JP2024041113A - 衝突判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない数の加速度センサにより、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突の発生を検知し、簡単な構成により後部座席の乗員を保護できるようにする。【解決手段】車両1の第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の車両側面に対する後部側面衝突が生じたときに、第1の加速度センサ2及び第2の加速度センサ3それぞれによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度に基づき、車両1の運転席側の車両側面に対する後部側面衝突による車両1の回転が生じたかどうかを判定手段により判定し、判定手段により、当該後部側面衝突による車両1の回転が生じたと判定されたときに、保護手段であるエアバングを展開して車両1の後部座席の乗員を保護する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定する衝突判定装置に関する。
従来、車両の側面衝突による衝撃から乗員を保護するために衝突時に展開するサイドエアバッグやカーテンエアバッグが設けられ、そのために図11に示すように、衝突時に車両50に生じる加速度を検出する加速度センサが車両中央部のBピラーや車両後部のCピラー等に複数設けられる。とりわけ、後部座席位置の側面衝突を検知するのに好適な手段として、車両後部の左右のCピラーに加速度センサを設けるのが一般的である。図11において、51はBピラー用加速度センサ、52はCピラー用加速度センサ、53はエアバッグコントロールユニットである。
ところで、特に後部座席横の後部側面衝突の場合、前部に位置する車両重心を中心にして車両後部の回転が生じるという特徴があるため、Bピラー用加速度センサ51として車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向に感度を持つものを設け、Bピラー用加速度センサ51の検出加速度に基づいて側面衝突時の車両の回転を検出し、エアバッグコントロールユニット53の制御によりサイドエアバッグやカーテンエアバッグ等の保護装置を駆動して、後部座席の乗員を保護することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-43838号公報
しかし、例えば助手席側のBピラーが無いBピラーレス車両の場合には、助手席側に図11に示すようなBピラー用加速度センサ51を設けることができないため、特許文献1に記載の技術をそのままBピラーレス車両に適用することはできない。
また、図11中のBピラー用加速度センサ51は、車両回転を速く検出できるようにするために、アンダーボディにより近い位置に設けることが望ましく、仮にアッパーボディに設けるとして極力アンダーに近い位置に設けるのが望ましいが、助手席側のBピラーレス車両の場合、助手席側のアンダーボディやロッカーパネルにBピラー用加速度センサ51を配置しようにすると、スペース的な制約や意匠的な見栄えの観点から、助手席側のアンダーボディにBピラー用加速度センサ51を配置することが難しいという問題がある。
さらに、助手席側のBピラーレス車両の場合、Bピラーのない助手席側ドアにドア用加速度センサを設けてBピラー用加速度センサ51の代用とすることも考えられるが、ドア側の加速度の発生が遅いことから、後部側突による車両回転を検出するには、ドア加速度センサでは精度よく車両の回転を検出できないという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、少ない数の加速度センサにより、後部側面衝突かどうかを精度よく判定できるようにすることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の衝突判定装置は、車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定して前記車両の後部座席の乗員を保護する乗員保護装置において、前記加速度検出手段は、車両側面の車両前後方向中央部に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第1の加速度センサと、前記第1の加速度センサが設けられた車両側面と反対側の車両側面であって車両前後方向の中央部よりも後方側に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第2の加速度センサとを備え、前記第1の加速度センサ及び前記第2の加速度センサそれぞれによる2軸方向への検出加速度に基づき、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による前記車両の回転が生じたどうかを判定する判定手段を備えることを特徴としている。
このような構成によれば、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突が生じたときに、第1の加速度センサ及び第2の加速度センサそれぞれによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度に基づき、当該後部側面衝突による車両の回転が生じたかどうかが判定手段により判定され、判定手段により、当該後部側面衝突による車両の回転が生じたと判定されるため、少ない数の加速度センサにより当該後部側面衝突の発生を精度よく検知することができる。
また、前記第1の加速度センサは、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度を検出し、前記第2の加速度センサは、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度を検出するとよい。
この場合、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突が生じると、車両前部に位置する車両重心を中心に車両の回転が生じ、第1の加速度センサの配置位置では斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が発生し、第2の加速度センサの配置位置では車両左右方向の加速度が発生する。そのため、第1の加速度センサにより斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が検出され、第2の加速度センサにより車両左右方向の加速度が検出されると、判定手段は車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突に起因した車両の回転が生じたと判定することができ、少ない数の加速度センサにより当該後部側面衝突の発生を検知することができる。
また、前記第1の加速度センサは、悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度、及び、ドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左右方向の加速度の少なくともいずれかを排除するしきい値設定により、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる斜め後方向かつ車両中心を通る中心軸線に向かう方向の加速度を検出するものであり、前記第2の加速度センサは、悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度、及び、ドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左右方向の加速度の少なくともいずれかを排除するしきい値設定により、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度を検出するものであるのが好ましい。
こうすると、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突が生じると、車両前部に位置する車両重心を中心に車両後部の回転が生じ、第1の加速度センサの配置位置では斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が発生し、第2の加速度センサの配置位置では車両左右方向の加速度が発生するが、第1、第2の加速度センサに関して、悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度、第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度、及び、ドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左右方向の加速度の少なくともいずれかを排除するしきい値設定がなされるため、第1、第2の加速度センサにより、悪路走行に起因した加速度等を排除し、かつ、後部座席の乗員を保護すべき衝撃力をもつ当該後部側面衝突により生じる加速度のみを検出することが可能になり、当該後部側面衝突の発生をより精度よく検知することができる。
また、本発明の乗員保護装置は、車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定して前記車両の後部座席の乗員を保護する乗員保護装置において、前記加速度検出手段は、車両側面の車両前後方向中央部に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第1の加速度センサと、前記第1の加速度センサが設けられた車両側面と反対側の車両側面であって車両前後方向の中央部よりも後方側に設けられ車両左右方向の1軸方向における加速度を検出する第2の加速度センサとを備え、前記第1の加速度センサによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度と、前記第2の加速度センサによる車両左右方向の1軸方向への検出加速度、及び、前記第1の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度及び他の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度との少なくともいずれかに基づき、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による前記車両の回転が生じたどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記後部側面衝突による前記車両の回転が生じたと判定されたときに、前記車両の後部座席の乗員を保護する保護手段とを備えていてもよい。
このような構成によれば、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突が生じたときに、第1の加速度センサによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度と、第2の加速度センサによる車両左右方向の1軸方向への検出加速度、及び、第1の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度及び他の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度との少なくともいずれかに基づき、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による車両の回転が生じたかどうかが判定手段により判定され、判定手段により、当該後部側面衝突による車両の回転が生じたと判定されたときに、保護手段により車両の後部座席の乗員が保護されるため、少ない数の加速度センサにより当該後部側面衝突の発生を検知して後部座席の乗員を保護することができる。
本発明によれば、少ない数の加速度センサにより、車両の第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による車両の回転を精度よく検知することができる。
本発明に係る乗員保護装置の第1実施形態における加速度センサの配置を示す平面図である。 図1の制御系統のブロック図である。 第1実施形態の第1の加速度センサの動作を説明する図である。 第1実施形態の第2の加速度センサの動作を説明する図である。 第1実施形態の判定手段のロジック回路図である。 第1実施形態の動作説明面用フローチャートである。 第1実施形態の変形例の動作説明図である。 図7に示す変形例における判定手段の変形例のロジック回路図である。 本発明に係る乗員保護装置の第2実施形態における加速度センサの配置を示す平面図である。 第2実施形態の判定手段のロジック回路図である。 従来例の加速度センサの配置を示す平面図である。
(第1実施形態)
本発明に係る乗員保護装置の第1実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。本実施形態における乗員保護装置は、助手席側のBピラーがないBピラーレス車両に適用され、運転席側の後部側面衝突による後部座席の乗員を保護するものである。なお、本実施形態では、シートに着座した状態で見た前後方向、左右方向をそれぞれ車両前後方向、車両左右方向とする。
本本実施形態における乗員保護装置では、図1に示すように加速度検出手段としての加速度センサが配置されている。すなわち、助手席側のBピラーがないBピラーレス車両1において、車両前後方向の中央部である運転席側のBピラーに第1の加速度センサ2が設けられ、運転席と反対の助手席側の車両後部のCピラーに第2の加速度センサ3が設けられ、これらの加速度センサ2,3による検出加速度に基づき、車室前部に配置されたエアバッグコントロールユニット4により右後部サイドエアバッグ、右カーテンエアバッグの展開制御が行われる。ここで、第1の加速度センサ2及び第2の加速度センサ3は、いずれも車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への感度を有し車両前後方向及び車両左右方向の加速度を検出する。
エアバッグコントロールユニット4はマイクロコンピュータ構成であり、図2に示すように、助手席側のBピラーが無いBピラーレス車両1の運転席側の後部側面衝突(以下、後部側突ともいう)による衝撃から後部座席の乗員を保護するための保護手段である右後部サイドエアバッグ5及び右カーテンエアバッグ6を展開するエアバッグ展開手段41、第1の加速度センサ2及び第2の加速度センサ3それぞれによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度に基づき、車両1の第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の側面に対する後部側面衝突による車両1の回転が生じたどうかを判定する機能を有する判定手段42のほか、第1、第2の加速度センサ2,3の故障時の誤作動を防止するためのセーフィングやその他の車両制御に用いる第3の加速度センサ43を備える。なお、この第3の加速度センサ43も第1、愛2の加速度センサ2,3と同様、車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向の感度を有するものを使用する。
ここで、右後部サイドエアバッグ5は、右後席のシートバックのドア側端部に折り畳んだ状態で埋設され、右カーテンエアバッグ6は、後席側ドア付近の天井部分に折り畳んだ状態で埋設されており、運転席側の車両後部の側面衝突時にエアバッグ展開手段41を構成するインフレータが点火制御され、右後部サイドエアバッグ5が後部座席の乗員の腋下とドアとの間に前方に向かって展開するとともに、右カーテンエアバッグ6が後部座席の乗員の頭部および胸部とドアガラスとの間に展開して、後部座席の乗員を保護するようになっている。
ところで、図1に示すように、車両1の第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の車両側面に対する後部側突が生じた場合、図1中に×印で示す車両前部に位置する車両重心を中心にして、車両1の後部が図1中の矢印方向(平面視で時計回り方向)に回転する。
そして、このような車両後部の回転により、運転席側のBピラーに配置された第1の加速度センサ2に対して、図3中に太い実線に示すように、車両前後方向及び車両左右方向の各成分から成る加速度が生じるとともに、助手席側のCピラーに配置された第2の加速度センサ3に対しては、図4中に太い実線に示すように、車両前後方向の成分がなくほぼ車両左右方向の成分のみから成る加速度が生じるため、第1の加速度センサ2による車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度、及び、第2の加速度センサ3による車両左右方向の検出加速度に基づき、車両1の後部の回転が生じたかどうかを判定することが可能になる。
このとき、車両1が段差や凸凹のある悪路を走行すると、図3、図4中の1点鎖線で示すように、主として車両前後方向の成分から成り車両左右方向にはある幅を持った矩形状の領域に加速度が生じる。また、車両1の前方衝突が生じたときには、図3、図4中の破線で示すように、車両後方向に向かい車両左右方向に広がる二等辺三角形状の領域に加速度が生じる。さらに、第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の車両側面に対する他車両を含む物標との低速(例えば、10km/h以下)での側面衝突、及び、運転席側のドアの閉塞が生じたときには、図3、図4中の2点鎖線で示すように、車両左方向に向かい車両前後方向に悪路走行の場合とは違うある幅を持った矩形状の領域に加速度が生じる。
第1、第2の加速度センサ2,3が検出したときに、これらの悪路走行に起因した加速度等を排除して、判定手段42により、第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の車両側面に対する後部側突に起因して生じる加速度のみに基づいて判定するように、図3中に細い実線で示すように、車両左方向にある値を持つ判定ラインと車両後方向にある値を持つ判定ラインから成るしきい値T1を、第1の加速度センサ2の検出加速度のしきい値として設定し、図4中に細い実線で示すように、車両左方向にある値を持つ判定ラインと、前方衝突により発生する加速度発生領域を表わす二等辺三角形の辺のうち車両左方向側及び車両後方向側の辺に沿った値を持つ判定ラインから成るしきい値T2を、第2の加速度センサ3の検出加速度のしきい値として設定する。
これにより、第1の加速度センサ2による検出加速度がしきい値T1を超える、つまり図3中のしきい値T1よりも左下側にあれば、運転席側の側面に対する後部側面衝突に起因して生じる車両前後方向及び車両左右方向に成分を有する検出加速度であると判断でき、第2の加速度センサ3による検出加速度がしきい値T2を超える、つまり図4中のしきい値T2よりも左側にあれば、これらの検出加速度は、運転席側の車両側面に対する後部側衝に起因して生じる車両前後方向及び車両左右方向に成分を有する検出加速度であると判断することができる。なお、これらのしきい値T1,T2は、車種ごとに予め実験的に求めておくのが望ましく、エアバッグコントロールユニット4のメモリにマップ化して記憶しておくとよい。
このような加速度センサの検出加速度のしきい値設定を行うことにより、判定手段42は、図5に示すような回路構成のロジックで運転席側の後部側突による車両1の後部に回転が生じたかどうかを判定し、エアバッグ5,6の展開制御を行う。
図5に示す判定手段42のロジック回路は、第1の加速度センサ2の車両前後方向及び車両左右方向それぞれの検出加速度に基づき、しきい値T1に基づくしきい値判定を行う判定部42aと、第2の加速度センサ3の車両前後方向及び車両左右方向それぞれの検出加速度に基づき、しきい値T2に基づくしきい値判定を行う判定部42bと、2つの判定部42a,42bそれぞれの出力を予め設定された時間ホールドするホールドタイマ42c,42dと、両ホールドタイマ42c,42dの出力が入力されるANDゲート42eと、ANDゲート42eの出力、及び、後述するもう1つのホールドタイマ42hの出力が入力されエアバッグ展開手段41に展開制御指令を出力するANDゲート42fと、第1、第2の加速度センサ2,3の故障時におけるエアバッグ展開の誤作動を防止するために、第3の加速度センサ43により検出される車両左右方向の検出加速度が、予め実験的に求められて設定されたセーフィングしきい値α(車種に関係なく一定値)を超えるかどうかを比較する比較器42gと、比較器42gの出力を予め設定された時間ホールドするホールドタイマ42hと備える。
ここで、ホールドタイマ42c,42d,42hは、各加速度センサ2,3,43による加速度が、例えば2kHzのECUクロック周期で検出されるため、しきい値判定部42a,42bの判定出力や比較器42gの比較出力を、少なくとも5msの時間ホールドするものであり、しきい値判定部42a,42bの判定出力に時間ずれがあっても、判定出力をホールドすることによって誤判定を防止することができ、例えば後部側突の発生から20ms以内にエアバッグ5,6を確実に展開することが可能になる。
続いて、判定手段42の判定に基づくエアバッグ5,6を展開の制御する手順について、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6に示すように、各加速度センサ2,3,43による加速度検出があると(ステップS1)、判定手段42により、第1の加速度センサ2の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度に基づき、図5のしきい値判定部42aにより、第1の加速度センサ2の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度がしきい値T1(図3参照)を超えたか、または、しきい値T1を超えたというしきい値判定部42aの出力状態をホールドタイマ42cがホールド中か否かの判定がなされ(ステップS2)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、ステップS2の判定結果がYESであれば、次のステップS3に移行する。
ステップS3では、判定手段42により、第2の加速度センサ3の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度に基づき、図5のしきい値判定部42bにより、第2の加速度センサ3の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度がしきい値T2(図4参照)を超えたか、または、しきい値T2を超えたというしきい値判定部42bの出力状態をホールドタイマ42dがホールド中か否かの判定がなされ(ステップS3)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、ステップS3の判定結果がYESであれば、次のステップS4に移行する。
さらに、ステップS4では、比較器42gにより、第3の加速度センサ43の車両左右方向の検出加速度の大きさがセーフィングしきい値αよりも大きいか、または、第3の加速度センサ43の車両左右方向の検出加速度の大きさがセーフィングしきい値αよりも大きいとの比較器42gの出力状態をホールドタイマ42hがホールド中か否かの判定がなされ(ステップS4)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、ステップS4の判定結果がYESであれば、次のステップS5に移行する。
そして、ステップS5において、第1の加速度センサ2の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度がしきい値T1を超え、第2の加速度センサ3の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度がしきい値T2を超え、第3の加速度センサ43の車両左右方向の検出加速度の大きさがセーフィングしきい値αよりも大きいとの結果に基づき、エアバッグを展開して後部座席の乗員を保護すべきとの判定がなされ、エアバッグ展開手段41が作動されて右後部サイドエアバッグ5、右カーテンエアバッグ6が展開され(ステップS5)、その後スタートに戻る。
なお、ステップS5では、右後部サイドエアバッグ5、右カーテンエアバッグ6のいずれか一方または両方を展開するようにしてもよく、車種に応じてどれを展開するか選択するのが望ましい。
また、図5のロジック回路における比較器42g及びホールドタイマ42hを設けなくてもよく、この場合、図6のステップS6の判処理は不要となる。
したがって、上記した第1実施形態によれば、車両1の第1の加速度センサ2が設けられた運転席側の車両側面に対する後部側面衝突が生じたときに、第1の加速度センサ2及び第2の加速度センサ3それぞれによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度に基づき、当該後部側面衝突による車両1の回転が生じたかどうかが判定手段42により判定され、判定手段42により、当該後部側面衝突による車両1の後部の回転が生じたと判定されたときに、保護手段であるエアバッグ5,6が展開されて車両1の後部座席の乗員が保護されるため、運転席側Bピラーの第1の加速度センサ2及び助手席側のCピラーの第2の加速度センサ3の2個の加速度センサにより当該後部側面衝突の発生を検知して後部座席の乗員を保護することができる。
また、運転席側の車両側面に対する後部側面衝突が生じると、車両前部に位置する車両重心を中心に車両1の後部の回転が生じ、第1の加速度センサ2の配置位置では斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が発生し、第2の加速度センサ3の配置位置では車両左右方向の加速度が発生するため、第1の加速度センサ2により斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が検出され、第2の加速度センサ3により車両左右方向の加速度が検出されたときに、判定手段42により、車両1の運転席側での後部側面衝突に起因した車両1の後部の回転が生じたと判定することができ、少ない数の加速度センサにより当該後部側面衝突の発生を確実に検知することができる。
また、車両1の運転席側での後部側面衝突が生じると、車両前部に位置する車両重心を中心に車両の回転が生じ、第1の加速度センサ2の配置位置では斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度が発生し、第2の加速度センサ3の配置位置では車両左右方向の加速度が発生するが、第1、第2の加速度センサ2,3に関して、悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度(図3、図4中の1点鎖線の領域)、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度(図3、図4中の破線の領域)、第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左方向の加速度、及び、運転席側のドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左方向の加速度(図3、図4中の2点鎖線の領域)を排除するしきい値T1,T2(図3、図4参照)の設定がなされるため、第1、第2の加速度センサ2,3により、悪路走行に起因した加速度等を確実に排除し、かつ、後部座席の乗員を保護すべき衝撃力をもつ当該後部側面衝突により生じる加速度のみを検出することが可能になり、当該後部側面衝突の発生をより精度よく検知することができる。
また、第3の加速度センサ43の車両左右方向の検出加速度の大きさが予め設定されたセーフィングしきい値αよりも小さいときには、第1、第2の加速度センサ2,3の故障による誤作動のおそれがあるため、第1、第2の加速度センサ2,3の検出加速度がしきい値T1,T2を超え、かつ、第3の加速度センサ43の車両左右方向の検出加速度の大きさがセーフィングしきい値αよりも大きいときにエアバッグ展開手段41を駆動制御することにより、第1、第2の加速度センサ2,3の故障による誤作動でエアバッグ5,6が展開するのを未然に防止することができる。
(変形例)
上記した第1実施形態の変形例として、図7、図8に示すような構成を適用してもよい。すなわち、第1の加速度センサ2により、車両前後方向の加速度、及び、車両左右方向の加速度が検出されるが、例えば図7(a)に示すように車両後方向を正とする加速度が検出され、その検出加速度の大きさが図3中のしきい値T1の車両後方向の判定ラインに相当する値t11(図3参照)を超えたこと、及び、図7(b)に示すように車両左方向を正とする加速度が検出されて、その検出加速度の大きさが図3中のしきい値T1の車両左方向の判定ラインに相当する値t12(図3参照)を超えたことに基づき、図8の判定部42aにより第1の加速度センサ2の車両前後方向及び車両左右方向の検出加速度が図3のしきい値T1を超えたと判定するようにし、第2の加速度センサ3についても、判定部42bにより同様に判定するようにしてもよい。
このとき、第1の加速度センサ2による車両前後方向の検出加速度の大きさが図3中のしきい値T1の車両後方向の判定ラインに相当する値t11を超えたことをホールドタイマによりホールドし、第1の加速度センサ2による車両左右方向の検出加速度の大きさが図3中のしきい値T1の車両後方向の判定ラインに相当する値t12を超えたことをホールドタイマによりホールドし、ANDゲートにより両ホールドタイマの出力の論理積をとって判定部42aの出力とする一方、同様に、第2の加速度センサ3による車両前後方向の検出加速度及び車両左右方向の検出加速度についても、しきい値T2の判定ラインに相当する値をそれぞれ超えたことをホールドタイマによりホールドし、ANDゲートにより両ホールドタイマの出力の論理積をとって判定部42bの出力とすればよい。
(第2実施形態)
本発明に係る乗員保護装置の第2実施形態について、図9、図10を参照して説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1実施形態と同じであるため、以下の説明では、図2~図4も参照することとし、以下では主に第1実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1実施形態における第2の加速度センサ3に代わり、車両1の助手席側のCピラーに車両左右方向の1軸方向のみの加速度を検出する第2の加速度センサ3aを配置し、この第2の加速度センサ3aによる車両左右方向の検出加速度と、エアバッグコントロールユニット4に設けられた第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度とに基づいて、助手席側のCピラーに配置した加速度センサの検出加速度が図4に示すしきい値T2を超えるかどうかを判定するようにした点である。ここで、第3の加速度センサ43が、本発明の「他の加速度センサ」に相当し、係る「他の加速度センサ」は上記した加速度センサ2,3,43以外に車両に搭載された加速度センサであってもよい。
そして、図10の判定手段42のロジック回路に示すように、第1実施形態の判定手段42のロジック回路における第2の加速度センサ3による車両前後方向の検出加速度に代わり、エアバッグコントロールユニット4に設けられた第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度を利用し、第2の加速度センサ3aによる車両左右方向の1軸方向の検出加速度と、第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度とに基づき、判定部42bにより、助手席側のCピラーに配置した加速度センサの検出加速度が図4に示すしきい値T2を超えるかどうかの判定がなされる。
したがって、第2実施形態によれば、第2の加速度センサ3aが1軸方向の加速度検出するものであればよいため、2軸方向を検出する加速度センサに比べて安価で済む上、上記した第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
また、上記した第2実施形態において、第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度を利用するのに代えて、第1の加速度センサ2による車両前後方向の検出加速度を用い、第2の加速度センサ3a(図9参照)による車両左右方向の検出加速度と、第1の加速度センサ2による車両前後方向の検出加速度に基づいて、助手席側のCピラーに配置した加速度センサの検出加速度が図4に示すしきい値T2を超えるかどうかを判定するようにしてもよい。なお、車両前後方向の検出加速度は、第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度及び第1の加速度センサ2による車両前後方向の検出加速度の少なくともいずれか一方を用いればよい。ここで、第3の加速度センサ43による車両前後方向の検出加速度と第1の加速度センサ2による車両前後方向の検出加速度の両方を用いる場合には、例えば検出加速度の平均値などを用いることもできる。
また、上記した実施形態では、助手席側のBピラーが無い車両に本発明を適用した場合について説明したが、運転席側のBピラーが無く助手席側にはBピラーがあるBピラーレス車両にも、本発明を適用することができる。
また、上記した実施形態では、乗員を保護する保護手段をエアバッグとしたが、例えば衝突時にシートベルトのたるみを除いて乗員を拘束するプリテンショナーであってもよい。また、上記実施形態では、車両の回転が生じたかどうかの判定結果を乗員保護装置の作動に用いたが、乗員保護装置以外にも、例えば車両を安定させる車両安定制御に用いてもよい。この場合、例えば後部側面衝突による車両の回転が生じたと判定された場合に、4輪の車輪速をブレーキ制御して車両の挙動を安定させる制御を行うようにするとよい。
また、上記した実施形態では、エアバッグコントロールユニット4に設けられた第3の加速度センサ43をエアバッグ誤作動防止のためのセーフィングに使用したが、セーフィング用加速度センサはこれに限定されるものではない。なお、セーフィング用の加速度センサは特に設けなくてもよい。
また、車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定して前記車両の後部座席の乗員を保護する乗員保護装置に、本発明を適用することができる。
1 …Bピラーレス車両
2 …第1の加速度センサア
3 …第2の加速度センサ
5 …右後部サイドエアバッグ(保護手段)
6 …右カーテンエアバッグ(保護手段)
42 …判定手段
43 …第3の加速度センサ(他の加速度センサ)

Claims (4)

  1. 車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定する衝突判定装置において、
    前記加速度検出手段は、
    車両側面の車両前後方向中央部に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第1の加速度センサと、
    前記第1の加速度センサが設けられた車両側面と反対側の車両側面であって車両前後方向の中央部よりも後方側に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第2の加速度センサとを備え、
    前記第1の加速度センサ及び前記第2の加速度センサそれぞれによる2軸方向への検出加速度に基づき、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による前記車両の回転が生じたどうかを判定する判定手段
    を備えることを特徴とする衝突判定装置。
  2. 前記第1の加速度センサは、
    前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる斜め後方向かつ車両中心を通る車両前後の軸線に向かう方向の加速度を検出し、
    前記第2の加速度センサは、
    前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度を検出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の衝突判定装置。
  3. 前記第1の加速度センサは、
    悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度、及び、ドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左右方向の加速度の少なくともいずれかを排除するしきい値設定により、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる斜め後方向かつ車両中心を通る中心軸線に向かう方向の加速度を検出するものであり、
    前記第2の加速度センサは、
    悪路走行に起因して生じる車両前後方向の加速度、前方衝突に起因して生じる車両後方向及び車両左右方向の加速度、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する他車両を含む物標との低速での側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度、及び、ドア閉塞時の衝撃に起因して生じる車両左右方向の加速度の少なくともいずれかを排除するしきい値設定により、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する前記後部側面衝突に起因して生じる車両左右方向の加速度を検出するものである
    ことを特徴とする請求項2に記載の衝突判定装置。
  4. 車両に設けられた加速度検出手段により検出される加速度に基づき、後部側面衝突かどうかを判定して前記車両の後部座席の乗員を保護する乗員保護装置において、
    前記加速度検出手段は、
    車両側面の車両前後方向中央部に設けられ車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向における加速度を検出する第1の加速度センサと、
    前記第1の加速度センサが設けられた車両側面と反対側の車両側面であって車両前後方向の中央部よりも後方側に設けられ車両左右方向の1軸方向における加速度を検出する第2の加速度センサと
    を備え、
    前記第1の加速度センサによる車両前後方向及び車両左右方向の2軸方向への検出加速度と、前記第2の加速度センサによる車両左右方向の1軸方向への検出加速度、及び、前記第1の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度及び他の加速度センサによる車両前後方向の検出加速度との少なくともいずれかに基づき、前記車両の前記第1の加速度センサが設けられた車両側面に対する後部側面衝突による前記車両の回転が生じたどうかを判定する判定手段と、
    前記判定手段により、前記後部側面衝突による前記車両の回転が生じたと判定されたときに、前記車両の後部座席の乗員を保護する保護手段と
    を備えることを特徴とする衝突判定装置。
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