JP2024041267A - 樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板 - Google Patents

樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板 Download PDF

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Kitaru Sato
哲也 今井
Tetsuya Imai
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Abstract

【課題】低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、弾性率及びTgが高く、線膨張係数が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本開示に係る樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるマレイミド樹脂(A)と、無機充填材(B)と、を含み、テトラカルボン酸二無水物(a1)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含有し、アミン(a2)が、ダイマージアミンと、ダイマージアミン以外の第2のアミンとを含有する。JPEG2024041267000017.jpg37149【選択図】なし

Description

本開示は、樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板に関する。
プリント配線板及びそれを用いた多層配線板は、携帯電話、スマートフォン等のモバイル型通信機器、その基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の製品で使用されている。
近年、それらの製品においては、大容量の情報を高速で伝送・処理するために高周波の電気信号が使用されているが、高周波信号は非常に減衰し易いため、伝送損失を抑えるために、上記プリント配線板及び多層配線板等に用いられる絶縁材料として、誘電特性の優れた絶縁材料が求められる。
上記絶縁材料としては、特許文献1~3に開示されたエポキシ樹脂組成物が知られている。特許文献1には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物及びトリアジン含有クレゾールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が低誘電正接化に有効であることが開示されている。また、特許文献2及び3には、エポキシ樹脂及び活性エステル化合物を必須成分とする樹脂組成物が、誘電正接が低い硬化物を形成でき、絶縁材料として有用であることが開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂組成物は、高周波帯用途として満足できないことがわかってきた。
一方、特許文献4では、非エポキシ系の材料として長鎖アルキル基を有するビスマレイミド樹脂及び硬化剤を含有する樹脂組成物からなる樹脂フィルムが、誘電特性に優れる(低比誘電率かつ低誘電正接である)ことが報告されている。しかしながら、長鎖アルキルジアミンのみからなるビスマレイミド樹脂では、Tg及び弾性率が低く、線膨張係数が大きい傾向にある。
特開2011-132507号公報 特開2015-101626号公報 特開2017-210527号公報 国際公開第2016/114287号公報
本開示は、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、弾性率及びTgが高く、線膨張係数(CTE)が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。本開示はまた、上記樹脂組成物を用いた硬化物、シート、積層体及びプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるマレイミド樹脂(A)と、無機充填材(B)とを含み、テトラカルボン酸二無水物(a1)及びアミン(a2)として所定の成分を用いることで、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、高弾性率化及び高Tg化された硬化物を形成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本開示の一態様は、以下の樹脂組成物、硬化物、シート、積層板、及びプリント配線板に関する。
[1]テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるマレイミド樹脂(A)と、無機充填材(B)を含み、テトラカルボン酸二無水物(a1)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含有し、アミン(a2)が、ダイマージアミンと、ダイマージアミン以外の第2のアミンとを含有する、樹脂組成物。


[2]無機充填材(B)の含有量が、樹脂組成物の固形分全量を基準として5~65質量%である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]第2のアミンが、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ノルボルナンジアミン及び4,4-メチレンジアニリンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]上記ダイマージアミンが、下記式(3)で表される化合物及び下記式(4)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。


[式(3)及び(4)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(3)及び(4)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(3)及び(4)に示した数から1つ減じた構造となる。]
[5]マレイミド樹脂(A)の重量平均分子量が3000~25000である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[7]上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物及び基材を備える、シート。
[8]前記基材が有機基材である、上記[7]に記載のシート。
[9]前記基材が無機基材である、上記[7]に記載のシート。
[10]上記[7]~[9]のいずれかに記載のシートの接着面に更に基材が熱圧着されてなる、積層体。
[11]上記[7]~[9]のいずれかに記載のシートを用いてなる、プリント配線板。
[12]上記[10]に記載の積層体を用いてなる、プリント配線板。
本開示によれば、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、弾性率及びTgが高く、線膨張係数(CTE)が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物、それを用いた硬化物、シート、積層体及びプリント配線板を提供することができる。
本開示の樹脂組成物(接着剤組成物)は、誘電率及び誘電正接(以下、両者を「誘電特性」と総称することがある。)を共に低減でき、特に高周波帯の低誘電特性に優れる。また、当該樹脂組成物より得られる硬化物(接着剤層)は弾性率及びTgが高いため、プリント回路基板(ビルドアップ基板、フレキシブルプリント配線板等)及びプリント配線板用銅張り板の製造に用いる接着剤としてのみならず、半導体層間材料、コーティング剤、レジストインキ、導電ペースト等の電気絶縁材料としても有用である。
以下、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう。)、アミン(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう。)、及び無水マレイン酸(a3)(以下、「(a3)成分」ともいう。)を反応させてなるマレイミド樹脂(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)と、無機充填材(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)と、を含む。本実施形態の樹脂組成物は、更に重合開始剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)を含んでもよい。また、本実施形態の樹脂組成物は、更に有機溶剤(D)(以下、「(D)成分」ともいう。)を含んでもよい。
((A)成分:マレイミド樹脂)
(A)成分は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分を反応させて得ることができる。(A)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a1)成分は、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含有する。

上記式(1)で表される化合物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物である。上記式(2)で表される化合物は、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオンである。(a1)成分としてこれらの化合物を用いることで、硬化物の低誘電率及び低誘電正接を十分に維持しつつ、硬化物の弾性率及びTgを向上させることができる。
(a1)成分は、上記式(1)及び(2)で表される化合物以外の他のテトラカルボン酸二無水物を含んでいてもよい。他のテトラカルボン酸二無水物としては、ポリイミドの原料として公知のものを使用できる。
他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)1,4-フェニレン、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、4,4’-(エチン-1,2-ジイル)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、及びノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a1)成分中、上記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物の合計の含有量は、硬化物の弾性率及びTgをより向上させる観点から、(a1)成分全量を基準として、50モル%以上であってもよく、70モル%以上であってもよく、100モル%であってもよい。
(a2)成分は、ダイマージアミン(第1のジアミン)と、ダイマージアミン以外の第2のアミンとを含有する。
ダイマージアミンは、例えば、特開平9-12712号公報に記載されているように、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸から誘導される化合物である。本実施形態では、公知のダイマージアミンを特に制限なく使用できる。(a2)成分は、例えば、下記式(3)で表される化合物及び下記式(4)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含むことが好ましい。

式(3)及び(4)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(3)及び(4)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(3)及び(4)に示した数から1つ減じた構造となる。
ダイマージアミンとしては、有機溶剤への溶解性、耐熱性、耐熱接着性、低粘度等の観点より、上記式(4)で表されるものが好ましく、特に下記式(5)で表される化合物が好ましい。
ダイマージアミンの市販品としては、例えば、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2のアミンは、上述したダイマージアミンに該当しないアミンである。第2のアミンとしては、例えば、1,3-ジアミノプロパン、ノルボルナンジアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、4,4-メチレンジアニリン、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、2,7-ジアミノフルオレン、4,4’-エチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテ、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のジアミン;及びトリス(2-アミノメチル)アミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-アミノプロピル)アミン、2-(アミノメチル)-2-メチル-1,3-プロパンジアミン、トリマートリアミン、3,4,4’-トリアミノジフェニルエーテル、1,2,4-トリアミノベンゼン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,3-トリアミノベンゼン、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、2,4,6-トリアミノピリミジン、1,3,5-トリス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等のトリアミンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2のアミンは、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ノルボルナンジアミン、及び4,4-メチレンジアニリンからなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。第2のアミンは、低誘電特性の観点から、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン又はノルボルナンジアミンを含むことが好ましく、高Tg化の観点から、4,4-メチレンジアニリンを含むことが好ましい。
アミンとしてダイマージアミンを用いることで、硬化物の誘電特性を低くすることができる。一方で、アミンとしてダイマージアミンのみを用いた場合、硬化物の弾性率及びTgが低下することとなる。これに対し、第2のアミンをダイマージアミンと併用することで、硬化物の弾性率及びTgを向上させることができる。
(a2)成分中、第2のアミンのモル比(第2のアミンのモル数/(ダイマージアミンのモル数+第2のアミンのモル数))は、20~70モル%であってもよく、30~50モル%であってもよい。この比が20モル%以上であると、硬化物の弾性率及びTgをより向上させることができ、70モル%以下であると、硬化物の誘電特性をより低くすることができる。
(A)成分は、各種公知の方法により製造できる。例えば、先ず、(a1)成分と(a2)成分とを60~120℃程度、好ましくは70~90℃の温度において、通常0.1~2時間程度、好ましくは0.1~1.0時間重付加反応させる。次いで、得られた重付加物を更に80~250℃程度、好ましくは100~200℃の温度において、0.5~30時間程度、好ましくは0.5~10時間イミド化反応、即ち脱水閉環反応させる。続いて、脱水閉環反応させた物と(a3)成分とを60~250℃程度、好ましくは80~200℃の温度において、0.5~30時間程度、好ましくは0.5~10時間マレイミド化反応、即ち脱水閉環反応させることにより、目的とする(A)成分が得られる。
イミド化反応又はマレイミド化反応において、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する有機溶剤を使用できる。反応触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類、又はメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸一水和物等の有機酸などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、及び、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分は各種公知の方法により精製でき、純度を上げることができる。例えば、先ず、有機溶剤に溶かした(A)成分と純水とを分液ロートに入れる。次いで、分液ロートを振り、静置させる。続いて、水層と有機層とが分離した後、有機層のみを回収することで、(A)成分を精製できる。
(A)成分の分子量は、(a1)成分と(a2)成分のモル数で制御することができ、(a1)成分のモル数が(a2)成分のモル数より小さいほど、分子量を小さくすることができる。本開示の効果を達成し易くする目的において、通常、〔(a1)成分のモル数〕/〔(a2)成分のモル数〕が0.30~0.85程度、好ましくは0.50~0.80の範囲がよい。
(A)成分の分子量としては、溶剤への溶解性及び耐熱性の観点から、重量平均分子量で3000~25000が好ましく、5000~20000がより好ましく、7000~16000が更に好ましい。重量平均分子量が25000以下であると有機溶剤への溶解性が良好となり、3000以上であると、耐熱性を向上させる効果が十分に得られる傾向がある。
((B)成分:無機充填材)
(B)成分は、樹脂組成物に使用可能な無機充填材であれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。(B)成分としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、シリカ、黒鉛粉、及びベーマイトが挙げられる。これらの中で、特にシリカが低誘電正接に優れるため好ましい。(B)成分は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の平均粒径は、50nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってよく、10μm以下、5.0μm以下、3.0μm以下、又は1.0μm以下であってよい。(B)成分の平均粒径は、100nm~10μm又は50nm~5.0μmが好ましく、100nm~3.0μmがより好ましく、200nm~1.0μmが更に好ましい。(B)成分の平均粒径が上記範囲であると、シートの表面粗度を小さくし、ポリイミドフィルム及び銅箔等の基材との接着性を高めることができる。
上記(B)成分の平均粒径として、体積積算粒度分布における積算粒度で50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
(B)成分は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることが好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。(B)成分が表面処理されていることにより、有機溶剤への(B)成分の分散性を高めることができるだけでなく、更にシートの表面の表面粗さがより一層小さくなり、ポリイミドフィルム、銅箔等の基材との接着性を高めることができる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、及びアルミニウムカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、フェニルアミノシラン、イミダゾールシラン、フェニルシラン、ビニルシラン、及びエポキシシランが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の含有量は、樹脂組成物の固形分(不揮発分)全量を基準(100質量%)として、5~65質量%、8~60質量%、10~55質量%、又は12~50質量%であってよい。(B)成分の含有量が5質量%以上であると、誘電正接を低減する効果、及び、耐熱性を向上させる効果が十分に得られ易くなり、70質量%以下であると、接着性の低下を抑制し易くなる。
((C)成分:重合開始剤)
(C)成分としては、樹脂組成物に使用可能な重合開始剤であれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。(C)成分としては、例えば、有機過酸化物、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、特に有機過酸化物が重合開始剤として優れた機能を有し、また低誘電特性の点でも優れるため好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、及び3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの有機過酸化物の中でも、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が好ましい。
イミダゾール化合物としては、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、1-プロピル-2-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、及び1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾールが挙げられる。中でも、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾールが本実施形態の樹脂組成物との溶解性が高く好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ホスフィン化合物としては、例えば、1級ホスフィン、2級ホスフィン、及び3級ホスフィン等が挙げられる。1級ホスフィンとしては、例えば、エチルホスフィン、プロピルホスフィン等のアルキルホスフィン、及びフェニルホスフィンが挙げられる。2級ホスフィンとしては、例えば、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルフェニルホスフィン、及びエチルフェニルホスフィンが挙げられる。3級ホスフィンとしては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキルジフェニルホスフィン、ジアルキルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ-p-スチリルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ-4-メチルフェニルホスフィン、トリ-4-メトキシフェニルホスフィン、及びトリ-2-シアノエチルホスフィンが挙げられる。中でも、3級ホスフィンが好ましく使用される。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ホスホニウム塩化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、アルキルトリフェニルホスホニウム塩、テトラアルキルホスホニウム等を有する化合物が挙げられ、具体的には、テトラフェニルホスホニウム-チオシアネート、テトラフェニルホスホニウム-テトラ-p-メチルフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウム-チオシアネート、テトラフェニルホスホニウム-フタル酸、テトラブチルホスホニウム-1,2-シクロへキシルジカルボン酸、テトラブチルホスホニウム-1,2-シクロへキシルジカルボン酸、及びテトラブチルホスホニウム-ラウリン酸が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して、0.1~10.0質量部が好ましく、0.5~5.0質量部がより好ましく、0.7~3.0質量部が更に好ましい。
((D)成分:有機溶剤)
(D)成分としては、(A)成分を溶解させるものであれば、特に限定されない。(D)成分としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル系溶剤;及びエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテ等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することができる。(A)成分の溶解性が高い芳香族炭化水素(トルエン、キシレン又はメシチレン)と、(B)成分の分散性が高いケトン系溶剤(メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン)とを併用してもよい。
(D)成分の使用量は特に限定されないが、通常、本実施形態の樹脂組成物の不揮発分が20~65質量%程度となる範囲で用いればよい。
本実施形態の樹脂組成物の調製は、一般的に採用されている方法に準じて実施される。調製方法としては、例えば、溶融混合、粉体混合、溶液混合等の方法が挙げられる。また、この際には、本実施形態の必須成分以外の、例えば、離型剤、難燃剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、接着付与剤、低応力剤、着色剤、カップリング剤、無機充填材等を、本開示の効果を損なわない範囲において配合してもよい。本実施形態の樹脂組成物は、エポキシ樹脂、アクリレート化合物、ビニル化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビスマレイミド化合物等の上記(A)成分以外の樹脂を含んでいてもよい。
(離型剤)
離型剤は、金型からの離型性を向上させるために添加される。離型剤としては、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリプロピレン、モンタン酸、モンタン酸と飽和アルコール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)エタノール、エチレングリコール、グリセリン等とのエステル化合物であるモンタンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸アミド等公知のものを全て使用することができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(難燃剤)
難燃剤は、難燃性を付与するために添加され、公知のものを全て使用することができ、特に制限されない。難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、シリコン化合物、モリブデン酸亜鉛担持タルク、モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(イオントラップ剤)
イオントラップ剤は、液状の樹脂組成物中に含まれるイオン不純物を捕捉し、熱劣化及び吸湿劣化を防ぐために添加される。イオントラップ剤は公知のものを全て使用することができ、特に制限されない。イオントラップ剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス化合物、希土類酸化物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させたものである。具体的には、当該組成物を150~250℃程度で10分~3時間程度加熱処理することで得ることができる。
硬化物の形状は特に限定されないが、基材の接着用途に供する場合には、膜厚が通常1~200μm程度、好ましくは3~100μm程度のシート状とすることができ、膜厚は用途に応じて適宜調整できる。
[シート]
本実施形態のシートは、本実施形態の樹脂組成物及び基材を備える。当該シートは、例えば、本実施形態の樹脂組成物を基材(シート基材)に塗布し、乾燥させることによって得られる。当該基材としては、例えば、ポリイミド、ポリイミド-シリカハイブリッド、ポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PSt)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、エチレンテレフタレート、フェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;株式会社クラレ製、「ベクスター」等)などの有機基材が挙げられる。これらの中でも耐熱性、寸法安定性等の点より、ポリイミドフィルム、特にポリイミド-シリカハイブリッドフィルムが好ましい。また、上記基材としては、ガラス、鉄、アルミ、42アロイ、銅等の金属、ITO、シリコン、シリコンカーバイド等の無機基材を用いてもよい。上記基材の厚みは用途に応じて適宜設定できる。
[積層体]
本実施形態の積層体は、上記シートの接着面に更に基材が熱圧着されている。当該積層体は、上記シートの接着面に更に基材を熱圧着させることにより得られる。当該基材としては、例えば、ポリイミド、ポリイミド-シリカハイブリッド、ポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PSt)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、エチレンテレフタレート、フェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;株式会社クラレ製、「ベクスター」等)などの有機基材を用いることができる。また、上記基材としては、ガラス、鉄、アルミ、42アロイ、銅等の金属、ITO、シリコン、シリコンカーバイド等の無機基材が好適である。上記基材の厚みは用途に応じて適宜設定できる。当該積層体は、更に加熱処理したものであってよい。
[プリント基板及びプリント配線板]
本実施形態のプリント基板は、上記シートを用いたもの、又は、上記積層体を用いたものである。本実施形態のプリント基板は、例えば、上記積層体の無機基材面に更に上記シートの接着面を貼りあわせることにより得られる。当該プリント基板としては、有機基材としてポリイミドフィルムを、無機基材として金属箔(特に銅箔)を用いたものが好ましい。そして、かかるプリント基板の金属表面をソフトエッチング処理して回路を形成し、そのうえに更に上記シートを貼りあわせて熱プレスすることにより、プリント配線板が得られる。
以下、本開示を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、各例中、部及び%は特記しない限り質量基準である。
<マレイミド樹脂の合成>
(合成例1)
冷却器、窒素導入管、熱伝対、攪拌機を備えた1Lのフラスコ容器に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(ダイキン工業株式会社製、式(1)で表される化合物)33.94質量部、T-SOLTM100(ENEOS株式会社製、芳香族系高沸点溶剤)130.87質量部、及びソルミックスA-11(日本アルコール販売株式会社製、アルコール系溶剤)28.70質量部を投入した。投入後、80℃に昇温し、0.5時間保温し、ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE1075」、クローダジャパン株式会社製)27.35質量部を滴下した。滴下後、ノルボルナンジアミン(三井化学ファイン株式会社製)7.86質量部を添加した。添加後、メタンスルホン酸水溶液(BASF社製、商品名「Lutropur MSA」)1.96質量部を加えた。その後160℃に昇温した。昇温後にトルエン(山一化学工業株式会社製)40.00質量部を添加し、160℃で1時間脱水閉環反応を行い、反応液中の水とアルコールを除去し、中間体のポリイミド樹脂を得た。続いて、得られたポリイミド樹脂を130℃に冷却し、無水マレイン酸(扶桑化学工業株式会社製)7.49質量部を加え、160℃に昇温し、160℃で4時間脱水閉環反応を行い、反応液中の水を除去し、マレイミド樹脂を得た。
得られたマレイミド樹脂を分液ロートに入れ、純水500質量部を投入し、分液ロートを振り混ぜ、静置させた。静置後、水層と有機層が分離した後、有機層のみを回収した。回収した有機層を冷却器、窒素導入管、熱伝対、攪拌機、真空ポンプを備えた1Lのガラス製容器に投入し、88~93℃に昇温し、水を除去した後、100℃に昇温し、大気圧から0.1MPa減圧した状態で0.5時間溶剤の一部を除去し、(A)成分のマレイミド樹脂(A-1)の溶液を得た。
(合成例2)
ノルボルナンジアミンを2-メチル-1,5-ジアミノペンタン(東京化成工業株式会社製)に変更し、各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は合成例1と同様にして、マレイミド樹脂(A-2)の溶液を得た。
(合成例3~4)
ノルボルナンジアミンを2-メチル-1,5-ジアミノペンタン(東京化成工業株式会社製)に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物を1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン(新日本理化株式会社製、商品名「TDA-100」、式(2)で表される化合物)にそれぞれ変更し、各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、マレイミド樹脂(A-3)~(A-4)の溶液を得た。
(合成例5)
ノルボルナンジアミンを4,4’-メチレンジアニリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)に変更し、各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は合成例1と同様にして、マレイミド樹脂(A-5)の溶液を得た。
(合成例6)
ノルボルナンジアミンを使用せずに各成分の配合量を表1に示すように変更したこと以外は合成例1と同様にして、マレイミド樹脂(A-6)の溶液を得た。
[不揮発分]
マレイミド樹脂の溶液を金属シャーレに精密天秤で0.75g±0.25g量り取った後、熱風乾燥機で150℃、0.5時間乾燥させ、次式より不揮発分(NV)を算出した。
NV(質量%)={(W3-W1)/W2}×100
W1:空の金属シャーレの質量(g)
W2:乾燥前のマレイミド樹脂の溶液の質量(g)
W3:乾燥後の金属シャーレ+マレイミド樹脂の質量(g)
[重量平均分子量]
マレイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。テトラヒドロフラン(THF)にマレイミド樹脂を濃度3質量%となるように溶解させたサンプルを、30℃に加温されたカラム(GL-R420(株式会社日立ハイテクフィールディング製)×1本、GL-R430(株式会社日立ハイテクフィールディング製)×1本、GL-R440(株式会社日立ハイテクフィールディング製)×1本)に50μL注入し、展開溶媒としてTHFを用い、流速1.6mL/minの条件で測定を行った。なお、検出器には、L-3350 RI検出器(株式会社日立製作所製)を用い、溶出時間から標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて作製した分子量/溶出時間曲線によりMwを換算した。
[樹脂組成物]
以下に示す各成分を表2に示す組成(質量部)で配合して実施例の樹脂組成物を調製し、表3に示す組成(質量部)で配合して比較例の樹脂組成物を調製した。
(A)成分:合成例1~6で作製したマレイミド樹脂(A-1)~(A-6)
(B)成分:シリカフィラー
(B-1)5SX-CM16(株式会社アドマテックス製、フェニルアミノシランで表面処理されたシリカ粒子のスラリー、分散媒:MEK、NV:70%、粒径:0.5μm)
(B-2)5SV-CM1(株式会社アドマテックス製、ビニルシランで表面処理されたシリカ粒子のスラリー、分散媒:MEK、NV:70%、粒径0.5μm)
(B-3)中空フィラー(粒径:0.5μm、NV:100%)
(C)成分:DCP(ジクミルパーオキサイド、日油株式会社製、商品名「パークミルD」)
(D)成分:MIBK(メチルイソブチルケトン、富士フイルム和光純薬株式会社製)
[硬化シート]
アプリケータを用いて、Cu箔(古河電工株式会社製、商品名「FZ-WS-18」)の上に上記樹脂組成物を乾燥後に100μmの厚さになるように塗布し、乾燥機で130℃、30分間の乾燥処理を行った。続いて、乾燥機で200℃、2時間の硬化処理を行った。硬化後、室温まで冷却した後に、過硫酸アンモニウム水溶液で銅箔をエッチングにより除去し、110℃で30分間乾燥させて硬化シートを作製した。
[弾性率及びTg]
硬化シートから20mm×10mmのサイズを有する試験片を作製した。この試験片を用いて、動的粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、商品名「DMS6100」)にて、周波数1Hz、測定温度-40℃~220℃、昇温速度10℃/minの条件で20℃の弾性率及びTg(tanδピーク)を測定した。
[線膨張係数(CTE)]
硬化シートから30mm×4mmのサイズを有する試験片を作製した。この試験片を用いて、熱機械分析装置(商品名「TMA/SS7100」、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて線膨張係数(CTE)を測定した。測定モードは引張りモード、測定荷重は50mN、測定雰囲気は大気雰囲気、昇温速度は5℃/minとし、2ndランの110~160℃における測定結果をCTEとした。
[誘電特性]
硬化シートから50mm×100mmのサイズを有する試験片を作製した。この試験片を用いて、SPDR誘電体共振器(Agilent Technologies社製)にて10GHzの比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。測定結果から、以下の判定基準に基づいて評価を行った。評価結果がA又はBである場合、誘電特性が十分に低いといえる。
<Dkの判定基準>
A:2.5未満
B:2.5以上2.8未満
C:2.8以上
<Dfの判定基準>
A:0.0030未満
B:0.0030以上0.0050未満
C:0.0050以上
表2から明らかなように、実施例の樹脂組成物は、優れた低誘電特性を有し、高弾性率、高Tg、低CTEを有する硬化物を形成することができる。そのため、本開示に係る樹脂組成物を用いることで、プリント基板等の積層板及び半導体などの電子部品用の封止材の特性を飛躍的に向上させることが期待できる。

Claims (12)

  1. テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるマレイミド樹脂(A)と、
    無機充填材(B)と、を含み、
    前記テトラカルボン酸二無水物(a1)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含有し、
    前記アミン(a2)が、ダイマージアミンと、ダイマージアミン以外の第2のアミンとを含有する、樹脂組成物。

  2. 前記無機充填材(B)の含有量が、樹脂組成物の固形分全量を基準として5~65質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記第2のアミンが、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ノルボルナンジアミン、及び4,4-メチレンジアニリンからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ダイマージアミンが、下記式(3)で表される化合物及び下記式(4)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。


    [式(3)及び(4)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(3)及び(4)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(3)及び(4)に示した数から1つ減じた構造となる。]
  5. 前記マレイミド樹脂(A)の重量平均分子量が3000~25000である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物及び基材を備える、シート。
  8. 前記基材が有機基材である、請求項7に記載のシート。
  9. 前記基材が無機基材である、請求項7に記載のシート。
  10. 請求項7に記載のシートの接着面に更に基材が熱圧着されてなる、積層体。
  11. 請求項7に記載のシートを用いてなる、プリント配線板。
  12. 請求項10に記載の積層体を用いてなる、プリント配線板。
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