ラノリン)、有機溶媒(エチルジグリコール)、無機粉末(α半水石膏、β焼石膏、シリカ、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化マグネシウム及び硫酸カルシウムの混合粉末)、モノマー成分(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、水(蒸留水)及び石膏(α半水石膏またはβ半水石膏)を適宜混合して、1剤型のサンプル(実施例1~19及び比較例1~3)を作製した。
実施例1~19は、パテ状の歯科用硬化性組成物である。また、比較例1は、ペースト状のグラスアイオノマーセメントであり、比較例2、3は、パテ状の歯科用仮封材である。
<フッ化物イオン徐放性>
水と接触させたサンプルを指でまとめて、直径7mm、高さ2mmの穴のあいたアクリルブロック2つに充填する。サンプルを充填したアクリルブロックの上からOHPシートと金属板を乗せて、表面を平滑化する。金属板の上からクランプで圧接を行い、37℃、90%RHの恒温恒湿器に24時間静置する。24時間後にクランプ、金属板、OHPシートを外し、硬化したサンプルを試験体とする。この試験体を10mLの蒸留水に浸漬し、37℃の恒温器で24時間静置する。その後、試験体を除去し、浸漬液をフィルターに掛けた後、イオン電極でフッ素濃度を測定し、フッ素濃度が200μm/cm以上の場合を良好、200μm/cm未満の場合を不良と評価した。
<窩洞充填時の硬化性>
水と接触させたサンプルを指でまとめて、直径7mm、高さ2mmの穴のあいたアクリルブロック2つに充填する。サンプルを充填したアクリルブロックの上からOHPシートと金属板を乗せて、表面を平滑化する。金属板の上からクランプで圧接を行い、37℃、90%RHの恒温恒湿器に24時間静置する。24時間後にクランプ、金属板、OHPシートを外し、硬化したサンプルを試験体とする。この試験体に、重さ28g、断面積2mmのビカー針を5秒間突き立てる。ビカー針を戻し、試験体の表面の跡の形を読みとり、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
優:表面に跡がつかない
良:わずかに跡がつく
不可:円形に跡がつく
-:硬化しない(不能)
<効果時間の短縮化>
上記窩洞充填時の硬化性の試験において、静置時間を24時間から12時間にした試験体を作製する。この試験体に、重さ28g、断面積2mmのビカー針を5秒間突き立てる。ビカー針を戻し、試験体の表面の跡の形を読みとり、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
優:表面に跡がつかない
良:わずかに跡がつく
不可:円形に跡がつく
-:硬化しない(不能)
<強度>
水と接触させたサンプルを指でまとめて、直径4mm、高さ6mmの圧縮試験体作製用の治具に充填する。サンプルを充填したアクリルブロックの上からOHPシートと金属板を乗せて、表面を平滑化する。金属板の上からクランプで圧接を行い、37℃、90%RHの恒温恒湿器に24時間静置する。24時間後にクランプ、金属板、OHPシートを外し、治具から硬化したサンプルを取り出し、これを試験体とする。この試験体を蒸留水に浸漬し、37℃の恒温器で24時間静置する。その後、オートグラフ(クロスヘッドスピード1.0mm/min)で試験体の圧縮強度を測定し、強度が10MPa以上の場合は良好、10MPa未満の場合は不良と評価した。
<操作性>
得られたサンプルを指に取り、練和できるか(素手で使用することが可能か)どうかを以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
優:素手で使用できる
不可:素手で使用できない
<稠度>
内径10mm、0.5mLの位置に標線のついたガラス管にサンプルを充填し、ポリエステルフィルム上に静かに押し出す。押し出されたサンプルの上からポリエステルフィルム、ガラス板、おもりで合計120±0.5gになるよう荷重をかける。荷重をかけてから10分経過後、荷重を取り除く。広がったサンプルの長径及び短径の平均をとり、稠度とした。稠度は、30未満の場合を良好、30以上の場合を不良と評価した。
Figure 2024052640000001
Figure 2024052640000002
表1、表2より、実施例1~19では、シリケートガラスとポリカルボン酸系重合体と有機溶媒を含む1剤型の歯科用硬化性組成物は、フッ化物イオン徐放性、窩洞充填時の硬化性、強度、操作性、稠度が何れも良好であった。
これに対して、比較例1では、グラスアイオノマーセメントは、フッ化物イオン徐放性、操作性、稠度が何れも不良であった。また、比較例2、3では、シリケートガラスとポリカルボン酸系重合体を含まない歯科用仮封材は、フッ化物イオン徐放性、窩洞充填時の硬化性、強度が何れも不良であった。
また、表2より、実施例13~19では、シリケートガラスとポリカルボン酸系重合体と有機溶媒を含み、更に石膏を含有する1剤型の歯科用硬化性組成物は、更に、硬化時間の短縮化が良好であった。
以上に開示された実施形態は、例えば、以下の態様を含む。
(付記1)
1剤型の歯科用硬化性組成物であって、
シリケートガラス、ポリカルボン酸系重合体、及び有機溶媒を含む、
歯科用硬化性組成物。
(付記2)
疎水性樹脂を更に含む、
付記1に記載の歯科用硬化性組成物。
(付記3)
界面活性剤を更に含む、
付記1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
(付記4)
機能性ガラスを更に含む、
付記1乃至3の何れか一つに記載の歯科用硬化性組成物。
(付記5)
高級脂肪酸を更に含む、
付記1乃至4の何れか一つに記載の歯科用硬化性組成物。
(付記6)
石膏を更に含む、
付記1乃至5の何れか一つに記載の歯科用硬化性組成物。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

Claims (6)

  1. 1剤型の歯科用硬化性組成物であって、
    シリケートガラス、ポリカルボン酸系重合体、及び有機溶媒を含む、
    歯科用硬化性組成物。
  2. 疎水性樹脂を更に含む、
    請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 界面活性剤を更に含む、
    請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  4. 機能性ガラスを更に含む、
    請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  5. 高級脂肪酸を更に含む、
    請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  6. 石膏を更に含む、
    請求項1乃至5の何れか一項に記載の歯科用硬化性組成物。
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