JP2024040919A - 電極構造体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】未塗工領域の幅寸法が大きくなっても、活物質含有層の圧延及び帯状体の湾曲の矯正を行った後において、未塗工領域が折畳まれることを適切に抑制する電極構造体の製造方法を提供すること。【解決手段】実施形態の電極構造体の製造方法では、集電体の一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体において、活物質含有層を圧延するとともに、活物質含有層を圧延する圧延部と帯状体を引張る引張り部との間において、長手方向への張力を帯状体に印加する。製造方法では、圧延部と引張り部との間において、張力が印加された帯状体に対して、帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材を集電体の未塗工領域に接触させ、一対の保持部材の間で未塗工領域を保持する。【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、電極構造体の製造方法及び製造装置に関する。
二次電池等の電池において、正極及び負極等の電極は、電極構造体から形成される。電極構造体は、集電体、及び、集電体の表面に塗工される活物質含有層を備え、集電体は、長手方向に沿う一対の長縁を備える。電極構造体の集電体では、一対の長縁の一方及びその近傍に、一対の主面のいずれでも活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成される。このような電極構造体の製造では、一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が集電体に形成される状態で、集電体の表面に活物質含有層を塗工する。そして、集電体に塗工された活物質含有層を乾燥した後、集電体に活物質含有層が塗工された帯状体を搬送している状態において、ロールプレス等によって活物質含有層を圧延する。
電極構造体の製造では、前述のように活物質含有層が圧延されることにより、集電体において一対の主面の少なくとも一方に活物質含有層が塗工される塗工領域では、圧延による圧力が印加されるため、集電体が長手方向に引延ばされる。一方、集電体の未塗工領域では、圧延による圧力が印加されないため、集電体が長手方向に引延ばされない。このため、活物質含有層の圧延によって、搬送される帯状体(集電体)は、未塗工領域が位置する側が湾曲の内側となる状態に、湾曲する。
電極構造体の製造では、活物質含有層の圧延によって発生した帯状体の湾曲の矯正が、行われる。帯状体の湾曲の矯正では、活物質含有層を圧延する圧延部より下流側において帯状体を下流側へ引張ることにより、帯状体を引張る引張り部と圧延部との間において、長手方向への張力を帯状体に印加する。そして、例えば、圧延部と引張り部との間で帯状体をガイドするガイドローラの外周面に突起を設け、張力が印加された帯状体において集電体の未塗工領域を突起によって押圧することにより、未塗工領域を長手方向に引延ばし、湾曲を矯正する。
電極構造体から形成される電極が用いられる電池によっては、帯状体において、幅方向についての未塗工領域の幅寸法を、大きく形成する必要がある。未塗工領域の幅寸法が大きい電極構造体の製造では、活物質含有層の圧延によって発生した帯状体の湾曲の矯正において、未塗工領域での長手方向への引延ばし量が不均一になることがある。例えば、帯状体の湾曲の矯正において、未塗工領域では、活物質含有層に近い側の部位に比べて、活物質含有層から離れた部位で長手方向への引延ばし量が小さくなることがある。湾曲の矯正における未塗工領域での長手方向への引延ばし量が不均一になることにより、未塗工領域は、折畳まれ易くなる。未塗工領域の幅寸法が大きい電極構造体の製造では、活物質含有層の圧延及び帯状体の湾曲の矯正が行われた後において、未塗工領域が折畳まれることを適切に抑制することが、求められている。
特開2012-174434号公報
本発明が解決しようとする課題は、未塗工領域の幅寸法が大きくなっても、活物質含有層の圧延及び帯状体の湾曲の矯正を行った後において、未塗工領域が折畳まれることを適切に抑制する電極構造体の製造方法及び製造装置を提供することにある。
実施形態の電極構造体の製造方法によれば、集電体の表面に活物質含有層が塗工され、かつ、前記集電体において長手方向に沿う一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体を、搬送する。製造方法では、搬送されている帯状体において、活物質含有層を圧延し、活物質含有層を圧延する圧延部より下流側において、帯状体を下流側へ引張ることにより、帯状体を引張る引張り部と圧延部との間において、長手方向への張力を帯状体に印加する。製造方法では、圧延部と引張り部との間において、張力が印加された帯状体に対して、帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材を集電体の未塗工領域に接触させることにより、一対の保持部材の間で未塗工領域を保持する。
図1は、実施形態において形成される電極構造体の一例を、厚さ方向の一方側から視た状態で示す概略図である。 図2は、図1の電極構造体を、長手方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。 図3は、実施形態において電極構造体を製造する製造装置の一例を示す概略図である。 図4は、実施形態に係る製造装置において、引延ばし部の構成の一例を、搬送部での搬送方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。 図5は、実施形態に係る製造装置において、保持部の構成の一例を、搬送部での搬送方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。 図6は、図5の保持部を、搬送部での搬送方向及び搬送部の幅方向の両方に対して交差する方向からみた状態で示す概略図である。 図7は、図5の保持部を、搬送部の幅方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。 図8は、ある変形例に係る製造装置において、保持部の構成を、搬送部での搬送方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
以下、実施形態等について、図面を参照して説明する。
実施形態では、電極構造体の製造方法及び製造装置が提供される。実施形態において製造される電極構造体は、二次電池等の電池において、正極又は負極の形成に用いられる。図1及び図2は、実施形態等で形成される電極構造体1の一例を示す。図1及び図2等に示すように、電極構造体1では、長手方向(矢印L1で示す方向)、長手方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印W1で示す方向)、及び、長手方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)厚さ方向(矢印T1で示す方向)が、規定される。図1は、厚さ方向の一方側から視た状態で示し、図2は、長手方向に対して直交又は略直交する断面を示す。電極構造体1では、長手方向についての寸法が、幅方向についての寸法及び厚さ方向についての寸法のそれぞれに比べて大きく、幅方向についての寸法が、厚さ方向についての寸法に比べて大きい。
ある一例では、電極構造体1が、リチウムイオン二次電池等の電池の正極又は負極となる。別のある一例では、電極構造体1が、長手方向に複数の電極シートに分割される。そして、複数の電極シートのそれぞれが、電池の正極又は負極として用いられる。電極構造体1は、集電体2、及び、集電体2の表面に塗工される活物質含有層3を備える。集電体2は、導電性を有する金属から形成され、一対の主面5,6、及び、一対の長縁7,8を備える。主面5,6及び長縁7,8のそれぞれは、長手方向に沿って延設され、長手方向ついて電極構造体1の一端から他端まで延設される。また、主面5,6のそれぞれは、電極構造体1の幅方向に、長縁7から長縁8まで延設される。主面5は、電極構造体1の厚さ方向の一方側を向き、主面6は、電極構造体1の厚さ方向について主面5とは反対側を向く。
長縁(第1の長縁)7は、電極構造体1の幅方向について、集電体2の一方側の縁を形成する。長縁(第2の長縁)8は、電極構造体1の幅方向について、集電体2の長縁7とは反対側の縁を形成する。また、活物質含有層3は、長手方向ついて電極構造体1の一端から他端まで延設される。そして、活物質含有層3は、電極構造体1の幅方向について、集電体2の長縁8から塗工端10まで延設される。電極構造体1の幅方向について活物質含有層3の塗工端10とは反対側の端は、厚さ方向から視て、集電体2の長縁8と重なる。塗工端10は、幅方向について電極構造体1の中央位置に対して、長縁7が位置する側に位置する。このため、電極構造体1の幅方向についての長縁8と塗工端10との間の寸法は、電極構造体1の幅方向についての長縁7と塗工端10との間の寸法に比べて、大きい。
図1及び図2等の一例では、電極構造体1の幅方向についての長縁8と塗工端10との間に、集電体2の一対の主面5,6の両方に活物質含有層3が塗工及び担持される塗工領域11が、形成される。そして、電極構造体1の幅方向についての長縁7と塗工端10との間に、集電体2の一対の主面5,6のいずれでも活物質含有層3が塗工及び担持されない未塗工領域12が、形成される。したがって、集電体2では、長縁7及びその近傍に、一対の主面5,6のいずれでも活物質含有層3が塗工されない未塗工領域12が、形成される。電極構造体1では、未塗工領域12は、活物質含有層3の塗工端10から、幅方向について長縁8が位置する側とは反対側へ突出する。なお、ある一例では、塗工領域11において、集電体2の一対の主面5,6の一方にのみ活物質含有層3が担持されてもよい。したがって、塗工領域11では、集電体2の一対の主面5,6の少なくとも一方に活物質含有層3が塗工及び担持されていればよい。
電極構造体1が正極の形成に用いられる場合、集電体2は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス及びチタン等のいずれかから形成され、厚さが10μm~30μm程度である。活物質含有層3は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極活物質は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、リチウム鉄複合リン酸化合物及びリチウムマンガン複合リン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
導電剤としては、例えば、炭素質物の1種類以上が用いられる。導電剤となる炭素質物としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛及びコークス等が、挙げられる。また、結着剤としては、例えば、ポリマー樹脂が用いられる。結着剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-ブタジエンゴム、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)からなる群より選択される少なくとも1つを含む。また、正極活物質含有層には、無機固体電解質が含まれてもよい。
無機固体粒子は、活物質含有層のリチウムイオン伝導性を高めるために配合される。無機固体粒子は、Ti、Ge、Sr、Zr、Sn、Al、Sc、Y、Ba、P及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の元素を含む金属酸化物、ランタノイド系酸化物、及び、Li、Ge、P、Si、Sn、Al、Ga、B、及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の元素を含む硫化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。ランタノイド系酸化物は、La、Ce、Pr、Ndなどのランタノイド元素を含む酸化物である。なお、前述の金属酸化物は、La等のランタノイド元素を更に含んでもよい。
無機固体粒子としては、例えば、酸化物系固体電解質、又は、硫化物系固体電解質を挙げることができる。酸化物系固体電解質としては、NASICON(Sodium (Na) Super Ionic Conductor)型構造を有し、一般式LiM(POで表されるリチウムリン酸固体電解質を用いることが好ましい。前述の一般式中のMは、例えば、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、及びカルシウム(Ca)からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の元素である。一般式LiM(POで表されるリチウムリン酸固体電解質のイオン伝導度は、例えば、1×10-5S/cm以上1×10-3S/cm以下である。
NASICON型構造を有するリチウムリン酸固体電解質の具体例としては、LATP(Li1+x+yAl(Ti及びGeの少なくとも一方)2-xSi3-y12;0<x≦2、0≦y<3)、Li1+xAlGe2-x(PO;0≦x≦2、及び、Li1+xAlZr2-x(PO;0≦x≦2、Li1+2xZr1-xCa(PO;0≦x<1を挙げることができる。Li1+2xZr1-xCa(POは、耐水性が高く、還元性及びコストが低いことから、無機固体電解質粒子として用いることが好ましい。
また、酸化物系固体電解質としては、上記リチウムリン酸固体電解質の他にも、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、ガーネット型構造のLa5+xLa3-x12(AはCa,Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種、MはNb及びTaの少なくとも一方)、Li2-x12(MはTa及びNbの少なくとも一方、LはZr)、Li7-3xAlLaZr12、及び、LLZ(LiLaZr12)が挙げられる。固体電解質は、1種類であってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。LIPONのイオン伝導度は、例えば、1×10-6S/cm以上5×10-6S/cm以下である。LLZのイオン伝導度は、例えば、1×10-4S/cm以上5×10-4S/cm以下である。
電極構造体1が負極の形成に用いられる場合、集電体2は、これらに限定されるものではないが、例えば、亜鉛、アルミニウム、アルミニウム合金及び銅等のいずれかから形成され、厚さが10μm~30μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素質物等が挙げられる。負極活物質となる金属酸化物としては、チタン含有酸化物が挙げられる。そして、負極活物質となるチタン含有酸化物には、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブチタン酸化物及びナトリウムニオブチタン酸化物が、含まれる。導電剤及び結着剤としては、正極の形成に用いられる場合と、同様の材料が挙げられる。また、正極の形成に用いられる場合と同様に、負極活物質含有層には、無機固体電解質が含まれてもよい。無機固体電解質としては、正極の形成に用いられる場合と同様の材料が、挙げられる。
電極構造体1の製造では、正極活物質又は負極活物質となる活物質、導電剤及び結着剤を有機溶媒又は純水に懸濁することにより、スラリーを調製する。この際、活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、活物質が70質量%以上95質量%以下、導電剤が2質量%以上20質量%以下、及び、結着剤が2質量%以上10質量%以下であることが、好ましい。そして、調整したスラリーを集電体2の表面に塗工し、集電体2の表面に活物質含有層3が塗工された帯状体を形成する。スラリーの塗工は、例えば、塗工ヘッドを用いて行われる。
電極構造体1の製造では、前述のようにして形成した帯状体に対して後述する工程を行うことにより、電極構造体1が形成される。帯状体では、電極構造体1と同様に、長手方向、幅方向及び厚さ方向が規定され、塗工領域11及び未塗工領域12が形成される。したがって、帯状体では、集電体2において長縁7及びその近傍に、活物質含有層3が一対の主面5,6のいずれにも塗工されない未塗工領域12が形成される。また、帯状体では、幅方向について集電体2の長縁8から活物質含有層3の塗工端10まで、集電体2の一対の主面5,6の少なくとも一方に活物質含有層3が塗工される塗工領域11が形成される。電極構造体1の製造では、活物質含有層3を集電体2に塗工すると、集電体2の表面に塗工された活物質含有層3(スラリー)を乾燥する。
また、電極構造体1から形成される電極が用いられる電池によっては、帯状体において、幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bを、大きく形成する必要がある。ある一例では、帯状体(集電体2)の幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bが25mmより大きくなる状態に、集電体2に活物質含有層3を塗工する。この場合、製造された電極構造体1では、幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bは、25mmより大きい。ただし、帯状体の幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bが25mmより大きくなる場合でも、幅方向についての塗工領域11の寸法は、幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bに比べて、大きい。
図3は、電極構造体1を製造する製造装置15の一例を示す。図3では、電極構造体1の製造において、集電体2に塗工された活物質含有層3を乾燥した後の工程が示される。図3の一例の製造装置15は、搬送部16を備える。搬送部16では、集電体2に活物質含有層3が塗工され、かつ、塗工された活物質含有層3を乾燥した帯状体1Aが、搬送される。搬送部16では、搬送方向(矢印F1で示す方向)、及び、搬送方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向が、規定される。図3では、紙面に対して直交又は略直交する方向が、搬送部16の幅方向となる。また、搬送部16では、帯状体1Aが搬送される側が下流側となり、帯状体1Aが搬送される側とは反対側が上流側となる。搬送部16では、帯状体1Aの長手方向が搬送方向に沿い、かつ、帯状体1Aの幅方向が搬送部16の幅方向に沿う状態で、帯状体1Aが搬送される。したがって、搬送部16において搬送されている帯状体1Aでは、帯状体1Aの厚さ方向は、搬送部16の搬送方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)。
図3の一例の製造装置15は、圧延部21、引張り部22、引延ばし部23、保持部24及び巻取り部25を備える。製造装置15では、活物質含有層3の乾燥が行われた帯状体1Aが、圧延部21に搬入される。そして、帯状体1Aは、圧延部21から、引延ばし部23、保持部24及び引張り部22をこの順に通って、巻取り部25へ搬送される。搬送される帯状体1Aに対して、圧延部21、引延ばし部23、保持部24及び引張り部22による後述の工程が行われることにより、電極構造体1が形成される。巻取り部25は、搬送された帯状体1A、すなわち、形成された電極構造体1を巻取る。図3の一例では、巻取り部25は、巻取りリール26を備え、巻取りリール26に、電極構造体1(帯状体1A)がロール状に巻取られる。また、図3の一例では、搬送部16の圧延部21と保持部24との間において、3つガイドローラ(ローラ)27A,27B,27Cによって、帯状体1Aが上流側から下流側へガイドされる。また、引張り部22と巻取り部25との間では、ガイドローラ28によって、帯状体1Aが上流側から下流側へガイドされる。ガイドローラ27A~27C,28のそれぞれは、例えば、鉄及びステンレス等の金属から形成される。
圧延部21は、ロールプレス等によって、搬送されている帯状体1Aにおいて活物質含有層3を圧延する。圧延部21は、一対のプレスローラ31,32を備え、プレスローラ31,32のそれぞれは、例えば、鉄及びステンレス等の金属から形成される。そして、プレスローラ31は、帯状体1Aの厚さ方向の一方側から活物質含有層3を押圧し、プレスローラ32は、帯状体1Aの厚さ方向についてプレスローラ31とは反対側から活物質含有層3を押圧する。これにより、活物質含有層3は、帯状体1Aの厚さ方向についてプレスローラ31,32の間で挟まれ、帯状体1Aの厚さ方向への圧力(プレス圧)が活物質含有層3に印加される。この際、集電体2の両面に活物質含有層3が塗工される場合は、プレスローラ31,32のそれぞれが活物質含有層3に当接する状態で、活物質含有層3が押圧される。また、集電体2の片面のみに活物質含有層3が塗工される場合は、プレスローラ31,32の一方が活物質含有層3に当接し、かつ、プレスローラ31,32の他方が集電体2の塗工領域11に当接する状態で、活物質含有層3が押圧される。プレスローラ31,32からの圧力によって、活物質含有層3は、帯状体1Aの厚さ方向に圧縮されるともに、帯状体1Aの長手方向に引延ばされる。
また、活物質含有層3を圧延させる圧力は、集電体2において一対の主面5,6の少なくとも一方で活物質含有層3が塗工される塗工領域11にも、印加される。このため、塗工領域11では、活物質含有層3を圧延させる圧力によって、集電体2が長手方向に引延ばされる。一方、プレスローラ31,32は、集電体2の未塗工領域12には、活物質含有層3の圧延による圧力を印加しない。このため、活物質含有層3の圧延において、集電体2の未塗工領域12は、長手方向に引延ばされない。前述のように、塗工領域11でのみ集電体2が長手方向に引延ばされるため、活物質含有層3の圧延によって、搬送される帯状体1A(集電体2)は、未塗工領域12が位置する側が湾曲の内側となる状態に、湾曲する。
本実施形態では、引張り部22及び引延ばし部23によって、活物質含有層3の圧延によって発生した帯状体1A(集電体2)の湾曲を矯正する。引張り部22は、圧延部21に対して搬送部16の下流側に配置され、帯状体1Aを下流側に引張る。すなわち、引張り部22によって、帯状体1Aは、巻取り部25が位置する側へ引張られる。引張り部22は、一対の引張りローラ35,36を備える。引張りローラ35,36のそれぞれは、例えば、ゴム等から形成され、引張りローラ35,36では、ガイドローラ27A~27C,28及びプレスローラ31,32に比べて、摩擦係数が大きい。
引張り部22では、引張りローラ35は、厚さ方向の一方側から帯状体1Aに当接し、引張りローラ36は、厚さ方向について引張りローラ35とは反対側から帯状体1Aに当接する。これにより、引張り部22では、引張りローラ35,36の間で帯状体1Aが挟まれた状態で、帯状体1Aが搬送部16の下流側へ引張られる。引張り部22によって帯状体1Aが下流側へ引張られることにより、引張り部22と圧延部21との間では、長手方向への張力が帯状体1A(集電体2)に印加される。したがって、引張り部22と圧延部21との間では、長手方向への張力が印加された帯状体1Aが、ガイドローラ27A~27Cを通って搬送される。
搬送部16では、圧延部21と引張り部22との間に、引延ばし部23及び保持部24が設けられ、圧延部21と保持部24との間に、引延ばし部23が配置される。図3の一例では、ガイドローラ27Cによって、引延ばし部23が形成される。なお、以下の説明では、引延ばし部23がガイドローラ27Cによって形成されるものとするが、引延ばし部23は、ガイドローラ27A,27Bのいずれかによって形成されてもよい。引延ばし部23は、圧延部21と引張り部22との間において、ガイドローラ等の帯状体1Aの搬送に用いられるローラによって形成されればよい。いずれの場合も、引延ばし部23の構成、及び、引延ばし部23による処理等は、引延ばし部23がガイドローラ27Cによって形成される場合と、同様である。
図4は、引延ばし部23の構成の一例を示す。図4は、搬送部16での搬送方向に直交又は略直する断面で示され、搬送部16を搬送されている帯状体1Aは、長手方向に対して直交又は略直交する断面で示される。図4等の一例では、引延ばし部23は、ガイドローラ(ローラ)27Cを備え、ガイドローラ27Cは、回転軸(中心軸)Rを備える。ガイドローラ27Cは、回転軸Rを中心として回転可能である。ガイドローラ27Cでは、回転軸Rに沿う軸方向、及び、回転軸Rの軸回り方向である周方向が規定される。搬送部16では、帯状体1Aの幅方向にガイドローラ27Cの回転軸Rが沿う状態で、帯状体1Aが搬送される。したがって、ガイドローラ27Bの軸方向は、搬送部16の幅方向と一致又は略一致する。
引延ばし部23は、ガイドローラ27Cの外周部に形成される突起37を備える。ガイドローラ27Cの外周部では、突起37は、外周側へ突出する。また、突起37は、ガイドローラ27Cの周方向(回転軸Rの軸回り方向)について、全周に渡って形成される。ガイドローラ27Cでは、軸方向について一方側の端部に、突起37が形成される。なお、図4では、ガイドローラ27Cは、軸方向(回転軸R)に平行又は略平行な断面で示される。
ガイドローラ27Cを通して帯状体1Aを搬送している状態では、突起37は、帯状体1Aの幅方向について、活物質含有層3の塗工端10に対して、長縁7が位置する側に配置される。すなわち、突起37は、ガイドローラ27Bの軸方向について、活物質含有層3の塗工端10に対して、未塗工領域12が突出する側に配置される。突起37は、引張り部22によって長手方向への張力が印加された帯状体1Aに対して、厚さ方向の一方側から集電体2の未塗工領域12に当接し、厚さ方向の一方側から未塗工領域12を押圧する。張力が印加された状態で突起37から押圧されることにより、未塗工領域12では、突起37からの圧力によって、集電体2が長手方向に引延ばされる。
引延ばし部23を通して帯状体1Aが搬送されている状態では、前述のように、突起37は、帯状体1Aの幅方向について、活物質含有層3の塗工端10に対して、未塗工領域12が突出する側に位置する。このため、突起37は、活物質含有層3及び集電体2の塗工領域11には当接せず、集電体2の塗工領域11を押圧しない。したがって、引延ばし部23では、集電体2の塗工領域11は、長手方向に引延ばされない。
前述のようにして、本実施形態では、帯状体1A(集電体2)に長手方向への張力が作用している状態において、突起37によって未塗工領域12のみを押圧することにより、未塗工領域12のみにおいて集電体2を長手方向へ引延ばす。未塗工領域12のみにおいて集電体2が長手方向へ引延ばされることにより、活物質含有層3の圧延によって発生した前述の湾曲が、矯正される。なお、塗工領域11において一対の主面5,6の一方のみに活物質含有層3が塗工される場合は、帯状体1Aの厚さ方向について活物質含有層3が塗工される主面(5,6の対応する一方)が向く側から、突起37は未塗工領域12を押圧する。
図5乃至図7は、保持部24の構成の一例を示す。図5は、搬送部16での搬送方向に直交又は略直する断面で示され、搬送部16を搬送されている帯状体1Aは、長手方向に対して直交又は略直交する断面で示される。図6では、搬送部16での搬送方向及び搬送部16の幅方向の両方に対して交差する方向から視た状態が示され、帯状体1Aは、厚さ方向の一方側から視た状態で示される。図7は、搬送部16の幅方向に直交又は略直交する断面で示され、帯状体1Aは、幅方向に直交又は略直交し、かつ、未塗工領域12を通る断面で示される。
図5乃至図7に示すように、保持部24は、一対の保持部材41,42を備える。保持部材41,42は、搬送部16での搬送方向及び搬送部16の幅方向に、互いに対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。また、保持部24を通って帯状体1Aが搬送されている状態では、一対の保持部材41,42は、集電体2の未塗工領域12を間に挟んで、互いに対して対向する。また、保持部24では、保持部材(第1の保持部材)41は、帯状体1Aの厚さ方向の一方側から、未塗工領域12に接触する。そして、保持部材(第2の保持部材)42は、帯状体1Aの厚さ方向について保持部材41とは反対側から、未塗工領域12に接触する。すなわち、一対の保持部材41,42は、張力が印加された帯状体1Aに対して、帯状体1Aの厚さ方向について互いに対して反対側から集電体2の未塗工領域12に接触する。これにより、保持部24では、一対の保持部材41,42の間で、未塗工領域12が保持される。
保持部材41,42のそれぞれは、例えば、ポリエチレンから形成される。保持部材41,42のそれぞれを形成する材料は、鉄及びステンレス等のプレスローラ31,32及びガイドローラ27A~27C,28を形成する材料に比べて、柔らかい。保持部材41,42のそれぞれを形成する材料は、引張りローラ35,36を形成する材料との比較では、柔らかくてもよく、硬くてもよい。また、保持部材41,42のそれぞれを形成する材料の柔らかさが、引張りローラ35,36を形成する材料の柔らかさと、同程度であってもよい。
保持部材41,42のそれぞれの摩擦係数は、引張りローラ35,36の摩擦係数に比べて、小さい。保持部材41,42のそれぞれの摩擦係数は、プレスローラ31,32及びガイドローラ27A~27C,28の摩擦係数との比較では、大きくてもよく、小さくてもよい。また、保持部材41,42のそれぞれの摩擦係数は、プレスローラ31,32及びガイドローラ27A~27C,28の摩擦係数と同一又は略同一であってもよい。ある一例では、保持部材41,42のそれぞれの動摩擦係数は、1以下となる。
保持部材41,42のそれぞれは、未塗工領域12に面接触する。図5乃至図7の一例では、保持部材41,42のそれぞれは、帯状体1Aの幅方向について全幅又は略全幅に渡って、未塗工領域12に接触する。すなわち、保持部材41,42のそれぞれは、帯状体1Aの幅方向について、集電体2の長縁7から活物質含有層3の塗工端10までの範囲の全体に渡って、集電体2の未塗工領域12に接触する。また、帯状体1Aが保持部24を通って搬送されている状態では、保持部材41,42は、帯状体1Aの幅方向(搬送部16の幅方向)について、帯状体1Aの中央位置に対して、長縁7が位置する側に配置される。なお、図5乃至図7の一例では、保持部材41,42のそれぞれは、活物質含有層3(塗工領域11)へは、帯状体1Aの厚さ方向から接触しない。
また、一対の保持部材41,42が未塗工領域12に接触する範囲を、接触範囲として規定する。帯状体1Aの長手方向についての接触範囲の寸法Xは、帯状体1Aの幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bの2倍以上であることが、好ましい。保持部材41,42のそれぞれは、回転不可能な状態で未塗工領域12に接触してもよく、搬送部16の幅方向に沿う回転軸を中心として回転可能な状態で未塗工領域12に接触してもよい。ただし、保持部材41,42のそれぞれは、回転不可能であることが好ましい。
幅寸法bが25mmより大きい帯状体1A等の、集電体2の幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bが大きい帯状体1Aでは、活物質含有層3の圧延によって発生した帯状体1Aの湾曲の矯正を、引張り部22及び引延ばし部23によって前述のようにして行った場合に、未塗工領域12での長手方向への引延ばし量が不均一になることがある。例えば、帯状体1Aの湾曲の矯正において、未塗工領域12では、活物質含有層3(塗工端10)に近い側の部位に比べて、活物質含有層3から離れた部位で、長手方向への引延ばし量が小さくなることがある。湾曲の矯正における未塗工領域12での長手方向への引延ばし量が不均一になることにより、未塗工領域12は、折畳まれ易くなる。
本実施形態では、圧延部21と引張り部22との間において、一対の保持部材41,42が、帯状体1Aの厚さ方向について互いに対して反対側から集電体2の未塗工領域12に接触することにより、一対の保持部材41,42の間で未塗工領域12が保持される。このため、未塗工領域12の幅寸法bが大きい電極構造体の製造において、活物質含有層3の圧延及び帯状体1Aの湾曲の矯正によって未塗工領域12が折畳まれ易い状態になっても、一対の保持部材41,42の間で未塗工領域12を保持することにより、未塗工領域12で集電体2が折畳まれることが、適切に抑制される。
また、帯状体1Aの長手方向についての保持部材41,42の接触範囲の寸法Xを、帯状体1Aの幅方向についての未塗工領域12の幅寸法bの2倍以上にすることにより、保持部材41,42のそれぞれの未塗工領域12への接触面積が、大きくなる。このため、未塗工領域12で集電体2が折畳まれることが、さらに適切に抑制される。また、保持部材41,42のそれぞれが回転不可能な状態で未塗工領域12に接触する構成、及び、長縁7と活物質含有層3の塗工端10との間の全幅に渡って保持部材41,42が未塗工領域に接触する構成の少なくとも一方にすることにより、未塗工領域12で集電体2が折畳まれることが、さらに適切に抑制される。
未塗工領域12での集電体2の折畳みが抑制されることにより、保持部24より下流側で帯状体1Aを搬送している状態において、集電体2の損傷等が、有効に防止される。例えば、引張り部22の引張りローラ35,36のいずれかに集電体2が巻込まれること等が、有効に防止される。
また、本実施形態では、保持部材41,42を形成する材料は、プレスローラ31,32及びガイドローラ27A~27C,28を形成する材料に比べて、柔らかい。このため、保持部材41,42の間で未塗工領域12を保持しても、保持部材41,42の接触に起因する未塗工領域12の損傷等が、有効に防止される。また、保持部材41,42の摩擦係数は、引張りローラ35,36の摩擦係数に比べて、小さい。このため、保持部材41,42のそれぞれが未塗工領域12に接触しても、保持部材41,42のそれぞれと未塗工領域12との間の摩擦が、適切に低減される。
図8に示すある変形例では、保持部24において、保持部材41,42のそれぞれは、集電体2の未塗工領域12に接触するとともに、活物質含有層3に接触する。本変形例では、活物質含有層3において、塗工端10及びその近傍にのみ、保持部材41,42のそれぞれが接触する。図8の一例では、保持部材41,42のそれぞれは、図5乃至図7の一例と同様に、保持部材41,42のそれぞれは、未塗工領域12に面接触し、帯状体1Aの幅方向について全幅又は略全幅に渡って、未塗工領域12に接触する。また、保持部材41,42を形成する材料は柔らかいため、保持部材41,42のそれぞれにおいて活物質含有層3に接触する部分は、帯状体1Aの厚さ方向に圧縮される。なお、図8は、搬送部16での搬送方向に直交又は略直する断面で示され、搬送部16を搬送されている帯状体1Aは、長手方向に対して直交又は略直交する断面で示される。
また、ある一例では、塗工領域11において、一対の主面5,6の一方にのみ、活物質含有層3が塗工される。そして、保持部24では、保持部材41,42の一方は、集電体2の未塗工領域12に接触するとともに、活物質含有層3に接触する。活物質含有層3では、塗工端10及びその近傍にのみ、保持部材41,42の一方が接触する。また、保持部材41,42の他方は、集電体2の未塗工領域12に接触するとともに、活物質含有層3が塗工されていない側の主面(15,16の対応する一方)で塗工領域11に接触する。塗工領域11では、未塗工領域12に近い側の部位にのみ、保持部材41,42の他方が接触する。
前述したいずれの変形例でも、帯状体1Aの厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材41,42が、集電体2の未塗工領域12に接触し、一対の保持部材41,42の間で未塗工領域12を保持する。このため、いずれの変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。すなわち、未塗工領域12の幅寸法bが大きくなっても、活物質含有層3の圧延及び帯状体1Aの湾曲の矯正を行った後において、未塗工領域12が折畳まれることが、適切に抑制される。
(実施形態等に関連する検証)
また、前述の実施形態に関連する検証を行った。以下、行った検証について、説明する。検証では、集電体の表面に活物質含有層を塗工し、帯状体を形成した。集電体としては、アルミニウム箔を用いた。また、集電体の表面への塗工では、活物質、導電剤及び結着剤を純水に懸濁することにより、スラリーを調製した。活物質としてはTiNbで表される組成を有するニオブチタン酸化物を準備した。導電剤としてはアセチレンブラック(AB)を、結着剤としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレン-ブタジエンゴム(SBR)を準備した。そして、TiNbを95質量%、ABを2質量%、CMCを1.5質量%、SBRを1.5質量%の混合比で、溶媒としての純水に投入して混合した。そして、得られた混合物を分散させ、スラリーを得た。そして、調整したスラリーを、集電体の表面に塗工した。この際、集電体において一対の長縁の一方及びその近傍には、スラリーを塗工しなかった。これにより、帯状体では、一対の主面の両方に活物質含有層が塗工された塗工領域、及び、一対の主面のいずれにも活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された。未塗工領域は、集電体において一対の長縁の一方及びその近傍に形成された。また、帯状体の幅方向についての未塗工領域の幅寸法bは30mmに形成した。
検証では、前述のようにして帯状体を形成した後、集電体の表面に塗工された活物質含有層(スラリー)を乾燥した。そして、図3の一例と同様の搬送部において、実施形態等で前述したように帯状体を搬送した。そして、図3の一例と同様の圧延部によって、搬送されている帯状体において、活物質含有層をロールプレスによって圧延した。圧延部のプレスローラは、ダイス鋼から形成した。また、圧延部より下流側において、図3の一例と同様の引張り部によって、帯状体を下流側へ引張った。これにより、引張り部と圧延部との間において、長手方向への張力を帯状体に印加した。引張り部の引張りローラは、ゴムから形成した。
また、検証では、図3の一例のガイドローラ27Cに相当するローラの外周面に、突起37と同様の突起を設けた。突起及び外周面に突起が形成されるローラは、ステンレスから形成した。そして、実施形態等で前述したように、張力が印加された帯状体に対して、集電体の未塗工領域を突起によって押圧し、未塗工領域を長手方向に引延ばした。検証では、突起によって未塗工領域を引延ばしたローラより下流側において、未塗工領域における折畳みの発生状態を観察した。未塗工領域における折畳みの発生状態を観察は、以下に説明する実施例1、実施例2及び比較例1の条件のそれぞれで、行った。なお、実施例1、実施例2及び比較例1では、圧延部において活物質含有層を押圧する圧力(プレス圧)、引張り部において帯状体を下流側へ引張り力、未塗工領域を引延ばす突起等は、互いに対して同一にした。
実施例1では、突起によって未塗工領域を引延ばしたローラと引張り部との間に、実施形態等で前述した保持部24と同様の保持部を設けた。保持部では、一対の保持部材は、ポリエチレンから形成した。また、一対の保持部材が未塗工領域に接触する接触範囲を規定した場合、帯状体の長手方向についての接触範囲の寸法Xは、未塗工領域の幅寸法bの1倍(30mm)にした。保持部では、保持部材のそれぞれを回転不可能な状態で、未塗工領域に接触させた。また、長縁と活物質含有層の塗工端との間の未塗工領域の全幅に渡って、保持部材のそれぞれを未塗工領域に接触させた。
実施例2でも、突起によって未塗工領域を引延ばしたローラと引張り部との間に、保持部を設けた。ただし、実施例2では、帯状体の長手方向についての保持部材の接触範囲の寸法Xを、未塗工領域の幅寸法bの2倍(60mm)にした。実施例2では、接触範囲の寸法Xを前述のように変更したことを除き、実施例1と同様の条件とした。また、比較例1では、保持部を設けなかった。すなわち、一対の保持部材を設けなかった。
比較例1では、未塗工領域を引き延ばしたローラから下流側に1mの位置で、未塗工領域に折畳みが発生した。また、実施例1では、未塗工領域を引き延ばしたローラから下流側に200mの位置で、未塗工領域に折畳みが発生した。そして、実施例2では、未塗工領域を引き延ばしたローラから下流側に400mの位置でも、未塗工領域に折畳みが発生しなかった。
以上の検証から、一対の保持部材の間で未塗工領域を保持することにより、活物質含有層の圧延及び帯状体の湾曲の矯正を行った後において、未塗工領域での折畳みの発生が適切に抑制されることが、実証された。また、帯状体の長手方向についての保持部材の接触範囲の寸法Xを幅寸法bの2倍以上にすることにより、未塗工領域での折畳みの発生がさらに適切に抑制されることが、実証された。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、活物質含有層を圧延する圧延部と帯状体を引張る引張り部との間において、長手方向への張力を帯状体に印加する。そして、圧延部と引張り部との間において、帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材を集電体の未塗工領域に接触させ、一対の保持部材の間で未塗工領域を保持する。これにより、未塗工領域の幅寸法が大きくなっても、活物質含有層の圧延及び帯状体の湾曲の矯正を行った後において、未塗工領域が折畳まれることを適切に抑制する電極構造体の製造方法及び製造装置を提供することができる。
以下に、付記を記載する。
[1]集電体の表面に活物質含有層が塗工され、かつ、前記集電体において長手方向に沿う一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体を搬送することと、
前記搬送されている前記帯状体において、前記活物質含有層を圧延することと、
前記活物質含有層を圧延する圧延部より下流側において、前記帯状体を前記下流側へ引張ることにより、前記帯状体を引張る引張り部と前記圧延部との間において、前記長手方向への張力を前記帯状体に印加することと、
前記圧延部と前記引張り部との間において、前記張力が印加された前記帯状体に対して、前記帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材を前記集電体の前記未塗工領域に接触させることにより、前記一対の保持部材の間で前記未塗工領域を保持することと、
を具備する、電極構造体の製造方法。
[2]前記一対の保持部材が前記集電体の前記未塗工領域に接触する接触範囲を規定した場合に、前記帯状体の前記長手方向についての前記接触範囲の寸法は、前記帯状体の幅方向についての前記未塗工領域の幅寸法の2倍以上となる、[1]の製造方法。
[3]前記一対の保持部材のそれぞれは、回転不可能な状態で、前記集電体の前記未塗工領域に接触する、[1]又は[2]の製造方法。
[4]前記一対の保持部材のそれぞれは、前記帯状体の幅方向について、前記一対の長縁の前記一方と前記活物質含有層の塗工端との間の全幅に渡って、前記未塗工領域に接触する、[1]乃至[3]のいずれか1項の製造方法。
[5]前記圧延部では、一対のプレスローラの間で前記活物質含有層を挟むことにより、前記帯状体の前記厚さ方向の両側から前記活物質含有層を押圧し、
前記保持部材を形成する材料は、前記プレスローラを形成する材料に比べて、柔らかい、
[1]乃至[4]のいずれか1項の製造方法。
[6]前記引張り部では、一対の引張りローラの間で前記帯状体を挟んだ状態で、前記帯状体を前記下流側へ引張り、
前記保持部材の摩擦係数は、前記引張りローラの摩擦係数に比べて、小さい、
[1]乃至[5]のいずれか1項の製造方法。
[7]前記圧延部と前記一対の保持部材との間のローラにおいて外周側へ突出する突起によって、前記張力が印加された前記帯状体に対して前記集電体の前記未塗工領域を押圧することにより、前記未塗工領域を前記長手方向に引延ばすことをさらに具備する、[1]乃至[6]のいずれか1項の製造方法。
[8]前記集電体の前記表面への前記活物質含有層の塗工では、前記帯状体の幅方向についての前記未塗工領域の幅寸法が25mmより大きくなる状態に、前記集電体に前記活物質含有層を塗工する、[1]乃至[7]のいずれか1項の製造方法。
[9]集電体の表面に活物質含有層が塗工され、かつ、前記集電体において長手方向に沿う一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体を搬送する搬送部と、
前記搬送部を搬送されている前記帯状体において、前記活物質含有層を圧延する圧延部、
前記圧延部より下流側において、前記帯状体を前記下流側へ引張ることにより、前記圧延部との間において、前記長手方向への張力を前記帯状体に印加する引張り部と、
一対の保持部材を備え、前記圧延部と前記引張り部との間に設けられる保持部であって、前記帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材が前記集電体の前記未塗工領域に接触することにより、前記一対の保持部材の間で前記未塗工領域を保持する保持部と、
を具備する、電極構造体の製造装置。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極構造体、1A…帯状体、2…集電体、3…活物質含有層、5,6…主面、7…長縁(第1の長縁)、8…長縁(第2の長縁)、10…塗工端、11…塗工領域、12…未塗工領域、15…製造装置、16…搬送部、21…圧延部、22…引張り部、23…引延ばし部、24…保持部、25…巻取り部、41…保持部材(第1の保持部材)、42…保持部材(第2の保持部材)、b…幅寸法、X…寸法。

Claims (9)

  1. 集電体の表面に活物質含有層が塗工され、かつ、前記集電体において長手方向に沿う一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体を搬送することと、
    前記搬送されている前記帯状体において、前記活物質含有層を圧延することと、
    前記活物質含有層を圧延する圧延部より下流側において、前記帯状体を前記下流側へ引張ることにより、前記帯状体を引張る引張り部と前記圧延部との間において、前記長手方向への張力を前記帯状体に印加することと、
    前記圧延部と前記引張り部との間において、前記張力が印加された前記帯状体に対して、前記帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材を前記集電体の前記未塗工領域に接触させることにより、前記一対の保持部材の間で前記未塗工領域を保持することと、
    を具備する、電極構造体の製造方法。
  2. 前記一対の保持部材が前記集電体の前記未塗工領域に接触する接触範囲を規定した場合に、前記帯状体の前記長手方向についての前記接触範囲の寸法は、前記帯状体の幅方向についての前記未塗工領域の幅寸法の2倍以上となる、請求項1の製造方法。
  3. 前記一対の保持部材のそれぞれは、回転不可能な状態で、前記集電体の前記未塗工領域に接触する、請求項1の製造方法。
  4. 前記一対の保持部材のそれぞれは、前記帯状体の幅方向について、前記一対の長縁の前記一方と前記活物質含有層の塗工端との間の全幅に渡って、前記未塗工領域に接触する、請求項1の製造方法。
  5. 前記圧延部では、一対のプレスローラの間で前記活物質含有層を挟むことにより、前記帯状体の前記厚さ方向の両側から前記活物質含有層を押圧し、
    前記保持部材を形成する材料は、前記プレスローラを形成する材料に比べて、柔らかい、
    請求項1の製造方法。
  6. 前記引張り部では、一対の引張りローラの間で前記帯状体を挟んだ状態で、前記帯状体を前記下流側へ引張り、
    前記保持部材の摩擦係数は、前記引張りローラの摩擦係数に比べて、小さい、
    請求項1の製造方法。
  7. 前記圧延部と前記一対の保持部材との間のローラにおいて外周側へ突出する突起によって、前記張力が印加された前記帯状体に対して前記集電体の前記未塗工領域を押圧することにより、前記未塗工領域を前記長手方向に引延ばすことをさらに具備する、請求項1乃至6のいずれか1項の製造方法。
  8. 前記集電体の前記表面への前記活物質含有層の塗工では、前記帯状体の幅方向についての前記未塗工領域の幅寸法が25mmより大きくなる状態に、前記集電体に前記活物質含有層を塗工する、請求項1乃至6のいずれか1項の製造方法。
  9. 集電体の表面に活物質含有層が塗工され、かつ、前記集電体において長手方向に沿う一対の長縁の一方及びその近傍に活物質含有層が塗工されない未塗工領域が形成された帯状体を搬送する搬送部と、
    前記搬送部を搬送されている前記帯状体において、前記活物質含有層を圧延する圧延部、
    前記圧延部より下流側において、前記帯状体を前記下流側へ引張ることにより、前記圧延部との間において、前記長手方向への張力を前記帯状体に印加する引張り部と、
    一対の保持部材を備え、前記圧延部と前記引張り部との間に設けられる保持部であって、前記帯状体の厚さ方向について互いに対して反対側から一対の保持部材が前記集電体の前記未塗工領域に接触することにより、前記一対の保持部材の間で前記未塗工領域を保持する保持部と、
    を具備する、電極構造体の製造装置。
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