JP2024045925A - 歯科用セラミックの着色方法、及び歯科用セラミックの着色液 - Google Patents

歯科用セラミックの着色方法、及び歯科用セラミックの着色液 Download PDF

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Abstract

【課題】1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成される歯科用セラミックの着色方法を提供すること。【解決手段】歯科用セラミックを着色する着色方法であって、歯科用セラミックに着色液を接触させる工程を有し、前記着色液は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、歯科用セラミックの着色方法、及び歯科用セラミックの着色液に関する。
特許文献1には、ジルコニア等のセラミックス製のグラデーションブロックをCAD/CAM(コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造法)で研削、切削加工することで、所望の形状の歯科補綴物を製造する技術が開示されている。
特許文献2には、CAD/CAMを用いて歯科用修復物を作製するための着色された歯科用仮焼成体または歯科用焼成体の製造方法として、ジルコニア等のセラミックスを成型したものを仮焼成した仮焼成体に色の異なる複数の着色液を順に滴下して浸透させる方法が開示されている。
国際公開第2009/154301号 特許第6093900号公報
しかしながら、従来の歯科用セラミックでは、着色液を複数用意し、着色工程を何回も行う必要があり、手間がかかる。
本発明の課題は、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成される歯科用セラミックの着色方法を提供することである。
本発明の一態様に係る歯科用セラミックの着色方法は、歯科用セラミックを着色する着色方法であって、歯科用セラミックに着色液を接触させる工程を有し、前記着色液は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む。
本発明の一態様によれば、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成される歯科用セラミックの着色方法を提供することができる。
歯科用セラミックの一例を示す図である。 歯科用セラミックの着色方法の一例を示す図である。 歯科用セラミックの着色方法の実験例を示す図である。 歯科用セラミックの実験例1~10の結果を示す図である。 歯科用セラミックの実験例11~14の結果を示す図である。 歯科用セラミックの実験例15~18の結果を示す図である。 歯科用セラミックの実験例19~22の結果を示す図である。 歯科用セラミックの実験例23~26の結果を示す図である。 歯科用セラミックの実験例27~28の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<歯科用セラミックの着色方法>
図1は、歯科用セラミックの一例を示す図であり、図2は、歯科用セラミックの着色方法の一例を示す図である。歯科用セラミックの着色方法は、歯科用セラミックに着色液を着色する方法である。
歯科用セラミックの態様は、特に限定されないが、歯科用セラミックに対する着色を馴染ませる観点から、成型体(セラミック成型体)又は仮焼体(セラミック仮焼体)であることが好ましい。
成型体は、セラミックスを成型したものである。成型体の製造方法は、任意であり、例えば、セラミック粉末を型に入れて圧縮成型する方法、セラミックスラリーを型に入れて固める方法(スリップキャスト法、ゲルキャスト法等)、積層造形法(アクティブ マニュファクチャリング、3Dプリンティング等)を用いることができる。
仮焼体は、成型体を仮焼成(例えば、600~1500℃で加熱)して得られたもの(仮焼成体)である。この仮焼体は、セラミックス粉末同士が仮着している状態であり、粒子間に後述の着色液が浸透できる連続孔を有する状態になっている。
また、歯科用セラミックの形態は、特に限定されず、ブロック又は造形物の何れでもよい。
ブロックは、歯科補綴物等の造形物に加工される前の成型体又は仮焼体である。ブロックの形状は、特に限定されず、例えば、立方体形状、直方体形状、円柱形状等である。なお、本実施形態では、図1に示すように、歯科用セラミック10として、直方体形状(四角柱形状)のブロックを用いて説明するが、歯科用セラミックはこれに限定されるものではない。
造形物は、歯科補綴物等の所定の形状を有するものである。造形物は、CAD/CAM(computer-aided design/computer-aided manufacturing、コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造)等により成型体又は仮焼体を切削加工して得られる。
また、造形物は、積層造形法(例えば、アクティブ マニュファクチャリング、3Dプリンティング等)等により、所定の形状を有する成型体として得られたものでもよい。すなわち、積層造形法で得られた成型体がそのまま歯科補綴物等の造形物を構成するものでもよい。
なお、得られた造形物は、必要に応じて焼成(例えば、900~2100℃で加熱)を行う場合もある。
なお、セラミックスとしては、例えば、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、沸リン酸塩等を含有するガラス及びそのガラスセラミック、ジルコニア、アルミナ、長石、リューサイト、サニディン、スピネル、雲母、アパタイト、ジルコン又はこれらの混合物等が挙げられる。
本実施形態に係る歯科用セラミックの着色方法は、着色工程を有する。着色工程では、歯科用セラミックに着色液を接触させる。歯科用セラミックに着色液を接触させる態様としては、特に限定されず、例えば、歯科用セラミックに着色液を塗布、噴霧又は滴下すること、或いは歯科用セラミックの全部又は一部を着色液に浸漬すること等が挙げられる。
本実施形態では、着色工程として、着色液30に歯科用セラミック10の一端10Aを浸漬させる工程(着色工程)を有することが好ましい。これにより、歯科用セラミック10の底面11から天面12に向かって着色液30を浸透させることができる(図2)。
着色工程では、図2に示すように、円筒形の容器20に着色液30を入れ、直方体形状の歯科用セラミック10を、歯科用セラミック10の底面11(一端10A)が着色液30に浸かった状態で、容器20内に配置する。このように歯科用セラミック10は、着色液30に浸漬した状態で、1時間~20時間(本実施形態では18時間)静置する。
歯科用セラミック10を容器20内に配置する態様は、例えば、容器20内にメッシュ40を張り、歯科用セラミック10をメッシュ40に載せて、歯科用セラミック10が容器20の底面21に接しないようにする(図2)。
また、歯科用セラミック10が着色液30に浸かる範囲は、例えば、歯科用セラミック10の側面(周囲13)を被覆材50で覆い、歯科用セラミック10の下端(底面11)から高さ方向(Z方向)に10分の1~4分の1程度露出させた範囲とする(図2)。なお、歯科用セラミック10の側面(周囲13)は、歯科用セラミック10の形状が四角柱形状であれば4枚の矩形面であり、円柱形状であれば1枚の曲面である。
被覆材50の材質は、特に制限されないが、例えば、シリコーンゴム、レジン、ロウ等である。なお、被覆材50は、歯科用セラミック10の側面13を被覆する際に歯科用セラミック10と密着性を高める点で、可撓性材料であることが好ましく、更に、着色液に対する耐薬品性の観点から、可撓性材料の中でもシリコーンゴム等が好ましい。本実施形態では、被覆材50として、例えば、シリコーン印象材を用いることができる。
被覆材50は、歯科用セラミック10の側面13の歯科用セラミック10が着色液30に浸かる部分を除いて全周にわたって被覆する。本実施形態では、歯科用セラミック10の底面11及び天面12を露出させた状態(むき出しにした状態)、歯科用セラミック10の側面13を被覆材50で被覆している。
また、被覆材50は、歯科用セラミック10の天面12よりも上方に突出する高さを有する。これにより、歯科用セラミック10を容器20内に配置した状態で、歯科用セラミック10の天面12から着色液30が浸透することを防ぐことができる。
被覆材50の形状は、特に限定されない。例えば、歯科用セラミック10の形状が四角柱形状であれば、被覆材50の形状は、両端が開口する中空の四角柱形状である。また、歯科用セラミック10の形状が円柱形状であれば、被覆材50の形状は、両端が開口する中空の円柱形状である。
着色液30は、少なくとも2種の金属イオンを含む。これら2種の金属イオンは、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下であり、好ましくは0.7~3.5、より好ましくは0.72~3.2である。
本明細書において、酸化還元電位は、水溶液中などで酸化還元反応が起きる(反応系)での電子授受で発生する電極電位(標準電極電位)を示す。標準酸化還元電位の差は、着色液30に含まれる2種の金属イオンが有する標準酸化還元電位の差の絶対値を示す。
具体的には、着色液30は、色素、及び溶媒を含む。
着色液30に含まれる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、アルコール等の極性溶媒が用いられる。本実施形態では、溶媒として、水が用いられている。
溶媒には、任意に水溶性ポリマーが含まれていてもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、スクロースやアガロース等の糖類を用いることが好ましい。本実施形態の着色液では、水にポリエチレングリコールが含まれている。
水溶性ポリマーの含有量は、着色液100質量%に対して、例えば、0.001質量%以上20質量%以下であり、好ましくは2.0質量%以上18.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以上15質量%以下である。
着色液30に含まれる色素は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンに相当する。
これら2種の金属イオンのうち一方の金属イオン(以下、金属イオンAという場合がある)は、標準酸化還元電位が好ましくは-1.0V以上2.0V以下、より好ましくは-0.7V以上1.5V以下、更に好ましくは-0.5V以上1.0V以下の金属イオンである。
金属イオンAは、色素を構成するものであれば、特に制限されない。金属イオンAとしては、例えば、Cr3+、Fe3+、Fe2+、Pd2+、Bi3+、Ge2+、Sn4+、Ni2+、Yb3+、Nb3+、Co2+等が挙げられる。また、金属イオンAは、塩化物、硫化物、酢酸塩、硝酸塩等の金属塩であってもよい。金属塩としては、例えば、CrCl、FeCl、PdCl、BiCl、GeCl、SnCl、NiCl、YbCl、NbCl、CoCl等が挙げられる。なお、これらの金属塩は水和物であってもよい。
金属イオンAは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。金属イオンAとしては、これらの中でも、歯質に近い色相又は色合いを出しやすい点で、Fe3+、Fe2+、Ni2+、Yb3+、Nb3+、Co2+が好ましい。
金属イオンAの含有量は、特に制限されないが、着色液100質量%中に金属塩として0.0001質量%以上5.0質量%以下含有することが好ましくは、より好ましくは0.0005質量%以上3.0質量%以下、更に好ましくは0.001質量%以上2.0質量%以下である。
金属イオンAを、金属塩として着色液100質量%中に0.001質量%以上2.0質量%以下含有すると、金属イオンAに対応する適度な色相又は色合いを歯科用セラミック10に付与することができる。
2種の金属イオンのうち他方の金属イオン(以下、金属イオンBという場合がある)は、標準酸化還元電位が好ましくは-3.0V以上-0.7V以下、より好ましくは-2.5V以上-0.9V以下、より好ましくは-2.4V以上-1.0V以下である。
金属イオンBは、色素を構成するものであれば、特に制限されない。金属イオンBとしては、例えば、Mn2+、Ce3+、Nd3+、Pr3+、Sm3+、Eu3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Y3+等が挙げられる。
また、金属イオンBは、塩化物、硫化物、酢酸塩、硝酸塩等の金属塩であってもよい。金属塩としては、例えば、MnCl、CeCl、NdCl、PrCl、SmCl、EuCl、TbCl、DyCl、HoCl、ErCl、YCl等が挙げられる。なお、これらの金属塩は水和物であってもよい。
金属イオンBは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。金属イオンBとしては、これらの中でも、歯質に近い色相又は色合いを出しやすい点で、Mn2+、Ce3+、Nd3+、Pr3+、Er3+、Y3+が好ましい。
金属イオンBの含有量は、特に制限されないが、着色液100質量%中に金属塩として0.0001質量%以上5.0質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上3.0質量%以下、更に好ましくは0.001質量%以上2.0質量%以下である。
金属イオンBを、金属塩として着色液100質量%中に0.0001質量%以上5.0質量%以下含有すると、金属イオンBに対応する適度な色相又は色合いを歯科用セラミック10に付与することができる。
着色液30には、更にキレート剤が含まれていてもよい。キレート剤は、着色液に含まれる一部の金属イオンと錯体を形成し、錯体を形成した金属イオン(金属イオン錯体)は、立体障害が大きくなり、歯科用セラミック10中で移動速度が相対的に遅くなる。そのため、着色液にキレート剤が含まれていると、キレート剤と錯体を形成しやすい金属イオンの歯科用セラミック10中の移動速度を制御することができる。
キレート剤は、特に制限されない。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン-N,N,N´,N´-四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン-N,N,N´,N´´,N´´-五酢酸(DTPA)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン-N,N´,N´-三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、O,O´-ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール-N,N,N´,N´-四酢酸(EGTA)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N´,N´-四酢酸(CyDTA)、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、グルコン酸、トリポリリン酸、12-クラウン4-エーテル及びこれらの塩を挙げることができる。
キレート剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。キレート剤としては、これらの中でも、歯質の色相又は色合いを出しやすいFe3+、Er3+と錯体を形成しやすい点で、EDTAが好ましい。
キレート剤の含有量は、特に制限されないが、着色液100質量%中に0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。キレート剤の含有量が0.00001重量%未満ではキレート剤の効果が得られ難く、10.0質量%を超えて配合してもその効果は殆ど変わらない。
着色液のpHは、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。着色液のpHが8以下(ほぼ中性又は酸性)であると、一部の金属イオン(例えば、Fe3+、Pr3+、Er3+)は、着色液中でイオン型が維持又は増える(分子型が維持又は減る)傾向がある。そのため、着色液の8以下にすることで、着色液中の濃度が低い場合でも、歯科用セラミック10中の移動速度が速くなり、着色が安定する。
本実施形態に係る歯科用セラミックの着色方法は、着色工程の後、任意に乾燥工程及び焼成工程を有する。
乾燥工程では、着色工程で着色液30が浸透した歯科用セラミック10を容器20から取り出し、室温で1~6時間乾燥させる。乾燥した歯科用セラミック10は、更に所望のサイズに切り出す。本実施形態では約1.5mmの厚みで切削(スライス)する。
焼成工程では、乾燥工程で所望のサイズに切り出された歯科用セラミック10を1000~2100℃(本実施形態では約1500℃)で30分~5時間(本実施形態では2時間)焼成する。この焼成工程における焼成は、本焼成に相当する(仮焼成とは別の焼成である)。
本実施形態では、上述のように、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む着色液を歯科用セラミックに接触させる工程(着色工程)を有する。これにより、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成された歯科用セラミックを得ることができる。
本実施形態では、上述のように、着色工程で着色液に歯科用セラミックの一端を浸漬させることで、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成された歯科用セラミックを確実に得ることができる。
また、本実施形態では、上述のように、2種の金属イオンのうち一方の金属イオン(金属イオンA)の標準酸化還元電位が-1.0V以上2.0V以下であることで、相対的に標準酸化還元電位が高い(イオン状態が不安定な)金属イオンが着色液中に存在することとなる。これにより、金属イオンAは立体障害が大きくなり、歯科用セラミック10中で移動速度が相対的に遅くなる点で、歯科用セラミックにおける着色のバランスを整えることができる。
また、本実施形態では、上述のように、2種の金属イオンのうち他方の金属イオン(金属イオンB)の標準酸化還元電位が-3.0以上-0.7V以下であることで、相対的に標準酸化還元電位が低い(イオン状態が安定な)金属イオンが着色液中に存在することとなる。これにより、金属イオンBは立体障害が小さくなり、歯科用セラミック10中で移動速度が相対的に速くなる点で、歯科用セラミックにおける着色のバランスを整えることができる。
また、本実施形態では、上述のように、着色液が更に水溶性ポリマーを含むことで、着色液中の金属イオンの分散性が向上するため、歯科用セラミック10における着色のムラを抑制することができる。
また、本実施形態では、上述のように着色液が更にキレート剤を含むことで、キレート剤が着色液に含まれる一部の金属イオンと錯体(金属イオン錯体)を形成する。また、金属イオン錯体は、錯体でない金属イオンに比べて立体障害が大きいことから、歯科用セラミック10中の移動速度が遅くなる。本実施形態では、このような観点からも、キレート剤と錯体を形成しやすい金属イオンの歯科用セラミック10中の移動速度を制御することができる。
また、本実施形態では、上述のように、着色液のpHが8以下であることで、着色液中でイオン型が維持又は増える(分子型が維持又は減る)傾向があるため、着色液中の濃度が低い場合でも、歯科用セラミック10中の移動速度が速くなり、着色が安定する。
<歯科用セラミックの着色液>
本実施形態に係る歯科用セラミックの着色液は、歯科用セラミックを着色する着色液である。この着色液としては、例えば、上述した歯科用セラミックの着色方法で用いられる着色液を適用することができる。
すなわち、本実施形態に係る歯科用セラミックの着色液は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む。
これにより、本実施形態に係る歯科用セラミックの着色液では、上述した歯科用セラミックの着色方法で得られる効果がそのまま得られる。
すなわち、本実施形態に係る歯科用セラミックの着色液は、上述のように、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む着色液に歯科用セラミック10の一端10Aを浸漬させることで、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションを形成された歯科用セラミックが得られる。
以下、本発明について、更に実験例を用いて説明する。
<試験片の作製>
市販の歯科切削加工用ジルコニア仮焼結体(ジーシー社製、AadvaジルコニアディスクEI)から切削加工機を用いて、図3に示すように板状に切削した試験片(歯科用セラミック)10(幅W:約18mm、長さL:約50mm、厚み:1.5mm)を用意した。
円筒状の容器20(マルエム容器No.6)に着色液30を2g入れ、試験片10の一端10A(下端から約5mmの領域)が着色液30に浸かるように、試験片10を容器20の中に立てる。そのまま1~15時間静置した後、試験片10を容器20から取り出し、室温で1~6時間乾燥させた。乾燥した試験片10を1500℃で2時間焼成して、歯科用セラミック(セラミック焼成体)を得た。
試験片10について、着色液30の組成が異なる実験例1~26を表1に示す。
<実施態様の試験片の作製>
市販の歯科切削加工用ジルコニア仮焼結体(ジーシー社製、AadvaジルコニアディスクEI)から切削加工機を用いて、図1に示すようにブロック状に切削した試験片10(幅(Y方向):約15mm、長さ(X方向):約18mm、高さ(Z方向):13mm)を用意した。
試験片10の底面11から天面12に向かって8分の1の領域が露出するように周囲13をシリコーン印象材(松風社製、デュプリコーン)で覆った。これの試験片10を、メッシュ40を張った容器20にセットし、着色液30を容器20に注ぎ入れ、試験片10を着色液30に浸漬した。そのまま18時間静置した後、試験片10を容器20から取り出し、室温で1~6時間乾燥させた後、幅(Y方向)に約1.5mmの厚さで切削(スライス)したものを、1500℃で2時間焼成して、歯科用セラミック(セラミック焼成体)を得た。
実施態様の試験片として、着色液30の組成が異なる実験例27~28を表1及び図4~図9に示す。
Figure 2024045925000002
表1より、金属イオンの濃度が相対的に高い(金属イオンの含有量が10質量%である)場合は、pHによる移動速度の変化は確認できなかった(図4、実験例1~4、9~10)。一方、金属イオンの濃度が相対的に低い(金属イオンの含有量が1質量%である)場合は、pHがより酸性側で試験片10における移動速度が速くなることが確認された(図4、実験例5~8、図5、実験例11~12)。
また、金属イオンの濃度が相対的に高い(金属イオンの含有量が10質量%である)場合の方が、相対的に低い(金属イオンの含有量が1質量%である)場合よりも、試験片10における移動速度が速くなる傾向が確認された(図4、実験例1~8)。
また、金属イオンがEr3+の場合、水和物(ErCl・7HO)と無水物(ErCl無水)とで、試験片10における移動速度に差は生じないことが確認された(実験例1、3、9、10)。
また、金属イオンがFe3+、Er3+の場合、着色液がキレート剤(EDTA)を含有すると、試験片10における移動速度が低下することが確認された(図5、実験例13~14、図6、実験例15~16)。一方、金属イオンがPr3+の場合、キレート剤(EDTA)を含有しても、試験片10における移動速度の変化は確認できなかった(図6、実験例17~18)。
また、金属イオンが同じ濃度(金属イオンの含有量が1質量%)のFe3+、Er3+、Pr3+の場合、Er3+、Pr3+は、Fe3+よりも試験片10における移動速度が速いことが確認された。すなわち、Fe3+は、Er3+、Pr3+よりも試験片10における移動速度が遅いことが確認された(実験例5、6、12)。
これらの結果から、金属イオンの種類、金属イオンの濃度、キレート剤(錯体形成)の有無、及び着色液のpHが、金属イオンの試験片10における移動速度に影響を与えることが判った。
更に、金属イオンの種類は、金属イオンの標準酸化還元電位の差を考慮して選択することで、歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成されることが確認された(図7、実験例19~22)。
その結果、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む着色液30に歯科用セラミック10の一端10Aを浸漬させて得たセラミック焼結体は、1つの着色液を用いた1回の着色工程で歯科用セラミックの内部にグラデーションが形成されることが判った(図8、実験例23~26、図9、実験例27~28)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 歯科用セラミックを着色する着色方法であって、
歯科用セラミックに着色液を接触させる工程を有し、
前記着色液は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む、
歯科用セラミックの着色方法。
<2> 前記歯科用セラミックに着色液を接触させる工程は、前記着色液に前記歯科用セラミックの一端を浸漬させる工程である、
前記<1>に記載の歯科用セラミックの着色方法。
<3> 前記2種の金属イオンのうち一方の金属イオンの標準酸化還元電位が-1.0V以上2.0V以下である、
前記<1>又は<2>に記載の歯科用セラミックの着色方法。
<4> 前記2種の金属イオンのうち他方の金属イオンの標準酸化還元電位が-3.0V以上-0.7V以下である、
前記<1>乃至<3>の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
<5> 前記着色液は、更に水溶性ポリマーを含む、
前記<1>乃至<4>の何れかに記載の歯科用セラミックの着色方法。
<6> 前記着色液は、更にキレート剤を含む、
前記<1>乃至<5>の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
<7> 前記着色液のpHが8以下である、
前記<1>乃至<6>の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
<8> 歯科用セラミックを着色する着色液であって、
標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む、
歯科用セラミックの着色液。
10 歯科用セラミック
10A 一端
11 底面(下端)
12 天面
13 側面(周囲)
20 容器
21 底面
30 着色液
31 壁
40 メッシュ
50 被覆材

Claims (8)

  1. 歯科用セラミックを着色する着色方法であって、
    歯科用セラミックに着色液を接触させる工程を有し、
    前記着色液は、標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む、
    歯科用セラミックの着色方法。
  2. 前記歯科用セラミックに着色液を接触させる工程は、前記着色液に前記歯科用セラミックの一端を浸漬させる工程である、
    請求項1に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  3. 前記2種の金属イオンのうち一方の金属イオンの標準酸化還元電位が-1.0V以上2.0V以下である、
    請求項1に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  4. 前記2種の金属イオンのうち他方の金属イオンの標準酸化還元電位が-3.0V以上-0.7V以下である、
    請求項3に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  5. 前記着色液は、更に水溶性ポリマーを含む、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  6. 前記着色液は、更にキレート剤を含む、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  7. 前記着色液のpHが8以下である、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯科用セラミックの着色方法。
  8. 歯科用セラミックを着色する着色液であって、
    標準酸化還元電位の差が0.5以上4.0以下である少なくとも2種の金属イオンを含む、
    歯科用セラミックの着色液。
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