JP2024046876A - 多層積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることが求められる用途に好適な多層積層フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】 異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる多層積層フィルムであって、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることを特徴とする、多層積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、従来の多層積層フィルムとは異なる光学特性を有する多層積層フィルムに関する。
PETフィルムなどの一般的な透明部材は、正面方向の光に対しても、斜め方向の光に対しても高い透過性を有している。一方、特許文献1では、特定の偏光に対して反射性を有する多層積層フィルムが開示されている。特許文献1に記載されている多層積層フィルムは、延伸方向によって異なる光学特性(視野角制御性)を示しており、フィルム面に対して特定の方向について、その方向に対して平行に振動する光は、正面から入射した場合も斜めから入射した場合も変わらない反射性能を有している。
特表平09-507308号公報
特許文献1のフィルムは、正面方向からの光の透過性が高く斜め方向からの光の透過性が低いものであり、当該フィルムは正面方向からの光のみの透過が求められる用途には適する。しかしながら、例えばミニLED等の極小光源の上面に重ねることで輝度ムラ抑制と輝度向上の両立するディスプレイ用途等、所望の波長帯域において、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることが求められる用途に適用することは困難であった。そこで本発明は、所望の波長帯域において、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることが求められる用途に好適な多層積層フィルムを提供することをその課題とする。
本発明の多層積層フィルムは、上記の課題を解決せんとするものであって、以下の構成からなる。すなわち、異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる多層積層フィルムであって、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることを特徴とする、多層積層フィルムである。
また、本発明の多層積層フィルムは以下の態様とすることができ、また、これを用いて積層体、表示装置、ガラス部材を得ることもできる。
(1) 異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる多層積層フィルムであって、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることを特徴とする、多層積層フィルム。
(2) 前記Tp20と前記Tp60が、Tp60-Tp20≧1を満たす、(1)に記載の多層積層フィルム。
(3) 前記Tp60の方位角ばらつきが10%以下である、(1)または(2)に記載の多層積層フィルム。
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の多層積層フィルム、及び位相差板と偏光板の少なくとも一つを備える、積層体。
(5) (1)~(3)のいずれかに記載の多層積層フィルム、または(4)に記載の積層体と、前記積層フィルムまたは前記積層体に光を照射する光源を備える、表示装置。
(6) (1)~(3)のいずれかに記載の多層積層フィルム、または(4)に記載の積層体を備える、ガラス部材。
本発明により、所望の波長帯域において、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることが求められる用途に好適な多層積層フィルムを提供することができる。
本発明の一実施態様である多層積層フィルムの層厚み分布を示すグラフである。 本発明の一実施態様である多層積層フィルムにおける光(p偏光)の入射角度と平均透過率を示すグラフである。 方位角を説明する模式図である。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明の多層積層フィルムは以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は、本発明の好ましい態様の一つである、異なる2種の熱可塑性樹脂層が交互に積層された構成を有する多層積層フィルムを例にとり説明する。但し、3種以上の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、同様に理解されるべきものである。
本発明の多層積層フィルムは、異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる多層積層フィルムであって、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることを特徴とする。以下、本発明の多層積層フィルムについてより具体的に説明する。
本発明の多層積層フィルムは、異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる。本発明の多層積層フィルムにおいては、組成の異なる熱可塑性樹脂層が複数種存在し、かつ、これらの熱可塑性樹脂層の屈折率がフィルムの面内の配向軸方向と、配向軸に直交する方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて、0.01以上異なる場合に「異なる複数の熱可塑性樹脂層が存在する。」とみなすことができる。また、交互に積層したとは、異なる熱可塑性樹脂からなる層が厚み方向(フィルム面に垂直な方向)に規則的な配列で積層されていることをいう。また、配向軸方向とはフィルム面内で最も屈折率の大きい方向をいう。配向軸は、公知の分子配向計により測定して特定することができ、分子配向計としては、例えば現王子計測機器(株)の分子配向計MOA-7015等を用いることができる(当該分子配向系を用いた場合の測定方法の詳細は後述する。)。
規則的な配列の具体例としては、例えば、多層積層フィルムが第一の熱可塑性樹脂からなる層(層A)と第二の熱可塑性樹脂からなる層(層B)からなる場合であれば、A(BA)n、B(AB)n(nは繰り返し単位の数を表す自然数、以下同じ。)のように2種類の層が交互に積層された配列が挙げられる。また、多層積層フィルムが第一の熱可塑性樹脂からなる層(層A)、第二の熱可塑性樹脂からなる層(層B)、及び第三の熱可塑性樹脂からなる層(層C)からなる場合であれば、その配列は特に限定されるものではないが、例えば、C(BA)nCやC(ABC)n、C(ACBC)n、(ACBC)nA等のように、各熱可塑性樹脂層が一定の規則性をもって順に積層された配列が挙げられる。このように屈折率等の光学的性質の異なる複数の熱可塑性樹脂層を規則的に積層することにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係により、所望の波長帯域の光を選択的に反射させる干渉反射を発現させることが可能となる。
多層積層フィルムの層数が50層以下の場合には、所望する波長帯域において高い反射率を得られない。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を実現できるようになり、所望する波長帯域の光を反射する多層積層フィルムが得られるようになる。上記観点から、多層積層フィルムの層数は好ましくは401層以上であり、より好ましくは801層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加、フィルム厚みが大きくなることに伴うハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には10001層程度が実用範囲となる。なお、多層積層フィルムの層数は、フィルム面に垂直な面で切断したときの断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより確認することができ、詳細は後述する。
本発明の多層積層フィルムは、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることが必要である。
Tpmaxθ、Tpminθは、波長450~1600nmのp偏光を入射角度θで多層積層フィルムに照射し、1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)を測定することにより決定することができる。Tsmaxθ、Tsminθも、p偏光をs偏光に変更して同様の測定を行うことにより決定することができる。また、Tp20、Tp40、Tp60、Ts0についても入射角度や光線種を調整する以外は同様に測定した透過率より算出することができる。なお、透過率の測定には公知の分光光度計を用いることができ、詳細な測定手順は後述する。
多層積層フィルムが「Tp20≦Tp40<Tp60」を満たすことは、正面から入射したp偏光よりも斜めから入射したp偏光を透過させやすい性質を有していることを意味する。すなわち、多層積層フィルムはp偏光の光に対してこのような光学特性を有することで、所望の波長帯域において、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることができる。その結果、本発明の多層積層フィルムのコンセプトや種々の用途に適用した際に好ましい特性が得られる。
なお、本発明の多層積層フィルムの反射波長帯域については、各層の熱可塑性樹脂層に用いる熱可塑性樹脂や層厚みを適切に選択することで調整することができる。また、多層積層フィルムの層厚みをする方法としては、後述の通り、適切な多層積層装置を用いる方法、フィルムの厚みを調整する方法等を用いることができる。
異なる2種の熱可塑性樹脂層(層A、層B)のうち、フィルム面内の主配向方向とその直交方向の屈折率の平均(以下、面内屈折率と呼ぶことがある。)の大きい方を層A、小さい方を層Bとして、以下、上記態様の多層積層フィルムを得るための手段について、より具体的に説明する。このときの層A、層Bの面内方向、フィルム面に垂直な方向の屈折率(以下、面直屈折率と呼ぶことがある。)をそれぞれ、nA面内、nB面内、nA面直、nB面直とする。さらに高屈折層と低屈折層の面内方向、面直方向の屈折率差はそれぞれnA面内-nB面内、nA面直-nB面直と定義する。面内方向と面直方向の双方において屈折率差が0.01以上の場合、上記関係式を満たす多層積層フィルムを得ることができる。一方で、面直方向の屈折率差が0以下となる場合、Tp60≦Tp20、又は/かつTp60≦Tp40となり正面からの入射光よりも斜め方向からの入射光の透過率が低くなり、本発明の多層積層フィルムのコンセプトを満たさない。
本発明の多層積層フィルムは、Tp0とTs0の平均が80%以下であることにより、所望の波長帯域において、正面からの入射光の透過を抑えることができる。実際に多層積層フィルムを使用する用途にもよるが、該平均が低いほど正面からの反射性が高まることから正面からの光の透過を抑えたい場合は、Tp0とTs0の平均は好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。当該透過率の上限は実現容易性の観点から1%である。
Tp0とTs0の平均の大きな多層積層フィルムを得るための方法としては、2つの熱可塑性樹脂層(層A、層B)の間の面内屈折率差を大きくする方法が挙げられる。より具体的には、上記面内屈折率差が0.04以上であれば当該透過率を70%以下に、0.06以下であれば当該透過率を50%以下に、0.10以下であれば当該透過率を30%以下にすることが容易となる。
本発明の多層積層フィルムは、Tp20とTp60が、Tp60-Tp20≧1を満たすことが好ましい。この関係式を満たすとき、正面から斜め方向にかけてp偏光の透過率が上昇することを示している。Tp60-Tp20の値が大きいほど正面からの透過性と斜めからの透過性に差が生じることから、より好ましくはTp60-Tp20≧10、さらに好ましくはTp60-Tp20≧20であり、Tp60-Tp20の上限は実現可能性の観点から50である。
このような多層積層フィルムを得る方法としては、例えば、面直方向の屈折率差を0より大きくする方法が挙げられるが、単に面直方向の屈折率差を大きくするだけでなく、さらに面内方向の屈折率差も大きくする必要もある。ここで層Aと層Bの交互積層構成を有する多層積層フィルムにおいて、各層の配向度をnA面内/nA面直及びnB面内/nB面直とし、さらに各層の配向度の比(以下、配向度比ということがある。)を[(nA面内/nA面直)/(nB面内/nB面直)]と定義する。配向度は各層の複屈折を規定し、屈折率楕円体として模式化される。また、配向度比は各層の屈折率楕円体の相似比を示す。この配向度比が1.03以下の場合、多層積層フィルムにおいてTp60-Tp20≧1を達成できる。さらに、多層積層フィルムのTp60-Tp20を好ましい値とする方法として、配向度比が1.03以下、かつ面直方向の屈折率差を適切な値とすることで達成できる。一方で配向度比が1.03を上回る場合、Tp60-Tp20<1となる場なり、正面からの入射光に比べて斜め方向からの入射光の透過率が低くなるため、本発明の多層積層フィルムのコンセプトを満たさない。
以下、屈折率が異なる二つの層A、層Bからなる態様を例に挙げ、図面を用いて本発明の多層積層フィルムの層厚み分布および入射角度別透過率について説明する。図1は、本発明の一実施態様である多層積層フィルムの層厚み分布を示すグラフであり、図2は本発明の一実施態様である多層積層フィルムにおける光(p偏光)の入射角度と平均透過率を示すグラフである。図1に示すように本発明の多層積層フィルムは、一方の面から他方の面に向かって各層の層厚みが単調増加する層厚み分布を有することで、その光学厚みに応じた波長の光を反射する。また、図2の符号2~4は、それぞれ図1の層厚み構成とし、後述の表1に示す本発明例1、本発明例2、従来の干渉反射フィルムの屈折率、配向度とした多層積層フィルムの光学特性を表すものである。
本発明の多層積層フィルムにおいて面内方向の屈折率が大きい層を層Aとしたときに、面内屈折率差および面直屈折率差(層A-層B)がともに0より大きいとき、Tp20、Tp40、Tp60が、Tp20≦Tp40<Tp60、およびTp60-Tp20≧1の関係を満たす。一方で、面直屈折率差が0以下となる場合、図2の符号3のように入射方向が正面方向から斜め方向につれて透過率が減少し、Tp20≦Tp40<Tp60、およびTp60-Tp20≧1の関係を満たさなくなる。
Figure 2024046876000001
本発明の多層積層フィルムは、フィルム面に、その法線とのなす角が60°となるようにp偏光を入射させたときの反射率の方位角ばらつきが10%以下であること、すなわち、Tp60の方位角ばらつきが10%以下であることが好ましい。ここで方位角とは、図3に示すように本発明の積層体を構成する多層積層フィルム5の配向軸方向の方位角を0°としたときの各方位角(0°、45°、90°、135°、180°)のことを表す。方位角ばらつきとは上記方位角(0°、45°、90°、135°、180°)において測定したTp60(0°)、Tp60(45°)、Tp60(90°)、Tp60(135°)、Tp60(180°)の値の最大値と最小値の差をいう。
Tp60(0°)、Tp60(45°)、Tp60(90°)、Tp60(135°)、Tp60(180°)は、分光光度計で入射角度θ=60°における波長400~700nmのp偏光の透過率を1nm刻みで測定し、上述の方法で平均透過率Pを求めることにより測定することができる。ここで傾斜方向である方位角は多層積層フィルムの配向軸方向の方位角を0°として、これを基準に右回りに0°、45°、90°、135°、180°の5つを採用する。Tp60の方位角ばらつきが10%以下であることで、何れの方位から斜め方向の光を入射しても、透過性を担保できる。
Tp60の方位角ばらつきを小さくするためには、例えば本発明の多層積層フィルムの面内方向の屈折率ムラを小さくすることが効果的であり、フィルムの面内方向の屈折率ムラを小さくするにはフィルムの二軸延伸時にフィルム長手方向と幅方向の配向状態の差を小さくするように延伸することが挙げられる。長手方向と幅方向の配向状態の差を小さくする延伸条件は使用する熱可塑性樹脂やその組み合わせによって異なるが、各層にポリエステル樹脂を用いて二軸延伸を行う場合は、例えば長手方向よりも幅方向の延伸倍率を僅かに高くした条件で達成できる。より好ましいTp60の方位角ばらつきは5%以下であり、さらに好ましくは2%である。Tp60の方位角ばらつきの下限は実現性の観点から0.1%である。いずれもフィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ最適な倍率で延伸することで達成できる。
本発明の多層積層フィルムは、第一の熱可塑性樹脂からなる層(層A)と第二の熱可塑性樹脂からなる層(層B)が交互に積層された構成を有することが好ましい。なお、層Aは層Bに比べて高屈折率の層とする。第一の熱可塑性樹脂はテレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸に由来する構造を含むポリエステルを主成分とすることが好ましい。また、第2の熱可塑性樹脂は結晶性ポリエステルを主成分とすることが好ましい。ここで主成分とは、第一(第二)の熱可塑性樹脂全体を100質量%としたときに、50質量%を超えて100質量%以下含まれる熱可塑性樹脂をいう。なお、第一の熱可塑性樹脂がテレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸に由来する構造を含むポリエステルを複数種含む場合は、これらの合算が50質量%超えていれば上記要件を満たすものとし、第二の熱可塑性樹脂の結晶性ポリエステルについても同様に解釈することができる。また、第一の熱可塑性樹脂からなる層とは、層を構成する全樹脂成分が第一の熱可塑性樹脂である層をいい、第二の熱可塑性樹脂からなる層についても同様に解釈することができる。
本発明の多層積層フィルムを構成する層A及び層Bに含まれるポリエステルを構成するジカルボン酸単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸単位を挙げることができる。また、他には、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などの脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位が挙げられる。中でもテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸由来の構成単位が特に好ましい。これらのジカルボン酸単位は1種のみでもよいが、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の多層積層フィルムを構成する層A及び層Bに含まれるポリエステルを構成するジオール単位としては、例えば、エチレングリコール、パラキシレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などのジオールに由来する構成単位を挙げることができる。中でもエチレングリコール、ポリアルキレングリコールに由来する構成単位が特に好ましい。これらのジオール単位は1種のみでもよく、2種以上併用してもよい。
さらに、1つの層において2種類以上の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。特に高屈折率の層(層A)は、低屈折率の層(層B)よりも面直方向の屈折率を大きくするために、非晶性の熱可塑性樹脂や負の複屈折を示す熱可塑性樹脂をブレンドすることも好ましい。ここで負の複屈折を示す樹脂とは、少なくとも一方向に延伸した際に面内屈折率よりも面直屈折率の方が大きい樹脂を示し、例えば、前記BPEFや、ポリスチレン等が挙げられる。
以下、本発明の多層積層フィルムの製造方法について、より具体的に説明する。本発明の多層積層フィルムは、例えば、以下に示す方法にて前記熱可塑性樹脂を積層して製造することができる。
まず、2種類の熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥した後、別々の押出機に供給する。各押出機内において融点以上の温度で熱可塑性樹脂を加熱溶融し、ギアポンプ等で押出量を均一化して熱可塑性樹脂を押し出し、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除く。次に、2種類の熱可塑性樹脂を別々の流路で多層積層装置に送り込んで交互に積層する。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、51個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、このような装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することも容易である。
次に積層された溶融熱可塑性樹脂の積層体を口金にてシート状に成形し、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出して冷却固化してキャスティングフィルムを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により溶融樹脂シート状物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させることが好ましい。また、キャストドラムの温度は使用する熱可塑性樹脂の種類にもよるが、上記のポリエステル樹脂を用いる場合は20℃以上50℃以下が好ましい。このようにして得られるキャスティングフィルムは、高屈折率の層、低屈折率の層ともに非晶状態にあるため、通常、配向度比は1となり、本発明の多層積層フィルムのコンセプトを満たすことができる。
また、キャスティングフィルムを二軸延伸して、引張や加熱処理などの加工処理のために多層積層フィルムの機械強度を向上させることも好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいい、長手方向とはフィルムの走行方向、幅方向とは長手方向とフィルム面内で直交する方向をいう。延伸は、逐次に二方向に延伸(逐次二軸延伸)してもよいし、同時に二方向に延伸(同時二軸延伸)してもよい。また、必要に応じてさらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
同時二軸延伸の場合、延伸速度を5~80%/秒とすることが好ましく、より好ましくは10~50%/秒である。通常、同時二軸延伸はテンターを用いてフィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して行い、延伸倍率は長手方向、幅方向共に2.0~5.0倍が好ましい。延伸温度は延伸するキャスティングフィルムを構成する各層の主成分のポリエステル樹脂の内、ガラス転移温度の高い樹脂のガラス転移温度~当該樹脂のガラス転移温度+100℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、テンター内で前記延伸温度+100℃~前記延伸温度+150℃の温度で熱処理を行うことが好ましい。その際、弛緩速度0.01~2%/秒で長手方向および/又は幅方向に弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩率は弛緩直前のフィルムに対して1~10%が好ましい。こうして得られた多層積層フィルムを、その後、均一に徐冷して室温まで冷やした後、テンターのクリップで把持されていた両端のエッジ部分を断裁して巻き取る。
逐次二軸延伸の場合、長手方向の延伸速度を50~300%/秒とすることが好ましく、より好ましくは70~150%/秒である。通常、長手方向の延伸はロールの周速差により行い、延伸倍率は1.5~5.0倍が好ましい。延伸温度は延伸するキャスティングフィルムを構成する2種類の樹脂の平均ガラス転移温度~平均ガラス転移温度+100℃が好ましい。続いて、長手方向の延伸で得られた一軸延伸フィルムを延伸速度5~40%/秒で、より好ましくは8~30%/秒で幅方向に延伸することが好ましい。通常、幅方向の延伸はテンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して行い、延伸倍率は1.5~6.5倍が好ましい。また、延伸温度は延伸する一軸延伸フィルムを構成する2種類の樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+100℃が好ましい。なお、Tp60の方位角ばらつきを小さくする観点から、長手方向と幅方向の配向状態の差を小さくすることが好ましく、各層にポリエステル樹脂を用いて二軸延伸を行う場合は、例えば長手方向よりも幅方向の延伸倍率を僅かに(例えば0.1倍~0.3倍)高くした条件が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、テンター内で幅方向延伸温度+100℃~幅方向延伸温度+150℃の温度で熱処理を行うことが好ましい。その際、熱処理の前半では延伸速度5~20%/秒で幅方向に追加の延伸を行い、熱処理の後半では弛緩速度0.01~1%/秒で幅方向に弛緩処理を行うことが好ましい。幅方向の追加の延伸の倍率は1.05~1.20倍が好ましく、弛緩率は弛緩直前のフィルム幅に対して1~10%が好ましい。こうして得られた多層積層フィルムを、その後、均一に徐冷して室温まで冷やした後、テンターのクリップで把持されていた両端のエッジ部分を断裁して巻き取る。こうして、加工処理に耐えうる機械強度を備えた本発明の多層積層フィルムを得ることができる。
本発明の多層積層フィルムの表面には、メタサーフェス層、ハードコート層、耐磨耗性層、傷防止層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、光安定化層(HALS)、熱線吸収層、印刷層、ガスバリア層、粘着層、透明電極層などの機能性層を有していてもよい。なお、このような機能性層は本発明の効果を損なわない範囲で複数形成することも可能である。
以下、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、本発明の多層積層フィルム、及び位相差板と偏光板の少なくとも一つを備える。位相差板については、1/4波長板を備えることで、p偏光とs偏光を変換することができる。1/4波長板は本発明の多層積層フィルムの二つの面のいずれか/両面に備えてもよいが、例えば、1/4波長板を本発明の多層積層フィルムの二つの面のうち光源側に積層した場合、入射光がs偏光の場合でも1/4波長板によりp偏光に変換されるため、多層積層フィルムの効果をより発揮することができる。
また、偏光板については、本発明の多層積層フィルムの二つの面のいずれか/両面に備えてもよいが、例えば偏光板を本発明の多層積層フィルムの二つの面のうち光源側に、その透過軸がS偏光となるように積層した場合は、p偏光のみが多層積層フィルムに入射するため、斜め方向からの透過性が向上する。
以下、本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の多層積層フィルムと、多層積層フィルムに光を照射する光源を備える。また、本発明の多層積層フィルムに代えて本発明の積層体を用いてもよい。例えば、ミニLED等の極小な光源を使用した表示装置は、光源に由来する明暗の輝度ムラと輝度低下のトレードオフに課題を有する。そのためTp0、Ts0の平均が0%以上80%以下、かつTp20、Tp40、Tp60がTp20≦Tp40<Tp60の関係を満たす本発明の多層積層フィルムを光源と表示部の間に備えることで、フィルム面に対して垂直な方向の光を反射し、フィルム面に対して斜め方向の光を透過できることから、光源から最も強く光が照射される正面方向については光の透過を抑え、正面よりも光の照射強度の低い斜め方向では光を透過させることとなる。故に、結果的に輝度の低下を抑制しつつ、光源の配置によって生じる輝度ムラを抑制できる。なお、輝度ムラ抑制効果は、(Tpmax60-Tpmin60)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域幅が大きいほど高まり、当該帯域幅は層数を増やすほど大きくなる。すなわち、輝度ムラ抑制効果を高めるには、層数を増やすことが効果的である。
本発明の多層積層フィルムは、透明部材に積層して用いることが好ましい。透明部材との積層体は、例えば建物や部屋の窓部材に使用されることが好ましい。このような積層体を窓部材として使用した場合、正面方向の光を反射するため、人の水平方向の目線を遮りつつ、斜め方向からの光は透過するため、床や足元を視認でき、状況を確認することができる。
透明部材としては、例えばガラスや透明樹脂基材などが挙げられ、透明樹脂基材として具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン、ポリメチルペンテン及びその共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などが挙げられる。なお、上記用途に用いる場合は、透明部材はガラスであることが好ましい。すなわち、本発明のガラス部材は本発明の多層積層フィルム、または本発明の積層体を備える。
透明部材と本発明の多層積層フィルムの積層方法としては、例えば、粘着剤や接着剤などを用いて接着層を形成することによる貼り合わせ等が挙げられる。粘着剤や接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系、エチレン・酢酸ビニル共重合体系、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ニトリルゴム系、スチレン・ブダジエンゴム系、天然ゴム系、クロロプレンゴム系、ポリアミド系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、アクリル樹脂系、セルロース系、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリイソブチレン等のものが挙げられる。
また、これらの粘着剤や接着剤には、粘着性調整剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、架橋剤等を添加してもよい。これら接着剤の加工前の形態としては液状、ゲル状、塊状、粉末状、フィルム状などが挙げられる。接着層の固化方法としては、溶剤揮散、湿気硬化、加熱硬化、硬化剤混合、嫌気硬化、紫外線硬化、熱溶融冷却、感圧などが挙げられる。積層方法としてはラミネート成形やインジェクション成形などが挙げられ加熱、加圧、上述した接着層の固化方法を用いることで作製できる。
以下、本発明の多層積層フィルムについて、実施例を用いてより具体的に説明する。但し、本発明の多層積層フィルムは以下の態様に限定されない。
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)多層積層フィルムの積層数と層の厚み
ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより、多層積層フィルムの積層数と層の厚みを確認した。なお断面写真の撮影は、透過型電子顕微鏡H-7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件で行った。表層の厚みは顕微鏡の測長機能により測定した。
(2)配向軸
王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA-21ADH)を用いた。3.5cm×3.5cmで切り出したフィルムサンプルを装置に設置し、入射角0°におけるフィルム面内の配向軸方位を測定した。
(3)多層積層フィルムの光線透過率(Tp0、Tp20、Tp40、Tp60、Ts0)
日立製作所(株)製分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)に付属の角度可変反射ユニットとグランテーラ偏光子を取り付け、フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域における平均透過率をそれぞれ平均透過率Tpθ(%)、Tsθ(%)とした。p偏光の入射角度θを0°、20°、40°、60°として上記の通りTp0、Tp20、Tp40、Tp60を、s偏光の入射角度θを0°として上記の通りTs0測定した。なお、入射方向は配向軸に沿う方向とした。測定条件について、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分とした。
(4)多層積層フィルムの透過率の方位角ばらつき(Tp60(0°)、Tp60(45°)、Tp60(90°)、Tp60(135°)、Tp60(180°)
(3)で測定したTp60を方位角0°でのTp60(Tp60(0°))とした。その後、p偏光の入射方向を、フィルム面との角度を60度に保ったまま右回りに0°、45°、90°、135°、180°回転させ、同様にTp60(45°)、Tp60(90°)、Tp60(135°)、Tp60(180°)を測定した。さらに、Tp60(0°)、Tp60(45°)、Tp60(90°)、Tp60(135°)、Tp60(180°)の最大値と最小値の差を算出し、これを方位角ばらつきとした。
(5)多層積層フィルムの最表層(層A)の屈折率
サイロンテクノロジー社製プリズムカプラSPA-400を用いて多層積層フィルム最表層の屈折率測定を行った。測定に用いたレーザーの波長は633nmであり、面内屈折率は配向軸方向、配向軸方向に垂直な方向それぞれの方向において両方の最表層で求めた値の平均値を求め、面直屈折率は配向軸方向側から測定した値と配向軸方向に垂直な方向側から測定した値の平均値それぞれにおいて、両方の最表層で求めた値の平均値を求めた。
(6)多層積層フィルムの層Bの屈折率
層Bの屈折率は、多層積層フィルム内部の層であるため測定は多層積層フィルムではなく、多層積層フィルムと同じ延伸条件・熱処理条件で作製した樹脂単体のフィルムについて、サイロンテクノロジー社製プリズムカプラSPA-400を用いて屈折率測定を行った。測定に用いたレーザーの波長は633nmであり、面内屈折率は配向軸方向、配向軸方向に垂直な方向それぞれの方向においてフィルムの両方の面で求めた値の平均値を求め、面直屈折率は配向軸方向側から測定した値と配向軸方向に垂直な方向側から測定した値の平均値それぞれにおいて、フィルムの両方の面で求めた値の平均値を求めた。(1)項で求めた多層積層フィルムの層厚みと(5)項で求めた多層積層フィルムの層Aの屈折率と(6)項で求めた層Bの屈折率を用いて反射率の光学シミュレーションを行い、その光学シミュレーション結果と(3)項で測定した反射率の比較を行い、両者の差が±3%以下の場合(6)項で求めた層Bの屈折率は多層積層フィルムの層Bの屈折率であるとみなした。光学シミュレーションは、光学薄膜の特性マトリクス法(小檜山光信(2006).光学薄膜フィルターデザイン 株式会社オプトロニクス社)を用いてVBAプログラムにて計算を行った。
(7)輝度・輝度ムラ測定
評価用の光源を含むバックライトとして、発光帯域400~800nmのミニLEDバックライトを用いた。このバックライトを用い、反射フィルム、色変換部材(反射フィルムと色変換部材を含む積層部材の場合もある)、(第2の反射フィルムを含む場合がある)を含む光源ユニットとした場合の輝度をCA-2000((株)コニカミノルタ)を用い、付属のCCDカメラをバックライト表面から19cmの地点に光源ユニット面に対して正面となるように設置しで測定した。反射フィルムレス時における輝度を100としブランクとしたときの相対的な輝度(相対輝度)を輝度値として使用した。また、輝度ムラについて、反射フィルムレス時における輝度ムラを100としブランクとしたときのLED素子3×3マス分の輝度値の標準偏差を輝度ムラ値として使用した。なお、輝度、輝度ムラの評価基準は以下のとおりとした。
<輝度>
A : 輝度値90以上
B : 輝度値80以上90未満
C : 輝度値80未満
<輝度ムラ>
A : 輝度ムラ値60未満
B : 輝度ムラ値60以上80未満
C : 輝度ムラ値80以上90未満
D : 輝度ムラ値90以上。
[多層積層フィルムを得るために用いた樹脂]
各実施例、各比較例の多層積層フィルムを得るために表2に示す樹脂1~6を使用した。「mol%」はジカルボン酸単位、ジオール単位のそれぞれにおいて、その総量を100mol%とした割合である。
Figure 2024046876000002
[多層積層フィルム]
(実施例1)
層A用の熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂A)として樹脂1を、層B用の熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂B)として樹脂2を用いた。準備した熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、290℃の温度で溶融させた。次いで、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、両者の質量比が1:1となるようスリット数801個の積層装置にて合流させて、熱可塑性樹脂Aが両側の最表層に位置するように厚み方向に交互に801層積層された溶融樹脂積層体を得た。その後、溶融樹脂積層体を口金からシート状に吐出し、温度25℃のキャスティングドラムで冷却、固化してキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを、80℃の温度に設定したロール群で加熱した後、95℃の温度に設定されたロールで50%/秒の延伸速度で長手方向に3.2倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃の温度の熱風で予熱後、100℃の温度で5%/秒の延伸速度で幅方向に3.3倍に延伸した。延伸したフィルムは、そのままテンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件下で幅方向に3%の弛緩処理(Rx)をした後に室温まで冷却した。こうして、厚み100μmの多層積層フィルムを得た。得られた多層積層フィルムの評価結果を表3に示す。
(実施例2~8、比較例1~3)
層数(フィードブロックのスリット数)、各層の熱可塑性樹脂、延伸倍率、熱処理温度を表2に示すとおりとした以外は実施例1の多層積層フィルムと同様に多層積層フィルムを得た。得られた多層積層フィルムの評価結果を表3に示す。また、実施例6は口金から吐出した溶融樹脂積層体を温度25℃のキャスティングドラムで冷却・固化することでキャストフィルムとし、その後の延伸は行わなかった。比較例1で得たフィルムにおいては、2台の単軸押出機に同一の樹脂を供給して製膜した。
Figure 2024046876000003
本発明により、所望の波長帯域において、正面方向からの光の透過性よりも広角に光を透過させることが求められる用途に好適な多層積層フィルムを提供することができる。このようなフィルムは、ミニLED等の極小光源の上面に重ねることで輝度ムラ抑制と輝度向上の両立するディスプレイ用途の他、通常のルーバーフィルムとは異なる目的のルーバー用途などに好適に用いることができる。
1:多層積層フィルムの層厚み構成の例
2、3:本発明の例となる多層積層フィルムの入射角度別透過率のグラフ
4:従来の干渉反射を示す多層積層フィルムの入射角度別透過率のグラフ
5:多層積層フィルム

Claims (6)

  1. 異なる複数の熱可塑性樹脂層が交互に51層以上積層されてなる多層積層フィルムであって、
    フィルム面の法線に対して入射角度θで波長450~1600nmのp偏光およびs偏光を入射させて1nm間隔で透過率を測定したときの最大透過率(%)、最小透過率(%)をそれぞれTpmaxθ、Tpminθ、Tsmaxθ、Tsminθとし、(Tpmaxθ-Tpminθ)/2、(Tsmaxθ-Tsminθ)/2となる波長の中での最短波長と最長波長の間の帯域におけるp偏光およびs偏光の平均透過率をそれぞれTpθ(%)、Tsθ(%)としたときに、Tp20≦Tp40<Tp60を満たし、かつTp0とTs0の平均が80%以下であることを特徴とする、多層積層フィルム。
  2. 前記Tp20と前記Tp60が、Tp60-Tp20≧1を満たす、請求項1に記載の多層積層フィルム。
  3. 前記Tp60の方位角ばらつきが10%以下である、請求項1または2に記載の多層積層フィルム。
  4. 請求項1または2に記載の多層積層フィルム、及び位相差板と偏光板の少なくとも一つを備える、積層体。
  5. 請求項1または2に記載の多層積層フィルムと、前記積層フィルムに光を照射する光源を備える、表示装置。
  6. 請求項1または2に記載の多層積層フィルムを備える、ガラス部材。
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