JP2024036708A - 空調制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを反映させ、過剰冷房、過剰暖房を防いで省エネルギーとなる温度を設定することが可能な空調制御システムを提供する。【解決手段】複数の空調機3と、執務者が携帯し信号を発信する位置発信部5と、前記空調機が設置された領域の温度と湿度とを含む環境の情報を発信する環境発信部7と、前記空調機3ごとに設置され、前記位置発信部5と前記環境発信部7とからの情報を送信する情報収集部9と、前記執務者が選択した温冷感、現在の着衣量、現在の活動量を含む前記執務者の情報を収集し発信する執務者情報発信部11と、空調条件を設定する条件入力部13と、前記情報収集部9、前記執務者情報発信部11、及び前記条件入力部13から受信した情報に基づいて、前記複数の空調機3の設定温度を含む制御をする空調制御部15と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、空調制御システムに関する。
空調制御システムが導入されているオフィスビル等の建造物においては、その建造物内で作業を行う執務者から申告される空調への要望、例えば、暑い/寒い等を空調制御に反映させることによって、執務者にとって快適な温熱環境が維持される。しかしながら、人間の空調に対する快適/不快の感じ方には個人差があるので、一台の空調機が制御する領域に複数の執務者が居る場合に、すべての執務者の要望が一致するとは限らない。例えば、ある執務者は暑いと感じている場合でも、他の執務者は暑いと感じていないこともある。このように、各執務者の温度に対する温冷感覚に差がある場合においても、各執務者が可能な限り不快とならないように、適切な温度設定を実現することが求められている。また、個別の執務者が不快とならないレベルで、省エネを考慮した温度設定を実現することが求められている。
特許文献1に記載の電力管理支援装置では、建物内における電力需給調整において、制御対象電力消費機器の効果的な優先度を計算し、その制御結果をあらかじめ提示する。空調の設定温度の制御では、空間の執務人数を取得し、優先的に空調制御する場所を決定することが開示されている。
特許文献2に記載の空調制御装置では、人の温熱感覚に影響を及ぼす複数の変数を用いた快適性指標(PMV値)を空調制御に反映させることが開示されている。
特許文献3に記載の空調制御では、執務者の暑がり、寒がりを反映して空調を制御する。画像認識で個人を特定して位置検知し、その周辺の空調に予めアプリ等で登録した好みの温冷感情報を反映して制御を実施することが開示されている。
上記の特許文献のそれぞれの手法では、空調制御において執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを複合的に考慮することの考察が必要とされている。また、このように複合的に考慮した空調制御に加え、そのような空調制御を建物全体に応用して効果的に省エネルギーや電力需給調整を達成することも考察する必要がある。
特許第5813572号公報 特許第3049266号公報 特開2021-134973号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを反映させ、過剰冷房、過剰暖房を防いで省エネルギーとなる温度を設定することが可能な空調制御システムを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の空調制御システムは、複数の空調機と、執務者が携帯し信号を発信する位置発信部と、前記空調機が設置された領域の温度と湿度とを含む環境の情報を発信する環境発信部と、前記空調機ごとに設置され、前記位置発信部と前記環境発信部とからの情報を送信する情報収集部と、前記執務者が選択した温冷感、現在の着衣量、現在の活動量を含む前記執務者の情報を収集し発信する執務者情報発信部と、空調条件を設定する条件入力部と、前記情報収集部、前記執務者情報発信部、及び前記条件入力部から受信した情報に基づいて、前記複数の空調機の設定温度を含む制御をする空調制御部と、を備え、前記空調制御部は、前記受信した情報に基づいて、前記空調機が設置された領域に存在する、前記執務者それぞれの、温度とPPDとの関係を計算し、前記執務者それぞれの、前記温度とPPDとの関係から、最大値曲線と、平均値曲線とを算出し、前記最大値曲線と前記平均値曲線とが、予め設定されたそれぞれの閾値以下となるように前記空調機が設置された領域の設定温度を決定する。
本発明によれば、執務者それぞれの、温度とPPDとの関係から、最大値曲線と、平均値曲線とを算出し、空調機が設置された領域の設定温度を、この最大値曲線と平均値曲線とが、予め設定されたそれぞれの閾値以下となるように決定するので、執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを反映させ、過剰冷房、過剰暖房を防いで省エネルギーとなる温度設定をすることが可能となる。
本発明の一態様においては、前記空調制御部は、前記空調機が設置された領域ごとに、上記において、決定された前記設定温度から予め定められた範囲の温度変更後のPPDを前記最大値曲線と前記平均値曲線との双方について計算し、前記温度変更後のPPDに基づいて前記空調機の温度変更の優先順位を決定し、該優先順位に基づいて前記空調機の温度変更を行う。
この一態様によれば、設定温度から予め定められた範囲の温度変更後のPPDを最大値曲線と平均値曲線との双方について計算し、温度変更後のPPDに基づいて空調機の温度変更の優先順位を決定し、この優先順位に基づいて空調機の温度変更を行うので、各執務者の温冷感を考慮しながら、効果的に省エネルギー対策を実施することができる。
本発明によれば、執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを反映させ、過剰冷房、過剰暖房を防いで省エネルギーとなる温度を設定することが可能な空調制御システムを提供することできる。
本発明の実施形態に係る空調制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る空調制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る空調制御システムの空調制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る空調制御システムの執務者情報発信部を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るPPD曲線を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るPPD曲線を示すグラフであって、執務者の温冷感に基づいて温度シフトを行ったグラフである。 本発明の実施形態に係るPPDの最大値曲線と平均値曲線とを示すグラフである。 本発明の実施形態に係る空調制御システムの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るPPDの最大値曲線と平均値曲線とを示すグラフであって、それぞれの閾値によって選択される設定温度を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る空調制御システムの動作を示すフローチャートである。 本発明の空調制御システムが実施されるオフィスにおける執務者の配置例を示す図である。 本発明の実施形態に係るPPDの最大値曲線と平均値曲線とを執務室ごとに求めたそれぞれのグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明による空調制御システムを実施するための形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る空調制御システムの構成を示すブロック図である。図1に示す通り、空調制御システム1は、空調機3と、位置発信部5と、環境発信部7と、情報収集部9と、執務者情報発信部11と、条件入力部13と、空調制御部15と、を備え、空調制御部15は、制御計算部17と制御指令部19とから構成されている。
空調機3は、空調を制御する領域(エリア)の数だけ複数台設置されている。位置発信部5は、各執務者が個別に携帯し、執務者の位置を特定するための信号を発信している。環境発信部7は、空調機3が設置されたエリアの温度と湿度とを含む環境の情報を発信する。情報収集部9は、空調機3が設置されたエリア毎に設置され、位置発信部5と環境発信部7とからの情報を受信し、その情報を空調制御部15に送信する。執務者情報発信部11は、執務者が選択した温冷感、現在の着衣量、現在の活動量を含む執務者の情報を収集し発信する。条件入力部13は、空調条件を設定し、空調制御部15にその条件を入力する。空調制御部15は、情報収集部9、執務者情報発信部11、及び条件入力部13から受信した情報に基づいて、複数の空調機3の設定温度を含む制御をする。
図2は、本実施形態に係る空調制御システム1の構成を、ネットワーク24を含めてさらに詳細に示したブロック図である。図2に示すとおり、空調機3は、空調エリア1と空調エリア2に2台設置されている。各エリアで、執務者が携帯する位置発信部5は、例えばビーコンタグ5aである。空調エリア毎の温度、湿度等を発信する環境発信部7は、例えば環境センサ等の環境計測装置7aである。位置発信部5と環境発信部7とからの情報を受信し発信する情報収集部9は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)受信機9aである。執務者の温冷感を含む情報を、ネットワーク24を介して発信する執務者情報発信部11は、例えばモバイル端末11aである。図2では、有線の接続を実線で、無線の接続を破線で示している。本実施形態では、執務者情報発信部11をモバイル端末11aとして例示しているが、これに限定されず、執務者情報発信部11は、例えば、インターネット等の空調制御システム1の執務者情報登録サイトにアクセスできるパーソナルコンピュータ等であってもよい。
空調機3、位置発信部5、環境発信部7、情報収集部9、執務者情報発信部11、は、図1では、一組のみ示されているが、実際には、図2において、空調エリア1と空調エリア2との2組が示されるとおり、空調制御をするエリアごとに、2以上の複数組あってよい。
図3は、空調制御部15の構成を示すブロック図である。前述したとおり、空調制御部15は、制御計算部17と制御指令部19とから構成されており、制御計算部17は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、制御指令部19は、空調操作パネル等の空調制御装置であってよい。制御計算部17は、記録部17aと計算部17bとを備えている。ここで、記録部17aは、情報処理装置に備えられるハードディスクやフラッシュメモリによる記憶装置であり、計算部17bは、情報処理装置のCPUによって実行されるプログラムであってよい。条件入力部は、モニター、マウス、キーボードなどの入力装置であってよい。制御計算部17は、有線、又は無線によって例えばインターネット等のネットワークから、モバイル端末11aからの情報を受信し、BLE受信機9a、条件入力部13からの情報と共に記録部17aにこれらの情報を記録し、これらの情報を計算部17bに送って空調機3の制御に必要な情報を決定し、制御情報を制御指令部19に送る。制御指令部19は、各空調機3に設定温度等の制御信号を送信する。
空調制御部15は、上述の構成により受信した情報に基づいて、空調機3が設置された領域にいる執務者それぞれの、温度とPPD(後述する)との関係を計算し、執務者それぞれの、温度とPPDとの関係から、最大値曲線と、平均値曲線とを算出し、最大値曲線と平均値曲線とが、予め設定されたそれぞれの閾値以下となるように空調機3が設置された領域の設定温度を決定する。
このように構成された空調制御システム1についてその動作の概略を以下に説明する。
図1に示す位置発信部5は、執務者が携帯するもので、常に信号を発信し続ける。この信号は、空調機3のそばに一対一で設置されている情報収集部9が受け取ることで執務者が存在するエリアを特定する。このエリアとは、空調機3が温度調節した空気を送る範囲のことで、以下空調エリアと呼ぶ。環境発信部7は、執務者が居住するオフィスの空間の温度と湿度を計測し、情報収集部9へ計測値を発信する。情報収集部9では、位置発信部5と環境発信部7とから発信される情報を収集して空調制御部15へ送信する。執務者情報発信部11では、執務者の好みの温冷感と、着衣量、活動量を入力し、空調制御部15へ送信する。条件入力部13では、そのほか制御の計算に必要な条件や設定値を入力する役割を持つ。例えば、条件入力部13には、執務エリアにおいて執務者が受ける風速や、空調機3と情報収集部9との対応関係等の情報が入力される。空調制御部15の制御計算部17では、これらすべての情報を入力値として計算し、最適な設定温度を算出して制御指令部19へ送信する。制御指令部19は、制御計算部17から送信された設定温度で空調機3を制御する。
図2においては、二つの空調エリアを想定しているが、実際には建物全体における複数の空調エリアが連結されている。図内の矢印については、前述したように、実線は有線、点線は無線通信を表す。モバイル端末11aは、執務者情報発信部11として用いられる。執務者一人一人が携帯して、各々の着衣量・活動量と好みの温冷感を入力する。その情報は、ネットワーク24を介して制御計算部17へ送信される。ビーコンタグ5aは、執務者の位置検知のため用いられる。ビーコンタグ5aは、常時Bluetoothの電波を発信しており、その電波を情報収集部9であるBLE受信機9aが受信することによりビーコンタグ5aの位置を検出する。
BLE受信機9aは、空調機3のそばに一対一で対応して設置し、空調エリア内に誰がいるかを特定する。環境計測装置7aは、執務空間の環境を測定するために用いられる。環境計測装置7aの具体的な装置としては、前述したように、例えば環境センサが挙げられる。環境計測装置7aは、湿度と温度とを常時計測しており、BLE受信機9aに計測データを送信する。ここでの通信形態は、Bluetoothの電波を用いて制御計算部17へ送信しているが、有線で制御計算部17へ送る方式でもよい。制御計算部17は、モバイル端末11aによる執務者情報とBLE受信機9aによる執務者位置情報、執務空間の環境情報を収集して条件入力部13から入力された条件をもとに空調機3への制御値を計算する。条件入力部とは、前述したように、例えばキーボードとマウス、モニターで構成される。制御計算部17は、前述したように、例えばパソコンなどの計算サーバである。制御指令部19は、前述したように、空調の操作パネルなどの空調制御装置であって、制御計算部17によって計算された制御値の結果を各空調機3へ送信する。
図3に示すように、制御計算部17は、大きく2つのシステムで構成されており、記録部17aと計算部17bとを備えている。記録部17aでは、ネットワーク24を経由して得られた執務者情報と、制御条件や風速、空調機3とBLE受信機9aとの対応関係などが記録されている。執務者がモバイル端末11aで、建物管理者が条件入力部13で、各種情報を更新すると記録内容も更新される。計算部17bは、BLE受信機9aからの環境情報と執務者がいる空調エリアの情報とを受け取って、対象の空調エリアに対して記録部17aから必要な情報を抽出し、制御条件に則り設定温度を算出する。この算出結果は、空調制御装置である制御指令部19へ送信される。
(執務者情報の登録)
ここでは、モバイル端末11aを用いて登録される執務者情報について説明する。執務者それぞれの、温冷感の好みと温熱環境指標の算出に用いる着衣量、活動量の情報の登録は、モバイル端末11aにより行う。これは、システム構成における執務者情報発信部11として機能する部分である。モバイル端末11aによる登録画面11bのイメージを図4に示す。
図4に示すように、好みの温冷感については、「涼しい」「やや涼しい」「普通」「やや暖かい」「暖かい」の5つから選択するようにして回答する。季節によって好みが異なると考えられるので、季節ごとに好みの温冷感を登録する。着衣量、活動量については、図4に示すような選択肢が考えられる。これらの登録情報は、温熱環境指標の算出のため数値化する。各項目に対する数値を表1に示す。表1では、5段階の好みに対して好みの気温を割り当てている。例えば、好みの気温は、季節ごとの基準温度(夏:26℃、春・秋:24℃、冬:22℃)から±1℃、±2℃の5段階で割り当てる(表1(A))。着衣量・活動量については一般的に用いられる値が設定される(表1(B)(C))。
Figure 2024036708000002
執務者の位置情報は、執務者が携帯するビーコンタグ5aから送信される電波をBLE受信機9aが受信することで検出する。ビーコンタグ5aは、システム構成での位置発信部5であり、BLE受信機9aは、情報収集部9である。BLE受信機9aは、空調機3と一対一で設置する。ビーコンタグ5aには、それぞれ識別可能なIDが割り振られ、そのIDとモバイル端末11aで回答した執務者情報を紐づけることで執務者情報と位置情報の対応関係を定義づける。その例を表2に示す。執務者情報は制御計算部17の記録部17aに記録される。
Figure 2024036708000003
(PPDの算出)
温熱環境指標の算出には、1973年にP.O.Fangerが提唱したPMV(予測平均温冷感申告:Predicted Mean Vote)から算出される予測不快者率PPD(その温熱環境に不満足・不快さを感じる人の割合:Predicted Percentage of Dissatisfied)を用いる。PMVは、以下の[数1]で算出される。[数1]に示すように、PMVは、活動量、着衣量、温度、放射温度、湿度、相対風速を要素とする関数fとして表される。
Figure 2024036708000004
また、不快感をもつ人の割合を示す予想不快者率PPDは、PMVを用いて以下の[数2]で近似することができる。
Figure 2024036708000005
ここで、温度を変数、放射温度は温度と同値、それ以外のパラメータを定数とすると、温度とPPDの関係式が算出され、任意の温度の時のPPDが分かる。例として湿度50%、気流速度0.1m/s、着衣量1.0clo(スーツ着衣想定)、活動量1.1met(座位でのワーク)としたときのPPD曲線Aを図5に示す(PPD≦30%)。温度が高すぎる、もしくは低すぎるとPPDが高くなる。また図5によると、22.5℃の時にPPDが最も低くなる。本発明では、この関係式をPPD曲線と呼び、これを用いることでPPDを評価しながら空調の設定温度を定め、執務者の快適性と省エネルギーの両立を達成する。
空調機3ごとの設定温度を決定するため、空調エリアごとのPPD曲線を算出する。このPPD曲線の算出は、大きく3つのステップからなる。まず環境情報と執務者情報から、執務者各々の基準となるPPD曲線を作成する。ここで、湿度は空間の測定値を用い、着衣量と活動量は執務者にあらかじめ報告してもらう。気流速度は建物の仕様で決められたものを用いる。これらの数値を用いることで、図5のような曲線Aを描くことができる。これを基準PPD曲線と呼ぶ。
次のステップで、この基準PPD曲線Aに執務者の好みの温冷感を反映させる。まず好みの温度の時にPPDが最も低くなるようにPPD曲線をシフトさせる。例として好みの温冷感を「涼しい」「やや涼しい」「普通」「やや暖かい」「暖かい」の5段階とし、それぞれの好みの温度を20、21、22、23、24℃であるとすると、冬における好みを「暖かい」と回答した人の好みは24℃となる。ここで、基準PPD曲線である22.5℃の軸を24℃に移動させる。これを好み別PPD曲線と呼ぶ。図5の基準PPD曲線Aを好みの温冷感ごと(冬場を想定)にシフトした結果を図6に示す。グラフの形は変更せず、PPDが最小となる温度が好み別になる。この曲線を執務者各々に割り当てる。図6において、「涼しい」「やや涼しい」「普通」「やや暖かい」「暖かい」の5段階は、PPD曲線B~Fに対応する。
最後のステップでは、検知された任意の人数の好み別PPD曲線を統合することで空調エリアごとのPPD曲線を算出する。この時、二つのPPD曲線を算出する。一つは検知された執務者の好み別PPD曲線を用いて平均値を算出する。ある空調エリアareaにn人の執務者が検知されているとき、ある気温tに対する予測不快者率の平均値AvePPDt,areaは以下の式で表すことができる。
Figure 2024036708000006
ここで、PPDt,kは、n人の執務者のうちインデックスがkの執務者の、ある気温tにおけるPPDである。もう一つは空調エリア内にいる執務者のPPDにおける最大値を算出する。最大値を算出する理由は、平均値のみで評価すると、ある一人の執務者のPPDが考慮されずに不快者率が高くなる恐れがあるからである。例えば、湿度50%、気流速度0.1m/sのときに、着衣量1.0clo(スーツ着衣想定)、活動量1.1met(座位でのワーク)の執務者3人(好みを「涼しい」と答えた人が2人、「やや暖かい」と答えた人が1人)が検知された時、t=19.6℃でAvePPDは10%未満となるが、この時「やや暖かい」を好みとして回答した執務者のPPDは19%となる。よって最大値も評価として考慮するため、執務者の中でのPPDの最大値MaxPPDt,areaも算出する。この値は以下の[数4]の式で表せる。
Figure 2024036708000007
例として湿度50%、気流速度0.1m/sのときに、着衣量1.0clo(スーツ着衣想定)、活動量1.1met(座位でのワーク)で、好みが「暖かい」と答えた人が1人、「やや暖かい」が3人、「やや涼しい」が1人、計5人が空調エリア内に存在するときのPPD曲線の平均値と最大値を算出した結果を図7に示す。平均値曲線Gと最大値曲線Hが図7に示されている。これらの曲線を空調エリアPPD曲線と呼び、空調エリアにおける執務者の温冷感を考慮した温熱環境指標とする。
図8は、本実施形態における空調制御システム1の一連の動作を説明するフローチャートである。次に、このフローチャートを参照して、本実施形態の空調制御システム1の全体の動作を説明する。
まず空調エリアに執務者が存在するか否かを判断する(S001)。これは空調機3ごとに設置されたBLE受信機9aによって判断する。執務者がいないと判断された場合(S001、No)、その空調機3へは電源を切る指令を送る(S002)。執務者が一人以上いると判断された場合(S001、Yes)、執務者情報を特定する。具体的には、その人が誰か、そしてその人の着衣量、活動量の情報を参照する(S003)。ここでは、検知されたビーコンタグのタグIDと、制御計算部17の記録部17aにおいて記録されている執務者情報とを関連付けることで参照することができる。
次に環境情報を取得する(S004)。これは環境計測装置7aからの情報をBLE受信機9aで受信し、その情報を制御計算部17へ発信することにより得ることができる。その後、以上の情報から検知された執務者の基準PPD曲線(図5)を算出し(S005)、それを用いて好みを反映させた好み別PPD曲線を算出する(S006、図6)。
算出が終わると、空調エリアにおける空調エリアPPD曲線を算出する(S007)。例えば湿度50%、気流速度0.1m/sのときに、着衣量1.0clo(スーツ着衣想定)、活動量1.1met(座位でのワーク)で、好みが「暖かい」と答えた人が1人、「やや暖かい」が3人、「やや涼しい」が1人、計5人が空調エリア内に存在すると図7のような曲線が算出される。次に制御条件を取得する(S008)。この制御条件は、条件入力部13から入力され記録部17aに格納されている情報から取得する。本実施形態では、PPDの平均値と最大値の上限を閾値として制御条件とする。例えば平均値が10%、最大値が15%と設定する。設定温度の決定は、制御条件と空調エリアPPD曲線を用いて、制御条件の中で最も省エネルギーとなる温度を設定温度とする(S009)。
例として、制御条件のPPDの閾値について平均値が10%以下、かつ最大値が15%以下とする。冬場を例として説明すると、省エネとするためには最も温度が低いものが設定温度となる。図9には、好みが「暖かい」と答えた人が1人、「やや暖かい」が3人、「やや涼しい」が1人、計5人が空調エリア内に存在するときの、空調エリアPPD曲線から平均値と最大値の条件を用いて設定温度を算出した結果を示す。図9より、平均値が10%以下は21.1~24.8℃、最大値が15%以下となるのは21.2℃~24.8℃である。平均値10%以下と最大値15%以下との双方の条件を満たし、この条件のなかで最も温度が低いのは21.2℃である。空調の設定温度が0.5℃刻みであるとすると、この空調エリアの空調機3への設定温度指令値は、21.5℃となる。この設定温度値を制御指令部19へ送信し、空調制御を行う(S010)。尚、ここでは、一つの空調機3についての動作を説明したが、他の複数台の空調機3についても同様の設定のルーチンが行われる。
以上述べたように、本実施形態では、執務者のそれぞれの温度とPPDとの関係から、最大値曲線と、平均値曲線とを算出し、空調機が設置された領域の設定温度を、この最大値曲線と平均値曲線とが、予め設定されたそれぞれの閾値以下となるように決定するので、執務者の周辺の温熱環境と各執務者の温冷感に対する好みを反映させ、過剰冷房、過剰暖房を防いで省エネルギーとなる温度を設定することが可能となる。本実施形態によれば、不満足率の算出に執務者の好みが反映されているので、より空間の快適性を反映した制御が可能となる。また、空調機1台のみでは電力削減効果は小さいが、数十~数百台ある大きい建物ではその効果は大きくなり、その設定温度変更を執務者の在席状況および温冷感の好みを考慮しながら行うことができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の動作に加え、各空調機3に対して、省エネルギーのために温度設定の変更が行われる動作が追加されている。図10は、本実施形態における空調制御システム1の動作を示すフローチャートである。本実施形態では、装置構成は、図1~3に示すように第1実施形態と同じであるが、図10に示すとおり、追加される制御が異なっている。本実施形態では、建物全体の空調機3において設定温度の変更に対する消費電力削減効果と執務者の快適度を評価しながら、制御対象の空調機3を決定する。すなわち、本実施形態では、空調制御部15は、空調機3が設置された領域ごとに、第1実施形態の手順により、決定された設定温度から予め定められた範囲の温度変更後のPPDを最大値曲線と平均値曲線との双方について計算し、温度変更後のPPDに基づいて空調機3の温度変更の優先順位を決定し、優先順位に基づいて空調機3の温度変更を行う。
図11は、本実施形態における、空調エリアの執務者の状況を表している。図11に示すように、空調機3毎に、4つの空調エリアがあり、各空調機3の空調エリアに机25が6台並べられている。そこに「○」で示した6つの座席がある。各空調エリアをArea1~Area4とし、各空調機3をAC1~AC4で表す事にする。「○」が黒く塗られた「●」は在席を表し、白色は空席を表す。各空調エリアに在席する執務者wの温冷感の好みを表3に示す。図11では各空調機の設定温度を記載しているが、これは第1実施形態による制御値であり、空調エリアの執務者wの分布と好み(表3)を考慮して決定している。このように人数と好みが多様に分布している状態を想定する。
Figure 2024036708000008
図10を参照しながら、本実施形態の動作について説明する。
(各空調エリアの空調エリアPPD曲線の参照)
最初に、Area1~Area4における空調エリアPPD曲線を参照する(S101)。算出方法については第1実施形態と同様である。算出した結果を図12に示す。Area1とArea4では、PPDの平均値と最大値が、曲線K、Lと曲線O、Pで示されている。Area2では執務者が2人存在するが、好みが同じのためPPDの平均値と最大値が同じ曲線Mで示されている。Area3では、執務者が1人のためPPDの平均値と最大値が同じ曲線Nで示されている。
(設定温度変更後のPPD増加量の算出)
次に各空調エリアにおいて、設定温度を0.5℃、1.0℃、1.5℃…と下げた時のPPDの変化を図12から算出する(S102)。その結果を表4に示す。PPD(現状)の列では、現状の不満足率を表している。その値から各設定温度を下げていくと(ここでは冬場想定のため、温度を下げるとPPDが増加する)、PPDが増加していることが分かる。また、その増加したPPDは各エリアによって異なることが分かる。
Figure 2024036708000009
(条件に基づく制御対象空調機の優先順位付け)
次に、表4の結果から条件に基づいて制御対象の空調機の優先順位付けを行う(S103)。例として、条件を「PPDの最大値が低い順」としたときの順位付け結果とその時の電力削減効果を表5に示す。PPDの最大値が同じ場合は、人数が少ないほうの順位を上にしている。これは不満足に感じる人の人数を減らすためである。そのため、Area2とArea3は、変更後のPPD最大値は同じだが、人数がArea3の方が少ないので、優先度が高くなっている。削減効果については、環境省の設定温度変更による目安効果の、「1℃で10%削減」を参考にして、設定温度1℃の変更に対して10%の効果があるとし、かつその関係が比例であるとして試算している。
Figure 2024036708000010
次に、省エネルギーに対する要請を受託するかどうかの判断が行われ(S104)、受託しない場合は(S104、No)、空調制御システム1の動作が終了する(S107)。省エネルギーに対する要請を受託する場合は(S104、Yes)、次のステップに進む。
(制御対象空調機の決定)
表5のように優先順位が定まると、その結果に基づいて制御対象の空調機3を選択し設定温度を決定する(S105)。この空調機3の選択と設定温度の決定は、ビルの管理者が条件入力部13から行う。決定方法としては、電力負荷抑制の要請に対して、応答する(削減する)電力量を定めて、その量を満たすように設定温度を変更する空調機3を決定する。例えばAC3の空調機が5kWhの消費電力があるとすると、制御優先度1の対策を行うと250Wの消費電力を削減することができる。1台のみでは削減効果はわずかであるが、空調機が数十~数百台と多くある建物では電力削減ポテンシャルとしては多く見込める。制御対象の空調機が選択され、設定温度が決定されると、制御指令部19は、選択された各空調機3へ設定温度の変更を指令し(S106)、空調制御システム1の本実施形態の動作が終了する(S107)。
本実施形態では、空調機3の制御のみを対象としているが、執務者の行動変容を考慮できると更なる省エネルギー効果が見込める可能性がある。それは以下のようなケースである。
(1)空調エリアに執務者が一人または比較的少ない人数しかいないケース
この場合は、そのエリアの執務者を他へ移動させることにより、そのエリアの執務者の数を0とし、空調をOFFにすることができる。
(2)空調エリアの好みの分布がバラバラのケース
この場合は、温冷感が共通、または近い執務者をグループにして、グループごとに、一つのエリアに移動させて、各エリアに温冷感の近い執務者を集める。このことにより、平均値PPDと最大PPDの乖離を少なくできる(平均値と最大値の乖離が大きいと、条件を満たす設定温度の幅が狭くなり、快適性・省エネルギーの両立が困難になる)。
それぞれの場合の執務者への指令方法としては、例えばアプリやメールによる通知などが考えられる。執務者の行動を強制することはできないので執務者の行動由来にはなるが、消費電力の削減ポテンシャルが高くなる。
以上述べたように、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、リアルタイムの執務者の位置情報から、空間の快適性を評価し、空調制御範囲ごとに不快者率を算出することができるので、快適性、省エネルギーの関係を見ながら建物内で優先的に制御する空調を決めて制御ができる。
尚、上述の実施形態では、空調エリアとして事務所のように執務者が机に在席しているかどうかという観点で説明した。しかし、実際は、ビーコンタグ5aの信号のあるなしをBLE受信機9aで受信することにより執務者を特定している。したがって、例えば、会議室や食堂のように座席が定まらず、執務者が自由に移動している、空調エリアに対しても本発明の空調管理システム1は、有効に機能する。
1 空調制御システム
3 空調機
5 位置発信部
7 環境発信部
9 情報収集部
11 執務者情報発信部
13 条件入力部
15 空調制御部

Claims (2)

  1. 複数の空調機と、
    執務者が携帯し信号を発信する位置発信部と、
    前記空調機が設置された領域の温度と湿度とを含む環境の情報を発信する環境発信部と、
    前記空調機ごとに設置され、前記位置発信部と前記環境発信部とからの情報を送信する情報収集部と、
    前記執務者が選択した温冷感、現在の着衣量、現在の活動量を含む前記執務者の情報を収集し発信する執務者情報発信部と、
    空調条件を設定する条件入力部と、
    前記情報収集部、前記執務者情報発信部、及び前記条件入力部から受信した情報に基づいて、前記複数の空調機の設定温度を含む制御をする空調制御部と、を備え、
    前記空調制御部は、
    前記受信した情報に基づいて、前記空調機が設置された領域に存在する、前記執務者それぞれの、温度とPPDとの関係を計算し、
    前記執務者それぞれの、前記温度とPPDとの関係から、最大値曲線と、平均値曲線とを算出し、前記最大値曲線と前記平均値曲線とが、予め設定されたそれぞれの閾値以下となるように前記空調機が設置された領域の設定温度を決定する、空調制御システム。
  2. 前記空調制御部は、
    前記空調機が設置された領域ごとに、請求項1において、決定された前記設定温度から予め定められた範囲の温度変更後のPPDを前記最大値曲線と前記平均値曲線との双方について計算し、前記温度変更後のPPDに基づいて前記空調機の温度変更の優先順位を決定し、該優先順位に基づいて前記空調機の温度変更を行う、空調制御システム。
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