JP2024041281A - フッ素系表面改質剤を含む硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】無溶媒や高固形分濃度条件でも均質な組成物を得ることができる、フッ素濃度が高く且つ溶解性の優れるフッ素系表面改質剤を含む硬化性組成物を提供する。【解決手段】(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー、及び(b)重量平均分子量が1500以上3500未満のパーフルオロポリエーテル、を含む25℃で液状の組成物であって、前記(b)パーフルオロポリエーテルが、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の下記式[1]で表される化合物であり、固形分の濃度が70質量%以上100質量%以下である硬化性組成物。JPEG2024041281000012.jpg1388(式[1]中、r及びsはそれぞれ繰り返し単位の数であって、15≦(r+s)≦35を満たし、r及びsはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、Aは活性エネルギー線重合性基を有する末端基を表し、L1はフッ素原子1乃至3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、無溶媒や固形分濃度が70質量%以上の高固形分濃度条件でも浮遊物及び沈降物のない均質な組成物を得ることができる、防汚性コート層の形成材料として有用な硬化性組成物に関する。
携帯電話機・タブレット型コンピュータ等の携帯情報端末機器・ノート型パソコン・家電製品等の表示素子を搭載している端末、及び食品・医薬品・化粧品等のプラスチック容器の表面、各種住宅設備、鉄道・船舶・航空機・自動車等の床面、壁面、内装及び外装など、身の回りの多くの箇所に防汚性コーテイングが用いられている。
含フッ素化合物は、撥水撥油性といった優れた防汚性を示すことから、防汚性コート層の形成材料として用いられる。例えば、コート層を形成するための塗布液にフッ素系表面改質剤を少量添加し組成物にする手法が用いられている。フッ素系表面改質剤は、フッ素原子の低表面エネルギーによりコート層の表面に偏析することで、防汚性を発現することが知られている。
近年、環境負荷の観点から、コート層を形成するための組成物中の有機溶媒の削減が求められており、組成物の無溶媒化や水溶媒組成への変更が検討されている。無溶媒化によるアプローチは、成膜プロセスにおいて加熱乾燥工程を短縮・削減することができるため、電力面での環境負荷低減やプロセスコストでメリットがある。
一般的に、フッ素系表面改質剤は溶解性に劣るため、無溶媒や高固形分濃度条件にて均質性が良好な組成物を得ることに課題を抱える。
フッ素系表面改質剤の溶解性を改善するため、フッ素系表面改質剤のフッ素原子の含有割合を下げる手法が考えられるが、結果として防汚性が低下してしまい、高い防汚性を満たすことは難しくなる。
フッ素系表面改質剤の溶解性を改善する手法として、特許文献1では、防汚性ハードコート層形成用組成物を得る際に凝集物となり該組成物の白濁及び塗布不良の要因となるフッ素含有ポリエーテル化合物と、該組成物との親和性に優れる含フッ素ブロック共重合体とを併用することを報告している。しかし、上記含フッ素ブロック共重合体はフッ素含有ポリエーテル化合物に比べ、撥水性に劣ることが同文献内に記載されていることから、上記含フッ素ブロック共重合体のフッ素濃度は上記フッ素含有ポリエーテル化合物に比べ低く、高い防汚性を満たすことは難しいと想定される。
特開2005-179613号公報
本発明では、無溶媒や高固形分濃度条件でも均質な組成物を得ることができる、フッ素濃度が高く且つ溶解性の優れるフッ素系表面改質剤を含む硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の特定構造のパーフルオロポリエーテル化合物が、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーに対し優れた溶解性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有する重量平均分子量が1500以上3500未満のパーフルオロポリエーテル0.01質量部乃至2質量部、を含む25℃で液状の組成物であって、前記(b)パーフルオロポリエーテルが、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の下記式[1]で表される化合物であり、前記組成物から溶媒を除いた固形分の濃度が70質量%以上100質量%以下である硬化性組成物。
(式[1]中、rは繰り返し単位-(CFCFO)-の数、及びsは繰り返し単位-(CFO)-の数であって、15≦(r+s)≦35を満たし、r及びsはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、双方の繰り返し単位を有する場合には、これら繰り返し単位はブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなり、Aは下記式[A1]又は式[A2]で表される基を表し、Lはフッ素原子1乃至3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基を表す。)
(式[A1]及び式[A2]中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、*は前記ウレタン結合との結合手を表す。)
前記硬化性組成物の25℃での粘度が100,000mPa・s以下である。
前記(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーが(メタ)アクリロイル基を1分子中に少なくとも2個有する多官能モノマーである。
前記硬化性組成物は(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部乃至20質量部をさらに含む。
前記硬化性組成物より得られる硬化膜。
前記硬化性組成物を成形体に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させてコート層を形成する工程を含む、コート層付き成形体の製造方法。
前記硬化性組成物を成形体に塗布し塗膜を形成する工程と、加熱により該塗膜から前記溶媒を除去する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させてコート層を形成する工程を含む、コート層付き成形体の製造方法。
成形体の少なくとも一方の面にコート層を備えるコート層付き成形体であって、該コート層が前記硬化膜からなる、コート層付き成形体。
前記コート層が0.1μm乃至20μmの膜厚を有する。
本発明によれば、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の高フッ素濃度の表面改質剤を含むことにより、無溶媒や固形分濃度が70質量%以上の高固形分濃度条件でも、浮遊物及び沈降物のない均質な硬化性組成物を提供することができる。また、本発明によれば、前記硬化性組成物から得られる硬化膜からなるコート層を備えた、コート層付き成形体を提供することができ、該コート層は高い防汚性を有する。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、25℃で液状の組成物であって、該組成物の固形分濃度が70質量%以上100質量%以下である。なお、本発明において、液状とは、液体の状態を意味し、流動性を失ったゲル状態を含まない。また、固形分とは、不揮発分と換言することができ、本発明の硬化性組成物から溶媒を除いた成分である。例えば、固形分濃度が100質量%の場合、本発明の硬化性組成物が溶媒を含まないことを意味する。また、本発明の硬化性組成物の25℃での粘度は、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは50,000mPa・sである。本発明の硬化性組成物の25℃での粘度は、成膜性の観点から低粘度が好ましく、その下限は特に限定されないが、例えば1mPa・sである。
本発明の硬化性組成物の各成分について、以下に説明する。
[(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー]
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとは、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化するモノマーを意味する。
本発明の硬化性組成物において好ましい(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、多官能(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマー、後述する多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマー、及びラクトン変性多官能(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーを挙げることができる。本発明では、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、上記多官能(メタ)アクリレート化合物からなる群から一種を単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。なお、本発明において(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を含み、例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を含む。さらに、本発明において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を含む。
また(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーは、オキシアルキレン変性多官能モノマーであってもよく、該オキシアルキレン変性として、例えば、オキシメチレン変性、オキシエチレン変性、及びオキシプロピレン変性が挙げられる。前記オキシアルキレン変性多官能モノマーとして、上記多官能(メタ)アクリレート化合物又は多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物において、オキシアルキレン変性した化合物を挙げることができる。前記オキシアルキレン変性多官能モノマーも、一種を単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。
本発明において好ましい(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1分子中に少なくとも2個有する多官能モノマーを挙げることができ、より好ましくは(メタ)アクリロイル基を1分子中に少なくとも3個、例えば3乃至6個有する多官能モノマーを挙げることができる。本発明では、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1分子中に少なくとも3個有する、オキシアルキレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーを挙げることができる。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物(但し、ウレタン結合を有していない化合物)として、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-アクリロイルオキシ-3-メタクリロイルオキシプロパン、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[4-(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2-(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3-アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの中で、好ましい多官能(メタ)アクリレート化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
上記オキシアルキレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物として、例えば、オキシアルキレンで変性されたポリオールの(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。前記ポリオールとして、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールが挙げられる。
上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を複数有し、ウレタン結合[-NHC(=O)O-]を一つ以上有する化合物であり、ウレア結合[-NHC(=O)NH-]をさらに有していてもよい。前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物として、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得られる化合物、及び多官能イソシアネートとヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとポリオールとの反応により得られる化合物が挙げられるが、本発明で使用可能な多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物はこれらの例示のみに限定されない。
上記多官能イソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。また上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとして、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びトリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートが挙げられる。さらに上記ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジオール類;これらジオール類とコハク酸、マレイン酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類又はジカルボン酸無水物類との反応生成物であるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオール;及びポリカーボネートジオールが挙げられる。
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーはラクトン変性多官能(メタ)アクリレート化合物であってもよく、変性するラクトンとしてε-カプロラクトンが好ましい。前記ラクトン変性多官能(メタ)アクリレート化合物として、例えば、ε-カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
[(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有する重量平均分子量が1500以上3500未満のパーフルオロポリエーテル]
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有する重量平均分子量が1500以上3500未満のパーフルオロポリエーテルを以下、単に「(b)パーフルオロポリエーテル」とも称する。本発明の硬化性組成物において(b)パーフルオロポリエーテルは、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の下記式[1]で表される化合物である。防汚性の観点から、(b)パーフルオロポリエーテルはフッ素原子の含有割合が高いほど好ましく、本発明において下記式[1]で表される化合物の前記フッ素原子の含有割合は、好ましくは36質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、その上限は特に限定されないが例えば50質量%である。
(式[1]中、rは繰り返し単位-(CFCFO)-の数、及びsは繰り返し単位-(CFO)-の数であって、15≦(r+s)≦35を満たし、r及びsはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、双方の繰り返し単位を有する場合には、これら繰り返し単位はブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなり、Aは下記式[A1]又は式[A2]で表される基を表し、Lはフッ素原子1乃至3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基を表す。)
(式[A1]及び式[A2]中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、*は前記ウレタン結合との結合手を表す。)
前記式[1]において、前記フッ素原子1乃至3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基として、-CHCHF-基、-CHCF-基、-CHFCF-基、-CHCHCHF-基、-CHCHFCH-基、-CHCHCF-基、-CHCFCH-基、-CHFCHCHF-基、-CHFCHFCH-基、-CHCHFCF-基、-CHCFCHF-基、-CHFCHCF-基、及び-CHFCHFCHF-基が挙げられる。
(b)パーフルオロポリエーテルは、本発明の硬化性組成物から形成される防汚性コート層における表面改質剤としての役割を果たす。また、(b)パーフルオロポリエーテルは、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の高フッ素濃度でありながら、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとの相溶性に優れるため、白濁が抑制され、透明な外観を呈し、且つ防汚性の高いコート層の形成を可能とする。
(b)パーフルオロポリエーテルは、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとの相溶性の観点から、前記式[1]で表される化合物が、前記式[A2]で表される基を有することが好ましい。
(b)パーフルオロポリエーテルの重量平均分子量が1500乃至3500であることで、a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとの相溶性に優れるため、白濁が抑制され、透明な外観を呈し、且つ防汚性の高いコート層を得ることができる。
本発明の硬化性組成物において(b)パーフルオロポリエーテルの含有量は、前記(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部に対して、0.01質量部乃至2質量部、好ましくは0.03質量部乃至1質量部、より好ましくは0.05質量部乃至0.5質量部である。(b)パーフルオロポリエーテルの含有量が0.01質量部以上であることで、防汚性コート層に十分な耐擦傷性を付与することができ、また(b)パーフルオロポリエーテルの含有量が2質量部以下であることで、(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーと十分に相溶し、白濁の少ない防汚性コート層を得ることができる。
(b)パーフルオロポリエーテルは、一種を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
[(c)重合開始剤]
本発明の硬化性組成物は、任意成分として(c)重合開始剤を含有してもよい。(c)重合開始剤は、電子線、紫外線、X線等の活性エネルギー線、特に紫外線の照射によりラジカルを発生する重合開始剤である。
(c)重合開始剤として、例えば、ベンゾイン類、アルキルフェノン類、チオキサントン類、アゾ類、アジド類、ジアゾ類、o-キノンジアジド類、アシルホスフィンオキシド類、オキシムエステル類、有機過酸化物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン類、ビスイミダゾール類、チタノセン類、チオール類、ハロゲン化炭化水素類、トリクロロメチルトリアジン類、及びヨードニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩類が挙げられる。これらの重合開始剤は、一種を単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明では、透明性、表面硬化性及び薄膜硬化性の観点から、(c)重合開始剤としてアルキルフェノン類を使用することが好ましい。アルキルフェノン類を使用することにより、耐擦傷性がより向上した硬化膜を得ることができる。
上記アルキルフェノン類として、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン類;2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン類;及び2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。
本発明の硬化性組成物が(c)重合開始剤を含む場合、その含有量は、前記(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部に対して、例えば1質量部乃至20質量部、好ましくは1質量部乃至10質量部、より好ましくは2質量部乃至10質量部である。
[(d)溶媒]
本発明の硬化性組成物は、任意成分として(d)溶媒を含有してもよい。(d)溶媒としては、前記(a)成分乃至(c)成分の溶解性、また、後述する硬化膜(コート層)の形成に係る硬化性組成物の塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性等を考慮して適宜選択すればよい。
上記(d)溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジ-n-ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のアミド類;及びジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、並びにこれらの溶媒のうち二種以上を混合した溶媒が挙げられる。
本発明の硬化性組成物が(d)溶媒を含む場合、その含有量は、該組成物100質量部に対して30質量%以下である。
[その他添加剤]
また、本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等のうち一種を単独で、或いは二種以上を組み合わせて適宜配合してよい。
<硬化膜>
本発明の硬化性組成物は、基材上に塗布(コーティング)して塗膜を形成し、該塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、硬化膜を形成でき、該硬化膜も本発明の対象である。また後述するコート層として、上記硬化膜からなるものを用いることができる。
上記基材として、例えば、各種樹脂(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ノルボルネン系樹脂)、金属、木材、紙、ガラス、及びスレートを挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。また、上記基材の表面に、例えば、プライマー層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、近赤外線吸収層、電磁波吸収層、色補正層、屈折率調整層、耐候性層、反射防止層、帯電防止層、変色防止層、ガスバリア層、水蒸気バリア層、光散乱層、電極層等がコート層の下層として形成されていてもよく、該コート層の下層が複数積層されていてもよい。上記基材の表面に形成される層としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。
上記基材上への塗布方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、スクリーン印刷法等)等を適宜選択することができる。なお事前に孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて、本発明の硬化性組成物を濾過した後、塗布に供することが好ましい。なお塗布する際、必要に応じて、本発明の硬化性組成物に溶剤をさらに添加してもよい。この場合の溶剤として、前述の[(d)溶媒]で挙げた種々の溶媒を挙げることができる。
基材上に本発明の硬化性組成物を塗布し塗膜を形成した後、必要に応じてホットプレート、オーブン等の加熱手段で塗膜を予備乾燥して溶媒を除去する(溶媒除去工程)。この際の加熱乾燥の条件としては、例えば、40℃乃至120℃で、30秒乃至10分程度とすることが好ましい。乾燥後、紫外線等の活性エネルギー線を照射して、上記塗膜を硬化させる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線及びX線が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線照射に用いる光源としては、例えば、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及びUV-LEDが使用できる。さらにその後、ポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブン等の加熱手段を用いて加熱することにより、重合を完結させてもよい。
形成される硬化膜の厚さは、乾燥、硬化後において、例えば0.1μm乃至20μm、好ましくは0.5μm乃至10μmである。
<コート層付き成形体>
本発明の硬化性組成物を用いて、成形体の少なくとも一方の面(表面)にコート層を備えるコート層付き成形体を製造することができる。前記コート層付き成形体も本発明の対象であり、該コート層付き成形体は、例えば、タッチパネル・液晶ディスプレイ等の各種表示素子や、食品・医薬品・化粧品等のプラスチック容器の表面、各種住宅設備、鉄道・船舶・航空機・自動車等の床面、壁面、内装及び外装などを保護するために好適に用いられる。
本発明のコート層付き成形体におけるコート層は、本発明の硬化性組成物を成形体に塗布し塗膜を形成する工程と、必要に応じて加熱により溶媒を除去する工程と、該塗膜に紫外線等の活性エネルギー線を照射し、該塗膜を硬化させる工程とを含む方法により形成することができる。これらの工程を含む、成形体の少なくとも一方の面にコート層を備えるコート層付き成形体の製造方法も本発明の対象である。
上記成形体として、前述の<硬化膜>で挙げた基材を用いることができる。好ましい成形体として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)等のフィルム、及び金属が挙げられる。
これら成形体の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。また、上記成形体の表面に、例えば、プライマー層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、近赤外線吸収層、電磁波吸収層、色補正層、屈折率調整層、耐候性層、反射防止層、帯電防止層、変色防止層、ガスバリア層、水蒸気バリア層、光散乱層、電極層等がコート層の下層として形成されていてもよく、該コート層の下層が複数積層されていてもよい。上記成形体の表面に形成される層としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。
また上記成形体上への、本発明の硬化性組成物の塗布方法(塗膜形成工程)、及び塗膜への活性エネルギー線照射方法(硬化工程)は、前述の<硬化膜>で挙げた方法を用いることができる。また本発明の硬化性組成物が溶媒を含む場合、塗膜形成工程の後、必要に応じて該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程を含むことができる。その場合、前述の<硬化膜>で挙げた塗膜の乾燥方法(溶媒除去工程)を用いることができる。
こうして得られたコート層の層厚(膜厚)は、例えば0.1μm乃至20μm、好ましくは0.5μm乃至10μmである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)重量平均分子量測定
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC-8420GPC
カラム:東ソー(株)製 TSKgelG2000HXL、TSKgelG3000HXL
測定温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出:RI
(2)燃焼イオンクロマトグラフィー
自動試料燃焼装置システム:日東精工アナリテック(株)(旧(株)三菱ケミカルアナリテック)製 AQF-2100H
イオンクロマトグラフ:サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製
Dionex Integrion
試料:2mg
吸収液:2.7mM 炭酸ナトリウム + 0.3mM 炭酸水素ナトリウム水溶液
溶離液:2.7mM 炭酸ナトリウム + 0.3mM 炭酸水素ナトリウム水溶液
カラム:サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製 AG-12A/AS-12A
流量:1.5mL/分
検出器:電気伝導度(サプレッサー使用)
標準試料:ふっ化物イオン標準液(F-1000) 富士フイルム和光純薬(株)(旧和光純薬工業(株))製
試料中の溶媒にフッ素原子を含む溶媒を含まない場合は、溶媒を含んだ状態のままフッ素濃度を測定し、固形分濃度から溶質のフッ素濃度を換算し、算出した。試料中の溶媒にフッ素原子を含む溶媒が含まれる場合は、ハロゲン水分計を用い、120℃20分の条件で試料溶媒を揮発させ、質量変化が一定になり溶媒が全て揮発したと判断できた試料を用いてフッ素濃度を測定した。
(3)粘度測定
EMS粘度計:京都電子工業(株)製
温度:25℃
また、略記号は以下の意味を表す。
PFPE1:両末端それぞれにポリ(オキシアルキレン)基を介さずヒドロキシ基を2つ有する下記構造のパーフルオロポリエーテル[ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 Fomblin(登録商標)T4 19F-NMR及びH-NMRによる分析結果から算出された数平均分子量2200]
(上記式中、rは繰り返し単位-(CFCFO)-の数、及びsは繰り返し単位-(CFO)-の数であって、15≦(r+s)≦35を満たし、r及びsはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、双方の繰り返し単位を有する場合には、これら繰り返し単位はブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなる。)
N1:1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート[昭和電工(株)製 カレンズ(登録商標)BEI]
SMA2:ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の末端に活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル[ダイキン工業(株)製 オプツール(登録商標)DAC-HP、不揮発分20質量%溶液、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは1521、分散度:Mw/Mnは1.1(Mnは数平均分子量)、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたパーフルオロポリエーテル化合物中のフッ素原子の含有割合35質量%]
SMA3:ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に活性エネルギー線重合性基を合計4つ有するパーフルオロポリエーテル[ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 Fluorolink(登録商標)AD-1700、不揮発分70質量%溶液、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは3973、分散度:Mw/Mnは2.1、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたパーフルオロポリエーテル化合物中のフッ素原子の含有割合29質量%]
DOTDD:ジネオデカン酸ジオクチル錫[日東化成(株)製 ネオスタン(登録商標)U-830]
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PA1:ポリエチレングリコールジアクリレート[新中村工業(株)製 NKエステル A-200]
PA2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物[日本化薬(株)製 KAYARAD DN-0075]
PA3:ジグリセリンエチレンオキシド変性多官能アクリレート[東亞合成(株)製 アロ二クス(登録商標)M-460]
PA4:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート[東京化成(株)製]
PA5:脂肪族ウレタンアクリレート[ダイセル・オルネクス(株)製 EBECRYL 4101]
PA6:ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレート[日本化薬(株)製 PET30]
PA7:ウレタンアクリレート[根上工業(株)製 UN-3320HC]
PA8:ウレタンアクリレート[根上工業(株)製 UN-3320HS]
O2959:2-ヒドロキシ-1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン[IGM Resins社製 OMNIRAD(登録商標)2959]
[製造例1]表面改質剤の成分SMA1の製造
スクリュー管に、PFPE1 1.19g(0.5mmol)、N1 0.52g(2.0mmol)、DOTDD 0.017g(PFPE1及びN1の合計質量の0.01倍量)、及びPGMEA 1.67gを仕込んだ。この混合物を、スターラーチップを用いて室温(およそ23℃)で72時間撹拌して、目的のパーフルオロポリエーテル化合物SMA1の50質量%PGMEA溶液を得た。得られたSMA1のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは2494、分散度:Mw/Mnは1.0であった。また、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたSMA1中のフッ素原子の含有割合は42質量%であった。
[実施例1乃至実施例8、参考例1、比較例1乃至比較例11]
表1に記載の各成分を10mlスクリュー管に加え、あわとり練太郎ARE-310(シンキ―(株)製)にて回転速度2000rpmで30分間混合し、表1に記載の固形分濃度の硬化性組成物を調製した。ここで固形分とは、前述したように溶媒以外の成分を指す。また、表1中、[部]とは[質量部]を、[%]は[質量%]を表す。なお、表1中の多官能アクリレート及び表面改質剤はそれぞれ固形分を表し、実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例10の硬化性組成物の溶媒は、表面改質剤から持ち込まれた溶媒のみである。
[組成物均質性]
調製した各硬化性組成物の外観を目視で確認し、以下の基準に従い評価した。硬化性組成物として、硬化膜を形成することを想定した際、異物や欠陥等が無い良質な膜を得るため、少なくとも基準Bであることが求められ、基準Aであることが望ましい。
A:透明溶液
B:溶液にヘーズ(Haze)があるが、浮遊物、沈降物及び相分離のいずれも観察されない溶液
C:浮遊物、沈降物、及び相分離のうちいずれか観察される溶液
Figure 2024041281000006
Figure 2024041281000007
表1に示すように、実施例1の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA1であり、表面改質剤としてSMA1を含むものであり、比較例1乃至比較例2の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA1であり、表面改質剤がSMA2又はSMA3である。そして、表2に示すように、比較例1乃至比較例2の硬化性組成物は、多官能アクリレートに対する溶解性の観点から組成物均質性に劣り、実施例1の硬化性組成物は組成物均質性に優れることが示された。一般的に表面改質剤のフッ素濃度が高いと溶解性が劣ると考えられ、SMA1は特異的に溶解性に優れることが示唆された。溶解性に優れる理由として、SMA1の化学構造が、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に分岐構造を有する立体構造のため、SMA1の分子間でパーフルオロポリエーテルの分子鎖による凝集力が働きにくいためと考えられる。加えて、SMA1の両末端の各分岐鎖に極性基であるウレタン基を有しているため、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーが該極性基と相互作用し束縛されることで、SMA1が硬化性組成物内で凝集しにくくなるためと考えられる。
表1に示すように、実施例2乃至実施例6の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA2乃至PA6であり、表面改質剤としてSMA1を含むものであり、比較例3乃至比較例10の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA2乃至PA6であり、表面改質剤がSMA2又はSMA3である。そして、表2に示すように、比較例3乃至比較例10の硬化性組成物は、多官能アクリレートに対する溶解性の観点から組成物均質性に劣り、実施例2乃至実施例6の硬化性組成物は組成物均質性に優れることが示された。このことから、SMA1の溶解性に関する特徴は、幅広い活性エネルギー線硬化性多官能モノマー種に対しても発現し、SMA1は表面改質剤として汎用性が高いことが示唆された。
また、表1に示すように、実施例7乃至実施例8の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA3であり、表面改質剤としてSMA1を含み、溶媒としてPGMEを含む固形分濃度が70質量%又は80質量%の高固形分濃度組成物であり、比較例11の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA3であり、表面改質剤がSMA2であり、溶媒としてPGMEを含む固形分濃度が70質量%の高固形分濃度組成物である。そして、表2に示すように、比較例11の硬化性組成物は、多官能アクリレートに対する溶解性の観点から組成物均質性に劣り、実施例7乃至実施例8の硬化性組成物は組成物均質性に優れることが示された。また、比較例11の硬化性組成物の固形分濃度をPGMEで60質量%に薄めた参考例1の硬化性組成物では、均質性に優れる組成物が得られた。このことから、SMA1の溶解性に関する特徴は、固形分濃度が100質量%に近い無溶媒条件のみに限らず、固形分濃度が70質量%以上の高固形分濃度条件でも発現することが示唆された。
[実施例9乃至実施例12、比較例12]
表3に記載の各成分を10mlスクリュー管に加え、あわとり練太郎ARE-310(シンキ―(株)製)にて回転速度2000rpmで30分間混合し、表3に記載の固形分濃度の硬化性組成物を調製した。ここで固形分とは、前述したように溶媒以外の成分を指す。また、表3中、[部]とは[質量部]を、[%]は[質量%]を表す。なお、表3中の多官能アクリレート、表面改質剤、及び重合開始剤はそれぞれ固形分を表し、溶媒は、表面改質剤から持ち込まれた溶媒のみである。
実施例9乃至実施例12の硬化性組成物を、両面を易接着処理してプライマー層が形成されたA4サイズのPETフィルム[東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U403(別称U40)、厚み100μm]上に、ワイヤーバーOSP-10を用いてバーコーターにより塗布し、塗膜を得た。この塗膜を60℃のオーブンで3分間乾燥させた。得られた膜を、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmのUV光を照射し露光することで、コート層(硬化膜)付き成形体を作製した。
[成膜性]
調製した硬化性組成物を、PETフィルム上にバーコーターにより塗布し塗膜を得る成膜工程に関し、以下の基準に従い評価した。プロセスの観点から基準Aであることが望ましい。一方、硬化性組成物が固体や流動性がほとんどない高粘度液体である場合は基準Cとなり、好ましくない。
A:ワイヤーバーの移動と共に硬化性組成物がフィルム上に濡れ広がり均一に塗布可能であり、異物や欠陥等が無い良質な膜が得られる
C:ワイヤーバーの移動に硬化性組成物が追従せずフィルム上に濡れ広がらない
Figure 2024041281000008
Figure 2024041281000009
表3に示すように、実施例9乃至実施例12の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーがPA4乃至PA7であり、表面改質剤としてSA1、及び光重合開始剤を含むものである。そして、表4に示すようにいずれの硬化性組成物も組成物均等性が良好であり、25℃の粘度が100,000mPa・s以下の液状組成物であって、いずれも良好な成膜性を示し、良好な硬化膜が得られた。一方、比較例12の硬化性組成物は、25℃の粘度が157,000mPa・sであり、高粘度のため成膜性に劣る結果となった。

Claims (9)

  1. (a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、及び
    (b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有する重量平均分子量が1500以上3500未満のパーフルオロポリエーテル0.01質量部乃至2質量部、
    を含む25℃で液状の組成物であって、
    前記(b)パーフルオロポリエーテルが、燃焼イオンクロマトグラフィーにより算出されたフッ素原子の含有割合が35質量%超の下記式[1]で表される化合物であり、
    前記組成物から溶媒を除いた固形分の濃度が70質量%以上100質量%以下である硬化性組成物。
    (式[1]中、rは繰り返し単位-(CFCFO)-の数、及びsは繰り返し単位-(CFO)-の数であって、15≦(r+s)≦35を満たし、r及びsはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、双方の繰り返し単位を有する場合には、これら繰り返し単位はブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなり、Aは下記式[A1]又は式[A2]で表される基を表し、Lはフッ素原子1乃至3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基を表す。)
    (式[A1]及び式[A2]中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、*は前記ウレタン結合との結合手を表す。)
  2. 請求項1に記載の硬化性組成物の25℃での粘度が、100,000mPa・s以下である、硬化性組成物。
  3. 前記(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーが(メタ)アクリロイル基を1分子中に少なくとも2個有する多官能モノマーである、請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. (c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部乃至20質量部をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物より得られる硬化膜。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物を成形体に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させてコート層を形成する工程を含む、コート層付き成形体の製造方法。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物を成形体に塗布し塗膜を形成する工程と、加熱により該塗膜から前記溶媒を除去する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させてコート層を形成する工程を含む、コート層付き成形体の製造方法。
  8. 成形体の少なくとも一方の面にコート層を備えるコート層付き成形体であって、該コート層が請求項5に記載の硬化膜からなる、コート層付き成形体。
  9. 前記コート層が0.1μm乃至20μmの膜厚を有する、請求項8に記載のコート層付き成形体。
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