JP2024035414A - 半導体加工用粘着シート及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体加工用粘着シート及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワーク加工後の搬送性に優れる半導体加工用粘着シート及び該半導体加工用粘着シートを用いる半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有し、前記表面コート層が、スチレン系樹脂を含有し、前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上である、半導体加工用粘着シート及び該半導体加工用粘着シートを用いる半導体装置の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体加工用粘着シート及び半導体装置の製造方法に関する。
情報端末機器の薄型化、小型化及び多機能化が急速に進む中、これらの機器に搭載される半導体装置にも、薄型化及び高密度化が求められている。
半導体装置を薄型化する方法としては、半導体装置に用いる半導体ウエハの裏面を研削する方法が行われてきた。半導体ウエハの裏面研削は、半導体ウエハの表面に裏面研削用の半導体加工用粘着シート(以下、「バックグラインドシート」ともいう)を貼付し、該シートによって半導体ウエハの表面を保護した状態で行われる。バックグラインドシートは、裏面研削後に半導体ウエハの表面から剥離除去される。
近年、半導体チップへのダメージを抑制しつつ薄型化する研削及び個片化方法として、先ダイシング法、ステルス先ダイシング法等が実用されている。先ダイシング法は、半導体ウエハの表面に、ダイシングブレード等で所定深さの溝を形成した後、該半導体ウエハを裏面側から溝に至るまで研削することによって半導体チップに個片化する方法である。また、ステルス先ダイシング法は、レーザー光の照射によって半導体ウエハの内部に改質領域を形成した後、該半導体ウエハを裏面側から研削し、上記改質領域を分割起点として割断させることによって半導体チップに個片化する方法である。これらの方法においても、半導体ウエハの表面を保護するためのバックグラインドシートが用いられている。
これらの薄型化プロセス技術の開発と共に、半導体加工用粘着シートについても、半導体チップを歩留まり良く薄型化するための機能が要求されており、種々の検討が行われている。
特許文献1には、先ダイシング法又はステルス先ダイシング法に適用可能な半導体ウエハ表面保護用粘着シートとして、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面側に設けられ、粘着剤からなる中間層と、前記中間層の前記基材フィルムと反対側であって最外層に設けられた最外粘着剤層とを有する粘着シートであって、前記中間層は、前記粘着シート形成後の硬化処理により硬化する材料で形成されていることを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着シートが開示されている。
特開2015-56446号公報
特許文献1の半導体ウエハ表面保護用粘着シートによると、半導体ウエハをチップに個片化した後、本来のチップ間隔が崩れてしまうカーフシフトを抑制することができると共に、半導体ウエハの研削屑による汚染を抑制することができ、表面保護テープを剥離した際のチップへの糊残りを防止することができるとされている。
ところで、半導体加工用粘着シートには、半導体ウエハ等のワークを加工する際に生じる振動、衝撃等を吸収し、ワークの破損を防止するための緩衝層が設けられることがある。
緩衝層は、基材よりも変形し易い材料で構成されており、基材の粘着剤層とは反対側の表面に設けられるため、半導体加工用粘着シートの製造時、ワークの加工時等に、意図せず傷が付く場合がある。これを防ぐためには、緩衝層の基材とは反対側の表面に、表面コート層を形成することが有効である。
また、表面コート層は、緩衝層の傷付き防止以外にも、研削屑の付着を抑制する役割を担う場合がある。例えば、バックグラインドシートは、ワークを裏面研削をする際に、チャックテーブル等の支持装置に固定されるが、バックグラインドシートと支持装置のテーブルとの間に研削屑が存在すると、該研削屑が存在する部分を起点として、ワークをテーブルに固定する際の衝撃、裏面研削中の加圧、振動等によって、ワークにクラックが発生する場合がある。バックグラインドシートの支持装置に固定される側の表面に、研削屑の付着を抑制可能な表面コート層を設けることによって、上記の問題の発生を抑制することができる。
しかしながら、本発明者等の検討によると、表面コート層を有する半導体加工用粘着シートにワークを貼付して、表面コート層を支持装置に固定した状態で所定の加工を行った場合、加工後に半導体加工用粘着シート付きのワークを支持装置から持ち上げることに失敗し、搬送できない場合があることが判明している。これはワークを加工する際における圧力、熱等によって、表面コート層が支持装置に過剰に密着してしまうことが原因であると考えられる。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、ワーク加工後の搬送性に優れる半導体加工用粘着シート及び該半導体加工用粘着シートを用いる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のスチレン系樹脂を含有する表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有する半導体加工用粘着シートによって、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[9]に関する。
[1]表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有し、
前記表面コート層が、スチレン系樹脂を含有し、
前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上である、半導体加工用粘着シート。
[2]前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、80質量%以下である、上記[1]に記載の半導体加工用粘着シート。
[3]前記スチレン系樹脂が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される1種以上である、上記[1]又は[2]に記載の半導体加工用粘着シート。
[4]前記スチレン系樹脂の質量平均分子量(Mw)が、10,000~600,000である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
[5]前記表面コート層の厚さが、0.05~10μmである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
[6]前記緩衝層が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する緩衝層形成用組成物から形成される層である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
[7]半導体ウエハの裏面研削に用いられる、上記[1]~[6]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として半導体ウエハの表面に貼付する工程と、
前記半導体ウエハに貼付された前記半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
[9]半導体ウエハの表面に溝を形成する工程a、又は半導体ウエハの表面若しくは裏面から前記半導体ウエハの内部に改質領域を形成する工程bである、分割予定ライン形成工程と、
前記工程aの後、又は前記工程bの前若しくは後に、上記[1]~[7]のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として、前記半導体ウエハの表面に貼付する、シート貼付工程と、
前記半導体ウエハに貼付された半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削して、前記溝又は前記改質領域を起点として複数の半導体チップに個片化する、研削及び個片化工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
本発明によると、ワーク加工後の搬送性に優れる半導体加工用粘着シート及び該半導体加工用粘着シートを用いる半導体装置の製造方法を提供することができる。
本明細書において、好ましい数値範囲について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含有される成分のうち、希釈溶剤を除いた成分を指す。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。また、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線硬化性を有しない性質を意味する。
本明細書において、半導体ウエハの「表面」とは回路が形成された面を指し、「裏面」とは回路が形成されていない面を指す。
本明細書に記載されている作用機序は推測であって、本発明の半導体加工用粘着シートの効果を奏する機序を限定するものではない。
[半導体加工用粘着シート]
本実施形態の半導体加工用粘着シート(以下、「粘着シート」ともいう)は、表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有し、前記表面コート層が、スチレン系樹脂を含有し、前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上である、半導体加工用粘着シートである。
本実施形態の粘着シートは、ワークである半導体装置の表面に貼付され、該表面を保護しながら半導体装置に所定の加工を施すために用いられる。ワークに対して所定の加工を施した後、本実施形態の粘着シートは半導体装置から剥離除去される。
なお、本実施形態において、「半導体装置」とは、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指し、例えば、半導体ウエハ、半導体チップ、該半導体チップを含む電子部品、該電子部品を備える電子機器類等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の粘着シートは、半導体ウエハの加工に好適である。
本実施形態の粘着シートは、ワーク加工後の搬送性に優れる。その原因は定かではないが、次のように推測される。
従来の表面コート層は、ワーク加工時における熱、圧力等によって溶融、変形等が生じ、支持装置に対する密着性が大きくなり過ぎて、ワーク加工後の搬送性が低下していたと考えられる。
一方、本実施形態の粘着シートが有する表面コート層は、スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上であるスチレン系樹脂を含有し、該スチレン系樹脂は耐熱性に優れるため、ワーク加工時における表面コート層の変形、溶融等が抑制されたと考えられる。これによって、支持装置に対する密着性が高くなり過ぎず、ワーク加工後の搬送性が良好になったものと推測される。
また、本実施形態の粘着シートは、付加的な効果として、加熱後の粘着シートの白化を抑制できるという効果を奏する。従来の表面コート層を形成した粘着シートはワーク加工時における熱によって白化する場合があり、これによって外観の悪化、エネルギー線透過性の低下等の問題が生じる場合があった。一方、本実施形態の粘着シートは白化が抑制されるため、ワーク加工後においても外観及びエネルギー線透過性に優れる。
本実施形態の粘着シートは、表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層以外の層を有していてもよく、有していなくてもよい。表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層以外の層としては、例えば、基材と粘着剤層との間に設けられる中間層、粘着剤層の基材とは反対側の面に設けられる剥離シート等が挙げられる。
以下、本実施形態の粘着シートを構成する各部材について順に説明する。
<表面コート層>
表面コート層は、緩衝層の基材とは反対の面側に設けられる層であって、半導体装置を加工する際、支持装置によって固定される層である。
本実施形態の粘着シートが有する表面コート層は、スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が50質量%以上であるスチレン系樹脂(以下、「スチレン系樹脂(S)」ともいう)を含有する。
(スチレン系樹脂(S))
スチレン系樹脂(S)は、スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が50質量%以上である樹脂であれば特に限定されない。
スチレン系樹脂(S)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン系化合物としては、例えば、置換又は無置換のスチレンが挙げられる。
スチレンに置換される置換基としては、例えば、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルコキシ基等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系樹脂(S)中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量は50質量%以上である。
スチレン系樹脂(S)中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上であることによって、本実施形態の粘着シートは、ワーク加工後の搬送性に優れるものになる。また、加熱後における粘着シートの白化を抑制できる傾向にある。
上記の観点から、スチレン系樹脂(S)中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量は、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
また、スチレン系樹脂(S)中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、上記上限値以下であると、スチレン系化合物に由来する構成単位以外の構成単位の導入によって、粘着シートの搬送性以外の性能とのバランスを調整し易くなる傾向にある。
スチレン系樹脂(S)が含有し得るスチレン系化合物に由来する構成単位以外の構成単位としては、スチレン系化合物以外のエチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物が挙げられる。
なお、本実施形態における「エチレン性不飽和結合」とは、付加反応が可能な炭素-炭素二重結合を意味し、芳香環の二重結合は含まないものとする。
スチレン系化合物以外のエチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン等の鎖状モノオレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン等の鎖状の非共役ジエン(非共役ジオレフィン);1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン(共役ジオレフィン);シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の環状モノオレフィン;シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエン等の環状ジオレフィン;ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ-2,4,6,11-テトラエン等の多環式オレフィン;無水マレイン酸、酢酸ビニル等の酸素原子及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー、マレイミド化合物、ニトリル系モノマー等の窒素原子及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー等が挙げられる。
以上の選択肢の中でも、スチレン系樹脂(S)は、共役ジエンに由来する構成単位を含有することが好ましい。
共役ジエンに由来する構成単位とは、上記共役ジエンが付加重合して形成される構成単位、上記共役ジエンが付加重合して形成された構成単位を水添することによって形成される構成単位等である。
共役ジエンが付加重合して形成された構成単位を水添することによって形成される構成単位としては、例えば、イソプレンが付加重合して形成された構成単位を水添することによって形成されるエチレン-プロピレン単位、1,3-ブタジエンが付加重合して形成された構成単位を水添することによって形成されるエチレン-ブチレン単位等である。
スチレン系樹脂(S)が共役ジエンに由来する構成単位を含有する場合、スチレン系樹脂(S)中におけるその含有量は、特に限定されないが、好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~45質量%、さらに好ましくは30~40質量%である。
スチレン系樹脂(S)中の共役ジエンに由来する構成単位の含有量が、上記下限値以上であると、研削屑付着量をより低減できる傾向にある。また、スチレン系樹脂(S)中の共役ジエンに由来する構成単位の含有量が、上記上限値以下であると、ワーク加工後の搬送性がより良好になる傾向にある。
スチレン系樹脂(S)としては、ワーク加工後の搬送性及び研削屑付着量の観点から、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(以下、「SEBS」ともいう)及びスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(以下、「SEPS」ともいう)からなる群より選択される1種以上が好ましく、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される1種以上がより好ましい。
スチレン系樹脂(S)の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは10,000~600,000、より好ましくは15,000~500,000、さらに好ましくは20,000~400,000である。
スチレン系樹脂(S)の質量平均分子量(Mw)が、上記下限値以上であると、ワーク加工後の搬送性がより良好になる傾向にある。また、スチレン系樹脂(S)の質量平均分子量(Mw)が、上記上限値以下であると、スチレン系樹脂(S)の溶媒溶解性が向上し、塗布による表面コート層の形成が容易になる傾向にある。
なお、本実施形態において、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値を意味し、具体的には実施例に記載の方法により測定された値である。
表面コート層中におけるスチレン系樹脂(S)の含有量は、特に限定されないが、表面コート層の全量(100質量%)に対して、好ましくは30~95質量%、より好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは45~85質量%である。
スチレン系樹脂(S)の含有量が、上記下限値以上であると、ワーク加工後の搬送性がより良好になる傾向にあると共に、加熱後における粘着シートの白化がより抑制される傾向にある。また、スチレン系樹脂(S)の含有量が、上記上限値以下であると、緩衝層と表面コート層との密着性をより良好にし易い傾向にある。
(疎水化処理されたシリカ)
表面コート層は、さらに、疎水化処理されたシリカを含有することが好ましい。
表面コート層が疎水化処理されたシリカを含有することによって、本実施形態の粘着シートは、研削屑付着量がより低減されたものになる傾向にある。
疎水化処理されたシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理されたシリカとしては、例えば、原料シリカを疎水化処理剤によって表面処理したものが挙げられる。
疎水化させる原料シリカは、例えば、沈殿法、ゲル法、ゾルゲル法等の湿式法によって製造された湿式法シリカであってもよく、ヒュームドシリカ、溶融シリカ等の乾式法シリカであってもよい。これらの中でも、疎水化が容易であるという観点から、湿式法シリカが好ましく、沈殿法シリカがより好ましい。
疎水化処理剤としては、例えば、有機ケイ素化合物、脂肪酸、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
原料シリカを疎水化処理剤で表面処理する方法としては、例えば、原料シリカと疎水化処理剤を溶媒中で接触させる方法、窒素等のキャリアガスで搬送された疎水化処理剤の蒸気を原料シリカと接触させる方法、疎水化処理剤の原液を原料シリカと直接接触させる方法等が挙げられる。
疎水化処理されたシリカの形状は特に限定されず、例えば、球状、不定形等が挙げられる。これらの中でも、研削屑付着量をより低減するという観点から、不定形であることが好ましい。
疎水化処理されたシリカとしては、例えば、エボニック社製の「AEROSIL(登録商標)シリーズ」、信越化学工業株式会社製の「QSGシリーズ」、東ソー・シリカ株式会社製の「Nipsil(登録商標)SSシリーズ」、富士シリシア化学株式会社製の「SYLOPHOBIC(登録商標)シリーズ」等が商業的に入手可能である。
表面コート層が疎水化処理されたシリカを含有する場合、表面コート層中における疎水化処理されたシリカの含有量は、特に限定されないが、スチレン系樹脂(S)100質量部に対して、好ましくは1~150質量部、より好ましくは10~120質量部、さらに好ましくは20~100質量部、よりさらに好ましくは30~90質量部である。
疎水化処理されたシリカの含有量が、上記下限値以上であると、研削屑付着量をより低減できる傾向にある。また、疎水化処理されたシリカの含有量が、上記上限値以下であると、表面コート層の成膜性が向上する傾向にある。
表面コート層は、スチレン系樹脂(S)及び疎水化処理されたシリカ以外の成分を含有していてもよい。
例えば、表面コート層は、緩衝層との密着性をより優れるものにするという観点から、スチレン系樹脂(S)と共に、エネルギー線重合性多官能化合物及び光重合開始剤を含有する組成物に対してエネルギー線を照射することによって形成される層であることが好ましい。
なお、以下の説明において、表面コート層の形成に用いられる組成物を「表面コート層形成用組成物」と称する場合がある。
(エネルギー線重合性多官能化合物)
エネルギー線重合性多官能化合物は、エネルギー線重合性官能基を2個以上有する化合物である。
エネルギー線重合性多官能化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線重合性多官能化合物が有するエネルギー線重合性官能基の数は、好ましくは2~10個、より好ましくは3~8個、さらに好ましくは4~7個である。
エネルギー線重合性多官能化合物が有するエネルギー線重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エネルギー線重合性多官能化合物としては、多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等の2官能(メタ)アクリレートモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがより好ましい。
表面コート層形成用組成物がエネルギー線重合性多官能化合物を含有する場合、エネルギー線重合性多官能化合物の含有量は、スチレン系樹脂(S)100質量部に対して、好ましくは10~60質量部、より好ましくは14~40質量部、さらに好ましくは17~30質量部である。
エネルギー線重合性多官能化合物の含有量が、上記下限値以上であると、表面コート層が緩衝層との密着性に優れるものになる傾向にある。また、エネルギー線重合性多官能化合物の含有量が、上記上限値以下であると、緩衝層に対する密着性とワーク加工後の搬送性とのバランスを良好にし易い傾向にある。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、さらには、アミン、キノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロロアンスラキノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
表面コート層形成用組成物が光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、エネルギー線重合反応を均質且つ十分に進行させるという観点から、エネルギー線重合性多官能化合物100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、さらに好ましくは0.05~5質量部である。
(その他の成分)
表面コート層は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、上記以外の樹脂;帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤、充填剤、防錆剤、顔料、染料等の添加剤;等が挙げられる。
(表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’)
表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’は、特に限定されないが、好ましくは100MPa以上、より好ましくは120MPa以上、さらに好ましくは150MPa以上、よりさらに好ましくは170MPa以上である。表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’が上記下限値以上であると、ワーク加工後の搬送性がより良好になる傾向にある。
また、表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’は、特に限定されないが、好ましくは1,500MPa以下、より好ましくは1,000MPa以下、さらに好ましくは800MPa以下、よりさらに好ましくは600MPa以下である。表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’が上記上限値以下であると、適度な柔軟性を有する粘着シートが得られ易く、粘着シートの取り扱い性に優れる傾向にある。
なお、表面コート層の90℃における貯蔵弾性率E’は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
(表面コート層の厚さ)
表面コート層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.05~10μm、より好ましくは0.2~7μm、さらに好ましくは1~4μmである。
表面コート層の厚さが上記下限値以上であると、均一な層形成が可能となり、ワーク加工後の搬送性がより良好になる傾向にある。また、表面コート層の厚さが上記上限値以下であると、チャックテーブル上の異物等の凹凸を吸収するという緩衝層の効果が得られ易くなる傾向にある。
<緩衝層>
緩衝層は、基材と表面コート層との間に設けられる層であり、裏面研削時に生じる振動、衝撃等を吸収し、ワークにクラックが発生することを防止する役割を担う層である。さらには、緩衝層を設けることによって、支持装置のテーブル上に存在する異物等の凹凸を吸収して、支持装置による粘着シートの保持性を向上させることもできる。
(緩衝層形成用組成物)
緩衝層は、緩衝層形成用組成物から形成することができる。
緩衝層は、緩衝層に適した物性を得るという観点から、エネルギー線重合性化合物を含有する緩衝層形成用組成物をエネルギー線硬化させた層であることが好ましい。
緩衝層形成用組成物は、エネルギー線重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含有することが好ましい。緩衝層形成用組成物が、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含有することで、緩衝層の貯蔵弾性率等を良好な範囲に調整できる傾向にある。
また、緩衝層形成用組成物は、同様の観点から、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)に加えて、環形成原子数6~20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)及び官能基を有する重合性化合物(a3)からなる群より選択される1種以上を含有することがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)に加えて、環形成原子数6~20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)及び官能基を有する重合性化合物(a3)を含有することがさらに好ましい。
なお、本明細書中、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造の化合物の当該環自体を構成する原子の数を表し、環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子に結合した水素原子)、及び当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。
〔ウレタン(メタ)アクリレート(a1)〕
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)は、(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であり、エネルギー線照射により重合する性質を有するものである。
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは1,000~100,000、より好ましくは2,000~60,000、さらに好ましくは3,000~20,000である。
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、特に限定されないが、好ましくは1~4個、より好ましくは1~3個、さらに好ましくは1個又は2個である。
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)は、例えば、ポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得ることができる。
ポリオール化合物としては、ヒドロキシ基を2つ以上有する化合物であれば特に限定されない。
ポリオール化合物の具体例としては、アルキレンジオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル型ポリオールが好ましい。
ポリオール化合物は、2官能のジオール、3官能のトリオール、4官能以上のポリオールのいずれであってもよいが、2官能のジオールが好ましく、ポリエステル型ジオールがより好ましい。
ポリオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族系ジイソシアネート類;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類;等が挙げられる。これらの中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが好ましい。
多価イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーと反応させるヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、少なくとも1分子中にヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されない。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルアミド;ビニルアルコール、ビニルフェノール、ビスフェノールAのジグリシジルエステルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られる反応物;等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマーと、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと、を反応させる条件は、特に限定されないが、例えば、必要に応じて添加される有機溶媒、触媒等の存在下、60~100℃で1~4時間反応させる条件とすることができる。
緩衝層形成用組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、特に限定されないが、緩衝層形成用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%である。
〔環形成原子数6~20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)〕
緩衝層形成用組成物が、環形成原子数6~20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)(以下、「脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)」ともいう)を含有することによって、緩衝層形成用組成物の成膜性が向上する傾向にある。
複素環基の環構造を形成する原子としては、例えば、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、特に限定されないが、好ましくは1個以上、より好ましくは1個又は2個、さらに好ましくは1個である。
脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)が有する脂環基又は複素環基の環形成原子数は、6~20であり、好ましくは6~18、より好ましくは6~16、さらに好ましくは7~12である。
脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート等の脂環基含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート等の複素環基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらの中でも、脂環基含有(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
緩衝層形成用組成物中の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)の含有量は、特に限定されないが、緩衝層形成用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%である。
〔官能基を有する重合性化合物(a3)〕
緩衝層形成用組成物が、官能基を有する重合性化合物(a3)を含有することによって、緩衝層形成用組成物の粘度を適度な範囲に調整できる傾向にある。
官能基を有する重合性化合物(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
官能基を有する重合性化合物(a3)が有する官能基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、アミド基、アミノ基等が挙げられる。
官能基を有する重合性化合物(a3)が1分子中に有する官能基の数は、1個以上であり、好ましくは1~3個、より好ましくは1個又は2個、さらに好ましくは1個である。
官能基を有する重合性化合物(a3)は、官能基と共に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
官能基を有する重合性化合物(a3)が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、特に限定されないが、好ましくは1個以上、より好ましくは1個又は2個、さらに好ましくは1個である。
官能基を有する重合性化合物(a3)としては、例えば、水酸基含有重合性化合物、エポキシ基含有重合性化合物、アミド基含有重合性化合物、アミノ基含有重合性化合物等が挙げられる。
水酸基含有重合性化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;等が挙げられる。
エポキシ基含有重合性化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アミド基含有重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド等が挙げられる。
アミノ基含有重合性化合物としては、例えば、第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート、第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する水酸基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
緩衝層形成用組成物中における官能基を有する重合性化合物(a3)の含有量は、特に限定されないが、緩衝層形成用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。
〔その他の重合性化合物〕
緩衝層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、(a1)~(a3)成分以外のその他の重合性化合物を含有していてもよい。
その他の重合性化合物としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル化合物;等が挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
緩衝層形成用組成物中におけるその他の重合性化合物の含有量は、特に限定されないが、緩衝層形成用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~10質量%、さらに好ましくは0~2質量%である。
〔光重合開始剤〕
エネルギー線重合性化合物を含有する緩衝層形成用組成物は、エネルギー線照射による重合時間及びエネルギー線照射量を低減させるという観点から、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、さらには、アミン、キノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロロアンスラキノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
緩衝層形成用組成物中における光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、エネルギー線硬化反応を均質且つ十分に進行させるという観点から、エネルギー線重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.05~15質量部、より好ましくは0.1~10質量部、さらに好ましくは0.3~5質量部である。
(その他の成分)
緩衝層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、上記した樹脂以外の樹脂成分;帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤、充填剤、防錆剤、顔料、染料等のその他の添加剤;等が挙げられる。
(緩衝層のヤング率)
緩衝層の23℃におけるヤング率は、基材の23℃におけるヤング率より小さく、具体的には、好ましくは1,200MPa未満、より好ましくは1,000MPa未満、さらに好ましくは900MPa未満である。また。緩衝層の23℃におけるヤング率は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上である。
緩衝層の23℃におけるヤング率が上記上限値以下であると、裏面研削時に生じる振動、衝撃等を吸収する効果及び粘着シートの保持性が向上する傾向にある。また、緩衝層の23℃におけるヤング率が上記下限値以上であると、ワークを加工する際に緩衝層が過度に変形することを抑制できる傾向にある。
なお、緩衝層の23℃におけるヤング率は、JIS K 7127:1999に準拠して、試験速度200mm/分の条件にて測定することができる。
(緩衝層の応力緩和率)
緩衝層の応力緩和率は、特に限定されないが、好ましくは70~100%、より好ましくは75~100%、さらに好ましくは78~98%である。
緩衝層の応力緩和率が上記範囲であると、裏面研削時に生じる振動、衝撃等を吸収する効果及び粘着シートの保持性が高くなる傾向にある。
緩衝層の応力緩和率は、厚さ200μmの緩衝層を15mm×140mmに切り出したものを試験片として、該試験片の両端20mmを掴み、200mm/分で10%伸張したときの応力A(N/m)、及び伸張停止から1分後の応力B(N/m)の値を用いて、下記式から求められる。
応力緩和率(%)=100×(A-B)/A(%)
(緩衝層の厚さ)
緩衝層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5~70μm、より好ましくは7~50μm、さらに好ましくは10~40μmである。
緩衝層の厚さが上記下限値以上であると、裏面研削時に生じる振動、衝撃等を吸収する効果及び粘着シートの保持性が高くなる傾向にある。また、緩衝層の厚さが上記上限値以下であると、ワークを加工する際に緩衝層が過度に変形することを抑制できる傾向にある。
<粘着剤層>
粘着剤層は、基材の緩衝層とは反対の面側に設けられる層であり、ワークに貼付される層である。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から形成される層であることが好ましい。粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から形成されることによって、エネルギー線硬化前においては十分な粘着性によってワーク表面を良好に保護することができ、エネルギー線硬化後においては剥離力が低減され、ワークからの剥離を容易にすることができる。
エネルギー線硬化性粘着剤としては、例えば、下記のX型の粘着剤組成物、Y型の粘着剤組成物、XY型の粘着剤組成物等が挙げられる。
X型の粘着剤組成物:非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(以下、「粘着性樹脂I」ともいう)と、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物と、を含有するエネルギー線硬化性粘着剤組成物
Y型の粘着剤組成物:非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂の側鎖に不飽和基を導入したエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(以下、「粘着性樹脂II」ともいう)を含有し、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物を含有しないエネルギー線硬化性粘着剤組成物
XY型の粘着剤組成物:上記エネルギー線硬化性の粘着性樹脂IIと、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物と、を含有するエネルギー線硬化性粘着剤組成物
これらの中でも、エネルギー線硬化性粘着剤は、XY型の粘着剤組成物であることが好ましい。XY型の粘着剤組成物を使用することによって、硬化前においては十分な粘着性を有する一方で、硬化後においてはワークに対する剥離力を十分に低減できる傾向にある。
粘着剤層を形成する粘着剤は、エネルギー線を照射しても硬化しない非エネルギー線硬化性の粘着剤から形成される層であってもよい。
非エネルギー線硬化性の粘着剤としては、例えば、粘着性樹脂Iを含有する一方、粘着性樹脂II及びエネルギー線硬化性化合物を含有しないものが挙げられる。
次に、粘着剤層を構成する各成分について、より詳細に説明する。
以下の説明において「粘着性樹脂」は、粘着性樹脂I及び粘着性樹脂IIの一方又は両方を指す用語として使用する。また、以下の説明において、単に「粘着剤組成物」と記載する場合、X型の粘着剤組成物、Y型の粘着剤組成物、XY型の粘着剤組成物及びこれらの以外の粘着剤組成物も含める概念とする。
粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
アクリル系樹脂は、粘着剤層の粘着力をより向上させるという観点から、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アクリル系樹脂に含有されるアルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数は、好ましくは4~12、より好ましくは4~8、さらに好ましくは4~6である。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチルアクリレートがより好ましい。
アクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する場合、その含有量は、粘着剤層の粘着力をより向上させるという観点から、アクリル系樹脂中、好ましくは30~90質量%、より好ましくは40~80質量%、さらに好ましくは45~60質量%である。
アクリル系樹脂は、粘着剤層の貯蔵弾性率G’及び粘着特性を良好にするという観点から、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と共に、アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アクリル系樹脂に含有されるアルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
アクリル系樹脂が、アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する場合、その含有量は、アクリル系樹脂中、好ましくは1~35質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。
アクリル系樹脂は、さらに、官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アクリル系樹脂が官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有することによって、架橋剤と反応する架橋起点としての官能基、又は不飽和基含有化合物と反応して、アクリル系樹脂の側鎖に不飽和基を導入することを可能とする官能基を導入することができる。
アクリル系樹脂に含有される官能基含有モノマーに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。これらの中でも、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール;等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート;等が挙げられる。
アクリル系樹脂が、官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、アクリル系樹脂中、好ましくは5~45質量%、より好ましくは15~40質量%、さらに好ましくは25~35質量%である。
アクリル系樹脂は、上記の構成単位以外にも、アクリル系モノマーと共重合可能なその他のモノマーに由来する構成単位を含有していてもよい。
アクリル系樹脂に含有されるその他のモノマーに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
アクリル系樹脂は、さらに、エネルギー線硬化性を付与するために、エネルギー線重合性を有する不飽和基を導入したものであってもよい。
不飽和基は、例えば、官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有するアクリル系樹脂の官能基と、該官能基と反応性を有する反応性置換基及び不飽和基を有する化合物(以下、「不飽和基含有化合物」ともいう)の反応性置換基と、を反応させることによって導入することができる。不飽和基含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和基含有化合物が有する不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
不飽和基含有化合物が有する反応性置換基としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基等が挙げられる。
不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有するアクリル系樹脂と、不飽和基含有化合物と、を反応させる場合、アクリル系樹脂中の官能基の総数中、不飽和基含有化合物と反応する官能基の比率は、特に限定されないが、好ましくは60~98モル%、より好ましくは70~95モル%、さらに好ましくは80~93モル%である。
不飽和基含有化合物と反応する官能基の比率が上記範囲であると、アクリル系樹脂に対して十分なエネルギー線硬化性を付与できると共に、不飽和基含有化合物と反応しなかった官能基を架橋剤と反応させてアクリル系樹脂を架橋させることができる。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは30万~150万、より好ましくは35万~100万、さらに好ましくは40万~60万である。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、粘着剤層の粘着力及び凝集力がより良好になる傾向にある。
(エネルギー線硬化性化合物)
X型又はXY型の粘着剤組成物に含有されるエネルギー線硬化性化合物としては、分子内に不飽和基を有し、エネルギー線照射によって硬化可能なモノマー又はオリゴマーが好ましい。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレートモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマー;等が挙げられる。これらの中でも、比較的分子量が高く、粘着剤層の弾性率を低下させ難いという観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
エネルギー線硬化性化合物の分子量は、特に限定されないが、好ましくは100~12,000、より好ましくは200~10,000、さらに好ましくは400~8,000、よりさらに好ましくは600~6,000である。なお、エネルギー線硬化性化合物がオリゴマーである場合、上記分子量は、質量平均分子量(Mw)を意味する。
X型の粘着剤組成物中におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量は、特に限定されないが、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは40~200質量部、より好ましくは50~150質量部、さらに好ましくは60~90質量部である。
X型の粘着剤組成物中におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量が上記範囲であると、エネルギー線照射前の粘着力とエネルギー線照射後の剥離性のバランスが良好になる傾向にある。
XY型の粘着剤組成物中におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量は、特に限定されないが、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは2~20質量部、さらに好ましくは3~15質量部である。
XY型の粘着剤組成物中におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量が上記範囲であると、エネルギー線照射前の粘着力とエネルギー線照射後の剥離性のバランスが良好になる傾向にある。なお、XY型の粘着剤組成物は、粘着性樹脂が、エネルギー線硬化性であるため、エネルギー線硬化性化合物の含有量が少なくても、エネルギー線照射後、剥離力を十分に低減できる傾向にある。
(架橋剤)
粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤は、例えば、粘着性樹脂が有する官能基含有モノマーに由来する官能基と反応することによって、粘着性樹脂同士を架橋させるものである。
架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、これらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕トリフォスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。これらの中でも、凝集力を高めて粘着力をより向上させるという観点及び入手容易性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、架橋反応を適度に進行させるという観点から、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、さらに好ましくは0.05~4質量部である。
(光重合開始剤)
粘着剤がエネルギー線硬化性粘着剤である場合、粘着剤組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。エネルギー線硬化性粘着剤が光重合開始剤を含有することによって、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線でも、エネルギー線硬化性粘着剤の硬化反応が十分に進行する傾向にある。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、さらには、アミン、キノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロロアンスラキノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
粘着剤組成物が光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、エネルギー線硬化反応を均質且つ十分に進行させるという観点から、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、さらに好ましくは0.05~5質量部である。
(その他の添加剤)
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤、充填剤、防錆剤、顔料、染料等が挙げられる。
(有機溶媒)
粘着剤組成物は、基材、剥離シート等への塗布性をより向上させるという観点から、有機溶媒で希釈して、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒は、粘着性樹脂の合成時に使用された有機溶媒をそのまま用いてもよいし、合成時に使用された有機溶媒以外の1種以上の有機溶媒を加えてもよい。
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’は、特に限定されないが、好ましくは0.05~0.5MPa、より好ましくは0.1~0.4MPa、さらに好ましくは0.12~0.3MPaである。
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’が上記範囲であると、ワークの表面に凹凸がある場合でも、凹凸形状への追従性に優れる粘着剤層が得られ、加工時にワークの表面をより良好に保護できる傾向にある。
なお、粘着剤層の貯蔵弾性率G’は、粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から形成される場合には、エネルギー線照射による硬化前の貯蔵弾性率G’を意味する。
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率G’は、厚さ3mmの粘着剤層を直径8mmの円形に切り出したものを試験片として、粘弾性測定装置を用いたねじりせん断法により、周波数1Hz、測定温度23℃の条件にて測定することができる。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~80μm、さらに好ましくは15~60μmである。
粘着剤層の厚さが上記下限値以上であると、優れた粘着性が得られ、加工時にワークの表面をより良好に保護できる傾向にある。また、粘着剤層の厚さが上記上限値以下であると、粘着シートの切断時におけるテープ屑の発生が抑制され、ワークの破損をより良好に防止できる傾向にある。
<基材>
基材としては、例えば、各種の樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、全芳香族ポリエステル等のポリエステル;ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、アクリル系重合体;等が挙げられる。
基材は、これらの樹脂から選択される1種又は2種以上の樹脂からなる樹脂フィルムの単層フィルムであってもよく、これらの樹脂フィルムを2種以上積層した積層フィルムであってもよい。また、上記樹脂の架橋フィルム、アイオノマーフィルム等の変性フィルムであってもよい。
これらの樹脂フィルムの中でも、基材は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選択される1種以上が好ましく、ポリエステルフィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがさらに好ましい。
基材のヤング率は、特に限定されないが、好ましくは1,000MPa以上、より好ましくは1,800~30,000MPa、さらに好ましくは2,500~6,000MPaである。
基材のヤング率が上記下限値以上であると、ワーク加工時における振動抑制効果がより向上する傾向にある。また、基材のヤング率が上記上限値以下であると、ワークに貼付する際の作業性、及びワークから剥離する際の作業性が良好になる傾向にある。
なお、基材のヤング率は、JIS K 7127:1999に準拠して、試験速度200mm/分の条件にて測定することができる。
基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10~200μm、より好ましくは25~100μm、さらに好ましくは30~70μmである。
基材の厚さが上記下限値以上であると、粘着シートの支持体として機能するための十分な強度が得られる傾向にある。また、基材の厚さが上記上限値以下であると、適度な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する傾向にある。
なお、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、基材が複数層からなる基材である場合は、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、可塑剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、触媒等を含有していてもよい。
基材は、透明なものであっても、不透明なものであってもよく、所望により着色又は蒸着されていてもよい。
基材は、他の層との接着性を向上させるという観点から、少なくとも一方の面に対して、コロナ処理等の表面処理を施したものであってもよく、接着性向上を目的とするコート層を設けたものであってもよい。
<剥離シート>
本実施形態の粘着シートは、粘着剤層の表面及び表面コート層の表面の少なくとも一方に剥離シートが貼付されていてもよい。剥離シートは、使用前の粘着シートの表面に剥離可能に貼付されることで該表面を保護し、粘着シートを使用する際には剥離されて取り除かれる。
剥離シートは、片面剥離処理された剥離シートであってもよく、両面剥離処理された剥離シートであってもよい。
剥離シートとしては、剥離シート用基材に剥離剤を塗布した剥離シートが好ましく挙げられる。
剥離シート用基材としては、樹脂フィルムが好ましく、該樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に限定されないが、好ましくは5~200μm、より好ましくは10~100μm、さらに好ましくは20~50μmである。
<粘着シートの総厚>
本実施形態の粘着シートの総厚は、特に限定されないが、好ましくは30~300μm、より好ましくは40~220μm、さらに好ましくは45~160μmである。
粘着シートの総厚が上記下限値以上であると、粘着剤層の粘着性能、緩衝層の衝撃吸収性能等が適切に維持され、半導体加工用粘着シートとしての機能を十分に発揮できる傾向にある。また、粘着シートの総厚が上記上限値以下であると、ワークを粘着シートから剥離する際の剥離力を小さくできる傾向にある。
なお、本実施形態において、「粘着シートの総厚」とは、粘着シートの表面コート層の表面から粘着剤層の表面までの厚さを意味し、剥離シートが設けられる場合、剥離シートの厚さは総厚に含まれない。
<粘着シートの製造方法>
本実施形態の粘着シートの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
本実施形態の粘着シートは、例えば、基材の一方の面側に粘着剤層を形成する工程(以下、「粘着剤層形成工程」ともいう)、基材の他方の面側に緩衝層を形成する工程(以下、「緩衝層形成工程」ともいう)、緩衝層の基材と反対の面側に表面コート層を形成する工程(以下、「表面コート層形成工程」ともいう)を有する方法によって製造することができる。なお、これらの工程の順番は特に限定されず、同時に実施することができる場合は、同時に実施してもよい。
粘着剤層、緩衝層又は表面コート層を形成する方法としては、例えば、所定の位置に、粘着剤組成物、緩衝層形成用組成物又は表面コート層形成用組成物を、公知の方法によって塗布した後、必要に応じて、エネルギー線照射、加熱乾燥等を行う方法が挙げられる。
粘着剤組成物、緩衝層形成用組成物又は表面コート層形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
粘着剤層形成工程は、例えば、剥離シート上に形成した粘着剤層を基材の表面に貼り合わせる方法であってもよく、基材の表面に、粘着剤組成物を直接塗布することによって粘着剤層を形成する方法であってもよい。
緩衝層形成工程において、緩衝層形成用組成物は、剥離シート上に塗布してもよく、基材の表面に直接塗布してもよい。緩衝層形成用組成物を剥離シート上に塗布する場合、剥離シート上の緩衝層形成用組成物から形成される層(以下、「緩衝層形成用組成物層」ともいう)は、その後、基材の表面に貼付される。剥離シート上の緩衝層形成用組成物層は、緩衝層そのものであってもよいし、緩衝層形成用組成物が硬化性を有するものである場合、硬化性を有する緩衝層形成用組成物の未硬化物又は半硬化物であってもよい。基材上に緩衝層形成用組成物の未硬化物又は半硬化物を形成した場合、その後、緩衝層形成用組成物を完全硬化させる処理を施す。
表面コート層形成工程において、表面コート層形成用組成物は、剥離シート上に塗布してもよく、緩衝層の表面に直接塗布してもよい。表面コート層形成用組成物を剥離シート上に塗布する場合、剥離シート上の表面コート層形成用組成物から形成される層(以下、「表面コート層形成用組成物層」ともいう)は、その後、緩衝層の表面に貼付される。剥離シート上の表面コート層形成用組成物層は、表面コート層そのものであってもよいし、表面コート層形成用組成物が硬化性を有するものである場合、硬化性を有する表面コート層形成用組成物の未硬化物又は半硬化物であってもよい。緩衝層上に表面コート層形成用組成物の未硬化物又は半硬化物を形成した場合、その後、表面コート層形成用組成物を完全硬化させる処理を施す。
また、緩衝層形成工程及び表面コート層形成工程は、剥離シート上に表面コート層及び緩衝層をこの順で設けた後、緩衝層を基材の表面に貼り合わせる方法であってもよい。
緩衝層形成用組成物がエネルギー線重合性化合物を含有する場合、緩衝層形成工程は、緩衝層形成用組成物に対して、エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。
緩衝層形成用組成物がエネルギー線重合性化合物を含有する場合、エネルギー線照射による硬化処理は、一回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。
エネルギー線照射による硬化処理を一回で行う場合、基材上に緩衝層形成用組成物の塗布膜を形成した後、エネルギー線照射によって緩衝層形成用組成物を完全に硬化させてもよく、剥離シート上で緩衝層形成用組成物を完全に硬化させてから、これを基材に貼り合わせてもよい。
表面コート層形成用組成物がエネルギー線重合性化合物を含有する場合、表面コート層形成工程は、表面コート層形成用組成物に対して、エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。表面コート層形成用組成物に対して、エネルギー線を照射する時期は特に限定されず、表面コート層形成用組成物を緩衝層又は緩衝層形成用組成物層に積層する前又は積層した後のいずれであってもよい。
緩衝層形成用組成物の硬化処理を複数回に分けて行う場合、剥離シート上に緩衝層形成用組成物の塗布膜を形成した後、剥離シート上では緩衝層形成用組成物を完全には硬化させずに、半硬化の状態まで硬化させてから剥離シート上に設けた表面コート層形成用組成物層に貼り合わせ、その後、再度エネルギー線を照射することによって緩衝層形成用組成物を完全に硬化させてもよい。表面コート層形成用組成物がエネルギー線重合性化合物を含有する場合は、緩衝層形成用組成物を完全に硬化させるためのエネルギー線照射によって、表面コート層形成用組成物を同時に硬化させてもよい。
なお、緩衝層形成用組成物及び表面コート層形成用組成物の硬化処理で照射するエネルギー線としては、紫外線が好ましい。
緩衝層形成用組成物及び表面コート層形成用組成物に対してエネルギー線を照射して硬化させる際、緩衝層形成用組成物及び表面コート層形成用組成物は外部に暴露された状態であってもよいが、両面が剥離シート、基材等の部材によって覆われ、外部に暴露されていない状態でエネルギー線を照射することが好ましい。
<粘着シートの用途>
本実施形態の粘着シートを貼付した状態で行われるワークの加工としては、例えば、半導体装置の一方の面に粘着シートを貼付した状態で他方の面を研削するバックグラインド加工、半導体装置の一方の面に粘着シートを貼付した状態で半導体装置を個片化するダイシング加工、半導体装置の搬送、半導体チップのピックアップ等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の粘着シートはバックグラインド加工に好適であり、半導体ウエハの回路形成面に本実施形態の粘着シートを貼付した状態で半導体ウエハの裏面を研削するバックグラインド加工により好適である。特に、本実施形態の粘着シートは、半導体ウエハを薄型化する際におけるクラックの発生を抑制する効果を有するため、先ダイシング法、ステルス先ダイシング法等のプロセスに好適である。
[半導体装置の製造方法]
本実施形態の半導体装置の製造方法は、
本実施形態の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として半導体ウエハの表面に貼付する工程と、
前記半導体ウエハに貼付された前記半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法である。
また、本実施形態の半導体装置の製造方法は、
半導体ウエハの表面に溝を形成する工程a、又は半導体ウエハの表面若しくは裏面から前記半導体ウエハの内部に改質領域を形成する工程bである、分割予定ライン形成工程と、
前記工程aの後、又は前記工程bの前若しくは後に、本実施形態の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として、前記半導体ウエハの表面に貼付する、シート貼付工程と、
前記半導体ウエハに貼付された半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削して、前記溝又は前記改質領域を起点として複数の半導体チップに個片化する、研削及び個片化工程と、
を含む、半導体装置の製造方法であることが好ましい。
さらに、本実施形態の半導体装置の製造方法は、研削及び個片化工程の後に、複数の半導体チップから、本実施形態の半導体加工用粘着シートを剥離する、剥離工程を含んでいてもよい。
なお、上記工程aを有する半導体装置の製造方法は、先ダイシング法に相当するプロセスであり、上記工程bを有する半導体装置の製造方法は、ステルス先ダイシング法に相当するプロセスである。
本実施形態の製造方法で用いる半導体ウエハとしては、例えば、シリコンウエハ、ガリウム砒素ウエハ、窒化ガリウムウエハ、シリコンカーバイドウエハ、ガラスウエハ、サファイアウエハ等が挙げられる。これらの中でも、シリコンウエハが好ましい。
半導体ウエハの表面には、通常、配線、キャパシタ、ダイオード、トランジスタ等の回路が形成されている。これらの回路は、例えば、エッチング法、リフトオフ法等の従来公知の方法によって形成することができる。
半導体ウエハの研削前の厚さは、特に限定されないが、通常は500~1,000μmである。
以下、本実施形態の半導体装置の製造方法の各工程を詳細に説明する。
<分割予定ライン形成工程>
分割予定ライン形成工程は、半導体ウエハの表面に溝を形成する工程a、又は半導体ウエハの表面若しくは裏面から前記半導体ウエハの内部に改質領域を形成する工程bである。
工程aは半導体ウエハの表面に溝を形成する工程であり、粘着シートを半導体ウエハの表面に貼付する前に行われる。
工程aで半導体ウエハの表面に形成する溝は、半導体ウエハの厚さよりも深さが浅い溝である。工程aの後に半導体ウエハは工程aで形成した溝に至るまで裏面研削され、複数の半導体チップに分割される。そのため、工程aにおいて溝は、半導体ウエハが分割されて半導体チップに個片化される際の分割ラインに沿って形成される。
溝の形成は、従来公知のウエハダイシング装置等を用いたダイシングによって行うことが可能である。
工程bは、半導体ウエハの表面若しくは裏面から前記半導体ウエハの内部に改質領域を形成する工程であり、粘着シートを半導体ウエハの表面に貼付する前に行ってもよく、後に行ってもよい。
工程bにおいて改質領域は、半導体ウエハの内部に焦点を合わせたレーザーの照射によって半導体ウエハの内部に形成される。該改質領域は、半導体ウエハにおいて、脆質化された部分であり、裏面研削によって半導体ウエハが薄くなったり、研削による力が加わったりすることによって破壊されて、半導体ウエハが半導体チップに個片化される起点になる領域である。そのため、改質領域は、半導体ウエハが分割されて半導体チップに個片化される際の分割ラインに沿って形成される。
レーザーの照射は、半導体ウエハの表面側から行ってもよく、裏面側から行ってもよい。工程bを、シート貼付工程後に行う場合、粘着シートを介して半導体ウエハにレーザーを照射してもよい。
<シート貼付工程>
シート貼付工程は、工程aの後、又は工程bの前若しくは後に、粘着シートを、粘着剤層を貼付面として、半導体ウエハの表面に貼付する工程である。
粘着シートを貼付する方法は特に限定されず、例えば、ラミネーター等を使用する、従来公知の方法を適用することができる。
<研削及び個片化工程>
研削及び個片化工程は、半導体ウエハに貼付された粘着シートの表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、半導体ウエハの裏面を研削して、上記溝又は上記改質領域を起点として複数の半導体チップに個片化する工程である。
粘着シートが貼付され、かつ溝又は改質領域を形成された半導体ウエハは、粘着シートの表面コート層側を支持装置によって固定される。支持装置としては、特に限定されないが、チャックテーブル等の固定対象物を吸引して保持する装置が好ましい。
次いで、固定された半導体ウエハの裏面を研削して、半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化する。
裏面研削は、工程aによって半導体ウエハに溝が形成されている場合には、少なくとも研削面が溝の底部に至る位置まで半導体ウエハを研削する。この裏面研削によって、溝は、ウエハを貫通する切り込みとなり、半導体ウエハは切り込みによって分割されて、個々の半導体チップに個片化される。
一方、工程bによって半導体ウエハに改質領域が形成されている場合には、研削面は改質領域に至ってもよいが、厳密に改質領域まで至らなくてもよい。すなわち、改質領域を起点として半導体ウエハが破壊されて半導体チップに個片化されるように、改質領域に近接する位置まで研削すればよい。例えば、半導体ウエハを個片化させることなく改質領域に近接する位置まで研削した後、半導体ウエハにピックアップテープを貼付して、該ピックアップテープを延伸することによって半導体チップに個片化させてもよい。
個片化された半導体チップの形状は、方形であってもよく、矩形等の細長形状であってもよい。
個片化された半導体チップの厚さは、特に限定されないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは7~70μm、さらに好ましくは10~45μmである。
個片化された半導体チップのチップサイズは、特に限定されないが、好ましくは50mm未満、より好ましくは30mm未満、さらに好ましくは10mm未満である。
<剥離工程>
剥離工程は、研削及び個片化工程の後に、複数の半導体チップから、粘着シートを剥離する工程である。
粘着シートの粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から形成される場合には、エネルギー線を照射することによって粘着剤を硬化させて、粘着剤層の剥離力を小さくしてから、粘着シートを剥離する。
なお、粘着シートを剥離する際には、ピックアップテープを使用してもよい。ピックアップテープは、例えば、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着剤層を備える粘着シートによって構成されるものである。
ピックアップテープを使用する場合、まず、個片化された半導体ウエハの裏面側に、ピックアップテープを貼付し、ピックアップが可能なように位置及び方向合わせを行う。この際、半導体ウエハの外周側に配置したリングフレームもピックアップテープに貼り合わせて、ピックアップテープの外周縁部をリングフレームに固定することが好ましい。次いで、ピックアップテープ上に固定された複数の半導体チップから粘着シートを剥離する。
その後、ピックアップテープ上にある複数の半導体チップをピックアップしてから、基板等の上に固定化して、半導体装置を製造してもよい。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。各種物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
[質量平均分子量(Mw)]
質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8220」)を用いて下記の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
[粘着シート等の厚さ測定]
定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、商品名「PG-02」)により粘着シートの総厚、各層の厚さ、これらから作製される試験片の厚さを測定した。この際、任意の10点を測定し、平均値を算出した。
なお、粘着シートの総厚は、剥離シート付き粘着シートの厚さを測定し、その厚さから剥離シートの厚さを減じた値である。
また、緩衝層の厚さは、緩衝層付き基材の厚さから、基材の厚さを減じた値である。
また、表面コート層の厚さは、剥離シート付き表面コート層の厚さから、剥離シートの厚さを減じた値である。
また、粘着剤層の厚さは、粘着シートの総厚から表面コート層、緩衝層及び基材の厚さを減じた値である。
[表面コート層の90℃貯蔵弾性率E’の測定方法]
実施例及び比較例で調製した表面コート層形成用組成物を、形成される表面コート層の厚さが35μmになるように剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET381031」)の剥離処理面にマイヤーバーを用いて塗布した後、加熱乾燥させて、剥離シート上に表面コート層形成用組成物層を形成した。
該表面コート層形成用組成物層に対して、照度160mW/cm、照射量500mJ/cmの条件で紫外線を照射することによって、表面コート層形成用組成物を硬化させ、剥離シート付き表面コート層を作製した。
上記で得られた剥離シート付き表面コート層から剥離シートを剥離除去し、表面コート層を、平面視で幅が4mm、長さが測定装置のチャック間距離が30mmになるように裁断したものを試験片とした。該試験片を用いて下記装置及び測定条件にて90℃における表面コート層の貯蔵弾性率E’を測定した。
測定装置:株式会社エー・アンド・ディー製「レオバイブロン DDV-01FP」
周波数:1Hz
測定温度範囲:-10~120℃
昇温速度:3℃/min
[加熱後の粘着シートの白化有無の評価]
実施例及び比較例で作製した両面に剥離シートを有する粘着シートを、平面視で5cm×5cmの矩形状に切り出し、表面コート層側の剥離シートのみを剥離して表面コート層を露出させた試験片を準備した。
また、金属板1及び金属板2として、SUS304製、平面視の形状が矩形状、平面視の大きさが7cm×15cm、厚さが0.5mm、重さが40g、研磨面として、600番研磨によって表面仕上げした表面を有するもの、錘として、重さが1kg、底面が直径4cmの円形である円柱形状を有するものを準備した。
金属板1を、研磨面を上向きにして、温度が90℃に保たれた熱板上に載置し、該金属板1の研磨面上に、上記試験片を、表面コート層が金属板1の研磨面側になる向きで載置した。さらに、金属板1上に載置した試験片の剥離シート上に、該剥離シートと接触する側に研磨面を有する金属板2と、錘と、をこの順に積層し、試験片を90℃で1分間加熱処理した。
なお、金属板1、試験片及び金属板2は、各々の4辺が互いに平行になるように載置した。また、金属板1、試験片、金属板2及び錘は、平面視における各々の中心点の位置が一致するように載置した。
[表面コート層の研削屑付着量の評価]
実施例及び比較例で製造した両面に剥離シートを有する粘着シートを、平面視で5cm角の大きさに切り出し、表面コート層側の剥離シートを剥離して表面コート層を露出させた試験片を準備した。該試験片の4角のうち任意の1角を固定して吊り下げ、シリコンウエハの研削屑を2質量%含む研削水に10分間浸漬した。研削水から試験片を取り出し、吊り下げたまま23℃で24時間静置して乾燥させた後、試験片の表面コート層を目視観察して、以下の基準にて研削屑付着量を評価した。なお、以下の評価基準において、「研削屑付着部」とは、表面コート層上に付着した研削水の液滴が乾燥してなる島状の研削屑付着箇所を意味する。
A:表面コート層上に研削屑付着部が1箇所ある、又は、研削屑付着部と識別できる程度に研削屑が付着していない。
B:表面コート層上に研削屑付着部が2~5箇所ある。
C:表面コート層上に研削屑付着部が6箇所以上あるが、表面コート層の全面には研削屑が付着していない。
D:表面コート層の全面に研削屑が付着している。
[搬送性の評価]
実施例及び比較例で作製した両面に剥離シートを有する粘着シートの粘着剤層側の剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層を貼付面として、シリコンミラーウエハ(直径12インチ、厚さ50μm、ドライポリッシュ仕上げ)に貼付して、粘着シート付きシリコンミラーウエハ(以下、「粘着シート付きウエハ」ともいう)を作製した。
該粘着シート付きウエハの表面コート層から剥離シートを剥離したものを、表面コート層が接触面になるように加熱テーブル上に載置して、80℃で3分間加熱した。その後、吸引機構による吸着面を備える搬送アームの吸着面を、上記粘着シート付きウエハのシリコンミラーウエハ側の表面に載置し、吸着面に粘着シート付きウエハを吸引吸着させた状態で、粘着シート付きウエハを上記加熱テーブルから持ち上げ可能か否かを試験し、以下の基準にて搬送性を評価した。
A:搬送アームによって粘着シート付きウエハを加熱テーブルから持ち上げることができた。
B:粘着シート付きウエハが加熱テーブルに密着し、搬送アームによって粘着シート付きウエハを加熱テーブルから持ち上げることができなかった。
[緩衝層に用いるウレタンアクリレート系オリゴマーの調製]
製造例1
ポリエステルジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させて得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて、質量平均分子量(Mw)5,000の2官能のウレタンアクリレート系オリゴマーを得た。
[粘着剤層に用いるエネルギー線硬化性のアクリル系樹脂の調製]
製造例2
n-ブチルアクリレート52質量部、メチルメタクリレート20質量部、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート28質量部を共重合してアクリル系重合体を得た。次いで、該アクリル系重合体の全水酸基のうち90モル%の水酸基に付加するように、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて、質量平均分子量(Mw)が50万であるエネルギー線硬化性のアクリル系樹脂を得た。
[粘着シートの製造]
実施例1~4、比較例1~2
次に、以下に示す方法によって粘着シートを製造した。なお、以下の説明における各成分の配合量は全て有効成分の配合量を意味する。
(1)基材の準備
基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ヤング率:2,500MPa)を準備した。
(2)表面コート層形成用組成物の調製
表1に示す各成分を有効成分濃度が10質量%になるようにトルエンに溶解させたものを表面コート層形成用組成物とした。
(3)緩衝層形成用組成物の調製
製造例1で得たウレタンアクリレート系オリゴマー40質量部、イソボルニルアクリレート40質量部、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート20質量部、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.0質量部、及びフタロシアニン系顔料0.2質量部を配合し、緩衝層形成用組成物を調製した。
(4)粘着剤組成物の調製
製造例2で得たエネルギー線硬化性のアクリル系樹脂100質量部、エネルギー線硬化性化合物である多官能ウレタンアクリレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名「シコウUT-4332」、質量平均分子量(Mw)4,700)6質量部、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)0.375質量部、及び光重合開始剤としてのビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド1質量部を配合し、有機溶媒で希釈することによって粘着剤組成物を調製した。
(5)粘着シートの作製
先に示した基材の一方の面に、上記で得た緩衝層形成用組成物を、形成される緩衝層の厚さが20μmになるように塗布した後、照度30mW/cm、照射量60mJ/cmの条件で紫外線を照射することによって緩衝層形成用組成物を半硬化させて、基材の一方の面に、緩衝層形成用組成物を半硬化させた層を形成した。
また、剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET381031」)の剥離処理面に、上記で得た表面コート層形成用組成物を、形成される表面コート層の厚さが2μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、加熱乾燥させて、剥離シート上に表面コート層形成用組成物層を形成した。
該剥離シート上の表面コート層形成用組成物層と、上記基材の一方の面に形成された緩衝層形成用組成物を半硬化させた層とを貼り合わせた後、照度160mW/cm、照射量500mJ/cmの条件で紫外線を照射することによって、緩衝層形成用組成物及び表面コート層形成用組成物を硬化させ、基材の一方の面上に、緩衝層及び表面コート層をこの順に有する積層体を得た。
また、剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET381031」)の剥離処理面に、上記で得た粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが20μmになるように塗布した後、加熱乾燥させて、粘着剤層付き剥離シートを作製した。
該粘着剤層付き剥離シートの粘着剤層を、上記積層体が有する基材の緩衝層が設けられていない面に貼付することによって、両面に剥離シートを有し、表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有する粘着シートを得た。
各実施例及び比較例で得られた粘着シートの評価結果を表1に示す。
・S2104:水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEPS)、スチレン含有量:65質量%、株式会社クラレ製、商品名「セプトン(登録商標)2104」
・H1043:水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、スチレン含有量:67質量%、旭化成株式会社製、商品名「タフテック(登録商標)H1043」
・S2006:水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEPS)、スチレン含有量:35質量%、株式会社クラレ製、商品名「セプトン(登録商標)2006」
・PMA-L:プロピレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性率:1.5質量%、質量平均分子量(Mw):75,000、東洋紡株式会社製、商品名「トーヨータック(登録商標)PMA-L」
・エネルギー線重合性多官能化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、日本化薬株式会社製、商品名「KAYARAD DPHA」
・光重合開始剤:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、IGM Resins B.V.製、商品名「Omnirad1173」
・疎水性シリカ:疎水化処理された不定形の沈殿法シリカ
表1から、表面コート層が、スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が50質量%以上であるスチレン系樹脂(S)を含有する実施例1~4の粘着シートは、ワーク加工後の搬送性に優れていることが分かる。また、実施例1~4の粘着シートは、加熱後の粘着シートに白化が生じていなかった。一方、表面コート層が、スチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が50質量%以上であるスチレン系樹脂(S)を含有しない比較例1及び2の粘着シートは、ワーク加工後の搬送性に劣っており、加熱後の粘着シートに白化が生じていた。

Claims (9)

  1. 表面コート層、緩衝層、基材及び粘着剤層を、この順で有し、
    前記表面コート層が、スチレン系樹脂を含有し、
    前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、50質量%以上である、半導体加工用粘着シート。
  2. 前記スチレン系樹脂中におけるスチレン系化合物に由来する構成単位の含有量が、80質量%以下である、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
  3. 前記スチレン系樹脂が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シート。
  4. 前記スチレン系樹脂の質量平均分子量(Mw)が、10,000~600,000である、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シート。
  5. 前記表面コート層の厚さが、0.05~10μmである、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シート。
  6. 前記緩衝層が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する緩衝層形成用組成物から形成される層である、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シート。
  7. 半導体ウエハの裏面研削に用いられる、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シート。
  8. 請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として半導体ウエハの表面に貼付する工程と、
    前記半導体ウエハに貼付された前記半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削する工程と、
    を含む、半導体装置の製造方法。
  9. 半導体ウエハの表面に溝を形成する工程a、又は半導体ウエハの表面若しくは裏面から前記半導体ウエハの内部に改質領域を形成する工程bである、分割予定ライン形成工程と、
    前記工程aの後、又は前記工程bの前若しくは後に、請求項1又は2に記載の半導体加工用粘着シートを、前記粘着剤層を貼付面として、前記半導体ウエハの表面に貼付する、シート貼付工程と、
    前記半導体ウエハに貼付された半導体加工用粘着シートの前記表面コート層側を支持装置によって固定した状態で、前記半導体ウエハの裏面を研削して、前記溝又は前記改質領域を起点として複数の半導体チップに個片化する、研削及び個片化工程と、
    を含む、半導体装置の製造方法。
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