JP2024052345A - 作業機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】衛星測位の精度悪化を防止できる作業機械を提供する。【解決手段】作業機械の演算装置34、40は、機体姿勢検出装置21が検出した機体3の姿勢情報とGNSSアンテナ31、32が受信した複数の測位衛星の測位信号を基にアンテナ上空視界における第2遮蔽領域M2を設定し、複数の測位衛星の測位信号のうち第2遮蔽領域M2内に位置する測位衛星の測位信号を除外して機体3の測位演算を行う。第2遮蔽領域M2の範囲は、演算装置が、機体姿勢検出装置の機体の姿勢情報と複数の測位衛星の測位信号により機体の位置と方位と姿勢を演算し、演算された機体の位置と方位と姿勢を維持した状態で作業装置を施工対象面に対して所定距離の範囲内で沿うよう動作させたとき作業装置が取り得る複数の姿勢を演算し、演算された複数の姿勢を作業装置がとったときにアンテナ上空視界において作業装置により遮られる領域が包含される範囲を演算して設定する。【選択図】 図4

Description

本発明は、姿勢が変化する作業装置を備えた作業機械に係り、更に詳しくは、複数の衛星からの測位信号を受信して自身の位置情報を演算する作業機械に関する。
油圧ショベルなどの作業機械の分野では、近年、建設施工に情報通信技術を適用することで施工の合理化を図る情報化施工の導入が進められている。油圧ショベルの中には、例えば、ブーム、アーム及びバケットなどの複数の部材を連結した多関節型の作業装置の位置や姿勢を表示装置に表示するマシンガイダンスや、作業装置が施工面に沿って動くように半自動的に制御するマシンコントロールなどのオペレータの操作を支援する機能を有するものがある。
マシンガイダンスやマシンコントロールなどの操作支援を行う場合、作業機械自身の位置(座標)を利用する。作業機械は、自身の位置情報を取得するために、衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用する。GNSSは、複数の測位衛星からの測位信号(電波)をアンテナによって受信して自身の3次元座標(緯度、経度、高度)を測定するものである。GNSSを利用する関係上、正常に測位を行うためには、十分な数の測位衛星からの測位信号を捕捉する必要がある。GNSSによる衛星測位が実行可能な場合であっても、測位に利用可能な測位衛星が少ない場合や配置に偏りがある場合には、測位精度が低下する。
作業機械は、市街地や急斜面付近で作業する場合がある。この場合、GNSSアンテナよりも高い場所に建造物や地表面などが位置することがあり、これらの障害物によってGNSSアンテナの上空視界が遮られる場合がある。GNSSアンテナの上空視界が障害物により遮られている状態では、測位衛星からの測位信号が当該障害物の影響を受けてGNSSアンテナに受信されることで、測位精度の低下を引き起こす懸念がある。すなわち、測位衛星が障害物によってGNSSアンテナから不可視の状態になると、測位精度が低下する。
自動車等の移動体などでは、GPS(Global Positioning System)衛星を捕捉してGPS信号を受信するGPS受信機を搭載しているものがある。移動体に搭載されたGPS受信機では、移動体の移動と共に時々刻々と変化する建造物や地形等の障害物によって、GPS受信機の位置から見渡すことができない天空の不可視領域を航行するGPS衛星からの衛星信号を良好に受信することができない。そこで、予め収集された天空の可視領域及び不可視領域の分布(電波障害物の分布)に関する情報から作成された地域毎のマスク情報(GPS衛星の選択規則情報)を基に、天空を航行する複数のGPS衛星の中から捕捉対象とするGPS衛星を選択し、選択したGPS衛星からのGPS信号を用いて測位計算を行う技術が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の技術では、天空の可視領域を航行するGPS衛星を捕捉対象として選択可能に設定する一方、天空の不可視領域を航行するGPS衛星を捕捉対象として選択禁止に設定するマスク情報が作成される。
特開2004-184121号
特許文献1に記載のGPS受信機は、上述したように、天空の不可視領域を航行するGPS衛星を捕捉対象から除外し、天空の可視領域を航行するGPS衛星のみを捕捉対象として選択して測位計算を行っている。しかし、特許文献1に記載された技術を作業機械の衛星測位に適用しようとすると、次のような問題が生じることが考えられる。
作業機械は、機体の走行を停止させた状態で作業装置を動作させることで種々の施工を実施することが一般的に行われる。このとき、自機の作業装置自体が天空(アンテナの上空視界)を遮る遮蔽物となることがある。また、高い仕上げ精度が求められる施工面に対しては、掘削動作を繰り返し行うことで少しずつ施工面まで掘り進むといった手法により仕上げ精度の向上を図っている。かかる作業では、作業装置の姿勢の変化の繰り返しによって、アンテナの上空視界における所定領域が短時間のうちに繰り返し遮蔽される。このため、上空視界の当該所定領域を測位衛星が航行している場合には、当該測位衛星がアンテナから可視又は不可視の状態に頻繁に切り替わってしまう。このような状況に対して、特許文献1に記載された技術のようなマスク情報を作成すると、すなわち、天空(アンテナの上空視界)の可視領域を航行する測位衛星を測位演算に用いる測位衛星として選択可能に設定する一方、天空の不可視領域を航行する測位衛星を測位演算に用いる測位衛星として選択禁止に設定すると、天空(アンテナの上空視界)の当該所定領域を航行する測位衛星は、測位演算に用いる測位衛星として選択可能又は選択禁止として頻繁に切り替えられることになる。この場合、当該所定領域を航行する測位衛星が測位演算に用いる測位衛星として一時的に選択されることで、測位演算に用いる測位衛星の組み合わせが短時間のうちに変更される懸念がある。測位演算に用いる測位衛星の組み合わせの頻繁な変更は、測位精度の悪化を引き起こすことがあるので、望ましくない。
本発明は、上記の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、衛星測位の精度悪化を防止することができる作業機械を提供することである。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、機体と、前記機体に取り付けられ、姿勢が変化する作業装置と、前記機体に取り付けられ、複数の測位衛星からの測位信号を受信するアンテナと、前記機体の姿勢の情報を検出する機体姿勢検出装置と、前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星からの測位信号と前記機体姿勢検出装置の検出情報とを基に、前記機体の測位演算を行う演算装置と備えた作業機械において、前記演算装置は、前記機体姿勢検出装置により検出された前記機体の姿勢情報と前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星からの測位信号に基づいて、前記アンテナの上空視界における遮蔽領域を設定し、前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星の測位信号のうち前記遮蔽領域の範囲内に位置する測位衛星からの測位信号を除外して、前記機体の測位演算を行うよう構成されており、前記演算装置により設定される前記遮蔽領域の範囲は、前記演算装置が、前記機体姿勢検出装置により検出された前記機体の姿勢情報と前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星の測位信号とにより前記機体の位置と方位と姿勢を演算し、演算された前記機体の位置と方位と姿勢を維持した状態のままで前記作業装置の特定部分を予め設定されている施工対象面に対して所定の距離の範囲内で沿うように動作させたとき前記作業装置が取り得る複数の姿勢を演算し、演算された前記複数の姿勢を前記作業装置がとったときに前記アンテナの上空視界において前記作業装置により遮られる領域が包含される範囲を演算して設定することを特徴とする。
本発明によれば、作業装置を所定条件で動作させたときに取り得る複数の姿勢により遮られるアンテナの上空視界の領域が包含される範囲を演算して設定した遮蔽領域の範囲内に位置する測位衛星を演算装置の測位演算に用いる測位衛星から除外することで、作業装置の作業中の姿勢変化に起因してアンテナの上空視界の或る領域が繰り返し可視領域と不可視領域とに変化する測位環境下であっても、測位演算に用いられる測位衛星の組み合わせが変更され難いので、衛星測位の精度の悪化を防ぐことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の作業機械の一実施の形態としての油圧ショベルを示す外観図である。 本発明の作業機械の一実施の形態の一部を構成する制御システムの構成を示すブロック図である。 図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部が設定する遮蔽領域を説明する図である。 図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における第2遮蔽領域の設定方法の第1例を示す説明図である。 図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における第2遮蔽領域の設定方法の第2例を示す説明図である。 図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における遮蔽領域の設定手順の一例を示すフローチャートである。 油圧ショベルのフロント作業装置の姿勢変化に対する天空(上空視界)の不可視領域(遮蔽領域)の設定方法の第1比較例を示す天空図である。 油圧ショベルのフロント作業装置の姿勢変化に対する天空(上空視界)の不可視領域(遮蔽領域)の設定方法の第2比較例を示す天空図である。 本発明の作業機械の一実施の形態が設定する遮蔽情報と測位衛星の配置との関係の一例を示す説明図(天空図)である。
以下、本発明の作業機械の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態では、作業機械の一例として油圧ショベルを例に挙げて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の作業機械の一実施の形態としての油圧ショベルの概略構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の作業機械の一実施の形態としての油圧ショベルを示す外観図である。本説明では、オペレータが着座したときの方向を用いている。
図1において、作業機械としての油圧ショベルは、掘削作業等を行うためのフロント作業装置1と、フロント作業装置1が俯仰可能に取り付けられた機体とで構成されている。機体は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とで構成されている。
フロント作業装置1は、複数の被駆動部材を互いに独立して垂直方向に回動可能に連結することで構成された多関節型の作業装置である。複数の被駆動部材は、例えば、ブーム5、アーム6、作業具としてのバケット7とで構成されている。ブーム5の基端部は、上部旋回体3の前部に回動可能に支持されている。ブーム5の先端部には、アーム6の基端部が回動可能に支持されている。アーム6の先端部には、バケット7が回動可能に支持されている。ブーム5、アーム6、バケット7はそれぞれ、油圧アクチュエータであるブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11によって駆動される。バケット7は、バケット7と連動して回動するリンク部材12を介して駆動される。
下部走行体2は、例えば、左右両側にクローラ式の走行装置14(一方側のみ図示)を備えている。走行装置14は、油圧アクチュエータである走行油圧モータ15によって駆動する。
上部旋回体3は、例えば、油圧アクチュエータである旋回油圧モータ(図示せず)によって下部走行体2に対して旋回駆動されるように構成されている。上部旋回体3は、オペレータが搭乗する運転室16と、各種機器を収容する機械室17とを含んでいる。運転室16には、各油圧アクチュエータ9、10、11、15を操作するための操作装置(図示せず)や各種情報の表示や入力が可能なモニタ(図示せず)が配置されている。機械室17には、油圧アクチュエータ9、10、11、15に対して圧油を供給する油圧ポンプ(図示せず)や各油圧アクチュエータ9、10、11、15への圧油の流れを制御する制御弁(図示せず)などが配置されている。
各油圧アクチュエータ9、10、11、15の駆動は、操作装置の指示に応じて各制御弁の駆動が調整されることで制御される。これにより、フロント作業装置1の動作、下部走行体2の走行動作、上部旋回体3の旋回動作など、油圧ショベルの動作が制御される。
上部旋回体3には、上部旋回体3(機体)の姿勢に関する物理量(姿勢情報)を検出する機体姿勢検出装置としての第1姿勢センサ21が設置されている。第1姿勢センサ21は、例えば、上部旋回体3(機体)の姿勢に関する情報として、上部旋回体3の前後方向への傾き(ピッチ角度)、上部旋回体3の左右方向(幅方向)への傾き(ロール角度)、上部旋回体3の旋回角度を検出する。第1姿勢センサ21は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)によって構成されており、上部旋回体3(機体)の角速度及び加速度を計測可能なものである。第1姿勢センサ21は、検出情報に応じた検出信号を後述のメインコントローラ40(後述の図2を参照)へ出力する。第1姿勢センサ21は、上部旋回体3の姿勢情報を検出可能かつ強固に固定可能である限りにおいて、設置位置を問わない。
フロント作業装置1には、フロント作業装置1の姿勢に関する物理量(姿勢情報)を検出する作業装置姿勢検出装置22が設置されている。作業装置姿勢検出装置22は、フロント作業装置1の構成部材であるブーム5、アーム6、バケット7のそれぞれの姿勢に関する物理量(姿勢情報)を検出する複数の第2姿勢センサ22a、22b、22cによって構成されている。各第2姿勢センサ22a、22b、22cは、例えば、慣性計測装置(IMU)で構成されており、各構成部材5、6、7の角速度及び加速度を計測可能なものである。作業装置姿勢検出装置22(第2姿勢センサ22a、22b、22c)は、検出情報に応じた検出信号を後述のメインコントローラ40(後述の図2参照)へ出力する。第2姿勢センサ22a、22b、22cはそれぞれ、例えば図1に示すように、ブーム5、アーム6、バケット7の動作に連動するリンク部材12に設置されている。
なお、第2姿勢センサ22a、22b、22cは、フロント作業装置1の姿勢情報を検出可能であればよく、角度センサやストロークセンサで構成することも可能である。また、第2姿勢センサ22a、22b、22cは、フロント作業装置1の姿勢情報を検出可能かつ強固に固定可能である限りにおいて、設置位置を問わない。
また、上部旋回体3には、複数の測位衛星(以下、GNSS衛星群と称することがある)101(後述の図2及び図4参照)からの測位信号を受信可能な第1のGNSSアンテナ31及び第2のGNSSアンテナ32が取り付けられている。第1及び第2のGNSSアンテナ31、32は、例えば、上部旋回体3の旋回軸線を基準として幅方向に離れて配置されている。各GNSSアンテナ31、32により受信された測位信号は、後述のGNSS受信機34(後述の図2参照)に入力される。GNSS受信機34は、GNSSアンテナ31、32によって受信された複数の測位衛星の測位信号を基に、地球基準座標上のアンテナ位置(機体の特定位置)及び上部旋回体3(機体)の方位角などの測位演算を実行するものである。2つのGNSSアンテナ31、32は、上部旋回体3の位置及び方位の計測を実現可能な限りにおいて、設置位置を問わない。
次に、本発明の作業機械の一実施の形態の一部を構成する制御システムの構成について図2を用いて説明する。図2は本発明の作業機械の一実施の形態の一部を構成する制御システムの構成を示すブロック図である。
図2において、油圧ショベルは、GNSSを利用して特定した地球基準座標上の油圧ショベル自身の位置及び方位の情報を基に油圧ショベルを制御する制御システムを備えている。具体的には、油圧ショベルは、GNSSアンテナ31、32によって受信された複数の測位衛星(GNSS衛星群)101からの測位信号を基に測位演算を実行するGNSS受信機34と、GNSS受信機34の測位演算の結果と機体姿勢検出装置21及び作業装置姿勢検出装置22a、22b、22cの検出情報とを用いて油圧ショベルを制御するメインコントローラ40とを備えている。
油圧ショベルとは異なる場所には、GNSS衛星群101からの測位信号を継続的に受信可能なGNSS基準局102が設置されている。GNSS基準局102は、地球基準座標上の位置が既知なものであり、GNSS相対測位の補正情報を発信する。
油圧ショベルは、GNSS基準局102から発信された補正情報を受信する補正情報受信機33を更に備えている。補正情報受信機33は、受信した当該補正情報をGNSS受信機34に入力する。なお、補正情報受信機33とGNSS基準局102間の補正情報の送受信の方法については、補正情報を途絶や遅延なく連続的に送受信することが可能である限り、その手段は問わない。
GNSS受信機34は、GNSSアンテナ31、32から入力された複数の測位衛星101からの測位信号を基に測位演算を行う際に、電離層や対流圏などの外乱要因が演算に与える悪影響を軽減するため、補正情報受信機33からのGNSS相対測位の補正情報を用いる。すなわち、GNSS受信機34は、複数の測位衛星(GNSS衛星群)101からの測位信号を基に補正情報受信機33からの補正情報を用いて、地球基準座標上の第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトル(第1のGNSSアンテナ31から第2のGNSSアンテナ32に向かうベクトル)を演算する。上部旋回体3における2つのG NSSアンテナ31、32の取付位置は既知であり、基線ベクトルから上部旋回体3の方位を算出可能である。GNSS受信機34は、測位演算の結果である第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトル(上部旋回体3の方位)をメインコントローラ40へ出力する。本実施の形態に係るGNSS受信機34は、作業中における測位精度の悪化を防止するために、GNSSアンテナ31、32の上空視界に位置する複数の測位衛星のうち、測位演算に使用可能な測位衛星である可用衛星をメインコントローラ40により設定される後述のGNSSアンテナ上空視界の遮蔽情報に基づいて選択する。GNSS受信機34による可用衛星の選択の詳細は後述するが、可用衛星は電波障害物によりGNSSアンテナ31、32の上空視界において遮蔽され得る領域の外側に位置して見通しが可能な位置にある測位衛星である。
外部記憶装置111に、油圧ショベルの作業現場周辺における地形や立体構造物などの油圧ショベルのGNSSアンテナ31、32の電波障害物となり得る3次元情報(データ)が格納されており、当該3次元情報(データ)が外部記憶装置111からメインコントローラ40へ送信される。また、外部記憶装置112に、施工面の地球基準座標上の位置や形状などの施工データが格納されており、当該施工データが外部記憶装置112からメインコントローラ40へ送信される。外部記憶装置111や外部記憶装置112は、例えば、油圧ショベルの外部の配置された管理サーバの一部である。なお、外部記憶装置111、112とメインコントローラ40との間の送受信の方法については、例えば、両者間に無線ネットワークや有線を介在させてデータを送受信する方法が可能である。また、外部記憶装置としてSBメモリやSDカードのような不揮発性メモリを用いることで、不揮発性メモリに格納したデータをメインコントローラ40に読み込ませる方法も可能である。
メインコントローラ40は、ハード構成として例えば、RAMやROM等からなる記憶装置(図示せず)と、CPUまたはMPU等からなる処理装置(図示せず)とを備えている。記憶装置には、油圧ショベルの制御に必要なプログラムや各種情報が予め記憶されている。処理装置は、記憶装置からプログラムや各種情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで各種機能を実現する。メインコントローラ40は、処理装置により実行される機能として、地球基準座標系におけるフロント作業装置1の位置及び方位を演算するポジショニング演算部41と、ポジショニング演算部41から出力された地球基準座標系におけるフロント作業装置1の位置及び方位を用いてマシンコントロールやマシンガイダンスなどの制御を行うショベル制御部42とを有している。マシンコントロールは、目標施工面の上方にフロント作業装置1が保持されるように制御するものである。マシンガイダンスは、フロント作業装置1と目標施工面の関係をモニタに表示するものである。
本実施の形態のポジショニング演算部41は、フロント作業装置1の位置及び方位の演算に加えて、GNSS受信機34の測位演算の結果と機体姿勢検出装置21の検出情報と作業装置姿勢検出装置22の検出情報と外部記憶装置111から送信された電波障害物の3次元情報(データ)と外部記憶装置112から送信された施工データとを用いて、GNSSアンテナ31、32の上空視界において電波障害物により遮られると想定される領域(遮蔽領域)を設定するものである。ポジショニング演算部41が設定する遮蔽領域は、GNSS受信機34が可用衛星を選択する際に、GNSSアンテナ31、32の上空視界の遮蔽情報として用いられるものである。
ポジショニング演算部41は、フロント作業装置1の作業中の姿勢変化に応じてGNSSアンテナ31、32の上空視界の遮られる領域が変化する測位環境を考慮してGNSSアンテナ31、32の上空視界の遮蔽情報を設定することを特徴とするものである。ポジショニング演算部41は、メインコントローラ40の機能として、3次元データ受信保持部51、施工データ受信保持部52、旋回体姿勢演算部53、作業装置姿勢演算部54、姿勢統合部55、遮蔽領域設定部56、位置・方位出力部57を有している。
3次元データ受信保持部51は、外部記憶装置111から送信される電波障害物となり得る3次元情報(データ)を受信して記憶装置に保持するものである。3次元データ受信保持部51は、記憶装置に保持している3次元情報(データ)を遮蔽領域設定部56へ適宜出力する。
施工データ受信保持部52は、外部記憶装置111から送信される施工データを受信して記憶装置に保持するものである。施工データ受信保持部52は、記憶装置に保持している施工データを遮蔽領域設定部56へ適宜出力する。
旋回体姿勢演算部53は、機体姿勢検出装置21から出力される検出情報(例えば、上部旋回体3のロール角度、ピッチ角度、角速度)を用いて上部旋回体3の姿勢を演算するものである。旋回体姿勢演算部53は、演算結果の上部旋回体3の姿勢を姿勢統合部55へ出力する。
作業装置姿勢演算部54は、作業装置姿勢検出装置22から出力される検出情報(例えば、フロント作業装置1の各構成部材5、6、7の角度及び角速度)を用いてフロント作業装置1の姿勢を演算するものである。作業装置姿勢演算部54は、演算結果のフロント作業装置1の姿勢を姿勢統合部55へ出力する。
姿勢統合部55は、旋回体姿勢演算部53の演算結果である上部旋回体3の姿勢と作業装置姿勢演算部54の演算結果であるフロント作業装置1の各構成部材5、6、7の姿勢とを統合し、遮蔽領域設定部56へ出力する。例えば、上部旋回体3及びフロント作業装置1の水平面に対する姿勢(各構成部材5、6、7の姿勢を含む)を統合する。
遮蔽領域設定部56は、GNSS受信機34から出力された測位演算の結果と姿勢統合部55から出力された上部旋回体3及びフロント作業装置1の姿勢の情報と3次元データ受信保持部51から出力された3次元情報(データ)と施工データ受信保持部52から出力された施工データとを用いて、第1のGNSSアンテナ31の上空視界において電波障害物により遮られると想定される領域(遮蔽領域)及び第2のGNSSアンテナ32の上空視界において電波障害物により遮られると想定される領域(遮蔽領域)を設定するものである。遮蔽領域設定部56は、油圧ショベルの作業現場周辺における地形や立体構造物によって各GNSSアンテナ31、32の上空視界が遮られる領域を第1遮蔽領域として設定する。加えて、フロント作業装置1が後述の所定動作を行うと仮定した場合にフロント作業装置1によって各GNSSアンテナ31、32の上空視界が遮られ得る領域を第2遮蔽領域として設定する。
遮蔽領域設定部56が設定する第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2は、例えば、図3に示すような領域となる。図3は図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部が設定する第1遮蔽領域及び第2遮蔽領域の一例を示すイメージ図である。図3に示す天空図(GNSSアンテナ31、32の上空視界)は、方位角を角度座標にすると共に仰角を動径座標とする二次元極座標として表されている。
具体的には、遮蔽領域設定部56は、GNSS受信機34の測位演算の結果である地球基準座標上の第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルと姿勢統合部55からの上部旋回体3(機体)の姿勢の情報とを基に、地球基準座標上における上部旋回体3(機体)の位置、方位、姿勢を演算する。さらに、演算結果の上部旋回体3(機体)の地球基準座標上における位置、方位、姿勢の情報と3次元データ受信保持部51から出力された地球基準座標上の地形や立体構造物などの3次元情報とを用いて、油圧ショベルの作業現場周辺における地形や立体構造物(電波障害物)によって各GNSSアンテナ31、32の上空視界が遮られる領域を各GNSSアンテナ31、32の第1遮蔽領域M1(図3中、網掛領域M1)として設定する。また、演算結果の上部旋回体3(機体)の地球基準座標上における位置、方位、姿勢の情報と施工データ受信保持部52から出力された施工データに含まれる施工対象面の地球基準座標上の位置及び形状の情報とを用いて、フロント作業装置1が後述の所定条件下で施工対象面(図3中、斜線部M1S)に対して後述の所定動作を行うと仮定した場合に、フロント作業装置1(電波障害物)によって遮られ得る領域を各GNSSアンテナ31、32の上空視界の第2遮蔽領域M2(図3中、塗潰領域M2)として設定する。遮蔽領域設定部56は、設定した第1のGNSSアンテナ31の上空視界の第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2を第1のGNSSアンテナ31、32の上空視界のメイン遮蔽情報としてGNSS受信機34へ出力すると共に、設定した第2のGNSSアンテナ32の上空視界の第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2を第2のGNSSアンテナ32の上空視界のサブ遮蔽情報としてGNSS受信機34へ出力する。なお、遮蔽領域設定部56の第2遮蔽領域M2の具体的な設定方法は後述する。
位置・方位出力部57は、GNSS受信機34の測位演算の結果である地球基準座標上の第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルと姿勢統合部55からの上部旋回体3(機体)及びフロント作業装置1の姿勢の情報とを基に、地球基準座標上のフロント作業装置1の位置及び方位を演算するものである。位置・方位出力部57は、演算結果の地球基準座標上のフロント作業装置1の位置及び方位をショベル制御部42へ出力する。
次に、本発明の作業機械の一実施の形態におけるメインコントローラの遮蔽領域設定部の第2遮蔽領域の設定方法の詳細及びGNSS受信機の測位演算の処理方法について図2、図4、図5を用いて説明する。図4は図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における第2遮蔽領域の設定方法の第1例を示す説明図である。図5は図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における第2遮蔽領域の設定方法の第2例を示す説明図である。
図2に示す遮蔽領域設定部56は、概略、次のように第2遮蔽領域の設定を行う。まず、上述したように、GNSS受信機34の測位演算の結果である地球基準座標上の第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルと姿勢統合部55からの上部旋回体3(機体)の姿勢の情報とを基に、地球基準座標上における上部旋回体3(機体)の位置、方位、姿勢を演算する。次に、施工データ受信保持部52からの施工データ(地球基準座標上の施工対象面の位置及び形状の情報)を用い、上部旋回体3が演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持した状態のままで(所定条件下で)フロント作業装置1の特定部分(例えば、バケット7の爪先)を施工対象面に対して所定の距離の範囲内で沿うように動作させること(所定動作)を仮定したときに、フロント作業装置1の取り得る多数の姿勢(以下、フロント姿勢群と称することがある)を演算する。次いで、演算結果のフロント姿勢群によって各GNSSアンテナ31、32の上空視界が遮られる領域を包含するように第2遮蔽領域を設定する。フロント姿勢群は、高い仕上げ精度が求められる施工対象面に対する作業においてフロント作業装置1の取り得る姿勢と想定されるものである。
遮蔽領域設定部56による第2遮蔽領域M2の設定の具体的な演算方法の第1例は、次のようなものである。例えば、油圧ショベルの上部旋回体3が施工対象面St1、St2に対して図4に示す位置関係にある場合、上部旋回体3が正対する施工対象面St1上にフロント作業装置1の特定部分としてのバケット7の爪先が接し得るフロント作業装置1の全ての姿勢をフロント姿勢群として算出する。すなわち、上部旋回体3が演算時の位置、方位、姿勢を維持した状態のままで、フロント作業装置1の特定部分(バケット7の爪先)を施工対象面に対してゼロの距離で沿うように動作させることを仮定したときのフロント姿勢群を演算している。
図4では、便宜上、フロント姿勢群としてフロント作業装置1の3つの姿勢が描かれている。しかし実際上は、バケット7が施工対象面St1に接するという条件を満たす多数の姿勢が存在する。例えば、図4に示す油圧ショベルがバケット7を用いて施工対象面St1を上方から下方に向けて整形する場合を想定する。この場合、フロント作業装置1は、整形動作の起点における初期姿勢F1から、動作中の中途姿勢F2を経て、整形動作の終了点における最終姿勢F3に変化する。したがって、フロント姿勢群は、初期姿勢F1から中途姿勢F2を経て最終姿勢F3までの全ての姿勢によって構成されるものである。このフロント姿勢群は、例えば、バケット7の爪先が施工対象面St1に接するという条件を満たすブーム5、アーム6、バケット7(フロント作業装置1を構成する各被駆動部材)の角度範囲の組み合わせとして算出することが可能である。第2遮蔽領域M2は、各GNSSアンテナ31、32の上空視界のうち、演算結果のフロント姿勢群によって遮られる領域を包含するように設定される。なお、他方側の施工対象面St2に対しては、上部旋回体3が正対していないので、上述のフロント姿勢群の演算を行わない。
遮蔽領域設定部56による第2遮蔽領域M2の設定の具体的な演算方法の第2例は、次のようなものである。第1に、ブーム5、アーム6、バケット7(フロント作業装置1を構成する各被駆動部材)のそれぞれの取り得る角度範囲を有限数に分割する。ブーム5、アーム6、バケット7の各々の取り得る姿勢は、ブーム5、アーム6、バケット7の角度範囲の各分割領域の境界位置における離散的な角度値を要素とする角度値の集合として与えられる。フロント作業装置1の取り得る姿勢は、ブーム5における角度値の集合(離散的な角度値の集まり)としての複数の姿勢、アーム6における角度値の集合(離散的な角度値の集まり)としての複数の姿勢、バケット7における角度値の集合(離散的な角度値の集まり)としての複数の姿勢の中から、1つずつ抽出して組み合わせることで得られる有限数の角度値の組み合わせを要素とする角度値の組み合わせの集合(直積集合)として与えられる。
具体的には、ブーム5の姿勢、アーム6の姿勢、バケット7の姿勢を、それぞれブーム5の角度θ1、アーム6の角度θ2、バケット7の角度θ3として、次の(式1)、(式2)、(式3)のように定義する。
θ1=θ1min+(θ1max-θ1min)/NBm×i … (式1)
θ2=θ2min+(θ2max-θ2min)/NAm×j … (式2)
θ3=θ3min+(θ3max-θ3min)/NBk×k … (式3)
なお、θ1min及びθ1maxはそれぞれブーム5が取り得る角度の最小値及び最大値、θ2min及びθ2maxはそれぞれアーム6が取り得る角度の最小値及び最大値、θ3min及びθ3maxはそれぞれバケット7が取り得る角度の最小値及び最大値である。NBm、NAm、NBkはそれぞれ、ブーム5,アーム6、バケット7の可動角度の範囲を等分する自然数である。i、j、kはそれぞれ、0~NBm、0~NAm、0~NBkの範囲の整数として与えられる変数である。
このとき、フロント作業装置1の取り得る有限数の姿勢を示す姿勢郡S(θ1、θ2、θ3)は、i,j,kをそれぞれ変化させたときに(式1)、(式2)、(式3)から求められるブーム5の角度θ1、アーム6の角度θ2、バケット7の角度θ3から1つずつ抽出して組み合わせたもの(直積集合)として与えられる。したがって、フロント作業装置1の姿勢郡Sを構成する姿勢の総数Npは、(NBm+1)×(NAm+1)×(NBk+1)となる。
上述のように設定されたフロント作業装置1の取り得る姿勢郡Sのうち、上部旋回体3を演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持させた状態のままで、フロント作業装置1の特定部分(バケット7の爪先)と施工対象面St1との距離が所定値以下となる条件を満たすフロント作業装置1の全ての姿勢をフロント姿勢群として抽出する。たとえば、フロント作業装置1の取り得る姿勢郡S(θ1、θ2、θ3)により定まるバケット7の爪先位置のうち、アーム6の角度及びバケット7の角度をそれぞれ一意に設定したときの爪先位置は、図5に示すように、円弧Tr上に等間隔に配置された点群Pとなる。当該円弧Trは、アーム6及びバケット7の角度をそれぞれ一意に設定したときにブーム5の回動動作によってバケット7の爪先が描く軌跡であり、この点群Pの総数は(NBm+1)個である。これらの点群Pのうち、バケット7の爪先と施工対象面St1との距離が所定値Dt以下となる条件を満たす点に対応するフロント作業装置1の姿勢のみをフロント姿勢群として抽出する。たとえば、図5に示す円弧Tr上に配置された点群Pでは、施工対象面St1からの距離が所定の範囲Dt内にあることを条件とすると、2つの点P(a)、P(b)のみが上記条件を満足している。これら2つの点P(a)、P(b)に対応したフロント作業装置1の2つの姿勢をフロント姿勢群として抽出する。このようなフロント作業装置1の姿勢の抽出をアーム6の角度及びバケット7の角度を変更して繰り返し行う。総数Npのフロント作業装置1の姿勢郡Sに対して上記条件を満たす点群を抽出することで、上部旋回体3が演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持した状態のままでフロント作業装置1の特定部分(バケット7の爪先)を施工対象面St1に対して所定の距離Dtの範囲内で沿うように動作させることを仮定したときに、フロント作業装置1の取り得る姿勢であるフロント姿勢群を算出することができる。第2遮蔽領域M2は、各GNSSアンテナ31、32の上空視界のうち、演算結果のフロント姿勢群のフロント作業装置1によって遮られる領域を包含するように設定される。
第1のGNSSアンテナ31に対する演算結果の第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2はメイン遮蔽情報として、第2のGNSSアンテナ32に対する演算結果の第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2はサブ遮蔽情報として、図2に示すメインコントローラ40の遮蔽領域設定部56からGNSS受信機34へ出力される。GNSS受信機34は、遮蔽領域設定部56から出力された各GNSSアンテナ31、32の上空視界の遮蔽情報(メイン遮蔽情報及びサブ遮蔽情報)に従って、第1遮蔽領域M1又は第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星を測位演算に使用可能な測位衛星(可用衛星)の選択肢から除外するように構成されている。換言すると、GNSS受信機34は、各GNSSアンテナ31、32の上空視界のうちの第1遮蔽領域M1と第2遮蔽領域M2を除く領域に位置する測位衛星を可用衛星として選択し、選択された可用衛星に含まれている測位衛星からの測位信号を基に測位演算を行うように構成されている。第2遮蔽領域M2は、各GNSSアンテナ31、32の上空視界において、高い仕上げ精度が求められる作業中のフロント作業装置1の動作(姿勢の変化)によって可視領域と不可視領域とに頻繁に変化すると想定される領域である。この第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星は、フロント作業装置1の姿勢によっては各GNSSアンテナ31、32に対して可視状態にある場合でも、測位演算に使用可能な測位衛星(可用衛星)の選択肢から除外される。なお、選択された可用衛星の全ての測位衛星の測位信号が測位演算で実際に使用されるとは限らない。すなわち、測位演算に実際に使用される測位衛星の測位信号は、選択された可用衛星のうちの所定条件を満たす測位衛星の測位信号に限られることがある。
GNSS受信機34は、メインコントローラ40の遮蔽領域設定部56から出力されたメイン遮蔽情報を基に第1のGNSSアンテナ31の上空視界に対する可用衛星を選択し、第1のGNSSアンテナ31が受信した測位衛星の測位信号のうち選択された可用衛星に含まれている測位衛星からの測位信号及び補正情報受信機33が受信した補正情報を基に地球基準座標系の第1のGNSSアンテナ31の3次元位置の演算(測位演算)を行う。また、遮蔽領域設定部56から出力されたサブ遮蔽情報を基に第2のGNSSアンテナ32の上空視界に対する可用衛星を選択し、第2のGNSSアンテナ32が受信した測位衛星の測位信号のうち選択された可用衛星に含まれている測位衛星からの測位信号及び補正情報受信機33が受信した補正情報を基に地球基準座標系の第2のGNSSアンテナ32の3次元位置の演算(測位演算)を行う。さらに、第1のGNSSアンテナ31の3次元位置の測位演算の結果と第2のGNSSアンテナ32の3次元位置の測位演算の結果とを用いて基線ベクトル(第1のGNSSアンテナ31から第2のGNSSアンテナ32へ向かうベクトル)の演算(測位演算)を行う。GNSS受信機34は、測位演算の結果である第1のGNSSアンテナ31の3次元位置及び基線ベクトルをメインコントローラ40の位置・方位出力部57及び遮蔽領域設定部56へ出力する。
本実施の形態においては、測位演算を行うGNSS受信機34とポジショニング演算部41を有するメインコントローラ40とが、GNSSアンテナ31、32が受信した複数の測位衛星101からの測位信号と機体姿勢検出装置21の検出情報とを基に、上部旋回体3(機体)の測位演算を行う演算装置を構成している。また、本実施の形態においては、メインコントローラ40がポジショニング演算部41とショベル制御部42の両機能を実行するように構成されているが、ポジショニング演算部41とショベル制御部42とをそれぞれ異なるコントローラで実行する構成も可能である。ポジショニング演算部41とショベル制御部42とが別々のコントローラに実装される場合、ポジショニング演算部41が実装されたコントローラとGNSS受信機34とが、GNSSアンテナ31、32が受信した複数の測位衛星101からの測位信号と機体姿勢検出装置21の検出情報とを基に、上部旋回体3(機体)の測位演算を行う演算装置を構成する。
次に、本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における遮蔽領域の設定手順について図6を用いて説明する。図6は図2に示す本発明の作業機械の一実施の形態のメインコントローラの遮蔽領域設定部における遮蔽領域の設定手順の一例を示すフローチャートである。
メインコントローラ40の遮蔽領域設定部56は、演算周期ごとに以下の処理(ステップS10~S110)を実行する。図5において、先ず、1つ前の演算周期(時刻T=t-1)のGNSS受信機34の測位演算の結果である第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルの情報を取り込む(ステップS10)。次に、取り込んだ第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルの情報、並びに、3次元受信保持部51に保持されている作業現場(油圧ショベル)周辺の地形や立体構造物の3次元情報を基に、第1のGNSSアンテナ31の上空視界が作業現場周辺の地形や立体構造物によって遮られる領域(第1遮蔽領域M1)を算出し、メイン遮蔽情報として設定する(ステップS20)と共に、第2のGNSSアンテナ32の上空視界が作業現場周辺の地形や立体構造物によって遮られる領域(第1遮蔽領域M1)を算出し、サブ遮蔽情報として設定する(ステップS30)。
次いで、取り込んだ第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルの情報並びに機体姿勢検出装置21からの検出信号(上部旋回体3のロール角度及びピッチ角度)を基に、地球基準座標系における上部旋回体3(機体)の位置、姿勢、方位を演算する(ステップS40)。さらに、演算結果の上部旋回体3(機体)の位置と姿勢と方位、及び、施工データ受信保持部52に保持されている施工データ(地球基準座標系における施工対象面の位置及び形状)を基に、上部旋回体3(機体)が演算結果の位置、姿勢、方位を維持した状態のままでフロント作業装置1の特定部分(例えば、バケット7の爪先)を施工対象面に接触させることが可能である否かを判定する(ステップS50)。ステップS50において、YESと判定した場合にはステップS60に進む一方、NOと判定した場合にはステップS110に進む。
ステップS50においてYES(フロント作業装置1の特定部分が施工対象面に接触可能)と判定した場合、上部旋回体3が演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持した状態のままでフロント作業装置1の特定部分(例えば、バケット7の爪先)を施工対象面に対して所定の距離の範囲内で沿うように動作させることを仮定したときのフロント作業装置1の取り得る多数の姿勢をフロント姿勢群として算出する(ステップS60)。フロント姿勢群の演算方法は、上述した通りである(図4及び図5参照)。
さらに、第1のGNSSアンテナ31の上空視界のうち、演算結果のフロント姿勢群を構成するフロント作業装置1の各姿勢により遮られる領域をそれぞれ算出し、算出結果の各領域を包含するように第2遮蔽領域を設定する(ステップS70)。ステップS20で算出した第1遮蔽領域にステップS70で算出した第2遮蔽領域を組み合わせてメイン遮蔽情報(第1のGNSSアンテナ31の上空視界が遮蔽され得る領域を示す情報)として再設定する(ステップS80)。
第1のGNSSアンテナ31の場合と同様に、第2のGNSSアンテナ32の上空視界のうち、演算結果のフロント姿勢群を構成するフロント作業装置1の各姿勢により遮られる領域をそれぞれ算出し、算出結果の各領域を包含するように第2遮蔽領域を設定する(ステップS90)。ステップS30で算出した第1遮蔽領域にステップS90で算出した第2遮蔽領域を組み合わせてサブ遮蔽情報(第2のGNSSアンテナ32の上空視界が遮蔽され得る領域を示す情報)として再設定する(ステップS100)。
最終的に、設定したメイン遮蔽情報及びサブ遮蔽情報をGNSS受信機34へ出力する(ステップS110)。これにより、遮蔽領域設定部56の1つの演算周期が終了し、スタートに戻って次の演算周期(T=t+1)を実行する。なお、最初の演算周期(T=1)のとき、遮蔽領域設定部56が取り込むGNSS受信機の測位演算の結果は、GNSS受信機34に対して遮蔽領域設定部56がメイン遮蔽情報及びサブ遮蔽情報を出力していないので、各GNSSアンテナ31、32の上空視界が作業現場周辺の地形や立体構造物によって遮られる領域(第1遮蔽領域)やフロント作業装置1によって遮られ得る領域(第2遮蔽領域)の影響が考慮されていないものとなっている。つまり、最初の演算周期(T=1)のとき、GNSS受信機34は、遮蔽領域設定部56からのメイン遮蔽情報及びサブ遮蔽情報を用いない一般的な測位演算の結果(地球基準座標系の第1のGNSSアンテナ31の3次元位置及び基線ベクトルの情報)を仮情報として出力している。
次に、作業機械のフロント作業装置の動作に起因した測位演算の影響について図7及び図8を用いて説明する。図7は油圧ショベルのフロント作業装置の姿勢変化に対する天空(上空視界)の不可視領域(遮蔽領域)の設定方法の第1比較例を示す天空図である。図8は油圧ショベルのフロント作業装置の姿勢変化に対する天空(上空視界)の不可視領域(遮蔽領域)の設定方法の第2比較例を示す天空図である。
油圧ショベルのフロント作業装置1の動作(姿勢の変化)によって測位衛星からの測位信号が反射されたり回折したりすることで、各GNSSアンテナ31、32の測位衛星からの測位信号の受信が途絶したり、各GNSSアンテナ31、32が受信する測位信号の品質が劣化したりすることがある。高い仕上げ精度が要求される施工面に対するフロント作業装置1の動作は、所定の姿勢変化の繰り返しによるものが一般的である。フロント作業装置1の所定の姿勢変化の繰り返しにより、各GNSSアンテナ31、32の上空視界における所定領域が短時間のうちに繰り返し遮られる。このため、各GNSSアンテナ31、32の上空視界の当該所定領域に測位衛星が位置している場合には、当該測位衛星に対するGNSSアンテナ31、32からの可視と不可視とが頻繁に切り替わる。測位衛星の可視と不可視とが頻繁に切り替わる状況に応じて測位演算に用いる測位衛星の選択を変更すると、測位演算に用いる測位衛星の数や配置が変化するので、測位精度が低下する場合がある。
例えば、図7の上図に示すように、油圧ショベルのフロント作業装置1の姿勢が破線で示す第1姿勢E1の場合と太い実線で示す第2姿勢E2の場合を考える。GNSSアンテナ31、32の天空図(GNSSアンテナ31、32の上空視界)は、図7の下図に示すように、方位角を角度座標にすると共に仰角を動径座標とする二次元極座標系で表されている。当該二次元極座標系は、方位角及び仰角が所定の間隔で分割された格子状の領域に区分けされている。ただし、天頂領域は方位角及び仰角に分割していない。
フロント作業装置1の姿勢が第1姿勢E1のときにフロント作業装置1によって遮られる天空(上空視界)の領域RE11(破線で囲まれた部分)を、第1姿勢E1のときの不可視領域として設定する。また、フロント作業装置1の姿勢が第2姿勢E2のときにフロント作業装置1によって遮られる天空(上空視界)の領域RE21(太い実線で囲まれた部分)を、第2姿勢E2のときの不可視領域として設定する。領域RE11及び領域RE21は、例えば、二次元極座標系の格子状に区分された領域に合わせて設定される。第2姿勢E2のフロント作業装置1の方が第1姿勢E1の場合よりも上げ位置にあるので、その分、領域RE21の方が領域RE11よりも広くなっている。このフロント作業装置1の姿勢変化に応じて不可視領域(遮蔽領域)を設定する方法を本実施の形態のメインコントローラ40の遮蔽領域設定部56による遮蔽領域の設定方法に対する第1比較例として考える。
図7の下図に示す天空図では、例えば、6つの測位衛星のうちの5つの測位衛星101cが領域RE11の範囲外かつ領域RE21の範囲外に位置している一方、残りの1つの測位衛星101aが領域RE21の範囲内かつ領域RE11の範囲外に位置している。すなわち、5つの測位衛星101cは、フロント作業装置1が第1姿勢E1の場合であっても第2姿勢E2の場合であっても、GNSSアンテナ31、32から可視の状態にある。一方、残りの1つの測位衛星101aは、フロント作業装置1が第1姿勢E1の場合には可視の状態にある一方、第2姿勢E2の場合には不可視の状態にある。フロント作業装置1の姿勢変化に応じて可視の状態と不可視の状態とに切り替わる測位衛星101aは、図7の下図に示す6つの測位衛星の配置において測位精度の寄与度が高いものである。
このような状況において、測位演算に用いる測位衛星の選択肢として、GNSSアンテナ31、32から不可視の位置にある測位衛星を除外し、可視の位置にある測位衛星の中から選択する場合を考える。この場合、フロント作業装置1が第1姿勢E1であるか又は第2姿勢E2であるかによって、測位演算に用いる測位衛星の選択が変更されてしまう。
具体的には、フロント作業装置1が図7の上図に示す第1姿勢E1のときには、図7の下図に示す天空図のうち不可視領域である領域RE11を除く可視領域に位置する6つの測位衛星101a、101cの中から選択した測位衛星の測位信号を用いて測位演算を行う。このとき、測位精度の寄与度が高い測位衛星101aは、通常、測位演算に用いられる。一方、フロント作業装置1が図7の上図に示す第2姿勢E2のときには、図7の下図に示す6つの測位衛星101a、101cのうち、不可視領域である領域RE21の範囲内に位置する測位衛星101aが測位演算に用いる測位衛星の選択肢から除外され、残りの5つの測位衛星101cの中から選択された測位衛星からの測位信号を用いて測位演算を行う。
フロント作業装置1の動作が第1姿勢E1と第2姿勢E2との姿勢変化の繰り返しの場合には、フロント作業装置1によって遮られる天空の領域が領域RE11と領域RE21との間で頻繁に変化する。すなわち、領域RE11の範囲外かつ領域RE21の範囲内に位置する測位衛星101aの可視と不可視とが頻繁に変化する。このため、測位演算における当該測位衛星101aの選択と選択除外とが頻繁に切り替えられることになる。すなわち、測位演算に用いる測位衛星の組合わせがフロント作業装置1の姿勢の変化に応じて変更されてしまう。測位演算に用いる測位衛星の組合わせの変更は、測位精度の悪化を引き起こすことがある。
図7の下図に示す天空図では、フロント作業装置1の姿勢変化に応じた不可視領域が二次元極座標系の格子状に区分けされた領域に対して設定されている。それに対して、図8の下図に示す天空図では、天空(上空視界)を遮るフロント作業装置1の射影形状を正確に反映した領域が姿勢変化に応じて不可視領域として設定されている。例えば、図8の上図に示すフロント作業装置1の姿勢が第1姿勢E1のとき、図8の下図に示すうように、フロント作業装置1によって遮られる天空(上空視界)の領域RE12(破線で囲まれた第1姿勢E1の射影形状の部分)をGNSSアンテナ31、32からの不可視領域として設定する。また、フロント作業装置1の姿勢が第2姿勢E2のとき、フロント作業装置1によって遮られる天空(上空視界)の領域RE22(太い実線で囲まれた第2姿勢E2の射影形状の部分)をGNSSアンテナ31、32からの不可視領域として設定する。このフロント作業装置1の姿勢の射影形状に応じた不可視領域(遮蔽領域)の設定方法を本実施の形態のメインコントローラ40の遮蔽領域設定部56による遮蔽領域の設定方法に対する第2比較例として考える。
このように、GNSSアンテナ31、32からの不可視領域をフロント作業装置1の姿勢変化に応じて図8の下図に示すように設定する第2比較例の場合であっても、6つの測位衛星101a、101cのうち、測位精度の寄与度が高い測位衛星101aがフロント作業装置1の姿勢変化(第1姿勢E1と第2姿勢E2の変化)に応じて可視の状態と不可視の状態とに変化する場合には、測位演算における当該測位衛星101aの選択と選択除外とが頻繁に切り替えられることになる。したがって、測位演算に用いる測位衛星の組合わせがフロント作業装置1の姿勢の変化に応じて変更されてしまうので、測位精度の悪化を引き起こす懸念は変わらない。
次に、本発明の作業機械の一実施の形態における効果について図4及び図9を用いて説明する。図9は本発明の作業機械の一実施の形態が設定する遮蔽情報と測位衛星の配置との関係の一例を示す説明図(天空図)である。図9に示す天空図(GNSSアンテナ31、32の上空視界)は、方位角を角度座標にすると共に仰角を動径座標とする二次元極座標として表されている。
油圧ショベルが、例えば図4に示すように、正対している施工対象面St1に対して、フロント作業装置1のバケット7を用いて上方から下方に向けて整形作業を行う場合を考える。フロント作業装置1は、整形動作の起点における初期姿勢F1から整形動作の終了点における最終姿勢F3まで変化し、整形動作の中途においてGNSSアンテナ31、32の上空視界を遮る範囲が最大となる中途姿勢F2を経る。
複数(図4中、6つ)の測位衛星101a、101b、101cのうちの或る測位衛星101aは、フロント作業装置1が初期姿勢F1及び最終姿勢F3のときにはGNSSアンテナ31、32から可視状態であるが、中途姿勢F2のときにはフロント作業装置1によって遮られて不可視の状態にあるものとする。すなわち、当該測位衛星101aは、フロント作業装置1の整形動作中に、GNSSアンテナ31、32から可視と不可視とに変化する。また、別の或る測位衛星101bは、フロント作業装置1が図4に示す整形動作の姿勢変化を経る場合にはGNSSアンテナ31、32から可視状態であるが、上部旋回体3が施工対象面St1に対して正対を維持した状態のままでフロント作業装置1が取り得る全ての姿勢のうちの特定の姿勢のときには不可視の状態になるものとする。残りの測位衛星101cは、上部旋回体3が施工対象面St1に対して正対を維持した状態のままでフロント作業装置1が取り得る全ての姿勢に対して、GNSSアンテナ31、32から可視であるものとする。
このような状況において、油圧ショベルのメインコントローラ40の遮蔽領域設定部56は、GNSS受信機34の測位演算の結果である第1のGNSSアンテナ31の位置及び基線ベクトルの情報と3次元データ受信保持部51に保持されている3次元情報とを基に、作業現場における油圧ショベルの周囲の構造物や地形などの電波障害物により遮られる各GNSSアンテナ31、32の上空視界の領域を第1遮蔽領域M1として設定する。第1遮蔽領域は、例えば、図9に示す破線により囲まれた領域M1とする。第1遮蔽領域M1のうち、上部旋回体3が正対している施工面St1により遮られる領域は、例えば、図9に示す斜線部の領域M1Sとする。
遮蔽領域設定部56は、また、上部旋回体3が演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持した状態のままで(所定条件下で)フロント作業装置1の特定部分(バケット7の爪先)を上部旋回体3が正対する施工対象面St1に対して所定の距離の範囲内で沿うように動作させること(所定の動作条件)を仮定したときにフロント作業装置1の取り得る多数の姿勢(フロント姿勢群)によって遮られる各GNSSアンテナ31、32の上空視界の領域を第2遮蔽領域M2として設定する。第2遮蔽領域は、例えば、図9に示す太い実線で囲まれた領域M2とする。第2遮蔽領域M2のうち、図4に示すフロント作業装置1の整形作業時の初期姿勢F1や最終姿勢F3により遮られる領域は、例えば、図9に示す一点鎖線で囲まれた領域M2aとする。なお、上部旋回体3が演算結果(演算時点)の位置、方位、姿勢を維持した状態のままでフロント作業装置1が取り得る姿勢(所定の動作条件は無し)によって遮られるGNSSアンテナ31、32の上空視界の領域を包含する領域は、例えば、図9に示す二点鎖線で囲まれた領域R0とする。
このとき、或る測位衛星101aは、図9に示す第2遮蔽領域M2の範囲内かつ領域M2a及び第1遮蔽領域M1の範囲外にある。また、別の或る測位衛星101bは、図9に示す領域R0の範囲内かつ第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2の範囲外にある。残りの4つの測位衛星101cは、図9に示す第1遮蔽領域M1、第2遮蔽領域M2、領域R0の範囲外にある。
遮蔽領域設定部56は、第1のGNSSアンテナ31の上空視界に対して設定した第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2をメイン遮蔽情報として、第2のGNSSアンテナ32の上空視界に対して設定した第1遮蔽領域M1及び第2遮蔽領域M2をサブ遮蔽情報として、油圧ショベルのGNSS受信機34へ出力する。GNSS受信機34は、遮蔽領域設定部56によって設定された第1遮蔽領域M1又は第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星を測位演算に用いる測位衛星の選択肢から除外し、残りの測位衛星の中から選択した測位衛星の測位信号を基に測位演算を実行する。すなわち、第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星は、測位演算に用いる衛星の選択肢から常に除外される。
例えば、GNSS受信機34は、図9に示す第2遮蔽領域M2の範囲内に位置する測位衛星101aを測位演算に用いる測位衛星の選択肢から除外し、第1遮蔽領域M1の範囲外かつ第2遮蔽領域M2の範囲外に位置する5つの測位衛星101b、101cの中から選択した測位衛星の測位信号を基に測位演算を行う。このように、第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星101aが各GNSSアンテナ31、32からフロント作業装置1の姿勢変化によって可視状態になったり不可視状態になったりしても、第2遮蔽領域M2に位置する測位衛星101aを測位演算に用いる測位衛星の選択肢から常に除外することで、高い施工精度が要求されるフロント作業装置1の動作中に測位演算に用いる測位衛星の組み合わせが変更されることを防止することができる。これにより、高い施工精度が要求されるフロント作業装置1の動作中において測位精度を高精度に維持することができるので、施工面の仕上げ精度を高く維持することができる。
なお、図9に示す領域R0に位置する測位衛星101bは、フロント作業装置1の姿勢によっては一時的に各GNSSアンテナ31、32から不可視になることがある。このとき、GNSS受信機34は、図9に示す領域R0に位置する測位衛星101bが第1遮蔽領域M1または第2遮蔽領域M2の範囲内に位置していないので、当該測位衛星101bを測位演算に用いる選択肢として維持する。すなわち、図9に示す領域R0に位置する測位衛星101bからの測位信号を用いて測位演算を行うことがある。図9に示す領域R0に位置する測位衛星101bがGNSSアンテナ31、32から不可視である場合、同測位衛星101bからの測位信号をGNSSアンテナ31、32が品質の悪い状態で受信するので、測位精度が悪化することがある。しかし、第2遮蔽領域M2の範囲外かつ領域R0の範囲内となるフロント作業装置1の姿勢は、高い施工精度が要求される動作中の姿勢とは異なる姿勢であるので、測位精度が悪化したとしても、施工精度に影響を及ぼすことはない。
上述したように、第1の実施の形態に係る油圧ショベル(作業機械)は、機体2、3と、上部旋回体3(機体)に取り付けられ姿勢が変化するフロント作業装置1(作業装置)と、上部旋回体3(機体)に取り付けられ複数の測位衛星101からの測位信号を受信するGNSSアンテナ31、32(アンテナ)と、上部旋回体3(機体)の姿勢の情報を検出する機体姿勢検出装置21と、GNSSアンテナ31、32(アンテナ)が受信した複数の測位衛星101からの測位信号と機体姿勢検出装置21の検出情報とを基に、上部旋回体3(機体)の測位演算を行う演算装置(GNSS受信機34、メインコントローラ40)と備えている。さらに、演算装置34、40は、機体姿勢検出装置21により検出された上部旋回体3(機体)の姿勢情報とGNSSアンテナ31、32(アンテナ)が受信した複数の測位衛星101からの測位信号とに基づいてGNSSアンテナ31、32(アンテナ)の上空視界における第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)を設定し、GNSSアンテナ31、32(アンテナ)が受信した複数の測位衛星101の測位信号のうち第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)の範囲内に位置する測位衛星からの測位信号を除外して、上部旋回体3(機体)の測位演算を行うよう構成されている。演算装置34、40により設定される第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)の範囲は、演算装置34、40が、機体姿勢検出装置21により検出された上部旋回体3(機体)の姿勢情報とGNSSアンテナ31、32(アンテナ)が受信した複数の測位衛星の測位信号とにより上部旋回体3(機体)の位置と方位と姿勢とを演算し、演算された上部旋回体3(機体)の位置と方位と姿勢を維持した状態のままでフロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)を予め設定されている施工対象面St1に対して所定の距離の範囲Dt内で沿うように動作させたときフロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢を演算し、演算された複数の姿勢を作業装置がとったときにGNSSアンテナ31、32(アンテナ)の上空視界においてフロント作業装置1(作業装置)により遮られる領域が包含される範囲を演算して設定するものである。
この構成よれば、フロント作業装置1(作業装置)を所定条件で動作させたときに取り得る複数の姿勢により遮られるGNSSアンテナ31、32(アンテナ)の上空視界の領域が包含される範囲を演算して設定した第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)の範囲内に位置する測位衛星101aを演算装置34、40の測位演算に用いる測位衛星から除外することで、フロント作業装置1(作業装置)の作業中の姿勢変化に起因してGNSSアンテナ31、32(アンテナ)の上空視界の或る領域が繰り返し可視領域と不可視領域とに変化する測位環境下であっても、測位演算に用いられる測位衛星101の組み合わせが変更され難いので、衛星測位の精度悪化を防止することができる。
また、本実施の形態においては、フロント作業装置1(作業装置)がブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)が駆動可能に連結された装置である。さらに、演算装置34、40によって演算されるフロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢は、フロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)が施工対象面St1に対して接するという条件を満たすブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)の各々の角度範囲の組み合わせによって構成された情報である。
この構成によれば、演算装置34、40により演算されるフロント作業装置1(作業装置)の取り得る複数の姿勢が高い施工精度が要求されるフロント作業装置1(作業装置)の整形動作中の姿勢を含むようになるので、演算結果であるフロント作業装置1(作業装置)の取り得る複数の姿勢を基に設定する第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)は、高い施工精度が要求されるフロント作業装置1(作業装置)の動作中の姿勢変化に起因して可視状態と不可視状態とに変化する上空視界の領域を確実に覆うことができる。
また、本実施の形態においては、フロント作業装置1(作業装置)がブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)が駆動可能に連結された装置である。さらに、演算装置34、40により演算されるフロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢は、ブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)の各々の取り得る姿勢をブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)の各々の取り得る角度範囲を有限数に分割して得られた各分割領域の境界位置の角度値を要素とする角度値の集合として規定され、フロント作業装置1(作業装置)の取り得る姿勢をブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)の各々の角度値の集合の中から1つずつ抽出して組み合わせることで得られる角度値の組み合わせを要素とする角度値の組み合わせの集合として規定され、角度値の組み合わせの集合(姿勢郡S(θ1、θ2、θ3))の中から、フロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)と施工対象面St1との距離が所定値Dt以下となる条件を満たす角度値の組み合わせである。
この構成によれば、演算装置34、40により演算されるフロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢は、ブーム5、アーム6、バケット7(複数の被駆動部材)の各々の有限数の角度値の組み合わせの中から所定の条件を満たす組み合わせであるので、高い施工精度が要求されるフロント作業装置1(作業装置)の動作中の姿勢を全て含むようにフロント作業装置1(作業装置)の姿勢を演算する場合よりも、演算装置34、40の演算負荷を軽減することができる。
また、本実施の形態に係る演算装置34、40は、さらに、機体姿勢検出装置21により検出された上部旋回体3(機体)の姿勢情報とGNSSアンテナ31、32(アンテナ)が受信した複数の測位衛星101の測位信号とにより演算した機体2、3の位置と方位と姿勢を維持した状態のままでフロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)が施工対象面St1に接触可能であるか否かを判定するように構成されている。加えて、演算装置34、40によるフロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢の演算は、フロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)が施工対象面St1に接触可能であると判定された場合に実行される。
この構成によれば、フロント作業装置1(作業装置)の特定部分(バケット7の爪先)が施工対象面St1に接触不能の状態である場合には、フロント作業装置1(作業装置)が取り得る複数の姿勢の演算を演算装置34、40が実行しないので、演算装置34、40の不要な演算負荷を削減することができる。
また、本実施の形態に係る演算装置34、40は、上部旋回体3(機体)の測位演算を繰り返し実行するように構成されている。さらに、演算装置34、40による第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)の設定は、前に設定した第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)に基づき行われた上部旋回体3(機体)の測位演算の結果を用いて行われるものである。
この構成によれば、第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)が繰り返し更新されていくので、上部旋回体3(機体)の位置と方位と姿勢の変化に応じて適切な第2遮蔽領域M2(遮蔽領域)の設定が可能となる。
[その他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態においては、本発明を油圧ショベルに適用した例を示した。しかし、本発明は、姿勢が変化する作業装置を備え、複数の測位衛星からの測位信号を受信して自身の位置情報を演算する各種の作業機械に広く適用することができる。
また、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、GNSSアンテナ31、32によって受信された測位信号を基に、GNSS受信機が測位演算を行う構成の例を示した。しかし、GNSSアンテナ31、32によって受信された測位信号を基に、メインコントローラ40が測位演算を行うように構成することも可能である。すなわち、メインコントローラ40のポジショニング演算部41が遮断領域設定部56の機能に加えて測位演算の機能(測位演算部)を含むように構成することも可能である。この場合、メインコントローラ40が、GNSSアンテナ31、32が受信した複数の測位衛星(GNSS衛星群)101からの測位信号と機体姿勢検出装置21の検出情報とを基に、上部旋回体3(機体)の測位演算を行う演算装置を構成する。
1…フロント作業装置(作業装置)、 3…上部旋回体(機体)、 5…ブーム(被駆動部材)、 6…アーム(被駆動部材)、 7…バケット(被駆動部材)、 21…第1姿勢センサ(機体姿勢検出装置)、 31…第1のGNSSアンテナ(アンテナ)、 32…第2のGNSSアンテナ(アンテナ)、 34…GNSS受信機(演算装置)、 40…メインコントローラ(演算装置)、 M2…第2遮蔽領域(遮蔽領域)、 St1…施工対象面、 F1、F2、F3…複数の姿勢

Claims (5)

  1. 機体と、
    前記機体に取り付けられ、姿勢が変化する作業装置と、
    前記機体に取り付けられ、複数の測位衛星からの測位信号を受信するアンテナと、
    前記機体の姿勢の情報を検出する機体姿勢検出装置と、
    前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星からの測位信号と前記機体姿勢検出装置の検出情報とを基に、前記機体の測位演算を行う演算装置と備えた作業機械において、
    前記演算装置は、前記機体姿勢検出装置により検出された前記機体の姿勢情報と前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星からの測位信号に基づいて、前記アンテナの上空視界における遮蔽領域を設定し、前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星の測位信号のうち前記遮蔽領域の範囲内に位置する測位衛星からの測位信号を除外して、前記機体の測位演算を行うよう構成されており、
    前記演算装置により設定される前記遮蔽領域の範囲は、前記演算装置が、前記機体姿勢検出装置により検出された前記機体の姿勢情報と前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星の測位信号とにより前記機体の位置と方位と姿勢を演算し、演算された前記機体の位置と方位と姿勢を維持した状態のままで前記作業装置の特定部分を予め設定されている施工対象面に対して所定の距離の範囲内で沿うように動作させたとき前記作業装置が取り得る複数の姿勢を演算し、演算された前記複数の姿勢を前記作業装置がとったときに前記アンテナの上空視界において前記作業装置により遮られる領域が包含される範囲を演算して設定する
    ことを特徴とする作業機械。
  2. 請求項1に記載の作業機械において、
    前記作業装置は、複数の被駆動部材が駆動可能に連結された装置であり、
    前記演算装置によって演算される前記作業装置が取り得る前記複数の姿勢は、前記作業装置の前記特定部分が前記施工対象面に対して接するという条件を満たす前記複数の被駆動部材の各々の角度範囲の組み合わせによって構成された情報である
    ことを特徴とする作業機械。
  3. 請求項1に記載の作業機械において、
    前記作業装置は、複数の被駆動部材が駆動可能に連結された装置であり、
    前記演算装置によって演算される前記作業装置が取り得る前記複数の姿勢は、
    前記複数の被駆動部材の各々の取り得る姿勢を、前記複数の被駆動部材の各々の取り得る角度範囲を有限数に分割して得られた各分割領域の境界位置の角度値を要素とする角度値の集合として規定され、
    前記作業装置の取り得る姿勢を、前記複数の被駆動部材の各々の前記角度値の集合の中から1つずつ抽出して組み合わせることで得られる角度値の組み合わせを要素とする角度値の組み合わせの集合として規定され、
    前記角度値の組み合わせの集合の中から、前記作業装置の前記特定部分と前記施工対象面との距離が所定値以下となる条件を満たす角度値の組み合わせである
    ことを特徴とする作業機械。
  4. 請求項1に記載の作業機械において、
    前記演算装置は、さらに、前記機体姿勢検出装置により検出された前記機体の姿勢情報と前記アンテナが受信した前記複数の測位衛星の測位信号とにより演算した前記機体の位置と方位と姿勢とを維持した状態のままで前記作業装置の前記特定部分が前記施工対象面に接触可能であるか否かを判定するように構成され、
    前記演算装置による前記作業装置が取り得る前記複数の姿勢の演算は、前記作業装置の前記特定部分が前記施工対象面に接触可能であると判定された場合に実行される
    ことを特徴とする作業機械。
  5. 請求項1に記載の作業機械において、
    前記演算装置は、前記機体の測位演算を繰り返し実行するように構成され、
    前記演算装置による前記遮蔽領域の設定は、前に設定した遮蔽領域に基づき行われた前記機体の測位演算の結果を用いて行われるものである
    ことを特徴とする作業機械。
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