JP2024037322A - 電池リサイクルシステム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態は、電池リサイクルシステムに関する。
カーボンニュートラル社会において、使用時に二酸化炭素ガスを排出しない電池はエネルギー源として重要な役割を果たすと考えられる。特に充放電が可能な二次電池は、今後益々普及が見込まれる太陽光や風力などの再生可能エネルギーを貯蔵するのにも使われ、生産台数や利用機会の増大が見込まれる。二次電池の中でもリチウムイオン電池は、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)、電動アシスト自転車などのモビリティ用途、スマートフォンやノートPCなどの小型電源として広く用いられており、さらには定置用蓄電システムにも用いられている。
リチウムイオン電池は各社から様々な種類が販売されているが、正極にコバルト(Co)やニッケル(Ni)、マンガン(Mn)といったレアメタルを含むタイプの電池が現在は主流となっている。リチウムイオン電池の使用範囲が拡大し電池生産量が増大すると、これらレアメタルの使用量も増加することが予想される。レアメタルの種類によっては資源が偏在している、製錬コストが高い、そもそも資源量が少ないといった問題があり、リチウムイオン電池の普及を妨げる可能性がある。
この問題を解決するために、世界各地の研究機関でリチウムイオン電池からレアメタルを回収する技術開発が行われており、一部は既に実証試験が行われている。
このようにリチウムイオン電池のリサイクル技術開発は活発に行われているが、リサイクル対象を市中から効率よく収集、分別することが難しくコストもかかるため、思うようにリサイクルが進んでいないことが問題となっている。これは、現在出回っているリチウムイオン電池の大部分がスマートフォンやノートPC向けの小型品であり、これら小さな電池が日本各地に分散しているため収集が困難なためである。また、大部分は個人の所有物であるため、所在、種類、個数の把握も困難である。
これに加え、リチウムイオン電池に用いられているレアメタルやその他有価物はメーカー、製品ごとに異なるため、どのような処理をしてリサイクルすればよいかの判断が難しいといった問題もある。
リチウムイオン電池における活物質リサイクルシステムとしては、例えば、1次製品としてのリチウムイオン電池の電池容量を計測し、計測結果が規定値を満たしていれば1次製品として再び使用し(これは通常の電池充電である)、満たしてない場合は電池を解体し、活物質の取り出し、処理を経て2次製品としてのリチウムイオン電池を製造することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、電池の使用可否については電池容量だけでなく、充放電曲線の形状や、過去の充放電曲線との差などに関しても考慮されるべきである。特に、移動体であるEVやHEVに搭載された電池に関しては通常の電池よりも高い安全性が求められている。
上記のように、従属からリチウムイオン電池等の電池リサイクルシステムの開発は進められているが、より効率良くかつ安全に電池をリサイクルすることのできるシステムの開発が望まれている。
本発明は、係る従来の事情に対処してなされたものであり、より効率良くかつ安全に電池をリサイクルすることのできる電池リサイクルシステムを提供することを目的とする。
実施形態に係る電池リサイクルシステムは、移動体に搭載された電池のリサイクルシステムであって、個々の電池を識別するために各電池に設けられた識別手段と、前記識別手段と関連付けられた各電池についての個別電池情報を記録する情報管理部と、を有し、移動体で使用した要充電電池を、充電した電池と交換するステップと、前記要充電電池の前記識別手段を読み取り、前記情報管理部に記録された前記個別電池情報を取得するステップと、取得した前記個別電池情報を使用して、コンピューターシステム上で、当該要充電電池の再利用可否を判定し、再利用不可と判定された場合に他用途への転用可否を判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、他用途への転用不可と判定された場合、前記要充電電池を前記個別電池情報に基づいてリサイクル工場へ輸送するステップと、を具備したことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、より効率良くかつ安全に電池をリサイクルすることのできる電池リサイクルシステムを提供することができる。
以下、実施形態に係る電池リサイクルシステムの詳細を、図面を参照して説明する。
本実施形態では、リチウムイオン電池のうち、一台当たりに含まれるレアメタル量が小型電池の数十倍~数百倍以上であるEVやHEV向け電池に着目したリサイクルシステムについて説明する。本実施形態では、EVやHEVが移動体であるということと、定期的に充電を行う必要があるという性質を利用した効率的な電池リサイクルシステムを提供することができる。
図1は、実施形態に係る電池リサイクルシステム100の全体の構成を模式的に示す図であり、図2は、実施形態に係る電池リサイクルシステム100の手順を示すフロー図である。
図1に示すように、電池リサイクルシステム100において、移動体(本実施形態ではEV)101には、リチウム電池等の充放電可能な電池102が搭載されており、この電池102には、個々の電池102を識別するための識別手段103が設置されている。
図1において、110は電池ステーションであり、120は個々の電池102に関する個別電池情報121を管理するための情報管理部である。電池102には、製造から出荷までの間に個々の電池102を識別するための識別手段103が設置され、この識別手段103に関連づけされた個別電池情報121は、情報管理部120に記録される。
上記識別手段103としては、例えば、電池102に取付け又は印刷された電池個体番号やバーコード、タグ、二次元コード等を用いることができる。また、個々の電池102にICチップ等の情報格納手段を設け、これに識別手段103としての機能と、情報管理部120としての機能を持たせるようにしても良い。なお、この場合、ICチップ等からなる識別手段103は、外部(例えば、後述する充電・診断機構111)から情報の読み取りと書き込みが可能な構成とする。
個別電池情報121としては、電池に含まれるレアメタル等の物質の種類、量に関する情報や、適したリサイクル方法等のリサイクル情報が含まれる。また、個別電池情報121としては、例えば、電池容量、充放電曲線、内部抵抗、及びこれらの経時的な変化に関する情報、充電回数等の性能情報が含まれる。
EV101は、積載されている電池102を使用して走行する。そして、電池102の残量が少なくなった際に、EVユーザが電池102を交換するために電池ステーション110にEV101を運転してやってくる(図2のステップ201)。電池ステーション110は、電池102を交換できればEVスタンドでもよいし、整備工場のような運営形態でもよい。
電池ステーション110では、ユーザまたは常駐するスタッフが、EV101に搭載されている充電の必要な電池(要充電電池)102を降ろし、充電された充電済みの電池102をEV101に搭載して交換を行う(図2のステップ202)。交換が終わればユーザは充電済みの電池102を載せたEV101で電池ステーション110を立ち去る。
電池ステーション110には、充電・診断機構111が設けられている。充電・診断機構111は、電池102の診断を行うためのコンピューターシステムを具備している。そして、EV101から取り外された電池102は、電池ステーション110の充電・診断機構111にて充電しつつ診断を行う(図2のステップ203)。この診断によりEV用の交換電池として利用できるか、できないかの判定がなされる。
このときの診断には、情報管理部120に格納された個別電池情報121中の性能情報が使用される。この診断では、電池容量だけでなく、充放電曲線の形状、過去の充放電曲線との差分等から総合的に判断がなされる。情報管理部120に格納された個別電池情報121は、電池ステーション110にて充電・診断機構111が識別手段103を読み取り、この識別情報に関連付けされた情報管理部120内の個別電池情報121を読み取ることによって取得する(図2のステップ204)。
このような管理を行うことで、個々の電池102そのものと個々の電池102に関する情報が紐づけられ、過去の情報との比較が可能となる。再利用可否の判定、つまりEV用電池の仕様を満たすか否かの判定の結果、再度EV用電池として利用できる場合は(図2のステップ205のYES)、電池ステーション110にストックされ、交換用の電池102として利用される(図2のステップ206)。この場合、個別電池情報121の中に書き換えが必要な情報が含まれている場合、例えば、充電回数に関する情報等が含まれている場合は、充電回数を1回加えるように情報を書き換える。また、履歴情報として今回計測された電池容量に関する情報、充放電曲線に関する情報等を書き込んで履歴情報として加えるようにしても良い。
一方、上記の判定の結果、EV用電池の仕様を満たさないと判定された場合は(図2のステップ205のNO)、次に、充電・診断機構111では、電池102が他用途への転用のための仕様を満たすか否かについて判定する(図2のステップ207)。
電池102の性能は次第に劣化するが、劣化の程度によってEV用の電池102としては利用できないが、その他の用途(例えば定置用蓄電)には使用できる場合がある。このため、上記診断の結果、電池102が他用途への転用のための仕様を満たすと判定された場合は(図2のステップ207のYES)、前述のようにして情報管理部120から取得された個別電池情報121に基づいて、電池102が適所に搬送され他用途で使用(転用)される(図2のステップ208)。
充電・診断機構111における診断の結果、電池102がその他の用途でも使用できないと判定された場合は(図2のステップ207のNO)、情報管理部120から取得した電池102の個別電池情報121のうちリサイクル情報に基づいてこの電池102のリサイクルに適したリサイクル手法でリサイクルを行うリサイクル工場に電池102を輸送する(図2のステップ209)。
そして、このリサイクル工場にて、電池102のリサイクルが行われる(図2のステップ210)。既に述べたように、リチウムイオン電池に含まれるレアメタル、有価物は製品ごとに異なり、それぞれに適したリサイクル手法がある。これら違いを考慮せずにリサイクル工場へ輸送すると、適切な手法でリサイクルがなされずレアメタルや有価物を損失することに繋がる。
一方、本実施形態では、電池102の使用可否を判断するのに使った識別手段103に関連付けされた情報管理部120内の個別電池情報121のうちのリサイクル情報(電池に含まれるレアメタル等の物質の種類、量に関する情報や、適したリサイクル方法等)をコンピューターシステム上で読み込み、判断することで適切なリサイクル手法を持った工場へ、適切な量を輸送する。これにより、電池交換だけなくリサイクルフローも併せて管理することができる。
以上の実施形態では、電池ステーション110にてEV用の電池102を交換する場合について記載したが、電池102を交換せずに電池ステーション110で充電を行う場合についても同様にして適用することができる。このような場合の手順を図3のフロー図に示す。
図3に示す場合、電池102の残量が少なくなった際に、EVユーザが電池102を充電するために電池ステーション110にEV101を運転してやってくる(図3のステップ301)。そして、電池ステーション110では、前述した充電・診断機構111により、EV101に搭載された電池102を充電しつつ診断する(図3のステップ302)。
このときの診断には、情報管理部120に格納された個別電池情報121中の性能情報が使用される。この診断では、電池容量だけでなく、充放電曲線の形状、過去の充放電曲線との差分等から総合的に判断がなされる。この情報管理部120に格納された個別電池情報121は、電池ステーション110にて充電・診断機構111が識別手段103を読み取り、この識別情報に関連付けされた情報管理部120内の個別電池情報121を読み取ることによって取得する(図3のステップ303)。
そして、診断の結果、EV用電池の仕様を満たす場合は(図3のステップ304のYES)、そのままEV用電池として使用し(図3のステップ305)、充電が完了するとユーザは充電済みの電池102を使用しEV101で電池ステーション110を立ち去る。この場合、個別電池情報121の中に書き換えが必要な情報が含まれている場合、例えば、充電回数に関する情報等が含まれている場合は、充電回数を1回加えるように情報を書き換える。また、履歴情報として今回計測された電池容量に関する情報、充放電曲線に関する情報等を加えるようにしても良い。
このような管理を行うことで、個々の電池そのものと個々の電池に関する情報が関連付けられ、過去の情報との比較が可能となる。この診断の結果、EV用電池の仕様を満たさないと判定された場合は(図3のステップ304のNO)、電池ステーション110にて電池を交換する(図3のステップ306)。
そして、交換によりEV101から降ろした電池102について、充電・診断機構111により、電池102が他用途への転用のための仕様を満たすか否かについて判定する(図3のステップ307)。
電池102の性能は次第に劣化するが、劣化の程度によってEV用の電池102としては利用できないが、その他の用途(例えば定置用蓄電)には使用できる場合がある。このため、上記診断の結果、電池102が他用途への転用のための仕様を満たすと判定された場合は(図3のステップ307のYES)、前述のようにして情報管理部120から取得された個別電池情報121に基づいて、電池102が適所に搬送され他用途で使用(転用)される(図3のステップ308)。
一方、充電・診断機構111における診断の結果、電池102がその他の用途でも使用できないと判定された場合は(図3のステップ307のNO)、情報管理部120から取得した電池102の個別電池情報121のうちリサイクル情報に基づいてこの電池102のリサイクルに適したリサイクル手法でリサイクルを行うリサイクル工場に電池102を輸送する(図3のステップ309)。
そして、このリサイクル工場にて、電池102のリサイクルが行われる(図3のステップ310)。既に述べたように、リチウムイオン電池に含まれるレアメタル、有価物は製品ごとに異なり、それぞれに適したリサイクル手法がある。これら違いを考慮せずにリサイクル工場へ輸送すると、適切な手法でリサイクルがなされずレアメタルや有価物を損失することに繋がる。
一方、本実施形態では、電池102の使用可否を判断するのに使った識別手段103に関連付けされた情報管理部120内の個別電池情報121のうちのリサイクル情報(電池に含まれるレアメタル等の物質の種類、量に関する情報や、適したリサイクル方法等)をコンピューターシステム上で読み込み、判断することで適切なリサイクル手法を持った工場へ、適切な量を輸送する。これにより、電池交換だけなくリサイクルフローも併せて管理することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100……電池リサイクルシステム、101……移動体(EV)、102……電池、103……識別手段、110……電池ステーション、111……充電・診断機、120……情報管理部、121……個別電池情報。
Claims (6)
- 移動体に搭載された電池のリサイクルシステムであって、
個々の電池を識別するために各電池に設けられた識別手段と、
前記識別手段と関連付けられた各電池についての個別電池情報を記録する情報管理部と、
を有し、
移動体で使用した要充電電池を、充電した電池と交換するステップと、
前記要充電電池の前記識別手段を読み取り、前記情報管理部に記録された前記個別電池情報を取得するステップと、
取得した前記個別電池情報を使用して、コンピューターシステム上で、当該要充電電池の再利用可否を判定し、再利用不可と判定された場合に他用途への転用可否を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、他用途への転用不可と判定された場合、前記要充電電池を前記個別電池情報に基づいてリサイクル工場へ輸送するステップと、
を具備したことを特徴とする電池リサイクルシステム。 - 移動体に搭載された電池のリサイクルシステムであって、
個々の電池を識別するために各電池に設けられた識別手段と、
前記識別手段と関連付けられた各電池についての個別電池情報を記録する情報管理部と、
を有し、
移動体で使用した要充電電池を充電する際に、前記識別手段を読み取り、前記情報管理部に記録された前記個別電池情報を取得するステップと、
取得した前記個別電池情報を使用して、コンピューターシステム上で、当該要充電電池の再利用可否を判定するステップと、
再利用不可と判定された場合に前記要充電電池を交換し、前記コンピューターシステム上で当該要充電電池の他用途への転用可否を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、他用途への転用不可と判定された場合、前記要充電電池を前記個別電池情報に基づいてリサイクル工場へ輸送するステップと、
を具備したことを特徴とする電池リサイクルシステム。 - 請求項1又は2に記載の電池リサイクルシステムであって、
前記識別手段が、前記電池に取付け又は印刷された電池個体番号、又はバーコード、又はタグ、又は二次元コード、又はICチップである
ことを特徴とする電池リサイクルシステム。 - 請求項1又は2に記載の電池リサイクルシステムであって、
前記個別電池情報は、前記電池の性能に関する性能情報と、前記電池をリサイクルするためのリサイクル情報とが含まれる
ことを特徴とする電池リサイクルシステム。 - 請求項4に記載の電池リサイクルシステムであって、
前記性能情報は、電池容量、充放電曲線に関する情報を含む
ことを特徴とする電池リサイクルシステム。 - 請求項4に記載の電池リサイクルシステムであって、
前記リサイクル情報は、電池に含まれる物質の種類、量に関する情報を含む
ことを特徴とする電池リサイクルシステム。
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