JP2024038878A - 手元供養用の焼き物 - Google Patents

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高行 今井
Takayuki Imai
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Abstract

【課題】故人等を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人等を偲ぶことができることは勿論のこと、可搬性に優れ、かつ、破損しにくく軽量な手元供養用の焼き物を提供する。【解決手段】外観が球形状をなし、内部に空間11を有するとともに表面10aに釉薬12が塗布されている手元供養用の焼き物10であって、釉薬12には、人又は動物の遺骨灰が含まれている。また、手元供養用の焼き物10の外径D1は、30mm~100mmの範囲に設定されていることが好ましく、表面10aと、空間11に面する内面10bとの間の厚みtは、3mm~10mmであることが好ましい。さらに、表面10a、と空間11に面する内面10bとの間を貫通する貫通孔13が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、手元供養用の焼き物に関する。
身近な人や愛玩動物が亡くなった場合、亡くなった人や愛玩動物(以下、故人等という。)の遺骨は、墓の中に納骨して保管されるのが一般的であるが、近年、遺骨を粉砕して微紛化した遺骨灰を故人の思い入れがある海や山などに散骨することも行われている。しかし、墓に納骨したり、散骨したりすると、故人等を身近に感じることができないという側面もある。
そこで、最近では、遺骨の一部を原料として用いた物品を製造して、それを身近な場所に置いたり携帯したりして、故人等を身近に感じられるようにすることも行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、人又は動物の遺骨灰に、長石等土石類、及び/又は、木灰等媒溶原料類を加えたものを釉薬原料とし、その釉薬原料を器胎に塗布して1000℃以上で焼成した焼き物が記載されている。特許文献1に記載されている焼き物によれば、遺骨灰を釉薬原料の1つとした焼き物を製造することができる。このような焼き物をテーブルや仏壇などに供えたり、携帯したりすることによって、故人等を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人等を偲ぶことができる。このため、このような焼き物は手元供養用の焼き物ともいえる。
特開2009-67661号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている焼き物は、一般的な焼き物と同様、重いといった問題があるとともに、破損し易いといった問題もある。一方で、このような焼き物を、手元供養用の焼き物として持ち歩きたいとの要望もある。このような要望に応えるには、手元供養用の焼き物は、可搬性に優れ、かつ、破損し難く軽量であることが重要である。しかしながら、特許文献1に記載されている焼き物には、このような点についての考慮がなされていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、故人等を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人等を偲ぶことができることは勿論のこと、可搬性に優れ、かつ、破損しにくく軽量な手元供養用の焼き物を提供することを目的とする。
[1]本発明の手元供養用の焼き物は、外観が球形状をなし、内部に空間を有するとともに表面に釉薬が塗布されている手元供養用の焼き物であって、前記釉薬には、人又は動物の遺骨灰が含まれていることを特徴とする。
[2]本発明の手元供養用の焼き物においては、前記手元供養用の焼き物は、外径が30mm~100mmの範囲に設定されていることが好ましい。
[3]本発明の手元供養用の焼き物においては、前記表面と、前記空間に面する内面との間の厚みが、3mm~10mmであることが好ましい。
[4]本発明の手元供養用の焼き物においては、前記表面と、前記空間に面する内面との間を貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。
[5]本発明の手元供養用の焼き物においては、前記手元供養用の焼き物は、磁器からなることが好ましい。
本発明の手元供養用の焼き物は、外観が球形をなし、内部に空間を有するとともに表面に釉薬が塗布されている手元供養用の焼き物であって、釉薬には、人又は動物の遺骨灰が含まれている。このように、本発明の手元供養用の焼き物は、人又は動物の遺骨灰を微粉化した微粒子を含む釉薬が表面に塗布されたものとなっているため、本発明の手元供養用の焼き物を、遺族が当該焼き物を持ち歩いたり、テーブルや仏壇などに供えたりすることによって、故人等を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人等を偲ぶことができる。
また、本発明の手元供養用の焼き物は、内部に空間を有しているため(中空であるため)、軽量なものとすることができる。また、本発明の手元供養用の焼き物は、球形状であるため、可搬性に優れたものとなるとともに、衝撃に対する耐性にも優れたものとなる。
このように本発明の本発明の手元供養用の焼き物によれば、故人等を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人等を偲ぶことができることは勿論のこと、可搬性に優れ、かつ、破損しにくく軽量な手元供養用の焼き物を提供することができる。
実施形態に係る手元供養用の焼き物10を説明するために示す図である。 実施形態に係る手元供養用の焼き物10を製造する工程の一例について説明するために示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る手元供養用の焼き物10を説明するために示す図である。図1(a)は実施形態に係る手元供養用の焼き物10の外観図であり、図1(b)は図1(a)のa-a線矢視断面図である。実施形態に係る手元供養用の焼き物10は、図1に示すように、外観が球形状をなし、内部に空間11を有するとともに表面10aに釉薬12が塗布されている。なお、実施形態に係る手元供養用の焼き物10は磁器からなるものとする。
手元供養用の焼き物10の外径D1は、30mm~100mmの範囲に設定されていることが好ましく、40mm~80mmがより好ましいが、バッグなどに入れて持ち歩くことを考慮して、実施形態に係る手元供養用の焼き物10においては、外径D1は60mmとして説明する。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10の表面10aと、空間11に面する内面10bとの間の厚み(肉厚)tは、手元供養用の焼き物10の外径D1にもよるが、3mm~10mmであることが好ましい。なお、実施形態に係る手元供養用の焼き物10においては、厚みtは、5mmとする。ここで、焼き物10の表面10aと、空間11に面する内面10bとの間の厚みtというのは、表面10aの任意の一点から手元供養用の焼き物10の中心O(空間11の中心O)に向かう方向(径方向)に沿った、焼き物10の表面10aと空間11に面する内面10bとの間の長さ(肉厚)を意味している。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10には、表面10aと、空間11との間を貫通する貫通孔13が形成されている。なお、実施形態に係る手元供養用の焼き物10においては、貫通孔13は1個としているが、複数個形成されていてもよい。この貫通孔13は、内部に空間11を有する球形状の手元供養用の焼き物10を製造する際に必要となるものである。
以下に、実施形態に係る手元供養用の焼き物10を製造する工程について説明する。ここでは、外径D1が60mmm、表面10aから空間11までの間の厚みtが5mmの球形状の手元供養用の焼き物10を製造するものとする。
図2は、実施形態に係る手元供養用の焼き物10を製造する工程の一例について説明するために示す図である。
まず、成形しやすく数百度の温度(℃)で燃え尽きる材料(紙とする。)を丸めて、所望とする外径を有する球形状の芯材(球形芯材21という。)を作る(図2(a)参照。)。この場合、上述したように、手元供養用の焼き物10は、直径が60mm、表面10aと、空間11に面する内面10bとの間の厚みtが5mmであるとしているため、球形芯材21の直径D2は50mmとする。
このように作られた球形芯材21の表面10a全体に、磁器原料となる粘土等(後述する。)を被覆させて外観が球形状の磁器素地体22を形成する(図2(b)参照。)。ここで、磁器原料としては、例えば、長石、珪石、粘土を用いることができる。これら各原料のおおよその比率は、一例として、長石30%、珪石40%、粘土30%であるが、これに限定されるものではない。
続いて、磁器素地体22の表面22aから球形芯材21にまで達する貫通孔13を形成する(図2(c)参照。)。実施形態に係る手元供養用の焼き物10においては、図1に示すように、当該焼き物10が有する貫通孔13は1つとしているため、磁器素地体22に形成する貫通孔13は1つとする。なお、磁器素地体22の表面22aは、図1に示す手元供養用の焼き物10の表面10aに対応するものである。
その後、球形芯材21の表面全体に磁器素地体22が形成された状態のもの(図2(c)参照。)を800℃程度の温度で素焼きする。800℃程度での素焼きを行うことによって、紙でなる球形芯材21は燃焼して燃え尽きる。このとき、貫通孔13から二酸化炭素などの気体や水蒸気等が排出される。なお、燃焼による残留物(燃えカス)が存在する場合には、当該残留物は貫通孔13から排出させることができる。
これにより、磁器素地体22は素焼きの状態となる。この素焼きの状態となった磁器素地体22は、内部に空間11を有するとともに、貫通孔13を有するものとなる(図2(d)参照。)。なお、必要に応じて、素焼きの状態となった磁器素地体22の表面22aに下絵付けを行うこともできる。
続いて、素焼きの状態となった磁器素地体22の表面22aに釉薬12を塗布する(図2(e)参照。)。塗布する釉薬12には、人又は動物の遺骨灰が含まれている。遺骨灰としては、例えば、家族など身近な人、犬や猫などの愛玩動物などの遺骨灰を例示できる。なお、遺骨灰は、火葬した後にいわゆる「お骨上げ」した骨を粉砕して微粉化したものである。このような遺骨灰を釉薬原料の1つとして用いる。
釉薬12は、アルカリ性の溶媒原料としての灰(例えば、草木の灰や石灰)、釉薬と磁器素地体22(素焼きの状態となった磁器素地体22)とを接着させる役割をなすアルミナ(酸化アルミニウム)、高温で溶けてガラス質を形成するシリカ(二酸化珪素)などを成分としている。なお、アルミナは長石に含まれており、また、シリカも長石に含まれている。
なお、遺骨灰には、釉薬12としてもともと用いられている原料と同等の働きをする成分も含まれているため、釉薬のもともとの原料のうち、遺骨灰の成分に対応する原料を減らしたり、省略したりすることも可能である。
そして、素焼きの状態となった磁器素地体22に釉薬12を塗布した後に、素焼きの温度よりも高い温度(1000℃~1300℃程度)で本焼きを行う。これにより、表面がガラス質となった球形状の手元供養用の焼き物10(図2(f)参照。)が製造される。図2(f)に示す手元供養用の焼き物10は、図1(b)に示す手元供養用の焼き物10と同じものである。すなわち、図2(f)に示す手元供養用の焼き物10は、外観が球形状をなし、内部に空間11を有するとともに表面に釉薬が塗布され、表面10aと内面10bとの間に貫通孔13が形成されたものとなる。
本焼きされた手元供養用の焼き物10に、必要に応じて上絵付けを行ってもよく、この場合、上絵付けがなされた焼き物10を800℃程度で焼く。下絵付け及び上絵付けを行う際の文様は、当該手元供養用の焼き物10の製造を依頼した依頼主の希望に応じた文字や模様などを描くことができ、また、色も依頼者の所望とする色で表現可能である。
実施形態に係る手元供養用の焼き物10によれば、人又は動物の遺骨灰を含む釉薬が塗布されたものとなっているため、実施形態に係る手元供養用の焼き物10を、遺族が肌身離さず持ち歩いたり、テーブルや仏壇などに供えたりすることにより、故人を身近に感じることができるとともに、常日頃から故人を偲ぶことができる。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10は、当該焼き物10の外径を60mmとしているため、バッグなどに容易に入る大きさであり、外出時に持ち運ぶ際にも負担になりにくい。また、部屋の中の例えばテーブルや仏壇に供える場合には、目につきやすいサイズである。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10は、磁器でなるため、白さが強調されたものとなり、その白さを生かして鮮やかな色彩の絵付けができることから、見栄えのするものとなる。また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10は、磁器でなるものであるが、内部に空間11を有することにより中空となっているため、磁器としては軽量なものとすることができる。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10は、外観が球形状であるため、可搬性に優れたものとなるとともに、衝撃に対する耐性にも優れたものとなる。なお、表面10aと、空間11に面する内面10bとの間の厚み(肉厚)tを3mm~10mm(実施形態に係る手元供養用の焼き物10においては5mm)としているが、これは、衝撃に対する耐性と軽量化とを考慮して設定した値である。
また、実施形態に係る手元供養用の焼き物10には、貫通孔13が形成されているため、素焼き及び本焼きした際に、内部の空間11に蓄積された熱や水蒸気が貫通孔13から外部に逃げやすくなる。このため、例えば、本焼きの段階において、高温となった磁器素地体22にひびが入ったり、磁器素地体22が割れたりしてしまうことを未然に防ぐことができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)前述の実施形態においては、手元供養用の焼き物10は、外観が球状形である場合を例示したが、ここでの球状形というのは、厳密な意味での「球」であることに限られるものではなく、多少の「ゆがみ」のある球形状や多少の形状変化を有する形状(例えば、楕円回転体形状や卵形状など)も含まれるものである。
(2)前述の実施形態においては、成形しやすく数百度の温度(℃)で燃え尽きる材料としては紙を例示したが、紙に限られるものではなく、成形しやすく数百度の温度で燃え尽きる材料であれば、特に限定されるものではない。但し、燃焼したときに、環境及び人体に悪影響の及ぼす可能性のあるガス等が発生しない材料であることが望ましい。
(3)前述の実施形態においては、球形状の磁器素地体22を形成するに当たっては、図2に示すような工程を採用したが、これに限られるものではない。例えば、外観形状(例えば、球形状)と同じ形状を有する分割式の型(図示せず。)を準備し、この分割式の型の中に磁気原料となる粘土等と、空気とを噴出させることによっても、磁器素地体22を形成することができる。噴出条件を適正化することにより、型の内面に粘土が付着し、粘土の内側に空間21が形成される。その後、分割式の型を分解して磁器素地体22を取り出すことにより、球形状の磁器素地体22を得ることができる。
10・・・手元供養用の焼き物、10a・・・表面、10b・・・空間11に面する内面、11・・・空間、12・・・釉薬、13・・・貫通孔、21・・・球形芯材、22・・・磁器素地体、22a・・・磁器素地体22の表面、D1・・・手元供養用の焼き物10の外径、D2・・・球状芯材21の外径、t・・・表面10aと空間11に面する内面10bとの間の厚み

Claims (5)

  1. 外観が球形状をなし、内部に空間を有するとともに表面に釉薬が塗布されている手元供養用の焼き物であって、
    前記釉薬には、人又は動物の遺骨灰が含まれていることを特徴とする手元供養用の焼き物。
  2. 請求項1に記載の手元供養用の焼き物において、
    前記手元供養用の焼き物は、外径が30mm~100mmの範囲に設定されていることを特徴とする手元供養用の焼き物。
  3. 請求項1に記載の手元供養用の焼き物において、
    前記表面と、前記空間に面する内面との間の厚みが、3mm~10mmであることを特徴とする手元供養用の焼き物。
  4. 請求項1に記載の手元供養用の焼き物において、
    前記表面と、前記空間に面する内面との間を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする手元供養用の焼き物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の手元供養用の焼き物において、
    前記手元供養用の焼き物は、磁器からなることを特徴とする手元供養用の焼き物。
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